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発明の名称 電力線通信装置、集積回路、及び電力線通信方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−135180(P2007−135180A)
公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
出願番号 特願2006−114191(P2006−114191)
出願日 平成18年4月18日(2006.4.18)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 古賀 久雄 / 児玉 宣貴
要約 課題
信号の衝突を回避して通信を行うことが出来る、電力線通信装置、集積回路、及び電力線通信方法を提供することを目的とする。

解決手段
電力線通信装置は、第1のマルチキャリア信号SSを所定期間T1、T2、T3・・・を介して繰り返し出力し、第1のマルチキャリア信号SSを基準として所定のタイミングで、第1のマルチキャリア信号SSと位相ベクトルの異なる第2のマルチキャリア信号RSを出力する。また電力線通信装置は、自電力線通信装置と異なる通信方式を用いた他の電力線通信装置が出力する第2のマルチキャリア信号RSを検出する。これにより、各電力線通信装置は、比較的負担の大きい復調処理などを行うことなく、第1のマルチキャリア信号SSと第2のマルチキャリア信号RSとを識別することが出来る。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数のサブキャリアを含むマルチキャリア信号を電力線を介して他の電力線通信装置に送信する電力線通信装置であって、
前記複数のサブキャリアのうち少なくとも1つのサブキャリアの位相を、所定の回転量を示す位相ベクトルで回転させる位相回転部と、
第1の位相ベクトルで少なくとも1つのサブキャリアの位相が前記位相回転部により回転された、第1のマルチキャリア信号を生成し、生成された第1のマルチキャリア信号を電力線に出力する第1のマルチキャリア信号出力部と、
前記第1の位相ベクトルを、当該第1の位相ベクトルと回転量が異なる第2の位相ベクトルに変更する位相ベクトル変更部と、
前記位相ベクトル変更部により変更された位相ベクトルで少なくとも1つのサブキャリアの位相が前記位相回転部により回転された、第2のマルチキャリア信号を生成し、生成された第2のマルチキャリア信号を電力線に出力する第2のマルチキャリア信号出力部と、
前記第1マルチキャリア信号出力部及び前記第2マルチキャリア信号出力部によりそれぞれ電力線に出力された第1のマルチキャリア信号及び第2のマルチキャリア信号を用いて、時間及び周波数帯域の少なくとも一方を設定する多元接続方式設定部と、
前記多元接続方式設定部により設定された時間及び周波数帯域の少なくとも一方で、前記他の電力線通信装置と電力線を介してデータ通信を行うデータ通信部とを備えた電力線通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の電力線通信装置であって、更に、
前記第2のマルチキャリア信号に使用する周波数帯域を設定する周波数帯域設定部を備え、
前記位相ベクトル変更部は、前記周波数帯域設定部により設定された周波数帯域に応じて回転量を設定し、前記第1の位相ベクトルを、設定した回転量を示す前記第2の位相ベクトルに変更する電力線通信装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の電力線通信装置であって、更に、
前記電力線に伝送される交流電圧が所定の電圧値となる時点を検出する時点検出部を備え、
前記第1のマルチキャリア信号出力部及び前記第2のマルチキャリア信号出力部それぞれは、前記時点検出部により検出された時点を基準としたタイミングを用いて、前記第1のマルチキャリア信号及び前記第2のマルチキャリア信号を出力する電力線通信装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の電力線通信装置であって、
前記第1のマルチキャリア信号出力部は、前記第1のマルチキャリア信号を所定の時間を介して繰り返し電力線に出力し、
前記第2のマルチキャリア信号出力部は、前記第1のマルチキャリア信号が出力されたタイミングを用いて、前記第1のマルチキャリア信号及び前記第2のマルチキャリア信号を出力する電力線通信装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載の電力線通信装置であって、
前記位相ベクトル変更部は、PN系列を用いて回転量を設定し、前記第1の位相ベクトルを、設定した回転量を示す前記第2の位相ベクトルに変更する電力線通信装置。
【請求項6】
請求項5記載の電力線通信装置であって、
前記PN系列はM系列である電力線通信装置。
【請求項7】
複数のサブキャリアを含むマルチキャリア信号を電力線を介して他の電力線通信装置に送信する集積回路であって、
前記複数のサブキャリアのうち少なくとも1つのサブキャリアの位相を、所定の回転量を示す位相ベクトルで回転させる位相回転部と、
第1の位相ベクトルで少なくとも1つのサブキャリアの位相が前記位相回転部により回転された、第1のマルチキャリア信号を生成し、生成された第1のマルチキャリア信号を電力線に出力する第1のマルチキャリア信号出力部と、
前記第1の位相ベクトルを、当該第1の位相ベクトルと回転量が異なる第2の位相ベクトルに変更する位相ベクトル変更部と、
前記位相ベクトル変更部により変更された位相ベクトルで少なくとも1つのサブキャリアの位相が前記位相回転部により回転された、第2のマルチキャリア信号を生成し、生成された第2のマルチキャリア信号を電力線に出力する第2のマルチキャリア信号出力部とを備えた集積回路。
【請求項8】
複数のサブキャリアを含むマルチキャリア信号を電力線を介して電力線通信装置に送信する電力線送信方法であって、
前記複数のサブキャリアのうち少なくとも1つのサブキャリアの位相を、所定の回転量を示す位相ベクトルで回転させ、
第1の位相ベクトルで少なくとも1つのサブキャリアの位相が回転された、第1のマルチキャリア信号を生成し、生成された第1のマルチキャリア信号を電力線に出力し、
前記第1の位相ベクトルを、当該第1の位相ベクトルと回転量が異なる第2の位相ベクトルに変更し、
前記変更された位相ベクトルで少なくとも1つのサブキャリアの位相が回転された、第2のマルチキャリア信号を生成し、生成された第2のマルチキャリア信号を電力線に出力し、
電力線に出力された第1のマルチキャリア信号及び第2のマルチキャリア信号を用いて、時間及び周波数帯域の少なくとも一方を設定し、
前記設定された時間及び周波数帯域の少なくとも一方で、前記電力線通信装置と電力線を介してデータ通信を行う電力線通信方法。
【請求項9】
複数のサブキャリアを含むマルチキャリア信号を電力線を介して電力線通信装置に送信する電力線送信方法であって、
前記マルチキャリア信号に使用する周波数帯域に応じて異なる回転量を示す位相ベクトルで、前記複数のサブキャリアのうち少なくとも1つのサブキャリアの位相を回転させ、
前記位相が回転されたサブキャリアを含むマルチキャリア信号を電力線に出力し、
前記電力線に出力されたマルチキャリア信号を用いて、時間及び周波数帯域の少なくとも一方を設定し、
前記設定された時間及び周波数帯域の少なくとも一方で、前記電力線通信装置と電力線を介してデータ通信を行う電力線通信方法。
【請求項10】
複数のサブキャリアを含むマルチキャリア信号を電力線を介して電力線通信装置に送信する電力線送信方法であって、
複数のタイムスロットを設定し、
前記複数のタイムスロットのうち、少なくとも隣り合うタイムスロット同士で異なる回転量を示す位相ベクトルを設定し、
前記マルチキャリア信号を出力すべきタイムスロットに応じた位相ベクトルで、前記複数のサブキャリアのうち少なくとも1つのサブキャリアの位相を回転させ、
前記位相が回転されたサブキャリアを含むマルチキャリア信号を、当該マルチキャリア信号を出力すべきタイムスロットに出力し、
前記出力されたマルチキャリア信号を用いて、時間及び周波数帯域の少なくとも一方を設定し、
前記設定された時間及び周波数帯域の少なくとも一方で、前記電力線通信装置と電力線を介してデータ通信を行う電力線通信方法。
【請求項11】
請求項10記載の電力線送信方法であって、
複数のタイムスロット毎に異なる回転量を示す位相ベクトルを設定する電力線通信方法。
【請求項12】
請求項10または11記載の電力線送信方法であって、
前記電力線に伝送される交流電圧が所定の電圧値となる時点を検出し、
前記位相が回転されたサブキャリアを含むマルチキャリア信号を、検出された時点を基準としたタイミングを用いて、電力線に出力する電力線通信方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信方式の異なる複数種類の通信装置が、共通の伝送路に接続された場合であっても、比較的負担の大きい復調処理などを行うことなく、信号の衝突を回避して、他の通信装置が出力する信号を容易に検出することが出来る、電力線通信装置、集積回路、及び電力線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信技術の進歩に伴い、屋内に敷設された電力線を伝送路に用いて、複数の端末装置間でOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数多重分割変調)方式によってマルチキャリア通信を行う電力線通信(PLC:Power Line Communication)が知られている(例えば、特許文献1参照)。OFDM方式は、多重搬送波(マルチキャリア)を用い、複数の搬送波を周波数軸上で多重化して情報を伝送する変調方式である。この際、FFT(Fast Fourier Transform)やDWT(Discrete Wavelet Transform)を用いることで、マルチキャリアの周波数間隔を狭くするとともに、複数の搬送波を、一部重なりあいながらも互いに干渉することなく密に並べることができ、狭い周波数の範囲を効率的に利用した広帯域伝送を実現可能としている。
【0003】
ここで、電力線通信などのマルチキャリア通信において、時間波形のレベルを平準化してピークが生じないようにし、干渉などを抑制する技術が提案されている。これは、時間波形に大きなピークが無い場合は、デフォルトの位相ベクトルを使用して各サブキャリアの位相を回転させ、大きなピークが観測された場合は、位相ベクトルを変更してピークが出ないようになるまで位相ベクトルを探索し、変更した位相ベクトルによって各サブキャリアの位相を回転させるものである(例えば、非特許文献1参照)。このようなピーク抑圧技術は、マルチキャリア通信において、パワーアンプの設計難易度を緩和するために必須の技術である。
【0004】
通常、同じ通信方式の仕様を用いている場合は、ネットワーク鍵などを用いて異なる論理ネットワークを形成する場合でも、各々のネットワークに接続される通信装置の仕様は一般的に同じである。つまり、ピーク抑圧に用いられる位相ベクトルも同じである。こうすることで、通信装置の物理層レベルでは異なるネットワーク間においても互いの信号を検出(キャリアセンス)でき、CSMA(Carrier Sense Multiple Access)技術などを使用すれば、信号の衝突を抑制することが可能となり、異なるネットワーク同士が比較的近くに存在しても円滑に通信を行うことが出来る。
【特許文献1】特開2000−165304号公報
【非特許文献1】Denis J. G. Mestdagh and Paul M. P. Spruyt, "A Method to Reduce the Probability of Clipping in DMT−Based Transceivers", IEEE Transactions on Communications, Vol.44, No.10, pp.1234−1238, 1996
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、実際の通信に使用するプロトコル、変調方式、周波数帯などの通信方式については、開発するメーカ毎に仕様が異なっている場合がある。一方、このような通信技術が実際に使用される環境を考えると、同じ場所で複数種類の通信方式が混在する可能性がある。例えば、アパートやマンションのような集合住宅に住んでいるユーザ(通信装置の利用者)の場合を想定すると、同じ集合住宅に住むそれぞれのユーザは、必ずしも同じメーカの通信装置(例えばモデム)を使用するとは限らないので、複数のメーカが独自に製造した複数種類の通信装置が共通の電力線に同時に接続される場合がある。
【0006】
このように、複数種類の通信装置が共通の電力線に接続された場合には、自局と違う方式の通信装置から送出された信号を自局で復調することはできず、単なるノイズとして認識されることになる。従って、複数種類の通信装置が同じ周波数帯を使用しているにもかかわらず、他の通信装置の存在すら認識できないため、複数種類の通信装置が送出する信号が衝突することになり、通信ができない状態になる。即ち、共通の電力線上で複数種類の通信装置が共存することは出来ない場合がある。一方、各通信装置が、復調処理を行うようにすれば、他の通信装置が送出する信号を識別することが出来るが、複数種類の通信装置の共存させるために、復調処理を行わせると、処理負担が増大する不都合が生じる。
【0007】
本発明は、通信方式の異なる複数種類の通信装置が、共通の伝送路に接続された場合であっても、比較的負担の大きい復調処理などを行うことなく、信号の衝突を回避して、他の通信装置が出力する信号を容易に検出することが出来る、電力線通信装置、集積回路、及び電力線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、複数のサブキャリアを含むマルチキャリア信号を電力線(2)を介して他の電力線通信装置(10)に送信する電力線通信装置(10)であって、複数のサブキャリアのうち少なくとも1つのサブキャリアの位相を、所定の回転量を示す位相ベクトルで回転させる位相回転部(42)と、第1の位相ベクトル(PV1)で少なくとも1つのサブキャリアの位相が位相回転部により回転された、第1のマルチキャリア信号(SSまたはRS)を生成し、生成された第1のマルチキャリア信号を電力線(2)に出力する第1のマルチキャリア信号出力部(42)と、第1の位相ベクトルを、当該第1の位相ベクトルと回転量が異なる第2の位相ベクトルに変更する位相ベクトル変更部(42)と、位相ベクトル変更部により変更された位相ベクトルで少なくとも1つのサブキャリアの位相が位相回転部により回転された、第2のマルチキャリア信号(RS)を生成し、生成された第2のマルチキャリア信号を電力線(2)に出力する第2のマルチキャリア信号出力部(42)と、第1マルチキャリア信号出力部及び第2マルチキャリア信号出力部によりそれぞれ電力線(2)に出力された第1のマルチキャリア信号(SSまたはRS)及び第2のマルチキャリア信号(RS)を用いて、時間及び周波数帯域の少なくとも一方を設定する多元接続方式設定部(22)と、多元接続方式設定部により設定された時間及び周波数帯域の少なくとも一方で、他の電力線通信装置と電力線を介してデータ通信を行うデータ通信部(22)とを備えたものである。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明であって、更に、第2のマルチキャリア信号に使用する周波数帯域を設定する周波数帯域設定部(42)を備え、位相ベクトル変更部(42)は、周波数帯域設定部により設定された周波数帯域に応じて回転量を設定し、第1の位相ベクトル(PV1)を、設定した回転量を示す第2の位相ベクトル(PV2)に変更するものである。
【0010】
第3の発明は、上記第1または2の発明であって、更に、電力線(2)に伝送される交流電圧(AC)が所定の電圧値となる時点(ZC)を検出する時点検出部(63)を備え、第1のマルチキャリア信号出力部(42)及び第2のマルチキャリア信号出力部(42)それぞれは、時点検出部(63)により検出された時点を基準としたタイミングを用いて、第1のマルチキャリア信号(RS)及び第2のマルチキャリア信号(RS)を出力するものである。
【0011】
第4の発明は、上記第1または2の発明であって、第1のマルチキャリア信号出力部(42)は、第1のマルチキャリア信号(SS)を所定の時間を介して繰り返し電力線(2)に出力し、
第2のマルチキャリア信号出力部(42)は、第1のマルチキャリア信号(SS)が出力されたタイミングを用いて、第1のマルチキャリア信号(RS)及び第2のマルチキャリア信号(RS)を出力するものである。
【0012】
第5の発明は、上記第1ないし4いずれかの発明であって、位相ベクトル変更部(42)は、PN系列を用いて回転量を設定し、第1の位相ベクトル(PV1)を、設定した回転量を示す第2の位相ベクトル(PV2)に変更するものである。
【0013】
第6の発明は、上記第5の発明であって、PN系列はM系列であるを備えたものである。
【0014】
第7の発明は、複数のサブキャリアを含むマルチキャリア信号を電力線(2)を介して他の電力線通信装置(10)に送信する集積回路(42)であって、複数のサブキャリアのうち少なくとも1つのサブキャリアの位相を、所定の回転量を示す位相ベクトルで回転させる位相回転部(408)と、第1の位相ベクトル(PV1)で少なくとも1つのサブキャリアの位相が位相回転部により回転された、第1のマルチキャリア信号(SSまたはRS)を生成し、生成された第1のマルチキャリア信号を電力線(2)に出力する第1のマルチキャリア信号出力部(410または420)と、第1の位相ベクトル(PV1)を、当該第1の位相ベクトル(PV1)と回転量が異なる第2の位相ベクトル(PV2)に変更する位相ベクトル変更部(405)と、位相ベクトル変更部により変更された位相ベクトル(PV2)で少なくとも1つのサブキャリアの位相が位相回転部により回転された、第2のマルチキャリア信号(RS)を生成し、生成された第2のマルチキャリア信号を電力線(2)に出力する第2のマルチキャリア信号出力部(410または420)とを備えたものである。
【0015】
第8の発明は、複数のサブキャリアを含むマルチキャリア信号を電力線(2)を介して電力線通信装置(10)に送信する電力線送信方法であって、複数のサブキャリアのうち少なくとも1つのサブキャリアの位相を、所定の回転量を示す位相ベクトルで回転させ、第1の位相ベクトル(PV1)で少なくとも1つのサブキャリアの位相が回転された、第1のマルチキャリア信号(SSまたはRS)を生成し、生成された第1のマルチキャリア信号を電力線(2)に出力し、第1の位相ベクトル(PV1)を、当該第1の位相ベクトル(PV1)と回転量が異なる第2の位相ベクトル(PV2)に変更し、変更された位相ベクトル(PV2)で少なくとも1つのサブキャリアの位相が回転された、第2のマルチキャリア信号(RS)を生成し、生成された第2のマルチキャリア信号を電力線(2)に出力し、電力線(2)に出力された第1のマルチキャリア信号(SSまたはRS)及び第2のマルチキャリア信号(RS)を用いて、時間及び周波数帯域の少なくとも一方を設定し、設定された時間及び周波数帯域の少なくとも一方で、電力線通信装置と電力線を介してデータ通信を行うものである。
【0016】
第9の発明は、複数のサブキャリアを含むマルチキャリア信号を電力線(2)を介して電力線通信装置(10)に送信する電力線送信方法であって、マルチキャリア信号に使用する周波数帯域に応じて異なる回転量を示す位相ベクトルで、複数のサブキャリアのうち少なくとも1つのサブキャリアの位相を回転させ、位相が回転されたサブキャリアを含むマルチキャリア信号(RS)を電力線に出力し、電力線に出力されたマルチキャリア信号を用いて、時間及び周波数帯域の少なくとも一方を設定し、設定された時間及び周波数帯域の少なくとも一方で、電力線通信装置と電力線を介してデータ通信を行うものである。
【0017】
第10の発明は、複数のサブキャリアを含むマルチキャリア信号を電力線(2)を介して電力線通信装置(10)に送信する電力線送信方法であって、複数のタイムスロット(T11、T12、・・・、T17)を設定し、複数のタイムスロットのうち、少なくとも隣り合うタイムスロット(例えばT11、T12)同士で異なる回転量を示す位相ベクトル(例えばPV1、PV2)を設定し、マルチキャリア信号を出力すべきタイムスロット(例えばT11)に応じた位相ベクトル(例えばPV1)で、複数のサブキャリアのうち少なくとも1つのサブキャリアの位相を回転させ、位相が回転されたサブキャリアを含むマルチキャリア信号を、当該マルチキャリア信号を出力すべきタイムスロット(例えばT11)に出力し、出力されたマルチキャリア信号(RS)を用いて、時間及び周波数帯域の少なくとも一方を設定し、設定された時間及び周波数帯域の少なくとも一方で、電力線通信装置と電力線を介してデータ通信を行うものである。
【0018】
第11の発明は、上記第10発明であって、複数のタイムスロット(T11、T12、・・・、T17)毎に異なる回転量を示す位相ベクトルを設定するものである。
【0019】
第12の発明は、上記第10または11の発明であって、電力線(2)に伝送される交流電圧(AC)が所定の電圧値となる時点(ZC)を検出し、位相が回転されたサブキャリアを含むマルチキャリア信号を、検出された時点を基準としたタイミングを用いて、電力線に出力するものである。
【0020】
なお、括弧内の番号などは、本発明の理解を助けるために、図面における対応する要素を便宜的に示すものである。従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではなく、また、この符号の記載により本発明を解釈すべきでない。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明によれば、第1のマルチキャリア信号と第2のマルチキャリア信号とは位相ベクトルが異なるので、電力線通信装置は比較的負担の大きい復調処理などを行うことなくマルチキャリア信号同士を識別することが出来る。その結果、電力線通信装置と電力線通信装置との間で多元接続方式を容易に設定することが出来、データ通信を行う際に、複数の通信方式の電力線通信装置が存在するネットワークであっても、信号同士の衝突を回避することが出来る。
【0022】
第2の発明によれば、位相ベクトルは周波数帯域に応じて異なるので、たとえ電力線の伝送路状態が劣化し特定の周波数帯域の利得が低下しても、位相ベクトルで、第2のマルチキャリア信号で使用される周波数帯域を良好に特定することが出来る。
【0023】
第3の発明によれば、電力線は、各電力線通信装置において共通する伝送路であるので、同期信号を用いることなく、電力線通信装置間で同期を取ることが出来る。その結果、同期信号を出力する電力線通信装置を準備する必要がなくなり、電力線通信装置の構成を簡単にすることが出来る。
【0024】
第4の発明によれば、他の電力線通信装置は、所定の時間を介して繰り返し出力される第1のマルチキャリア信号を同期信号として利用することが出来る。
【0025】
第5の発明によれば、時間相関の少ない位相ベクトルを設定することが出来るので、第1のマルチキャリア信号と第2のマルチキャリア信号との識別精度を向上させることが出来る。
【0026】
第6の発明によれば、自己相関がコヒーレントな(位相が揃った)位相ベクトルを設定することが出来るので、識別精度を更に向上させることが出来る。
【0027】
第7の発明によれば、第1のマルチキャリア信号と第2のマルチキャリア信号とは位相ベクトルが異なるので、電力線通信装置は比較的負担の大きい復調処理などを行うことなくマルチキャリア信号同士を識別することが出来る。
【0028】
第8の発明によれば、第1のマルチキャリア信号と第2のマルチキャリア信号とは位相ベクトルが異なるので、電力線通信装置は比較的負担の大きい復調処理などを行うことなくマルチキャリア信号同士を識別することが出来る。その結果、電力線通信装置と電力線通信装置との間で多元接続方式を容易に設定することが出来、データ通信を行う際に、複数の通信方式の電力線通信装置が存在するネットワークであっても、信号同士の衝突を回避することが出来る。
【0029】
第9の発明によれば、位相ベクトルは周波数帯域に応じて異なるので、たとえ電力線の伝送路状態が劣化し特定の周波数帯域の利得が低下しても、位相ベクトルで、マルチキャリア信号で使用される周波数帯域を良好に特定することが出来る。
【0030】
第10の発明によれば、少なくとも隣り合うタイムスロット同士で異なる回転量を示す位相ベクトルが設定されているので、マルチキャリア信号の出力タイミングがタイムスロットから時間的にずれたとしても、他の電力線通信装置は、位相ベクトルを識別することでマルチキャリア信号を検出することが出来る。
【0031】
第11の発明によれば、他の電力線通信装置は、それぞれの位相ベクトルを確実に識別することが出来る。
【0032】
第12の発明によれば、商用交流電圧AC同士でタイミングのずれが発生したとしても、他の電力線通信装置は、位相ベクトルを識別することでマルチキャリア信号を検出することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(実施の形態1)
実施の形態1について、図1〜図10を参照しながら以下に説明する。
【0034】
図1は、実施の形態1に係る通信システム100の概略構成図である。通信システム100は、図1に示すように、電力線2を伝送路としたネットワークを有している。電力線2は、屋外に設置されている電柱7の送電線と、変圧器4を介して送電線と接続された引き込み線と、家屋1内に配線された屋内配線とで構成される。送電線を構成する電力線2は、引き込み線を構成する電力線2を介して分電盤6に接続されている。また、ISP(Internet Service Provider、図示せず)などに接続された光ケーブル8は、通信装置として機能するモデム10C3を介して分電盤6に接続されている。
【0035】
分電盤6からの電力線2は、家屋1内に設置された複数のコンセント5に接続されている。各コンセント5には、プラグ3及び電力線2(例えばVVFケーブル)などを介して、通信方式の種類が異なる複数のモデムが接続されている。電力線2は、例えば100V、60Hz(又は50Hz)の商用交流電圧を各種電気機器に供給するものであるが、交流電圧が供給されれば、特に100V、60Hzである必要はない。例えば、米国であれば、交流電圧120V、60Hz、また中国であれば、交流電圧110/220V、50Hzなど、種々の条件がある。
【0036】
モデムとしては、図1に示すように、通信方式「A」を用いるモデム10A1、10A2、10A3、通信方式「B」を用いるモデム10B1、10B2、通信方式「C」を用いるモデム10C1、10C2、10C3が家屋1内に設置されている。各モデムには、LANケーブル9を介して各種の電気機器が接続されている。具体的には、モデム10A1にはドアフォン109が接続され、モデム10A2、10A3にはディスプレイ付き電話機103、107が接続されている。モデム10B1にはテレビ102が接続され、モデム10B2にはサーバ105が接続されている。モデム10C1にはノート型パーソナルコンピュータ(以下単に「PC」と称す)101が接続され、モデム10C2にはテレビ106が接続されている。
【0037】
なお、以下の説明では、モデム10A1、10A2、10A3、10B1、10B2、10C1、10C2、10C3について、特に区別しない場合は、単にモデム10と称す。また、本実施の形態で説明するモデムは、通信装置10の一例であって、通信機能を有する装置であれば特にモデムに限る必要はない。例えば、モデム機能を有する電気機器(具体的には図1に示す各種の電気機器101、102、103、…)であってもよい。
【0038】
また、本明細書では、一戸建てや集合住宅などの家屋、工場、ビルなど、建築物内のみで用いられる電力線通信を、「宅内通信」と定義し、屋外に敷設された送電線や光ケーブルに用いられる電力線通信(この電力線通信を用いた、建築物内で用いられる通信方式も含む)を、「アクセス系通信」と定義する。以下、宅内通信による通信システムを、単に「宅内系」と称し、アクセス系通信による通信システムを、単に「アクセス系」と称す。図1では、モデム10A1、10A2、10A3、10B1、10B2で構成される通信システムは宅内系に属し、モデム10C1、10C2、10C3で構成される通信システムは、アクセス系に属する。
【0039】
図2(a)モデム前面を示す外観斜視図、(b)モデム背面を示す外観斜視図である。モデム10は、図2に示すよう筐体11を有している。筐体11の前面には、LED(Light Emitting Diode)などの表示部16が設けられている。筐体11の背面には、電源コネクタ12、RJ45などのLAN(Local Area Network)用モジュラージャック13、及びD−subコネクタ15が設けられている。電源コネクタ12には、平行ケーブルなどの電力線2が接続されている。モジュラージャック13には、LANケーブル9が接続されている。D−subコネクタ15には、図示しないD−subケーブルが接続されている。
【0040】
図3は、実施の形態1のモデム10を構成するハードウェアの一例を示すブロック図である。モデム10は、図3に示すように、回路モジュール20及びスイッチング電源50を有している。スイッチング電源50は、各種(例えば、+1.2V、+3.3V、+12V)の電圧を回路モジュール20に供給する。回路モジュール20には、メインIC(Integrated Circuit)22、AFE・IC(Analog Front End IC)23、バンドパスフィルタ25、ドライバIC26、カプラ27、バンドパスフィルタ29、AMP(増幅器)・IC30、バンドパスフィルタ31、ADC(AD変換)・IC32、メモリ33、及びイーサネット(登録商標)PHY・IC21が設けられている。電源コネクタ12は、プラグ3及びコンセント5を介して、電力線2に接続される。
【0041】
メインIC22は、CPU(Central Processing Unit)22A、PLC・MAC(Power Line Communication・Media Access Control layer)ブロック22C、及びPLC・PHY(Power Line Communication・Physical layer)ブロック22Bで構成される。CPU22Aは、32ビットのRISC(Reduced Instruction Set Computer)プロセッサを実装している。PLC・MACブロック22CはMAC層を管理し、PLC・PHYブロック22BはPHY層を管理する。AFE・IC23は、DA変換器(DAC)23A、可変増幅器(VGA)23B、23C、及びAD変換器(ADC)23Bで構成されている。カプラ27は、コイルトランス27A、及びカップリング用コンデンサ27B、27Cで構成されている。
【0042】
回路モジュール20には、更に、サブIC42、AFE・IC43、バンドパスフィルタ45、ドライバIC46、及びバンドパスフィルタ49が設けられている。サブIC42は、PLC・MACブロック42C、及びPLC・PHYブロック42Bで構成されている。AFE・IC43は、DA変換器(DAC)43A、可変増幅器(VGA)43B、43C、及びAD変換器(ADC)43Bで構成されている。
【0043】
メインIC22は、一般的なモデムと同様に、データ通信のための基本的な制御や変復調を含む信号処理を行う電気回路(LSI)である。即ち、PCなどの通信端末から出力される受信データを変調して送信信号(データ)として、AFE・IC23に出力する。また、電力線2側からAFE・IC23を介して入力される送信データを、受信信号(データ)として復調してPCなどの通信端末に出力する。また、電力線2を使用できるかどうかを確認するために、メインIC22は、データ通信を行う前に、所定の通信要求信号を、サブIC42出力する。
【0044】
ドライバIC26は、メインIC22と電力線2との間で、送信信号及び受信信号の通過のオンオフを制御するスイッチとして機能する。即ち、ドライバIC26は、デジタル信号処理回路と電力線とのインターフェースとなり、ドライバIC26のオンオフを切り替えることで、データ通信の通信可否を制御する。なお、ドライバIC26は、データ通信の通信可否を制御することが出来ればどのような構成であってもよく、例えば、アナログスイッチのように外部からの信号によってオンオフ制御が可能なスイッチが内蔵されていてもよい。
【0045】
なお、第1信号出力部、第2信号出力部、及び位相ベクトル設定部はそれぞれ、サブIC42のPLC・PHYブロック42Bで実現される。データ通信領域設定部は、PLC・PHYブロック22B、及びバンドパスフィルタ25、29で実現される。データ通信部は、PLC・PHYブロック22B、及びAFE・IC23で実現される。
【0046】
図4は、サブIC42内のPLC・PHYブロック42Bの機能ブロック図である。まず、マルチキャリア信号の変調に逆ウェーブレット変換を用いた、位相設定処理について、図4に沿って説明する。
【0047】
PLC・PHYブロック42Bは、図4下方に示すように、シリアルデータの送信データを複素座標面にマッピングするシンボルマッパ406、シリアルデータをマルチキャリアの各サブキャリアに対応するパラレルデータに変換するS/P変換器407、パラレルデータの位相をそれぞれ回転させる位相回転器408、位相回転させたパラレルデータの逆ウェーブレット変換を行ってマルチキャリア変調を行う逆ウェーブレット変換器410、及び位相回転器408の位相ベクトルを制御する制御部405を備えている。位相ベクトルは、マルチキャリア信号の各サブキャリア信号に対応する位相を示す値の集合であり、全サブキャリアにおける信号の位相がランダムにして時間信号波形におけるピークがでないように設定される。こうすることで、各サブキャリア信号において位相をランダム化されるので、時間波形のレベルを平準化してピークが生じないようにすることが出来る。
【0048】
シンボルマッパ406では、ビットデータによる送信データをシンボルデータに変換して一次変調を行い、M−1個の複素座標面にマッピングする。S/P変換器407では、逐次入力される一次変調後のシリアルデータ(送信シンボル)をマルチキャリア信号の各サブキャリアに対応するパラレルデータに変換する。そして、位相回転器408において、入力されたパラレルデータの位相を回転させる。この場合、2n−1番目(nは正整数)の入力を複素情報の同相成分、2n番目の入力を複素情報の直交成分(但し、1≦n≦M/2−1)とし、サブキャリア番号を0〜M−1と考えて複素のサブキャリアをサブキャリアペアで構成し、各サブキャリアの位相を回転させる。ここで、位相回転されるパラレルデータの数(サブキャリア数)は、最大M/2−1である。逆ウェーブレット変換器410では、位相を回転させた各サブキャリアのパラレルデータを逆ウェーブレット変換してマルチキャリア変調を行い、マルチキャリアの送信信号を生成する。なお、シンボルマッパとS/P変換器との順番を入れ替えることも可能である。
【0049】
制御部405は、位相回転器408に位相ベクトルを制御する信号(以下、単に「ベクトル制御信号」と称す。)を供給し、位相ベクトルの設定、変更を制御する。ここで、制御部405にランダム値生成部を設け、例えばPN(Pseudo Noise)系列を用いてランダム値を生成し、ベクトル制御信号としてランダム値を位相回転器408に供給して、対象のサブキャリア毎に位相を回転させる。上記ランダム値として、例えば0及びπの2値を生成する。あるいは、制御部405に巡回シフト指示部を設け、巡回シフトさせるためのベクトル制御信号(位相シフト値)を生成して位相回転器405に供給し、通信に用いるサブキャリア毎に位相を回転させるようにしてもよい。
【0050】
このように、位相をPN系列に基づいて回転させるので、時間相関の少ない位相ベクトルを設定することが出来、第1の信号と第2の信号との識別精度を向上させることが出来る。特に、PN系列として、M系列を用いると、自己相関がコヒーレントな(位相が揃った)位相ベクトルを設定することが出来るので、識別精度を更に向上させることが出来る。
【0051】
なお、毎回対象のサブキャリア毎に位相を回転させずに、位相回転器408の出力信号、あるいは逆ウェーブレット変換器410からの出力信号自体をあらかじめメモリなどに記憶しておき、ベクトル制御信号が生成されるたびにメモリから既知データ信号として呼び出してベクトル制御信号として出力しても良い。あるいは、位相ベクトルが変更されるたびに既知データを呼び出して、ベクトル制御信号として出力しても良い。
【0052】
次いで、マルチキャリア信号の復調にウェーブレット変換を用いた、位相復元処理について説明する。PLC・PHYブロック42Bは、図4上方に示すように、更に、受信信号のウェーブレット変換を行ってマルチキャリア復調を行うウェーブレット変換器401、復調した各サブキャリアに対応するパラレルデータの位相をそれぞれ回転させる位相回転器402、及び位相を復元した各サブキャリアに対応するパラレルデータをシリアルデータに変換するP/S変換器403を備えている。
【0053】
ウェーブレット変換器401では、受信信号をウェーブレット変換してマルチキャリア信号の復調を行い、マルチキャリアの各サブキャリアに対応するパラレルデータを生成する。位相回転器402では、入力されたパラレルデータの位相を回転させてパラレルデータの各データを元の位相に戻す。そして、P/S変換器403では、入力されたマルチキャリアの各サブキャリアに対応するパラレルデータをシリアルデータに変換し、受信データを取得する。なお、位相回転器402とP/S変換器403の順序は入れ替えても動作に支障はない。
【0054】
制御部405は、位相回転器402にベクトル制御信号を供給し、位相ベクトルの設定、変更を制御する。上述した位相設定処理と同様に、制御部405にランダム値生成部を設け、例えばPN(Pseudo Noise)系列を用いてランダム値を生成し、ベクトル制御信号としてランダム値を位相回転器402に供給して、対象のサブキャリア毎に位相を回転させる。上記ランダム値として、例えば0とπの2値を生成する。あるいは、制御部405に巡回シフト指示部を設け、巡回シフトさせるためのベクトル制御信号(位相シフト値)を生成して位相回転器402に供給し、通信に用いるサブキャリア毎に位相を回転させるようにしてもよい。このように、巡回シフトを用いることで、位相を回転させるサブキャリア数が多い場合であっても、比較的低い処理負担で、位相回転処理を実行することが出来る。
【0055】
実施の形態1では、後述するデータ信号や制御信号に、OFDM信号を用いる。図5は、OFDM信号の信号フォーマットを示す図、図6は、OFDM信号の信号スペクトルを示す図である。OFDM信号は、キャリア検出や同期処理で一般的に用いられる、プリアンブル信号と同様な構成である。例えば、各サブキャリアにおいて同一の連続する値(例えば各サブキャリアで1、1、1、1、・・・の信号)を制御部405から位相回転器408に入力し、適当な位相ベクトルで各サブキャリアの位相を回転し、逆ウェーブレット変換器410で周波数−時間変換を行って、時間信号を生成している。実際のOFDM信号としては、例えばシンボル長が100μs程度のマルチトーン(例えば56波)信号を用いる。
【0056】
なお、上記の説明ではウェーブレット変換を適用して位相ベクトルを回転させた場合について説明したが、必ずしもウェーブレット変換である必要はなく、例えば、フーリエ変換を適用することも可能である。また、PLC・PHYブロック22Bの位相設定処理及び位相復元処理は、上述した、PLC・PHYブロック42Bの位相設定処理及び位相復元処理と同一なので、その説明は省略する。
【0057】
図7(a)周波数分割を適用したタイムチャート、(b)他の例の周波数分割を適用したタイムチャート、(c)周波数分割及び時間分割を適用したタイムチャートである。
【0058】
実施の形態1では、電力線2上の周波数帯域は、図7に示すように周波数分割されており、制御信号帯域BW1及びデータ信号帯域BW2に区分されている。制御信号帯域BW1は、制御信号を伝送する帯域である。制御信号とは、モデム10間の通信を制御する信号をいい、例えば、各モデムが同期タイミングの基準とする同期信号SSや、各モデム10がデータ通信を行うことを宣言するリクエスト信号RSなどがある。なお、リクエスト信号RSは、第1の信号の一例であって、同期信号SSは、第2の信号の一例である。
【0059】
データ信号帯域BW2は、データ信号を伝送する帯域である。データ信号とは、映像、音声、テキストなど、パケットのペイロードに記載される各種の情報をいう。電力線通信の使用周波数帯域が、例えば2〜30MHzの場合に、図7では、制御信号帯域BW1が、2〜3MHzに割り当てられ、データ信号帯域BW2が、3〜30MHzに割り当てられている。なお、制御信号帯域BW1はとして、任意の周波数帯域を選択することは可能だが、低い周波数を利用する方がサンプリング周波数を下げることが可能となり、モデムを簡易な回路で構成することが出来る。
【0060】
図8(a)電力線における減衰量の周波特性の一例を示す図、(b)電力線における雑音レベルの周波特性の一例を示す図である。図8(a)に示すように、2〜3MHzの周波数帯域では信号の減衰量が大きく、同図(b)に示すように、雑音レベルが大きくなる傾向がある。高速の伝送を実現するためには、できる限り広い周波数帯を通信に使用するのが望ましいが、2〜3MHzの周波数帯域では、上述したように減衰量と共に雑音レベルが大きくなるため、S/N(信号対雑音比)が低くなり、高速伝送に対する寄与度が低いのが実情である。そのため、2〜3MHzの周波数帯域を、制御信号帯域BW1としてネゴシエーションに専用に割り当てることで、伝送速度の低下を少なくすることが出来る。また、データ通信の周波数帯域を相対的に高くすることが出来るので、データ通信の伝送効率を向上させることが出来る。
【0061】
次に、複数種類のモデム10が共通の電力線2上で共存するために図3に示すサブIC42のPLC・PHYブロック42Bが行う具体的な制御について説明する。
【0062】
実施の形態1では、複数種類のモデム10に共通な制御信号として、制御信号の仕様(例えば、サンプリング周波数、シンボル長)は同一であるが、2種類以上の異なる位相ベクトルを使用する。例えば、同期信号SS専用の位相ベクトルや、リクエスト信号RS専用の位相ベクトルなど、各々の位相ベクトルを使い分け、複数種類のモデムの制御を行う。
【0063】
具体的には、サブIC42のPLC・PHYブロック42Bは、ドライバIC26に対して所定の信号を送信し、メインIC22側によるデータ通信をドライバIC26でオフにする。ドライバIC26をオフにすると、PLC・PHYブロック42Bは、AFE・IC43、バンドパスフィルタ45、及びドライバIC46を介して、同期信号SSを出力する。同期信号SSは、カプラ27で交流電力に重畳され、電源コネクタ12、プラグ3、及びコンセント5を介して電力線2に出力される。同期信号SSは所定期間毎に出力するようになっており、PLC・PHYブロック42Bは、所定周期で同期信号SSを繰り返し出力することになる。
【0064】
図7(a)では、例えば、通信方式「B」を用いるモデム10B1(図1参照)のPLC・PHYブロック42Bが、時点t1、t9、t11、t20、t30、・・・でそれぞれ、同期信号SSを出力する。既に述べたように、2種類以上の異なる位相ベクトルを使用するので、各モデム10は、同期信号SSやリクエスト信号RSなどの制御信号の位相ベクトルに関する情報(各サブキャリアに対する0及びπの2値)を、所定のメモリ(図示せず)に格納している。従って、各モデム10のPLC・PHYブロック42Bは、位相ベクトルに関する情報をメモリから読み出し、位相回転器402及び制御部405で、上述した位相復元処理を実行して、同期信号SSを検出する。このように、各モデム10は、同期信号SSを検出することで、所定周期(例えばmsオーダ)を1サイクルとする制御期間T1、T2、T3、T4、・・・を設定することになる。なお、このように制御信号を伝送する期間を「制御期間Tc」と称す。
【0065】
図9は、制御期間Tcにおけるリクエスト信号RSに対応したタイムスロットを示す図である。各モデム10のPLC・PHYブロック42Bは、検出した同期信号SSを基準として、自分の通信方式に応じた期間の経過後に、リクエスト信号RSを出力するようになっている。また、位相回転器408及び制御部405で、上述した位相設定処理を実行して、リクエスト信号RSの位相ベクトルを同期信号SSと異なるように設定する。
【0066】
例えば、図9に示すように、モデム10B1が、時点t1ないしt2の間に同期信号SSを出力したとする。この場合、通信方式「A」のモデム10A1、10A2、10A3は、時点t1ないしt2の期間経過後に、リクエスト信号RSを出力する。通信方式「B」のモデム10B1、10B2は、時点1ないしt3の期間経過後に、リクエスト信号RSを出力する。通信方式「C」のモデム10B1、10B2は、時点1ないしt4の期間経過後に、リクエスト信号RSを出力する。即ち、制御期間Tcには、各通信方式「A」、「B」、「C」、…に対応したタイムスロットT12、T13、T14、・・・、T18が設定されることになる。なお、タイムスロットの時間は、必ずしも均等である必要はない。
【0067】
各モデム10は、リクエスト信号RSの位相ベクトルに関する情報を、所定のメモリに格納しているので、同期信号SSの場合と同様に、各モデム10は、位相ベクトルに関する情報をメモリから読み出し、位相回転器402及び制御部405で、位相復元処理を実行して、リクエスト信号RSを検出する。リクエスト信号RSは、既に述べたように、位相回転器408により、同期信号SSと位相ベクトルとが異なるように設定される。従って、各モデム10は、位相ベクトルの相違から、リクエスト信号RSを、同期信号SSと識別することが出来る。
【0068】
仮に、同期信号SSとリクエスト信号RSとに同じ位相ベクトルを用いた場合、ウェーブレット変換器401が出力する信号を用いて、例えば、周波数領域においてキャリア間相関と相関値の分布を使ってキャリア検出を行う場合は、どちらの信号も受信できてしまい、同期信号SSとリクエスト信号RSのどちらの信号が送られてきたのか分からなくなる。しかし、本発明では、制御部405が、同期信号SSに使用されている位相ベクトルを使ってキャリア検出を行うと共に、リクエス信号RSに使用されている位相ベクトルを使ってキャリア検出を行う。その結果、各々の信号の位相ベクトルを異ならせることにより、十分な受信信号レベルであっても、周波数領域で、複数の信号について同時にキャリア検出が出来なくなる。従って、同期信号SSとリクエスト信号RSの識別が可能となり、各モデム10は、制御信号が意味する内容を認識することが出来る。
【0069】
また、各モデム10は、タイムスロットと通信方式との対応関係に関する情報が所定のモデム(図示せず)に格納されている。従って、その対応関係に基づいて、1つの制御期間Tc中において、どのタイムスロットにリクエスト信号RSが出力されたかを検出することが出来るので、データ通信を行うことを宣言したモデムの通信方式数(つまり通信方式の種類の数)を知ることが可能である。
【0070】
このように、各リクエスト信号RSが、対応するタイムスロットT12、T13、・・・、T18に出力されるので、リクエスト信号RS同士の衝突を防止することが出来る。これにより、各モデム10は、他のモデム10が出力するリクエスト信号RSを確実に検出することが出来る。なお、リクエスト信号RSを出力する順番は、タイムスロットと通信方式との対応関係が予め決められていれば、特にA→B→C→…の順に限られず、適宜変更が可能である。また、タイムスロットT12、T13、・・・、T18は、特に等間隔である必要はない。
【0071】
なお、制御期間Tcにおける各タイムスロットに制御信号が出力された場合の意味付けについてはどのようにしてもよい。例えば、制御期間Tcの特定のタイムスロット(例えば、タイムスロットT18)を、周波数分割を行って共存を行うための特別なタイムスロットとして使用することも可能である。
【0072】
次に、実施の形態1におけるモデム10の具体的な動作例について、図1、図3、図7(a)、図9、及び図10を用いて説明する。図10は、モデム10間の制御信号のやりとりを示すタイミングチャートである。ここでは、通信方式「B」のモデム10B1が同期信号を出力するものとする。また、発明の理解を容易にするため、モデム10A1、10B1、10C1のみによる制御信号のやりとりについて説明する。
【0073】
図7(a)、図9、及び図10に示すように、時点t1で、モデム10B1は、同期信号SSを電力線2に出力する。全てのモデム10のPLC・PHYブロック42Bは、制御期間Tcの全タイムスロットT12、T13、…、T18の状態を監視しているので、他のモデム10A1、10C1は、モデム10B1が出力した同期信号SSを検出する。この際、ドアフォン109(図1参照)で撮像された映像信号が、LANケーブル9を介してモデム10A1に送信されたとする。モデム10A1は、受信した映像信号を、例えば、モデム10A2を介して、ディスプレイ付き電話機103(図1参照)に出力するため、モデム10A1は、時点t2で、リクエスト信号RSを電力線2に出力する。他のモデム10B1、10C1は、モデム10A1が出力したリクエスト信号RSを検出する。
【0074】
時点t3からt9まで、通信方式「B」のモデム10B1、10B2や通信方式「C」のモデム10C1、10C2、10C3は、データ通信を行わないので、図7(a)及び図9に示すように、リクエスト信号RSを出力しない。モデム10A1は、タイムスロットT12、T13、…、T18で、リクエスト信号RSを監視しているので、リクエスト信号RSを検出しないことから、次の制御期間Tc(T2)全てを用いて、データ通信を行う。
【0075】
時点t9で、モデム10B1が同期信号SSを電力線2に出力すると、モデム10A1のメインIC22(図3参照)は、通信要求信号をサブIC42(図3参照)に出力する。これを受けてサブIC42は、ドライバIC26に所定信号を送信し、送信信号及び受信信号の通過をオンにする。この状態でモデム10A1は、図10に示すように、ドアフォン109から受信した映像信号のデータ信号DSを、モデム10A2に送信する。
【0076】
モデム10A2はデータ信号DSを受信すると、ACK(肯定応答)をモデム10A1に返し、モデム10A1がACKを受信すると、次のデータ信号DSを送信する。モデム10A2は、受信したデータ信号DSを、LANケーブル9を介して電話機103に送信する。その結果、ドアフォン109で撮像された映像が、電話機103のディスプレイに表示される。データ通信は、既に述べたように、データ信号帯域BW2で行われるので、宅内系の通信方式「A」のデータ通信は、図7(a)に示すように、制御期間Tc(T2)中の3〜30MHzの周波数帯域で行われる。
【0077】
また、時点t9では、モデム10B1も同期信号SSを検出する。この際、ユーザが、サーバ105(図1参照)に記憶された動画データを再生するようにテレビ102(図1参照)を操作したとする。するとテレビ102は、モデム10B1に動画データの要求信号を、LANケーブル9を介して送信する。これを受けてモデム10B1は、図7(a)に示すように、時点t10で、リクエスト信号RSを電力線2に出力する。時点t9ないし時点11の制御期間Tc(T1)では、他のモデム10はリクエスト信号RSが出力しない。その結果、モデム10B1は、他のモデム10からのリクエスト信号RSを検出しないので、次の制御期間Tc(T3)全てを用いて、データ通信を行う。時点t11で、モデム10B1は、同期信号SSを出力すると、次に、モデム10B2に動画データの要求信号を、モデム10B2を介してサーバ105に送信する。要求信号を受けたサーバ105は映像信号のデータ信号DSを、モデム10B1に送信し、サーバ105に記憶された動画が、テレビ102に表示される。即ち、宅内系の通信方式「B」のデータ通信は、図7(a)に示すように、制御期間Tc(T3)において、通信方式「A」と同様、3〜30MHzの周波数帯域で行われる。
【0078】
また、PC101(図1参照)が、ISP(図示せず)に例えば、HTML(Hyper Text Markup Language)データを要求したとする。モデム10C1は、PC101から要求信号を受けて、時点t11で出力された同期信号SSを検出すると、時点t14で、リクエスト信号RSを電力線2に出力する。他のモデム10はリクエスト信号RSが出力しないので、モデム10C1は、次の制御期間Tc(T4)全てを用いて、データ通信を行う。モデム10C1は、要求信号をモデム10C3に送信すると、モデム10C3は光ケーブル8(図1参照)を介してISPのWeb(World Wide Web)サーバ(図示せず)にHTMLデータを要求する。モデム10C3は、HTMLデータを受信すると、HTMLデータを、モデム10C1を介してPC101に送信し、PC101にHTMLデータが表示される。即ち、アクセス系の通信方式「C」のデータ通信は、図7(a)に示すように、制御期間Tc(T4)において、通信方式「A」、「B」と同様、3〜30MHzの周波数帯域で行われる。
【0079】
時点t20で、モデム10B1が同期信号SSを出力するが、制御期間Tc(T4)では、どのモデム10もリクエスト信号RSを出力しないので、時点t30からの制御期間Tcでデータ通信が行われない。以下同様に、モデム10B1が制御期間Tc毎に同期信号SSを出力し、いずれかのモデム10がリクエスト信号RSを出力すると、次の制御期間Tcを用いてデータ通信を行う。
【0080】
以上のように、実施の形態1に係る本発明では、同期信号SSとリクエスト信号RSとの位相ベクトルが異なるので、各モデム10は、比較的負担の大きい復調処理などを行うことなく、同期信号SSを基準として、他のモデム10が出力するリクエスト信号RSを容易に検出することが出来る。その結果、複数種類のモデム10が共通の電力線2に接続されていても、異なる通信方式のモデム10を容易に共存させることが出来る。特に、電力線通信では、時間軸上に相関のあるノイズが多数存在するが、このような場合であっても、各通信装置は、信号同士の衝突を回避して、データ通信を行うことが出来る。
【0081】
なお、上述した実施の形態1では、タイムスロットの数が、図9に示すように8つの場合について説明したが、特に8つである必要はなく、2つ以上で任意である。また、予め、各タイムスロットが通信方式に対応している場合について説明したが、対応関係を予め決めておかなくてもよい。例えば、モデムを新たにネットワークに参入させる場合では、リクエスト信号RSの出力状態を監視し、空いているタイムスロットを検出した場合に(例えば、一定期間、リクエスト信号RSの出力のないタイムスロットを検出した場合に)、そのタイムスロットを使用すればよい。
【0082】
なお、上述した実施の形態1では、1つの通信方式で1つの制御期間Tcを用いてデータ通信を行う例を示したが、複数の通信方式で1つの制御期間Tcを用いてデータ通信を行うことも可能である。
【0083】
例えば、複数の通信方式で1つの制御期間Tcを用いたデータ通信において、時間分割を適用した場合について、図7(b)に沿って説明する。図7(b)では、時点t1ないしt11の動作が、図7(a)と同様なので、その説明は省略する。時点t12で、モデム10A1がリクエスト信号RSを出力し、時点t13で、モデム10B1がリクエスト信号RSを出力する。各モデム10は、1つの制御期間Tcで検出されたリクエスト信号RSから、データ通信を行うモデム10の通信方式数を検出する。具体的に説明すると、モデム10A1、10B1は、通信方式「A」に対応するタイムスロットT12(図9参照)で、リクエスト信号RSを検出し、通信方式「B」に対応するタイムスロットT13で、リクエスト信号RSを検出する。一方、他のタイムスロットT14、T15、…、T18では、リクエスト信号RSを検出しない。その結果、モデム10A1、10B1は、通信方式数が、通信方式「A」、「B」の2種類であることを検出する。
【0084】
各モデム10のPLC・PHY22Bは通信方式数に応じて、制御期間Tcにおいて、データ通信を行う時間領域を設定する。ここでは、分割する時間領域の順番が、通信方式「A」→「B」の順に設定されているとする。従って、モデム10A1のPLC・PHY22Bは、時点t20ないしt21でデータ通信を行うように、時間領域を設定する。一方、モデム10B1のPLC・PHY22Bは、時点t21ないしt30でデータ通信を行うように、時間領域を設定する。その結果、制御期間Tc(T4)では、通信方式「A」のデータ通信と、通信方式「B」のデータ通信とが、図7(b)のように時間分割されて行われることになる。
【0085】
次に、複数の通信方式で1つの制御期間Tcを用いたデータ通信において、周波数分割を適用した場合について、図7(c)に沿って説明する。図7(c)では、時点t1ないしt11の動作が、図7(a)と同様なので、その説明は省略する。時点t13で、モデム10B1がリクエスト信号RSを出力し、時点t14で、モデム10C1がリクエスト信号RSを出力する。一方、制御期間Tc(T4)では、他のモデム10は、リクエスト信号RSを出力しない。その結果、モデム10B1、10C1は、通信方式数が、通信方式「B」、「C」の2種類であることを検出する。
【0086】
各モデム10のPLC・PHY22Bは通信方式数に応じて、制御期間Tcにおいて、データ通信を行う周波数領域を設定する。ここでは、分割する時間領域が、宅内系が、データ通信領域BW2中の高帯域、アクセス系が、データ通信領域BW2中の低帯域に設定されているとする。従って、モデム10B1のPLC・PHY22Bは、バンドパスフィルタ25、29を介して、データ通信領域BW2中の高帯域でデータ通信を行うように、周波数領域を設定する。一方、モデム10C1のPLC・PHY22Bは、バンドパスフィルタ25、29を介して、データ通信領域BW2中の低帯域でデータ通信を行うように、周波数領域を設定する。その結果、制御期間Tc(T4)では、通信方式「B」のデータ通信と、通信方式「C」のデータ通信とが、図7(c)のように周波数分割されて行われることになる。アクセス系のように伝送路の距離が長い場合には、高帯域成分は減衰量が比較的大きいので、アクセス系を低帯域に割り当てることで、全体の周波数の利用効率を向上させることが出来る。
【0087】
このように、通信方式数に応じて、データ通信を行う時間領域及び周波数領域の少なくとも一方が設定され、設定された領域を用いて、データ通信が行われるので、複数の通信方式が存在するネットワークであっても、各モデム10は、データ信号同士の衝突を回避して、データ通信を行うことが出来る。
【0088】
(実施の形態2)
実施の形態2について、図1、図2、図11〜図14を参照しながら以下に説明する。
【0089】
実施の形態2に係る通信システム100は、実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。実施の形態2に係る通信装置は、図2に示すように、実施の形態1と同じモデム10であるので、その説明を省略する。
【0090】
図11は、実施の形態2のモデム10を構成するハードウェアの一例を示すブロック図である。モデム10は、図11に示すように、図3で説明したサブIC42は削除されている。また、モデム10は、図11に示すように、図3で説明した、AFE・IC43、バンドパスフィルタ45、49、及びドライバIC46(以下これらの回路を「AFE回路」と称す)が削除されている。即ち、モデム10は、サブIC42及びAFE回路が削除されている以外、他の要素は同一なので、その説明は省略する。また、図11のメインIC22は、図3のサブIC42の機能が兼用されており、従って、メインIC22のPLC・PHYブロック22Bには、図4で説明した各要素が設けられているので、その説明は省略する。
【0091】
次に、実施の形態2におけるモデム10の具体的な動作例について、図11及び図12を用いて説明する。図12(a)周波数分割を適用したタイムチャート、(b)周波数分割及び時間分割を適用したタイムチャートである。
【0092】
まず、図12(a)の動作例について説明する。ここでは、実施の形態1と異なり、制御信号を伝送する周波数帯域と、データ通信を行う周波数帯域とが一致しており、いずれも兼用周波数帯域BW3が設定されている。電力線通信の使用周波数帯域が、例えば2〜30MHzとすると、兼用周波数帯域BW3を2〜30MHzとする。なお、兼用周波数帯域BW3を使用周波数帯域より狭帯域に設定することも可能である。
【0093】
時点t41で、モデム10B1のPLC・PHYブロック22Bは、バンドパスフィルタ25を用いて、兼用周波数帯域BW3に設定された同期信号SSを、電力線2に出力する。時点t42で、モデム10A1のPLC・PHYブロック22Bは、同期信号SSと同様に、バンドパスフィルタ25を用いて、兼用周波数帯域BW3に設定されたリクエスト信号RSを出力する。時点t43で、モデム10B1のPLC・PHYブロック22Bは、モデム10A1と同様に、兼用周波数帯域BW3に設定されたリクエスト信号RSを出力する。
【0094】
実施の形態2では、実施の形態1と同様に、隣り合う2つの同期信号SSに挟まれる期間を、1サイクルと設定されているが、図12に示すように、1サイクルは、制御期間Tc(T21)と、それに続くデータ期間Tdとに分割されている。即ち、制御信号とデータ信号とが、実施の形態1と異なり、時間分割されている。更に、図12(a)の例では、データ期間Tdが、複数のデータ期間T22、T23、T24、…に時間分割が設定されている。
【0095】
即ち、最初のデータ期間T22では、時点t49ないしt50で、モデム10A1が兼用周波数帯域BW3でデータ通信を行い、時点t50ないしt51で、モデム10B1が兼用周波数帯域BW3でデータ通信を行う。2つ目のデータ期間T23では、時点t51ないしt52で、モデム10A1がデータ通信を行い、時点t52ないしt53で、モデム10B1がデータ通信を行う。3つ目のデータ期間T24では、時点t53ないしt54で、モデム10A1がデータ通信を行い、時点t54ないしt55で、モデム10B1がデータ通信を行う。
【0096】
以上のように、実施の形態2に係る本発明では、制御信号を伝送する周波数帯域と、データ通信を行う周波数帯域とが一致しているので、実施の形態1の図3で説明した、サブIC42及びAFE回路が不要とすることが出来る。その結果、複数種類のモデム10を共通の電力線2で共存させるために、大きな回路変更を行わないようにすることが出来る。
【0097】
なお、上述した実施の形態2では、時間分割について説明したが、これに限られず、周波数分割を適用することも可能である。あるいは、時間分割と周波数分割とを組合わせることも可能である。時間分割と周波数分割とを組合わせた場合について、図12(b)に沿って以下に説明する。
【0098】
例えば、各モデム10が、制御期間Tc中で、宅内系のみのリクエスト信号RSを検出する場合、図12(a)と同様に、通信方式間で時間分割を用いてデータ通信を行う。次に、図12(b)に示すように、各モデム10が、通信方式「A」、「B」、「C」、即ち、宅内系と共にアクセス系のリクエスト信号RSを検出した場合は、宅内系の通信方式「A」、「B」では時間分割を用いて、データ通信を行い、アクセス系の通信方式「C」では時間分割を用いて、データ通信を行う。この場合、宅内系のモデム10A1、10B1は、制御信号に使用する使用周波数帯域2〜30MHzを、例えば、3〜30MHzに縮体して、3〜30MHzでデータ通信を行う。一方、アクセス系のモデム10C1は、空いた周波数帯域2〜3MHzでデータ通信を行う。この場合、制御信号とデータ信号DSの周波数帯域が異なるので、各モデム10は、図3に示すハードウェア構成を有する必要がある。
【0099】
なお、図12(b)は、時間分割と周波数分割とを組合わせた一例であって、これに限られない。例えば、アクセス系の通信方式が複数存在する場合、アクセス系同士で時間分割を用いてデータ通信を行ってもよい。また、宅内系とアクセス系との多元接続方式として、時間分割を用いると共に、宅内系内及びアクセス系内それぞれでは周波数分割を用いることも可能である。更に、通信方式が時間分割するか周波数分割するかを、どのタイムロットを使用するかで判断しても良い。
【0100】
なお、上述した実施の形態2では、制御信号が全て同じ周波数帯域である場合について説明したが、制御信号の周波数帯域を異なるようにすることも可能である。図13は、リクエスト信号が異なる場合における、複数のモデム10の動作例を示すタイムチャートである。この場合、宅内系の制御信号は周波数帯域2〜30MHzを用い、アクセス系の制御信号は周波数帯域2〜3MHzを用いる。宅内系のデータ通信は、制御信号の伝送と異なる、周波数帯域3〜30MHzを用いるが、アクセス系のデータ通信は、制御信号の伝送と同じ、周波数帯域2〜3MHzを用いる。こうすることで(例えば、回路規模を減少させる目的で)、狭い周波数帯域しか使用しない通信方式では、その回路規模を増大させないようにすることもが出来る。
【0101】
なお、上述した、実施の形態1及び実施の形態2では、全通信方式が同期信号SSに同期する場合について説明したが、一部の通信方式を同期させないようにすることも可能である。図14は、一部の通信方式を同期信号に同期させない場合における、複数のモデム10の動作例を示すタイムチャートである。
【0102】
図14の例では、同期信号SSに同期しないで、リクエスト信号RSを非同期で送受信する必要がある。その他の通信方式では、非同期で送受信される通信方式「C」のリクエスト信号RSをキャリア検出する必要がある。検出された場合は、通信方式「C」と衝突しないように、同期信号SS及びリクエスト信号RSの使用帯域を縮退させる必要がある。なお、同期信号SSに同期する通信方式は、タイムスロットでどの通信方式がどのような形態で電力線2を使用するか互いに認識することが出来る。
【0103】
また、非同期で動作する通信方式を、非同期なリクエスト信号を受信することで認識することが出来るが、図8(b)のような伝送路状態を考慮すると、場合によっては受信状態である、ある通信方式にとって広帯域なリクエスト信号RSが伝送路特性の影響を受けて低域に集中して低域のみのリクエスト信号RSのように見えているのか、元々、低域のみのリクエスト信号RSなのか分からない場合が考えられる。このようなことが起きないように、同期型の共存を行うためのリクエスト信号RSの位相ベクトルと、非同期型の共存を行うリクエスト信号RSの位相ベクトルとを、異なるようにすることで、広帯域なリクエスト信号RSなのか、元々、狭帯域なリクエスト信号RSなのかを識別することが可能となる。なお、依然として非同期型の通信方式からは、同期信号SSに同期している通信方式を認識することが出来ないが、非同期型の通信方式は、周波数分割を使用した共存方法を採用することにより、同期している通信方式を認識できなくても、共存をすることは可能である。
【0104】
なお、電力線2の伝送路の影響により、広帯域なリクエスト信号RSと、狭帯域なリクエスト信号RSとの識別が出来ない場合でも、異なる位相ベクトルを採用することにより識別することが出来ることを示したが、同期型と非同期型に着目して、リクエスト信号RSが同期したタイミングで検出されているか否かを判断して識別しても良い。
【0105】
なお、上述した、実施の形態1及び実施の形態2では、同期信号SSは所定期間を繰り返し出力するものであれば、同期信号SSをどのように生成してもよい。例えば、電力線2の商用交流電圧(あるいは電流)を用いて、同期信号SSを生成していもよい。この場合、商用交流電圧の例えばゼロクロスを検出し、検出したゼロクロスの時点を基準として、同期信号SS(例えば矩形波からなるパルス波形)を生成する。商用交流電圧が、例えば100V、60Hzの場合、60Hzを基準とした同期信号SSが生成されることになる。この場合、図3または図11に示すモデム10には、電力線2に(直接的にあるいは間接的に)接続され、コンパレータなどで構成されたゼロクロス回路を設ければよい。
【0106】
なお、上述した、実施の形態1及び実施の形態2では、通信方式「B」のモデム10B1が同期信号SSを出力する場合について説明したが、1つあるいは複数のモデム10が同期信号SSを出力するのであれば、他の通信方式「A」、「C」のモデム10が同期信号SSを出力するようにしてもよい。同期信号SSを出力するモデム10の設定は固定・可変、更に可変設定の場合は、手動、自動いずれでもよい。
【0107】
例えば、固定設定の場合、特定の通信方式のモデム10が同期信号SSを出力するようにデフォルト設定させてよい。また、手動の可変設定の場合は、モデム10に、ユーザが同期信号SSの出力可否を操作自在なインターフェース(例えばスイッチ)を設けてもよい。一方、自動の可変設定の場合、モデム10は、少なくとも1つの制御期間Tcの間で同期信号SS(あるいはリクエスト信号)のサーチ(Listen)する。同期信号SSを検出した場合、自分のモデム10は同期信号SSの出力処理を実行させない。一方、同期信号SSを検出しない場合、同期信号SSの出力処理を実行する。こうすることで、電力線2で既に電力線通信が行っているモデム10の同期信号が優先され、そのモデム10が電力線2からはずされた場合でも、他のいずれかのモデム10が同期信号SSを自動的に出力する。
【0108】
なお、上述した、実施の形態1及び実施の形態2では、同期信号SSとリクエスト信号RSとの位相ベクトルが異なるが、リクエスト信号RSの位相ベクトルは全て同じとした場合について説明したが、各通信方式毎にリクエスト信号RSの位相ベクトルが異なるようにしてもよい。例えば、送信終了の合図を制御信号(終了信号)として送信したい場合に、その終了信号に対して新たな異なる位相ベクトルを使用すればよい、こうすることで、より柔軟なモデム10の共存環境を構築することが出来る。即ち、各モデム10は、リクエスト信号RSをランダムに(つまりタイムスロットに関係なく)出力しても、互いを識別出来るので、リクエスト信号RSを出力するのに要する時間を(つまり制御期間Tcより)短縮することが出来、リクエスト信号RSに関する通信効率を向上させることが出来る。
【0109】
(実施の形態3)
実施の形態3について、図15ないし図17を参照しながら以下に説明する。
【0110】
実施の形態3に係る通信システム100は、実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。実施の形態3に係る通信装置は、図2に示すように、実施の形態1と同じモデム10であるので、その説明を省略する。
【0111】
図15は、実施の形態3のモデム10を構成するハードウェアの一例を示すブロック図である。図15に示す回路構成では、図3で説明したモデム10にゼロクロス回路63が設けられている。図15に示す回路構成は、ゼロクロス回路63、及びサブIC42内のPLC・PHYブロック42D(後述)以外は、図3の回路構成と同一なので、共通の要素は同一な符号を付して、その説明を省略する。
【0112】
ゼロクロス回路63は、ブリッジ接続ダイオード63a、抵抗63b、63c、直流電源63e、及びコンパレータ63dで構成される。ブリッジ接続ダイオード63aは、抵抗63bに接続され、接続された抵抗63bと他の抵抗63cが直列接続される。これら2つの抵抗63b、63cは、コンパレータ63dが有する一方の入力端子に対して並列接続される。コンパレータ63dが有する他方の入力端子には、直流電源63eのプラス側が接続される。コンパレータ63dが有する出力端子には、サブIC42のPLC・MACブロック42Cが接続される。
【0113】
図16は、サブIC42内のPLC・PHYブロック42Dの機能ブロック図である。PLC・PHYブロック42Dは、時間−周波数変換としてFFT(Fast Fourier Transform)変換を行う。即ち、PLC・PHYブロック42Dは、図4で説明したウェーブレット変換器401及び逆ウェーブレット変換器410の代わりに、FFT変換器411と、IFFT(Inverse Fourier Transform)変換器420とを有している。図16に示す機能ブロックは、図4と共通の要素は同一な符号を付して、その説明を省略する。なお、時間−周波数変換は、必ずしもFFT変換である必要はなく、実施の形態1または2で説明したウェーブレット変換を用いてもよい。
【0114】
次に、実施の形態3におけるモデム10の具体的な動作例について、図15ないし図17を用いて説明する。図17は、実施の形態3における、複数のモデム10の動作例を示すタイムチャートである。図17の動作は、商用交流電圧ACに基づいて同期を取る点と、リクエスト信号RSが互いに位相ベクトルが異なる点とのみが、図14の動作と異なる。図17では、図14と共通する動作には同一の符号を付し、図14と同一の動作はその説明を省略する。なお、図17に示す商用交流電圧ACは、発明の理解を容易にするために、縦軸として「電圧」を示している。以下の説明において、タイムチャートで商用交流電圧ACを示す場合は、図17と同様に商用交流電圧ACを示す。また、図17では、商用交流電圧ACの周波数として60Hzを示したが、特に60Hzである必要はなく、たとえば50Hzであってもよい。
【0115】
ここでは、各モデム10A1、10A2、10B1、10B2、・・・は、リクエスト信号RSに使用する周波数帯域に応じて異なる位相ベクトルが設定されている。通信方式「A」、「B」では、周波数帯域2−10MHzのフル帯域(2−30MHz)を使用するものとする。通信方式「C」では、周波数帯域(2−30MHz)内のうち2−16MHzを使用するものとする。なお、リクエスト信号RSに使用する周波数帯域は任意である。
【0116】
また、各モデム10は、ゼロクロス回路63で商用交流電圧ACのゼロクロス(電圧が0VACである)を基準にリクエスト信号RSの送信及びデータ通信を行うように設定されている。ここでは、商用交流電圧ACのゼロクロスから2ACサイクルを1周期とされ、ゼロクロスから通信方式「A」、通信方式「B」、通信方式「C」、・・・の順に、リクエスト信号RSを出力するタイムスロットが設定されている。
【0117】
時点t42で、モデム10A1のゼロクロス回路63は、商用交流電圧ACのゼロクロスZCを検出する。ゼロクロスZCを検出すると、モデム10A1のPLC・PHYブロック42Dの制御部405は、メモリ33から位相ベクトルに関する情報を読み出す。位相ベクトルに関する情報は、位相ベクトルPV1を示しており、具体的には、各サブキャリアに対する0及びπの2値からなる回転量の係数、あるいは、これら係数と巡回シフトさせるための位相シフト値などである。PLC・PHYブロック42Dの位相回転器408は、位相ベクトルに関する情報に基づいて、マルチキャリア信号を構成する各サブキャリアの位相を、位相ベクトルPV1で回転させる。PLC・PHYブロック42DのIFFT変換器420は、位相が回転されたマルチキャリア信号についてIFFT変換を行い、リクエスト信号RSを生成する。IFFT変換器420は、生成したリクエスト信号RSを、AFE・IC43、バンドパスフィルタ45、ドライバIC46、カプラ27、電源コネクタ12、プラグ3を介して、電力線2に出力する。
【0118】
モデム10B1は、時点t42でモデム10A1と同様に、ゼロクロス回路63でゼロクロスZCを検出する。ゼロクロスZCを検出すると、モデム10B1のPLC・PHYブロック42Dの制御部405は、メモリ33から位相ベクトルに関する情報を読み出す。通信方式「A」と通信方式「B」とはリクエスト信号RSに使用する周波数帯域が同一なので、読み出した位相ベクトルに関する情報は、モデム10A1が読み出した位相ベクトルと同じ、位相ベクトルPV1を示している。PLC・PHYブロック42Dの位相回転器408は、読み出した位相ベクトルに関する情報に基づいて、モデム10A1と同様に、マルチキャリア信号を構成する各サブキャリアの位相を位相ベクトルPV1で回転させる。PLC・PHYブロック42DのIFFT変換器420は、位相が回転されたマルチキャリア信号についてIFFT変換を行い、リクエスト信号RSを生成する。時点t43で、IFFT変換器420は、生成したリクエスト信号RSを、検出したゼロクロスに基づき通信方式「B」に設定されているタイムスロットにおいて、電力線2に出力する。
【0119】
モデム10C1は、時点t42でモデム10A1と同様に、ゼロクロス回路63でゼロクロスZCを検出する。ゼロクロスをZC検出すると、モデム10C1のPLC・PHYブロック42Dの制御部405は、通信方式「C」はリクエスト信号RSに使用する周波数帯域が通信方式「A」、「B」と異なるので、位相ベクトルPV1と異なる位相ベクトルPV2を示す位相ベクトルに関する情報をメモリ33から読み出す。PLC・PHYブロック42Dの位相回転器408は、読み出した位相ベクトルに関する情報に基づいて、モデム10A1、10B1と異なり、マルチキャリア信号を構成する各サブキャリアの位相を位相ベクトルPV2で回転させる。PLC・PHYブロック42DのIFFT変換器420は、位相が回転されたマルチキャリア信号についてIFFT変換を行い、リクエスト信号RSを生成する。時点t44で、IFFT変換器420は、生成したリクエスト信号RSを、検出したゼロクロスに基づき通信方式「C」に設定されているタイムスロットにおいて、電力線2に出力する。
【0120】
次いで、モデム10のリクエスト信号RSの検出処理について、図16及び図18に沿って説明する。図18は、リクエスト信号RSの検出処理を示すフローチャートである。モデム10のPLC・PHYブロック42DのFFT変換器411は、受信信号をFFT変換する(ステップS11)。PLC・PHYブロック42Dの制御部405は、位相ベクトルPV1に関する情報をメモリ33から読み出す。PLC・PHYブロック42Dの位相回転器402は、位相ベクトルPV1に関する情報を参照し、位相ベクトルPV1をFFT変換された受信信号に乗算して、各サブキャリアの位相を回転させる(ステップS12)。
【0121】
PLC・PHYブロック42Dの制御部405は、位相が回転されたサブキャリアの象限判定を行う(ステップS13)。以下、具体的に説明する。サブキャリア数を例えば512本とする。また、送信側及び送信側の位相ベクトルを、サブキャリア番号1、2、3、4、・・・、512に対してそれぞれ、例えば(π、0、π、π、・・・、0)の回転量を示す複数の係数であるとする。
【0122】
リクエスト信号RSには、プリアンブルなどの既知情報として、サブキャリア番号1、2、3、4、・・・、512に対応して既知の送信データが含まれている。既知の送信データは、任意であるが、ここでは全てが「1」とする。なお、この「1」は複素座標面上の(1、0)を意味する。従って、既知情報は、サブキャリア番号1、2、3、4、・・・、512に対応して1、1、1、1、・・・、1で構成される。送信側の位相回転器408は、既知情報1、1、1、1、・・・、1を、位相ベクトル(π、0、π、π、・・・、0)で乗算し、−1、1、−1、−1、・・・、1それぞれを送信データとする、リクエスト信号RSを電力線2に出力する。
【0123】
受信側の位相回転器402は、送信されてきたリクエスト信号RSの各サブキャリアに載せられた送信データ−1、1、−1、−1、・・・、1それぞれに、係数(π、0、π、π、・・・、0)を乗算する。その結果、送信データ1、1、1、1、・・・、1で構成された既知情報が復元される。制御部405は、位相が回転されたサブキャリアが示す送信データが、プリアンブルなどの既知情報か否かを判定する。ここでは、制御部405は、送信データを積算し、所定の閾値Th1と比較する。例えば、閾値Th1が「258」とすると、送信データに誤りがないと仮定した場合に、積算値SUMは「512(=1+1+1+1+・・・+1)」となるので、制御部405は、積算値SUMは閾値Th1を越えたと判定する(ステップS13のYes)。 こうして制御部405は、積算値SUMが閾値Th1を越えたと判定すると、位相ベクトルPV1でキャリアが検出されたと判定し(ステップS14)、処理を終了する。すなわち、受信信号は位相ベクトルがPV1であるマルチキャリア信号である。一方、積算値SUMが閾値Th1を越えない場合、制御部405は、積算値SUMが閾値Th1を越えていないと判定する(ステップS13のNo)。
【0124】
積算値SUMが閾値Th1を越えていないと判定すると、制御部405は、位相ベクトルPV2に関する情報をメモリ33から読み出す。PLC・PHYブロック42Dの位相回転器402は、位相ベクトルPV2をFFT変換された受信信号に乗算して、各サブキャリアの位相を回転させる(ステップS15)。PLC・PHYブロック42Dの制御部405は、ステップ13と同様に、位相が回転されたサブキャリアの象限判定を行う(ステップS16)。制御部405は、積算値SUMが閾値Th2を越えたと判定すると(ステップS16のYes)、位相ベクトルPV2でキャリアが検出されたと判定し(ステップS18)、処理を終了する。すなわち、受信信号は位相ベクトルがPV2であるマルチキャリア信号である。
【0125】
一方、制御部405は、積算値SUMが閾値Th2を越えていないと判定すると(ステップS16のNo)、受信信号は位相ベクトルがPV1、PV2いずれでもない信号(位相ベクトルがPV1、PV2以外のマルチキャリア信号あるいはノイズ)と判断し(ステップS17)、位相ベクトルPV1、PV2でキャリアが検出されないと判定し(ステップS18)、処理を終了する。なお、図18に示す、ステップS12、S13と、ステップS15、S16とを入れ替えることも可能である。また、位相ベクトルはPV1、PV2の2種類に限らず、3種類以上にすることも可能である。
【0126】
ここで、例えば、電力線の伝送路状態が劣化し、例えば16−30MHzの利得が低下したとする。この場合、モデム10A1、10B1が出力したリクエスト信号RSにおいて、16MHz以上のサブキャリアのS/Nが劣化するので、モデム10A1、10B1が出力したリクエスト信号RSと、モデム10C1が出力したリクエスト信号RSとを識別することが困難となる。しかしながら、モデム10A1、10B1と、モデム10C1とでは、位相ベクトルが異なるように設定されているので、各モデム10が、上述したリクエスト信号RSの検出処理を行うことで、リクエスト信号RSを良好に識別することが出来る。
【0127】
以上のように、実施の形態3に係る本発明では、リクエスト信号RSにおいて使用する周波数帯域に応じて異なる位相ベクトルを用いるので、たとえ電力線の伝送路状態が劣化しても、劣化した電力線の伝送路状態に関係なく、識別することが出来る。
【0128】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る通信システム100は、実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。実施の形態4に係る通信装置は、図2に示すように、実施の形態1と同じモデム10であるので、その説明を省略する。実施の形態4に係るモデム10の回路構成は、図15及び図16に示した回路構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0129】
次に、実施の形態4におけるモデム10の具体的な動作例について、図19及び図20を参照しながら以下に説明する。図19は、実施の形態4におけるリクエスト信号に対応したタイムスロットを示す図、図20は、実施の形態4における、リクエスト信号RSの検出処理を示すフローチャートである。図19は、図17の制御期間Tcの期間を拡大したものである。実施の形態4では、実施の形態3と異なり、タイムスロットT11、T12、…、T17毎に位相ベクトルを異なるように設定している。なお、位相ベクトルを、タイムスロット毎に異なるように設定するとともに、使用する周波数帯域に応じて異なるように設定することも可能である。なお、タイムスロット数は2以上で任意である。
【0130】
以下詳細に説明する。ここで、モデム10A1、10B1が接続されているコンセント5に、それぞれ電気機器(図示せず)が接続されているとする。また、電気機器の影響(例えばインピーダンス変動)により、モデム10A1、10B1のコンセント5での商用交流電圧AC2が、他のモデム10C1、・・・が接続されているコンセント5の商用交流電圧AC1に時間的にずれが生じたものとする。図19(a)は、他のモデム10C1、・・・が接続されているコンセントの商用交流電圧AC1の波形、図19(b)は、モデム10A1、10B1が接続されているコンセントの商用交流電圧AC2の波形を示している。商用交流電圧AC2は、図19(a)、(b)に示すように、商用交流電圧AC1に比べて時間TDだけ遅れている。
【0131】
この場合に、モデム10A1では、リクエスト信号RSaを出力する際に、ゼロクロス回路63が、商用交流電圧AC2のゼロクロスZCを検出する。商用交流電圧AC2は、商用交流電圧AC1に比べて時間TDだけ遅れているので、時点t42から時間TDだけ遅れた時点t421で、リクエスト信号RSaを出力する。
【0132】
モデム10B1では、リクエスト信号RSbを出力する際に、時点t421で、ゼロクロス回路63が、モデム10A1と同様に、商用交流電圧AC2のゼロクロスZCを検出する。ゼロクロスZCを検出すると、モデム10B1は、時点t43ら時間TDだけ遅れた時点t431で、リクエスト信号RSbを出力する。
【0133】
この際、モデム10C1は、図20に示すリクエスト信号RSの検出処理を実行しており、上記リクエスト信号RSa、RSbを検出する。ここで、タイムスロットT12におけるキャリア検出処理について、図20を用いて説明する。
【0134】
モデム10C1のPLC・PHYブロック42DのFFT変換器411は、受信信号をFFT変換する(ステップS21)。次に、PLC・PHYブロック42Dは、タイムスロットT12に対応するスロット情報として、位相ベクトルに関する情報をメモリ33から読み出す。メモリ33には、タイムスロットT11、T12、T13、・・・に対応して、それぞれ異なる位相ベクトルに関する情報が格納されている。ここでは、位相ベクトルが、通信方式「A」にPV1、通信方式「B」にPV2が設定されており、メモリ33には、タイムスロットT11、T12にそれぞれ対応して、位相ベクトルPV1、PV2に関する情報が格納されているものとする。
【0135】
PLC・PHYブロック42Dは、ゼロクロス回路63で現在のスロット情報を出力する(ステップS22)。具体的に説明すると、モデム10C1は、ゼロクロス回路63で、商用交流電圧AC1により、ゼロクロスZCが時点t42であると認識している。各モデム10は、カウンタ(不図示)を有するとともに、タイムスロットの時間幅を示すデータを予め記憶している。従って、各モデム10は、カウンタにより計測されるゼロクロスZCから経過時間と、タイムスロットの時間幅とにより、現在のタイムスロットが、ゼロクロスZCから何番目のタイムスロットであるかを特定することが出来る。
【0136】
例えば、時点t43では、モデム10C1のPLC・PHYブロック42Dは、ゼロクロスZCからの経過時間が1つあたりにタイムスロットの時間幅であることを認識し、現在のタイムスロットを「T12」と判断する。その結果、PLC・PHYブロック42Dの制御部405は、タイムスロットT12に対応する位相ベクトルPV2に関する情報を、メモリ33から読み出すことになる。
【0137】
従って、PLC・PHYブロック42Dの位相回転器402は、FFT変換された受信信号に位相ベクトルPV2を乗算して、各サブキャリアの位相を回転させる(ステップS23)。PLC・PHYブロック42Dの位相回転器405は、図18に示したステップS13、S15と同様に、位相が回転されたサブキャリアの象限判定を行う(ステップS24)。なお、ステップS25、S26は、それぞれ図18のステップS14(又はS17)、S18と同一の処理であるので説明は省略する。
【0138】
タイムスロットT12では、図19(a)に示すように、2つのリクエスト信号RSa、RSbの位相ベクトルが出力されているが、モデム10C1は、上述したように、位相ベクトルPV2でサブキャリアの位相を回転させるので、リクエスト信号RSbのみを検出する。
【0139】
以上のように、実施の形態4に係る本発明では、各モデム10は、タイムスロットに応じた位相ベクトルで、そのタイムスロットに出力されたリクエスト信号RSのサブキャリアの位相を回転させるので、たとえ商用交流電圧AC同士でタイミングのずれが発生したとしても、それぞれのタイムスロットから、対応したリクエスト信号RSを確実に検出することが出来る。
【0140】
なお、上述した実施の形態4では、タイムスロットT11、T12、…、T17毎に位相ベクトルを異なるように設定した場合について説明したが、必ずしも、全てのタイムスロット毎に位相ベクトルを異なるように設定する必要はない。少なくとも隣り合うタイムスロット(例えばT11、T12)同士で異なる回転量を示す位相ベクトル(例えばPV1、PV2)を設定すれば、これら位相ベクトルを確実に識別することが可能である。
【0141】
(実施の形態5)
実施の形態5に係る通信システム100は、実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。実施の形態5に係る通信装置は、図2に示すように、実施の形態1と同じモデム10であるので、その説明を省略する。実施の形態5に係るモデム10の回路構成は、図15及び図16に示した回路構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0142】
次に、実施の形態5におけるモデム10の具体的な動作例について、図21及び図22を参照しながら以下に説明する。図21は、実施の形態5における、複数のモデム10の動作例を示すタイムチャート、図22は、実施の形態5における位相ベクトルの変更処理を示すフローチャートである。なお、リクエスト信号RSの検出処理は、実施の形態4で図20を用いて説明した処理と同様である。
【0143】
ここでは、モデム10A1の位相ベクトルの変更処理について説明する。モデム10A1は、制御期間Tcにおいて、リクエスト信号RSをサーチする(ステップS31)。例えば、図21が示す時点t81で、モデム10A1のPLC・PHYブロック42Dの制御部405(図16参照)が、ゼロクロス回路63(図15参照)で、ゼロクロスZCを検出したとする。制御部405は、時点t81からt82まで、リクエスト信号RSが出力しているか否かを判定する。キャリア検出方法は、図18と同様であるので、説明は省略する。
【0144】
なお、実施の形態5では、制御期間Tcの各タイムスロットは、「C」、「A」、「B」、・・・の通信方式の順番で割り当てられているものとする。また、データ期間Tdは、通信方式「A」、「B」、…でデータ通信が行われる場合、通信方式「A」、「B」、…で時間分割される。さらに、通信方式「A」、「B」、…とともに通信方式「C」でデータ通信が行われる場合は、データ期間Tdでは、通信方式「A」、「B」、…に16〜30MHzを、通信方式「C」に2〜16MHzを割り当て、電力線通信の使用周波数帯域は周波数分割される。これらタイムスロットの割り当て、及びどのリクエスト信号RSが出力されたらどの多元接続方式を採用するかの情報は、各モデム10のメモリ33が記憶しているものとする。
【0145】
モデム10A1は、使用したいチャネルに空きがあるか否かを判定する(ステップS32)。「チャネル」は時間及び周波数帯域の少なくとも一方であればよいが、ここでは周波数帯域であるとする。モデム10A1が、2〜30MHzの周波数帯域が使用したい場合に、時点t81からt82まで、リクエスト信号RSが出力されていないと、モデム10A1のPLC・PHYブロック42Dの制御部405は、次のデータ期間Td(時点t84からt86)は、通信方式「C」がデータ通信を行わないので、使用したいチャネルに空きがあると判定し(ステップS32のYes)、処理を終了する。
【0146】
従って、時点t84で、位相ベクトルの変更処理を行うことなく、モデム10A1は、2〜30MHzの周波数帯域を用いてデータ通信を行う。この場合、時点t83でモデム10B1がリクエスト信号RSを出力するので、モデム10A1は、モデム10B1がリクエスト信号RSを検出し、データ期間Tdでは、モデム10A1、モデム10B1が交互のデータ通信を行う。
【0147】
なお、図21では、制御期間Tcとデータ期間Tdとの時間幅は、商用交流電圧ACの2周期であるが、商用交流電圧ACの1/6周期以上であれば任意である。特に、単相であれば半周期、3相であれば1/6周期以上が好ましい。コンセントの一対の差込口に対して、一対のプラグ端子の差し込む向きが反転することで、商用交流電圧ACの波形が反転した場合であっても、商用交流電圧ACの立ち上がりまたは立ち下がりの識別する必要がなくなるからである。
【0148】
また、データ通信のデータ分割は、分割する時間幅が等分にする必要はなく、例えば一方を長くすることも可能である。また、図21では、1つのデータ期間Tdでデータ通信する回数を、通信方式1つあたりに3回としているが、この回数も任意である。
【0149】
時点t86で、モデム10A1が、図22に示す処理を開始し、再び、リクエスト信号RSをサーチするとともに(ステップS31)、使用したいチャネル(周波数帯域)に空きがある否かを判定する(ステップS32)。モデム10A1のPLC・PHYブロック42Dの制御部405は、時点t86からt87まで、リクエスト信号RSが出力しているか否かを判定する。図21に示すように、モデム10C1は、リクエスト信号RSを出力しているので、制御部405は、次のデータ期間Td(時点t84からt86)は、通信方式「C」がデータ通信を行うため、使用したいチャネルに空きがないと判定する(ステップS32のNo)。
【0150】
モデム10A1のPLC・PHYブロック42Dの制御部405は、チャネル(周波数帯域)に対応した位相ベクトルを変更する(ステップS32)。ここでは、メモリ33には、2−30MHzの周波数帯域に対応して、位相ベクトルPV1に関する情報、16−30MHzの周波数帯域に対応して、位相ベクトルPV2に関する情報が格納されているとする。また、モデム10A1は、時点t81からt87の位相ベクトルとして、位相ベクトルPV1が設定されているものとする。
【0151】
次のデータ期間Tc(時点t89からt90)では、通信方式「C」がデータ通信を行うため(つまり2−16MHzの周波数帯域が使用できないため)、モデム10A1のPLC・PHYブロック42Dの制御部405は、16−30MHzの周波数帯域に対応する位相ベクトルに関する情報を、メモリ33から読み出す。即ち、制御部405は、位相ベクトルPV2に関する情報を、メモリ33から読み出し、モデム10A1のPLC・PHYブロック42Dの位相回転器408は、位相ベクトルを「PV2」に変更する(ステップS32)。位相ベクトルの変更処理は、実施の形態4で詳細に説明したので、その説明を省略する。
【0152】
位相ベクトルを変更すると、モデム10A1のPLC・PHYブロック42DのIFFT変換器420は、位相ベクトルがPV2で回転されたサブキャリアをIFFT変換し、送信信号を生成する。また、モデム10A1のPLC・PHYブロック42Dは、バンドパスフィルタ45を制御して、送信信号について2−16MHzの周波数帯域を遮断する。16−30MHzの周波数帯域の送信信号は、リクエスト信号RSとして、ドライバIC46、カプラ27、電源コネクタ12、及びプラグ3を介して、電力線2に出力される。モデム10A1は、時点t87からt88のタイムスロットに、リクエスト信号RSを出力し(ステップS33)、処理を終了する。なお、モデム10B1も、同様の処理を行うが、説明を省略する。こうして、時点t89からのデータ期間Tでは、モデム10C1は2−16MHzの周波数帯域で、モデム10A1、10B1は16−30MHzの周波数帯域でデータ通信を行う。
【0153】
モデム10A1は、リクエスト信号RSの周波数帯域に応じて、位相ベクトルを変更するので、たとえ伝送路状態が劣化しても、他のモデム10B1、C1、・・・は、リクエスト信号RSがどの周波数帯域を使用しているか容易に識別することが出来る。どのモデム10が、リクエスト信号RSを識別する場合でも、同様の効果を得ることが出来る。
【0154】
以上のように、実施の形態5では、リクエスト信号RSの周波数帯域に応じて、位相ベクトルを変更するので、伝送路状態の変動に関係なく、リクエスト信号RSに使用される周波数帯域を良好に特定することが出来る。その結果、たとえ伝送路状態が劣化しても、位相ベクトルを良好に識別することが出来る。
【0155】
なお、上述した実施の形態3ないし5では、ゼロクロスを基準としたタイミングを用いて、リクエスト信号RSを出力する場合について説明したが、必ずしもゼロクロスを基準する必要はない。例えば、商用交流電圧ACが所定の電圧値(例えば10V)に達する時点を検出し、検出した時点を基準としたタンミングを用いるものであれば、基準とする時点は任意である。
【0156】
なお、上述した、実施の形態1及び実施の形態5では、制御信号の伝送及びデータ通信を行う伝送路の一例として、電力線について説明したが、必ずしも電力線を介して行う必要はない。例えば、伝送路として有線・無線いずれを用いてもよい。例えば、有線の伝送路では、LANケーブル、同軸ケーブル、電話線、スピーカ線など、各種のケーブルを利用することが出来る。
【0157】
なお、上述した実施の形態1ないし5では、位相ベクトルを変更させることを、「サブキャリアの位相を回転させる」ことと称したが、複素座標面の信号点を回転させることと同義である。なお、本明細書で定義される「位相ベクトル」とは、OFDM信号などのマルチキャリア信号を構成する各サブキャリアの信号点を、複素座標面上で回転させる回転量を示す値の集合であって、マルチキャリア信号の時間波形を平準化させる(時間軸上のピークを抑制する)値の組み合わせをいう。位相ベクトルは、予め決められた値の組み合わせである固定値と、所定の条件に応じて値を変化した組み合わせである可変値とがある。所定の条件は、後述する巡回シフトやランダム値がある。また、位相ベクトルは、他の呼称として「carrier phase」と呼ばれる。その場合、固定値は「deterministic carrier phase」、可変値は「random carrier phase」と呼ばれる。また、上述したリクエスト信号RSは、CDFC(Commonly Distributed Coordination Function)信号とも呼ばれる。
【0158】
なお、上述した実施の形態1ないし5では、それぞれの実施の形態について別々に説明したが、これらの実施の形態を適宜組み合わせることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明の通信装置及び通信方法は、通信方式の異なる複数種類の通信装置が共通の伝送路に接続された場合であっても、信号の衝突を発生することなく通信可能な効果を有し、例えばアパートやマンションのような集合住宅などにおける電力線通信などに特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】実施の形態1に係る通信システムの概略構成図
【図2】(a)モデム前面を示す外観斜視図、(b)モデム背面を示す外観斜視図
【図3】実施の形態1のモデムを構成するハードウェアの一例を示すブロック図
【図4】PLC・PHYブロックの機能ブロック図
【図5】OFDM信号の信号フォーマットを示す図
【図6】OFDM信号の信号スペクトルを示す図
【図7】(a)周波数分割を適用したタイムチャート、(b)他の例の周波数分割を適用したタイムチャート、(c)周波数分割及び時間分割を適用したタイムチャート
【図8】(a)電力線における減衰量の周波特性の一例を示す図、(b)電力線における雑音レベルの周波特性の一例を示す図
【図9】制御期間におけるリクエスト信号に対応したタイムスロットを示す図
【図10】モデム間の制御信号のやりとりを示すタイミングチャート
【図11】実施の形態2のモデムを構成するハードウェアの一例を示すブロック図
【図12】(a)周波数分割を適用したタイムチャート、(b)周波数分割及び時間分割を適用したタイムチャート
【図13】リクエスト信号が異なる場合における、複数のモデムの動作例を示すタイムチャート
【図14】一部の通信方式を同期信号に同期させない場合における、複数のモデムの動作例を示すタイムチャート
【図15】実施の形態3のモデムを構成するハードウェアの一例を示すブロック図
【図16】サブIC内のPLC・PHYブロックの機能ブロック図
【図17】実施の形態3における複数のモデムの動作例を示すタイムチャート
【図18】リクエスト信号の検出処理を示すフローチャート
【図19】実施の形態4におけるリクエスト信号に対応したタイムスロットを示す図
【図20】実施の形態4におけるリクエスト信号の検出処理を示すフローチャート
【図21】実施の形態5における複数のモデムの動作例を示すタイムチャート
【図22】実施の形態5における位相ベクトルの変更処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0161】
2 電力線
10 電力線通信装置(モデム)
22 多元接続方式設定部、データ通信部(メインIC)
42 位相回転部、マルチキャリア信号出力部、位相ベクトル変更部、第2のマルチキャリア信号出力部、周波数帯域設定部、集積回路(サブIC)
63 時点検出部(ゼロクロス回路)
405 位相ベクトル変更部(制御部)
408 位相回転部(位相回転器)
410 第1のマルチキャリア信号出力部、第2のマルチキャリア信号出力部(逆ウェーブレット変換器)
420 第1のマルチキャリア信号出力部、第2のマルチキャリア信号出力部(IFFT変換器)
AC 交流電圧(商用交流電圧)
PV1 第1の位相ベクトル(位相ベクトル)
PV2 第2の位相ベクトル(位相ベクトル)
RS 第1のマルチキャリア信号、第2のマルチキャリア信号(リクエスト信号)
SS 第1のマルチキャリア信号(同期信号)
T11、T12、・・・、T17 タイムスロット
ZC 時点(ゼロクロス)




 

 


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