米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 計算機;電気通信 -> 松下電器産業株式会社

発明の名称 受信品質推定装置、無線通信システム及び受信品質推定方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−6462(P2007−6462A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2006−140472(P2006−140472)
出願日 平成18年5月19日(2006.5.19)
代理人 【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
発明者 安倍 克明 / 坂本 剛憲
要約 課題
通信に用いる通信方式を切り替えることなく、異なる通信方式により通信した場合の通信品質を擬似的に推定すること。

解決手段
無線通信装置100は、受信処理部110と、擬似復号後誤り推定部120と、上位レイヤ処理部130とを備え、受信信号150から復調処理部111により得られた現在の変調方式におけるシンボル毎の直交ベクトルデータ列152を用い、現在よりも変調多値数の大きい第2の通信方式で信号点配置された場合に得られる尤度メトリック値155を擬似的に生成し、これを用いて擬似復号処理部122により擬似的に誤り訂正復号を行い、得られた擬似復号結果156に対し誤り検出処理を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
第1の通信方式で伝送された信号を受信する受信手段と、
受信した前記第1の通信方式の受信復調結果に基づいて、前記第1の通信方式と異なる第2の通信方式で信号を伝送した場合に得られる復調結果に相当する特徴量を生成する生成手段と、
前記特徴量から前記第2の通信方式で受信復調し誤り訂正復号した後に残留ビット誤りが生じるか否かを擬似的に推定する推定手段と
を備える受信品質推定装置。
【請求項2】
前記受信手段は、受信した信号に対して所定の変調方式に対応した復調処理を行い、受信シンボル毎の直交ベクトルデータ列を得る復調手段を備え、
前記生成手段は、前記直交ベクトルデータ列を用い、前記第1の通信方式と異なる第2の通信方式により無線伝送を行った場合に得られる尤度値を擬似的に生成する擬似尤度生成手段を備える請求項1記載の受信品質推定装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記第1の通信方式の受信復調結果を用い、前記第2の通信方式で通信した場合に得られる尤度値を擬似的に生成し、
前記推定手段は、前記生成された擬似的な尤度値を用いて前記第1の通信方式に対応した誤り訂正復号化処理を擬似的に行い、
前記擬似的な誤り訂正復号化処理結果に基づいて残留ビット誤りが生じるか否かを擬似的に推定する請求項1記載の受信品質推定装置。
【請求項4】
前記推定手段は、
前記得られた残留ビット誤りが生じるか否かの推定結果に基づいて誤り率を推定する請求項1記載の受信品質推定装置。
【請求項5】
前記第2の通信方式は、前記第1の通信方式による受信信号が無線伝送されているのと同様の無線伝送路環境下において、前記第1の通信方式に代わって用いられる通信方式である請求項1記載の受信品質推定装置。
【請求項6】
前記第2の通信方式で用いられる変調方式の変調多値数は、前記第1の通信方式で用いられる変調方式の変調多値数よりも大きい関係にある請求項1記載の受信品質推定装置。
【請求項7】
前記第2の通信方式で用いられる誤り訂正符号化の符号化率は、前記第1の通信方式で用いられる誤り訂正符号化の符号化率と異なる請求項1記載の受信品質推定装置。
【請求項8】
前記第1の通信方式及び前記第2の通信方式では、時空間多重による多重伝送が行われ、前記第2の通信方式における時空間多重の多重度は、前記第1の通信方式における時空間多重の多重度よりも大きい関係にある請求項1記載の受信品質推定装置。
【請求項9】
前記推定手段により推定される前記第2の通信方式における誤り訂正復号後の残留ビット誤りの擬似推定結果に基づいて、伝送リンクで用いる通信方式を決定する通信方式変更判断部を備える請求項1記載の受信品質推定装置。
【請求項10】
前記推定手段により推定される前記第2の通信方式における誤り訂正復号後の残留ビット誤りの擬似推定結果を、伝送リンクの品質情報として相手側の無線局に通知する通知手段を備える請求項1記載の受信品質推定装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の受信品質推定装置を備える無線通信システム。
【請求項12】
第1の通信方式で伝送された信号を受信する受信ステップと、
受信した前記第1の通信方式の受信復調結果に基づいて、前記第1の通信方式と異なる第2の通信方式で信号を伝送した場合に得られる復調結果に相当する特徴量を生成する生成ステップと、
前記特徴量から前記第2の通信方式で受信復調し誤り訂正復号した後に残留ビット誤りが生じるか否かを擬似的に推定する推定ステップと
を有する受信品質推定方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信品質推定装置、無線通信システム及び受信品質推定方法に関し、例えば誤り訂正符号化と適応変調制御を用いた無線通信システムに適用して好適な通信品質推定装置及び通信品質推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無線通信システムでは、無線通信リンクにおける通信品質に応じて適応的に変調方式や符号化方式を切り替える適応通信方式の検討が進んでいる。例えば、非特許文献1には、適応通信方式の一例である適応変調切り替えを用いた通信方式が記載されている。変調方式や符号化方式切り替えの判断材料としては、一般に通信リンクにおける通信品質が測定されて用いられる。
【0003】
通信品質を示す指標として、例えば受信したビットデータ列におけるビット誤り率(BER(Bit Error Rate))を推定して用いる方法があり、一例としては、特許文献1に示すように、送信データ系列に誤り訂正符号化を施しておき、受信時に誤り訂正復号化した後再度符号化し、この再符号化データ列と受信信号系列とを比較し、異なっている個数をカウントして求める方法が開示されている。
【0004】
図11は、従来のビット誤り率推定装置の構成を示す図であり、通信品質を測定する装置の一例である。
【0005】
図11において、ビット誤り率算出装置10は、復調処理部11、復号処理部12、メモリ部13、再符号化部14、及びビット誤り率算出部15を備えて構成される。この従来のビット誤り率算出装置10が用いられる通信システムでは、送信データに対してあらかじめ所定の誤り訂正符号化が施されて変調送信され、ビット誤り率算出装置10への受信信号1として入力されるものとする。また所定の誤り訂正符号の一例として畳み込み符号化が用いられるものとする。
【0006】
受信信号1は、復調処理部11において所定の変調方式に対応した復調処理が行われ、復調結果が出力される。ここでは復調結果としてビット毎の軟判定値2aと硬判定値2bが出力されるものとする。ビット毎の軟判定値2aは復号処理部12へ供給され、例えばビタビ復号のような最尤復号処理により誤り訂正処理が施され、復号されたビットデータ列3が出力される。一方で、硬判定値2bはメモリ部に供給され一時記憶される。復号処理部12から出力されたビットデータ列3は再符号化部14へ供給され、送信側と同様の畳み込み符号化が行われ、再符号化されたデータ列5が出力される。ビット誤り率算出部5では、メモリ部13に一時記憶され読み出された硬判定データ列4と再符号化されたデータ列5との間でビット単位で等しいが等しくないかの比較が行われ、等しくないビットはビット誤りが生じているものとしてカウントされ、最終的にビット誤り率の算出結果6が出力される。
【非特許文献1】笹岡秀一編著「移動通信」(オーム社、P.103〜126)
【特許文献1】特開昭61−135234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記図11に示すような従来のビット誤り率推定装置で推定できるのは、受信したビットデータの復号化前のビット誤り率、いわゆるRaw Bit Error Rateと呼ばれるものであり、誤り訂正復号化後に残留するビット誤りを検出することはできない。適応変調制御においては、誤り訂正符号化によって復号化後のビット誤りが防げる範囲内で極力変調多値数や符号化率を高めて伝送速度を高速化した方が、通信の効率化が期待できる。しかし、前記構成では誤り訂正復号後に残留するビット誤りの状況までは推定することができない。
【0008】
誤り訂正復号化後に残留するビット誤りを検出する方法としては、例えばHDLC(High Level Data Link Control)手順におけるフレーム誤り検出の一般的手法として既に知られているように、送信時の誤り訂正符号化処理の前段にCRC(Cyclic Redundancy Check)符号のような誤り検出符号を付加しておき、受信時の誤り訂正復号化処理の後段でCRC符号を用いた誤り検出処理を行うことにより、誤り訂正復号化後に残留したビット誤りを検出する方法がある。ところが、CRC符号による残留誤り検出結果に基づいて適応変調制御をしようとすると、さらに以下のような課題を有する。すなわち、CRC符号による誤り検出により残留ビット誤りが検出されなかったとしても、同じ通信リンク品質の状況下において変調方式の変調多値数を上げたり符号化率を上げたりして伝送速度を高速化した場合に誤りなく通信が行えるほど十分に通信品質が良いとは限らず、その判断を適切に行うことはできない、という課題を有していた。また、同様の課題は変調方式を適応的に制御する場合に限らず、誤り訂正符号化の際の符号化率を適応的に変更するような場合や時空間多重方式において多重度を上げるような場合にも同様の課題が生じる。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、現在受信している変調方式、符号化率もしくは時空間多重方式での受信信号を用い、現在と同じ通信リンクの状況において通信に用いる変調方式もしくは時空間多重の多重度を上げる、もしくは符号化率を変更した場合に、復号処理後に残留ビット誤りが生じるか否かを擬似的に推定することにより、変調多値数もしくは符号化率を上げて通信してもよい状況か否かを適切に判断することができる受信品質推定装置、無線通信システム及び受信品質推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の受信品質推定装置は、第1の通信方式で伝送された信号を受信する受信手段と、受信した前記第1の通信方式の受信復調結果に基づいて、前記第1の通信方式と異なる第2の通信方式で信号を伝送した場合に得られる復調結果に相当する特徴量を生成する生成手段と、前記特徴量から前記第2の通信方式で受信復調し誤り訂正復号した後に残留ビット誤りが生じるか否かを擬似的に推定する推定手段とを備える構成を採る。
【0011】
また、本発明は、上記受信品質推定装置を備える無線通信システムである。
【0012】
本発明の受信品質推定方法は、第1の通信方式で伝送された信号を受信する受信ステップと、受信した前記第1の通信方式の受信復調結果に基づいて、前記第1の通信方式と異なる第2の通信方式で信号を伝送した場合に得られる復調結果に相当する特徴量を生成する生成ステップと、前記特徴量から前記第2の通信方式で受信復調し誤り訂正復号した後に残留ビット誤りが生じるか否かを擬似的に推定する推定ステップとを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の通信方式における受信信号を用い、同じ通信リンクの状況下において前記第1の通信方式よりも変調多値数が大きい、符号化率が異なる、もしくは時空間多重における多重度が大きい関係にある第2の通信方式により通信を行った場合に誤り訂正復号後にビット誤りが生じ得るか否かを、通信自体の方式を変更することなく擬似的に推定することが可能となる。さらには、前記推定結果に基づき、現在の通信リンクの状況下において第2の通信方式での通信が有効であるか否かの適切な判断が可能となる。その結果、第1の通信方式で伝送された信号から第2の通信方式で伝送された場合の通信品質が擬似的に推定されるので、実際に第2の通信方式で信号を伝送しなくても、前もってその通信方式における通信品質を予測することができ、変調多値数もしくは符号化率を上げて通信してもよい状況か否かを適切に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の骨子は、受信している第1の通信方式による信号に基づいて、同一の無線伝送路環境を変調多値数もしくは時空間多重における多重度が高い、もしくは符号化率が異なる第2の通信方式による信号が伝送された場合における誤り訂正復号後の残留ビット誤りやその発生率を擬似的に推定することである。さらには前記擬似的に推定された誤り訂正復号後の誤り状況に応じて通信方式を適応的に制御することである。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
本実施の形態では、変調多値数の低い第1の通信方式の一例としてQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式を用い、同一の伝送路を変調多値数の高い第2の通信方式の一例として16値QAM(Quadrature Amplitude Modulation)により伝送した場合における誤り訂正復号後の残留ビット誤りやその発生率を擬似的に推定する場合の実施の形態について説明する。双方の場合ともに誤り訂正符号化には符号化率及び生成多項式が同一である畳み込み符号化が用いられているものとする。符号化率Rは一例としてR=1/2の場合を仮定する。また、送信データに対しては誤り検出用の符号としてCRC符号が付加されるものとする。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の受信品質推定装置は、適応的に通信方式を制御する無線通信システムにおける無線通信装置に適用した例である。
【0018】
図1において、無線通信装置100は、他の無線通信装置との間で無線通信を行うための装置である。ここでは装置を構成する要素のうち、受信処理を行う部分を抽出して示している。
【0019】
無線通信装置100は、受信処理部110と、擬似復号後誤り推定部120と、上位レイヤ処理部130とを備えて構成される。無線通信装置100に送信処理部を含むか否かは本実施の形態に影響を与えるものではなく限定されない。
【0020】
受信処理部110は、復調処理部111、復号処理部112、及び復号後ビット誤り検出部113を含んで構成され、無線通信装置100において受信した、畳み込み符号化(convolutional code)及びQPSK変調が施された信号を入力とし、所定の復調及び誤り訂正復号処理を行い、得られた受信データ列を出力する。ここで、畳み込み符号化には一例として符号化率R=1/2、拘束長K=7の畳み込み符号化が用いられるものとし、QPSK変調には一例として直交平面上で図2に示すような信号点配置が施されるものとする。図2は、QPSK変調方式のIQ平面上での信号点配置の一例を示す図である。
【0021】
また、入力される受信信号150は、無線通信装置100内で所定の周波数変換、増幅、周波数選択フィルタ、直交変換やアナログ・ディジタル変換が既に施された上で、直交ベースバンド帯のディジタル信号として入力されるものとする。
【0022】
復調処理部111は、入力されたディジタル値の直交ベースバンド信号を用いてQPSK変調方式に基づいた所定の復調処理を行い、各受信ビットの軟判定結果を受信軟判定値列151として出力するとともに、復調時に用いた各受信シンボルの直交ベクトルデータ152を別に出力する。出力する軟判定値及び直交ベクトルデータの定義については後述する。
【0023】
復号処理部112は、入力される受信軟判定値列151を用い、所定の誤り訂正符号化方式に対応した復号化処理を行い得られた復号処理後のデータ列を受信データ列153として出力する。本実施の形態では、入力された各ビットの軟判定値を尤度値として用いビタビ復号(Viterbi decoding)処理が行われるものとする。
【0024】
復号後ビット誤り検出部113は、受信データ列153を入力とし、前記受信データ列にビット誤りが残留しているかを検出し、検出結果を出力するものであり、本実施の形態では、データの送信時に送信データに対してCRCパリティ符号が付加されていることとしているので、前記受信軟判定値列151におけるデータ部分とCRCパリティ符号の部分とを用いて誤り検出処理を行うことにより、誤り訂正復号後の受信データ列内に残留ビット誤りが生じているか否かの検出を行い、誤り検出結果154を出力する。
【0025】
擬似復号後誤り推定部120は、擬似尤度生成部121、擬似復号処理部122、及び擬似残留ビット誤り推定部123を含んで構成され、入力される受信信号の直交ベクトルを用い、仮に信号がQPSK変調方式ではなく16値QAMで送信された場合に相当するビット毎の尤度値を擬似的に生成し、生成された尤度値情報を用いて擬似的な誤り訂正復号を行い、得られた復号結果を用いて誤り訂正復号後に残留ビット誤りが生じるか否かを擬似的に推定し推定結果を出力する。
【0026】
擬似尤度生成部121は、復調処理部111から出力されるQPSK変調方式のシンボル毎の受信直交ベクトル152を入力とし、仮に通信がQPSK変調方式ではなく16値QAMで送信された場合に相当するビット毎の尤度値を擬似的に生成し擬似尤度値列155として出力するものであり、その擬似尤度値生成のしかたの詳細については後述する。
【0027】
擬似復号処理部122は、入力される擬似尤度値列155を用い、復号処理部112と同様のビタビ復号処理を行い、得られた誤り訂正復号結果を擬似受信データ列156として出力するものであり、基本的な構成及び動作は復号処理部112と同様である。
【0028】
擬似残留ビット誤り推定部123は、入力される擬似受信データ列156を用い、前記データ列にビット誤りが残留しているかを検出し、検出結果157を出力するものであり、本実施の形態においては、例えば復号後ビット誤り検出部124により構成することができる。
【0029】
復号後ビット誤り検出部124は、入力される擬似受信データ列156を用い、前記データ列にビット誤りが残留しているかを検出し、検出結果を出力するものであり、基本的な構成及び動作は復号後ビット誤り検出部113と同様である。
【0030】
上位レイヤ処理部130は、受信処理部110において受信処理し得られた受信データ列153と復号後ビット誤りの検出結果154と、擬似復号後誤り推定部120により得られた擬似残留ビット誤り検出結果157とを用いて上位レイヤにおける所定の処理を行うものである。上位レイヤにおける処理には、例えばIP(インターネットプロトコル)に基づくデータ伝送処理やアプリケーション層における動画像等のコンテンツデータ転送に関する処理に至るまで様々なものが含まれるが、ここでは本発明に関連する部分のみ後述し、それ以外については省略する。
【0031】
以下、上述のように構成された無線通信装置100の動作について説明する。
【0032】
まず、受信したQPSK変調方式の信号を用い、同一の伝送路を16値QAMにより伝送した場合における誤り訂正復号後の残留ビット誤りを擬似的に推定する動作について説明する。
【0033】
受信処理部110において入力されたディジタル直交ベースバンド信号150は、復調処理部111へ供給され所定の復調処理が施される。復調処理にあたっては、受信信号に対する周波数やタイミングに関する同期処理や、必要に応じて受信信号が受けている位相や振幅成分の歪に対する補正処理が施される。これらについて、従来公知の様々な方法を用いることにより、同期や補正処理を行い絶対位相成分と振幅成分が正規化され、図3における○印で示したような位置を基準として分布する直交ベクトル列が得られる。
【0034】
図3は、受信したQPSK変調信号のIQ直交平面上での受信信号ベクトルの一例を示す図である。受信復調後に得られるシンボル毎の直交ベクトルは、受信時の雑音の影響を受け、理想的な信号点から分散した分布を持つことになる。復調処理部111ではこの得られた直交ベクトル値を用い、各受信シンボルにおける軟判定値が生成され、受信軟判定値列151として出力される。軟判定値の定義のしかたについては様々な方法があるが、ここではある受信シンボルの直交ベクトルが図3の◇印で示すベクトルとして得られた場合を一例として説明する。この場合、受信シンボルは「10」であり、本来の信号点ベクトル(+1.0,−1.0)を基準として雑音成分のベクトル(−0.7,+0.2)が重畳している確率が最も高い。この受信シンボルから得られる2ビット分のうち、I軸成分に割り当てられた軟判定値は+0.3、Q軸成分に割り当てられた軟判定値は−0.8として表されることになる。
【0035】
復号処理部112では、復調処理部111から前記のようにして供給される軟判定値列151を用いて所定の誤り訂正復号処理が行われる。本実施の形態では、誤り訂正符号として符号化率R=1/2、拘束長K=7の畳み込み符号化が施されており、前記符号化に対応した最尤復号処理として軟判定ビタビ復号処理が行われる。復号処理にあたっては、復調処理部111から供給される受信信号のシンボル毎の軟判定値に基づいて各ビットの尤度メトリック値が生成される。尤度メトリック値の算出法についても様々な方法をとることが可能であることが既に開示されているが、ここでは一例として理想的な信号点からの2乗ユークリッド距離を算出して尤度メトリック値とする方法で説明する。例えば、図3の◇印に示すような受信シンボルベクトルが得られた場合、このベクトルから得られる2乗ユークリッド距離による尤度メトリック値は、図4を参考にして以下のように求めることができる。
【0036】
図4は、軟判定値から軟判定尤度値を求める際の一例を示す図である。図4において、I軸方向に割り当てられたビットが「0」である場合の尤度メトリック値m0と「1」である場合の尤度メトリック値m1はそれぞれ式(1)、式(2)に示すようにして算出される。
【0037】
m0=d0^2=(−1.0−0.3)^2=1.69 …(1)
m1=d1^2=(+1.0−0.3)^2=0.49 …(2)
上記「^」の記号はべき乗(ここでは2乗)の演算を表している。また、Q軸方向に割り当てられたビットが「0」である場合の尤度メトリック値m0と「1」である場合の尤度メトリック値m1についてはそれぞれ以下の式(3)、式(4)に示すように求めることができる。
【0038】
m0=d0^2=(−1.0−(−0.8))^2=0.04 …(3)
m1=d1^2=(+1.0−(−0.8))^2=3.24 …(4)
上述したように、受信シンボルの位置と理想的な信号点の位置との間の2乗ユークリッド距離を尤度メトリック値として用いる場合、受信シンボルの直交ベクトルが理想的な信号点からの距離が大きくなるほど尤度メトリック値が大きくなるが、これは尤度が低くなることを表している。
【0039】
このようにして各シンボルで算出された尤度メトリック値を用いてトレリス(trellis)線図上で累積メトリック値が最小となるパスを選択することにより、等価的に最尤復号結果が得られることになる。得られた復号結果は受信データ列153として出力される。
【0040】
本実施の形態では、前記受信データ列153内に送信データ部分とそれに対するCRCパリティ符号が付加されて送信されるものとしている。
【0041】
復号後ビット誤り検出部113は、入力された受信データ列153を用い、所定のCRC符号に基づく誤り検出処理を行うことにより、前記データ列にビット誤りが残留しているかを検出し、検出結果154を出力する。
【0042】
図5は、変調方式をQPSKから16値QAMに変更した場合に想定される16値QAMの信号点配置の一例を示す図である。ここでは、図2で示したQPSK変調の場合と同じ電力で16値QAMの変調が行われている場合を仮定している。
【0043】
前記の例のように(−0.7,+0.2)というベクトルに相当する雑音が重畳した場合、すなわち図3に示すような状況の場合、QPSK変調方式ではベクトルが信号点間距離を越えていないので受信ビット誤りにはならないが、もし16値QAMで通信を行っており同様の受信雑音成分が重畳した場合、すなわち図5に示すような状況の場合、雑音成分のベクトルの大きさが16値QAMの場合の信号点間距離d16QAMの1/2を超えることとなり、一部のビットが受信誤りを生じることとなる。この場合、当然軟判定を行う際にもQPSKの場合とは異なる軟判定結果が得られることとなり、ビタビ復号後の誤り訂正性能へも影響が及ぶことになる。本発明はこの点を利用して16値QAMの場合の誤り訂正復号後の残留ビット誤りを擬似的に検出するものであり、以下で擬似復号後誤り推定部120における当該処理を説明する。
【0044】
擬似復号後誤り推定部120では、前記のように、現在と同様の受信品質の状況下で仮に16値QAMにより通信を行った場合に得られるであろう軟判定値及びそれから求められる尤度値を擬似的に生成した上で、この尤度値を用いて16値QAMで伝送した場合に相当するビタビ復号を行った場合に復号後誤りが発生し得るか否かを擬似的に推定する。
【0045】
擬似尤度生成部121では、復調処理部111から供給される復調時に用いた直交ベクトルデータ152を用い、16値QAMで伝送した場合に得られる尤度に相当する値を擬似的に生成する。具体的には、図3で示したような(+0.3,−0.8)なる受信シンボルベクトルが得られた場合、I成分、Q成分それぞれにおける尤度値は図6に示すように生成される。
【0046】
図6は、擬似軟判定尤度値を算出する際の一例を示す図である。図6に示すように、I成分では、受信シンボル「+0.3」が正であるため、dの方はQPSKの[1]の信号点に相当する+1.0からの距離に基づいて2乗ユークリッド距離が求められる。dの方は、+1.0からd16QAMの距離離れた地点からの2乗ユークリッド距離が求められる。Q成分では、受信シンボル「−0.8」が負であるため、dの方がQPSKの[0]の信号点に相当する−1.0からの距離に基づいて2乗ユークリッド距離が求められ、dの方は、−1.0からd16QAMの距離離れた地点との2乗ユークリッド距離が求められる。これにより、図4に示したような本来のQPSK変調の信号点配置に基づいて得られたものとは異なる尤度値が得られる。特にこの例では、I成分側の尤度値において、「0」のデータの方の尤度値の方が「1」のデータの方の尤度値よりも小さい、すなわち「0」のデータの方が高い尤度が得られている。これは実際に同様の無線伝送路環境下においてQPSKの代わりに16値QAMで伝送した場合に受信復調結果にビット誤りが生じ、尤度の関係が逆転する場合を擬似的に再現している。
【0047】
前記のようにして擬似尤度生成部121において生成された尤度値を用い、擬似復号処理部122では復号処理部112と同様のビタビ復号処理が行われる。ここで、ビタビ復号処理に供給される尤度メトリック値は、前記のように本来のQPSKでの復調結果から得られる尤度メトリック値に比べてm0とm1の差が相対的に小さい、すなわち尤度の差が小さい系列が供給されることになり、復号処理部112では誤り訂正できた場合でも擬似復号処理部122では誤り訂正できない場合が生じる。擬似残留ビット誤り推定部123では、復号後に残留ビット誤りが存在しているか否かをCRC誤り検出処理により検出し、擬似残留ビット誤り検出結果157を出力する。
【0048】
以上のように、実施の形態1によれば、受信信号150から復調処理部111により得られた現在の変調方式におけるシンボル毎の直交ベクトルデータ列152を用い、現在よりも変調多値数の大きい第2の変調方式で信号点配置された場合に得られる尤度メトリック値155を擬似的に生成し、これを用いて擬似復号処理部122により擬似的に誤り訂正復号を行い、得られた擬似復号結果156に対し誤り検出処理を行うことにより、擬似残留ビット誤り推定部120が、第2の変調方式で通信した場合に誤り訂正復号後に残留ビット誤りが生じるか否かを擬似的に検出するので、第1の通信方式で伝送された信号から第2の通信方式で伝送された場合の通信品質が擬似的に推定することができ、実際に第2の通信方式で信号を伝送しなくても、前もってその通信方式における通信品質を予測することができる。また、第2の通信方式で通信した場合に得られると想定される尤度値を擬似的に生成し、これを用いて誤り訂正復号することにより、復号後に残留ビット誤りが生じるか否かを擬似的に推定することが可能となる。
【0049】
特に、本実施の形態では、受信したQPSK変調信号から得られた尤度値を用いて通常の誤り訂正復号をして受信データ系列を得る一方で、同様の無線伝送路環境下で16値QAMにより変調され送信された場合に得られるであろう尤度メトリック値を擬似的に生成した上で、得られた擬似尤度値系列を用いて擬似的に誤り訂正復号化処理を行い、得られた擬似的な受信データに誤りが生じているか否かを検出することにより、QPSK変調方式よりも多値数の大きい16値QAMで通信した場合に生じるであろう誤り訂正復号後の誤りを擬似的に検出することが可能となる。
【0050】
なお、本実施の形態では、変調多値数が相対的に小さい第1の変調方式の受信信号を用いて、同じ伝送路環境下で前記第1の変調方式よりも変調多値数が大きい第2の変調方式で通信した場合に生じ得る誤り訂正復号後の誤りを擬似的に検出する際の一例を説明するために、第1の変調方式の一例としてQPSK変調方式、第2の変調方式の一例として16値QAMを仮定して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2の変調方式の変調多値数が第1の変調方式におけるそれよりも大きい関係にあれば各々任意の変調方式を用いた場合にも適用可能であり、各々変調方式におけるIQ平面上での信号点間のユークリッド距離の相違に基づいて、第2の変調方式として受信した場合の尤度値を擬似的に生成するように構成すればよい。
【0051】
また、本実施の形態を説明するにあたり、図1における無線通信装置100では、本実施の形態の部分の説明において特に関与しないアンテナや無線高周波信号処理部等については特に記載していないが、一般的な無線通信用の装置を構成する上でこれらの構成要素を設けても本発明に影響を与えないことは言うまでも無い。同様に、復調処理部111への入力信号はディジタル値に変換された直交ベースバンド信号として説明したが、本発明はこの入力部のインタフェースに特に限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、直交ベースバンド信号ではなく中間周波数(IF)帯の信号を入力として、復調処理部111において直交復調処理を施す構成としてもよいし、アナログ信号を入力とし、復調処理部111においてディジタル値変換してもよい。また、復調処理部から復号処理部へ供給されるのは軟判定値列151であって、復号処理部112においてこの軟判定値列151を用いて尤度値が生成されるものとしたが、この代わりに、復調処理部111において軟判定値を得ると共に尤度値を生成してから復号処理部112へ供給し、復号処理部112では供給される尤度値を用いてビタビ復号処理を行う構成としてもよいことは言うまでもない。
【0052】
また、本実施の形態では、QPSK変調方式の受信信号を用いて、仮に16値QAMにより通信が行われた場合に得られるであろう尤度値を1シンボルあたり2ビット相当分ずつ生成するための構成及び動作について説明したが、実際に16値QAMで伝送した場合には1シンボルあたり4ビット分の尤度情報が得られる。この差異を軽減するため、擬似尤度生成部121において1シンボルあたり4ビット分の尤度情報を生成するような処理を行うようにしても本発明の本質が変わるものではない。また同様に、16値QAMでは、1シンボル内で伝送される4ビット分のビットデータ(図5におけるb0,b1,b2,b3)のうち、あるビットデータの内容に応じて別のビットデータの信号点間距離が変わってしまい、厳密にはビットデータ毎に尤度値が異なる。このような差異を減らすため、一方(例えばI成分側)のビットデータの擬似尤度値を生成する際に、他方(この場合Q成分側)のビットデータの判定結果を用いて尤度の生成方法を複数通りとるように構成しても、本発明の本質が変わるものではない。
【0053】
尤度の算出は必ずしもビット単位である必要はなく、シンボル単位で行う場合にも適用可能であることは言うまでもない。
【0054】
また、本実施の形態では用いられる誤り訂正符号化の一例として畳み込み符号化を用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、誤り訂正復号の際に尤度メトリック値を用いた復号処理が行われるものであれば他の符号化を用いてもよい。例えば、誤り訂正符号化後に所定の個所の符号語を削除して送信し、受信側における誤り訂正復号化でこの削除された符号後の影響を補償する、いわゆるパンクチャド畳み込み符号やターボ符号が用いられる場合にも、本発明は適用可能である。さらには、低密度パリティ検査符号もしくはリードソロモン符号のようなブロック符号が用いられるシステムに対しても、尤度値に基づく復号処理を行う際に、本実施の形態と同様に擬似的な尤度値を生成し、この値を用いて擬似的なブロック復号処理を行う処理部を設けることにより、本発明を適用可能である。
【0055】
また、本実施の形態では、CRC符号を用いて誤り訂正復号後の残留ビット誤りを擬似的に検出する方法を説明したが、誤り訂正復号後の残留ビット誤りを検出する方法は必ずしもこれに限定されるものではなく、他の方法を適用してもよい。例えば、受信処理部110における復号処理部112において、QPSK変調方式の受信信号から本来の受信データ列生成のための誤り訂正復号が行われているため、この復号処理により得られた受信データ列を擬似残留ビット誤り推定部123へ供給する構成とし、前記受信データ列153と擬似復号結果のデータ列155との間で受信データを比較し相違個所を検出することにより、16QAMで伝送した場合に復号後誤りが生じ得るか否かを擬似的に推定することも可能である。この手法を用いる場合、送信データに対してCRC符号を付加する必要は無く、送信データ容量をより高効率に使用することが可能となる。また、CRCにより誤り検出する代わりに擬似復号処理により得られた累積メトリック値を用いて残留ビット誤りが発生し得るかを統計量から推定するようにしてもよい。具体的には、擬似復号処理により得られた累積メトリック値と、その時に残留ビット誤りが発生した確率とをあらかじめ統計的に求めておき、得られた統計データに基づいて残留ビット誤りの発生確率を推定するように構成すればよい。さらには、誤りの有無を擬似的に検出する代わりに、誤り訂正後のデータに関する品質を表す他のパラメータを求める構成及び動作としても、本発明の本質が変わるものではない。例えば、残留ビット誤りが生じた数と評価総数との比を算出することにより、残留ビット誤り率を算出して出力する構成としてもよい。また、擬似的な誤り検出結果に基づいてフレーム誤り率を算出する構成としてもよい。
【0056】
また、擬似復号後誤り推定部120における推定動作は、必ずしも常に行う必要は無く、例えば、受信処理部110における誤り訂正処理の結果に誤りが存在しない場合にのみ、前記擬似復号後誤り推定部120における擬似推定を行う構成としてもよい。なぜなら、QPSK変調方式による通信において誤り訂正後にも残留誤りが発生するような環境下では、16値QAMにより通信しても誤り訂正後に残留ビット誤りが発生する可能性が極めて高いためである。なお、前記のような制御動作を行うため、上位レイヤ処理部130において受信データ列153を用いて行われるCRC符号による誤り検出処理の結果、復号後の残留ビット誤りが検出された場合には擬似復号後誤り推定部120に対して擬似推定動作を停止させるよう制御する構成とすればよい。
【0057】
また、受信処理部110における復号処理部112と擬似復号後誤り推定部120における擬似復号処理部122とは、その構成及び動作は基本的に同じであるため、その動作構成部を共有し、それぞれを時間的に異なる時間に行うよう構成してもよい。この場合、復号処理部の前段に入力される尤度値列をバッファリングするための記憶部を設ける構成としてもよい。また、復号後ビット誤り検出部113と復号後ビット誤り検出部124についても、双方の構成及び動作は基本的に同じであるため、その動作構成部を共有し、それぞれを時間的に異なる時間に行うように構成してもよい。この場合、復号後ビット誤り検出部の前段に入力されるデータ列をバッファリングするための記憶部を設ける構成としてもよい。また、無線通信装置に例えばCPU、DSPのようなソフトウェアにより動作が可能なプロセッサを搭載している場合、本実施の形態で説明した各処理部をソフトウェアとして実装することにより実現が可能であることは言うまでもない。
【0058】
さらに、本実施の形態では、現在受信している信号の変調方式よりも変調多値数が大きい別の変調方式に変更した場合の誤り訂正復号後の残留ビット誤りを擬似的に推定する構成としたが、変更する対象は変調方式に限らず、他にも適用可能である。例えば、時空間多重により無線データ伝送が行われている場合にも適用可能であり、この場合、現在受信している時空間多重方式の多重度よりも多重度を大きくした場合に誤り訂正復号後に残留ビット誤りが生じ得るか否かを擬似的に推定するような場合にも適用可能である。この場合、擬似尤度生成部121では、例えば受信信号を用いて得られる各無線伝送路の特性に基づいて、時空間多重における多重度を上げた場合に想定される軟判定尤度値を生成するように構成すればよい。
【0059】
(実施の形態2)
実施の形態2では、受信している符号化率の低い第1の通信方式による信号に基づいて、同一の無線伝送路を符号化率が異なる第2の通信方式により伝送した場合における誤り訂正復号後の残留ビット誤りやその発生率を擬似的に推定する場合の実施の形態について説明する。より詳細には、第1の通信方式、第2の通信方式共に誤り訂正符号化としてパンクチャド畳み込み符号化が用いられるものとし、第1の通信方式での符号化率R1としてR1=2/3、すなわち2情報ビットあたり3符合語ビットの符号化ビットデータが生成され、第2の通信方式の符号化率R2としてR2=3/4、すなわち3情報ビットあたり4符合語ビットデータが生成される場合を仮定して説明する。具体的には、畳み込み符号化における符号化率が1/2であり、畳み込み符号化後に施されるパンクチャ処理のパンクチャ率が第1の通信方式では3/4、すなわち4符合語あたり所定の位置の1符合語が削除されることとし、第2の通信方式では4/6、すなわち6符合語あたり所定の位置の2符合語が削除されることとし、これにより各々前記の符号化率が得られるものとする。なお、ここでは説明の簡単化のために、第1の通信方式、第2の通信方式ともに変調方式はQPSKで同一の場合を想定する。
【0060】
図7は、本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の説明にあたり、図1の構成要素と同様の構成及び動作をするものについては同一の符号を付している。
【0061】
図1の構成と異なるのは、無線通信装置200は、受信処理部110の復号処理部112にデパンクチャ処理部211とビタビ復号処理部212を設け、また擬似復号後誤り推定部120の擬似復号処理部122に擬似デパンクチャ処理部221と擬似ビタビ復号処理部222を設け、さらに擬似復号処理部122の入力には復調処理部111から出力される受信変調シンボルの軟判定結果である受信軟判定値列151を供給するよう構成した点である。
【0062】
デパンクチャ処理部211は、入力される受信軟判定値列151に対し、送信側でパンクチャ処理によりデータが削除された個所を復元処理するものである。具体的には、パンクチャ処理によりデータが削除されている個所に、受信ビットデータが「0」である場合と「1」とで尤度メトリック値が等しくなるダミーの軟判定値(図2のような信号点配置の場合には0.0に相当する)を挿入し、得られた軟判定値列を出力することにより、この処理が行われる。本実施の形態では、第1の通信方式におけるデパンクチャ率は3/4であるので、3つの軟判定値の入力に対して所定の1個所にダミーの軟判定値を挿入することになる。
【0063】
ビタビ復号処理部212は、入力されるデパンクチャ処理された軟判定値列を用いて所定のビタビ復号処理を行うものであり、例えば、実施の形態1において復号処理部112の動作例として説明したものと同様の動作により実現される。
【0064】
一方、擬似デパンクチャ処理部221は、基本的にはデパンクチャ処理部211と同様の動作をするが、デパンクチャ率が4/6と異なる。すなわち、4つの軟判定値入力に対して所定の2箇所にダミーの軟判定値を挿入することになる。
【0065】
擬似ビタビ復号処理部222は、基本的にはビタビ復号処理部212と同様の動作をするものであり、擬似デパンクチャ処理部221から供給される擬似的な軟判定値列を用いてビタビ復号処理を行う点が異なる。
【0066】
なお、本実施の形態の説明では、一例として第1の通信方式において120ビットの情報ビットデータがパンクチャド畳み込み符号化により180ビットの符号化されたビットデータに変換され、QPSK変調される場合を仮定する。ここでは、説明の簡単化のために畳み込み符号化における終端ビットの挿入処理は無視して説明する。
【0067】
以下、上述のように構成された無線通信装置200の動作について説明する。
【0068】
受信復調・復号処理を行うと共に、同一の伝送路環境下で符号化率の異なる第2の通信方式で伝送を行った場合に復号後ビット誤りが生じ得るか否かを擬似的に推定する方法について、特に、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0069】
受信処理部110では、入力された直交ベースバンド信号150を用いてQPSK変調に対する所定の復調処理が行われ、実施の形態1と同様にして得られた軟判定値列151が復号処理部112に供給される。復号処理部112では、まずデパンクチャ処理部211において3つの軟判定値入力毎に所定の1箇所にダミーの軟判定値を挿入することによりデパンクチャ処理を行う。これにより、デパンクチャ処理後の軟判定値列は240ビット分になる。ビタビ復号処理部212では、得られた軟判定値列を用いて所定のビタビ復号処理が行われ、120ビット分の誤り訂正後の復号ビットデータが出力され、後段では前述した実施の形態1と同様にCRC符号を用いた復号後ビット誤りが存在するか否かが検出される。
【0070】
一方、擬似復号後誤り推定部120では、擬似デパンクチャ処理部221において、入力される軟判定値列を用い、4つの軟判定値入力毎に所定の2箇所にダミーの軟判定値を挿入することによりパンクチャ率4/6の処理に対応したデパンクチャ処理を行う。これにより180ビット分の軟判定値列から270ビット分のデパンクチャ後の軟判定値列が生成されることになるが、このうちの240ビット分が擬似ビタビ復号処理部222へ供給される。擬似ビタビ処理部222では、入力された軟判定値列を用いてビタビ復号処理が行われ、復号結果が擬似受信データ列156として出力される。ここで、得られた擬似受信データ列は、第1の通信方式による通信で行われたパンクチャド畳み込み符号化よりも符号化率が高い状態、すなわちより多くの畳み込み符号化ビットデータがパンクチャされた状態を擬似的に敢えて生成した状態での誤り訂正復号化後のデータを表していることになり、この擬似受信ビットデータ列156を復号後ビット誤り検出部124においてCRC誤り検出処理することにより、符号化率R=3/4で伝送した場合に復号後ビット誤りが生じ得るか否かが擬似的に検出される。
【0071】
以上のように、実施の形態2によれば、符号化率R=2/3でパンクチャド畳み込み符号化されQPSK変調された信号の受信復調結果から得られる軟判定値を用い、同様の伝送路環境下で符号化率の異なる誤り訂正符号化を用いて伝送した場合に誤り訂正後に誤り訂正復号後に残留ビット誤りが生じるか否かを擬似的に検出することが可能となる。
【0072】
なお、本実施の形態では、擬似復号後誤り推定部において、第1の通信方式の受信信号を用い、同様の伝送路環境下を前記第1の通信方式とは符号化率が異なる第2の通信方式で通信を行った場合に誤り訂正復号後に残留ビット誤りが生じ得るか否かを擬似的に検出する場合の実施の形態について説明したが、本発明の適用範囲はこの構成及び動作に限定されるものではない。
【0073】
例えば、本実施の形態では、第1の通信方式と第2の通信方式とで、用いられる変調方式を同一としたが、必ずしもこれに限定される必要は無く、実施の形態1のように、第2の通信方式における変調方式の変調多値数が第1の通信方式におけるそれよりも高い場合の擬似推定にも適用可能である。例えば、第1の通信方式として変調方式がQPSK、符号化率R=2/3で通信を行っている場合に、第2の通信方式として変調方式が16値QAMで符号化率R=1/2で通信を行った場合の誤り訂正復号後の残留ビット誤りを擬似的に検出するような場合にも適用可能である。
【0074】
図8は、実施の形態2における無線通信装置の他の構成例を示す図である。図8に示すように、無線通信装置200Aは、擬似復号処理部122の前段に、図1において用いた擬似尤度生成部121を設け、信号が16値QAMで伝送された場合に得られるであろう軟判定値を擬似的に生成した上で本実施の形態で説明したような擬似復号処理を行えばよい。
【0075】
また、復号処理部112や擬似復号処理部122における処理は前記の説明に限定されるものではなく、他の方法によっても実現可能である。例えば、前記で説明したデパンクチャ処理を行う代わりに、ビタビ復号処理部において所定のパンクチャ個所において入力される尤度値を用いないように処理することにより、等価的にデパンクチャ処理を行ってしまう構成としてもよい。また、本実施の形態では、パンクチャと畳み込み符号化以外のコーデック処理は特に明示していないが、必要に応じてインタリーブやスクランブル等の処理を行うような構成としても、それに応じて復号処理部112や擬似復号処理部122に所定の受信側処理部を設ければよく、本発明に影響を与えるものではない。
【0076】
また、本実施の形態では、畳み込み符号化及びパンクチャ処理が用いられるシステムに対する実施の形態を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば低密度パリティ検査符号もしくはリードソロモン符号のようなブロック符号とパンクチャ処理が用いられるシステムに対しても適用可能である。さらには、これらブロック符号が用いられるシステムによっては、パンクチャ率の変更ではなくブロック符号の生成多項式を変更することにより符号化率を変更するシステムも想定される。このようなシステムに対しても、等価的に符号化率が同等になるようなパンクチャ処理を仮定して擬似的な残留誤り検出処理を行うことによって、残留ビット誤りが生じ得るかを擬似的に推測することも可能である。
【0077】
(実施の形態3)
前述の実施の形態1及び2による構成及び動作により、同一の伝送路環境下で現在とは異なる変調方式もしくは符号化率の異なる誤り訂正符号化により通信が行われた場合に、誤り訂正復号後に復号後誤りが生じ得るか否かを擬似的に推定することが可能であることを説明したが、このようにして得られた擬似誤り検出結果に基づいて、通信に用いられる変調方式もしくは符号化率を適切に変更するよう制御する場合の構成及び動作の形態について説明する
【0078】
図9は、本発明の実施の形態3に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の説明にあたり、図1の構成要素と同様の構成及び動作をするものについては同一の符号を付している。
【0079】
図9において、無線通信装置300は、図1の無線通信装置100にさらに送信処理部310が付加されて構成される。また、上位レイヤ処理部130は、通信方式変更要求制御部301、及び送信データ生成部302を含んで構成され、送信処理部310は、上位レイヤ処理部130からの送信データを符号化する符号化処理部311と、符号化したデータを変調する変調処理部312とを備えて構成される。
【0080】
無線通信装置300は、図1と同様な擬似復号後誤り推定部120を有することにより、現在と同様の伝送路環境下で変調方式を16値QAMにして伝送した場合に復号後誤りが生じるか否かを示す擬似残留ビット誤り検出結果157が得られるようになる。これにより、上位レイヤ処理部130における通信方式変更要求制御部301において、前記擬似残留ビット誤り検出結果157が、残留ビット誤りは生じないとの推定結果の場合には、通信方式をQPSK変調方式から16値QAMへ変更するように判断し、逆に残留ビット誤りが生じるとの推定結果の場合には、現在の通信方式での通信を継続するよう判断し、前記判断に基づく通信方式変更要求情報158が送信データ生成部302、送信処理部310を介して無線送信の供給元へフィードバックされることにより、以降の通信方式を16値QAMへ変更し、より高効率な通信が行えるようになる。
【0081】
図10は、上記通信方式変更要求制御部301において、入力される擬似残留ビット誤り検出結果157に基づく通信方式変更の判断内容の一例を示す図である。
【0082】
図10において、復号後ビット誤り検出結果として、受信中の変調方式・符号化率における復号後の残留ビット誤りの有無を、また擬似残留ビット誤り検出結果として、変調方式の多値数もしくは符号化率を上げた場合における復号後の残留ビット誤りの有無を、判断する場合には、通信方式制御の判断内容は、具体的には伝送速度の変更要求内容となる。図10に示すように、前記受信中の変調方式・符号化率における復号後の残留ビット誤りが「有」の場合は、前記伝送速度の変更要求は「下げる」となる。また、前記受信中の変調方式・符号化率における復号後の残留ビット誤りが「無」の場合は、前記変調方式の多値数もしくは符号化率を上げた場合における復号後の残留ビット誤りの「有無」によって前記伝送速度の変更要求が異なり、前者では「変更無し」後者では「上げる」となる。
【0083】
ここでは、図1の実施の形態1に適用した場合を例に採り説明したが、図7又は図8の実施の形態2に適用できることは勿論である。
【0084】
以上のように、実施の形態3によれば、実施の形態1又は実施の形態2で示されたようにして得ることができる擬似残留ビット誤り推定結果に基づいて、データ伝送に用いられる通信方式をより適切なものに変更することが可能となり、通信の高効率化を実現することが可能となる。
【0085】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。例えば、本実施の形態では、無線通信装置300における上位レイヤ処理部130において、復号後ビット誤り検出結果154と擬似残留ビット誤り検出結果157を用いて、使用される通信方式の変更の必要性の有無を自律的に判定し、変更要求を相手先の無線局へ送信する(フィードバックする)構成及び動作の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、受信処理部において得られた復号後ビット誤り検出結果154及び擬似残留ビット誤り検出結果157を伝送リンクの品質を表すパラメータとして相手先の無線局へ送信処理部310を介して送信し、相手側の無線局において通信リンクで用いる通信方式の変更の必要性の有無を判断するような構成及び動作としてもよい。この場合、復号後ビット誤り検出結果154や擬似残留ビット誤り検出結果157は、それぞれ1ビットのフラグ情報として表すことが可能であり、送信データのフレーム構成の中の所定の位置に割当てて送信することとすればよい。このうち、復号後ビット誤り検出結果154を用いない構成としてもよい。さらには、無線通信装置300において、複数の異なる変調方式や符号化率を想定し、各々の場合における擬似残留ビット誤りの検出処理を行うよう構成した上で、前記得られた複数通りの擬似残留復号後誤りの検出結果を相手側の無線局へ通知するように構成することも可能である。
【0086】
さらに、本発明は例えば無線端末として組み込むことが可能であり、本受信品質推定装置及び受信品質推定方法を具備した移動体通信システムとして実現することも可能である。
【0087】
また、上記実施の形態では、受信品質推定装置及び受信品質推定方法という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、受信装置、無線通信システム及び受信方法等でもよいことは勿論である。
【0088】
また、上記無線通信装置を構成する各回路部の種類、数及び接続方法などは前述した実施の形態に限られない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係る受信品質推定装置及び受信品質推定方法は、現在受信している変調方式、符号化方式、もしくは時空間多重方式で無線伝送された信号を用い、現在と同じ無線通信リンクの状況において通信に用いる変調方式、符号化率、又は時空間多重の多重度を上げた場合に、復号化処理後の残留ビット誤りが生じるか否かを擬似的に推定することにより、変調多値数、符号化率、もしくは時空間多重における多重度を上げて通信しても良い状況か否かを適切に判断することが可能となり、より適切で高効率な適応通信制御が可能となり、伝送効率が向上できる、という効果を有し、適応的に通信方式を制御する無線通信システムにおける無線通信装置における受信品質推定部の構成として有用である。また、必ずしも無線通信分野に限定されず、変調及び誤り訂正符号化が用いられていれば、有線伝送路を介して通信を行う有線通信分野の用途にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図2】上記実施の形態1に係る無線通信装置のQPSK変調方式のIQ平面上での信号点配置の一例を示す図
【図3】上記実施の形態1に係る無線通信装置の受信したQPSK変調信号の受信信号ベクトルの一例を示す図
【図4】上記実施の形態1に係る無線通信装置の軟判定値から軟判定尤度値を求める際の一例を示す図
【図5】上記実施の形態1に係る無線通信装置の変調方式をQPSKから16値QAMに変更した場合に想定される16値QAMの信号点配置の一例を示す図
【図6】上記実施の形態1に係る無線通信装置の擬似軟判定尤度値を算出する際の一例を示す図
【図7】本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図8】上記実施の形態2に係る無線通信装置の他の構成例を示す図
【図9】本発明の実施の形態3に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図10】上記実施の形態3に係る無線通信装置の通信方式変更要求制御部において、入力される擬似残留ビット誤り検出結果に基づく通信方式変更の判断内容の一例を示す図
【図11】従来のビット誤り率推定装置の構成を示す図
【符号の説明】
【0091】
100,200,200A,300 無線通信装置
110 受信処理部
111 復調処理部
112 復号処理部
113,124 復号後ビット誤り検出部
120 擬似復号後誤り推定部
121 擬似尤度生成部
122 擬似復号処理部
123 擬似残留ビット誤り推定部
130 上位レイヤ処理部
211 デパンクチャ処理部
212 ビタビ復号処理部
221 擬似デパンクチャ処理部
222 擬似ビタビ復号処理部
301 通信方式変更要求制御部
302 送信データ生成部
310 送信処理部
311 符号化処理部
312 変調処理部





 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013