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スピーカ装置 - 松下電器産業株式会社
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発明の名称 スピーカ装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−6459(P2007−6459A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2006−136873(P2006−136873)
出願日 平成18年5月16日(2006.5.16)
代理人 【識別番号】100098291
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 史朗
発明者 松村 俊之 / 佐伯 周二
要約 課題
低音再生帯域をさらに拡大することが可能なスピーカ装置を提供する。

解決手段
本発明に係るスピーカ装置は、筐体と、筐体の内部に配置され、当該筐体内部の気体を物理吸着する吸着体と、振動板を含み、筐体に形成された開口部に設けられた振動部と、振動板を駆動して、当該振動板から音を発生させる駆動部と、筐体の内部に配置され、振動板に作用する筐体内部の音響スティフネスを減少させる負スティフネス発生機構とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置され、当該筐体内部の気体を物理吸着する吸着体と、
振動板を含み、前記筐体に形成された開口部に設けられた振動部と、
前記振動板を駆動して、当該振動板から音を発生させる駆動部と、
前記筐体の内部に配置され、前記振動板に作用する前記筐体内部の音響スティフネスを減少させる負スティフネス発生機構とを備える、スピーカ装置。
【請求項2】
前記吸着体は、活性炭、ゼオライト、カーボンナノチューブ、フラーレン、シリカゲル、および多孔質シリカのうち、少なくとも1つで構成されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項3】
前記駆動部は、
前記筐体の内部に配置され、前記振動板側に第1のマグネットを有する第1の磁気回路と、
前記振動板および当該振動板の振動方向に形成された空隙を介して前記第1のマグネットに対向して配置された第2のマグネットを有する第2の磁気回路とを含み、
前記第1および第2の磁気回路の少なくとも一方には、所定の磁気ギャップが形成されており、
前記振動部は、
ボイスコイルと、
前記振動板に固設され、前記ボイスコイルを前記磁気ギャップ内に配置して当該ボイスコイルを支持するボイスコイルボビンと、
マグネットを含まない磁性体であり、前記空隙内に配置された前記振動板の少なくとも一部に設けられた非マグネット部材とを、さらに含み、これらによって、
前記負スティフネス発生機構は、
前記非マグネット部材と、
前記第1の磁気回路と、
前記第2の磁気回路とで構成され、
前記負スティフネス発生機構は、前記振動板の振動方向に対して前記非マグネット部材の前記空隙内における平衡位置を基準として、当該平衡位置から離れる方向に当該非マグネット部材に前記振動方向の離反力を与えることによって、前記筐体内部の音響スティフネスを減少させることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項4】
前記スピーカ装置は、
前記振動方向に振動する前記振動部のいずれかの当該振動方向における位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部で検出された前記振動部の位置に基づいた直流成分を所定の音響信号に加えた信号を前記ボイスコイルに印加することによって、前記非マグネット部材の前記振動方向における振幅の中心が前記平衡位置となるように当該振動板の振動を制御する制御部とを、さらに備える、請求項3に記載のスピーカ装置。
【請求項5】
前記負スティフネス発生機構は、
前記筐体の内部空間を第1の空室および第2の空室に分割する仕切板と、
前記仕切板に形成された開口部に配置されるドロンコーンと、
その外周が前記仕切板に固定され、前記仕切板に対して前記ドロンコーンを振動可能に支持するサスペンションと、
前記ドロンコーンの振動方向における平衡位置を基準として、当該平衡位置から離れる方向に当該ドロンコーンに当該振動方向の離反力を発生させる離反力発生部とを含む、請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項6】
前記離反力発生部は、
マグネットを含まない磁性体であり、前記ドロンコーンの少なくとも一部に設けられた非マグネット部材と、
前記非マグネット部材に対して前記ドロンコーンの振動方向前後にそれぞれ所定の空隙を形成し、当該非マグネット部材と対向して固定的に配置された複数のマグネットとを含む、請求項5に記載のスピーカ装置。
【請求項7】
前記離反力発生部は、
前記ドロンコーンの少なくとも一部に設けられたマグネットと、
マグネットを含まない磁性体である複数の非マグネット部材とを含み、
前記複数の非マグネット部材は、前記マグネットに対して前記ドロンコーンの振動方向前後にそれぞれ所定の空隙を形成し、当該マグネットと対向してそれぞれ固定的に配置されることを特徴とする、請求項5に記載のスピーカ装置。
【請求項8】
前記スピーカ装置は、前記振動部より前記筐体の外部側に配置して当該筐体に固設され、環状体の少なくとも一部の形状を有する固定マグネットをさらに備え、
前記振動部は、
前記固定マグネットの内周よりもその外周が小さい環状体の少なくとも一部の形状を有する可動マグネットと、
前記可動マグネットの外周面が前記固定マグネットの内周面と所定の空隙を介して対向する位置に当該可動マグネットを配置し、当該振動板に固設して共に振動するように当該可動マグネットを支持する支持部材とを、さらに含み、これらによって、
前記負スティフネス発生機構は、前記固定マグネットおよび前記可動マグネットで構成され、前記振動板の振動方向に対して当該可動マグネットの前記空隙内における平衡位置を基準として、当該平衡位置から離れる方向に前記可動マグネットに前記振動方向の離反力を与えることによって、前記筐体内部の音響スティフネスを減少させることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項9】
前記駆動部には、磁気ギャップが形成されており、
前記振動部は、前記磁気ギャップ内に配置されて前記振動板と共に振動するボイスコイルをさらに含み、
前記スピーカ装置は、
前記振動方向に振動する前記振動部のいずれかの当該振動方向における位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部で検出された前記振動部の位置に基づいた直流成分を所定の音響信号に加えた信号を前記ボイスコイルに印加することによって、前記可動マグネットの前記振動方向における振幅の中心が前記平衡位置となるように当該振動板の振動を制御する制御部とを、さらに備える、請求項8に記載のスピーカ装置。
【請求項10】
前記駆動部は、圧電型変換器であることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項11】
前記振動板は、マグネットを含まない磁性体である非マグネット部材をその内部に含んだ部材、およびその外部に当該非マグネット部材が設けられた部材のいずれかで構成され、
前記駆動部は、前記振動板に設けられた圧電素子であり、
前記スピーカ装置は、
前記振動方向に振動する前記振動部のいずれかの当該振動方向における位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部で検出された前記振動部の位置に基づいた直流成分を所定の音響信号に加えた信号を前記圧電素子に印加することによって、前記非マグネット部材の前記振動方向における振幅の中心が当該非マグネット部材における平衡位置となるように当該振動板の振動を制御する制御部とを、さらに備える、請求項10に記載のスピーカ装置。
【請求項12】
前記駆動部は、静電型変換器であることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項13】
前記振動板は、マグネットを含まない磁性体である非マグネット部材をその内部に含んだ部材、およびその外部に当該非マグネット部材が設けられた部材のいずれかで構成され、
前記駆動部は、前記振動板の両面に対してそれぞれ空隙を介して配置された電極を含み、
前記スピーカ装置は、
前記振動方向に振動する前記振動部のいずれかの当該振動方向における位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部で検出された前記振動部の位置に基づいた直流成分を所定の音響信号に加えた信号を前記電極に印加することによって、前記非マグネット部材の前記振動方向における振幅の中心が当該非マグネット部材における平衡位置となるように当該振動板の振動を制御する制御部とを、さらに備える、請求項12に記載のスピーカ装置。
【請求項14】
前記吸着体と前記振動部、前記駆動部、および前記負スティフネス発生機構との間を仕切るように配置され、当該吸着体を支持する支持部材をさらに備える、請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項15】
スピーカ装置の内部に配置される低音増強装置であって、
筐体と、
前記筐体の内部に配置され、当該筐体内部の気体を物理吸着する吸着体と、
前記筐体に形成された開口部に配置され、当該筐体内部の音響スティフネスを減少させる負スティフネス発生機構とを備える、低音増強装置。
【請求項16】
前記負スティフネス発生機構は、
前記開口部に配置されるドロンコーンと、
その外周が前記開口部に固設され、前記筐体に対して前記ドロンコーンを振動可能に支持するサスペンションと、
前記ドロンコーンの振動方向における平衡位置を基準として、当該平衡位置から離れる方向に当該ドロンコーンに離反力を与える離反力発生部とを含むことを特徴とする、請求項15に記載の低音増強装置。
【請求項17】
請求項1から14のいずれかに記載のスピーカ装置と、
前記スピーカ装置をその内部に配置する車体とを備える、車両。
【請求項18】
請求項1から14のいずれかに記載のスピーカ装置と、
前記スピーカ装置をその内部に配置する機器筐体とを備える、映像機器。
【請求項19】
請求項1から14のいずれかに記載のスピーカ装置と、
前記スピーカ装置をその内部に配置する装置筐体とを備える、携帯型情報処理装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ装置に関し、より特定的には、小型のキャビネットで低音再生を実現するスピーカ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、オーディオ機器のデジタル化とともに、音楽ソースを再生するプレーヤの小型化やポータブル化が進んでいる。しかしながら、最終的に音を再生するスピーカ装置において、音楽ソースに含まれる低音域の音を十分に再生するには、大きなキャビネットが必要となる。そのため、上記小型化やポータブル化されたプレーヤに搭載されるスピーカ装置では、キャビネットの容積が小さく、キャビネットの呈する音響スティフネスが大きいので、十分な低音再生を実現することは困難であった。
【0003】
そこで、このようなキャビネットの容積で決定される低音再生限界を改善したスピーカ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。以下、図16を参照して、当該スピーカ装置について説明する。なお、図16は当該スピーカ装置の断面構造図である。
【0004】
図16において、従来のスピーカ装置は、大略的にキャビネット101およびスピーカユニット102を備える。スピーカユニット102は、フレーム103、エッジ104、コーン型振動板105、ダストキャップ106、ボイスコイルボビン107、ダンパー108、ボイスコイル109、マグネット110、センターポール111、磁気プレート112、可動マグネット113、および固定マグネット114を有する。
【0005】
図16において、スピーカユニット102は、キャビネット101の前面の開口部に取り付けられている。マグネット110はリング形状である。マグネット110の背面(キャビネット101の背面側にあるマグネット110の面)は、センターポール111の前面に固着される。磁気プレート112はリング形状である。磁気プレート112の背面は、マグネット110の前面に固着される。ボイスコイル109は、ボイスコイルボビン107における背面側端部の外周面に巻かれる。そして、ボイスコイル109は、センターポール111における凸部の外周面と磁気プレート112の内周面との間に形成される磁気ギャップに配置される。フレーム103は、磁気プレート112の前面に固着される。フレーム103には、音孔103hが形成されている。ダンパー108の外周はフレーム103に固着される。ダンパー108の内周は、ボイスコイルボビン107に固着される。コーン型振動板105は、その内周がボイスコイルボビン107の前面側端部に固着される。エッジ104の内周は、コーン型振動板105の外周に固着される。エッジ104の外周は、フレーム103に固着される。ダストキャップ106は、コーン型振動板105の前面側中央部に固着される。可動マグネット113はリング形状である。可動マグネット113の内周面がボイスコイルボビン107の外周面に固着される。可動マグネット113は、ボイスコイルボビン107において、コーン型振動板105とダンパー108との間に配置される。固定マグネット114は、リング形状であり、その内周面と可動マグネット113の外周面とが対向して空隙を形成するように配置される。可動マグネット113および固定マグネット114は、厚み方向(振動方向)で同極に着磁される。
【0006】
次に、従来のスピーカ装置の動作について説明する。ボイスコイル109に電気信号が印加されると駆動力が発生する。この駆動力によって、ボイスコイルボビン107に固着されたコーン型振動板105が振動する。そして、コーン型振動板105から音が発生する。以上の動作は通常の動電型スピーカの動作である。ここで、コーン型振動板105には、2つのスティフネスが作用する。これらのスティフネスは、コーン型振動板105の変位を減少させる方向に作用する。まず1つ目のスティフネスは、コーン型振動板105を支持するエッジ104およびダンパー108のばね力による復元力(以下、この復元力を支持系スティフネスS0とする)である。2つ目のスティフネスは、コーン型振動板105の変位によって膨張/収縮したキャビネット101内の空気が元に戻ろうとすることにより生じる力であり、コーン型振動板105の変位を戻そうとする力(以下、音響スティフネスScとする)である。音響スティフネスScは以下の式で表現される。
【数1】


ここで、ρはキャビネット101内の空気の密度、cは音速、aはコーン型振動板105の有効半径、Vはキャビネット101内部の容積である。以上の2つのスティフネスによって、コーン型振動板105の変位が抑制される。特にキャビネット内部の容積Vが小さいスピーカ装置では、キャビネット内の空気による音響スティフネスが大きくなる。このため、キャビネット内部の容積Vが小さいスピーカ装置では低音域の再生が困難となる。
【0007】
しかし、図16に示した従来のスピーカ装置は、コーン型振動板105に作用する音響スティフネスを減少させる力、すなわち負のスティフネスを発生する機構(以下、負スティフネス発生機構と記載する)を有している。負スティフネス発生機構は、ボイスコイルボビン107の外周面に固着された可動マグネット113と、これと対向して配置された固定マグネット114とで構成される。以下、上記負スティフネス発生機構について詳細に説明する。
【0008】
静止時(無信号時)において、可動マグネット113は、エッジ104およびダンパー108などの支持系によって支持されて、固定マグネット114と磁気的に釣り合う位置(以下、平衡位置と記載する)に位置している。上述したように、ボイスコイル109に電気信号を加えると、コーン型振動板105はボイスコイル109に発生した駆動力によって振動する。このとき、可動マグネット113は、ボイスコイルボビン107と一体となって、固定マグネット114の内周部で振動する。ここで、可動マグネット113および固定マグネット114は、振動方向に同極に着磁されている。したがって、可動マグネットが変位すると、可動マグネット113および固定マグネット114が互いに反発するような磁場が形成される。これにより、コーン型振動板105が変位すると、可動マグネット113には可動マグネット113が平衡位置から逃れようとする力、つまり変位を拡大する方向に作用する力が発生する。このように、可動マグネット113および固定マグネット114は、負スティフネス発生機構を構成する。
【0009】
以上のように、負スティフネス発生機構は、スピーカユニット102の振動系に作用する音響スティフネスを減少させる。これにより、コーン型振動板105の変位を減少させる力が減少し、上式(1)の容積Vが等価的に拡大する。その結果、特許文献1に開示された従来のスピーカ装置は、あたかも大きなキャビネットにスピーカユニットを搭載したような動作をすることができる。
【特許文献1】特開2000−308174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、再生帯域を所望の低音域まで拡大させる具体的な方法について説明する。スピーカ装置の低音再生帯域は、負スティフネスの作用によって拡大する。ここで、容積Vのキャビネットを用いたスピーカ装置において、あたかもN倍(N>1)の容積をもつキャビネットと同等の低音再生帯域を得ようとする場合を考える。N倍の容積をもつキャビネットにおいて、音響スティフネスの値は、上式(1)より、以下の式で表現される。
【数2】


したがって、負スティフネス発生機構において必要とされる負スティフネスの大きさ(音響スティフネスの減少量)は、以下に示す式の値となる。
【数3】


なお、上式(3)に示す負スティフネスは、線形成分の値を示している。上式(3)に示すように、容積VをN倍に拡大する効果(以下、容積拡大効果と記載する)を得ようとする場合、容積Vが小さいほど、またはNの値が大きいほど、負スティフネス発生機構において必要とされる負スティフネスは増加する。なお、負スティフネス発生機構によって、コーン型振動板105には、3つのスティフネスが作用することとなる。3つのスティフネスのうち、2つは、支持系スティフネスS0と音響スティフネスScである。3つ目は、上式(3)で示した負スティフネス発生機構で発生する負スティフネスである。これら3つのスティフネスと可動マグネット113の変位との関係を図17に示す。図17において、横軸は可動マグネット113の変位を示す。この変位はコーン型振動板105の前面方向を正方向としている。縦軸はコーン型振動板105に作用するスティフネスの大きさを示す。図17に示すCは、コーン型振動板105に作用する音響スティフネスScと支持系スティフネスS0との合力を示す。音響スティフネスScは、上記変位に対して線形である。一方、支持系スティフネスS0は、上記変位が大きくなるとエッジ104およびダンパー108が突っ張りを起こすため、非線形のスティフネスを示す。このため、図17に示すCは、上記変位の大きいところで非線形となる。次に図17に示すDは、負スティフネス発生機構で発生する負スティフネスを示す。図17に示す矢印は、Dにおいて非線形に変化する部分を示している。なお、この矢印によって示された非線形部分の位置は、固定マグネット114の厚さで決まる。図17に示すEは、上記CとDとの合力を示す。したがって、コーン型振動板105には、図17のEに示す大きさのスティフネスが作用することとなる。
【0011】
ここで、特許文献1に開示された従来のスピーカ装置では、小型のスピーカ装置において低音再生帯域をさらに拡大させるためには、より大きな負スティフネスを発生させる必要がある。ここで、より大きな負スティフネスを発生させる方法としては、負スティフネス発生機構の固定マグネット114の外径を大きくするか、もしくはその厚みを減少させる方法が考えられる。固定マグネット114の外径を大きくする場合、当該固定マグネット114のコストが増加してしまう。また、固定マグネット114の外径を大きくすることは、スピーカユニット102の大型化を招く。そしてスピーカユニット102が大型化すると、小型のスピーカ装置に搭載することが困難となる。
【0012】
一方、固定マグネット114の厚みを減少させる場合、図17の矢印に示された非線形部分の位置は、変位の小さい方へ移動する。このため、図17に示したEにおいて、その線形範囲が狭くなる。ここで、コーン型振動板105が線形範囲を超えて振幅すると、再生音の歪が増加するので、再生音質が低下する。また低音再生帯域を拡大させると、一般にコーン型振動板105の振幅は増加する。したがって、再生音の歪を抑えるためには、コーン型振動板105の振幅を制限する必要がある。すなわち、固定マグネット114の厚みを減少させる場合には、振幅を制限する必要があるため、結果的に再生音の最大音圧が低下してしまうという問題があった。
【0013】
また、より大きな負スティフネスを発生させる方法として、固定マグネット114の内径を大きくし、可動マグネット113の外径を大きくすることにより、両マグネットの磁力を強力にする方法も考えられる。しかしながら、マグネットの体積が増加するので、コストが増加するとともに振動系の重量が増加する。その結果、スピーカ装置の能率の低下を招く。以上の理由より、図16に示す従来のスピーカ装置では、小型のスピーカ装置において低音再生帯域をさらに拡大することには限界があり、その実現が困難であった。
【0014】
それ故、本発明の目的は、低音再生帯域をさらに拡大することが可能なスピーカ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の発明は、スピーカ装置において、筐体と、筐体の内部に配置され、当該筐体内部の気体を物理吸着する吸着体と、振動板を含み、筐体に形成された開口部に設けられた振動部と、振動板を駆動して、当該振動板から音を発生させる駆動部と、筐体の内部に配置され、振動板に作用する筐体内部の音響スティフネスを減少させる負スティフネス発生機構とを備える。
【0016】
第2の発明は、上記第1の発明において、吸着体は、活性炭、ゼオライト、カーボンナノチューブ、フラーレン、シリカゲル、および多孔質シリカのうち、少なくとも1つで構成されることを特徴とする。
【0017】
第3の発明は、上記第1の発明において、駆動部は、筐体の内部に配置され、振動板側に第1のマグネットを有する第1の磁気回路と、振動板および当該振動板の振動方向に形成された空隙を介して第1のマグネットに対向して配置された第2のマグネットを有する第2の磁気回路とを含み、第1および第2の磁気回路の少なくとも一方には、所定の磁気ギャップが形成されており、振動部は、ボイスコイルと、振動板に固設され、ボイスコイルを磁気ギャップ内に配置して当該ボイスコイルを支持するボイスコイルボビンと、マグネットを含まない磁性体であり、空隙内に配置された振動板の少なくとも一部に設けられた非マグネット部材とを、さらに含み、これらによって、負スティフネス発生機構は、非マグネット部材と、第1の磁気回路と、第2の磁気回路とで構成され、負スティフネス発生機構は、振動板の振動方向に対して非マグネット部材の空隙内における平衡位置を基準として、当該平衡位置から離れる方向に当該非マグネット部材に振動方向の離反力を与えることによって、筐体内部の音響スティフネスを減少させることを特徴とする。
【0018】
第4の発明は、上記第3の発明において、スピーカ装置は、振動方向に振動する振動部のいずれかの当該振動方向における位置を検出する位置検出部と、位置検出部で検出された振動部の位置に基づいた直流成分を所定の音響信号に加えた信号をボイスコイルに印加することによって、非マグネット部材の振動方向における振幅の中心が平衡位置となるように当該振動板の振動を制御する制御部とを、さらに備える。
【0019】
第5の発明は、上記第1の発明において、負スティフネス発生機構は、筐体の内部空間を第1の空室および第2の空室に分割する仕切板と、仕切板に形成された開口部に配置されるドロンコーンと、その外周が仕切板に固定され、仕切板に対してドロンコーンを振動可能に支持するサスペンションと、ドロンコーンの振動方向における平衡位置を基準として、当該平衡位置から離れる方向に当該ドロンコーンに当該振動方向の離反力を発生させる離反力発生部とを含む。
【0020】
第6の発明は、上記第5の発明において、離反力発生部は、マグネットを含まない磁性体であり、ドロンコーンの少なくとも一部に設けられた非マグネット部材と、非マグネット部材に対してドロンコーンの振動方向前後にそれぞれ所定の空隙を形成し、当該非マグネット部材と対向して固定的に配置された複数のマグネットとを含む。
【0021】
第7の発明は、上記第5の発明において、離反力発生部は、ドロンコーンの少なくとも一部に設けられたマグネットと、マグネットを含まない磁性体である複数の非マグネット部材とを含み、複数の非マグネット部材は、マグネットに対してドロンコーンの振動方向前後にそれぞれ所定の空隙を形成し、当該マグネットと対向してそれぞれ固定的に配置されることを特徴とする。
【0022】
第8の発明は、上記第1の発明において、スピーカ装置は、振動部より筐体の外部側に配置して当該筐体に固設され、環状体の少なくとも一部の形状を有する固定マグネットをさらに備え、振動部は、固定マグネットの内周よりもその外周が小さい環状体の少なくとも一部の形状を有する可動マグネットと、可動マグネットの外周面が固定マグネットの内周面と所定の空隙を介して対向する位置に当該可動マグネットを配置し、当該振動板に固設して共に振動するように当該可動マグネットを支持する支持部材とを、さらに含み、これらによって、負スティフネス発生機構は、固定マグネットおよび可動マグネットで構成され、振動板の振動方向に対して当該可動マグネットの空隙内における平衡位置を基準として、当該平衡位置から離れる方向に可動マグネットに振動方向の離反力を与えることによって、筐体内部の音響スティフネスを減少させることを特徴とする。
【0023】
第9の発明は、上記第8の発明において、駆動部には、磁気ギャップが形成されており、振動部は、磁気ギャップ内に配置されて振動板と共に振動するボイスコイルをさらに含み、スピーカ装置は、振動方向に振動する振動部のいずれかの当該振動方向における位置を検出する位置検出部と、位置検出部で検出された振動部の位置に基づいた直流成分を所定の音響信号に加えた信号をボイスコイルに印加することによって、可動マグネットの振動方向における振幅の中心が平衡位置となるように当該振動板の振動を制御する制御部とを、さらに備える。
【0024】
第10の発明は、上記第1の発明において、駆動部は、圧電型変換器であることを特徴とする。
【0025】
第11の発明は、上記第10の発明において、振動板は、マグネットを含まない磁性体である非マグネット部材をその内部に含んだ部材、およびその外部に当該非マグネット部材が設けられた部材のいずれかで構成され、駆動部は、振動板に設けられた圧電素子であり、スピーカ装置は、振動方向に振動する振動部のいずれかの当該振動方向における位置を検出する位置検出部と、位置検出部で検出された振動部の位置に基づいた直流成分を所定の音響信号に加えた信号を圧電素子に印加することによって、非マグネット部材の振動方向における振幅の中心が当該非マグネット部材における平衡位置となるように当該振動板の振動を制御する制御部とを、さらに備える。
【0026】
第12の発明は、上記第1の発明において、駆動部は、静電型変換器であることを特徴とする。
【0027】
第13の発明は、上記第12の発明において、振動板は、マグネットを含まない磁性体である非マグネット部材をその内部に含んだ部材、およびその外部に当該非マグネット部材が設けられた部材のいずれかで構成され、駆動部は、振動板の両面に対してそれぞれ空隙を介して配置された電極を含み、スピーカ装置は、振動方向に振動する振動部のいずれかの当該振動方向における位置を検出する位置検出部と、位置検出部で検出された振動部の位置に基づいた直流成分を所定の音響信号に加えた信号を電極に印加することによって、非マグネット部材の振動方向における振幅の中心が当該非マグネット部材における平衡位置となるように当該振動板の振動を制御する制御部とを、さらに備える。
【0028】
第14の発明は、上記第1の発明において、吸着体と振動部、駆動部、および負スティフネス発生機構との間を仕切るように配置され、当該吸着体を支持する支持部材をさらに備える。
【0029】
第15の発明は、低音増強装置において、スピーカ装置の内部に配置される低音増強装置であって、筐体と、筐体の内部に配置され、当該筐体内部の気体を物理吸着する吸着体と、筐体に形成された開口部に配置され、当該筐体内部の音響スティフネスを減少させる負スティフネス発生機構とを備える。
【0030】
第16の発明は、上記第15の発明において、負スティフネス発生機構は、開口部に配置されるドロンコーンと、その外周が開口部に固設され、筐体に対してドロンコーンを振動可能に支持するサスペンションと、ドロンコーンの振動方向における平衡位置を基準として、当該平衡位置から離れる方向に当該ドロンコーンに離反力を与える離反力発生部とを含むことを特徴とする。
【0031】
第17の発明は、車両であって、上記第1から第14のいずれかの発明に記載のスピーカ装置と、スピーカ装置をその内部に配置する車体とを備える。
【0032】
第18の発明は、映像機器であって、上記第1から第14のいずれかの発明に記載のスピーカ装置と、スピーカ装置をその内部に配置する機器筐体とを備える。
【0033】
第19の発明は、携帯型情報処理装置であって、上記第1から第14のいずれかの発明に記載のスピーカ装置と、スピーカ装置をその内部に配置する装置筐体とを備える。
【発明の効果】
【0034】
上記第1の発明によれば、吸着体の物理吸着効果と負スティフネス発生機構とによって、筐体内部の音響スティフネスが減少することにより、再生帯域の低音域が拡大する。つまり、低音再生帯域の拡大は、吸着体と負スティフネス発生機構とによって実現される。これにより、負スティフネス発生機構において発生させるべき負スティフネスの大きさは、負スティフス発生機構のみで構成される従来のスピーカ装置と比べて小さくて済む。つまり、従来と比べて負スティフネス発生機構への負担が軽減されるので、負スティフネス発生機構に用いられるマグネットの大型化、当該マグネットのコストの増加、再生音の最大音圧の低下、および再生音の歪の発生などを抑えることができ、低音再生帯域をさらに拡大することができる。
【0035】
上記第2の発明によれば、筐体の容積を等価的に増大させて、低音再生帯域の拡大を図ることができる。
【0036】
上記第3の発明によれば、非マグネット部材は、第1および第2の磁気回路によって空隙中に形成された磁場によって、空隙内の平衡位置から離れる方向に離反力を受ける。つまり、非マグネット部材が少なくとも一部に設けられた振動板は、その振幅が拡大する方向に力を受けて振動する。これにより、筐体内部の音響スティフネスが減少するので、低音再生帯域の拡大を図ることができる。また、非マグネット部材が受ける上記離反力は、第1および第2の磁気回路が空隙中に形成する磁場によって発生する。つまり、非マグネット部材の厚みをある程度薄くしても、第1および第2の磁気回路が空隙中に形成する磁場によって十分な離反力が発生する。したがって、上記離反力を維持したまま、非マグネット部材を薄くすることができ、振動部の軽量化を図ることができる。その結果、スピーカ装置の出力音圧レベルの低下を抑えることができる。また、第1および第2の磁気回路は、自身が形成する磁場によって、非マグネット部材に対して離反力を与える役割と、磁気ギャップを形成してボイスコイルに駆動力を与える役割とを果たすことができる。つまり、第3の発明によれば、非マグネット部材に対して離反力を与えるためのマグネットと、ボイスコイルに対して駆動力を与えるためのマグネットとを1つのマグネットで実現することができるので、スピーカ装置の部品点数を少なくすることができる。
【0037】
上記第4の発明によれば、振動部の変位の偏りを補正することで、スピーカ装置の周囲環境の変化(例えば、温度変化など)に関係なく、非マグネット部材の振幅の中心を平衡位置とした安定な動作が可能となり、能率の低下や歪の少ない高音質のスピーカ装置を提供することができる。また、吸着体の効果により、従来に比べて負スティフネス発生機構で発生させる負スティフネスが小さくてもよい。これにより、上記振動部の変位の偏りを補正する力を小さくすることができるため、ボイスコイルに流す制御信号が小さくなり、制御が容易となる。また、増幅回路を含む制御用回路素子のコストにおいても有利である。また、制御信号によるボイスコイルでの発熱が押さえられるので、熱によるボイスコイル断線のおそれが小さくなる。これにより、従来に比べて、細い線径のボイスコイルを用いて振動系重量を軽量化させることが可能となり、スピーカ装置の能率を向上させることも可能である。
【0038】
上記第5の発明によれば、筐体の内部に配置された負スティフネス発生機構において、離反力発生部が平衡位置から離れる方向の離反力をドロンコーンに与えることで、振動板に作用する筐体内部全体の音響スティフネスを減少させることができる。その結果、低音再生帯域の拡大を図ることができる。
【0039】
上記第6の発明によれば、ドロンコーンの非マグネット部材が、固定的に配置されたマグネットから交互に引力を受けることによって、ドロンコーンに上記離反力を与えることができ、負スティフネスを発生させることができる。
【0040】
上記第7の発明によれば、ドロンコーンのマグネットが、固定的に配置された非マグネット部材から交互に引力を受けることによって、ドロンコーンに上記離反力を与えることができ、負スティフネスを発生させることができる。
【0041】
上記第8の発明によれば、可動マグネットに対して平衡位置から離れる方向に振動方向の離反力が与えられることで、筐体内部の音響スティフネスが減少して、低音再生帯域を拡大することができる。また、本発明によれば、可動マグネットと固定マグネットとは、振動方向に対して互いに衝突しない構造であるので、大振幅する大入力用のスピーカ装置としても有用である。
【0042】
上記第9の発明によれば、振動部の変位の偏りを補正することで、スピーカ装置の周囲環境の変化(例えば、温度変化など)に関係なく、可動マグネットの振幅の中心を平衡位置とした安定な動作が可能となり、歪の少ない高音質のスピーカ装置を提供することができる。また、吸着体の効果により、従来に比べて負スティフネス発生機構で発生させる負スティフネスが小さくてもよい。これにより、上記振動部の変位の偏りを補正する力を小さくすることができるため、ボイスコイルに流す制御信号が小さくなり、制御が容易となる。また、増幅回路を含む制御用回路素子のコストにおいても有利である。また、制御信号によるボイスコイルでの発熱が押さえられるので、熱によるボイスコイル断線のおそれが小さくなる。これにより、従来に比べて、細い線径のボイスコイルを用いて振動系重量を軽量化させることが可能となり、スピーカ装置の能率を向上させることも可能である。
【0043】
上記第10の発明によれば、圧電型変換器を用いたスピーカ装置において、低音再生帯域の拡大を図ることができる。
【0044】
上記第11の発明によれば、スピーカ装置の周囲環境の変化(例えば、温度変化など)に関係なく、非マグネット部材の振幅の中心を平衡位置とした安定な動作が可能となり、歪の少ない高音質のスピーカ装置を提供することができる。
【0045】
上記第12の発明によれば、静電型変換器を用いたスピーカ装置において、低音再生帯域の拡大を図ることができる。
【0046】
上記第13の発明によれば、振動部の変位の偏りを補正することで、スピーカ装置の周囲環境の変化(例えば、温度変化など)に関係なく、非マグネット部材の振幅の中心を平衡位置とした安定な動作が可能となり、歪の少ない高音質のスピーカ装置を提供することができる。また、吸着体の効果により、従来に比べて負スティフネス発生機構で発生させる負スティフネスが小さくてもよい。これにより、上記振動部の変位の偏りを補正する力を小さくすることができるため、制御が容易となる。その結果、スピーカ装置の動作の安定性が向上する。
【0047】
上記第14の発明によれば、吸着体の粒子や繊維が振動部、駆動部、および負スティフネス発生機構部材に接触することを防止することができる。これにより、異音などの動作不良を防止することができる。
【0048】
上記第15の発明によれば、従来のスピーカ装置の内部に低音増強装置を配置することで、手軽に当該スピーカ装置の低音域の再生限界を拡大することができる。つまり、ユーザが所有しているスピーカ装置の内部に本発明の低音増強装置を配置するだけで、現存のスピーカシステムに対する低音増強が図れる。
【0049】
上記第16の発明によれば、離反力発生部は、ドロンコーンが平衡位置から離れる方向に離反力を与えるため、当該離反力によって、ドロンコーンの振幅が増大されて、筐体内部の音響スティフネスを減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
(第1の実施形態)
図1を参照して、第1の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。図1は、第1の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図1において、当該スピーカ装置は、大略的にキャビネット1a、スピーカユニット2a、および吸着体140を備える。なお、本実施形態に係るスピーカ装置は、例えば密閉方式のスピーカ装置である。
【0051】
図1において、吸着体140は、キャビネット1aの内部に配置される。吸着体140は、気体を物理吸着する多孔性材料であり、例えば活性炭である。活性炭には、粒状の活性炭や繊維状の活性炭などがある。多孔性材料は、ミクロ単位の大きさの細孔で気体を吸着することができる。他の多孔性材料の例として、ゼオライト、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO3)、マグネシア(MgO)、四三酸化鉄(Fe3O4)、モレキュラーシーブ、フラーレン、カーボンナノチューブなどでも実現可能である。なお、シリカ(SiO2)としては、例えばシリカゲルおよび多孔質シリカなどがある。また、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、および四三酸化鉄は、例えば微粉末化されたものを用いる。
【0052】
スピーカユニット2aは、例えば円形状のスピーカユニットであり、キャビネット1aの前面(図示するx軸の正方向)に形成された開口部に取り付けられる。また、キャビネット1aは、スピーカユニット2aの振動板に対して音響スティフネスを与える筐体である。スピーカユニット2aは、背面フレーム3、前面フレーム4、第1の磁気回路5、第2の磁気回路10、エッジ15、ダンパー16、振動板17、第1のボイスコイルボビン18、第1のボイスコイル19、第2のボイスコイルボビン20、および第2のボイスコイル21を有する。
【0053】
背面フレーム3は、外周部分に対して内側部分が凸状に突起した形状である。背面フレーム3は、その外周がキャビネット1aの開口部に取り付けられ、キャビネット1aの内部側に向いて凸形状となるように配置される。背面フレーム3には、キャビネット1a内部と通気する音孔3hが形成されている。また、背面フレーム3の上記内側部分の中央には、第1の磁気回路5を取り付けるための開口部が形成されている。前面フレーム4は、背面フレーム3の外周部に固着される。前面フレーム4には、音を前面に放射するための音孔4hが形成されている。第1の磁気回路5は、背面フレーム3の上記内側部分の中央に形成された開口部に固着される。第2の磁気回路10は、前面フレーム4の背面側(x軸の負方向)中央部に固着され、空隙を介して第1の磁気回路5と対向する位置に配置される。また、第1および第2の磁気回路5および10の外形状は、例えば円柱状である。そして、第2の磁気回路10は、その中心軸が第1の磁気回路5の中心軸と一致するように配置される。振動板17は、第1の磁気回路5と第2の磁気回路10との間の空隙中に配置される。振動板17は、少なくとも一部が非マグネット部材17gで構成される。第1のボイスコイルボビン18は、非マグネット部材17gの第1の磁気回路5側に固着される筒状部材である。第1のボイスコイルボビン18の外周面には、第1のボイスコイル19が巻かれている。第2のボイスコイルボビン20は、非マグネット部材17gの第2の磁気回路10側に固着される筒状部材である。第2のボイスコイルボビン20の外周面には、第2のボイスコイル21が巻かれている。エッジ15の外周は、背面フレーム3の外周に固着される。エッジ15の内周は、振動板17の外周に固着される。なお、振動板17およびエッジ15が一体のものを用いてもよい。ダンパー16の外周は、背面フレーム3に固着される。ダンパー16の内周は、振動板17に固着される。なお、本発明においては、スピーカユニット2aにおいて、振動板17(非マグネット部材17gを含む)と、第1および第2のボイスコイルボビン18および20と、第1および第2のボイスコイル19および21とは、入力される電気信号によって振動する振動要素とする。また、エッジ15およびダンパー16は、第1の磁気回路5と第2の磁気回路10との間の空隙中で非マグネット部材17gが振動可能となるように、当該振動要素を支持する支持要素とする。そして、本発明においては、振動要素および支持要素を合わせて振動部とする。
【0054】
第1の磁気回路5は、ヨーク6、第1のマグネット7、磁気プレート8、および第2のマグネット9を有する。ヨーク6は、例えば円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。また、開口した他方端の外周には、その外周方向に鍔部が設けられている。ヨーク6は、当該鍔部を利用して、背面フレーム3の内側部分の中央に形成された開口部に固着される。第1のマグネット7は、円柱形状であり、ヨーク6の内部底面の中央部に固着される。磁気プレート8は、円柱形状であり、第1のマグネット7の前面側に固着される。第2のマグネット9は、円柱形状であり、磁気プレート8の前面側に固着される。第1のマグネット7、磁気プレート8、および第2のマグネット9の各外周面とヨーク6の円筒内面との間には、間隙が形成される。そして磁気ギャップは、当該間隙において、磁気プレート8の外周面とヨーク6の内周面との間に形成される。なお、第1のボイスコイル19は、第1のボイスコイルボビン18によって、第1の磁気回路5に形成された当該磁気ギャップ中に配置される。また、第1のマグネット7および第2のマグネット9は、それぞれ振動板17の振動方向(x軸方向)に着磁される。そして、第1のマグネット7および第2のマグネット9の着磁方向は、互いに反対である。
【0055】
ここで、第2のマグネット9は、自身の磁束を磁気プレート8を介して磁気ギャップに通す。また、第2のマグネット9は、第1のマグネット7と反発する方向に着磁されているので、第1のマグネット7の磁束がより集中して磁気ギャップに通るように作用する。つまり、第2のマグネット9は、磁気ギャップ内の磁束密度を上げて、第1のボイスコイル19の駆動力を増強させる役割を果たす。
【0056】
第2の磁気回路10は、ヨーク11、第1のマグネット12、磁気プレート13、および第2のマグネット14を有する。ヨーク11は、円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク11は、その底面が前面フレーム4の背面側中央部に固着される。第1のマグネット12は、円柱形状であり、ヨーク11の背面側中央部に固着される。磁気プレート13は、円柱形状であり、第1のマグネット12の背面側に固着される。第2のマグネット14は、円柱形状であり、磁気プレート13の背面側に固着される。ここで、磁気プレート13の外周面とヨーク11の内周面との間には、磁気ギャップが形成される。第2のボイスコイル21は、第2のボイスコイルボビン20によって、第2の磁気回路10に形成された当該磁気ギャップ中に配置される。また、第1のマグネット12および第2のマグネット14は、それぞれ振動板17の振動方向(x軸方向)に着磁される。そして、第1のマグネット12および第2のマグネット14の着磁方向は、互いに反対である。なお、第2のマグネット14は、上述した第2のマグネット9と同様に、第2のボイスコイル21の駆動力を増強させる。
【0057】
ここで、第2のマグネット9および第2のマグネット14の着磁方向と、第1および第2のボイスコイル19および21の巻き方向とについて説明する。第2のマグネット9の着磁方向を第2のマグネット14と同方向とする場合は、第1および第2のボイスコイル19および21の巻き方向を互いに反対方向となるように設定する。第2のマグネット9の着磁方向を第2のマグネット14と反対方向とする場合は、第1および第2のボイスコイル19および21の巻き方向を互いに同方向となるように設定する。これにより、第1および第2のボイスコイル19および21に電流が印加されたとき、同方向の駆動力が得られる。
【0058】
振動板17は、コーン形状をした振動板である。また、振動板17は、少なくとも一部が非マグネット部材17gで構成される。ここで非マグネット部材17gは、マグネット以外の磁性体とする。非マグネット部材17gとしては、マグネットほど強い保磁力を持たない、例えば鉄やパーマロイなどの磁性体が挙げられる。また、非マグネット部材17gは、少なくとも第1および第2の磁気回路5および6との間に形成される空隙中に配置されればよい。したがって、例えば振動板17の全面が非マグネット部材17gで構成されてもよい。また例えば、振動板17において、ヨーク6またはヨーク11の外周円形状の内部に相当する部分のみが非マグネット部材17gで構成されてもよい。また、上記第1および第2の磁気回路5および6の内部にそれぞれ形成される間隙を振動板17に対して垂直に投影させた領域は、環状の領域となる。当該環状の領域付近の磁場は、非マグネット部材17gに対して、後述する離反力を最も強く発生させることができる。したがって、少なくとも振動板17の当該環状の領域が非マグネット部材17gで構成されることが好ましい。なお、具体的な振動板17および非マグネット部材17gの構造例としては、非磁性体の振動板17の両面または片面に、平板状の上記非マグネット部材17gを接合した構造が考えられる。
【0059】
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。第1のボイスコイル19および第2のボイスコイル21に電気信号が印加されると、各ボイスコイルに流れる電流と各磁気ギャップに形成された磁界とにより、各ボイスコイルに対して同方向の駆動力がそれぞれ発生する。そして、当該各駆動力が振動板17を前背面方向(x軸方向)に振動させて、音圧が発生する。振動板17で発生した音圧は、キャビネット1aの内部圧力を変化させる。しかしながら、キャビネット1aの内部には吸着体140が配置されている。このため、吸着体140の物理吸着作用によりキャビネット1a内の圧力変化が抑制される。これにより、キャビネット1aがもつ音響スティフネスは減少する。つまり、吸着体140は、キャビネット1a内の圧力変化を抑制することで、当該キャビネット1aがもつ音響スティフネスを減少させる役割を果たす。
【0060】
一方、少なくとも一部が非マグネット部材17gで構成された振動板17は、第1の磁気回路5と第2の磁気回路10との間の空隙中を振動する。振動板17の振動方向は、前背面方向(x軸方向)である。このとき、非マグネット部材17gは、第1および第2の磁気回路5および6が形成する磁場によって、振動板17の振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。例えば、振動板17が第1の磁気回路5側に変位したとき、第1および第2の磁気回路5および6が形成する磁場によって、非マグネット部材17gはその変位を拡大する方向に力を受ける。換言すれば、非マグネット部材17gは、第1の磁気回路5と第2の磁気回路10との間の空隙にある平衡位置から離反する方向の力(以下、離反力という)を受けながら振動することとなる。なお、平衡位置とは、第1の磁気回路5と第2の磁気回路10との間の空隙において、非マグネット部材17gに働く上記離反力が振動方向に釣り合う位置である。
【0061】
ここで、キャビネット1a、振動板17、およびエッジ15で仕切られたキャビネット1aの内部空室の音響スティフネスは、そのバネ力によって振動板17の振動を抑制する。このバネ力は、上記内部空室の容積が小さいほど大きい。そして、バネ力が大きいほど、振動板17の振動は大きく抑制される。これに対して、非マグネット部材17gが受ける上記離反力は、音響スティフネスのバネ力を打ち消す方向に作用する。つまり、上記離反力は、音響スティフネスを減少させる負スティフネスとして作用する。そして、非マグネット部材17g、第1の磁気回路5、および第2の磁気回路10は、負スティフネスを発生させる機構(負スティフネス発生機構)としての役割を果たす。
【0062】
このように、吸着体140の音響スティフネスの低減効果、および負スティフネス発生機構で発生する負スティフネスの両作用によって、キャビネット1aの音響スティフネスが減少する。そして、音響スティフネスが減少することで、キャビネット1aの内部容積が等価的に拡大する。これにより、振動板17が振動しやすくなり、スピーカユニット2aの最低共振周波数が低くなる。その結果、スピーカ装置の低音再生限界が拡大する。
【0063】
ここで、再生帯域を所望の低音域まで拡大させるための具体的な設定方法について説明する。上述したように、吸着体140および負スティフネス発生機構の各容積拡大効果によって、低音再生帯域が拡大する。したがって、所望の低音域を設定する場合は、吸着体140および負スティフネス発生機構の各容積拡大効果を考慮すればよい。以下、所望の低音域が得られるときの容積拡大効果が、実際の容積のN(N>1)倍となる場合について考える。
【0064】
振動板17に対するキャビネット1aの音響スティフネスS1は、下式(4)と表現される。なお、下式(4)において、Vをキャビネット1aの実際の容積、aを振動板17の有効半径、ρを空気の密度、cを音速とする。
【数4】


ここで、キャビネット1aの容積がN倍となる(容積がNVとなる)音響スティフネスS2は、式(4)より下式(5)となる。
【数5】


したがって、式(4)および式(5)より、キャビネット1aの容積が等価的にN倍となるために必要な音響スティフネスの減少量は下式(6)となる。
【数6】


ここで、音響スティフネスがS1であるキャビネット1aにおいて、容積拡大効果がM(M>1)倍である吸着体140を内部に配置したとき、音響スティフネスS1の減少量は、下式(7)で表現される。
【数7】


また、音響スティフネスがS1であるキャビネット1aにおいて、容積拡大効果がL(L>1)倍である負スティフネス発生機構によって、音響スティフネスS1が減少する減少量は、下式(8)で表現される。なお、下式(8)は、負スティフネス発生機構で発生する負スティフネスの線形成分を示した式である。
【数8】


したがって、吸着体140と負スティフネス発生機構とによってキャビネット1aの容積をN倍に拡大させるとき、上式(6)〜上式(8)より、下式(9)の関係式が成立する。
【数9】


このように、上式(9)を満たすように、吸着体140および負スティフネス発生機構の各容積拡大効果をそれぞれ設定すればよい。これにより、所望の低音再生帯域を得ることができる。
【0065】
以下、上記内容を具体的な数値例を挙げて説明する。例えば6倍の容積拡大効果が得られるように設計するとき、必要となる音響スティフネスの減少量は、式(6)においてN=6を代入して、5/6*S1となる。ここで、吸着体140による容積拡大効果が3倍得られたとすると、吸着体140による音響スティフネスの減少量は、式(7)においてM=3を代入して、2/3*S1となる。したがって、式(9)より、負スティフネス発生機構において音響スティフネスを減少させる量は、1/6*S1となる。つまり、負スティフネス発生機構において必要な負スティフネスが1/6*S1となる。このように、負スティフネス発生機構のみで6倍の容積拡大効果を得る場合には、5/6*S1分の負スティフネスを発生させる必要がある。しかし、吸着体140によってキャビネット1aの音響スティフネスが2/3*S1分減少する。したがって、負スティフネス発生機構において必要な負スティフネスは、負スティフネス発生機構のみで実現する場合に比べ、必要な負スティフネスの大きさは、(5/6*S1)/(2/3*S1)=1/6に軽減する。
【0066】
以上のように、本実施形態では、吸着体140および負スティフネス発生機構の両作用によってキャビネット1aの容積が等価的に拡大し、低音域の再生限界の拡大を図ることができる。つまり、低音再生帯域の拡大は、吸着体140および負スティフネス発生機構の両スティフネス低減効果によって実現される。これにより、負スティフネス発生機構において必要な負スティフネスの大きさは、負スティフス発生機構のみで構成される従来のスピーカ装置と比べて小さくて済む。このように、従来と比べて負スティフネス発生機構への負担が軽減されるので、負スティフネス発生機構に用いられるマグネットの大型化、当該マグネットのコストの増加、再生音の最大音圧の低下、および再生音の歪の発生などを抑えることができ、小型のスピーカ装置において低音再生帯域をさらに拡大することができる。このように本実施形態によれば、従来では実現不可能であった低音再生帯域のさらなる拡大を実現することができる。具体的には、所望の低音再生帯域の拡大を図る場合において、従来と比べて、吸着体140の作用の分だけ、負スティフネス発生機構において必要な負スティフネスの大きさを小さくすることができる。これにより、負スティフネス発生機構に用いられるマグネットの大型化、当該マグネットのコストの増加、再生音の最大音圧の低下、および再生音の歪の発生などが抑えられるので、その抑えられる分だけ従来よりも低音再生帯域をさらに拡大することができる。なお、従来と同じ量の低音再生帯域の拡大を図る場合には、従来と比べて再生音の最大音圧の低下や再生音の歪の発生などを抑えることができ、またスピーカ装置の更なる小型化を図ることも可能である。
【0067】
上記内容を具体的な例を挙げて説明する。図2Aに磁場解析を行った第1の磁気回路5、第2の磁気回路10、および非マグネット部材17gを示す。なお、図2Aに示す第1の磁気回路5および第2の磁気回路10は、図1で示した形状とは異なる形状であるが、機能は同じである。振動板17等は、磁場に影響しないため、省略している。第1の磁気回路5および第2の磁気回路10は、非マグネット部材17gを挟んで対称な構造となっている。ここで、第1の磁気回路5および第2の磁気回路10の間隔をX、非マグネット部材17gの厚さをTとする。なお、図2Aに示される各数値(11.0、10.0など)は、第1の磁気回路5および第2の磁気回路10の各寸法を示すものであり、単位はミリメートルである。なお、φによって示される各数値(φ3.1など)は、直径を示す。
【0068】
図2Bは、非マグネット部材17gの変位と当該非マグネット部材17gに作用する力との関係を磁場解析によって解析した結果を示した図である。図2Bの横軸は、非マグネット部材17gの変位を示す。縦軸は、非マグネット部材17gに作用する力の大きさを示す。また図2Bでは、T=0.5mmの条件のもと、Xが11.0mmおよび13.5mmとなるときの結果を示している。なお、図2Bにおいて、非マグネット部材17gの負方向(図2A中、非マグネット部材17gから第2の磁気回路10へ向かう方向)の変位については、正方向(図2A中、非マグネット部材17gから第1の磁気回路5へ向かう方向)と対象であるので、省略する。この磁場解析結果より、第1の磁気回路5および第2の磁気回路10の間隔Xを増やすことにより、発生する負スティフネスは減少するが、線形性は向上している。これにより、吸着体140および負スティフネス発生機構を併用して負スティフネス発生機構で発生させる負スティフネスを減少させた場合、非マグネット部材17gの振幅に対する線形性を向上できることがわかる。その結果、再生音の歪の発生を抑えることができる。
【0069】
図2Aに示す磁気回路においてX=11.0mmの条件のもと、Tが0.5mmおよび0.4mmとなるときの非マグネット部材17gの変位と当該非マグネット部材17gに作用する力との関係を磁場解析によって解析した結果を図2Cに示す。図2Cの横軸は、非マグネット部材17gの変位を示す。縦軸は、非マグネット部材17gに作用する力の大きさを示す。この磁場解析結果より、非マグネット部材17gの厚さを減少させると、負スティフネス発生機構で発生する負スティフネスが減少していることがわかる。これにより、非マグネット部材17gの厚さを薄くして、吸着体140および負スティフネス発生機構を併用して負スティフネス発生機構で発生させる負スティフネスを減少させた場合、振動系の重量がさらに軽量化し、スピーカ装置の能率を向上させることができる。
【0070】
また、上記負スティフネス発生機構は、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって非マグネット部材17gが離反力を受ける構造である。したがって、その構造上、非マグネット部材17gの厚みをある程度薄くしても、当該非マグネット部材17gに十分な離反力を発生させることができる。つまり、本実施形態では、振動板17に接合される非マグネット部材17gを薄く構成することができるので、図16で示した可動マグネット113を用いたスピーカユニットと比べ、振動要素の重量を大幅に軽量化することができる。その結果、本実施形態に係るスピーカ装置では、負スティフネス発生機構をスピーカユニット内部に構成することによって生じる出力音圧レベルの低下を抑えることができる。
【0071】
また、上記第1の磁気回路5は動電型変換器としての役割を果たし、負スティフネス発生機構は当該第1の磁気回路5を一部共有している。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置は、負スティフネス発生機構を構成する磁気回路を新たに設ける場合と比べ、マグネットの体積増大によるスピーカユニットの大型化、作業コストおよび価格コストを抑えることができる。
【0072】
なお、負スティフネス発生機構において発生させる負スティフネスを大きくし過ぎると、振動板17が第1の磁気回路5または第2の磁気回路10に引き寄せられたまま振動できなくなる。これを防止するためには、負スティフネスの大きさが以下の関係を満たすように、負スティフネス発生機構を設定する。
(負スティフネス発生機構の負スティフネス)≦(キャビネット1aの音響スティフネス)+(支持系スティフネス)−(吸着体140による音響スティフネスの減少量)
【0073】
なお、上述では、スピーカユニット2aを例えば円形状のスピーカユニットとしたが、これに限定されない。例えば、楕円形状や矩形形状などの形状であってもよい。また、矩形の対向する2辺のみを半円に置換した、レーストラックのような形状(以下、トラック形状と記載する)であってもよい。また、矩形形状としては、例えば縦辺より横辺が長い細長形状であってもよい。また、スピーカユニット2aに含まれるマグネット、ヨーク、磁気プレートおよび振動板などの形状についても、スピーカユニット2aの形状に合わせて適宜設定してもよいことは言うまでもない。例えば、矩形形状のスピーカユニットであれば、振動板を矩形形状とし、マグネットを四角柱状としてもよい。また、本実施形態に係るスピーカ装置は、図1では密閉方式のスピーカ装置を示したが、これに限定されない。例えば、バスレフ方式やドロンコーン方式など、他の方式であってもよい。
【0074】
また、上述では、第1および第2のボイスコイル19および21を用いたが、いずれか一方のボイスコイルを省略してもよい。この場合、ボイスコイルが省略された側の磁気回路(第1の磁気回路5または第2の磁気回路6)は、磁気ギャップを形成しない構成であってもよい。具体的には、例えばヨークとマグネットのみで構成した磁気ギャップを形成しない磁気回路としてもよい。
【0075】
なお、図1に示したスピーカ装置は、スピーカユニット2aと吸着体140との間を仕切るようにキャビネット1aの内部に配置された、吸着体140を支持する支持部材(図示なし)をさらに備えてもよい。支持部材は、例えば布、フィルム、板状部材などで構成される。布としては、繊維と繊維との間の隙間が吸着体140の粒や繊維よりも小さいものを用いればよい。例えば支持部材が膜状のフィルムである場合には、支持部材の外周が吸着体140とスピーカユニット2aとの間の位置に固着される。この場合、スピーカユニット2aから発生した音圧は、支持部材を介して吸着体140へ伝達する。このように、吸着体140とスピーカユニット2aとの間を仕切るように支持部材が配置されることによって、スピーカユニット2aと接触しないように吸着体140を支持することができる。その結果、吸着体140の粒などが振動板17を含む振動要素と接触することにより生じる異音や動作不良を防止することができる。また、スピーカユニット2aの入力端子(図示せず)などに吸着体140が接触することで生じる電気的なショートについても防止することができる。なお、支持部材は、袋状に形成された布やフィルムであってもよい。この場合、吸着体140は、袋状の支持部材の内部に配置される。また、支持部材が板状部材である場合には、支持部材はスピーカユニット2aと吸着体140との間に固設すればよい。なお、吸着体140に音圧を伝達する必要があるため、吸着体140とスピーカユニット2aとの間が完全には仕切られないように、板状部材を固設する。
【0076】
(第2の実施形態)
図3を参照して、第2の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。本実施形態に係るスピーカ装置は、上述した第1の実施形態に対して、レーザ変位計および制御回路を新たに備える点で異なる。以下、異なる点を中心に説明する。なお、図3は、第2の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。また、図4は、第2の実施形態に係るスピーカ装置の回路ブロック図である。図3において、本実施形態に係るスピーカ装置は、大略的にキャビネット1a、スピーカユニット2a、レーザ変位計22、および制御回路23を備える。なお、スピーカユニット2aは、上述した第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0077】
図4において、レーザ変位計22は、振動板17の振動方向(前背面方向)における変位を検出し、その検出信号を制御回路23に出力する。また図3において、レーザ変位計22は例えば背面フレーム3に設置され、制御回路23と配線で結ばれる。なお、レーザ変位計22は、振動板17の変位を検出できる位置であれば、例えば前面フレーム4およびキャビネット1aなどに配置されてもよい。また、振動板17の変位を検出する方法としては、レーザ変位計を用いる方法ではなく、例えば振動板17に小型マグネットを固着して、ホール素子を用いて位置を検出する方法でもよい。
【0078】
図4において、制御回路23は、レーザ変位計22で検出された振動板17の変位に基づいて、非マグネット部材17gの振幅の中心が第1および第2の磁気回路5および6との間に形成された空隙における上記平衡位置となるような制御信号を生成する。制御回路23で生成された制御信号は、入力音響信号に加算される。入力された音響信号および制御信号は、増幅器などで適宜増幅されて、スピーカユニット2aに印加される。なお、制御信号は、例えば非マグネット部材17gの上記平衡位置からのずれを修正する分の直流電気信号などである。また、図3において、制御回路23は、キャビネット1aの内部に設置され、スピーカユニット2aの入力端子およびレーザ変位計22とそれぞれ配線で結ばれている。また、制御回路23は、キャビネット1aの外部に配置されてもよい。
【0079】
ここで、キャビネット1aの内部の温度が上昇した場合を考える。第1および第2のボイスコイル19および21は、電流が流れると発熱する。第1および第2のボイスコイル19および21の発熱などでキャビネット1a内部の温度が上昇した場合、キャビネット1a内部の空気が膨張あるいは収縮し、内部圧力が変化する。この圧力変化によって、振動板17が力を受け、非マグネット部材17gの振幅の中心は平衡位置からずれる。また、非マグネット部材17gが受ける離反力は、平衡位置を基準として振動方向に対称である。したがって、非マグネット部材17gの振幅の中心が平衡位置からずれると、上記離反力の対称性が極端に崩れてしまい、再生音の音圧低下や歪が発生する。なお、この平衡位置からのずれが大きくなると、振動板17が第1の磁気回路5または第2の磁気回路10に引き寄せられたまま振動できなくなる問題がある。しかしながら、本実施形態では、制御回路23において非マグネット部材17gの振幅の中心が平衡位置となるような制御信号が生成され、入力音響信号に加算される。これにより、振動板17は、温度変化などの周囲環境の変化に関係なく、非マグネット部材17gの振幅の中心を平衡位置とした安定な動作が可能となる。その結果、本実施形態に係るスピーカ装置は、上述した第1の実施形態に係るスピーカ装置に対して、音圧低下や歪の発生をさらに抑えた高音質のスピーカ装置を提供することができる。
【0080】
また、低音再生帯域を拡大させるためには、負スティフネス発生機構に用いるマグネット(第2のマグネット9および14)をより強力なマグネットにして、非マグネット部材17gが受ける離反力を大きくする必要がある。この場合、上記制御回路23による制御では、制御回路23において生成される制御信号によって非マグネット部材17gに与えられる力を大きくする必要がある。つまり、制御回路23において生成される制御信号を大きな直流電気信号にする必要がある。このとき、第1および第2のボイスコイル19および21には大きな直流電流が流れることになり、各ボイスコイルに細い線材を用いれば断線の恐れが生じる。しかし、第1および第2のボイスコイル19および21に太い線材を用いれば、振動重量が増加して能率が低下する。また、大きな直流電流を用いて制御を行う場合、制御回路23を構成する回路素子は大型化、高コスト化する。これに対し、本実施形態に係るスピーカ装置は、従来と同じ量の低音再生帯域の拡大を図る場合には、従来よりも負スティフネス発生機構で発生させる負スティフネスの大きさが小さくて済む。つまり、上記離反力は従来に比べて小さくなる。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置では、制御を行うための直流電流を小さくすることができ、上記能率の低下、大型化、および高コスト化を防ぐことができる。
【0081】
なお、上記レーザ変位計22および制御回路23は、第1の実施形態に限らず、後述する第5〜第7の実施形態に係るスピーカ装置に取り付けた構成としてもよい。これにより、周囲の環境変化によって生じる再生音の音圧低下や歪の発生が抑えられた、高音質のスピーカ装置を提供することができる。
【0082】
(第3の実施形態)
図5および図6を参照して、第3の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。本実施形態に係るスピーカ装置は、負スティフネス発生機構がスピーカユニットとは別に設けられる構成を有する。図5は、第3の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図6は、当該スピーカ装置を図5中の二重点線ABで切断して、x軸の正方向から見た断面図である。
【0083】
図5において、本実施形態に係るスピーカ装置は、大略的にキャビネット1b、スピーカユニット2b、吸着体140、ポート25、および負スティフネス発生機構38を備える。スピーカユニット2bは、キャビネット1bの前面(x軸の正方向)に形成された開口部に取り付けられる。スピーカユニット2bは、例えば通常の動電型スピーカである。また、キャビネット1bは、スピーカユニット2bの振動板に対して音響スティフネスを与える筐体である。ポート25は、キャビネット1bの前面に取り付けられる。負スティフネス発生機構38は、キャビネット1bの内部に固設される。なお、キャビネット1bの内部空間であって、負スティフネス発生機構38の前面側の空室を第1の空室Wb1とする。また、負スティフネス発生機構38の背面側の空室を第2の空室Wb2とする。吸着体140は、第2の空室Wb2に配置される。なお、吸着体140は上述した第1の実施形態と同様のものである。また、本実施形態に係るスピーカ装置は、例えばポート25の音響負荷を利用したバスレフ方式のスピーカ装置である。
【0084】
負スティフネス発生機構38は、ドロンコーン26、エッジ27、第1の磁気回路31、第2の磁気回路34、仕切板35、第1の支持部材36、および第2の支持部材37を備える。仕切板35は、板状部材であり、キャビネット1bの内部に固設される。そして、仕切板35は、キャビネット1bの内部空室を第1の空室Wb1と第2の空室Wb2に分割する。また、仕切板35には、その中央部に開口部が形成されている。第1の支持部材36は、仕切板35の前面側(図示するx軸の正方向側)に固設される。第2の支持部材37は、仕切板35の背面側(図示するx軸の負方向側)に固設される。第1の磁気回路31は、第1の支持部材36の背面側中央部に固着される。第2の磁気回路34は、第2の支持部材37の前面側中央部に固着され、空隙を介して第1の磁気回路31と対向する位置に配置される。第1および第2の磁気回路31および34の外形状は、例えば円柱状である。また、第2の磁気回路34は、その中心軸が第1の磁気回路31の中心軸と一致するように配置される。ドロンコーン26は、少なくとも一部が非マグネット部材26gで構成される。そして、ドロンコーン26は、第1の磁気回路31と第2の磁気回路34との間の空隙中に配置される。エッジ27の外周は、仕切板35に形成された開口部に固着される。エッジ27の内周はドロンコーン26の外周に固着される。そして、エッジ27は第1の磁気回路31と第2の磁気回路34との間の空隙中で非マグネット部材26gがx軸方向に振動可能となるように、ドロンコーン26を支持する支持要素(サスペンション)である。なお、ドロンコーン26およびエッジ27が一体のものを用いてもよい。また、本実施形態においては、ドロンコーン26および上記支持要素が振動部である。
【0085】
第1の磁気回路31は、ヨーク29およびマグネット30を有する。ヨーク29は、例えば円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク29の底面は、第1の支持部材36の背面側中央部に固着される。マグネット30は、ヨーク29の内部底面の中央部に固着される。マグネット30の外周面とヨーク29の円筒内面との間には、間隙が形成される。第2の磁気回路34は、ヨーク33およびマグネット32を有する。ヨーク33は、上述したヨーク29と同形状である。ヨーク33の底面は、第2の支持部材37の前面側中央部に固着される。マグネット32は、ヨーク33の内部底面の中央部に固着される。マグネット32の外周面とヨーク33の円筒内面との間には、間隙が形成される。上記マグネット30および32は、それぞれドロンコーン26の振動方向(x軸方向)に着磁される。なお、マグネット30および32の着磁方向は、同方向であってもよいし、互いに反対であってもよい。
【0086】
ドロンコーン26は、例えば円板状をした振動板であり、少なくとも一部が非マグネット部材26gで構成される。非マグネット部材26gの材質、大きさ、および配置位置は、上述した非マグネット部材17gと同様であるので説明を省略する。また、非マグネット部材26gおよびドロンコーン26の接合構造は、上述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0087】
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。スピーカユニット2bに電気信号が印加されると、音圧が発生する。スピーカユニット2bで発生した音圧は、第1の空室Wb1を介して、ドロンコーン26をx軸方向に振動させる。ドロンコーン26が振動することで、第2の空室Wb2内の圧力が変化する。しかしながら、第2の空室Wb2内には吸着体140が配置されているため、吸着体140の物理吸着作用により第2の空室Wb2内の圧力変化が抑制される。これにより、第2の空室Wb2の音響スティフネスが減少する。第2の空室Wb2の音響スティフネスが減少することで、スピーカユニット2bからみた第1の空室Wb1の音響スティフネスも減少する。つまり、吸着体140は、第2の空室Wb2内の圧力変化を抑制することで、キャビネット1a全体がもつ音響スティフネスを減少させる役割を果たす。
【0088】
一方、負スティフネス発生機構38において、ドロンコーン26が第1の磁気回路31と第2の磁気回路34との間の空隙中を振動する。ドロンコーン26の振動方向は、前背面方向(x軸方向)である。このとき、非マグネット部材26gは、第1および第2の磁気回路31および34が形成する磁場によって、ドロンコーン26の振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。すなわち、本実施形態においては、第1の磁気回路31、第2の磁気回路34、および非マグネット部材26gが負スティフネスを発生させる役割を果たす。ここで、負スティフネス発生機構38内において、負スティフネスを発生させる第1の磁気回路31、第2の磁気回路34、および非マグネット部材26gを離反力発生部とする。つまり、負スティフネス発生機構38内の離反力発生部によって、第2の空室Wb2内の音響スティフネスが減少する。第2の空室Wb2内の音響スティフネスが減少することで、スピーカユニット2bからみた第1の空室Wb1の音響スティフネスも減少する。つまり、負スティフネス発生機構38によって、キャビネット1b全体がもつ音響スティフネスが減少する。
【0089】
以上のように、本実施形態では、吸着体140と、スピーカユニットと別に構成された負スティフネス発生機構38との各作用によって、キャビネット1bの音響スティフネスが減少する。そして、音響スティフネスが減少することで、キャビネット1bの容積が等価的に拡大する。その結果、負スティフネス発生機構38への負担が軽減されるので、負スティフネス発生機構38の動作が安定し、低音再生帯域をさらに拡大することができる。
【0090】
なお、上述の離反力発生部では、振動側を非マグネット部材(非マグネット部材26g)および固定側をマグネット(マグネット30および32)としたが、振動側をマグネットとし固定側を非マグネット部材としてもよい。この場合、マグネットと非マグネットとの間には磁気的な吸引力が発生するので、同様の効果が得られる。また、振動側および固定側の両方をマグネットとしてもよい。この場合、振動側および固定側に用いるすべてのマグネットの着磁方向を同方向とすればよい。また、上述では、第1の磁気回路31と第2の磁気回路34とがそれぞれヨークとマグネットを有する構成を示したが、マグネットのみであってもよい。
【0091】
また、上述では、ドロンコーン26を円板状としたがこれに限定されない。例えば、楕円形状、矩形形状、およびトラック形状などの形状であってもよい。また、矩形形状としては、例えば縦辺より横辺が長い細長形状であってもよい。また、上述では、第1および第2の磁気回路31および34を円柱状としたがこれに限定されない。例えば、楕円形状、矩形形状、およびトラック形状などの形状であってもよい。また、上述の第1および第2の磁気回路31および34は内磁型を構成しているが、外磁型で構成してもよい。また、第1および第2の支持部材36および37については、上述した形状の支持部材に限定されない。第1および第2の磁気回路31および34が空隙を介して対向する位置に配置されるように、第1および第2の磁気回路31および34を支持することが可能な支持部材であればよい。また、本実施形態に係るスピーカ装置は、図5ではバスレフ方式のスピーカ装置を示したが、これに限定されない。例えば、密閉方式やドロンコーン方式など、他の方式であってもよい。
【0092】
(第4の実施形態)
図7を参照して、第4の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。第4の実施形態では、一般的な従来のスピーカ装置の内部に、負スティフネス発生機構38および吸着体140をユニット化した低音増強装置を配置することで、当該スピーカ装置の低音再生帯域の拡大を図る。なお、図7は、従来のスピーカ装置および当該スピーカ装置に配置された低音増強装置の構造断面図である。
【0093】
図7において、本実施形態に係るスピーカ装置は、大略的にキャビネット1c、スピーカユニット2b、ポート25、および低音増強装置40を備える。スピーカユニット2bは、キャビネット1cの前面に形成された開口部に取り付けられる。スピーカユニット2bは、例えば通常の動電型スピーカである。キャビネット1cは、スピーカユニット2bの振動板に対して音響スティフネスを与える筐体である。ポート25は、キャビネット1cの前面に取り付けられる。低音増強装置40は、キャビネット1cの内部に配置される。なお、キャビネット1cの内部空室であって、低音増強装置40外部の空室を第1の空室Wb3とする。また、本実施形態に係るスピーカ装置は、例えばポート25の音響負荷を利用したバスレフ方式のスピーカ装置である。
【0094】
低音増強装置40は、キャビネット39、吸着体140、および負スティフネス発生機構38を有する。負スティフネス発生機構38は、キャビネット39に形成された開口部に取り付けられる。負スティフネス発生機構38は、上述した第3の実施形態と同様のものである。吸着体140は、キャビネット39の内部に配置される。吸着体140は上述した第1の実施形態と同様のものである。ここで、キャビネット39の内部空室を第2の空室Wb4とする。また、スピーカ装置に対して低音増強装置40を固定する必要はなく、負スティフネス発生機構38が第1の空室Wb3と接する位置であれば、どこに配置されてもよい。
【0095】
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。スピーカユニット2bに電気信号が印加されると、音圧が発生する。スピーカユニット2bで発生した音圧は、第1の空室Wb3を介して、ドロンコーン26をx軸方向に振動させる。ドロンコーン26が振動することで、第2の空室Wb4内の圧力が変化する。しかしながら、第2の空室Wb4内には吸着体140が配置されているため、吸着体140の物理吸着作用により第2の空室Wb4内の圧力変化が抑制される。その結果、第2の空室Wb4の音響スティフネスが減少する。第2の空室Wb4の音響スティフネスが減少することで、スピーカユニット2bからみた第1の空室Wb3の音響スティフネスも減少する。つまり、吸着体140は、第2の空室Wb4内の圧力変化を抑制することで、キャビネット1c全体がもつ音響スティフネスを減少させる役割を果たす。
【0096】
一方、上述した第3の実施形態と同様に、上記負スティフネス発生機構38によって、第2の空室Wb4の音響スティフネスは減少する。これにより、負スティフネス発生機構38によって、キャビネット1c全体がもつ音響スティフネスが減少する。
【0097】
以上のように、本実施形態では、従来のスピーカ装置の内部に低音増強装置40を配置することで、手軽に当該スピーカ装置の低音域の再生限界を拡大することができる。つまり、ユーザが所有しているスピーカ装置の内部に本発明の低音増強装置40を配置するだけで、現存のスピーカシステムに対する低音増強が図れる。なお、上述では、バスレフ方式のスピーカ装置を示したが、これに限定されない。例えば、密閉方式やドロンコーン方式など、他の方式であってもよい。
【0098】
(第5の実施形態)
図8を参照して、第5の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。本実施形態に係るスピーカ装置は、上述した第1の実施形態に対して、負スティフネス発生機構の構成が異なる。以下、異なる点を中心に説明する。図8は、第5の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図8において、当該スピーカ装置は、大略的にキャビネット1a、スピーカユニット2c、および吸着体140を備える。なお、本実施形態に係るスピーカ装置は、例えば密閉方式のスピーカ装置である。
【0099】
スピーカユニット2cは、例えば円形状のスピーカユニットであり、キャビネット1aの前面(図示するx軸の正方向)に形成された開口部に取り付けられる。また、キャビネット1aは、スピーカユニット2cの振動板に対して音響スティフネスを与える筐体である。吸着体140は、キャビネット1aの内部に配置される。
【0100】
図8において、スピーカユニット2cは、背面フレーム3、前面フレーム45、第1の磁気回路5、エッジ15、ダンパー16、振動板46、第1のボイスコイルボビン18、第1のボイスコイル19、支持部材47、可動マグネット48、および固定マグネット49を有する。なお、背面フレーム3、第1の磁気回路5、エッジ15、ダンパー16、振動板17、第1のボイスコイルボビン18、および第1のボイスコイル19については、上述した第1の実施形態と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。前面フレーム45は、上述した前面フレーム4に対して、形状のみ異なる。具体的には、円形の開口部である音孔45hが中央部に形成されている。また、第1のボイスコイルボビン18は、振動板46に固設される。そして、その固設部分より内側の振動板46の形状が上述した第1の実施形態と異なる。また、本実施形態においては、振動板46、第1のボイスコイルボビン18、第1のボイスコイル19、支持部材47、および可動マグネット48を第1のボイスコイル19に発生する駆動力によって振動する振動要素とする。また、エッジ15およびダンパー16を上記振動要素を支持する支持要素とする。そして、振動要素および支持要素を合わせて振動部とする。
【0101】
図8において、可動マグネット48および固定マグネット49が負スティフネス発生機構の役割を果たす。支持部材43は、振動板46の前面側中央部に固設された筒状部材である。可動マグネット48の形状は、例えばリング形状である。可動マグネット48の内周面は、支持部材47の外周面に固設される。固定マグネット49は、例えば、その内径が可動マグネット48の外径より大きいリング形状を有する。固定マグネット49は、その内周面と可動マグネット48の外周面とが空隙を形成して対向して配置されるように、前面フレーム45の背面側に固着される。可動マグネット48および固定マグネット49は、振動方向(x軸方向)で同極に着磁される。
【0102】
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。第1のボイスコイル19に電気信号が印加されると、第1のボイスコイル19に流れる電流と磁気ギャップに形成された磁界とにより、駆動力が発生する。そして、当該駆動力が振動板46をx軸方向に振動させて音圧が発生する。以上の動作は通常の動電型スピーカの動作である。ここで、吸着体140の物理吸着作用は、上述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。以下、可動マグネット48および固定マグネット49によって構成される負スティフネス発生機構の作用について説明する。
【0103】
振動板46は、第1のボイスコイル19に発生した駆動力により振動する。このとき、可動マグネット48は、支持部材47と一体となって、固定マグネット49の内周部で振動する。可動マグネット48および固定マグネット49は、振動方向に同方向に着磁されており、変位すると互いに反発する磁場を形成する。したがって、可動マグネット48が平衡位置(磁気的に釣り合う位置)から外れると、可動マグネット48が平衡位置から逃れようとする力が作用する。つまり、可動マグネット48および固定マグネット49は、平衡位置から外れた位置において、スピーカユニット2cの振動部に対して負スティフネスを与えるように作用する。
【0104】
以上のように、本実施形態では、吸着体140と、可動マグネット48および固定マグネット49で構成された負スティフネス発生機構との各作用によって、キャビネット1aの音響スティフネスが減少する。そして、音響スティフネスが減少することで、キャビネット1aの容積が等価的に拡大する。その結果、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0105】
また、本実施形態では、振動板46の振幅が大きくなっても、可動マグネット48が固定マグネット49に衝突しない構造である。これにより、振幅が大きい大入力用スピーカとしても有用である。
【0106】
なお、上述では、スピーカユニット2cを例えば円形状のスピーカユニットとしたが、これに限定されない。例えば、楕円形状、矩形形状、およびトラック形状などの形状であってもよい。また、矩形形状としては、例えば縦辺より横辺が長い細長形状であってもよい。また、上述では、可動マグネット48および固定マグネット49をリング形状と、音孔45hを円形とそれぞれ記載したがこれに限定されない。例えば、細長形状のスピーカユニット2cにおいて、第1のボイスコイル19として四角柱状の筒状部材を用いるとする。このとき、第1のボイスコイル19の開口部が形成する四角形状において、互いに向き合う2つの対辺のいずれか一方の対辺であって、その対辺の各辺に直方体の可動マグネット48がそれぞれ固着される。固定マグネット49は、直方体のものを用い、各可動マグネット48と対向する位置にそれぞれ配置される。前面フレーム45としては、四角形に開口された音孔45hを用いる。このように、可動マグネット48、固定マグネット49、音孔45hは、スピーカユニット2cの形状などに合わせて適宜を設定する。また、本実施形態に係るスピーカ装置は、図8では密閉方式のスピーカ装置を示したが、これに限定されない。例えば、バスレフ方式やドロンコーン方式など、他の方式であってもよい。
【0107】
(第6の実施形態)
図9を参照して、第6の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。本実施形態に係るスピーカ装置は、振動板(振動部)を駆動する変換器(駆動部)として圧電型変換器を用いたスピーカ装置である。図9は、第6の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。なお、図9は、密閉方式のスピーカ装置を示している。図9において、当該スピーカ装置は、フレーム50、吸着体140、振動板51、圧電素子52、第1の磁気回路55、第2の磁気回路58、第1の支持部材59、および第2の支持部材60を備える。吸着体140は、上述した第1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0108】
図9において、スピーカ装置の外形状は、例えば円形状である。フレーム50は、上面(y軸の正方向)に開口部が形成された筐体である。また、フレーム50は、後述する振動板51に対して音響スティフネスを与える筐体である。吸着体140は、フレーム50の内部の底面に配置される。第1の支持部材59は、フレーム50の内部であって、当該吸着体140の上面側に固着される。第1の支持部材59と吸着体140との間には、空隙が形成されている。第1の磁気回路55は、第1の支持部材59の中央部に固設される。第2の磁気回路58は、第1の磁気回路55の上面側であって、第1の磁気回路55と空隙を介して対向する位置に配置される。第2の支持部材60は、フレーム50の内部に固着され、第2の磁気回路58を上記位置に支持する。なお、第1および第2の支持部材59および60には、それぞれ開口部が形成されており、フレーム50の内部空間を遮蔽するものではない。振動板51は、少なくとも一部が非マグネット部材51gで構成される。図9では、例えば振動板51が膜状の非マグネット部材51gのみで構成された場合を示している。なお、振動板51としては、例えば非磁性体である樹脂の振動膜に、膜状の非マグネット部材51gを少なくとも一部に有するものであってもよい。また、振動板51は、例えば非磁性体である樹脂の振動膜の両面に、膜状の非マグネット部材51gを接合したものであってもよい。当該振動板51は、上記第1および第2の磁気回路55および58の間に形成された空隙中に配置されるように、その外周がフレーム50の内部に固定される。なお、振動板51とフレーム50とで形成されるスピーカ装置の内部空室を空室Wb5とする。振動板51の両面には、圧電素子52が固着される。また、振動板51には、圧電素子52に外部から電気信号を印加するための導電体が接続されている。圧電素子52には、当該導電体を介して、外部から電気信号が印加される。
【0109】
第1の磁気回路55は、ヨーク53およびマグネット54を有する。また、第2の磁気回路58は、ヨーク56およびマグネット57を有する。第1の磁気回路55および第2の磁気回路58は、上述した第1の磁気回路31および第2の磁気回路34と同じ構成である。
【0110】
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。振動板51の両面に固着された圧電素子52に、正負が逆の電気信号がそれぞれ印加されると、圧電素子52によって振動板51がたわみ、音圧が発生する。これは通常の圧電型スピーカの動作と同様である。振動板51で発生した音圧によって、空室Wb5内の圧力が変化する。しかしながら、空室Wb5内には吸着体140が配置されているため、吸着体140の物理吸着作用により空室Wb5内の圧力変化が抑制される。その結果、空室Wb5の音響スティフネスは減少する。
【0111】
一方、振動板51は、第1の磁気回路55と第2の磁気回路58との間に形成された空隙中をy軸方向に振動する。このとき、非マグネット部材51gは、第1および第2の磁気回路55および58が形成する磁場によって、振動板51の振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。すなわち、本実施形態においては、振動板51の非マグネット部材51g、第1の磁気回路55、および第2の磁気回路58が負スティフネス発生機構としての役割を果たす。そして、当該負スティフネス発生機構によって、空室Wb5内の音響スティフネスが減少する。
【0112】
以上のように、本実施形態では、圧電型のスピーカ装置において、上述した第1の実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、圧電型のスピーカ装置は、薄型スピーカとして多く使用される。薄型スピーカとして用いられる場合、薄型になるので、振動板の振幅を確保することが難しい。そして、負スティフネス発生機構のマグネットおよび振動板がより近接した位置に配置されることとなる。この場合、負スティフネス発生機構において発生する負スティフネスにおいては、振動板の変位に対して非線形に変化する部分が大きくなる。したがって、従来の負スティフネス発生機構のみで構成されるスピーカ装置においては、低音域の拡大効果を十分に発揮することが困難であった。しかしながら、本実施形態によれば、フレーム50内部の空きスペースに吸着体140を配置することで、当該吸着体140に低音域拡大効果を分担させることができる。そして、負スティフネス発生機構への負担が軽減されるので、マグネットを薄く構成することが可能であり、同じ厚さのスピーカ装置でも振動板とマグネットの距離を大きくすることができる。このため、上記負スティフネスの非線形部分を小さくすることができる。これにより、負スティフネス発生機構の動作が安定し、歪の少ない再生音を得ることができる。
【0113】
なお、上述では、スピーカ装置の外形を例えば円形状としたが、これに限定されない。例えば、楕円形状、矩形形状、およびトラック形状などの形状であってもよい。また、矩形形状としては、例えば縦辺より横辺が長い細長形状であってもよい。また、図9では、本実施形態に係るスピーカ装置として密閉方式のスピーカ装置を示したが、これに限定されない。例えば、バスレフ方式やドロンコーン方式など、他の方式であってもよい。
【0114】
(第7の実施形態)
図10を参照して、第7の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。本実施形態に係るスピーカ装置は、上述した第6の実施形態に対して、振動板(振動部)を駆動する変換器(駆動部)として静電型変換器を用いる点で異なる。図10は、第7の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。なお、図10は、密閉方式のスピーカ装置を示している。図10において、当該スピーカ装置は、フレーム61、吸着体140、第1のマグネット62、第1の電極63、スペーサ64、振動板65、第2の電極66、および第2のマグネット67を備える。吸着体140は、上述した第1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0115】
図10において、スピーカ装置の外形は、例えば円形状である。フレーム61は、上面(y軸の正方向)に開口部が形成された筐体である。また、フレーム61は、後述する振動板65に対して音響スティフネスを与える筐体である。吸着体140は、フレーム61の内部の底面に配置される。第1のマグネット62は、多数の開口部が形成されたシート状の部材である。そして、第1のマグネット62は、フレーム61の開口部端面に固設される。第1の電極63は、多数の開口部が形成された板状の導電性部材である。第1の電極63は、第1のマグネット62の上面に固設される。振動板65は、少なくとも一部が非マグネット部材65gで構成される。図10では、例えば振動板65が膜状の非マグネット部材65gのみで構成された場合を示している。なお、振動板65としては、例えばアルミニウムで構成される振動膜の非磁性体に膜状の非マグネット部材65gを少なくとも一部に有するものでもよい。また、例えばアルミニウムの振動膜の両面に、膜状の非マグネット部材65gを接合したものであってもよい。振動板65は、リング状のスペーサ64を介して、第1の電極63の上面側に配置される。なお、振動板65とフレーム61とで形成される空室を空室Wb6とする。第2の電極66は、第1の電極63と同様の導電性部材である。第2の電極66は、スペーサ64を介して、振動板65の上面側に配置される。第2のマグネット67は、第1のマグネット62と同様の部材である。そして、第2のマグネット67は、第2の電極66の上面に固設される。図10に示すように、スペーサ64は、振動板65の振幅を確保するために、振動板65と各電極(第1および第2の電極63および66)との間にそれぞれ配置されている。また、図10において、第2のマグネット67は、第1のマグネット62と空隙(振動板65、第1の電極63、および第2の電極66を含む空隙)を介して対向する位置に配置されている。
【0116】
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。まず、第1および第2の電極63および66と振動板65との間に直流電圧を印加する。そして、第1および第2の電極63および66にインピーダンス整合用のトランス(図示せず)を介して音響電気信号を重畳する。これにより、振動板65がy軸方向に振動し、音圧が発生する。これは、通常の静電型スピーカの動作と同様である。振動板65で発生した音圧によって、空室Wb6内の圧力が変化する。しかしながら、空室Wb6内には吸着体140が配置されているため、吸着体140の物理吸着作用により空室Wb6内の圧力変化が抑制される。その結果、空室Wb6の音響スティフネスは減少する。
【0117】
一方、振動板65は、第1のマグネット62と第2のマグネット67との間に形成された空隙中をy軸方向に振動する。このとき、非マグネット部材65gは、第1および第2のマグネット62および67が形成する磁場によって、振動板65の振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。すなわち、本実施形態においては、振動板65の非マグネット部材65g、第1のマグネット62、および第2のマグネット67が負スティフネス発生機構としての役割を果たす。そして、当該負スティフネス発生機構によって、空室Wb6内の音響スティフネスが減少する。
【0118】
以上のように、本実施形態では、静電型のスピーカ装置において、上述した第1の実施形態と同様の効果を発揮することができる。また、静電型のスピーカ装置は、上述した第6の実施形態と同様に薄型スピーカとして多く使用される。そして、本実施形態によれば、上述した第6の実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0119】
なお、上述では、スピーカ装置の外形を例えば円形状としたが、これに限定されない。例えば、楕円形状、矩形形状、およびトラック形状などの形状であってもよい。また、矩形形状としては、例えば縦辺より横辺が長い細長形状であってもよい。また、図10では、本実施形態に係るスピーカ装置として密閉方式のスピーカ装置を示したが、これに限定されない。例えば、バスレフ方式やドロンコーン方式など、他の方式であってもよい。
【0120】
なお、上述した第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置は、一例として、自動車の車体の内部に配置される。車体内部としては、例えば自動車のドアに搭載される。図11は、スピーカユニットが自動車のドアに搭載された一例を示す図である。自動車のドアは、窓部70、ドア本体71、スピーカユニット72、および吸着体73で構成される。
【0121】
図11において、スピーカユニット72は、例えば上述したスピーカユニット2aである。スピーカユニット72は、ドア本体71に取り付けられる。ドア本体71内部には、空間が形成されている。つまり、当該ドア本体71は、スピーカユニット72の振動板に対して音響スティフネスを与える筐体である。また、吸着体73は、ドア本体71の内部に配置される。このように、ドア本体71、スピーカユニット72、および吸着体73によって、上述した第1の実施形態と同様のスピーカ装置が実現される。なお、上述以外にも、第2〜第5の実施形態に係るスピーカ装置を自動車のドアに適用してもよい。また、第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置自体を自動車のドアに適用する場合には、スピーカユニット72の代わりに第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置のみを取り付ければよい。
【0122】
このように、第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置を自動車のドアに適用することで、低音の再生帯域が拡大された車内リスニング環境を提供することが可能となる。また、ドア本体71の内部には、窓ガラス収納部、窓ガラス自動開閉機構、ドアロック、配線および制御回路などが搭載されているため、ドア本体71の内部容積が限定されている。したがって、所望の低音再生を実現するためには、ドア本体71がもつ音響スティフネスを大幅に減少させる必要がある。これに対し、第1〜第7の実施形態によれば、負スティフネス発生機構への負担が軽減されるので、低域再生帯域をさらに拡大することが可能である。
【0123】
また、他の例として、上述した第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置が、車体内部に配置される車載用のスピーカ装置であってもよい。図12は、自動車の車体内部に設置されたスピーカ装置の一例を示す図である。図12において、当該スピーカ装置75は、例えば座席74の下に設置される。ここで、スピーカ装置75は、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置のいずれかである。なお、第6および第7の実施形態に係るスピーカ装置を設置器具などを用いて設置してもよい。
【0124】
このように、スピーカ装置75を車両に搭載することによって、低音の再生帯域が拡大された車内リスニング環境を提供することが可能となる。また、第1〜第7の実施形態によれば、従来のスピーカ装置と比べ、低域再生帯域の更なる拡大を図ることが可能である。したがって、従来を同じレベルの低音再生を目指すとき、スピーカ装置75のキャビネットを従来と比べて小型化できる。そして、当該スピーカ装置75を自動車の車内に搭載することで、より広い車内空間が確保される。また、サブウーファなどの低音用スピーカ装置においては、一般的に容積の大きなキャビネットが必要となるので特に有効である。
【0125】
また、他の例として、上述した第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置が、図13に示す車載用のスピーカ装置であってもよい。図13は、自動車の車体内部に設置されたスピーカ装置の他の例を示す図である。図13において、スピーカ装置は、キャビネット76、台座77、スピーカユニット78、および吸着体79を備える。
【0126】
図13において、スピーカユニット78は、例えば上述したスピーカユニット2aである。スピーカユニット78は、円筒形状を有するキャビネット76に取り付けられる。なお、キャビネット76の形状は、図13に示す円筒形状に限定されず、直方体形状などであってもよい。キャビネット76の内部には、吸着体79が配置される。このように、キャビネット76、スピーカユニット78、および吸着体79によって、上述した第1の実施形態と同様のスピーカ装置が実現される。なお、上述以外にも、第2〜第5の実施形態に係るスピーカ装置を図13に示す車載用のスピーカ装置に適用してもよい。また、第1〜第7の実施形態を図12に示す車載用のスピーカ装置に適用する場合には、第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置自体で実現可能である。
【0127】
このように、第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置を車載用のスピーカ装置に適用することで、低音の再生帯域が拡大された車内リスニング環境を提供することが可能となる。また、第1〜第7の実施形態によれば、従来のスピーカ装置と比べ、低域再生帯域の更なる拡大を図ることが可能である。したがって、従来を同じレベルの低音再生を目指すとき、スピーカ装置のキャビネット76を従来と比べて小型化できる。そして、当該スピーカ装置を自動車の車内に搭載することで、より広い車内空間が確保される。また、サブウーファなどの低音用スピーカ装置においては、一般的に容積の大きなキャビネットが必要となるので特に有効である。
【0128】
また、上述した第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置は、例えばAVシステムなどに搭載される。一例として、上述した第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置は、映像機器(例えば、ブラウン管テレビ、液晶テレビ、プラズマテレビなど)に搭載される。
【0129】
図14は、上記スピーカ装置を薄型テレビに搭載した構成の一例を示す図である。図14には、当該薄型テレビの正面図と、その一部を線OAにおける断面図で示した側面図とが示されている。図14において、当該薄型テレビは、大略的に薄型テレビ本体85、ディスプレイ86、および2個のスピーカ装置87を備える。スピーカ装置87は、キャビネット88、スピーカユニット89、および吸着体90を備える。
【0130】
図14において、キャビネット88は、ディスプレイ86の下部に設けられた機器筐体の内部空間に配置される。スピーカユニット89は、例えば楕円形状のスピーカユニット2aである。そして、スピーカユニット89は、キャビネット88に取り付けられる。吸着体90は、キャビネット88の内部に配置される。このように、キャビネット76、スピーカユニット78、および吸着体90によって、上述した第1の実施形態と同様のスピーカ装置が実現される。なお、上述以外にも、第2〜第5の実施形態に係るスピーカ装置を薄型テレビに搭載してもよい。また、第1〜第7の実施形態を薄型テレビに搭載する場合には、ディスプレイ86の下部に設けられた筐体の内部空間に第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置を直接取り付ければよい。
【0131】
このように、第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置を薄型テレビ本体85に搭載することで、低音の再生帯域が拡大されたリスニング環境を提供することが可能となる。また、第1〜第7の実施形態によれば、従来を同じレベルの低音再生を目指すとき、スピーカ装置のキャビネット88を従来と比べて小型化できる。つまり、当該スピーカ装置87を搭載することによって、薄型テレビの更なる薄型化を図ることができる。
【0132】
また、上述した第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置は、例えば携帯電話等の携帯型情報処理装置用のスピーカ装置として用いられる。図15は、第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置を携帯電話91に搭載した構成の一例を示す図である。なお、図15においては、スピーカ装置92を破線で示している。図15において、例えば上述した第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置のいずれかが、スピーカ装置92として携帯電話91に設けられた装置筐体の内部に配置される。なお、第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置を用いる場合においては、スピーカユニットを携帯電話91の筐体の開口部に取り付け、その筐体内部に吸着体140を配置することによっても実現可能である。
【0133】
このように、第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置を携帯電話91に搭載することで、低音の再生帯域が拡大されたリスニング環境を提供することが可能となる。また、例えば図15に示す携帯電話においては、小型化、薄型化が特に進んでいる。それに伴い、スピーカ装置の占有スペースも大きく制限される。しかしながら、第1〜第7の実施形態係るスピーカ装置によれば、従来と同じ制限されたスペースであっても、低音再生帯域の拡大を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明に係るスピーカ装置は、低音再生帯域をさらに拡大することが可能であり、小型スピーカ装置、液晶テレビやプラズマディスプレイ用のスピーカ装置、オーディオ機器、カーオーディオ機器、車載用スピーカ等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】第1の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図
【図2A】磁場解析を行った磁気回路の構造断面図
【図2B】図2AのXを変化させたときの非マグネット部材17gの変位と当該非マグネット部材17gに作用する力との関係を磁場解析によって解析した結果を示した図
【図2C】図2AのTを変化させたときの非マグネット部材17gの変位と当該非マグネット部材17gに作用する力との関係を磁場解析によって解析した結果を示した図
【図3】第2の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図
【図4】第2の実施形態に係るスピーカ装置の回路ブロック図
【図5】第3の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図
【図6】図5に示すスピーカ装置を線ABで切断して、x軸の正方向から見た断面図
【図7】従来のスピーカ装置および当該スピーカ装置に配置された低音増強装置の構造断面図
【図8】第5の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図
【図9】第6の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図
【図10】第7の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図
【図11】スピーカユニットが自動車のドアに搭載された一例を示す図
【図12】自動車の車体内部に設置されたスピーカ装置の一例を示す図
【図13】自動車の車体内部に設置されたスピーカ装置の他の例を示す図
【図14】第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置を薄型テレビに搭載した構成の一例を示す図
【図15】第1〜第7の実施形態に係るスピーカ装置を携帯電話91に搭載した構成の一例を示す図
【図16】従来のスピーカ装置の断面構造図
【図17】3つのスティフネスと可動マグネット113の変位との関係を示す図
【符号の説明】
【0136】
1、39、76、88 キャビネット
2、72、78、89 スピーカユニット
3 背面フレーム
4、45 前面フレーム
5、31、55 第1の磁気回路
6、11、29、33、53、56 ヨーク
7、9、12、14、30、32、54、57、62、67 マグネット
8、13 磁気プレート
10、34、58 第2の磁気回路
140、79、73、90 吸着体
15、27 エッジ
16 ダンパー
17、46、51、65 振動板
17g、26g、51g、65g 非マグネット部材
18、20 ボイスコイルボビン
19、21 ボイスコイル
22 レーザ変位計
23 制御回路23
25 ポート
26 ドロンコーン
35 仕切板
36、37 支持部材
38 負スティフネス発生機構
40 低音増強装置
47、59、60 支持部材
48 可動マグネット
49 固定マグネット
50、61 フレーム
52 圧電素子
63、66 電極
64 スペーサ
70 窓部
71 ドア本体
74 座席
75、87、92 スピーカ装置
77 台座
85 薄型テレビ本体
86 ディスプレイ
91 携帯電話





 

 


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