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発明の名称 光電変換装置及びその駆動方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−5938(P2007−5938A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−181195(P2005−181195)
出願日 平成17年6月21日(2005.6.21)
代理人 【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
発明者 亀島 登志男 / 遠藤 忠夫 / 八木 朋之 / 竹中 克郎
要約 課題
ダイナミックレンジの制限を回避して高い感度を得ることができる光電変換装置及びその制御方法を提供する。

解決手段
共通ゲート線Vg1に接続された画素については、期間t2〜t3において電荷量Q0のプリチャージを行い、期間t4において光電変換及び放電を行うことにより、ΔQだけ電荷量を低下させる。次いで、期間t5〜t6においてプリチャージされた電荷(電荷量:Q0)の差し引きを行うことにより、蓄積容量における残存電荷量をΔQとする。そして、期間t7〜t8において入射光量に対応した電荷量ΔQの読み出しを行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
光検出機能とスイッチング機能を有する薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタに接続された蓄積容量と、
前記蓄積容量に蓄積されている電荷の量を読み出す読み出し手段と、
前記薄膜トランジスタ及び読み出し手段の動作を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、
第1のインターバルにおいて、前記蓄積容量に所定量の電荷をプリチャージし、
前記第1のインターバルに続く第2のインターバルにおいて、前記薄膜トランジスタをオフ状態にしながら、前記薄膜トランジスタに光を入射させることにより、前記蓄積容量にプリチャージされている電荷の少なくとも一部を放電させ、
前記第2のインターバルに続く第3のインターバルにおいて、前記蓄積容量に残存している電荷の量から、前記プリチャージされた所定量の電荷を差し引き、
前記第3のインターバルに続く第4のインターバルにおいて、前記蓄積容量に残存している電荷の量を前記読み出し手段に読み出させることを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記薄膜トランジスタのゲート電極が接続されたゲート駆動手段と、
前記蓄積容量に接続され、少なくとも第1の電圧と第2の電圧とを切り替えて前記蓄積容量に印加することが可能な電源手段と、
を有し、
前記制御装置は、前記ゲート駆動手段及び電源の制御も行うことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記読み出し手段は、前記薄膜トランジスタのソース電極に接続された一方の入力端子をリセット可能な積分アンプを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記第1のインターバルにおいて、前記積分アンプをリセットし、前記薄膜トランジスタをオフにした状態で、前記電源手段を前記第1の電圧から前記第2の電圧へ変化させ、
前記第2のインターバルにおいて、前記積分アンプをリセットし、前記薄膜トランジスタをオフにし、前記電源手段を前記第2の電圧にした状態で、前記薄膜トランジスタに光を入射させ、
前記第3のインターバルにおいて、前記積分アンプをリセットし、前記薄膜トランジスタをオフにした状態で、前記電源手段を前記第2の電圧から前記第1の電圧へと変化させ、
前記第4のインターバルにおいて、前記電源手段を前記第1の電圧に維持した状態で、前記積分アンプのリセットを終了させ、前記薄膜トランジスタをオンにすることにより、前記蓄積容量に蓄積されている電荷を前記読み出し手段に読み出させることを特徴とする請求項3に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記電源手段は複数種の電圧値を設定可能であり、
前記制御手段は複数種の電荷量で前記蓄積容量をプリチャージ可能であることを特徴とする2乃至4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記薄膜トランジスタは、少なくともアモルファスシリコン又はポリシリコンの少なくとも一方を原料として構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
照射された放射線の波長を光線の波長に変換する波長変換体を更に含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置に対してX線を照射するX線発生手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記薄膜トランジスタ、読み出し手段及びX線発生手段の動作を制御することにより、被写体を透過したX線画像を前記読み出し手段に読み取らせることを特徴とするX線撮影システム。
【請求項9】
光検出機能とスイッチング機能を有する薄膜トランジスタ及び前記薄膜トランジスタに接続された蓄積容量を含む画素を備えた光電変換装置の駆動方法であって、
前記蓄積容量に所定量の電荷をプリチャージする第1のインターバルと、
前記薄膜トランジスタをオフ状態にしながら、前記薄膜トランジスタに光を入射させることにより、前記蓄積容量にプリチャージされている電荷の少なくとも一部を放電させる第2のインターバルと、
前記蓄積容量に残存している電荷の量から、前記プリチャージされた所定量の電荷を差し引く第3のインターバルと、
前記蓄積容量に残存している電荷の量を前記読み出し手段に読み出す第4のインターバルと、
を有することを特徴とする光電変換装置の駆動方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、光応答性を有する薄膜トランジスタ(TFT)を光検出素子として用いた光電変換装置及びその駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、アモルファスシリコンなどの光応答性を有するTFTを光検出素子として用いる光電変換装置について報告がされている。図5は、光電変換装置の構成を示す回路図である。
【0003】
この光電変換装置には、蓄積容量CSと薄膜トランジスタTrとを備えた画素がアレイ状に配列された2次元エリアセンサアレー2が設けられている。ここでは、便宜上、4行4列の画素が配列されたものとする。各画素の薄膜トランジスタTrのゲート電極は、行毎に共通ゲート線Vg1〜Vg4に接続されている。また、薄膜トランジスタTrのソース電極は、列毎に共通信号線Sig1〜Sig4に接続されている。蓄積容量CSの一方の電極は薄膜トランジスタTrのドレイン電極に接続され、他方の電極は共通Cs駆動線(バイアスライン)Vcsに接続されている。共通ゲート線Vg1〜Vg4は、シフトレジスタ(図示せず)等を含むゲートドライバ(ゲート駆動装置)4に接続されている。共通信号線Sig1〜Sig4は読み出し回路5に接続されている。
【0004】
読み出し回路5には、共通信号線毎に、リセットスイッチ及び積分容量を有する積分アンプAmp、並びにサンプルホールド回路が設けられている。積分アンプAmpは、リセットスイッチでリセット可能な構成となっている。積分アンプAmpの他方の入力は基準電位(ここでは、接地電位GND)が接続されている。更に、読み出し回路5には、各サンプルホールド回路SHの後段に接続されたアナログマルチプレクサ6及びバッファアンプBAが設けられている。読み出し回路5の後段には、A/D変換回路7が設けられており、読み出し回路5から出力されたアナログ信号がデジタル信号に変換され、デジタル出力バスから出力される。
【0005】
また、共通Cs駆動線Vcsは、2種類の電圧VA(低電位)及びVB(高電圧)を切り替えて出力することが可能な電源3に接続されている。更に、電源3、ゲートドライバ4及び読み出し回路5の動作を制御する制御回路1が設けられている。例えば、制御回路1から電源3にCs_DRV信号が出力され、読み出し回路5内のリセットスイッチにRC信号が出力され、読み出し回路5内のサンプルホールド回路にSH信号が出力される。RC信号、SH信号により、夫々リセットスイッチ、サンプルホールド回路のスイッチのオン/オフが切り替えられる。図12は、電源3の詳細を示す図である。
【0006】
次に、各画素及びその駆動方法の詳細について説明する。図6は、1画素及びこの周辺回路を示す回路図である。上述のように、2次元エリアセンサアレーの画素には蓄積容量CS及び薄膜トランジスタTrが設けられており、蓄積容量CSの一方の電極と薄膜トランジスタTrのドレイン電極とが互いに接続されている。また、薄膜トランジスタTrのゲート電極がゲートドライバ4に接続され、ソース電極が読み出し回路5の積分アンプAmpの一方の入力に接続されている。積分アンプAmpの出力はサンプルホールド回路に接続されている。蓄積容量CSの他方の電極は電源3に接続されている。
【0007】
図7は、図6に示す画素の構造を模式的に示す断面図である。画素には、スイッチング機能及び光電変換機能を具えた薄膜トランジスタTrと、この薄膜トランジスタTrに接続された蓄積容量CSが設けられている。薄膜トランジスタTrは、例えばアモルファスシリコンを用いたボトムゲート型TFTである。即ち、ガラス基板101上にゲート電極102が設けられ、ゲート電極102の上にアモルファスシリコン窒化膜等からなる絶縁膜104が形成されている。絶縁膜104は蓄積容量CS内まで延在しているが、ゲート電極102上の部分がゲート絶縁膜として機能する。更に、絶縁膜104(ゲート絶縁膜)上にチャネル部としてアモルファスシリコン半導体層105が形成され、半導体層105上の2箇所にn+層106が形成されている。そして、2個のn+層106上に導電層106及び107が形成されている。導電層106は蓄積容量CS内まで延在しているが、n+層106上の部分がドレイン電極として機能し、導電層107がソース電極として機能する。一方、蓄積容量CSについては、ガラス基板101上に下電極103が形成されている。そして、下電極103上に、薄膜トランジスタTrから延在する絶縁膜104及び導電層108が形成されている。絶縁膜104及び導電層108の下電極103上の部分が、夫々容量絶縁膜、上電極として機能する。そして、これらが保護層109により覆われている。なお、薄膜トランジスタTrのゲート電極と蓄積容量の下電極とは同一の層から形成され、薄膜トランジスタTrのゲート絶縁膜と蓄積容量CSの絶縁層とが同一の層から構成され、薄膜トランジスタTrのソース電極及びドレイン電極と蓄積容量CSの上電極とが同一の層で形成されている。
【0008】
ここで、光応答性を有する薄膜トランジスタ(TFT)の特性について説明する。図8は、光応答性を有するTFTの特性(TFTのソースドレイン間電流Idsのゲート電圧依存性)を示すグラフである。即ち、図8は、ソースドレイン間に電圧Vdsを印加した状態で、ゲート電圧Vgを変化させた時の電流Idsの変化を示したものである。図8に示すように、TFTがオフになるようにゲート電極に負電位を印加した状態で光が入射すると、電流IdsがIdarkからIphotoへと変化する。即ち、光入射によりTFTのオフ抵抗値が変化する。従来の光電変換装置では、このような抵抗値の変化を利用している。
【0009】
図9は、従来の光電変換装置における1画素の駆動方法を示すタイミングチャートである。図9において、Lightは薄膜トランジスタTrへの光照射、RCは積分アンプAmpのリセットスイッチへのRC信号、Vgは薄膜トランジスタTrのゲートパルス、Cs_DRVは電源3から蓄積容量CSに印加されるパルス、Vdは薄膜トランジスタTrのドレイン電極の電位、Voutは積分アンプAmpの出力、SHはサンプルホールド回路のスイッチへのSH信号の変化を夫々示している。以下の制御は、主に制御回路1により行われる。
【0010】
上述のような画素の駆動に当たっては、期間u1において、薄膜トランジスタTrをオン状態として、RCをハイにする。従って、VdがGNDにリセットされる。
【0011】
期間u2において、電源3を制御することにより、Cs_DRVの電位をVBにする。この結果、蓄積容量CSの電源3側の電位がVBとなるが、薄膜トランジスタTrはオンのままであり、且つ、リセットスイッチもオンのままであるため、VdはGNDのまま変化しない。
【0012】
期間u3において、薄膜トランジスタTrをオフ状態にする。但し、ドレイン電極の電位VdはGNDのまま変化しない。
【0013】
期間u4において、Cs_DRVの電位をVBからVAに変化させる。この結果、電源3から供給される電位がΔVだけ変化する。このとき、薄膜トランジスタTrがオフ状態となっているため、Vdは−ΔVとなる。一方、薄膜トランジスタTrのソース電極の電位は、リセットスイッチがオンのままであるため、GND電位に保持されている。即ち、期間u4において、薄膜トランジスタTrのソース−ドレイン間にΔVの電位差が生じる。言い換えると、蓄積容量CSの静電容量をCsとすると、蓄積容量CSに、ΔV×Csで表される電荷Q0がプリチャージされる。
【0014】
期間u5において、薄膜トランジスタTrに光を入射させる。光入射により、電流Iphotoがソース−ドレイン間に流れ、期間u4で蓄積容量CSにプリチャージされた電荷の少なくとも一部が放電される。即ち、光入射時間をTphotoとすれば、Iphoto×Tphotoで表される電荷ΔQが放電される。但し、期間u5では積分アンプAmpがリセットされ続けているため、放電された電荷ΔQが信号として読み出されることはない。
【0015】
期間u6において、光入射をオフとする。光が入射していない時にもオフ電流Idarkが流れるが、この値は極めて小さいため、蓄積容量CSに蓄積されている電荷はそのまま保持され続ける。
【0016】
期間u7において、リセットスイッチをオフとし、積分アンプAmpのリセット動作を終了する。このとき、薄膜トランジスタTrがオフ状態となっているため、蓄積容量CSの電荷は保持されたままである。
【0017】
期間u8において、薄膜トランジスタTrのゲート電極にゲートドライバ4よりパルスを印加し、薄膜トランジスタTrをオンにする。この結果、蓄積容量CSに保持されていた電荷(Q0−ΔQ)が積分アンプAmpの積分容量に転送され、出力Voutが変化する。ドレインの電位Vdは、電荷の移動に伴って基本的にはGNDに収束する。
【0018】
その後、期間u9において、読み出し回路5において積分アンプAmpの出力をサンプルホールドし、期間u10において、サンプルホールドを終了する。
【0019】
そして、期間u1に戻り、Vd及びVoutをGNDに収束させ、更に、期間u1〜u10の処理を繰り返し行う。
【0020】
このような制御は、次のように言い換えることもできる。即ち、期間u1〜u4において、蓄積容量CSに初期電荷Q0をプリチャージする(プリチャージ期間)。期間u5において、入射光の強度及び時間に応じて電荷ΔQを放電させ、電荷量を「Q0−ΔQ」とする(光電変換期間)。期間u8〜u9において、残存電荷「Q0−ΔQ」を読み出す(読み出し期間)。即ち、従来の光電変換装置は、プリチャージ期間、光電変換期間及び読み出し期間を繰り返すことにより、光検出動作を行っているということができる。
【0021】
図9に示すタイミングチャートは、図6に示すような1画素に関するものであるが、図5に示すような2次元エリアセンサアレー2を備えた光電変換装置の動作を示すタイミングチャートは、図10に示すようなものとなる。図10において、Vg1〜Vg3は共通ゲート線Vg1〜Vg3に印加されるゲートパルス、Vd1〜Vd3は共通ゲート線Vg1〜Vg3に接続された薄膜トランジスタTrのドレイン電極の電位、Vout1は共通信号線Sig1に接続された積分アンプAmpの出力の変化を夫々示している。その他の信号に関しては図9に示すものと同様である。
【0022】
図5に示す光電変換装置においても、その基本的な動作は図9に示すものと同様とするが、共通ゲート線毎のプリチャージ期間を設け、このプリチャージ期間の後にすべての画素に共通の光電変換期間を設け、この光電変換期間の後に共通ゲート線毎の読み出し期間を設け、これらを繰り返すことにより、光検出動作を行う。
【0023】
即ち、共通ゲート線Vg1に接続された画素については、期間u5において光電変換及び放電を行い、期間u8〜u9において読み出しを行い、期間u11〜u14においてプリチャージを行い、これらを繰り返す。
【0024】
また、共通ゲート線Vg2に接続された画素については、期間u5において光電変換及び放電を行い、期間u16〜u17において読み出しを行い、期間u19〜u22においてプリチャージを行い、これらを繰り返す。
【0025】
また、共通ゲート線Vg3に接続された画素については、期間u5において光電変換及び放電を行い、期間u24〜u25において読み出しを行い、期間u27〜u30においてプリチャージを行い、これらを繰り返す。
【0026】
更に、図示していないが、共通ゲート線Vg4に接続された画素については、期間u5において光電変換及び放電を行い、期間u32〜u33(図示せず)において読み出しを行い、期間u35〜u38(図示せず)においてプリチャージを行い、これらを繰り返す。
【0027】
このような従来の光電変換装置では、蓄積容量CSに電荷Q0(=ΔV×Cs)をプリチャージし、その後、所定期間ΔT(=Tphoto)の光入射に応じてΔQ(=Ids×ΔT)の電荷を放電させ、残存電荷「Q0−ΔQ」を読み出し、積分アンプAmpの出力を得ている。積分容量の静電容量をCfとすると、積分アンプAmpの出力電圧は(Q0−ΔQ)/Cfとなる。なお、図10には、共通信号線Sig1に接続された積分アンプAmpの出力の変化のみを示しているが、他の共通信号線Sig2〜4に接続された積分アンプAmpにおいても、入射光量に応じてその出力が変化する。
【0028】
このような光電変換装置及びその駆動方法は、例えば特許文献(特開2004−147102号公報)及び非特許文献1(IDW '03 p.363-366)等に開示されている。
【0029】
【特許文献1】特開2004−147102号公報
【非特許文献1】IDW '03 p.363-366
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
従来の光電変換装置では、入射光量がゼロの場合、ΔQが0となるため、積分アンプAmpの出力電圧は「Q0/Cf」となる。即ち、図11に示すように、積分アンプAmpの出力電圧は入射光量に対してオフセットを持つこととなる。そして、図11に示すように、このオフセットの量はプリチャージの際の電位差ΔVに比例する。
【0031】
しかしながら、従来の光電変換装置では、オフセットが読み出し回路5の積分アンプAmpの有限のダイナミックレンジに制限されるため、プリチャージの際の電位差ΔVを大きくすることができない。
【0032】
光入射に伴って流れる電流Idsはプリチャージの際の電圧差ΔVに比例する。この特性を利用すれば、ΔVを大きく設定することにより、入射光量に対する電流Idsの変化を大きくすることができる。しかしながら、図11に示すように、電位差ΔVを大きくするとオフセットも大きくなるため、積分アンプAmpのダイナミックレンジを超えて出力飽和を起こしてしまうのである。
【0033】
即ち、従来の光電変換装置には、ΔVの電位差(プリチャージ量)が積分アンプAmpのダイナミックレンジに制限されるという課題がある。また、この制限のために、高感度化が困難であるという課題もある。
【0034】
本発明は、ダイナミックレンジの制限を回避して高い感度を得ることができる光電変換装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本願発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0036】
本願発明に係る光電変換装置は、光検出機能とスイッチング機能を有する薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタに接続された蓄積容量と、前記蓄積容量に蓄積されている電荷の量を読み出す読み出し手段と、前記薄膜トランジスタ及び読み出し手段の動作を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、第1のインターバルにおいて、前記蓄積容量に所定量の電荷をプリチャージし、前記第1のインターバルに続く第2のインターバルにおいて、前記薄膜トランジスタをオフ状態にしながら、前記薄膜トランジスタに光を入射させることにより、前記蓄積容量にプリチャージされている電荷の少なくとも一部を放電させ、前記第2のインターバルに続く第3のインターバルにおいて、前記蓄積容量に残存している電荷の量から、前記プリチャージされた所定量の電荷を差し引き、前記第3のインターバルに続く第4のインターバルにおいて、前記蓄積容量に残存している電荷の量を前記読み出し手段に読み出させることを特徴とする。
【0037】
本願発明に係る光電変換装置の駆動方法は、光検出機能とスイッチング機能を有する薄膜トランジスタ及び前記薄膜トランジスタに接続された蓄積容量を含む画素を備えた光電変換装置の駆動方法であって、前記蓄積容量に所定量の電荷をプリチャージする第1のインターバルと、前記薄膜トランジスタをオフ状態にしながら、前記薄膜トランジスタに光を入射させることにより、前記蓄積容量にプリチャージされている電荷の少なくとも一部を放電させる第2のインターバルと、前記蓄積容量に残存している電荷の量から、前記プリチャージされた所定量の電荷を差し引く第3のインターバルと、前記蓄積容量に残存している電荷の量を前記読み出し手段に読み出す第4のインターバルと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、読み出し装置を構成する積分アンプのダイナミックレンジの制約を受けずに、光応答性の薄膜トランジスタに印加する電圧を高くすることができる。このため、感度をより一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0040】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、制御回路1の機能及び動作が図5及び図6に示す従来の光電変換装置のものと相違している。図1は、本発明の第1の実施形態における1画素の駆動方法を示すタイミングチャートである。図9と同様に、Lightは薄膜トランジスタTrへの光照射、RCは積分アンプAmpのリセットスイッチへのRC信号、Vgは薄膜トランジスタTrのゲートパルス、Cs_DRVは電源3から蓄積容量CSに印加されるパルス、Vdは薄膜トランジスタTrのドレイン電極の電位、Voutは積分アンプAmpの出力、SHはサンプルホールド回路のスイッチへのSH信号の変化を夫々示している。以下の制御は、主に制御回路1により行われる。
【0041】
本実施形態では、期間t1において、薄膜トランジスタTrをオン状態として、RCをハイにする。従って、VdがGNDにリセットされる。また、Cs_DRVの電位はVBに設定しておく。
【0042】
期間t2において、薄膜トランジスタTrをオフ状態にする。但し、ドレイン電極の電位VdはGNDのまま変化しない。
【0043】
期間t3において、Cs_DRVの電位をVBからVAに変化させる。この結果、電源3から供給される電位がΔVだけ変化する。このとき、薄膜トランジスタTrがオフとなっているため、Vdは−ΔVとなる。一方、薄膜トランジスタTrのソース電極の電位は、リセットスイッチがオンのままであるため、GND電位に保持されている。即ち、期間t3において、薄膜トランジスタTrのソース−ドレイン間にΔVの電位差が生じる。言い換えると、蓄積容量CSの静電容量をCsとすると、蓄積容量CSに、ΔV×Csで表される電荷Q0がプリチャージされる。
【0044】
期間t4において、薄膜トランジスタTrに光を入射させる。光入射により、電流Iphotoがソース−ドレイン間に流れ、期間t3で蓄積容量CSにプリチャージされた電荷の少なくとも一部が放電される。即ち、光入射時間をTphotoとすれば、Iphoto×Tphotoで表される量ΔQの電荷が放電される。但し、期間t4では積分アンプAmpがリセットされ続けているため、放電された電荷ΔQが信号として読み出されることはない。
【0045】
期間t5において、光入射をオフとする。光が入射していない時にもオフ電流Idarkが流れるが、この値は極めて小さいため、蓄積容量CSに蓄積されている電荷はそのまま保持され続ける。
【0046】
期間t6において、Cs_DRVの電位をVAからVBに変化させる。このとき、薄膜トランジスタTrがオフ状態となっているため、VdはΔVだけ上昇する。即ち、Vdには期間t4で放電された電荷の量ΔQに対応する電位が現れる。
【0047】
期間t7において、リセットスイッチをオフとし、積分アンプAmpのリセット動作を終了する。このとき、薄膜トランジスタTrがオフ状態となっているため、蓄積容量CSの電荷は保持されたままである。
【0048】
期間t8において、薄膜トランジスタTrのゲート電極にゲートドライバ4よりパルスを印加し、薄膜トランジスタTrをオンにする。この結果、ドレイン電極の電位Vd、即ち電荷量ΔQ(=Iphoto×Tphoto)が積分アンプAmpの積分容量に転送され、出力電圧Voutが変化する。即ち、積分容量の静電容量をCfとすると、積分アンプAmpの出力電圧Voutは「ΔQ/Cf」となる。
【0049】
その後、期間t9において、読み出し回路5において積分アンプAmpの出力をサンプルホールドし、期間t10において、サンプルホールドを終了する。
【0050】
そして、期間t1に戻り、VoutをGNDに収束させ、更に、期間t1〜t10の処理を繰り返し行う。
【0051】
このような制御は、次のように言い換えることもできる。即ち、期間t1〜t3において、蓄積容量CSに初期電荷Q0をプリチャージする(プリチャージ期間)。期間u4において、入射光の強度及び時間に応じてΔQの電荷を放電させ、電荷量を「Q0−ΔQ」とする(光電変換期間)。期間t5〜t6において、プリチャージ電荷Q0の差し引きを行い、残存電荷量を放電した量と同じΔQとする(差し引き期間)。期間t7〜t8において、残存電荷量ΔQを読み出す(読み出し期間)。即ち、本実施形態に係る光電変換装置は、プリチャージ期間、光電変換期間、差し引き期間及び読み出し期間を繰り返すことにより、光検出動作を行っているのである。
【0052】
図1に示すタイミングチャートは、図6に示すような1画素に関するものであるが、図5に示すような2次元エリアセンサアレー2を備えた光電変換装置の動作を示すタイミングチャートは、図2に示すようなものとなる。図10と同様に、Vg1〜Vg3は共通ゲート線Vg1〜Vg3に印加されるゲートパルス、Vd1〜Vd3は共通ゲート線Vg1〜Vg3に接続された薄膜トランジスタTrのドレイン電極の電位、Vout1は共通信号線Sig1に接続された積分アンプAmpの出力の変化を夫々示している。その他の信号に関しては図1に示すものと同様である。
【0053】
2次元センサアレー2を備えた光電変換装置においても、その基本的な動作は図1に示すものと同様とするが、すべての画素に共通のプリチャージ期間、光電変換期間及び差し引き期間を設け、これらの期間の後に、共通ゲート線毎の読み出し期間を設け、これらを繰り返すことにより、光検出動作を行う。
【0054】
即ち、共通ゲート線Vg1に接続された画素については、期間t2〜t3においてプリチャージを行い、期間t4において光電変換及び放電を行い、期間t5〜t6においてプリチャージされた電荷の差し引きを行い、期間t7〜t8において入射光量に対応した電荷量ΔQの読み出しを行い、これらを繰り返す。
【0055】
また、共通ゲート線Vg2に接続された画素については、期間t2〜t3においてプリチャージを行い、期間t4において光電変換及び放電を行い、期間t5〜t6においてプリチャージされた電荷の差し引きを行い、期間t13〜t14において入射光量に対応した電荷量ΔQの読み出しを行い、これらを繰り返す。
【0056】
また、共通ゲート線Vg3に接続された画素については、期間t2〜t3においてプリチャージを行い、期間t4において光電変換及び放電を行い、期間t5〜t6においてプリチャージされた電荷の差し引きを行い、期間t19〜t20において入射光量に対応した電荷量ΔQの読み出しを行い、これらを繰り返す。
【0057】
更に、図示していないが、共通ゲート線Vg4に接続された画素については、期間t2〜t3においてプリチャージを行い、期間t4において光電変換及び放電を行い、期間t5〜t6においてプリチャージされた電荷の差し引きを行い、期間t25〜t26において入射光量に対応した電荷量ΔQの読み出しを行い、これらを繰り返す。
【0058】
なお、図2には、共通信号線Sig1に接続された積分アンプAmpの出力の変化Vout1のみを示しているが、他の共通信号線Sig2〜4に接続された積分アンプAmpにおいても、入射光量に応じてその出力が変化する。
【0059】
このような第1の実施形態では、制御回路1が、各画素においてプリチャージ期間、光電変換期間、差し引き期間及び読み出し期間が繰り返されるように、電源3及びゲートドライバ4、読み出し回路5を制御している。即ち、本実施形態では、従来の技術とは異なり、プリチャージした電荷量Q0を差し引き期間において差し引いている。このため、プリチャージした電荷量Q0がオフセットとならずに、放電された電荷量ΔQのみを信号として読み出すことが可能である。
【0060】
図3は、第1の実施形態に係る光電変換装置における入射光量と積分アンプAmpの出力との関係を示すグラフである。本実施形態では、上述のように、放電された電荷量ΔQのみを読み出すことが可能であるため、図3に示すように、オフセットの発生を防止することができる。このため、Cs_DRVの電位差ΔVを大きくして、感度をより高くすることが容易である。
【0061】
なお、第1の実施形態では、Cs_DRVの電位をVA及びVBの2種類とし、光電変換期間中に光応答性の薄膜トランジスタTrのソース−ドレイン間にΔV=VA−VBの電位差を印加することとしているが、他の制御可能な電位VCを印加可能として、入射光量、光照射時間及び/又は必要とされるS/N比に応じて、バイアスを切り換えるようにすることがより望ましい。
【0062】
また、本発明における入射線は、可視光線だけでなくX線等の種々の放射線とすることができる。X線を検出するための装置では、その断面構造は図13に示すようなものとなる。即ち、図7における保護層109上に蛍光体層112が接着層111により貼り付けられたものとなる。このような光電変換装置では、蛍光体層111によりX線が可視光線に波長変換され、この可視光線が薄膜トランジスタTrに入射することとなる。制御の内容は可視光線が入射される場合と同一である。従って、タイミングチャートを描くと、図1及び図2における「Light」を「X線」に置き換えたものとなる。なお、蛍光体層111(波長変換体)は、例えば、Gd23、Gd22S及びCsIのうちから選ばれた1種を母体材料として構成されている。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図4は、第1の実施形態に係る光電変換装置のX線画像撮影システムへの応用例(第2の実施形態)を示す模式図である。
【0064】
X線チューブ6050で発生したX線6060は患者又は被験者6061の胸部6062を透過し、第1の実施形態に係る光電変換装置を内部に備えたイメージセンサ6040に入射する。この入射したX線には患者6061の体の内部の情報が含まれている。X線の入射に対応してシンチレータ(蛍光体)は発光し、これをセンサーパネルの光電変換素子が光電変換して、電気的情報を得る。イメージセンサ6040は、この情報をA/D変換されたデジタル出力としてイメージプロセッサ6070に出力する。画像処理手段としてのイメージプロセッサ6070は、受信した信号に対して画像処理を施して、制御室の表示手段であるディスプレイ6080に出力する。ユーザは、ディスプレイ6080に表示された画像を観察して、患者6061の体の内部の情報を得ることができる。なお、イメージプロセッサ6070は、制御手段の機能も有しており、光電変換装置内の電源3、読み出し回路4及びゲートドライバ5を制御したり、イメージセンサ6040、X線チューブ(X線発生装置)6050、ディスプレイ6080及び6081、フィルムプロセッサ6100等を制御したりすることも可能である。
【0065】
また、イメージプロセッサ6070は、イメージセンサ6040から出力された電気信号を電話回線6090等の伝送処理手段を介して遠隔地へ転送し、ドクタールーム等の別の場所にある表示手段(ディスプレイ)6081に表示することもできる。また、イメージセンサ6040から出力された電気信号を光ディスク等の記録手段に保存し、この記録手段を用いて遠隔地の医師が診断することも可能である。また、記録手段となるフィルムプロセッサ6100によりフィルム6110に記録することもできる。
【0066】
なお、本発明の実施形態は、例えばコンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、例えば、画像撮影装置及びX線画像撮影装置等に応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態における1画素の駆動方法を示すタイミングチャートである。
【図2】第1の実施形態に係る光電変換装置の駆動方法を示すタイミングチャートである。
【図3】第1の実施形態に係る光電変換装置における入射光量と積分アンプの出力との関係を示すグラフである。
【図4】第1の実施形態に係る光電変換装置のX線画像撮影システムへの応用例(第2の実施形態)を示す模式図である。
【図5】光電変換装置の構成を示す回路図である。
【図6】1画素及びこの周辺回路を示す回路図である。
【図7】図6に示す画素の構造を模式的に示す断面図である。
【図8】光応答性を有するTFTの特性を示すグラフである。
【図9】従来の光電変換装置における1画素の駆動方法を示すタイミングチャートである。
【図10】従来の光電変換装置の駆動方法を示すタイミングチャートである。
【図11】従来の光電変換装置における入射光量と積分アンプの出力との関係を示すグラフである。
【図12】電源3の詳細を示す図である。
【図13】放射線撮像装置における1画素の構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1:制御回路
2:2次元エリアセンサアレー
3:電源
4:ゲートドライバ
5:読み出し回路
6:アナログマルチプレクサ
7:A/D変換回路
CS:蓄積容量
Tr:薄膜トランジスタ(TFT)




 

 


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