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発明の名称 露光用マスク、レジストパターンの形成方法および薄膜パターンの形成方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−219436(P2007−219436A)
公開日 平成19年8月30日(2007.8.30)
出願番号 特願2006−42902(P2006−42902)
出願日 平成18年2月20日(2006.2.20)
代理人 【識別番号】100109656
【弁理士】
【氏名又は名称】三反崎 泰司
発明者 上島 聡史 / 松隈 裕樹
要約 課題
解像度を向上させることが可能な露光用マスクを提供する。

解決手段
露光用マスク10が、1つのスリット状の主透過領域1と、その主透過領域1を挟んで互いに対向するように順に配列された3組のスリット状の補助透過領域2とを有している。この露光用マスク10を使用してレジスト膜を露光・現像することにより、2組以下の補助透過領域2を有する場合と比較して、主透過領域1のうちのスリット幅方向の端部において光強度コントラストが強くなるため、レジスト膜の露光幅が狭くなる。【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
スリット状の主透過領域と、
その主透過領域を挟んで互いに対向するように順に配列された3組以上のスリット状の補助透過領域と
を有することを特徴とする露光用マスク。
【請求項2】
前記主透過領域および前記補助透過領域が、露光用の光を同位相のまま透過させる
ことを特徴とする請求項1記載の露光用マスク。
【請求項3】
前記主透過領域および前記補助透過領域が、互いに隣り合う同士間において露光用の光を逆相となるように透過させる
ことを特徴とする請求項1記載の露光用マスク。
【請求項4】
前記主透過領域とそれに最も近い1組の前記補助透過領域との間の間隔が、前記各補助透過領域の間の間隔に等しい
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の露光用マスク。
【請求項5】
前記主透過領域とそれに最も近い1組の前記補助透過領域との間の間隔が、前記各補助透過領域の間の間隔よりも大きい
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の露光用マスク。
【請求項6】
前記各補助透過領域の間の間隔が、互いに等しい
ことを特徴とする請求項5記載の露光用マスク。
【請求項7】
前記主透過領域とそれに最も近い1組の前記補助透過領域との間の間隔をS1(μm)とし、露光用の光により露光されるレジスト膜の厚さをT(μm)としたとき、S1≧T×0.095+0.22μmの関係を満たしている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の露光用マスク。
【請求項8】
前記各補助透過領域のスリット幅が、前記主透過領域のスリット幅に等しい
ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の露光用マスク。
【請求項9】
前記各補助透過領域のスリット幅が、前記主透過領域のスリット幅よりも小さい
ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の露光用マスク。
【請求項10】
前記各補助透過領域のスリット長さが、前記主透過領域のスリット長さに等しい
ことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の露光用マスク。
【請求項11】
前記各補助透過領域のスリット長さが、前記主透過領域のスリット長さよりも大きい
ことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の露光用マスク。
【請求項12】
前記各補助透過領域のスリット長さが、前記主透過領域から離れるにしたがって次第に増大する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の露光用マスク。
【請求項13】
主透過領域と、
その主透過領域の周囲を囲むように順に配置された3つ以上の環状の補助透過領域と
を有することを特徴とする露光用マスク。
【請求項14】
一定幅で延びる一定幅領域およびその一定幅領域の一定幅から次第に拡幅する拡幅領域を有する主透過領域と、
その一定幅領域を挟んで互いに対向するように順に配列された3組以上のスリット状の補助透過領域と
を有することを特徴とする露光用マスク。
【請求項15】
前記各補助透過領域のスリット長さが、前記一定幅領域の長さに等しい
ことを特徴とする請求項14記載の露光用マスク。
【請求項16】
前記各補助透過領域のスリット長さが、前記一定幅領域から離れるにしたがって前記拡幅領域の外縁に沿うように次第に増大する
ことを特徴とする請求項14記載の露光用マスク。
【請求項17】
前記各補助透過領域は、そのスリット長さが前記一定幅領域の長さよりも大きく、かつ、前記拡幅領域の幅の拡がりに応じて屈曲している
ことを特徴とする請求項14記載の露光用マスク。
【請求項18】
前記各補助透過領域のスリット長さが、互いに等しい
ことを特徴とする請求項17記載の露光用マスク。
【請求項19】
レジスト膜を形成する第1の工程と、
請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載した露光用マスクを使用して前記レジスト膜を選択的に露光する第2の工程と、
露光された前記レジスト膜を現像する第3の工程と
を含むことを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項20】
前記第1の工程において、前記レジスト膜の厚さを0.5μm以上にする
ことを特徴とする請求項19記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項21】
前記第2の工程において、斜入射照明を使用する
ことを特徴とする請求項19または請求項20に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項22】
前記第2の工程において、通常照明を使用し、照明系の開口数NA1と光学系の開口数NA2との間の比σ(=NA1/NA2)を0.3以下にする
ことを特徴とする請求項19または請求項20に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項23】
請求項19ないし請求項22のいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法を使用してレジストパターンを形成する第1の工程と、
そのレジストパターンを使用して薄膜パターンを形成する第2の工程と
を含むことを特徴とする薄膜パターンの形成方法。
【請求項24】
前記第1の工程において、ポジ型レジストを使用し、
前記第2の工程において、前記レジストパターンをフレームとしてめっき膜を選択的に成長させる
ことを特徴とする請求項23記載の薄膜パターンの形成方法。
【請求項25】
前記第2の工程において、前記薄膜パターンとして薄膜磁気ヘッドの磁極層を形成する
ことを特徴とする請求項24記載の薄膜パターンの形成方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトリソグラフィ法において使用される露光用マスク、それを使用したレジストパターンの形成方法、ならびにその方法を応用した薄膜パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種デバイスの製造分野において、所望の形状となるように薄膜パターンを形成するために、レジストパターンが広く利用されている。このレジストパターンは、一般に、レジスト膜を形成したのち、フォトリソグラフィ法を使用してレジスト膜をパターニングすることにより形成されている。より具体的には、露光用マスクを使用してレジスト膜を選択的に露光したのち、そのレジスト膜を現像している。
【0003】
この露光用マスクに関しては、フォトリソグラフィ工程において高解像度化を実現することを目的として、既に多くの構成例が提案されている。具体的には、開口部と、その開口部の周辺部分に設けられた第1および第2の開口パターンとを有すると共に、第1および第2の開口パターンが入射光に対して解像限界以下の微細なパターンであり、かつ、第1および第2の開口パターンを透過した光の位相を互いに180°異ならせるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、主開孔部と、その主開孔部の両側または片側に平行に設けられた副開孔部とを有すると共に、露光装置の装置条件(開口数、縮小倍率および露光波長)に基づいて主開孔部および副開孔部の幅および位置関係が設定されたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、臨界寸法のリソグラフィパターンのエッジから所定距離だけ離れて設けられ、そのエッジのエッジ強度の勾配を変化させる少なくとも1つの追加線を有すると共に、上記した所定距離が臨界寸法に比例するものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特公平06−090506号公報
【特許文献2】特許第2881892号明細書
【特許文献3】特許第3009923号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、デバイスサイズの小型化に伴って薄膜パターンの幅が益々微小化しつつある今日の技術動向を考慮すると、従来の露光用マスクを使用した場合に得られる解像度は今や十分であるとは言えず、さらなる解像度の向上が望まれている。
【0005】
しかも、露光用マスクが使用される製造分野によっては、解像度の向上だけでなく、所望の解像度が得られる高さ(レジスト膜の膜厚)範囲の拡張も併せて望まれる場合がある。具体的には、薄膜パターンの厚さが比較的薄くてよい半導体などの製造分野(例えば0.3μm以下)では、その厚さの範囲において解像度が安定化しやすいため、レジスト膜の厚さを気にすることなく、単純に所望の解像度を得ることだけを考えればよい。これに対して、薄膜パターンの厚さが比較的厚くなければならない薄膜磁気ヘッドなどの製造分野(例えば0.5μm以上)では、その厚さの範囲において解像度が安定化しにくいため、単純に所望の解像度を得ることだけでは足りず、その解像度が得られる高さ範囲をレジスト膜の厚さ方向に拡張する必要がある。なぜなら、薄膜パターンの一例として上部磁極層を形成する場合には、その上部磁極層に関して微細な一定幅および十分な厚さを有することが要求されるからである。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、解像度を向上させることが可能な露光用マスクおよびレジストパターンの形成方法、ならびに微細な一定幅を有するように薄膜パターンを形成することが可能な薄膜パターンの形成方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、所望の解像度が得られる高さ範囲を拡張することが可能な露光用マスクおよびレジストパターンの形成方法、ならびに微細な一定幅および十分な厚さを有するように薄膜パターンを形成することが可能な薄膜パターンの形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の露光用マスクは、スリット状の主透過領域と、その主透過領域を挟んで互いに対向するように順に配列された3組以上のスリット状の補助透過領域とを有するものである。また、本発明の第2の露光用マスクは、主透過領域と、その主透過領域の周囲を囲むように順に配置された3つ以上の環状の補助透過領域とを有するものである。さらに、本発明の第3の露光用マスクは、一定幅で延びる一定幅領域およびその一定幅領域の一定幅から次第に拡幅する拡幅領域を有する主透過領域と、その一定幅領域を挟んで互いに対向するように順に配列された3組以上のスリット状の補助透過領域とを有するものである。
【0009】
本発明のレジストパターンの形成方法は、レジスト膜を形成する第1の工程と、上記した露光用マスクを使用してレジスト膜を選択的に露光する第2の工程と、露光されたレジスト膜を現像する第3の工程とを含むものである。
【0010】
本発明の薄膜パターンの形成方法は、上記したレジストパターンの形成方法を使用してレジストパターンを形成する第1の工程と、そのレジストパターンを使用して薄膜パターンを形成する第2の工程とを含むものである。
【0011】
これらの第1〜第3の露光用マスク、レジストパターンの形成方法または薄膜パターンの形成方法では、露光用マスクが3組以上または3つ以上の補助透過領域を有しているため、露光用マスクが2組以下または2つ以下の補助透過領域を有している場合と比較して、主透過領域のうちのスリット幅方向の端部において光強度コントラストが強くなる。これにより、露光用マスクを使用してレジスト膜を選択的に露光した場合に露光幅が狭くなるため、解像度が向上する。この場合には、例えば、主透過領域とそれに最も近い1組の補助透過領域との間の間隔が各補助透過領域の間の間隔よりも大きくなるようにすれば、それらの間隔が互いに等しくなるようにした場合と比較して、上記した光強度コントラストが若干弱くなるものの、主透過領域とそれに最も近い1組の補助透過領域との間の間隔に対応する領域においてレジスト膜が露光されにくくなるため、所望の解像度が得られる高さ(レジスト膜の膜厚)範囲が拡張する。
【0012】
本発明の第1の露光用マスクでは、第1に、主透過領域および補助透過領域が露光用の光を同位相のまま透過させるようにしてもよいし、あるいは互いに隣り合う同士間において露光用の光を逆相となるように透過させるようにしてもよい。第2に、主透過領域とそれに最も近い1組の補助透過領域との間の間隔が各補助透過領域の間の間隔に等しくてもよいし、あるいは各補助透過領域の間の間隔よりも大きくてもよい。この場合には、各補助透過領域の間の間隔が互いに等しくてもよい。第3に、主透過領域とそれに最も近い1組の補助透過領域との間の間隔をS1(μm)とし、露光用の光により露光されるレジスト膜の厚さをT(μm)としたとき、S1≧T×0.095+0.22μmの関係を満たしているのが好ましい。第4に、各補助透過領域のスリット幅が主透過領域のスリット幅に等しくてもよいし、あるいは主透過領域のスリット幅よりも小さくてもよい。第5に、各補助透過領域のスリット長さが主透過領域のスリット長さに等しくてもよいし、主透過領域のスリット長さよりも大きくてもよいし、あるいは主透過領域から離れるにしたがって次第に増大してもよい。
【0013】
本発明の第3の露光用マスクでは、各補助透過領域のスリット長さが一定幅領域の長さに等しくてもよいし、あるいは一定幅領域から離れるにしたがって拡幅領域の外縁に沿うように次第に増大してもよい。また、各補助透過領域は、そのスリット長さが一定幅領域の長さよりも大きく、かつ、拡幅領域の幅の拡がりに応じて屈曲してもよい。この場合には、各補助透過領域のスリット長さが互いに等しくてもよい。
【0014】
本発明のレジストパターンの形成方法では、第1の工程においてレジスト膜の厚さを0.5μm以上にするのが好ましい。また、第2の工程において斜入射照明を使用してもよいし、あるいは通常照明を使用し、照明系の開口数NA1と光学系の開口数NA2との間の比σ(=NA1/NA2)を0.3以下にしてもよい。
【0015】
本発明の薄膜パターンの形成方法では、第1の工程においてポジ型レジストを使用し、第2の工程においてレジストパターンをフレームとしてめっき膜を選択的に成長させるようにしてもよい。この場合には、第2の工程において薄膜パターンとして薄膜磁気ヘッドの磁極層を形成してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の露光用マスク、レジストパターンの形成方法または薄膜パターンの形成方法によれば、露光用マスクが3組以上または3つ以上の補助透過領域を有しているので、解像度を向上させることができると共に、微細な一定幅を高さ(レジスト膜の膜厚)方向に有するように薄膜パターンを形成することができる。この場合には、例えば、主透過領域とそれに最も近い1組の補助透過領域との間の間隔が各補助透過領域の間の間隔よりも大きくなるようにすれば、所望の解像度が得られる高さ範囲を拡張することができると共に、微細な一定幅および十分な厚さを有するように薄膜パターンを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
まず、図1〜図8を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜パターンの形成方法において使用される露光用マスクについて説明する。図1〜図8は、8種類の露光用マスク10の構成例を表しており、(A)は平面構成、(B)は(A)に示したB−B線に沿った断面構成、(C)は透過特性をそれぞれ示している。
【0019】
露光用マスク10は、レジスト膜を選択的に露光するために使用されるものであり、図1(A),(B)〜図8(A),(B)に示したように、透過性基板11(例えば石英ガラス等)の一面に、その透過性基板11を部分的に露出させるように遮光膜12(例えばクロム(Cr)等)が設けられたものである。この露光用マスク10は、透過性基板11の露出箇所に、露光用の光を透過させるための領域として、1つのスリット状の主透過領域1と、その主透過領域1を挟んで互いに対向するように順に配列された3組以上のスリット状の補助透過領域2とを有している。確認までに説明しておくと、主透過領域1および補助透過領域2は、露光用の光をほぼ完全に透過させる領域(透過率=約100%)であり、一方、遮光膜12により覆われている領域(非透過領域)は、露光用の光をほぼ完全に透過させない領域(透過率=約0%)である。なお、図1(A)〜図8(A)では、上記した非透過領域に濃い網掛けを付している。
【0020】
主透過領域1は、レジスト膜を実質的に露光するための領域であり、そのレジスト膜の露光パターンに対応したパターン形状を有している。ここでは、主透過領域1は、例えば、スリット幅W1(μm)およびスリット長さL1(μm)を有する矩形型のパターン形状を有している。なお、上記した「レジスト膜を実質的に露光する」とは、ポジ型のレジスト膜を露光する場合を例に挙げると、露光後のレジスト膜が現像されたときに主透過領域1に対応する領域に開口部が形成されるようにレジスト膜を露光することを意味している。
【0021】
補助透過領域2は、主透過領域1に対応する領域におけるレジスト膜の露光状態を制御するためのものであり、その主透過領域1に対して平行に配置されている。ここでは、補助透過領域2は、例えば、3組(主透過領域1の右側に3つおよび左側に3つの計6つ)配列されており、スリット幅W2(μm)およびスリット長さL2(μm)を有する矩形型のパターン形状を有している。なお、上記した「補助透過領域2が主透過領域1を挟んで互いに対向している」とは、主透過領域1がその延在方向において補助透過領域2よりもはみ出しておらず、すなわち各組の補助透過領域2により挟まれる領域内に主透過領域1が位置していることを意味している。
【0022】
なお、主透過領域1とそれに最も近い1組の補助透過領域2とは間隔S1(μm)を隔てて配置されており、各補助透過領域2は間隔S2(μm)を隔てて配置されている。
【0023】
この露光用マスク10の構成は、主に、(1)スリット幅W1,W2間の関係、(2)各スリット幅W2間の関係、(3)スリット長さL1,L2間の関係、(4)各スリット長さL2間の関係、(5)間隔S1,S2間の関係、(6)各間隔S2間の関係および(7)位相反転(いわゆるシフタ)の有無に代表される一連の構成条件を適宜組み合わせることにより、任意に設定可能である。
【0024】
具体的には、図1に示した場合には、(A),(B)に示したように、スリット幅W1,W2、スリット長さL1,L2および間隔S1,S2がそれぞれ互いに等しくなっていると共に、各スリット幅W2、各スリット長さL2および各間隔S2がそれぞれ互いに等しくなっている。また、主透過領域1および補助透過領域2が、露光用の光を同位相のまま透過させるようになっている。具体的には、主透過領域1における透過性基板11の厚さT1と補助透過領域2における透過性基板1の厚さT2とが互いに等しくなっていることにより、(C)に示したように、透過前の位相を0°とした場合に、透過後の位相が一律に0°のままである。なお、スリット幅W1,W2等の寸法関係について上記した「互いに等しくなっている」とは、厳密に一致している場合だけでなく、一致するように意図して露光用マスク10を構成する限りにおいて、若干の形成誤差を含む(ほぼ一致する)場合も含む意味である。
【0025】
特に、間隔S1は、露光用の光により露光されるレジスト膜の厚さT(μm)との間において、S1≧T×0.095+0.22μmの関係を満たしている。この間隔S1は、上記した関係を満たす範囲において、可能な限り小さいことが好ましい。一例を挙げれば、間隔S1の下限は、厚さTが0.8μmの場合において約0.3μmであり、あるいは厚さTが5μm場合において約0.7μmである。なお、上記した関係式は、一例として挙げた間隔S1と厚さTとの間の相間から導き出された経験式である。
【0026】
図2に示した場合には、(A),(B)に示したように、主透過領域1および補助透過領域2が互いに隣り合う同士間において露光用の光を逆相となるように透過させる点を除き、図1に示した場合と同様の構成を有している。具体的には、主透過領域1に近い側から数えて1組目および3組目の補助透過領域2に対応する箇所において透過性基板11に選択的に窪み11Dが設けられることにより、その箇所の厚さT2だけが厚さT1および他の箇所の厚さT2よりも小さくなっている。この窪み11Dの深さは、補助透過領域2を透過する過程において露光用の光の位相を180°反転させることが可能な光学的距離に等しくなっており、露光用の光の波長λおよび透過性基板11の屈折率nに基づいて規定されている。これにより、(C)に示したように、透過後の位相が主透過領域1および窪み11Dが設けられていない補助透過領域2において0°のままであるのに対して、窪み11Dが設けられている補助透過領域2において180°に変化(いわゆる位相反転)する。なお、(A)では、位相反転の有無を分かりやすくするために、位相反転が生じる補助透過領域2に淡い網掛けを付している。
【0027】
図3に示した場合には、(A),(B)に示したように、透過性基板11に窪み11Dに代えて突起11Tを設けられている点を除き、図2に示した場合と同様の構成を有している。この突起11Tの厚さは、窪み11Dと同様に、露光用の光の位相を180°反転させることが可能な光学的距離に等しくなっているため、(C)に示したように、図2(C)に示した場合と同様の透過特性が得られる。
【0028】
図4に示した場合には、(A)〜(C)に示したように、間隔S1が間隔S2よりも大きくなっている点を除き、図2に示した場合と同様の構成および透過特性を有している。
【0029】
図5に示した場合には、(A)〜(C)に示したように、スリット幅W2がスリット幅W1よりも小さくなっている点を除き、図2に示した場合と同様の構成および透過特性を有している。
【0030】
図6に示した場合には、間隔S1が間隔S2よりも大きくなっている点を除き、図5に示した場合と同様の構成および透過特性を有している。
【0031】
図7に示した場合には、スリット長さL2がスリット長さL1よりも大きくなっている点を除き、図6に示した場合と同様の構成および透過特性を有している。
【0032】
図8に示した場合には、スリット長さL2が主透過領域1から離れるにしたがって次第に増大している点を除き、図6に示した場合と同様の構成および透過特性を有している。
【0033】
ここでは、上記した(1)〜(7)の7つの構成条件に基づいて決定される露光用マスク10の構成を代表して、図1〜図8を参照して8種類の構成例について説明したが、その露光用マスク10の構成は、必ずしも図1〜図8に示した構成例に限られるものではない。図1〜図8に示していない他の構成例を簡単に説明しておくと、図4〜図8に示したスリット幅W1,W2間の関係、スリット長さL1,L2間の関係および間隔S1,S2間の関係を図1に示した場合に適用したり、あるいは図3に示した透過性基板11の構成(突起11T)を図4〜図8に示した場合に適用するなどしてもよい。もちろん、各スリット幅W2および各間隔S2は、互いに等しくなければならないわけではなく、互いに異なっていてもよい。なお、露光用マスク10の構成例については、図1〜図8に示した他、後述する図15〜図17にも示している。
【0034】
次に、図9および図10を参照して、薄膜パターンの形成方法について説明する。図9および図10は、露光用マスク10を使用した薄膜パターン24の形成方法を説明するためのものであり、(A)〜(C)は、図1(B)〜図8(B)に対応する断面構成を工程順に示している。以下では、図1〜図8に示した8種類の露光用マスク10を代表して、図5および図6に示した露光用マスク10を使用する場合について説明する。
【0035】
図5に示した露光用マスク10を使用する場合には、まず、図9(A)に示したように、基体21の一面にポジ型レジストを塗布することにより、レジスト膜22を形成する。この場合には、レジスト膜22の厚さTを約0.5μm以上にする。なお、基体21は、各種基板であってもよいし、あるいは各種膜であってもよい。
【0036】
続いて、図9(A)に示したように、露光用マスク10をレジスト膜22に正対させたのち、図示しない露光装置を使用して露光用の光Rを照射することにより、そのレジスト膜22を露光する。この場合には、遮光膜12がレジスト膜22を向くようにすると共に、露光用の光Rを発生させるための照明系として通常照明または斜入射照明を使用する。通常照明を使用する場合には、照明系の開口数NA1と光学系の開口数NA2との間の比σ(=NA1/NA2)を約0.3以下に設定するのが好ましい。斜入射照明としては、輪帯照明、二極照明または四極証明などを使用可能である。なお、露光装置の種類は、露光条件等に応じて任意に選択可能である。
【0037】
この露光工程では、露光用マスク10のうちの主透過領域1および補助透過領域2に対応する領域においてレジスト膜22が選択的に露光される。この場合には、第1に、露光用マスク10が3組の補助透過領域2を有しているため、2組以下の補助透過領域2を有する場合と比較して、主透過領域1のうちのスリット幅方向の端部において光強度コントラストが強くなる。しかも、主透過領域1および補助透過領域2において位相反転が生じるため、位相反転が生じない場合と比較して、上記した光強度コントラストがより強くなる。これにより、主透過領域1に対応する領域においてレジスト膜22の露光範囲を狭めることができる。第2に、スリット幅W2がスリット幅W1よりも小さいため、後工程においてレジスト膜22を現像した場合に主透過領域1に対応する領域においてレジスト膜22に開口部23Kが形成され得る程度に露光強度を設定することにより、その主透過領域1に対応する領域に開口部23Kを形成する一方で、補助透過領域2に対応する領域に開口部を形成しないことができる。第3に、スリット幅W2がスリット幅W1が小さいと、スリット幅W2がスリット幅W1に等しい場合と比較して、間隔S1に対応する領域におけるレジスト膜22の露光量が少なくなるため、その間隔S1に対応する領域においてレジスト膜22が露光されにくくなる。これにより、所望の解像度が得られる高さ(レジスト膜22の膜厚)範囲を拡張することができる。なお、図9(A)においてレジスト膜22中に示した破線は、後工程において形成されるレジストパターン23(図9(B)参照)の表面の輪郭を示しており、露光用の光Rによりレジスト膜22が露光される際のおおよその範囲を示している。この破線の意味するところは、後述する図10(A)においても同様である。
【0038】
続いて、現像液を使用してレジスト膜22を現像することにより、図9(B)に示したように、レジストパターン23を形成する。なお、現像液の種類は、レジスト膜22の種類等に応じて任意に選択可能である。
【0039】
この現像工程では、主透過領域1に対応する領域においてレジスト膜22が完全に除去されることにより開口部23Kが形成されるのに対して、補助透過領域2に対応する領域においてレジスト膜22が部分的に除去されることにより窪む。なお、図9(B)中に示した高さHは、開口部23Kのうちの一定幅Wを有する部分の高さである。この場合には、主透過領域1のスリット幅W1よりも幅Wを小さくすることができる。
【0040】
続いて、図9(C)に示したように、レジストパターン23の開口部23Kに薄膜パターン24を形成する。この場合には、薄膜パターン24の幅を厚さ方向において一定にするために、その薄膜パターン24の厚さを高さH以下にする。なお、薄膜パターン24を形成するための膜形成方法としては、めっき法、スパッタリング法または化学蒸着法(CVD;chemical vapor deposition )等を使用可能である。めっき法を使用する場合には、あらかじめ基体21上に電極膜としてシード層を形成しておき、レジストパターン23をフレームとしてめっき膜を選択的に成長させる。
【0041】
最後に、残存しているレジストパターン23を除去することにより、薄膜パターン24の形成工程が完了する。
【0042】
一方、図6に示した露光用マスク10を使用する場合には、図10(A)〜(C)に示したように、図9に示した場合と同様の工程を経ることにより薄膜パターン24を形成する。
【0043】
露光工程では、図10(A)に示したように、間隔S1が間隔S2よりも大きいため、図9に示した場合と比較して、主透過領域1のうちのスリット幅方向の端部における光強度コントラストが弱くなるものの、間隔S1に対応する領域においてレジスト膜22がより露光されにくくなる。この場合には、間隔S1を十分に大きく設定すれば、その間隔S1に対応する領域においてレジスト膜22をほとんど露光させないことができる。
【0044】
現像工程では、図10(B)に示したように、間隔S1に対応する領域においてレジスト膜22がほとんど現像されずに残存するため、図9に示した場合と比較して、高さHを大きくすることができる。
【0045】
なお、図10に示した露光工程および現像工程に関する上記以外の作用は、図9に示した場合と同様である。
【0046】
本実施の形態に係る薄膜パターンの形成方法では、1つの主透過領域1および3組以上の補助透過領域2を有する露光用マスク10を使用してレジスト膜22を露光・現像することによりレジストパターン23を形成したのち、そのレジストパターン23を使用して薄膜パターン24を形成している。この場合には、2組以下の補助透過領域2を有する場合と比較して、主透過領域1のうちのスリット幅方向の端部における光強度コントラストが強くなるため、レジスト膜22の露光幅が狭くなる。したがって、レジストパターン23のうちの開口部23Kの幅Wが十分に小さくなるため、解像度を向上させることができる。これにより、微細な一定幅を有するように薄膜パターン24を形成することができる。
【0047】
特に、本実施の形態では、図2〜図8に示したように、主透過領域1および補助透過領域2において位相反転させることにより、位相反転させない場合と比較して、主透過領域1のうちのスリット幅方向の端部における光強度コントラストが強くなる。したがって、この観点においても幅Wを小さくすることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、図4および図6〜図8に示したように、間隔S1を間隔S2よりも大きくすることにより、間隔S1を間隔S2に等しくした場合と比較して、主透過領域1のうちのスリット幅方向の端部における光強度コントラストが若干弱くなるものの、間隔S1に対応する領域においてレジスト膜22が露光されにくくなる。したがって、幅Wの最小値は若干大きくなるものの、高さHを大きくすることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、間隔S1とレジスト膜22の厚さTとの間にS1≧T×0.095+0.22μmの関係を成立させることにより、レジストパターン23に形成される開口部23Kと窪みとが互いにぶつからないようにしつつ、幅Wを小さくすることが可能である。したがって、幅Wを小さくしつつ、開口部23Kの開口形状が所望の形状となるようにレジストパターン23を形成することができる。
【0050】
また、本実施の形態では、図5〜図8に示したように、スリット幅W2をスリット幅W1よりも小さくすることにより、スリット幅W2をスリット幅W1に等しくした場合と比較して、間隔S1に対応する領域においてレジスト膜22が露光されにくくなる。したがって、この観点においても高さHを大きくすることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、図7および図8に示したように、スリット長さL2の全部または一部をスリット長さL1よりも大きくすることにより、スリット長さL2をスリット長さL1に等しくした場合と比較して、レジスト膜22が適正に露光されやすくなる。具体的には、スリット長さL2をスリット長さL1に等しくした場合には、図6に示したように、主透過領域1のうちのスリット長さ方向の端部近傍1Eに対応する領域において、光強度コントラストの向上効率が十分でないため、その主透過領域1のパターン形状を反映するようにレジスト膜22が十分な解像度をもって露光されないおそれがある。これに対して、スリット長さL2をスリット長さL1よりも大きくした場合には、図7および図8に示したように、端部近傍1Eに対応する領域において、光強度コントラストの向上効率が十分になるため、主透過領域1のパターン形状を反映するようにレジスト膜22が十分な解像度をもって露光される。したがって、開口部23Kの開口形状が主透過領域1のパターン形状を反映した所望の形状となるように、十分な解像度をもってレジストパターン23を形成することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、図2〜図8に示したように、主透過領域1および補助透過領域2において位相反転させる場合に、主透過領域1から離れるにしたがって位相を0°,180°,0°,180°の順に反転させるように設定したが、必ずしもこれに限られるものではない。すなわち、図2(B)〜図8(B)に示した場合とは窪み11Dまたは突起11Tを設ける位置と設けない位置とを互いに逆転させることにより、位相を180°,0°,180°,0°の順に反転させるようにしてもよい。具体的な一例を挙げておくと、図6に示した露光用マスク10において位相の反転順序を逆転させた場合の構成は、図11に示した通りである。この場合においても、図2〜図8に示した場合と同様の効果を得ることができる。
【0053】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に関する第2の実施の形態について説明する。
【0054】
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る薄膜パターンの形成方法において使用される露光用マスク20の構成例を表しており、(A)〜(C)は、図1〜図8に対応する平面構成、断面構成および透過特性をそれぞれ示している。なお、図12では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0055】
この露光用マスク20は、1つの主透過領域3(幅W3)と、その主透過領域3の周囲を囲むように順に配置された3つ以上の環状の補助透過領域4(幅W4)とを有している。なお、主透過領域3とそれに最も近い1組の補助透過領域4とは間隔S3を隔てて配置されており、各補助透過領域4は間隔S4を隔てて配置されている。ここでは、主透過領域3は、例えば、円形型のパターン形状を有している。また、補助透過領域4は、例えば、主透過領域3のパターン形状に対応して円形型のパターン形状を有しており、3つ配置されている。
【0056】
なお、露光用マスク20に関する上記以外の構成は、上記第1の実施の形態において説明した露光用マスク10の構成と同様である。この場合において、幅W3,W4および間隔S3,S4に関する寸法関係は、スリット幅W1,W2および間隔S1,S2に関する寸法関係と同様である。図12では、位相反転機能を有する露光用マスク20の構成例として、図5に示した露光用マスク10の構成を適用した場合を示している。
【0057】
この露光用マスク20を使用した場合においても、上記第1の実施の形態において図9および図10に示した薄膜パターンの形成手順と同様の手順を経ることにより、レジストパターン23を形成したのち、そのレジストパターン23を使用して薄膜パターン24を形成することが可能である。
【0058】
本実施の形態に係る薄膜パターンの形成方法では、1つの主透過領域3および3つ以上の補助透過領域4を有する露光用マスク20を使用してレジストパターン23および薄膜パターン24を形成することにより、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、図12に示したように、露光用マスク20の構成に、図5に示した露光用マスク10の構成を適用した場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、図1〜図4、図6〜図8および図11に示した露光用マスク10の構成を適用してもよい。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、本実施の形態では、主透過領域3および補助透過領域4がいずれも円形型のパターンを形状を有するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、それらのパターン形状は任意に設定可能である。一例を挙げれば、主透過領域3および補助透過領域4がいずれも矩形型のパターン形状を有していてもよい。この場合には、特に、補助透過領域4が切れ目のない連続的な環状である必要はなく、切れ目のある不連続的な環状であってもよい。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
次に、上記した薄膜パターンの形成方法を応用した薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。図13および図14は、薄膜磁気ヘッドの製造方法を使用して製造される薄膜磁気ヘッドの構成を表しており、図13(A)はエアベアリング面に平行な断面構成、図13(B)はエアベリング面に垂直な断面構成、図14は主要部の平面構成をそれぞれ示している。また、図15〜図17は、薄膜磁気ヘッドの製造工程において使用される3種類の露光用マスク10の構成例を表しており、図14に示した領域Fに対応する領域を抜粋して拡大している。なお、図15〜図17では、参考までに、エアベアリング面に対応する位置をS−S線で示していると共に、フレアポイントに対応する位置を矢印FPで示している。以下では、まず、図13および図14を参照して薄膜磁気ヘッドの全体構成について簡単に説明したのち、図13〜図17を参照して薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。
【0062】
この薄膜磁気ヘッドは、例えば、記録処理および再生処理の双方を実行可能な複合型ヘッドである。具体的には、薄膜磁気ヘッドは、図13に示したように、アルティック(Al2 3 ・TiC)製の基板31と、絶縁層32と、再生ヘッド部100Aと、記録ヘッド部100Bと、オーバーコート層45とがこの順に積層され、これらが一端においてエアベアリング面50を構成したものである。
【0063】
再生ヘッド部100Aは、磁気抵抗効果(MR;magneto-resistive effect)を利用して再生処理を実行するものであり、下部リードシールド層33と、シールドギャップ層34と、上部リードシールド層として機能する下部磁極層35とがこの順に積層されたものである。このシールドギャップ層34には、エアベアリング面50に露出するように、MR素子36と、そのMR素子36の両側に接続された2つのリード層37とが埋設されている。
【0064】
記録ヘッド部100Bは、下部磁極層35と、バックギャップ38BGが設けられた記録ギャップ層38と、絶縁層39,41,43により埋設された2段の薄膜コイル40,42と、バックギャップ38BGを通じて下部磁極層35に磁気的に連結された上部磁極層44とがこの順に積層された長手記録ヘッドである。薄膜コイル40,42を埋設している絶縁層39,41,43のうちのエアベアリング面50に最も近い端縁の位置はスロートハイトゼロ位置TPであり、そのスロートハイトゼロ位置TPとエアベアリング面50との間の距離はスロートハイトTHである。
【0065】
上部磁極層44は、例えば、図14に示したように、略羽子板型のパターン形状を有しており、エアベアリング面50から順に、記録トラック幅を規定する一定幅W5で延びる先端部44Aと、その先端部44Aの一定幅W5から次第に拡幅する後端部44Bとを含んでいる。この上部磁極層44の幅が一定幅W5から広がり始める位置は、いわゆるフレアポイントFPである。このフレアポイントFPは、上部磁極層44の内部を後端部44Bから先端部44Aへ向かって磁束が流れる際に、その先端部44Aに十分な量の磁束を供給するために磁束が絞り込まれる位置であり、記録性能に寄与する重要な因子である。図13および図14では、例えば、フレアポイントFPがスロートハイトゼロ位置TPに一致している場合を示している。下部磁極層35および記録ギャップ層38のうちのエアベアリング面50近傍の一部は、図13(A)に示したように、先端部44Aの幅W5に等しい幅を有しており、これらの幅W5を有する一連の部分によりトリム構造が構築されている。
【0066】
この薄膜磁気ヘッドは、既存の薄膜プロセスを使用して基板31上に絶縁層32からオーバーコート層45に至る一連の構成要素を順に積層形成したのち、例えば機械加工や研磨加工を使用してエアベアリング面50を形成することにより製造される。この「既存の薄膜プロセス」とは、例えば、めっき法またはスパッタリング法に代表される膜形成技術、フォトリソグラフィ法に代表されるパターニング技術、ドライエッチング法またはウェットエッチング法に代表されるエッチング技術、ならびに化学機械研磨(CMP;chemical mechanical polishing )法に代表される研磨技術などである。
【0067】
上記した薄膜パターンの形成方法を応用して上部磁極層44を形成する際には、図15〜図17に示した3種類の露光用マスク10を使用可能である。
【0068】
具体的には、図15に示した場合には、図5に示した露光用マスク10の構成を適用している。すなわち、主透過領域1のパターン形状は、上部磁極層44のパターン形状に対応しており、その主透過領域1は、先端部44Aに対応する一定幅領域1Aおよび後端部44Bに対応する拡幅領域1Bを含んでいる。ここでは、主透過領域1は、例えば、1つの一定幅領域1Aと、その一定幅領域1Aを挟むように配置された2つの拡幅領域1Bとを含んでいる。補助透過領域2は、一定幅領域1Aを挟んで互いに対向するように順に3組(計6つ)配列されており、各補助透過領域2のスリット長さL2は、一定幅領域1Aのスリット長さL1に等しくなっている。なお、図15では詳細に図示していないが、主透過領域1および補助透過領域2に関するスリット幅W1,W2、各スリット幅W2、スリット長さL1,L2、各スリット長さL2、間隔S1,S2および各間隔S2のそれぞれの関係ならびに位相反転の順序は、図5に示した場合と同様である。
【0069】
図16に示した場合には、図8に示した露光用マスク10の構成を適用している。すなわち、各補助透過領域2のスリット長さL2が一定幅領域1Aから離れるにしたがって拡幅領域1Bの外縁に沿うように次第に増大している点を除き、図15に示した場合と同様の構成を有している。
【0070】
図17に示した場合には、図7に示した露光用マスク10の構成を適用しつつ、補助透過領域2のパターン形状をアレンジしている。すなわち、各補助透過領域2のスリット長さL2は、一定幅領域1Aのスリット長さL1よりも大きくなっており、各補助透過領域2は、拡幅領域1Bの幅の拡がりに応じて屈曲している。各補助透過領域2のスリット長さL2は、例えば、互いに等しくなっている。なお、上記した以外の構成は、図15に示した場合と同様である。
【0071】
ここでは、図15〜図17を参照して3種類の露光用マスク10の構成例について説明したが、その露光用マスク10の構成は、必ずしも図15〜図17に示した構成例に限られるものではなく、図1〜図4または図6に示した構成例をそのまま適用したり、あるいは図17に示したように必要に応じてアレンジを加えて適用してもよい。
【0072】
上部磁極層44を形成する際には、上記した図9および図10に示した手順を経るようにする。すなわち、まず、図13に示したように、基体21として下部磁極層35、記録ギャップ層38および絶縁層39,41,43(薄膜コイル40,42)を形成したのち、ポジ型レジストを使用してレジスト膜22を形成する。続いて、図15〜図17に示した露光用マスク10を使用してレジスト膜22を露光・現像することにより、開口部23Kを有するレジストパターン23を形成する。最後に、めっき法を使用して開口部23Kに薄膜パターン24として上部磁極層44を形成したのち、残存しているレジストパターン23を除去する。
【0073】
なお、上部磁極層44の形成工程に関する上記以外の詳細な手順は、図9および図10を参照して説明した場合と同様である。
【0074】
この薄膜磁気ヘッドの製造方法では、上記した薄膜パターンの形成方法を応用して上部磁極層44を形成しているので、微細な一定幅および十分な厚さを有するように上部磁極層44を形成することができる。
【0075】
特に、図16および図17に示したように、補助透過領域2のうちの全部または一部のスリット長さL2を一定幅領域1Aのスリット長さL1よりも大きくした場合には、図7および図8を参照して説明した場合と同様の作用により、一定幅領域1Aと拡幅領域1Bとの境界近傍1Vに対応する領域において、主透過領域1のパターン形状を反映するようにレジスト膜22が露光される。したがって、上部磁極層44のパターン形状がフレアポイントFP近傍において高精度に決定されるため、薄膜磁気ヘッドの記録性能を確保することができる。
【0076】
なお、上記した薄膜磁気ヘッドの製造方法では、薄膜パターンの形成方法を応用して上部磁極層44を形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上部磁極層44以外の他の構成要素を形成してもよい。もちろん、上記した薄膜磁気ヘッドの製造方法は、長手記録型の薄膜磁気ヘッドの製造方法に限らず、垂直記録型の薄膜磁気ヘッドの製造方法に適用することも可能である。これらの場合においても、同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0077】
次に、本発明に関する実施例について説明する。
【0078】
以下の手順を経ることにより、実施例1−1〜1−6,2−1〜2−6および比較例1−1〜1−5,2−1〜2−5として一連のレジストパターンを形成した。
【0079】
(実施例1−1)
まず、ニッケル(Ni)膜が成膜されたセラミック基板の一面に、スピンコート法を使用してポジ型のレジスト(信越化学工業株式会社製SEPR)を塗布したのち、ホットプレートを使用してレジストをプリベーク(100℃×90秒)することにより、レジスト膜を4μmの厚さとなるように形成した。続いて、KrFエキシマステッパ(ニコン株式会社製NSR−EX14C)と共に図5に示した位相反転機能を有する露光用マスクを使用してレジスト膜を選択的に露光(1/5投影露光)したのち、ホットプレートを使用してレジスト膜を露光後ベーク(110℃×90秒)した。この場合には、露光用マスクの構成条件として、主透過領域のスリット幅W1=2.0μmおよびスリット長さL1=10.0μm、補助透過領域のスリット幅W2=0.5μmおよびスリット長さL2=10.0μm、間隔S1,S2=2.0μmとした。また、露光条件として、通常照明を使用し、NA=0.5、σ=0.5、露光エネルギー=300mJ/cm2 〜500mJ/cm2 、フォーカス=+1.0μmとした。続いて、テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド2.38%水溶液を使用してレジスト膜を現像(60秒×4パドル)することにより、開口部を有するレジストパターンを形成した。
【0080】
(実施例1−2)
位相反転機能を有しないように構成した露光用マスクを使用した点を除き、実施例1と同様の手順を経ることによりレジストパターンを形成した。
【0081】
(実施例1−3)
図5に代えて図6に示した位相反転機能を有する露光用マスクを使用し、間隔S1=4.0μmとした点を除き、実施例1と同様の手順を経ることによりレジストパターンを形成した。
【0082】
(実施例1−4)
位相反転機能を有しないように構成した露光用マスクを使用した点を除き、実施例3と同様の手順を経ることによりレジストパターンを形成した。
【0083】
(実施例1−5)
間隔S1,S2=4.0μmとした点を除き、実施例1と同様の手順を経ることによりレジストパターンを形成した。
【0084】
(実施例1−6)
位相反転機能を有しないように構成した露光用マスクを使用した点を除き、実施例5と同様の手順を経ることによりレジストパターンを形成した。
【0085】
(実施例2−1〜2−6)
通常照明に代えて斜入射照明として2/3輪帯照明を使用した点を除き、実施例1−1〜1−6と同様の手順を経ることにより6種類のレジストパターンを形成した。なお、2/3輪帯照明を使用した場合の光学的条件は、通常照明においてσ=0.3とした場合の光学的条件に相当する。
【0086】
(比較例1−1,2−1)
補助透過領域を有する露光用マスクに代えて、補助透過領域を有しない露光用マスクを使用した点を除き、実施例1−1,2−1とそれぞれ同様の手順を経ることにより2種類のレジストパターンを形成した。
【0087】
(比較例1−2〜1−5,2−2〜2−5)
補助透過領域を3組(計6つ)有する露光用マスクに代えて、補助透過領域を2組(計4つ)だけ有する露光用マスクを使用した点を除き、実施例1−1〜1−4,2−1〜2−4とそれぞれ同様の手順を経ることにより8種類のレジストパターンを形成した。
【0088】
上記した一連の実施例および比較例のレジストパターンの形成寸法を調べたところ、表1および表2に示した結果が得られた。表1および表2は、レジストパターンの幅W(μm)および高さH(μm)を表しており、表1は実施例1−1〜1−6および比較例1−1〜1−5について示し、表2は実施例2−1〜2−6および比較例2−1〜2−5について示している。これらの幅Wおよび高さHを調べる際には、集束イオンビームエッチング装置(日本エフイー・アイ株式会社製)を使用してレジストパターンを切断したのち、走査型電子顕微鏡(日立株式会社製CD−SEM S−9200)を使用してレジストパターンの断面形状を観察した。表1および表2に示した幅Wは、露光エネルギーを変化させた場合に得られた最小幅であり、いわゆる限界解像度を表している。なお、表1および表2では、参考までに、露光用マスクの構成条件(補助透過領域の組数、スリット幅W1,W2、間隔S1,S2、位相反転の有無および照明系)を併せて示している。
【0089】
【表1】


【0090】
【表2】


【0091】
表1に示した結果から判るように、通常照明を使用した場合には、幅Wと高さHとの間の関係について、実施例1−1〜1−6と比較例1−1〜1−5との間に差異が見られた。すなわち、露光用マスクが補助透過領域を有していない比較例1−1では、十分な高さHが得られたが(H=3.0μm)、幅Wが十分に小さくならなかった(W=0.35μm)。このときの幅Wは、スリット幅W1の1/5投影幅(=0.40μm)にほぼ等しい値である。また、露光用マスクが補助透過領域を2組だけ有している比較例1−2〜1−5では、比較例1−1と比較して幅Wが小さくなったが(W=0.25〜0.33μm)、その幅Wは十分に小さな値ではなかった。この場合には、比較例1−2において、高さHが最小になったときに幅Wが最小になったが(H=2.2μm,W=0.25μm)、このときの幅Wは、高さHを犠牲にしてまで十分に小さな値であるとは言えない。これに対して、実施例1−1〜1−6では、比較例1−1〜1−5と比較して幅Wが小さくなり、その幅Wは十分に小さな値であった(W=0.18〜0.22μm)。この場合には、実施例1−1において、高さHが最小になったときに幅Wが最小になり(H=1.7μm,W=0.18μm)、このときの幅Wは、高さHを犠牲にする代償として十分に小さな値である。しかも、実施例1−3〜1−6では、幅Wが十分に小さくなった共に(W=0.19μm〜0.22μm)、高さHも十分に大きくなった(H=3.0μm)。このことから、本発明では、通常照明を使用したフォトリソグラフィ工程において、解像度を向上させることが可能であると共に、所望の解像度が得られる高さ範囲を拡張することが可能であることが確認された。
【0092】
また、表2に示した結果から判るように、2/3輪帯照明を使用した場合においても、幅Wと高さHとの間の関係について、実施例2−1〜2−6と比較例2−1〜2−5との間に表1に示した場合と同様の傾向が見られた。このことから、本発明では、斜入射照明を使用した露光工程においても、解像度の向上および所望の解像度が得られる高さ範囲の拡張を実現可能であることが確認された。この場合には、特に、上記したように、2/3輪帯照明を使用した場合の光学的条件が通常照明においてσ=0.3とした場合の光学的条件に相当することから、通常照明を使用する場合にはσ≦0.3に設定すればよいことも確認された。
【0093】
以上、いくつかの実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。具体的には、例えば、上記では、本発明の薄膜パターンの形成方法を薄膜磁気ヘッドの製造方法に応用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、薄膜磁気ヘッドの以外の他のデバイスの製造方法に応用してもよい。薄膜磁気ヘッド以外の具体的なデバイスとしては、例えば、薄膜インダクタ、薄膜センサ、薄膜アクチュエータ、半導体デバイスおよびこれらを搭載した装置などが挙げられる。これらに応用した場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
また、上記各実施の形態では、ポジ型のレジストを使用することにより、開口部を有するレジストパターンを形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ネガ型のレジストを使用することにより、開口部を有しないレジストパターン(いわゆる孤立型のレジストパターン)を形成してもよい。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明に係る露光用マスク、レジストパターンの形成方法および薄膜パターンの形成方法は、薄膜磁気ヘッドなどの各種デバイスの製造方法に応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜パターンの形成方法において使用される露光用マスクの第1の構成例を表す図である。
【図2】露光用マスクの第2の構成例を表す図である。
【図3】露光用マスクの第3の構成例を表す図である。
【図4】露光用マスクの第4の構成例を表す図である。
【図5】露光用マスクの第5の構成例を表す図である。
【図6】露光用マスクの第6の構成例を表す図である。
【図7】露光用マスクの第7の構成例を表す図である。
【図8】露光用マスクの第8の構成例を表す図である。
【図9】図5に示した第5の構成例の露光用マスクを使用した薄膜パターンの形成方法を説明するための断面図である。
【図10】図6に示した第6の構成例の露光用マスクを使用した薄膜パターンの形成方法を説明するための断面図である。
【図11】露光用マスクの構成に関する変形例を表す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜パターンの形成方法において使用される露光用マスクの構成例を表す図である。
【図13】薄膜パターンの形成方法を応用した薄膜磁気ヘッドの製造方法を使用して製造される薄膜磁気ヘッドの断面構成を表す断面図である。
【図14】図13に示した薄膜磁気ヘッドのうちの主要部の平面構成を表す平面図である。
【図15】薄膜磁気ヘッドの製造方法において使用される露光用マスクの第1の構成例を表す平面図である。
【図16】露光用マスクの第2の構成例を表す平面図である。
【図17】露光用マスクの第3の構成例を表す平面図である。
【符号の説明】
【0097】
1,3…主透過領域、1A…一定幅領域、1B…拡幅領域、1E…端部近傍、1V…境界近傍、2,4…補助透過領域、10,20…露光用マスク、11…透過性基板、11D…窪み、11T…突起、12…遮光膜、21…基体、22…レジスト膜、23…レジストパターン、23K…開口部、24…薄膜パターン、31…基板、32,39,41,43…絶縁層、33…下部リードシールド層、34…シールドギャップ層、35…下部磁極層、36…MR素子、37…リード層、38…記録ギャップ層、40,42…薄膜コイル、44…上部磁極層、45…オーバーコート層、50…エアベアリング面、100A…再生ヘッド部、100B…記録ヘッド部、F…領域、FP…フレアポイント、H…高さ、L1〜L2…スリット長さ、R…露光用の光、S1〜S4…間隔、T,T1〜T3…厚さ、TH…スロートハイト、TP…スロートハイトゼロ位置、W,W5…幅、W1〜W4…スリット幅。




 

 


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