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発明の名称 マグネットロール用磁石及びそれを用いたマグネットロール、マグネットロールの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−108520(P2007−108520A)
公開日 平成19年4月26日(2007.4.26)
出願番号 特願2005−300592(P2005−300592)
出願日 平成17年10月14日(2005.10.14)
代理人 【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
発明者 阿部 昌生 / 冨岡 秀則 / 阿部 英一
要約 課題
マグネットロール組み立てに際し、作業効率を向上し、誤接着を予防する。

解決手段
周方向において分割された断面略扇形形状の複数のマグネットロール用磁石5〜9をシャフト4の周面に接着し、一体化してマグネットロール3とする。マグネットロール用磁石5〜9のうちの少なくともいずれか1つ(マグネットロール用磁石5)に識別用の溝5cを設け、この識別用の溝5cを利用してマグネットロール用磁石5をシャフト4の所定の位置に接着する。識別用の溝は、マグネットロール用磁石の外周面における中心線から外れた位置に形成されていることが好ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
外周面における中心線から外れた位置に溝が形成されていることを特徴とするマグネットロール用磁石。
【請求項2】
側面に溝が形成されていることを特徴とするマグネットロール用磁石。
【請求項3】
前記溝の形成位置は、外周面端部から0.2mm以上、中心線から2.0mm以上離れた位置であることを特徴とする請求項1記載のマグネットロール用磁石。
【請求項4】
前記溝の形成位置は、側面上端部から0.5mm〜2.5mmの位置であることを特徴とする請求項2記載のマグネットロール用磁石。
【請求項5】
前記溝の深さは、0.2mm〜1mmであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のマグネットロール用磁石。
【請求項6】
前記溝の幅は、0.2mm〜2mmであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のマグネットロール用磁石。
【請求項7】
周方向において分割された断面略扇形形状の複数のマグネットロール用磁石がシャフトの周面に接着され、一体化されてなるマグネットロールであって、
前記複数のマグネットロール用磁石のうちの少なくともいずれか1つに請求項1から6のいずれか1項記載のマグネットロール用磁石を用いたことを特徴とするマグネットロール。
【請求項8】
周方向において分割された断面略扇形形状の複数のマグネットロール用磁石をシャフトの周面に接着し、一体化するマグネットロールの製造方法であって、
前記複数のマグネットロール用磁石のうちの少なくともいずれか1つに請求項1から6のいずれか1項記載のマグネットロール用磁石を用い、このマグネットロール用磁石に設けられた溝を利用してマグネットロール用磁石を所定の位置に接着することを特徴とするマグネットロールの製造方法。
【請求項9】
前記複数のマグネットロール用磁石が複数種類のマグネットロール用磁石から構成されており、前記マグネットロール用磁石に設けられた溝によりマグネットロール用磁石の種類を識別してシャフトの所定の位置に接着することを特徴とする請求項8記載のマグネットロールの製造方法。
【請求項10】
前記マグネットロール用磁石が方向性を有し、前記マグネットロール用磁石に設けられた溝によりマグネットロール用磁石の方向を識別してシャフトに所定の向きで接着することを特徴とする請求項8記載のマグネットロールの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等に装着されるマグネットロールに用いられるマグネットロール用磁石、及びそれを用いたマグネットロール、さらにはマグネットロールの製造方法に関するものであり、特に、断面略扇形形状のマグネットロール用磁石をシャフトに正確に接着するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の感光ドラムに形成された静電潜像を可視化する現像ロールとしては、シャフトの周面に磁石を備えたマグネットロールが広く用いられている。例えばジャンピング方式では、マグネットロールの磁力によってトナーを飛ばし、これを感光ドラムに付着させている。ブラシ方式では、鉄粉に代表される磁性粉(キャリア)とトナーの混合物を、マグネットロールの磁力によって感光ドラムに搬送するようにしている。いずれの場合にも、マグネットロールの磁力によって感光ドラムにトナーが供給され、これを紙等に定着することで、静電潜像に応じた文字や画像等が印刷され、可視化される。
【0003】
マグネットロールの形態としては、様々な形態のものが知られており、例えば前記ジャンピング方式用のマグネットロールとして、汲み上げ極、搬送極、現像極、回収極の4極から構成されるものがある。ブラシ方式用のマグネットロールとしては、前述の4極に剥離極を加えた5極から構成されるもの、さらにはそれ以上の数の極(例えば7極等)から構成されるもの等がある。
【0004】
そして、これら4極、あるいは5極の磁極を作り出すマグネットロール用磁石は、以下の2種類のものに大別される。先ず第1は、シャフトの周囲に中空円筒状に一体成形したもの、あるいは中空円筒状に成形し、中心部にシャフトを固着したものである。第2は、例えば磁石粉とバインダーの混合物を断面略扇形等の形状に成形したものである。この断面略扇形のマグネットロール用磁石をシャフトの周囲に複数接着することで、円筒状のマグネットロールが構成される。なお、マグネットロールの形状としては、円筒状に限らず、四角形状等、様々な形状のものも知られている。
【0005】
ただし、前者のように一体化した構造のものでは、複数の磁極の形成が難しく、また特性的にも対応が難しい。複写機やプリンタ等の小型化が進むにつれて、マグネットロールも小径化する傾向にあり、しかも、高い磁力が要求されるようになってきている。特に、トナーを感光ドラムへ搬送するために用いられる現像極(主極)は、前記要求が厳しい。前記一体化した構造のマグネットロール用磁石では、要求に十分に応え得る現像極を形成することは不可能に近い。
【0006】
このような状況から、後者の構造(扇形形状のマグネットロール用磁石を複数貼り合わせた構造)のマグネットロールが種々提案され、その改良が進められている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0007】
特許文献1記載の発明は、磁力を制御することを目的とするものであり、断面が扇形の複数のマグネットピースを、その要部分を内側にして組み合わせる事で、形成したマグネットロールにおいて、扇状マグネットピースの外周部形状を、要求される磁気特性に対応し変更することで、必要とされる性能を満足できるようにしている。
【特許文献1】特開2003−209013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、扇形形状のマグネットロール用磁石を複数貼り合わせた構造のマグネットロールにおいては、マグネットロール本体組み立てに際し、作業効率が悪く、マグネットロール用磁石の誤接着が生じ易いという問題がある。前記構造のマグネットロールでは、例えば現像極や汲み上げ極、層規制極、搬送極、剥離極等、機能の異なるマグネットロール用磁石を組み合わせるのが通常である。これら機能が異なるマグネットロール用磁石においては、機能に応じて磁気パターンが異なっており、これら磁気パターンの異なるマグネットロール用磁石を所定の順序でシャフトに貼り合わせる必要がある。このとき、各マグネットロール用磁石の形状が同一または近似した形状であると、外観から識別することが困難となり、誤接着する原因となる。また、いちいち前記磁気パターンを測定機器等によって確認しながら接着するのでは、作業効率を大きく低下することにもなる。
【0009】
あるいは、マグネットロール用磁石の磁気パターンが外周面の周方向において左右非対称である場合がある。このような場合にはマグネットロール用磁石が方向性を有することになるため、シャフトへの取り付け方向に留意する必要がある。しかしながら、この場合にも外観から前記方向性を識別することが難しく、やはり誤接着の原因となったり、作業効率を低下する原因となる。
【0010】
このような状況の中、従来技術においては、マグネットロール磁石の識別に関して、例えば磁石側面にインクによりマーキングすることが行われている。しかしながら、この方法では、インクが薄く判別困難となったり、逆にインクが多すぎた場合には、はみ出しにより寸法精度や機能を損なうおそれがある。また、インクの種類によってはマーキング後に剥離を起こし、異物付着の原因となることもある。さらに、マグネットロール用磁石成形後にマーキングされるので、誤マーキングの原因となるばかりでなく、工程が増え、コスト増の原因にもなり、その改善が要望されている。本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、マグネットロール組み立てに際し、作業効率を向上することができ、誤接着を予防することが可能なマグネットロール用磁石を提供することを目的とし、さらにはマグネットロール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するために、本発明のマグネットロール用磁石は、外周面における中心線から外れた位置に溝が形成されていることを特徴とする。あるいは、側面に溝が形成されていることを特徴とする。また、本発明のマグネットロールは、周方向において分割された断面略扇形形状の複数のマグネットロール用磁石がシャフトの周面に接着され、一体化されてなるマグネットロールであって、前記複数のマグネットロール用磁石のうちの少なくともいずれか1つに外周面における中心線から外れた位置または側面に溝が形成されたマグネットロール用磁石(請求項1から6のいずれか1項記載のマグネットロール用磁石)を用いたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のマグネットロールの製造方法は、周方向において分割された断面略扇形形状の複数のマグネットロール用磁石をシャフトの周面に接着し、一体化するマグネットロールの製造方法であって、前記複数のマグネットロール用磁石のうちの少なくともいずれか1つに外周面における中心線から外れた位置または側面に溝が形成されたマグネットロール用磁石(請求項1から6のいずれか1項記載のマグネットロール用磁石)を用い、このマグネットロール用磁石に設けられた溝を利用してマグネットロール用磁石を所定の位置に接着することを特徴とする。
【0013】
本発明においては、マグネットロールを構成するマグネットロール用磁石に識別用の溝が設けられており、外観から容易にマグネットロール用磁石の種類等が把握される。したがって、当該識別用の溝を利用してマグネットロール用磁石をシャフトに接着すれば、誤接着が防止される。また、識別のための手間が不要であるので、作業効率も向上する。
【0014】
特に、マグネットロール磁石に関する識別機能の向上と、その磁気パターンへの影響を考えた場合には、前記識別用の溝は、マグネットロール用磁石の外周面における中心線から外れた位置、あるいは側面に形成する。
【0015】
例えば、前記識別用の溝がマグネットロール用磁石の外周面における中心線位置に形成されている場合、マグネットロール用磁石の種類は識別可能であるが、マグネットロール用磁石の方向を識別することはできない。これに対して、前記識別用の溝をマグネットロール用磁石の外周面における中心線から外れた位置や側面に形成すれば、マグネットロール用磁石の方向まで把握することができる。また、通常、マグネットロール用磁石においては、前記中心線位置に磁気パターンのピークが位置することが多い。このような場合、前記識別用の溝を前記中心線位置に形成すると、磁気パターンへの影響が大きくなり、所定の磁気特性が得られなくなるおそれがある。
【0016】
マグネットロール用磁石の外周面に溝を形成することは、例えば前述の特許文献1にも開示されている。特許文献1記載の発明では、マグネットピースの外周中央部に切り欠きを形成することにより、磁界分布をコントロールするようにしている。したがって、特許文献1と本願発明とでは、溝を形成する目的が全く異なり、識別に関する記載は特許文献1においては皆無である。本願発明では、前記溝の形成は、マグネットロール用磁石の識別を目的としており、またマグネットロール用磁石の磁気パターンに影響を与えることがないように形成することが主旨であり、前記特許文献1記載の技術とは技術思想が全く異なる。
【0017】
また、マグネットロールの位置決めを目的として、位置決め手段としての溝を磁石体の外周面に形成した例として、例えば特開平6−230678号公報記載の発明を挙げることができるが、前記位置決め手段としての溝は、マグネットロールを現像装置に組み込む際の位置決めを目的とするものである。したがって、本願発明のように複数のマグネットロール用磁石をシャフトに組み立てる際にマグネットロール用磁石の種類や方向を識別するものとは大きく異なる。前記公報記載の発明が対象としているのは、円柱形の一体型シャフトレスマグネットロールであり、マグネットロール用磁石をシャフトへ接着するものとは異なる構造であるので、前記相違は当然とも言える事項である。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、マグネットロール組み立てに際し、マグネットロール用磁石の種類や方向等を簡単に把握することができ、その結果、作業効率を大幅に向上することが可能であり、さらには誤接着を予防することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を適用したマグネットロール及びその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
先ず、マグネットロールが組み込まれる現像ロールの構造について説明すると、図1乃至図3に示すように、現像ロール1は、円筒形状のスリーブ2の中にマグネットロール3を組み込むことにより構成されている。スリーブ2は、例えばアルミニウムにより形成されており、前記マグネットロール3を収容するに足る長さの筒状体として形成されている。また、スリーブ2と内周面と、この中に収容されるマグネットロール3の外周面の間には、所定間隔の空隙が形成されている。
【0021】
マグネットロール3は、例えば金属製のシャフト4の周囲に複数のマグネットロール用磁石、ここでは5分割されたマグネットロール用磁石5,6,7,8,9を配列し、接着固定することにより構成されている。各マグネットロール用磁石5〜9は、いずれも断面形状が略扇形であり、これらをシャフト4の周囲に貼り合わせることで、全体形状が円筒形の磁石体が構成されることになる。
【0022】
各マグネットロール用磁石5〜9は、バインダー(プラスチック系やゴム系等)と磁石粉末を含む混合物を押し出し成形、あるいは射出成形することにより形成されるものである。ここで、前記バインダーの種類は、特に限定されないが、具体的には、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン12等)や、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム等の合成ゴム、あるいは天然ゴム等を用いることができる。磁石粉末としては、フェライト磁石粉末(例えば、Sr系フェライト粉末やBa系フェライト粉末等)や、希土類金属磁石粉末(例えば、SmCo系、NdFeB系、SmFeN系等)等を挙げることができる。これらの中から要求される特性に応じて選定すればよい。
【0023】
マグネットロール用磁石5〜9は、それぞれ径方向に磁化されており、外周面側がN極、あるいはS極とされ、マグネットロール1の外周面において、例えばN極とS極が交互に配列されように貼り合わされている。これらマグネットロール用磁石5〜9は、それぞれ汲み上げ極、層規制極、搬送極、現像極、剥離極として機能し、スリーブ2に所定の配列で取り付けられている。
【0024】
シャフト4は、金属等の高強度材料により形成されており、周面に貼り付けられるマグネットロール用磁石5〜9の長さよりも長く、したがって、周面に前記マグネットロール用磁石5〜9を貼り付けた際に、その両端が露呈する形になっている。露呈したシャフト4の両端部は、前記スリーブ2の両端に設けられたフランジ10,11に対し、軸受け12,13を介して回転可能に挿入されている。なお、シャフト4の一端側はフランジ10を挿通し外方まで延在されているが、他端側はフランジ11に突き当てられ、このフランジ11にシャフト4を延長する如くシャフト部11aが設けられている。
【0025】
ここで、図3における右側のフランジ11の側からシャフト部11aを回転駆動すると、フランジ11を介して回転がスリーブ2に伝達される。したがって、この右側のフランジ11は、駆動側フランジと称され、耐摩耗性に優れた非磁性材料(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等)によって形成される。これに対して、図3における左側のフランジ10は、従動側フランジと称され、マグネットロール3をスリーブ2内に保持する機能を有し、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、樹脂材料等によって形成される。
【0026】
以上がマグネットロール及び現像ロールの概略構成であるが、本発明のマグネットロールにおいては、マグネットロール用磁石5〜9のうちの少なくともいずれか1つ(本例の場合、マグネットロール用磁石5)に識別用の溝5cが形成されていることが大きな特徴である。以下、この識別用の溝について説明する。
【0027】
前記の通り、マグネットロール用磁石5〜9は、それぞれ汲み上げ極、層規制極、搬送極、現像極、剥離極として機能し、スリーブ2に所定の配列で取り付けられる必要がある。このとき、各マグネットロール用磁石5〜9の形状が大きく異なっていれば、取り違えるおそれは少なく、誤接着の可能性は少ない。これに対して、各マグネットロール用磁石5〜9の形状が同一または近似した形状である場合には、これらを外観で識別することは難しく、誤接着の原因となる。
【0028】
そこで、例えば図4に示すように、マグネットロール用磁石5〜9の少なくともいずれか1つ(マグネットロール用磁石5)に識別用の溝を設けておけば、このマグネットロール用磁石5を他のマグネットロール用磁石6〜9と確実に識別することができ、前記配列に応じて所定の位置に接着することができる。
【0029】
前記マグネットロール用磁石5は、断面が略扇形を呈するように長尺状に成形されており、その内周面5a及び外周面5bは、それぞれ円弧状の曲面とされている。特に、内周面5aは、シャフト4の外周面の曲率とほぼ等しい曲率を有する円弧面とされ、マグネットロール用磁石5をシャフト4に貼り合わせた際には、この内周面5aがシャフト4の外周面に沿った形で面接触状態とされることになる。本例の場合、前記外周面5bに断面円弧状の溝5cを識別用の溝として形成し、マグネットロール用磁石5の識別に利用するようにしている。なお、略扇形のマグネットロール用磁石5において、内周面5aと外周面5bとは同心円形状とするのが通常であるが、これらの曲率中心をずらすことで内周面5aと外周面5bの円弧形状を前記同心円形状から互いにずらすことも可能である。
【0030】
なお、ここではマグネットロール用磁石5にのみ識別用の溝5cを形成するようにしたが、2つ以上のマグネットロール用磁石に識別用の溝を設けておくことも可能である。この場合、前記汲み上げ極、層規制極、搬送極、現像極、剥離極等に応じて、これら極を構成するマグネットロール用磁石に形成される識別用の溝の数や位置等を変更すれば、各極を構成するマグネットロール用磁石を確実に識別することが可能となる。
【0031】
また、前記のようにマグネットロール用磁石5〜9をN極とS極が交互に配列されように貼り合わせる場合には、例えば図5に示すように、外周面がN極であるマグネットロール用磁石5,7に前記識別用の溝5c,7cを形成しておけば、磁極の向きを間違えることなくシャフト4に接着することが可能である。
【0032】
さらには、前記識別用の溝5cは、マグネットロール用磁石5の接着方向の識別に利用することも可能である。例えば、図6に示すように、マグネットロール用磁石5の磁気パターンにおいて、磁界のピークの位置が外周面の中心線からずれている場合(磁気パターンが非対称な場合)には、図6(a)に示す方向でマグネットロール用磁石5をシャフト4に接着した場合と、図6(b)に示す方向でマグネットロール用磁石5をシャフト4に接着した場合とで、前記磁界のピークの位置が異なることになる。そこで、前記のように識別用の溝5cを前記中心線からずらした位置に形成しておけば、溝5cの位置からマグネットロール用磁石5の磁気パターンを考慮した方向性を識別することができ、シャフト4に対して確実に所定の方向に接着することが可能になる。なお、ここで言う磁気パターンとは、各マグネットロール用磁石に対応してスリーブ上で測定される周方向の磁界分布であり、マグネットロールにおいては、機能に応じて様々な磁気パターンを有するマグネットロール用磁石が用いられる。
【0033】
前記識別用の溝は、例えば成形後の成形体に対して後加工(溝加工)により形成しても良いが、予め成形用の金型に突部を設ける等、金型を識別用の溝に対応した形状としておき、成形時に溝が形成されるようにすることがより好ましい。成形時に前記識別用の溝が形成されるようにすれば、誤マーキングを完全に防止することができ、後加工追加によるコスト増がなく、後加工による研削粉等の異物の発生もなくなる。また、マグネットロール用の磁石の長手方向に対しては、その全長にわたって溝が形成されてもよいが、部分的に溝が形成されていても良い。通常マグネットロール用磁石は長手方向に対し均一な磁界分布が要求されるため、一様な形状をとることが多い。しかし、本発明では磁気特性に実質的な影響を与えず、かつ識別を容易にする溝を形成することが特徴であるので、長手方向に対しても磁気特性分布の実質的な影響はないためである。この部分的な溝形成は、成形後の後加工、あるいは射出成形によって実現できる。一方、長手方向全長にわたる溝形成は、後加工、射出成形あるいは押出し成形にて容易に実現できる。
【0034】
前記マグネットロール用磁石5に形成される識別用の溝5cとしては、図4に示すものに限られず、種々の変更が可能である。図7に、識別用の溝5cの他の例を例示する。例えば、図7(a)は、識別用の溝5cを断面略V字状とした例である。ただし、マグネットロール用磁石5の成形を考えた場合には、図4に示すような断面円弧状の溝5cである方が有利である。図7(a)に示すように識別用の溝5cを断面略V字状とした場合、マグネットロール用磁石5を成形する金型にV字状の部分を形成する必要があり、この部分で金型摩耗が懸念され、また製品コンタミネーションが生ずる可能性もある。その他の形状として矩形状、台形状等が例示される。
【0035】
図7(b)は、識別用の溝5cをマグネットロール用磁石5の側面5dに形成した例である。マグネットロール用磁石5の外周面5bに識別用の溝5cを形成すると磁気パターンに影響を与えるおそれがあるような場合には、図7(b)に示すようにマグネットロール用磁石5の側面5dに識別用の溝5cを形成すれば、前記磁気パターンへの影響を最小限に抑えることができる。このように、磁気パターンの都合上、外周面に識別用の溝を入れられない場合の他、左右識別を明確にしたい場合、あるいは類似形状が3個以上あり、識別が煩雑になる場合等に側面に溝を形成することが有効である。
【0036】
図7(c)は、マグネットロール用磁石5の外周面5bに複数(ここでは2本)の識別用の溝5cを設けた例であり、図7(d)はマグネットロール用磁石5の外周面5bと側面5dの両方に識別用の溝5cを設けた例である。なお、図7(d)においては、外周面5bの溝5cをV字状の溝としている。機能や磁界分布等が異なる複数種類のマグネットロール用磁石を組み合わせてマグネットロールを構成する場合、識別用の溝5cの形成位置、数等を変えることで、汲み上げ極、層規制極、搬送極、現像極、剥離極等を構成するマグネットロール用磁石を確実に識別することが可能となり、シャフト4に所定の配列で接着することが可能になる。
【0037】
ところで、マグネットロール用磁石に前記のような識別用の溝を形成する場合、その形成位置に注意を払う必要がある。例えば、通常、マグネットロール用磁石における磁気パターンのピーク位置は、外周面の中心線位置と一致させることが多い。したがって、前記識別用の溝を前記中心線位置に設けると、磁気パターンへの影響が大きい。また、識別用の溝を前記中心線位置に設けた場合、方向性については識別することができなくなる。
【0038】
したがって、図4に示すように、識別用の溝5cは、マグネットロール用磁石5の外周面5bの端部に沿って形成することが好ましいが、この場合、外周面5bの端部から溝5cまでの距離tは、0.2mm以上とすることが好ましい。前記距離tが0.2mm未満であると、溝5cと外周面5bの端部との間の部分が微細なものとなり、成形時に削れや欠け、脱落等を起こす危険性が生ずる。なお、外周端部に図8に示すような切り欠き等がある場合は切り欠き端部からの距離である。また、中心線からの距離は2mm以上が好ましい。前記距離が2mm未満になると、磁気パターンへの影響が懸念される。
【0039】
図7(b)に示すように、識別用の溝5cをマグネットロール用磁石5の側面5dに形成した場合には、磁気パターンへの影響はより少なくなるが、成形性等を考慮して側面上部からの距離Tを0.2mm〜2.5mmとすることが好ましい。前記距離Tが0.2mm未満であると、溝5cと側面上端部との間の部分が微細なものとなり、成形時に削れや欠け、脱落等を起こす危険性が生ずる。なお、外周端部に図8に示すような切り欠き5e等がある場合は、前記距離Tは切り欠き5eの端部からの距離である。逆に、前記距離Tが2.5mmを超えると、マグネットロール用磁石5の寸法の小さな部分に溝5cが形成されることになり、強度等の観点から好ましくない。
【0040】
実際、本発明者らは、図4あるいは図7(a)〜(d)に示す位置及び形状の溝を形成し、溝を形成していないマグネットロール用磁石と磁気パターンを比較した。図9に図4に対応するマグネットロール用磁石の磁気パターンを、図10(a)〜(d)に図7(a)〜(d)に対応するマグネットロール用磁石の磁気パターンを、図11(a)、(b)に磁気パターンピーク位置を断面中央からずらしたマグネットロール用磁石において溝を形成した例とそのときの磁気パターンを示した。また、比較のため、図12(a)に溝を形成していないマグネットロール用磁石の磁気パターンを示し、図12(b)に中心線位置に溝を施したマグネットロール用磁石の磁気パターンを各々示した。なお、これら各図においては、図中に磁力波形として磁気パターンを示してあるが、実線(磁石出力波形)は実際の磁石の磁気パターンを、破線(標準磁石波形)は溝無し形状とした以外は同一である磁石の磁気パターンを、それぞれ示す。さらに、表1には各パターンにおいて施した溝の寸法、形状を示した。なお、表1に表記した各種寸法は、図13に示す各寸法t(外周端部からの距離)、T(側面上端部からの距離)、S(ピーク位置からの距離)、d1,d2(溝深さ)、w1,w2(溝幅)に対応するものである。
【0041】
【表1】


【0042】
その結果、いずれの場合にも実質的に磁気パターンは変化していないことがわかった。これに対して、識別用の溝をマグネットロール用磁石の外周面中心線位置に形成した場合には、ピーク位置にて磁気パターンが分裂してしまっており、影響が大きいことがわかった。
【0043】
一方、前記識別用の溝自体の寸法としては、溝の深さは0.2mm〜1mmとすることが好ましく、溝の幅も0.2mm〜2mmとすることが好ましい。前記溝の深さや幅が0.2mm未満であると、識別が困難になり、また識別性を向上するために色彩を施した場合に、彩色のための塗料が剥がれ易くなる。逆に、前記溝の深さや幅を1mm以上、あるいは2mm以上とすると、マグネットロール用磁石の磁気特性(磁気パターン等)に影響を及ぼすおそれがある。
【0044】
マグネットロールの組み立てに際しては、例えば前記マグネットロール用磁石5〜9を所定の順番でシャフト4に接着する必要があるが、前記のようにマグネットロールに識別用の溝を設けておくことで、外観から容易にマグネットロール用磁石5〜9の種類、方向等を把握することができる。したがって、マグネットロール用磁石の誤接着を確実に防止することができ、作業効率も向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】現像ロールを中心断面方向から見た模式図である。
【図2】マグネットロールの分解斜視図である。
【図3】現像ロールの概略断面図である。
【図4】識別用の溝を設けたマグネットロール用磁石の形状例を示す概略正面図である。
【図5】識別用の溝によるマグネットロール用磁石の識別の一例を示す模式図である。
【図6】識別用の溝によりマグネットロール用磁石の方向を識別する例を示す模式図である。
【図7】(a)〜(d)は、それぞれ識別用の溝を設けたマグネットロール用磁石の他の形状例を示す概略正面図である。
【図8】切り欠きを設けたマグネットロール用磁石に識別用の溝を設けた場合の形状例を示す概略正面図である。
【図9】実線は図4に対応する形状のマグネットロール用磁石の磁気パターンである。
【図10】(a)〜(d)は、それぞれ図7(a)〜(d)に対応する識別用の溝を設けた場合のマグネットロール用磁石の磁気パターンである。
【図11】磁気パターンピーク位置が断面中央からずらしたマグネットロール用磁石において溝を形成した例とそのときの磁気パターンを示す図である。
【図12】(a)は識別用の溝を設けなかった場合のマグネットロール用磁石の磁気パターンであり、(b)は外周部中央に溝を設けたマグネットロール用磁石の磁気パターンである。
【図13】表1にて用いたマグネットロール用磁石に設けられた溝における各種寸法の位置関係を図示した図面である。
【符号の説明】
【0046】
1 現像ロール、2 スリーブ、3 マグネットロール、4 シャフト、5,6,7,8,9 マグネットロール用磁石、5a 内周面、5b 外周面、5c 識別用の溝、5d 側面




 

 


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