米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 写真;映画 -> コニカミノルタエムジー株式会社

発明の名称 熱現像感光材料及びそれを用いた画像形成方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−171423(P2007−171423A)
公開日 平成19年7月5日(2007.7.5)
出願番号 特願2005−367275(P2005−367275)
出願日 平成17年12月20日(2005.12.20)
代理人 【識別番号】100094710
【弁理士】
【氏名又は名称】岩間 芳雄
発明者 野中 義之
要約 課題
帯電性が軽減され、搬送性に優れ、且つ超硬調で高感度で、画像保存性と加工脆性が良好な熱現像感光材料及び画像形成方法を提供する。

解決手段
支持体上に非感光性有機銀塩、該有機銀塩の還元剤、感光性ハロゲン化銀、硬調化剤およびバインダーを含有する画像形成層と該画像形成層を保護する非感光性層を各々1層有する熱現像感光材料において、前記のバインダーが、下記一般式(M)で表されるモノマーを10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーを含有し、かつ、120℃におけるにおい強度が−3以上1以下であるる熱現像感光材料。一般式(M) CH2=CR01−CR02=CH2 式中、R01は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基を表し、R02は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。
特許請求の範囲
【請求項1】
支持体上に非感光性有機銀塩、該有機銀塩の還元剤、感光性ハロゲン化銀、硬調化剤およびバインダーを含有する画像形成層と該画像形成層を保護する非感光性層を各々少なくとも1層有する熱現像感光材料において、前記のバインダーが、下記一般式(M)で表されるモノマーを10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーを含有し、且つ120℃におけるにおい強度が−3以上1以下であることを特徴とする熱現像感光材料。
一般式(M)
CH2=CR01−CR02=CH2
(式中、R01は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基を表し、R02は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。)
【請求項2】
硬調化剤が、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
【化1】


(式中、Rll、Rl2及びRl3は各々水素原子又は一価の置換基を表し、Xllは電子供与性のヘテロ環基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルキルアミノ基又はシクロアルケニル基を表す。)
【化2】


(式中、R21はアルキル基を表し、R22及びR23は各々水素原子又は一価の置換基を表し、X21は電子吸引性基を表し、L21は芳香族炭素環基を表し、n2は0又は1を表す。)
【化3】


(式中、X31は電子吸引性のヘテロ環基、ハロゲン原子又はハロアルキル基を表し、R31又はR32のいずれか一方が水素原子であり、他方がヒドロキシル基を表す。)
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱現像感光材料を、熱現像部の前にプレヒート部を有し、かつ、プレヒート部の温度が80〜120℃である熱現像自現機を用いて処理することを特徴とする画像形成方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱現像感光材料及び画像形成方法に関し、特に印刷製版用に適した熱現像感光材料及び画像形成方法に関するものである。更に詳しくは、帯電性が軽減され、搬送性に優れた熱現像感光材料及び画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷製版や医療の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が作業性の上で問題となっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターやレーザー・イメージャー等を用い、効率的な露光が可能で、かつ高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真用途の光熱写真材料に関する技術が求められている。この技術としては、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料が知られている。
これらの熱現像感光材料は、熱現像処理により写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び必要に応じて銀の色調を調整する色調剤等を、通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有している。該熱現像感光材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃〜140℃)に加熱することで現像される。すなわち、加熱することにより有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成するものである。この酸化還元反応は、露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応により生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給することなく進行する。
【0003】
これら熱現像感光材料において問題となることは、露光時、現像時等において、熱現像感光材料が帯電し、搬送に障害が起こることである。
熱現像感光材料の帯電性を低減し、良好な搬送性を得るために、例えば、熱現像感光材料の最外層に滑り剤を含有させ帯電性を低減させる技術が特許文献1に、熱現像感光材料のバック層側のベック平滑度を規定し帯電性を低減させる技術が特許文献2に、熱現像感光材料の最外層に帯電防止層を設け帯電性を低減させる技術が特許文献3に、熱現像感光材料の画像形成層およびバック層を有する面側のスムースター値を規定し、また、フッソ系界面活性剤を含有させ帯電性を低減させる技術が特許文献4に記載されているが、これらの従来技術では、所望するレベルまで帯電量を低減し、搬送性を改善するには不十分であり、さらなる改良が望まれていた。
【0004】
そこで本発明者は検討したところ、画像形成層のバインダーとして、特定のモノマーを10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーを含有させ、120℃におけるにおい強度を−3以上1以下とすることにより、熱現像感光材料の帯電性を低減し、良好な搬送性が得られることが判明した。
熱現像感光材料において、本発明で用いる特定のモノマーを10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーを含有するバインダーを用いることにより、画像保存性、感度と加工脆性を改良することが引用文献5に記載され、また、引用文献6には、溶剤量を規定し、特定のハロゲン化物を含有させ、におい強度を−3〜1の範囲とした熱現像感光材料が記載されているが、そのいずれにも、帯電性が軽減され、優れた搬送性が得られることは明らかにされていない。
【特許文献1】特開2001−005137号公報
【特許文献2】特開2003−043627号公報
【特許文献3】米国特許第5,747,412号明細書
【特許文献4】特開2000−105440号公報
【特許文献5】特開2004−184693号公報
【特許文献6】特開2003−162026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、特に印刷製版用のスキャナー、イメージセッター用として、帯電性が軽減され、搬送性に優れ、且つ超硬調で高感度で、画像保存性と加工脆性が良好な熱現像感光材料を提供すること及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記の目的は、以下の熱現像感光材料及び画像形成方法により達成された。
(1)支持体上に非感光性有機銀塩、該有機銀塩の還元剤、感光性ハロゲン化銀、硬調化剤およびバインダーを含有する画像形成層と該画像形成層を保護する非感光性層を各々少なくとも1層有する熱現像感光材料において、前記のバインダーが、下記一般式(M)で表されるモノマーを10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーを含有し、且つ120℃におけるにおい強度が−3以上1以下であることを特徴とする熱現像感光材料。
一般式(M)
CH2=CR01−CR02=CH2
(式中、R01は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基を表し、R02は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。)
(2)硬調化剤が、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物であることを特徴とする上記(1)に記載の熱現像感光材料。
【0007】
【化4】


(式中、Rll、Rl2及びRl3は各々水素原子又は一価の置換基を表し、Xllは電子供与性のヘテロ環基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルキルアミノ基又はシクロアルケニル基を表す。)
【0008】
【化5】


(式中、R21はアルキル基を表し、R22及びR23は各々水素原子又は一価の置換基を表し、X21は電子吸引性基を表し、L21は芳香族炭素環基を表し、n2は0又は1を表す。)
【0009】
【化6】


(式中、X31は電子吸引性のヘテロ環基、ハロゲン原子又はハロアルキル基を表し、R31又はR32のいずれか一方が水素原子であり、他方がヒドロキシル基を表す。)
(3)上記(1)または(2)に記載の熱現像感光材料を、熱現像部の前にプレヒート部を有し、かつ、プレヒート部の温度が80〜120℃である熱現像自現機を用いて処理することを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱現像感光材料及び画像形成方法は、帯電性が軽減され、搬送性に優れ、且つ超硬調で高感度で、画像保存性と加工脆性が良好で、作業環境に悪影響を及ぼすことはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の熱現像感光材料は、支持体上の同一面上に非感光性有機銀塩、該有機銀塩の還元剤、感光性ハロゲン化銀、硬調化剤およびバインダーを含有する画像形成層と該画像形成層を保護する非感光性層を各々少なくとも1層を有している。さらに、必要に応じて、他の非感光性層、例えば、画像形成層と表面保護層の間の中間層を有しても良い。画像形成層及び表面保護層は各々1層であっても2層以上の複数の層より形成されても良い。また、支持体の画像形成層とは反対の面にバック層やバック保護層を有しても良い。
本発明においては、画像形成層のバインダーは、下記一般式(M)で表されるモノマーを10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーを含有している。
一般式(M)
CH2=CR01−CR02=CH2
式中、R01は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基を表し、R02は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。
先ず、本発明の画像形成層のバインダーが含有する上記一般式(M)で表されるモノマーを10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーについて説明する。
【0012】
一般式(M)において、R01およびR02で表される炭素数1〜6のアルキル基は、好ましい炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子がさらに好ましい。
01およびR02として特に好ましくは、R01が水素原子でありR02がメチル基、もしくは塩素原子である。
一般式(M)で表されるモノマーの具体例としては、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロム−1,3−ブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエンが挙げられる。
本発明のインダーが含有する上記一般式(M)で表されるモノマーを共重合したポリマーにおける一般式(M)で表されるモノマーの共重合比率は、10〜70質量%であるが、好ましくは、15〜65質量%あり、より好ましくは20〜60質量%である。
一般式(M)で表されるモノマーの共重合比率が10質量%未満であると、バインダーの融着成分が減少し、加工脆性が悪化する。また、一般式(M)で表されるモノマーの共重合比率が70質量%を超えると、バインダーの融着成分が増加し、バインダーの運動性が上昇するため、画像保存性が悪化する。
【0013】
本発明において、一般式(M)で表されるモノマーと共重合され得る他のモノマーは、特に制限はなく、通常のラジカル重合又はイオン重合法で重合可能なものであれば、好適に用いることができる。好ましく用いることができるモノマーとして、下記に示すモノマー群(a)〜(j)から独立かつ自由に組み合わせて選択することができる。
(a)共役ジエン類:1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−ブロム−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等。
(b)オレフィン類:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−トリビニルシクロヘキサン等
(c)α,β−不飽和カルボン酸及びその塩類:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、イタコン酸カリウム等。
【0014】
(d)α,β−不飽和カルボン酸エステル類:アルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート等)、置換アルキルアクリレート(例えば、2−クロロエチルアクリレート、べンジルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート等)、アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリーレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等)、置換アルキルメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、2−アセトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(ポリオキシプロピレンの付加モル数=2ないし100のもの)、3−N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、クロロ−3−N,N,N−トリメチルアンモニオプロピルメタクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、4−オキシスルホブチルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート等)、不飽和ジカルボン酸の誘導体(例えば、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジブチル等)、多官能エステル類(例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレート等)。
【0015】
(e)β−不飽和カルボン酸のアミド類:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、イタコン酸ジアミド、N−メチルマレイミド、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸、メチレンビスアクリルアミド、ジメタクリロイルピペラジン等
(f)不飽和ニトリル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(g)スチレン及びその誘導体:スチレン、ビニルトルエン、p−tertブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム塩、p−アミノメチルスチレン、1,4−ジビニルベンゼン等。
(h)ビニルエーテル類:メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等。
(i)ビニルエステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル等。
(j)その他の重合性単量体:N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリン、ジビニルスルホン等。
【0016】
本発明において、一般式(M)で表されるモノマーを共重合させたポリマーの好ましい例としては、スチレンとの共重合体(例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体等)、スチレンおよびブタジエンとの共重合体(例えば、ランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等)、エチレン−プロピレンとの共重合体、アクリロニトリルとの共重合体、イソブチレンとの共重合体、アクリル酸エステルとの共重合体(例えば、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等)、及びアクリル酸エステルおよびアクリトニトリルとの共重合体(アクリル酸エステルとしては前記と同様なものが使用できる)を挙げることができ、この中でも、スチレンとの共重合体が最も好ましい。
また、本発明のポリマーは、これらの組成に、さらに酸基を有するモノマーを共重合したものが好ましい。酸基としては、カルボキシル酸、スルホン酸、リン酸が好ましい。酸基の共重合比率は、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
酸基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、イソプレンスルホン酸、ホスホリルエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0017】
本発明のバインダーには、前記一般式(M)で表されるモノマーを共重合したポリマーとともに他のポリマーも併用してもよい。併用することのできるポリマーとしては、透明又は半透明で、無色であることが好ましく、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、ポリ(アミド)類がある。
【0018】
本発明のバインダーは、加工脆性と画像保存性の点でガラス転移温度(Tg)が−30℃〜70℃の範囲のものが好ましく、より好ましくは−10℃〜50℃の範囲、さらに好ましくは0℃〜40℃の範囲である。バインダーとして2種以上のポリマーをブレンドして用いることも可能で、この場合、組成分を考慮し、加重平均したTgが上記の範囲に入るようにすることが好ましい。また、相分離した場合やコア−シェル構造を有する場合には加重平均したTgが上記の範囲に入ることが好ましい。
i=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているポリマーのガラス転移温度(Tg)は下記式で計算することができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここで、Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとることを意味している。
尚、各モノマーの単独重合体のガラス転移温度の値(Tgi)はpolymer handbook(3rd Edition)(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
【0019】
本発明のバインダーに用いられるポリマーは、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、アニオン重合法、カチオン重合法等により容易に得ることができるが、ラテックスとして得られる乳化重合法が最も好ましい。乳化重合法は、例えば、水、或いは、水と水に混和し得る有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトン等)との混合溶媒を分散媒とし、分散媒に対して5〜150質量%のモノマー混合物と、乳化剤及び重合開始剤を用い、30〜100℃程度、好ましくは60〜90℃で3〜24時間、撹拌下重合させることにより行われる。また、必要に応じて分散剤等を用いることも好ましい。
また、乳化重合にあたって、分散媒、モノマー濃度、重合開始剤量、乳化剤量、分散剤量、反応温度、モノマー添加方法等の諸条件は、使用するモノマーの種類を考慮し、適宜設定される。
乳化重合法は、一般的には、次に示す文献に従って行うことができる。
「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」
「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」
「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」
乳化重合法においては、一括重合法、モノマー(連続・分割)添加法、エマルジョン添加法、シード重合法などを選択することができ、ラテックスの生産性の観点から一括重合法、モノマー(連続・分割)添加法、エマルジョン添加法が好ましい。
【0020】
用いる重合開始剤はラジカル発生能があればよく、過硫酸塩や過酸化水素などの無機過酸化物、日本油脂(株)の有機過酸化物カタログなどに記載の過酸化物および和光純薬工業(株)のアゾ重合開始剤カタログなどに記載のアゾ化合物を用いることができる。その中でも、過硫酸塩などの水溶性過酸化物および和光純薬工業(株)のアゾ重合開始剤カタログなどに記載の水溶性アゾ化合物が好ましく、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩、アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、アゾビスシアノ吉草酸がより好ましく、特に、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過酸化物が画像保存性、溶解性、コストの観点から好ましい。
前記重合開始剤の添加量としては、重合開始剤がモノマー総量に対して0.3質量%〜2.0質量%が好ましく、0.4質量%〜1.75質量%がより好ましく、0.5質量%〜1.5質量%が特に好ましい。
【0021】
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも用いることができるが、アニオン性界面活性剤が分散性と画像保存性の観点から好ましく、少量で重合安定性が確保でき、加水分解耐性もあることからスルホン酸型アニオン性界面活性剤がより好ましく、ペレックスSS−H(花王(株))に代表される長鎖アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩がさらに好ましく、パイオニンA−43−S(竹本油脂(株))のような低電解質タイプが特に好ましい。
前記乳化剤として、スルホン酸型アニオン界面活性剤を用いる場合、モノマー総量に対して0.1質量%〜10.0質量%使用されていることが好ましく、0.2質量%〜7.5質量%使用されていることがより好ましく、0.3質量%〜5.0質量%使用されていることが特に好ましい。
【0022】
本発明に用いられるポリマーラテックスの合成には、キレート剤を使用するのが好ましい。キレート剤は、鉄イオンなどの金属イオンやカルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンなどの多価イオンを配位(キレート)できる化合物であり、特公平6−8956号公報、米国特許第5,053,322号明細書、特開平4−73645号公報、特開平4−127145号公報、特開平4−247073号公報、特開平4−305572号公報、特開平6−11805号公報、特開平5−173312号公報、特開平5−66527号公報、特開平5−158195号公報、特開平6−118580号公報、特開平6−110168号公報、特開平6−161054号公報、特開平6−175299号公報、特開平6−214352号公報、特開平7−114161号公報、特開平7−114154号公報、特開平7−120894号公報、特開平7−199433号公報、特開平7−306504号公報、特開平9−43792号公報、特開平8−314090号公報、特開平10−182571号公報、特開平10−182570号公報、特開平11−190892号公報に記載の化合物を用いることができる。
【0023】
前記キレート剤としては、無機キレート化合物(トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム等)、アミノポリカルボン酸系キレート化合物(ニトリロトリ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸等)、有機ホスホン酸系キレート化合物(リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)(以降、単にRDともいう。)No.18170号、特開昭52−102726号公報、同53−42730号公報、同56−97347号公報、同54−121127号公報、同55−4024号公報、同55−4025号公報、同55−29883号公報、同55−126241号公報、同55−65955号公報、同55−65956号公報、同57−179843号公報、同54−61125号公報、及び西独特許第1045373号明細書などに記載の化合物)、ポリフェノール系キレート剤、ポリアミン系キレート化合物などが好ましく、アミノポリカルボン酸誘導体が特に好ましい。
【0024】
前記アミノポリカルボン酸誘導体の好ましい例としては、「EDTA(−コンプレキサンの化学−)」(南江堂、1977年)の付表の化合物が挙げられ、また、これら化合物のカルボキシル基の一部がナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などとなっていてもよい。特に好ましいアミノカルボン酸誘導体としては、イミノ二酢酸、N−メチルイミノ二酢酸、N−(2−アミノエチル)イミノ二酢酸、N−(カルバモイルメチル)イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ−α−プロピオン酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ−β−プロピオン酸、N,N’−エチレン−ビス(α−ο−ヒドロキシフェニル)グリシン、N,N’−ジ(2−ヒドロキシべンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−ジアセトヒドロキサム酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,2−プロピレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、d,l−2,3−ジアミノブタン−N,N,N’,N’−四酢酸、meso−2,3−ジアミノブタン−N,N,N’,N’−四酢酸、1−フェニルエチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、d,l−1,2−ジフェニルエチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,4−ジアミノブタン−N,N,N’,N’−四酢酸、trans−シクロブタン−1,2−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、trans−シクロペンタン−1,2−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、cis−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、シクロヘキサン−1,3−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、シクロヘキサン−1,4−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、o−フェニレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、cis−1,4−ジアミノブテン−N,N,N’,N’−四酢酸、trans−1,4−ジアミノブテン−N,N,N’,N’−四酢酸、α,α’−ジアミノ−o−キシレン−N,N,N’,N’−四酢酸、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、2,2’−オキシ−ビス(エチルイミノ二酢酸)、2,2’−エチレンジオキシ−ビス(エチルイミノ二酢酸)、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−ジ−α−プロピオン酸、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−ジ−β−プロピオン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラプロピオン酸、ジエチレントリアミン−N,N,N’,N’’,N’’−五酢酸、トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−六酢酸、1,2,3−トリアミノプロパン−N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−六酢酸が挙げられ、またこれら化合物のカルボキシル基の一部がナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などに置換されたものも挙げることができる。
【0025】
前記キレート剤の添加量は、モノマー総量に対して0.01質量%〜0.4質量%が好ましく、0.02質量%〜0.3質量%がより好ましく、0.03質量%〜0.15質量%が特に好ましい。
【0026】
本発明に用いられるポリマーラテックスの合成には、連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤としては、polymer handbook,第3版、(Wiley−Interscience、1989)に記載されているものが好ましい。硫黄化合物は連鎖移動能が高く、少量の使用量で済むことからより好ましい。tert−ドデシルメルカプタンやn−ドデシルメルカプタン等疎水的なメルカプタン系の連鎖移動剤が特に好ましい。
前記連鎖移動剤量は、モノマー総量に対して0.2質量%〜2.0質量%が好ましく、0.3質量%〜1.8質量%がより好ましく、0.4質景%〜1.6質量%が特に好ましい。
乳化重合では、上記化合物以外に、電解質、安定化剤、増粘剤、消泡剤、酸化防止剤、加硫剤、凍結防止剤、ゲル化剤、加硫促進剤など合成ゴムハンドブック等に記載の添加剤を使用してもよい。
【0027】
(ポリマーの具体例)
本発明に用いられるポリマーの具体例として以下の例示化合物(P−1)〜(P−29)を挙げるが、本発明に用いられるポリマーはこれらの例示化合物に限定されるわけではない。
化学式中のx、y、z、z’はポリマー組成の質量比を示し、x、y、z、z’の総和は100%となる。また、Tgはポリマーから得られる乾膜のガラス転移温度を表す。
【0028】
【化7】


【0029】
【化8】


【0030】
【化9】


【0031】
【化10】


【0032】
【化11】


【0033】
【化12】


【0034】
以下に本発明に用いられるポリマーの合成例を示すが、該合成例の記載は本発明に用いられるポリマーの合成方法を限定するものではない。
また、他の例示化合物も同様な合成方法により合成することができる。
【0035】
(合成例1−例示化合物P−1の合成−)
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に蒸留水1500g添加し、90℃で3時間加熱し、重合釜のステンレス表面やステンレス製撹拌装置の部材に不動態皮膜を形成させる。この処理を行った重合釜に、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水584.86g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))9.45g、1mol/LのNaOHを20.25g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.216g、スチレン332.1g、イソプレン191.7g、アクリル酸16.2g、tert−ドデシルメルカプタン4.32gを入れ、重合釜を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム2.7gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま7時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、得られたポリマーをろ布(メッシュ:225)でろ過し、例示化合物P−1の分散液を1145g(固形分45質量%、粒径112nm)を得た。
【0036】
(合成例2−例示化合物P−2の合成−)
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)に上記合成例1と同様に不動態皮膜を形成させ、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水350.92g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))3.78g、1mol/LのNaOHを20.25g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.216g、スチレン34.02g、イソプレン18.36g、アクリル酸1.62g、tert−ドデシルメルカプタン2.16gを入れ、重合釜を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温65℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.35gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま2時間撹拌した。別途、蒸留水233.94g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))5.67g、スチレン306.18g、イソプレン165.24g、アクリル酸14.58g、tert−ドデシルメルカプタン2.16g、過硫酸アンモニウム1.35gを添加し、撹拌して乳化物を調製し、この乳化物を前記反応容器に8時間かけて添加した。添加終了後、さらに2時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、得られたポリマーをろ布(メッシュ:225)でろ過し、例示化合物P−2の分散液を1147g(固形分45質量%、粒径121nm)を得た。
【0037】
(合成例3−例示化合物P−4の合成−)
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)に上記合成例1と同様に不動態皮膜を形成させ、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水578.11g、界面活性剤(ペレックスSS−H(花王(株)製))16.2g、1mol/LのNaOHを20.25g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.216g、スチレン321.3g、イソプレン202.5g、アクリル酸16.2g、tert−ドデシルメルカプタン4.32gを入れ、重合釜を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム2.7gを水25mlに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに過硫酸アンモニウム1.35gを水25mlに溶解した液を添加し、90℃に昇温して3時間撹拌した.反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、得られたポリマーをろ布(メッシュ:225)でろ過し、例示化合物P−4の分散液を1139g(固形分45質量%、粒径105nm)を得た。
【0038】
本発明に用いられるポリマーラテックスには、水系溶媒を用いることができるが、水混和性の有機溶媒を併用してもよい。
水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミド等を挙げることができる。これら有機溶媒の添加量は、溶媒の50%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。
また、本発明のポリマーラテックスのポリマー濃度は10〜70質量%であることが好ましく、さらに20〜60質量%であることが好ましく、特に30〜55質量%であることが好ましい。
本発明のバインダーポリマーは、25℃60%RHにおける平衡含水率が2質量%以下であることが好ましい。より好ましくは平衡含水率は0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1.0質量%以下である。
「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を用いて以下のようにして算出した含水率をいう。
25℃60%RHにおける平衡含水率=[(W1−W0)/W0]×100(質量%)
平衡含水率の定義と測定法については、例えば、高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書籍)を参考にすることができる。
【0039】
本発明においては水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態は、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、好ましくは5〜1000nmの範囲であり、より好ましくは10〜500nmの範囲、さらに好ましくは50〜200nmの範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
本発明の画像形成層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
本発明の画像形成層は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好ましい。画像形成層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の重量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲である。
また、画像形成層の全バインダー/感光性ハロゲン化銀の重量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲である。
本発明の画像形成層の全バインダー量は好ましくは0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2、さらに好ましくは2〜10g/m2の範囲である。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0040】
本発明において、熱現像感光材料の120℃におけるにおい強度は、−3〜1であるが、好ましくは−2.5〜0.5であり、更に好ましくは−2.5〜0.5である。
本発明においては、熱現像感光材料から発生するにおい強度は、以下の方法によって測定した値として定義される。
〈試料の調整〉
熱現像感光材料を密閉包装している包材から室温(25℃)で取出して直ちに4cm×4cmの大きさに裁断し、サンプルバック(ポリエチレンテレフタレート製:容量2リットル)に封入後窒素ガスを充填する。窒素ガスを充填したサンプルバッグをホットプレートにて120℃で4分間加熱を行う。
〈におい強度の測定〉
におい識別装置FF−1((株)島津製作所製:カーボン系捕集管による昇温熱脱離濃縮方式、酸化物半導体センサ、6センサ)でサンプルバッグ内の臭気を捕集し、におい強度(SC1軸の数値)を測定する。測定条件を次に示す。
恒温槽温度:60℃
定常時ガス流量:40ml/min
サンプリング流量:165ml/min
サンプリング時間:18s(補集管温度 40℃)
ドライパージ流量:500ml/min
ドライパージ時間:90s(補集管温度 40℃)
デソープション流量:20ml/min
デソープション時間:120s(補集管温度 220℃)
クリ−ニング流量:150ml/min
サンプリング時間:60s(補集管温度 250℃)
【0041】
〈におい強度の校正〉
上記測定条件で得られるにおい強度SC1は、下記の方法により校正することで常に同じものさしで比較することができる。標準データは、5ppmのトルエンを用い、サンプルリング時間を3秒、12秒、48秒と変えて3点測定する。これらのSC1値をそれぞれ−1.0、0.0、1.8とし、FF−1の校正を行う。トルエンには市販のものが使用できる。フイルム試料を測定するたびに、上記の方法で校正することにより、センサの経時劣化を補正した再現性のよいデータが得られる。この測定は、FF−1の校正シーケンスという自動測定のモードを選択し、FF−1に組み込まれているソフトを立ち上げることにより自動的に計算させることができる。
【0042】
本発明において熱現像感光材料から発生するにおい強度を−3以上1以下に制御する方法については特に限定は無いが、例えば、
(1)熱現像感光材料を製造する際に、有機溶剤およびにおいを発生する化合物を極力使用しない、
(2)有機溶媒を使用する場合には低沸点の有機溶剤を使用する。
(3)熱現像感光材料の塗布乾燥時に乾燥能力を強化する(乾燥温度を上げる、乾燥時間を長くする等)、
(4)熱現像感光材料の塗布乾燥後更に加熱を加える
等の方法を挙げることができる。これらの方法は単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて用いてもよい。
におい強度の発生源には、有機溶剤のみならず有機溶剤以外の他の添加剤からの揮散成分も含まれ、有機溶剤量とにおい強度とは必ずしも対応しない。
におい強度を増加させる成分には、メルカプト系化合物、比較的高分子の化合物等があり、熱現像時に高温でいくつかの成分が反応して生成する物質も含まれる。これらの、有機溶剤とは異なる成分であって、臭気強度測定器のセンサーに検出される成分が、ある範囲内に入っていることが、特定のバインダーを用いたときに帯電性に影響を与えることは予想外であった。
【0043】
本発明においては、画像形成層の硬調化剤は、従来公知の硬調化剤はいずれも用いられるが、本発明においては、硬調化剤として前記一般式(1)〜(3)で表される化合物の少なくとも1種を用いることが好ましい。
一般式(1)〜(3)で表される化合物を画像形成層に含有させることにより、高感度、高Dmaxで、かつ硬調な階調を実現すると共に、黒ポツ耐性を有し保存安定性に優れた熱現像感光材料を得ることができる。
以下、一般式(1)〜(3)で表される化合物を詳細に説明するが、それに先立ち、以下の説明で用いる電子供与性基及び電子吸引性基の用語について説明をする。
以下でいう電子供与性基とは、ハメットの置換基定数σpが負の値をとる置換基のことであり、電子供与性基としては、例えば、ヒドロキシル基(又はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、σpが負の値をとるヘテロ環基又はこれらの電子供与性基で置換されたフェニル基等が挙げられる。
また、電子吸引性基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値をとる置換基のことであり、電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルファモイル基、スルホンアミド基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ホスホリル基、カルボキシ基(又はその塩)、スルホ基(又はその塩)、イミノ基、σpが正の値をとるヘテロ環基又はこれらの電子吸引性基で置換されたフェニル基等が挙げられる。
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論じるために1935年に、L.P.Hammetにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則により求められた置換基定数にはσp値とσm値とがあり、これらの値は多くの一般的な成書に記載があり、「Lange’s Handbook of Chemistry(J.A.Dean著)」第12版、1979年(McGyaw−Hill)や「化学の領域増刊」、第122号、第96〜103頁、1979年(南光堂)、Chemical Reviews、第91巻、第165〜195頁、1991年に詳しく述べられている。
本発明における電子吸引性基及び電子供与性基は、σp値により規定されるものであり、上記の成書等に記載の文献既知の値がある置換基のみに限定されるものではない。
【0044】
一般式(1)において、Xllは電子供与性のヘテロ環基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルキルアミノ基又はシクロアルケニル基を表すが、電子供与性のヘテロ環の代表例としては、「Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology(Corwin Hansch and Albert Leo著)」の第66〜339頁に記載のσpが負のヘテロ環が挙げられ、具体的な例としては、ピペリジニル基、ピロリジニル基、モルフォリノ基、ピペラジニル基、3−チエニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ピロロ基等が挙げられる。好ましくは、3−チエニル基、2−フリル基又は3−フリル基である。これらのヘテロ環は、σpが0又は正にならない範囲で任意の置換基を有してもよい。
また、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基又はシクロアルキルアミノ基の具体的な例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロプロピルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基、シクロプロピルメチルアミノ基、シクロペンチルメチルアミノ基、シクロへキシルメチルアミノ基、シクロヘプチルメチルアミノ基等が挙げられる。好ましくは、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロペンチルチオ基及びシクロヘキシルチオ基である。シクロアルケニル基の具体的な例としては、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基及びシクロヘプテニル基等が挙げられる。好ましくは、シクロペンテニル基又はシクロヘキセニル基である。
【0045】
一般式(1)において、R11、R12及びR13は、各々水素原子又は一価の置換基を表すが、一価の置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニウム基)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えば、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む。)、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ウレタン基、カルボキシル基、イミド基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、メルカプト基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、リン酸アミド基などが挙げられる。
11は好ましくは電子吸引性基であり、さらに好ましくはシアノ基である。また、R12が水素原子、R13が電子供与性基であることが好ましい。最も好ましいのは、R11がシアノ基、R12が水素原子、R13がヒドロキシル基である。
【0046】
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明で用いることができる一般式(1)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。なお、以下に列挙する化合物において、ケト−エノール型互変異性体又はシス−トランス型幾何異性体が存在する場合には、その両方を表すものとする。
【0047】
【化13】


【0048】
【化14】


【0049】
【化15】


【0050】
【化16】


【0051】
【化17】


【0052】
【化18】


【0053】
一般式(2)において、R21はアルキル基を表し、R22及びR23は水素原子または一価の置換基を表し、X21は電子吸引性基を表し、L21は炭素芳香族環基を表し、n2は0又は1を表すが、R21で表されるアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基又はプロピル基である。
22及びR23で表される一価の置換基の具体的な例としては、一般式(1)におけるR11、R12、R13と同様の置換基が挙げられる。
21で表される電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σpが正の値である置換基であり、具体的には、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカンアミド基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、カルボキシ基、スルホ基(またはその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ基等、およびこれら電子吸引性基で置換されたアリール基等が挙げられる。
上記ヘテロ環基は、芳香族もしくは非芳香族の、飽和もしくは不飽和のヘテロ環基で、例えば、ピリジル基、キノリル基、ピラジニル基、ベンゾトリアゾリル基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒダントイン−1−イル基、ウラゾール−1−イル基、スクシンイミド基、フタルイミド基等がその例として挙げられる。
21で表される電子吸引性基は、さらに置換基を有していてもよい。
21で表される電子吸引性基として好ましくは、総炭素原子数30の以下の基であり、例えば、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロアルキル基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基等であり、さらに好ましくは、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、トリフルオロメチル基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基等であり、特に好ましくは、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ホルミル基が挙げられる。
21で表される炭素芳香族環残基の具体的な例としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。フェニレン基、ナフチレン基はさらにアルキル基が置換してもよい。
さらには、R22が水素原子、R23が電子供与性基であることが好ましい。最も好ましくは、X21がシアノ基、R22が水素原子、R23がヒドロキシル基である。
【0054】
以下に、一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明で用いることができる一般式(2)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。なお、以下に列挙する化合物において、ケト−エノール型互変異性体又はシス−トランス型幾何異性体が存在する場合には、その両方を表すものとする。
【0055】
【化19】


【0056】
【化20】


【0057】
一般式(3)において、X31は電子吸引性のへテロ環基、ハロゲン原子又はハロアルキル基を表すが、電子吸引性のヘテロ環基は、「Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology(Corwin Hansch and Albert Leo著)」の第66〜339頁に記載のσpが正のヘテロ環基であり、具体的な例としては、2−ピリジル基、2−ピリミジル基、2−ピラジル基、2−キナゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基等が挙げられる。これらの電子吸引性のヘテロ環基は、σpが0又は負にならない範囲で任意の置換基を有してもよい。電子吸引性のへテロ環基の好ましい例は、2−ピリジル基、2−ピリミジル基又は2−ピラジル基である。
ハロゲン原子としては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等が挙げられる。ハロゲン原子の好ましい例は、塩素原子又は臭素原子である。ハロアルキル基としては、モノクロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリフルオロメチル基、1,2−ジクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。ハロアルキル基として好ましくは、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0058】
以下に、一般式(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明で用いることができる一般式(3)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。なお、以下に列挙する化合物において、ケト−エノール型互変異性体又はシス−トランス型幾何異性体が存在する場合には、その両方を表すものとする。
【0059】
【化21】


【0060】
本発明に係る一般式(1)〜(3)で表される化合物は、公知の方法により容易に合成することができ、また薬品メーカーから直接購入することが可能な化合物も存在する。
一般式(1)〜(3)で表される化合物の添加層は画像形成層である。また、一般式(1)〜(3)で表される化合物の添加量は、0.1〜1.2mmol/m2の範囲が好ましい。
一般式(1)〜(3)で表される化合物は、適当な有機溶媒、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ等に溶解して用いることができる。また、既によく知られている乳化分散法によっても組み入れることができる。例えば、これらの化合物を、酢酸エチルやシクロヘキサノン等の補助溶媒を用いて溶解し、あるいは、直接、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレート等の高沸点有機溶媒に機械的に乳化して乳化分散物を作製し、所望の構成層に添加することができる。また、固体分散法として知られている方法、例えば、一般式(1)〜(3)で表される化合物の粉末を、例えば、ボールミル、コロイドミル、あるいは超音波分散機等の分散手段を用いて水系微粒子分散物として、任意に添加することもできる。
【0061】
続いて、本発明の熱現像感光材料に用いられる非感光性有機銀塩を説明する。
本発明の熱現像感光材料に用いられる非感光性有機銀塩は還元可能な銀塩であり、ここでいう有機銀塩には銀塩錯体も含まれる。有機銀塩としては、還元可能な銀イオン塩を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、その中でも特に長鎖(炭素原子数10〜30、好ましくは15〜25)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環を有するものが好ましい。また、4.0〜10.0の安定度定数を有する有機または無機の銀塩錯体も本発明においては有用である。好適な銀塩の例は、RDNo.17029及び同No.29963に記載されており、以下のものを挙げることができる:有機酸の銀塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン駿等の銀塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)とヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸)とのポリマー反応生成物の銀錯体):チオン類(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−(チアゾリン−2−チオン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン))の銀塩又は錯体;イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体又は塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;及びメルカプチド類の銀塩等である。好ましい銀源は、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀及びそれらの混合物である。
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と、銀と塩または錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を加えて、有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウム等)を作製した後に、コントロールドダブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀等を添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際には、以下に述べる感光性ハロゲン化銀粒子(以降、単にハロゲン化銀粒子という。)を混在させてもよい。
【0062】
次に、本発明の熱現像感光材料に用いられる感光性ハロゲン化銀について説明する。
本発明におけるハロゲン化銀粒子は、光センサーとして機能するものである。本発明においては、画像形成後の感光材料の白濁化の抑制、及び良好な画質を得るため平均粒子サイズは小さい方が好ましく、平均粒子サイズは0.1μm以下、より好ましくは0.01μm〜0.1μm、特に好ましくは0.02μm〜0.08μmである。ここでいう粒子サイズ(粒径)とは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば、球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等の体積の球を想定したときの球の直径をいう。また、ハロゲン化銀粒子は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1%以上20%以下となる粒子である。
単分散度={(粒径分布の標準備差)/(粒径の平均値)}×100
本発明においては、ハロゲン化銀粒子が平均粒径0.1μm以下でかつ単分散粒子であることが好ましく、この範囲にすることで画像の粒状度も向上する。
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数(100)面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特には80%以上であることが好ましい。ミラー指数(100)面の比率は、増感色素の吸着における(111)面と(100)面との吸着依存性を利用したT.Tani.J.Imaging Sci.,29,165(1985)に記載の方法により求めることができる。
また、本発明における好ましい他のハロゲン化銀粒子の形状は、平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとし、垂直方向の厚みをhμmとした場合のアスベクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましくは、アスペクト比が3〜50である。また平板粒子における粒径は、0.1μm以下であることが好ましく、さらに0.01μm〜0.08μmが好ましい。これら平板粒子は、米国特許第5,264,337号明細書、同第5,314,798号明細書、同第5,320,958号明細書等に記載の方法により、容易に得ることができる。本発明においては、該平板状粒子を用いることにより、さらに画像の鮮鋭度も向上することができる。
【0063】
ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成は、特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
本発明に用いられるハロゲン化銀には、相反則不軌特性改良や階調調整のために、元素周期律表の第6族から第10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有せしめることが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
ハロゲン化銀粒子は、ヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法により不要の塩類を除去(脱塩)することができるが、本発明においては脱塩は行っても行わなくてもいずれでもよい。
本発明におけるハロゲン化銀粒子は、化学増感が施されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては、当業界でよく知られているような硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等を用いる貴金属増感法や還元増感法等を用いることができる。
【0064】
また、本発明におけるハロゲン化銀粒子には、分光増感をすることができる。
分光増感には、例えば、特開昭63−159841号公報、同60−140335号公報、同63−231437号公報、同63−259651号公報、同63−304242号公報、同63−15245号公報、米国特許第4,639,414号明細書、同第4,740,455号明細書、同第4,741,966号明細書、同第4,751,175号明細書、同第4,835,096号明細書に記載された増感色素が使用できる。
本発明に使用される有用な増感色素の具体例は、例えば、RDNo.176434 IV−A項(1978年12月p.23)、同No.18431 X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
【0065】
本発明においては、特に各種スキャナー光源の分光特性に適合した分光感度を有する増感色素を選択することが好ましく、例えば、
(A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号公報、特開平2−48653号公報、米国特許第2,161,331号明細書、西独特許第936,071号明細書、特願平3−189532号明細書等に記載のシンプルメロシアニン類、
(B)ヘリウム−ネオンレーザー光源に対しては、特開昭50−62425号公報、同54−18726号公報、同59−102229号公報等に記載の三核シアニン色素類、特願平6−103272号明細書に記載のメロシアニン類、
(C)LED光源及び赤色半導体レーザーに対しては、特公昭48−421172号公報、同51−9609号公報、同55−39818号公報、特開昭62−284343号公報、特開平2−105135号公報に記載されたチアカルボシアニン類、
(D)赤外半導体レーザー光源に対しては、特開昭59−191032号公報、同60−80841号公報に記載されたトリカルボシアニン類、特開昭59−192242号公報、特開平3−67242号公報の一般式(IIIa)、一般式(IIIb)に記載された4−キノリン核を含有するジカルボシアニン類
等が有利に選択される。
【0066】
これらの増感色素は単独で用いても、あるいはそれらの組み合せを用いてもよく、増感色素の組み合せは、特に強色増感の目的でしはしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質をハロゲン化銀乳剤中に含んでもよい。
本発明の熱現像感光材料は、Arレーザー(488nm)、He−Neレーザー(633nm)、赤色半導体レ−ザー(670nm)、赤外半導体レ−ザ−(780nm、830nm)等のレーザー光源を用いて露光を行うことができる。特に該レーザー光源の波長が700〜1000nmである赤外半導体レーザーを用いて露光を行うことは好ましい。
【0067】
本発明においては、感光材料の失透を防ぐため、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.5g以上2.2g以下であることが好ましい。この範囲に銀量を設定することにより硬調な画像を得ることができる。また、銀総量に対するハロゲン化銀量の比率は、質量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1〜15%である。
【0068】
次に、本発明の熱現像感光材料に用いられる還元剤を説明する。
本発明の熱現像感光材料に用いられる還元剤としては、一般に知られているものが挙げられ、例えば、フェノール類、2個以上のフェノール基を有するポリフェノール類、ナフトール類、ビスナフトール類、2個以上の水酸基を有するポリヒドロキシベンゼン類、2個以上の水酸基を有するポリヒドロキシナフタレン類、アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾリン−5−オン類、ピラゾリン類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、ハイドロキノンモノエーテル類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、アミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等があり、さらに詳しくは、例えば、米国特許第3,615,533号明細書、同第3,679,426号明細書、同第3,672,904号明細書、同第3,751,252号明細書、同第3,782,949号明細書、同第3,801,321号明細書、同第3,794,488号明細書、同第3,893,863号明細書、同第3,887,376号明細書、同第3,770,448号明細書、同第3,819,382号明細書、同第3,773,512号明細書、同第3,839,048号明細書、同第3,887,378号明細書、同第4,009,039号明細書、同第4,021,240号明細書、英国特許第1,486,148号明細書もしくはベルギー特許第786,086号明細書及び特開昭50−36413号公報、同50−36110号公報、同50−116023号公報、同50−99719号公報、同50−140113号公報、同51−51933号公報、同51−23721号公報、同52−84727号公報もしくは特公昭51−35851号公報に具体的に例示された還元剤等を挙げることができる。
本発明では上記の公知の還元剤の中から適宜選択して使用することができる。選択方法としては、実際に還元剤を含む熱現像感光材料を作製し、その写真性能を直接評価することにより、還元剤の適否を確認する方法が最も効率的である。
【0069】
上記還元剤の中で、有機銀塩として脂肪族カルボン酸銀塩を使用する場合の好ましい還元剤は、2個以上のフェノール基がアルキレン基又は硫黄によって連結されたポリフェノール類、特にフェノール基のヒドロキシ置換位置に隣接した位置の少なくとも一つにアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等)又はアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基等)が置換されたフェノール基の2個以上がアルキレン基又は硫黄によって連結されたポリフェノール類、例えば、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、6,6′−ベンジリデン−ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)、6,6′−ベンジリデン−ビス(2−t−ブチル−4−メチルフェノール)、6,6′−ベンジリヂン−ビス(2,4−ジメチルフェノール)、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1,5,5−テトラキス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2,4−エチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロパン等の米国特許第3,589,903号明細書、同第4,021,249号明細書もしくは英国特許第1,489,148号明細書及び特開昭51−51933号公報、同50−36110号公報、同50−116023号公報、同52−84727号公報もしくは特公昭51−35727号公報に記載されたポリフェノール化合物、米国特許第3,672,904号明細書に記載されたビスナフトール類、例えば、2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジニトロ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン、4,4′−ジメトキシ−1,1′−ジヒドロキシ−2,2′−ビナフチル等、更に米国特許第3,801,321号明細書に記載されているようなスルホンアミドフェノール又はスルホンアミドナフトール類、例えば、4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、4−ベンゼンスルホンアミドナフトール等を挙げることができる。
本発明の熱現像感光材料に使用される還元剤の適量は、使用する有機銀塩や還元剤の種類、その他の添加剤により一様ではないが、一般的には有機銀塩1モル当たり0.05〜10モル、好ましくは0.1〜3モルの範囲が適当である。又この範囲内においては、上述した還元剤を2種以上併用してもよい。本発明においては、前記還元剤を塗布直前に感光層塗布液に添加し塗布することが、感光層塗布液の停滞時間による写真性能変動を小さくする上で好ましい。
【0070】
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に少なくとも一層の画像形成層と該画像形成層を保護する少なくとも1層の非感光性層を有しているが、画像形成層側、画像形成層とは反対の側にこれ以外の非感光性層を有していてもよい。
【0071】
本発明において、画像形成層には先に述べたバインダーが用いられるが、画像形成層を保護する非感光性層を含めた画像形成層以外の構成層のバインダーは前記画像形成層に用いたバインダー同じ種類のものであってもよいが、それ以外のバインダーも用いることができる。
これらバインダーとして好適なものは、透明又は半透明で、一般に無色である、天然ポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類が挙げられる。バインダーは、親水性でも疎水性でもよいが、本発明においては、熱現像処理後のカブリを低減させるためには、疎水性透明バインダーを使用することが好ましい。好ましいバインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。その中でもポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート及びポリエステルが特に好ましく用いられる。
【0072】
本発明においては、画像形成層側の層にマット剤を含有せしめることが好ましい。
熱現像処理後の画像の傷つき防止のため、熱現像感光材料の表面にマット剤を配する場合、マット剤量は、画像形成層側の全バインダーに対し質量比で0.5〜30%含有することが好ましい。
また、画像形成層と反対側に設けられた非感光層の少なくとも1層中にマット剤を含有させることが、すべり性や指紋付着防止のためにも好ましい。この場合、マット剤量は該非感光層の全バインダーに対し、質量比で0.5〜40%が好ましい。用いるマット剤の形状は、定形、不定形どちらでもよいが、好ましくは定形で、特には球形が好ましい。
【0073】
また、画像形成層を通過する光の量又は波長分布を制御するため、画像形成層と同じ側にフィルター染料層等を、また、画像形成層と反対の側にハレーション防止染料層等のバッキング層を形成してもよい。また、画像形成層に染料又は顔料を含ませてもよい。ハレーション防止染料層は画像形成層と同じ側に形成してもよい。
これら非感光性層には、前記のバインダーやマット剤の他にポリシロキサン化合物、ワックス類や流動パラフィンのようなスベリ剤を含有させてもよい。
また、本発明の熱現像感光材料には、塗布助剤として各種の界面活性剤を用いることができる。その中でも特にフッ素系界面活性剤が、帯電特性を改良したり、斑点状の塗布故障を防ぐために好ましく用いられる。
画像形成層は、複数層にしてもよく、また階調を整えるため高感度層/低感度層又は低感度層/高感度層等の複数の層構成をとってもよい。
また、本発明の熱現像感光材料には、色調剤を用いることができる。本発明に用いられる好適な色調剤の例は、RDNo.17029(1978年6月p.9〜15)に開示されている。
本発明の熱現像感光材料には、現像を抑制あるいは促進させ現像強度を制御するため、分光増感効率を向上させるため、あるいは現像処理前後における保存安定性を向上させるため、メルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物等の抑制剤を含有させることができる。
また、本発明の熱現像感光材料には、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いてもよい。これらの添加剤及び上述したその他の添加剤はRDNo.17029に記載されている化合物を好ましく用いることができる。
上述の各種添加剤は、画像形成層、画像形成層を保護する非感光性層、その他の構成層に添加することができる。
【0074】
本発明で用いられる支持体は、現像処理後に所定の光学濃度を得るため、及び現像処理後の画像の変形を防ぐためプラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポリエチレンナフタレート)であることが好ましい。
その中でも好ましい支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)及びシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラスチック(以下SPSと略す)の支持体が挙げられる。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
また、熱処理したプラスチック支持体を用いることもできる。採用するプラスチックとしては、前述のプラスチックが挙げられる。支持体の熱処理とは、支持体を製膜後、画像形成層が塗布されるまでの間に、支持体のガラス転移点より30℃以上高い温度、好ましくは35℃以上高い温度で、更に好ましくは40℃以上高い温度で加熱することを指す。
本発明においては、更に帯電性を改良するために金属酸化物及び/又は導電性ポリマー等の導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、バッキング層、画像形成層と下引の間の層等である。
【0075】
本発明の熱現像感光材料のハレーション防止層には、Arレーザー、He−Neレーザー、赤色半導体レーザー用には400nm〜750nmの範囲で、露光波長において少なくとも0.3以上、好ましくは0.8以上の吸収となるように染料を添加することが好ましい。赤外半導体レーザ−用には750nm〜1500nmの範囲で、露光波長において少なくとも0.3以上、好ましくは0.8以上の吸収となるように染料を添加することが好ましい。染料は、1種でも数種を組み合わせてもよい。該染料は、画像形成層と同じ側の支持体に近い染料層あるいは、画像形成層と反対側の染料層に添加することができる。
【0076】
本発明の熱現像感光材料は、いかなる方法で現像されてもよいが、本発明においては、イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温し、温度として80〜250℃で熱現像処理を行うことが1つの特徴であり、好ましくは100〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が好ましく、10〜90秒が更に好ましい。
本発明においては、上記の熱現像に先立ち、温度80〜120℃でプレヒートすることが好ましい。プレヒートすることにより優れた寸法安定性が得られる。
【実施例】
【0077】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
【0078】
(PET支持体の作成)
(1)製膜
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレツト化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作成した。
これを、周速の異なるロールを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した.この後テンターのチャック部をスリットした後、両端にナール加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロールを得た。
(2)表面コロナ処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロールのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0079】
(3)下塗り
(a)下塗層塗布液の作成
処方1(感光層側下塗り層用)
高松油脂(株)製ペスレジンA−520(30質量%溶液) 59g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル(平均エチレンオキシド数=8.5)10質量%溶液 5.4g
綜研化学(株)製 MP−1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4/μm)
0.91g
蒸留水 935ml
【0080】
処方2(バック面側第1層用)
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(固形分40質量%、スチレン/ブタジエン重量此=68/32) 158g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩(8質量%水溶液)
20g
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
蒸留水 854ml
【0081】
処方3(バック面側第2層用)
SnO2/SbO(9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物)
84g
ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g
信越化学(株)製 メトローズTC−5(2質量%水溶液) 8.6g
綜研化学(株)製 MP−1000 0.01g
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
NaOH(1質量%) 6ml
プロキセル(ICI社製) 1ml
蒸留水 805ml
(b)下塗り
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像形成層面)に上記下塗層塗布液の処方1をワイヤーバーでウェット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗層塗布液の処方2をワイヤーバーでウェット塗布量が5.7ml/m2になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗層塗布液の処方3をワイヤーバーでウェット塗布量が7.7mlm2になるように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0082】
(バック層)
1.バック層塗布液の調整
(1)塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製
塩基プレカーサー化合物−1を2.5kg、および界面活性剤(商品名:デモールN、花王(株)製)300g、ジフェニルスルホン800g、べンゾイソチアゾリノンナトリウム塩1.0gおよび蒸留水を加えて総量を8.0kgに合わせて混合し、混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散した。分散方法は、混合液を平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したUVM−2にダイアフラムポンプで送液し、内圧50hPa以上の状態で、所望の平均粒径が得られるまで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における450nmにおける吸光度と650nmにおける吸光度の比(D450/D650)が3.0まで分散した。得られた分散物は、塩基プレカーサーの濃度で25質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにろ過(平均細孔径:3μmのポリプロピレン製フィルター)を行って塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を調製し、これを実用に供した。
(2)染料固体微粒子分散液の調製
シアニン染料化合物−1を6.0kg、およびp−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0kg、花王(株)製界面活性剤デモールSNB0.6kgおよ消泡剤(商品名:サーフィノール104E、日信化学(株)製)0.15kgを蒸留水と混合して、総液量を60kgとした。混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いて、0.5mmのジルコニアビーズで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における650nmにおける吸光度と750nmにおける吸光度の比(D650/D750)が5.0以上であるところまで分散した。得られた分散物は、シアニン染料化合物−1の濃度で6質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルターろ過(平均細孔径:1μm)を行って染料固体微粒子分散液を調製し、これを実用に供した。
【0083】
(3)ハレーシヨン防止層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、単分散ポリメチルメタクリレー卜微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4)20g、べンゾイソチアゾリノン0・1g、水490mlを加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/1の水酸化ナトリウム水溶液2.3ml、上記染料固体微粒子分散液40g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を90g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3%水溶液12ml、SBRラテックス10%液180gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4%水溶液80mlを混合し、ハレーション防止層塗布液を調製した。
(4)バック面保護層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、ベンゾイソチアゾリノン35mg、水840mlを加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液5.8ml、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして1.5g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5%水溶液10ml、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3%水溶液20ml、フッ素系界面活性剤(F−1)2%溶液を2.4ml、フツ素系界面活性剤(F−2)2%溶液を2.4ml、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液32gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4%水溶液25mlを混合しバック面保護層塗布液を調製した。
(5)バック層の塗布
上記下塗り支持体のバック面側に、ハレーシヨン防止層塗布液をゼラチン塗布量が0.52g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/m2となるように同時重層塗布し、乾繰し、バック層を作成した。
【0084】
(画像形成層、中間層、および表面保護層)
1.塗布用材料の準備
(1)ハロゲン化銀乳剤の調製
《ハロゲン化銀乳剤1の調製》
蒸留水1421mlに1質量%の臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壷中で撹拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え容量95.4mlに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにべンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、撹拌を止め、沈降/脱塩/水洗/分散を行った。次いで、1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作成した。
【0085】
上記ハロゲン化銀分散物を撹拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。その後、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液を銀1モル当たり分光増感色素Aと分光増感色素Bの合計として1.2×10-3モル加え、1分後にN,N’−ジヒドロキシ−N’’−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトべンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1−フェニル−2−へプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイド)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩を水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作成した。
【0086】
作成したハロゲン化銀乳剤1中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウ素を均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の(100)面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
【0087】
《ハロゲン化銀乳剤2の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアン化鉄(II)カリウムの添加を行わなかった以外は同様にしてハロゲン化銀分散物を作成した。また、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10-4モル、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり分光増感色素Aと分光増感色素Bの合計として7.0×10-4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加量を銀1モルに対して3.3×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイド)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩の添加量を銀1モルに対して4.7×10-3モルと変えた以外はハロゲン化銀乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトべンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を作成した。
ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0088】
《ハロゲン化銀乳剤3の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更した以外は同様にしてハロゲン化銀分散物を作成した。また、分光増感色素Aと分光増感色素B(モル比で1:1)を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり分光増感色素Aと分光増感色素Bの合計として6.0×10-3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10-4モルに変え、テルル増感剤Cの添加3分後に臭化金観を銀1モル当たり5×10-4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モル当り2×10-3モルを添加したこと以外はハロゲン化銀乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を作成した。
ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウ素を均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
【0089】
《ハロゲン化銀混合乳剤Aの調製》
ハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%を混合した乳剤に、べンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加し、混合乳剤を作成した。さらに、1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように該混合乳剤に加水し、混合乳剤1kgあたり0.34gとなるように1−(3−メチルウレイド)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩を添加してハロゲン化銀混合乳剤Aを調製した。
【0090】
(2)ベヘン酸銀分散物Bの調製
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールに混ぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100kgのイソプロピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96%、それ以外にリグノセリン酸が2%、アラキジン酸が2%、エルカ酸が0.001%含まれていた。
【0091】
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間撹拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Bの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Bのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Bの、添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調整した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保冷した。ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調整した。
【0092】
ベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を瀘別し、固形分を瀘過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうしてベヘン酸銀分散物を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウェットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった。
ここで、a、b、cとは、電子顕微鏡撮影で有機酸銀塩粒子の形状を観察し、該形状を直方体に近似させ、この直方体の3辺の長さを測定し、一番短いほうからa、b、cとする。a、b、cの平均値は、無作為に選定した200個程度の粒子に対て測定したa値、b値、c値のそれぞれを平均したものである。
乾燥固形分260kg相当のウェットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからデイゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイタイザ−M−610、マイクロフルイデツタス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物Bを得た。冷却繰作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0093】
(3)還元剤−2分散物の調製
還元剤−2(6,6’,−ジ−t−ブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメッタス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤−2の濃度が25質量%になるように調整した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加熱処理し、還元剤−2分散物を得た。こうして得た還元剤−2分散物に含まれる還元剤−2粒子はメジアン径0.50μm、最大粒子径1.6μm以下であった。
得られた還元剤−2分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにて濾過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0094】
(4)水素結合性化合物−1分散物の調製
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物−1の濃度が25質量%になるように調整した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物−1分散物に含まれる水素結合性化合物−1粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物−1分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにて濾過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0095】
(5)現像促進剤−1分散物の調製
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイゾチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤−1の濃度が20質量%になるように調整し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤−1分散物に含まれる現像促進剤−1粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤−1分散物は孔径3・0μmのポリプロピレン製フィルターにて濾過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
(6)現像促進剤−2分散物および色調調整剤−1分散物の調製
現像促進剤−2分散物および色調調整剤−1分散物についても現像促進剤−1分散物と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%、15質量%の分散物を得た。
【0096】
(7)ポリハロゲン化合物分散物の調製
《ポリハロゲン化合物−1分散物の調製》
ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えてポリハロゲン化合物−1の濃度が26質量%になるように調整し、ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物−1分散物に含まれるポリハロゲン化合物−1粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られたポリハロゲン化合物−1分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにて濾過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0097】
《ポリハロゲン化合物−2分散物の調製》
ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルべンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、べンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えてポリハロゲン化合物−2の濃度が30質量%になるように調整した。この分散液を40℃で5時間加温し、ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物−2分散物に含まれるポリハロゲン化合物−2粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られたポリハロゲン化合物−2分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにて濾過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0098】
(8)フタラジン化合物−1溶液の調製
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgとフタラジン化合物−1(6−イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28kgを添加し、フタラジン化合物−1の5質量%溶液を調製した。
(9)メルカプト化合物−2水溶液の調製
メルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイド)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
(10)顔料−1分散物の調製
64gの顔料−1(C.I.Pigment Blue 60)と花王(株)製デモールN6.4gに水250gを添加し良く混合してスラリーとした。平均直経0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し、水を加えて顔料−1の濃度が5質量%になるように調整して顔料−1分散物を得た。こうして得た顔料−1分散物に含まれる顔料−1粒子は平均粒径0.21μmであった。
【0099】
(11)バインダー液の調製
(本発明のバインダーのバインダー液)
前記例示ポリマーP−1、P−2、P−3、P−4、P−7、P−9のポリマーラテックスのそれぞれを、25%NH4OHを用いてpH8.35に調整して用いた。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにて濾過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、固形分濃度44質量%のバインダー液を調製した。
(比較のバインダーRP−1のバインダー液)
ポリマーRP−1(特開2002−229149号公報に記載の例示化合物(P−1)
のポリマーラテックス)を、上記本発明のバインダーと同様に処理して比較のバインダーRP−1のバインダー液を調製した(スチレン/ブタジエン/アクリル酸=68/29/3質量%、Tg=17℃、固形分44質量%、粒子サイズ80nm)。
【0100】
2.塗布液の調製
(1)画像形成層塗布液(No.1−1〜1−13)の調製
〈画像形成層塗布液の調製及び塗布〉
上記で得たベヘン酸銀分散物B1000g、水135ml、顔料−1分散物36g、ポリハロゲン化合物−1分散物14.3g、ポリハロゲン化合物−2分散物22.3g、フタラジン化合物−1溶液171g、バインダー液(表1に記載のバインダーを使用)1060g(ラテックス濃度44質量%)、還元剤−2分散物153g、水素結合性化合物−1分散物55g、現像促進剤−1分散物4.8g、現像促進剤−2分散物5.2g、色調調整剤−1分散物2.1g、メルカプト化合物−2水溶液8mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A140gを添加して良く混合して画像形成層塗布液を調製しそのままコーティングダイへ送液し、塗布。
上記画像形成層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で43[mPa・S]であった。
Haake社製RheoStress RS150を使用した38℃での塗布液の粘度は23[mPa・S]であった。
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.30mgであった。
【0101】
(2)中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、顔料−1分散物163g、青色染料化合物−1(日本化薬(株)製:カヤフュクトターコイズRNリキッド150)水溶液33g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5%水溶液27ml、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、8.9ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
【0102】
(3)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水840mlに溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を46ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液5.4mlを加えて混合し、塗布直前に4質量%のクロムみょうばん液40mlをスタチックミキサーで混合したものを塗布液量が26.1ml/m2になるようにコーティングダイヘ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.11ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
【0103】
(4)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、べンゾイソチアゾリノン10mgを水800mlに溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸15質量%メタノール溶液40ml、フツ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液を5.5ml、フツ素系界面活性剤(F−2)の1質量%水溶液を5.5ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を28ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7/μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)21gを混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
【0104】
3.熱現像感光材料試料No.1−1〜1−13の作製
支持体のバック面と反対の面に下塗り面から画像形成層塗布液(No.1−1〜1−13)、中間層塗布液、表面保護層第1層塗布液、表面保護層第2層塗布液をこの順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、試料No.1−1〜1−13を作成した。重層塗布にあたり、画像形成層塗布液と中間層塗布液は、31℃に、表面保護層第1層塗布液は36℃に、表面保護層第2層塗布液は37℃に温度調整した。
このときの画像形成層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
【0105】
ベヘン酸銀 5.27
顔料−1(C.I.Pigment Blue 60) 0.036
ポリハロゲン化合物−1 0.08
ポリハロゲン化合物−2 0.16
フタラジン化合物−1 0.18
バインダー 9.43
還元剤−2 0.77
水素結合性化合物−1 0.28
現像促進剤−1 0.019
現像促進剤−2 0.016
色調調整剤−1 0.006
メルカプト化合物−2 . 0.003
ハロゲン化銀(Agとして) 0.13
なお、画像形成層には表1に示す硬調化剤を添加した。
【0106】
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布は塗布スピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気庄に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型で般送して、弦巻式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃において湿度40〜60%RHで調湿した後、膜面が65〜85℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、画像形成層側の面のpHを測定したところ6.0であった。
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
【0107】
【化22】


【0108】
【化23】


【0109】
【化24】


【0110】
【化25】


得られた熱現像感光材料試料No.1−1〜1−13について、以下に示す露光及び熱現像処理を行い、以下の評価を行った。
―露光及び熱現像処理―
各試料を780nmの半導体レーザーを搭載したイメージセッター機であるサイテック社製Dolev 2dryを用いて300線の網点を用い、5%刻みで露光量を変化させるように網点露光し、120℃で25秒の熱現像処理を行った。その際、露光及び熱現像処理はすべて23℃、50%RHに調温調湿した部屋で行った。
―写真性能の評価―
1.画像保存性の評価
熱現像後の試料No.1−1〜1−13を、60℃、相対湿度40%の条件下で10日間保存し、その前後での白地部の濃度変化(△Dmin)を測定し、試料No.1−4の△Dminを100とした相対値で評価した。
2.加工脆性の評価
試料No.1−1〜1−13の各々のロールを、刃先角度90度、シアー角度1度の刃で、試料に入る刃の垂直成分のスピードを0.8m/sec、試料の送りスピードを1.2m/secにして切断した。その切断面を光学顕微鏡(倍率200倍)および目視にて観察し膜面の剥がれを下記評価基準で5段階評価した。
―評価基準―
ランク5:目視、顕微鏡観察とも膜剥がれが観察されない。
ランク4:顕微鏡でのみ膜はがれが観察される。
ランク3:目視、顕微鏡のいずれでも膜剥がれが観察される。
ランク2:膜剥がれした屑が目視で観察される。
ランク1:膜剥がれした屑が剥落して溜まってくる。
3.搬送性の評価
図1に示されるように、バスケット1を有する金属製ガイド2を自動熱現像機出口の排出ローラー3、4に接続して設け、A2サイズに切断した試料No.1−1〜1−13を熱現像処理をし、試料がバスケット1内に正常に収納されたかどうかを観察し、下記評価基準で5段階評価をした。ランク5であれば搬送性が良好であり、ランクが下がるにしたがって搬送性が劣ってることを示す。
試料がバスケット1内に正常に収納されたとは、試料がバスケット1内に倒れ込んだ6で示される状態で収納されたことをいう。このように収納された場合、試料に発生した電気量は少なく、試料の搬送に支障をきたすことはない。なお、7は試料が金属製ガイド2に貼り付いた状態を示す。
―評価基準―
ランク5:5枚全部がバスケットに正常に収納される。
ランク4:3〜4枚がバスケットに正常に収納される。
ランク3:1〜2枚がバスケットに正常に収納される。
ランク2:5枚が共にバスケットに正常に収納されない。
ランク1:5枚が共に金属製ガイドに貼り付く。
4.感度の評価
濃度1.0を与えるのに要するレーザー出力の逆数の対数を求め、試料No.1−4との差で感度を表した。評価値が正であれば試料No.1−4より感度が高いことを表す。
5.階調(γ)
濃度を縦軸とし、露光量の対数を横軸とする特性曲線を求め、濃度0.2と2.0の点を結ぶ直線の傾きで表した。
6.におい強度
〈試料の調整〉
熱現像感光材料を密閉包装している包材から室温(25℃)で取出して直ちに4cm×4cmの大きさに裁断し、サンプルバック(ポリエチレンテレフタレート製:容量2リットル)に封入後窒素ガスを充填する。窒素ガスを充填したサンプルバッグをホットプレートにて120℃で4分間加熱を行う。
〈におい強度の測定〉
におい識別装置FF−1((株)島津製作所製:カーボン系捕集管による昇温熱脱離濃縮方式、酸化物半導体センサ、6センサ)でサンプルバッグ内の臭気を捕集し、におい強度(SC1軸の数値)を測定する。測定条件を次に示す。
恒温槽温度:60℃
定常時ガス流量:40ml/min
サンプリング流量:165ml/min
サンプリング時間:18s(補集管温度 40℃)
ドライパージ流量:500ml/min
ドライパージ時間:90s(補集管温度 40℃)
デソープション流量:20ml/min
デソープション時間:120s(補集管温度 220℃)
クリ−ニング流量:150ml/min
サンプリング時間:60s(補集管温度 250℃)
〈におい強度の校正〉
上記測定条件で得られるにおい強度SC1は、下記の方法により校正し、常に同じものさしで比較する。標準データは、5ppmのトルエンを用い、サンプルリング時間を3秒、12秒、48秒と変えて3点測定する。これらのSC1値をそれぞれ−1.0、0.0、1.8とし、FF−1の校正を行う。5ppmのトルエンは市販のものを使用する。フイルム試料を測定するたびに、上記の方法で校正することにより、センサの経時劣化を補正した再現性の良いデータが得られる。この測定は、FF−1の校正シーケンスという自動測定のモードを選択し、FF−1に組み込まれているソフトを立ち上げることにより自動的に計算させる。
得られた結果を表1に示す。
【0111】
【表1】


表1の結果から明らかなように、本発明の試料1−5〜1−13は搬送性が良好であると共に、画像保存性、加工脆性、感度、階調(γ)も共に良好であることが判る。
【0112】
実施例2
実施例1で作製した試料No.1−1〜1−13を、熱現像部の前にプレヒート部を有する熱現像自現機を用いて、プレヒート部の設定温度を100℃として熱現像処理した以外は実施例1と同様の条件で熱現像処理し、実施例1と同様の評価を行った。
その結果、実施例1の結果と同様に、本発明試料No.1−5〜1−13では良好な結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】搬送性の評価を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0114】
1 バスケット
2 金属製ガイド
3 排出ローラー
4 排出ローラー




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013