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発明の名称 銀塩光熱写真ドライイメージング材料、画像記録方法及び画像形成方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−140141(P2007−140141A)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
出願番号 特願2005−334003(P2005−334003)
出願日 平成17年11月18日(2005.11.18)
代理人
発明者 鈴木 哲也
要約 課題
少ない塗布銀量にも拘わらず最高濃度が高く、保存時のカブリが生じにくく、画像保存性に優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びそれを用いた画像記録・形成方法を提供する。

解決手段
非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する感光性層、及び非感光性層を構成層として有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光性層及び該非感光性層のうちの少なくとも一つの構成層が、下部臨界溶液温度(LCST)よりも低い温度においては水溶性であり、且つそのLCSTより高い温度においては疎水性となる感温性ポリマーまたはその誘導体を含有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
特許請求の範囲
【請求項1】
非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する感光性層、及び非感光性層を構成層として有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光性層及び該非感光性層のうちの少なくとも一つの構成層が、下部臨界溶液温度(LCST)よりも低い温度においては水溶性であり、且つそのLCSTより高い温度においては疎水性となる感温性ポリマーまたはその誘導体を含有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【請求項2】
非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する感光性層、及び非感光性層を構成層として有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光性層及び該非感光性層のうちの少なくとも一つの構成層が、下部臨界溶液温度(LCST)よりも低い温度においては水溶性であり、且つそのLCSTより高い温度においては疎水性となる感温性ポリマーと親水性バインダーとを架橋させた誘導体を含有することを特徴とする請求項1に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【請求項3】
非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオンの還元剤、及びバインダーを含有する感光性層及び非感光性層を構成層として有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光性層が前記感温性ポリマーとゼラチンとを架橋させた誘導体を含有し、かつ該誘導体がハロゲン化銀粒子を含む乳剤製造工程の少なくとも1つにおいて形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【請求項4】
前記ゼラチンが少なくとも平均分子量2万〜9万の低分子量ゼラチンを含有することを特徴とする請求項3に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【請求項5】
前記ゼラチンが化学修飾ゼラチンであることを特徴とする請求項3又は4に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【請求項6】
前記ゼラチンが、該ゼラチンが有するアミノ基を化学修飾したゼラチンであり、かつ該修飾率が30%以上100%以下であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【請求項7】
前記化学修飾ゼラチンがフタル化ゼラチンであることを特徴とする請求項5又は6に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【請求項8】
前記感温性ポリマーがジアセトンアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルカプロラタム、N−ビニルイソブチルアミド、およびビニルメチルエーテルを構成モノマーとするポリマーから選ばれる分子鎖を含み、該分子鎖が前記ゼラチンと架橋することができるユニットを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を用いてレーザー露光により画像情報を記録することを特徴とする画像記録方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に画像情報を記録した後に、該イメージング材料を80℃以上200℃以下の温度で加熱することにより画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀塩光熱写真ドライイメージング材料(光熱写真ドライイメージング材料、光熱写真感光材料、熱現像感光材料、単に熱現像材料又は感光材料ともいう。)とそれを用いた画像記録・形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージング(画像形成)材料は、センシトメトリー特性、画質特性、取り扱いの簡便性等の性能はもちろんのこと、近年、安全性、環境保全等を全て満足させることが要望されている。特に、現像処理廃液の海洋投棄が全面的に禁止されたことから、医療や印刷製版の分野でもウェット処理からドライ処理へのニーズの高まりが顕著となってきた。
【0003】
一方、医療分野では、近年の医療情報のデジタル化により、医療診断用画像はMRI(magnetic resonance imaging)、CT(computed tomography)、CR(computed radiography)等の手法が主流となり、画像出力には各種方式の医療画像用ドライイメージャシステムが使用されてきている。また、印刷製版の分野でも、同様なデジタル化とドライ化が進展している。
【0004】
上記のような社会・市場動向に伴い、レーザ・イメージャーやレーザ・イメージセッターのような効率的な露光が可能で、かつ高解像度で鮮明な画像を形成することができる光熱写真ドライイメージング材料の重要性が増し、当該材料の一層の改良技術が必要とされてきている。なお、銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、米国特許第3,152,904号、米国特許第3,457,075号明細書等により既に古くから知られていた。
【0005】
銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、通常、支持体上に光センサー/メモリーとしての感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオンソース(供給源)としての有機銀塩、銀イオンの還元剤、及びそれらを層中に保持するバインダーを含有する構成となっている。この様な構成による当該イメージング材料においては、光に感光したハロゲン化銀粒子上に形成される潜像が、熱現像過程において、触媒作用を示すことにより物理現像核になり、有機銀塩から供給された銀イオンが、還元剤と反応し、現像が進行することで、黒色の銀画像が形成される。外部から試薬や水等の供給無しに現像が進行すること、また、定着を行わないことが特徴である。従って、より簡便で環境を損なわないシステムをユーザーに提供することができる。
【0006】
しかしながら、所謂コンベンショナルハロゲン化銀感光材料のように、定着処理を行わないことから、感光材料中にハロゲン化銀粒子、及び有機銀が、熱現像前後を問わず、存在し、保存中にカブリが発生しやすい、画像が劣化しやすいという大きな問題を有している。通常、カブリ防止のため、カブリ抑制剤等が使用されているが、根本的な改良手段の一つとして、より銀量を減らした設計の感光材料が望まれている。しかし、銀量を減らすことで、感度の低下、更に最高濃度が大きく低下するというジレンマがある。
【0007】
一方、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に求められる市場の大きな要望性能の一つに、画像の色調が挙げられる。特に、画像の色調は、医療用に用いられる感光材料においては、重要な因子であり、この改良を目的として、従来よりフタラジン誘導体化合物やフタル酸誘導体化合物に代表される色調剤が使用されてきた。これらの化合物は、熱現像過程において、有機銀塩から銀イオンの解離や、この解離された銀イオンをハロゲン化銀粒子に移送する働きがあるといわれており、熱現像速度を増加させるばかりでなく、得られた画像銀の形状や大きさにも影響を及ぼすため、熱現像後の画像の色調を左右する重要な化合物である。
【0008】
しかしながら、一般的にこれらの化合物による色調調整だけでは、好ましい色調を得ることが難しく、目的とする色調を得るために、支持体を含む感光材料中に染料を適度に含有させることで画像色調を調整する方法が用いられている。例えば、いわゆるコンベンショナルハロゲン化銀感光材料では、所望の吸収波長域を有する染料構造を選択し、且つその単位面積当たりの添加量を調整して色調を調整してきた。しかしながら、上記方法を銀塩光熱写真ドライイメージング材料に適用した場合には、長期間の保存中或いは熱現像後の形成画像の保存中で該染料が分解を起こし、カブリを生じやすい欠点を有していた。
【0009】
一方、画像色調の調整方法の一つとして、p−ビスフェノール構造を有する化合物(例えば、特許文献1参照。)や、カプラー構造を有する化合物(例えば、特許文献2参照。)を用いる方法が提案されている。これらの化合物は、いずれも熱現像時の化学反応により新たな化合物を生成し、この生成物が可視光域の光を吸収する場合が多く、この方法は、熱現像により形成された画像銀の色調を調整する方法とは異なる画像色調調整手段であるが、これらの方法を用いた場合、熱現像を活性化したり、或いは長期間の保存中或いは熱現像後の形成画像の保存中で分解を起こしやすくなり、その分解物の影響により保存安定性が低下しやすいという問題を抱えている。
【0010】
上記のような状況を踏まえ、少ない銀量で、最高濃度が高く、かつ、熱現像前の保存においてカブリが生じにくく、更に、熱現像後の画像の保存においても色調変化等の劣化のない銀塩光熱写真ドライイメージング材料の開発が望まれていた。
【0011】
また、一方、下部臨界溶液温度(Lower Critical Solution Temperature:以下「LCST」ともいう。)よりも低い温度においては水溶性であり、且つそのLCSTより高い温度においては疎水性となる感温性ポリマーは、近年注目されている素材ではあるが、銀塩写真感光材料において活用する例は、特表2001−507736号公報にフィルムの乾燥性改良技術としての応用例(ゼラチンにN−イソプロピルアクリルアミドポリマー(PNIPAAm)等がグラフト重合或いはグラフト化されてなる感温性高分子化合物。)が開示されている以外、皆無に近い(特許文献3,4参照)。
【特許文献1】特開2002−169249号公報
【特許文献2】特開2001−330925号公報
【特許文献3】特開2003−199816号公報
【特許文献4】特開平11−349643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、少ない塗布銀量にも拘わらず最高濃度が高く、保存時のカブリが生じにくく、画像保存性に優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びそれを用いた画像記録・形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
【0014】
1.非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する感光性層、及び非感光性層を構成層として有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光性層及び該非感光性層のうちの少なくとも一つの構成層が、下部臨界溶液温度(LCST)よりも低い温度においては水溶性であり、且つそのLCSTより高い温度においては疎水性となる感温性ポリマーまたはその誘導体を含有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0015】
2.非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する感光性層、及び非感光性層を構成層として有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光性層及び該非感光性層のうちの少なくとも一つの構成層が、下部臨界溶液温度(LCST)よりも低い温度においては水溶性であり、且つそのLCSTより高い温度においては疎水性となる感温性ポリマーと親水性バインダーとを架橋させた誘導体を含有することを特徴とする前記1に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0016】
3.非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオンの還元剤、及びバインダーを含有する感光性層及び非感光性層を構成層として有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光性層が前記感温性ポリマーとゼラチンとを架橋させた誘導体を含有し、かつ該誘導体がハロゲン化銀粒子を含む乳剤製造工程の少なくとも1つにおいて形成されたことを特徴とする前記1又は2に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0017】
4.前記ゼラチンが少なくとも平均分子量2万〜9万の低分子量ゼラチンを含有することを特徴とする前記3に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0018】
5.前記ゼラチンが化学修飾ゼラチンであることを特徴とする前記3又は4に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0019】
6.前記ゼラチンが、該ゼラチンが有するアミノ基を化学修飾したゼラチンであり、かつ該修飾率が30%以上100%以下であることを特徴とする前記3〜5のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0020】
7.前記化学修飾ゼラチンがフタル化ゼラチンであることを特徴とする前記5又は6に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0021】
8.前記感温性ポリマーがジアセトンアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルカプロラタム、N−ビニルイソブチルアミド、およびビニルメチルエーテルを構成モノマーとするポリマーから選ばれる分子鎖を含み、該分子鎖が前記ゼラチンと架橋することができるユニットを含むことを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0022】
9.前記1〜8のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を用いてレーザー露光により画像情報を記録することを特徴とする画像記録方法。
【0023】
10.前記1〜8のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に画像情報を記録した後に、該イメージング材料を80℃以上200℃以下の温度で加熱することにより画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明の構成によれば、少ない銀量で、最高濃度が高く、経時カブリが生じにくく、画像保存性に優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びそれを用いた画像記録・形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオンの還元剤、及びバインダーを含有する感光性層及び非感光性層を構成層として有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光性層及び該非感光性層のうちの少なくとも一つの構成層が、下部臨界溶液温度(LCST)よりも低い温度においては水溶性であり、且つそのLCSTより高い温度においては疎水性となる感温性ポリマーまたはその誘導体を含有することを特徴とする。
【0026】
以下、本発明及び構成要素について説明する。
【0027】
(感温性ポリマー)
本発明に係る「感温性ポリマー」とは、少なくとも下記の性質(i)を有するポリマーをいう。また、下記性質(ii)をも満たすポリマーであることが好ましい。
(i)下部臨界溶液温度(Lower Critical Solution Temperature:以下「LCST」ともいう。)よりも低い温度においては水溶性であり、且つそのLCSTより高い温度においては疎水性である。
(ii)該感温性ポリマーと親水性バインダーとの架橋反応が上記LCSTよりも低い温度において起こる。
【0028】
なお、ここで、「ポリマー」とは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーおよびその他のインターポリマーも含む広義のポリマーをいう。実際のところ、コポリマーおよびターポリマーはさらに利点を有している。すなわち、これらの場合は、1つのポリマーの中に異なった溶解特性を持つ別のモノマーを含ませることができ、それによって生成するコポリマーの溶解特性(溶解性そのものや、溶解の温度依存性など)を調節することが可能である。
【0029】
また、本明細書においては、「架橋」とは、感温性ポリマーと親水性バインダーとの間に、直接的または間接的に、化学結合を形成して橋カケをすることをいい、後述する「グラフト化」も架橋の一つとして含める。なお、当該架橋を形成する架橋反応のために、いわゆる架橋剤、硬化剤又は結合剤と呼ばれている化合物を用いることもできる。
【0030】
本発明においては、前記感温性ポリマーが、ジアセトンアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルカプロラタム、N−ビニルイソブチルアミド、およびビニルメチルエーテル等(下記の好適なモノマーを参照。)を構成モノマーとするポリマーから選ばれる分子鎖を含み、該分子鎖が前記ゼラチンと架橋することができるユニットを含むことが好ましい。
【0031】
本発明に係る感温性ポリマーには変性することが可能な官能基を有するモノマーを含んでいることが好ましい。このモノマーの官能性は、たとえば、加水分解可能な基の存在によって変性することが可能となる。その結果ポリマーの水溶性特性に変化がもたらされる。
【0032】
本発明に係る感温性ポリマー得るためには、臨界温度に変化をもたらすような反応を可能とする条件下で、水性の環境に置くことによってモノマーの官能性が変化し、その結果ポリマー全体の溶解性および/または溶解性の温度依存性が変化するように、モノマーの性質を選択することが重要である。
【0033】
好適なモノマーとしては、エチレングリコール、乳酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸およびそれらの誘導体および置換体からなる群から選択されたモノマーである。これらのモノマーおよび/またはその他のモノマーを、適切な条件下で反応させて、これらのモノマーの1種からのホモポリマー、または、2種以上のモノマーを使用したコポリマー、ターポリマーまたはその他のポリマーを形成させる。
【0034】
好ましいモノマーの具体例としては、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、アクリルアミド(AAm)、グルセリルメタクリレートまたはグリシジルメタクリレート(GMA)、グルセリルアクリレートまたはグリシジルアクリレート(GA)、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド(HPMAAm)、ジメチル−アミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、およびジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)などが挙げられる。
【0035】
本発明に係る感温性ポリマーは、モノマーを混合するところから始め、重合反応を実施することによって合成する。また、最初にポリマーを作っておいてから、その次に、適当な基を導入して官能化させることも可能である。本発明による組成物には、ブロックコポリマーまたはターポリマー、ランダムコポリマーまたはターポリマー、ランダムコポリマーおよびポリマーネットワークであって、それらのポリマーのすべてがグラフトされていてよく、さらにそれらの混合物が含まれる。
【0036】
本発明に係る感温性ポリマーを得るためのグラフト重合およびグラフト化については、高分子化合物の製造技術におけるグラフト重合法およびグラフト化法が適用できる。
【0037】
ここで、「グラフト(=接ぎ木)重合」とは、ポリマー(高分子)鎖の幹に枝をつけるようにして異なったモノマーを側鎖として導入するような高分子反応をいう。また「グラフト化」とは、モノマーを側鎖としてポリマー鎖の幹に導入することをいう。グラフト重合は高分子の機能化の有効な手段のひとつであり、例えば、親水・疎水性、高吸水性、温度応答性、キレート形成能などといったモノマーの持つ機能を既存の高分子に付与することが出来る。
【0038】
例えば、通常、カルボキシル基あるいは水酸基を有するアゾビスイソブチロニトリル系開始剤を用いてゼラチンのアミノ酸やカルボキシル基に結合させて、NIPAAmモノマー存在下で熱重合させる方法を採用することもできる。
【0039】
なお、上記のポリマーはラジカル重合の際に、アミノ基や水酸基、カルボキシル基を有する連鎖移動剤であるアルカンチオール(例えば、アミノエタンチオール)を用いることで、分子量が2,000〜10,000で末端に上記官能基が入ったポリマーが容易に得られる。
【0040】
具体的には、ゼラチンと4−(N,N−ジエチルジチオカルバミル)安息香酸とを縮合剤の存在下で反応させて、ジチオカルバメート化ゼラチン分子を得る工程を含む方法も採用することができる。
【0041】
グラフト重合の重合条件によって、ゼラチン分子にグラフトされる感温性ポリマーの分子数やグラフト鎖長が変わり、得られるポリマーの特性を調整することができる。ゼラチンが有する特性と感温性ポリマーが有する感温性とを適切に発揮できるように調整することが好ましい。
【0042】
例えば、PNIPAAmがグラフト重合されたゼラチンすなわちPNIPAAmグラフトゼラチンの下部臨界溶液温度(LCST)は、PNIPAAmのグラフト分子数やグラフト鎖長などグラフト重合の条件によって変更できる。通常、PNIPAAmのLCSTは31℃であり、PNIPAAmグラフトゼラチンの場合はこれよりも少し高い温度になる。NIPAMの代わりに別の感温性ポリマー生成モノマーを用いる場合、得られるグラフトゼラチンのLCSTが常温付近になるものが、後述する用途に好ましいものとなる。
【0043】
なお、PNIPAAmグラフトゼラチンは水溶液の状態で調製でき、コーティングによって膜を形成することができる。
【0044】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、支持体上に親水性バインダーを含んでなる少なくとも1種の構成層を有してなり、そして少なくとも1種の親水性バインダーが感熱性の部分を有しており、当該感熱性部分が、それらの下部臨界溶液温度(LCST)よりも低い温度においては水溶性であり、かつそれらのLCSTよりも高い温度においては疎水性であり、当該感熱性部分が、それらのLCSTが上記材料を乾燥させる温度よりも低くなるように選ばれたものであることを特徴とする。
【0045】
ここで、「感熱性部分」とは、感温性ポリマーと親水性バインダーを架橋させることによって得られ、下部臨界溶液温度(LCST)特性を有するそれらのポリマーで製造されている分子鎖を指す。LCST未満の温度では、上記ポリマーは水溶液中で可溶性であり、LCSTを超える温度においては、相分離を生ずる。定性的に、この現象は、温度が上昇する際の上記ポリマーの疎水性の増大として理解することができる。
【0046】
なお、本発明に係るLCSTは、上記親水性バインダーと架橋されない場合の感熱性ポリマーのLCSTとは異なる。一般に、上記親水性バインダーと架橋される上記感熱性部分のLCSTは、上記感熱性のポリマー単独のLCSTよりも高い。
【0047】
〔親水性バインダー〕
本発明に係る感温性ポリマーと架橋させる「親水性バインンダー」とは、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の構成層に含まれる各種成分を保持する機能を有するものをいう。なお、ハロゲン化銀粒子等の疎水コロイドに対しては、保護作用的(親水コロイド的)機能をも有するものも含む。
【0048】
本発明に係る有用な親水性バインダーの例としては、タンパク質とタンパク質誘導体、ゼラチンとゼラチン誘導体、ヒドロキシメチルセルロースやセルロースエステルのようなセルロース材料、アクリルアミド/メタクリルアミド重合体、アクリル/メタクリル酸重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルラクタム)、スルホアルキルアクリル酸塩またはメタクリル酸塩の重合体、加水分解されたポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、多糖類(例えばデキストランと澱粉エーテル)、水性の写真乳剤でよく知られている他の合成または天然のペプタイザイー(例えばリサーチディスクロージャー第38957項)が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0049】
特に有用な親水性バインダーは、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールとセルロース材料である。ゼラチンとその誘導体が最も好ましく、バインダーの混合物が使われるとき、全体のバインダーの少なくとも75質量%を占めることが好ましい。
【0050】
50質量%以上(全体のバインダーの重さに対して)が親水性バインダーから成る場合に限り、「マイナーな」量の疎水性バインダーもまた存在することが出来る。典型的疎水性のバインダーの例としては、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸セルロース酪酸塩、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、メタクリル酸塩共重合体、無水マレイン酸エステル共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、当該分野において周知である他の材料などが挙げられるが、これらに限定するものではない。共重合体(三量体を含む)はまた、ポリマーの定義により含まれる。ポリビニルアセタール(例えばポリビニルブチラールとポリビニルホルマール)とビニル共重合体(例えばポリ酢酸ビニルとポリ塩化ビニル)は特に好ましい。特に適当なバインダーは、BUTVAR.RTM.B79(Solutia社)とPIOLOFORM.RTM.BS−18として使われるポリビニルブチラール樹脂またはPIOLOFORM.RTM.BL−16(Wackerケミカル社)である。疎水性バインダーの水分散物(例えばラテックス)のマイナーな量もまた使用することが出来る。たとえば、そのようなラテックスバインダーは、EP−0911691A1(石坂ほか)に記述されている。
【0051】
本発明に係るイメージング材料は、N−イソプロピルアクリルアミドおよびアクリル酸の分子鎖を感熱性部分として有するゼラチンを含有する構成層を有していることが好ましい。
【0052】
本発明によれば、親水性バインダーを含有する少なくとも1種の層において、前記親水性バインダーが、感熱性のポリマーを上記親水性バインダーと架橋させることによって得られる感熱性部分を含んでなる。ゆえに、上記架橋反応のために上記親水性バインダーと反応することが可能なユニットを有する感熱性のポリマーを提供することが必要である。上記架橋は、当業者に知られている従来の技法に従って、とりわけ水溶性カルボジイミド(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(EDC))などの架橋剤を使用して実行することもできる。
【0053】
本発明において、上記感熱性部分を形成するための有用な感熱性のポリマーは、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイソブチルアミド、およびビニルメチルエーテルを構成モノマーとするポリマーから選ばれる。ポリマーがコポリマーの場合は、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸を含む群から選ばれるユニットを含んでなることが好ましい。
【0054】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料において有用なポリマーは、ゼラチンのゲル化温度を低下させ過ぎないように、500,000未満、好ましくは600,000以下の分子量を有するのが好ましい。
【0055】
上記親水性バインダーを含有する層を調製するのに使用される種々の成分の性状および比率の選択は、求められる感熱性部分のLCSTの値に従って実行される。この方法において、上記感熱性ポリマーに導入されるモノマーの性状はLCSTに影響を及ぼし、親水性モノマーの導入はLCSTの上昇につながり、逆に、疎水性モノマーの導入はLCSTの低下につながる。イオン性基の導入は、水中でのコポリマーの溶解性を高めるので、そのLCSTの値も上昇する。アクリル酸ユニットを含んでなる感熱性コポリマーを使用する場合、塩基性のpHに設定し、それにより酸基がイオン化された形で存在し、コポリマーの水溶性を高めるのが好ましい。この方法において、コポリマー中のアクリル酸ユニットの数がより多く増えるほど、前記ユニットが本質的にイオン性の形となり、LCSTがより上昇する。
【0056】
本発明において好ましくは、コーティング組成物の全質量に対して親水性バインダーの濃度が2質量%〜15質量%であり、かつ感熱性部分の濃度が1質量%〜5質量%であり、上記親水性バインダー/感熱性部分の比が好ましくは1.5/1であるコーティング組成物を使用して、感熱性部分を含んである親水性バインダーを製造する。本発明において、好ましくは、N−イソプロピルアクリルアミドおよびアクリル酸のコポリマーが使用され、前記コポリマーが30,000g/モルの分子量を有しており、導入されているアクリル酸ユニットの比率がモノマーユニットの全量に対して10%以下である。
【0057】
本発明に係るイメージング材料は、(i)その下部臨界溶液温度(LCST)よりも低い温度においては水溶性であり、かつそのLCSTよりも高い温度においては疎水性である、少なくとも1種の感熱性のポリマーを用いて、前記親水性バインダーを架橋させる工程であって、上記架橋反応が、前記感熱性のポリマーのLCSTよりも低い温度において起こる工程、(ii)工程(i)によって得られる感熱性部分を含んでなる親水性バインダーを含有する少なくとも1種の層を、当該親水性バインダーを含有する少なくとも1種の層が化学的ゲルを形成する前に、前記支持体上に塗布する工程、並びに(iii)工程(ii)において得られる材料を乾燥させる工程であって、乾燥温度が上記感熱性部分のLCSTよりも高い工程、を含む方法によって調製される。
【0058】
なお、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、感光性層が、ハロゲン化銀粒子を含む乳剤製造工程の少なくとも1つにおいて形成された、前記感温性ポリマーとゼラチンとを架橋させた誘導体を含有することが好ましい。即ち、該ハロゲン化銀粒子を含む乳剤製造工程の少なくとも1つが下記性質を有する感温性ポリマーを用いてゼラチンと架橋させる工程を有することが好ましい。
(i)下部臨界溶液温度(LCST)よりも低い温度においては水溶性であり、且つそのLCSTより高い温度においては疎水性である。
(ii)上記架橋反応が上記感温性ポリマーのLCSTよりも低い温度において起こる。
【0059】
本発明においては、ゼラチンとして、後述する化学修飾ゼラチンを用いることが好ましい。
【0060】
(ハロゲン化銀粒子)
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子について説明する。
【0061】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子を含むハロゲン化銀乳剤を調製する方法としては、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法があり、これらを用いて本発明に用いられるハロゲン化銀粒子乳剤を調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせ等のいずれを用いてもよい。代表的にはハロゲン化銀乳剤は反応母液となる保護コロイド(ゼラチン等の親水性コロイドが使用される)溶液中で銀塩水溶液とハロゲン化物水溶液を混合し核生成、結晶成長を行い調製するが、ハロゲン化物水溶液や銀塩水溶液の添加法としてダブルジェット法が一般的である。この中でもpAgやpHを制御しつつ各成分を混合し上記核生成及び結晶成長を行うコントロールダブルジェット法が代表的である。
【0062】
本発明に係るハロゲン化銀粒子は、総ヨウ化銀含有率が0.1mol%以上40.0mol%未満の感光性ハロゲン化銀粒子からなることが好ましい。
【0063】
本発明に係わる総ヨウ化銀含有率が0.1mol%以上40.0mol%未満の感光性ハロゲン化銀粒子は、元素周期表の6族から11族に属する遷移金属を少なくとも1種を含有(ドープ)する。これらは遷移金属イオンとしてドープされることが好ましく、上記の金属としてはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、In、W、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましいが、特に好ましいのは、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、またはPt(白金)である。
【0064】
これらの遷移金属イオンは遷移金属錯体、または金属錯体イオンの形で添加することが好ましい。
【0065】
更に一度に添加しても、複数回に分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子乳剤製造工程の核発生工程、成長工程、脱塩水洗工程、再分散工程等、いずれの工程で添加してもよいが、ハロゲン化銀粒子にドープする為には、核発生工程、または成長工程に添加することが好ましい。また、これらの金属イオン、金属錯体または金属錯体イオンは一種類でもよいし、同種の遷移金属及び異種の遷移金属を二種以上併用してもよい。
【0066】
これらの遷移金属錯体または遷移金属錯体イオンとしては、下記一般式(1)で表される6配位遷移金属錯体が好ましい。
【0067】
一般式(1)
〔M(L)6n-
式中、Mは周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子、nは0、1、2、3または4を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコ、ニトロシル、チオニトロシルの各配位子が挙げられ、好ましくは塩化物、臭化物、シアン化物、アコ、ニトロシル及びチオニトロシルである。アコ配位子が存在する場合には、配位子Lの1つまたは2つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよく、少なくとも1つはシアン化物(シアノ)であることが好ましい。
【0068】
Mとして特に好ましい具体例は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、または白金から選ばれる金属が好ましいが、鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウムが特に好ましく、更にはイリジウム、オスミウムが好ましい。
【0069】
更に、本発明の感光性ハロゲン化銀粒子においては、少なくとも2種の遷移金属がドープされていることが好ましく、特に上記一般式(1)で表される6配位遷移金属錯体の配位子Lがシアノ配位子以外の配位子を有する遷移金属錯体と、少なくとも1つの配位子Lがシアノ配位子である上記一般式(1)で表される6配位遷移金属錯体とを含有することが好ましい。
【0070】
特に上記一般式(1)で表される6配位遷移金属錯体の配位子Lがシアノ配位子以外の配位子を有する遷移金属錯体のMが、オスミウムまたはイリジウムであり、少なくとも1つの配位子Lがシアノ配位子である上記一般式(1)で表される6配位遷移金属錯体のMが、鉄またはルテニウムであることが好ましい。
【0071】
以下に、一般式(1)で表される遷移金属錯体イオンの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0072】
1:〔RuCl62-
2:〔RuCl63-
3:〔RuCl5(H2O)〕2-
4:〔RuCl5(NO)〕2-
5:〔RuCl5(CO)〕2-
6:〔RuBr5(NO)〕2-
7:〔Ru(CN)5(NO)〕2-
8:〔RuF62-
9:〔RhCl63-
10:〔RhCl5(H2O)〕2-
11:〔Rh(SCN)63-
12:〔Rh(NO263-
13:〔Rh(CN)5(NO2)〕3-
14:〔RhBr63-
15:〔RhF63-
16:〔IrCl62-
17:〔IrCl63-
18:〔IrBr62-
19:〔IrBr63-
20:〔IrI62-
21:〔IrI63-
22:〔IrCl2(NO243-
23:〔Ir(SCN)63-
24:〔IrF63-
25:〔IrF6-
26:〔IrCl5(NO)〕-
27:〔PdCl62-
28:〔PdBr62-
29:〔PtCl62-
30:〔PtBr62-
31:〔PtI62-
32:〔PtF62-
33:〔Pt(NO262-
34:〔PtCl2(NO242-
35:〔ReCl62-
36:〔ReBr62-
37:〔Re(CN)5(H2O)〕3-
38:〔Re(CN)3(OH)33-
39:〔OsCl62-
40:〔OsCl63-
41:〔OsBr62-
42:〔OsF62-
43:〔Os(NO24(OH)(NO)〕2-
44:〔OsCl5N〕2-
45:〔Fe(CN)64-
46:〔Fe(CN)63-
47:〔Ru(CN)64-
48:〔Rh(CN)63-
49:〔Re(CN)62-
50:〔Os(CN)64-
51:〔Ir(CN)63-
また、上記一般式(1)で表される、遷移金属錯体イオンは、通常、錯塩の形で添加され、カウンターイオンとしては、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましく挙げられる。また更に水分子を持つ水和物であってもよい。
【0073】
添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布を持たせることができる。
【0074】
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液若しくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の遷移金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め遷移金属のイオンまたは遷移金属錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。本発明においては、特に、遷移金属化合物の水溶液若しくは遷移金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。
【0075】
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子のハロゲン化銀乳剤における元素周期表の6族から11族に属する遷移金属の好ましい添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-8モル以上、1×10-2モル以下、好ましくは1×10-7モル以上、5×10-4モル以下、本発明において特に好ましくは5×10-6モル以上、5×10-5以下である。
【0076】
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、光センサーとして機能するものであり、熱現像による画像形成後も未露光部にはハロゲン化銀粒子としてそのまま存在する為に、白濁(ヘイズ)を低く抑え、良好な画質を得る為に粒子サイズが小さいものが好ましい。通常、0.005μm〜0.1μmのサイズが用いられるが、特に本発明では平均粒子サイズで0.015μm〜0.050μm、特に0.035μm〜0.045μmが好ましい。ここでいう平均粒子サイズとしては、また、ハロゲン化銀の形状としては特に制限はないが、立方体、八面体の所謂正常晶や、正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子があることから、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を想定した時の直径(球相当径)の平均をいう。一方、平板状粒子である場合には、最も面積の広い2枚平行な面(主平面)の投影面積と同一面積の円に換算したときの直径(円相当径)の平均をいう。
【0077】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子はヨウ化銀含有量が0.1モル%以上40.0モル%未満のハロゲン化銀粒子であることが好ましく、更に好ましくは1.0モル%〜15モル%、特に、2.0モル%〜6.0モル%である。0.1モル%未満では保存時のカブリが増加する懸念がある。一方、40.0モル%以上ではカブリは低下するが本発明における写真感度が大きく低下する懸念がある。感光性ハロゲン化銀粒子は、ヨウ塩化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ臭化銀が好ましく、特にヨウ臭化銀が好ましい。
【0078】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、実質的に非感光性のハロゲン化銀粒子として、総ヨウ化銀含有量が90モル%以上100モル%以下のヨウ臭化銀、ヨウ臭塩化銀、ヨウ塩化銀、若しくはヨウ化銀を含有してもよい。ここで、実質的に非感光性とは、紫外光領域から可視光領域及び赤外光領域に対して安定であることをいい、光による光分解銀、即ち、潜像および有機銀塩からの銀イオンの受容体となる銀核を形成することが不可能であることをいう。
【0079】
ヨウ化銀粒子は、室温でウルツィアイト型(β型)とジンクブレンド型(γ型)の2つの結晶構造が知られている。本発明の実質的に非感光性ハロゲン化銀粒子(b)は、β型、γ型、いずれの結晶構造でもよく、好ましくはβ型の結晶構造をもつことが好ましい。
【0080】
本発明に係るハロゲン化銀粒子乳剤の製造方法においては、感光性ハロゲン化銀粒子は、核発生工程、1段階以上の成長工程、脱塩水洗工程、再分散工程からなる粒子形成工程により製造され、成長工程が1段階以上、好ましくは2段階以上、10段階以下で行われることが好ましい。即ち、核発生工程で、所謂種粒子を調製した後、この成長工程を引き続きpH、pAg、温度等同じ条件で成長工程を行ってもよいし、または別の条件下で成長工程を行い、2段階以上の成長工程を用いてもよく、ハロゲン組成を変化させることも好ましく、様々なヴァリエーションを含んでいる。即ち、保護コロイド(ゼラチン等)水溶液中での混合工程において銀塩水溶液とハロゲン化物水溶液の混合条件を規定することにより、その晶癖やサイズを様々にコントロールすることは当業界でよく知られている。
【0081】
本発明における核発生工程と成長工程、及び1段階以上ある成長工程を区別する為に、水溶性銀塩を1秒以上の添加間隔を開けた場合で区別する。添加間隔は1秒以上、60分以下、好ましくは10秒以上、30分以下、より明確にする為に30秒以上、10分以下であることが好ましい。
【0082】
これら成長工程後に引き続いて調製した乳剤中から過剰となった不要とされる塩類を除去する脱塩工程が行われる。脱塩工程としては、調製したハロゲン化銀粒子乳剤に凝集剤を加えることでハロゲン化銀粒子を、保護コロイドであるゼラチンと共に凝集沈殿させ、これを塩類を含む上澄み液と分離するフロキュレーション法がよく知られている。デカンテーションにより上澄み液を取り除き、更に凝集沈降したハロゲン化銀粒子を含むゼラチン凝析物内に含まれる過剰の塩類を除く為に溶解、フロキュレーション、デカンテーションを繰り返す。また限外濾過法により可溶性塩類を取り除く方法もよく知られている。これは限外濾過膜を用いることでハロゲン化銀粒子やゼラチンの様なサイズの大きい粒子や分子量の大きい分子は透過しない合成膜を用いて低分子量の不要な塩類を除去する方法である。
【0083】
本発明に係るハロゲン化銀粒子乳剤は、脱塩工程の後、再分散工程を有する。再分散工程とは、フロキュレーション法、デカンテーションにより、保護コロイドであるゼラチンと共に凝集沈殿したハロゲン化銀粒子を、再度、保護コロイドと撹拌混合し分散させた乳剤とする工程をいい、保護コロイド性を上げる為にゼラチン等の保護コロイドを追加してもよい。
【0084】
本発明に係るハロゲン化銀粒子乳剤の製造方法において、ハロゲン化銀粒子形成工程の少なくとの1つの工程に分子量2万〜9万の低分子量ゼラチンを存在させることが好ましい。特に好ましいゼラチンの分子量としては1万〜7万である。
【0085】
本発明に係る低分子量ゼラチンは、上記した粒子形成工程の少なくとも1工程に存在させれば良いが、好ましくは、核発生工程、及び少なくとも1段階以上の成長工程に存在させることが好ましい。また、核発生工程、成長工程では通常の分子量のゼラチン(分子量10万程度)を使用し、脱塩水洗後、及び再分散工程で本発明に係る低分子量ゼラチンを添加しても良い。
【0086】
本発明で用いられる低分子量ゼラチンは、通常、次のようにして作ることができる。通常用いられる平均分子量10万のゼラチンを水に溶かし、ゼラチン分解酵素を加えて、ゼラチン分子を酵素分解する。この方法については、R.J.Cox.Photographic Gelatin II,Academic Press,London,1976年、P233〜251、P335〜P346の記載を参考にすることができる。この場合、酵素が分解する結合位置は決まっているため、比較的分子量分布の狭い低分子量ゼラチンが得られ、好ましい。この場合、酵素分解時間を長くする程、より低分子量化する。その他、低pH(pH1〜3)もしくは高pH(pH10〜12)雰囲気下で加熱し、加水分解する方法もある。平均分子量が9万を超えると、本発明の効果が少なくなる。平均分子量が2万未満ではゼラチンの製造上、難点がある。低分子量ゼラチンは分散媒の50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
【0087】
分散媒の濃度は0.05〜20質量%を用いることができるが、取り扱い上5〜15質量%の濃度域が好ましい。
【0088】
(化学修飾ゼラチン)
本発明に係るゼラチンとしては、化学修飾ゼラチンを用いることが好ましい。ここで、「化学修飾ゼラチン」とは、ゼラチン中に存在する−C(=O)O−、−NH−、−N=、−N<、−O−、−S−、−NH−C(=NH2+)NH−及び−NH−C(=NH)NH−とうの反応性基と反応する化合物を反応さて改質したゼラチンをいう。
【0089】
例えば、ゼラチン分子内のアミノ基の疎水化修飾としては、フェニルカルバモイル化、フタル化、コハク化、アセチル化、ベンゾイル化、ニトロフェニル化などが挙げられる。またカルボキシル基の疎水化修飾としては、メチルエステル化やアミド化などが挙げられる。
【0090】
本発明においては、ゼラチン中に存在するアミノ基のうち適当数のアミノ基を化学修飾したゼラチンを用いることが好ましい。
【0091】
以下、アミノ基を化学修飾したゼラチンについて詳しく説明する。
【0092】
ゼラチン中の−NH2基としてはゼラチン分子の末端基のアミノ基、リジン基、ヒドロキシリジン基、ヒスチジン基、アルギニン基のアミノ基の他、アルギニン基がオルニチン基に変換されていれば、そのアミノ基を挙げる事ができる。更にアデニン、グアニン基等の不純物基も挙げることができる。
【0093】
アミノ基(−NH2基)の化学修飾とはゼラチンに反応試薬を添加し、該アミノ基と反応させ、共有結合を形成または脱アミノ化する事である。即ち、一級アミノ基(−NH2)を2級アミノ基(−NH−)、3級アミノ基、または脱アミノ化体に変化させることを指す。
【0094】
具体的には例えば酸無水物(マレイン酸無水物、o−フタル酸無水物、コハク酸無水物、イサト酸無水物、安息香酸無水物等)、酸ハロゲン化物(R−COX、R−SO2X、R−O−COX、フェニル−COCl等)、アルデヒド基を有する化合物(R−CHO等)、エポキシ基を有する化合物、脱アミノ基剤(HNO2、デアミナーゼ等)、活性エステル化合物(スルホン酸エステル、p−ニトロフェニルアセテート、イソプロペニルアセテート、メチルo−クロロベンゾエート、p−ニトロフェニルベンゾエート等)、イソシアネート化合物(アリールイソシアネート等)、活性ハロゲン化合物、例えば〔アリールハライド(ベンジルブロミド、ビフェニルハロメタン類、ベンゾイルハロメタン、フェニルベンゾイルハロメタン、1−フルオロ−2.4−ジニトロベンゼン)、β−ケトハライド、α−ハロ脂肪族酸、β−ハロニトリル、(s−トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリダゾン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール)のクロル誘導体〕、カルバモイル化剤(シアネート、ニトロ尿素等)、アクリル型活性2重結合基を有する化合物(マレイミド、アクリルアミン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルメタアクリレート、ビニルスルホン、ビニルスルホネートエステル、スルホンアミド、スチレン及びビニルピリジン、アリルアミン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)、スルトン類(ブタンスルトン、プロパンスルトン)、グアニジン化剤(o−メチルイソ尿素等)、ジチオカルバメート化剤(4−(N,N−ジエチルジチオカルバミル)安息香酸等)、カルボキシルアジド等を加え、反応させることにより達成することができる。
【0095】
この場合、ゼラチンの−OH基や−COOH基とも反応し、共有結合を形成する試薬よりは主としてゼラチンの−NH2基と反応する試薬がより好ましい。主としては、60%以上、好ましくは80〜100%、より好ましくは95〜100%を指す。
【0096】
更には該反応生成物が、(エーテル結合部やケトン基の酸素がカルコゲン原子に置き代った基、例えば−S−、チオン基)を実質的に含まない態様がより好ましい。ここで実質的に含まないとは該化学修飾された基数の好ましくは10%以下、より好ましくは0〜3%を指す。従って前記の内、酸無水物、スルトン類、活性2重結合基を有する化合物、カルバモイル化剤、活性ハロゲン化合物、イソシアネート化合物、活性エステル化合物、アルデヒドを有する化合物、脱アミノ基剤がより好ましい。該化学修飾により、ゼラチン分子間で架橋が実質的にできない態様がより好ましい。ここで実質的にできないとは、該化学修飾された基の10%以下が好ましく、0〜3%が更に好ましい。
【0097】
更に言うと、−NH2基が1個修飾される毎に−COOH基が1ないし3個導入される形の化学修飾が好ましく、−NH2基が1個修飾される毎に−COOH基が1個導入される形の化学修飾がより好ましい。化学修飾に用いる試薬としては、−NH2基が1個につき−COOH基を1個導入する場合は無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸が挙げられ、−COOH基を2個導入する場合は無水トリメリット酸、−COOH基を3導入する場合は無水ピロメリット酸が各々挙げられる。
【0098】
特に、無水フタル酸を用いて−NH2基を化学修飾することにより得られるフタル化ゼラチンは、本発明の効果が大きいことに加えて、工業的に安定して生産できるという点で好ましい。
【0099】
該化学修飾剤およびゼラチンの該化学修飾法のその他の詳細に関しては、特開平4−226449、特開昭50−3329号、米国特許第2525753号、同2614928号、同2614929号、同2763639号、同2594293号、同3132945号の各公報および明細書、安孫子義弘編,にかわとゼラチン,第II章,日本にかわ・ゼラチン工業組合(1987年)、Wardら編, ザ・サイエンス・アンド・テクノロジー・オブ・ゲラチン(The Science and Technology of Gelatin)、第7章、アカデミック プレス(Academic Press)(1977)の記載を参考にすることができる。
【0100】
本発明に係る化学修飾ゼラチンは、アミノ基の化学修飾%が好ましくは30%以上100%以下であるが、更に好ましくは化学修飾率30%以上90%以下、特に化学修飾率45%以上80%以下であることが好ましい。
【0101】
修飾率が30%未満であると脱塩工程が行われる。脱塩工程において凝集沈殿性が低下し、写真性能に影響を与える多量の凝集剤を必要とするため好ましくない。
【0102】
本発明の化学修飾ゼラチンの、メチオニン含量は特に規定はないが、30μmol/g以上が好ましく、35μmol/g以上がより好ましい。
【0103】
化学修飾ゼラチンの分子量については、平均分子量が1万以上20万以下が好ましく、平均分子量が2万以上9万以下がより好ましい。
【0104】
該化学修飾ゼラチンの−NH2基の化学修飾%は次のようにして求めることができる。該修飾を行なっていないゼラチンと該修飾を行なったゼラチンを準備し、両者の−NH2基数をe1、e2として求める。化学修飾%は100×(e1−e2)/e1より求める事ができる。該e1とe2の求め方は、−NH2基に基づく赤外吸収強度や、該プロトンのNMR信号強度、呈色反応および蛍光反応を利用する方法を挙げることができ、詳細は分析化学便覧、有機編−2、丸善(1991)の記載を参考にする事ができる。その他、ゼラチンの滴定曲線の変化、ホルモル(formol)滴定法等の定量法を挙げる事ができ、詳細は ザ・サイエンス・アンド・テクノロジー・オブ・ゼラチン(The Science and Technology of Gelatin)、第15章、アカデミック・プレス(Academic Press)(1977年)の記載を参考にする事ができる。
【0105】
本発明におけるアミノ基修飾ゼラチンの添加時期については、特に制限はない。一般的には、ハロゲン化銀粒子形成の途上、脱塩工程の直前あるいは脱塩後の再分散工程で添加されるが、前述の−NH2基が1個修飾される毎に−COOH基が1個導入される形で化学修飾されたゼラチンについては、脱塩工程の前に添加(すなわち、遅くとも脱塩工程開始時よりも前に添加)することが好ましい。
【0106】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子は、例えば、カルコゲン化合物(硫黄、セレン、テルル)、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物またはこれらの組み合わせによって化学増感することができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号各明細書、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号各公報に記載されている。またハロゲン化銀形成成分により有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際に、米国特許第3,980,482号明細書に記載されているように、増感を達成する為に低分子量のアミド化合物を共存させてもよい。
【0107】
(ハロゲン化銀粒子分散技術)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の製造過程においては、写真性能、色調を改良するという観点から、ハロゲン化銀粒子の凝集を防止し、比較的に均一にハロゲン化銀粒子を分散させ、最終的に現像銀を所望の形状に制御できるようにすることが好ましい。
【0108】
上記の凝集防止、均一分散等のため、本発明において用いられるゼラチンは、使用条件等に応じて、ゼラチンが有するアミノ基やカルボキシル基などの親水性基を化学修飾しゼラチンの特性を改変させたものが好ましい。
【0109】
例えば、ゼラチン分子内のアミノ基の疎水化修飾としては、フェニルカルバモイル化、フタル化、コハク化、アセチル化、ベンゾイル化、ニトロフェニル化などが挙げられるが、特にフタル化ゼラチンが好ましい。またカルボキシル基の疎水化修飾を組み合わせてもよく、メチルエステル化やアミド化などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。カルボキシル基の置換率は50〜90%が好ましく、更に好ましくは70〜90%である。ここで、上記の疎水化修飾の疎水基とは、ゼラチンのアミノ基及び/またはカルボキシル基を置換することによって、疎水性が増す基のことをいう。
【0110】
また、ハロゲン化銀粒子乳剤は、ゼラチンの代わりに又はゼラチンとの併用において下記のような水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーを使用して、調製することも、目的によって好ましい。例えば、ハロゲン化銀粒子乳剤を有機溶媒系に均一に分散させて塗布するような場合に、特に好ましい。
【0111】
なお、上記有機溶媒としては、アルコール系、エステル系、ケトン系の化合物が挙げられる。特に、ケトン系有機溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が好ましい。
【0112】
前記水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーとしては、天然ポリマー、合成ポリマー及びコポリマーのいずれであっても良い。例えば、ゼラチン類、ゴム類等を改質して本発明の範疇に属するよう改質したものを用いることもできる。又は、以下の分類に属するポリマーを、凝集防止、均一分散等の目的に適する官能基を導入して用いることが可能である。
【0113】
例えば、上記ポリマーとしては、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸およびアクリル酸エステル)類、ポリ(メチルメタクリル酸およびメタクリル酸エステル)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類等が挙げられる。
【0114】
これらのポリマーは数種類がコポリマーとなっていても良いが、特にアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル類のモノマーを共重合したポリマーが好ましい。
【0115】
当該ポリマーは、同一の状態で水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーでもよいが、pHの制御や温度の制御で水や有機溶媒に溶解させたり、不溶化したりできるものも含まれる。
【0116】
例えば、カルボキシル基のような酸性基を有するポリマーは、種類によっては解離状態では親水性となるが、pHを下げ非解離状態にすると親油性となり溶剤に可溶にできる。逆にアミノ基を有するポリマーはpHを上げると親油性となり、pHを下げるとイオン化し水溶性が上昇する。
【0117】
ノニオン活性剤では曇点の現象が良く知られているが、温度の上昇で親油性になり有機溶媒に可溶となり、温度の低下で親水性、即ち水に溶解できるような性質を有するポリマーも当該ポリマーに含まれる。完全に溶解しなくともミセルを形成し均一に乳化できれば良い。
【0118】
本発明においては、各種のモノマーを組み合わせるため、一概にどのモノマーをどの程度用いるのが良いかは述べられないが、親水性のモノマーと疎水性のモノマーを適当な割合で組み合わせる事で所望のポリマーが得られることは容易に理解できる。
【0119】
前記水と有機溶剤の両方に溶解するポリマーとしては、前記のごときpH等の溶解時の条件の調整により、或いは未調整でもよいが、水に対して少なくとも1質量%以上(25℃)の溶解度を有し、かつ、有機溶剤としてメチルエチルケトンに5質量%以上(25℃)の溶解度を有するものが好ましい。
【0120】
本発明において、水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーとしては、溶解性の観点から、直鎖のポリマーよりも、いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー、クシ型ポリマー等が適している。特にクシ型ポリマーは好ましい。なお、ポリマーの等電点は、pH6以下であることが好ましい。
【0121】
本発明においては、上記の感温性ポリマーを、上記の凝集防止、均一分散等のために用いることが好ましい。
【0122】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の製造過程においては、上記のハロゲン化銀粒子の凝集防止、均一分散等の目的のために、ハロゲン化銀粒子分散液に界面活性剤、特に、非イオン性界面活性剤を含有させることも好ましい。
【0123】
非イオン性界面活性剤に関しては、一般にGriffin W.C.[J.Soc.Cosm.Chem.,1,311(1949)]によると、分子における親水性基及び親油性基の割合を反映するその「HLB」値で定義される親水性/親油性平衡が、−18〜18、好ましくは−15〜0である非イオン性親水性化合物から選択される。
【0124】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀乳剤に用いられる非イオン性界面活性剤としては、下記の一般式(NSA1)、一般式(NSA2)で表される活性剤が好ましい。
【0125】
一般式(NSA1) HO−(EO)a−(AO)b−(EO)c−H
一般式(NSA2) HO−(AO)d−(EO)e−(AO)f−H
式中、EOはオキシエチレン基を表し、AOは炭素数3以上のオキシアルキレン基を表し、a、b、c、d、e及びfは1以上の数を表す。
【0126】
いずれもプルロニック型非イオン性界面活性剤と呼ばれ、一般式(NSA1)または(NSA2)において、AOが表す炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシ長鎖アルキレン基等が挙げられるが、オキシプロピレン基が最も好ましい。
【0127】
また、a、b及びcはそれぞれ1以上の数を表し、d、e及びfはそれぞれ1以上の数を表す。a及びcは好ましくはそれぞれ1〜200、より好ましくはそれぞれ10〜100であり、bは好ましくは1〜300、より好ましくは10〜200である。d及びfは好ましくはそれぞれ1〜100、より好ましくはそれぞれ5〜50であり、eは好ましくは1〜100、より好ましくは2〜50である。
【0128】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀乳剤には、ヘテロ原子を含む大環状化合物が用いられる。ヘテロ原子を含む大環状化合物は、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の少なくとも1種を含む9員環以上の大環状化合物である。更に12〜24員環が好ましく、更に好ましいのは15〜21員環である。
【0129】
代表的な化合物としては、クラウンエーテルとして知られている化合物であるが、これらの化合物は、C.J.Pederson,Journal of American Chemical Society Vol,86(2495),7017〜7036(1967)、G.W.Gokel,S.H,Korzeniowski,”Macrocyclic polyethr synthesis”,Springer−Vergal,(1982)、小田、庄野、田伏編“クラウンエーテルの化学”化学同人(1978)、田伏編“ホスト−ゲスト”共立出版(1979)、佐々木、古賀“有機合成化学”Vol45(6),571〜582(1987)等に詳細に書かれている。
【0130】
(一般式(P)の化合物)
本発明において、下記一般式(P)で表される有機ハロゲン化合物を含有することが好ましい。
【0131】
一般式(P) Q−(Y)n−CI2
(式(P)中、Qは脂肪族基、アリール基または複素環基(ヘテロ環基ともいう。)を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0〜1を表し、Xは水素原子または塩素原子、臭素原子以外の電子吸引基を表す)
以下、本発明の一般式(P)の化合物について詳細に説明する。
【0132】
Qは、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表すが、Qで表される脂肪族基は直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましいのは炭素数1〜30、より好ましいのは炭素数1〜20、更に好ましいのは炭素数1〜12であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましいのは炭素数2〜30、より好ましいのは炭素数2〜20、更に好ましいのは炭素数2〜12であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましいのは炭素数2〜30、より好ましいのは炭素数2〜20、更に好ましいのは炭素数2〜12であり、例えばプロパルギル、3−ペンテニル等が挙げられる。)であり、これらは置換基を有していてもよい。置換基としては例えばカルボキシル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニルアミノ基又はウレイド基などがある。
【0133】
Qで表される脂肪族基として好ましいのはアルキル基であり、より好ましいのは鎖状アルキル基である。
【0134】
Qで表される芳香族基としては、好ましいのは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル等)であり、より好ましいのは炭素数6〜20のフェニル基、更に好ましいのは6〜12のフェニル基である。アリール基は置換基を有してもよく、置換基としては、例えばカルボキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニルアミノ基又はウレイド基などがある。
【0135】
Qで表される複素環基は、N、O又はS原子の少なくとも一つを含む3ないし10員の飽和若しくは不飽和の複素環基であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。複素環基基として好ましいのは、5ないし6員の芳香族複素環基であり、より好ましいのは窒素原子を含む5ないし6員の芳香族複素環基であり、更に好ましいのは窒素原子を1ないし2原子含む5ないし6員の芳香族複素環基である。複素環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニンであり、より好ましいのはトリアジン、キノリン、チアジアゾール、ベンズチアゾール、オキサジアゾールであり、特に好ましいのは、ピリジン、キノリン、チアジアゾール、オキサジアゾールである。
【0136】
Qとして好ましいのは芳香族含窒素複素環基である。
【0137】
Yは、−SO2−、−SO−、−CO−、−NH(R11)CO−、−NH(R11)COO−、−COCO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−SCO−、−SCOO−、−C(Z1)(Z2)−、アルキレン、アリーレン、2価の複素環又はこれらの任意の組み合わせで形成される2価の連結基を表す。R11は水素原子又はアルキル基を表す。Z1およびZ2は水素原子又は電子求引性基を表す。ここで、電子求引性基とはハメットの置換基定数σp値が正の値を示す基を指す。Z1およびZ2は、同時に水素原子であることはない。Yは好ましくは、−SO2−、−CO−、または−NH(R11)CO−であり、特に好ましくは−SO2−、または−NH(R11)CO−である。
【0138】
Xは好ましくは電子求引性基である。好ましい電子求引性基は、ヨウ素原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、さらに好ましくはヨウ素原子、カルバモイル基であり、特に好ましくはヨウ素原子である。nは、0または1を表し、好ましくは1である。
【0139】
一般式(P)において、該化合物から水素原子を取り去った残基が互いに結合した形態(一般にビス型、トリス型、テトラキス型と呼ぶ)も好ましく用いることが出来る。
【0140】
一般式(P)において、解離性基(例えばCOOH基またはその塩、SO3H基またはその塩、PO3H基またはその塩等)、4級窒素カチオンを含む基(例えばアンモニウム基、ピリジニウム基等)、ポリエチレンオキシ基、または水酸基等を置換基に有し、親水的にするものも好ましい形態である。
【0141】
以下に本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いられる一般式(P)の化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0142】
【化1】


【0143】
【化2】


【0144】
上記以外の本発明の一般式(P)の化合物の例としては、特開2001−22028号に記載された化合物を挙げることができる。
【0145】
本発明における一般式(P)の化合物の添加量は0.01g/m2〜2g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.05g/m2〜1.5g/m2で、さらに好ましくは0.1g/m2〜1g/m2である。感光性層を有する面の銀1モルに対しては0.1モル%〜50モル%含まれることが好ましく、より好ましくは1モル%〜20モル%であり、2モル%〜10モル%で含まれることがさらに好ましい。本発明における一般式(P)の化合物は感光性層に含有させることが好ましい。
【0146】
本発明における一般式(P)の化合物は、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、当該感光材料に含有させてもよい。
【0147】
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
【0148】
また、固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
【0149】
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
【0150】
(有機銀塩)
本発明に係る非感光性有機銀塩は還元可能な銀イオン供給源であり、一般に、有機酸及び複素環化合物の銀塩が使用される。これら好適な銀塩の例としては、Research Disclosure(以下、RDと記す)第17029及び29963に記載されている。なお、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、特に、有機酸の銀塩を使用することを要する。
【0151】
本発明に係る有機酸の銀塩としては、例えば、没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩、カルボキシアルキルチオ尿素銀塩、例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等の銀塩、アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀塩乃至錯体、例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)、ヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸)の反応生成物の銀塩乃至錯体等が挙げられる。これらの中、本発明においては、好ましい銀塩としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀またはステアリン酸銀等の長鎖脂肪酸の銀塩である。
【0152】
本発明においては、非感光性有機銀塩のうちベヘン酸銀塩が占める比率が50モル%以上95モル%以下であることが好ましく、特に53モル%以上95モル%以下であることが好ましい。50モル%未満では、経時保存中に有機銀塩から銀が解離されやすくなりカブリが増加する懸念がある。一方、95モル%を越えると有機銀塩の形成が遅くなり結果的にカブリが増加する懸念がある。
【0153】
本発明に係る非感光性有機銀塩は、水溶性銀化合物(例えば、硝酸銀)と上記したような有機酸を反応させることにより得られるが、具体的方法としては、一般敵に、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールダブルジェット法等が好ましく用いられが、本発明においては、特に、後述する静的混合装置を用い、定量同時混合法で、非感光性有機銀塩を短時間に形成させることが好ましい。
【0154】
本発明においては、例えば、有機酸に、ナトリウム以外のアルカリ金属塩、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムを加えて有機酸アルカリ金属塩、例えば、ベヘン酸リチウム、ベヘン酸カリウム、ベヘン酸ルビジウム、ベヘン酸セシウム、アラキジン酸リチウム、アラキジン酸カリウム、アラキジン酸ルビジウム、アラキジン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ルビジウム、ステアリン酸セシウム等を添加混合し反応させて有機酸アルカリ金属塩を作製した後に、硝酸銀水溶液を添加混合してもよいし、コントロールダブルジェットにより、前記ナトリウム以外の有機酸アルカリ金属塩と硝酸銀水溶液等を添加して有機銀塩の結晶を作製してもよい。
【0155】
本発明においては、有機酸アルカリ金属塩を形成する、上記アルカリ金属のうち、ナトリウム以外であることが好ましいが、リチウム、カリウムが好ましく、特にカリウムが好ましい。
【0156】
更に、ナトリウム以外のアルカリ金属塩を2種以上混合して、例えば、水酸化リチウムと水酸化カリウムを混合して、有機酸を中和させて有機酸アルカリ金属塩を形成することも好ましい。
【0157】
本発明においては、上記、ナトリウム以外のアルカリ金属から成る、有機酸アルカリ金属塩と硝酸銀水溶液を混合して有機酸銀塩を形成する際に、本発明に係るハロゲン化銀粒子乳剤を存在させることが更に好ましい。
【0158】
本発明においては非感光性有機銀塩の結晶サイズは、平均粒径が2μm以下が好ましく、特に1μm以下が好ましく、更には0.5μm以下であることが好ましく、且つ結晶サイズの揃った単分散であることが好ましい。有機銀塩結晶の平均粒径とは、有機銀塩結晶粒子が、例えば、立方体、直方体、球状、棒状、針状、或いは平板状の粒子の場合には、有機銀塩結晶粒子の体積と同等な球を考えたときの平均直径をいう。また単分散とは、ハロゲン化銀の場合と同義であり、好ましくは単分散度が1〜30である。
【0159】
また、本発明においては、有機銀塩は平板状粒子が全有機銀塩の60%以上有することが好ましい。本発明において平板状粒子は平均粒径と厚さの比、所謂下記式で表されるアスペクト比(ARと略す)が3以上のものをいう。
【0160】
AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm)
有機銀塩をこれらの形状にする為には、前記有機銀結晶をバインダーや界面活性剤等をボールミル等で分散粉砕することで得られる。
【0161】
本発明においては感光材料の失透を防ぐ為には、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.5g以上、2.2g以下であることが好ましい。特に、本発明においては1.0g以上、1.6g以下が好ましく、少ない銀量で高い最高濃度が得られ、この範囲にすることで同時に硬調な画像が得られる。
【0162】
また、銀総量に対するハロゲン化銀の量は銀のモル比で通常20%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは0.1%〜6%の間である。
【0163】
(有機銀塩の分散)
本発明に係る有機銀塩粒子は必要に応じバインダーや界面活性剤等と共に予備分散した後、メディア分散機または高圧ホモジナイザ等で分散粉砕することが好ましい。上記予備分散にはアンカー型、プロペラ型等の一般的撹拌機や高速回転遠心放射型撹拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用することができる。
【0164】
また、上記メディア分散機としては、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル等の転動ミルや、媒体撹拌ミルであるビーズミル、アトライター、その他バスケットミル等を用いることが可能であり、高圧ホモジナイザとしては壁、プラグ等に衝突するタイプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させるタイプ、細いオリフィスを通過させるタイプ等様々なタイプを用いることができる。
【0165】
メディア分散時に使用されるセラミックスビーズに用いられるセラミックスとしては、例えば、Al23、BaTiO3、SrTiO3、MgO、ZrO、BeO、Cr23、SiO2、SiO2−Al23、Cr23−MgO、MgO−CaO、MgO−C、MgO−Al23(スピネル)、SiC、TiO2、K2O、Na2O、BaO、PbO、B23、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)、BeAl24、Y3Al512、ZrO2−Y23(立方晶ジルコニア)、3BeO−Al23−6SiO2(合成エメラルド)、C(合成ダイヤモンド)、Si2O−nH2O、チッカ珪素、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ等が好ましい。分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを含有するセラミックスを以下においてジルコニアと略す)が特に好ましく用いられる。
【0166】
本発明に係る有機銀塩粒子を分散する際に用いられる装置類において、該有機銀塩粒子が接触する部材の材質としてジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素等のセラミックス類またはダイヤモンドを用いることが好ましく、中でも、ジルコニアを用いることが好ましい。
【0167】
上記分散を行う際、バインダー濃度は有機銀質量の0.1〜10%添加することが好ましく、予備分散から本分散を通して液温が45℃を上回らないことが好ましい。また、本分散の好ましい運転条件としては、例えば高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合には、29.42MPa〜98.06MPa、運転回数は2回以上が好ましい運転条件として挙げられる。また、メディア分散機を分散手段として用いる場合には、周速が6m/秒から13m/秒が好ましい条件として挙げられる。
【0168】
また、ビーズや部材の一部にジルコニアを使用し、分散時に分散乳剤中に混入させることができる。これが写真性能上好ましく有効である。ジルコニアの破片を分散乳剤中に後添加したり、予備分散時に予め添加しておいてもよい。具体的な方法としては特に限定されないが、一例としてジルコニアビーズを充填したビーズミルにMEKを循環させれば、高濃度のジルコニア溶液を得ることができる。これを好ましい時期に好ましい濃度で添加してやればよい。
【0169】
(銀イオン還元剤)
本発明に係る還元剤は感光性層中で、銀イオンを還元し得るものであり、現像剤ともいう。還元剤としては、下記一般式(RD)で表される化合物が挙げられる。
【0170】
本発明においては、銀イオンの還元剤として、特に、還元剤の少なくとも1種が下記一般式(RD)で表される化合物を単独又は他の異なる化学構造を有する還元剤と併せて用いることが好ましい。
【0171】
【化3】


【0172】
〔式中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよい。R3は炭素数2〜20の置換されてもよいアルキル基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。〕
一般式(RD)で表される化合物のうちでも特にR3の少なくとも1つの基はヒドロキシル基、または脱保護されることによりヒドロキシル基を形成しうる基を置換基として有するアルキル基を表す化合物を用いることが、高濃度で、光照射画像保存性に優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料を得ることができる点でより好ましい。
【0173】
2はアルキル基である。アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチルシクロプロピル等の基が挙げられる。
【0174】
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えば、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。又、(R4m及び(R4nと飽和環を形成してもよい。R2は好ましくは何れも2級又は3級のアルキル基であり、炭素数2〜20が好ましい。より好ましくは3級アルキル基であり、更に好ましくはt−ブチル、t−アミル、t−ペンチル、1−メチルシクロヘキシルであり、最も好ましくはt−ブチルである。
【0175】
3は炭素数2〜20のアルキル基を表す。R3として好ましくは、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては前記R1で挙げた置換基を用いることができる。
【0176】
3は好ましくはヒドロキシル基又は脱保護されることによりヒドロキシル基を形成しうる基(以下プレカーサー基ともいう)を有する炭素数2〜20のアルキル基であるが、好ましくはヒドロキシル基又はそのプレカーサー基を有する炭素数2〜20のアルキル基である。アルキル基の炭素数は2〜10であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。脱保護されて水酸基を形成しうる基として好ましくは酸および/または熱の作用により脱保護して水酸基を形成する基が挙げられる。
【0177】
具体的には、エーテル基(メトキシ基、tert−ブトキシ基、アリルオキシ基、ベンジルオキシ基、トリフェニルメトキシ基、トリメチルシリルオキシ基等)、ヘミアセタール基(テトラヒドロピラニルオキシ基等)、エステル基(アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−ニトロベンゾイルオキシ基、ホルミルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等)、カルボナート基(エトキシカルボニルオキシ基、フェノキシカルボニルオキシ基、tert−ブチルオキシカルボニルオキシ基等)、スルホナート基(p−トルエンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基等)、カルバモイルオキシ基(フェニルカルバモイルオキシ基等)、チオカルボニルオキシ基(ベンジルチオカルボニルオキシ基等)、硝酸エステル基、スルフェナート基(2,4−ジニトロベンゼンスルフェニルオキシ基等)が挙げられる。
【0178】
3は最も好ましくはヒドロキシル基又はそのプレカーサー基を有する炭素数2〜5の第1級アルキル基であり、例えば2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピルである。R2及びR3の最も好ましい組合せは、R2が第3級アルキル基(t−ブチル、t−アミル、1−メチルシクロヘキシル等)であり、R3がヒドロキシル基又はそのプレカーサー基を有する第1級アルキル基(2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル等)である。複数のR2、R3は同じでも異なっていてもよい。一般式(RD1a)で表される化合物の具体例としては、米国特許6800431号明細書のカラム6〜16に記載の化合物R−1〜R−12,R−15〜R−20、R−58〜R−59があげられる。
【0179】
4は水素原子又はベンゼン環上に置換可能な基を表すが、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル、パーフルオロオクチル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロペンチル等)、アルキニル基(プロパルギル等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル等)、複素環基(ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スリホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル等)、ハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素、フッ素)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等)、スルファモイル基(アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等)、ウレタン基(メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、フェニルウレイド、2−ピリジルウレイド等)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサノイル、ベンゾイル、ピリジノイル等)、カルバモイル基(アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル)、アミド基(アセトアミド、プロピオンアミド、ブタンアミド、ヘキサンアミド、ベンズアミド等)、スルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、フェニルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等)、アミノ基(アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、アニリノ、2−ピリジルアミノ等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等を挙げることができる。又、これらの基は更にこれらの基で置換されてもよい。m及びnは0〜2の整数を表すが、最も好ましくはm、n共に0の場合である。
【0180】
又、R4はR2、R3と飽和環を形成してもよい。R4は好ましくは水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。複数のR4は同じでも異なっていても良い。
【0181】
以下に、一般式(RD)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0182】
【化4】


【0183】
【化5】


【0184】
これら一般式(RD)で表されるビスフェノール化合物は、従来公知の方法により容易に合成することができる。
【0185】
本発明において、併用することができる還元剤としては、例えば、米国特許3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号の各明細書、RD17029号及び29963号、特開平11−119372号、特開2002−62616号の各公報等に記載されている還元剤が挙げられる。
【0186】
前記一般式(RD)で表される化合物を初めとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当たり1×10-2〜10モル、特に好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
【0187】
(画像の色調)
次に、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像処理して得られる画像の色調について述べる。
【0188】
従来のレントゲン写真フィルムのような医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像調子の方が、判読者にとってより的確な診断観察結果が得易いと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であることを言う。一方、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であると言われているが、より厳密な定量的な議論ができるように、以下、国際照明委員会(CIE)の推奨する表現法に基づき説明する。
【0189】
色調に関しての用語「より冷調」及び「より温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0における色相角habにより表現できる。即ち、色相角habは、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
【0190】
hab=tan-1(b*/a*
上記色相角に基づく表現法により検討した結果、本発明の光熱写真ドライイメージング材料の現像後の色調は、色相角habの範囲が180度<hab<270度であることが好ましく、更に好ましくは200度<hab<270度、最も好ましくは220度<hab<260度であることが判った。このことは、特開2002−6463号公報に開示されている。
【0191】
尚、従来、光学濃度1.0付近でのCIE 1976(L***)色空間又は(L***)色空間におけるu*、v*又はa*、b*を特定の数値に調整することにより、見た目の色調が好ましい診断画像が得られることが知られており、例えば、特開2000−29164号公報に記載されている。
【0192】
しかしながら、特開2004−94240号公報に開示されているように、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料については、CIE 1976(L***)色空間又は(L***)色空間において横軸をu*又はa*、縦軸をv*又はb*としたグラフ上に、様々な写真濃度でのu*、v*又はa*、b*をプロットし、線形回帰直線を作成した際に、その線形回帰直線を特定の範囲に調整することにより、従来の湿式の銀塩感光材料同等以上の診断性を持たせることができることが見い出されている。以下に好ましい特定条件範囲について述べる。
【0193】
(1)銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像処理後に得られた銀画像の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をu*、縦軸をv*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのu*、v*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のv*値が−5〜5であること、且つ傾き(v*/u*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
【0194】
(2)又、当該光熱写真ドライイメージング材料の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をa*、縦軸をb*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのa*、b*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のb*値が−5〜5であること、且つ傾き(b*/a*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
【0195】
次に、上述の線形回帰直線の作成法、則ちCIE1976色空間におけるu*、v*及びa*、b*の測定法の一例を説明する。
【0196】
熱現像装置を用いて未露光部、及び光学濃度0.5、1.0、1.5を含む4段のウエッジ試料を作製する。このようにして作製した、それぞれのウエッジ濃度部を分光色彩計(ミノルタ社製:CM−3600d等)で測定し、u*、v*又はa*、b*を算出する。その際の測定条件は光源としてF7光源、視野角を10度として透過測定モードで測定を行う。横軸をu*又はa*、縦軸をv*又はb*としたグラフ上に測定したu*、v*又はa*、b*をプロットし線形回帰直線を求め、決定係数(重決定)R2、切片及び傾きを求める。
【0197】
次に、上記のような特徴を持つ線形回帰直線を得るための具体的な方法について説明する。
【0198】
本発明においては、還元剤(現像剤)、ハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀及び下記の調色剤等の現像反応過程において、直接的及び間接的に関与する化合物等の添加量の調整により、現像銀形状を最適化して好ましい色調にすることができる。例えば、現像銀形状をデンドライト状にすると青味を帯びる方向になり、フィラメント状にすると黄色味を帯びる方向になる。即ち、このような現像銀形状の性向を考慮して調整できる。
【0199】
従来、調色剤としてはフタラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類が一般的に使用されている。好適な調色剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号、同4,021,249号の各明細書等に開示されている。
【0200】
このような調色剤の他に、特開平11−288057号公報、欧州特許第1,134,611A2号明細書等に開示されているカプラー及び、以下で詳述するロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。特に、色調の微調整のためにカプラーまたはロイコ染料を用いることが好ましい。
【0201】
(調色剤)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、上述した各種添加剤と共に調色剤が使用されることが望ましい。調色剤は有機銀塩と還元剤の酸化還元反応に関与して生ずる銀画像を濃色、特に黒色にする機能を有する。本発明に用いられる好適な調色剤の例はリサーチ・ディスクロージャー(RD)第17029号に開示されており、次のものが例として挙げられる。
【0202】
イミド類(例えば、フタルイミド);環状イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサミントリフルオロアセテート)、メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロックされたピラゾール類、イソチウロニウム(isothiuronium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、及び2−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾールの組み合わせ);メロシアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウムまたは8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリウム);フタラジン+フタル酸の組み合わせ;フタラジン(フタラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナルトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)。好ましい調色剤としては、フタラゾンまたはフタラジン及びそれらの誘導体である。
【0203】
(ロイコ染料)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上記のように、ロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。ロイコ染料として好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色又は僅かに着色した化合物でよく、上記の還元剤の酸化体等により酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、且つ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
【0204】
本発明において使用するのに適した代表的なロイコ染料は特に限定されないが、例えば、ビフェノールロイコ染料、フェノールロイコ染料、インドアニリンロイコ染料、アクリル化アジンロイコ染料、フェノキサジンロイコ染料、フェノジアジンロイコ染料及びフェノチアジンロイコ染料等が挙げられる。又、有用なものは、米国特許第3,445,234号、同3,846,136号、同3,994,732号、同4,021,249号、同4,021,250号、同4,022,617号、同4,123,282号、同4,368,247号、同4,461,681号の各明細書、及び特開昭50−36110号、同59−206831号、特開平5−204087号、同11−231460号、特開2002−169249号、同2002−236334号の各公報等に開示されているロイコ染料である。
【0205】
所定の色調に調整するために、種々の色のロイコ染料を単独使用又は複数の種類の併用をすることが好ましい。さらに迅速処理のために高活性な還元剤を使用することに伴ってその使用量や使用比率によって色調(特に黄色味)が変化したり、微粒子のハロゲン化銀粒子を用いたりして、現像銀の粒径が小さくなることにより、特に濃度が2.0以上の高濃度部で画像が過度に赤みをおびることを防止するために、黄色及びシアン色に発色するロイコ染料を併用してその使用量を調整するのが好ましい。
【0206】
発色濃度は現像銀自身による色調との関係で適切に調整することが好ましい。本発明では、0.01〜0.05の反射光学濃度又は0.005〜0.50の透過光学濃度を有するように発色させ上記の好ましい色調範囲の画像になるように色調を調整することが好ましい。本発明ではロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和を0.01以上0.50以下とするのが好ましく、より好ましくは0.02以上0.30以下、特に好ましくは0.03以上0.10以下を有するように発色させることが好ましい。
【0207】
(黄色発色性ロイコ染料)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上記のように、ロイコ染料を使用して色調を調整することが好ましい。本発明において、特に黄色発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより360〜450nmの吸光度が増加する色像形成剤である。これらの色像形成剤としては、下記一般式(YA)で表される色像形成剤であることが特に好ましい。
【0208】
【化6】


【0209】
〔式中、R11は置換又は無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアシルアミノ基を表すが、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。R13は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R14はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。〕
以下、一般式(YA)の化合物について詳細に説明する。
【0210】
一般式(YA)において、R11は置換又は無置換のアルキル基を表すが、R12が水素原子以外の置換基である場合、R11はアルキル基を表す。当該アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、置換基を有してもよい。
【0211】
具体的にはメチル、エチル、ブチル、オクチル、i−プロピル、t−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル等が好ましく、i−プロピルよりも立体的に大きな基(i−プロピル、i−ノニル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル、アダマンチル等)であることが好ましく、その中でも2級又は3級のアルキル基が好ましく、3級アルキル基であるt−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル等が特に好ましい。R11が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基等が挙げられる。
【0212】
12は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアシルアミノ基を表す。R12で表されるアルキル基は炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アシルアミノ基は炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましい。この内、アルキル基の説明は前記R11と同様である。
【0213】
12で表されるアシルアミノ基は、無置換でも置換基を有してもよく、具体的には、アセチルアミノ基、アルコキシアセチルアミノ基、アリールオキシアセチルアミノ基等が挙げられる。R12として好ましくは、水素原子又は無置換の炭素数1〜24のアルキル基であり、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチルが挙げられる。又、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。
【0214】
13は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アルキル基の説明は前記R11と同様である。R13として好ましくは、水素原子又は無置換の炭素数1〜24のアルキル基で、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチル等が挙げられる。又、R12、R13の何れか一方は水素原子であることが好ましい。
【0215】
14はベンゼン環に置換可能な基を表し、例えば、前記一般式(RD)における置換基R4で説明したのと同様な基である。R14として好ましいのは、置換又は無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のオキシカルボニル基であり、炭素数1〜24のアルキル基がより好ましい。アルキル基の置換基としてはアリール基、アミノ基、アルコキシ基、オキシカルボニル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、イミド基、ウレイド基等が挙げられ、アリール基、アミノ基、オキシカルボニル基、アルコキシ基がより好ましい。これらのアルキル基の置換基は、更にこれらの置換基で置換されてもよい。
【0216】
次に、一般式(YA)で表される化合物のうちでも、特に本発明で好ましく用いられる、下記一般式(YB)で表されるビスフェノール化合物について説明する。
【0217】
【化7】


【0218】
〔式中、Zは−S−又は−C(R21)(R21′)−を表し、R21、R21′は各々、水素原子又は置換基を表す。〕
21、R21′の表す置換基としては、前記一般式(RD)のR1の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。R21、R21′として好ましくは、水素原子又はアルキル基である。
【0219】
22、R23、R22′及びR23′は各々置換基を表すが、置換基としては一般式(RD)におけるR2、R3で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0220】
22、R23、R22′及びR23′として、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基であるが、アルキル基が更に好ましい。アルキル基上の置換基としては、一般式(RD)における置換基の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0221】
22、R23、R22′及びR23′として、更に好ましくはt−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、1−メチル−シクロヘキシル等の3級アルキル基である。
【0222】
24及びR24′は各々、水素原子又は置換基を表すが、置換基としては、一般式(RD)におけるR4の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0223】
一般式(YA)及び(YB)で表される化合物としては、例えば、特開2002−169249号公報の段落「0032」〜「0038」記載の化合物(II−1)〜(II−40)、欧州特許第1,211,093号明細書の段落「0026」記載の化合物(ITS−1)〜(ITS−12)を挙げることができる。
【0224】
以下に、一般式(YA)及び(YB)で表されるビスフェノール化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0225】
【化8】


【0226】
【化9】


【0227】
一般式(YA)の化合物(ヒンダードフェノール化合物、一般式(YB)の化合物も含まれる)の添加量は、通常、銀1モル当たり0.00001〜0.01モルであり、好ましくは0.0005〜0.01モル、より好ましくは0.001〜0.008モルである。
【0228】
また、黄色発色性ロイコ染料の一般式(RD)で表される還元剤の総和に対する添加量比は、モル比で0.001〜0.2であることが好ましく、0.005〜0.1であることがより好ましい。
【0229】
(シアン発色性ロイコ染料)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上記の黄色発色性ロイコ染料のほかに、シアン発色性ロイコ染料も使用して色調を調整することが好ましい。
【0230】
シアン発色性ロイコ染料としては、好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色又は僅かに着色した化合物でよく、還元剤の酸化体等により酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、かつ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
【0231】
本発明において、特にシアン発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより600〜700nmの吸光度が増加する色像形成剤である。これらの化合物としては例えば、特開昭59−206831号(特にλmaxが600〜700nmの範囲内にある化合物)、特開平5−204087号の一般式(I)〜一般式(IV)の化合物(具体的には段落「0032」〜「0037」に記載の(1)〜(18)の化合物)及び特開平11−231460号の一般式4〜一般式7の化合物(具体的には段落「0105」に記載されるNo.1〜No.79の化合物)が挙げられる。
【0232】
本発明において好ましく用いられるシアン発色性ロイコ染料は、下記一般式(CLA)、一般式(CLB)で表される化合物である。一般式(CLB)で表される色像形成剤は発色効率が高く、少量の添加でも色調調整が可能であり、また画像保存性にも優れている点で特に好ましい。
【0233】
以下に好ましく用いられる一般式(CLA)、一般式(CLB)の化合物について詳細に説明する。
【0234】
(一般式(CLA)で表される化合物)
【0235】
【化10】


【0236】
〔式中、R31、R32は水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、−NHCO−R30基(R30はアルキル基、アリール基、複素環基を表す。)であるか、またはR31、R32は互いに連結して脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環または複素環を形成する基である。
【0237】
−A3−R33部分は、水素原子を表すか、または、A3は−NHCO−基、−CONH−基もしくは−NHCONH−基を表し、R33は置換または無置換の、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。
【0238】
3は水素原子または−CONH−R35基、−CO−R35基または−CO−O−R35基(R35は置換または無置換のアルキル基、アリール基または複素環基を表す。)を表し、R34は水素原子、ハロゲン原子、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルバモイル基、またはニトリル基を表す。R36は−CONH−R37基、−CO−R37基または−CO−O−R37基(R37は置換または無置換の、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。)X3は、置換または無置換の、アリール基、複素環基を表す。〕
一般式(CLA)において、R31、R32で表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、臭素原子、塩素原子等が挙げられ、アルキル基としては炭素原子数が20までのアルキル基(例えばメチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等)が挙げられ、アルケニル基としては炭素原子数20までのアルケニル基(例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル等)が挙げられ、アルコキシ基としては炭素原子数20までのアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ等)が挙げられる。また、−NHCO−R30基におけるR30で表されるアルキル基としては、炭素原子数が20までのアルキル基(例えばメチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等)が挙げられ、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基のような炭素原子数6〜20の基が挙げられ、複素環基としては、例えばチオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。R33で表されるアルキル基は、好ましくは炭素原子数20までのアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等が挙げられ、アリール基は好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、例えばチオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。
【0239】
3で表される−CONH−R35基、−CO−R35基または−CO−O−R35基において、R35で表されるアルキル基は、好ましくは炭素原子数20までのアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等が挙げられ、アリール基は、好ましくは炭素数6〜20までのアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、例えばチオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。
【0240】
34で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、アルキル基としては鎖状若しくは環状のアルキル基、例えば、メチル基、ブチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルケニル基としては炭素原子数20までのアルケニル基(例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル等)が挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、ブトキシ基、テトラデシルオキシ基等が挙げられ、カルバモイル基としては、例えば、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等が挙げられる。またニトリル基も好ましい。これらの中でも、水素原子、アルキル基がより好ましい。前記R33とR34は、互いに連結して環構造を形成してもよい。
【0241】
上記の基はさらに単一の置換基または複数の置換基を有することができる。典型的な置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ドデシル基等)、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アルキルスルホンアミド基(例えば、メチルスルホンアミド基、オクチルスルホンアミド基等)、アリールスルホンアミド基(例えば、フェニルスルホンアミド基、ナフチルスルホンアミド基等)、アルキルスルファモイル基(例えば、ブチルスルファモイル基等)、アリールスルファモイル(例えば、フェニルスルファモイル基等)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、アミノスルホンアミド基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホキシ基、スルホ基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミノカルボニル基等が挙げられる。
【0242】
30またはR35は好ましくはフェニル基であり、より好ましくは、ハロゲン原子およびシアノ基を置換基として複数有するフェニル基である。
【0243】
36で表される−CONH−R37基、−CO−R37基または−CO−O−R37基において、R37で表されるアルキル基は、好ましく炭素原子数20までのアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等が挙げられ、アリール基は、好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基、チエニル基等が挙げられ、複素環基としては、例えばチオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。
【0244】
37で表される基が有することができる置換基としては一般式(CLA)のR31〜R34の説明において挙げた置換基と同様のものが使用できる。
【0245】
3で表されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、チエニル基のような炭素原子数6〜20のアリール基が挙げられ、複素環基としては、例えば、チオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。
【0246】
3で表される基が有することができる置換基としては一般式(CLA)のR31〜R34の説明において挙げた置換基と同様のものを挙げることができる。
【0247】
3で表される基としてはパラ位にアルキルアミノ基(ジエチルアミノ基等)を有するアリール基または複素環基が好ましい。
【0248】
これらの基は写真的に有用な基を含んでもよい。
【0249】
以下にシアン発色性ロイコ染料(CLA)の具体例を示すが、本発明で用いられるシアン発色性ロイコ染料はこれらに限定されるものではない。
【0250】
【化11】


【0251】
【化12】


【0252】
【化13】


【0253】
(一般式(CLB)で表される化合物)
次に、一般式(CLB−I)で表される化合物(ロイコ染料)について詳述する。
【0254】
【化14】


【0255】
一般式(CLB−I)において、R11、R12、Ra及びRbは各々、水素原子、脂肪族基、芳香族基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基又はハロゲン原子を表す。R13は水素原子、脂肪族基、芳香族基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボキニル基、カルバモイル基、スルファモイル基又はスルホニル基を表す。X1及びX2は各々ベンゼン環上に置換可能な基を表し、m1及びm2は各々0〜5の整数を表す。X1又はX2が複数個ある場合、各X1及びX2は同じでも異なってもよい。
【0256】
11、R12、Ra及びRbで表される脂肪族基の具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基は炭素数1〜25であることが好ましく、炭素数1〜20であることがより好ましい。炭素数1〜25のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル、シクロペンチル基等、アルケニル基としては、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等、アルキニル基としては、エチニル、1プロピニル、プロパルギル等が挙げられる。
【0257】
11、R12、Ra及びRbで表される芳香族基の具体例としては、アリール基(フェニル、ナフチル等)、複素環基(ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スリホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル等)が挙げられる。
【0258】
11、R12、Ra及びRbで表されるアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ等が挙げられる。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。アシルアミノ基としては、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。スルホンアミド基の具体例としては、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、オクタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。カルバモイル基としては、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル等が挙げられる。又、R11、R12、Ra及びRbで表されるハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素である。
【0259】
11及びR12として好ましくは、脂肪族基、アルコキシ基、アリールオキシ基、より好ましくはアルキル基又はアルコキシ基、更に好ましくは2級又は3級アルキル基、アルコキシ基である。Ra及びRbとして好ましくは、水素原子、脂肪族基、より好ましくは水素原子である。
【0260】
13で表される脂肪族基、芳香族基、アルコキシ基、アリールオキシ基の例は前記一般式(CLB−I)のR11、R12、Ra及びRbで表される脂肪族基、芳香族基、アルコキシ基、アリールオキシ基の具体例としてあげた基が挙げられる。
【0261】
13で表されるアシル基の具体例としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサノイル、ベンゾイル、ピリジノイル等の各基が挙げられる。アルコキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等が挙げられる。アリールオキシカルボキニル基の具体例としてはフェノキシカルボニル等が挙げられる。カルバモイル基としては、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル等が挙げられる。スルファモイル基としてはメチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。スルホニル基としてはメチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル等が挙げられる。
【0262】
13として好ましくは、水素原子、アルキル基、アシル基、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アシル基である。
【0263】
1及びX2で表されるベンゼン環上に置換可能な基としては、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、i−プロピル基、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロペンチル等)、アルキニル基(プロパルギル等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル等)、複素環基(ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スリホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル等)、ハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素、フッ素等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ヘキサンスルホンアミド、シクロヘキサンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等)、スルファモイル基(アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等)、ウレタン基(メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、フェニルウレイド、2−ピリジルウレイド等)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサノイル、ベンゾイル、ピリジノイル等)、カルバモイル基(アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル等)、アミド基(アセトアミド、プロピオンアミド、ブタンアミド、ヘキサンアミド、ベンズアミド等)、スルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、フェニルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等)、スルホンアミド基(メチルスルホンアミド、オクチルスルホンアミド、フェニルスルホンアミド、ナフチルスルホンアミド等)、アミノ基(アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、アニリノ、2−ピリジルアミノ等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等を挙げることができる。又、これらの基は、更にこれらの基で置換されてもよい。
【0264】
1及びX2として好ましくは、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルホンアミド基、アミノ基であり、更に好ましくはアルコキシ基、アミノ基である。m1及びm2は各々0〜4の整数を表すが、共に好ましくは1〜3、更に好ましくは1である。
【0265】
一般式(CLB−I)で表される化合物のうち、本発明では下記の一般式(CLB−II)の化合物が好ましく用いられる。
【0266】
【化15】


【0267】
〔式中、X3及びX4は各々、脂肪族基、芳香族基、アミノ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。R11、R12及びR13は、それぞれ一般式(CLB−I)におけるR11、R12及びR13と同義である。〕
3及びX4で表される脂肪族基、芳香族基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基の例は、前記一般式(CLB−I)のX1及びX2で表される脂肪族基、芳香族基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基の具体例と同じ基が挙げられる。X3及びX4として好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基であり、更に好ましくはアルコキシ基、アミノ基である。
【0268】
一般式(CLB−I)で表される化合物のうち、本発明では下記の一般式(CLB−III)の化合物が特に好ましく用いられる。
【0269】
【化16】


【0270】
〔式中、R14、R15、R16及びR17は各々、水素原子又はアルキル基を表す。R11、R12及びR13は、それぞれ一般式(CLB−I)におけるR11、R12及びR13と同義である。〕
14、R15、R16及びR17で表されるアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。これらの基は任意の位置に置換基を有していてもよく、該置換基の例としては前記一般式(RD)におけるR4で表される置換基の例として挙げた基が挙げられる。R14、R15、R16及びR17として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくはメチル、エチルである。
【0271】
これら一般式(CLB−I)〜(CLB−III)で表される化合物は、従来公知の方法、例えば特公平7−45477号公報に記載の方法等で容易に合成することができる。以下に、一般式(CLB−I)〜(CLB−III)で表されるロイコ染料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0272】
【化17】


【0273】
【化18】


【0274】
【化19】


【0275】
【化20】


【0276】
【化21】


【0277】
シアン発色性ロイコ染料の添加量は、通常0.00001〜0.05モル/Ag1モルであり、好ましくは0.0005〜0.02モル/Ag1モル、より好ましくは0.001〜0.01モル/Ag1モルである。シアン発色性ロイコ染料の一般式(RD)で表される還元剤の総和に対する添加量比は、モル比で0.001〜0.2であることが好ましく、0.005〜0.1であることがより好ましい。
【0278】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、シアンロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和を0.01以上0.50以下とするのが好ましく、より好ましくは0.02以上0.30以下、特に好ましくは0.03以上0.10以下を有するように発色させることが好ましい。
【0279】
本発明においては、上記のシアン発色性ロイコ染料に加えてマゼンタ発色性ロイコ染料または黄色発色性ロイコ染料を併用することでさらに微妙な色調の調整を可能とすることができる。
【0280】
一般式(YA)および(YB)で表される化合物及びシアン発色性ロイコ染料の添加方法としては、一般式(RD)で表される還元剤の添加方法と同様な方法で添加することができ、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態等、任意の方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてよい。
【0281】
一般式(RD)、一般式(YA)、(YB)の化合物及びシアン発色性ロイコ染料は、有機銀塩を含有する感光性層(画像形成層)に含有させることが好ましいが、一方を感光性層に、他方を該感光性層に隣接する非感光性層に含有させてもよく、両者を非感光性層に含有させてもよい。又、感光性層が複数層で構成されている場合には、それぞれ別層に含有させてもよい。
【0282】
(カブリ防止及び画像安定化剤)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料のいずれかの構成層には、熱現像前の保存時におけるカブリ発生を防止するためのカブリ防止剤、及び熱現像後における画像の劣化を防止するための画像安定化剤を含有させておくことが好ましい。
【0283】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いることができるカブリ防止及び画像安定化剤について説明する。
【0284】
本発明において、還元剤として、主にビスフェノール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトンを持った還元剤が用いられているので、これらの水素を安定化し還元剤を不活性化し、銀イオンを還元する反応を防止できる化合物が含有されていることが好ましい。また、生フィルムや画像の保存時に生成する銀原子ないし金属銀銀(銀クラスター)を酸化漂白できる化合物が含有されていることが好ましい。これらの機能を有する化合物の具体例として、例えば、特開2003−270755号公報の段落「0096」〜「0128」に記載されているビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化号物及びハロゲン原子を活性種として放出できる化合等を挙げることができる。
【0285】
また、特開2003−91054号に開示されているようなハロゲンラジカル放出基を有するモノマーの繰り返し単位を少なくとも1つ有するポリマー、特開平6−208192号公報の段落「0013」に記載のビニルスルホン類及び/又はβ−ハロスルホン類、及び、特願2004−234206号に記載されている電子吸引基を有するビニル型抑制剤等の種々なカブリ防止及び画像安定化剤等が好ましい具体例として挙げられる。
【0286】
本発明に用いる還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)を有する場合、特にビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物の具体例としては、例えば、特開2002−90937号公報の段落「0061」〜「0064」に記載の化合物(II−1)〜(II−40)が挙げられる。
【0287】
また、一方、カブリ防止及び画像安定化剤として、ハロゲン原子を活性種として放出できる化合物も多くのものが知られている。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、特開2002−287299号公報の「0264」〜「0271」に記載の一般式(9)の化合物が挙げられる。
【0288】
これらの化合物の添加量は、当該化合物から放出されるハロゲンと銀イオンが反応してハロゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が実質的に問題にならない範囲が好ましい。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、上記の公報の他に、特開2002−169249号公報の段落「0086」〜「0087」に記載されている化合物(III−1)〜(III−23)、特開2003−50441号公報の段落「0031」〜「0034」記載の化合物1−1a〜1−1o、1−2a〜1−2o、段落「0050」〜「0056」記載の化合物2a〜2z、2aa〜2ll、2−1a〜2−1f、特開2003−91054号公報の段落「0055」〜「0058」記載の化合物4−1〜4−32、段落「0069」〜「0072」記載の化合物5−1〜5−10を挙げることができる。
【0289】
本発明で好ましく使用されるカブリ防止剤としては、例えば、特開平8−314059号公報の段落「0012」に記載の化合物例a〜j、特開平7−209797号公報の段落「0028」に記載のチオスルホネートエステルA〜K、特開昭55−140833号公報のp14から記載の化合物例(1)〜(44)、特開2001−13627号公報の段落「0063」記載の化合物(I−1)〜(I−6)、段落「0066」記載の(C−1)〜(C−3)、特開2002−90937号公報の段落「0027」記載の化合物(III−1)〜(III−108)、ビニルスルホン類及び/又はβ−ハロスルホン類の化合物として特開平6−208192号公報の段落「0013」に記載の化合物VS−1〜VS−7、化合物HS−1〜HS−5、スルホニルベンゾトリアゾール化合物として特開2000−330235号公報に記載のKS−1〜KS−8の化合物、置換されたプロペンニトリル化合物として特表2000−515995号公報に記載のPR−01〜PR−08、特開2002−207273号公報の段落「0042」〜「0051」に記載の化合物(1)−1〜(1)−132、を挙げることができる。
【0290】
上記カブリ防止剤は一般に銀のモルに対して少なくとも0.001モル用いる。通常、その範囲は銀のモルに対して化合物は0.01〜5モル、好ましくは銀のモルに対して化合物は0.02〜0.6モルである。
【0291】
尚、上記の化合物の他に、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料には、従来カブリ防止剤として知られている各種化合物が含まれてもよいが、上記の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化合物であっても、カブリ防止機構が異なる化合物であってもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、同4,546,075号、同4,452,885号の各明細書、特開昭59−57234号公報、米国特許第3,874,946号明細書、同4,756,999号明細書、特開平9−288328号公報、同9−90550号公報に記載されている化合物が挙げられる。更に、その他のカブリ防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同605,981号、同631,176号の各明細書に開示されている化合物が挙げられる。
【0292】
(バインダー)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に好適なバインダーは透明または半透明で一般に無色であり、天然ポリマーや合成ポリマー及びコポリマー、その他、フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルピロリドン、カゼイン、澱粉、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸、ポリ塩化ビニル、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリビニルアセタール類、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリビニルアセテート類、セルロースエステル類、ポリアミド等があり、親水性でも非親水性でもよい。しかしながら、これらのバインダーの中でも特に好ましいのは、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルブチラールのような非水溶性の疎水性ポリマーであり、この中で特に好ましいのはポリビニルブチラールである。
【0293】
本発明においては、感光性層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましい。更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0294】
(架橋剤)
本発明に係る感光性層には、本発明に係るバインダー同士を橋かけ結合によってつなぐことができる架橋剤を含有させることができる。架橋剤を上記バインダーに対し用いることにより、膜付きが良くなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
【0295】
用いられる架橋剤としては、従来、写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例えば特開昭50−96216号に記載されるアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤が用いられるが、好ましくは、以下に示すイソシアネート系、シラン化合物系、エポキシ系化合物又は酸無水物である。
【0296】
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価又は3価のポリアルコール類との付加体等が挙げられる。具体例として、特開昭56−5535号の10〜12頁に記載されるイソシアネート化合物を利用することができる。
【0297】
尚、イソシアネートとポリアルコールの付加体は、特に層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイソシアネートは、銀塩光熱写真ドライイメージング材料のどの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)感光性層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光性層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
【0298】
又、本発明に使用可能なチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
【0299】
上記架橋剤の使用量は、銀1モルに対して、通常、0.001〜2モル、好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
【0300】
本発明において含有させることができるイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、当該官能基を1個のみ有する化合物であっても良い結果が得られる。
【0301】
シラン化合物の例としては、特開2001−264930号に開示されている一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0302】
又、架橋剤として使用できるエポキシ化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。又、エポキシ化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマー等の何れであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーの何れであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2,000〜20,000程度である。
【0303】
本発明に用いられる酸無水物は、下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。この様な酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はない。
【0304】
−CO−O−CO−
上記のエポキシ化合物や酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。このエポキシ化合物や酸無水物は、感光性層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光性層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
【0305】
(マット剤)
本発明においては、感光性層側にマット剤を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防止の為に、感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光性層側の全バインダーに対し、質量比で0.5〜30%含有することが好ましい。
【0306】
また、支持体をはさみ感光性層の反対側に非感光性層を設ける場合は、非感光性層側の少なくとも1層中にマット剤を含有することが好ましく、感光材料のすべり性や指紋付着防止の為にも感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光性層側の反対側の層の全バインダーに対し、質量比で0.5〜40%含有することが好ましい。
【0307】
本発明において用いられるマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属またはカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0308】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでもよいが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0309】
本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5μm〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0μm〜8.0μmである。また、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に、好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
【0310】
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
【0311】
変動係数=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明に係るマット剤は任意の構成層中に含むことができるが、本発明の目的を達成する為には好ましくは感光性層以外の構成層であり、更に好ましくは支持体から見て最も外側の層である。
【0312】
本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0313】
(増感色素)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料には例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。
【0314】
本発明においては、波長720nm〜1000nmに分光増感することがより好ましい。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRD Item 17643 IV−A項(1978年12月p.23)に記載若しくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えばアルゴンイオンレーザ光源に対しは、特開昭60−162247号、特開平2−48635号、米国特許第2,161,331号、西独特許第936,071号、特願平3−189532号等に記載のシンプルメロシアニン類、ヘリウムネオンレーザ光源に対しては、特開昭50−62425号、同54−18726号、同59−102229号に示された三核シアニン色素類、特願平6−103272号に記載されたメロシアニン類、LED光源及び赤外半導体レーザ光源に対しては特公昭48−42172号、同51−9609号、同55−39818号、特開昭62−284343号、特開平2−105135号に記載されたチアカルボシアニン類、赤外半導体レーザ光源に対しては特開昭59−191032号、特開昭60−80841号に記載されたトリカルボシアニン類、特開昭59−192242号、特開平3−67242号の一般式(IIIa)、(IIIb)に記載された4−キノリン核を含有するジカルボシアニン類等が有利に選択される。更に赤外レーザ光源の波長が750nm以上更に好ましくは800nm以上である場合この様な波長域のレーザに対応する為には、特開平4−182639号、同5−341432号、特公平6−52387号、同3−10931号、米国特許第5,441,866号、特開平7−13295号等に記載されている増感色素が好ましく用いられる。これらの増感色素は単独で用いてもよく、増感色素の組み合わせは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素或いは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでいてもよい。
【0315】
(層構成)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は支持体上に少なくとも1層の感光性層(感光層ともいう。)を有している。支持体の上に感光性層のみを形成してもよいが、感光性層の上に少なくとも一層の非感光性層を形成するのが好ましい。感光性層に透過する光の量または波長分布を制御する為に感光性層と同じ側または反対の側にフィルタ層を形成してもよいし、感光性層に染料または顔料を含有させてもよい。染料としては特開平8−201959号の化合物が好ましい。感光性層は複数層にしてもよく、また階調の調節の為に高感度層、低感度層を設け、これを組み合わせてもよい。各種の添加剤は感光性層、非感光性層またはその他の形成層のいずれに添加してもよい。本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料には、例えば界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いてもよい。
【0316】
(構成層の塗布)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば、感光性層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下(より好ましくは90質量%以下)となる前に、上層を設けることである。
【0317】
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えば、バーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、リバースロール塗布法、グラビア塗布法、エクストリュージョン塗布法等の公知の方法を用いることができる。
【0318】
上記の各種方法のうち、より好ましくはスライド塗布法、エクストリュージョン塗布法である。これらの塗布方法は感光性層を有する側について述べたが、バック層を設ける際、下引きと共に塗布する場合についても同様である。光熱写真ドライイメージング材料における同時重層塗布方法に関しては、特開2000−15173号公報に詳細な記載がある。
【0319】
尚、本発明において、塗布銀量は銀塩光熱写真ドライイメージング材料の目的に応じた適量を選ぶことが好ましいが、医療用画像を目的とする場合には、0.3g/m2以上、1.5g/m2以下が好ましく、0.5g/m2以上、1.5g/m2以下がより好ましい。当該塗布銀量のうち、ハロゲン化銀に由来するものは全銀量に対して2〜18%を占めることが好ましい、更には5〜15%が好ましい。
【0320】
また、本発明において、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好ましい。更には1×1015個/m2以上、1×1017個/m2以下が好ましい。
【0321】
更に、前記の非感光性長鎖脂肪族カルボン酸銀の塗布密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子1個当たり、1×10-17g以上、1×10-14g以下が好ましく、1×10-16g以上、1×10-15g以下がより好ましい。
【0322】
上記のような範囲内の条件において塗布した場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高濃度、即ち銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
【0323】
本発明においては、銀塩光熱写真ドライイメージング材料が現像時に溶剤を5〜1,000mg/m2の範囲で含有していることが好ましい。10〜150mg/m2であるように調整することがより好ましい。それにより、高感度、低カブリ、最高濃度の高い銀塩光熱写真ドライイメージング材料となる。溶剤としては、特開2001−264930号公報の段落「0030」に記載のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。また、これらの溶剤は単独または数種類組合せて用いることができる。
【0324】
尚、銀塩光熱写真ドライイメージング材料中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。また、当該溶剤の含有量は、含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
【0325】
(包装体)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を保存する場合は、経時での濃度変化やカブリ発生を防止するため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率及び/または水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50ml/atm・m2・day(なお、1atmは1.01325×105Paである)以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm・m2・day以下、さらに好ましくは1.0ml/atm・m2・day以下である。水分透過率は0.01g/m2・40℃・相対湿度90%RH・day以下(JIS Z0208カップ法による。)であることが好ましく、より好ましくは0.005g/m2・40℃・相対湿度90%RH・day以下、さらに好ましくは0.001g/m2・40℃・相対湿度90%RH・day以下である。
【0326】
銀塩光熱写真ドライイメージング材料用の包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号、特開2000−206653号、特開2000−235241号、特開2002−062625号、特開2003−015261号、特開2003−057790号、特開2003−084397号、特開2003−098648号、特開2003−098635号、特開2003−107635号、特開2003−131337号、特開2003−146330号、特開2003−226439、特開2003−228152号公報明細書に記載されている包装材料である。また包装体内の空隙率は0.01〜10%、好ましくは0.02〜5%とするのがよく、窒素封入を行って包装体内の窒素分圧を80%以上、好ましくは90%以上とするのがよい。また包装体内の相対湿度は10%以上60%以下、好ましくは40%以上、55%以下とするのが良い。
【0327】
また、断裁工程や包装工程においては、擦り傷や白ヌケ等の画像欠陥を防止するために、例えば特開2004−341145号公報に示されているようにクリーン度が米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境下で作業を行うことが好ましい。
【0328】
(画像記録・露光条件)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の露光に用いられる露光、あるいは、本発明の画像形成方法における露光については、目的とする適切な画像を得るために適した光源、露光時間等に関し、種々の条件を採用することができる。
【0329】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、画像記録する際にレーザ光線を用いるのが好ましい。また、本発明においては、当該感光材料に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば当該感光材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザパワーがハイパワーであることや、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザ(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
【0330】
また特に本発明の光熱写真ドライイメージング材料は、好ましくは光量が1mW/mm2以上の高照度の光で短時間露光されることでその特性を発揮する。ここでの照度は熱現像後の感光材料が3.0の光学濃度がでるときの照度を言う。このような高照度で露光を行うと必要な光学濃度を得るために必要な光量(=照度*露光時間)が少なくてすみ、高感度システムを設計できる。より好ましくはその光量は2mW/mm2以上50W/mm2以下であり、さらに好ましくは10mW/mm2以上50W/mm2以下である。
【0331】
上記のような光源であればどのようなものでも構わないが、レーザであることによって好ましく達成できる。本発明の感光材料にこのましく用いられるレーザとしては、ガスレーザ(Ar+、Kr+、He−Ne)、YAGレーザ、色素レーザ、半導体レーザなどが好ましい。また、半導体レーザと第2高調波発生素子などを用いることもできる。また青〜紫発光の半導体レーザ(波長350nm〜440nmにピーク強度を持つもの等)を用いることができる。青〜紫発光の高出力半導体レーザとしては日亜化学のNLHV3000E半導体レーザを挙げることができる。
【0332】
本発明において、露光はレーザ走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、感光材料の露光面と走査レーザ光の為す角が実質的に垂直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙げられる。
【0333】
ここで、「実質的に垂直になることがない」とは、レーザ光走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55〜88度、より好ましくは60〜86度、更に好ましくは65〜84度、最も好ましくは70〜82度であることを言う。
【0334】
レーザ光が感光材料に走査される時の、感光材料露光面でのビームスポット直径は好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方が、レーザ光入射角度の垂直からの「ずらし角度」を減らせる点で好ましい。尚、ビームスポット直径の下限は10μmである。この様なレーザ走査露光を行うことにより、干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることができる。
【0335】
又、第2の方法として、露光は縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳を掛ける、等の方法がよい。尚、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常、露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
【0336】
更に、第3の態様としては、2本以上のレーザ光を用いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。この様な複数本のレーザ光を利用した画像記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技術であり、例えば特開昭60−166916号等により知られている。これは、光源ユニットから放射されたレーザ光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結像する方法であり、これはレーザイメージャー等と原理的に同じレーザ走査光学装置である。
【0337】
レーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段における感光体上へのレーザ光の結像は、1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途から、一つのレーザ光の結像位置から1ライン分ずらして次のレーザ光が結像されている。具体的には、二つの光ビームは、互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(dpiとは、1インチ=2.54cm当たりのドット数を表す)で2ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、600dpiで42.3μmである。この様な、副走査方向に解像度分ずらした方法とは異なり、本発明では同一の場所に2本以上のレーザを入射角を変え露光面に集光させ画像形成することが好ましい。この際、通常の1本のレーザ光(波長λ[nm])で書き込む場合の露光面での露光エネルギーがEであり、露光に使用するN本のレーザ光線が同一波長(波長λ[nm])、同一露光エネルギー(En)である場合に、0.9×E≦En×N≦1.1×Eの範囲にするのが好ましい。この様にすることにより、露光面ではエネルギーは確保されるが、それぞれのレーザ光線の画像形成層への反射は、レーザの露光エネルギーが低いため低減され、ひいては干渉縞の発生が抑えられる。
【0338】
尚、上述では複数本のレーザ光の波長をλと同一のものを使用したが、波長の異なるものを用いてもよい。この場合には、λ[nm]に対して(λ−30)<λ1、λ2、・・・・・λn≦(λ+30)の範囲にするのが好ましい。
【0339】
尚、上述した第1、第2及び第3の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ等の固体レーザ;He−Neレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレーザ、He−Cdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAsPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でも、メンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザによるレーザ光を用いるのが好ましい。尚、レーザイメージャやレーザイメージセッタで使用されるレーザにおいて、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に走査される時の該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は銀塩光熱写真ドライイメージング材料固有のレーザ発振波長における感度とレーザパワーによって、光熱写真ドライイメージング材料毎に最適な値に設定することができる。
【0340】
(レーザ・イメージャー・熱現像条件)
本発明でいうレーザイメージャー(熱現像処理装置)は、構成としては、フィルムトレイで代表されるフィルム供給装置部、レーザ画像記録装置部、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の全面に均一で安定した熱を供給する熱現像装置部、フィルム供給部からレーザ記録を経て、熱現像により画像形成された光熱写真ドライイメージング材料を装置外に排出するまでの搬送装置部から構成される。
【0341】
露光処理と熱現像処理の間の時間間隔は短くすることが、迅速処理のために好ましい。更に、露光処理と熱現像処理を同時に進行させることが好ましい。即ち、シート感材の一部分を露光しながら、すでに露光がなされたシートの一部分で現像が開始され、進行させるためには、露光処理を行う露光部と現像部の間の距離が0cm以上50cm以下であることが好ましく、これにより露光・現像の一連の処理時間が極めて短くなる。この距離の好ましい範囲は、3cm以上40cm以下であり、より好ましくは、5cm以上30cm以下である。
【0342】
ここで露光部とは、露光光源からの光が銀塩光熱写真ドライイメージング材料に照射される位置をいい、現像部とは、銀塩光熱写真ドライイメージング材料が熱現像を行うために初めて加熱される位置をいう。
【0343】
尚、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の熱現像部における搬送速度は20〜200mm/秒であり、特に好ましくは30〜150mm/秒である。搬送速度をこの範囲とすることにより、熱現像時の濃度むらを改良でき、また処理時間が短縮できるため、緊急時の診断にも対応できて好ましい。
【0344】
銀塩光熱写真ドライイメージング材料の現像条件は、使用する機器、装置、あるいは手段に依存して変化するが、典型的には、適した高温において像様に露光した光熱写真ドライイメージング材料を加熱することにより現像を行うものである。約80〜200℃、好ましくは約100〜140℃、より好ましくは110〜130℃で、好ましくは3〜20秒、より好ましくは5〜12秒であるで現像される。
【0345】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の現像処理時の加熱は、好ましくは、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理することが、均一な加熱を行う上で、又、熱効率、作業性等の観点から好ましく、保護層を有する側の面をヒートローラーに接触させながら搬送し、加熱処理して現像することが好ましい。
【0346】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、加熱温度123℃、現像時間12秒で熱現像して得られる画像が、拡散濃度(Y軸)と常用対数露光量(X軸)の単位長の等しい直交座標上に示される特性曲線において、拡散光での光学濃度で0.25〜2.5の平均階調が2.0〜4.0であることが好ましい。このような階調にすることにより、銀量が少なくても診断認識性の高い画像を得ることが可能となる。
【実施例】
【0347】
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明の実施の態様はこれらにより限定されない。なお、特に断らない限り、実施例中の「%」は「質量%」を示す。
【0348】
実施例1
(支持体の作製)
濃度0.170に青色着色した175μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムベースの片方の面に、0.5kV・A・min/m2のコロナ放電処理を施した後、その上に下記の下引塗布液Aを用いて下引層aを、乾燥膜厚が0.2μmになるように塗設した。更に、もう一方の面に、同様に0.5kV・A・min/m2のコロナ放電処理を施した後、その上に下記の下引塗布液Bを用いて下引層bを、乾燥膜厚が0.1μmとなるように塗設した。その後、複数のロール群からなるフィルム搬送装置を有する熱処理式オーブンの中で、130℃にて15分熱処理を行った。
【0349】
(下引塗布液A)
ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(30/20/25/25%)の共重合体ラテックス液(固形分30%)270g、界面活性剤(UL−1)0.6g及びメチルセルロース0.5gを混合した。更に、シリカ粒子(サイロイド350:富士シリシア社製)1.3gを水100gに添加し、超音波分散機(ALEX Corporation社製:Ultrasonic Generator,周波数25kHz,600W)にて30分間分散処理した分散液を加え、最後に水で1000mlに仕上げて下引塗布液Aとした。
【0350】
(コロイド状酸化錫分散液の調製)
塩化第2錫水和物65gを、水/エタノール混合溶液2000mlに溶解して均一溶液を調製した。次いで、これを煮沸し、共沈殿物を得た。生成した沈殿物をデカンテーションにより取り出し、蒸溜水にて数回水洗した。沈殿物を洗浄した蒸溜水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈殿物に蒸溜水を添加し、全量を2000mlとする。更に、30%アンモニア水を40ml添加し、水溶液を加温して、容量が470mlになるまで濃縮してコロイド状酸化錫分散液を調製した。
【0351】
(下引塗布液B)
前記コロイド状酸化錫分散液37.5g、ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(20/30/25/25%)の共重合体ラテックス液(固形分30%)3.7g、ブチルアクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート(40/20/40%)の共重合体ラテックス液(固形分30%)14.8gと界面活性剤(UL−1)0.1gを混合し、水で1000mlに仕上げて下引塗布液Bとした。
【0352】
【化22】


【0353】
(バック面側塗布)
メチルエチルケトン(MEK)830gを撹拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製:CAP−482−20)86.9g及びポリエステル樹脂(Bostic社製:VitelPE2200B)4.5gを添加し、溶解した。次に溶解した液に、0.17gの赤外染料1、フッ素系活性剤−1の4.76gとフッ素系活性剤(ジェムコ社製:エフトップEF−105)1.78gを添加し、更にメタノール43.2gを添加し、溶解するまで十分に撹拌を行った。最後に、MEKに1%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散したシリカ粒子(富士シリシア社製:サイリシア450)を75g添加、撹拌してバック面側用の塗布液を調製した。
【0354】
【化23】


【0355】
フッ素系活性剤−1:C917O(CH2CH2O)22917
このように調製したバック面塗布液を、乾燥膜厚が3.5μmになるように押出しコーターにて、下引き層bを塗布した面上に、塗布・乾燥を行った。乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥した。
【0356】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製)
〈A1〉
アルカリ処理ゼラチン(平均分子量10万) 79.48g
化合物(A)(10%メタノール溶液) 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で 5429mlに仕上げる。
【0357】
〈B1〉
0.67モル/L硝酸銀水溶液 2635ml
〈C1〉
臭化カリウム 61.86g
ヨウ化カリウム 1.76g
水で 790mlに仕上げる。
【0358】
〈D1〉
臭化カリウム 185.82g
ヨウ化カリウム 5.29g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムK2[IrCl6]水溶液(1%溶液)
1.11ml
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムK4[Fe(CN)6]・3H2O水溶液(1%溶液) 9.1ml
水で 2378mlに仕上げる。
【0359】
〈E1〉
0.4N臭化カリウム水溶液 pAg制御量
〈F1〉
56%酢酸水溶液 10.0ml
〈G1〉
無水炭酸ナトリウム 1.16g
水で 151mlに仕上げる。
【0360】
化合物(A):ポリアルキレンオキサイドブロックコポリマー
HO(CH2CH2O)n−[CH(CH3)CH2O]17−(CH2CH2O)m
m+n=5〜7
(核発生工程)
特公昭58−58288号に示される混合撹拌機を用いて溶液39℃に撹拌保持した溶液〈A1〉に、溶液〈B1〉を流量138.7ml/分、及び溶液〈C1〉を流量132.6ml/分で、同時混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行った。この間、溶液〈E1〉によりpAg8.4に制御した。
【0361】
5分間、33℃で撹拌保持した後、
(成長工程)
溶液〈B1〉の残りを流量138.7ml/分、及び溶液〈D1〉を流量132.6ml/分で、同時混合法により14分15秒かけて添加した。混合中、溶液〈E1〉によりpAg8.4に制御し、反応溶液のpHは5.6で終始39℃に撹拌保持した。
【0362】
5分間撹拌しながら40℃にした後、
(脱塩工程)
溶液〈F1〉を全量添加し、撹拌を停止してハロゲン化銀粒子を沈降させた。沈降部分2000mlを残し上澄み液を取り除き、水を10L加え、撹拌後、再度撹拌を停止しハロゲン化銀粒子を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10L加え、撹拌後、再度撹拌を停止し、ハロゲン化銀粒子を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、
(再分散工程)
撹拌しながら、溶液〈G1〉を加え、60℃に昇温し、更に120分撹拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、仕上がり乳剤が銀1モル当たり1161.5gになるように水を添加した。
【0363】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.046μm、粒径の変動係数10%、[100]面比率93%、立方体形状のヨウ化銀2モル%のヨウ臭化銀粒子であった。
【0364】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤を含む粉末有機銀塩A−1の調製)
ベヘン酸233.8g、ステアリン酸21.8gを混合し、4720mlの純水中に投入し、80℃で溶解した。次に1.5モル/Lの水酸化カリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸塩カリウム溶液を得た。この有機酸カリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、純水450mlに45.3gの上記の感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1を溶解して添加し5分間撹拌した。次に1モル/Lの硝酸銀溶液702.6mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌し有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の有機銀塩を、流動層乾燥機で40℃にて質量減がなくなるまで流動乾燥を行い、感光性ハロゲン化銀粒子乳剤を含む粉末有機銀塩A−1を得た。
【0365】
(有機銀予備分散液の調製)
ポリビニルブチラール粉末(積水化学工業(株)製、エスレックB BL−SHPZ)48.58gをメチルエチルケトン(以下MEKと示す)1809gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて撹拌しながら、得られた粉末有機銀塩Y−1を500gを徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液1を調製した。
【0366】
(有機銀分散液の調製)
予備分散液1をポンプを用いてミル内滞留時間が10分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ製トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速13m/sにて分散を行なうことにより有機銀分散液1を調製した。
【0367】
(安定剤液の調製)
1.3gの安定剤1、0.40gの酢酸カリウムをメタノール20.7gに溶解し安定剤液を調製した。
【0368】
(赤外増感色素液の調製)
35.85mgの赤外増感色素1及び48.45mgの赤外増感色素2と、3gの2−クロロ−安息香酸、25.76gの安定剤2及び154mgの5−メチルー2−メルカプトベンズイミダゾールを161.7mlのMEKに暗所にて溶解し赤外増感色素液を調製した。
【0369】
(添加液aの調製)
134.13gの現像剤RD−21、1.74gのロイコ染料(YA−1)、10.95gの4−メチルフタル酸、及び0.53gの赤外染料−1をMEK824gに溶解し添加液aとした。
【0370】
(添加液bの調製)
13.3gのカブリ防止剤2と13.4gのフタラジンをMEK280.4gに溶解し添加液bとした。
【0371】
(添加液cの調製)
0.614gの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールをMEK54.36gに溶解し添加液cとした。
【0372】
(乳剤塗布液1の調製)
有機銀分散液1の2357.6gを乳剤調製釜内で撹拌しながら21℃に降温した。
【0373】
次いでカブリ防止剤1(10%メタノール溶液)26.8mlを加え、1時間撹拌した。更に臭化カルシウム(10%メタノール溶液)21.4mlを添加して20分撹拌した。続いて、安定剤液を添加して10分間撹拌した後、赤外増感色素液を添加して10分間撹拌し、添加液cを添加して50分間撹拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分撹拌した。13℃に保温したまま、ポリビニルブチラール樹脂粉末(積水化学工業(株)製エスレックB・BL−5)を500gを添加して30分撹拌した後、テトラクロロフタル酸(4.3質量%MEK溶液)43.85gを添加して15分間撹拌した。
【0374】
更に撹拌を続けながら、添加液a、111mlのDesmodurN3300/モーベイ社製の脂肪族イソシアネート(24%MEK溶液)、添加液bを順次添加し撹拌することにより、乳剤塗布液1を得た。
【0375】
【化24】


【0376】
【化25】


【0377】
(マット剤分散液の調製)
MEK123gに、富士シリシア化学(株)製サイリシア320:2.17gを添加し、ディゾルバ型ホモジナイザにて8000rpmで30分間分散しマット剤分散液を調製した。
【0378】
(表面保護層塗布液の調製)
MEK757gを撹拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、CAP141−20)106.6g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社、パラロイドA−21)4.32g、ビニルスルホン化合物(HD−1)1.79g、ベンゾトリアゾール1.46g、フッ素系活性剤((株)ネオマ製、フタージェント280M)3.9g、フッ素系活性剤((株)ジェムコ製、エフトップEF−105)0.26gを添加し溶解した。次にマット剤分散液を添加して撹拌し、表面保護層塗布液を調製した。
【0379】
【化26】


【0380】
次いでこの乳剤塗布液1と塗布表面保護層塗布液の粘度をMEK溶媒の量を調整することにより、それぞれ0.228Pa・s、0.184Pa・sとし、準絶対濾過精度20μmのフィルタに通して濾過後にエクストルージョン型ダイコーターのスリットより吐出させて積層して、上記した支持体上に同時重層塗布した。その8秒後に、乾燥温度75℃、露点温度10℃の熱風を用いて5分間乾燥後、環境温湿度23℃50%RH、張力196N/m(20kg/m)でロール状に巻き取ることにより塗布試料1を作製した。得られた塗布試料1の感光性層の塗布銀量1.20g/m2、表面保護層は乾燥膜厚で2.1μmであった。
【0381】
《感温性ポリマー1の合成》
滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付した重合装置に、ダイアセトンアクリルアミド(協和発酵(株)製)300g、ブレンマーPSE400※(日本油脂(株)製)50g、ブレンマーPME400※(日本油脂(株)製)50g、開始剤としてジラウリルパーオキシド0.5g、重合溶媒としてメチルエチルケトン500gを仕込み、85℃に加熱した。重合溶液が80℃になったところ、N−イソプロピルアクリルアミド600g、メチルエチルケトン500gの混合液を重合装置中に2時間かけて滴下し、さらに5時間反応させた。その後メチルエチルケトンを添加し冷却、ポリマー50質量%のポリマー溶液を得た。
【0382】
※ブレンマーPSE及びブレンマーPME400は、ポリエチレンオキシ基を側鎖に持つメタクリル酸エステルモノマーである。
【0383】
得られた合成ポリマーのLCSTを測定したところ22℃であった。
【0384】
(感光性層面側塗布試料の調製)
感温性ポリマー1をMEKに質量%で20%になるように25℃で溶解した。この感温性ポリマー溶液を上記乳剤塗布液1に93:7の比率で23℃にて混合し、乳剤塗布液2を得た。
【0385】
乳剤塗布液1と同様に乳剤塗布液2用いて塗布を行い、表1に示す塗布試料2を作製した。
【0386】
(露光及び現像処理)
上記のように作製した塗布試料の乳剤面側から、高周波重畳にて波長800nm〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザを発光源とした露光機によりレーザパワーをくさび様に段階的に変化させてレーザ走査による露光を与えた。この際に、塗布試料の露光面と露光レーザ光の角度を75度として画像を形成した。(なお、当該角度を90度とした場合に比べムラが少なく、且つ予想外に鮮鋭性等が良好な画像が得られた。)
その後ヒートドラムを有する自動現像機を用いて塗布試料の保護層とドラム表面が接触するようにして、123℃で13秒熱現像処理した。その際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。
【0387】
(センシトメトリー)
得られた画像濃度を濃度計で測定し、測定の結果は、横軸:露光量、縦軸:画像濃度からなる特性曲線を作成し、感度(カブリ濃度よりも1.0高い濃度を与える露光量の比の逆数)及びカブリ、最高濃度で評価し、結果を表1に示した。尚、感度は塗布試料1(塗布試料No.1)の感度を100とする相対値で示した。
【0388】
(保存安定性の評価)
経時保存安定性の代用試験として30℃、55%RHの雰囲気で30日間暗所保存した後、上記と同様に、露光、及び熱現像処理してセンシトメトリーと同様な方法で各試料を評価し、同様に結果を表1に示した。
【0389】
(画像保存性の評価)
23℃、50%RHにて10日間、試料を保存した後、上記感度、カブリの測定と同一方法で露光、現像を行った。次いで、熱現像を行った各試料を、下記に示す条件Aと条件Bとで、各々24時間静置したのち、放置後画像の光学濃度=1.0の部分を下記の方法で色相角の測定を行い、下式により条件Aにおける色相角に対する条件Bの色相角の変化率を求め、これを画像保存性の尺度とした。数値が小さいほど画像保存性に優れていることを表す。
【0390】
条件A:23℃、50%RHの暗所。
【0391】
条件B:45℃、50%RHの雰囲気に放置したシャウカステン上に静置。シャウカステンの光源は、蛍光灯で、照度は約9000ルクスであり、シャウカステン表面の温度を測定したところ、50℃〜55℃の範囲であった。
【0392】
変化率=条件Bにおける色相角/条件Aにおける色相角×100(%)
〈色相角の測定〉
色相角の測定は、熱現像後の各試料の光学濃度=1.0の部分を、CIEにより規定された常用光源D65の測色用の光源として2°視野で分光測色計CM−508d(ミノルタ(株)製)を用いて測定して求めた。
【0393】
この数値が20以下であればほぼ良好な保存色調であり、15以下ではかなり良好な保存色調であることを示す。
【0394】
以上により得られた結果を表1に示す。
【0395】
【表1】


【0396】
表1から、比較試料に対して本発明の塗布試料は、最高濃度が高く、保存安定性(経時カブリや最高濃度)、画像保存時の色調に優れていることが明らかである。
【0397】
実施例2
《感温性ポリマー2の合成》
滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付した重合装置に、ダイアセトンアクリルアミド(協和発酵(株)製)200g、ブレンマーPSE400※(日本油脂(株)製)100g、ブレンマーPME400※(日本油脂(株)製)100g、開始剤としてジラウリルパーオキシド0.5g、重合溶媒としてメチルエチルケトン500gを仕込み、85℃に加熱した。重合溶液が80℃になったところ、N−イソプロピルアクリルアミド600g、メチルエチルケトン500gの混合液を重合装置中に2時間かけて滴下し、さらに5時間反応させた。その後メチルエチルケトンを添加し冷却、ポリマー50質量%のポリマー溶液を得た。
【0398】
得られた合成ポリマーのLCSTを測定したところ33℃であった。
【0399】
<ゼラチン架橋感温性ポリマーの調製>
アルカリ処理ゼラチン(平均分子量10万)の5.5%水溶液を30℃に調整し、同じく30℃に温度調整した感温性ポリマー2をアルカリ処理ゼラチンに対し1対1の質量比になるように添加し20分間混合した。ここに架橋剤1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩を1ミリモル添加して45℃に昇温して10分間攪拌してゼラチン架橋感温性ポリマーを得た。
【0400】
<感温性ポリマー含有感光性ハロゲン化銀乳剤T−1の調製>
実施例1で作製した感光性ハロゲン化銀乳剤1にゼラチン量で質量比で7対3の比率になるように上記ゼラチン架橋感温性ポリマーを感光性ハロゲン化銀乳剤に35℃で30分間30分間攪拌混合して、感温性ポリマー含有感光性ハロゲン化銀乳剤T−1を得た。
【0401】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤を含む粉末有機銀塩A−2の調製)
ベヘン酸233.8g、ステアリン酸21.8gを混合し、4720mlの純水中に投入し、80℃で溶解した。次に1.5モル/Lの水酸化カリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸塩カリウム溶液を得た。この有機酸カリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、実施例1の粉末有機銀塩A−1に添加した感光性ハロゲン化銀粒子乳剤の銀量と同量となるように上記ゼラチン架橋感温性ポリマー含有感光性ハロゲン化銀粒子乳剤を添加し5分間撹拌した。次に1モル/Lの硝酸銀溶液702.6mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌し有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の有機銀塩を、流動層乾燥機で40℃にて質量減がなくなるまで流動乾燥を行い、感光性ハロゲン化銀粒子乳剤を含む粉末有機銀塩A−2を得た。
【0402】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤2の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフェニルカルバモイル(以後:PCと記す)化ゼラチン(PC化率99%、平均分子量10万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤2を調製した。
【0403】
この乳剤は平均粒子サイズ(球相当径)0.046μm、粒子サイズの変動係数10%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0404】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤3の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフタル化ゼラチン(フタル化率99%、平均分子量10万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤3を調製した。
【0405】
<感温性ポリマー含有感光性ハロゲン化銀乳剤T−2、T−3の調製>
上記感光性ハロゲン化銀粒子乳剤2,及び3に、それぞれ上記感温性ポリマー2を含有するゼラチン架橋感温性ポリマーを同様な方法で添加混合し、感温性ポリマー含有感光性ハロゲン化銀乳剤T−2、及びT−3を得た。
(有機銀分散液2〜4の調整)
次に上記乳剤T−2、T−3を使用して、上記粉末有機銀塩A−2と同様な方法でそれぞれ粉末有機銀A−3、A−4を調製した。
【0406】
続いて実施例1と同様に粉末有機銀塩A−2〜A−4、それぞれについて有機銀予備分散液2〜4、引き続いて有機銀分散液2〜4を調製した。
【0407】
(乳剤塗布液3〜5の調製)
上記実施例1の乳剤塗布液の調製方法において、有機銀分散液2〜4を用いて、実施例1と同様な調製方法で乳剤塗布液3〜5を得た。
【0408】
更に、実施例1と全く同様な、マット剤分散液、表面保護層分散液を使用して、実施例1と全く同様な方法で支持体に感光性層面側塗布を行い塗布試料3〜5を得た。
【0409】
得られた試料3〜5を実施例1と同様な方法で、露光、現像し、センシトメトリー、保存安定性、画像保存性を評価した。
【0410】
結果を表2に示す。
【0411】
【表2】


【0412】
表2から、比較試料に対して本発明の塗布試料は、最高濃度が高く、保存安定性(経時カブリや最高濃度)、画像保存時の色調に優れていることが明らかである。
【0413】
実施例3
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤4の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをアルカリ処理ゼラチン(平均分子量9万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤4を調製した。
【0414】
この乳剤は平均粒子サイズ(球相当径)0.046μm、粒子サイズの変動係数10%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0415】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤5の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをアルカリ処理ゼラチン(平均分子量7万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤5を調製した。
【0416】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.046μm、粒径の変動係数10%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0417】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤6の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをアルカリ処理ゼラチン(平均分子量5万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤6を調製した。
【0418】
この乳剤は平均粒子サイズ(球相当径)0.046μm、粒子サイズの変動係数11%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0419】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤7の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをアルカリ処理ゼラチン(平均分子量3万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤7を調製した。
【0420】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.047μm、粒径の変動係数12%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0421】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤8の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをアルカリ処理ゼラチン(平均分子量1万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤8を調製した。
【0422】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.048μm、粒径の変動係数15%、[100]面比率90%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0423】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤9の調製)
感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフェニルカルバモイル化ゼラチンからフタル化ゼラチン(フタル化率99%、平均分子量9万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤9を調製した。
【0424】
この乳剤は平均粒子サイズ(球相当径)0.046μm、粒子サイズの変動係数10%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0425】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤10の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフェニルカルバモイル化ゼラチンからフタル化ゼラチン(フタル化率99%、平均分子量7万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤10を調製した。
【0426】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.046μm、粒径の変動係数10%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0427】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤11の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフェニルカルバモイル化ゼラチンからフタル化ゼラチン(フタル化率99%、平均分子量5万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤11を調製した。
【0428】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.046μm、粒径の変動係数10%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0429】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤12の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフェニルカルバモイル化ゼラチンからフタル化ゼラチン(フタル化率99%、平均分子量3万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤12を調製した。
【0430】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.047μm、粒径の変動係数12%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0431】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤13の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフェニルカルバモイル化ゼラチンからフタル化ゼラチン(フタル化率99%、平均分子量1万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤13を調製した。
【0432】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.048μm、粒径の変動係数15%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0433】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤14の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフェニルカルバモイル化ゼラチンからフタル化ゼラチン(フタル化率90%、平均分子量7万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤14を調製した。
【0434】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.046μm、粒径の変動係数10%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0435】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤15の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフェニルカルバモイル化ゼラチンからフタル化ゼラチン(フタル化率70%、平均分子量7万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀乳剤15を調製した。
【0436】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.046μm、粒径の変動係数10%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0437】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤16の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフェニルカルバモイル化ゼラチンからフタル化ゼラチン(フタル化率45%、平均分子量7万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤16を調製した。
【0438】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.046μm、粒径の変動係数10%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0439】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤17の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフェニルカルバモイル化ゼラチンからフタル化ゼラチン(フタル化率30%、平均分子量7万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤17を調製した。
【0440】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.046μm、粒径の変動係数10%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0441】
(感光性ハロゲン化銀粒子乳剤18の調製)
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製工程において、溶液〈A1〉に加えるゼラチンをフェニルカルバモイルゼラチンからフタル化ゼラチン(フタル化率20%、平均分子量7万)同量の79.48gに変更した以外は全く同じにして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤18を調製した。
【0442】
この乳剤は平均粒径(球相当径)0.046μm、粒径の変動係数10%、[100]面比率92%の立方体ヨウ臭化銀粒子であった。
【0443】
(粉末有機銀塩Y−1の調製)
図1に示すような混合装置を用いて有機銀塩粒子を調製した。
【0444】
添加液1用調製釜(図中No.11)に4720mlの純水を入れ、攪拌しながらベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gを80℃で溶解した。次に1.5Mの水酸化カリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、58℃に冷却して有機酸カリウム溶液を得た。その後有機酸カリウム溶液の温度は58℃に保った。
【0445】
添加液2用調製釜(図中No.12)で、純水に硝酸銀を溶解し、0.25Mの硝酸銀溶液2810.4mlを調製し、58℃で恒温した。
【0446】
次いで、図中No.17の静的混合装置(供給管と排出管の内径3.0mm)へ、添加液1用調製釜の有機酸カリウム溶液、及び添加液2用調製釜の硝酸銀水溶液を同時にそれぞれ低速流量で5分間で送液し、静的混合装置内で混合し、有機銀塩を調製した。生成した有機銀塩は、生成液貯留釜(図中No.19)に低速で攪拌しながら30℃に恒温しながら貯留した。
【0447】
その後、得られた有機銀塩を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて撹拌後、静置させて有機銀塩を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、流動層乾燥機で40℃にて質量減がなくなるまで流動乾燥を行い、粉末有機銀塩Y−1を得た。
【0448】
《感温性ポリマー3の合成》
滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付した重合装置に、ダイアセトンアクリルアミド(協和発酵(株)製)200g、ブレンマーPSE400※(日本油脂(株)製)50g、ブレンマーPME400※(日本油脂(株)製)100g、開始剤としてジラウリルパーオキシド0.5g、重合溶媒としてメチルエチルケトン500gを仕込み、85℃に加熱した。重合溶液が80℃になったところ、N−イソプロピルアクリルアミド650g、メチルエチルケトン500gの混合液を重合装置中に2時間かけて滴下し、さらに5時間反応させた。その後メチルエチルケトンを添加し冷却、ポリマー50質量%のポリマー溶液を得た。
【0449】
得られた合成ポリマーのLCSTを測定したところ35℃であった。
【0450】
(MEK中分散感光性ハロゲン化銀粒子乳剤B−1の調製)
上記感温性ポリマー3を8質量部に対し、メタノールを62質量部添加し、反応釜内で40℃で30分攪拌した。この反応釜に40℃で溶解した感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1を30質量部添加し、さらに40℃で30分攪拌した。次いでこの反応釜内の感光性ハロゲン化銀粒子乳剤分散物の温度を18℃まで降温し、18℃のまま10分間攪拌したのち、攪拌を停止し20分間静置した。
【0451】
20分の静置の間に、感光性ハロゲン化銀粒子乳剤分散物が沈降し、上澄み液を除去した。
【0452】
次に反応釜内の沈降物を攪拌しながら温度を45℃まで上昇させ、架橋剤1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩を1ミリモル添加して45℃のまま更に10分間攪拌した。
【0453】
更にメチルエチルケトン(MEK)で2倍希釈し36℃に恒温しながら、減圧膜分離により更に水分を除去し、MEK中分散感光性ハロゲン化銀粒子乳剤B−1を得た。
【0454】
次にB−1の調製方法と同様にして、感光性ハロゲン化銀粒子乳剤1の代わりに、感光性ハロゲン化銀粒子乳剤2〜18に変更したMEK中分散液をそれぞれ調製し、MEK中分散感光性ハロゲン化銀粒子乳剤B−2〜B−18を得た。
【0455】
実施例1における乳剤塗布液1に上記分散液B−1を分散液中のハロゲン化銀粒子と上記有機銀分散液との銀量比が94:6=有機銀:ハロゲン化銀となる量を添加し、10分間高速攪拌して乳剤塗布液6を得た。
【0456】
同様に分散液B−1の代わりに、分散液B−2〜B−18を同様に添加した以外は、上記乳剤塗布液6と同様にして、乳剤塗布液7〜23得た。
【0457】
更に、実施例1と全く同様な、マット剤分散液、表面保護層分散液を使用して、実施例1と全く同様な方法で支持体に感光性層側塗布を行い塗布試料6〜23を得た。
【0458】
得られた試料6〜23を実施例1と同様な方法で、露光、現像し、センシトメトリー、保存安定性、画像保存性を評価した。
【0459】
結果を表3に示す。
【0460】
【表3】


【0461】
表3から、比較試料に対して本発明の塗布試料は、最高濃度が高く、保存安定性(経時カブリや最高濃度)、画像保存時の色調に優れていることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0462】
【図1】本発明に係る有機銀塩製造装置の例を示す図
【符号の説明】
【0463】
11 添加液1用調製釜
12 添加液2用調製釜
13 添加液1用流量検知器
14 添加液1用定量ポンプ
15 添加液2用流量検知器
16 添加液2用定量ポンプ
17 静的混合装置
18 熱交換器
19 生成液貯留釜
20 恒温水循環ジャケット




 

 


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