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発明の名称 有機酸金属塩粒子の製造方法及び該有機酸銀塩粒子を用いた銀塩光熱写真ドライイメージング材料と画像形成方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−139940(P2007−139940A)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
出願番号 特願2005−331302(P2005−331302)
出願日 平成17年11月16日(2005.11.16)
代理人
発明者 藤倉 和彦 / 伊藤 聡
要約 課題
カブリの発生が少ない優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料用有機酸銀塩粒子を製造し得る製造方法を提供する。さらに、当該有機酸銀塩粒子を用いた銀塩光熱写真ドライイメージング材料と画像形成方法を提供する。

解決手段
有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液と該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液との少なくとも2液を同時計量混合する有機酸金属塩粒子の製造方法において、該2液を混合装置に導入する際の液温が該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液については60℃以上80℃以下であり、該有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液については30℃以上60℃以下であり、且つ該2液の導入時の温度差が0℃以上50℃以下であることを特徴とする有機酸金属塩粒子の製造方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液と該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液との少なくとも2液を同時計量混合する有機酸金属塩粒子の製造方法において、該2液を混合装置に導入する際の液温が該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液については60℃以上80℃以下であり、該有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液については30℃以上60℃以下であり、且つ該2液の導入時の温度差が0℃以上50℃以下であることを特徴とする有機酸金属塩粒子の製造方法。
【請求項2】
前記有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液を高温(70℃〜100℃)から低温(30℃〜60℃)へ急冷して混合装置に導入することを特徴とする請求項1に記載の有機酸金属塩粒子の製造方法。
【請求項3】
前記急冷をオンライン熱交換器を用いて行うことを特徴とする請求項2に記載の有機酸金属塩粒子の製造方法。
【請求項4】
混合排出管の軸と複数の供給管の軸とが1箇所において交差し、交差点において軸が一致するように該混合排出管及び該供給管が接続された静的混合装置を有する製造装置を用いて前記同時計量混合が行われることを特徴とする請求項1に記載の有機酸金属塩粒子の製造方法。
【請求項5】
前記有機酸が脂肪酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機酸金属塩粒子の製造方法。
【請求項6】
支持体上に、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオン還元剤、バインダー及び請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機酸金属塩粒子の製造方法で製造された有機酸銀塩粒子を含有する感光性層を有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【請求項7】
デジタル画像情報に基づく画像形成方法において、請求項6に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を用いて銀画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機酸銀塩粒子の製造方法に関し、特に銀塩光熱写真ドライイメージング材料(光熱写真ドライイメージング材料、光熱写真感光材料、熱現像感光材料、単に熱現像材料又は感光材料ともいう。)に含有される非感光性有機酸銀塩粒子の製造方法及び当該有機酸銀塩粒子を用いた銀塩光熱写真ドライイメージング材料と画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージング(画像形成)材料は、センシトメトリー特性、画質特性、取り扱いの簡便性等の性能はもちろんのこと、近年、安全性、環境保全等を全て満足させることが要望されている。特に、現像処理廃液の海洋投棄が全面的に禁止されたことから、医療や印刷製版の分野でもウェット処理からドライ処理へのニーズの高まりが顕著となってきた。
【0003】
一方、医療分野では、近年の医療情報のデジタル化により、医療診断用画像はMRI(magnetic resonance imaging)、CT(computed tomography)、CR(computed radiography)等の手法が主流となり、画像出力には各種方式の医療画像用ドライイメージャシステムが使用されてきている。また、印刷製版の分野でも、同様なデジタル化とドライ化が進展している。
【0004】
上記のような社会・市場動向に伴い、レーザ・イメージャーやレーザ・イメージセッターのような効率的な露光が可能で、かつ高解像度で鮮明な画像を形成することができる光熱写真ドライイメージング材料の重要性が増し、当該材料の一層の改良技術が必要とされてきている。
【0005】
上記光熱写真ドライイメージング材料に係る技術として、例えば、D.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による米国特許第3,152,904号、同3,487,075号又はD.H.クロスタベール(Klosterboer)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Materials)」(Handbook of Imaging Materials,Marcel Dekker,Inc.第48頁、1991)等に記載されているように、支持体上に非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び銀イオン還元剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料が知られている。この銀塩光熱写真ドライイメージング材料では、現像処理に置いて、溶液系処理薬品を一切使用しないため、より簡便で環境を損なわないシステムをユーザーに提供することができる利点を有している。
【0006】
これらの銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、感光性層中に設置された感光性ハロゲン化銀粒子を光センサーとし、有機銀塩を銀イオンの供給源とし、内蔵された還元剤によって通常80〜140℃にて熱現像することにより画像を形成させ、定着を行わないことを特徴としている。
【0007】
しかしながら、銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤を含有するため、熱現像前の保存期間にカブリが生じ易い。また、露光後、通常80〜140℃で熱現像するだけで定着を行わないため、熱現像後においても、ハロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤等の全部あるいは一部が残留するため、長期間の保存過程で、熱や光により金属銀が生じ、銀画像の色調等、画質が変化し易いという問題がある。
【0008】
ところで、上記銀塩光熱写真ドライイメージング材料に非感光性銀源として用いられる有機銀塩は基本的に脂肪族カルボン酸を水中苛性アルカリもしくはアルカリ金属塩を加えアルカリセッケンとし、その後、当該アルカリセッケンを銀セッケン(有機銀塩)に換えるため硝酸銀を加えることにより調製される(例えば、特許文献1参照)。また、濃縮効果及び均一性を高めるためアルコールを加えることもある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
アルカリセッケンは、アルカリ性のため銀セッケンは高pH条件下で作られることになる。ところが、硝酸銀をアルカリ液中に添加することは、副生成物として酸化銀を生じさせ、さらに、意図しない銀核も生じさせることになる。このような副生成物は銀塩光熱写真ドライイメージング材料の性能、特にカブリを生じる点で不利である。
【0010】
上記の問題を解決する有機酸銀塩粒子の形成方法及び装置として、特開2001−33907号公報、特開2001−83652号公報、特開2001−31870号公報には密閉混合手段を用いたものが開示されている。しかしながら、これらの手段はある程度の効果を発現するものの、当該密閉混合手段は内部に撹拌手段を有しており、そのため、構造が複雑になり、微視的に見た場合には、液の滞留等の問題を無視することができない。密閉式の連続混合方式では、液の滞留は、有機酸銀塩粒子の粒径や分布を乱す要因になるばかりでなく、滞留した粒子が高濃度の銀イオンにさらされることにより、カブリの上昇という問題も引き起こす。
【0011】
一方、有機銀塩を用いて銀塩光熱写真材料を作製するためには、有機銀塩をバインダー中に分散させ、塗膜を形成する必要がある。この場合、通常のハロゲン化銀に比べ、造膜性や塗布性に関する問題が多く発生することが知られている。これは、モルあたりの占める体積が多い脂肪酸の銀塩はバインダーに占める割合が多いためであると考えられている。現状では、バインダー比を増やすことで対処する方法が知られているが、その結果、写真性能に影響を及ぼすなどの弊害も多く抱えていた。造膜性については、特開2001−163890号公報に銀イオン溶液と脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩溶液の添加量条件で開示されているが塗布性については解決されていない。塗布性に関しては、濃度ムラの問題が大きく医療診断上において致命的であり早期の解決が望まれている。
【0012】
また、特開2003−43607号公報には、マイクロミキサーを用いた有機酸銀塩粒子の製造方法が開示されている。前記マイクロミキサーは、内部に撹拌手段を有さない静的混合であり、具体的には、微小流路内を層流状態で行う装置である。層流は流体の各粒子が流れ方向に向かってすべて平行に動く流れを言い、そのため、添加液を低濃度しないかぎり均一な状態で核を生成することができない。したがって、有機酸銀塩粒子の粒径分布が悪くなり、カブリ上昇の問題もある。また、添加液の低濃度化、微小流路内に添加液を送って層流にするため生産性も悪くなる。特開2005−157190号公報には静的混合装置を用いた有機酸銀塩粒子の製造方法が開示されている。前記静的混合装置を用いることにより、連続的に粒子を形成し且つ、単分散で低カブリな有機酸銀塩粒子を得られるが、更なる性能向上が求められている。
【特許文献1】特開2000−143578号公報
【特許文献2】特開2000−7683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カブリの発生が少ない優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料用有機酸銀塩粒子を製造し得る製造方法を提供することにある。また、当該有機酸銀塩粒子を用いた銀塩光熱写真ドライイメージング材料と画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
【0015】
1.有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液と該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液との少なくとも2液を同時計量混合する有機酸金属塩粒子の製造方法において、該2液を混合装置に導入する際の液温が該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液については60℃以上80℃以下であり、該有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液については30℃以上60℃以下であり、且つ該2液の導入時の温度差が0℃以上50℃以下であることを特徴とする有機酸金属塩粒子の製造方法。
【0016】
2.前記有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液を高温(70℃〜100℃)から低温(30℃〜60℃)へ急冷して混合装置に導入することを特徴とする前記1に記載の有機酸金属塩粒子の製造方法。
【0017】
3.前記急冷をオンライン熱交換器を用いて行うことを特徴とする前記2に記載の有機酸金属塩粒子の製造方法。
【0018】
4.混合排出管の軸と複数の供給管の軸とが1箇所において交差し、交差点において軸が一致するように該混合排出管及び該供給管が接続された静的混合装置を有する製造装置を用いて前記同時計量混合が行われることを特徴とする前記1に記載の有機酸金属塩粒子の製造方法。
【0019】
5.前記有機酸が脂肪酸であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機酸金属塩粒子の製造方法。
【0020】
6.支持体上に、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオン還元剤、バインダー及び前記1〜5のいずれか1項に記載の有機酸金属塩粒子の製造方法で製造された有機酸銀塩粒子を含有する感光性層を有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0021】
7.デジタル画像情報に基づく画像形成方法において、前記6に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を用いて銀画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明の構成により、カブリの発生が少ない優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料用有機酸銀塩粒子を製造し得る製造方法を提供すること及び当該有機酸銀塩粒子を用いた銀塩光熱写真ドライイメージング材料と画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の有機酸金属塩粒子の製造方法は、有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液と該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液との少なくとも2液を同時計量混合する有機酸金属塩粒子の製造方法において、該2液を混合装置に導入する際の液温が該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液については60℃以上80℃以下であり、該有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液については30℃以上60℃以下であり、且つ該2液の導入時の温度差が0℃以上50℃以下であることを特徴とする。
【0024】
以下、本発明と本発明の構成要素等について説明する。
【0025】
(有機酸金属塩粒子の製造方法)
本発明に係る有機酸金属塩は、有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液と該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液を、前記特定条件下で、混合することにより製造することを特徴とする。
【0026】
なお、ここで、「溶液」とは、水、有機溶媒、又は水と有機溶媒との混合物を溶媒とする溶液を意味する。
【0027】
本発明に係る「有機酸」とは、酸性を示す有機化合物をいう。例えば、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、フェノール、エノール、チオール、酸イミド、オキシム、スルホンアミドなど酸性の官能基をもつ化合物が挙げられる。これらのうち、本発明においては、カルボン酸が好ましい。特に、脂肪族カルボン酸、即ち、脂肪酸が好ましい。更には、長鎖脂肪族カルボン酸が好ましく、炭素数は、好ましくは10〜30,より好ましくは10〜26である。
【0028】
本発明に係る有機酸は、単一組成または混合組成のどちらでも良い。混合組成の場合には、混合物中に占める主組成の割合は好ましくは80mol%以上、より好ましくは90mol%以上である。
【0029】
本発明に係る有機酸のアルカリ金属塩を形成するためのアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びフランシウムが挙げられる。これらのうち、ナトリウム及びカリウムが好ましい。特に好ましいのは、カリウムである。
【0030】
有機酸アルカリ金属塩は、有機酸にNaOH、KOH等を添加することによって調製される。このとき、アルカリの量を有機酸の等量以下にして、未反応の有機酸を残存させることが好ましい。この場合の、残存有機酸量は全有機酸に対し1〜50mol%であることが好ましく、より好ましくは1〜30mol%である。または、アルカリを所望の量以上に添加した後に、硝酸、硫酸等の酸を添加し、余剰のアルカリ分を中和することによって調製してもよい。
【0031】
なお、本発明に係る有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液の濃度は、好ましくは0.1〜30質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
【0032】
本発明に係る有機酸金属塩とは、交換反応で上記の有機酸のアルカリ金属塩のアルカリ金属を遷移金属や典型金属等の金属で交換した有機酸金属塩を意味する。例えば、有機酸銀塩、有機酸金塩、有機酸亜鉛塩、有機酸ニッケル塩等が挙げれる。これらのうち、本発明の製造方法は、有機酸銀塩、特に、脂肪酸銀塩の製造に、好ましく適用され得る。
【0033】
有機酸金属塩生成反応に使用される有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液と金属塩溶液それぞれの溶液の粘度が十分小さく、同じような粘度を有すること(好ましくは1mPa・s以上10mPa・s以下)が好ましい。このような条件を満たすことにより、上記反応液の混合性が向上し、単分散/カブリ低減した粒子形成が可能となる。
【0034】
なお、有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液は、実用的な濃度範囲で十分粘度が小さい(1〜5mPa・s程度)が、有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液は、生産性を考慮した実用的な濃度では粘度が高くなってしまう(30〜300mPa・s)。
【0035】
有機酸アルカリ金属塩の溶媒として有機溶媒または水と有機溶媒の混合物を用いることである程度の粘度低下は可能だが環境上好ましくない。また、一般的には、有機酸アルカリ金属塩溶液は結晶化、固化の現象を避けるために60℃以上に保つことが有効と考えられている(例えば、特開2001−33907号公報参照)。
【0036】
しかしながら、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、脂肪酸及び脂肪酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液を高温(70℃〜100℃)から低温(30℃〜60℃)へ急冷することで結晶化、固化することなく、粘度を低下させることが可能であることを見出し、本発明に至った。
【0037】
(有機酸金属塩の製造装置)
以下において、本発明に係る有機酸金属塩の典型例として、有機酸銀塩粒子、特に脂肪酸銀塩粒子の製造方法と装置について詳しく説明するが、本発明は以下に説明する実施の形態に限定されない。
【0038】
本発明の製造方法では、銀イオン含有溶液と有機酸アルカリ金属塩溶液とを用いて有機酸銀塩粒子を製造する装置において、当該銀イオン含有溶液の調製タンクと当該有機酸アルカリ金属塩溶液の調製タンクから各々の溶液が定量供給装置を通して同時定量供給される静的混合装置を有することを特徴とする構成にすることによって、粒径分布が単分散であり、かつカブリの発生が少なく、塗布性に優れた有機酸銀塩粒子が製造し得る製造装置を提供できる。
【0039】
有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液と金属塩溶液の各液を均一に混合することが望ましい。各液の混合方法はバッチ式、連続式、外部循環混合等どのような方法でもよいが、単分散、小粒径という観点からは連続式が好ましい。
【0040】
連続式混合装置としては、混合装置内部に撹拌機を有する動的混合装置と撹拌機のない静的混合装置が挙げられるが、混合装置内部に余計なデッドスペースなどがない静的混合装置が好ましい。特に、混合排出管の軸と複数の供給管の軸とが1箇所において交差し、交差点において軸が一致するように該混合排出管及び該供給管が接続された静的混合装置を有する製造装置を用いて同時計量混合することが好ましい。
【0041】
通常の混合釜を用いた撹拌装置の場合、発生した核が循環して戻ってくるため、核発生時間中に均一な状態で核を生成する事ができないのに対し、本発明では、静的混合装置へ所望の量に添加液を制御し、且つ発生した核を直ちに排出管により排出するため、定常状態での核生成を可能にする。ここで、静的混合装置とは、複数の反応溶液を混合する際、当該複数の溶液が互いに初めて接触し混合される初期の期間において、攪拌装置により物理的攪拌を意図的にせずに、混合する装置をいう。また、静的混合装置へ添加する所望の量とは混合が乱流状態で行なわれる量である。乱流とは流体の各粒子が流れの主流以外の方向にも分速度を持ち、その大きさを絶えず変化させながら流れる乱れを言う。
【0042】
有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液と該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液は、それぞれ設計処方にあわせて同時計量添加されることが望ましい。連続的な液の計量方法としては、体積を検知する方法、あるいは質量を検知する方法などが挙げられるが、液の温度変動にともなう体積変化の影響を受けない質量検知方法が好ましい。
【0043】
ここで、同時計量とは、有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液と該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液の各々のうち、少なくとも50%以上が同時に計量添加されることであり、同時計量される量は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
【0044】
本発明を実施するための有機酸金属塩の調製装置の概念図を図1〜3に示す。ここでは、主に図1をもって説明する。
【0045】
なお、銀イオン含有溶液及び有機酸アルカリ金属塩溶液のいずれか一方を添加液1用調製タンクで調製し、他方を添加液2用調製タンクで調製する。
【0046】
図1中の各々の調製タンク11及び12にて調製された添加液1及び2をポンプ13及び15により静的混合装置18に定量供給し、有機酸銀塩粒子を生成させる。本発明では静的混合装置内の温度が35℃以上70℃以下である条件下で、銀イオン含有溶液と有機酸アルカリ金属塩溶液若しくは懸濁液を混合することが好ましい。好ましくは40℃以上65℃以下であり、より好ましくは40℃以上60℃以下である。混合温度が低すぎると静的混合装置内での反応を抑制し、温度が高すぎると副反応を促進させてしまうからである。
【0047】
なお、本発明においては、上記条件を満たすために、混合装置に導入する際の混合直前の液温が当該有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と交換反応可能な金属イオンを含有する金属塩溶液については60℃以上80℃以下であり、当該有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液については30℃以上60℃以下であり、且つ該2液の導入時の温度差が0℃以上50℃以下である条件下で調製することを特徴とする。さらに、当該有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液を高温(70℃〜100℃)から低温(30℃〜60℃)へ急冷して混合装置に導入することを特徴とする。
【0048】
なお、有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液の粘度調整等のための冷却は、所望する冷却速度の確保が可能であればどのような方法であっても良い。具体的な方法としては、撹拌機のついた釜で液を撹拌しながら釜のジャケットに冷媒を通して冷却する方法、液を熱交換器に流して冷却する方法、あるいは両者の組合せなどであるが、より効率的な冷却という点では、図1に示したようなオンライン熱交換器17を用いる方法が好ましい。熱交換器によるオンラインの降温を行うことで、降温時間が短縮し、生産性向上のメリットもある。
【0049】
熱交換器の具体例としては、例えば多管円筒型熱交換器、ヒートパイプ型熱交換器、二重管式熱交換器、コイル式熱交換器、カスケード式熱交換器、プレート式熱交換器、渦巻き板式熱交換器、水冷熱交換器を使用することができる。その中でも好ましいのは二重管タイプあるいは二重管+スタティックミキサータイプである。
【0050】
なお、本発明においては、前記有機酸及び有機酸アルカリ金属塩の溶液または懸濁液を高温(70℃〜100℃)から低温(30℃〜60℃)へ1℃/min以上1000℃/min以下の冷却速度で冷却することが好ましい。更には、冷却速度が、5℃/min以上、特に10℃/min以上1000℃/min以下であることがより好ましい。
【0051】
一方、本発明の有機酸銀塩粒子の生成をより安定させるため、供給する液量を流量検知機16で検知し、検知結果を添加液2用ポンプ15にフィードバックして供給流量をコントロールする。同様に供給する液量を流量検知機14で検知し、検知結果を添加液1用ポンプ13にフィードバックして供給流量をコントロールする。反応に供する2液の流量を同時にコントロールすることにより、一定の反応場を維持して副反応を抑制することができる。流量検知手段の具体例としては、定量供給装置と静的混合器の間に設けられた流量計あるいは、圧力計、及び調製タンクに設けられた質量検知手段が挙げられる。
【0052】
なお、上記図1〜3には示していないが、混合後の生成した粒子を含む懸濁液は熱交換器によって連続的に冷却し粒子成長を抑制することも好ましい。これによりオストワルド熟成による粒子成長を抑制できる。
【0053】
静的混合装置の混合後の混合排出管の内径については管の内径が1mmより小さいと、送液速度が低く、混合が十分でないとともに、生産性が低くなる。管の内径が100mmを超えると均一な混合を行うことが困難になる。
【0054】
本発明に係る製造装置は、混合排出管の軸と複数の供給管の軸とが1箇所において交差し、交差点において軸が一致するように当該混合排出管及び供給管が接続された静的混合装置を有する製造装置であることが好ましいが、ここで、混合排出管の軸と複数の供給管の軸とが1箇所において交差し、交差点において軸が一致するとは、全ての管の軸が1箇所に集結し、1つの交差点において軸が一致するという言う望ましい態様に限られず、接続される管の内の最も太い管の内径の10%以内の軸間ずれがあるものが含まれる態様をいい、この範囲であれば、本発明の効果が得られる。
【0055】
硝酸銀溶液と有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液を混合し有機酸銀塩の核を発生させた時点における有機酸銀塩粒子の銀量は、粒子の単分散性に大きな影響を与える。そのため、硝酸銀溶液と有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液を混合し有機酸銀塩の核を発生させた時点における銀量が0.0001mol/L〜0.01mol/L以下であることが好ましく、上限は、0.008mol/L以下であることが特に好ましく、0.005mol/L以下であることが最も好ましい。
【0056】
本発明において、硝酸銀溶液と有機酸アルカリ金属塩を混合し有機酸銀塩の核を発生させる場合に用いるポンプは、脈動流がないことが重要である。ポンプの脈動が大きい場合、硝酸銀溶液と有機酸アルカリ金属塩の両液が混合する部分の過飽和度は周期的に大きく変動し、それにより発生した核は不均一なものとなってしまう。これは、製造される粒子の単分散性を著しく損なうものとなる。このため、使用するポンプの脈動流が平均流量の±2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることが更に好ましく、0.5%であることが特に好ましい。
【0057】
本発明においては、流量を1秒単位で測定し、その相加平均を平均流量とし、その瞬間的な流量の変動値=(最大値−最小値)/平均流量が4%を超えないことが好ましい。
【0058】
本発明において、反応装置内の混合は特に制限はないが、逆流を防いだり、より均一に混合させる意味では、実質的に乱流であることが好ましい。乱流は、レイノルズ数(Re)の範囲により定義される。ここに、レイノルズ数とは、流体と接する流れの中にある物体の代表的長さをD、速度をU、密度をρ、粘性率をηとすると、Re=DUρ/ηによって定義される無次元数である。
【0059】
一般に、Re<2100の時を層流、2100<Re<4000を遷移域、Re>4000の時を乱流という。本発明において、実質的に乱流とは、Re>4000をさし、好ましくはRe>5000、より好ましくはRe>10000である。
【0060】
特に、前記混合排出管内でのレイノルズ数が、上記のように、4,000以上であることが、有機酸銀塩粒子の粒径の単分散性、カブリ等の観点から好ましい。
【0061】
なお、前記混合排出管から排出された混合液の25℃における銀イオン指数(pAg)が3.5以上5.0以下であることが、カブリの発生低減の観点から好ましい。ここで、銀イオン指数とは、pAg=−log〔Ag+〕で定義される量である。ここで、〔Ag+〕は、特定温度での、溶液中の銀イオン濃度(mol・dm-3)を表す。
【0062】
本発明に係る有機酸銀塩製造装置を用いて、有機酸銀塩粒子の球相当平均直径が0.1μm〜0.6μmである有機酸銀塩粒子を当該球相当平均直径の変動係数が25%以下で製造することができ、かつ、本発明に係る有機酸銀塩粒子を銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いたときにカブリの発生を低減することができる。
【0063】
(有機酸銀塩粒子)
以下において、本発明に係る有機酸金属塩の典型例として、有機酸銀塩粒子、特に、脂肪酸銀塩粒子、及びその製造方法等について更に詳しく説明する。
【0064】
本発明に係る有機酸銀塩粒子(以下、「有機酸銀塩」若しくは単に「有機銀塩」ともいう。)は、種々の目的・用途に用いることができるが、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いる場合には、銀画像を形成するための銀イオンを供給する供給源として機能し得る非感光性の有機酸銀塩として用いることができる。
【0065】
すなわち、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いる場合においては、本発明に係る有機酸銀塩は、露光によって形成された潜像を粒子表面上に有する感光性ハロゲン化銀粒子(光触媒)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された熱現像過程において、銀イオン供給源として機能して銀イオンを供給し銀画像形成に寄与する銀塩として用いることができる。
【0066】
このような非感光性有機酸銀塩については、従来、種々の化学構造を有する有機化合物の銀塩が知られており、例えば、特開平10−62899号公報の段落「0048」〜「0049」、欧州特許出願公開第803,764A1号明細書の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許出願公開第962,812A1号明細書、特開平11−349591号公報、特開2000−7683号公報、同2000−72711号公報、同2002−23301号公報、同2002−23303号公報、同2002−49119号公報、196446号公報、欧州特許出願公開第1246001A1号明細書、欧州特許出願公開第1258775A1号明細書、特開2003−140290号公報、特開2003−195445号公報、同2003−295378号公報、同2003−295379号公報、同2003−295380号公報、同2003−295381号公報等に記載されている。
【0067】
本発明においては、公知の種々の有機酸銀塩を使用できる。しかしながら、炭素数10〜30、好ましくは12〜26の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩を使用することが好ましい。好適な銀塩の例としては、以下のものが挙げられる。
【0068】
例えば、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩が挙げられ、好ましい銀塩としてはベヘン酸銀、アラキジン酸銀及びステアリン酸銀が挙げられる。
【0069】
又、本発明においては、脂肪族カルボン酸銀塩が2種以上混合されていることは、現像性を上げ高濃度、高コントラストの銀画像を形成する上で好ましく、例えば、2種以上の脂肪族カルボン酸混合物に銀イオン溶液を混合して調製することが好ましい。
【0070】
一方、現像後の画像の保存性等の観点からは、脂肪族カルボン酸銀の原料である脂肪族カルボン酸の融点が50℃以上、好ましくは60℃以上である脂肪族カルボン酸の銀塩の含有比率が50%以上、好ましくは、70%以上、更に好ましくは、80%以上であることが好ましい。この観点からは、具体的には、ベヘン酸銀の含有率が高いことが好ましい。
【0071】
脂肪族カルボン酸銀塩は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀などを混合して脂肪族カルボン酸銀塩の結晶を作製する。その際に、脂肪族カルボン酸銀塩の種結晶粒子、ハロゲン化銀粒子などを混在させてもよい。
【0072】
〔アルカリ金属化合物の種類〕
本発明に係る上記脂肪族カルボン酸銀塩の製造において使用できるアルカリ金属化合物の種類の例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。これらのうちの1種類のアルカリ金属化合物、例えば、水酸化カリウムを用いることが好ましいが、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムを併用することも好ましい。併用比率としては前記の水酸化物の両者のモル比が10:90〜75:25の範囲であることが好ましい。脂肪族カルボン酸と反応して脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩となったときに上記の範囲で使用することで、反応液の粘度を良好な状態に制御できる。
【0073】
また、平均粒径が0.050μm以下のハロゲン化銀粒子の存在下で脂肪族カルボン酸銀を調製する場合には、特に、アルカリ金属化合物のアルカリ金属はカリウムの比率が高い方が、ハロゲン化銀粒子の溶解及びオストワルド熟成が防止されるので好ましい。また、カリウム塩の比率が高いほど、脂肪酸銀塩粒子のサイズを小さくすることができる。好ましいカリウム塩の比率は、脂肪族カルボン酸銀を製造する工程において使用する全アルカリ金属化合物に対して50〜100%である。アルカリ金属化合物の濃度は、0.1〜0.3モル/1000mlが好ましい。
【0074】
〔高銀化率銀塩粒子〕
本発明に係る脂肪族カルボン酸銀塩粒子を含有する乳剤は、銀塩を形成していない遊離脂肪族カルボン酸と脂肪族カルボン酸銀塩の混合物であるが、前者の比率が後者に対して低いことが、画像保存性等の観点から、好ましい。すなわち、本発明に係る当該乳剤は脂肪族カルボン酸を該脂肪族カルボン酸銀塩粒子に対して3〜10mol%含有することが好ましい。特に好ましくは、4〜8mol%含有することである。
【0075】
なお、具体的には、下記の方法にて、全脂肪族カルボン酸量、遊離脂肪族カルボン酸量をそれぞれ求めることにより、脂肪族カルボン酸銀塩と遊離脂肪族カルボン酸量及びそれぞれの比率又は全脂肪族カルボン酸に対する遊離脂肪酸の比率等を計算することとする。
【0076】
(全脂肪族カルボン酸量(上記の脂肪族カルボン酸銀塩と遊離酸の両方に由来するものの総計)の定量)
(1)試料約10mg(感光材料から剥離するときは剥離した質量)を正確に秤量し、200mlナス型フラスコに入れる。
(2)メタノール15mlと4mol/L塩酸3mlを加え、1分間超音波分散する。
(3)テフロン(登録商標)製沸石を入れ、60分間リフラックスする。
(4)冷却後、冷却管の上からメタノール5mlを加え、冷却管に付着したものをナス型フラスコに洗い入れる(2回)。
(5)得られた反応液を酢酸エチルで抽出する(酢酸エチル100ml、水70mlを加えて分液抽出を2回行う)。
(6)常温で30分間真空乾燥する。
(7)10mlメスフラスコに内部標準としてベンズアントロン溶液を1ml入れる(ベンズアントロン約100mgをトルエンに溶解し、トルエンで100mlに定容する)。
(8)試料をトルエンに溶かして(7)のメスフラスコに入れ、トルエンで定容する。
(9)下記測定条件にてガス・クロマトグラフィー(GC)測定を行う。
【0077】
装置:HP−5890+HP−ケミステーション
カラム:HP−1 30m×0.32mm×0.25μm(HP製)
注入口:250℃
検出器:280℃
オーブン:250℃一定
キャリアガス:He
ヘッド圧:80kPa
〔遊離脂肪族カルボン酸量の定量〕
(1)試料約20mgを正確に秤量し、200mlナス型フラスコに入れ、メタノール10mlを加えて25℃にて1分間超音波分散を行う(遊離有機カルボン酸が抽出される)。
(2)それをろ過して、ろ液を200mlナス型フラスコに入れ、乾固する(遊離有機カルボン酸が分離される)。
(3)メタノール15mlと4mol/L塩酸3mlを加え、1分間超音波分散を行う。
(4)テフロン(登録商標)製沸騰石を入れ、60分間リフラックスする。
(5)得られた反応液に水60ml、酢酸エチル60mlを加えて、有機カルボン酸のメチルエステル化物を酢酸エチル相に抽出する。酢酸エチル抽出は2回行う。
(6)酢酸エチル相を乾固し、30分間真空乾燥する。
(7)10mlのメスフラスコにベンズアントロン溶液(内部標準:約100mgのベンズアントロンをトルエンに溶かし、100mlに定容したもの)1mlを入れる。
(8)(6)をトルエンで溶かして、(7)のメスフラスコに入れ、トルエンで定容する。
(9)下記測定条件にてGC測定を行う。
【0078】
装置:HP−5890+HP−ケミステーション
カラム:HP−1 30m×0.32mm×0.25μm(HP製)
注入口:250℃
検出器:280℃
オーブン:250℃一定
キャリアガス:He
ヘッド圧:80kPa
〔脂肪族カルボン酸銀塩粒子の構造と形状〕
本発明に用いることができる脂肪族カルボン酸銀塩粒子の形状としては、特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。本発明においては、りん片状の脂肪族カルボン酸銀塩及び長軸と短軸の長さの比が5以下の短針状又は直方体状の脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく用いられる。
【0079】
なお、本明細書において、りん片状の脂肪族カルボン酸銀塩とは、次のようにして定義する。脂肪族カルボン酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、脂肪族カルボン酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
【0080】
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは20≧x(平均)≧2.0である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
【0081】
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上、0.23μmが好ましく、0.1μm以上、0.20μm以下がより好ましい。c/bの平均は好ましくは1以上、6以下、より好ましくは1.05以上、4以下、更に好ましくは1.1以上、3以下、特に好ましくは1.1以上、2以下である。
【0082】
本発明に係る脂肪族カルボン酸銀塩は、欧州特許1168069A1号及び特開2002−23303号に開示されているようなコア/シェル構造を有する結晶粒子であってもよい。なお、コア/シェル構造にする場合には、コア部またはシェル部のいずれかの全部または一部を脂肪族カルボン酸銀以外の有機酸銀塩、例えば、フタル酸、ベンゾイミダゾールなどの有機化合物の銀塩を当該結晶粒子の構成成分として使用してもよい。
【0083】
本発明に係る脂肪族カルボン酸銀塩においては、平均円相当径が0.05μm以上、0.8μm以下であることが好ましく、平均厚さが0.005μm以上、0.07μm以下であることが好ましく、特に好ましくは、平均円相当径が0.2μm以上、0.5μm以下であり平均厚さ0.01μm以上、0.05μm以下である。
【0084】
平均円相当径が0.05μm以下では透明性には優れるが、画像保存性が悪く、また平均粒径が0.8μm以上では失透が激しい。平均厚さが0.005μm以下では、表面積が大きく現像時の銀イオン供給が急激に行われ、特に低濃度部では銀画像に使われずに、膜中に残存する銀イオンが多量に存在する結果、画像保存性が著しく劣化する。また、平均厚さが0.07μm以上では、表面積が小さくなり、画像安定性は向上するが、現像時の銀供給が遅く、特に高濃度部での現像銀形状の不均一を招き、結果最高濃度が低くなりやすい。
【0085】
本発明に係る有機酸銀塩粒子の粒径分布(例えば、円相当径として求められた粒径の分布)は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる粒径の変動係数が25%以下をいう。好ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。
【0086】
粒径の変動係数%=(粒径の標準偏差/粒径の平均値)×100
なお、平均円相当径を求めるには、分散後の脂肪族カルボン酸銀塩を希釈してカーボン支持膜付きグリッド上に分散し、透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子製、2000FX型)、直接倍率5000倍にて撮影を行い、スキャナにてネガをデジタル画像として取り込み、適当な画像処理ソフトを用いて粒径(円相当径)を300個以上測定し、平均粒径を算出することができる。
【0087】
平均厚さを求めるには、下記に示すようなTEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法により算出することができる。
【0088】
まず、支持体上に塗布された感光性層を接着剤により適当なホルダーに貼り付け、支持体面と垂直な方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.1〜0.2μmの超薄切片を作製する。作製された超薄切片を、銅メッシュに支持させ、グロー放電により親水化されたカーボン膜上に移し、液体窒素により−130℃以下に冷却しながら透過型電子顕微鏡(以下TEMと称す)を用いて、倍率5,000倍乃至40,000倍にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、CCDカメラなどに素早く記録する。この際、観察される視野としては、切片に破れや弛みがない部分を適宜選択することが好ましい。
【0089】
カーボン膜としては、極薄いコロジオン、ホルムバールなど有機膜に支持されたものを使用することが好ましく、更に好ましくは、岩塩基板上に形成し基板を溶解除去して得るか、または、上記有機膜を有機溶媒、イオンエッチングにより除去して得られたカーボン単独の膜である。TEMの加速電圧としては80ないし400kVが好ましく、特に好ましくは80ないし200kVである。
【0090】
その他、電子顕微鏡観察技法、及び試料作製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)をそれぞれ参考にすることができる。
【0091】
適当な媒体に記録されたTEM画像は、画像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ましくは2048画素×2048画素以上に分解し、コンピュータによる画像処理を行うことが好ましい。画像処理を行うためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し、2値化処理によって脂肪族カルボン酸銀に相当する箇所を抽出する。
【0092】
上記抽出した脂肪族カルボン酸銀塩粒子の厚さを、300個以上適当なソフトでマニュアル測定し、平均値を求める。
【0093】
前記の形状を有する脂肪族カルボン酸銀塩粒子を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態または前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良好に保つことや、ソープに対する有機酸の割合、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適に設定することなどが有効である。
【0094】
本発明において、平板状の脂肪族カルボン酸銀塩粒子(平均円相当径が0.05μm以上、0.8μm以下であり、且つ平均厚さが0.005μm以上、0.07μm以下の脂肪族カルボン酸銀塩粒子をいう。)は、必要に応じバインダーや界面活性剤などと共に予備分散した後、メディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散粉砕することが好ましい。上記予備分散方法としては、例えば、アンカー型、プロペラ型等の一般的撹拌機や高速回転遠心放射型撹拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用することができる。
【0095】
また、上記メディア分散機としては、例えば、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなどの転動ミルや、媒体撹拌ミルであるビーズミル、アトライター、その他バスケットミルなどを用いることが可能であり、高圧ホモジナイザとしては壁、プラグなどに衝突するタイプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させるタイプ、細いオリフィスを通過させるタイプなど様々なタイプを用いることができる。
【0096】
メディア分散時に使用されるセラミックスビーズに用いられるセラミックスとしては、分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを含有するセラミックスを以下においてジルコニアと略す)が特に好ましく用いられる。
【0097】
本発明に係る平板状脂肪族カルボン酸銀塩粒子を分散する際に用いられる装置類において、脂肪族カルボン酸銀塩粒子が接触する部材の材質として、例えば、ジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素などのセラミックス類またはダイヤモンドを用いることが好ましく、中でもジルコニアを用いることが好ましい。上記分散を行う際、バインダー濃度は脂肪族カルボン酸銀質量の0.1〜10%添加することが好ましく、予備分散から本分散を通して液温が45℃を上回らないことが好ましい。また、本分散の好ましい運転条件としては、例えば、高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合には、29〜100MPa、運転回数は2回以上が運転条件として好ましい。又、メディア分散機を分散手段として用いる場合には、周速が6〜13m/秒が好ましい条件として挙げられる。
【0098】
本発明では、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が、結晶成長抑制剤又は分散剤として機能する化合物の存在下で形成されたものであることが好ましい。また、結晶成長抑制剤又は分散剤として機能する化合物が、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有する有機化合物であることが好ましい。
【0099】
本発明において、脂肪族カルボン酸銀粒子に対する結晶成長抑制剤ないし分散剤として機能する化合物とは、脂肪族カルボン酸銀粒子の製造工程において、当該化合物を共存させた条件下で脂肪族カルボン酸銀を製造したときに、共存させない条件下で製造したときより小粒径化や単分散化する機能、効果を有する化合物をいう。具体例として、炭素数が10以下の一価アルコール類、好ましくは第2級アルコール、第3級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ポリエチレングリコールなどポリエーテル類、グリセリンが挙げられる。好ましい添加量としては、脂肪族カルボン酸銀に対して10〜200質量%である。
【0100】
一方で、イソヘプタン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキジン酸、イソベヘン酸、イソヘキサコ酸など、それぞれ異性体を含む分岐脂肪族カルボン酸も好ましい。この場合、好ましい側鎖として、炭素数4以下のアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。また、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モロクチン酸、エイコセン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、セラコレン酸などの脂肪族不飽和カルボン酸が挙げられる。好ましい添加量は、脂肪族カルボン酸銀の0.5〜10mol%である。
【0101】
グルコシド、ガラクトシド、フルクトシドなどの配糖体類、トレハロース、スクロースなどトレハロース型二糖類、グリコーゲン、デキストリン、デキストラン、アルギン酸など多糖類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、ソルビタン、ソルビット、酢酸エチル、酢酸メチル、ジメチルホルムアミドなど水溶性有機溶媒、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチンなどの水溶性ポリマー類も好ましい化合物として挙げられる。好ましい添加量としては脂肪族カルボン酸銀に対して0.1〜20質量%である。
【0102】
炭素数が10以下のアルコール、好ましくは、イソプロピルアルコールなどの第二級アルコール、t−ブチルアルコールなどの第三級アルコールは、粒子製造工程での脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩の溶解度を上げることにより減粘し、撹拌効率を上げることで単分散で、かつ小粒径化する。分岐脂肪族カルボン酸及び脂肪族不飽和カルボン酸は、脂肪族カルボン酸銀が結晶化する際にメイン成分である直鎖脂肪族カルボン酸銀よりも立体障害性が高く、結晶格子の乱れが大きくなるため大きな結晶は生成せず、結果的に小粒径化する。
【0103】
(感光性ハロゲン化銀粒子)
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子(単に、「ハロゲン化銀粒子」又は「ハロゲン化銀」ともいう。)とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収することができ、又は人為的に物理化学的な方法により可視光ないし赤外光を吸収することができ、かつ紫外光領域から赤外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光を吸収したときに、ハロゲン化銀結晶内又は結晶表面において、物理化学的変化が起こり得るように処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。
【0104】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子としては、従来、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に関する多くの特許公報等に開示されているハロゲン化銀粒子を使用することができる。好ましく使用することができるハロゲン化銀粒子の具体例としては、例えば、特開2003−270755号公報に記載されている製造方法、ハロゲン組成等の化学的性状、形状等の物理的性状等に準拠して製造したハロゲン化銀粒子である。
【0105】
ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ化銀のいずれであってもよいが、臭化銀、ヨウ臭化銀又はヨウ化銀であることが特に好ましい。
【0106】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、画像形成後の白濁を防止するため、及び良好な画質を得るためにハロゲン化銀粒子の粒径を適度に小さくする方が好ましく、平均粒径が0.02μm未満の粒子を計測対象外としたときの値として、0.030μm以上、0.055μm以下であることが好ましい。
【0107】
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、これらの中、特に、立方体、八面体、14面体、平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。
【0108】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子は、銀イオン供給源として機能し得る脂肪族カルボン酸銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル、好ましくは0.03〜0.5モルで使用するのが好ましい。
【0109】
〔熱変換内部潜像型ハロゲン化銀粒子〕
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子は、特開2003−270755号明細書、特願2003−337269号明細書に開示されている熱変換内部潜像型(熱現像後内部潜像型)ハロゲン化銀粒子、すなわち、熱現像によって表面潜像型から内部潜像型に変換することにより表面感度が低下するハロゲン化銀粒子であることが好ましい。換言すると、熱現像前の露光では、現像反応(銀イオン還元剤による銀イオンの還元反応)の触媒として機能し得る潜像を該ハロゲン化銀粒子の表面に形成し、熱現像過程経過後の露光では該ハロゲン化銀粒子の表面より内部に多くの潜像を形成するようになるため、表面における潜像形成が抑制されるハロゲン化銀粒子であることことが、感度及び画像保存性上、好ましい。
【0110】
本発明に係る熱変換内部潜像型ハロゲン化銀粒子は、通常の表面潜像型ハロゲン化銀粒子と同様に、銀イオン供給源として機能し得る脂肪族カルボン酸銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル、好ましくは0.03〜0.5モルで使用するのが好ましい。
【0111】
〔ハロゲン化銀粒子分散技術〕
本発明の銀塩光熱写真イメージング材料の製造過程においては、写真性能、色調を改良するという観点から、ハロゲン化銀粒子の凝集を防止し、比較的に均一にハロゲン化銀粒子を分散させ、最終的に現像銀を所望の形状に制御できるようにすることが好ましい。
【0112】
上記の凝集防止、均一分散等のため、本発明において用いられるゼラチンは、使用条件等に応じて、ゼラチンが有するアミノ基やカルボキシル基などの親水性基を化学修飾しゼラチンの特性を改変させたものが好ましい。
【0113】
例えば、ゼラチン分子内のアミノ基の疎水化修飾としては、フェニルカルバモイル化、フタル化、コハク化、アセチル化、ベンゾイル化、ニトロフェニル化などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。またこれらの置換率は95%以上が好ましく、更に好ましくは99%以上である。またカルボキシル基の疎水化修飾を組み合わせてもよく、メチルエステル化やアミド化などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。カルボキシル基の置換率は50〜90%が好ましく、更に好ましくは70〜90%である。ここで、上記の疎水化修飾の疎水基とは、ゼラチンのアミノ基及び/またはカルボキシル基を置換することによって、疎水性が増す基のことをいう。
【0114】
また、本発明に係るハロゲン化銀粒子乳剤は、ゼラチンの代わりに又はゼラチンとの併用において下記のような水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーを使用して、調製することも、目的によって好ましい。例えば、ハロゲン化銀粒子乳剤を有機溶媒系に均一に分散させて塗布するような場合に、特に好ましい。
【0115】
なお、上記有機溶媒としては、アルコール系、エステル系、ケトン系の化合物が挙げられる。特に、ケトン系有機溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が好ましい。
【0116】
前記水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーとしては、天然ポリマー、合成ポリマー及びコポリマーのいずれであっても良い。例えば、ゼラチン類、ゴム類等を改質して本発明の範疇に属するよう改質したものを用いることもできる。又は、以下の分類に属するポリマーを、凝集防止、均一分散等の目的に適する官能基を導入して用いることが可能である。
【0117】
例えば、本発明に係る上記ポリマーとしては、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸およびアクリル酸エステル)類、ポリ(メチルメタクリル酸およびメタクリル酸エステル)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類等が挙げられる。
【0118】
これらのポリマーは数種類がコポリマーとなっていても良いが、特にアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル類のモノマーを共重合したポリマーが好ましい。
【0119】
本発明に係る当該ポリマーは、同一の状態で水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーでもよいが、pHの制御や温度の制御で水や有機溶媒に溶解させたり、不溶化したりできるものも含まれる。
【0120】
例えば、カルボキシル基のような酸性基を有するポリマーは、種類によっては解離状態では親水性となるが、pHを下げ非解離状態にすると親油性となり溶剤に可溶にできる。逆にアミノ基を有するポリマーはpHを上げると親油性となり、pHを下げるとイオン化し水溶性が上昇する。
【0121】
ノニオン活性剤では曇点の現象が良く知られているが、温度の上昇で親油性になり有機溶媒に可溶となり、温度の低下で親水性すわなち水に溶解できるような性質を有するポリマーも当該ポリマーに含まれる。完全に溶解しなくともミセルを形成し均一に乳化できれば良い。
【0122】
本発明においては、各種のモノマーを組み合わせるため、一概にどのモノマーをどの程度用いるのが良いかは述べられないが、親水性のモノマーと疎水性のモノマーを適当な割合で組み合わせる事で所望のポリマーが得られることは容易に理解できる。
【0123】
前記水と有機溶剤の両方に溶解するポリマーとしては、前記のごときpH等の溶解時の条件の調整により、或いは未調整でもよいが、水に対して少なくとも1質量%以上(25℃)の溶解度を有し、かつ、有機溶剤としてメチルエチルケトンに5質量%以上(25℃)の溶解度を有するものが好ましい。
【0124】
本発明に係る水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーとしては、溶解性の観点から、直鎖のポリマーよりも、いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー、クシ型ポリマー等が適している。特にクシ型ポリマーは好ましい。なお、ポリマーの等電点は、pH6以下であることが好ましい。
【0125】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の製造過程においては、上記のハロゲン化銀粒子の凝集防止、均一分散等の目的のために、ハロゲン化銀粒子分散液に界面活性剤、特に、非イオン性界面活性剤を含有させることも好ましい。
【0126】
非イオン性界面活性剤に関しては、一般にGriffin W.C.[J.Soc.Cosm.Chem.,1,311(1949)]によると、分子における親水性基及び親油性基の割合を反映するその「HLB」値で定義される親水性/親油性平衡が、−18〜18、好ましくは−15〜0である非イオン性親水性化合物から選択される。
【0127】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀乳剤に用いられる非イオン性界面活性剤としては、下記の一般式(NSA1)、一般式(NSA2)で表される活性剤が好ましい。
【0128】
一般式(NSA1) HO−(EO)a−(AO)b−(EO)c−H
一般式(NSA2) HO−(AO)d−(EO)e−(AO)f−H
式中、EOはオキシエチレン基を表し、AOは炭素数3以上のオキシアルキレン基を表し、a、b、c、d、e及びfは1以上の数を表す。
【0129】
いずれもプルロニック型非イオン性界面活性剤と呼ばれ、一般式(NSA1)または(NSA2)において、AOが表す炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシ長鎖アルキレン基等が挙げられるが、オキシプロピレン基が最も好ましい。
【0130】
また、a、b及びcはそれぞれ1以上の数を表し、d、e及びfはそれぞれ1以上の数を表す。a及びcは好ましくはそれぞれ1〜200、より好ましくはそれぞれ10〜100であり、bは好ましくは1〜300、より好ましくは10〜200である。d及びfは好ましくはそれぞれ1〜100、より好ましくはそれぞれ5〜50であり、eは好ましくは1〜100、より好ましくは2〜50である。
【0131】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤には、ヘテロ原子を含む大環状化合物が用いられる。ヘテロ原子を含む大環状化合物は、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の少なくとも1種を含む9員環以上の大環状化合物である。更に12〜24員環が好ましく、更に好ましいのは15〜21員環である。
【0132】
代表的な化合物としては、クラウンエーテルとして知られている化合物であるが、これらの化合物は、C.J.Pederson,Journal of American Chemical Society Vol,86(2495),7017〜7036(1967)、G.W.Gokel,S.H,Korzeniowski,”Macrocyclic polyethr synthesis”,Springer−Vergal,(1982)、小田、庄野、田伏編“クラウンエーテルの化学”化学同人(1978)、田伏編“ホスト−ゲスト”共立出版(1979)、佐々木、古賀“有機合成化学”Vol45(6),571〜582(1987)等に詳細に書かれている。
【0133】
(化学増感)
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子には、従来、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に関する多くの特許公報等に開示されている化学増感を施すことができる。例えば、特開2003−270755号公報、特開2001−249428号公報及び特開2001−249426号公報に記載されている方法等により、硫黄、セレン、テルル等のカルコゲンを放出する化合物や金イオンなどの貴金属イオンを放出する貴金属化合物の利用により、感光性ハロゲン化銀粒子又は当該粒子上の分光増感色素の光励起によって生じた電子又は正孔(ホール)を捕獲することができる化学増感中心(化学増感核)を形成付与できる。特に、カルコゲン原子を含有する有機増感剤により化学増感されているのが好ましい。
【0134】
これらカルコゲン原子を含有する有機増感剤は、ハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン原子部位を有する化合物であることが好ましい。
【0135】
これらの有機増感剤としては、特開昭60−150046号、特開平4−109240号、同11−218874号、同11−218875号、同11−218876号、同11−194447号公報等に開示されている種々の構造を有する有機増感剤を用いることができるが、それらのうち、カルコゲン原子が炭素原子又はリン原子と二重結合で結ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種であることが好ましい。特に、複素環基を有するチオ尿素誘導体及びトリフェニルホスフィンサルファイド誘導体等が好ましい。
【0136】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子の表面に化学増感を施した場合においては、熱現像過程経過後に該化学増感の効果が実質的に消失することが好ましい。ここで、化学増感の効果が実質的に消失するとは、前記の化学増感技術によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に化学増感を施していない場合の感度の1.1倍以下に減少することを言う。なお、化学増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、化学増感中心(化学増感核)を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層又は/及び非感光性層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、化学増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
【0137】
(分光増感)
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子には、分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好ましい。分光増感技術については、従来、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に関する多くの特許公報等に開示されているシアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を分光増感色素として用いる技術を使用することができる。
【0138】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、好ましく使用することができる分光増感技術の具体例としては、例えば、特開2004−309758号公報に記載されている一般式(1)と一般式(2)で表される増感色素のうちから少なくとも1種を選び使用する分光増感技術に準拠した技術である。
【0139】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀塩粒子を含有する乳剤は、増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色増感されていてもよい。
【0140】
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質は、RD17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公平9−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平5−341432号等に記載されているが、強色増感剤としては、複素芳香族メルカプト化合物が又はメルカプト誘導体化合物が好ましい。
【0141】
上記の強色増感剤の他に、特開2001−330918号明細書に開示されているヘテロ原子を有する大環状化合物も強色増感剤として使用できる。
【0142】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子の表面には分光増感色素を吸着せしめ分光増感が施されており、かつ熱現像過程経過後に該分光増感効果が実質的に消失することが好ましい。ここで、分光増感効果が実質的に消失するとは、増感色素、強色増感剤等によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に分光増感を施していない場合の感度の1.1倍以下に減少することを言う。
【0143】
なお、分光増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、熱によってハロゲン化銀粒子より脱離しやすい分光増感色素を使用する又は/および分光増感色素を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層又は/及び非感光性層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、分光増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
【0144】
(銀イオン還元剤)
本発明に係る還元剤は感光性層中で、銀イオンを還元し得るものであり、現像剤ともいう。還元剤としては、下記一般式(RD1)で表される化合物が挙げられる。
【0145】
本発明においては、銀イオンの還元剤として、特に、還元剤の少なくとも1種が下記一般式(RD1)で表される化合物を単独又は他の異なる化学構造を有する還元剤と併せて用いることが好ましい。
【0146】
【化1】


【0147】
〔式中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよい。R3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。〕
一般式(RD1)で表される化合物のうちでも特にR2の少なくとも一方が2級または3級のアルキル基である高活性な還元剤(以降は(RD1a)の化合物と呼ぶ)を用いることが、高濃度で、光照射画像保存性に優れた熱現像感光材料を得ることができる点でより好ましい。本発明においては、(RD1a)の化合物と下記一般式(RD2)の化合物とを併用することが望ましい色調を得るためには好ましい。
【0148】
【化2】


【0149】
〔式中、X2はカルコゲン原子又はCHR5を表し、R5は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R6はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級又は3級のアルキル基であることはない。R7は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R8はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。〕
その併用比率としては、[(RD1a)の化合物の質量]:[一般式(RD2)の化合物の質量]が5:95〜45:55であることが好ましく、より好ましくは10:90〜40:60である。
【0150】
(画像の色調)
次に、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像処理して得られる画像の色調について述べる。
【0151】
従来のレントゲン写真フィルムのような医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像調子の方が、判読者にとってより的確な診断観察結果が得易いと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であることを言う。一方、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であると言われているが、より厳密な定量的な議論ができるように、以下、国際照明委員会(CIE)の推奨する表現法に基づき説明する。
【0152】
色調に関しての用語「より冷調」及び「より温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0における色相角habにより表現できる。即ち、色相角habは、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
【0153】
hab=tan-1(b*/a*
上記色相角に基づく表現法により検討した結果、本発明の光熱写真ドライイメージング材料の現像後の色調は、色相角habの範囲が180度<hab<270度であることが好ましく、更に好ましくは200度<hab<270度、最も好ましくは220度<hab<260度であることが判った。このことは、特開2002−6463号公報に開示されている。
【0154】
尚、従来、光学濃度1.0付近でのCIE 1976(L***)色空間又は(L***)色空間におけるu*、v*又はa*、b*を特定の数値に調整することにより、見た目の色調が好ましい診断画像が得られることが知られており、例えば、特開2000−29164号公報に記載されている。
【0155】
しかしながら、特開2004−94240号公報に開示されているように、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料については、CIE 1976(L***)色空間又は(L***)色空間において横軸をu*又はa*、縦軸をv*又はb*としたグラフ上に、様々な写真濃度でのu*、v*又はa*、b*をプロットし、線形回帰直線を作成した際に、その線形回帰直線を特定の範囲に調整することにより、従来の湿式の銀塩感光材料同等以上の診断性を持たせることができることが見い出されている。以下に好ましい特定条件範囲について述べる。
【0156】
(1)銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像処理後に得られた銀画像の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をu*、縦軸をv*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのu*、v*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のv*値が−5〜5であること、且つ傾き(v*/u*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
【0157】
(2)又、当該光熱写真ドライイメージング材料の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をa*、縦軸をb*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのa*、b*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のb*値が−5〜5であること、且つ傾き(b*/a*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
【0158】
次に、上述の線形回帰直線の作成法、則ちCIE1976色空間におけるu*、v*及びa*、b*の測定法の一例を説明する。
【0159】
熱現像装置を用いて未露光部、及び光学濃度0.5、1.0、1.5を含む4段のウエッジ試料を作製する。このようにして作製した、それぞれのウエッジ濃度部を分光色彩計(ミノルタ社製:CM−3600d等)で測定し、u*、v*又はa*、b*を算出する。その際の測定条件は光源としてF7光源、視野角を10度として透過測定モードで測定を行う。横軸をu*又はa*、縦軸をv*又はb*としたグラフ上に測定したu*、v*又はa*、b*をプロットし線形回帰直線を求め、決定係数(重決定)R2、切片及び傾きを求める。
【0160】
次に、上記のような特徴を持つ線形回帰直線を得るための具体的な方法について説明する。
【0161】
本発明においては、還元剤(現像剤)、ハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀及び下記の調色剤等の現像反応過程において、直接的及び間接的に関与する化合物等の添加量の調整により、現像銀形状を最適化して好ましい色調にすることができる。例えば、現像銀形状をデンドライト状にすると青味を帯びる方向になり、フィラメント状にすると黄色味を帯びる方向になる。即ち、このような現像銀形状の性向を考慮して調整できる。
【0162】
従来、調色剤としてはフタラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類が一般的に使用されている。好適な調色剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号、同4,021,249号の各明細書等に開示されている。
【0163】
このような調色剤の他に、特開平11−288057号公報、欧州特許第1,134,611A2号明細書等に開示されているカプラー及び、以下で詳述するロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。特に、色調の微調整のためにカプラーまたはロイコ染料を用いることが好ましい。
【0164】
(ロイコ染料)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上記のように、ロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。ロイコ染料として好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色又は僅かに着色した化合物でよく、上記の還元剤の酸化体等により酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、且つ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
【0165】
本発明において使用するのに適した代表的なロイコ染料は特に限定されないが、例えば、ビフェノールロイコ染料、フェノールロイコ染料、インドアニリンロイコ染料、アクリル化アジンロイコ染料、フェノキサジンロイコ染料、フェノジアジンロイコ染料及びフェノチアジンロイコ染料等が挙げられる。又、有用なものは、米国特許第3,445,234号、同3,846,136号、同3,994,732号、同4,021,249号、同4,021,250号、同4,022,617号、同4,123,282号、同4,368,247号、同4,461,681号の各明細書、及び特開昭50−36110号、同59−206831号、特開平5−204087号、同11−231460号、特開2002−169249号、同2002−236334号の各公報等に開示されているロイコ染料である。
【0166】
所定の色調に調整するために、種々の色のロイコ染料を単独使用又は複数の種類の併用をすることが好ましい。本発明においては高活性な還元剤を使用することに伴ってその使用量や使用比率によって色調(特に黄色味)が変化したり、微粒子のハロゲン化銀を用いることにより、特に濃度が2.0以上の高濃度部で画像が過度に赤みをおびることを防止するために、黄色及びシアン色に発色するロイコ染料を併用してその使用量を調整するのが好ましい。
【0167】
発色濃度は現像銀自身による色調との関係で適切に調整することが好ましい。本発明では、0.01〜0.05の反射光学濃度又は0.005〜0.50の透過光学濃度を有するように発色させ上記の好ましい色調範囲の画像になるように色調を調整することが好ましい。本発明ではロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和を0.01以上0.50以下とするのが好ましく、より好ましくは0.02以上0.30以下、特に好ましくは0.03以上0.10以下を有するように発色させることが好ましい。
【0168】
(バインダー)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、本発明に係る感光性層及び非感光性層に種々の目的でバインダーを含有させることができる。
【0169】
本発明に係る感光性層に含まれるバインダーは、有機銀塩、ハロゲン化銀粒子、還元剤、その他の成分を担持しうるものであり、好適なバインダーは、透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマーや合成ポリマー、及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、特開2001−330918号の段落「0069」に記載のものが挙げられる。
【0170】
これらの内、特に好ましい例としては、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、スチレン類等が挙げられる。この様な高分子化合物の中でも、アセタール基を持つ高分子化合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分子化合物でも、アセトアセタール構造を持つポリビニルアセタールであることがより好ましく、例えば米国特許2,358,836号、同3,003,879号、同2,828,204号、英国特許771,155号等に示されるポリビニルアセタールを挙げることができる。アセタール基を持つ高分子化合物としては、特開2002−287299号公報の「150」に記載の一般式(V)で表される化合物が、特に好ましい。
【0171】
本発明に係る感光性層に好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましくはポリビニルブチラールであり、主バインダーとして用いることが好ましい。ここで言う主バインダーとは、「感光性層の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマーが占めている状態」をいう。従って、全バインダーの50質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよい。これらのポリマーとしては、本発明のポリマーが可溶となる溶媒であれば特に制限はない。より好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0172】
本発明で用いるバインダーのガラス転移温度(Tg)は、70〜105℃であることが、画像形成において十分な最高濃度が得ることができるという点で、好ましい。
【0173】
本発明のバインダーとしては、数平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。
【0174】
又、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光性層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。尚、必要に応じて、上記のように2種以上のバインダーを組み合わせて用い得る。
【0175】
この様なバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は当業者が容易に決定し得る。例えば、感光性層(画像形成層)において少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2(質量比)が好ましく、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、感光性層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましく、更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0176】
感光性層に有機性ゲル化剤を含有せしめてもよい。尚、ここで言う有機性ゲル化剤とは、例えば多価アルコール類のように、有機液体に添加することにより、その系に降伏値を付与し、系の流動性を消失あるいは低下させる機能を有する化合物を言う。
【0177】
感光性層用塗布液が水性分散されたポリマーラテックスを含有するのも好ましい態様である。この場合、感光性層用塗布液中の全バインダーの50質量%以上が水性分散されたポリマーラテックスであることが好ましい。又、感光性層の調整においてポリマーラテックスを使用した場合、感光性層中の全バインダーの50質量%以上がポリマーラテックス由来のポリマーであることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。
【0178】
(架橋剤)
本発明に係る感光性層には、本発明に係るバインダー同士を橋かけ結合によってつなぐことができる架橋剤を含有させることができる。架橋剤を上記バインダーに対し用いることにより、膜付きが良くなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
【0179】
用いられる架橋剤としては、従来、写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例えば特開昭50−96216号に記載されるアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤が用いられるが、好ましくは、以下に示すイソシアネート系、シラン化合物系、エポキシ系化合物又は酸無水物である。
【0180】
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価又は3価のポリアルコール類との付加体等が挙げられる。具体例として、特開昭56−5535号の10〜12頁に記載されるイソシアネート化合物を利用することができる。
【0181】
尚、イソシアネートとポリアルコールの付加体は、特に層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイソシアネートは、熱現像感光材料のどの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)感光性層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光性層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
【0182】
又、本発明に使用可能なチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
【0183】
上記架橋剤の使用量は、銀1モルに対して、通常、0.001〜2モル、好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
【0184】
本発明において含有させることができるイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、当該官能基を1個のみ有する化合物であっても良い結果が得られる。
【0185】
シラン化合物の例としては、特開2001−264930号に開示されている一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0186】
又、架橋剤として使用できるエポキシ化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。又、エポキシ化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマー等の何れであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーの何れであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2,000〜20,000程度である。
【0187】
本発明に用いられる酸無水物は、下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。この様な酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はない。
【0188】
−CO−O−CO−
上記のエポキシ化合物や酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。このエポキシ化合物や酸無水物は、感光性層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光性層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
【0189】
(省銀化剤)
本発明に係る感光性層又は非感光性層には、省銀化剤を含有させることができる。ここでいう、省銀化剤とは、一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合物をいう。
【0190】
この必要な銀量を低減化する機能の作用機構は種々考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位量当たりの光学濃度をいう。この省銀化剤は感光性層又は非感光性層、更にはそのいずれにも存在せしめることができる。省銀化剤としては、ヒドラジン誘導体化合物、ビニル化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、4級オニウム化合物及びシラン化合物が好ましい例として挙げられる。具体例としては、特開2003−270755号公報の段落「0195」〜「0235」に開示されている省銀化剤が挙げられる。
【0191】
本発明に係る省銀化剤として、特に好ましい省銀化剤は、下記一般式(SE1)および(SE2)で表される化合物である。
【0192】
一般式(SE1)
1−NHNH−Q2
式中、Q1は炭素原子部位で−NHNH−Q2と結合する芳香族基、またはヘテロ環基を表し、Q2はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す。
【0193】
【化3】


【0194】
式中、R1はアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表す。R2は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、炭酸エステル基を表す。R3、R4はそれぞれベンゼン環に置換可能な基を表す。R3とR4は互いに連結して縮合環を形成してもよい。
【0195】
一般式(SE2)においてR3とR4が互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。一般式(SE2)がナフトール系の化合物であるとき、R1はカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。R2はアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
【0196】
(熱溶剤)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料には熱溶剤が含まれていることが好ましい。ここで、熱溶剤とは、熱溶剤含有銀塩光熱写真ドライイメージング材料に対して、熱溶剤を含まない銀塩光熱写真ドライイメージング材料に比べて熱現像温度を1℃以上低くすることができる素材と定義する。さらに好ましくは、2℃以上熱現像温度を低くできる素材であり、特に好ましくは3℃以上低くできる素材である。例えば、熱溶剤を含む光熱写真ドライイメージング材料Aに対して、光熱写真ドライイメージング材料Aから熱溶剤を含まない光熱写真ドライイメージング材料をBとした時に、光熱写真ドライイメージング材料Bを露光し熱現像温度120℃、熱現像時間20秒で処理して得られる濃度を、光熱写真ドライイメージング材料Aで同一露光量、熱現像時間で得るための熱現像温度が119℃以下になる場合を熱溶剤とする。
【0197】
熱溶剤は極性基を置換基として有しており、一般式(TS)で表されるのが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0198】
一般式(TS)
(Y)n
一般式(TS)において、Yはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。Zはヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、リン酸アミド基、シアノ基、イミド、ウレイド、スルホキシド、スルホン、ホスフィン、ホスフィンオキシドまたは含窒素複素環基から選ばれる基を表す。nは1ないし3の整数を表し、Zが1価の基である場合には1、Zが2価以上の基である場合にはZの価数と同一である。nが2以上の場合、複数のYは同一であっても異なっていても良い。
【0199】
Yは更に置換基を有していても良く、置換基としてZで表される基を有していても良い。Yについてさらに詳しく説明する。一般式(TS)において、Yは直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは1〜30、特に好ましくは1〜25であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、sec−ブチル、t−ブチル、t−オクチル、n−アミル、t−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは2〜30、特に好ましくは2〜25であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは6〜30、特に好ましくは6〜25であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、複素環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、ピラジル、イミダゾイル、ピロリジルなどが挙げられる。)を表す。これらの置換基はさらに他の置換基で置換されていても良い。また、これらの置換基は互いに結合して、環を形成していても良い。
【0200】
Yは更に置換基を有していても良く、置換基の例としては、特開2004−21068号公報の「0015」に記載の置換基が挙げられる。熱溶剤を使用することにより現像活性となる理由としては、熱溶剤が現像温度付近で溶融することにより現像に関与する物質と相溶し、熱溶剤を添加しないときよりも低い温度での反応を可能としているためと考えられる。熱現像は、比較的極性の高いカルボン酸や銀イオン輸送体が関与している還元反応であるため、極性基を有している熱溶剤により適度の極性を有する反応場を形成することが好ましい。
【0201】
本発明に好ましく用いられる熱溶剤の融点は50℃以上200℃以下であるが、より好ましくは60℃以上150℃以下である。特に、本発明の目的であるような、画像保存性などの外的環境に対しての安定性を重視した熱現像感光材料では、融点が100℃以上150℃以下の熱溶剤が好ましい。
【0202】
熱溶剤の具体例としては特開2004−21068号公報の「0017」に記載される化合物、米国公開特許US2002/0025498号公報の「0027」に記載の化合物、MF−1〜MF−3、MF6、MF−7、MF−9〜MF−12、MF−15〜MF−22をあげることができる。
【0203】
本発明において熱溶剤の添加量は0.01〜5.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.05〜2.5g/m2で、さらに好ましくは0.1〜1.5g/m2である。熱溶剤は感光性層に含有させることが好ましい。また、上記熱溶剤は単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において熱溶剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
【0204】
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
【0205】
また、固体微粒子分散法としては、熱溶剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
【0206】
(カブリ防止剤・画像安定化剤)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料のいずれかの構成層には、熱現像前の保存時におけるカブリ発生を防止するためのカブリ防止剤、及び熱現像後における画像の劣化を防止するための画像安定化剤を含有させておくことが好ましい。
【0207】
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、当該イメージング材料に関する多くの特許公報等に開示されているカブリ防止及び画像安定化剤を使用することができる。
【0208】
本発明に係る還元剤として、主にビスフェノール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトンを持った還元剤が用いられているので、これらの水素を安定化し還元剤を不活性化し、銀イオンを還元する反応を防止防止できる化合物が含有されていることが好ましい。また、生フィルムや画像の保存時に生成する銀原子ないし金属銀銀(銀クラスター)を酸化漂白できる化合物が含有されていることが好ましい。
【0209】
これらの機能を有する化合物の具体例としては、例えば、特開2003−270755号公報の段落「0096」〜「0128」に記載されているビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化号物及びハロゲン原子を活性種として放出できる化合、特開2003−91054号に開示されているようなハロゲンラジカル放出基を有するモノマーの繰り返し単位を少なくとも1つ有するポリマー、特開平6−208192号公報の段落「0013」に記載のビニルスルホン類及び/又はβ−ハロスルホン類、及び、特願2004−234206号に記載されている電子吸引基を有するビニル型抑制剤等の種々なカブリ防止及び画像安定化剤等が挙げられる。
【0210】
(調色剤)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、必要に応じて銀の色調を調整する調色剤(トナー)を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有していることが好ましい。
【0211】
本発明に用いられる好適な調色剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号及び同4,021,249号の各明細書に開示されており、例えば、次のものがある。
【0212】
イミド類(例えば、スクシンイミド、フタルイミド、ナフタールイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);フタラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩(例えば、フタラジノン、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジンとフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸)の組合せ;フタラジンとマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組合せ等が挙げられる。特に好ましい調色剤としてはフタラジノンまたはフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類の組合せである。
【0213】
(フッ素系界面活性剤)
本発明ではレーザイメージャー(熱現像処理装置)でのフィルム搬送性や環境適性(生体内への蓄積性)を改良するために下記一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤が好ましく用いられる。
【0214】
一般式(SF)
(Rf−(L)n−)p−(Y)m−(A)
〔式中、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表し、Lはフッ素原子を有しない2価の連結基を表し、Yはフッ素原子を有さない(p+q)価の連結基を表し、Aはアニオン基またはその塩を表し、n、mは各々0または1の整数を表し、pは1〜3の整数を表し、qは1〜3の整数を表す。但し、qが1の時はnとmは同時に0ではない。〕
前記一般式(SF)において、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表すが、該フッ素原子を含有する置換基としては例えば、炭素数1〜25のフッ化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基、トリフロロエチル基、パーフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基、パーフロロドデシル基及びパーフロロオクタデシル基等)またはフッ化アルケニル基(例えば、パーフロロプロペニル基、パーフロロブテニル基、パーフロロノネニル基及びパーフロロドデセニル基等)等が挙げられる。Rfは炭素数2〜8であることが好ましく、より好ましくは炭素数が2〜6である。またRfはフッ素原子数2〜12であることが好ましく、より好ましくはフッ素原子数が3〜12である。
【0215】
Lはフッ素原子を有さない2価の連結基を表すが、当該フッ素原子を有さない2価の連結基としては例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等)、アルキレンオキシ基(メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、ブチレンオキシ基等)、オキシアルキレン基(例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシブチレン基等)、オキシアルキレンオキシ基(例えば、オキシメチレンオキシ基、オキシエチレンオキシ基、オキシエチレンオキシエチレンオキシ基等)、フェニレン基、オキシフェニレン基、フェニルオキシ基、オキシフェニルオキシ基またはこれらの基を組合せた基等が挙げられる。
【0216】
Aはアニオン基またはその塩を表すが、例えば、カルボン酸基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、スルホン酸基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、硫酸ハーフエステル基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、及び燐酸基またはその塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)等が挙げられる。
【0217】
Yはフッ素原子を有さない(p+q)価の連結基を表すが、例えば、フッ素原子を有さない3価または4価の連結基としては、窒素原子または炭素原子を中心にして構成される原子群が挙げられる。n1は0または1の整数を表すが、1であるのが好ましい。
【0218】
一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、フッ素原子を導入した炭素数1〜25のアルキル化合物(例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基及びパーフロロオクタデシル基等を有する化合物)及びアルケニル化合物(例えば、パーフロロヘキセニル基及びパーフロロノネニル基等)と、それぞれフッ素原子を導入していない3価〜6価のアルカノール化合物、水酸基を3〜4個有する芳香族化合物またはヘテロ化合物との付加反応や縮合反応によって得られた化合物(一部Rf化されたアルカノール化合物)に、更に例えば硫酸エステル化等によりアニオン基(A)を導入することにより得ることができる。
【0219】
上記3〜6価のアルカノール化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチル−2−ヒドロキシメチル1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンテン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ブタノール)−3、脂肪族トリオール、テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール等が挙げられる。
【0220】
また、上記水酸基を3〜4個有する芳香族化合物及びへテロ化合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン及び2,4,6−トリヒドロキシピリジン等が挙げられる。
【0221】
本発明の一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤を塗布液に添加する方法としては公知の添加法に従って添加することができる。即ち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。また、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザ分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、最外層の保護層に添加することが好ましい。
【0222】
本発明の一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤の添加量は1m2当たり1×10-8〜1×10-1モルが好ましく、1×10-5〜1×10-2モルが特に好ましい。前者の範囲未満では、帯電特性が得られないことがあり、前者の範囲を越えると、湿度依存性が大きく高湿下の保存性が劣化することがある。
【0223】
(表面層・表面物性調整剤等)
銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、塗布、乾燥、加工などの製造工程等における当該感光材料の巻き取り、巻き返し、搬送の際に種々の装置と当該光熱写真ドライイメージング材料との接触、または感光性層側表面とバッキング面との間におけるような当該光熱写真ドライイメージング材料どうしの接触によって好ましからざる影響を受けることが多い。例えば、当該感光材料表面の引っ掻き傷や滑り傷の発生や、現像装置等の中での当該感光材料の搬送性の劣化等である。
【0224】
したがって、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、上記の表面の傷や搬送性劣化を防止するために、当該材料の構成層のうちのいずれかの構成層、特に、支持体上の最外層に潤滑剤、マット剤等を含有させ、当該材料の表面の物性を調整することが好ましい。
【0225】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、支持体上の最外層に平均粒径1μm〜30μmの有機固体潤滑剤粒子を含有し、この有機固体潤滑剤粒子が高分子分散剤によって分散されていることがこのましい。また、当該有機固体潤滑剤粒子の融点は、熱現像処理温度よりも高いことがより好ましく、80℃以上、より好ましくは110℃以上である。
【0226】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料において用いる有機固体潤滑剤粒子としては、表面のエネルギーを下げる化合物が好ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、およびこれらの共重合体などを粉砕して形成した粒子などが挙げることができる。
【0227】
以下に、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる有機固体潤滑剤粒子の一例を示すが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
【0228】
[融点℃]
PW−1 ポリテトラフルオロエチレン 321
PW−2 ポリプロピレン/ポリエチレン共重合体 142
PW−3 ポリエチレン(低密度) 113
PW−4 ポリエチレン(高密度) 126
PW−5 ポリプロピレン 145
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、有機固体潤滑剤粒子として、特に、下記一般式(OL1)で表される化合物であることが好ましい。
【0229】
一般式(OL1)
(R1p−X1−L−X2−(R2q
式中R1、R2は各々炭素数6〜60の置換もしくは無置換アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基であり、p又はqが2以上である場合、複数存在するR1およびR2は互いに同一でも相違していても良い。X1、X2は各々窒素原子を含む2価の連結基を示す。Lは置換もしくは無置換のp+q価のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、またはアリール基を示す。
【0230】
本発明の感光材料においては、支持体上の少なくとも1層が前記一般式(OL1)で表される化合物を含有し、かつ非イオン性含フッ素界面活性剤とアニオン性含フッ素界面活性剤とを含有することが好ましい。
【0231】
本発明で用いることのできる非イオン性含フッ素界面活性剤としては、特に制限はないが、下記一般式(SA)で表される化合物が好ましい。
【0232】
一般式(SA)
Rf1−(AO)n−Rf2
式中、Rf1及びRf2はフッ素含有脂肪族基を表し、同じでも異なってもよい。AOは少なくとも一つのアルキレンオキシ基を有する基を表し、nは1〜30の整数を表す。
【0233】
(染料、顔料)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、感光性層を透過する光の量または波長分布を制御するために感光性層と同じ側または反対の側にフィルター層を形成するか、感光性層に染料又は顔料を含有させることが好ましい。
【0234】
用いられる染料としては、感光材料の感色性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物が使用できる。
【0235】
例えば、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料材料を赤外光による画像記録材料とする場合には、特開2001−83655号に開示されているようなチオピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではチオピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)及びピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、又スクアリリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染料、又はピリリウムクロコニウム染料を使用することが好ましい。
【0236】
尚、スクアリリウム核を有する化合物とは、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有する化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここで、ヒドロキシル基は解離していてもよい。以下本明細書ではこれらの色素を便宜的に一括してスクアリリウム染料とよぶ。尚、染料としては特開平8−201959号の化合物も好ましい。
【0237】
(支持体)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いる支持体の素材としては、各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(アルミニウム等)等が挙げられるが、情報記録材料としての取扱い上は、可撓性のあるシート又はロールに加工できるものが好適である。従って、本発明の光熱写真ドライイメージング材料における支持体としては、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム(TAC)又はポリカーボネート(PC)フィルム等のプラスチックフィルムが好ましく、特に2軸延伸したPETフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0238】
帯電性を改良するために金属酸化物及び/又は導電性ポリマー等の導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらは何れの層に含有させてもよいが、好ましくはバッキング層又は感光性層側の表面保護層、下引層等に含まれる。米国特許5,244,773号のカラム14〜20に記載された導電性化合物等が好ましく用いられる。中でも、本発明では、バッキング層側の表面保護層に導電性金属酸化物を含有することが好ましい。
【0239】
ここで、導電性金属酸化物とは、結晶性の金属酸化物粒子であり、酸素欠陥を含むもの及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は、一般的に言って導電性が高いので特に好ましく、特に後者はハロゲン化銀乳剤にカブリを与えないので特に好ましい。金属酸化物の例としてZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、又はこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、又、TiO2に対してはNb、Ta等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜30モル%の範囲が好ましいが、0.1〜10モル%であれば特に好ましい。更に又、微粒子分散性、透明性改良のために、微粒子作製時に珪素化合物を添加してもよい。
【0240】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いられる金属酸化物微粒子は導電性を有しており、その体積抵抗率は107Ω・cm以下、特に105Ω・cm以下である。これらの酸化物については特開昭56−143431号、同56−120519号、同58−62647号等に記載されている。更に又、特公昭59−6235号に記載の如く、他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状物(酸化チタン等)に上記の金属酸化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。
【0241】
利用できる粒子サイズは1μm以下が好ましいが、0.5μm以下であると分散後の安定性が良く使用し易い。又、光散乱性をできるだけ小さくするために、0.3μm以下の導電性粒子を利用すると、透明感光材料を形成することが可能となり大変好ましい。又、導電性金属酸化物が針状あるいは繊維状の場合は、その長さは30μm以下で直径が1μm以下が好ましく、特に好ましいのは長さが10μm以下で直径0.3μm以下であり、長さ/直径比が3以上である。尚、SnO2としては、石原産業社より市販されており、SNS10M、SN−100P、SN−100D、FSS10M等を用いることができる。
【0242】
(構成層)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、支持体上に少なくとも1層の画像形成層である感光性層を有している。支持体上に感光性層のみを形成してもよいが、感光性層の上に少なくとも1層の非感光性層を形成することが好ましい。例えば、感光性層の上には保護層が、感光性層を保護する目的で設けられることが好ましく、又、支持体の反対の面には、感光材料間の、あるいは感光材料ロールにおける「くっつき」を防止するために、バックコート層が設けられる。
【0243】
これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては、感光性層よりもガラス転位点(Tg)が高く、擦傷や、変形の生じ難いポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のポリマーが、前記のバインダーの中から選ばれる。
【0244】
尚、階調調整等のために、感光性層を支持体の一方の側に2層以上又は支持体の両側に1層以上設置してもよい。
【0245】
(構成層の塗布)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば、感光性層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下(より好ましくは90質量%以下)となる前に、上層を設けることである。
【0246】
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えば、バーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、リバースロール塗布法、グラビア塗布法、エクストリュージョン塗布法等の公知の方法を用いることができる。
【0247】
上記の各種方法のうち、より好ましくはスライド塗布法、エクストリュージョン塗布法である。これらの塗布方法は感光性層を有する側について述べたが、バック層を設ける際、下引きと共に塗布する場合についても同様である。光熱写真ドライイメージング材料における同時重層塗布方法に関しては、特開2000−15173号公報に詳細な記載がある。
【0248】
尚、本発明において、塗布銀量は銀塩光熱写真ドライイメージング材料の目的に応じた適量を選ぶことが好ましいが、医療用画像を目的とする場合には、0.3g/m2以上、1.5g/m2以下が好ましく、0.5g/m2以上、1.5g/m2以下がより好ましい。当該塗布銀量のうち、ハロゲン化銀に由来するものは全銀量に対して2〜18%を占めることが好ましい、更には5〜15%が好ましい。
【0249】
また、本発明において、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好ましい。更には1×1015個/m2以上、1×1017個/m2以下が好ましい。
【0250】
更に、前記の非感光性長鎖脂肪族カルボン酸銀の塗布密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子1個当たり、1×10-17g以上、1×10-14g以下が好ましく、1×10-16g以上、1×10-15g以下がより好ましい。
【0251】
上記のような範囲内の条件において塗布した場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高濃度、即ち銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
【0252】
本発明においては、銀塩光熱写真ドライイメージング材料が現像時に溶剤を5〜1,000mg/m2の範囲で含有していることが好ましい。10〜150mg/m2であるように調整することがより好ましい。それにより、高感度、低カブリ、最高濃度の高い熱現像感光材料となる。溶剤としては、特開2001−264930号公報の段落「0030」に記載のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。また、これらの溶剤は単独または数種類組合せて用いることができる。
【0253】
尚、熱現像感光材料中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。また、当該溶剤の含有量は、含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
【0254】
(臭気・汚染防止技術)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の熱現像の際に熱現像装置(レーザイメージャー)内で当該材料から低分子量の化合物等が揮発することに起因する臭気や汚染を軽減・防止する技術として好ましい態様について説明する。
【0255】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、保護層は熱現像中に発生した汚染物質が、当該感光材料外に揮発ないし付着することを防止する機能を有することが好ましい。そのために、保護層バインダーとしては、酢化度50%以上58%以下の酢酸セルロース、ケン化度75%以下のビニルアルコールユニットを持つポリマーでることが好ましい。特に、酢酸ビニルポリマー、およびポリビニルアルコールであることが好ましい。
【0256】
酢酸セルロースとしては、酢化度50%以上58%以下の酢酸セルロースが好ましい。一方、ポリビニルアルコールとしてはケン化度が75%以下の低結晶性ポリビニルアルコールであることが好ましい。ケン化度の下限は好ましくは40%、より好ましくは60%である。
【0257】
また、保護層は上記以外のポリマー、例えば、米国特許第6,352,819号、同6,352,820号、同6,350,561号などに記載されているポリマーと混合して用いることもできる。その比率は0〜90体積%が好ましく、より好ましくは0〜40体積%である。
【0258】
上記バインダーの架橋剤としては、イソシアネート系化合物、シラン化合物、エポキシ化合物または酸無水物が好ましい。
【0259】
更に、酸基捕捉剤を用いることにより、現像時に当該感光材料から揮発する物質量を低減させることが好ましい。酸基捕捉剤としては、特願2004−269647号明細書に開示されている下記一般式(X−1)で表されるイソシアネート系、下記一般式(X−2)で表されるエポキシ系、下記一般式(X−3)で表されるフェノール系、下記一般式(X−4)で表されるアミン系又はジアミン系及び下記一般式(X−5)で表されるカルボジイミド系を挙げることができる。特に、カルボジイミド系化合物が好ましい。
【0260】
【化4】


【0261】
一般式(X−1)〜(X−4)中、Rは置換基を表し、R′は2価の連結基を表し、n1は1〜4を表す。
【0262】
一般式(X−5)中、R1及びR2は各々、アリール基又はアルキル基を表し、J1及びJ4は各々、2価の連結基を表し、J2及びJ3は各々、アリーレン基又はアルキレン基を表し、Lは(v1+1)価のアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基もしくはこれらの基が結合基により結合した基を表し、v1は1以上の整数を表し、nは0又は1を表す。
【0263】
(包装体)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を保存する場合は、経時での濃度変化やカブリ発生を防止するため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率及び/または水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50ml/atm・m2・day(なお、1atmは1.01325×105Paである)以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm・m2・day以下、さらに好ましくは1.0ml/atm・m2・day以下である。水分透過率は0.01g/m2・40℃・相対湿度90%RH・day以下(JIS Z0208カップ法による。)であることが好ましく、より好ましくは0.005g/m2・40℃・相対湿度90%RH・day以下、さらに好ましくは0.001g/m2・40℃・相対湿度90%RH・day以下である。
【0264】
銀塩光熱写真ドライイメージング材料用の包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号、特開2000−206653号、特開2000−235241号、特開2002−062625号、特開2003−015261号、特開2003−057790号、特開2003−084397号、特開2003−098648号、特開2003−098635号、特開2003−107635号、特開2003−131337号、特開2003−146330号、特開2003−226439、特開2003−228152号公報明細書に記載されている包装材料である。また包装体内の空隙率は0.01〜10%、好ましくは0.02〜5%とするのがよく、窒素封入を行って包装体内の窒素分圧を80%以上、好ましくは90%以上とするのがよい。また包装体内の相対湿度は10%以上60%以下、好ましくは40%以上、55%以下とするのが良い。
【0265】
また、断裁工程や包装工程においては、擦り傷や白ヌケ等の画像欠陥を防止するために、例えば特開2004−341145号公報に示されているようにクリーン度が米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境下で作業を行うことが好ましい。
【0266】
(露光条件)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の露光に用いられる露光、あるいは、本発明の画像形成方法における露光については、目的とする適切な画像を得るために適した光源、露光時間等に関し、種々の条件を採用することができる。
【0267】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、画像記録する際にレーザ光線を用いるのが好ましい。また、本発明においては、当該感光材料に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば当該感光材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザパワーがハイパワーであることや、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザ(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
【0268】
また特に本発明の光熱写真ドライイメージング材料は、好ましくは光量が1mW/mm2以上の高照度の光で短時間露光されることでその特性を発揮する。ここでの照度は熱現像後の感光材料が3.0の光学濃度がでるときの照度を言う。このような高照度で露光を行うと必要な光学濃度を得るために必要な光量(=照度*露光時間)が少なくてすみ、高感度システムを設計できる。より好ましくはその光量は2mW/mm2以上50W/mm2以下であり、さらに好ましくは10mW/mm2以上50W/mm2以下である。
【0269】
上記のような光源であればどのようなものでも構わないが、レーザであることによって好ましく達成できる。本発明の感光材料にこのましく用いられるレーザとしては、ガスレーザ(Ar+、Kr+、He−Ne)、YAGレーザ、色素レーザ、半導体レーザなどが好ましい。また、半導体レーザと第2高調波発生素子などを用いることもできる。また青〜紫発光の半導体レーザ(波長350nm〜440nmにピーク強度を持つもの等)を用いることができる。青〜紫発光の高出力半導体レーザとしては日亜化学のNLHV3000E半導体レーザを挙げることができる。
【0270】
本発明において、露光はレーザ走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、感光材料の露光面と走査レーザ光の為す角が実質的に垂直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙げられる。
【0271】
ここで、「実質的に垂直になることがない」とは、レーザ光走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55〜88度、より好ましくは60〜86度、更に好ましくは65〜84度、最も好ましくは70〜82度であることを言う。
【0272】
レーザ光が感光材料に走査される時の、感光材料露光面でのビームスポット直径は好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方が、レーザ光入射角度の垂直からの「ずらし角度」を減らせる点で好ましい。尚、ビームスポット直径の下限は10μmである。この様なレーザ走査露光を行うことにより、干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることができる。
【0273】
又、第2の方法として、露光は縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳を掛ける、等の方法がよい。尚、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常、露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
【0274】
更に、第3の態様としては、2本以上のレーザ光を用いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。この様な複数本のレーザ光を利用した画像記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技術であり、例えば特開昭60−166916号等により知られている。これは、光源ユニットから放射されたレーザ光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結像する方法であり、これはレーザイメージャー等と原理的に同じレーザ走査光学装置である。
【0275】
レーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段における感光体上へのレーザ光の結像は、1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途から、一つのレーザ光の結像位置から1ライン分ずらして次のレーザ光が結像されている。具体的には、二つの光ビームは、互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(dpiとは、1インチ=2.54cm当たりのドット数を表す)で2ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、600dpiで42.3μmである。この様な、副走査方向に解像度分ずらした方法とは異なり、本発明では同一の場所に2本以上のレーザを入射角を変え露光面に集光させ画像形成することが好ましい。この際、通常の1本のレーザ光(波長λ[nm])で書き込む場合の露光面での露光エネルギーがEであり、露光に使用するN本のレーザ光線が同一波長(波長λ[nm])、同一露光エネルギー(En)である場合に、0.9×E≦En×N≦1.1×Eの範囲にするのが好ましい。この様にすることにより、露光面ではエネルギーは確保されるが、それぞれのレーザ光線の画像形成層への反射は、レーザの露光エネルギーが低いため低減され、ひいては干渉縞の発生が抑えられる。
【0276】
尚、上述では複数本のレーザ光の波長をλと同一のものを使用したが、波長の異なるものを用いてもよい。この場合には、λ[nm]に対して(λ−30)<λ1、λ2、・・・・・λn≦(λ+30)の範囲にするのが好ましい。
【0277】
尚、上述した第1、第2及び第3の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ等の固体レーザ;He−Neレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレーザ、He−Cdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAsPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でも、メンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザによるレーザ光を用いるのが好ましい。尚、レーザイメージャやレーザイメージセッタで使用されるレーザにおいて、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に走査される時の該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は銀塩光熱写真ドライイメージング材料固有のレーザ発振波長における感度とレーザパワーによって、光熱写真ドライイメージング材料毎に最適な値に設定することができる。
【0278】
(レーザイメージャー・現像条件)
本発明でいうレーザイメージャー(熱現像処理装置)は、構成としては、フィルムトレイで代表されるフィルム供給装置部、レーザ画像記録装置部、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の全面に均一で安定した熱を供給する熱現像装置部、フィルム供給部からレーザ記録を経て、熱現像により画像形成された光熱写真ドライイメージング材料を装置外に排出するまでの搬送装置部から構成される。
【0279】
露光処理と熱現像処理の間の時間間隔は短くすることが、迅速処理のために好ましい。更に、露光処理と熱現像処理を同時に進行させることが好ましい。即ち、シート感材の一部分を露光しながら、すでに露光がなされたシートの一部分で現像が開始され、進行させるためには、露光処理を行う露光部と現像部の間の距離が0cm以上50cm以下であることが好ましく、これにより露光・現像の一連の処理時間が極めて短くなる。この距離の好ましい範囲は、3cm以上40cm以下であり、より好ましくは、5cm以上30cm以下である。
【0280】
ここで露光部とは、露光光源からの光が銀塩光熱写真ドライイメージング材料に照射される位置をいい、現像部とは、熱現像感光材料が熱現像を行うために初めて加熱される位置をいう。
【0281】
尚、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の熱現像部における搬送速度は20〜200mm/秒であり、特に好ましくは30〜150mm/秒である。搬送速度をこの範囲とすることにより、熱現像時の濃度むらを改良でき、また処理時間が短縮できるため、緊急時の診断にも対応できて好ましい。
【0282】
銀塩光熱写真ドライイメージング材料の現像条件は、使用する機器、装置、あるいは手段に依存して変化するが、典型的には、適した高温において像様に露光した光熱写真ドライイメージング材料を加熱することにより現像を行うものである。約80〜200℃、好ましくは約100〜140℃、より好ましくは110〜130℃で、好ましくは3〜20秒、より好ましくは5〜12秒であるで現像される。
【0283】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の現像処理時の加熱は、好ましくは、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理することが、均一な加熱を行う上で、又、熱効率、作業性等の観点から好ましく、保護層を有する側の面をヒートローラーに接触させながら搬送し、加熱処理して現像することが好ましい。
【0284】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、加熱温度123℃、現像時間12秒で熱現像して得られる画像が、拡散濃度(Y軸)と常用対数露光量(X軸)の単位長の等しい直交座標上に示される特性曲線において、拡散光での光学濃度で0.25〜2.5の平均階調が2.0〜4.0であることが好ましい。このような階調にすることにより、銀量が少なくても診断認識性の高い画像を得ることが可能となる。
【実施例】
【0285】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0286】
実施例1
《下引済み支持体の作製》
市販の2軸延伸熱固定済みの厚さ175μmの、光学濃度で0.170(コニカ株式会社製デンシトメータPDA−65にて測定)に青色染料で青色着色したPETフィルムの両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1とし、また反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層B−1とした。
【0287】
【化5】


【0288】
〈下引塗布液a−1〉
ブチルアクリレート(30質量%)/t−ブチルアクリレート(20質量%)/スチレン(25質量%)/2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
(C−1) 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1Lに仕上げる
〈下引塗布液b−1〉
ブチルアクリレート(40質量%)/スチレン(20質量%)/グリシジルアクリレート(40質量%)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
(C−1) 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1Lに仕上げる。
【0289】
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に下引上層A−2として、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.4μmになる様に帯電防止機能をもつ下引上層B−2として塗設した。
【0290】
〈下引上層塗布液a−2〉
ゼラチン 0.4g/m2になる質量
(C−1) 0.2g
(C−2) 0.2g
(C−3) 0.1g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
水で1Lに仕上げる
〈下引上層塗布液b−2〉
SbドープされたSnO2(SNS10M;石原産業(株)製) 60g
(C−4)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g
硫酸アンモニウム 0.5g
(C−5) 12g
ポリエチレングリコール(質量平均分子量600) 6g
水で1Lに仕上げる。
【0291】
【化6】


【0292】
【化7】


【0293】
《バックコート層塗布液の調製》
メチルエチルケトン(MEK)830gを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(EastmanChemical社、CAB381−20)84.2gおよびポリエステル樹脂(Bostic社、VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解した。次に、溶解した液に0.30gの赤外染料1を添加し、更にメタノール43.2gに溶解したF系界面活性剤(旭硝子社、サーフロンKH40)4.5gとF系界面活性剤(大日本インク社、メガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。次にオレイルオレート2、5gで添加した。最後に、メチルエチルケトンに1質量%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散したシリカ(W.R.Grace社、シロイド64X6000)を75g添加、攪拌しバックコート層塗布液を調製した。
【0294】
【化8】


【0295】
《バックコート層保護層塗布液の調製》
セルロースアセテートブチレート(10%メチルエチルケトン溶液) 15g
単分散度15%単分散シリカ(平均粒径:8μm、シリカ全質量の1質量%のアルミニウムで表面処理) 0.030g
817(CH2CH2O)12817 0.05g
917−C64−SO3Na 0.01g
ステアリン酸 0.1g
オレイルオレート 0.1g
α−アルミナ(モース硬度9) 0.1g
このように調製したバックコート層塗布液、バックコート層保護層塗布液を、乾燥膜厚がそれぞれ3.5μmになるように押し出しコーターにて塗布速度50m/minにて、下引き済み支持体の下引上層B−2に塗布を行った。なお乾燥は、乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて行った。
【0296】
《ハロゲン化銀粒子乳剤の調製》
〔ハロゲン化銀粒子乳剤1の調製〕
(溶液A1)
フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g
化合物A(*1)(10%メタノール水溶液) 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げた。
【0297】
(溶液B1)
0.67mol/L硝酸銀水溶液 2635ml
(溶液C1)
臭化カリウム 51.55g
ヨウ化カリウム 1.47g
水で660mlに仕上げた。
【0298】
(溶液D1)
臭化カリウム 154.9g
ヨウ化カリウム 4.41g
3IrCl6(4×10-5mol/Ag相当) 50.0ml
水で1982mlに仕上げた。
【0299】
(溶液E1)
0.4mol/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
(溶液F1)
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げた。
【0300】
(溶液G1)
56%酢酸水溶液 18.0ml
(溶液H1)
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げた。
【0301】
(*1)化合物A:HO(CH2CH2O)n(CH(CH3)CH2O)17(CH2CH2O)mH (m+n=5〜7)
特公昭58−58288号に記載の混合撹拌機を用いて、溶液A1に、溶液B1の1/4量及び溶液C1の全量を温度35℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行った。1分後、溶液F1の全量を添加した。この間pAgの調整を、溶液E1を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液B1の3/4量及び溶液D1の全量を、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加した。5分間撹拌した後、溶液G1を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10L加え、撹拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10L加え、撹拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液H1を加え、60℃に昇温し、更に120分撹拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、ハロゲン化銀粒子乳剤1を得た。
【0302】
以上の様にして調製したハロゲン化銀粒子乳剤1中のハロゲン化銀粒子は、平均球相当径0.045μm、球相当径の変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。平均球相当径、球相当径の変動係数については電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。またこの粒子の[100]面比率は、クベルカムンク法を用いて求めた。
【0303】
なお、ハロゲン化銀乳剤1中の平均粒径が0.001μm以上、0.050μm以下のハロゲン化銀粒子の比率は、銀量換算で全ハロゲン化銀粒子の61質量%であった。
【0304】
(ハロゲン化銀粒子分散用ポリマーAの合成)
0.5リットルの四つ口セパラブルフラスコに滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、メチルエチルケトン50g、及び表1に記載の組成割合のNIPAM以外のモノマー(単位g)を仕込み、80℃に加熱した。さらに表5に記載のNIPAM(単位g)、更にラウリルパーオキサイド0.12gをメチルエチルケトン43gに溶解した液をフラスコ中に2時間かけて滴下した。その後1時間かけて昇温し還流状態になった時点で、ラウリルパーオキサイド0.17gをメチルエチルケトン33gに溶解した液をフラスコ中に2時間かけて滴下し、同温度にて更に3時間反応させた。その後メチルハイドロキノン0.33gをメチルエチルケトン107gに溶解した液を添加し冷却後、ポリマー30質量%のハロゲン化銀粒子分散用ポリマーA溶液を得た。
ブレンマーPME−400:−(EO)m−CH3(m≒9)を有するメタアクリレート
ブレンマーPSE−400:−(EO)m−C1837(m≒9)を有するメタアクリレート(ここで、EO;エチレンオキシ基) (上記2種は日本油脂株式会社製)
NIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド(株式会社興人製)
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド(協和発酵工業株式会社製)
【0305】
【表1】


【0306】
《MEK中分散ハロゲン化銀粒子乳剤の調製》
〔MEK中分散ハロゲン化粒子銀乳剤1〕
ポリマーA溶液25gを10倍量の純水に滴下、析出させ、濾過することで水洗、精製を行った。得られたポリマー析出物をメタノールに溶解させ、全量を121gに仕上げた。前記ポリマーのメタノール溶液を撹拌しながら45℃に保ち、そこに45℃に調整したハロゲン化銀粒子乳剤1(59.2g)を20分かけて滴下し、さらに30分攪拌した。その後30分かけて35℃に降温した後、35℃に調整したメチルエチルケトン(MEK)777gを30分かけて滴下することにより、MEK中分散ハロゲン化粒子銀乳剤1を得た。
【0307】
〔MEK中分散ハロゲン化銀粒子乳剤2〕
上記のMEK中分散ハロゲン化銀粒子乳剤1から、以下の方法に従って、水およびメタノールの除去を行った。株式会社ノリタケエンジニアリング社製のセラミック限外濾過膜(細孔径20nm、膜面積0.0055m2)を用いてMEK中分散ハロゲン化銀粒子乳剤1を質量換算で1/2に濃縮する。限外濾過の方式としては、クロスフロー方式で行い、操作条件は、循環流量1L/min、操作圧力は、濾過側を2.13×104Paに減圧する陰圧式濾過で行った。膜の細孔径はハロゲン化銀粒子や分散に用いたポリマーの粒径よりも十分小さいので、濾液には水、メタノール、更にはメチルエチルケトンなどの溶媒成分が透過してくる。1/2濃縮後、濃縮したのと等量のメチルエチルケトンを追加するという操作を4回繰り返し、水およびメタノールの除去を行い、MEK中分散ハロゲン化銀粒子乳剤2を得た。除去後の水およびメタノール含有量は、それぞれ1.0%、0.8%であった。
【0308】
《有機酸銀塩粒子の1調製》
図2に示すような装置を使って有機酸銀塩粒子1を調製した。タンク21に純水38295gに硝酸銀878.6gを溶解し6℃に保温した硝酸銀水溶液を得た。また、タンク22の中で純水35150gに5モル/L−KOH水溶液1034mlを添加し、80℃に昇温を行い温度の安定したところでベヘン酸1850gを溶解し、ベヘン酸カリウム溶液を得た。
【0309】
図2中27に示す特殊機化工業(株)製TKパイプラインホモミクサーM型を10,000rpmで撹拌しながら、先のベヘン酸カリウム溶液、硝酸銀水溶液を同時に添加した。その時のベヘン酸カリウム溶液は2L/min、硝酸銀水溶液は2L/minの一定流量で添加し、タンク28にストックした。その後、遠心分離機に送液を行い、脱イオン水を加えて排水の電導度が30μS/cmになるまで脱イオン水による水洗を継続した。水洗終了後、遠心脱水を実施し余分な水分を除去した後、40℃にて質量減がなくなるまで温風循環乾燥機にて乾燥を行い、有機酸銀塩粒子1を得た。
【0310】
《有機酸銀塩粒子2の調製》
図3に示すような装置を使って有機酸銀塩粒子2を調製した。タンク31に純水38295に硝酸銀878.6gを溶解し6℃に保温した硝酸銀水溶液を得た。また、タンク32の中で純水35150gに5モル/L−KOH水溶液1034mlを添加し、80℃に昇温を行い温度の安定したところでベヘン酸1850gを溶解し、ベヘン酸カリウム溶液を得た。
【0311】
図3中37に示す混合器(供給管と排出管の内径5mm)に、先のベヘン酸カリウム溶液、硝酸銀水溶液を同時に添加した。その時のベヘン酸カリウム溶液は10L/min、硝酸銀水溶液は10L/minの一定流量で添加し、タンク38にストックした。その後、遠心分離機に送液を行い、脱イオン水を加えて排水の電導度が30μS/cmになるまで脱イオン水による水洗を継続した。水洗終了後、遠心脱水を実施し余分な水分を除去した後、40℃にて質量減がなくなるまで温風循環乾燥機にて乾燥を行い、有機酸銀塩粒子2を得た。
【0312】
《有機酸銀塩粒子3の調製》
図3に示すような装置を使って有機酸銀塩粒子3を調製した。タンク31に純水38295に硝酸銀878.6gを溶解し60℃に保温した硝酸銀水溶液を得た。また、タンク32の中で純水35150gに5モル/L−KOH水溶液1034mlを添加し、80℃に昇温を行い温度の安定したところでベヘン酸1850gを溶解し、ベヘン酸カリウム溶液を得た。次にベヘン酸カリウム溶液を80℃から60℃へタンク32内で0.4℃/minの速度で降温させ、60℃のベヘン酸カリウム溶液を得た。
【0313】
図3中37に示す混合器(供給管と排出管の内径5mm)に、先のベヘン酸カリウム溶液、硝酸銀水溶液を同時に添加した。その時のベヘン酸カリウム溶液は10L/min、硝酸銀水溶液は10L/minの一定流量で添加し、タンク38にストックした。その後、遠心分離機に送液を行い、脱イオン水を加えて排水の電導度が30μS/cmになるまで脱イオン水による水洗を継続した。水洗終了後、遠心脱水を実施し余分な水分を除去した後、40℃にて質量減がなくなるまで温風循環乾燥機にて乾燥を行い、有機酸銀塩粒子3を得た。
【0314】
《有機酸銀塩粒子4の調製》
図1に示すような装置を使って有機酸銀塩粒子4を調製した。タンク11に純水38295に硝酸銀878.6gを溶解し60℃に保温した硝酸銀水溶液を得た。また、タンク12の中で純水35150gに5モル/L−KOH水溶液1034mlを添加し、80℃に昇温を行い温度の安定したところでベヘン酸1850gを溶解し、ベヘン酸カリウム溶液を得た。
【0315】
図1中18に示す混合器(供給管と排出管の内径5mm)に、先のベヘン酸カリウム溶液を17の熱交換器を経由して、80℃から60℃へ20℃/minの速度で急冷し、硝酸銀水溶液と同時に添加した。その時のベヘン酸カリウム溶液は10L/min、硝酸銀水溶液は10L/minの一定流量で添加し、タンク18にストックした。その後、遠心分離機に送液を行い、脱イオン水を加えて排水の電導度が30μS/cmになるまで脱イオン水による水洗を継続した。水洗終了後、遠心脱水を実施し余分な水分を除去した後、40℃にて質量減がなくなるまで温風循環乾燥機にて乾燥を行い、有機酸銀塩粒子4を得た。
【0316】
《有機酸銀塩粒子5の調製》
有機酸銀塩粒子4と同様にして、ベヘン酸カリウム溶液を17の熱交換器を経由して80℃から40℃に急冷する以外は同様にして有機酸銀塩粒子5を得た。
【0317】
《有機酸銀塩粒子6の調製》
有機酸銀塩粒子3と同様にして、硝酸銀水溶液の温度を80℃に保温し、ベヘン酸カリウム溶液を17の熱交換器を経由して、80℃から30℃へ10℃/minの速度で急冷する以外は同様にして有機酸銀塩粒子6を得た。
【0318】
《予備分散液を調製》
有機酸銀塩粒子1〜6について以下の方法で分散物を作製した。
【0319】
乾燥された有機銀塩用いて予備分散液を調製した。
【0320】
ポリビニルブチラール粉末(積水化学社製、エスレック BL−5)26.26gをメチルエチルケトン2000gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバーDISPERMAT CA−40M型にて撹拌しながら、乾燥された有機酸銀塩500gを徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液を調製した。
【0321】
引き続き、予備分散液をポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ製トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分散を行うことにより非感光性有機銀塩分散物調製した。
【0322】
上記の方法により有機酸銀塩分散物1〜6を得た。
【0323】
[各添加液の調製]
(安定剤液の調製)
1.0gの安定剤1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶解し、安定剤液を調製した。
【0324】
(赤外増感色素液の調製)
19.2mgの赤外増感色素1、1.488gの2−クロロ−安息香酸、2.779gの安定剤2および365mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを31.3mlのMEKに暗所にて溶解し、赤外増感色素液を調製した。
【0325】
(強色増感剤液の調製)
50.1mgの強色増感剤1を8.8gのメタノールに溶解し強色増感剤液を調製した。
【0326】
(添加液aの調製)
27.98gの還元剤(A−8)、1.54gの4−メチルフタル酸、0.48gの赤外染料2をMEK110gに溶解し、添加液aとした。
【0327】
(添加液bの調製)
3.56gのカブリ防止剤2、3.43gのフタラジンをMEK40.9gに溶解し、添加液bとした。
【0328】
[感光性層塗布液の調製]
不活性気体雰囲気下(窒素97%)で、50gの前記有機銀塩分散物及び10gの前記有機溶剤転相ハロゲン化銀乳剤1及び、5.11gのメチルエチルケトンを攪拌しながら21℃に保温し、カブリ防止剤−1(10%メタノール溶液)を390μl加え、1時間攪拌した。更に、臭化カルシウム(10%メタノール溶液)を494μl添加して20分攪拌した。続いて、安定剤液167μlを添加して10分間攪拌した後、1.32gの前記赤外増感色素液Aを添加して1時間攪拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分攪拌した。13℃に保温したまま、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール(Butvar B−79)を13.31g添加して30分攪拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4質量%メチルエチルケトン溶液)1.084gを添加して15分間攪拌した。更に攪拌を続けながら、12.43gの添加液a、1.6mlのDesmodurN3300(モーベイ社製の脂肪族イソシアネート 10%メチルエチルケトン溶液)、4.27gの添加液b、を順次添加して攪拌することにより感光性層塗布液を得た。
【0329】
上記の方法により感光性層塗布液1〜6を得た。
【0330】
【化9】


【0331】
[マット剤分散液の調製]
セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、7.5gのCAB171−15)をMEK42.5gに溶解し、その中に、炭酸カルシウム(Speciality Minerals社、Super−Pflex200)5gを添加し、ディゾルバ型ホモジナイザーにて8000rpmで30分間分散しマット剤分散液を調製した。
【0332】
[表面保護層塗布液の調製]
MEK865gを撹拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemica社、CAB171−15)96g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社、パラロイドA−21)4.5g、ビニルスルホン化合物(HD−1)1.5g、ベンゾトリアゾール1.0g、F系界面活性剤(旭硝子社、サーフロンKH40)1.0g、を添加し溶解した。次に上記マット剤分散液30gを添加して撹拌し、表面保護層塗布液を調製した。
【0333】
[銀塩光熱写真ドライイメージング材料の作製]
(感光性層面側塗布)
前記感光性層塗布液と表面保護層塗布液を、公知のエクストルージョンコーターを用いて、同時に重層塗布した。塗布は、感光性層は塗布銀量1.7g/m2、表面保護層は乾燥膜厚で2.5μmになる様に行った。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分間乾燥を行い、感光材料A〜Fを作製した。
【0334】
[写真性能]
(露光、現像)
上記のように作製した光熱写真ドライイメージング材料の感光性層側から、高周波重畳にて波長800nm〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザを発光源とした露光機によりレーザ走査による露光を与えた。この際に、光熱写真ドライイメージング材料の露光面と露光レーザ光の角度を75度として画像を形成した。(なお、当該角度を90度とした場合に比べムラが少なく、且つ予想外に鮮鋭性等が良好な画像が得られた。)
その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて光熱写真ドライイメージング材料の表面保護層とドラム表面が接触するようにして、123℃で12.5秒熱現像処理した。そのい際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。
【0335】
(カブリ評価)
得られた画像を濃度計により測定し、カブリ濃度(未露光部濃度、Dmin)、を測定した。結果を表2に示す。
【0336】
【表2】


【0337】
このように本発明の製造方法によって得られた有機酸銀塩粒子は低カブリであり、写真性能も向上していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0338】
【図1】本発明に係る静的混合装置と熱交換器を有する有機酸銀塩粒子製造装置例
【図2】本発明に係る有機酸銀塩粒子製造装置の比較例
【図3】本発明に係る静的混合装置を有する有機酸銀塩粒子製造装置例
【符号の説明】
【0339】
11,21,31 添加液1用調製タンク
12,22,32 添加液2用調製タンク
13,23,33 添加液1用ポンプ
14,24 添加液1用流量検知器
15,25,35 添加液2用ポンプ
16,26,36 添加液2用流量検知器
17 熱交換器
18,37 静的混合装置
19,28,38 生成液用タンク
27 混合器




 

 


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