Warning: fopen(.htaccess): failed to open stream: No such file or directory in /home/jp321/public_html/header.php on line 47

Warning: filesize(): stat failed for .htaccess in /home/jp321/public_html/header.php on line 48

Warning: fread() expects parameter 1 to be resource, boolean given in /home/jp321/public_html/header.php on line 48

Warning: fclose() expects parameter 1 to be resource, boolean given in /home/jp321/public_html/header.php on line 49

Warning: fopen(.htaccess): failed to open stream: Permission denied in /home/jp321/public_html/header.php on line 54

Warning: flock() expects parameter 1 to be resource, boolean given in /home/jp321/public_html/header.php on line 56

Warning: fclose() expects parameter 1 to be resource, boolean given in /home/jp321/public_html/header.php on line 63
熱現像銀塩感光材料の処理方法 - コニカミノルタエムジー株式会社
米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 写真;映画 -> コニカミノルタエムジー株式会社

発明の名称 熱現像銀塩感光材料の処理方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−121491(P2007−121491A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−310980(P2005−310980)
出願日 平成17年10月26日(2005.10.26)
代理人
発明者 柳澤 宏幸
要約 課題
複数枚のプレート型ヒータを配置した熱現像銀塩感光材料の熱現像処理方法において、各プレートの制御温度を特定に最適化することにより、大量の熱現像銀塩感光材料が連続処理される際の濃度変動を安定にすることができ、特に処理中に温度や湿度などの環境が変動した場合でも濃度変動、濃度安定性、が大きく改善された熱現像銀塩感光材料の処理方法を提供する。

解決手段
熱現像銀塩感光材料に対する熱供給を「室温Trから現像開始温度T1」、「現像開始温度T1から現像最適温度T2」、「現像最適温度T2」、「現像最適温度T2から現像停止温度T3」、「現像停止温度T3から室温Tr」と段階的に行うことを特徴とする熱現像銀塩感光材料の処理方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
熱現像銀塩感光材料に対する熱供給を「室温Trから現像開始温度T1」、「現像開始温度T1から現像最適温度T2」、「現像最適温度T2」、「現像最適温度T2から現像停止温度T3」、「現像停止温度T3から室温Tr」と段階的に行うことを特徴とする熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【請求項2】
「現像開始温度T1から現像最適温度T2」の経過時間をK1としたときに、K1×(1/2)での熱現像銀塩感光材料の温度F1が、T1<F1<(T1+T2)/2であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【請求項3】
「現像最適温度T2から現像停止温度T3」の経過時間をK2としたときに、K2×(1/2)での熱現像銀塩感光材料の温度F2が、T3<F2<(T2+T3)/2であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【請求項4】
「現像開始温度T1から現像最適温度T2」の経過時間をK1、1枚目処理時点でのK1×(1/2)での熱現像銀塩感光材料の温度をF1(1)、100枚目処理時点でのK1×(1/2)での熱現像銀塩感光材料の温度をF1(100)としたときに、
(T1+T2)/2<F1(1)<T2
かつ
|F1(1)−F1(100)|≦|(T2−T1)×1/10|
であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【請求項5】
「現像停止温度T3から室温Tr」における曲率が曲率半径500mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【請求項6】
「室温Trから現像開始温度T1」直後の熱現像銀塩感光材料含水量をA、「現像最適温度T2」直後の熱現像銀塩感光材料含水量をBとしたときに0.8≦B/A≦1.2であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【請求項7】
熱現像銀塩感光材料の非感光面から加熱処理することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱現像銀塩感光材料(以下、熱現像感光材料、銀塩光熱写真ドライイメージング材料、感光材料、ともいう。)に半導体レーザからのレーザビームを照射した後、熱現像処理を行うことにより画像を記録する熱現像銀塩感光材料の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CT、MRI、CRの普及によって、多くの医療画像が出力される様になり、多くの医療画像を短い時間に処理する必要がでてきている。この様な状況の下、医療用ドライイメージャーの高処理化が強く求められている。
【0003】
一方、プレート型ヒーターやドラム型ヒーターによる熱現像方式を採用しているこれらのドライイメージャーにおいて、高処理化を達成するためには熱現像部の安定性が求められる。すなわち、1枚の感光材料を熱現像することによって熱現像部の温度が下がり、次の感光材料が来るまでに熱現像部の温度低下を回復させる必要がある。熱現像部、特に、ヒータードラムの熱容量や体積を大きくすることによって、局所的な温度変化を小さくすることが考えられるが(例えば、特許文献1参照)、それでは装置が大きくなりまた装置の立ち上り時間が長くなり、また、消費電力が大きくなり運用及びコスト等の点で好ましくない。
【0004】
コスト低減およびフィルム面内の濃度むら解消のために複数枚のプレート型ヒータを配置した技術が開示されているが(例えば、特許文献2参照)、各プレートの制御温度をどの範囲にするかの記載は無く、大量の感光材料が連続処理される際の濃度変動を安定にすることができなかった。特に処理中に温度や湿度などの環境が変動した場合には濃度変動量が大きくなる場合があり改善が求められていた。
【特許文献1】特開平11−133572号公報
【特許文献2】特開2000−250192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、複数枚のプレート型ヒータを配置した熱現像銀塩感光材料の熱現像処理方法において、各プレートの制御温度を特定に最適化することにより、大量の熱現像銀塩感光材料が連続処理される際の濃度変動を安定にすることができ、特に処理中に温度や湿度などの環境が変動した場合でも濃度変動、濃度安定性、が大きく改善された熱現像銀塩感光材料の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
【0007】
1.熱現像銀塩感光材料に対する熱供給を「室温Trから現像開始温度T1」、「現像開始温度T1から現像最適温度T2」、「現像最適温度T2」、「現像最適温度T2から現像停止温度T3」、「現像停止温度T3から室温Tr」と段階的に行うことを特徴とする熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【0008】
2.「現像開始温度T1から現像最適温度T2」の経過時間をK1としたときに、K1×(1/2)での熱現像銀塩感光材料の温度F1が、T1<F1<(T1+T2)/2であることを特徴とする1に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【0009】
3.「現像最適温度T2から現像停止温度T3」の経過時間をK2としたときに、K2×(1/2)での熱現像銀塩感光材料の温度F2が、T3<F2<(T2+T3)/2であることを特徴とする1に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【0010】
4.「現像開始温度T1から現像最適温度T2」の経過時間をK1、1枚目処理時点でのK1×(1/2)での熱現像銀塩感光材料の温度をF1(1)、100枚目処理時点でのK1×(1/2)での熱現像銀塩感光材料の温度をF1(100)としたときに、
(T1+T2)/2<F1(1)<T2
かつ
|F1(1)−F1(100)|≦|(T2−T1)×1/10|
であることを特徴とする1に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【0011】
5.「現像停止温度T3から室温Tr」における曲率が曲率半径500mm以下であることを特徴とする1〜4のいずれか1項に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【0012】
6.「室温Trから現像開始温度T1」直後の熱現像銀塩感光材料含水量をA、「現像最適温度T2」直後の熱現像銀塩感光材料含水量をBとしたときに0.8≦B/A≦1.2であることを特徴とする1〜5のいずれか1項に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【0013】
7.熱現像銀塩感光材料の非感光面から加熱処理することを特徴とする1〜6のいずれか1項に記載の熱現像銀塩感光材料の処理方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数枚のプレート型ヒータを配置した熱現像銀塩感光材料の熱現像処理方法において、各プレートの制御温度を特定に最適化することにより、大量の熱現像銀塩感光材料が連続処理される際の濃度変動を安定にすることができ、特に処理中に温度や湿度などの環境が変動した場合でも濃度変動、濃度安定性、が大きく改善された熱現像銀塩感光材料の処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明において、現像開始温度とは現像反応開始時のカブリ濃度変動率が0.03D/sec以下にある温度のことをいう。
【0018】
現像最適温度とは画像中間濃度における1℃変動したときの濃度変動率がもっとも低い温度をいう。
【0019】
現像停止温度とは現像反応停止時のカブリ濃度変動率が0.03D/sec以下にある温度のことをいう。
【0020】
図1、図2に、本発明における処理時間に対する熱現像銀塩感光材料(フィルム)温度変化をグラフに示す(以下、このグラフのプロットを温度プロファイルと称する)。図1、図2に示す温度プロファイルとすることにより、連続処理においても濃度の変動がほとんどない安定した画像が得られることを見いだした。
【0021】
本発明においてF1、F2を所定の温度に制御する手段は特に問わないが、プレート接触面と反対側から加熱する、ヒーター密度分布を調整する、ヒートシンクを用いる等の手段がある。
【0022】
本発明において「現像停止温度T3から室温Tr」における曲率が曲率半径500mm以下であることが重要である。この範囲にすることにより出力された感光材料はカールすることなく医用画像の読影に支障のない出力画像が得られる。
【0023】
25℃相対湿度20%環境下、熱現像感光材料の現像処理を行い「室温Trから現像開始温度T1」直後に感光材料を取り出しカール・フィッシャー法によって水分量(A)を測定する。同様にして「現像最適温度T2」直後のフィルム含水量(B)を測定し、これらの値よりフィルム含水率比(B/A)を求める。
【0024】
本発明においフィルム含水率比(B/A)は0.8〜1.2であり、好ましくは0.9〜1.1、さらに好ましくは0.95〜1.05である。
【0025】
カール・フィッシャー法による水分量の測定を行い含水量比を求めた。この際の測定機器としては平沼自動加熱気化水分測定システムAQS−720(平沼産業(株)製)を用いた。
【0026】
熱現像銀塩感光材料の画像形成層およびその他の種々の非感光性層は、各層のバインダーや添加剤の構成の違い、あるいは保存された環境によって異なる水分含量を有する。現像最適点での層中の水分含量を一定に保つことにより安定した写真性能が得られることを見いだした。しかしながら、熱現像銀塩感光材料は、保存される環境の湿度や温度が常に一定とは限らないこと、また、熱現像銀塩感光材料が露光され熱現像される環境の温湿度も変動するため、含水量を一定に保つことは容易なことではない。
【0027】
本発明者らは、含水量と写真性能の関係を詳細に解明した結果、「室温Trから現像開始温度T1」直後のフィルム含水量と「現像最適温度T2」直後の熱現像銀塩感光材料(フィルム)含水量の割合をある一定の範囲とすることで、この環境温湿度依存性が小さくなることを見出した。
【0028】
本発明の割合は「室温Trから現像開始温度T1」の時間を調整することで達成できる。原理的には温度で調整することも可能ではあるが、段階的に熱供給するという本発明の趣旨に反するため好ましくない。
【0029】
(装置の全体構成)
図1は、好ましい実施の形態に用いることができる熱現像装置の一例の要部を概略的に示す側面図である。
【0030】
図1に示すように、好ましい実施の形態に用いることができる熱現像装置40は、PET等からなるシート状の支持基体の片面上に熱現像感光材料が塗布された感光面(以下EC面)と、EC面と反対面の支持基体側の非感光面(以下BC面)とを有するフィルムFを副走査搬送しながら光走査露光部55からのレーザ光LでEC面に潜像を形成し、次に、フィルムFをBC面側から加熱して現像し潜像を可視化し、曲率のある搬送経路を通して装置上方に搬送し排出するものである。
【0031】
図1の熱現像装置40は、装置筐体40aの底部近傍に設けられ未使用の多数枚のフィルムFを収納するフィルム収納部45と、フィルム収納部45の最上のフィルムFをピックアップして搬送するピックアップローラ46と、ピックアップローラ46からのフィルムFを搬送する搬送ローラ対47と、搬送ローラ対47からのフィルムFをガイドし搬送方向をほぼ反転させて搬送するように曲面状に構成された曲面ガイド48と、曲面ガイド48からのフィルムFを副走査搬送するための搬送ローラ対49a,49bと、搬送ローラ対49aと49bとの間でフィルムFに画像データに基づいてレーザ光Lを光走査して露光することによりEC面に潜像を形成する光走査露光部55と、を備える。
【0032】
熱現像装置40は、更に、潜像の形成されたフィルムFをBC面側から加熱し所定の熱現像温度まで昇温させる昇温部50と、昇温されたフィルムFを加熱して所定の熱現像温度に保温する保温部53と、加熱されたフィルムFをBC面側から冷却する冷却部54と、冷却部54の出口側に配置されてフィルムFの濃度を測定する濃度計56と、濃度計56からのフィルムFを排出する搬送ローラ対57と、搬送ローラ対57で排出されたフィルムFが載置されるように装置筐体40aの上面に傾斜して設けられたフィルム載置部58と、を備える。
【0033】
図1のように、熱現像装置40では、装置筐体40aの底部から上方に向けて、フィルム収納部45、基板部59、搬送ローラ対49a,49b・昇温部50・保温部53(上流側)の順に配置されており、フィルム収納部45が最下方にあり、また昇温部50・保温部53との間に基板部59があるので、熱影響を受け難くなっている。
【0034】
また、副走査搬送の搬送ローラ対49a,49bから昇温部50までの搬送路は比較的短く構成されているので、光走査露光部55によりフィルムFに対し露光が行われながらフィルムFの先端側では昇温部50、保温部53で熱現像加熱が行われる。
【0035】
昇温部50と保温部53とで加熱部を構成し、フィルムFを熱現像温度まで加熱し熱現像温度に保持する。昇温部50は、フィルムFを上流側で加熱する第1の加熱ゾーン501〜503と、下流側で加熱する第2の加熱ゾーン504、505と、を有する。
【0036】
第1の加熱ゾーン501〜503は、アルミニウム等の金属材料からなり固定された平面状の加熱ガイド501b〜503bと、加熱ガイド501b〜503bの裏面に密着されたシリコンラバーヒータ等からなる平面状の加熱ヒータ501c〜503cと、加熱ガイド501b〜503bの固定ガイド面501d〜503dにフィルムを押圧可能にフィルム厚さよりも狭い隙間を維持するように配置されかつ表面が金属等に比べ熱絶縁性のあるシリコンゴム等からなる複数の対向ローラ501a〜503aと、を有する。
【0037】
第2の加熱ゾーン504、505は、アルミニウム等の金属材料からなり固定された平面状の加熱ガイド504b、505bと、加熱ガイド504b、505bの裏面に密着されたシリコンラバーヒータ等からなる平面状の加熱ヒータ504c、505cと、加熱ガイド504b、505bの固定ガイド面504d、505dにフィルムを押圧可能にフィルム厚さよりも狭い隙間を維持するように配置されかつ表面が金属等に比べ熱絶縁性のあるシリコンゴム等からなる複数の対向ローラ504a、505aと、を有する。
【0038】
保温部53は、アルミニウム等の金属材料からなり固定された加熱ガイド53bと、加熱ガイド53bの裏面に密着されたシリコンラバーヒータ等からなる平面状の加熱ヒータ53cと、加熱ガイド53bの表面に構成された固定ガイド面53dに対し所定の隙間(スリット)dを有するように対向して配置された断熱材等からなるガイド部53aと、を有する。保温部53は、昇温部50側が第2の加熱ゾーン505と連続して平面的に構成され、途中から装置上方に向けて所定の曲率で曲面状に構成されている。
【0039】
昇温部50の第1の加熱ゾーン501〜503では、昇温部50の上流側から搬送ローラ対49a,49bにより搬送されてきたフィルムFが回転駆動された各対向ローラ501a〜503aにより固定ガイド面501d〜503dに押圧されることでBC面が固定ガイド面501d〜503dに密に接触して加熱されながら搬送されるようになっている。
【0040】
第2の加熱ゾーン504、505でも同様に、第1の加熱ゾーン501〜503から搬送されてきたフィルムFが回転駆動された各対向ローラ504a、505aにより固定ガイド面504d、505dに押圧されることでBC面が固定ガイド面504d、505dに密に接触して加熱されながら搬送されるようになっている。
【0041】
なお、昇温部50の第2の加熱ゾーン505と保温部53との間に上方にV字状に開口した凹部を設けるように構成してもよく、昇温部50からの異物が凹部内に落下することにより、昇温部50からの異物が保温部53に持ち込まれることを防止できる。
【0042】
保温部53では、第2の加熱ゾーン505から搬送されてきたフィルムFが加熱ガイド53bの固定ガイド面53dとガイド部53aとの間の隙間dにおいて加熱ガイド53bからの熱で加熱(保温)されながら、第2の加熱ゾーン505側の対向ローラ505aの搬送力により隙間dを通過する。このとき、フィルムFは、隙間dにおいて水平方向から垂直方向に向きを次第に変えながら搬送され、冷却部54に向かう。
【0043】
冷却部54では、保温部53からほぼ垂直方向に搬送されてきたフィルムFを金属材料等からなる冷却プレート54bの冷却ガイド面54cに対向ローラ54aにより接触させて冷却しながら、垂直方向から次第に斜め方向にフィルムFの向きをフィルム載置部58に変えて搬送するようになっている。なお、冷却プレート54bをフィン付きのヒートシンク構造とすることで冷却効果を増すことができる。冷却プレート54bの一部をフィン付きのヒートシンク構造にしてもよい。
【0044】
冷却部54から出た冷却されたフィルムFは濃度計56で濃度測定され、搬送ローラ対57により搬送されてフィルム載置部58へと排出される。フィルム載置部58は複数枚のフィルムFを一時的に載置しておくことができる。
【0045】
上述のように、図1の熱現像装置40では、フィルムFは、昇温部50及び保温部53においてBC面が加熱状態の固定ガイド面501d〜503d、504d、505d、53dに向いており、熱現像感光材料の塗布されたEC面が開放された状態で搬送される。また、冷却部54では、フィルムFは、BC面が冷却ガイド面54cに接触し冷却され、熱現像材料が塗布されたEC面が開放された状態で搬送される。
【0046】
また、フィルムFは、昇温部50及び保温部53の通過時間が10秒以下となるよう対向ローラ501a〜503a、504a、505aにより搬送される。従って、昇温〜保温の加熱時間も10秒以下ということになる。
【0047】
以上のように、図1の熱現像装置40によれば、均一熱伝達が必要な昇温部50において、加熱ガイド501b〜503b、504b、505bと、フィルムFを加熱ガイド501b〜503b、504b、505bに押圧する複数の対向ローラ501a〜503a、504a、505aとによりフィルムFを固定ガイド面501d〜503d、504d、505dに密着させることで接触伝熱を確保しながらフィルムFを搬送するので、フィルム全面が均一に加熱され、均一に温度上昇するので、仕上がりフィルムは濃度むらの発生を抑えた高品質の画像となる。
【0048】
また、熱現像温度への昇温後は、保温部53で加熱ガイド53bの固定ガイド面53dとガイド部53aとの間の隙間dにフィルムを搬送し、特に固定ガイド面53dに密着させずに隙間dにおいて加熱(固定ガイド面53dに直接接触し伝熱加熱する、及び/又は、周囲の高温空気との接触による伝熱)しても、フィルム温度は現像温度(例えば123℃)に対し所定の範囲内(例えば0.5℃)に収まる。このように、フィルムが隙間dにおいて加熱ガイド53bの壁面または曲面ガイド53aの壁面のどちらに沿って搬送されても、フィルム温度差は0.5℃未満であり、均一な保温状態が維持できるので、仕上がりフィルムにおける濃度むら発生の虞はほとんど生じない。このため、保温部53にローラ等の駆動部品を設ける必要がないので、点数削減を達成できる。
【0049】
更に、フィルムFの加熱時間が10秒以下で済むので、迅速な熱現像プロセスを実現でき、また、昇温部50から水平方向に延びた保温部53が途中から曲面状になって垂直方向に向くよう構成され、フィルムFは冷却部54でフィルムFの向きをほぼ反転させてフィルム載置部58へと排出されるので、装置レイアウトに応じて冷却部54を所定の曲率とすることで、設置面積の小型化・装置全体の小型化に対応可能となる。
【0050】
従来の大型機ではフィルムを現像温度に昇温以降の保温機能で充分な部分にも、昇温部と同一な加熱搬送機構としていたため、結果的に不必要な部材を使用してしまっており、部品点数の増加やコストアップを招いており、また、従来の小型機では昇温時の熱伝達を保障し難いため濃度むら発生の問題があり高画質の保障が困難であったのに対し、好ましい実施の形態によれば、熱現像プロセスを昇温部50と保温部53とで別々に実行することで、かかる問題をいずれも解消することができる。
【0051】
また、フィルムFを昇温部50及び保温部53で熱現像感光材料の塗布されたEC面が開放された状態でBC面側から加熱することで、10秒以下の迅速処理で熱現像プロセスを実行する際に、EC面側の開放により、加熱され揮発(蒸発)しようとするフィルムFに含まれる溶媒(水分、有機溶剤等)が最短距離で離散するので、加熱時間(揮発時間)が短くなっても時間短縮の影響を受け難くなるとともに、部分的にフィルムFと固定ガイド面501d〜503d、504d、505dとの接触性が悪い部分があっても、BC面のPETベースによる熱拡散効果により、接触性の良い部分との温度差が緩和され、結果として濃度差が起こりにくいので、濃度を安定化でき、画質が安定する。なお、一般的に加熱効率を考慮すると、EC面側加熱の方が良いと考えられていたが、フィルムFの支持基体のPETの熱伝導率0.17W/m℃、PETベースの厚さ170μm前後であることを考慮すると、時間遅れはわずかであり、ヒータ容量アップ等で容易に相殺可能であり、上記の接触むらを緩和する効果の方が期待できる方が好ましい。
【0052】
更に、保温部53を出て、冷却部54に至る間にもフィルムF中の溶媒(水分、有機溶剤等)は高温であるため揮発(蒸発)しようとしているが、冷却部54でもフィルムFのEC面が開放状態であるので、溶媒(水分、有機溶剤等)がトラップされず、より長い時間、揮発させることになるのでより、画質が安定する。このように、迅速処理時には冷却時間も無視できず、加熱時間10秒以下の迅速処理には特に有効となる。
【0053】
熱現像温度は110〜150℃の範囲であることが好ましく、更には115〜135℃の範囲であることが好ましい。加熱温度が80℃未満では短時間に十分な画像濃度が得られず、又、高温(特に200℃以上)ではバインダーの溶融等によるローラへの転写や、搬送性、現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処理液の供給を一切行わないで進行する。
【0054】
加熱手段は加熱プレートとの接触加熱、輻射等の非接触加熱、いずれの手段を用いても構わないが、加熱プレートとの接触加熱が好ましい。接触加熱面は感光層側、非感光層側いずれでも構わないが、処理環境に対する安定性から非感光層側が接触加熱面であることが好ましい。現像部は独立して温度制御された複数のゾーン及び複数の手段を組み合わせて構成されていることが好ましく、更には、特定の現像温度を維持する保温ゾーンを少なくとも1つ有していることが好ましい。従って、本発明に好ましく使用できる熱現像装置においては、熱現像プロセスを昇温部と保温部とで個別の構成を採用でき、昇温部で加熱部材等の加熱手段とシートフィルムとの密な接触を図り濃度むらの発生を抑え、保温部ではそのような密な接触を図る必要がなく、昇温部と保温部とで異なる最適な加熱方式を用いることで、濃度むらのない高画質を維持しながら熱現像プロセスの迅速処理、装置の小型化及びコストダウンが可能な構成にできる。
【0055】
上記熱現像装置において、前記昇温部は、前記シートフィルムを対向ローラによりプレートヒータに押圧して接触させながら加熱し、前記保温部は、少なくとも一方にヒータを有するガイド間に形成されたスリット内において前記シートフィルムを加熱する構成にできる。昇温部ではシートフィルムを対向ローラによりプレートヒータに押圧して接触させることで、プレートヒータとシートフィルムとを密に接触させることができる一方、保温部では昇温部の対向ローラによる搬送力でスリット間において加熱(保温)しながら搬送すればよいので、搬送系の駆動部品が不要になり、またスリット寸法の精度もさほど要求されずに、装置の小型化及びコストダウンが可能になる。
【0056】
この熱現像装置によれば、第1ゾーンで加熱部材等の加熱手段とシートフィルムとの密な接触を確保してシートフィルムの昇温を行い、濃度むらの発生を抑え、そのような密な接触を図る必要がないので、第2ゾーンではガイド隙間でシートフィルムの保温を行うことで、濃度むらのない高画質を維持しながら熱現像プロセスの迅速処理、装置の小型化及びコストダウンが可能な構成にできる。ガイド隙間が3mm以下であると、第2ゾーンにおいてシートフィルムの搬送姿勢に関わらず保温性能に影響が少なく、また、固定ガイドと別のガイドとの配置精度がさほど要求されず、両ガイドの加工時の曲率誤差や取り付け精度に対する許容量が大となり、大幅に設計の自由度を増す結果となり、装置のコスト減に寄与できる。
【0057】
上記熱現像装置において、前記第2ゾーンのガイド間隙が1乃至3mmの範囲内であることが好ましい。ガイド隙間が1mm以上であると、シートフィルムの熱現像感光材料の塗布面がガイド面に触れ難くなり傷発生のおそれが低下し、好ましい。
【0058】
また、前記第2ゾーンの前記固定ガイドと前記ガイドが略同一の曲率を有することが好ましい。装置小型化等のために第2ゾーンのガイドに曲率をもたせた場合に、ガイド間隙がほぼ一定のガイドを構成できる。
【0059】
また、前記昇温部及び前記保温部における前記シートフィルムとの係合時間が10秒以下であるように構成することができ、昇温工程と保温工程の期間を短縮でき熱現像プロセスの迅速処理が可能になる。
【0060】
また、前記昇温部と前記保温部との間に凹部を設け、前記昇温部からの異物が前記凹部内に入り込むように構成することで、昇温部を搬送される間に、フィルム先端部により集積移動された異物が、保温部に持ち込まれることを防止でき、シートフィルムにジャム・傷・濃度むら等が発生することを防止できる。
【0061】
なお、前記昇温部及び前記保温部は、前記熱現像感光材料の塗布面側を開放して前記シートフィルムを加熱するように構成されることが好ましい。また冷却部においても前記熱現像感光材料の塗布面側を開放して冷却を行うことが好ましい。
【0062】
但し、保温ゾーンの機構は昇温されたフィルム温度を維持する機構であればよく、上記に制限されるものではない。また、現像時間は5〜10秒であることが好ましい。
【0063】
また、上記現像装置は、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を像様露光後、所望の現像温度で加熱する熱現像工程前に70〜100℃に加熱するプレヒートゾーンを有していてもよい。更には、90〜100℃に加熱することが好ましい。プレヒートゾーンの加熱機構に特に制限はないが、コスト、制御性の観点から、加熱プレートとの接触加熱が好ましい。プレヒートゾーンの加熱温度精度は±1℃であることが好ましく、更には、±0.5℃であることが好ましい。加熱時間はその加熱機構により適正値異なるが、0.5〜7秒の範囲であることが好ましい。更には、1〜3秒の範囲であることが好ましい。
【0064】
また、上記現像装置は、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を像様露光後、所望の現像温度で加熱後、熱現像温度に対して10〜20℃低い温度に調整して現像を停止する徐冷ゾーンを有していてもよい。更には、熱現像温度に対して10〜15℃低い温度に調整することが好ましい。徐冷ゾーンの機構に特に制限はないが、コスト、制御性の観点から、所望の温度に調整したプレートとの接触冷却が好ましい。徐冷ゾーンの温度精度は±1℃であることが好ましく、更には±0.5℃であることが好ましい。徐冷時間は、現像時間に対して×0.25以上であることが好ましく、迅速処理の観点を考慮すると×0.25〜×1.0の範囲であることが好ましい。
【0065】
また、迅速化の観点から、露光処理と熱現像処理を同時に行う態様に対応する必要がある。露光処理と熱現像処理を同時に行う、即ち、シート感材の一部分を露光しながら、すでに露光がなされたシートの一部分で現像が開始されるためには、露光処理を行う露光部と現像部の間の距離が0cm以上50cm以下であることが好ましく、これにより露光・現像の一連の処理時間が極めて短くなる。この距離の好ましい範囲は、3cm以上40cm以下であり、より好ましくは、5cm以上30cm以下である。
【0066】
ここで露光部とは、露光光源からの光が銀塩光熱写真ドライイメージング材料に照射される位置をいい、現像部とは、熱現像感光材料が熱現像を行うために初めて加熱される位置をいう。
【0067】
尚、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の熱現像部における搬送速度は20〜200mm/秒であり、特に好ましくは30〜150mm/秒である。搬送速度をこの範囲とすることにより、熱現像時の濃度むらを改良でき、また処理時間が短縮できるため、緊急時の診断にも対応できて好ましい。
【0068】
また、本発明においては、フィルム収納部45から昇温部50に至る搬送経路付近に温湿度センサを設け、測定した温度又は湿度に基づいて現像時間や現像温度を制御することで安定した画質を維持することが可能となる。例えば、環境湿度が高い場合には、現像温度を下げたり現像時間を短くすることにより、画像濃度の安定を図ることが可能となる。
【0069】
(光走査露光部の構成)
光走査露光部55は、フィルムFに赤外域780〜860nm範囲内で且つ画像信号に基づいて変調されたレーザビームL、例えば、810nmのレーザビームを照射する。これによりフィルムFに潜像を形成する。
【0070】
図1は、走査露光部の構成図である。光走査露光部55は、ケース550、レーザダイオード551、レンズ552、シリンドリカルレンズ553、ポリゴンミラー(回転多面鏡)554、fθレンズ555、シリンドリカルレンズ556、ミラー557、ケース550内の温度及び湿度を検知する温湿度センサ558、ケース550内の湿度を調湿する調湿剤559、ケース550のレーザビームの照射口の開閉を行うシャッタ560、シャッタ560に結合された磁性ロッド561、磁性ロッド561を吸引する電磁プランジャ562及びシャッタに結合された引っ張りバネ563等から構成されている。
【0071】
本発明においては、シリンドリカルレンズ553、結像レンズ部を構成するfθレンズ555及びシリンドリカルレンズ556は、樹脂(プラスチック)で形成されている。
【0072】
樹脂レンズとしては、射出成形可能な原料からなるプラスチックレンズであればよく、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等の原料を含有するレンズを用いることができる。本発明においては、吸湿による屈折率変化が少なく光学歪みも少ない特性を有するポリオレフィン樹脂系のシクロオレフィンポリマーを用いることが好ましい。
【0073】
図2は、走査露光部の制御ブロック図である。画像信号出力装置564から出力された画像信号Sをアナログ信号に変換するD/A変換部565、D/A変換部565から出力されたアナログ信号に高周波を重畳させる変調部566、レーザビームの強度を一定にするレーザダイオード551からの出力をモニタする光量モニタ信号567等から構成され、本体の制御部60により制御される。
【0074】
この走査露光部55では、画像信号出力装置564から出力された画像信号Sに基づき強度変調されたレーザビームLをポリゴンミラー(回転多面鏡)554によって偏向してfθレンズ555を介してフィルムF上を主走査するとともに、フィルムFをレーザビームLに対して主走査方向と略直角な方向に相対移動させることにより副走査することでフィルムFに潜像を形成する。画像信号出力装置564から出力された画像信号Sは、D/A変換部565においてアナログ信号に変換され、変調回路を有する変調部566に入力される。かかるアナログ信号に基づき変調部566で変0調信号が生成される。この変調信号は変調部566の備える高周波重畳回路により高周波信号が重畳されてから半導体レーザであるレーザダイオード551を駆動し、レーザダイオード551からレーザビームLを照射させる。
【0075】
変調部566は、高周波重畳回路を有し、レーザダイオード551に電流を印加し、レーザダイオード551へ出力する電流を変調することでレーザダイオード551の光出力を制御することができる。詳細には、変調部566は、レーザダイオード551を高周波重畳駆動させ、レーザダイオード551から照射される光を1:100以上のダイナミックレンジによりアナログ直接変調する。この変調部566は最大180mAの電流を印加して、該レーザダイオード551からのレーザ発振光を変調できるようになっている。また、変調部566はレーザダイオード41から照射されたレーザビームLを受光する光量センサ(図示省略)からの光量モニタ信号が入力されることでレーザビームLの強度が一定になるように制御する。
【0076】
レーザダイオード551は、印加される電流量に応じて自然発光光及びレーザ発振光を発するものであり、印加する電流量に応じて光出力を制御することができる。詳細には、印加される電流が所定のしきい値電流(例えば20mA)を超えるまではレーザ発振光は出力されず、自然発光光のみが出力される。自然発光光は印加される電流が増加するにつれて大きくなるが、電流がしきい値を超えるとレーザ発振光を出力し、その出力が大きくなると発光光の全体に占める割合がわずかとなり、実質的にレーザ発振光のみが出力されるように構成されているものである。
【0077】
図1に示すように、レーザダイオード551から照射されたレーザビームLは、レンズ552を通過した後、シリンドリカルレンズ553により上下方向にのみ収束されて、ポリゴンミラー554に対し、その駆動軸に垂直な線像として入射する。ポリゴンミラー554は、レーザビームLを主走査方向に反射し偏向し、この偏向されたレーザビームLは、fθレンズ555、シリンドリカルレンズ556を有する結像レンズ部を通過した後、光路上に主走査方向に延在して設けられたミラー557で反射されて、フィルムFの被走査面Faを繰り返し走査する。
【0078】
fθレンズ555は、倍率色収差が5μm/nm以下となるように構成されている。つまり、fθレンズ555に入射されたレーザビームLの波長を結像される面であるフィルムFの表面に対して10nmシフトさせると、所定の位置から0.05mm以下の位置に光線がずれる、つまり1nm当たり5μm以下でずれるように構成されている。言い換えれば、波長が1nm変更することでfθレンズ555を介してフィルムF表面に結像される像点が5μm以下の範囲内でのみ移動するように構成されている。
【0079】
fθレンズ555とともに結像レンズ部を構成するシリンドリカルレンズ556は、入射したレーザビームLをフィルムFの被走査面Fa上に、副走査方向にのみ収束されるものとなっている。また、fθレンズ451からフィルムFの被走査面Faまでの距離は、fθレンズ555全体の焦点距離と等しくなっている。このように走査露光部55では、シリンドリカルレンズ553及びfθレンズ555、シリンドリカルレンズ556を備えた結像レンズ部を有しており、レーザビームLがポリゴンミラー554上で一旦副走査方向にのみ収束させるので、ポリゴンミラー554に面倒れや軸ぶれが生じてもフィルムFの被走査面Fa上においてレーザビームLの走査位置が副走査方向にずれることがなく、等ピッチの走査線を形成することができる。以上のようにして走査露光部55においてフィルムFに画像信号Sに基づく潜像が形成されることで画像記録が行われる。
【0080】
このように熱現像装置40における走査露光部55によれば、高周波重畳駆動されるレーザダイオード551からの光をフィルムFの表面に照射させる結像レンズ部のうちのfθレンズ555の倍率色収差が5μm/nm以下で構成されているので、レーザダイオード551からのレーザビームLをfθレンズ555を介してフィルムFに照射し走査して画像を記録する際に、干渉縞の発生を防止することができるとともに、レーザビーム径の増大を防止して画像の鮮鋭性悪化を防ぐことができる。なお、上記実施の形態では、変調部566によりレーザダイオード551を高周波重畳変調駆動及び、レーザダイオード551の光を1:100以上のダイナミックレンジによりアナログ直接変調駆動するように構成したが、これに限らず、fθレンズ555の倍率色収差が5μm/nm以下であれば、高周波重畳変調駆動及びダイナミックレンジ1:100以上のアナログ直接変調駆動の少なくとも一方の駆動を行うように構成してもよい。その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。なお、発明を各実施の形態に基づき具体的に説明したが、上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種種変更可能である。
【0081】
銀塩光熱写真ドライイメージング材料の露光に用いられる露光、あるいは、画像形成方法における露光については、目的とする適切な画像を得るために適した光源、露光時間等に関し、種々の条件を採用することができる。
【0082】
本発明に用いることができる銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、画像記録する際にレーザ光線を用いるのが好ましい。また、本発明においては、当該感光材料に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば当該感光材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザパワーがハイパワーであることや、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザ(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
【0083】
次に、走査露光部55は、図1に示すように、ケース550で囲まれた密閉構造をしており、レーザビームの照射部分のみ開口部を有し、シャッタ560により開口部が開閉可能な構成になっている。レーザビームを照射する際にシャッタ560を開き、それ以外の場合にはシャッタ560を閉じるように構成されている。シャッタ560は、電磁プランジャ562に電流を流すと磁性ロッド561が図の左方向に吸引されることにより左方向に移動して開くように動作する。また、シャッタ560は、電磁プランジャ562に電流を流すのを止めると磁性ロッド561が吸引されなくなるとともに、引っ張りバネの力により右方向に移動して閉じるように動作する。
【0084】
このように、レーザビームの照射を行うとき以外はシャッタ560を閉じてケース550内を密閉することで、外部の湿度が大きく変化しても、内部はほぼ一定の湿度に保たれるので、本発明のように、樹脂レンズを用いた場合でも、樹脂レンズの屈折率が変化したりやレンズ形状が変形したりするのが抑制され、ビーム径や結像位置の変動小さくなり、
高品質な画像が得られる。
【0085】
また、走査露光部55には、調湿剤559が設けられており、一層湿度変動が抑制され、高品質な画像が得られる。調湿剤の種類及び量は、湿度変動が20%RH以内に抑えられるのであれば、特に問わない。
【0086】
また、走査露光部55には、温湿度センサ558が設けられており、測定した温度又は湿度に基づいて制御部60がレーザダイオード551の露光量を制御することで安定した画質を維持することが可能となる。例えば、環境湿度が高い場合には、露光量を下げることにより、画像濃度の安定を図ることが可能となる。
【0087】
(熱現像銀塩感光材料)
以下、本発明に用いることができる熱現像銀塩感光材料について、説明する。
【0088】
〔非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子〕
本発明に係る熱現像銀塩感光材料に用いることのできる非感光性脂肪族カルボン酸銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。非感光性脂肪族カルボン酸銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の脂肪族カルボン酸塩であってよい。脂肪族カルボン酸の銀塩は、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪族カルボン酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸銀およびこれらの混合物などを含む。本発明においては、脂肪族カルボン酸銀塩は70 ̄99mol%のベヘン酸銀を含有する。更には、80mol%以上90mol%未満のベヘン酸銀を含有することが好ましい。また、エルカ酸銀含有率が2モル%以下、より好ましくは1mol%以下、更に好ましくは0.1mol%以下の脂肪族カルボン酸銀塩を用いる事が好ましい。
【0089】
本発明において非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子の球相当直径は、0.05μm以上0.5μm以下であることを特徴とする。好ましくは、0.10μm以上0.5μm以下である。またその粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散度は、平均直径の標準偏差で表す事ができ、本発明の脂肪族カルボン酸銀塩粒子の標準偏差は0.3以下であることを特徴とする。更には、0.2以下であることが好ましい。
【0090】
この場合の粒子サイズ及びサイズ分布の測定は、レーザ回折法、遠心沈降光透過法、X線透過法、電気的検知帯法、遮光法、超音波減衰分光法、画像より算出する方法等、一般的に知られる粒度分布の測定方法により各々求めることができるが、その中でも、微細な粒子に対しては、レーザ回折法、画像より算出する方法が好ましい。更にはレーザ回折法が好ましく、液中に分散した脂肪族カルボン酸銀塩粒子を市販のレーザ回折粒度分布測定装置により行うことができる。
【0091】
粒子サイズ及び、サイズ分布測定方法の具体例を示す。
【0092】
100mlのビーカーに、0.01gの脂肪族カルボン酸銀塩粒子サンプルをとり、0.1gのノニオンNS−210(日本油脂(株)製)、40mlの水を加えた後、室温で超音波分散し、得られた分散液でレーザ回折粒度測定装置 SALD−2000(島津製作所(株)製)により、平均粒子径及び、標準偏差を測定することができる。
【0093】
平均球相当直径が0.05μm以上0.5μm以下であり、かつ、球相当直径の標準偏差が0.3以下になるように該非感光性脂肪族カルボン酸銀塩を調製するには、以下に示す混合方法で反応させ調製することが好ましい。
【0094】
脂肪族カルボン酸銀塩粒子は、銀イオンを含む溶液と、脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液とを反応させることによって調製されることが好ましい。銀イオンを含む溶液は硝酸銀水溶液、脂肪族カルボン酸金属塩溶液もしくは懸濁液は水溶液もしくは水分散液であることが好ましく、その添加混合は、同時に行われることが好ましく、その方法については、反応浴の液面に添加する方法、液中に添加する方法等何れの方法で行っても構わないが、移送手段中に添加混合する方法が好ましい。移送手段中の混合とは、ラインミキシングを意味し、銀イオンを含む溶液と脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液との混合が反応物を含む混合液を貯留するバッチに入る前に行われることを特徴とする。混合部の攪拌手段は、ホモミキサー等の機械的攪拌、スタチックミキサー、乱流効果等いずれの手段を用いても構わないが、機械的攪拌を用いない方が好ましい。尚、移送手段中の混合は、銀イオンを含む溶液、脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液に加えて、水、混合後バッチに貯留された混合液の循環液等、第3の液もしくは懸濁液を混合しても構わない。
【0095】
硝酸銀水溶液濃度は1〜15質量%、脂肪族カルボン酸金属塩水溶液もしくは水分散液の濃度は1〜5質量%の範囲にあることが好ましい。上記濃度範囲外において、低濃度域では生産性が著しく劣化し現実的ではなく、高濃度域では粒径サイズ及びサイズ分布を本発明の範囲に調整することが困難になる。また、脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩に対する硝酸銀の混合モル比は0.9〜1.1の範囲にあることが好ましく、範囲外では粒径サイズ及びサイズ分布を本発明の範囲に調整することが困難になるのに加え、脂肪族カルボン酸銀塩の収率低下や、カブリ原因になる酸化銀の生成に繋がりやすくなる。
【0096】
調製された脂肪族カルボン酸銀塩は、その保存性の観点から、水洗され、その後乾燥されることが好ましい。水洗は、未反応イオン等の除去を主目的に行うが、その後の乾燥工程を考慮して、有機溶剤で行っても構わない。水洗に際しては、50℃以下で行われることが好ましい。更には、30℃以下で行うことが好ましい。50℃以上で実施すると粒径サイズ及びサイズ分布を本発明の範囲に調整することが困難になる。また、乾燥については、脂肪族カルボン酸銀塩の相転移温度以下で行うことが好ましい。更には、50℃以下で行うことが好ましく極力低温で行うことが好ましい。相転移温度以上での乾燥では粒径サイズ及びサイズ分布を本発明の範囲に調整することが困難になる。
【0097】
脂肪族カルボン酸銀塩の調製は感光性ハロゲン化銀粒子の非存在下で行われることが好ましい。感光性ハロゲン化銀存在下での調製では、カブリ性能との両立から、脂肪族カルボン酸銀塩粒子のサイズ及びサイズ分布を本発明の範囲に調整することが困難になる。
【0098】
脂肪族カルボン酸銀塩は所望の量で使用できるが、ハロゲン化銀を含めた合計銀量として0.8〜1.5g/m2が好ましく、更には1.0〜1.3g/m2の範囲であることが好ましい。
【0099】
[アルカリ金属塩の種類]
本発明で使用できるアルカリ金属塩の種類の例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。これらのうちの1種類のアルカリ金属塩、例えば、水酸化カリウムを用いることが好ましいが、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムを併用することも好ましい。併用比率としては前記の水酸化塩の両者のモル比が10:90〜75:25の範囲であることが好ましい。脂肪族カルボン酸と反応して脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩となったときに上記の範囲で使用することで、反応液の粘度を良好な状態に制御できる。
【0100】
〔高銀化率銀塩粒子〕
本発明において脂肪族カルボン酸銀塩粒子を含有する乳剤は、銀塩を形成していない遊離脂肪族カルボン酸と脂肪族カルボン酸銀塩の混合物であるが、前者の比率が後者に対して低いことが、画像保存性等の観点から、好ましい。すなわち、本発明に係る当該乳剤は脂肪族カルボン酸を該脂肪族カルボン酸銀塩粒子に対して3〜10mol%含有することが好ましい。特に好ましくは、4〜8mol%含有することである。
【0101】
なお、具体的には、下記の方法にて、全脂肪族カルボン酸量、遊離脂肪族カルボン酸量をそれぞれ求めることにより、脂肪族カルボン酸銀塩と遊離脂肪族カルボン酸量及びそれぞれの比率又は全脂肪族カルボン酸に対する遊離脂肪酸の比率等を計算することとする。
【0102】
(全脂肪族カルボン酸量(上記の脂肪族カルボン酸銀塩と遊離酸の両方に由来するものの総計)の定量)
(1)試料約10mg(感光材料から剥離するときは剥離した質量)を正確に秤量し、200mlナス型フラスコに入れる。
(2)メタノール15mlと4mol/L塩酸3mlを加え、1分間超音波分散する。
(3)テフロン(登録商標)製沸石を入れ、60分間リフラックスする。
(4)冷却後、冷却管の上からメタノール5mlを加え、冷却管に付着したものをナス型フラスコに洗い入れる(2回)。
(5)得られた反応液を酢酸エチルで抽出する(酢酸エチル100ml、水70mlを加えて分液抽出を2回行う)。
(6)常温で30分間真空乾燥する。
(7)10mlメスフラスコに内部標準としてベンズアントロン溶液を1ml入れる(ベンズアントロン約100mgをトルエンに溶解し、トルエンで100mlに定容する)。
(8)試料をトルエンに溶かして(7)のメスフラスコに入れ、トルエンで定容する。
(9)下記測定条件にてガス・クロマトグラフィー(GC)測定を行う。
【0103】
装置:HP−5890+HP−ケミステーション
カラム:HP−1 30m×0.32mm×0.25μm(HP製)
注入口:250℃
検出器:280℃
オーブン:250℃一定
キャリアガス:He
ヘッド圧:80kPa
<遊離脂肪族カルボン酸量の定量>
(1)試料約20mgを正確に秤量し、200mlナス型フラスコに入れ、メタノール10mlを加えて25℃にて1分間超音波分散を行う(遊離有機カルボン酸が抽出される)。
(2)それをろ過して、ろ液を200mlナス型フラスコに入れ、乾固する(遊離有機カルボン酸が分離される)。
(3)メタノール15mlと4mol/L塩酸3mlを加え、1分間超音波分散を行う。
(4)テフロン(登録商標)製沸騰石を入れ、60分間リフラックスする。
(5)得られた反応液に水60ml、酢酸エチル60mlを加えて、有機カルボン酸のメチルエステル化物を酢酸エチル相に抽出する。酢酸エチル抽出は2回行う。
(6)酢酸エチル相を乾固し、30分間真空乾燥する。
(7)10mlのメスフラスコにベンズアントロン溶液(内部標準:約100mgのベンズアントロンをトルエンに溶かし、100mlに定容したもの)1mlを入れる。
(8)(6)をトルエンで溶かして、(7)のメスフラスコに入れ、トルエンで定容する。
(9)下記測定条件にてGC測定を行う。
【0104】
装置:HP−5890+HP−ケミステーション
カラム:HP−1 30m×0.32mm×0.25μm(HP製)
注入口:250℃
検出器:280℃
オーブン:250℃一定
キャリアガス:He
ヘッド圧:80kPa
〔脂肪族カルボン酸銀塩の構造と形状〕
本発明に用いることができる脂肪族カルボン酸銀塩の形状としては、特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。本発明においては、りん片状の脂肪族カルボン酸銀塩及び長軸と短軸の長さの比が5以下の短針状又は直方体状の脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく用いられる。
【0105】
なお、本明細書において、りん片状の脂肪族カルボン酸銀塩とは、次のようにして定義する。脂肪族カルボン酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、脂肪族カルボン酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
【0106】
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは20≧x(平均)≧2.0である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
【0107】
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上、0.23μmが好ましく、0.1μm以上、0.20μm以下がより好ましい。c/bの平均は好ましくは1以上、6以下、より好ましくは1.05以上、4以下、更に好ましくは1.1以上、3以下、特に好ましくは1.1以上、2以下である。
【0108】
脂肪族カルボン酸銀塩は、欧州特許1168069A1号及び特開2002−23303号に開示されているようなコア/シェル構造を有する結晶粒子であってもよい。なお、コア/シェル構造にする場合には、コア部またはシェル部のいずれかの全部または一部を脂肪族カルボン酸銀以外の有機銀塩、例えば、フタル酸、ベンゾイミダゾールなどの有機化合物の銀塩を当該結晶粒子の構成成分として使用してもよい。
【0109】
平板状の脂肪族カルボン酸銀塩粒子は、必要に応じバインダーや界面活性剤などと共に予備分散した後、メディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散粉砕することが好ましい。上記予備分散方法としては、例えば、アンカー型、プロペラ型等の一般的撹拌機や高速回転遠心放射型撹拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用することができる。
【0110】
また、上記メディア分散機としては、例えば、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなどの転動ミルや、媒体撹拌ミルであるビーズミル、アトライター、その他バスケットミルなどを用いることが可能であり、高圧ホモジナイザとしては壁、プラグなどに衝突するタイプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させるタイプ、細いオリフィスを通過させるタイプなど様々なタイプを用いることができる。
【0111】
メディア分散時に使用されるセラミックスビーズに用いられるセラミックスとしては、分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを含有するセラミックスを以下においてジルコニアと略す)が特に好ましく用いられる。
【0112】
平板状脂肪族カルボン酸銀塩粒子を分散する際に用いられる装置類において、脂肪族カルボン酸銀塩粒子が接触する部材の材質として、例えば、ジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素などのセラミックス類またはダイヤモンドを用いることが好ましく、中でもジルコニアを用いることが好ましい。上記分散を行う際、バインダー濃度は脂肪族カルボン酸銀質量の0.1〜10%添加することが好ましく、予備分散から本分散を通して液温が45℃を上回らないことが好ましい。また、本分散の好ましい運転条件としては、例えば、高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合には、29〜100MPa、運転回数は2回以上が運転条件として好ましい。又、メディア分散機を分散手段として用いる場合には、周速が6〜13m/秒が好ましい条件として挙げられる。
【0113】
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が、結晶成長抑制剤又は分散剤として機能する化合物の存在下で形成されたものであることが好ましい。また、結晶成長抑制剤又は分散剤として機能する化合物が、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有する有機化合物であることが好ましい。
【0114】
脂肪族カルボン酸銀粒子に対する結晶成長抑制剤ないし分散剤として機能する化合物とは、脂肪族カルボン酸銀粒子の製造工程において、当該化合物を共存させた条件下で脂肪族カルボン酸銀を製造したときに、共存させない条件下で製造したときより小粒径化や単分散化する機能、効果を有する化合物をいう。具体例として、炭素数が10以下の一価アルコール類、好ましくは第2級アルコール、第3級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ポリエチレングリコールなどポリエーテル類、グリセリンが挙げられる。好ましい添加量としては、脂肪族カルボン酸銀に対して10〜200質量%である。
【0115】
一方で、イソヘプタン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキジン酸、イソベヘン酸、イソヘキサコ酸など、それぞれ異性体を含む分岐脂肪族カルボン酸も好ましい。この場合、好ましい側鎖として、炭素数4以下のアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。また、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モロクチン酸、エイコセン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、セラコレン酸などの脂肪族不飽和カルボン酸が挙げられる。好ましい添加量は、脂肪族カルボン酸銀の0.5〜10mol%である。
【0116】
グルコシド、ガラクトシド、フルクトシドなどの配糖体類、トレハロース、スクロースなどトレハロース型二糖類、グリコーゲン、デキストリン、デキストラン、アルギン酸など多糖類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、ソルビタン、ソルビット、酢酸エチル、酢酸メチル、ジメチルホルムアミドなど水溶性有機溶媒、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチンなどの水溶性ポリマー類も好ましい化合物として挙げられる。好ましい添加量としては脂肪族カルボン酸銀に対して0.1〜20質量%である。
【0117】
炭素数が10以下のアルコール、好ましくは、イソプロピルアルコールなどの第二級アルコール、t−ブチルアルコールなどの第三級アルコールは、粒子製造工程での脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩の溶解度を上げることにより減粘し、撹拌効率を上げることで単分散で、かつ小粒径化する。分岐脂肪族カルボン酸及び脂肪族不飽和カルボン酸は、脂肪族カルボン酸銀が結晶化する際にメイン成分である直鎖脂肪族カルボン酸銀よりも立体障害性が高く、結晶格子の乱れが大きくなるため大きな結晶は生成せず、結果的に小粒径化する。
【0118】
[感光性ハロゲン化銀粒子]
本発明に係る熱現像銀塩感光材料に用いることができる感光性ハロゲン化銀粒子(以下、感光性ハロゲン化銀またはハロゲン化銀ともいう。)とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収し得て、または人為的に物理化学的な方法により可視光ないし赤外光を吸収し得て、且つ紫外光領域から赤外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光を吸収した時に当該ハロゲン化銀結晶内及び/または結晶表面において物理化学的変化が起こり得るように処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。
【0119】
本発明においてハロゲン化銀粒子自体は、公知の方法を用いてハロゲン化銀粒子乳剤(ハロゲン化銀乳剤ともいう)として調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよいが、上記方法の中でも形成条件をコントロールしつつハロゲン化銀粒子を調製する、いわゆるコントロールドダブルジェット法が好ましい。
【0120】
通常ハロゲン化銀種粒子は、粒子の核の生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度にこれらを連続的に行う方法でもよく、また核(種粒子)形成と粒子成長を分離して行う方法でもよい。粒子形成条件であるpAg、pH等をコントロールして粒子形成を行うコントロールドダブルジェット法が粒子形状やサイズのコントロールができるので好ましい。例えば、核生成と粒子成長を分離して行う方法を行う場合には、先ず銀塩水溶液とハライド水溶液をゼラチン水溶液中で均一、急速に混合させ核(種粒子)生成(核生成工程)した後、コントロールされたpAg、pH等のもとで銀塩水溶液とハライド水溶液を供給しつつ粒子成長させる粒子成長工程によりハロゲン化銀粒子を調製する。粒子形成後、脱塩工程により不要な塩類等をヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等公知の脱塩法により除くことで所望のハロゲン化銀乳剤を得ることができる。
【0121】
本発明において、ハロゲン化銀粒子の粒径分布は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる粒径の変動係数が30%以下をいう。好ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。
【0122】
粒径の変動係数%=(粒径の標準偏差/粒径の平均値)×100
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、これらの中、特に、立方体、八面体、14面体、平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。
【0123】
平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は、好ましくは1.5以上、100以下、より好ましくは2以上、50以下である。これらについては米国特許第5,264,337号、同5,314,798号、同5,320,958号の各明細書に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。
【0124】
ハロゲン化銀粒子外表面の晶癖については特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子表面への増感色素の吸着反応において、晶癖(面)選択性を有する増感色素を使用する場合には、その選択性に適応する晶癖を相対的に高い割合で有するハロゲン化銀粒子を使用することが好ましい。例えば、ミラー指数〔100〕の結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合には、ハロゲン化銀粒子外表面において〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。尚、ミラー指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985年)により求めることができる。
【0125】
本発明においてハロゲン化銀粒子は、該粒子形成時に平均分子量5万以下の低分子量ゼラチンを用いて調製することが好ましいが、特にハロゲン化銀粒子の核形成時に用いることが好ましい。
【0126】
本発明において低分子量ゼラチンは、平均分子量5万以下のものが好ましく、より好ましくは2,000〜40,000であり、特に好ましくは5,000〜25,000である。ゼラチンの平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィーで測定することができる。低分子量ゼラチンは、通常用いられる平均分子量10万程度のゼラチン水溶液にゼラチン分解酵素を加えて酵素分解したり、酸またはアルカリを加えて加熱し加水分解したり、大気圧下または加圧下での加熱により熱分解したり、超音波照射して分解したり、それらの方法を併用したりして得ることができる。
【0127】
核形成時の分散媒の濃度は5質量%以下が好ましく、0.05〜3.0質量%の低濃度で行うのがより好ましい。
【0128】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、該粒子形成時に下記の一般式で表される化合物を用いることが好ましい。
【0129】
YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(CH2CH2O)n
式中、Yは水素原子、−SO3M、または−CO−B−COOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または炭素原子数5以下のアルキル基にて置換されたアンモニウム基を表し、Bは有機2塩基性酸を形成する鎖状または環状の基を表す。m及びnは各々0〜50を表し、pは1〜100を表す。
【0130】
上記の一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を製造するに際し、ゼラチン水溶液を製造する工程、ゼラチン溶液に水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、乳剤を支持体上に塗布する工程等、乳剤原料を撹拌したり、移動したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤として好ましく用いられてきたものであり、消泡剤として用いる技術は、例えば、特開昭44−9497号公報に記載されている。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は核形成時の消泡剤としても機能する。上記一般式で表される化合物は銀に対して1質量%以下で用いるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量%で用いる。
【0131】
上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は核形成時に存在していればよく、核形成前の分散媒中に予め加えておくのが好ましいが、核形成中に添加してもよいし、核形成時に使用する銀塩水溶液やハライド水溶液に添加して用いてもよい。好ましくはハライド水溶液もしくは両方の水溶液に0.01〜2.0質量%で添加して用いることである。また、上記一般式で表される化合物は核形成工程の少なくとも50%に亘る時間で存在せしめるのが好ましく、更に好ましくは70%以上に亘る時間で存在せしめる。上記一般式で表される化合物は粉末で添加しても、メタノール等の溶媒に溶かして添加してもよい。
【0132】
尚、核形成時の温度は通常5〜60℃、好ましくは15〜50℃であり、一定の温度であっても、昇温パターン(例えば、核形成開始時の温度が25℃で、核形成中徐々に温度を上げ、核形成終了時の温度が40℃の様な場合)やその逆のパターンであっても前記温度範囲内で制御するのが好ましい。
【0133】
核形成に用いる銀塩水溶液及びハライド水溶液の濃度は3.5モル/L以下が好ましく、更には0.01〜2.5モル/Lの低濃度域で使用されるのが好ましい。核形成時の銀イオンの添加速度は、反応液1L当たり1.5×10-3〜3.0×10-1モル/分が好ましく、更に好ましくは3.0×10-3〜8.0×10-2モル/分である。
【0134】
核形成時のpHは通常1.7〜10の範囲に設定できるが、アルカリ側のpHでは形成する核の粒径分布を広げてしまうので、好ましくはpH2〜6である。また、核形成時のpBrは通常0.05〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.5、より好ましくは1.5〜2.0である。
【0135】
本発明において、ハロゲン化銀粒子の平均粒径は通常10〜50nm、好ましくは10〜40nmであり、より好ましくは10〜35nmである。ハロゲン化銀粒子の平均粒径が10nmより小さいと画像濃度が低下したり、光照射画像保存性(熱現像によって得た画像を明室で診断等のために使用したり、明室に保管した場合の保存性)が劣化したりすることがある。又、50nmを超えると画像濃度が低下してしまうことがある。
【0136】
ここで言う平均粒径とは、ハロゲン化銀粒子乳剤中に含まれているハロゲン化銀粒子が立方体、あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さを言う。又、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には、主表面の投影面積と同面積の円像に換算した時の直径を言う。その他、正常晶でない場合、例えば、球状粒子、棒状粒子等の場合には、当該ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えた時の直径を粒径として算出する。測定は電子顕微鏡写真を用いて行い、300個の粒子の粒径の測定値を平均することで平均粒径を求めた。
【0137】
また本発明においては平均粒径が55〜100nmであるハロゲン化銀粒子と平均粒径が10〜50nmであるハロゲン化銀粒子とを併用することで、画像濃度の階調を調整することができるほか、画像濃度を向上させたり、経時での画像濃度低下を改善(小さく)することができる。平均粒径が10〜50nmであるハロゲン化銀粒子と平均粒径が55〜100nmであるハロゲン化銀粒子との割合(質量比)は、95:5〜50:50が好ましく、より好ましくは90:10〜60:40である。
【0138】
なお、上記のように、2種の平均粒径のハロゲン化銀粒子乳剤を用いる場合には、当該2種のハロゲ化銀乳剤を混合して、感光性層に含有させても良い。また、階調調整等のために、感光性層を2層以上の層で構成し、それぞれの層に、当該2種の平均粒径のハロゲン化銀粒子乳剤を別個に含有させることも好ましい。
【0139】
(ヨウ化銀含有量が5モル%以上100モル%以下のハロゲン化銀粒子)
本発明においてハロゲン化銀粒子としては、ヨウ化銀を含有するハロゲン化銀粒子を好ましく使用することができる。ハロゲン組成としては、ヨウ化銀含有量が5モル%以上100モル%以下であることが好ましい。より好ましくは40モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは70モル%以上100モル%以下であり、特に好ましくは90モル%以上100モル%以下である。ヨウ化銀含有率がこの範囲であれば、粒子内ハロゲン組成分布が、均一であっても、段階的に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、内部および/または表面にヨウ化銀含有率が高いコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子も好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子である。
【0140】
本発明においてハロゲン化銀粒子にヨウ化銀を導入する方法としては、粒子形成中にヨウ化アルカリ水溶液を添加する方法、微粒子ヨウ化銀、微粒子ヨウ臭化銀、微粒子ヨウ塩化銀、微粒子ヨウ塩臭化銀のうち少なくとも一つの微粒子を添加する方法、特開平5−323487号公報および特開平6−11780号公報記載のヨウ化物イオン放出剤を用いる方法などが好ましい。
【0141】
本発明においてハロゲン化銀粒子は、350nm〜440nmの間の波長にヨウ化銀結晶構造に由来する直接遷移吸収を示すことが好ましい。これらハロゲン化銀が直接遷移の光吸収を持っているかどうかは、400nm〜430nm付近に直接遷移に起因する励起子吸収が見られることで容易に区別することができる。
【0142】
[熱変換内部潜像型ハロゲン化銀粒子]
本発明において感光性ハロゲン化銀粒子は、特開2003−270755号明細書、特願2003−337269号明細書に開示されている熱変換内部潜像型(熱現像後内部潜像型)ハロゲン化銀粒子、すなわち、熱現像によって表面潜像型から内部潜像型に変換することにより表面感度が低下するハロゲン化銀粒子であることが好ましい。換言すると、熱現像前の露光では、現像反応(銀イオン還元剤による銀イオンの還元反応)の触媒として機能し得る潜像を該ハロゲン化銀粒子の表面に形成し、熱現像過程経過後の露光では該ハロゲン化銀粒子の表面より内部に多くの潜像を形成するようになるため、表面における潜像形成が抑制されるハロゲン化銀粒子であることことが、感度及び画像保存性上、好ましい。
【0143】
本発明において熱変換内部潜像型ハロゲン化銀粒子は、通常の表面潜像型ハロゲン化銀粒子と同様に、銀イオン供給源として機能し得る脂肪族カルボン酸銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル、好ましくは0.03〜0.5モルで使用するのが好ましい。
【0144】
本発明の銀塩光熱写真イメージング材料の製造過程においては、写真性能、色調を改良するという観点から、ハロゲン化銀粒子の凝集を防止し、比較的に均一にハロゲン化銀粒子を分散させ、最終的に現像銀を所望の形状に制御できるようにすることが好ましい。
【0145】
上記の凝集防止、均一分散等のため、本発明において用いられるゼラチンは、使用条件等に応じて、ゼラチンが有するアミノ基やカルボキシル基などの親水性基を化学修飾しゼラチンの特性を改変させたものが好ましい。
【0146】
例えば、ゼラチン分子内のアミノ基の疎水化修飾としては、フェニルカルバモイル化、フタル化、コハク化、アセチル化、ベンゾイル化、ニトロフェニル化などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。またこれらの置換率は95%以上が好ましく、更に好ましくは99%以上である。またカルボキシル基の疎水化修飾を組み合わせてもよく、メチルエステル化やアミド化などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。カルボキシル基の置換率は50〜90%が好ましく、更に好ましくは70〜90%である。ここで、上記の疎水化修飾の疎水基とは、ゼラチンのアミノ基及び/またはカルボキシル基を置換することによって、疎水性が増す基のことをいう。
【0147】
また、本発明においてハロゲン化銀粒子乳剤は、ゼラチンの代わりに又はゼラチンとの併用において下記のような水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーを使用して、調製することも、目的によって好ましい。例えば、ハロゲン化銀粒子乳剤を有機溶媒系に均一に分散させて塗布するような場合に、特に好ましい。
【0148】
なお、上記有機溶媒としては、アルコール系、エステル系、ケトン系の化合物が挙げられる。特に、ケトン系有機溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が好ましい。
【0149】
前記水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーとしては、天然ポリマー、合成ポリマー及びコポリマーのいずれであっても良い。例えば、ゼラチン類、ゴム類等を改質して本発明の範疇に属するよう改質したものを用いることもできる。又は、以下の分類に属するポリマーを、凝集防止、均一分散等の目的に適する官能基を導入して用いることが可能である。
【0150】
例えば、本発明において上記ポリマーとしては、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸およびアクリル酸エステル)類、ポリ(メチルメタクリル酸およびメタクリル酸エステル)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類等が挙げられる。
【0151】
これらのポリマーは数種類がコポリマーとなっていても良いが、特にアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル類のモノマーを共重合したポリマーが好ましい。
【0152】
本発明において当該ポリマーは、同一の状態で水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーでもよいが、pHの制御や温度の制御で水や有機溶媒に溶解させたり、不溶化したりできるものも含まれる。
【0153】
例えば、カルボキシル基のような酸性基を有するポリマーは、種類によっては解離状態では親水性となるが、pHを下げ非解離状態にすると親油性となり溶剤に可溶にできる。逆にアミノ基を有するポリマーはpHを上げると親油性となり、pHを下げるとイオン化し水溶性が上昇する。
【0154】
ノニオン活性剤では曇点の現象が良く知られているが、温度の上昇で親油性になり有機溶媒に可溶となり、温度の低下で親水性すわなち水に溶解できるような性質を有するポリマーも本発明に含まれる。完全に溶解しなくともミセルを形成し均一に乳化できれば良い。
【0155】
本発明においては、各種のモノマーを組み合わせるため、一概にどのモノマーをどの程度用いるのが良いかは述べられないが、親水性のモノマーと疎水性のモノマーを適当な割合で組み合わせる事で所望のポリマーが得られることは容易に理解できる。
【0156】
前記水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーとしては、前記のごときpH等の溶解時の条件の調整により、或いは未調整でもよいが、水に対して少なくとも1質量%以上(25℃)の溶解度を有し、かつ、有機溶剤としてメチルエチルケトンに5質量%以上(25℃)の溶解度を有するものが好ましい。
【0157】
本発明において水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーとしては、溶解性の観点から、直鎖のポリマーよりも、いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー、クシ型ポリマー等が適している。特にクシ型ポリマーは好ましい。なお、ポリマーの等電点は、pH6以下であることが好ましい。
【0158】
クシ型ポリマーを製造する場合は、各種の手法を用いることができるが、クシ部(側鎖)に200以上の分子量の側鎖を導入できるモノマーを用いることが望ましい。特にエチレンオキシド、プロピレンオキシドなど、ポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることが好ましい。
【0159】
ポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、特に、下記一般式であらわされるポリオキシアルキレン基を有しているものが好ましい。
【0160】
−(EO)k−(PO)m−(TO)n−R
(ここにおいて、Eはエチレン基を、Pはプロピレン基を表し、Tはブチレン基を表し、Rは置換基を表す。ブチレン基としてはテトラメチレン基、イソブチレン基等を含む。kは1〜300の、mは0〜60の、またnは0〜40の整数を表す。好ましくはkは1〜200の、mは0〜30の、またnは0〜20である。但し、k+m+n≧2である。)ポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和モノマーは、1種類だけを用いても構わないし、2種類以上を同時に用いても構わない。
【0161】
Rで表される置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基等を表し、アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、へキシル、オクチル。ドデシル等を、またアリール基としてはフェニル、ナフチル等の基が、またヘテロ環基としては、チエニル、ピリジル等の基が挙げられる。また、これらの基はさらにハロゲン原子、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、ブチルチオ基等)、アシル基(アセチル基、ベンゾイル基等)、アルカンアミド基(アセトアミド基、プロピオンアミド基等)、アリールアミド基(ベンゾイルアミド基等)等によって更に置換されていてもよい。またこれらの置換基が更にこれらの基により置換されていてもよい。
【0162】
前記一般式で表されるポリオキシアルキレン基は、これらポリオキシアルキレン基を有するエチレン性不飽和モノマーを用いることにより、ポリマー中に導入できる。これらの基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(ポリオキシアルキレン)アクリレートおよびメタアクリレート等があり、(ポリオキシアルキレン)アクリレート及びメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名“プルロニック”[Pluronic(旭電化工業(株)製)]、アデカポリエーテル(旭電化工業(株)製)、カルボワックス[Carbowax(グリコ・プロダクス)]、トリトン[Toriton(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas製))]およびP.E.G(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリドまたは無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
【0163】
また、市販品のモノマーとしては、日本油脂(株)製の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしてブレンマーPE−90、ブレンマーPE−200、ブレンマーPE−350、ブレンマーAE−90、ブレンマーAE−200、ブレンマーAE−400、ブレンマーPP−1000、ブレンマーPP−500、ブレンマーPP−800、ブレンマーAP−150、ブレンマーAP−400、ブレンマーAP−550、ブレンマーAP−800、ブレンマー50PEP−300、ブレンマー70PEP−350B、ブレンマーAEPシリーズ、ブレンマー55PET−400、ブレンマー30PET−800、ブレンマー55PET−800、ブレンマーAETシリーズ、ブレンマー30PPT−800、ブレンマー50PPT−800、ブレンマー70PPT−800、ブレンマーAPTシリーズ、ブレンマー10PPB−500B、ブレンマー10APB−500Bなどが挙げられる。同様に日本油脂(株)製のアルキル末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしてブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200、ブレンマーPME−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマーPME−4000、ブレンマーAME−400、ブレンマー50POEP−800B、ブレンマー50AOEP−800B、ブレンマーPLE−200、ブレンマーALE−200、ブレンマーALE−800、ブレンマーPSE−400、ブレンマーPSE−1300、ブレンマーASEPシリーズ、ブレンマーPKEPシリーズ、ブレンマーAKEPシリーズ、ブレンマーANE−300、ブレンマーANE−1300、ブレンマーPNEPシリーズ、ブレンマーPNPEシリーズ、ブレンマー43ANEP−500、ブレンマー70ANEP−550など、また共栄社化学(株)製ライトエステルMC、ライトエステル130MA、ライトエステル041MA、ライトアクリレートBO−A、ライトアクリレートEC−A、ライトアクリレートMTG−A、ライトアクリレート130A、ライトアクリレートDPM−A、ライトアクリレートP−200A、ライトアクリレートNP−4EA、ライトアクリレートNP−8EAなどが挙げられる。
【0164】
本発明ににおいてポリマーとしては、いわゆるマクロマーを使用したグラフトポリマーを用いる事もできる。たとえば“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載されている。また山下雄也著“マクロモノマーの化学と工業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されている。マクロマーのうち有用な分子量は1万〜10万の範囲、好ましい範囲は1万〜5万、特に好ましい範囲は1万〜2万の範囲である。分子量が1万以下では効果を発揮できず、また10万以上では主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が悪くなる。具体的には、東亞合成(株)製AA−6、AS−6S、AN−6S等をもちいることができる。
【0165】
尚、本発明が上記具体例によって、何等限定されるものでないことは勿論である。ポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和モノマーは、1種類だけを用いても構わないし、2種類以上を同時に用いても構わない。
【0166】
上記のモノマーと具体的に反応させる他のモノマーとしては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリルエステル類、アリルオキシエタノール類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イタコン酸ジアルキル、フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類等、その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、スチレン等が挙げられる。具体的な例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0167】
アクリル酸エステル類:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等、
メタクリル酸エステル類:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、クロルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等、
アクリルアミド類:アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなど。また、アルキルオキシアクリルアミドとして、メトキシメチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド等、
メタクリルアミド類:メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミド、メトキシメチルメタアクリルアミド、ブトキシメチルメタアクリルアミド等、
アリル化合物:アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど、
ビニルエーテル類:アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど)、
ビニルエステル類:ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなど、
イタコン酸ジアルキル類:イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど。フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類:ジブチルフマレートなどその他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、スチレンなどが挙げられる。
【0168】
アミド基やC4−C22の直鎖ないし分岐アルキル基、芳香族基、ないし5員環以上の複素環基を導入する場合は、上記のモノマーあるいは、その他のモノマーの中でこれらの官能基を含有するモノマーを選択すればよい。例えば、5員環以上の複素環基の導入には、1−ビニルイミダゾールやその誘導体を用いることができる。さらに、あらかじめポリマー中にイソシアネートやエポキシ基を導入しておき、それらを直鎖ないし分岐アルキル基、芳香族基、ないし5員環以上の複素環基を含有するアルコール類や、アミン類と反応させる事で、ポリマー中に各種の官能基を導入しても良い。イソシアネートやエポキシを導入するには、カレンズMOI(昭和電工(株)製)やブレンマーG(日本油脂(株)製)を用いることができる。ウレタン結合を導入することも好ましい。
【0169】
重合開始剤としては、アゾ系高分子重合開始剤、有機過酸化物を用いることができる。アゾ系高分子重合開始剤としては、日本ヒドラジン工業(株)製 ABN−R 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、ABN−V 2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ABN−E 2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等がある。また有機過酸化物としては、過酸化ベゾイル、ジメチルエチルケトンパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、日本油脂(株)製 パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサTMH、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH、パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルS、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT−K40、ナイパーBMT−T40、ナイパーBMT−M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルEEP、パーロイルMBP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーシクロND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーヘキシルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルIB、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーヘキサ25MT、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ等が挙げられる。
【0170】
また本発明において重合禁止剤としては、キノン系の禁止剤が用いられるが、ハイドロキノン、p−メトキシフェノールが挙げられる。セイコーケミカル(株)製 フェノチアジン、メトキノン、ノンフレックスアルバ、MH(メチルハイドロキノン)、TBH(tert−ブチルハイドロキノン)、PBQ(p−ベンゾキノン)、トルキノン、TBQ(tert−ブチル−p−ベンゾキノン)、2,5ジフェニル−p−ベンゾキノン等が挙げられる。
【0171】
本発明においてポリマーの等電点はpH6以下であることが好ましい。等電点が高いポリマーを用いると、後述するように、凝集沈殿法により、ハロゲン化銀粒子の脱塩を行う時、ハロゲン化銀粒子の分解を促進し、写真性能に悪影響を与えるからである。また、溶剤中にハロゲン化銀微粒子を分散する時にもpHを上げないと分散させにくく、カブリの観点から好ましくない。ポリマーの等電点の測定は、例えば等電点電気泳動法や、1%水溶液をカチオン及びアニオン交換樹脂の混床カラムに通したあとのpHを測定することで測定することができる。
【0172】
ポリマーの等電点を下げるため、各種の酸性基を導入することができる。例としては、カルボン酸やスルホン酸基が挙げられる。カルボン酸の導入には、アクリル酸、メタクリル酸のモノマーを用いるほか、メタクリル酸メチルなどを含有するポリマーを、一部加水分解して得る事も可能である。スルホン酸基の導入には、スチレンスルホン酸や2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をモノマーとして用いるほか、各種硫酸化の手法でポリマー作製後に導入することもできる。特にカルボン酸を用いると、未中和の状態で溶媒に対する溶解性が比較的高く、中和ないし半中和にすることで水溶性に性質を変えることができ特に好ましい。中和はナトリウムやカリウム塩で行うこともでき、アンモニアやモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど有機塩としても良い。イミダゾール類やトリアゾール類、アミドアミン類を用いることもできる。
【0173】
重合は、溶媒の存在下又は不存在下のいずれでも実施できるが、作業性の点から溶媒存在下の場合の方が好ましい。なお、好ましい溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−オキシプロピオン酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル等のモノカルボン酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、エチルセロソルブアセテート等のエーテル類、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコール類及びそのエステル類、1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、更にパーフロロオクタン、パーフロロトリ−n−ブチルアミン等のフッ素化イナートリキッド類等が挙げられる。
【0174】
各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。カラム濾過、再沈精製、溶媒抽出、などによって除去することで、未反応モノマーを除去することができる。あるいは、低沸点の未反応モノマーはストリッピングにより除去することが可能である。
【0175】
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料の製造過程においては、上記のハロゲン化銀粒子の凝集防止、均一分散等の目的のために、ハロゲン化銀粒子分散液に界面活性剤、特に、非イオン性界面活性剤を含有させることも好ましい。
【0176】
非イオン性界面活性剤に関しては、一般にGriffin W.C.[J.Soc.Cosm.Chem.,1,311(1949)]によると、分子における親水性基及び親油性基の割合を反映するその「HLB」値で定義される親水性/親油性平衡が、−18〜18、好ましくは−15〜0である非イオン性親水性化合物から選択される。
【0177】
本発明において感光性ハロゲン化銀乳剤に用いられる非イオン性界面活性剤としては、下記の一般式(NSA1)、一般式(NSA2)で表される活性剤が好ましい。
【0178】
一般式(NSA1) HO−(EO)a−(AO)b−(EO)c−H
一般式(NSA2) HO−(AO)d−(EO)e−(AO)f−H
式中、EOはオキシエチレン基を表し、AOは炭素数3以上のオキシアルキレン基を表し、a、b、c、d、e及びfは1以上の数を表す。
【0179】
いずれもプルロニック型非イオン性界面活性剤と呼ばれ、一般式(NSA1)または(NSA2)において、AOが表す炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシ長鎖アルキレン基等が挙げられるが、オキシプロピレン基が最も好ましい。
【0180】
また、a、b及びcはそれぞれ1以上の数を表し、d、e及びfはそれぞれ1以上の数を表す。a及びcは好ましくはそれぞれ1〜200、より好ましくはそれぞれ10〜100であり、bは好ましくは1〜300、より好ましくは10〜200である。d及びfは好ましくはそれぞれ1〜100、より好ましくはそれぞれ5〜50であり、eは好ましくは1〜100、より好ましくは2〜50である。
【0181】
一般式(NSA1)または(NSA2)で表されるプルロニック型非イオン性界面活性剤の平均分子量は、好ましくはそれぞれ500〜30,000、より好ましくはそれぞれ1,000〜20,000程度である。一般式(NSA1)または(NSA2)で表されるプルロニック型非イオン性界面活性剤としては、少なくとも1種は分子全体に占めるオキシエチレン基の割合が、好ましくは50質量%以下がよい。
【0182】
このタイプの非イオン性界面活性剤は、例えば、商標名プルロニック(Pluronic)P94、及びプルロニックF68などがある。
【0183】
本発明において、非イオン性界面活性剤は0.5〜2%、好ましくは0.9〜1.5%の濃度で用いられる。
【0184】
本発明において感光性ハロゲン化銀乳剤には、ヘテロ原子を含む大環状化合物が用いられる。ヘテロ原子を含む大環状化合物は、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の少なくとも1種を含む9員環以上の大環状化合物である。更に12〜24員環が好ましく、更に好ましいのは15〜21員環である。
【0185】
代表的な化合物としては、クラウンエーテルとして知られている化合物であるが、これらの化合物は、C.J.Pederson,Journal of American Chemical Society Vol,86(2495),7017〜7036(1967)、G.W.Gokel,S.H,Korzeniowski,”Macrocyclic polyethr synthesis”,Springer−Vergal,(1982)、小田、庄野、田伏編“クラウンエーテルの化学”化学同人(1978)、田伏編“ホスト−ゲスト”共立出版(1979)、佐々木、古賀“有機合成化学”Vol45(6),571〜582(1987)等に詳細に記載されている。
【0186】
本発明において感光性ハロゲン化銀粒子には、化学増感を施すことができる。例えば、特開2001−249428号公報及び特開2001−249426号公報に記載されている方法等により、硫黄、セレン、テルル等のカルコゲンを放出する化合物や金イオンなどの貴金属イオンを放出する貴金属化合物の利用により、感光性ハロゲン化銀粒子又は当該粒子上の分光増感色素の光励起によって生じた電子又は正孔(ホール)を捕獲することができる化学増感中心(化学増感核)を形成付与できる。特に、カルコゲン原子を含有する有機増感剤により化学増感されているのが好ましい。
【0187】
これらカルコゲン原子を含有する有機増感剤は、ハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン原子部位を有する化合物であることが好ましい。
【0188】
これらの有機増感剤としては、特開昭60−150046号、特開平4−109240号、同11−218874号、同11−218875号、同11−218876号、同11−194447号公報等に開示されている種々の構造を有する有機増感剤を用いることができるが、それらのうち、カルコゲン原子が炭素原子又はリン原子と二重結合で結ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種であることが好ましい。特に、複素環基を有するチオ尿素誘導体及びトリフェニルホスフィンサルファイド誘導体等が好ましい。
【0189】
化学増感を施す方法としては、従来の湿式処理用のハロゲン化銀感光材料の製造の際に慣用されている種々の化学増感技術に準じた技術が使用できる(参考文献:(1) T.H.James編”The Theory of the Photographic Process”第4版、Macmillan Publishing Co.,Ltd.1977、(2) 日本写真学会編”写真工学の基礎(銀塩写真編),コロナ社,1979)。特に、ハロゲン化銀粒子乳剤に予め化学増感を施し、その後に非感光性有機銀塩粒子と混合する場合には、従来の慣用方法により化学増感を施すことができる。
【0190】
有機増感剤としてのカルコゲン化合物の使用量は、使用するカルコゲン化合物、ハロゲン化銀粒子、化学増感を施す際の反応環境などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり、10-8〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-7〜10-3モルを用いる。
【0191】
化学増感を施す際の環境条件としては、特に制限はないが、感光性ハロゲン化銀粒子上のカルコゲン化銀又は銀核を消滅或いはそれらの大きさを減少させ得る化合物の存在下において、又特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、カルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲン増感を施すことが好ましい場合がある。この場合の増感条件は、pAgとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは5〜8、又温度としては30℃以下で増感を施すことが好ましい。
【0192】
また、これらの有機増感剤を用いた化学増感は、分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して、吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われることが好ましい。ハロゲン化銀粒子に吸着性を有する化合物の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。分光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸着性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−24537号に記載されている含窒素複素環化合物が好ましい例として挙げられる。含窒素複素環化合物において、複素環としては、例えば、ピラゾール環、ピリミジン環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,2,3,4−テトラゾール環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジン環、これらの環が2〜3個結合した環、例えばトリアゾロトリアゾール環、ジアザインデン環、トリアザインデン環、ペンタアザインデン環などを挙げることができる。単環の複素環と芳香族環の縮合した複素環、例えば、フタラジン環、ベンズイミダゾール環、インダゾール環、ベンズチアゾール環なども適用できる。
【0193】
これらの中で好ましいのはアザインデン環であり、かつ置換基としてヒドロキシル基を有するアザインデン化合物、例えば、ヒドロキシトリアザインデン、テトラヒドロキシアザインデン、ヒドロキシペンタアザインデン化合物等が更に好ましい。
【0194】
複素環にはヒドロキシル基以外の置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基などを有してもよい。
【0195】
これ含複素環化合物の添加量は、ハロゲン化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範囲に亘って変化するが、おおよその量はハロゲン化銀1モル当たりの量で10-6〜1モルの範囲であり、好ましくは10-4〜10-1モルの範囲である。
【0196】
本発明において感光性ハロゲン化銀には、金イオンなどの貴金属イオンを放出する化合物を利用して貴金属増感を施すことができる。例えば、金増感剤として、塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。なお、特開平11−194447号に開示されている金増感技術が参考となる。
【0197】
又、上記の増感法の他、還元増感法等も用いることができ、還元増感の貝体的な化合物として、例えば、アスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。
【0198】
本発明において、化学増感を施されるハロゲン化銀粒子は、脂肪族カルボン酸銀塩の存在下で形成されたのでも、当該有機銀塩の存在しない条件下で形成されたものでも、また、両者が混合されたものでもよい。
【0199】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子の表面に化学増感を施した場合においては、熱現像過程経過後に該化学増感の効果が実質的に消失することが好ましい。ここで、化学増感の効果が実質的に消失するとは、前記の化学増感技術によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に化学増感を施していない場合の感度の1.1倍以下に減少することを言う。なお、化学増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、化学増感中心(化学増感核)を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層又は/及び非感光性層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、化学増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
【0200】
本発明における感光性ハロゲン化銀には、分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好ましい。分光増感色素としてシアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。例えば、特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。
【0201】
本発明に使用される有用な増感色素は、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)17643IV−A項(1978年12月p.23)、RD18431X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に、各種レーザイメージャーやスキャナーの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好ましい。例えば、特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0202】
有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラゾロン核などの酸性核も含む。
【0203】
本発明においては、特に赤外に分光感度を有する増感色素を用いることもできる。好ましく用いられる赤外分光増感色素としては、例えば米国特許第4,536,473号、同第4,515,888号、同第4,959,294号等に開示されている赤外分光増感色素が挙げられる。
【0204】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、特開2004−309758号に記載されているような下記一般式(SD1)で表される増感色素及び下記一般式(SD2)で表される増感色素のうちから少なくとも1種を選び含有することが好ましい。
【0205】
【化1】


【0206】
式中、Y1及びY2は、各々、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、または−CH=CH−基を表し、L1〜L9は各々、メチン基を表す。R1及びR2は各々、脂肪族基を表す。R3及びR4は各々、低級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。W1、W2、W3、W4は各々、水素原子、置換基、或いはW1とW2、W3とW4の間で結合して縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。或いはR3とW1、R3とW2、R4とW3、R4とW4の間で結合して5員、6員の縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。X1は分子内の電荷を相殺するに必要なイオンを表し、k1は分子内の電荷を相殺するに必要なイオンの数を表す。m1は0又は1を表す。n1及びn2は各々、0、1又は2を表す。但し、n1とn2は同時に0とはならない。
【0207】
上記の赤外増感色素は、例えば、エフ・エム・ハーマー著、The Chemistry of Heterocyclic Compounds第18巻、The Cyanine Dyes and Related Compounds(A.Weissberger ed.Interscience社刊、New York 1964年)に記載の方法によって容易に合成することができる。
【0208】
これらの赤外増感色素の添加時期は、ハロゲン化銀調製後の任意の時期でよく、例えば、溶剤に添加して、或いは微粒子状に分散した、いわゆる固体分散状態でハロゲン化銀粒子或いはハロゲン化銀粒子/脂肪族カルボン酸銀塩粒子を含有する感光性乳剤に添加できる。又、前記のハロゲン化銀粒子に対し吸着性を有するヘテロ原子含有化合物と同様に、化学増感に先立ってハロゲン化銀粒子に添加し吸着させた後、化学増感を施すこともでき、これにより化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。
【0209】
本発明において、上記の分光増感色素は1種類を単独に用いてもよいが、上述のように、分光増感色素の複数の種類の組合せを用いることが好ましく、そのような増感色素の組合せは、特に強色増感及び感光波長領域の拡大や調整等の目的でしばしば用いられる。
【0210】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いられる感光性ハロゲン化銀、脂肪族カルボン酸銀塩を含有する乳剤は、増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色増感されていてもよい。
【0211】
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質は、RD17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公平9−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平5−341432号等に記載されているが、強色増感剤としては、下記で表される複素芳香族メルカプト化合物が又はメルカプト誘導体化合物が好ましい。
【0212】
Ar−SM
式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、またはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。
【0213】
好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンズチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズセレナゾール、ベンズテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン、またはキナゾリンである。しかしながら、他の複素芳香環も含まれる。
【0214】
なお、脂肪族カルボン酸銀塩又はハロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させたときに実質的に上記のメルカプト化合物を生成するメルカプト誘導体化合物も含まれる。特に下記で表されるメルカプト誘導体化合物が、好ましい例として挙げられる。
【0215】
Ar−S−S−Ar
式中のArは上記で表されたメルカプト化合物の場合と同義である。
【0216】
上記の複素芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる群から選ばれる置換基を有しうる。
【0217】
上記の強色増感剤の他に、特開2001−330918号公報に開示されているヘテロ原子を有する大環状化合物も強色増感剤として使用できる。
【0218】
本発明において強色増感剤は、有機銀塩及びハロゲン化銀粒子を含む感光性層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルで用いるのが好ましい。特に好ましくは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの量が好ましい。
【0219】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子の表面に分光増感色素を吸着せしめ分光増感が施されており、かつ熱現像過程経過後に該分光増感効果が実質的に消失することが好ましい。ここで、分光増感効果が実質的に消失するとは、増感色素、強色増感剤等によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に分光増感を施していない場合の感度の1.1倍以下に減少することを言う。
【0220】
なお、分光増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、熱によってハロゲン化銀粒子より脱離しやすい分光増感色素を使用する又は/および分光増感色素を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層又は/及び非感光性層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、分光増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
【0221】
本発明において還元剤は感光性層中で、銀イオンを還元し得るものであり、現像剤ともいう。還元剤としては、下記一般式(RD1)で表される化合物が挙げられる。
【0222】
本発明においては、銀イオンの還元剤として、特に、還元剤の少なくとも1種が下記一般式(RD1)で表される化合物を単独又は他の異なる化学構造を有する還元剤と併せて用いることが好ましい。
【0223】
【化2】


【0224】
式中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよい。R3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。
【0225】
一般式(RD1)で表される化合物のうちでも特にR2の少なくとも一方が2級または3級のアルキル基である高活性な還元剤(以降は(RD1a)の化合物と呼ぶ)を用いることが、高濃度で、光照射画像保存性に優れた熱現像感光材料を得ることができる点でより好ましい。本発明においては、(RD1a)の化合物と下記一般式(RD2)の化合物とを併用することが望ましい色調を得るためには好ましい。
【0226】
【化3】


【0227】
式中、X2はカルコゲン原子又はCHR5を表し、R5は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R6はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級又は3級のアルキル基であることはない。R7は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R8はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。
【0228】
その併用比率としては、[(RD1a)の化合物の質量]:[一般式(RD2)の化合物の質量]が5:95〜45:55であることが好ましく、より好ましくは10:90〜40:60である。
【0229】
一般式(RD1)中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表す。カルコゲン原子としては、硫黄、セレン、テルルであり、好ましくは硫黄原子である。CHR1におけるR1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等であり、アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル等、アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等、アリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環等、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。
【0230】
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基として具体的には、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロヘプチル等)、アルケニル基(エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等)、シクロアルケニル基(1−シクロアルケニル、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(エチニル、1−プロピニル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキルカルボニルオキシ基(アセチルオキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、トリフルオロメチルチオ等)、アシル基(アセチル基、ベンゾイル基)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(アセチルアミノ等)、ウレイド基(メチルアミノカルボニルアミノ等)、アルキルスルホニルアミノ基(メタンスルホニルアミノ等)、アルキルスルホニル基(メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−モルホリノカルボニル等)、スルファモイル基(スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、モルホリノスルファモイル等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド等)、アルキルアミノ基(アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ等)、スルホ基、ホスホノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル等)、アルキニルアミノカルボニル基(アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(メタンスルフィニルアミノカルボニル、エタンスルフィニルアミノカルボニル等)等が挙げられる。又、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。特に好ましい置換基はアルキル基である。
【0231】
2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、少なくとも一方は2級又は3級のアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチルシクロプロピル等の基が挙げられる。
【0232】
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えば、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。又、(R4n及び(R4mと飽和環を形成してもよい。R2は好ましくは何れも2級又は3級のアルキル基であり、炭素数2〜20が好ましい。より好ましくは3級アルキル基であり、更に好ましくはt−ブチル、t−ペンチル、1−メチルシクロヘキシルであり、最も好ましくはt−ブチルである。
【0233】
3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。ベンゼン環に置換可能な基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、複素環基等が挙げられる。
【0234】
3として好ましくは、メチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。更に好ましくはメチル、2−ヒドロキシエチルである。
【0235】
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては前記R1で挙げた置換基を用いることができる。R3は好ましくはヒドロキシル基又はそのプレカーサー基を有する炭素数1〜20のアルキル基であり、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。最も好ましくは2−ヒドロキシエチルである。R2及びR3の最も好ましい組合せは、R2が第3級アルキル基(t−ブチル、1−メチルシクロヘキシル等)であり、R3がヒドロキシル基又はそのプレカーサー基を有する第1級アルキル基(2−ヒドロキシエチル等)である。複数のR2、R3は同じでも異なっていてもよい。
【0236】
4は水素原子又はベンゼン環上に置換可能な基を表すが、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル、パーフルオロオクチル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロペンチル等)、アルキニル基(プロパルギル等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル等)、複素環基(ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スリホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル等)、ハロゲン原子(塩素、臭素、沃素、フッ素)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等)、スルファモイル基(アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等)、ウレタン基(メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、フェニルウレイド、2−ピリジルウレイド等)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサノイル、ベンゾイル、ピリジノイル等)、カルバモイル基(アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル)、アミド基(アセトアミド、プロピオンアミド、ブタンアミド、ヘキサンアミド、ベンズアミド等)、スルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、フェニルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等)、アミノ基(アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、アニリノ、2−ピリジルアミノ等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等を挙げることができる。又、これらの基は更にこれらの基で置換されてもよい。n及びmは0〜2の整数を表すが、最も好ましくはn、m共に0の場合である。
【0237】
又、R4はR2、R3と飽和環を形成してもよい。R4は好ましくは水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。複数のR4は同じでも異なっていても良い。
【0238】
一般式(RD2)中、R5はR1と同様の基であり、R7はR3と同様の基であり、R8はR4と同様の基である。R6はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級又は3級のアルキル基であることはない。アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル等の基が挙げられる。
【0239】
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えば、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0240】
又、R6は(R8n及び(R8mと飽和環を形成してもよい。R6は、好ましくはメチルである。一般式(RD2)で表される化合物のうちでも好ましく用いられる化合物は欧州特許第1,278,101号明細書に記載の一般式(S)、一般式(T)を満足する化合物であり、具体的にはp21〜p28に記載の(1−24)、(1−28)〜(1−54)、(1−56)〜(1−75)の化合物が挙げられる。
【0241】
以下に、一般式(RD1)、一般式(RD2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0242】
【化4】


【0243】
【化5】


【0244】
【化6】


【0245】
これら一般式(RD1)、一般式(RD2)で表されるビスフェノール化合物は、従来公知の方法により容易に合成することができる。
【0246】
本発明において、併用することができる還元剤としては、例えば、米国特許3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号の各明細書、RD17029号及び29963号、特開平11−119372号、特開2002−62616号の各公報等に記載されている還元剤が挙げられる。
【0247】
前記一般式(RD1)で表される化合物を初めとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当たり1×10-2〜10モル、特に好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
【0248】
次に、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像処理して得られる画像の色調について述べる。
【0249】
従来のレントゲン写真フィルムのような医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像調子の方が、判読者にとってより的確な診断観察結果が得易いと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であることを言う。一方、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であると言われているが、より厳密な定量的な議論ができるように、以下、国際照明委員会(CIE)の推奨する表現法に基づき説明する。
【0250】
色調に関しての用語「より冷調」及び「より温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0における色相角habにより表現できる。即ち、色相角habは、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
【0251】
hab=tan-1(b*/a*
上記色相角に基づく表現法により検討した結果、本発明の光熱写真ドライイメージング材料の現像後の色調は、色相角habの範囲が180度<hab<270度であることが好ましく、更に好ましくは200度<hab<270度、最も好ましくは220度<hab<260度であることが判った。このことは、特開2002−6463号公報に開示されている。
【0252】
尚、従来、光学濃度1.0付近でのCIE 1976(L***)色空間又は(L***)色空間におけるu*、v*又はa*、b*を特定の数値に調整することにより、見た目の色調が好ましい診断画像が得られることが知られており、例えば、特開2000−29164号公報に記載されている。
【0253】
しかしながら、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料について更に鋭意検討の結果、CIE 1976(L***)色空間又は(L***)色空間において横軸をu*又はa*、縦軸をv*又はb*としたグラフ上に、様々な写真濃度でのu*、v*又はa*、b*をプロットし、線形回帰直線を作成した際に、その線形回帰直線を特定の範囲に調整することにより、従来の湿式の銀塩感光材料同等以上の診断性を持つことを見い出した。以下に好ましい条件範囲について述べる。
【0254】
(1)銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像処理後に得られた銀画像の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をu*、縦軸をv*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのu*、v*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のv*値が−5〜5であること、且つ傾き(v*/u*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
【0255】
(2)又、当該光熱写真ドライイメージング材料の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をa*、縦軸をb*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのa*、b*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のb*値が−5〜5であること、且つ傾き(b*/a*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
【0256】
尚、次に、上述の線形回帰直線の作成法、則ちCIE 1976色空間におけるu*、v*及びa*、b*の測定法の一例を説明する。
【0257】
熱現像装置を用いて未露光部、及び光学濃度0.5、1.0、1.5を含む4段のウエッジ試料を作製する。このようにして作製した、それぞれのウエッジ濃度部を分光色彩計(ミノルタ社製:CM−3600d等)で測定し、u*、v*又はa*、b*を算出する。その際の測定条件は光源としてF7光源、視野角を10度として透過測定モードで測定を行う。横軸をu*又はa*、縦軸をv*又はb*としたグラフ上に測定したu*、v*又はa*、b*をプロットし線形回帰直線を求め、決定係数(重決定)R2、切片及び傾きを求める。
【0258】
次に、上記のような特徴を持つ線形回帰直線を得るための具体的な方法について説明する。
【0259】
本発明においては、還元剤(現像剤)、ハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀及び下記の調色剤等の現像反応過程において、直接的及び間接的に関与する化合物等の添加量の調整により、現像銀形状を最適化して好ましい色調にすることができる。例えば、現像銀形状をデンドライト状にすると青味を帯びる方向になり、フィラメント状にすると黄色味を帯びる方向になる。即ち、このような現像銀形状の性向を考慮して調整できる。
【0260】
従来、調色剤としてはフタラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類が一般的に使用されている。好適な調色剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号、同4,021,249号の各明細書等に開示されている。
【0261】
このような調色剤の他に、特開平11−288057号公報、欧州特許第1,134,611A2号明細書等に開示されているカプラー及び、以下で詳述するロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。特に、色調の微調整のためにカプラーまたはロイコ染料を用いることが好ましい。
【0262】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上記のように、ロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。ロイコ染料として好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色又は僅かに着色した化合物でよく、上記の還元剤の酸化体等により酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、且つ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
【0263】
本発明において使用するのに適した代表的なロイコ染料は特に限定されないが、例えば、ビフェノールロイコ染料、フェノールロイコ染料、インドアニリンロイコ染料、アクリル化アジンロイコ染料、フェノキサジンロイコ染料、フェノジアジンロイコ染料及びフェノチアジンロイコ染料等が挙げられる。又、有用なものは、米国特許第3,445,234号、同3,846,136号、同3,994,732号、同4,021,249号、同4,021,250号、同4,022,617号、同4,123,282号、同4,368,247号、同4,461,681号の各明細書、及び特開昭50−36110号、同59−206831号、特開平5−204087号、同11−231460号、特開2002−169249号、同2002−236334号の各公報等に開示されているロイコ染料である。
【0264】
所定の色調に調整するために、種々の色のロイコ染料を単独使用又は複数の種類の併用をすることが好ましい。本発明においては高活性な還元剤を使用することに伴ってその使用量や使用比率によって色調(特に黄色味)が変化したり、微粒子のハロゲン化銀を用いることにより、特に濃度が2.0以上の高濃度部で画像が過度に赤みをおびることを防止するために、黄色及びシアン色に発色するロイコ染料を併用してその使用量を調整するのが好ましい。
【0265】
発色濃度は現像銀自身による色調との関係で適切に調整することが好ましい。本発明では、0.01〜0.05の反射光学濃度又は0.005〜0.50の透過光学濃度を有するように発色させ上記の好ましい色調範囲の画像になるように色調を調整することが好ましい。本発明ではロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和を0.01以上0.50以下とするのが好ましく、より好ましくは0.02以上0.30以下、特に好ましくは0.03以上0.10以下を有するように発色させることが好ましい。
【0266】
[黄色発色性ロイコ染料]
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上記のように、ロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。本発明において、特に黄色発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより360〜450nmの吸光度が増加する色像形成剤である。これらの色像形成剤としては、下記一般式(YA)で表される色像形成剤であることが特に好ましい。
【0267】
【化7】


【0268】
式中、R11は置換又は無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアシルアミノ基を表すが、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。R13は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R14はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。
【0269】
一般式(YA)において、R11は置換又は無置換のアルキル基を表すが、R12が水素原子以外の置換基である場合、R11はアルキル基を表す。当該アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、置換基を有してもよい。
【0270】
具体的にはメチル、エチル、ブチル、オクチル、i−プロピル、t−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル等が好ましく、i−プロピルよりも立体的に大きな基(i−プロピル、i−ノニル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル、アダマンチル等)であることが好ましく、その中でも2級又は3級のアルキル基が好ましく、3級アルキル基であるt−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル等が特に好ましい。R11が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基等が挙げられる。
【0271】
12は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアシルアミノ基を表す。R12で表されるアルキル基は炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アシルアミノ基は炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましい。この内、アルキル基の説明は前記R11と同様である。
【0272】
12で表されるアシルアミノ基は、無置換でも置換基を有してもよく、具体的には、アセチルアミノ基、アルコキシアセチルアミノ基、アリールオキシアセチルアミノ基等が挙げられる。R12として好ましくは、水素原子又は無置換の炭素数1〜24のアルキル基であり、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチルが挙げられる。又、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。
【0273】
13は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アルキル基の説明は前記R11と同様である。R13として好ましくは、水素原子又は無置換の炭素数1〜24のアルキル基で、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチル等が挙げられる。又、R12、R13の何れか一方は水素原子であることが好ましい。
【0274】
14はベンゼン環に置換可能な基を表し、例えば、前記一般式(RD1)における置換基R4で説明したのと同様な基である。R14として好ましいのは、置換又は無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のオキシカルボニル基であり、炭素数1〜24のアルキル基がより好ましい。アルキル基の置換基としてはアリール基、アミノ基、アルコキシ基、オキシカルボニル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、イミド基、ウレイド基等が挙げられ、アリール基、アミノ基、オキシカルボニル基、アルコキシ基がより好ましい。これらのアルキル基の置換基は、更にこれらの置換基で置換されてもよい。
【0275】
次に、一般式(YA)で表される化合物のうちでも、特に本発明で好ましく用いられる、下記一般式(YB)で表されるビスフェノール化合物について説明する。
【0276】
【化8】


【0277】
式中、Zは−S−又は−C(R21)(R21′)−を表し、R21、R21′は各々、水素原子又は置換基を表す。
【0278】
21、R21′の表す置換基としては、前記一般式(RD1)のR1の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。R21、R21′として好ましくは、水素原子又はアルキル基である。
【0279】
22、R23、R22′及びR23′は各々置換基を表すが、置換基としては一般式(RD1)におけるR2、R3で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0280】
22、R23、R22′及びR23′として、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基であるが、アルキル基が更に好ましい。アルキル基上の置換基としては、一般式(RD1)における置換基の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0281】
22、R23、R22′及びR23′として、更に好ましくはt−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、1−メチル−シクロヘキシル等の3級アルキル基である。
【0282】
24及びR24′は各々、水素原子又は置換基を表すが、置換基としては、一般式(RD1)におけるR4の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0283】
一般式(YA)及び(YB)で表される化合物としては、例えば、特開2002−169249号公報の段落「0032」〜「0038」記載の化合物(II−1)〜(II−40)、欧州特許第1,211,093号明細書の段落「0026」記載の化合物(ITS−1)〜(ITS−12)を挙げることができる。
【0284】
以下に、一般式(YA)及び(YB)で表されるビスフェノール化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0285】
【化9】


【0286】
【化10】


【0287】
一般式(YA)の化合物(ヒンダードフェノール化合物、一般式(YB)の化合物も含まれる)の添加量は、通常、銀1モル当たり0.00001〜0.01モルであり、好ましくは0.0005〜0.01モル、より好ましくは0.001〜0.008モルである。
【0288】
また、黄色発色性ロイコ染料の一般式(RD1)、(RD2)で表される還元剤の総和に対する添加量比は、モル比で0.001〜0.2であることが好ましく、0.005〜0.1であることがより好ましい。
【0289】
[シアン発色性ロイコ染料]
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上記の黄色発色性ロイコ染料のほかに、シアン発色性ロイコ染料も使用して色調を調整することもできる。
【0290】
シアン発色性ロイコ染料としては、好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色又は僅かに着色した化合物でよく、還元剤の酸化体等により酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、かつ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
【0291】
本発明において、特にシアン発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより600〜700nmの吸光度が増加する色像形成剤である。これらの化合物としては例えば、特開昭59−206831号(特にλmaxが600〜700nmの範囲内にある化合物)、特開平5−204087号の一般式(I)〜一般式(IV)の化合物(具体的には段落「0032」〜「0037」に記載の(1)〜(18)の化合物)及び特開平11−231460号の一般式4〜一般式7の化合物(具体的には段落「0105」に記載されるNo.1〜No.79の化合物)が挙げられる。
【0292】
本発明において特に好ましく用いられるシアン発色性ロイコ染料は、下記一般式(CL)で表される。
【0293】
【化11】


【0294】
式中、R31、R32は水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、−NHCO−R30基(R30はアルキル基、アリール基、複素環基を表す。)であるか、またはR31、R32は互いに連結して脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環または複素環を形成する基である。A3は−NHCO−基、−CONH−基または−NHCONH−基を表し、R33は置換または無置換の、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。
【0295】
また、−A3−R33は水素原子であってもよい。例えば、−A3−R33部分は、水素原子を表すか、または、A3は−NHCO−基、−CONH−基もしくは−NHCONH−基を表し、R33は置換または無置換の、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。
【0296】
3は水素原子または−CONH−R35基、−CO−R35基または−CO−O−R35基(R35は置換または無置換のアルキル基、アリール基または複素環基を表す。)を表し、R34は水素原子、ハロゲン原子、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルバモイル基、またはニトリル基を表す。R36は−CONH−R37基、−CO−R37基または−CO−O−R37基(R37は置換または無置換の、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。)X3は、置換または無置換の、アリール基、複素環基を表す。
【0297】
一般式(CL)において、R31、R32で表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、臭素原子、塩素原子等が挙げられ、アルキル基としては炭素原子数が20までのアルキル基(例えばメチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等)が挙げられ、アルケニル基としては炭素原子数20までのアルケニル基(例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル等)が挙げられ、アルコキシ基としては炭素原子数20までのアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ等)が挙げられる。また、−NHCO−R30基におけるR30で表されるアルキル基としては、炭素原子数が20までのアルキル基(例えばメチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等)が挙げられ、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基のような炭素原子数6〜20の基が挙げられ、複素環基としては、例えばチオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。R33で表されるアルキル基は、好ましくは炭素原子数20までのアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等が挙げられ、アリール基は好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、例えばチオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。
【0298】
3で表される−CONH−R35基、−CO−R35基または−CO−O−R35基において、R35で表されるアルキル基は、好ましくは炭素原子数20までのアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等が挙げられ、アリール基は、好ましくは炭素数6〜20までのアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、例えばチオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。
【0299】
34で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられ、アルキル基としては鎖状若しくは環状のアルキル基、例えば、メチル基、ブチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルケニル基としては炭素原子数20までのアルケニル基(例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル等)が挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、ブトキシ基、テトラデシルオキシ基等が挙げられ、カルバモイル基としては、例えば、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等が挙げられる。またニトリル基も好ましい。これらの中でも、水素原子、アルキル基がより好ましい。前記R33とR34は、互いに連結して環構造を形成してもよい。
上記の基はさらに単一の置換基または複数の置換基を有することができる。典型的な置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ドデシル基等)、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アルキルスルホンアミド基(例えば、メチルスルホンアミド基、オクチルスルホンアミド基等)、アリールスルホンアミド基(例えば、フェニルスルホンアミド基、ナフチルスルホンアミド基等)、アルキルスルファモイル基(例えば、ブチルスルファモイル基等)、アリールスルファモイル(例えば、フェニルスルファモイル基等)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、アミノスルホンアミド基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホキシ基、スルホ基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミノカルボニル基等が挙げられる。
【0300】
30またはR35は好ましくはフェニル基であり、より好ましくは、ハロゲン原子およびシアノ基を置換基として複数有するフェニル基である。
【0301】
36で表される−CONH−R37基、−CO−R37基または−CO−O−R37基において、R37で表されるアルキル基は、好ましく炭素原子数20までのアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基等が挙げられ、アリール基は、好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基、チエニル基等が挙げられ、複素環基としては、例えばチオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。
【0302】
37で表される基が有することができる置換基としては一般式(CL)のR31〜R34の説明において挙げた置換基と同様のものが使用できる。
【0303】
3で表されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、チエニル基のような炭素原子数6〜20のアリール基が挙げられ、複素環基としては、例えば、チオフェン基、フラン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピロール基等が挙げられる。
【0304】
3で表される基が有することができる置換基としては一般式(CL)のR31〜R34の説明において挙げた置換基と同様のものを挙げることができる。
3で表される基としてはパラ位にアルキルアミノ基(ジエチルアミノ基等)を有するアリール基または複素環基が好ましい。
【0305】
これらの基は写真的に有用な基を含んでもよい。
【0306】
以下にシアン発色性ロイコ染料(CL)の具体例を示すが、本発明で用いられるシアン発色性ロイコ染料はこれらに限定されるものではない。
【0307】
【化12】


【0308】
【化13】


【0309】
【化14】


【0310】
シアン発色性ロイコ染料の添加量は、通常0.00001〜0.05モル/Ag1モルであり、好ましくは0.0005〜0.02モル/Ag1モル、より好ましくは0.001〜0.01モル/Ag1モルである。シアン発色性ロイコ染料の一般式(RD1)、一般式(RD2)で表される還元剤の総和に対する添加量比は、モル比で0.001〜0.2であることが好ましく、0.005〜0.1であることがより好ましい。
【0311】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、シアンロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和を0.01以上0.50以下とするのが好ましく、より好ましくは0.02以上0.30以下、特に好ましくは0.03以上0.10以下を有するように発色させることが好ましい。
【0312】
本発明においては、上記のシアン発色性ロイコ染料に加えてマゼンタ発色性ロイコ染料または黄色発色性ロイコ染料を併用することでさらに微妙な色調の調整を可能とすることができる。
【0313】
一般式(YA)および(YB)で表される化合物及びシアン発色性ロイコ染料の添加方法としては、一般式(RD1)で表される還元剤の添加方法と同様な方法で添加することができ、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態等、任意の方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてよい。
【0314】
一般式(RD1)、(RD2)、一般式(YA)、(YB)の化合物及びシアン発色性ロイコ染料は、有機銀塩を含有する感光性層(画像形成層)に含有させることが好ましいが、一方を感光性層に、他方を該感光性層に隣接する非感光性層に含有させてもよく、両者を非感光性層に含有させてもよい。又、感光性層が複数層で構成されている場合には、それぞれ別層に含有させてもよい。
【0315】
[バインダー]
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、本発明に係る感光性層及び非感光性層に種々の目的でバインダーを含有させることができる。
【0316】
本発明において感光性層に含まれるバインダーは、有機銀塩、ハロゲン化銀粒子、還元剤、その他の成分を担持しうるものであり、好適なバインダーは、透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマーや合成ポリマー、及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、特開2001−330918号の段落「0069」に記載のものが挙げられる。
【0317】
これらの内、特に好ましい例としては、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、スチレン類等が挙げられる。この様な高分子化合物の中でも、アセタール基を持つ高分子化合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分子化合物でも、アセトアセタール構造を持つポリビニルアセタールであることがより好ましく、例えば米国特許2,358,836号、同3,003,879号、同2,828,204号、英国特許771,155号等に示されるポリビニルアセタールを挙げることができる。
【0318】
アセタール基を持つ高分子化合物としては、特開2002−287299号公報の「150」に記載の一般式(V)で表される化合物が、特に好ましい。
【0319】
本発明に係る感光性層に好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましくはポリビニルブチラールであり、主バインダーとして用いることが好ましい。ここで言う主バインダーとは、「感光性層の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマーが占めている状態」をいう。従って、全バインダーの50質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよい。これらのポリマーとしては、本発明のポリマーが可溶となる溶媒であれば特に制限はない。より好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0320】
本発明で用いるバインダーのガラス転移温度(Tg)は、70〜105℃であることが、画像形成において十分な最高濃度が得ることができるという点で、好ましい。
【0321】
本発明のバインダーとしては、数平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。
【0322】
又、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。尚、必要に応じて、上記のように2種以上のバインダーを組み合わせて用い得る。
【0323】
この様なバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は当業者が容易に決定し得る。例えば、感光性層(画像形成層)において少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2(質量比)が好ましく、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、感光性層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましく、更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0324】
感光性層に有機性ゲル化剤を含有せしめてもよい。尚、ここで言う有機性ゲル化剤とは、例えば多価アルコール類のように、有機液体に添加することにより、その系に降伏値を付与し、系の流動性を消失あるいは低下させる機能を有する化合物を言う。
【0325】
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、水性分散されたポリマーラテックスを含有する感光性層用塗布液を使用する製造工程を経て製造することも可能である。この場合、感光性層用塗布液中の全バインダーの50質量%以上が水性分散されたポリマーラテックスであることが好ましい。又、感光性層の調製においてポリマーラテックスを使用した場合、感光性層中の全バインダーの50質量%以上がポリマーラテックス由来のポリマーであることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。
【0326】
ここで、ポリマーラテックスとは、水不溶性の疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち、分子鎖自身が分子状分散したもの等、何れでもよい。
【0327】
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いることができるポリマーラテックスとしては、通常の均一構造のポリマーラテックス以外、所謂コア/シェル型のラテックスでもよい。この場合、コアとシェルはTgを変えると好ましい場合がある。
【0328】
本発明においてポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は、−30〜90℃であることが好ましく、更に好ましくは0〜70℃程度である。又、最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。
【0329】
ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はこれらの共重合体等がある。ポリマーとしては、直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、又、架橋されたポリマーでもよい。又、ポリマーとしては、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合は、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は、数平均分子量で、通常、5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000程度である。分子量が小さすぎるものは感光層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く、共に好ましくない。
【0330】
ポリマーラテックスは、25℃・60%RH(相対湿度)での平衡含水率が0.01〜2質量%以下のものが好ましく、更に好ましくは、0.01〜1質量%のものである。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14,高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」等を参考にすることができる。
【0331】
ポリマーラテックスの具体例としては、特開2002−287299号公報の「0173」に記載の各ラテックスが挙げられる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよい。ポリマーラテックスのポリマー種としては、アクリレート又はメタクリレート成分の如きカルボン酸成分を0.1〜10質量%程度含有するものが好ましい。
【0332】
更に、必要に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は前記感光性層の全バインダーの30質量%以下が好ましい。
【0333】
感光性層用塗布液の調製における有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスの添加の順序については、何れを先に添加してもよいし、同時に添加してもよいが、好ましくはポリマーラテックスが後である。
【0334】
[架橋剤]
本発明において感光性層には、本発明に係るバインダー同士を橋かけ結合によってつなぐことができる架橋剤を含有させることができる。架橋剤を上記バインダーに対し用いることにより、膜付きが良くなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
【0335】
用いられる架橋剤としては、従来、写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例えば特開昭50−96216号に記載されるアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤が用いられるが、好ましくは、以下に示すイソシアネート系、シラン化合物系、エポキシ系化合物又は酸無水物である。
【0336】
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価又は3価のポリアルコール類との付加体等が挙げられる。具体例として、特開昭56−5535号の10〜12頁に記載されるイソシアネート化合物を利用することができる。
【0337】
尚、イソシアネートとポリアルコールの付加体は、特に層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイソシアネートは、熱現像感光材料のどの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
【0338】
又、本発明に使用可能なチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
【0339】
上記架橋剤の使用量は、銀1モルに対して、通常、0.001〜2モル、好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
【0340】
本発明において含有させることができるイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、当該官能基を1個のみ有する化合物であっても良い結果が得られる。
【0341】
シラン化合物の例としては、特開2001−264930号に開示されている一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0342】
又、架橋剤として使用できるエポキシ化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。又、エポキシ化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマー等の何れであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーの何れであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2,000〜20,000程度である。
【0343】
本発明に用いられる酸無水物は、下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。この様な酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はない。
【0344】
−CO−O−CO−
上記のエポキシ化合物や酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。このエポキシ化合物や酸無水物は、感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
【0345】
[省銀化剤]
本発明において感光性層又は非感光性層には、省銀化剤を含有させることができる。ここでいう、省銀化剤とは、一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合物をいう。
【0346】
この必要な銀量を低減化する機能の作用機構は種々考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位量当たりの光学濃度をいう。この省銀化剤は感光性層又は非感光性層、更にはそのいずれにも存在せしめることができる。省銀化剤としては、ヒドラジン誘導体化合物、ビニル化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、4級オニウム化合物及びシラン化合物が好ましい例として挙げられる。具体例としては、特開2003−270755号公報の段落「0195」〜「0235」に開示されている省銀化剤が挙げられる。
【0347】
本発明において省銀化剤として、特に好ましい省銀化剤は、下記一般式(SE1)および(SE2)で表される化合物である。
【0348】
一般式(SE1)
1−NHNH−Q2
式中、Q1は炭素原子で−NHNH−Q2と結合する芳香族基、またはヘテロ環基を表し、Q2はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す。
【0349】
一般式(SE1)において、Q1で表される芳香族基またはヘテロ環基としては5〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
【0350】
【化15】


【0351】
式中、R11はアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表す。R12は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、炭酸エステル基を表す。R13、R14はそれぞれベンゼン環に置換可能な基を表す。R13とR14は互いに連結して縮合環を形成してもよい。
【0352】
一般式(SE2)においてR13、R14が互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。一般式(SE2)がナフトール系の化合物であるとき、R11はカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。R13はアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
【0353】
[熱溶剤]
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料には熱溶剤が含まれていることが好ましい。ここで、熱溶剤とは、熱溶剤含有銀塩光熱写真ドライイメージング材料に対して、熱溶剤を含まない銀塩光熱写真ドライイメージング材料に比べて熱現像温度を1℃以上低くすることができる素材と定義する。さらに好ましくは、2℃以上熱現像温度を低くできる素材であり、特に好ましくは3℃以上低くできる素材である。例えば、熱溶剤を含む光熱写真ドライイメージング材料Aに対して、光熱写真ドライイメージング材料Aから熱溶剤を含まない光熱写真ドライイメージング材料をBとした時に、光熱写真ドライイメージング材料Bを露光し熱現像温度120℃、熱現像時間20秒で処理して得られる濃度を、光熱写真ドライイメージング材料Aで同一露光量、熱現像時間で得るための熱現像温度が119℃以下になる場合を熱溶剤とする。
【0354】
熱溶剤は極性基を置換基として有しており、一般式(TS)で表されるのが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0355】
一般式(TS)
(Y)n
一般式(TS)において、Yはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。Zはヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、リン酸アミド基、シアノ基、イミド、ウレイド、スルホキシド、スルホン、ホスフィン、ホスフィンオキシドまたは含窒素複素環基から選ばれる基を表す。nは1ないし3の整数を表し、Zが1価の基である場合には1、Zが2価以上の基である場合にはZの価数と同一である。nが2以上の場合、複数のYは同一であっても異なっていても良い。
【0356】
Yは更に置換基を有していても良く、置換基としてZで表される基を有していても良い。Yについてさらに詳しく説明する。一般式(TS)において、Yは直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは1〜30、特に好ましくは1〜25であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、sec−ブチル、t−ブチル、t−オクチル、n−アミル、t−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは2〜30、特に好ましくは2〜25であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは6〜30、特に好ましくは6〜25であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、複素環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、ピラジル、イミダゾイル、ピロリジルなどが挙げられる。)を表す。これらの置換基はさらに他の置換基で置換されていても良い。また、これらの置換基は互いに結合して、環を形成していても良い。
【0357】
Yは更に置換基を有していても良く、置換基の例としては、特開2004−21068号公報の「0015」に記載の置換基が挙げられる。熱溶剤を使用することにより現像活性となる理由としては、熱溶剤が現像温度付近で溶融することにより現像に関与する物質と相溶し、熱溶剤を添加しないときよりも低い温度での反応を可能としているためと考えられる。熱現像は、比較的極性の高いカルボン酸や銀イオン輸送体が関与している還元反応であるため、極性基を有している熱溶剤により適度の極性を有する反応場を形成することが好ましい。
【0358】
本発明に好ましく用いられる熱溶剤の融点は50℃以上200℃以下であるが、より好ましくは60℃以上150℃以下である。特に、本発明の目的であるような、画像保存性などの外的環境に対しての安定性を重視した熱現像感光材料では、融点が100℃以上150℃以下の熱溶剤が好ましい。
【0359】
熱溶剤の具体例としては特開2004−21068号公報の「0017」に記載される化合物、米国特許出願公開2002/0025498号公報の「0027」に記載の化合物、MF−1〜MF−3、MF6、MF−7、MF−9〜MF−12、MF−15〜MF−22を挙げることができる。
【0360】
本発明において熱溶剤の添加量は0.01〜5.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.05〜2.5g/m2で、さらに好ましくは0.1〜1.5g/m2である。熱溶剤は感光性層に含有させることが好ましい。また、上記熱溶剤は単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において熱溶剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
【0361】
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
【0362】
また、固体微粒子分散法としては、熱溶剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
【0363】
[カブリ防止及び画像安定化剤]
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料のいずれかの構成層には、熱現像前の保存時におけるカブリ発生を防止するためのカブリ防止剤、及び熱現像後における画像の劣化を防止するための画像安定化剤を含有させておくことが好ましい。
【0364】
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いることができるカブリ防止及び画像安定化剤について説明する。
【0365】
本発明において還元剤として、主にビスフェノール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトンを持った還元剤が用いられているので、これらの水素を安定化し還元剤を不活性化し、銀イオンを還元する反応を防止防止できる化合物が含有されていることが好ましい。また、生フィルムや画像の保存時に生成する銀原子ないし金属銀銀(銀クラスター)を酸化漂白できる化合物が含有されていることが好ましい。これらの機能を有する化合物の具体例として、例えば、特開20003−270755号公報の段落「0096」〜「0128」に記載されているビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化号物及びハロゲン原子を活性種として放出できる化合等を挙げることができる。
【0366】
また、特開2003−91054号に開示されているようなハロゲンラジカル放出基を有するモノマーの繰り返し単位を少なくとも1つ有するポリマー、特開平6−208192号公報の段落「0013」に記載のビニルスルホン類及び/又はβ−ハロスルホン類、及び、特願2004−234206号に記載されている電子吸引基を有するビニル型抑制剤等の種々なカブリ防止及び画像安定化剤等が好ましい具体例として挙げられる。
【0367】
本発明に用いる還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)を有する場合、特にビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物の具体例としては、例えば、特開2002−90937号公報の段落「0061」〜「0064」に記載の化合物(II−1)〜(II−40)が挙げられる。
【0368】
また、一方、カブリ防止及び画像安定化剤として、ハロゲン原子を活性種として放出できる化合物も多くのものが知られている。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、特開2002−287299号公報の「0264」〜「0271」に記載の一般式(9)の化合物が挙げられる。
【0369】
これらの化合物の添加量は、当該化合物から放出されるハロゲンと銀イオンが反応してハロゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が実質的に問題にならない範囲が好ましい。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、上記の公報の他に、特開2002−169249号公報の段落「0086」〜「0087」に記載されている化合物(III−1)〜(III−23)、特開2003−50441号公報の段落「0031」〜「0034」記載の化合物1−1a〜1−1o、1−2a〜1−2o、段落「0050」〜「0056」記載の化合物2a〜2z、2aa〜2ll、2−1a〜2−1f、特開2003−91054号公報の段落「0055」〜「0058」記載の化合物4−1〜4−32、段落「0069」〜「0072」記載の化合物5−1〜5−10を挙げることができる。
【0370】
本発明で好ましく使用されるカブリ防止剤としては、例えば、特開平8−314059号公報の段落「0012」に記載の化合物例a〜j、特開平7−209797号公報の段落「0028」に記載のチオスルホネートエステルA〜K、特開昭55−140833号公報のp14から記載の化合物例(1)〜(44)、特開2001−13627号公報の段落「0063」記載の化合物(I−1)〜(I−6)、段落「0066」記載の(C−1)〜(C−3)、特開2002−90937号公報の段落「0027」記載の化合物(III−1)〜(III−108)、ビニルスルホン類及び/又はβ−ハロスルホン類の化合物として特開平6−208192号公報の段落「0013」に記載の化合物VS−1〜VS−7、化合物HS−1〜HS−5、スルホニルベンゾトリアゾール化合物として特開2000−330235号公報に記載のKS−1〜KS−8の化合物、置換されたプロペンニトリル化合物として特表2000−515995号公報に記載のPR−01〜PR−08、特開2002−207273号公報の段落「0042」〜「0051」に記載の化合物(1)−1〜(1)−132、を挙げることができる。
【0371】
上記カブリ防止剤は一般に銀のモルに対して少なくとも0.001モル用いる。通常、その範囲は銀のモルに対して化合物は0.01〜5モル、好ましくは銀のモルに対して化合物は0.02〜0.6モルである。
【0372】
尚、上記の化合物の他に、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料中には、従来カブリ防止剤として知られている各種化合物が含まれてもよいが、上記の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化合物であっても、カブリ防止機構が異なる化合物であってもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、同4,546,075号、同4,452,885号の各明細書、特開昭59−57234号公報、米国特許第3,874,946号明細書、同4,756,999号明細書、特開平9−288328号公報、同9−90550号公報に記載されている化合物が挙げられる。更に、その他のカブリ防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同605,981号、同631,176号の各明細書に開示されている化合物が挙げられる。
【0373】
[調色剤]
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、必要に応じて銀の色調を調整する調色剤(トナー)を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有していることが好ましい。
【0374】
本発明に用いられる好適な調色剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号及び同4,021,249号の各明細書に開示されており、例えば、次のものがある。
【0375】
イミド類(例えば、スクシンイミド、フタルイミド、ナフタールイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);フタラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩(例えば、フタラジノン、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジンとフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸)の組合せ;フタラジンとマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組合せ等が挙げられる。特に好ましい調色剤としてはフタラジノンまたはフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類の組合せである。
【0376】
[フッ素系界面活性剤]
本発明ではレーザイメージャー(熱現像処理装置)でのフィルム搬送性や環境適性(生体内への蓄積性)を改良するために下記一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤が好ましく用いられる。
【0377】
一般式(SF)
(Rf−(L)n−)p−(Y)m−(A)q
式中、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表し、Lはフッ素原子を有しない2価の連結基を表し、Yはフッ素原子を有さない(p+q)価の連結基を表し、Aはアニオン基またはその塩を表し、n、mは各々0または1の整数を表し、pは1〜3の整数を表し、qは1〜3の整数を表す。但し、qが1の時はnとmは同時に0ではない。
【0378】
前記一般式(SF)において、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表すが、該フッ素原子を含有する置換基としては例えば、炭素数1〜25のフッ化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基、トリフロロエチル基、パーフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基、パーフロロドデシル基及びパーフロロオクタデシル基等)またはフッ化アルケニル基(例えば、パーフロロプロペニル基、パーフロロブテニル基、パーフロロノネニル基及びパーフロロドデセニル基等)等が挙げられる。Rfは炭素数2〜8であることが好ましく、より好ましくは炭素数が2〜6である。またRfはフッ素原子数2〜12であることが好ましく、より好ましくはフッ素原子数が3〜12である。
【0379】
Lはフッ素原子を有さない2価の連結基を表すが、当該フッ素原子を有さない2価の連結基としては例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等)、アルキレンオキシ基(メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、ブチレンオキシ基等)、オキシアルキレン基(例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシブチレン基等)、オキシアルキレンオキシ基(例えば、オキシメチレンオキシ基、オキシエチレンオキシ基、オキシエチレンオキシエチレンオキシ基等)、フェニレン基、オキシフェニレン基、フェニルオキシ基、オキシフェニルオキシ基またはこれらの基を組合せた基等が挙げられる。
【0380】
Aはアニオン基またはその塩を表すが、例えば、カルボン酸基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、スルホン酸基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、硫酸ハーフエステル基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、及び燐酸基またはその塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)等が挙げられる。
【0381】
Yはフッ素原子を有さない(p+q)価の連結基を表すが、例えば、フッ素原子を有さない3価または4価の連結基としては、窒素原子または炭素原子を中心にして構成される原子群が挙げられる。n1は0または1の整数を表すが、1であるのが好ましい。
【0382】
一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、フッ素原子を導入した炭素数1〜25のアルキル化合物(例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基及びパーフロロオクタデシル基等を有する化合物)及びアルケニル化合物(例えば、パーフロロヘキセニル基及びパーフロロノネニル基等)と、それぞれフッ素原子を導入していない3価〜6価のアルカノール化合物、水酸基を3〜4個有する芳香族化合物またはヘテロ化合物との付加反応や縮合反応によって得られた化合物(一部Rf化されたアルカノール化合物)に、更に例えば硫酸エステル化等によりアニオン基(A)を導入することにより得ることができる。
【0383】
上記3〜6価のアルカノール化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチル−2−ヒドロキシメチル1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンテン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ブタノール)−3、脂肪族トリオール、テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール等が挙げられる。
【0384】
また、上記水酸基を3〜4個有する芳香族化合物及びへテロ化合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン及び2,4,6−トリヒドロキシピリジン等が挙げられる。
【0385】
以下に、一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤の好ましい具体的化合物を示す。
【0386】
【化16】


【0387】
【化17】


【0388】
一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤を塗布液に添加する方法としては公知の添加法に従って添加することができる。即ち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。また、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザ分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、最外層の保護層に添加することが好ましい。
【0389】
一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤の添加量は1m2当たり1×10-8〜1×10-1モルが好ましく、1×10-5〜1×10-2モルが特に好ましい。前者の範囲未満では、帯電特性が得られないことがあり、前者の範囲を越えると、湿度依存性が大きく高湿下の保存性が劣化することがある。
【0390】
[表面物性調整 有機固体潤滑剤粒子]
銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、塗布、乾燥、加工などの製造工程等における当該感光材料の巻き取り、巻き返し、搬送の際に種々の装置と熱現像感光材料との接触、または感光表面とバッキング面との間におけるような熱現像感光材料どうしの接触によって好ましからざる影響を受けることが多い。例えば、当該感光材料表面の引っ掻き傷や滑り傷の発生や、現像装置等の中での当該感光材料の搬送性の劣化等である。
【0391】
したがって、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、上記の表面の傷や搬送性劣化を防止するために、当該材料の構成層のうちのいずれかの構成層、特に、支持体上の最外層に潤滑剤、マット剤等を含有させ、当該材料の表面の物性を調整することが好ましい。
【0392】
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、支持体上の最外層に平均径1μm〜30μmの有機固体潤滑剤粒子を含有し、この有機固体潤滑剤粒子が高分子分散剤によって分散されていることがこのましい。また、当該有機固体潤滑剤粒子の融点は、熱現像処理温度よりも高いことがより好ましく、80℃以上、より好ましくは110℃以上である。
【0393】
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料において用いる有機固体潤滑剤粒子としては、表面のエネルギーを下げる化合物が好ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、およびこれらの共重合体などを粉砕して形成した粒子などが挙げることができる。
【0394】
以下に、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる有機固体潤滑剤粒子の一例を示すが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
【0395】
[融点℃]
PW−1 ポリテトラフルオロエチレン 321
PW−2 ポリプロピレン/ポリエチレン共重合体 142
PW−3 ポリエチレン(低密度) 113
PW−4 ポリエチレン(高密度) 126
PW−5 ポリプロピレン 145
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、有機固体潤滑剤粒子が、下記一般式(6)で表される化合物であることが好ましい。
【0396】
一般式(6)
(R61p6−X61−L6−X62−(R62q6
式中R61、R62は各々炭素数6〜60の置換もしくは無置換アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基であり、p6又はq6が2以上である場合、複数存在するR61およびR62は互いに同一でも相違していても良い。X61、X62は各々窒素原子を含む2価の連結基を示す。L6は置換もしくは無置換のp6+q6価のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、またはアリール基を示す。
【0397】
前記一般式(6)で表される化合物において、総炭素数は特に限定されないが、一般的には20以上が好ましく、30以上がさらに好ましい。R61とR62の定義におけるアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基が有していてもよい置換基の例としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、アリール基およびアルキル基を挙げることができる。これらの基はさらに置換基を有してもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシル基およびアルキル基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
【0398】
アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基におけるアルキル成分は後述するR62のアルキル基と同じである。アシルアミノ基、スルホニルアミノ基のアミノ基は、N置換アミノ基であってもよく、置換基はアルキル基が好ましい。アシルアミノ基、アシル基のカルボニル基およびスルホニルアミノ基のスルホニル基に結合する基はアルキル基、アリール基であるが、上記アルキル基が好ましい。
【0399】
61およびR62は、炭素数6〜60、好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは炭素数10〜30の置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基であり、これらアルキル基、アルケニル基、アラルキル基は、直鎖でも分岐鎖でも環状構造を含むものでもよく、これらが混合したものでもよい。好ましいR61およびR62の例としては、オクチル、t−オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、2−ヘキシルデシル、オクタデシル、Cn2n-1(nは20〜60を表す)、エイコシル、ドコサニル、メリシニル、オクテニル、ミリストレイル、オレイル、エルシル、フェニル、ナフチル、ベンジル、ノニルフェニル、ジペンチルフェニル、シクロヘキシルの各基およびこれらの上記置換基を有する基等を挙げることができる。
【0400】
61、X62は窒素原子を含む2価の連結基を示し、好ましくは−CONR3−、−NR4CONR5−、−NR6COO−を示す。
【0401】
6は置換もしくは、無置換のp6+q6価のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基を示す。炭化水素基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜60、より好ましくは1〜40、さらに好ましくは10〜40である。p6+q6価の炭化水素基における「p6+q6価」とは炭化水素中のp6+q6個の水素原子が除かれて、そこにp6個のX61−基とq6個の−X62基が結合することを示す。p6およびq6は0〜6の整数を表し、1≦p6+q6≦6であり、好ましくは1≦p6+q6≦4である。また、p6およびq6のいずれも1である場合が好ましい。
【0402】
上記一般式(6)で表される化合物は、合成物であっても天然物であってもよい。天然物、あるいは合成物であっても天然物の高級脂肪酸やアルコールを原料とした合成化合物は、炭素数の異なるものや直鎖と分岐のものを含み、これらの混合物となるが、これらの混合物を使用することは何等差し支えない。組成の品質安定性の観点では合成物が好ましい。
【0403】
以下に好ましい一般式(6)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0404】
[融点℃]
OW−1 ラウリン酸アマイド 87
OW−2 パルチミン酸アマイド 100
OW−3 ステアリン酸アマイド 101
OW−4 ベヘン酸アマイド 98
OW−5 ヒドロキシステアリン酸アマイド 107
OW−6 オレイン酸アマイド 75
OW−7 エルカ酸アマイド 81
OW−8 リシノール酸アマイド 62
OW−9 N−ラウリルラウリン酸アマイド 77
OW−10 N−パルミチルパルミチン酸アマイド 91
OW−11 N−ステアリルステアリン酸アマイド 95
OW−12 N−オレイルオレイン酸アマイド 65
OW−13 N−ステアリルオレイン酸アマイド 67
OW−14 N−オレイルステアリン酸アマイド 74
OW−15 N−ステアリルエルカ酸アマイド 69
OW−16 N−オレイルパルミチン酸アマイド 68
OW−17 N−ステアリル−12−ヒドロキシステアリン酸アマイド 102
OW−18 N−オレイル−12−ヒドロキシステアリン酸アマイド 90
OW−19 メチロールステアリン酸アマイド 110
OW−20 メチロールベヘン酸アマイド 110
OW−21 メチレンビスステアリン酸アマイド 142
OW−22 メチレンビスラウリン酸アマイド 131
OW−23 メチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド 143
OW−24 エチレンビスカプリル酸アマイド 165
OW−25 エチレンビスカプリン酸アマイド 161
OW−26 エチレンビスラウリン酸アマイド 157
OW−27 エチレンビスステアリン酸アマイド 145
OW−28 エチレンビスイソステアリン酸アマイド 106
OW−29 エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド 145
OW−30 エチレンビスベヘン酸アマイド 142
OW−31 ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド 140
OW−32 ヘキサメチレンビスベヘン酸アマイド 142
OW−33 ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド 135
OW−34 ブチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド 140
OW−35 N,N′−ジステアリルアジピン酸アマイド 141
OW−36 N,N′−ジステアリルセバシン酸アマイド 136
OW−37 メチレンビスオレイン酸アマイド 116
OW−38 エチレンビスオレイン酸アマイド 119
OW−39 エチレンビスエルカ酸アマイド 120
OW−40 ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド 110
OW−41 N,N′−ジオレイルアジピン酸アマイド 118
OW−42 N,N′−ジオレイルセバシン酸アマイド 113
OW−43 m−キシリレンステアリン酸アマイド 123
OW−44 N,N′−ジステアリルイソフタル酸アマイド 125
OW−45 エタノールアミンジステアレート 82
OW−46 N−ブチル−N′−ステアリル尿素 94
OW−47 N−フェニル−N′−ステアリル尿素 99
OW−48 N−ステアリル−N′−ステアリル尿素 109
OW−49 キシリレンビスステアリル尿素 166
OW−50 トルイレンビスステアリル尿素 172
OW−51 ヘキサメチレンビスステアリル尿素 173
OW−52 ジフェニルメタンビスステアリル尿素 206
本発明における有機固体潤滑剤は、予め塗布液中に分散した状態で用いるのが好ましい。有機固体潤滑剤は、名の如く表面が滑り易い性質になっているため、水とも有機溶媒とも親和性は十分に高くないことが多く、分散液の安定性が低いと塗布液中で凝集もしくは沈降などを発現する場合がある。塗布液中での凝集もしくは沈降は、フィルムに加工した際に塗布故障の原因となり好ましくない。分散液の安定性を高める方法としては、表面を改質し静電気的な効果を用いる方法や高分子分散剤による表面吸着層を利用した立体障害の効果を用いる方法などが上げられる。前者は一般的な分散安定化方法であるが、熱現像感光材料に用いるという点から表面改質剤自身の他の性能への影響が懸念されるため、また水系、非水系のどちらでも効果の発現しやすい後者の方法が好ましい。
【0405】
なお、高分子分散剤としては、当該感光材料に用いられているバインダーを利用することができる。具体的には、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどを用いることができる。
【0406】
高分子分散剤の量は、被分散物である有機固体潤滑剤粒子に対し、1質量%〜200質量%の範囲で用いることが好ましい。分散方法は特に限定しないが、デゾルバー式、超音波式、圧力式などが用いることができ、発熱しないよう冷却装置の調った分散装置で分散処理することが好ましい。
【0407】
上記有機固体潤滑剤粒子の平均粒径は、下記方法による分散後の平均粒径を指す。本発明に係る平均粒径を求めるには、本発明に係る化合物を含む分散液を希釈して、カーボン支持膜付きグリッド上に滴下、乾燥させた試料を透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子社製、2000FX型)、直接倍率5000倍にて撮影を行った後、スキャナにてネガをデジタル画像として取り込み、適当な画像処理ソフトを用いて、それぞれの粒径(円相当径)を300個以上測定し、その算術平均より平均粒径を求めることができる。
【0408】
本発明に係る感光材料においては、支持体上の少なくとも1層が前記一般式(6)で表される化合物を含有し、かつ非イオン性含フッ素界面活性剤とアニオン性含フッ素界面活性剤とを含有することが好ましい。
【0409】
本発明で用いることのできる非イオン性含フッ素界面活性剤としては、特に制限はないが、下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
【0410】
一般式(A)
Rf1−(AO)n−Rf2
式中、Rf1及びRf2はフッ素含有脂肪族基を表し、同じでも異なってもよい。AOは少なくとも一つのアルキレンオキシ基を有する基を表し、nは1〜30の整数を表す。
【0411】
一般式(A)において、Rf1及びRf2で表されるフッ素含有脂肪族基としては、直鎖、分岐鎖及び環式、またはこれらの組合せから成る脂肪族基、例えばアルキルシクロ脂肪族基が挙げられる。好ましいフッ素含有脂肪族基としては、それぞれ炭素数1〜20のフルオロアルキル基(−C49、−C817等)、スルホフルオロアルキル基(−C715SO3、−C817SO3−等)、Cn2n+1SO2N(R1)R2−基(R1は水素原子、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボキシル基またはアリール基で、R2はそれぞれ炭素数1〜20のアルキレン基、アルキレンカルボキシル基を表し、nは1〜20の整数を表す。C715SO2N(C25)CH2−、C817SO2N(CH2COOH)CH2CH2CH2−等)で、これらは更に置換基を有してもよい。
【0412】
AOはエチレンオキシ、プロピレンオキシ、i−プロピレンオキシ等のアルキレンオキシ基を有する基で、末端にアミノ基等の置換基を有してもよい。nは好ましくは5〜15の整数である。
【0413】
A−1:C1225(CH2CH2O)241225
A−2:C817(CH2CH2O)8817
A−3:C715CH2CH(OH)CH2(CH2CH2O)15CH2CH(OH)CH2715
A−4:C715(CH2CH2O)10715
A−5:C1225(CH2CH2O)151225
A−6:C817CH2CH(OH)CH2(CH2CH2O)20CH2CH(OH)CH2817
A−7:C817(CH2CH2O)18817
A−8:C817(CH2CH2O)20817
A−9:C715SO2N(C25)CH2(CH2CH2O)22CH2N(CH3)SO2715
A−10:C917O(CH2CH2O)22917
また、本発明で用いることのできるアニオン性含フッ素界面活性剤としては、特に制限はなく、下記に具体的化合物を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0414】
【化18】


【0415】
【化19】


【0416】
【化20】


【0417】
【化21】


【0418】
【化22】


【0419】
【化23】


【0420】
【化24】


【0421】
【化25】


【0422】
本発明において各含フッ素系界面活性剤の使用量は、一般に感光材料1m2当り0.01〜1gでよく、10〜500mgが好ましい。より好ましくは50〜300mgである。
【0423】
本発明に用いられる含フッ素系界面活性剤としては、上記の他に、特開昭60−244945号、同63−306437号、特開平1−24245号の各公報に記載のイオン性のフッ素系界面活性剤、特開平5−197068号、同5−204115号の各公報等に記載のアニオン・カチオン併用のフッ素系界面活性剤を用いることができる。
【0424】
本発明に用いられる含フッ素系界面活性剤の添加層としては、特に限定がなく、どの層にあっても良いが、最表面層に含有されることが好ましい。
【0425】
[染料、顔料]
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、感光性層を透過する光の量または波長分布を制御するために感光性層と同じ側または反対の側にフィルター層を形成するか、感光性層に染料又は顔料を含有させることが好ましい。
【0426】
用いられる染料としては、感光材料の感色性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物が使用できる。
【0427】
例えば、本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料材料を赤外光による画像記録材料とする場合には、特開2001−83655号に開示されているようなチオピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではチオピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)及びピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、又スクアリリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染料、又はピリリウムクロコニウム染料を使用することが好ましい。
【0428】
尚、スクアリリウム核を有する化合物とは、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有する化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここで、ヒドロキシル基は解離していてもよい。以下本明細書ではこれらの色素を便宜的に一括してスクアリリウム染料とよぶ。尚、染料としては特開平8−201959号の化合物も好ましい。
【0429】
以下、本発明に好ましい赤外染料について詳細に説明する。
【0430】
<下記一般式(1)で表される化合物>
【0431】
【化26】


【0432】
(式中、R11及びR12は各々独立に水素原子または置換基を表す。Z11はO、S、N−R1、SeまたはTeを表し、R1はアルキル基またはアリール基を表す。Q11は6員の複素環を表し、A11及びA12は各々独立に置換基を表す。但し、A11とA12が互いに同一の置換基であることはない。)
一般式(1)において、R11及びR12は各々独立に、水素原子または置換基を表す。R11及びR12で表される置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。好ましくは、水素原子、アルキル基またはアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子またはアルキル基である。
【0433】
11は、O、S、N−R1、SeまたはTeを表し、R1はアルキル基またはアリール基を表す。好ましくは、O、S、またはN−R1であり、さらに好ましくはOまたはSである。
【0434】
11は6員の複素環を表し、複素環としては、ピリリウム、チオピリリウム、セレノピリリウム、テルノピリリウム、ピリジニウム、ベンズピリリウム、ベンズチオピリリウム、ベンズセレノピリリウム等が挙げられるが、好ましくは、ピリリウム、チオピリリウムまたはセレノピリリウムであり、さらに好ましくは、ピリリウムまたはチオピリリウムである。これらの複素環は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アニリノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基、ホスファト基、スルファト基、その他の公知の置換基が挙げられる。
【0435】
11及びA12は、各々独立に置換基を表し、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられ、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。但し、A11とA12が互いに同一の置換基であることはない。
【0436】
<一般式(2)で表される化合物>
【0437】
【化27】


【0438】
一般式(2)において、R21及びR22は各々独立に水素原子または置換基を表す。R21及びR22で表される置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。好ましくは、水素原子、アルキル基またはアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子またはアルキル基である。
【0439】
21はO、S、N−R2、SeまたはTeを表し、R2はアルキル基またはアリール基を表す。好ましくは、O、S、またはN−R2であり、さらに好ましくはOまたはSである。
【0440】
21は6員の複素環を表し、複素環としては、ピリリウム、チオピリリウム、セレノピリリウム、テルノピリリウム、ピリジニウム、ベンズピリリウム、ベンズチオピリリウム、ベンズセレノピリリウム等が挙げられるが、好ましくは、ピリリウム、チオピリリウムまたはセレノピリリウムであり、さらに好ましくは、ピリリウムまたはチオピリリウムである。これらの複素環は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アニリノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基、ホスファト基、スルファト基、その他の公知の置換基が挙げられる。
【0441】
21及びA22は各々独立に置換基を表し、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。但し、A21とA22が互いに同一の置換基であることはない。
【0442】
21は、アルキル基またはアリール基を表し、好ましくは、アルキル基である。X21は分子内の電荷を相殺するのに必要なイオンを表す。nは、0または1を表し、分子内塩を形成する時は0である。
【0443】
<一般式(3)で表される化合物>
【0444】
【化28】


【0445】
一般式(3)において、R11及びR12は、前記一般式(1)のR11及びR12と同義である。
【0446】
11は前記一般式(1)のZ11と同義である。
【0447】
11及びA12は、前記一般式(1)のA11及びA12と同義である。
【0448】
32はO、S、N−R3、SeまたはTeを表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。好ましくは、O、S、またはN−R3であり、さらに好ましくはOまたはSである。
【0449】
33及びA34は各々独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0450】
<一般式(4)で表される化合物>
【0451】
【化29】


【0452】
一般式(4)において、R21及びR22は前記一般式(2)のR21及びR22と同義である。
【0453】
21は、前記一般式(2)のZ21と同義である。
【0454】
21及びA22は、前記一般式(2)のA21及びA22と同義である。
【0455】
21は、前記一般式(2)のB21と同義である。
【0456】
21は、前記一般式(2)のX21と同義である。
【0457】
nは、前記一般式(2)のnと同義である。
【0458】
42は、O、S、N−R4、SeまたはTeを表し、R4はアルキル基またはアリール基を表す。好ましくは、O、S、またはN−R4であり、さらに好ましくはOまたはSである。
【0459】
43及びA44は、各々独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられ、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
【0460】
<一般式(5)で表される化合物>
【0461】
【化30】


【0462】
一般式(5)において、R11及びR12は、前記一般式(1)のR11及びR12と同義である。
【0463】
11は、前記一般式(1)のZ11と同義である。
【0464】
11及びA12は、前記一般式(1)のA11及びA12と同義である。
【0465】
32は、一般式(3)のZ32と同義である。
【0466】
53及びA54は、各々独立に置換基を表し、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられ、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。但し、A53とA54が互いに同一の置換基であることはない。
【0467】
<一般式(6)で表される化合物>
【0468】
【化31】


【0469】
一般式(6)において、R21及びR22は、前記一般式(2)のR21及びR22と同義である。
【0470】
21は、前記一般式(2)のZ21と同義である。
【0471】
21及びA22は、前記一般式(2)のA21及びA22と同義である。
【0472】
21は、前記一般式(2)のB21と同義である。
【0473】
21は、前記一般式(2)のX21と同義である。
【0474】
nは、前記一般式(2)のnと同義である。
【0475】
42は、前記一般式(4)のZ42と同義である。
【0476】
63及びA64は、各々独立に置換基を表し、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられ、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。但し、A63とA64が互いに同一の置換基であることはない。
【0477】
<一般式(7)で表される化合物>
【0478】
【化32】


【0479】
一般式(7)において、R11及びR12は、前記一般式(1)のR11及びR12と同義である。
【0480】
11及びA12は、前記一般式(1)のA11及びA12と同義である。
【0481】
53及びA54は、前記一般式(5)のA53及びA54と同義である。
【0482】
<一般式(8)で表される化合物>
【0483】
【化33】


【0484】
一般式(8)において、R21及びR22は、前記一般式(2)のR21及びR22と同義である。
【0485】
21及びA22は、前記一般式(2)のA21及びA22と同義である。
【0486】
21は、前記一般式(2)のB21と同義である。
【0487】
21は、前記一般式(2)のX21と同義である。
【0488】
nは、前記一般式(2)のnと同義である。
【0489】
63及びA64は、前記一般式(6)のA63及びA64と同義である。
【0490】
以下に、一般式(1)〜(8)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0491】
【化34】


【0492】
【化35】


【0493】
【化36】


【0494】
【化37】


【0495】
【化38】


【0496】
【化39】


【0497】
【化40】


【0498】
【化41】


【0499】
【化42】


【0500】
一般式(1)〜(8)で表される化合物は、熱現像感光材料の如何なる層に添加してもよいが、好ましくは感光層、支持体に対し感光層側の非感光層または感光層の反対側に形成されたフィルター層に添加することが好ましく、支持体に対し感光層側の非感光層または感光層の反対側に形成されたフィルター層に添加することがさらに好ましい。一般式(1)〜(8)で表される化合物の添加量は、1m2当たり1×10-5〜10ミリモルが好ましく、1×10-4〜1ミリモルがより好ましく、1×10-3〜1×10-1ミリモルが最も好ましい。
【0501】
一般式(1)〜(8)で表される化合物は公知の方法に従って添加することができる。すなわち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホオキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して塗布液に添加することができる。また、1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。
【0502】
[支持体]
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いる支持体の素材としては、各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(アルミニウム等)等が挙げられるが、情報記録材料としての取扱い上は、可撓性のあるシート又はロールに加工できるものが好適である。従って、本発明の光熱写真ドライイメージング材料における支持体としては、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム(TAC)又はポリカーボネート(PC)フィルム等のプラスチックフィルムが好ましく、特に2軸延伸したPETフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0503】
帯電性を改良するために金属酸化物及び/又は導電性ポリマー等の導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらは何れの層に含有させてもよいが、好ましくはバッキング層又は感光性層側の表面保護層、下引層等に含まれる。米国特許5,244,773号のカラム14〜20に記載された導電性化合物等が好ましく用いられる。中でも、本発明では、バッキング層側の表面保護層に導電性金属酸化物を含有することが好ましい。
【0504】
ここで、導電性金属酸化物とは、結晶性の金属酸化物粒子であり、酸素欠陥を含むもの及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は、一般的に言って導電性が高いので特に好ましく、特に後者はハロゲン化銀乳剤にカブリを与えないので特に好ましい。金属酸化物の例としてZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、又はこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、又、TiO2に対してはNb、Ta等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜30モル%の範囲が好ましいが、0.1〜10モル%であれば特に好ましい。更に又、微粒子分散性、透明性改良のために、微粒子作製時に珪素化合物を添加してもよい。
【0505】
本発明に用いられる金属酸化物微粒子は導電性を有しており、その体積抵抗率は107Ω・cm以下、特に105Ω・cm以下である。これらの酸化物については特開昭56−143431号、同56−120519号、同58−62647号等に記載されている。更に又、特公昭59−6235号に記載の如く、他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状物(酸化チタン等)に上記の金属酸化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。
【0506】
利用できる粒子サイズは1μm以下が好ましいが、0.5μm以下であると分散後の安定性が良く使用し易い。又、光散乱性をできるだけ小さくするために、0.3μm以下の導電性粒子を利用すると、透明感光材料を形成することが可能となり大変好ましい。又、導電性金属酸化物が針状あるいは繊維状の場合は、その長さは30μm以下で直径が1μm以下が好ましく、特に好ましいのは長さが10μm以下で直径0.3μm以下であり、長さ/直径比が3以上である。尚、SnO2としては、石原産業社より市販されており、SNS10M、SN−100P、SN−100D、FSS10M等を用いることができる。
【0507】
[構成層]
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、支持体上に少なくとも1層の画像形成層である感光性層を有している。支持体上に感光性層のみを形成してもよいが、感光性層の上に少なくとも1層の非感光層を形成することが好ましい。例えば、感光性層の上には保護層が、感光性層を保護する目的で設けられることが好ましく、又、支持体の反対の面には、感光材料間の、あるいは感光材料ロールにおける「くっつき」を防止するために、バックコート層が設けられる。
【0508】
これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては、感光性層よりもガラス転位点(Tg)が高く、擦傷や、変形の生じ難いポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のポリマーが、前記のバインダーの中から選ばれる。
【0509】
尚、階調調整等のために、感光性層を支持体の一方の側に2層以上又は支持体の両側に1層以上設置してもよい。
【0510】
[構成層の塗布]
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば、感光性層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下(より好ましくは90質量%以下)となる前に、上層を設けることである。
【0511】
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えば、バーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、リバースロール塗布法、グラビア塗布法、エクストリュージョン塗布法等の公知の方法を用いることができる。
【0512】
上記の各種方法のうち、より好ましくはスライド塗布法、エクストリュージョン塗布法である。これらの塗布方法は感光性層を有する側について述べたが、バック層を設ける際、下引きと共に塗布する場合についても同様である。光熱写真ドライイメージング材料における同時重層塗布方法に関しては、特開2000−15173号公報に詳細な記載がある。
【0513】
尚、本発明において、塗布銀量は銀塩光熱写真ドライイメージング材料の目的に応じた適量を選ぶことが好ましいが、医療用画像を目的とする場合には、0.3g/m2以上、1.5g/m2以下が好ましく、0.5g/m2以上、1.5g/m2以下がより好ましい。当該塗布銀量のうち、ハロゲン化銀に由来するものは全銀量に対して2〜18%を占めることが好ましい、更には5〜15%が好ましい。
【0514】
また、本発明において、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好ましい。更には1×1015個/m2以上、1×1017個/m2以下が好ましい。
【0515】
更に、前記の非感光性長鎖脂肪族カルボン酸銀の塗布密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子1個当たり、1×10-17g以上、1×10-14g以下が好ましく、1×10-16g以上、1×10-15g以下がより好ましい。
【0516】
上記のような範囲内の条件において塗布した場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高濃度、即ち銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
【0517】
本発明においては、銀塩光熱写真ドライイメージング材料が現像時に溶剤を5〜1,000mg/m2の範囲で含有していることが好ましい。10〜150mg/m2であるように調整することがより好ましい。それにより、高感度、低カブリ、最高濃度の高い熱現像感光材料となる。溶剤としては、特開2001−264930号公報の段落「0030」に記載のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。また、これらの溶剤は単独または数種類組合せて用いることができる。
【0518】
尚、熱現像感光材料中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。また、当該溶剤の含有量は、含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
【0519】
[臭気・汚染防止技術]
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料の熱現像の際に熱現像装置(レーザイメージャー)内で当該材料から低分子量の化合物等が揮発することに起因する臭気や汚染を軽減・防止する技術として好ましい態様について説明する。
【0520】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、保護層は熱現像中に発生した汚染物質が、当該感光材料外に揮発ないし付着することを防止する機能を有することが好ましい。そのために、保護層バインダーとしては、酢化度50%以上58%以下の酢酸セルロース、ケン化度75%以下のビニルアルコールユニットを持つポリマーでることが好ましい。特に、酢酸ビニルポリマー、およびポリビニルアルコールであることが好ましい。
【0521】
酢酸セルロースとしては、酢化度50%以上58%以下の酢酸セルロースが好ましい。一方、ポリビニルアルコールとしてはケン化度が75%以下の低結晶性ポリビニルアルコールであることが好ましい。ケン化度の下限は好ましくは40%、より好ましくは60%である。
【0522】
また、保護層は上記以外のポリマー、例えば、米国特許第6,352,819号、同6,352,820号、同6,350,561号などに記載されているポリマーと混合して用いることもできる。その比率は0〜90体積%が好ましく、より好ましくは0〜40体積%である。
【0523】
上記バインダーの架橋剤としては、イソシアネート系化合物、シラン化合物、エポキシ化合物または酸無水物が好ましい。
【0524】
更に、酸基捕捉剤を用いることにより、現像時に当該感光材料から揮発する物質量を低減させることが好ましい。酸基捕捉剤としては、下記一般式(X−1)で表されるイソシアネート系、下記一般式(X−2)で表されるエポキシ系、下記一般式(X−3)で表されるフェノール系、下記一般式(X−4)で表されるアミン系又はジアミン系及び後述する一般式(CI)で表されるカルボジイミド系を挙げることができる。特に、カルボジイミド系化合物が好ましい。
【0525】
【化43】


【0526】
式中Rxは、置換基を表し、Rx′は2価の連結基を表し、n21は1〜4を表す。
【0527】
[包装体]
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料を保存する場合は、経時での濃度変化やカブリ発生を防止するため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50ml/atm・m2・day(尚、1atmは1.01325×105Paである)以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm・m2・day以下、さらに好ましくは1.0ml/atm・m2・day以下である。水分透過率は0.01g/m2・40℃・90%RH・day以下(JIS Z0208カップ法による)であることが好ましく、より好ましくは0.005g/m2・40℃・90%RH・day以下、さらに好ましくは0.001g/m2・40℃・90%RH・day以下である。
【0528】
熱現像感光材料用の包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号、特開2000−206653号、特開2000−235241号、特開2002−062625号、特開2003−015261号、特開2003−057790号、特開2003−084397号、特開2003−098648号、特開2003−098635号、特開2003−107635号、特開2003−131337号、特開2003−146330号、特開2003−226439、特開2003−228152号公報明細書に記載されている包装材料である。また包装体内の空隙率は0.01〜10%、好ましくは0.02〜5%とするのがよく、窒素封入を行って包装体内の窒素分圧を80%以上、好ましくは90%以上とするのがよい。また包装体内の相対湿度は10%以上60%以下、好ましくは40%以上、55%以下とするのが良い。
【実施例】
【0529】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0530】
実施例1
[下引き済み支持体の作製]
青色染料濃度0.135の二軸延伸済みポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に10W/m2・minの条件でコロナ放電処理を施し、一方の面に下記バック面側下引き下層用塗布液を乾燥膜厚0.06μmになるように塗設し、140℃で乾燥し、続いて下記バック面側下引き上層用塗布液を乾燥膜厚0.2μmになるように塗設した後140℃で乾燥した。また反対側の面には下記感光性層側下引き下層用塗布液を乾燥膜厚0.25μmになるように塗設し、続いて下記感光性層側下引き上層用塗布液を乾燥膜厚0.06μmになるように塗設した後140℃で乾燥した。これらを140℃で2分間熱処理し、下引き済み試料を作製した。
【0531】
《バック面側下引き下層用塗布液》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート
(20/20/40)の共重合ポリマーラテックス(固形分30%) 16.0g
スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシメチルメタクリレート
(25/45/30)の共重合ポリマーラテックス(固形分30%) 4.0g
SnO2ゾル(固形分10%) 91g
(特開平10−059720号公報記載の方法で合成)
界面活性剤A 0.5g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
【0532】
《バック面側下引き上層用塗布液》
変性水性ポリエステルA(固形分18%) 215.0g
界面活性剤A 0.4g
真球状シリカマット剤 シーホスター KE−P50(日本触媒(株)製) 0.3g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
【0533】
《変性水性ポリエステルAの合成》
重合用反応容器に、テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホ−イソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を投入し、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去し、エステル化を行った。その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、変性水性ポリエステルAの前駆体を得た。前駆体の固有粘度は0.33であった。
【0534】
攪拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの三つ口フラスコに、純水850mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、150gの上記前駆体を徐々に添加した。室温でこのまま30分間攪拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、固形分濃度が15質量%の前駆体の溶液を調製した。
【0535】
攪拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの四つ口フラスコに、上記前駆体溶液1900mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱した。この中に、過酸化アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、単量体混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続けた。その後、30℃以下まで冷却し、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルAの溶液を調製した。
【0536】
《感光性層側下引き下層用塗布液》
スチレン/アセトアセトキシエチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート/n−ブチルアクリレート
(40/40/20/0.5)の共重合ポリマーラテックス(固形分30%) 70g
界面活性剤A 0.3g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
【0537】
《感光性層側下引き上層用塗布液》
変性水性ポリエステルB(固形分18%) 80.0g
界面活性剤A 0.4g
真球状シリカマット剤 シーホスター KE−P50(日本触媒(株)製) 0.3g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、固形分濃度0.5%の塗布液とした。
【0538】
《変性水性ポリエステルBの合成》
前駆体溶液を1800ml、単量体混合液組成をスチレン31g、アセトアセトキシエチルメタクリレート31g、グリシジルメタクリレート61g、n−ブチルアクリレート7.6gとした以外、編成水性ポリエステルAと同様にして変性水性ポリエステルBの溶液を作製した。
【0539】
【化44】


【0540】
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
〈溶液A1〉
フェニルカルバモイル化ゼラチン 66.2g
HO(CH2CH2O)n−(CH(CH3)CH2O)17−(CH2CH2O)m
(m+n=5〜7)(10%メタノール水溶液) 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げる
〈溶液B1〉
0.67mol/L硝酸銀水溶液 2635ml
〈溶液C1〉
臭化カリウム 51.55g
沃化カリウム 1.47g
水で660mlに仕上げる
〈溶液D1〉
臭化カリウム 154.9g
沃化カリウム 4.41g
六シアン化鉄(II)カリウム(0.5%溶液) 15ml
六塩化イリジウム酸(III)カリウム(1%溶液) 0.93ml
水で1982mlに仕上げる
〈溶液E1〉
0.4mol/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
〈溶液F1〉
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げる
〈溶液G1〉
56%酢酸水溶液 10.0ml
〈溶液H1〉
無水炭酸ナトリウム 1.16g
水で107mlに仕上げる
特公昭58−58288号公報に示される混合攪拌機を用いて、溶液A1に溶液B1の1/4量及び溶液C1の全量を温度35℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行った。1分後、溶液F1の全量を添加した。この間pAgの調整を溶液E1を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液B1の3/4量及び溶液D1の全量を、温度35℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加した。5分間攪拌した後、30℃に降温し、溶液G1を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10リットル加え、攪拌後、再度ハロゲン化銀粒子乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10リットル加え、攪拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液H1を加え、60℃に昇温し、更に100分攪拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、感光性ハロゲン化銀粒子乳剤を得た。
【0541】
この乳剤は、平均粒子サイズ0.043μm、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0542】
(脂肪族カルボン酸銀塩粒子の調製)
脂肪族カルボン酸(ベヘン酸85mol%、アラキジン酸11mol%、ステアリン酸4mol%、の組成比)450g及び、5質量%の濃度に調整する純水量の90%量を85℃で撹拌しながら5M/LのKOH水溶液252mlを5分かけて添加した後に60分間反応させ、最後に追加の純水を加え5質量%の濃度に仕上げて脂肪族カルボン酸カリウム水溶液を得た。また、5質量%の濃度で10℃に保温した4280mlの硝酸銀水溶液を用意した。
【0543】
特殊機化工業(株)製TKパイプラインホモミクサーM型を10000rpmで撹拌しながら、先の脂肪族カルボン酸カリウム水溶液、硝酸銀水溶液を同時に、それぞれ一定の添加速度で、10分かけて全量を添加し、30℃に保温した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を透過水の伝導度が30μS/cmになるまで25℃で水洗した。得られた脱水済みケーキを50℃で乾燥して脂肪族カルボン酸銀塩粒子の乾燥済み粉体を得た。得られた脂肪族カルボン酸銀塩粒子の球相当平均径は0.36μmで標準偏差は0.23μmであった。
【0544】
(予備分散液の調製)
ポリビニルブチラール樹脂BL−SHP(積水化学工業(株)製)48.58gをメチルエチルケトン(以下、MEKと略す)1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて撹拌しながら、上記で調製した粉末脂肪族カルボン酸銀塩を500g、徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液を調製した。
【0545】
(感光性乳剤分散液の調製)
上記調製した予備分散液を、ポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ製トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/s、25℃にて分散を行なうことにより感光性乳剤分散液を調製した。
【0546】
(ハロゲン化銀粒子乳剤の添加)
《ハロゲン化銀粒子分散用ポリマーの合成》
0.5リットルの四つ口セパラブルフラスコに滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、メチルエチルケトン:50g、DAAM:45g、PME−400:20g及びPSE−400:20gの各モノマー、更にラウリルパーオキサイド0.12gを仕込み、80℃に加熱した。さらにNIPAMモノマー15gをメチルエチルケトン43gに溶解した液をフラスコ中に2時間かけて滴下した。その後1時間かけて昇温し還流状態になった時点で、ラウリルパーオキサイド0.17gをメチルエチルケトン33gに溶解した液をフラスコ中に2時間かけて滴下し、同温度にて更に3時間反応させた。その後メチルハイドロキノン0.33gをメチルエチルケトン107gに溶解した液を添加し冷却後、ポリマー30質量%のポリマー溶液を得た。分子量は、GPCでポリスチレン換算の質量平均分子量として求めた。
PME−400:−(EO)m−CH3 (m≒9)を有するメタアクリレート
PSE−400:−(EO)m−C1837 (m≒9)を有するメタアクリレート
(EO;エチレンオキシ基)
上記はすべて日本油脂製。
NIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド(協和発酵)。
【0547】
ポリマー分散ハロゲン化銀乳剤の調製(メチルエチルケトン溶媒中でのハロゲン化銀粒子分散)
ポリマー溶液33gをメタノールで121gに仕上げ45℃30分攪拌した。そこに45℃に調温した前記ハロゲン化銀乳剤(59.2g)を20分かけて滴下し、さらに30分攪拌した。その後30分かけて32℃に降温した後、メチルエチルケトン600gを30分かけて滴下することにより、ポリマー分散ハロゲン化銀乳剤を得た。
【0548】
(安定剤液の調製)
1.0gの安定剤1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール17.79gに溶解し安定剤液を調製した。
【0549】
(赤外増感色素液Aの調製)
30mgの赤外増感色素1、40mgの赤外増感色素2、2.5gの2−クロロ−安息香酸、21.5gの安定剤2及び130mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを、140gのMEKに暗所にて溶解し、赤外増感色素液Aを調製した。
【0550】
(添加液aの調製)
27.98gの現像剤Aと2.28gの4−メチルフタル酸、111mgの前記赤外染料sq−1、365mgのロイコ染料YA−10、4.83gのポリビニルアセタール樹脂BL−5Z(積水化学工業(株)製)を172gのMEKに溶解し、添加液aとした。
【0551】
(添加液bの調製)
3.31gのカブリ防止剤2をMEK46.9gに溶解し、添加液bとした。
【0552】
(添加液Cの調製)
3.34gのフタラジンをMEK23.0gに溶解し、添加液Cとした。
【0553】
(感光性層塗布液の調製)
不活性気体雰囲気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液(50g)及びMEK8.80gを撹拌しながら18℃に保温し、表3に示す種類のポリマー分散ハロゲン化銀乳剤を23.4g添加して30分攪拌した後、カブリ防止剤1(11%メタノール溶液)0.44gを加え、1時間撹拌した。更に臭化カルシウム(11%メタノール溶液)0.66gを添加して20分撹拌した。続いて、前記安定剤液0.62gを添加して10分間撹拌した後、4.93gの前記赤外増感色素液Aを添加して1時間撹拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分撹拌した。13℃に保温したまま、バインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂BL−5Z(積水化学工業(株)製)を12.5g添加して30分撹拌した後、テトラクロロフタル酸(3.7質量%MEK溶液)1.26gを添加して30分間撹拌した。更に撹拌を続けながら、24.8gの添加液a、2.26gのDesmodurN3300/モーベイ社製の脂肪族イソシアネート(23.3質量%MEK溶液)、5.03gの添加液b、2.63gの添加液Cを順次添加し撹拌することにより感光性層塗布液を得た。
【0554】
【化45】


【0555】
《表面保護層》
下記組成の塗布液を感光性層塗布液と同様に調製し、以下の付量(1m2当たり)になるように感光層上に塗布・乾燥して感光層保護層を形成した。
【0556】
セルロースアセテートプロピオネート 1.15g
(CAP141−20(イーストマンケミカル社製))
ポリメチルメタクリレート 45mg
(パラロイドA−21(ロームアンドハース社製))
シリカマット剤 25mg
(SYLYSIA 320(5)(富士シリシア化学(株)製))
1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール 20mg
ベンゾトリアゾール 15mg
917O(CH2CH2O)23917 42mg
LiO3S−CF2CF2CF2−SO3Li 1mg
《バック層》
下記組成の塗布液を調製し、以下の付き量(1m2当たり)になるように感光性層塗布面とは反対側に塗布・乾燥してバック層を形成した。
【0557】
セルロースアセテートプロピオネート 1.85g
(CAP482−20(イーストマンケミカル社製))
ポリエステル樹脂 95mg
(Vitel2200B(BOSTIC FINDLEY社製))
シリカマット剤 15mg
(サイリシア450(富士シリシア化学(株)製))
エチレンビスステアリン酸アミド 60mg
赤外染料sq−1 3.5mg
917O(CH2CH2O)23917 100mg
LiO3S−CF2CF2CF2−SO3Li 18mg
《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試料の作製》
上記調製した感光性層塗布液と表面保護層塗布液とを、公知のエクストルージョン型コーターを用いて、前記作製した支持体の感光性層側下引層上に、総銀量が1.2g/m2になるように感光性層塗布液を、上記付き量になるように表面保護層塗布液を同時に重層塗布した。続いて反対側の面に上記付き量になるようにバック層塗布液を塗布した。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分間乾燥を行い、熱現像銀塩感光材料を作製した。
【0558】
上記のように作製した熱現像銀塩感光材料を半切サイズ(34.5cm×43.0cm)に加工して熱現像銀塩感光材料試料を作製した。
【0559】
実施例2
[現像開始温度、現像最適温度、現像停止温度]
画像出力は図5に示す5枚のヒートプレートを用いた現像装置を用いて画像出力を行った。出力画像としてはSMPTEパターンおよび胸部ファントム画像とした。
【0560】
現像開始温度、現像最適温度、現像停止温度を求めるために、2枚目から4枚目のヒートプレート温度と現像処理に要する時間を変化させた。この際1枚目および5枚目のヒートプレート温度は2枚目から4枚目のヒートプレート温度より20℃低く設定した。このようにして求めた結果のグラフの一例を図3、図4に示す。例えばこのグラフの場合、現像開始および停止温度は118℃以下、現像最適温度は124℃である。
【0561】
このような評価方法により得られた、実施例1で作製した熱現像銀塩感光材料試料を用いての現像開始温度、現像最適温度、現像停止温度を表1および表2中に示す。
【0562】
[濃度変動、濃度安定性]
《濃度変動》
作業環境が各々、20℃20%RH、20℃80%RH、30℃20%RH、30℃、80%RHにおいてSMPTEおよび胸部ファントム画像を各1枚づつ出力し、カブリ濃度、SMPTE50%コマ濃度を測定し濃度測定を行った。各条件における最大濃度差を表1に示す。この差が小さいものの方が環境変動による濃度変動が小さいことを示し好ましい。一方、胸部ファントム画像に関してはシャウカステンを用いて観察を目視で観察を行なった。その評価レベルを下記に示す。
【0563】
3・・・安定した濃度で、目視では違いがわからない
2・・・わずかに濃度がことなるが、実用上は問題ない
1・・・出力環境で濃度が異なり支障がある。
【0564】
【表1】


【0565】
表1から、本発明の場合に(請求項2または3に記載の構成の発明)、作業環境(温度、湿度)が変動しても、濃度変動が小さく、目視上も優れていることがわかる。
【0566】
《濃度安定性》
上記《濃度変動》の検討において、作業環境を25℃50%RHに一定にして、更に、100枚の連続処理を行い、1枚目、20枚目、50枚目、100枚目の濃度の測定を行い濃度安定性を評価した。それぞれ濃度差を表2に示す。この差が小さいものの方が連続処理における濃度差が小さいことを示し好ましい。一方、胸部ファントム画像に関してはシャウカステンを用いて観察を目視で観察を行なった。その評価レベルは上記と同様である。
【0567】
【表2】


【0568】
表2から、本発明の場合に(請求項4に記載の構成の発明)は、連続処理を行っても、濃度安定性が優れ、目視上も優れていることがわかる。
【0569】
尚、実施例中、「現像停止温度T3から室温Tr」における曲率は曲率半径400mmとした。500mm以上とした場合、出力後のフィルムカールが大きく画像診断に支障を生じてしまった。
【0570】
尚、「室温Trから現像開始温度T1」直後の熱現像銀塩感光材料(フィルム)含水量をA、「現像最適温度T2」直後の熱現像銀塩感光材料(フィルム)含水量をBとしたときの含水量比は本発明のすべての条件において0.95〜1.05の範囲にあった。
【図面の簡単な説明】
【0571】
【図1】本発明における処理時間に対する熱現像銀塩感光材料(フィルム)温度変化のグラフ(このグラフのプロットを温度プロファイルと称する)を示す図である。
【図2】本発明における処理時間に対する熱現像銀塩感光材料(フィルム)温度変化のグラフ(このグラフのプロットを温度プロファイルと称する)を示す図である。
【図3】2枚目から4枚目のヒートプレート温度と現像処理に要する時間を変化させて、現像開始温度、現像最適温度、を求めたグラフの一例を示す図である。
【図4】2枚目から4枚目のヒートプレート温度と現像処理に要する時間を変化させて、現像開始温度、現像最適温度、を求めたグラフの一例を示す図である。
【図5】実施例で用いた熱現像装置の一例の要部を概略的に示す側面図である。
【図6】走査露光部の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0572】
50 昇温部
501 第1の加熱ゾーン
502 第2の加熱ゾーン
503 第3の加熱ゾーン
504 第4の加熱ゾーン
505 第5の加熱ゾーン
53 保温部
54 冷却部
55 走査露光部
550 ケース
551 レーザダイオード
553 シリンドリカルレンズ
554 ポリゴンミラー
555 fθレンズ
556 シリンドリカルレンズ
557 ミラー
558 温湿度センサ
559 調湿剤
560 シャッタ
561 磁性ロッド
562 電磁プランジャ
563 引っ張りバネ




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013