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発明の名称 電子写真用トナー、電子写真用トナーの製造方法、現像剤、画像形成方法、及び画像形成装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3920(P2007−3920A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−185346(P2005−185346)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
発明者 福島 紀人 / 高橋 左近 / 鎌田 晋 / 谷口 秀一 / 齋藤 裕 / 矢野 敏行
要約 課題
高転写効率・高画質性、現像性を損なうことなく、クリーニング性を向上させ、感光体のフィルミングや傷の発生を低減させる電子写真用トナー、電子写真用トナーの製造方法、電子写真用現像剤、それを用いた画像形成方法、及び画像形成装置を提供する。

解決手段
結着樹脂、顔料、離型剤を含有してなる電子写真用トナーであって、下記式(1)で表される小粒径側体積粒度分布指標GSDv-underが、1.25以下であり、体積平均粒径D50vが、4μm〜10μmであり、体積粒度分布おける小径側からの累積が5%以下の小径トナー粒子TP<5では、下記式(2)で表される形状係数SFの平均値が100〜120であって、小径トナー粒子TP<5の離型剤の含有率が5質量%以下であり、トナー粒子全体における離型剤の平均含有率を100としたときに、10〜80である。 式(1):GSDv-under=D50v/D16v 式(2):SF=100×π×ML2/4A
特許請求の範囲
【請求項1】
結着樹脂、顔料、離型剤を含有してなる電子写真用トナーであって、
下記(i)〜(iv)をすべて満たすことを特徴とする電子写真用トナー。
(i) 下記式(1)で表される小粒径側体積粒度分布指標GSDv-underが、1.25以下。
式(1): 小粒径側体積粒度分布指標GSDv-under=D50v/D16v
[式(1)中、粒径値D16vは、体積粒度分布における小径側からの累積が16%となる粒径を表し、体積平均粒径D50vは、累積が50%となる粒径を表す。]
(ii) 前記体積平均粒径D50vが、4μm〜10μm。
(iii) 前記体積粒度分布における小径側からの累積が5%以下の小径トナー粒子TP<5は、下記式(2)で表される形状係数SFが100〜120であって、離型剤の含有率が5質量%以下。
式(2): SF=100×π×ML2/4A
[上記式(2)中、SFは形状係数を表し、MLは粒子の絶対最大長を表し、Aは粒子の投影面積を表す。]
(iv) トナー粒子全体における離型剤の平均含有率を100としたときに、前記小径トナー粒子TP<5の離型剤の含有率が10〜80。
【請求項2】
前記結着樹脂が、50〜100℃の融点を有する結晶性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
【請求項3】
前記結着樹脂を分散した樹脂微粒子分散液と、前記顔料を分散した顔料分散液と、前記離型剤を分散した離型剤分散液とを混合し凝集させて凝集粒子を形成した後、加熱して該凝集粒子を融合・合一させて調製した電子写真用トナーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真用トナー。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の電子写真用トナー製造方法であって、
結着樹脂を分散した樹脂微粒子分散液、顔料を分散した顔料分散液、及び、離型剤を分散した離型剤分散液を混合した後、凝集させて凝集粒子を形成させる凝集工程と、
前記凝集粒子を加熱して融合・合一させる合一工程と、
を有することを特徴とする湿式の電子写真用トナーの製造方法。
【請求項5】
少なくとも、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真用トナーを含有してなる電子写真用現像剤。
【請求項6】
少なくとも、帯電部材により潜像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された前記潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤により前記静電潜像をトナー画像に現像する現像工程と、前記トナー画像を転写材上に転写する転写工程と、該転写工程後の前記潜像担持体上に残留したトナー粒子を除去するクリーニング手段と、を有する画像形成方法であって、
前記現像剤が、請求項5に記載の電子写真用現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
潜像担持体と、該潜像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記潜像担持体に静電潜像を形成させる潜像形成手段と、現像剤により前記静電潜像をトナー画像に現像する現像手段と、前記トナー画像を転写材上に転写する転写手段と、転写後の前記潜像担持体上に残留したトナー粒子を除去するクリーニング手段と、を有する画像形成装置であって、
前記現像剤が、請求項5に記載の電子写真用現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法において静電潜像の現像のために使用する電子写真用トナー、電子写真用トナーの製造方法、現像剤、画像形成方法、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法は、潜像担持体(感光体)上に形成された静電潜像を、着色剤を含む電子写真用トナー(以下、単に「トナー」という場合がある)で現像し、得られたトナー像を転写体上へ転写し、これを熱ロール等で定着することにより画像が得られ、他方、その潜像担持体は再び静電潜像を形成するためにクリーニングされるものである。このような電子写真法等に使用される乾式現像剤は、結着樹脂に着色剤等を配合したトナーを単独で用いる一成分現像剤と、そのトナーにキャリヤを混合した二成分現像剤とに大別される。さらに一成分現像剤では、磁性一成分現像剤と非磁性一成分現像剤とに分類できる。磁性一成分現像剤は、磁性粉を用い磁気力により現像担持体に搬送し現像するものであり、非磁性一成分現像剤は、磁性粉を用いず帯電ロール等の帯電付与により現像担持体に搬送し現像するものである。1980年代の後半から、電子写真の市場はデジタル化をキーワードとして小型化、高機能要求が強く、特にフルカラー画質に関しては高級印刷、銀塩写真に近い高画質品位が望まれている。
【0003】
高画質を達成する手段としてデジタル化処理が不可欠であり、このような画質に関するデジタル化の効能として、複雑な画像処理が高速で行える事が挙げられている。この事により、文字と写真画像を分離して制御することが可能となり、両品質の再現性がアナログ技術に比べ大きく改善されている。特に写真画像に関しては階調補正と色補正が可能になった点が大きく、階調特性、精細度、鮮鋭度、色再現、粒状性の点でアナログに比べ有利である。
しかし、一方、画像出力としては光学系で作製された潜像を忠実に作像する必要があり、トナーとしては益々小粒径化が進み忠実再現を狙った活動が加速されている。しかし、単にトナーの小粒径化だけでは、安定的に高画質を得る事は困難であり、現像、転写、定着、クリーニング特性における基礎特性の改善が更に重要となっている。
【0004】
特に、高画質を得る為には現像像を忠実に転写する必要があるが、一方でトナーを小径化することにより、転写性能を低下させてしまう。その為、小径トナーを使いこなす為の様々な技術が報告されている。
例えば、トナーを球形に近づけることで転写性を向上させることが報告されている(例えば、特許文献1参照。)。確かにトナーを球形化することで転写効率が向上するが、一方で、僅かながら発生する転写残トナーによりクリーニング不良を発生してしまう。
【0005】
逆に、クリーニングシステムを省略して、転写後の感光ドラム上に残留するトナーを現像器で現像と同時回収するクリーナーレスシステムが提案されている(例えば、特許文献2又は特許文献3参照。)。
一般的には、このように現像と同時に残留トナーを回収すると、回収されたトナーとその他のトナーとの帯電性が異なり、回収されたトナーが現像されずに現像器内に蓄積する等の不具合を生じる為、更に転写効率を上げ、回収するトナー量を最小限に制御する事が必要となる。また、転写残トナーを最小限にしたとしても、感光ドラムは遊離した外添剤、紙粉、オゾン生成物等、様々な物質で汚染される一方で、ジャム時等の突発的なことが起こった場合には感光ドラムに転写されずに多量に残ってしまう場合もあり、そのような時には現像機にて回収しきれない為、完全にはクリーナーレスシステムとすることはできず、何らかのクリーニングシステムが必要である。
【0006】
これまで、球形トナーをクリーニングさせる様々な手段が提案されている。例えば、ブレードを用いてクリーニングする場合では、転写残トナーが介在した状態での感光ドラム上のブレードニップ部摩擦力をいかに抑制するかがキーである。その為にブレード表面に滑剤粒子を含有させることが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。確かに初期的にはクリーニング性を上げるが、長期を考えた場合、ブレードの表面上の滑剤粒子は枯渇し、その結果クリーニング不良を発生してしまう。
【0007】
また、クリーニングブレードに直流及び交流バイアス電圧を印加させることが提案されている(例えば、特許文献5参照。)。しかし、転写残トナーの帯電量は現像トナーの帯電量、転写条件、その時の環境あるいは画像の種類によって異なってくる為、これだけでは完全にクリーニングすることはできず、また、このクリーニングバイアスによって、感光ドラム表面の劣化が促進され、感光体ライフが低下してしまう。
【0008】
また、クリーニングブレードの感光体に対する圧接力を大きくすることが提案されている(例えば、特許文献6参照。)が、初期的なクリーニング性能はこれで大きく向上するが、この時のブレードの材質あるいは物性を考慮しなければ、逆にブレードの欠けが発生し、そこからクリーニング不良が発生してしまう。また、感光ドラムとして有機感光体を用いる限り、摩耗量が増加し、感光体ライフが低下してしまう。
【0009】
一方、感光体からの検討として、例えば、感光体表面の凹凸を制御することが報告されている(例えば、特許文献7参照。)。しかし、初期的にはクリーニングできるが、長期的には感光体表面の凹凸は変化し、その結果クリーニング不良が発生してしまう。また、感光体表面にフッ素系樹脂粉体を含有させることが報告されている(例えば、特許文献8参照。)。確かに感光体表面の潤滑性が高まり、クリーニングブレードニップにおける摩擦力を低減させるが、やはり、長期的には、感光体摩耗が進むにつれて、潤滑性が低下し、最終的にはクリーニング不良を発生させる。
【0010】
その他システムからの検討として転写材搬送路に潤滑剤供給手段を設けることが提案されている(例えば、特許文献9参照。)。確かに転写材を通じて感光ドラムに潤滑材が供給され、その結果クリーニング性能が向上するが、一方で、転写材と転写トナーの間に潤滑剤が介在する為、トナーと転写材との親和性が損なわれ、定着性能を低下させてしまう。また、球形トナーを転写後に不定形トナーを現像させ、その後クリーニングさせる方法が提案されている(例えば、特許文献10参照。)。確かに不定形粒子をクリーニングブレードニップ部に溜めることで球形トナーをクリーニングすることができるが、クリーニング回収トナーの量が多量になり、回収ボックス容量を大きくしなければならず、更に不定形トナーを現像する為の現像器をつけるスペースも必要となる為、マシンの小型化には向かない。
【0011】
また、小粒径球形トナー母粒子の拭き残しの問題を感光体傷の発生等の弊害を解消するために大径の凝集微粒子の少ない無機微粒子を添加することが提案されている(例えば、特許文献11参照。)。しかし、大径の無機微粒子はトナーから遊離しやすく感光体傷やフィルミングを起こしやすい。
【0012】
現像剤からの検討として、例えば球形トナー中に不定形トナーを含有させることが提案されている(例えば、特許文献12又は特許文献13参照。)。確かに不定形トナーを含有させることでクリーニング性能は向上するが、不定形トナーを添加することで転写効率は低下してしまい、当初目的とした高画質化を落とすことになってしまう。また、磁性粉を含有した不定形粒子を現像剤中に添加することが提案されている(例えば、特許文献14参照。)。クリーニング性能は向上するが、この不定形粒子が転写されてしまうと画質低下となってしまい、また、この磁性粉含有不定形粒子によって感光体を傷つけてしまう。そこで、トナーに脂肪酸金属塩を添加することが提案されている(例えば、特許文献15参照。)が、クリーニングブレードニップ部の摩擦力低減には効果を発揮するが、脂肪酸金属塩を添加するだけでは脂肪酸金属塩は感光体上から除かれにくく、感光体傷や種々のディフェクトを誘発してしまう。
【0013】
また、近年では精細なオイルレスカラー画像の需要も増大しており、その画像は自然な光沢と画像部への加筆が出来るように、最も汎用的な溶融型の熱定着装置においては定着時に剥離用のオイルを用いないオイルレス画像形成方法からなる。そのため、トナー組成としては離型剤を含有した現像剤設計がされている。トナーの製法として従来の混練粉砕法では、転写効率向上に好ましい小粒径でかつ粒径均一な形状のトナーを作製することは非常に困難であり、原理的に小粒径トナーほど形状歪みが大きくなり、転写工程での品質低下を回避することはできない。そこで、このような課題を解決する方法として湿式製法が検討され、特に小径化かつ粒径均一化したトナーの作製が容易である乳化重合凝集法の研究が盛んに行われている。しかしながら、この手法ではトナーが小径で粒度分布が狭くなる一方で、トナーの粒度分布における小径部分はよりクリーニングが困難となる。さらに、このような小径部分はクリーニングの際に用いられるクリーニングブレードとの応力によってトナーが破壊されてしまう、フィルミングと呼ばれる潜像に基づかない感光体上のトナー付着物を生じやすい。軟質な離型剤を含有するトナーは、応力によって破壊されて上記フィルミングを生じやすい。そのため、クリーニングブレードとの応力によって小径トナーが破壊されにくいように小径部分だけ軟質な離型剤量を減じる方法が提案されている(例えば、特許文献16参照。)。しかし、提案されている内容では離型剤を減じた現像剤を別途製造して混合するため、トナー全体の粒度分布が広いために帯電分布も広く、転写性にも劣り精細な画像形成には不適である。さらに、製造方法として工数が増えるために好ましくないばかりでなく、小径部分の粒度を調整するために廃棄する部分も生じて資源の有効活用のためにも好ましくないといった課題を有していた。
【特許文献1】特開昭62−184469号公報
【特許文献2】特開平2−302772号公報
【特許文献3】特開平5−94113号公報
【特許文献4】特開平4−212190号公報
【特許文献5】特開平5−265360号公報
【特許文献6】特開平4−001773号公報
【特許文献7】特開平6−148910号公報
【特許文献8】特開平4−277754号公報
【特許文献9】特開平11−133762号公報
【特許文献10】特開平1−126670号公報
【特許文献11】特開平10−207113号公報
【特許文献12】特開平6−43725号公報
【特許文献13】特開平7−49584号公報
【特許文献14】特開2000−122347号公報
【特許文献15】特開2000−89502号公報
【特許文献16】特開平7−261452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、高転写効率・高画質性、さらには現像性を損なうことなく、クリーニング性を向上させ、且つ、感光体のフィルミングや傷の発生を低減させる電子写真用トナー、電子写真用トナーの製造方法、電子写真用現像剤、それを用いた画像形成方法、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述のように高転写効率、高クリーニング性、高画質を達成する為にはトナー母粒子を小径で粒度分布を狭くすることが必要であり、そのためには乳化重合凝集法が好適である。しかしながら、この手法ではトナーが小径で粒度分布が狭くなる一方で、トナーの粒度分布における小径部分は益々クリーニングが困難となる。
クリーニングメカニズムを考えると、例えばブレードを用いてクリーニングする場合、転写残トナーがブレードニップ部でせき止められてダムを形成しながらクリーニングされており、そのダムは粒径分離されており、ブレードに近づくほど、粒径が細かくなっている。トナー母粒子の形状にかかわらず、ブレードニップ部での粒径選択性があるが、特に球形トナー母粒子の場合にはブレードニップ部で小径ほど形状が揃っている為に最密配置され、ブレードニップ部での微小単位感光体表面当たりのトナー母粒子接触点数が大きく、かつ、その1粒1粒のトナー母粒子摩擦力は同じ方向に向く為、クリーニング時に小径球形の現像剤が受ける力の総量は大きくなっている。その結果、現像剤において軟質な離型剤を含有する部分は破壊されて、感光体上に潜像に無関係なトナーの付着(所謂フィルミング)が発生し、画像欠陥をもたらす。ブレード以外のクリーニング方式でも感光体表面を摺擦させることによって表面の汚染物質を取り除く場合には同様の状態を示す。
【0016】
そのため、高精細な画像形成を実現しつつ、高転写性・高クリーニング性を確保するためにはトナー母粒子は小径であり粒度分布も狭く、かつ粒度分布の小径部分はクリーニングブレードによる応力に耐える構造とする必要がある。とりわけ、トナーの小径部分は応力に耐える構造として球形に近く、またトナー構造が破壊されやすい軟質な離型剤が少ないほど好ましい。なお、オイルレス画像提供を可能とするためには、トナーの小径部分においても適度な量の離型剤を有することが更に好ましい。
【0017】
上記状況を踏まえ、上記課題は以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
<1> 結着樹脂、顔料、離型剤を含有してなる電子写真用トナーであって、
下記(i)〜(iv)をすべて満たすことを特徴とする電子写真用トナー。
(i) 下記式(1)で表される小粒径側体積粒度分布指標GSDv-underが、1.25以下。
式(1): 小粒径側体積粒度分布指標GSDv-under=D50v/D16v
[式(1)中、粒径値D16vは、体積粒度分布における小径側からの累積が16%となる粒径を表し、体積平均粒径D50vは、累積が50%となる粒径を表す。]
(ii) 前記体積平均粒径D50vが、4μm〜10μm。
(iii) 前記体積粒度分布における小径側からの累積が5%以下の小径トナー粒子TP<5は、下記式(2)で表される形状係数SFが100〜120であって、離型剤の含有率が5質量%以下。
式(2): SF=100×π×ML2/4A
[上記式(2)中、SFは形状係数を表し、MLは粒子の絶対最大長を表し、Aは粒子の投影面積を表す。]
(iv) トナー粒子全体における離型剤の平均含有率を100としたときに、前記小径トナー粒子TP<5の離型剤の含有率が10〜80。
【0018】
<1>の発明によれば、上記数値範囲に該当するトナーとすることで、小径トナー粒子TP<5がクリーニングブレードによる応力に耐え得る構造となり、感光体に対して長期にわたって、フィルミングや傷を発生させず、また、クリーニング部材に対しても劣化を抑制することができる。
その結果、このようなトナーを用いて画像を形成すると、転写効率が高く、高画質であり、さらには現像性を長期間維持できるため、高画質な画像を長期にわたって安定して得ることができる。
【0019】
<2> 前記結着樹脂が、50〜100℃の融点を有する結晶性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする前記<1>に記載の電子写真用トナーである。
【0020】
<2>の発明によれば、上記<1>の発明の効果に加え、50〜100℃の融点を有する結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として用いることで、優れた低温定着性と画像保存性を示すトナーを得ることができる。
非結晶性樹脂は、幅広な発熱・吸熱ピークを示すため、融点又は凝固点付近での温度において、その性状が安定しない。それゆえ、定着可能な粘度領域を確保するために、溶融・定着温度は、吸熱・発熱ピーク温度よりも余裕を持たせる必要があり、低温定着を図ることが困難であった。
これに対し、結晶性樹脂は、鋭い発熱・吸熱ピークを示すため、融点又は凝固点における粘度変化が大きく、定着可能な粘度領域に達するまでの温度差を低減することができる。つまり、低温定着が可能となり、且つ融点以下での画像保存性が良好となる。
特に、50〜100℃の融点を有する結晶性ポリエステル樹脂の場合が、定着温度との兼ね合い等の観点から好ましい。
【0021】
<3> 前記結着樹脂を分散した樹脂微粒子分散液と、前記顔料を分散した顔料分散液と、前記離型剤を分散した離型剤分散液とを混合し凝集させて凝集粒子を形成した後、加熱して該凝集粒子を融合・合一させて調製した電子写真用トナーであることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の電子写真用トナーである。
【0022】
<3>の発明によれば、粒径の調製がしやすく、粒径分布の狭いトナー粒子を作製することができる。また、得られるトナー粒子は、加熱工程を経ることにより小径ほど真球状に近くなる。
したがって、<3>の発明では、上記<1>の発明における小粒径側体積粒度分布指標GSDv-underと、体積平均粒径D50vと、小径トナー粒子TP<5の形状係数SFとが好適に制御されたトナー粒子となる。
【0023】
<4> 前記<1>又は<2>に記載の電子写真用トナー製造方法であって、
結着樹脂を分散した樹脂微粒子分散液、顔料を分散した顔料分散液、及び、離型剤を分散した離型剤分散液を混合した後、凝集させて凝集粒子を形成させる凝集工程と、
前記凝集粒子を加熱して融合・合一させる合一工程と、
を有することを特徴とする湿式の電子写真用トナーの製造方法である。
【0024】
<5> 少なくとも、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電子写真用トナーを含有してなる電子写真用現像剤である。
【0025】
<5>の発明によれば、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電子写真用トナーを含有してなる電子写真用現像剤であるため、転写効率が高くなり、さらには良好な現像性を長期間維持できる。
【0026】
<6> 少なくとも、帯電部材により潜像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された前記潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤により前記静電潜像をトナー画像に現像する現像工程と、前記トナー画像を転写材上に転写する転写工程と、該転写工程後の前記潜像担持体上に残留したトナー粒子を除去するクリーニング手段と、を有する画像形成方法であって、
前記現像剤が、前記<5>に記載の電子写真用現像剤であることを特徴とする画像形成方法である。
【0027】
<6>の発明によれば、上記電子写真用現像剤を用いる画像形成方法であるため高画質な画像が得られ、且つ高画質な画像を長期にわたって安定して得ることができる。
【0028】
<7> 潜像担持体と、該潜像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記潜像担持体に静電潜像を形成させる潜像形成手段と、現像剤により前記静電潜像をトナー画像に現像する現像手段と、前記トナー画像を転写材上に転写する転写手段と、転写後の前記潜像担持体上に残留したトナー粒子を除去するクリーニング手段と、を有する画像形成装置であって、
前記現像剤が、前記<5>に記載の電子写真用現像剤であることを特徴とする画像形成装置である。
【0029】
<7>の発明によれば、上記電子写真用現像剤を用いる画像形成装置であるため高画質な画像が得られ、且つ高画質な画像を長期にわたって安定して得ることができる画像形成装置を提供できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、高転写効率・高画質性、さらには現像性を損なうことなく、クリーニング性を向上させ、且つ、感光体のフィルミングや傷の発生を低減させる電子写真用トナー、電子写真用トナーの製造方法、電子写真用現像剤、それを用いた画像形成方法、及び画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
<電子写真用トナー及びその製造方法>
まず、本発明の電子写真用トナー及びその製造方法について説明する。
本発明の電子写真用トナーは、少なくとも結着樹脂、顔料、離型剤を含有してなり、以下の(i)〜(iv)の条件をすべて満たすことを特徴とする。
(i) 小粒径側体積粒度分布指標GSDv-underが、1.25以下であること。
(ii) 体積平均粒径D50vが、4μm〜10μmであること。
(iii) 体積粒度分布における小径側からの累積が5%以下の小径トナー粒子TP<5は、形状係数SFが100〜120であって、離型剤の含有率が5質量%以下であること。
(iv) トナー粒子全体における離型剤の平均含有率を100としたときに、前記小径トナー粒子TP<5の離型剤の含有率が10〜80であること。
【0032】
本発明の電子写真用トナーはトナー粒径を小径化し、またトナー粒度分布を狭くし、小径部分のトナー粒子を球形で且つ離型剤量を特定の範囲にすることで、長期にわたって感光体のフィルミングや傷、クリーニング部材の劣化を抑制することができ、転写効率・高画質性、さらには現像性を維持して高画質を得ることができる。従って、球形トナー母粒子の高転写効率・高画質性、さらには現像性を損なうことなく、クリーニング性の向上、感光体のフィルミングや傷の低減による等の信頼性向上がバランスよくなされる。
以下、(i)〜(iv)の条件について説明する。
【0033】
条件(i)としては、トナーの体積粒度分布において、下記式(1)で表される小粒径側体積粒度分布指標GSDv-underが1.25以下である必要がある。好ましくは、GSDv-underは1.23以下、より好ましくは、1.14以上1.21以下である。
【0034】
式(1):小粒径側体積粒度分布指標GSDv-under=D50v/D16v
【0035】
式(1)中、粒径値D16vは、体積粒度分布おける小径側からの累積が16%となる粒径を表し、体積平均粒径D50vは、累積が50%となる粒径を表す。
【0036】
体積粒度分布指標GSDv-underは、コールターカウンターTA−II(ベックマンコールター社製)で測定される体積粒度分布を基に、上記式(1)により算出される。
なお、前記測定はトナーを電解質水溶液(アイソトンII水溶液)に分散させ、超音波により30秒分散させた後に行う。
【0037】
具体的には、体積粒度分布の求め方は以下の通りである。
電解質水溶液として、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用する。
分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを5質量%含む水溶液2ml中に、測定試料(トナー)を10mg加える。これを前記電解質水溶液100ml中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で30秒間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて、50000個の粒子を測定し、トナー粒子の体積粒度分布を測定する。
【0038】
GSDv-underが1.25を超えると、小粒径トナーの比率が高くなるため、初期性能の他に信頼性の点からも極めて大きな影響を有する。
即ち、小粒径トナーは付着力が大きく、また帯電量が高くなる傾向があり静電気的制御が困難となる。特に、転写工程では、感光体表面に現像されたトナーのうち、小径成分の転写が困難になりやすく、結果的に残留トナーに小径トナーが多くなる。その結果、感光体に付着した小径トナーをクリーニングするための、ブレード等のクリーニング部材をより感光体に対して大きい圧力等に設定しなくてはならなくなるため、感光体の磨耗にとって厳しい条件になるだけでなく、小径トナーがブレード等により感光体に押し付ける形になって、つぶれてしまうため、フィルミングが生じてしまうので好ましくない。
【0039】
条件(ii)としては、前記体積平均粒径D50vが、4μm〜10μmである必要がある。より好ましくは、5μm〜9μmであり、更に好ましくは、5μm〜8μmである。
体積平均粒径D50vは4μmを下回ると、小径トナーだけでなく、トナー全体のクリーニング性能が悪化するためにフィルミングが生じるので好ましくない。一方、10μmを超えると画像の解像度が低下し、高画質を達成することが困難となる。
体積平均粒径D50vの求め方は、上記条件(i)の方法に準ずる。
【0040】
条件(iii)としては、前記体積粒度分布における小径側からの累積が5%以下の小径トナー粒子TP<5では、下記式(2)で表される形状係数SFの平均値が100〜120であって、離型剤の含有率が5質量%以下である必要がある。
【0041】
式(2): SF=100×π×ML2/4A
上記式(2)中、SFは形状係数を表し、MLは粒子の絶対最大長を表し、Aは粒子の投影面積を表す。なお、形状係数SFは、真球の場合に100となり、歪みが大きくなるほどに100よりも大きな値となる。
【0042】
小径トナー粒子TP<5は、既述の通りブレードによるクリーニングが非常に困難である。そのため、クリーニングブレードに滞留して応力を受けて破壊され、感光体に付着しやすい。
そこで、ブレードとの応力で破壊されにくい構造として、球形に近い形態であることが望ましく、上記小径トナー粒子TP<5の形状係数SFの平均値が100〜120である必要がある。120を超える場合には、応力の集中する箇所が生じて小径部分トナーが破壊されやすくなるため好ましくない。形状係数SFの平均値は、100〜117であることがより好ましく、100〜110が更に好ましい。
なお、前記体積粒度分布における小径側からの累積を「5%」で区切り、それ以下の粒径を有するトナー粒子について(iii)の条件を規定したのは、トナー全体のうち小径側から5%程度までの小粒径部分のトナー粒子が特に、上記問題に深く関与するものだからである。
【0043】
トナー粒子TP<5の形状係数SFの測定方法について説明する。
まず、全トナー粒子から小径トナー粒子TP<5を取り出し、次に、取り出した小径トナー粒子TP<5について形状係数SFを測定する。
【0044】
始めに、全トナー粒子から小径トナー粒子TP<5を取り出す方法を説明する。
トナーをエルボージェット(松坂貿易社製)分級機を用いて小粒径トナーとそれ以外の粒径のトナーとに分級する。通常の乾式分級機は分級効率の関係から完全に粒子を分離することはできないが、本発明のトナーの小粒径のみを分級する場合には問題なく分離が可能である。分級されたトナー粒子の粒径を上記体積粒度分布の測定方法を用いて測定する。なお小粒径粒子が2μmを下回る場合は100μmのアパーチャーを50μmに変更しておこなっても、結果は何ら変わらない。
一方で、分級前のトナーを採取し、上記体積粒度分布の測定方法にてトナー全体の体積粒度分布を求める。
得られた小径トナー粒子(分級されたトナー粒子)の粒径が、トナー全体の体積粒度分布における小径側からの累積5%以下に相当するかの確認を行う。粒径が小径側からの累積5%を超える場合には条件を再度検討し、規定値に該当するまで繰り返す。この操作により得られた小径トナー粒子TP<5を回収する。
【0045】
次に、小径トナー粒子TP<5の形状係数SFの測定方法を説明する。
上記のようにして取り出された小径トナー粒子TP<5の光学顕微鏡像を画像解析装置(LUZEXIII、ニレコ社製)に取り込み、円相当径を測定して、最大長及び面積から、上記式(2)によって形状係数SF値を算出する。
なお、取り出された小径トナー粒子TP<5のばらつきを考慮し、小径トナー粒子TP<5の取り出しの操作を5回行い、得られた5つのサンプルについて形状係数SFを求め、その平均値を、本発明における「小径トナー粒子TP<5の形状係数SF」とする。
【0046】
本発明において、トナー全体での形状係数SFの平均値は、特に限定されるものではないが、転写性とクリーニング性などとのバランスで設計することが望ましく、115〜140であることが好ましい。より好ましくは、115〜125である。140を超えると画質が悪くなる傾向にあり望ましくない。
【0047】
また、条件(iii)のもう一つの要件としては、小径トナー粒子TP<5中の離型剤の含有率が5質量%以下である必要がある。
小径トナー粒子TP<5中に軟質な離型剤が存在することで、トナー粒子は破壊されやすくなる。そのため、小径部分のトナーには離型剤が少ないことが望ましく、本発明では、前記小径トナー粒子TP<5中の離型剤の含有率は5質量%以下である。なお、定着不良などによる画像欠陥の発生を防ぐためには、小径部分にも離型剤を極僅か含有することが好ましい。よって、小径トナー粒子TP<5中の離型剤量は、1〜5質量%であることがより好ましく、更に好ましくは、1〜3質量%の場合である。小径トナー粒子TP<5中の離型剤量が5質量%以上ではトナー粒子が破壊されるためフィルミングを起こしやすくなるため好ましくない。
【0048】
また、トナー全体における離型剤の平均含有率は、トナー全量中に5質量%〜15質量%であることが好ましく、6質量%〜12質量%であることがより好ましく、7質量%〜10質量%であることが更に好ましい。トナー全体の離型剤平均含有率が5質量%未満であると離型剤添加の効果が得られにくく、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、15質量%を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し易くなり、OHP透明性が悪化するという問題が生じる場合がある。
【0049】
条件(iv)としては、前記小径トナー粒子TP<5における離型剤の含有率が、トナー粒子全体における離型剤の平均含有率を100としたときに、10〜80である必要がある。
粒度分布の小径部分のトナー粒子は、既述のとおりクリーニングブレードによる応力に耐え得る構造とする必要がある。その一つが上記(iii)の条件であり、球形になるべく近い小径トナー粒子TP<5にすることと、小径トナー粒子TP<5内の離型剤含有率を少なくすることである。さらにもう一つが、この条件(iv)であり、小径トナー粒子TP<5における離型剤の含有率が、トナー全体の離型剤の平均含有率よりも少なくなるようにするものであり、トナー粒子全体における離型剤の平均含有率を100としたときに、小径トナー粒子TP<5の離型剤の含有率が10〜80であり、好ましくは10〜60であり、更に好ましくは10〜40である。このように、トナー全体での離型剤含有率に比べて、小径トナー粒子TP<5では離型剤含有率を少なくすることが重要である。かかる数値が10よりも低い場合には、トナー1個1個が独立して画像上に存在するような、例えばハーフトーン画像において、離型剤量が少ないため、小径トナーが選択的にオフセットを生じやすく、80よりも高い場合には、ブレードによる小径トナーの破壊を制御できないためフィルミングに対して効果が低いため好ましくない。
【0050】
トナー中の離型剤量の定量方法について説明する。
トナー中の離型剤量の定量は示差走査熱量計を用いて、離型剤に基づく吸熱ピークの面積を比較する。定量操作としては、樹脂吸熱量を基準として仕込み離型剤量が既知である検量用トナー中の離型剤の吸熱ピーク面積と、測定試料トナー中の離型剤の吸熱ピーク面積とを比較して、測定試料トナー中に含まれる離型剤量を算出する。
なお、示差走査熱量計による吸熱ピークの測定は、ASTMD3418−8に準拠して、室温から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定する。
【0051】
小径トナー粒子TP<5中の離型剤含有率の定量方法は、上記条件(iii)で説明した方法によって全トナー粒子から小径トナー粒子TP<5を取り出し、取り出された小径トナー粒子TP<5の離型剤量を上記定量方法によって測定する。
なお、上記条件(iii)の場合と同様に、取り出された小径トナー粒子TP<5のばらつきを考慮し、小径トナー粒子TP<5の取り出しの操作を5回行い、得られた5つのサンプルについて離型剤量の定量測定を行い、その平均値を本発明における「小径トナー粒子TP<5中の離型剤含有率」とする。
【0052】
条件(iv)を満たすためには、トナー全体に対して、小径トナー粒子TP<5で離型剤の含有率が少なくなるように調製しなければならない。このようなトナーの製造方法については、凝集粒子分散液を調製する下記第1の工程(凝集工程)で説明する。
【0053】
本発明では、結着樹脂を分散した樹脂微粒子分散液、顔料を分散した顔料分散液、及び、離型剤を分散した離型剤分散液を混合した後、凝集させて凝集粒子を形成させる凝集工程と、加熱して前記凝集粒子を融合・合一させる合一工程と、を有する湿式の電子写真用トナーの製造方法であることが好ましい。
この方法によるトナー粒子作製の場合は、分散液中の分散粒子径によって最終的に得られるトナー粒子の粒径を調製できるため、粒径の制御がしやすく、粒径分布の狭いトナー粒子を作製することができる。また、この方法では、一般的に加熱により不定形トナー粒子の形状をより滑らかな球形トナーにしていく方向、つまり、表面積を低下させる方向へ反応が進行していくため、表面積の小さい小粒径トナーほど球形度が高く、大粒径トナーほど不定形度が高くなる。そのため、得られるトナーは小径ほど球状であり転写効率に優れる一方で、クリーニングがされにくくまたブレードとの応力を緩和しやすい。さらに、後述するように、この方法によれば、小径トナー粒子TP<5での離型剤含有率を調整しやすい。
つまり、この方法によれば、上記(i)〜(iv)の条件を満たすトナーを製造しやすく
なる。
【0054】
樹脂微粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液、また必要に応じ無機微粒子分散液等を混合する場合には、樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)よりも25℃以上低い温度で行うことが好ましい。温度がこの範囲よりも高い場合には、樹脂微粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液、及び無機微粒子の静電気的な安定性の差により、安定性の低いものから徐々に凝集が起こり、構造制御が困難になる。特に着色剤粒子が凝集して不均一な構造を形成した場合、トナー粒度分布制御、形状分布制御、耐久性確保、帯電性能確保が困難になる。
【0055】
また、本発明における電子写真用トナーは、具体的には、少なくとも樹脂粒子を分散させた樹脂微粒子分散液、着色剤分散液、及び離型剤分散液、必要に応じ他の微粒子分散液を混合して凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する第1の工程(凝集工程)と、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させた微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に微粒子を付着させて付着粒子を形成する第2の工程(付着工程)と、この付着粒子を加熱して融合する第3の工程(融合工程)等とを含む方法により製造されることが好ましい。
【0056】
第1の工程(凝集工程)は、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ、所望のトナー径にほぼ近い径を持つ凝集粒子(コア凝集粒子)を形成させる工程である。
第2の工程(付着工程)は、第1の工程(凝集工程)で得られたコア凝集粒子の表面に、微粒子を付着させる工程である。
第3の工程(融合工程)では、第2の工程(付着工程)で得られた微粒子付着の凝集粒子を加熱し融合させて、付着粒子による被覆層(シェル層)を形成することにより、コア凝集粒子表面にシェル層が形成されたコア/シェル構造を有する凝集粒子(コア/シェル凝集粒子)を形成させる工程である。
以下、工程毎に詳細に説明を行う。
【0057】
−第1の工程(凝集工程)−
第1の工程(凝集工程)では、少なくとも樹脂粒子を分散させた樹脂微粒子分散液、着色剤分散液、及び離型剤分散液、必要に応じ他の微粒子分散液を混合して凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する。
【0058】
本発明のように小径粒度分において離型剤を平均的な仕込み値よりも低減させるためには、第一の工程(凝集工程)において、離型剤の凝集工程を別途設けて混合し、小径の凝集径を有する離型剤を遅れて凝集工程に取り込ませることで小径トナー分における離型剤の含有率を仕込み平均値よりも低減することが可能である。具体的には離型剤を除く材料で初期凝集を行ったあとに離型剤分散液・追加凝集剤を順次添加して混合することで上記内容が成される。
また、離型剤量を減じた小径トナーを予め湿式製法によって作製し、後から別途作製したトナーに適当な粒径を有するトナーに混合することも可能ではあるが、先述のように粒度分布の影響や工程数などの点から好ましくない。
【0059】
(樹脂)
樹脂微粒子分散液に用いる樹脂としては、上記(i)〜(iv)を満たす限り特に制限はないが、結晶性樹脂を含有することが好ましい。結晶性樹脂などの融点を有する材料を用いると、低温定着と画像保全性とを両立させることができる。
非結晶性樹脂を用いたトナーでは、非結晶性樹脂がガラス転移温度で樹脂分子の熱運動によって緩やかに樹脂粘度が低下するため、定着可能粘度領域までの温度差が大きく、画像保存性を確保するためのガラス転移温度と低温定着性との両立を図ることが難しい。
一方、結晶性樹脂では、融点を有するために特定温度(融点)における粘度の低下変化が大きく、樹脂分子が熱運動を開始して溶融状態になり、定着可能な粘度領域に達するまでの温度差を低減することができる。これにより優れた低温定着性を呈示すると同時に、融点と同値またはそれ以下での優れた画像保存性を呈示する。
【0060】
結晶性樹脂としては、結晶性を有する樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられるが、定着時の紙への定着性や帯電性、及び好ましい範囲での融点調整の観点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0061】
また、モノマー成分としては結晶構造を容易に形成するため、芳香族成分を有するモノマーよりも直鎖状脂肪族成分を有するモノマーが好ましい。さらに結晶性を損なわないために、構成されるモノマーは単一種で各々30mol%以上を構成することが好ましい。ポリエステルなどにおいて2種以上のモノマー類が必須で構成される際には、各必須構成モノマー種において同上の構成であることが好ましい。
【0062】
また、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000〜35,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が、6,000未満であると、定着時にトナーが紙等の記録媒体の表面へしみ込んで定着ムラを生じたり、定着画像の折り曲げ耐性に対する強度が低下することがあり好ましくない。また、分子量(Mw)が35,000を超えると溶融時の粘度が高くなりすぎて定着に適当な粘度まで至るための温度が高くなることがあり、定着温度が高くなるため好ましくない。
【0063】
本発明で用いる結晶性ポリエステル樹脂は、低温定着性とトナーの保存安定性を確保するために、50〜100℃の範囲に融点を有するものが好ましい。融点が50℃を下回ると、保管トナーにブロックキングが生じるなどの保存、定着画像の保存性が困難となることがあり、100℃を超える場合では低温定着性が損なわれる場合があるため好ましくない。
【0064】
結晶性ポリエステル樹脂のより好ましい融点の範囲としては50〜100℃であり、さらに好ましい範囲は55〜90℃である。
本発明において、前記結晶性樹脂の融点の測定には、既述の示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時の、ASTM D3418−8に準拠した示差熱分析測定の融解ピーク温度として求めることができる。融解ピーク温度は、吸熱ピークの頂点の温度とする。なお、上記測定において複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピーク温度をもって融点とみなす。
【0065】
なお、本発明の電子写真用トナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂のような『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10(℃)以内であることを意味する。一方、半値幅が10℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性樹脂(無定形高分子)を意味する。
【0066】
「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造からなるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50重量%以下である。
【0067】
結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂は、脂肪族モノマを用いて合成された結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性脂肪族ポリエステル樹脂」と略す場合がある)を主成分(50重量%以上)とすることが好ましい。さらに、この場合、前記結晶性脂肪族ポリエステル樹脂を構成する脂肪族モノマの構成比は、60mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい。なお、脂肪族モノマとしては後述するような脂肪族のジオール類やジカルボン酸類を好適に用いることができる。
【0068】
結晶性ポリエステル樹脂が芳香族モノマ等、脂肪族以外のモノマで構成された場合、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高くなり、結果として、最終的に作製されるトナーの融点が上がり、トナーの定着温度上昇を招くことが予想される。また、凝集法でトナーを作製する場合に必要な樹脂の乳化性が悪化するため、トナー造粒時、粒度分布の制御が難しくなったり、着色剤の偏在を招く場合がある。一方、融点を下げ、乳化性を付与する為に、芳香族スルホン酸モノマを構成成分にした場合、融点低下と乳化性が改善できても、トナーの帯電性付与に必要な電気抵抗の低下を招き、結果として、トナー特性を満足する為の適用範囲が狭まってしまう。したがって、低温定着性に対する改善効果を高める為には、脂肪族モノマの構成比を80mol%以上にすることが望ましい。
【0069】
本実施形態におけるトナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
【0070】
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
【0071】
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0072】
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作成する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化あるいは懸濁が可能である。
【0073】
スルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して1〜15モル%、好ましくは2〜10モル%含有する。1モル%より含有率が少ないと乳化粒子の経時安定性が悪くなる一方、15モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下するばかりではなく、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与え、トナー径の調整が難しくなるという不具合が生じる。
【0074】
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有してもよい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
【0075】
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、主鎖部分の炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、主鎖部分の炭素数が20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。主鎖部分の炭素数としては14以下であることがより好ましい。
【0076】
本実施形態におけるトナーに用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
【0077】
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0078】
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオールの含有率が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。脂肪族ジオールの含有率が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
【0079】
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
【0080】
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類等が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
【0081】
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類等が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
【0082】
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、および/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、および/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
【0083】
結晶性ポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
【0084】
この結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1重量%とすることが好ましい。
【0085】
結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、前記のような分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1.0〜25.0mgKOH/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分としてトリメリット酸などを使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
【0086】
トナー中における結晶性ポリエステル樹脂の含有率としては、帯電や耐現像・クリーニング特性が維持される限り、高含有率であることが低温定着の観点から望ましい。しかしながら、上述のように100℃以下に融点を有する上記のような結晶性ポリエステル樹脂は含有率が多いほど帯電、耐現像・クリーニング特性に乏しくフィルミングやかぶりを生じ画像欠陥を生じやすい。そのため、トナー中における結晶性ポリエステルの含有率としては1〜80重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
【0087】
樹脂微粒子分散液に用いる樹脂として、上記結晶性樹脂のほか、非結晶性樹脂を用いることもできる。
上述のように「非結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において、明確な吸熱ピークではなく、階段状の吸熱変化のみを有するものであり、常温固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。
【0088】
まず、本発明に用いられる非結晶性樹脂としては、特に限定されるわけではないが、公知の樹脂材料を用いることができる。例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸エチルヘキシル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニル基を有するエステル類;マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル等の二重結合を有するカルボン酸類;エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン等のオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の二重結合を有するカルボン酸類;などを単独で重合、またはこれらを2種類以上組み合わせて共重合したもの、さらにはこれらの混合物を挙げることができる。
【0089】
さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物やこれらの共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等が挙げられる。
【0090】
本発明における非結晶性樹脂には、重合度の制御等のために、解離性ビニル系単量体を非結晶性樹脂を構成する単量体とともに重合時に含有させても良い。前記解離性ビニル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなど高分子酸、高分子塩基の原料となる単量体をいずれも使用することができる。重合体形成反応の容易性などから高分子酸が好適であり、中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を有する解離性ビニル系単量体が重合度の制御、ガラス転移温度の制御の観点から好ましい。なお、これら解離性ビニル系単量体は通常非結晶性樹脂重合時に、共重合して、用いることができる。
【0091】
前記ビニル系単量体の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができる。その他の樹脂の場合、その樹脂が油性であって水への溶解度が比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に溶解し、水にイオン性界面活性剤及び/又は高分子電解質を溶解し、それらと共にホモジナイザーなどの分散機により水中に粒子分散するのがよい。その後、加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を調製するのがよい。
【0092】
本発明におけるトナーは、非結晶性樹脂の重合時に連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に制限はないが、チオール成分を有する化合物を用いることができる。具体的には、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類が好ましく、特に分子量分布が狭く、そのため高温時のトナーの保存性が良好になる点で好ましい。
【0093】
本発明における非結晶性樹脂は、重合性単量体のラジカル重合により製造することができる。
ここで用いるラジカル重合用開始剤としては、特に制限はない。具体的には、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸tert−ブチルヒドロペルオキシド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等の過酸化物類、2,2'−アゾビスプロパン、2,2'−ジクロロ−2,2'−アゾビスプロパン、1,1'−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2'−アゾビスイソブタン、2,2'−アゾビスイソブチルアミド、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2'−ジクロロ−2,2'−アゾビスブ
タン、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2'−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1'−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1'−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2'−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1'−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1'−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1'−アゾビス−1−シクロへプタンニトリル、1,1'−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1'−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1'−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4'−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2'−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物類、1,4−ビス(ペンタエチレン)−2−テトラゼン、1,4−ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テトラゼン等が挙げられる。
【0094】
また、架橋剤として主鎖炭素数が10〜40程度の大きな脂肪族系のものを用いることにより、高分子量領域まで分子量分布を広げ、かつ、樹脂の増粘も抑えることができる。
このような脂肪族系架橋剤としては、直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;多価カルボン酸の多ビニルエステル類等を用いることができる。
【0095】
具体的には、ポリエチレングリコール#200グリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400グリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#600グリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#1000グリコールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート等が挙げられる。
【0096】
前記架橋剤の好ましい含有率は、重合体原料総量中の0.05〜5質量%の範囲が好ましく、0.1〜1.0質量%の範囲がより好ましい。
【0097】
なお、本発明における非結晶性樹脂のガラス転移温度は、45〜60℃の範囲であることが好ましく、50〜60℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度が45℃未満であると、トナーが貯蔵中又は現像器中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、ガラス転移温度が60℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない。
非結晶性樹脂のガラス転移温度の測定方法は、結晶性樹脂の融点の測定方法に準拠する。但し、非結晶性樹脂の吸熱ピークは、融点に比べ明確なピークを示さないため、吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度をガラス転移温度とする。
【0098】
(着色剤)
本発明における着色剤としては、公知の有機、もしくは、無機の顔料や染料、油溶性染料を使用することができる。
前記着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料;などが挙げられる。
【0099】
これらの着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。後者の場合においては、着色剤の種類、混合比を変更することにより、トナーの色を任意に調節することができる。着色剤分散液は、例えば、該着色剤を前記界面活性剤等の水系媒体に分散させることにより調製することができる。
【0100】
本発明における着色剤粒子の体積平均粒径は、0.8μm以下であることが望ましく、より望ましくは0.05〜0.5μmの範囲である。着色剤粒子の体積平均粒径が0.8μmを越えると、最終的に得られる電子写真用トナーの粒度分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下につながる。着色剤粒子の体積平均粒径が0.05μmより小さいと、トナー中での着色性が低下する。
【0101】
また、0.8μm以上の粒子個数%は、10%未満が好ましく、実質的には0%が好ましい。このような粗大粒子の存在は、凝集工程の安定性を損なわせ粗大着色粒子の遊離のみならず、粒度分布を広化させる。0.05μm以下の粒子個数%は、5個数%以下が好ましい。このような微小粒子の存在は、融合工程での形状制御性を損なわせ、滑らかなものが得られなくなる。これに対して、着色剤粒子の体積平均粒径、粗大粒子、微小粒子が前記範囲内にあると、前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中での分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点が有利である。
【0102】
なお、着色剤粒子の体積平均粒径は、例えば、マイクロトラック等を用いて測定することができる。なお、前記着色剤の添加量は、前記トナー粒子に対し、1〜20質量%の範囲に設定するのが好ましい。
【0103】
本発明においては、前記着色剤としては、ロジン、ポリマー等により表面改質処理することができる。前記表面改質処理がなされた着色剤は、着色剤分散液中で十分に安定化されており、該着色剤が着色剤分散液中で所望の平均粒径に分散された後、樹脂粒子分散液との混合時、凝集工程等においても着色剤同士が凝集することがなく、良好な分散状態を維持できる点で有利である。一方、過剰な表面改質処理がなされた着色剤は、凝集工程において樹脂粒子と凝集せずに遊離してしまうことがある。このため、前記表面改質処理は、適宜選択した最適な条件下で行われる。
表面改質処理に使用する前記ポリマーとしては、アクリロニトリル重合体、メチルメタクリレート重合体等が挙げられる。
【0104】
前記表面改質の条件としては、一般に、着色剤存在下にモノマーを重合させる重合法、ポリマー溶液中に着色剤を分散させ、該ポリマーの溶解度を低下させて着色剤表面に析出させる相分離法等を用いることができる。
【0105】
(離型剤)
前記離型剤の例としては、例えば以下のような具体例が挙げられる。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用できる。これらの離型剤は1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0106】
前記離型剤は、示差走査熱量計で測定される融点が70〜130℃の範囲であることが好ましく、70〜110℃の範囲であることがより好ましく、80〜100℃の範囲であることが更に好ましい。
離型剤の融点が70℃未満であると、定着時に高温でのオフセットを生じやすくなる。また、130℃を超えると、定着温度が高い領域でないと効果が下がってしまうため、定着画像表面の平滑性がえられず定着画像の光沢性を損なう。
なお、離型剤の融点の測定には、例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いる。装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。また、主体極大ピークを離型剤の融点と特定する。
【0107】
既述のように、前記小径トナー粒子TP<5の含有率が5質量%以下であって、且つ、小径トナー粒子TP<5における離型剤の含有率が、トナー粒子全体における離型剤の平均含有率を100としたときに10〜80となるようにトナーを調製するのに好適な離型剤の種類は、極性の低い離型剤のほうが好ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等である。
これらの離型剤は、離型剤分散液を調製する際にそれ自体の極性が低いため、水に対しては疎水性であって、界面活性剤で分散するときに粒度が均一に分散した分散液を作製しやすいため上記離型剤含有率の調整が好適にできる。また凝集する際には、離型剤を除くトナー構成材料を予備的に凝集させ、2次、3次の凝集粒子を作製した後、離型剤を添加することで、該凝集粒子とさらに凝集させることができるが、このとき疎水性の離型剤の方が容易に凝集しやすいため、前述のような離型剤が好ましい。すなわち、ある程度の大きさの凝集粒子の量が多い状態でも、離型剤を添加して凝集させることができるため、離型剤の含有率を粒径に対して調節しやすい。
【0108】
(その他の成分)
本発明のトナーには、必要により滑剤や帯電制御剤を加えてもよい。
使用できる滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩が挙げることができる。
【0109】
前記帯電制御剤は、帯電性をより向上安定化させるために添加するものであり、本発明では、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
【0110】
(分散液の調製)
前記樹脂粒子分散液、前記着色剤分散液及び前記その他の成分(粒子)を分散させてなる分散液における分散媒としては、例えば水系媒体等が挙げられる。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0111】
前記種々の分散液を作製する手段としては、特に制限はないが、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどそれ自体公知の分散装置が挙げられる。
【0112】
本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。前記界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが好適に挙げられる。これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤がより好ましい。
【0113】
前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0114】
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプロピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネートなどのアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類;などが挙げられる。
【0115】
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシ
エチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;などが挙げられる。
【0116】
前記非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレン大豆アミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のアルキルアミド類;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル類;などが挙げられる。
【0117】
結晶性樹脂粒子分散液は、公知の転相乳化、あるいは結晶性樹脂の融点以上に加熱し、機械的せん断力によって乳化させる。このとき、上記界面活性剤を添加もしくは中和アミンを用いた自己中和による乳化液の安定化を図ってもよい。
着色剤粒子分散液は、樹脂粒子分散液の作製に用いたイオン性界面活性剤と反対極性イオン性界面活性剤を用いて、所望の色の着色剤粒子を溶媒中に分散させることにより調製する。
また、離型剤粒子分散液は、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により粒子化することにより調製する。
【0118】
分散液中の樹脂分散粒子の体積平均粒径は、1μm以下であることが望ましく、より望ましくは0.01〜1μmの範囲である。樹脂分散粒子の体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる電子写真用トナーの粒度分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下につながる。一方、樹脂分散粒子の体積平均粒径が前記範囲内にあると、前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中での分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点が有利である。
分散液中の樹脂分散粒子の体積平均粒径は、例えば、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)や、マイクロトラック等を用いて測定することができる。
【0119】
なお、上記条件(i)の「トナー粒子全体の小粒径側体積粒度分布指標GSDv-underを1.25以下」を満たすようにトナー粒子を調製するには、分散液の調製において、平均粒径をそろえることが好ましい。
一般にトナー内における着色剤粒子は発色性や濃度の観点から平均粒径は小さいものが好ましい。これに樹脂粒子を合わせることで凝集粒子の粒度分布は狭くなる。ところが離型剤は溶融時の粘度が低いため、離型剤分散液作製時に離型剤にシェアがかかりにくく、他の粒子に対して大きくなりやすい。そのため凝集初期において粒度分布の広いものが生じやすくなるため、離型剤分散粒子の粒径をそろえるか、前述のように大粒径の離型剤分散液粒子を後から添加することが好ましい。
【0120】
また、既述のように、本発明のように小径粒度分において離型剤を平均的な仕込み値よりも低減させるためには、離型剤分散粒子を遅れて凝集工程に取り込ませることが効果的である。この方法において好適な離型剤分散粒子の体積平均粒径は、0.2〜0.8μmであり、より好適には、0.3〜0.8μmであり、更に好適には、0.3〜0.6μmである。0.2μmよりも小さいと、他の凝集粒子との粒径に差が生じすぎてしまうため、離型剤がうまく凝集粒子内に入らないことがある。また、0.8μmよりも大きいと、トナーの粒度分布が拡大し、小粒径側体積粒度分布指標GSDv-underが1.25以下にならない場合がある。
【0121】
(凝集)
少なくとも、上記樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液とを混合して、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ、所望のトナー径にほぼ近い径を有する凝集粒子(コア凝集粒子)を形成する。凝集体微粒子の体積平均粒径は、4〜10μmの範囲にあることが好ましい。
樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とのヘテロ凝集は、室温〜樹脂のガラス転移温度の範囲での加熱や、pH変化により、粒子間の凝集を発生させて行う。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、又はより狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得るため、凝集剤を添加しても良い。
【0122】
前記凝集工程に用いる凝集剤としては、2価以上の価数を取りうる金属塩が好適である。本実施形態における2価以上の価数を取りうる金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化鉄、等の2価の金属塩、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化鉄、等の3価の金属塩、塩化スズ、等の4価の金属塩等の金属塩;および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が2価の金属塩より3価の金属塩、3価の金属塩より4価の金属塩の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より好ましい。
【0123】
前記樹脂粒子分散液と前記着色剤分散液、前記離型剤分散液とを混合した場合における、前記樹脂粒子の含有率としては、40質量%以下であればよく、2〜20質量%の範囲程度であるのが好ましい。
また、前記着色剤、前記離型剤の含有率としては、各々50質量%以下であればよく、2〜40質量%の範囲程度であるのが好ましい。
さらに、前記その他の成分(粒子)の含有率としては、本発明の目的を阻害しない程度であればよく、一般的には極少量であり、具体的には0.01〜5質量%の範囲程度であり、0.5〜2質量%の範囲程度が好ましい。
【0124】
既述のように、小径粒度分において離型剤を平均的な仕込み値よりも低減させるためには、離型剤の凝集工程を別途設けて混合し、小径の凝集径を有する離型剤を遅れて凝集工程に取り込ませることが効果的である。この方法において、離型剤分散液の投入時期は、好ましくは、トナーの構成により異なるが、数分から、十数分後であり、更に好ましくは、離型剤を除く、凝集粒子の平均粒径が1μmを越え、凝集成長がとまったときである。
【0125】
−第2の工程(付着工程)−
第2の工程(付着工程)では、第1の工程(凝集工程)で得られたコア凝集粒子の表面に、微粒子分散液を用いて、微粒子を付着させる工程である。コア凝集粒子表面に該微粒子による被覆層(シェル層)が形成され、コア/シェル構造も持つ凝集粒子(コア/シェル凝集粒子)を得ることができる。なお、前記微粒子は、前記凝集粒子に前記凝集粒子から見て新たに追加される粒子に該当するので、「追加粒子」と記す場合がある。
【0126】
このように、前記微粒子(追加粒子)を添加混合することにより、微少な粒子の発生を抑制し、得られる電子写真用トナーの粒度分布をシャープにすることができる。つまり、上記(i)の条件を満たすトナーを製造することができる。
【0127】
また、前記第2の工程(付着工程)は、複数回行われることが望ましい。
前記微粒子分散液の添加混合の方法としては、特に制限はなく、例えば、徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。
【0128】
なお、複数回に分割して段階的に添加混合を行うと、前記凝集粒子の表面に段階的に前記微粒子による層が積層され、電子写真用トナーの粒子の内部から外部にかけて構造変化や組成勾配をもたせることができるため、粒子の表面硬度を向上させることができる。しかも、前記第3工程における融合時において、粒度分布を維持し、その変動を抑制することができると共に、融合時の安定性を高めるための界面活性剤や塩基または酸等の安定剤の添加を不要にしたり、それらの添加量を最少限度に抑制することができ、コストの削減や品質の改善可能となる点で有利である。
【0129】
第2の工程に用いる微粒子(追加粒子)は、第1の工程で用いた樹脂と同じものでも、異なるものでもよい。
また、微粒子(追加粒子)による分散粒子の体積平均粒径も、第1の工程と同様に、1μm以下であることが望ましく、より望ましくは0.01〜1μmの範囲である。
【0130】
本発明に用いられる電子写真用トナーは、前記付着工程を行った場合には、前記凝集粒子を母粒子とし、該母粒子の表面に前記微粒子(追加粒子)による被覆層が形成されてなる構造を有する。前記微粒子(追加粒子)の層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよく、一般に該層数は、前記本発明の電子写真用トナーの製造方法における前記付着工程を行った回数と同じである。
【0131】
−第3の工程(融合工程)−
第3の工程(融合工程)では、前記付着工程で得られた付着粒子を加熱して融合させる。
加熱温度は、樹脂の軟化点以上の温度、一般には70〜120℃の範囲で加熱処理して凝集体粒子を融合させて、トナー粒子含有液(トナー粒子分散液)を得ることができる。
【0132】
得られたトナー粒子分散液は、遠心分離または吸引濾過によりトナー粒子を分離して、イオン交換水にて1〜3回洗浄する。その後トナー粒子を濾別し、イオン交換水にて1〜3回洗浄し、乾燥することによって、本発明に用いる電子写真用トナーを得ることができる。
【0133】
得られたトナーにおける、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布は、2〜30の範囲が好ましく、3〜20の範囲がより好ましい。前記比(Mw/Mn)で表される分子量分布が、30を越えると光透過性、着色性が十分でなく、特にフィルム上に電子写真用トナーを現像乃至定着させた場合において、光透過により映し出される画像は、不鮮明で暗い画像になるか、不透過で発色しない投影画像となり、2未満であると高温定着時におけるトナーの粘度低下が顕著になり、オフセットが発生し易くなる。一方、前記比(Mw/Mn)で表される分子量分布が、前記数値範囲内にあると、光透過性、着色性が十分である上、高温定着時における電子写真用トナーの粘度低下を防止し、オフセットの発生を効果的に抑制することができる。
【0134】
本発明における電子写真用トナーは、帯電性、現像性、転写性、定着性、クリーニング性等の諸特性、長期にわたるクリーニング性に優れる。また、環境条件に影響を受けにくく前記諸性能を安定に発揮・維持するので、信頼性が高い。また、本発明における前記電子写真用トナーは、前記トナーの製造方法により製造されるので、混練粉砕法等により製造される場合と異なり、その平均粒径が小さく、しかもその粒度分布がシャープである。
【0135】
さらに、トナー中の顔料粒子に粗大な凝集体がなく、イオンや微粒子等が定着時の溶融特性を妨げない程度に強固に結合されているため、長期の使用においても、帯電部材や転写部材を汚染することがなく、ダメージを与えることもない。
【0136】
なお、上記のようにして最終的に加熱して得られた電子写真用トナーには、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂微粒子を乾燥状態で剪断力をかけて表面へ添加して流動性助剤やクリーニング助剤として用いることができる。前記無機粒体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。
【0137】
前記有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。なお、これらの無機粒体や有機粒体は、流動性助剤、クリーニング助剤等として使用することができる。前記滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩が挙げられる。
【0138】
<電子写真用現像剤>
次に、本発明の電子写真用現像剤について説明する。
本発明における電子写真用現像剤は、前記電子写真用トナーを含有すること以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。例えば、本発明における電子写真用現像剤として、前記電子写真用トナーをキャリアと組み合わせて用い2成分系の電子写真用現像剤として調製してよい。
【0139】
前記キャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアを使用することができる。前記電子写真用現像剤における、前記本発明の電子写真用トナーと、キャリアとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0140】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmの範囲にあり、好ましくは30〜100μmの範囲にある。
【0142】
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
【0143】
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0144】
前記二成分現像剤における本実施形態のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
【0145】
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、帯電部材により潜像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された前記潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤により前記静電潜像をトナー画像に現像する現像工程と、前記トナー画像を転写材上に転写する転写工程と、該転写工程後の前記潜像担持体上に残留したトナー粒子を除去するクリーニング工程と、を有する。
前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。また、これらの工程には、公知の技術を適宜選択して適用することができる。
【0146】
なお、本発明の画像形成方法は、それ自体公知の複写機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができるが、本発明の画像形成方法においては、前記帯電ロールと転写ロールと前記トナーを組み合わせることにより高画質で維持性に優れた次のような効果が期待できる。
【0147】
すなわち、球形トナー母粒子の高転写効率・高画質性、さらには現像性を損なうことなく、クリーニング性の向上、感光体のフィルミングや傷の低減による等の信頼性向上がバランスよくなされた電子写真用トナー、電子写真用現像剤、及びそれを用いた画像形成方法を長期にわたり高画質な画像を維持することが可能となる。
【0148】
本発明の画像形成方法では、現像工程において、上記電子写真用トナーを含有する現像剤を用いることが特徴である。
【0149】
<画像形成装置>
次に、本発明の画像形成装置について説明する。
本発明の画像形成装置は、潜像担持体と、該潜像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記潜像担持体に静電潜像を形成させる潜像形成手段と、現像剤により前記静電潜像をトナー画像に現像する現像手段と、前記トナー画像を転写材上に転写する転写手段と、転写後の前記潜像担持体上に残留したトナー粒子を除去するクリーニング手段と、を有する画像形成装置であって、前記電子写真用現像剤が、上述の電子写真用トナーを含むことを特徴とする画像形成装置である。
【0150】
図1は、本発明の画像形成装置の一例である電子写真装置を示す模式断面図である。
図1に示す電子写真装置は、電子写真感光体(潜像担持体)10と、電子写真感光体10の表面を帯電する帯電器(帯電手段)11と、帯電器11に電圧を印加するための電源12と、電子写真感光体10の表面に潜像を形成する画像入力器(潜像形成手段)13と、電子写真用現像剤により電子写真感光体10の表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を得る現像器(現像手段)14と、形成されたトナー画像を被記録体20表面に転写する転写器(転写手段)15と、特定のクリーニングブレードであるブレード19により電子写真感光体10表面の残留トナー等を除去するクリーニング器(クリーニング手段)16と、電子写真感光体10表面の残存電位を除去する除電器17と、被記録体20表面に転写されたトナー画像を、熱及び/または圧力等により定着する定着器18と、を有する。
【0151】
図1における電子写真感光体10には、帯電ロール等の接触帯電方式の帯電器11が配置され、帯電器11は、電源12から供給される電圧により作動する。転写器15としては、本例では、転写ロール等の接触転写方式のものを用いているが、本発明において、接触転写方式、非接触転写方式の別は問われない。
クリーニング器16は、箱体21の開口部に本発明のクリーニングブレードであるブレード19が具備されて構成され、電子写真感光体10表面から除去された残留トナー等は、箱体21内に収容される構造になっている。
【0152】
その他、画像入力器(潜像形成手段)13、現像器(現像手段)14、転写器(転写手段)15、除電器17、定着器18の構成は、本発明において特に制限されるものではなく、電子写真分野において従来公知のあらゆる構成をそのまま適用することができる。なお、本例のように接触帯電方式の帯電器11を用いる構成の場合、除電器17は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0153】
上記画像形成装置において、前記電子写真用現像剤として、本発明におけるトナーを含む現像剤を用いることにより現像性、転写性、定着性、クリーニング性等の諸特性を、長期にわたって維持することができる。
【実施例】
【0154】
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。実施例、比較例に用いたトナー等について説明する。
【0155】
[トナーの作製]
下記のように各種分散液の調製、トナーの作製を行った。なお、樹脂微粒子、トナー等の物性測定は、以下の方法で行った。
【0156】
(1) 分子量、分子量分布の測定
分子量、分子量分布の測定は、測定装置としてHLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行った。カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。
測定条件としては、試料濃度0.5質量%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて行った。
また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作成した。
【0157】
(2) 融点及びガラス転移温度の測定
示差走査熱量計(島津制作所社製:DSC−50)を用いて、昇温速度10℃/minで測定した。ピーク温度の特定は、既述の方法で行った。
【0158】
(3) 分散微粒子の粒径の測定
レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて、樹脂分散微粒子、着色剤分散微粒子、離型剤分散微粒子の粒径をそれぞれ測定した。
得られた粒度分布から、体積平均粒径、及び小粒径側体積粒度分布指標GSDv-underを、既述の方法で求めた。
【0159】
(4) トナー粒度及び粒度分布の測定
測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定法としては、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を10mg加えた。これを前記電解液100ml中に添加した。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて粒度分布を測定して、前述のようにして体積平均粒径、粒度分布を求めた。測定した粒子数は50000であった。
【0160】
(5) 全トナー粒子から小径トナー粒子TP<5の採取
遠心分離器を用いて、上述の方法で小径トナー粒子TP<5を取り出した。
【0161】
(6) 小径トナー粒子TP<5の形状係数の測定
上記方法によって取り出された小径トナー粒子TP<5をスライドグラス上に散布し、小径トナー粒子TP<5の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じて画像解析装置(LUZEXIII、ニレコ社製)に取り込み、円相当径を測定して、最大長及び面積から、50個につきSFを上記式(2)から計算した。なお、取り出された小径トナー粒子TP<5のばらつきを考慮し、小径トナー粒子TP<5の取り出しの操作を5回行い、得られた5つのサンプルについて形状係数を測定し、その平均値を求めた。
【0162】
(7) トナー中のワックス量の定量
トナー中の離型剤量は示差走査熱量計を用いて測定した。定量操作としては、樹脂吸熱量を基準として仕込み離型剤量が既知である検量用トナー中の離型剤の吸熱ピーク面積と、測定試料トナー中の離型剤の吸熱ピーク面積とを比較して、測定試料トナー中に含まれる離型剤量を算出した。
なお、示差走査熱量計による吸熱ピークの測定は、ASTMD3418−8に準拠して、室温から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定した。
【0163】
(8) 小径トナー粒子TP<5中のワックス量の定量
小径トナー粒子TP<5中の離型剤含有率の定量方法は、上記方法によって取り出された小径トナー粒子TP<5の離型剤量を上記定量方法によって測定する。
なお、取り出された小径トナー粒子TP<5のばらつきを考慮し、小径トナー粒子TP<5の取り出しの操作を5回行い、得られた5つのサンプルについて離型剤量の定量測定を行い、その平均値を求めた。
【0164】
<各種分散液の調製>
(非結晶性樹脂微粒子分散液)
・スチレン(和光純薬製) 340質量部
・n−ブチルアクリレート(和光純薬製) 60質量部
・βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) 7質量部
・1'10−デカンジオールジアクリレート(新中村化学製) 1.1質量部
・ドデカンチオール(花王製) 2.8質量部
【0165】
以上の各材料を混合し溶解した。これを、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製:ダウファックス)4質量部をイオン交換水550質量部に溶解した液に投入し、フラスコ中で機械攪拌することにより分散・乳化し、10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム6質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。次いで、充分に系内の窒素置換を十分に行った後、フラスコを攪拌しながらオイルバスで系内が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。これにより、分散粒子の体積平均粒径が200nm、固形分量が43質量%、ガラス転移温度が51.0℃、重量平均分子量(Mw)が27,000のアニオン性樹脂分散液を得た。
【0166】
(結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(1))
加熱乾燥した三口フラスコに、1,10ドデカン二酸98.0mol%、及びイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム2.0mol%の酸成分、および、1,6ヘキサンジオール100mol%と、触媒としてTi(OBu)4(酸成分に対し、0.014重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて過剰な1,6−ヘキサンジオールを除去し、220℃まで徐々に昇温を行い3.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量22,000になったところで、減圧蒸留を停止し、空冷し結晶性ポリエステル(1)を得た。
ついで、これを溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37重量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で、上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。この状態で、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm2の条件でキャビトロンを運転し、固形分が20質量%、分散粒子の体積平均粒径が240nm、融点が78℃、重量平均分子量が22,000の結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(1)を得た。
【0167】
(結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(2))
加熱乾燥した三口フラスコに、セバシン酸97.0mol%、及びイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム3mol%、および、1,10デカンジオール100mol%と、触媒としてTi(OBu)4(酸成分に対し、0.014重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて220℃まで徐々に昇温を行い2.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量28400になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(1)を得た。
【0168】
ついで、この結晶性ポリエステル(1)80重量部及び脱イオン水400重量部をステンレスビーカーに入れ、温浴につけ、95℃に加熱する。結晶性ポリエステル樹脂(2)が溶融した時点で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて8000rpmで攪拌する。同時に希アンモニア水を添加しPHを7.0に調整する。ついでアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)0.8重量部を希釈した水溶液20重量部を滴下しながら、乳化分散を行ない、固形分が20質量%、平均粒径が280nm、融点が80℃、重量平均分子量(Mw)が28,400の結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(2)を得た。
【0169】
(着色剤粒子分散液)
・フタロシアニン顔料(大日精化社製:PVFASTBLUE) 50質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC) 10質量部
・イオン交換水 240質量部
【0170】
以上の各材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した後、循環式超音波分散機(日本精機製作所製:
RUS−600TCVP)にかけて着色剤粒子分散液を調製した。得られた着色剤分散液における着色剤分散粒子の体積平均粒径は140nmであった。
【0171】
(離型剤分散液の調製)
−離型剤分散液(1)−
・ポリエチレンワックス(東洋ペトロライト社製:PolyWax725、融点:104℃) 50質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC) 5質量部
・イオン交換水 240質量部
【0172】
以上の各材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤分散粒子の体積平均粒径が190nmの離型剤分散液を得た。
【0173】
−離型剤分散液(2)−
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)性:HNP9,融点77℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):5部
・イオン交換水:200部
【0174】
以上を110℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴ−リン社)で分散処理し、離型剤分散粒子の体積平均粒径が210nmの離型剤分散液(離型剤濃度:20質量%)を調製した。
【0175】
−離型剤分散液(3)−
・パラフィンワックス(日本精蝋社製、HNP0190、融点85℃):100部
・アニオン界面活性剤(日本油脂社製、ニュ−レックスR):3部
・イオン交換水:400部
【0176】
以上の各材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤分散粒子の体積平均粒径190nmの離型剤分散液を得た。
【0177】
<トナー粒子の作製>
(トナー粒子(1))
−凝集工程−
・イオン交換水 771質量部
・非結晶性樹脂微粒子分散液 297質量部
・着色剤粒子分散液 49質量部
・金属塩凝集剤(浅田化学社製:ポリ塩化アルミニウム) 1.5質量部
【0178】
以上の材料を、丸型ステンレス製フラスコ中で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)で混合分散した。続いて以下の分散液を添加混合して同様に混合分散した。
・離型剤分散液(1)92質量部
・金属塩凝集剤(浅田化学社製:ポリ塩化アルミニウム) 0.3質量部
【0179】
混合時は液温度を25℃に制御して行った。その後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら40℃まで緩やかに加熱して60分間保持した。その後50℃まで加熱した。50℃で60分保持した後、粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが4.5μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。さらに、加熱用オイルバスの温度を上げて52℃で1時間保持した。粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが5.1μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0180】
−付着工程−
得られた凝集粒子を含む分散液に、前記非結晶性樹脂微粒子(追加粒子)分散液39質量部を緩やかに添加し、更に加熱用オイルバスの温度を上げて54℃で1時間保持した。
【0181】
−融合工程−
得られた付着粒子を含む液に、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液をpHが6.0になるように追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら85℃まで緩やかに加熱して60分間保持した後96℃まで加熱し、1mol/Lの硝酸水溶液をpH5.0になるまで加え、5時間保持した。その後、冷却、ろ過し、イオン交換水で5回洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させてトナー粒子(1)を得た。得られた粒子について、粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが5.9μmであった。
【0182】
(トナー粒子(2))
離型剤分散液(1)に替えて離型剤分散液(2)を用いた以外はトナー粒子(1)と同様に行った。得られた粒子について粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが5.6μmであった。
【0183】
(トナー粒子(3))
トナー粒子(1)に用いた分散液を追加粒子を除いて一括で混合し、凝集剤も一括で加えて混合する以外はトナー粒子1と同様に行った。追加粒子の添加はトナー粒子(1)同様に実施した。得られた粒子について粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが5.6μmであった。
【0184】
(トナー粒子(4))
トナー粒子(2)に用いた分散液を追加粒子を除いて一括で混合し、凝集剤も一括で加えて混合する以外はトナー粒子2と同様に行った。追加粒子の添加はトナー粒子(2)同様に実施した。得られた粒子について粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが5.7μmであった。
【0185】
(トナー粒子(5))
トナー粒子(1)においてイオン交換水を1373重量部用いた以外はトナー粒子(1)と同様に行った。得られた粒子について粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが5.8μmであった。
【0186】
(トナー粒子(6))
トナー粒子(1)の融合工程において96℃の保持時間を2時間に変更した以外は、トナー粒子(1)と同様に行った。得られた粒子について粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが6.1μmであった。
【0187】
(トナー粒子(7))
−凝集工程−
・イオン交換水 435質量部
・非結晶性樹脂微粒子分散液 123質量部
・結晶性樹脂分散液 (1)112質量部
・着色剤粒子分散液 29質量部
・金属塩凝集剤(浅田化学社製:ポリ塩化アルミニウム) 1.5質量部
【0188】
以上の材料を、丸型ステンレス製フラスコ中で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)で混合分散した。続いて以下の分散液を添加混合して同様に混合分散した。
【0189】
・離型剤分散液(3)52質量部
・金属塩凝集剤(浅田化学社製:ポリ塩化アルミニウム) 0.3質量部
【0190】
混合時は液温度を25℃に制御して行った。その後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら40℃まで緩やかに加熱して60分間保持した。その後50℃まで加熱した。50℃で60分保持した後、粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが4.7μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。さらに、加熱用オイルバスの温度を上げて52℃で1時間保持した。粒子サイズを測定したところ、D50vが5.1μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0191】
−付着工程−
得られた凝集粒子を含む分散液に、前記樹脂微粒子分散液26質量部を緩やかに添加し、更に加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持した。
【0192】
−融合工程−
得られた付着粒子を含む液に、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液をpHが6.0になるように追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら85℃まで緩やかに加熱して60分間保持した後96℃まで加熱し、1mol/Lの硝酸水溶液をpH5.0になるまで加え、5時間保持した。その後、冷却、ろ過し、イオン交換水で5回洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させてトナー粒子(7)を得た。得られた粒子について、粒子サイズを測定したところ、D50vが6.2μmであった。
【0193】
(トナー粒子(8))
結晶性樹脂分散液(1)と離型剤分散液(3)に替えて、結晶性樹脂分散液(2)と離型剤分散液(2)を用いた以外はトナー粒子(7)と同様に行った。得られた粒子について粒子サイズを測定したところ、D50vが6.3μmであった。
【0194】
(トナー粒子(9))
−凝集工程−
・イオン交換水 771質量部
・非結晶性樹脂微粒子分散液 297質量部
・着色剤粒子分散液 49質量部
・金属塩凝集剤(浅田化学社製:ポリ塩化アルミニウム) 1.5質量部
【0195】
以上の材料を、丸型ステンレス製フラスコ中で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)で混合分散した。続いて以下の分散液を添加混合して同様に混合分散した。
【0196】
・離型剤分散液(3)92質量部
・金属塩凝集剤(浅田化学社製:ポリ塩化アルミニウム) 0.3質量部
【0197】
混合時は液温度を25℃に制御して行った。その後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら40℃まで緩やかに加熱して60分間保持した。その後50℃まで加熱した。50℃で60分保持した後、粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが4.5μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。さらに、加熱用オイルバスの温度を上げて52℃で1時間保持した。粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが5.1μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0198】
−付着工程−
得られた凝集粒子を含む分散液に、前記非結晶性樹脂微粒子分散液39質量部を緩やかに添加し、更に加熱用オイルバスの温度を上げて54℃で1時間保持した。
【0199】
−融合工程−
得られた付着粒子を含む液に、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液をpHが6.0になるように追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら85℃まで緩やかに加熱して60分間保持した後96℃まで加熱し、1mol/Lの硝酸水溶液をpH5.0になるまで加え、5時間保持した。その後、冷却、ろ過し、イオン交換水で5回洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させてトナー粒子(9)を得た。得られた粒子について、粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが5.9μmであった。
【0200】
(トナー粒子(10))
トナー粒子(7)に用いた分散液において追加粒子を除いて一括で混合し、凝集剤も一括で加えて混合する以外はトナー粒子(7)と同様に行った。追加粒子はトナー粒子(7)同様に行った。得られた粒子について粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが6.0μmであった。
【0201】
(トナー粒子(11))
トナー粒子(8)に用いた分散液において追加粒子を除いて一括で混合し、凝集剤も一括で加えて混合する以外はトナー粒子(8)と同様に行った。追加粒子はトナー粒子(2)同様に行った。得られた粒子について粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが6.1μmであった。
【0202】
(トナー粒子(12))
トナー粒子(7)においてイオン交換水を748重量部用いた以外はトナー粒子(7)と同様に行った。得られた粒子について粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが6.7μmであった。
【0203】
(トナー粒子(13))
トナー粒子(7)の融合工程において96℃の保持時間を2時間に変更した以外は、トナー粒子(7)と同様に行った。得られた粒子について粒子サイズを測定したところ、体積平均粒径D50vが6.4μmであった。
【0204】
[電子写真用現像剤の製造]
(現像剤(1)〜(6)の調製)
得られたトナー粒子(1)〜(6)のいずれかを各50質量部に対し、疎水性シリカ(TS720:キャボット製)を0.5質量部添加し、サンプルミルにてブレンドした。
このブレンド物を、ポリメチルメタクリレート(総研化学社製)を1質量%コートした体積平均粒径が50μmのフェライトキャリアに対し、トナー濃度が5質量%になるように秤量し、ボールミルで5分間攪拌・混合して、現像剤(1)〜(6)を調製した。
【0205】
(現像剤(7)〜(13)の調製)
トナー粒子(7)〜(13)のいずれかに、外添剤としてチタニア微粉末をトナー100重量部に対して1.2重量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して現像剤(7)〜(13)を得た。ついで、これらトナーそれぞれ5重量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(平均粒子径35μm)100重量部を混合して二成分現像剤を調整した。
【0206】
[評価]
これらの電子写真用トナー組成物を用いて、富士ゼロックス製複写機ABLE3321にて約10000枚のランニングテストを行い、感光体の観察、及び転写効率・定着画像における細線再現性・かぶりを観察した。これら評価基準は以下の通りである。
【0207】
−転写効率−
○:良好
△:実用上問題ないレベル
×:問題あり
【0208】
−10000枚後の感光体観察−
○:変化なし
△:若干付着物あるが画質に問題ない程度
×:トナーフィルミング発生
【0209】
−画質(細線再現性、かぶり)−
○:良好
△:一部不良であるが、実用上問題ない程度
×:問題あり
【0210】
トナー形状、粒度分布、小径部分における離型剤量の確認結果なども併せた評価結果を表1,表2に示す。
【0211】
【表1】


【0212】
【表2】


【0213】
表1及び表2から、特定のトナー粒度において特定の形状係数を有し、且つ特定の離型剤量を有するトナーを用いることで、高い転写効率、現像性を示しながら感光体フィルミングを防止でき、経時安定して高画質の画像を得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】本発明の画像形成装置の一例の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0215】
10 電子写真感光体(潜像担持体)
11 帯電器(帯電手段)
12 電源
13 画像入力器(潜像形成手段)
14 現像器(現像手段)
15 転写器(転写手段)
16 クリーニング器(クリーニング手段)
17 除電器
18 定着器
19 ブレード(クリーニングブレード)
20 被記録体
21 箱体




 

 


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