米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 写真;映画 -> 富士ゼロックス株式会社

発明の名称 現像装置及び画像形成装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3864(P2007−3864A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−184528(P2005−184528)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
発明者 青島 琢 / 倉本 新一 / 佐藤 正昭 / 山室 隆 / 廣田 真
要約 課題
現像剤担持体上に担持された二成分現像剤にかかる圧力を低減すると共に、前回形成した画像履歴を消去することが可能な現像装置及び画像形成装置を提供する

解決手段
現像剤収容部に収容された二成分現像剤を現像剤担持体に担持させる方向の磁界を発生させる第2の磁極部と、層厚規制部材に対向して設けられ二成分現像剤を現像剤担持体方向に向かわせる方向の磁界を発生させる第3の磁極部との磁極間に、現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤の少なくとも一部を滞留させるための滞留部材を設けた。
特許請求の範囲
【請求項1】
静電潜像が形成された像担持体の回転に連動して回転し、現像剤収容部に収容された磁性キャリア及びトナーを含む二成分現像剤を層状に担持して該像担持体へ移行させることによって前記静電潜像を現像する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に非接触に対向配置され、前記現像剤担持体に担持された二成分現像剤の層厚を規制する層厚規制部材と、
前記現像剤担持体に内包され、前記現像剤担持体に担持された二成分現像剤を前記像担持体方向に移行させる方向の磁界を発生させる第1の磁極部、第1の磁極部より前記現像剤担持体の回転方向下流側に設けられ前記現像剤収容部に収容された二成分現像剤を前記現像剤担持体に担持させる方向の磁界を発生させる第2の磁極部、及び該第2の磁極部より前記現像剤担持体の回転方向下流側且つ前記層厚規制部材に対向して設けられ前記層厚規制部材との間に前記二成分現像剤を該現像剤担持体方向に向かわせる方向の磁界を発生させる第3の磁極部を少なくとも有する磁界発生手段と、
前記第2の磁極部と前記第3の磁極部との磁極間に非接触に対向して設けられ、前記現像剤担持体に担持されている前記二成分現像剤の一部を滞留させる滞留部材と、
を備えた現像装置。
【請求項2】
前記層厚規制部材と前記現像剤担持体との対向位置を通過した後の該現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤の単位面積あたりの質量は、該層厚規制部材と該現像剤担持体との対向位置を通過する前で且つ前記滞留部材と前記現像剤担持体との対向位置を通過した後の前記現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤の単位面積あたりの質量より少ないことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記滞留部材は、前記層厚規制部材により前記現像剤担持体から除去された二成分現像剤を前記現像剤収容部に案内する案内部材と、前記現像剤担持体に担持されている二成分現像剤の一部を滞留させるための滞留部形成部材と、を含んで構成される請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤収容部は、二成分現像剤を収容するハウジングと、該ハウジングで回転可能に支持される回転軸、及び該回転軸に対して螺旋状に配置される突起部を有しハウジング内で二成分現像剤を撹拌搬送するための撹拌搬送部材を含んで構成される請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記磁界発生手段は、前記第1の磁極部より前記現像剤担持体の回転方向下流側且つ前記第2の磁極部より前記現像剤担持体の回転方向上流側に、該現像剤担持体に担持されている二成分現像剤を離間させる方向の磁界を発生させる第4の磁極部を含み、前記第4の磁極部は、前記第2の磁極部より下方向に配置され、
前記撹拌搬送部材は、少なくとも前記層厚規制部材及び前記滞留部材各々によって前記現像剤担持体から離間された二成分現像剤を撹拌搬送可能な位置に設けられ、前記現像剤収容部の前記回転軸を通る垂線は、前記第4の磁極部と前記第2の磁極部との磁極間を通らず、該垂線から前記第4の磁極部までの距離は、該垂線から第2の磁極部までの距離より大きいことを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記トナーは結晶性樹脂を含有する請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の現像装置と、前記像担持体と、を備えた画像形成装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を適用した複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの複合機等の画像形成装置に使用する現像装置、及びこの現像装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を適用した複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの複合機等の画像形成装置として、現像剤担持体上に二成分現像剤を層状に担持し、静電潜像が形成された像担持体の表面近傍にこの二成分現像剤を搬送供給し、像担持体と現像剤担持体との間に交互電界を印加しながら静電潜像を現像する方法が知られている。
【0003】
このような現像方法としては、現像剤担持体の内部に磁石を配置し、この現像剤担持体の表面に、磁性キャリア粒子とトナー粒子とからなる二成分現像剤(すなわち、二成分現像剤)によって磁気ブラシを形成させ、微小な現像間隔を保持して対向させた像担持体にこの磁気ブラシを摩擦または近接させ、さらに現像剤担持体側から像担持体側への転移及び逆転移を繰り返し行わせて、像担持体上に形成された静電潜像の現像を行う、所謂磁気ブラシ現像法が知られている。
【0004】
また、簡易なカラー現像や多重現像を目的とした二成分現像剤を用いた非接触方式の交互電界現像法も知られている。これらの現像方法によって像担持体上に形成されたトナー画像は、必要に応じて紙等の被転写体上に転写された後、熱、圧力、または溶剤上記等により定着されて画像が得られている。
【0005】
上記のような二成分現像剤を用いた現像装置は、従来、図6に示すように、現像容器100aを備え、現像容器100a内に二成分現像剤撹拌搬送部材102、104が配設されている。現像容器100a内に収容された二成分現像剤は、二成分現像剤撹拌搬送部材102、及び二成分現像剤撹拌搬送部材104により現像容器100a内で往復循環される。又、現像装置100は、図中矢印a方向に回転する像担持体106上に形成された静電潜像を現像するために、図中矢印b方向へ回転して現像容器100a内の二成分現像剤を像担持体106と対向した現像部の方へ搬送する現像剤担持体109を有する。
【0006】
通常、現像剤担持体109は図中矢印b方向に回転する円筒状の現像スリーブ108と、この現像スリーブ108の内側に磁界発生手段として非回転となるように設けられたマグネットロール110を有している。マグネットロール110は、例えば、その円周に沿って図示するように磁化された磁極パターンを有する(図中NはN極、SはS極を意味する。)。図示の例において、現像容器100a内の二成分現像剤はマグネットロール110のN3極に対応する位置で現像剤担持体109上に引き寄せられて担持され、現像剤担持体109の回転に伴いマグネットロール110上をN3極→S2極→N1極と搬送される。その搬送途上で、マグネットロール110のS2極部近傍において現像剤担持体109に対して非接触に対向配置され、現像剤担持体109上に担持されている二成分現像剤の層厚を規制するため層厚規制部材112によって、現像剤担持体109上の二成分現像剤の層厚が規制される。マグネットロール110の現像部に位置されたS1極は現像主極であり、S1極によって穂立ちした二成分現像剤が像担持体106上に形成された静電潜像を現像する。現像剤担持体109上の二成分現像剤は、その後N2極の反発磁界により現像剤担持体109から除去され、現像容器100a内に落下する。二成分現像剤を用いた現像方式は、トナーが磁性体を含まなくて良いため、特にカラー画像の形成に有利である。
【0007】
ここで、近年、トナーとして、樹脂、着色剤、有機金属化合物、またはワックスを少なくとも含有したトナーが開発されているが、図6を参照して説明した従来の現像装置の構成において、トナーが樹脂、着色剤、有機金属化合物、またはワックスを含有している二成分現像剤を使用すると、以下のような問題が発生する。
【0008】
図6に即して説明すると、従来の現像装置100においては、層厚規制部材112によって現像剤担持体109上に担持されている二成分現像剤の層厚が規制されるときに、現像剤担持体109から取り除かれた二成分現像剤が、S2極の磁力により保持されて、層厚規制部材112より現像剤担持体109回転方向上流側付近に、大量に溜まる。このように二成分現像剤が層厚規制部材112付近に大量に溜まった状態において、更に、現像剤担持体109の回転によって、現像剤担持体109上に担持された二成分現像剤が次々と層厚規制部材112との対向位置まで搬送されるので、層厚規制部材112に滞留する二成分現像剤に大きな圧力がかかる。
【0009】
そのために、層厚規制部材112の付近に溜まった二成分現像剤各々の、磁性キャリアと樹脂トナーとの間に大きな圧力が加わり、樹脂トナーに外添されたSiO2などの微粉粒子が樹脂トナーの中に埋め込まれるといった現象が発生する。又、樹脂トナーの形状自体も磁性キャリアとの衝突によって角が取れて、丸みを帯びてくる。更に長時間使用すると、磁性キャリアの表面に樹脂トナーが付着して取れなくなるスペント現象が生じる。これらの現象が生じると、樹脂トナーの帯電量(所謂、トリボ)が使用時間と共に変化し、画像濃度が変化する可能性が高い。このため、画像形成装置の使用時間が長くなるに従って、初期の画像と較べて極めて印象の悪い画像が形成されるという場合があった。
【0010】
また、層厚規制部材112の付近に溜まった二成分現像剤に大きな圧力が加わることにより、現像剤担持体109への二成分現像剤の押し付けも強くなる。その場合、現像剤担持体109への樹脂トナーによる汚染、若しくはトナーの外添剤による汚染が発生する場合があった。
【0011】
このような問題に対応するために、層厚規制部材の上流側に溜まる二成分現像剤の量を減少させると共に、この溜まった二成分現像剤へ次々と二成分現像剤が搬送されて、先に貯留された二成分現像剤へ大きな圧力がかかるのを防ぎ、現像剤担持体及び二成分現像剤の劣化を防止するための技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0012】
特許文献1の技術によれば、二成分現像剤を撹拌するための撹拌室と、撹拌室で撹拌され現像剤担持体へ担持される二成分現像剤を貯留する現像室とを、上下方向に構成することによって、二成分現像剤を搬送撹拌するための経路を上下方向に二つに分けて構成している。このように構成することによって、現像剤収容部から現像剤担持体に二成分現像剤が供給される経路とは異なる経路を経由して、現像剤担持体から除去された二成分現像剤が現像剤収容部に落下させることができるので、現像に供された二成分現像剤を、現像に供されることのない撹拌室側に落とし、充分に撹拌搬送した後に現像に供することができる。このため、撹拌搬送による痕跡が現像剤担持体上に形成されることを防止することができるとともに、層厚規制部材の現像剤担持体回転方向上流側に貯まる二成分現像剤の貯留量を少なくし、貯まった二成分現像剤に圧力がかかることを抑制することができる。
しかしながら、特許文献1の技術では、二成分現像剤を搬送撹拌するための経路を上下方法に分けて構成しているため、現像装置の構成に制限ができると共に、一般的に用いられるような、現像剤担持体への二成分現像剤供給と、現像に供された後の二成分現像剤の回収とを同一経路で行う現像装置に適用させることができないという問題があった。
【0013】
特許文献2の技術によれば、現像容器内の二成分現像剤の現像剤担持体への供給(汲み上げ)と、現像剤担持体に担持する二成分現像剤の量の規制とを略同一位置で行うことによって、層厚規制部材の現像剤担持体回転方向上流側に二成分現像剤が溜まることを防ぐことができる。このため、現像剤担持体の層厚規制部材の現像剤担持体回転方向上流側に貯まった二成分現像剤に圧力がかかることを抑制することができる。
【特許文献1】特開2003−173087号公報
【特許文献2】特開2003―167427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記従来技術では、現像容器内の二成分現像剤の現像剤担持体への供給(汲み上げ)と、現像剤担持体に担持する二成分現像剤の量の規制とを略同一位置で行うので、現像剤担持体上における、現像剤容器から二成分現像剤を汲み上げる位置が、一般的な現像装置に比べて現像容器内に収納されている二成分現像剤の収容部より離れた位置となるため磁気的な吸引力が弱まり、効率よく現像剤担持体上に二成分現像剤を汲み上げるには、現像容器内の二成分現像剤の量を一般的な量に比べて多くする、または層厚規制部材に滞留される二成分現像剤の量が多くなるように磁束密度を調整する必要がある。
しかし、現像容器内の二成分現像剤の量が多くなるほど、現像剤担持体から現像容器内に落下した二成分現像剤が充分に撹拌搬送される前に再度現像剤担持体へ担持されるおそれがあり、現像に供された後の二成分現像剤と、現像に供されていない二成分現像剤とが充分に撹拌されずに次の画像形成が行われるという問題がある。
また、マグネットロールの汲み上げ部分の磁束密度を高くすると、現像剤担持体上に担持される二成分現像剤の量が多くなり、現像剤担持体上の現像に供された後の二成分現像剤が現像剤担持体から落下しにくくなり、前回形成した画像の履歴が次に形成する画像に含まれ、画質劣化を引きおこすという問題があった。
このように、二成分現像剤にかかる圧力の低減と画像履歴の解消を両立することは困難であった。
【0015】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、現像剤担持体上に担持された二成分現像剤にかかる圧力を低減すると共に、前回形成した画像履歴を消去することが可能な現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために請求項1に記載の現像装置は、静電潜像が形成された像担持体の回転に連動して回転し、現像剤収容部に収容された磁性キャリア及びトナーを含む二成分現像剤を層状に担持して該像担持体へ移行させることによって前記静電潜像を現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に非接触に対向配置され、前記現像剤担持体に担持された二成分現像剤の層厚を規制する層厚規制部材と、前記現像剤担持体に内包され、前記現像剤担持体に担持された二成分現像剤を前記像担持体方向に移行させる方向の磁界を発生させる第1の磁極部、第1の磁極部より前記現像剤担持体の回転方向下流側に設けられ前記現像剤収容部に収容された二成分現像剤を前記現像剤担持体に担持させる方向の磁界を発生させる第2の磁極部、及び該第2の磁極部より前記現像剤担持体の回転方向下流側且つ前記層厚規制部材に対向して設けられ前記層厚規制部材との間に前記二成分現像剤を該現像剤担持体方向に向かわせる方向の磁界を発生させる第3の磁極部を少なくとも有する磁界発生手段と、前記第2の磁極部と前記第3の磁極部との磁極間に非接触に対向して設けられ、前記現像剤担持体に担持されている前記二成分現像剤の一部を滞留させる滞留部材と、を備えている。
【0017】
請求項1に記載の現像装置の現像剤担持体は、静電潜像が形成された像担持体の回転に連動して回転し、現像剤収容部に収容された磁性キャリア及びトナーを含む二成分現像剤を層状に担持して像担持体に移行させることによって、像担持体上の静電潜像を現像する。
【0018】
現像剤担持体は、磁界発生手段を内包している。磁界発生手段は、各々磁界を発生させる第1の磁極部、第2の磁極部、及び第3磁極部を少なくとも有している。第1の磁極部は、現像剤担持体に担持された二成分現像剤を像担持体方向に移行させる方向の磁界を発生させる。第2の磁極部は、第1の磁極部より現像剤担持体の回転方向下流側に設けられ、現像剤収容部に収容された二成分現像剤を現像剤担持体に担持させる方向の磁界を発生させる。第3の磁極部は、第2の磁極部より現像剤担持体の回転方向下流側で、且つ層厚規制部材に対向して設けられ、層厚規制部材との間に、二成分現像剤を現像剤担持体方向に向かわせる方向の磁界を発生させる。
【0019】
層厚規制部材は、現像剤担持体に非接触に対向配置され、現像剤担持体に層状に担持された二成分現像剤の層厚を規制する。滞留部材は、第2の磁極部と第3の磁極部との磁極間に非接触に対向して設けられ、現像剤担持体に担持されている二成分現像剤の一部を滞留させる。
【0020】
現像剤担持体は、静電潜像が形成された像担持体の回転に連動して回転し、内包された磁界発生手段の第2の磁極部によって発生された磁界によって現像剤収容部に収容されている二成分現像剤を層状に担持し、第2の磁極部と第3の磁極部との磁極間に非接触に対向して設けられた滞留部材によって、現像剤担持体の表面に担持した二成分現像剤の一部が滞留される。この滞留部材との対向位置を通過した後の現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤は、第3の磁極部と層厚規制部材との対向位置において層厚が規制される。層厚が規制された後に現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤は、第1の磁極部において像担持体方向に移行され、像担持体上の静電潜像を現像する。
【0021】
このように、現像剤収容部に収容された二成分現像剤を現像剤担持体に担持させる方向の磁界を発生させる第2の磁極部と、層厚規制部材に対向して設けられ二成分現像剤を現像剤担持体方向に向かわせる方向の磁界を発生させる第3の磁極部との磁極間に、現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤の少なくとも一部を滞留させるための滞留部材を設けたので、第2の磁極部及び第3の磁極部に比べて二成分現像剤にかかる圧力の低い第2の磁極部と第3の磁極部との間の磁極間で、且つ層厚規制部材と第3の磁極部との対向位置より現像剤担持体の回転方向上流側において、現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤の少なくとも一部を滞留することができる。
【0022】
このため、層厚規制部材と現像剤担持体との対向位置近傍に、層厚規制部材によって現像剤担持体上から除去された二成分現像剤が貯留される量を抑制することができるので、層厚規制部材と現像剤担持体との対向位置近傍において二成分現像剤に圧力が加わることを抑制することができる。
【0023】
また、第2の磁極部と第3の磁極部との磁極間のように、現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤に加わる磁界による圧力の低い領域において、滞留部材によって現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤の一部を滞留、すなわち現像剤担持体上から除去すると共に現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤を均一にならすことができるので、前回画像形成時の画像履歴を消去することが出来ると共に、現像剤担持体と滞留部材との対向位置近傍において二成分現像剤にかかる圧力を低減することができる。
【0024】
従って、現像剤担持体上に担持された二成分現像剤にかかる圧力を低減すると共に、前回形成した画像履歴を消去することが可能な現像装置を提供することができる。
なお、第3の磁極部の磁束密度は、本発明では、60mT以下15mT以上とすることが好ましい。60mTより大きくなると、二成分現像剤にかかる圧力が大きくなり、画質劣化を引き起こすおそれがある。15mT未満であると層厚規制部で現像剤担持体の現像剤搬送力が十分得られず、安定した現像剤層形成が行えなくなる。
【0025】
請求項2に記載の現像装置は請求項1に記載の現像装置において、前記層厚規制部材と前記現像剤担持体との対向位置を通過した後の該現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤の単位面積あたりの質量は、該層厚規制部材と該現像剤担持体との対向位置を通過する前で且つ前記滞留部材と前記現像剤担持体との対向位置を通過した後の前記現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤の単位面積あたりの質量より少ないことを特徴としている。
【0026】
このため、層厚規制部材による層厚規制が不可能となるような多量の二成分現像剤が滞留部材によって現像剤担持体から除去されることを抑制することができ、効果的に、現像剤担持体上に担持された二成分現像剤にかかる圧力を低減すると共に、前回形成した画像履歴を消去することができる。
【0027】
請求項3に記載の現像装置は、請求項1または請求項2に記載の現像装置において、前記滞留部材は、前記層厚規制部材により前記現像剤担持体から除去された二成分現像剤を前記現像剤収容部に案内する案内部材と、前記現像剤担持体に担持されている二成分現像剤の一部を滞留させるための滞留部形成部材と、を含んで構成してもよい。
【0028】
このように構成することによって、層厚規制部材によって現像剤担持体から除去された二成分現像剤が、現像剤収容部に至る途中で再度現像剤担持体に担持されることを抑制し、現像剤収容部へ案内することができる。
【0029】
なお、請求項4に記載の現像装置は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の現像装置において、前記現像剤収容部は、二成分現像剤を収容するハウジングと、該ハウジングで回転可能に支持される回転軸、及び該回転軸に対して螺旋状に配置される突起部を有しハウジング内で二成分現像剤を撹拌搬送するための撹拌搬送部材を含んで構成するようにしてもよい。
【0030】
請求項5に記載の現像装置は、請求項5に記載の現像装置において、前記磁界発生手段は、前記第1の磁極部より前記現像剤担持体の回転方向下流側且つ前記第2の磁極部より前記現像剤担持体の回転方向上流側に、該現像剤担持体に担持されている二成分現像剤を離間させる方向の磁界を発生させる第4の磁極部を含み、前記第4の磁極部は、前記第2の磁極部より下方向に配置され、前記撹拌搬送部材は少なくとも前記層厚規制部材及び前記滞留部材各々によって前記現像剤担持体から離間された二成分現像剤を撹拌搬送可能な位置に設けられ、前記現像剤収容部の前記回転軸を通る垂線は、前記第4の磁極部と前記第2の磁極部との磁極間を通らず、該垂線から前記第4の磁極部までの距離は、該垂線から前記第2の磁極部までの距離より大きいことを特徴としている。
【0031】
前記磁界発生手段は、前記第4の磁極部を、前記第2の磁極部より下方向に配置することにより、現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤が現像剤収容部へ至る前に再度第2の磁極部によって現像剤担持体上に担持されることを抑制することができる。また、前記撹拌搬送部材は少なくとも前記層厚規制部材及び前記滞留部材各々によって前記現像剤担持体から離間された二成分現像剤を撹拌搬送可能な位置に設けられ、現像剤収容部の回転軸を通る垂線は、第4の磁極部と第2の磁極部との磁極間を通らず、該垂線から第4の磁極部までの距離は、該垂線から第2の磁極部までの距離より大きいので、効率よく層厚規制部材及び滞留部材各々によって現像剤担持体から離間された二成分現像剤、及び第4の磁極部によって現像剤担持体から離間された二成分現像剤を撹拌搬送することができる。
【0032】
なお、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の現像装置において、請求項6の現像装置における前記トナーは、結晶性樹脂を含有することができる。結晶性樹脂は、圧力や熱に弱く変形しやすい特性があるが、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の現像装置によれば、二成分現像剤にかかる圧力を抑制することができるので、このような結晶樹脂を含有する場合により効果的である。
【0033】
また、請求項7に記載の画像形成装置は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の現像装置と、前記像担持体と、を備えるので、現像剤担持体上に担持された二成分現像剤にかかる圧力を低減すると共に、前回形成した画像履歴を消去することが可能な現像装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の現像装置及びこの現像装置を備えた画像形成装置によれば、現像剤収容部に収容された二成分現像剤を現像剤担持体に担持させる方向の磁界を発生させる第2の磁極部と、層厚規制部材に対向して設けられ二成分現像剤を現像剤担持体方向に向かわせる方向の磁界を発生させる第3の磁極部との磁極間に、現像剤担持体上に担持されている二成分現像剤の少なくとも一部を滞留させるための滞留部材を設けたので、現像剤担持体上に担持された二成分現像剤にかかる圧力を低減すると共に、前回形成した画像履歴を消去することが可能な現像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を、図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
図1に示すように、本発明の画像形成装置は、矢印A方向へ回転されるとともに、周知の電子写真プロセスによって画像情報に応じた静電潜像が形成される像担持体12を備えている。像担持体12の周辺には、像担持体12の回転方向(矢印A方向)に沿って、像担持体12を均一に帯電するための帯電装置14、帯電された像担持体12に画像情報に応じた光ビームを射出することによって像担持体12上にこの画像情報に応じた静電潜像を形成するための露光装置16、像担持体12上に形成された静電潜像を現像するための現像装置18、現像装置18によって現像されたトナー像を所定方向(矢印B方向)に搬送される記録媒体等の被転写体20上に転写するための転写ロール22、及び像担持体12上の残留トナーを除去するためのクリーニング部材24が配設されている。
【0037】
像担持体12が所定方向(図1矢印B方向)に回転され、帯電装置14によって均一に帯電された像担持体12上に露光装置16によって画像情報に応じた光ビームが照射されて像担持体12上に静電潜像が形成され、像担持体12の回転により像担持体12上の静電潜像の形成領域が現像装置18による現像領域19A(現像装置18によって像担持体12上の静電潜像が現像される領域)に達すると、静電潜像は、現像装置18によって現像される。現像によって像担持体12上に形成されたトナー像の形成領域が、像担持体12の回転によって転写ロール22による転写領域21(転写ロール22によって転写される領域)に達すると、転写ロール22によって、像担持体12上のトナー像が被転写体20へ転写される。
【0038】
被転写体20へ転写されたトナー像は、図示を省略する定着装置によって被転写体20上に定着される。
なお、本実施の形態では、被転写体20として記録媒体にトナー像を転写する例を示したが、被転写体20として中間転写体を用い、この中間転写体に転写したトナー像を記録媒体に転写するようにしてもよい。
【0039】
像担持体12上のトナー像が被転写体20に転写され、像担持体12上のトナー像の形成領域に存在する残留トナーの付着領域が、像担持体12の回転に伴いクリーニング部材24の設置位置に達すると、クリーニング部材24によって像担持体12上の残留トナーが除去される。
【0040】
次に現像装置18について説明する。図2に示すように、現像装置18は、負(−)極性に帯電するトナー及び正(+)極性に帯電するキャリアからなる二成分現像剤を収容するための現像剤収容部32を備えている。現像剤収容部32は、現像容器本体32Aと、その現像容器本体32Aの上端を塞ぐ現像容器カバー32Bと、から構成されている。
【0041】
現像容器本体32Aの像担持体12に相対する部分には開口部34が設けられている。現像容器本体32A内には、現像剤担持体26を収容する現像ロール室40、現像ロール室40の下方に隣接される第1撹拌搬送室42、及び第1撹拌搬送室42に隣接される第2撹拌搬送室44が設けられている。
【0042】
現像容器カバー32Bは現像ロール室40を形成するロール収容壁32Cと、第2撹拌搬送室44上に配置される上壁32Dと、を有している。ロール収容壁32Cは頂壁32C1及び側壁32C2を有しており、頂壁32C1の内面側の現像ロール室40内には、現像容器カバー32Bが現像容器本体32Aに装着された時に現像剤担持体26表面の二成分現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材46が設けられている。現像容器カバー32Bが現像容器本体32Aに装着された際には、現像剤収容部32の外側面に予め形成された係止口(図示省略)が現像容器カバー32Bに予め形成された係止爪(図示せず)により係止される。
【0043】
像担持体12及び現像剤担持体26は、像担持体12の回転軸方向に長い円柱状となっており、第1撹拌搬送室42及び第2撹拌搬送室44も、また、像担持体12の回転軸方向に伸びた長尺状の形状となっている。
【0044】
現像容器本体32Aの内側で第1撹拌搬送室42と第2撹拌搬送室44との間には、仕切壁48が形成されている。仕切壁48は、第1主撹拌搬送室42及び第2主撹拌搬送室44の像担持体12の回転軸方向両端部以外の部分に形成されており、第1撹拌搬送室42と第2撹拌搬送室44との一部領域を仕切っている。そして、第1主撹拌搬送室42及び第2主撹拌搬送室44は、像担持体12の回転軸方向(現像剤担持体26の回転軸方向と同一)両端部に、図示を省略する連通部が設けられており、この連通部によって、連通するように構成されている。
【0045】
第1撹拌搬送室42及び第2撹拌搬送室44には二成分現像剤を撹拌しながら搬送する第1オーガ28(攪拌・搬送部材)及び第2オーガ30(攪拌・搬送部材)が配置されている。第1オーガ28は、現像剤担持体26の回転軸方向に平行な伸びる回転軸(図示省略)と、回転軸の外周に螺旋状に固定された図示を省略する撹拌搬送羽根(突起部)とを有している。また、第2オーガ30も、同様に、図示を省略する回転軸及び図示を省略する撹拌搬送羽根(突起部)を有している。これらの図示を省略する回転軸の一端は、現像容器本体32Aの内壁によって回転自由に支持されており、各回転軸の多端には、図示を省略するギアが固定されており、ギアによって回転可能に設けられている。
【0046】
第2撹拌搬送室44に設けられている第2オーガ30は、回転によって回転軸の一端から多端に収容されている二成分現像剤を撹拌搬送可能に設けられ、第2撹拌搬送室44において撹拌搬送された二成分現像剤は、図示を省略した連通部を介して第1撹拌搬送室42に至る、第1撹拌搬送室42では、第1撹拌搬送室42に設けられている第1オーガ28は、回転によって回転軸の一端から多端(第2オーガ30による搬送方向とは反対の方向)へ第2撹拌搬送室44から供給された二成分現像剤を撹拌搬送した後に、現像剤担持体26へと供給する。
【0047】
第1主撹拌搬送室42によって二成分現像剤は現像剤担持体26上に担持されて、現像領域19Aへと搬送される。
【0048】
現像剤担持体26は、像担持体12の感光面12Aとの間に間隙、即ち現像ギャップが形成されるように配設されている。現像剤担持体26は、円柱状のマグネットロール36と、マグネットロール36に被せられた現像スリーブ38とを有する。マグネットロール36は、円柱状であって画像形成装置10に対して固定され、現像スリーブ38は、図2において矢印Bで示すように、マグネットロール36の軸線の回りを、像担持体12の回転方向Aに対して反回転方向、言い換えれば像担持体12との対向部において像担持体12の回転方向と同一方向に回転している。これにより、現像剤担持体26から像担持体12へのトナーの転移効率が高められている。
【0049】
マグネットロール36はフェライトや希土類磁石合金などの磁性材料の粉末を円柱状または円筒状に成形したマグローラであり、N極とS極とが所定のパターンで配設されるように着磁しつつ燒結することにより、形成されている。本実施の形態では、着磁パターンとしては、像担持体12に相対する部分が現像極S1であり、現像スリーブ38の回転方向Bに沿って現像極S1の隣にピックオフ極N2が位置し、その隣にピックアップ極N3、層厚規制極S2、搬送極N1の順で磁極が配置されている。
【0050】
現像極S1は、現像剤担持体26に担持された二成分現像剤を像担持体12方向に移行させる方向の磁界を発生させる。ピックオフ極N2は、現像極S1より現像剤担持体26の回転方向(矢印B方向図2)下流側に設けられ、現像剤担持体26に担持されている二成分現像剤を離間させる方向の磁界を発生させる。ピックアップ極N3は、ピックオフ極N2より現像剤担持体26の回転方向(矢印B方向図2)下流側に設けられ、現像剤収容部32内に収容された二成分現像剤を現像剤担持体26に担持させる方向の磁界を発生させる。層厚規制極S2は、ピックアップ極N3より現像剤担持体26の回転方向下流側で、且つ層厚規制部材46に対向して設けられ層厚規制部材46との間に二成分現像剤を現像剤担持体26方向に向かわせる方向の磁界を発生させる。
【0051】
なお、現像極S1は、本発明の第1の磁極に相当し、ピックオフ極N2は、本発明の第4の磁極に相当し、ピックアップ極N3は、本発明の第2の磁極に相当し、層厚規制極S2は、本発明の第3の磁極に相当する。また、マグネットロール36は、本発明の磁界発生手段に相当する。
【0052】
第1撹拌搬送室42第1オーガ28の回転軸を通る垂直線は、マグネットロール36のピックオフ極N2とピックアップ極N3との極間部を通らず、且つ滞留部材50(詳細後述)の設置位置側に近い方向へずれた位置となっている。また、ピックオフ極N2は、ピックアップ極N3より下方向に配置されている。
【0053】
なお、本実施の形態では、現像極S1の磁束密度は、120mTであり、ピックオフ極N2及びピックアップ極N3の磁束密度は、60mTであり、層厚規制極S2の磁束密度は、40mT以下であるように調整されているものとする。
なお、層厚規制極S2の磁束密度は、60mT以下15mT以上が好ましく、特に好ましくは、20mT以上40mT以下である。
層厚規制極S2の磁束密度、40mT以上であると、現像剤担持体26に担持されている二成分現像剤にかかる圧力が大きくなり二成分現像剤の劣化が発生するおそれがある。また、層厚規制極S2の磁束密度が15mT以下となると、二成分現像剤が現像剤担持体26で搬送されにくくなり、現像剤層形成が不安定になるという問題がある。
【0054】
そして、現像極S1における現像ニップに対応する部分は、法線方向磁束密度Brの変化が±5mTになるように着磁されている。ここで、像担持体12と現像剤担持体26の最近接部を0度とし、時計回りの方向を正の角度とすると、−6〜9度の部分に現像ニップが位置し、前記現像ニップ部を包含するように現像極S1が形成され、S1極のピークは3度の位置に存在している。マグネットロール36における上記角度−6〜9度の現像ニップが位置する部分においては法線方向磁束密度Brの変化が±4.8mTである。これは、マグネットロール36における現像ニップの部分における法線方向磁束密度Brの変化が±5mTになるように着磁されていることを示す。
【0055】
ここで、現像剤担持体26の層厚規制極S2において、対向配置された層厚規制部材46により現像スリーブ38上に担持されている二成分現像剤の層厚が規制されると、層厚規制部材46によって現像スリーブ38上から取り除かれた二成分現像剤は、層厚規制極S2の磁力により保持されて、層厚規制部材46が対向配置されている位置より、現像スリーブ38の回転方向上流側付近に大量に溜まるという問題がある。このような状態で、現像スリーブ38の回転が継続されると、現像スリーブ38上に層状に担持された二成分現像剤が次々と層厚規制部材46の配置位置まで搬送されるので、層厚規制部材46の設置位置より現像スリーブ38の回転方向上流側に更に二成分現像剤が滞留され、この部分には大きな圧力がかかる。
【0056】
そのために、層厚規制部材46の付近に溜まった二成分現像剤には、磁性キャリアと樹脂トナーとの間に大きな圧力が加わり、樹脂トナーに外添されたSiO2などの微粉粒子が樹脂トナーの中に埋め込まれるといった現象が発生する。又、樹脂トナーの形状自体も磁性キャリアとの衝突によって角が取れて、丸みを帯びてくる。更に長時間使用すると、磁性キャリアの表面に樹脂トナーが付着して取れなくなる、所謂、スペント現象が生じる。これらの現象が生じると、樹脂トナーの帯電量(所謂、トリボ)が使用時間と共に変化し、画像濃度が変化する可能性が高い。このため、使用と共に、初期の画像と較べて極めて印象の悪い画像になるという問題が従来装置ではあった。
【0057】
そこで、本発明の現像装置18の現像ロール室40内には、層厚規制部材46の対向配置されている位置、すなわちマグネットロール36の層厚規制極S2より現像スリーブ38の回転方向上流側で、且つピックアップ極N3より現像スリーブ38の回転方向下流側の位置、すなわち層厚規制極S2とピックアップ極N3との磁極間に非接触に対向して設けられ、現像スリーブ38上に担持されている二成分現像剤の一部を、現像剤収容部32内に滞留させるための滞留部材50が設けられている。すなわち。滞留部材50は、現像剤担持体26のマグネットロール36のピックアップ極N3と、層厚規制極S2との間の極間部に、現像スリーブ38に担持されている二成分現像剤の一部を滞留させることができるように、設けられている。
【0058】
滞留部材50は、案内板50Aと滞留板50Bとから構成されている。案内板50Aは、層厚規制部材46により現像剤担持体26から除去された二成分現像剤を現像剤収容部32に案内可能に設けられ、本実施の形態では板状の部材である。滞留板50Bは、現像剤担持体26上に担持されている二成分現像剤の一部を現像剤収容部32内に滞留させるためのものであり、長尺板状に構成され、一端が、現像剤担持体26の層厚規制極S2とピックアップ極N3との極間部に間隙をもって対向するように設けられている。なお、滞留板50Bは、磁性版を貼り付けたSUS板を用いる事が好ましいが、このような形態に限られるものではない。
【0059】
なお、層厚規制部材46の対向位置を通過した直後の現像剤担持体26(現像スリーブ38)上に担持されている二成分現像剤の単位面積あたりの質量が、滞留部材50の滞留板50Bの対向位置を通過した直後の、現像剤担持体26(現像スリーブ38)上に担持されている二成分現像剤の単位面積あたりの質量より少なくなるように、現像スリーブ38と滞留部材50との間隔(即ち、現像剤担持体26表面と滞留板50Bとの間隔)、及び現像剤担持体26の現像スリーブ38と層厚規制部材46との間隔が予め調整される。
【0060】
現像スリーブ38と層厚規制部材46とのギャップ(間隔)は、像担持体12表面への二成分現像剤の供給量、すなわち層厚を決めるものであるため、本来単独で決められるものでなく、像担持体12と現像スリーブ38とのギャップ(例えば0.5mm)や、像担持体12と現像スリーブ38との周速比、現像バイアスなどの他のパラメータとの組み合わせに応じて定められるものである。また、現像剤担持体26の磁束密度分布や現像スリーブ38の表面処理、二成分現像剤の磁気特性によって、現像スリーブ38表面と滞留部材50とのギャップを通過する二成分現像剤の量と、層厚規制部材46と現像スリーブ38表面とのギャップを通過する二成分現像剤量との比率は変化する。このため、各々のギャップは、特定の値に定められるものではなく、二成分現像剤の劣化、二成分現像剤に含まれるトナー濃度、及び現像剤担持体26及び像担持体12上に担持される二成分現像剤による層形成状態の安定化が両立できるものであればよい。すなわち、上述のように、各々のギャップは、層厚規制部材46の対向配置された位置を通過する、現像剤担持体26上に担持されている二成分現像剤の量より、滞留部材50の対向配置された位置を通過する現像剤担持体26上に担持されている二成分現像剤の量が多くなるように、調整されていればよい。
【0061】
滞留部材50の案内板50Aは、長尺板状であり、その一端は、現像ロール室40内において、滞留板50Bの現像スリーブ38との対向位置より現像スリーブ38の回転方向下流側の層厚規制部材46へと近接する方向へ突出するように設けられている。また、案内版50Bは、滞留板50Bの現像剤担持体26の反近接方向端部を固定すると共に、案内板50Aの他端は、層厚規制部材46によって現像剤担持体26から除去された二成分現像剤、及び滞留部材50によって現像剤担持体26から除去された二成分現像剤各々を、第1撹拌搬送室42へと案内可能に突出されている。
【0062】
このため、ピックアップ極N3において、現像剤担持体26に担持された二成分現像剤の内、滞留部材50によって除去され、像剤滞留部材50付近に滞留した後に第1撹拌搬送室42へと落下する二成分現像剤、及び層厚規制極S2において、層厚規制部材46によって層厚規制されることにより、現像剤担持体26上から除去されて層厚規制部材46付近に滞留された後に第1撹拌搬送室42へと落下する二成分現像剤の各々を、効率よく第1撹拌搬送室42へと案内することができる。
【0063】
また、第1撹拌搬送室42第1オーガ28の回転軸を通る垂直線は、マグネットロール36のピックオフ極N2とピックアップ極N3との極間部を通らず、且つ滞留部材50の設置位置側に近い方向へずれた位置となっている。また、ピックアップ極N3は、ピックオフ極N2より上方になるように設けられている。このため、現像剤担持体26上から除去されて層厚規制部材46付近に滞留された後に第1撹拌搬送室42へと落下する二成分現像剤の各々を、効率よく第1撹拌搬送室42へと案内することができるように構成されている。
【0064】
次に本実施の形態の作用を説明する。
現像剤収容部32内に収容された二成分現像剤は、第1オーガ28及び第2オーガ30により、現像剤収容部32内で往復循環される。
【0065】
現像剤収容部32内の二成分現像剤はマグネットロール36のピックアップ極N3に対応する位置で現像剤担持体26上に汲み上げられ、現像スリーブ38の回転(矢印B方向)に伴い、マグネットロール36上をピックアップ極N3→搬送極N1へと搬送される。その搬送途上の、ピックアップ極N3と層厚規制極S2との極間部において、滞留部材50によって現像剤担持体26上に担持されている二成分現像剤の一部が現像剤収容部32内に滞留されると共に、滞留部材50と現像剤担持体26との間を二成分現像剤が通過することにより、滞留部材50によって担持されている二成分現像剤が均一濃度且つ密度になるようにならされる。更に、滞留部材50の対向位置を経過した後に、層厚規制極S2と層厚規制部材46との対向位置に達すると、層厚規制部材46によって層厚が規制され、現像ロール上に層厚が規制された二成分現像剤による薄膜が形成される。層厚が規制された二成分現像剤が現像極S1の位置に達すると、現像極S1によって穂立ちした二成分現像剤が、像担持体12上に形成された静電潜像を現像する。現像剤担持体26(現像スリーブ38)上の二成分現像剤は、その後、ピックオフ極N2の反発磁界により、現像剤担持体26から除去され、現像剤収容部32内に落下し、再度第1オーガ28により撹拌搬送されて、現像剤収容部32内で往復循環される。
【0066】
以上説明したように、本発明の現像装置18によれば、層厚規制極S2と層厚規制部材46との対向位置より、現像スリーブ38の回転方向上流側で、且つピックアップ極N3と層厚規制極S2との極間部に、現像スリーブ38上に担持された二成分現像剤の一部を除去して現像剤収容部32内に滞留させるための滞留部材50を設けたので、二成分現像剤にかかる圧力が磁極上に比べて低い磁極間部において、現像剤担持体26上に担持されている二成分現像剤の一部を除去することができ、二成分現像剤に係る圧力を抑制しつつ、層厚規制極S2に至る二成分現像剤の量を、この滞留部材50を設けない場合に比べて抑制することができる。
【0067】
また、滞留部材50の案内板50Aによって、層厚規制部材46によって現像剤担持体26から除去された二成分現像剤を効率よく第1撹拌搬送室42へと案内することができるので、層厚規制部材46によって現像剤担持体26から除去された二成分現像剤が、第1撹拌搬送室42への落下経路において、再度現像剤担持体26に付着することを抑制することができる。
【0068】
また、層厚規制極S2とピックアップ極N3との極間部において、滞留部材50によって、現像剤担持体26に担持されている二成分現像剤の内の一部を除去すると共に、滞留部材50と現像剤担持体26とのギャップを現像剤担持体26上に担持されている二成分現像剤が通過されることによって、この現像剤担持体26に担持されている二成分現像剤を均一に担持されるように調整することができる。このため、現像剤担持体26上に担持される二成分現像剤のムラを抑制するとともに、前回形成した画像の履歴を消去することができる。
【0069】
また、滞留部材50を設けることにより、層厚規制極S2の磁力を一般的な値より小さくする、すなわち40mT以下とすることができるので、層厚規制極S2において二成分現像剤にかかる圧力を更に抑制することができる。
【0070】
なお、上記実施の形態では、滞留部材50を、案内板50Aと滞留板50Bによって構成する場合を説明したが、図3に示すように、一体的に設けるようにした滞留部材51としてもよい。この場合、滞留部材50と同様に、滞留部材51は、磁性板を張り付けた板状のSUS板を用い、一端によって、現像剤担持体26上に担持されている二成分現像剤の少なくとも一部を、ピックアップ極N3と層厚規制極S2との極間部において、滞留させることができるように配置されると共に、層厚規制部材46によって現像剤担持体26上から除去された二成分現像剤が再度現像剤担持体26に付着することなく第1撹拌搬送室42へ案内されるような曲げられた形状であればよい。
【0071】
以上説明した上記実施の形態で使用する二成分現像剤としては、トナーとキャリアとを含む公知の二成分現像剤を適用することができるが、特に、壊れやすくトナー固着が生じやすい、結晶性ポリエステルを含むトナーを適用することができる。以下、このトナー(以下、本発明のトナーと称する)と共に、このトナー含む二成分現像剤について説明する。
【0072】
本発明のトナーは、例えば、着色剤と、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂とを含有する。
【0073】
(結晶性ポリエステル)
結着樹脂の主成分が結晶性ポリエステル樹脂であるが、ここで主成分とは、全結着樹脂中の含有量が50質量%以上であることを言う。
【0074】
「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。また、前記結晶性ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の場合、この共重合体も結晶性ポリエステルと呼ぶ。
【0075】
ポリエステル樹脂が結晶性でない場合、即ち非晶性である場合には、良好な低温定着性を確保しつつ、耐トナーブロッキング性、画像保存性を保つことができない。
【0076】
結着樹脂の主成分である結晶性ポリエステル樹脂の融点は、50〜100℃の範囲であることが必要であり、55〜95℃の範囲であることが好ましく、60〜90℃の範囲であることがより好ましい。融点が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる。また、100℃より高いと、従来のトナーに比べて十分な低温定着が得られない。
【0077】
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めたものをいう。なお、結晶性の樹脂においては、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピーク温度をもって融点とみなす。
【0078】
結晶性ポリエステル樹脂は、下記式で示されるエステル濃度Mが、0.05以上0.11以下であるものが好ましい。
式:M=K/A
上記「エステル濃度M」とは、結晶性ポリエステル樹脂のポリマーにおけるエステル基の含有割合を示す一つの指標である。式中、Kは「ポリマー中のエステル基数」を示し、これは言い換えればポリマー全体に含まれるエステル結合の数を指す。
【0079】
式中のAは「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数」を示し、これはポリマーの高分子鎖を構成する原子の合計であり、エステル結合に関与する原子数は全て含むが、その他の構成部位における枝分かれした部分の原子数は含まない。すなわち、エステル結合に関与するカルボキシル基やアルコール基に由来する炭素原子及び酸素原子(1つのエステル結合中酸素原子は2個)や、高分子鎖を構成する、例えば芳香環における6つの炭素は、前記原子数の計算に含まれるが、高分子鎖を構成する、例えば芳香環やアルキル基における水素原子、その置換体の原子ないし原子群は、前記原子数の計算に含まれない。
【0080】
具体例を挙げて説明すれば、高分子鎖を構成するアリーレン基における、炭素原子6つと水素原子4つとの計10個の原子のうち、上記「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数A」に含まれるものは、炭素原子の6つのみであり、また、前記水素が如何なる置換基に置換されたとしても、当該置換基を構成する原子は、上記「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数A」に含まれない。
【0081】
結晶性ポリエステル樹脂が、1の繰り返し単位(例えば、高分子がH−[OCOR1COOR2O−]n−H(ここで、R1、R2は所望の有機基)で表される場合、1の繰り返し単位は、[ ]内で表される。)のみからなる単重合体の場合には、1の繰り返し単位内には、エステル結合は2個存在する(すなわち、当該繰り返し単位内におけるエステル基数K'=2)ので、エステル濃度Mは、下記式により、求めることができる。
式:M=2/A'
(上記式中、Mはエステル濃度を、A'は1の繰り返し単位における高分子鎖を構成する原子数を示す。)
【0082】
また、結晶性ポリエステル樹脂が、複数の共重合単位からなる共重合体の場合には、共重合単位ごとに、エステル基数KX及び高分子鎖を構成する原子数AXを求め、これらに共重合割合を乗じた上で、それぞれ合計し、前記式に代入することで、求めることができる。例えば、共重合単位がXa、Xb及びXcの3つであり、これらの共重合割合がa:b:c(ただし、a+b+c=1)である化合物[(Xa)a(Xb)b(Xc)c]についてのエステル濃度Mは、下記式により、求めることができる。
式:M={KXa×a+KXb×b+KXc×c}/{AXa×a+AXb×b+AXc×c}
(上記式中、Mはエステル濃度を表し、KXaは共重合単位Xa、KXbは共重合単位Xb、KXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれのエステル基数を表し、AXaは共重合単位Xa、AXbは共重合単位Xb、AXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれの高分子鎖を構成する原子数を表す。)
【0083】
結晶性ポリエステル樹脂のエステル濃度Mは、これを用いて作製したトナーの帯電性に大きな影響を与える。これはエステル濃度Mにより樹脂抵抗が変化するのが主要因であり、エステル濃度Mが大きくなると樹脂抵抗が低下し、帯電性が低下してしまう。このエステル濃度を0.05以上0.11以下にすることで、十分な帯電性や帯電安定性が得られるとともに、安定してトナーを作製することが可能となる。
【0084】
前記エステル濃度Mが0.05未満では、樹脂の融点が高くなり、紙への接着性も低下する。またスルホン酸成分を含有しても、疎水性が強く、かつ溶剤への溶解性も低下することから安定してトナーを作製することが困難となる。さらに、モノマー自身も高価になるためコスト的にも好ましくない。エステル濃度の下限としては0.055が好ましく、0.06がより好ましい。
【0085】
一方エステル濃度が0.11を超えると、樹脂抵抗が低下し、トナーの帯電性が低下してしまう。また融点も低くなりすぎるため、粉体や定着画像の安定性も低下してしまう。エステル濃度の上限としては0.105が好ましく、0.102がより好ましい。
【0086】
結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂において、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
【0087】
−酸由来構成成分−
前記酸由来構成成分は、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が望ましい。
例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
【0088】
また必要に応じて芳香族ジカルボン酸を少量共重合してもよい。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
【0089】
ここで、結着樹脂には、酸由来構成成分としては前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分や芳香族ジカルボン酸由来成分のほかに、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来成分を含んでもよい。結晶性樹脂を結着樹脂の主成分にした場合、従来の粉砕法によるトナー作製は困難となる。その為スルホン酸基を持つジカルボン酸由来成分を含有することで、溶剤及び水への溶解性が向上し、湿式造粒性が格段に向上することができる。また使用する界面活性剤の量を低減又は使用しないで造粒することが可能となるため、後の洗浄工程が簡易化できる。このようなスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
【0090】
スルホン酸基を持つジカルボン酸由来成分の全酸由来構成成分における含有量としては、0.1〜6.0構成モル%が好ましく、0.5〜5.0構成モル%がより好ましい。
この含有量が6.0構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、トナーの機械的強度が低下したりしてしまう。また樹脂抵抗が著しく低下し、かつ水分が吸着しやすくなるため、帯電量、特に高湿下での帯電量が低下してしまう。0.1構成モル%より下回ると特にエステル濃度が低い場合に溶剤や水への溶解性が悪くなることがある。
【0091】
なお、「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における酸由来構成成分全体中の当該酸由来構成成分、又は、アルコール由来構成成分全体中の当該アルコール構成成分を、各1単位(モル)としたときの百分率を指す。
【0092】
−アルコール由来構成成分−
アルコール構成成分である脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性やコストを考慮すると1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
【0093】
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、高分子量化するためには通常1/1程度が好ましい。
【0094】
結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
【0095】
モノマーが、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0096】
ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。
【0097】
具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
【0098】
結晶性ポリエステル樹脂は、三官能以上のカルボン酸成分を含有し、前記結着樹脂のTHF不溶分が0.5質量%以下である。なお、三官能以上のカルボン酸成分を「含有し」をしたのは、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂の主鎖に三官能以上のカルボン酸成分を有する場合を除外するためである。
【0099】
ここで用いる三官能以上のカルボン酸成分としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリメシン酸、トリカルバリル酸、クエン酸、ピロメリット酸等が挙げられ、この内 トリメリット酸、無水トリメリット酸が好ましい。また、三官能以上のカルボン酸成分は、樹脂の分子量にもよるが、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂中に、0.1〜5.0質量%含有することが好ましく、特に0.2〜3.0質量%含有することが好ましい。
【0100】
また、結着樹脂のTHF不溶分が0.5質量%以下ということは、樹脂中のゲル分が0.5質量%未満いうことである。つまり結晶性ポリエステル樹脂に含有される三官能以上のカルボン酸成分のほとんどは樹脂の末端に結合していることを示している。樹脂中にゲル分を含有した場合、トナーの粘弾性が著しく高くなり、定着画像の画像光沢が低下するため、特にフルカラー画像に必要な高光沢画像を得る事ができない。
【0101】
また樹脂作製時に架橋を施し、ゲル分を含有する場合は、乳化性が低下してしまう。またトナー作製時に架橋を施し、ゲル分を含有させる場合には、安定した架橋成分導入が困難であり、トナー品質にバラツキが生じ易くなる。
【0102】
結晶性ポリエステル樹脂の分子量(質量平均分子量Mw)は、定着時の耐オフセット性やトナーの機械的強度、及び得られた定着画像の画像強度の観点から、15000〜35000が好ましく、20000〜35000がさらに好ましい。15000より小さい場合は定着時の耐オフセット性や得られた定着画像の画像強度が十分でなく、35000を越える場合は安定した樹脂製造が困難となる。
【0103】
樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHMーM(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出したものである。
【0104】
一方、通常の結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、樹脂分子量の増加に伴い減少してしまう。そこで樹脂の末端に三官能以上のカルボン酸成分を結合することで樹脂の酸価を増加ことができる。そのため通常分子量の増加に伴い必然的に減少してしまう酸価を後述する適正な範囲に調節することができる。
【0105】
結晶性ポリエステル樹脂の酸価は10〜30mgKOH/gの範囲が必要で、12〜25mgKOH/gの範囲がより好ましい。脂肪族結晶性ポリエステル樹脂は芳香族結晶性樹脂に比べ親水性に乏しく、後述する乳化工程における水系媒体への微分散が難しい。さらに樹脂抵抗を満たすために樹脂のエステル濃度を上記範囲に設定することでさらに乳化が困難となる。そのため酸価が10mgKOH/gよりも低いと後述する乳化工程における樹脂乳化粒子の粒径が大きくなり、粒度分布も悪化する。分子量が増加して樹脂粘度が増加した場合はこの傾向がより顕著となる。さらに凝集工程における樹脂微粒子としての安定性に乏しくなるため、結果として小粒径のトナーを作製するのが困難となり、またトナーの粒度分布が悪化する。さらに顔料の分散が悪化するため、発色性や透明性が悪化する。さらに帯電性が低下し十分な帯電量が得られなくなる。30mgKOH/gを超えるとトナーの吸湿性が増してしまい、トナーとしての環境影響を受けやすくなり好ましくない。
【0106】
(無定形高分子)
本発明のトナーは、その表面が無定形高分子を含む表面層(以下、「表面層」と略す場合がある)で被覆されたものでもよい。表面層で被覆することで、帯電性を向上させることができる。また離型剤のトナー表面への露出を抑制することができるため、流動性や保存性も向上する。この場合、この表面層の平均厚みは、0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましく、0.04μm以上0.3μm以下であることがより好ましい。
【0107】
上記表面層の平均厚みは、TEM写真を画像解析装置LUZEX FT(ニレコ株式会社製)で二値化し、トナー外周及び結晶性樹脂層の外周から其々の円相当径を算出し、その半径の差分を、トナーにおける表面層の平均厚みとした。
【0108】
表面層の平均厚みが0.5μmを超える場合には、定着時にトナーが加熱された際に、表面層の内側に多く存在する結晶性樹脂がトナーの表面に染み出しにくくなるために、結晶性樹脂に起因するシャープメルト性が発揮できず低温定着できなくなる。また、このようなトナーを用いて形成された画像ではドキュメントオフセット性が悪化する場合がある。
【0109】
低温定着の観点から、表面層の平均厚みは薄ければ薄い方が好ましいが、0.01μm以下の場合には、均一に被覆することが難しくなり、またトナー製造に際して、トナーの内部から最表面へ結晶性樹脂の染み出しが容易に起こりやすくなるなど、帯電性向上の寄与が小さい場合がある。従って、表面層の平均厚みは0.04μm以上であることが好ましく、0.08μm以上であることがより好ましい。
【0110】
本発明のトナーの表面層に使用される無定形高分子樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0111】
ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合により樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。前記ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなどのビニル系高分子酸やビニル系高分子塩基の原料となるモノマー挙げられる。
【0112】
本発明においては、前記樹脂粒子が、前記ビニル系モノマーをモノマー成分として含有していることが好ましい。本発明においては、これらのビニル系モノマーの中でも、ビニル系樹脂の形成反応の容易性等の点でビニル系高分子酸がより好ましく、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する解離性ビニル系モノマーが、重合度やガラス転移点の制御の点で特に好ましい。
【0113】
なお、前記解離性ビニル系モノマーにおける解離基の濃度は、例えば、高分子ラテックスの化学(高分子刊行会)に記載されているような、トナー粒子等の粒子を表面から溶解して定量する方法などにより決定することができる。なお、前記方法等により、粒子の表面から内部にかけての樹脂の分子量やガラス転移点を決定することもできる。
【0114】
一方、無定形高分子としてポリエステル樹脂を用いる場合には、前記結晶性ポリエステル樹脂と同様に乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を調製することができる。乳化分散に用いる無定形のポリエステル樹脂は多価カルボン酸と多価アルコールとを脱水縮合して合成される。
【0115】
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
【0116】
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
【0117】
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、及び/又はモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、及び/又はカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
【0118】
ポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
【0119】
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1質量%とすることが好ましい。
【0120】
本発明のトナーに使用される無定形高分子は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)法による分子量測定で、質量平均分子量(Mw)が5000〜1000000であることが好ましく、更に好ましくは7000〜500000であり、数平均分子量(Mn)は2000〜100000であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5〜100であることが好ましく、更に好ましくは2〜60である。
【0121】
質量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲より小さい場合には、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が著しく悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移点を低下させる為、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす。一方、上記範囲より分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与できるものの、低温定着性は低下する他、トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害する為、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立し得ることが容易となる。
【0122】
本発明に使用される無定形高分子のガラス転移温度は、45〜100℃であることが好ましく、貯蔵安定性とトナーの定着性のバランスの点から、50〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が45℃未満であると、トナーが貯蔵中又は現像機中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、ガラス転移温度が100℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない。
【0123】
(着色剤)
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が好ましい。
好ましい着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料が使用できる。
【0124】
本発明のトナーにおける、前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1〜30質量部が好ましいが、また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
【0125】
本発明のトナーは、必要に応じて、離型剤等の他の成分を含んでいてもよい。また、本発明トナーの製造方法は特に限定されるものではないが湿式法を用いることが好ましい。
【0126】
(離型剤)
離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、 オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル、ペンタエリスリトール、高級アルコールエステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。
【0127】
離型剤の融点としては、少なくとも1つの離型剤の融点と結晶性ポリエステル樹脂の融点との差が10℃以下であることが好ましい。融点の差が10℃より大きい場合は十分な離型効果が発現する温度領域が小さくなる場合がある。
離型剤の種類としてはパラフィンワックス等の鉱物・石油系ワックスやペンタエリスリトールワックス、ポリオレフィンワックスが結晶性樹脂と相溶しにくいため、ワックスの定着画像表面への染み出しが十分にしやすく、また融点的にも好ましい。また2種以上の離型剤を併用してもよい。
【0128】
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、55℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
【0129】
離型剤の総含有量としては、トナー原料100質量部に対し4〜25質量部の範囲が好ましく、6〜20質量部の範囲がより好ましい。4質量部未満であると、離型剤添加の効果がない場合がある。25質量部以上であると、帯電性への悪影響が現れやすくなり、また現像器内部においてトナーが破壊されやすくなるため離型剤やトナー樹脂のキャリアへのスペント化が生じ、帯電が低下しやすくなる等の影響が現れるばかりでなく、著しく造粒制御性が悪化し所望の粒度/分布のトナーを作製することが困難となってしまう。
【0130】
(その他の添加剤)
本発明のトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
【0131】
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
【0132】
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
【0133】
無機微粒子としては、種々の目的のために添加されるが、トナーにおける粘弾性調整のために添加されてもよい。この粘弾性調整により、画像光沢度や紙への染み込みを調整することができる。無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機微粒子を単独又は2種以上を組み合わせて使用することができるが、発色性やOHP透過性等透明性を損なわないという観点から、屈折率が結着樹脂よりも小さいシリカ微粒子が好ましく用いられる。また、シリカ微粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
【0134】
(トナーの製造方法)
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は特に限定されるものではないが、結着樹脂の主成分が結晶性樹脂であるため粉砕法によるトナー作製は困難であり、湿式造粒法により作製されることが好ましい。湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が挙げられるが、本発明のトナーにおいては、これらの中でも乳化凝集法が粒度分布やトナー形状制御、さらには環境の観点から好適に用いられる。
【0135】
乳化凝集法
乳化凝集法を用いる場合、本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結晶性ポリエステルを水系媒体中に分散して結晶性ポリエステル粒子を得る乳化工程と、結晶性ポリエステル粒子や着色剤粒子等を含む原料分散液中で、前記結晶性ポリエステルを含む凝集粒子を形成する凝集工程と、凝集粒子を加熱することにより融合させる融合工程を、少なくとも含むことがより好ましい。さらに無定形高分子で被覆する場合、前記凝集工程の後に無定形高分子粒子を付着させる付着工程を設けても良く、また前記融合工程の後に無定形高分子微粒子を付着させる付着工程と被覆させる被覆工程を設けても良い。以下、各工程について詳細に説明する。
【0136】
−乳化工程−
前記乳化粒子は塩基性物質が存在する水系媒体中で結晶性ポリエステルを乳化する乳化工程により得られる。乳化工程において結晶性ポリエステル樹脂の乳化粒子は、水系媒体と、結晶性ポリエステル樹脂を含む液(ポリマー液)とを混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。また、水系媒体中に塩基性物質が存在せしめる事でpHが上昇し、樹脂末端のカルボキシル基が解離することで、水への分散性が格段に向上し、かつ安定した水分散体を形成することができる。また樹脂にスルホン酸成分を共重合した場合も同様に自己水分散性の官能基として効果があるが、樹脂の抵抗低下や帯電の環境依存性悪化のためにできる限り共重合量は少ない事が好ましい。そこで樹脂酸価を調節することで乳化性を向上させ、結果としてスルホン酸成分量を減少することができ、抵抗低下等を抑制することができる。
本発明の乳化液の調製する際のpHは、4.5〜10.5が好ましく、5〜9.5がより好ましいが、結晶性ポリエステルの加水分解が発生しない範囲が好ましい。
【0137】
ここで、塩基性物質としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の有機塩基類が挙げられ、この中でも無機塩基類が好ましく、特にアンモニアが加水分解抑制という観点からも好ましい。その際、樹脂融点以上の温度に加熱するか、或いは、有機溶剤にポリエステル樹脂を溶解させることにより、ポリマー液の粘性を下げて乳化粒子を形成することができるが、有機溶剤は環境汚染の観点から有機溶剤を用いないで乳化粒子を形成することが好ましい。また、乳化粒子の安定化や水系媒体の増粘のため、分散剤を使用することもできる。
【0138】
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、0.01μm〜1μmの範囲にあることが好ましく、0.02〜0.8μmの範囲がより好ましい。体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、小粒径トナーの作製が困難であり、また遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、体積平均粒径は、例えばマイクロトラックなどのレーザー回折式粒度測定機を用いて測定することができる。
【0139】
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられるが環境への観点から蒸留水、イオン交換水等の水のみであることが好ましい。
また、水系媒体に界面活性剤を添加混合しておいてもよい。界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤が好ましい。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤と併用されるのが好ましい。界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。界面活性剤の水性媒体中における濃度は、0.5〜5質量%程度になるようにするのが好ましい。
【0140】
なお、アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0141】
無定形高分子でトナーを被覆する場合、被覆する樹脂がビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製することができる。
【0142】
被覆する樹脂がポリエステル樹脂である場合には、前記脂肪族結晶性ポリエステル樹脂と同様に、塩基性物質の存在下で乳化して、分散液を調整することができる。
【0143】
前記樹脂粒子が、上記以外の樹脂である場合、その樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、その樹脂を油性溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザ等の分散機を用いてイオン性界面活性剤や高分子電解質と共に水中に微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して油性溶剤を蒸散させることにより、樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液を調製することができる。
【0144】
前記乳化工程で、樹脂分散液と混合される着色剤としては、既述した着色剤を用いることができる。着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。以下、かかる着色剤の分散液のことを、「着色粒子分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
【0145】
着色剤の添加量としては、ポリマーの総量に対して1〜30質量%の範囲とすることが好ましく、1〜20質量%の範囲とすることがより好ましく、2〜1.0質量%の範囲とすることがさらに好ましく、2〜10質量%の範囲とすることが特に好ましく、定着後における画像表面の平滑性を損なわない範囲でできるだけ多い方が好ましい。着色剤の含有量を多くすると、同じ濃度の画像を得る際、画像の厚みを薄くすることができ、オフセットの防止の点で有利である。
【0146】
また、これらの着色剤は、その他の微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
【0147】
前記乳化工程で、樹脂分散液と混合される離型剤としては、既述した離型剤を用いることができる。離型剤は、水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザや圧力吐出型分散機を用いて、1μm以下の分散微粒子径に調整される。離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂の分散媒と同様のものを用いることができる。
【0148】
本発明のトナーにおいて、前記結着樹脂や離型剤を水性媒体と混合して、乳化分散させる装置としては、例えばホモミキサ(特殊機化工業株式会社)、あるいはスラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、マイクロフルイダイザ(みずほ工業株式会社)、マントン・ゴーリンホミジナイザ(ゴーリン社)、ナノマイザ(ナノマイザー株式会社)、スタティックミキサ(ノリタケカンパニー)などの連続式乳化分散機等が挙げられる。
【0149】
前記乳化工程における結着樹脂分散液に含まれる樹脂粒子の含有量及び、着色剤及び離型剤の分散液における、着色剤、離型剤それぞれの含有量は通常、5〜50質量%の範囲であり、好ましくは8〜40質量%の範囲である。前記含有量が前記範囲外にあると、5質量%より少ないと粒度分布が広がり、特性が悪化する場合がある。また50質量%を超えると均一な撹拌が困難となり、均一な粒度分布、及び均一なトナー特性を得る事が困難となる。
【0150】
なお、本発明のトナーにおいて、目的に応じて、前記結着樹脂分散液に、既述したような内添剤、帯電制御剤、無機粉体等のその他の成分が分散させておいても良い。
【0151】
なお、本発明のトナーにおいて、帯電制御剤としては、凝集工程や融合工程の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
【0152】
上記その他の成分の体積平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01μm〜1μmの範囲にあることが好ましく、0.02μm〜0.8μmの範囲がより好ましい。体積平均粒径が1μmを超えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招きやすい。一方、前記体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり性能や信頼性のばらつきが小さくなる点で有利である。
【0153】
−凝集工程−
凝集工程においては、乳化工程で得られた樹脂粒子、及び着色剤、離型剤の分散液を混合し(以下この混合液を「原料分散液」という)、前記結着樹脂の融点付近の温度で、かつ融点以下の温度にて加熱してそれぞれの分散粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
【0154】
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザで攪拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。当該pHとしては凝集剤の種類にもよるが、2〜6の範囲にあることが好ましく、3〜5の範囲にあることがより好ましく、3.5〜5の範囲が加水分解の影響を受けにくい為もっとも好ましい。
【0155】
前記凝集工程に用いる凝集剤は、2価以上の価数を取りうる金属塩である。本発明における2価以上の価数を取りうる金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化鉄等の2価の金属塩、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化鉄、等の3価の金属塩、塩化スズ、等の4価の金属塩等の金属塩;及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられ、これらのうち2種以上を併用してもよい。
【0156】
前記凝集剤のうち、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、が凝集性や安全性、コストの観点から好ましい。さらに、加水分解の影響を受けにくい上記pH範囲での凝集安定性を考慮した場合、塩化カルシウム、塩化マグネシウムがもっとも好ましい。
【0157】
凝集力をもたらす2価以上の価数を取りうる金属塩においては、金属塩の価数にもよるが、用いる量が0.02質量%未満では凝集粒子が成長しない場合があり、1.2質量%を超えると凝集粒子が著しく不安定化してしまいトナーとして不適な粒径となる急凝集を起こしやすくなる場合がある。
【0158】
また、凝集工程においては、加熱による急凝集を抑える為に、室温で攪拌混合している段階でpH調整を行い、必要に応じて分散安定剤を添加しても良い。(以下、この段階を「プレ凝集工程」という)。分散安定剤はプレ凝集工程と加熱凝集工程との両方に分けて添加しても効果的である。
【0159】
−付着工程−
無定形高分子で表面を被覆する場合は以下の付着工程を経る事で被覆することができる。付着工程では、上記した凝集工程を経て形成された結晶性ポリエステルを含む凝集粒子(以下、「コア凝集粒子」と略す)の表面に無定形高分子粒子を付着させることにより被覆層を形成する(以下、コア凝集粒子表面に被覆層を設けたものを「付着凝集粒子」と略す)。なお、この被覆層は、後述する融合工程を経て形成される本発明のトナーの表面層に相当するものである。
【0160】
被覆層の形成は、凝集工程においてコア凝集粒子を形成した分散液中に、無定形高分子粒子を含む分散液を追添加することにより行うことができ、必要に応じて凝集剤等他の成分も同時に追添加してもよい。付着工程においても、用いる無定形高分子に応じて凝集工程と同様にpH等を選択し、凝集粒子中に含まれる、最も融点の低い結着樹脂の融点以下の温度にて加熱し付着凝集粒子を得ることができる。また、この付着工程は、プレ凝集の段階で凝集粒子に取り込まれなかった原料微粒子を凝集に導くことにおいても有効である。
なお付着工程は下記融合工程の後の設けてもよい。つまりコア粒子が融合した後、コアの表面に無定型高分子粒子を付着させ、再度加熱することで被覆層を形成してもよい。
【0161】
−融合工程−
融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、凝集粒子の懸濁液のpHを6.0〜10.0の範囲に、好ましくは6.5〜9.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子、及び付着凝集粒子を融合させる。なお、凝集粒子を含む分散液の液性にもよるが、凝集を停止するpHが適正なpHでないと、融合させる為の昇温過程で、凝集粒子や付着凝集粒子が分解してしまったり、急凝集したりして収率が悪くなる。同様に樹脂の酸価が十分でない場合も粒子の安定性が低下するため急凝集しやすくなり、収率が悪化する。
【0162】
融合時の加熱の温度としては、凝集粒子中に含まれる結着樹脂の融点以上であれば問題無い。トナーの形状は樹脂酸価と活性剤と融合時のpHと温度により制御することができる。樹脂酸価が前記範囲内にあれば粒子表面の水中での安定性が向上するため、形状の変化速度が緩和されるため形状の制御性が向上し、また形状の分布も良化する。前記加熱の時間としては、融合が十分に為される程度行えばよく、目標の形状によって0.5〜6.5時間程度行えばよい。それ以上時間を掛けるとコア凝集粒子に含まれる結晶性樹脂がトナー表面へ、露出し易くなってしまう。したがって、定着性、ドキュメント保存性には効果的であるが、帯電性に悪影響を及ぼすため、長時間加熱するのは好ましくない。
【0163】
融合時に金属塩中の金属元素が樹脂末端のカルボン酸成分とイオン架橋を形成し、適正な粘弾性を得る事ができる。これにより、樹脂酸価と金属塩による凝集力のバランスから凝集・造粒安定性に優れ、また金属元素によるイオン架橋により所望のトナーの粘弾性調整を行うことが可能となり、溶融特性を生かした均一でムラのない高画質を提供することができる。
【0164】
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
【0165】
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整することが望ましい。
【0166】
(外添剤)
本発明においては、トナー粒子表面に流動化剤や助剤等の外添剤を添加処理してもよい。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できるが、これらのうち少なくとも2種以上の外添剤を使用し、該外添剤の少なくとも1種は、30nm〜200nmの範囲、さらには30nm〜180nmの範囲の体積平均粒子径を有することが好ましい。
【0167】
トナーが小粒径化することによって、像担持体との非静電的付着力が増大するため、転写不良やホローキャラクターと呼ばれる画像抜けが引き起こされ、重ね合わせ画像等の転写ムラを生じさせる原因となるため、体積平均粒子径が30nm〜200nmの大径の外添剤を添加することにより、転写性を改善させることができる。
【0168】
体積平均粒子径が30nmより小さいと、初期的なトナーの流動性は良好であるが、トナーと像担持体との非静電的付着力を十分に低減できず、転写効率が低下し画像のぬけが発生したり、画像の均一性を悪化させてしまったりする。また、経時による現像機内でのストレスによって微粒子がトナー表面に埋め込まれ、帯電性が変化し、コピー濃度の低下や背景部へのカブリ等の問題を引き起こす。体積平均粒子径が200nmより大きいと、トナー表面から脱離しやすく、また流動性悪化の原因ともなり、本願発明の効果が得られない場合がある。
【0169】
(トナーの特性)
本発明のトナーの体積平均粒子径は、3.0〜9.0μmの範囲が好ましく、4.0〜8.0μmの範囲がより好ましい。体積平均粒子径が3.0μmより小さいと、流動性が低下し各粒子の帯電性が不十分になりやすく、また帯電分布が広がるため、背景へのかぶりや現像器からのトナーこぼれ等が生じやすくなる。体積平均粒子径が9.0μmより大きいと、解像度が低下するため、十分な画質が得られなくなる。
【0170】
前記体積平均粒子径の測定は、例えば、コールターカウンター[TA−II]型(ベックマン−コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で行うことができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
【0171】
本発明のトナーで使用される結晶性樹脂の粘弾性特性は以下の条件を満たすことが好ましい。すなわち、角周波数1rad/sec、30℃における貯蔵弾性率GL(30)が1×106Pa以上であることが好ましく、1×107Pa以上がさらに好ましい。
【0172】
この貯蔵弾性率GL(30)が1×106Pa未満の場合には、例えば二成分現像方式を例に取れば、現像機内でキャリアと混合された時に、キャリアから受ける圧力や剪断力によりトナー粒子が変形し、安定な帯電現像特性を維持することができず、また、静電潜像担持体上のトナーがクリーニングされる際に、クリーニングブレードから受ける剪断力によって変形し、クリーニング不良が発生する。
【0173】
本発明のトナーは、貯蔵弾性率GL及び損失弾性率GNが、それぞれ10℃の温度範囲における変化量が2桁以上であることが好ましく、2.5桁以上の変化であることがより好ましい。この変化量が2桁未満であると、低温で定着できない場合がある。このような場合、エネルギー消費を低減効果が十分に得られなかったり、定着ラチチュードが十分に得られないことがある。
【0174】
トナーの溶融特性として、角周波数1rad/sec、100℃における動的複素粘度(η)が1.0×102〜4.0×104(Pa・s)であり、Tm+20℃における動的複素粘度をη1、Tm+50℃における動的複素粘度をη2としたときに、次式を満たすことが好ましい。
式:1.0<(η1/η2)<7.0
【0175】
本発明のトナーが、上記式を満たすことにより、オフセットの発生を防ぐことができ、粘弾性の温度依存がゆるやかであり、結晶の融解に伴い温度とともに低下する粘弾性が変極点を持ち、粘弾性の温度依存性がより低くなる。また、上記式の粘度を満たしつつ、貯蔵弾性率GLと損失弾性率GNの比である損失正接(tanδ=GN/GL)は融点Tm+20℃以上において、下記式を満たすことが好ましい。これにより、溶融ムラなどがなくなり均一で高品位な画像を得ることが可能である。
式:0.5<tanδ<3.5
【0176】
この融点Tm+20℃以上における損失正接tanδが、0.5を超え3.5未満の範囲内である場合には、紙などの記録媒体に対する過度の染み込みを防止することができ、また離型剤などを含有した際には離型剤の滲み出し及び離型効果を発揮させやすい。これにより定着ラチチュードが広く、安定した画像を得ることができる。
【0177】
本発明のトナーは2価以上の価数を取りうる金属元素を0.01〜1.0質量%の範囲で含有している事が必要であり、0.02〜0.8質量%がより好ましい。前述のように凝集工程で添加される金属塩の金属元素は融合時にイオン架橋を形成するためトナーの粘弾性を適正な範囲に調整することができる。凝集剤として1価の凝集剤(Na等)を用いた場合はイオン架橋が形成されず、直鎖の結晶性樹脂を用いた場合は著しく分子量を上げても適正な粘弾性にすることが難しい。また化学架橋を有する樹脂を用いた場合は前述したように精密な粘弾性の制御が困難となる。
【0178】
含有する2価以上の価数を取りうる金属元素が0.01質量%より少ない場合は、適正な粘弾性が得られず、また凝集工程において十分な凝集力が得られないため、粒度/分布を制御したトナーを作製することが困難になる。2価以上の価数を取りうる金属元素が1.0質量%より多い場合はトナー粘度が高すぎ、高画像光沢な画像を得る事が困難となる。また凝集工程において凝集力が過剰となり、粒度/分布を制御したトナーを作製することが困難になる。
【0179】
また、本発明のトナーの体積電気抵抗値としては、1.0×1011〜1.0×1016Ω・cmの範囲内であることが好ましく、1.0×1012〜1.0×1015Ω・cmの範囲であることがより好ましい。体積電気抵抗が1.0×1011Ω・cm未満の場合には、本発明のトナーとキャリアとが摩擦帯電した場合において、十分な帯電量を確保することが困難となる場合がある。前述したように、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂を乳化する際、スルホン酸成分を共重合することで乳化性を向上させることができるが、樹脂抵抗が著しく低下してしまう。そこで樹脂末端に三官能以上のカルボン酸成分を結合することで樹脂抵抗を低下させることなく乳化性を向上させることができる。
【0180】
一方、体積電気抵抗が1.0×1016Ω・cmより大きい場合には、本発明のトナーをキャリアと混合させた時に、二成分現像剤としての抵抗が高くなりやすくなり、コピー画質の粒状性やハーフトーン階調性が制御しにくくなってしまう場合がある。そのため、十分な帯電性と良好なコピー画質とを永続的に確保する為には、本発明のトナーの体積電気抵抗を上述の範囲にすることが好ましい。
【0181】
(二成分現像剤)
本発明のトナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
【0182】
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0183】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0184】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0185】
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmの範囲にあり、好ましくは30〜100μmの範囲にある。
【0186】
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
【0187】
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0188】
二成分現像剤における本発明のトナートナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
【0189】
上記実施形態に係る画像形成装置を用い、以下の試験条件でプリントを行って評価した。なお、用いた二成分現像剤は以下の通りである。結果を表1に示す。
【0190】
−試験条件−
・像担持体ドラム帯電電位=−650V
・画像部電位=−200V、
・AC(+DC)現像:DCバイアス成分=−500V、ACバイアス(矩形波)Vpp=1.5kV、ACバイアス周波数=9kHz、デューティー比60%
・現像ロール;径=φ18mm、表面粗さRz=24μm、
・像担持体/現像ロール間隙=0.4mm
・現像ロール/像担持体周速比:1.7(現像ロールと像担持体の回転方向は逆方向、即ち近接位置において同一方向に回転)
・磁束密度:現像極S1の磁束密度100mT、層厚規制極S2の磁束密度40mT、ピックオフ極N2の磁束密度60mT、ピックアップ極N3の磁束密度60mT、搬送極N1の磁束密度60mT。
【0191】
―評価方法―
以下の現像装置各々を現像装置として搭載した画像形成装置を用いて評価を行った。具体的には、現像装置18(図1参照)を搭載した画像形成装置、及び現像装置18の滞留部材50の案内板50A及び滞留板50Bが一体的に設けられた構成の現像装置19(図2参照)を搭載した画像形成装置、各々について評価を行った。
また、比較のために、従来技術の画像形成装置として、滞留部材が設けられておらず且つ層厚規制部材がピックアップ極に設けられた構成の現像装置100(図5参照)を搭載した画像形成装置、及び現像装置18と同一構成で滞留部材50または滞留部材が設けられていない構成の現像装置102(図6参照)を搭載した画像形成装置、各々についても評価を行った。
【0192】
上記画像形成装置について、28℃、85%の高温高湿環境下で、画像面積率5%の画像を50,000枚プリントした後に、以下の評価を行った。
画像面積率とは、記録対象となる記録用紙の全領域に対する画像領域の占める面積率を表している。例えば、A4サイズの記録用紙の全領域に、画像密度50%ハーフトーンをプリントする場合、画像面積率は50%となる。また、A4サイズの記録用紙中に、画像密度30%ハーフトーンの100mm×100mmサイズの画像をプリントした場合には、画像面積率は4.8%となる。
本評価に用いた上記画像面積率5%の画像とは、図4(1)に示すように、A4サイズの記録用紙中に、画像密度100%で10mm×100mmサイズの一対の画像(画像70及び画像72)と、画像密度56%で10mm×200mmサイズの画像74と、を同一の記録用紙76にプリントすることにより、画像面積率5%の画像を得た。
【0193】
〔前画像の履歴の評価〕
前画像の履歴は、図4(2)に示すように、A4の記録用紙内に画像密度100%で20mm×200mmサイズの画像76を等間隔で3つ形成する処理を、A4の記録用紙に5枚連続して実行した後に、A4の記録用紙の全領域に画像密度70%ハーフトーンをプリントした結果を、X―Rite社製 X―Rite404により測定した。
<前画像の履歴の評価基準>
・○:全領域に画像密度70%ハーフトーンをプリントしたA4の記録用紙における、この画像密度70%ハーフトーンをプリントする前に連続して5枚のA4記録用紙に記録した画像76(前回形成した画像)の形成領域に対応する領域(図4(3)画像80参照)と、この形成領域に対応しない領域(図4(3)画像78参照)との濃度差が0.15未満である場合。
・△:該濃度差が0.15以上0.25未満である場合。
・×:該濃度差が、0.25以上である場合。
【0194】
〔オーガピッチのムラの評価〕
オーガピッチのムラは、図4(4)に示すように、A4の記録用紙内全面に、画像密度100%の画像を形成する処理を、A4記録用紙5枚に連続して実行し、5枚目に画像密度100%の画像が形成された記録用紙中の濃度差を測定した結果を、X―Rite社製 X―Rite404により測定した。なお、第1オーガ28または第2オーガ30によるムラが記録用紙上に影響する場合には、例えば、図4(5)に示すように、オーガピッチに応じたムラ82が形成される。
<オーガピッチのムラの評価基準>
・○:記録用紙内に形成されている画像中の、最高濃度領域と最低濃度領域との濃度差が0.15未満である場合。
・△:記録用紙内に形成されている画像中の、最高濃度領域と最低濃度領域との濃度差が0.15以上0.25未満である場合。
・×:記録用紙内に形成されている画像中の、最高濃度領域と最低濃度領域との濃度差が0.25以上である場合。
【0195】
〔ベタ画像均一性の評価〕
ベタ画像均一性は、A4の記録用紙に、画像密度100%で20mm×20mmサイズの画像を形成し、この画像密度100%の画像内の濃度の均一性を、予め濃度が均一になるように画像密度100%の画像が形成されたA4の記録用紙を限度見本として、視覚的な評価を行った。
<ベタ画像均一性の評価基準>
・○:均一でムラを感じない。
・△:若干ムラを感じる。
・×:ムラを感じる。
【0196】
〔背景部かぶりの評価〕
温度28℃、相対湿度85%の環境下で、像担持体12を−650Vに帯電し、現像バイアスのDC成分を−500V、AC成分をVpp=1.5kV、周波数9.0kHz、デューティー比60%(矩形波)とし、現像剤のトナーとキャリアの混合比を6:100から15:100まで1質量部ずつ増加させながら画像密度0%でプリントをおこなった。ここで官能評価を行い、下に示す評価基準に合致するサンプルを選び、40×40mmのサイズに切り取って白紙に貼り付けたものを限度見本として予め作製し、この限度見本と、50,000枚プリント後、画像密度0%でプリントしたサンプルとを比較することによって、視覚的な官能評価を行った。
<背景部かぶりの評価基準>
・○:白紙と並べても背景部(白色領域)が着色されていると感じられない場合。
・△:サンプル単独では着色されているとは感じられないが、白紙と並べたときに白色領域に若干色味を感じる場合。
・×:白色領域が明らかに着色されていると感じられる場合。
【0197】
〔トナー凝集体有無の評価〕
A3の記録用紙の全領域に画像面積率50%となるような画像を、A3記録用紙2枚プリントし、プリントされたA3記録用紙2枚上に存在するトナー凝集体の1枚あたりの平均数をカウントすることにより、トナー凝集体有無の評価を行った。ここで、凝集体は直径(長径)0.1〜0.5mm程度の色点として画像中に現れ、その周囲に白抜けを伴う場合がある。
<トナー凝集体有無の評価基準>
・○:A3の記録媒体1枚あたり、0〜3個のトナー凝集体がある場合。
・△:A3の記録媒体1枚あたり、3〜10個のトナー凝集体がある場合。
・×:A3の記録媒体1枚あたり、11個以上のトナー凝集体がある場合。
【0198】
−二成分現像剤−
・結晶性ポリエステル樹脂の合成
加熱乾燥した5Lのフラスコに、セバシン酸1939g(9.6mol)、1,6−ヘキサンジオール1180g(10mol)、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム118.4g(0.4mol)、及びジブチルスズオキシド0.7gを入れ、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、180℃で6時間還流を行った。続いて、減圧下220℃まで徐々に昇温を行い4時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、質量平均分子量30000になったところで、減圧蒸留を停止し、空冷して樹脂を得た。得られた樹脂の酸価は7.8mgKOH/gであり、THF不溶分はなかった。また、得られた樹脂の融点(DSCのピークトップ)は70℃、NMRによるイソフタル酸ジメチル5−スルホン酸ナトリウムの含有量の測定結果は2モル%(対全構成モノマー)、エステル濃度は0.11であった。
【0199】
そして、得られた樹脂に1,2,4−トリメリット酸を50g添加し、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、200℃で2時間撹拌を行った。続いて減圧下220℃まで昇温を行い10分間攪拌して減圧蒸留を停止し、空冷して結晶性ポリエステル樹脂を得た。得られた樹脂の酸価は20.4mgKOH/gであり、質量平均分子量は28000であり、THF不溶分はなかった。また、得られた樹脂の融点(DSCのピークトップ)は69℃、NMRによるイソフタル酸ジメチル5−スルホン酸ナトリウムの含有量の測定結果は2モル%(対全構成モノマー)、エステル濃度は0.11であった。
【0200】
・結晶性ポリエステル樹脂分散液の調製
得られた結晶性ポリエステル樹脂を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した5質量%濃度の希アンモニア水を入れ、pHを8.2に調節した後熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で、上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。この状態で、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm2の条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径が0.18μmの結晶性ポリエステル樹脂分散液(樹脂粒子濃度:20質量%)を得た。
【0201】
・離型剤分散液の調製
パラフィンワックス(日本精蝋(株)性:HNP9,融点77℃):50質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):5質量部
イオン交換水:200質量部
【0202】
・着色剤分散液の調製
シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)):1000質量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR):150質量部
イオン交換水:9000質量部
【0203】
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の体積平均粒径は、0.15μm、着色剤粒子濃度は23質量%であった。
【0204】
・着色粒子の作製
結晶性ポリエステル樹脂分散液:500質量部
イオン交換水;333.3質量部
着色剤分散液:25.58質量部(着色剤;5%)
離型剤分散液:58.82質量部(離型剤;10%)
ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897/S.C;70%):1.68質量部(活性剤;1%)
【0205】
上記原料を5Lの円筒ステンレス容器に入れ、Ultraturraxにより3500rpmで撹拌しながら、0.3Nの硝酸水溶液を滴下し、pHを4.0に調整した。ついで凝集剤として塩化カルシウム1.67質量部を徐々に滴下し、その後Ultraturraxにより6000rpmでせん断力を加えながら5分間分散混合した。原料混合液の粘度が均一になったところで、重合釜にセットした。
【0206】
マントルヒーターで30℃に昇温させ、攪拌速度を400rpmに調整して30分間撹拌した。次に+1℃/分の昇温速度で60℃まで昇温した。この際、昇温とともに攪拌速度を400rpmから250rpmまで調整した。この際コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;コールター社製)を用いて測定した凝集粒子の体積平均粒子径は約6.3μmであった。
【0207】
次いで、この凝集粒子を融合させるとともに、凝集粒子がばらけるのを防ぐ為に、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHを7.6とした。攪拌速度を250rpmから200rpmに落としてから、+1℃/分の昇温速度で80℃に昇温させた。顕微鏡で粒子の形状を確認しながら、80℃で60分間保持した後、−3℃/分の降温速度で20℃まで冷却した。
【0208】
その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。以上のように造粒した着色粒子の体積平均粒子径は6.6μmであった。また粒度分布を表すGSDの値は体積分布GSD(以下GSD(v)と表す)が1.25、個数分布GSD(以下GSD(p)と表す)が1.26であった。
【0209】
・二成分現像剤の作製
得られた着色粒子に外添剤として、表面疎水化処理した、体積平均粒子径40nmのシリカ微粒子(日本アエロジル社製疎水性シリカ:RX50)1.0wt%と、メタチタン酸100質量部にイソブチルトリメトキシシラン40質量部、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン10質量部で処理した反応生成物である体積平均粒子径20nmのメタチタン酸化合物微粒子1.0wt%とを添加し、ヘンシェルミキサーで30m/sの周速で5分間混合してトナーを得た。
【0210】
得られたトナー:36質量部と下記キャリア:414質量部を2LのVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して二成分現像剤を作製した。
【0211】
・キャリアの作製
フェライト粒子(体積平均粒径;35μm) 100質量部
トルエン 14質量部
パーフルオロアクリレート共重合体(臨界表面張力24dyn/cm) 1.6質量部
カーボンブラック(商品名;VXC−72、キャボット社製)抵抗100Ωcm以下0.12質量部
架橋メラミン樹脂粒子(体積平均粒径;0.3μm、トルエン不溶) 0.3質量部
【0212】
フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで分散し、被膜層形成液を調合した。さらにこの被膜層形成液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーにいれ、温度60℃において30分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被膜層を形成してキャリアを得た。(ただし、キャリア樹脂であるパーフルオロアクリレート共重合体にカーボンブラックをトルエンに希釈してサンドミルで分散しておいた。)
【0213】
【表1】


【0214】
表1に示されるように、本発明の現像装置18は、従来技術の滞留部材50を有さない現像装置100及び現像装置102に比べて、前画像の履歴が解消されると共に、オーガピッチによるムラも発生せず、良好なベタ画像均一性を得ることができると共に、背景部カブリやトナー凝集体のない良好な結果を得ることができた。
なお、表1の現像装置19の評価結果に示されるように、滞留部材50の案内板50A及び滞留板50B各々を一体的に設けた場合には、案内板50A及び滞留板50Bを別体として設けると共に案内板50Aの一端を、層厚規制部材46の方向に伸びるように設けた場合に比べて、ベタ画像均一性及び背景部カブリの評価結果については劣るものの、前画像の履歴、オーガピッチのムラ、及びトナー凝集体の発生については、全て良好な結果が得られた。
一方、従来技術にように、滞留部材50を設ける事無く且つピックアップ極において層厚規制を行った場合には、前画像の履歴が消去されず、かつオーガピッチのムラが発生した。また、現像装置18と同一構成で滞留部材50が設けられない場合については、ベタ画像の均一性がみられず、背景部にカブリがみられ、且つトナー凝集体の有無についても良好な結果は得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】本発明の画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の現像装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の現像装置のその他の形態の一例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の評価において用いた画像を示す模式図であり、(1)は、4サイズの記録用紙中に、画像密度100%で10mm×100mmサイズの一対の画像(画像70及び画像72)と、画像密度56%で10mm×200mmサイズの画像74と、を同一の記録用紙76にプリントすることにより、画像面積率5%の画像を得た場合の模式図であり、(2)は、A4の記録用紙内に画像密度100%で20mm×200mmサイズの画像76を等間隔で3つ形成した場合を表す模式図であり、(3)は、前回形成された画像の履歴が残された画像を示す模式図であり、(4)は、A4の記録用紙内全面に、画像密度100%の画像を形成した場合を示す模式図であり、(5)は、オーガピッチに応じたムラが形成された画像の一例を表す模式図である。
【図5】従来技術の、層厚規制極とピックアップ極とが対向するように設けられた現像装置を表す模式図である。
【図6】従来技術の、本発明の図2に示される現像装置と同一構成で滞留部材を含まない従来構成の現像装置を表す模式図である。
【符号の説明】
【0216】
10 画像形成装置
12 像担持体
18、19 現像装置
26 現像剤担持体
26 現像ロール
28 第1オーガ
30 第2オーガ
32 現像剤収容部
36 マグネットロール
38 現像スリーブ
46 層厚規制部材
50A 案内板
50B 滞留板
50、51 滞留部材




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013