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発明の名称 フレネルレンズシート、及びそれを用いた透過型スクリーン
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−25207(P2007−25207A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−206688(P2005−206688)
出願日 平成17年7月15日(2005.7.15)
代理人 【識別番号】100086483
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 一男
発明者 安村 洋人
要約 課題
シンチレーション改善効果を得つつ必要な視野角特性の確保と解像度の劣化の改善をすることができるフレネルレンズシート、これを用いた透過型スクリーンを提供することである。

解決手段
フレネルレンズシートは、光入射部側から順に、フレネルレンズ部1と、拡散部2と、基材部3とを有する。このフレネルレンズシートを入射側シートとして用いる透過型スクリーンでは、基材部3の出射側の面上に、拡散部を備えるレンチキュラーレンズシート4が重ね合わせられる。基材部3の厚さにより、両拡散部間は適当な間隔を隔てられる。
特許請求の範囲
【請求項1】
光入射部側から順に、フレネルレンズ部と、拡散部と、基材部とを有することを特徴とするフレネルレンズシート。
【請求項2】
透明なフレネルレンズ部と、光拡散剤が混入若しくは光拡散層が形成されている拡散部と、透明な基材部で構成されたことを特徴とする請求項1記載のフレネルレンズシート。
【請求項3】
拡散部を形成する拡散フィルムの基材上に、フレネルレンズ部のレンズ形状成型と重合接着を同時に行なうことを特徴とする請求項1記載のフレネルレンズシート。
【請求項4】
基材部を約3mmの厚さの硝子板で形成することを特徴とする請求項1記載のフレネルレンズシート。
【請求項5】
少なくとも2枚のシート状部材から構成されるリアプロジェクターの透過型スクリーンであって、請求項1乃至4のいずれかに記載のフレネルレンズシートをスクリーンの入射側シートとして用いることを特徴とする透過型スクリーン。
【請求項6】
前記スクリーンの入射側シートと出射側シートの間に、合成樹脂を材料とするレンチキュラーレンズシートを挟んで3枚のシート状部材で構成され、出射側シートに前面板の機能を持たせたことを特徴とする請求項5記載の透過型スクリーン。
【請求項7】
出射側シートの基材として硝子板を用いたことを特徴とする請求項6記載の透過型スクリーン。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアプロジェクター等に使用されるフレネルレンズシート、及びそれを用いた透過型スクリーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、リアプロジェクターに使用される透過型スクリーンの構成例を示す図で、透過型スクリーン装置の断面図である。図6において、プロジェクター投射部20から投射された画像は、シート状部材であるフレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートで構成されるスクリーン21に投影される。視察者は、プロジェクター投射部20に対しスクリーン21の反対側(前面側)から見るようになっている。一般的に、透過型スクリーンはフレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートの2枚から構成され、これらが重ね合わされて枠体22に固定される。
【0003】
機能として、フレネルレンズシートは、プロジェクター投射部20から投射された光線を視察者の方向に水平に向け、レンチキュラーレンズシートは、結像した光線を適当に拡散して視察者に対してスクリーン上に像が見えるようにする。一般に、レンチキュラーレンズシートは、レンチキュラーレンズシートの拡散層中に含まれる光拡散性微粒子の作用により水平・垂直方向に光線を拡散する。そして、それと共に、水平方向(縦じま状のレンチキュラーレンズが配列された方向)に関しては、レンチキュラーレンズの効果により更に光線を拡散させることにより更に広い視野角を得ている。こうして、スクリーン21の前の比較的幅広い範囲において、視察者がスクリーン21上に結像された像を見られるようにしている。
【0004】
従来、プロジェクター投射部20に用いられる映像表示素子としてはCRTが多かった。しかし、最近では、プロジェクター投射部を小型化する為に、CRTに替えて、小型の液晶パネルやDMD(digital
micro-mirror device)を用いることが多くなってきている。
【0005】
しかしながら、小型の液晶パネルやDMDといった映像表示素子を用いたレンズ径の小さいプロジェクター投射部20で従来の透過型スクリーン装置に投影する場合、次の様なことが起こる。すなわち、小さい角度でもって光線が拡散部の拡散剤に入射する等の理由で、拡散剤等の微小拡散要素によりシンチレーションまたはスペックルと呼ばれる出射光のぎらつきが発生するという問題点があった。この問題点の解決方法として、拡散剤を多量に用いる方法、拡散層を複数設ける方法、拡散層を間隔を空けて設ける方法、レンチキュラーレンズシートだけではなくフレネルレンズシートにも拡散層を設ける方法が知られている(何れの方法も特許文献1参照)。
【0006】
図7(a)、(b)、(c)、(d)は、光入射部側にフレネルレンズ部を設ける構造を前提として上記従来の技術の考え方を用いて構成され得ると思われるフレネルレンズシートの構造と特性を示す断面図である。図7の各構成で、プロジェクター投射部から投射された光線は、フレネルレンズシートの斜め下方からフレネルレンズシートのフレネルレンズ部に入射される。そして、フレネルレンズ部は、入射した光線がプリズム面で全反射され平行な光線になるように設計されている。図7(a)の例では、フレネルレンズシートは透明な樹脂板で成型されており、レンチキュラーレンズシートの拡散層(黒点付与部)の拡散剤を多量に用いることによりシンチレーションを改善しようとしている。図7(b)の例では、フレネルレンズシートは拡散剤を混入した樹脂板で成型されており、フレネルレンズシートに含まれる拡散層とレンチキュラーレンズシートの拡散層によりシンチレーションを改善しようとしている。図7(c)の例では、フレネルレンズ部を透明なUV硬化型樹脂で形成すると同時に拡散剤を混入した樹脂板上に重合接着したフレネルレンズシートを用いている。そして、フレネルレンズシート樹脂板に含まれる拡散層とレンチキュラーレンズシートの拡散層によりシンチレーションを改善しようとしている。また、図7(d)は、フレネルレンズ部を拡散剤混入のUV硬化型樹脂で形成すると同時に透明な樹脂板上に重合接着したフレネルレンズシートを用いている。そして、フレネルレンズ部に含まれる拡散層とレンチキュラーレンズシートの拡散層によりシンチレーションを改善しようとしている。
【特許文献1】特開平8-313865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図7で示したフレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートで構成される透過型スクリーンでのシンチレーションの改善例では、拡散剤の効果によりシンチレーションは改善されるものの解像度が著しく落ちてしまう等の問題があった。図7(a)の例では、フレネルレンズシートの拡散層はない為にレンチキュラーレンズシートの拡散層の拡散剤混入量を多くするか拡散層の厚さを厚くする必要があり、透過型スクリーンの解像度は著しく劣化する。図7(b)の例では、フレネルレンズ部にも拡散剤が混入している為、フレネルレンズ部への入射光をプリズム面で全反射して平行な光線にするフレネルレンズの機能が損なわれる。そして更に、拡散剤を混入した樹脂板で成型している為、拡散層の厚さによる解像度の劣化が大きい。図7(c)の例では、フレネルレンズシートの拡散剤を混入した樹脂板の拡散層とレンチキュラーレンズシートの拡散層の距離が近い。したがって、シンチレーションを改善する為には拡散層の拡散剤混入量を増やすか若しくは拡散層の厚さを厚くする必要があり、その為、解像度が劣化する。さらに、図7(d)の例では、フレネルレンズシートの拡散剤を混入したフレネルレンズ部の拡散層とレンチキュラーレンズシートの拡散層との距離は確保でき、一応、シンチレーション改善効果は大きい。しかし、フレネルレンズ部に拡散剤が混入している為、フレネルレンズ部への入射光をプリズム面で全反射して平行な光線にするフレネルレンズの機能が損なわれてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明のフレネルレンズシートは、光入射部側から順に、フレネルレンズ部と、拡散部と、基材部とを有することを特徴とする。より具体的には、フレネルレンズシートは、透明なフレネルレンズ部と、光拡散剤が混入若しくは光拡散層が形成されている拡散部と、透明な基材部で構成される。
【0009】
また、上記課題に鑑み、本発明の透過型スクリーンは、少なくとも2枚のシート状部材から構成されるリアプロジェクターの透過型スクリーンであって、上記のフレネルレンズシートをスクリーンの入射側シートとして用いることを特徴とする。より具体的には、透過型スクリーンは、上記スクリーンの入射側シートと出射側シートの間に、合成樹脂を材料とするレンチキュラーレンズシートを挟んで3枚のシート状部材で構成され、出射側シートに前面板の機能を持たせている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフレネルレンズシートによれば、拡散部の光出射部側に基材部を設けているので、シンチレーション改善効果を得つつ必要な視野角特性の確保と解像度の劣化の改善をすることができるフレネルレンズシートを提供できる(この理由は後述する)。また、このフレネルレンズシートを入射側シートとして用いて透過型スクリーンを構成する場合、フレネルレンズシートの拡散層と出射側のシート状部材の拡散層の距離を上記基材部により効果的に確保できる。これにより、シンチレーション改善効果を大きくして視野角特性の確保と解像度の劣化の改善をすると共に、入射光を平行な光線にするフレネルレンズ部の機能を確保することができる。したがって、この様にフレネルレンズシートを構成することにより、リアプロジェクターの画質を改善する透過型スクリーン装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明によるフレネルレンズシート及び透過型スクリーンの一実施形態を説明する。図1は、これらの構造と特性を示す断面図である。図1において、1はフレネルレンズ部、2はフレネルレンズシートの拡散部、3はフレネルレンズシートの基材部、4はレンチキュラーレンズシートを示している。
【0012】
本実施形態の透過型スクリーンのフレネルレンズシートは、光入射部側から順に、透明なフレネルレンズ部1と、拡散部2と、適当な厚さの透明な基材部3で構成されている。拡散部2は、例えば、透明なバインダ基材中にこれとは屈折率の異なる微粒子状の透明な光拡散剤が混入されたもので構成される。このような構成の他にも、透明なフィルム基材上に、透明なバインダとこれとは屈折率の異なる微粒子状の透明な光拡散剤を塗布して拡散層が形成されたものなどで構成される。また、レンチキュラーレンズシート4の光出射部側には拡散層が形成されている。この拡散層も、上記拡散部2と同様に形成され得る。図1では、フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシート4は離して描かれているが、実際には図6で示したように密着して使用される。
【0013】
上記構成の透過型スクリーンにおいて、プロジェクター投射部から投射された光線は、フレネルレンズシートの斜め下方からフレネルレンズ部1に入射される。そして、フレネルレンズ部1に入射した光線は、そのプリズム面で全反射され平行な光線になって拡散部2に入射する。拡散部2では、光線は拡散剤で様々な角度でほぼ前方に拡散され(後方、真横方向に拡散される成分もあるが、これは比較的少なくなる様に拡散剤の大きさ、形状、材料などを工夫する)、基材部3に入射する。そして、光線は、基材部3の厚さの間隔を経てレンチキュラーレンズシート4に到達する。
【0014】
レンズ径の小さいプロジェクター投射部からは、比較的小さい角度で光線が拡散部2の拡散剤に入射するので、光線は拡散剤のごく狭い範囲から前方に出射されて拡散される(これがシンチレーションの原因の一つである)。しかし、この拡散光線は、視察者に到達する前に、基材部3の適当に設定された厚さの間隔を経て、或る程度広がってレンチキュラーレンズシート4に到達し、そこのレンチキュラーレンズ部と拡散層で更に拡散される。レンチキュラーレンズ部では水平方向に拡散され、その拡散層では様々な角度でほぼ前方に拡散される。すなわち、拡散部2で拡散された光は様々な角度で出射され、レンチキュラーレンズシート4に入射してレンチキュラーレンズ部と拡散層で更に拡散される。この際、基材部3の厚さの間隔により、レンチキュラーレンズシート4の拡散層の拡散剤には、様々な角度で拡散部2側の多くの点から光線が入ってくる。よって、レンチキュラーレンズシート4の拡散層の拡散剤で生じるシンチレーションは低減される。同時に、拡散部2の拡散剤からの光線は、レンチキュラーレンズシート4のレンチキュラーレンズ部と拡散層を経て間接的に視察者に達するので、そのシンチレーションも緩和される。
【0015】
こうして、上記構成では、拡散部2の拡散剤の量及び厚さを増大しなくても、フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシート4の両拡散部及びレンチキュラーレンズ部での拡散作用が協力するので十分な拡散効果が得られる。この様に、必要な視野角特性を確保できると共に、拡散部の過度の拡散作用による解像度の劣化も防止でき、更に上記の理由でシンチレーションの改善効果も奏される。
【0016】
上記構成によれば、フレネルレンズシートの拡散部2とレンチキュラーレンズシートの拡散層の最短距離は基材部3の厚さを変えることにより調整可能であるので、次の様な効果がもたらされる。シンチレーションの改善において、基材部3の厚さと拡散部2の拡散剤の効果を最適に制御することにより、拡散部2の厚さを、光拡散剤を混入した従来の樹脂板に比して、非常に薄くすることが可能である。その為、光拡散剤を混入した従来の樹脂板では必要以上に拡散剤の量及び拡散層の厚さが要されたのに対して、本発明の透過型スクリーンのフレネルレンズシートでは不要な拡散作用を少なくすることが可能である。そこで、シンチレーション改善効果を最適にして、必要な視野角特性の確保と解像度の劣化の改善をすることができる。それと共に、入射光を平行な光線にするフレネルレンズ部は拡散剤を含まず透明になっているので、その機能を確保することもできる。以上の様にフレネルレンズシートを構成することにより、リアプロジェクターの画質を改善する透過型スクリーン装置を提供できる。特に、拡散層を含むレンチキュラーレンズシートの設計は或る程度固定的であっても、それと共に用いるフレネルレンズシートを上記の如く最適に設計することで、画質を改善する透過型スクリーン装置を容易に実現できる。
【実施例】
【0017】
以下に、本発明の実施例について図面を用いて説明する。ただし、材料、構造、サイズなどはここに挙げたものに限定するものではない。
【0018】
(第1の実施例)
図2は、本発明によるフレネルレンズシートの具体的な第1の実施例を示す。以下、図2を用いて本実施例のフレネルレンズシートの構成と特性について説明する。図2において、1はフレネルレンズ部、5は拡散フィルム、6は拡散フィルム拡散層、7は拡散フィルム基材、8はフレネルレンズ拡散フィルム、9は硝子板を示している。
【0019】
拡散部を形成する拡散フィルム5は、拡散フィルム基材7上に拡散フィルム拡散層6を形成したもので、ここでの拡散フィルム5は、基材7の材料としてPETを用い、基材層7の厚さが180μm、拡散層6の厚さが50μmである。これらの数値の厚さは、必要な拡散作用を確保しつつ非常に薄いものとなっている。拡散部を形成する拡散フィルムは、基材層の厚さが180μm以上、拡散層の厚さが50μm以上であることが望ましい。
【0020】
フレネルレンズ部1は活性エネルギー線硬化型樹脂(例えば、UV硬化型樹脂)で形成されており、拡散部を形成する拡散フィルム基材7上に重合接着している。すなわち、拡散部を形成する拡散フィルムの基材7上に、フレネルレンズ部1のレンズ形状成型と重合接着を同時に行なっている。また、フレネルレンズ部1には光入射部からの光を全反射ないし屈折させて拡散部に出射する面が形成されている。
【0021】
そして、拡散フィルム5の拡散フィルム基材7上にフレネルレンズ部1を重合接着したフレネルレンズ拡散フィルム8は、フレネルレンズシートの基材部を形成する約3mmの厚さの硝子板9に光学粘着剤を用いて接合されている。
【0022】
本実施例のフレネルレンズシートが入射光に対してどの様に作用し、どの様に光が出射されるかは、上記実施形態のところで説明したとおりである。
【0023】
本実施例においては、上記の如き厚さの拡散フィルム5で拡散部を形成し上記の如き厚さの基材部(硝子板9)を設けることで、シンチレーション改善効果を最適にして、必要な視野角特性の確保と解像度の劣化の改善をしている。それと共に、入射光を平行な光線にする透明なフレネルレンズ部1の機能も確保している。こうした構成のフレネルレンズシートを透過型スクリーンに用いることにより、リアプロジェクターの画質を改善する透過型スクリーン装置を実現できる。
【0024】
また、本実施例では、拡散フィルム基材7を拡散フィルム拡散層6の基材としただけではなく、フレネルレンズ部1をUV硬化型樹脂などで形成する際に重合接着する基材としても用いている。これにより、フレネルレンズシートを製造する工数及びコストを軽減することが可能となっている。
【0025】
また、本実施例では、フレネルレンズシートの基材部を形成する硝子板9の厚さは約3mmであり、フレネルレンズ拡散フィルム8の厚さに比べて十分に厚い。その為、平坦性の良い硝子材料を用いることにより、従来の樹脂材料を用いたフレネルレンズシートに比べ、非常に平坦性及び対環境性(温度、湿度などに対する耐性)に優れた剛性のあるフレネルレンズシートを構成することが可能である。これにより、フレネルレンズシートに投影される投影画像の歪を非常に少なくすることができる。
【0026】
(第2の実施例)
図3は、本発明によるフレネルレンズシートを用いた透過型スクリーンの実施例を示す。図3では、本実施例による透過型スクリーンの構成を説明する断面図と、本実施例の構成要素を説明するために透過型スクリーンを構成するシート状部材を分離して拡大した拡大図を示している。以下、図3を用いて、本実施例の透過型スクリーン装置の構成と特性について説明する。
【0027】
図3に示すように、本実施例の透過型スクリーン装置は3枚のシート状部材で構成されている。入射側シートとしてフレネルレンズシート10を配し、出射側シートとして前面板シート11を配し、そして入射側シートと出射側シートの間に合成樹脂を材料とするレンチキュラーレンズシート4を挟んでいる。そして、この状態で、これらのシート状部材はスクリーン部の枠体(図6の構成参照)に取付けられている。
【0028】
フレネルレンズシート10は、図2で説明した本発明による第1の実施例と同じくフレネルレンズ拡散フィルム8と硝子板9で構成されている。この構成内容は、図2を用いて上述したとおりである。
【0029】
レンチキュラーレンズシート4は、合成樹脂を材料として入射側はレンチキュラーレンズ、出射側は拡散層で形成されている。
【0030】
前面板シート11は、入射側は硝子板12、出射側はARフィルム13で形成されており、厚さ約3mmの硝子板12上に厚さ約100μmのARフィルム13が光学粘着剤で粘着されている。
【0031】
上記構成の透過型スクリーンにおいて、プロジェクター投射部から投射された光線は、フレネルレンズシート10の斜め下方からフレネルレンズ拡散フィルム8のフレネルレンズ部に入射されそのプリズム面で全反射され平行な光線になる。そして、フレネルレンズ拡散フィルム8の拡散部に入射する。フレネルレンズ拡散フィルム8の拡散部において上記実施形態で説明したように拡散された光線は、硝子板9に入射し、硝子板9の厚さ約3mmの間隔を経てレンチキュラーレンズシート4に到達する。レンチキュラーレンズシート4での光に対する拡散作用も、上記実施形態で説明したとおりである。
【0032】
この様に、本実施例でも、フレネルレンズ拡散フィルム8の拡散部とレンチキュラーレンズシート4の拡散層の最短距離は硝子板9の厚さを変えることにより調整可能であり、その効果は上記実施形態で説明したとおりである。すなわち、シンチレーションの改善において、硝子板9の厚さとフレネルレンズ拡散フィルム8の拡散部の拡散剤の効果、及びレンチキュラーレンズシート4の拡散層を最適に制御することにより、拡散部の厚さを非常に薄くできる。その為、本実施例の透過型スクリーン装置においては不要な拡散作用を少なくできる。その一方では、解像度の劣化を少なくしつつ、フレネルレンズ拡散フィルム8の拡散部とレンチキュラーレンズシート4の協力関係により、視野角を広げるような拡散効果を持たせることが可能になる。勿論、フレネルレンズ部への入射光をそのプリズム面で全反射して平行な光線にするフレネルレンズ部の機能は確保されている。こうして、本実施例は、リアプロジェクターの画質を改善する透過型スクリーン装置となっている。
【0033】
上述したように、レンチキュラーレンズシート4は、フレネルレンズシート10の拡散部の拡散作用と協調して水平・垂直方向に光線を適当に拡散すると共に、水平方向に対してはレンチキュラーレンズの作用により更に光線を拡散させて広い視野角を得ている。こうして、幅広い範囲の位置からスクリーン上の像を視察者が見易くなっている。
【0034】
また、一般的に合成樹脂で形成されたレンチキュラーレンズシートは、湿度の変化によりレンズシートの表面からの吸水量が変化する度合いが大きい。その為、レンズシート両面からの吸水量の不均衡が生じると、吸水量の多い面が膨張してレンズシートに撓みを生じ、画質が大きく劣化することがある。
【0035】
これに対して、本実施例の透過型スクリーン装置は、3枚のシート状部材で構成され、入射側のフレネルレンズシート10と出射側の前面板シート11の間に、合成樹脂を材料とするレンチキュラーレンズシート4が挟まれてスクリーン部の枠体に取付けられている。そして、フレネルレンズシート10及び前面板シート11の基材は硝子板9、12で形成されている為、湿度の変化による影響は非常に少ない。したがって、本実施例による透過型スクリーン装置では、合成樹脂で形成されたレンチキュラーレンズシート4の湿度の変化による撓みに起因する画質劣化を改善することができる。
【0036】
また、本実施例では、前面板シート11の硝子板12上に光学粘着剤で粘着されたARフィルム13があるので、外部からの照明が硝子板12に反射して視認性を低下させる不具合を改善できる。
【0037】
ところで、上述した本実施例では、合成樹脂を材料とするレンチキュラーレンズシート4を入射側シートと出射側シートの間に挟むようにスクリーン部の枠体に取付けたが、その替わりに、次の様な構成も可能である。すなわち、レンチキュラーレンズシートを薄いフィルム状に形成して、これをフレネルレンズシート10の硝子板9に光学粘着する構成である。比較的厚い硝子板9はフィルム状のものの伸縮の影響を殆ど受けないので、この構成によっても、湿度の変化によるフィルム状レンチキュラーレンズシートの撓みに起因する画質劣化を改善することができる。
【0038】
(第3の実施例)
図4は、本発明によるフレネルレンズシートの他の実施例を示す。以下、図4を用いて本実施例のフレネルレンズシートの構成と特性について説明する。図4において、1はフレネルレンズ部、5は拡散フィルム、6は拡散フィルム拡散層、7は拡散フィルム基材、9は約3mmの厚さの硝子板、14はフレネルレンズフィルム、15はフレネルレンズフィルム基材(PET)を示している。
【0039】
拡散部を形成する拡散フィルム5は、拡散フィルム基材7上に拡散フィルム拡散層6を形成したもので、ここで用いた拡散フィルム5は、基材7の材料としてPETを用い、基材層の厚さが180μm、拡散層6の厚さが50μmである。
【0040】
フレネルレンズ部1は、UV硬化型樹脂を材料として用い、フレネルレンズフィルム基材(PET)15上に重合接着してフレネルレンズフィルム14を形成している。ここで用いたフレネルレンズフィルム14は、基材15の材料としてPETを用い、基材層の厚さが100μm、フレネルレンズ部1の厚さが150μmである。また、フレネルレンズ部1には、光入射部からの光を全反射ないし屈折させて拡散部に出射する面が形成されている。
【0041】
そして、フレネルレンズフィルム14のフレネルレンズフィルム基材(PET)15と拡散フィルム5の拡散フィルム基材7は光学粘着剤により光学粘着されている。さらに、拡散フィルム5の拡散フィルム拡散層6とフレネルレンズシートの基材部を形成する硝子板9間は、光学粘着剤を用いて接合されている。
【0042】
本実施例においても、第1の実施例と同様に、上記の如き厚さの拡散フィルム5で拡散部を形成し上記の如き厚さの基材部(硝子板9)を設けることで、シンチレーション改善効果を最適にして、必要な視野角特性の確保と解像度の劣化の改善をしている。それと共に、入射光を平行な光線にする透明なフレネルレンズ部1の機能を確保している。この様にフレネルレンズシートを構成することによっても、リアプロジェクターの画質を改善する透過型スクリーン装置を実現できる。
【0043】
また、ここで用いたフレネルレンズシートの基材部を形成する硝子板9の厚さは約3mmであり、フレネルレンズフィルム14及び拡散フィルム5の厚さに比べて十分に厚い。その為、ここでも、平坦性の良い硝子材料を用いることで、従来の樹脂材料を用いたフレネルレンズシートに比べ、非常に平坦性及び対環境性に優れたフレネルレンズシートを作ることが可能である。したがって、フレネルレンズシートに投影される投影画像の歪を非常に少なくすることができる。その他、作用などについては、第1の実施例のフレネルレンズシートと同様である。
【0044】
(第4の実施例)
図5は、本発明によるフレネルレンズシートを用いた透過型スクリーンの他の実施例の構造と特性を示す断面図である。図5において、1はフレネルレンズ部、2は拡散部、3は基材部、4はレンチキュラーレンズシートを示している。
【0045】
本実施例の透過型スクリーンのフレネルレンズシートは、光入射部側から順に、透明なフレネルレンズ部1と、光拡散剤が混入若しくは光拡散層が形成されている拡散部2と、透明な基材部3で構成されている。
【0046】
プロジェクター投射部から投射された光線は、フレネルレンズシートの斜め下方からフレネルレンズ部1に入射される。そして、フレネルレンズ部1に入射した光線は、入射面で屈折され平行な光線になって拡散部2に入射する。拡散部2で拡散された光線は基材部3に入射し、基材部3の厚さの間隔を経てレンチキュラーレンズシート4に到達する。
【0047】
本実施例では、フレネルレンズ部1に入射された光は入射面で屈折されて平行な光線になる。こうした屈折作用でフレネルレンズ部の機能を確保しているフレネルレンズシートを構成しても、リアプロジェクターの画質を改善する透過型スクリーン装置を実現することができる。その他の点は、上記実施形態で説明したものと同様である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のフレネルレンズシートの一実施形態の構造と特性を示す断面図。
【図2】本発明によるフレネルレンズシートの実施例を示す断面図。
【図3】本発明によるフレネルレンズシートを用いた透過型スクリーンの実施例を示す断面図。
【図4】本発明によるフレネルレンズシートの他の実施例を示す断面図。
【図5】本発明によるフレネルレンズシートを用いた透過型スクリーンの他の実施例の構造と特性を示す断面図。
【図6】透過型スクリーンの構成例を示す断面図。
【図7】従来の技術の考え方に基づくフレネルレンズシートの構造と特性を示す断面図。
【符号の説明】
【0049】
1 フレネルレンズ部
2、5 拡散部(拡散フィルム)
3、9 基材部(硝子板)
4 レンチキュラーレンズシート
10 フレネルレンズシート
11 前面板(前面板シート)
20 プロジェクター投射部
21 スクリーン




 

 


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