米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 写真;映画 -> キヤノン株式会社

発明の名称 加熱装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24950(P2007−24950A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−202920(P2005−202920)
出願日 平成17年7月12日(2005.7.12)
代理人 【識別番号】100086818
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 幸雄
発明者 木村 章治 / 小原 優一
要約 課題
加圧部材と被加圧部材を加圧するときの衝撃音の発生の低減化。加圧部材と被加圧部材を離間させるときの駆動源の駆動トルクの低減化。

解決手段
カム10に対して作用する補助・抑制手段15・17・20を有する。この補助・抑制手段は、カムが付勢手段14の付勢力を増大させる方向に作用部材5を移動させる場合には、カムの回転を補助し、カムが付勢手段14の付勢力を減少させる方向に作用部材5を移動させる場合には、カムの回転を抑制する。
特許請求の範囲
【請求項1】
加圧部材と、前記加圧部材と加圧されてニップ部を形成する被加圧部材と、前記加圧部材と前記被加圧部材の少なくとも一方を加熱する加熱手段と、を有し、前記ニップ部で被加熱材を挟持搬送しつつ加熱する加熱装置において、
駆動源と、
前記加圧部材を前記被加圧部材に対して移動可能に支持する作用部材と、
前記作用部材を付勢し、前記加圧部材を前記被加圧部材に加圧させる付勢手段と、
前記駆動源により回転駆動され、前記付勢手段の付勢力を増大させる方向、または前記付勢手段の付勢力を減少させる方向に前記作用部材を移動させるカムと、
前記カムが前記付勢手段の付勢力を増大させる方向に前記作用部材を移動させる場合には、前記カムの回転を補助し、前記カムが前記付勢手段の付勢力を減少させる方向に前記作用部材を移動させる場合には、前記カムの回転を抑制する補助・抑制手段と、
を有することを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記補助・抑制手段は、前記カムの回転に応じて移動する第2の作用部材と、前記第2の作用部材を前記カムに付勢する第2の付勢手段と、を有し、前記第2の作用部材は、前記カムが前記付勢手段の付勢力を増大させる方向に前記作用部材を移動させる場合には、前記第2の付勢手段によって前記カムに回転を補助する回転力を与え、前記カムが前記付勢手段の付勢力を減少させる方向に前記作用部材を移動させる場合には、前記第2の付勢手段によって前記カムに回転を抑制する抗力を与えることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記作用部材と前記第2の作用部材は、それぞれ、前記カムと転がり接触するコロ部材を有することを特徴とする請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記カムは、前記駆動源により回転駆動される同一軸上に、前記作用部材を移動させる第1のカムと、前記第2の作用部材を移動させる第2のカムをそれぞれ有することを特徴とする請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
更に、前記駆動源の回転駆動力の伝達を、前記カムと、前記加圧部材と前記被加圧部材のうちの何れか一方に選択的に切換える駆動切換え手段を有することを特徴とする請求項2に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記駆動切換え手段は、前記カムへの駆動伝達経路内、および加圧部材と前記被加圧部材のうちの何れか一方への駆動伝達経路内にそれぞれ設けたワンウェイクラッチであり、前記駆動源の回転方向を正転および逆転に切換えることにより前記駆動源の回転駆動力の伝達を切換えることを特徴とする請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記加圧部材および前記被加圧部材の少なくとも一方は、前記カムを回転駆動する駆動源と同一の駆動源により回転駆動されるローラ部材であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の加熱装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、或いは静電記録方式の画像形成装置に搭載される画像加熱定着装置(以下、定着装置と記す)として用いれば好適な加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に搭載される定着装置では、定着ローラと加圧ローラとを加圧バネで加圧させてニップ部を形成し、このニップ部に未定着トナー画像が転写されたシートを通過させて加熱および加圧することによりシート面上に未定着トナー画像の定着を行なっている。
【0003】
未定着トナー画像の良好な定着性を得るために、定着ローラもしくは加圧ローラの少なくとも一方のローラ表面には、ゴム等の弾性層が設けられている。ここで、定着ローラと加圧ローラを圧接したままで放置するとローラ表面の弾性層が変形してしまう場合がある。
【0004】
この弾性層の変形を防止する手段として、図16および図17に示すような加圧・離間機構を備えた定着装置80が考案されている(特許文献1)。
【0005】
この定着装置80は、定着ローラ81および加圧ローラ82のローラ表層部にそれぞれ弾性層81a・82a(図17)を有している。そして定着装置80は、定着ローラ81に対して加圧ローラ82を加圧および離間させる機構を備えている。
【0006】
定着ローラ81は定着フレーム84に回転可能に支持されている。加圧ローラ82は加圧フレーム86に回転可能に支持されている。加圧フレーム86は定着フレーム84に固定された支持軸87により揺動可能に支持されている。この加圧フレーム86は加圧バネ88により加圧ローラ82が定着ローラ81に押圧されるように付勢されている。そして、カム軸90に設けられたカム89を回転させることにより加圧フレーム86を加圧バネ88の加圧力に抗して揺動させることで定着ローラ81と加圧ローラ82の加圧・離間状態を切換えるように構成している。
【0007】
また、上記の定着装置80において定着ローラ81の駆動とカム89の駆動は、コスト削減のために同一の駆動源であるモーター98により行なわれている。モーター98から定着ローラ81へと繋がる駆動伝達ギア列97・96・95・107・106・112のうち所定のギア107にはワンウェイクラッチ107aが組み込まれている。またモーター98からカム軸90へと繋がる駆動伝達ギア列97・96・95・109・108・94・93・92・91のうち所定のギア109にはワンウェイクラッチ109aが組み込まれている。そして定着ローラ81とカム89への駆動伝達の切換えは、ワンウェイクラッチ107a・109aを用い、モーター98の回転方向を正逆に切換えることにより行なわれている。具体的にはモーター98のギア97が矢印97aの方向に回転すると、モーターの駆動はワンウェイクラッチ107aにより定着ローラ81のみへ伝達され、カム軸90には伝達されない。逆に、モーター98のギア97が矢印97bの方向に回転すると、モーターの駆動はワンウェイクラッチ109aによりカム軸90のみに伝達されることになる。
【0008】
定着ローラ81と加圧ローラ82との加圧・離間動作は、画像形成装置本体のCPU(不図示)の判断により、カム89を180°回転させるごとに、加圧状態から離間状態へ、離間状態から加圧状態へと連続的に自在に切換えることが出来る。
【0009】
この切換え機構により、画像形成装置が待機状態(スタンバイ状態)にある場合などは、定着ローラ81と加圧ローラ82とを離間させておくことが可能となり、各ローラの弾性層81a・82aの変形を防止することが出来る。
【0010】
また、ニップ部でシートのジャムが発生したことを検知した場合に、定着ローラ81と加圧ローラ82とを離間するようにプログラミングしておけば、ジャムシートの除去を容易に行なうことが出来るという利点もある。
【特許文献1】特開2000−122460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来は、当時として望まれる定着ローラと加圧ローラとの加圧動作に伴って発生する衝撃音を十分に防止できるものであった。また、定着ローラと加圧ローラを加圧状態から離間動作へと移行させる際に加圧フレームを揺動させるときのモータの駆動トルクを十分に低減できるものであった。
【0012】
しかしながら、近年、更に求められるようになった衝撃音の発生の低減化、およびモータの駆動トルクの低減化を達成するためには、更なる改良が求められるようになった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、加圧部材と被加圧部材を加圧するときの衝撃音の発生を低減できる加熱装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、加圧部材と被加圧部材を離間させるときの駆動源の駆動トルクを低減できる加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る加熱装置の代表的な構成は、加圧部材と、前記加圧部材と加圧されてニップ部を形成する被加圧部材と、前記加圧部材と前記被加圧部材の少なくとも一方を加熱する加熱手段と、を有し、前記ニップ部で被加熱材を挟持搬送しつつ加熱する加熱装置において、駆動源と、前記加圧部材を前記被加圧部材に対して移動可能に支持する作用部材と、前記作用部材を付勢し、前記加圧部材を前記被加圧部材に加圧させる付勢手段と、前記駆動源により回転駆動され、前記付勢手段の付勢力を増大させる方向、または前記付勢手段の付勢力を減少させる方向に前記作用部材を移動させるカムと、前記カムが前記付勢手段の付勢力を増大させる方向に前記作用部材を移動させる場合には、前記カムの回転を補助し、前記カムが前記付勢手段の付勢力を減少させる方向に前記作用部材を移動させる場合には、前記カムの回転を抑制する補助・抑制手段と、を有することを特徴とする加熱装置、である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、補助・抑制手段によりカムの回転を補助するので、加圧部材と被加圧部材を離間させるときの駆動源の駆動トルクを低減できる。また、補助・抑制手段によりカムの回転を抑制するので、加圧部材と被加圧部材を加圧するときの衝撃音の発生を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
(1)画像形成装置例
図15は本発明に係る加熱装置を画像加熱定着装置(以下、定着装置と記す)として搭載できる画像形成装置の一例の概略模型図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザープリンタである。
【0019】
電子写真画像形成機構部において、101は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)である。矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0020】
102は帯電手段としての接触帯電ローラである。回転する感光ドラム101の外周面を所定の極性・電位に一様に帯電処理する。
【0021】
103は露光手段としてのレーザースキャナである。画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調したレーザー光を出力して、回転する感光ドラム101の一様帯電処理面を走査露光Lする。これにより感光ドラム面に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0022】
104は現像装置である。感光ドラム面の静電潜像をトナー画像として反転現像または正規現像する。
【0023】
105は転写手段としての転写ローラである。感光ドラム101に対して所定の押圧力で接触して転写ニップ部Tを形成している。この転写ニップ部Tに不図示の給送機構部から被加熱材としての記録材(以下、シートと記す)Sが所定の制御タイミングにて給送されて転写ニップ部Tを挟持搬送されていく。また転写ローラ105には所定の制御タイミングで所定の転写バイアスが印加される。これにより、転写ニップ部Tを挟持搬送されるシートSの面に感光ドラム101面側のトナー画像が順次に静電転写される。
【0024】
転写ニップ部Tを出たシートSは感光ドラム101面から分離されて定着装置1に導入される。定着装置1は導入されたシートS上の未定着トナー画像を永久固着画像として加熱・加圧定着する。そしてシートSを排出搬送する。
【0025】
106は感光ドラムクリーニング器であり、シート分離後の感光ドラム上の転写残トナーを除去する。転写残トナーが除去されて清浄面化された感光ドラム面は繰り返して作像に供される。
【0026】
(2)定着装置1
図1は定着装置1の側面模型図、図2は同じく中央省略正面模型図、図3は同じく中央省略縦断正面模型図である。
【0027】
定着装置1は、加圧部材である加圧ローラ3と、被加圧部材である定着ローラ2と、を備えている。この定着ローラ2と加圧ローラ3とは、定着フレーム4、定着下フレーム9、加圧装置25などにより当接・離間可能に構成されている。
【0028】
定着ローラ2は、金属製の芯金2aと、芯金2aの外周部にシリコンゴムからなる弾性層2bと、を備えている。定着ローラ2は、軸受け7を介して定着フレーム4に回転可能に支持されている。
【0029】
加圧ローラ3は、定着ローラ2と同様に、金属製の芯金3aと、シリコンゴムからなる弾性層3bと、を備えている。加圧ローラ3は、軸受け8を介して作用部材(第1の作用部材)としての加圧アーム5に回転可能に支持されている。
【0030】
加圧アーム5は、定着フレーム4に固定された軸6に一端が揺動可能に支持されている。加圧アーム5の他端は定着下フレーム9との間に縮設された付勢手段としての加圧スプリング14により加圧ローラ3を定着ローラ2に圧接させるように付勢されている。
【0031】
加圧アーム5の他端部には、カム10と転がり接触するコロ部材(以下、コロと記す)12がコロ軸13を介して回動可能に取り付けられている。
【0032】
定着下フレーム9には、軸受け22を介してカム軸11が回動可能に支持されている。カム軸11には、コロ12と対応する長手位置にカム10が固定されている。
【0033】
カム10をはさんでコロ12と対向する位置には、カム10と転がり接触するコロ15部材(以下、コロと記す)がアーム17にコロ軸16を介して回動可能に取り付けられている。このアーム17は第2の作用部材であり、縦長の長穴17aを有している。そしてアーム17は、定着フレーム4に固定された軸18および19に長穴17aがガイドされて定着フレームに鉛直方向に移動可能に取り付けられている。また、フレーム4に設けられた曲げ起こし21とアーム17との間には、第2の付勢手段である加圧スプリング20が組み込まれている。この加圧スプリング20は、アーム17とコロ15をカム10に付勢している。すなわち、上記のアーム17と、加圧スプリング20と、コロ15とで補助・抑制手段を構成している。
【0034】
次に図4を用いて各部への駆動の伝達について説明する。図4は駆動伝達機構部の説明図である。
【0035】
定着装置1の各部を駆動する唯一の駆動源であるモーター43は、モーターギア43aが露出するかたちで外側フレーム42に固定されている。モーターギア43aに噛み合うギア41はギア軸33に固定されている。ギア軸33は、定着下フレーム9に設けられた軸受け35と、内側フレーム34に設けられた軸受け36にそれぞれ回動可能に支持されている。ギア軸33にはギア37およびギア38がはめ込まれている。このギア37および38にはそれぞれワンウェイクラッチ39および40が組み込まれている。
【0036】
ワンウェイクラッチ39および40は互いにロック方向が反対になるよう設定されている。すなわち、ギア軸33が正面方向(図4の右側から見た方向)から見て時計回りに回転駆動された場合には、ワンウェイクラッチ39のみがロックし、ギア軸33とギア37とが一体になって回転し、ギア38には駆動力は伝達されない。逆にギア軸33が反時計周りに回転駆動された場合には、ワンウェイクラッチ40のみがロックし、ギア軸33とギア38とが一体になって回転し、ギア37には駆動力は伝達されない。
【0037】
そして、ギア37には、定着下フレーム9に設けた軸31に回動自在に取り付けられたギア32が噛み合い、定着ローラ2の一端に固定されたギア30へとモーター43の回転駆動力を伝達するようになっている。
【0038】
また、ギア38には、カム軸11の一端に固定されたギア31が噛み合っており、カム軸11へとモーター43の回転駆動力を伝達するようになっている。
【0039】
すなわち、上記のモーターギア43aと、ギア41と、ギア軸33と、ギア38と、ギア31とでモーター43の回転駆動力をカム10に伝達する駆動伝達経路を構成している。そしてこの駆動伝達経路においてギア38に駆動切換え手段であるワンウェイクラッチ40を設けている。
【0040】
また、上記のモーターギア43aと、ギア41と、ギア軸33と、ギア37と、ギア32と、ギア30とでモーター43の回転駆動力を定着ローラ2に伝達する駆動伝達経路を構成している。そしてこの駆動伝達経路においてギア37に駆動切換え手段であるワンウェイクラッチ39を設けている。
【0041】
図4の中のギア回転方向を示す矢印は、ここでは定着ローラ2を回転駆動させる場合の回転方向を示しており、この場合モーター43は反時計回りに回転する。
【0042】
ここで、上記のカム10や加圧アーム5、アーム17などを中心に構成される加圧装置25の動作について図5〜図7を用いて詳しく説明する。図5はカム10の各回転角度における加圧アーム5とコロ12、アーム17とコロ15の動作を示したものである。図6はモーター43の回転駆動力がカム軸11へと伝達される場合について説明した図である。図7は加圧ローラ3が定着ローラ2から離間された状態の定着装置1の側面模型図である。
【0043】
まず図5の(I)を用いてカム10のカム形状について説明する。カム外形形状は大小2種類の半径の円弧を用いて構成されており、それぞれの円弧の繋ぎ目にa、c、dの符号を振ってある。最大のカム径となるc〜d間は、カム軸11と同軸に中心を持つ半径の大きな円弧26であり、c〜d間ではカム径は一定である。a〜c間は半径が小さく偏心した円弧27であり、最小のカム径になるa点から徐々にカム径を大きくしながらc点で円弧26に接している。d〜a間はa〜c間と対称な形状の円弧28である。
【0044】
図5の(I)は、カム10が0°の位置にあり、定着ローラ2に加圧ローラ3が当接された状態を表している。カム10はカム径の最も小さなa点付近が下側のコロ12に近接する位置にあって且つコロ12と接触しないようになっている。これは、加圧スプリング14(図1)による上向きの付勢力がすべて加圧ローラ3と定着ローラ2との圧接力として用いられるようにするためである。またこの時、上側のコロ15は、カム10の円弧26により加圧スプリング20(図1)の付勢力に抗して上方向に押し上げられた状態になっている。コロ15がc〜d間でカム10と接触している間は、カム径が一定であるためカム10に対して回転力を与えず、この状態を維持することが出来る。
【0045】
(II)は、カム10が時計回りに約40°回転した状態である。この状態は円弧27上のb点がコロ12と接触を始める点であり、同時にコロ15はd点を越えて円弧28に沿って下降を始めたところである。
【0046】
(III)はさらに90°まで回転した状態であり、コロ12は円弧27で押し下げられる途中、コロ15は円弧28に沿って下降している途中である。(II)から(III)の状態では、カム10はコロ12から回転を抑制(減速)させる方向(反時計回り)に抗力を受け、一方でコロ15からは回転を補助(加速)する方向(時計回り)に回転力を受けている。言い換えれば、カム10の円弧27でコロ12を押し下げて加圧アーム5を加圧スプリング14の付勢力が増大する方向に移動させている。これによってアーム17は加圧スプリング20によりカム10の円弧28にコロ15を介してカムの回転を補助する回転力を与えている。
【0047】
(IV)はさらに180°まで回転し、図7に示すように加圧ローラ3が定着ローラ2から完全に離間した状態である。この状態は(I)とは逆にコロ12がc点を越えて最も下がった位置にあり、コロ15はe点を越えてカム10とは接触しない位置にある。コロ15がこれ以上下がらないのは、軸18がアーム17の長穴17aの端部に突き当たっているからである。また、この状態は(I)と同様にカム10に回転力の働かない平衡状態であるといえる。
【0048】
(V)は220°まで回転した状態で、(II)と逆に円弧27上のb点がコロ15と接触を始める点であり、同時にコロ12はd点を越えて上昇し始めたところである。
【0049】
(VI)はさらに270°まで回転した状態であり、コロ15は円弧27で押し上げられる途中、コロ12は円弧28に沿って上昇している途中である。(V)から(VI)の状態では、カム10はコロ15から回転を抑制(減速)させる方向(反時計回り)に抗力を受け、一方でコロ12からは回転を補助(加速)する方向(時計回り)に回転力を受けている。言い換えれば、カム10の円弧28でコロ12を押し上げて加圧アーム5を加圧スプリング14の付勢力が減少する方向に移動させている。これによってアーム17は加圧スプリング20によりカム10の円弧27にコロ15を介してカムの回転を抑制する抗力を与えている。
【0050】
更にカム10が回転すると、コロ12が上昇して加圧ローラ3が定着ローラ2に当接され、(I)の平衡状態へと戻る。
【0051】
カム10への回転駆動は、先に述べた通りモーター43の回転方向に依存し、モーター43が図6に矢印で示すように、正面方向(図5の右側から見た方向)から見て時計回りに回転駆動された場合にのみ伝達される。このため、モーター43によりカム10を回転駆動できる方向は一方向に限定され、モーター43側からカム10を反転駆動させることは出来ない。しかしながら、カム10自体に反転させる力が働いた場合には、ワンウェイクラッチ40の作用によりモーター43にはこの回転力は伝達されず、カム10がカム軸11とともにフリーで回転することが出来てしまう。
【0052】
次に図8および図9を用いてカム軸11にかかる負荷トルクについて説明する。
【0053】
図8はカム10を0°から360°まで1回転させた場合の負荷トルクの推移を模式的に表したグラフである。トルクの大きさは、カム10の回転方向と同じ方向にトルクがかかる場合、つまりカム10の回転を補助(加速)する方向を(−)、逆にカムの回転を抑制(減速)する方向を(+)としている。つまり、(+)方向のトルクはモーター43の駆動負荷となり、(−)方向のトルクはカム10を早回しする力となる。
【0054】
また、カム10において、コロ12を介して第1の付勢手段である加圧スプリング14から受けるトルクを第1の回転トルク、コロ15を介して第2の付勢手段である加圧スプリング20から受けるトルクを第2の回転トルクとする。グラフ中のa〜eの各符号は図5のカム10上の各点と対応した位置を表しており、(I)〜(VI)の符号も図5のカム回転角度と対応している。
【0055】
第1の回転トルクは、コロ12がカム10と接触していないためa点からb点まではゼロで推移し、その後b点からc点にかけては大きく(+)側にピークを形成し、c点からd点の間はコロ12などの回転時の摩擦損失分の(+)側トルクのみがかかる。d点からe点にかけては(−)側に大きくピークを形成し、再びe点でゼロになる。
【0056】
第2の回転トルクは、第1の回転トルクの位相を180°ずらしたものであり、第1の回転トルクと同様にc点からd点の間はコロ15などの回転時の摩擦損失分の(+)側トルクのみがかかる。
【0057】
そして、第1の回転トルクと第2の回転トルクとを差し引きしたものが図9で示す合成回転トルクとなる。それぞれの(+)側と(−)側のトルクが部分的に相殺され、(+)側(−)側ともにトルクのピーク値が合成前の半分程度まで小さくなっていることが解る。これによってモーター43の駆動トルクを低減できる。
【0058】
また、合成前のトルクグラフでは、第1、第2の回転トルクともに、d点を越えた時点で(−)側に大きくトルクが振れていたが、これはカム10を急速に加速していることを表している。ワンウェイクラッチ40の作用により、カム10を早回しすると無抵抗で回転してしまうため、e点でカム10がコロ12またはコロ15に衝突するまで高速で回転することになる。従来はこの衝突による大きな衝撃音や振動の発生が問題であったが、本実施形態では2つの回転トルクが合成されることにより、d点を越えて(−)側に一旦振れたトルクもその後(+)側へと移るため、e点での高速での衝突を回避することができる。これによって定着ローラ2と加圧ローラ3の衝撃音の発生を低減できる。
【0059】
次に、上述のような構成を有する定着装置1の動作について説明する。
【0060】
定着装置1が搭載される画像形成装置で、通常の画像形成を行う場合、カム10は0°(図5)の位置にあり、図1のように定着ローラ2に加圧ローラ3が加圧されて各ローラの弾性層2a・3aが変形することによりニップNを形成している。
【0061】
また、定着ローラ2および加圧ローラ3内部には加熱手段であるハロゲンヒーター(以下、ヒーターと記す)45・46が備えられている。画像形成装置の電源スイッチ(不図示)がオンされた場合には、ヒーター45・46は駆動電源47から供電されて各ローラ表面を加熱する。定着ローラ2の表面側に配設された温度検知素子48で定着ローラ表面の温度を検知し、その検知温度に基づいて温調制御回路49が駆動電源47をオン・オフ制御することにより、各ローラ表面温度を所定の定着温度(目標温度)になるように加熱制御している。シートSが定着装置1に到達するより前に、モーター43が反時計回りに回転しはじめ、ワンウェイクラッチ39がロックして定着ローラ2に駆動が伝達され、加圧ローラ3もこれに従動する。そして前述の電子写真画像形成機構部から上面に未定着トナー画像tを形成担持させたシートSがニップNに導かれ、ニップNにおいて定着ローラ2と加圧ローラ3とで挟持搬送される。その搬送過程において未定着トナー画像tが加熱および加圧されることによりシートSへの未定着トナー画像の定着が完了する。
【0062】
その後、電子写真画像形成機構部で所定時間画像形成が行われないと、画像形成装置は待機電力を減らすためにスリープモード(待機(スタンバイ)モード)へと移行する。この時、定着装置1では、定着ローラ2と加圧ローラ3が当接されたままである。そのため、定着ローラ2と加圧ローラ3の弾性層2bおよび3bが永久変形してしまうことを防止するために、定着ローラと加圧ローラの離間動作が行なわれる。この離間動作は、モーター43が画像形成時とは反対の時計回りに回転することにより、ワンウェイクラッチ40がロックし、モーターの駆動力がギア31を介してカム軸11へと伝達される。このときのカム軸11の回転速度は約20rpm程度である。そしてカム10を約180°回転させることにより、コロ12と加圧アーム5が加圧スプリング14の付勢力に抗して押し下げられ、加圧ローラ3が定着ローラ2から完全に離間され、図7の状態となる。この動作においては、アーム17は加圧スプリング20によりカム10の円弧28にコロ15を介してカムの回転を補助する回転力を与えるので、カム軸11の回転トルクを低く抑えることが出来る。
【0063】
次に、スリープモードから復帰し再び画像形成を行なう場合には定着ローラ2と加圧ローラ3とを加圧させて定着可能な状態にする必要がある。この場合も離間動作時と同様にモーター43を時計回りに一定量回転させ、カム10を約180°回転させることによりコロ12と加圧アーム15が上昇し、加圧ローラ3が定着ローラ2に加圧される。この動作においては、アーム17は加圧スプリング20によりカム10の円弧27にコロ15を介してカムの回転を抑制する抗力を与えるので、カム10が早回しされて衝撃音が発生することを低減することが出来る。
【0064】
また、スリープモードに入っていない状態で画像形成装置の電源スイッチ(不図示)がオフされた場合には、上述の如く必ず定着ローラ2と加圧ローラ3を離間してから電源が切れるように構成している。また電源スイッチがオンされた場合には、すぐに定着ローラ2と加圧ローラ3の当接を行なうように構成している。
【0065】
更に、定着装置1付近でジャムが検出された時にも、定着ローラ2と加圧ローラ3の離間動作を行い、ニップNに挟まれたままのシートも容易に取り除けるようにし、ジャム処理完了後には再び定着ローラ2と加圧ローラ3の加圧動作を行なうように構成している。
【実施例2】
【0066】
次に実施例1で述べた加圧装置25および定着装置1を一部変更した実施形態について説明する。尚、以降の説明においては、先の実施例1と同様な部材・部分については同符号を付して説明を省略する。
【0067】
図10は本実施形態の加圧装置51を備えた定着装置50の中央省略正面模型図である。
【0068】
加圧装置51は、2つのカムをカム軸11上に並べて設けるようにしたものである。第1の作用部材である加圧アーム5側のコロ12と対応する位置には第1のカム52を設け、第2の作用部材であるアーム17側のコロ15と対応する位置には第2のカム53を設け、これらがカム軸11と一体となって回転するようになっている。
【0069】
図11は、第1のカム52および第2のカム53のカム形状を表した図である。図12は第1のカム52および第2のカム53を1回転させた場合のカム軸11にかかる負荷トルクの推移を模式的に表したグラフである。
【0070】
本実施例の定着装置50の特徴は、上記のようにカムを2つに分けることにより、それぞれに独自のカム形状を与えることが出来、それぞれのトルク曲線や位相を独自に設定することが出来る点にある。
【0071】
ここでは加圧アーム5側のカム52のカム形状は、実施例1のカム10そのままにして、アーム17側のカム53のカム形状を変更したものである。図12の合成回転トルクの推移は、実施例1の図9の合成回転トルク推移と比べてピーク値がさらに小さく抑えられていることがわかる。
【0072】
このカム52およびカム53のカム形状はあくまでもその一例であり、様々なカム形状を組み合わせて用いることが出来る。すなわち、第1、第2のカム52・53にそれぞれ最適なカム形状を与えることが出来るため、トルク低減効果および衝撃音の発生低減効果をより高めることが出来る。
【実施例3】
【0073】
次に実施例1で述べた加圧装置25および定着装置1をさらに一部変更した実施形態について説明する。
【0074】
図13は本実施形態の加圧装置56を備えた定着装置55の中央省略正面模型図である。図14は、第1のカム10および第2のカム57のカム形状を表した図である。
【0075】
加圧装置56は、先の実施例2と同様に2つのカムをカム軸11上に並べて設けるようにしたものである。すなわち、第2の作用部材であるアーム59とコロ部材であるコロ58、第2の付勢手段である加圧スプリング60などを第1の作用部材である加圧アーム5の隣りに並列に配置したものである。また図14に示すように、コロ58と対応する第2のカム57は、第1のカム10に対してその位相を約180°ずらして取り付けた形になっている。
【0076】
このような形態であっても実施例1の加圧装置25と同様に、カム軸11の負荷トルクのピーク値を小さく抑えることが出来、カムが早回しされて衝撃音が発生することを低減出来る。
【0077】
また、実施例2の加圧装置51と同様に、カム10とカム57の形状、位相をそれぞれ独自に設定することが出来るため、更にトルクのピーク値を小さくすることも可能である。
【0078】
以上説明したように、実施例1の定着装置1によれば、定着ローラ2と加圧ローラ3の離間時のカム軸11にかかる負荷トルクのピーク値を低く抑え、モーター43の駆動トルクを小さくすることが出来る。また、定着ローラ2と加圧ローラ3の加圧時の衝撃音の発生を低減することが出来る。
【0079】
また、実施例2の定着装置50によれば、定着ローラ2と加圧ローラ3の離間時のカム軸11にかかる負荷トルクのピーク値をさらに低く抑えることが出来る。
【0080】
また、実施例3の定着装置55によれば、第2の作用部材であるアーム59を第1の作用部材である加圧アーム5と並べて配置することが出来、よりコンパクトに定着装置を構成することが出来る。
【0081】
また、実施例1〜3の定着装置において、加圧アーム5およびアーム17・59はそれぞれコロ12・15・58を介して対応するカム10・52・53・57と接触しているので、カムの回転駆動時の摩擦によるトルク損失を減らすことが出来る。
【0082】
〔その他〕
1)実施例の定着装置はモーター43により駆動伝達経路を介して定着ローラ2を駆動する定着ローラ駆動方式であるが、これに限られずモーター43により駆動伝達経路を介して加圧ローラ3を駆動する加圧ローラ駆動方式を採用する装置構成としてもよい。
【0083】
2)実施例の定着装置は定着ローラ2および加圧ローラ3にヒーター45・46を配設させたが、これに限られず定着ローラ2および加圧ローラ3の何れか一方にヒーターを配設させる装置構成としてもよい。
【0084】
3)本発明の加熱装置は、実施例の画像加熱定着装置に限られず、未定着画像を記録材に仮定着する仮定着装置、定着画像を担持した記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する表面改質装置等の像加熱装置としても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施例1に係る定着装置の側面模型図である。
【図2】実施例1に係る定着装置の中央省略正面模型図である。
【図3】実施例1に係る定着装置の定着装置の中央省略縦断正面模型図である。
【図4】実施例1に係る定着装置の駆動伝達機構部の説明図である。
【図5】実施例1に係る定着装置のカムの動作を説明する図である。
【図6】実施例1に係る定着装置の駆動伝達機構部の説明図である。
【図7】実施例1に係る定着装置の側面模型図である。
【図8】実施例1に係る定着装置のカム軸にかかる負荷トルクを示すグラフである。
【図9】実施例1に係る定着装置のカム軸にかかる負荷トルクを示すグラフである。
【図10】実施例2に係る定着装置の中央省略正面模型図である。
【図11】実施例2に係る定着装置のカム部分を表す図である。
【図12】実施例2に係る定着装置のカム軸にかかる負荷トルクを示すグラフである。
【図13】実施例3に係る定着装置の中央省略正面模型図である。
【図14】実施例3に係る定着装置のカム部分を表す図である。
【図15】画像形成装置の構成模型図である。
【図16】従来の定着装置の斜視図である。
【図17】従来の定着装置の側面図である。
【符号の説明】
【0086】
1‥‥定着装置
2‥‥定着ローラ
3‥‥加圧ローラ
4‥‥定着フレーム
5‥‥加圧アーム
10・52・53・57‥‥カム
11‥‥カム軸
12・15・58‥‥コロ
17・59‥‥アーム
37・38‥‥ギア
39・40‥‥ワンウェイクラッチ




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013