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発明の名称 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−17877(P2007−17877A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−201856(P2005−201856)
出願日 平成17年7月11日(2005.7.11)
代理人 【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三
発明者 雲井 郭文 / 中村 一成 / 平野 秀敏 / 上杉 浩敏 / 高木 進司 / 阿部 幸裕 / 三浦 大祐 / 久野 純平
要約 課題
支持体上に導電層、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に設けてなる電子写真感光体であっても、従来よりもゴースト画像の発生が抑制された電子写真感光体ならびに該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。

解決手段
支持体上に導電層、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体であって、該導電層が少なくとも金属酸化物粒子と結着樹脂を含有する電子写真感光体において、該金属酸化物粒子の平均粒径が0.20〜0.60μmであり、該金属酸化物粒子が酸素欠損型酸化錫を被覆した酸化チタン粒子であり、該導電層の体積抵抗率が8.0×10Ω・cmを超え1.0×1011Ω・cm以下であり、該電荷発生層がフェノール化合物を含有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
支持体上に導電層、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体であって、該導電層が少なくとも金属酸化物粒子と結着樹脂を含有する電子写真感光体において、該金属酸化物粒子の平均粒径が0.20〜0.60μmであり、該金属酸化物粒子が酸素欠損型酸化錫を被覆した酸化チタン粒子であり、該導電層の体積抵抗率が8.0×10Ω・cmを超え1.0×1011Ω・cm以下であり、該電荷発生層がフェノール化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
前記フェノール化合物が一般式(1)あるいは(2)で示される化合物である請求項1に記載の電子写真感光体。
【化1】


(式中、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、置換されてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアシル基の中から選ばれる。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20であり、且つ置換されてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアシル基の中から選ばれる。Xは置換基を有しても良い2価のアルキレン基、炭素−炭素結合間に酸素原子を介しても良い2価のアルキレン基を示す。nは2〜4の整数を示す。Yは水素原子を有してもよい炭素原子または硫黄原子を示す。ただし、nが2のとき、Yは単結合であってもよい。)
【請求項3】
前記電荷発生層に含有されるフェノール化合物(F)と電荷発生物質(G)の質量比G/Fが2.5〜6.8である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
【請求項4】
前記導電層の金属酸化物粒子(P)と結着樹脂(B)の質量比P/Bが2.3〜3.3である請求項1〜3に記載の電子写真感光体。
【請求項5】
前記導電層の膜厚が10〜25μmである請求項1〜4に記載の電子写真感光体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面を帯電するための帯電手段、電子写真感光体の表面の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段、電子写真感光体の表面のトナー像を転写材に転写するための転写手段、および、転写後に該電子写真感光体の表面に残留するトナーをクリーニングするためのクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体の表面を帯電するための帯電手段、該帯電手段により帯電された電子写真感光体の表面に露光によって静電潜像を形成するための露光手段、該露光手段により形成された電子写真感光体の表面の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段、および、該現像手段により形成された電子写真感光体の表面のトナー像を転写材に転写するための転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真感光体(有機電子写真感光体)は、支持体と該支持体上に設けられた感光層とから構成されている。しかしながら、現状は、支持体表面の欠陥の被覆、感光層の塗工性向上、支持体と感光層との接着性向上、感光層の電気的破壊に対する保護、帯電性の向上、支持体から感光層への電荷注入性の改良などのために、支持体と感光層との間に各種層を設けることが多い。したがって、支持体と感光層との間に設けられる層には、被覆性、接着性、機械的強度、導電性、電気的バリア性などの多くの機能が要求される。
【0003】
支持体と感光層との間に設けられる層としては、従来、以下のタイプのものが知られている。
(i)導電性材料を含有しない樹脂層。
(ii)導電性材料を含有した樹脂層。
(iii)上記(ii)の層の上に、上記(i)の層を積層したもの。
【0004】
上記(i)の層は、導電性材料を含有しないため、層の抵抗が高い。しかも、表面平滑化処理が施されていない支持体表面の欠陥を被覆するためには、その厚さ(膜厚)を厚くしなければならない。
【0005】
しかしながら、抵抗が高い上記(i)の層の膜厚を厚くすると、初期および繰り返し使用時の残留電位が高くなるという問題が生じる。
【0006】
したがって、上記(i)の層の実用化のためには、支持体表面の欠陥を少なくし、かつ、その膜厚を薄くする必要がある。
【0007】
一方、上記(ii)の層は、導電性粒子などの導電性材料を樹脂中に分散した層であり、層の抵抗を小さくすることが可能であるため、層の膜厚を厚くして、導電性の支持体や非導電性の支持体(樹脂製の支持体など)の表面の欠陥を被覆することが可能である。
【0008】
しかしながら、上記(ii)の層の膜厚を厚くする場合は、薄くする上記(i)の層に比べて、層に十分な導電性を付与する必要があるため、上記(ii)の層は体積抵抗率の低い層となり、そのため、低温低湿から高温高湿の幅広い環境条件において、画像欠陥の原因となる支持体、上記(ii)の層から感光層への電荷注入を阻止するためには、電気的バリア性を有する層を上記(ii)の層と感光層との間に別途設けることが好ましい。電気的バリア性を有する層とは、上記(i)の層のように、導電性粒子を含有しない樹脂層である。
【0009】
つまり、支持体と感光層との間に設けられる層は、上記(i)の層と上記(ii)の層とを積層した上記(iii)の構成であることが好ましい。
【0010】
上記(iii)の構成は、複数の層を形成する必要があるため、それだけ工程が増えるが、支持体表面の欠陥の許容範囲が大きくなるため、支持体の使用許容範囲が大幅に広がり、生産性の向上が図れるという利点がある。
【0011】
一般的に、上記(ii)の層は導電層と呼ばれ、上記(i)の層は中間層(下引き層、バリア層)と呼ばれる。
【0012】
また、押し出し工程および引き抜き工程を含む製造方法により製造されるアルミニウム管や、押し出し工程およびしごき工程を含む製造方法により製造されるアルミニウム管は、表面切削することなく無切削管として良好な寸法精度や表面平滑性が得られるうえ、コスト的にも有利な電子写真感光体用の支持体として用いられているが、これらの無切削のアルミニウム管の表面にはササクレ状の凸状欠陥が生じやすく、このような支持体の表面欠陥の隠蔽の観点からも、上記(iii)の構成が好ましい。
【0013】
導電層に用いる導電性材料としては、各種の金属、金属酸化物、導電性ポリマーなどがある。その中でも、抵抗特性に優れる酸化スズ(以下、SnO)には、通常の粉体抵抗率10〜10Ω・cmのものから、SnOの導電性材料の製造時に、酸化アンチモンなどのスズとは異なる価数の金属の化合物や非金属元素などを混合して(ドープして)、粉体抵抗率を1/1000〜1/100000に小さくしたものや、構成元素を増やさずにノンドープでSnOの抵抗をアンチモンドープと同程度に小さくした酸素欠損型SnOの導電性材料がある。
【0014】
酸素欠損型SnOに関連する先行技術として、例えば、特開平07−295245号公報(特許文献1)には、酸素欠損型SnOを導電層に用いる技術が開示されており、特開平06−208238号公報(特許文献2)には、硫酸バリウム粒子に酸素欠損型SnOを被覆して、SnOだけを用いる場合よりも分散性を向上させる技術が開示されており、特開平10−186702号公報(特許文献3)には、酸素欠損型SnOの実施形態までは開示されていないものの、分散性を向上させるために、硫酸バリウム粒子を用いて、その上に白色度を向上させるために、酸化チタン(TiO)を被覆し、さらにその上に導電性を付与するために、SnOを被覆する技術が開示されている。
【0015】
ところで、近年、帯電装置の帯電均一性が向上して、帯電ムラが出力画像に現れないようにするための帯電前除電手段(前露光装置など)の必要性が薄れてきており、省スペース化や低コスト化の観点から、これを省いた構成の電子写真装置のニーズが高まっている。
【0016】
しかしながら、前露光装置などの帯電前除電手段を省いた場合、電子写真感光体の回転周期のゴースト画像(ハーフトーン画像上に、電子写真感光体の1回転前の露光履歴(ベタ黒画像など)が現れる現象)が顕著になる。
【0017】
このゴースト現象は、電子写真感光体で静電潜像を形成するときに、電荷(キャリア)の流れが滞ることが一因と考えられており、導電層がある構成では、導電層がない構成に比べて層数が多いため、その分、電荷(キャリア)の流れが滞りやすくなる。
【0018】
これまでは、前露光装置などの帯電前除電手段を設けて帯電前の電子写真感光体の表面電位を一様に小さくすることによって、ゴースト現象をほぼ消失させることができていたため、ゴースト現象が技術課題としてクローズアップされることが少なかった。すなわち、前露光装置などの帯電前除電手段がない構成の場合に、ゴースト現象が顕著に発生するのである。
【0019】
このようなゴースト現象を導電層の構成で改善する先行技術として、特開平07−271072号公報(特許文献4)では、前述の酸化アンチモンをドープすることによって粉体抵抗率を小さくしたSnOをTiO粒子に被覆した導電性材料として用いる技術が開示されている。さらに、リユース性に乏しいアンチモンドープ型導電性材料に替わって、特開平2005−107177号公報(特許文献5)では、先述の酸素欠損型SnOをTiOに被覆した導電性粒子を用いることで、リユース性を改善するだけでなく、導電層の体積抵抗をより低く制御して導電層の中の電荷(キャリア)の流れをスムーズにする技術が開示されている。
【特許文献1】特開平07−295245号公報
【特許文献2】特開平06−208238号公報
【特許文献3】特開平10−186702号公報
【特許文献4】特開平07−271072号公報
【特許文献5】特開2005−107177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、特許文献5に開示されているように導電層の体積抵抗率が5.0×10〜8.0×10Ω・cmに制御されている場合には、ゴースト現象の発生は抑制されているが、導電層の体積抵抗率が8.0×10Ω・cmを超え、1.0×1011Ω・cm以下である場合にはゴースト現象が発生してしまう。
【0021】
本発明の目的は、支持体表面の欠陥の被覆、感光層の塗工性向上、支持体と感光層との接着性向上、感光層の電気的破壊に対する保護、帯電性の向上、支持体から感光層への電荷注入性の改良を図るために、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に設けてなる電子写真感光体であり、かつ、導電層の体積抵抗率が8.0×10Ω・cmを超え、1.0×1011Ω・cm以下であっても、ゴースト現象の発生が抑制された電子写真感光体を、リユース性に優れた酸素欠損型SnO2を用いて提供することである。
【0022】
また、本発明の目的は、このような電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に設けて設けてなる電子写真感光体であって、該導電層が結着樹脂および導電性粒子を含有する電子写真感光体において、
該導電性粒子が酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子であり、
該導電性粒子の平均粒径が0.20〜0.60μmであり、
該導電層の体積抵抗率が8.0×10Ω・cmを超え1.0×1011Ω・cm以下であり、該電荷発生層がフェノール化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0024】
また、本発明は、上記電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面を帯電するための帯電手段、電子写真感光体の表面の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段、電子写真感光体の表面のトナー像を転写材に転写するための転写手段、および、転写後に該電子写真感光体の表面に残留するトナーをクリーニングするためのクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0025】
また、本発明は、上記電子写真感光体、該電子写真感光体の表面を帯電するための帯電手段、該帯電手段により帯電された電子写真感光体の表面に露光によって静電潜像を形成するための露光手段、該露光手段により形成された電子写真感光体の表面の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段、および、該現像手段により形成された電子写真感光体の表面のトナー像を転写材に転写するための転写手段を有することを特徴とする電子写真装置である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、支持体表面の欠陥の被覆、感光層の塗工性向上、支持体と感光層との接着性向上、感光層の電気的破壊に対する保護、帯電性の向上、支持体から感光層への電荷注入性の改良を図るために、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に設けてなる電子写真感光体であり、かつ、導電層の体積抵抗率が8.0×10Ω・cmを超え、1.0×1011Ω・cm以下であっても、ゴースト現象の発生が抑制された電子写真感光体を、リユース性に優れた酸素欠損型SnOを用いて提供することができる。
【0027】
また、本発明によれば、このような電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0029】
上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に設けてなる電子写真感光体である。
【0030】
本発明では、電荷発生層にフェノール化合物が含有されている。フェノール化合物としては還元性物質を用いることができるが、特に下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物が好ましい。
【0031】
【化1】


(式中、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、置換されてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアシル基の中から選ばれる。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20であり、且つ置換されてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアシル基の中から選ばれる。Xは置換基を有しても良い2価のアルキレン基、炭素−炭素結合間に酸素原子を介しても良い2価のアルキレン基を示す。nは2〜4の整数を示す。Yは水素原子を有してもよい炭素原子または硫黄原子を示す。ただし、nが2のとき、Yは単結合であってもよい。
【0032】
本発明で用いるフェノール化合物は1種類または2種類以上を混合して用いてもよい。
【0033】
フェノール化合物の電荷発生層における含有量は、フェノール化合物(F)と電荷発生物質(G)の質量比G/Fで表すと、2.5〜6.8の範囲であることが好ましい。2.5未満であると、電荷発生層塗布液の安定性が悪くなったり、残留電位が上昇する。6.8を超えると、ゴースト現象発生に対する十分な抑制効果が得られない。
【0034】
本発明のフェノール化合物は、本来、電荷発生層において、電荷発生物質を保護して電荷発生率を維持するとともに、劣化した電荷発生物質による電荷輸送層への電荷注入を抑制して感光体の帯電電位低下を抑制する機能を有することが知られている。ところが、導電層の体積抵抗が従来よりも高く、電荷(キャリア)の流れが停滞することで発生するゴースト現象に対し、電荷発生層に含有されるフェノール化合物が該ゴースト現象の抑制効果を有するという予期せぬ効果を見出し、本発明に至った。
【0035】
本発明に用いることができるフェノール化合物の例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0036】
【化2】


【0037】
【化3】


【0038】
【化4】


【0039】
【化5】


【0040】
【化6】


【0041】
【化7】


【0042】
本発明の導電層は結着樹脂および導電性粒子を含有する。
【0043】
また、本発明では、導電性粒子として、酸素を欠損させることにより低抵抗化(粉体抵抗率で1/10000)を図ったSnOを被覆したTiO粒子を用いた。酸素欠損型SnOは、アンチモンなどの異元素をドープしたSnOに比べてリユース性に優れる。また、低湿環境下での抵抗率の上昇や高湿下での抵抗率の低下が少なく、環境安定性にも優れている。
【0044】
また、本発明に用いられる導電性粒子が、酸素欠損型SnOのみから構成される粒子ではなく、酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子である理由は以下のとおりである。
【0045】
まず、芯材粒子を用いたのは、導電層における導電性粒子の分散性の向上を図るためである。導電性粒子として酸素欠損型SnOのみを用いて導電層用塗布液を作製した場合、特に酸素欠損型SnOの含有比率が高い場合に、酸素欠損型SnOの凝集が発生しやすい。
【0046】
また、芯材粒子としてTiO粒子を用いたのは、酸素欠損型SnOの酸素欠損部位とTiO粒子表面の酸化物部位の親和力により、酸素欠損型SnOの被覆層と芯材の結合が強化されるからであり、また、酸素欠損型SnOの酸素欠損部位が保護されるからである。酸素欠損型は、ドープ型と異なり、酸素存在下で酸化して酸素欠損部位が消失し、導電性が低下(粉体抵抗率が増加)してしまう場合があり、これを防ぐためである。
【0047】
また、芯材粒子であるTiO粒子は、露光光(画像露光光)がレーザー光である場合、レーザー露光の際、支持体表面で反射した光が干渉して出力画像に干渉縞が発生することを抑制することができる。
【0048】
なお、酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の製造方法(酸素欠損型SnOを作製する方法やTiO粒子に酸素欠損型SnOを被覆する方法)は、特開平07−295245号公報や特開平04−154621号公報に開示されている。
また、本発明では、酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子を導電層に含有させる導電性粒子として用いた場合、導電層の体積抵抗率が8.0×10Ω・cmを超え1.0×1011Ω・cm以下であっても、ゴースト現象の発生を抑制できるが、該導電性粒子の平均粒径は0.20〜0.60μmである必要がある。その際、粒度分布上の0.10〜0.40μmの粒子の割合が全粒子の60%以上であることが好ましい。
【0049】
まず、導電層の体積抵抗率に関して説明する。
【0050】
一般に、ゴースト現象は、電子写真感光体で静電潜像を形成するときに、電荷(キャリア)の流れが滞ることが一因と考えられるため、導電層の抵抗は低いことが好ましい。本発明において、ゴースト現象の発生を抑制できる導電層の体積抵抗率は1.0×1011Ω・cm以下である。体積抵抗率が1.0×1011Ω・cmを超えると、電荷発生層に含有されるフェノール化合物によるゴースト現象発生の抑制効果が十分に得られない。一方、導電層の体積抵抗率が8.0×10Ω・cm以下である場合は、電荷発生層にフェノール化合物を含有させなくても特許文献5に開示されている技術でゴースト現象の発生を抑制できる。
【0051】
本発明における導電層の体積抵抗率の測定方法は以下のとおりである。
【0052】
まず、アルミニウムシート上に測定対象の導電層を10〜15μm程度の膜厚で形成し、さらに、この導電層上に金の薄膜を蒸着により形成して、アルミニウムシートと金薄膜の両電極間を流れる電流値をpAメーターで測定した。測定環境は23℃、60RH%であり、印加電圧は0.1Vである。電流値測定開始1分後の安定した値を読み取り、導電層の体積抵抗率を導き出した。
【0053】
導電層の体積抵抗率を上記範囲に収めるためには、導電性粒子である酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の粉体抵抗率は、0.01〜500Ω・cmであることが好ましく、特には1〜250Ω・cmであることがより好ましい。粉体抵抗率が高すぎると導電層の体積抵抗率を上記範囲の収めることが難しくなり、一方、粉体抵抗率が低すぎると帯電能が低下する場合がある。
【0054】
粉体抵抗率が上記範囲にある酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子を安定して得るためには、該粒子を製造する際の原材料配合比率を制御すればよい。例えば、スズ原材料から100%のSnOが得られると計算して、酸素欠損型SnOを被覆したTiOに対して30〜80質量%のSnOを生成するのに必要なスズ原材料を該粒子製造時に配合すればよい。換言すれば、TiOへの酸素欠損型SnOの被覆率は30〜80質量%が好ましい。
【0055】
本発明における粉体抵抗率の測定方法は以下のとおりである。
【0056】
測定装置は、三菱化学(株)製の抵抗測定装置ロレスタAP(LorestaAp)を用いた。測定対象の粉体(=粒子)は、500kg/cmの圧力で固めて、ペレット状の測定用サンプルとした。測定環境は23℃、60%RHであり、印加電圧は100Vである。
【0057】
次に、導電性粒子である酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の平均粒径に関して説明する。
【0058】
導電層の組成が同一であっても、導電性粒子の平均粒径が大きくなるにしたがって該導電性粒子の粉体抵抗率が低下し、それとともに、導電層の体積抵抗率が低下する。
【0059】
導電性粒子である酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の平均粒径が0.20μm未満の場合、導電層の体積抵抗率を上記範囲の収めるには、導電性粒子の使用量を増やす必要があるが、導電性粒子の使用量を増やした場合、導電層表面で反射した光が干渉して出力画像に干渉縞が発生することを抑制するために好適な導電層の表面粗さ(Rzjis:1.0〜3.0μm)を達成することが難しくなる。なお、Rzjisとは、JISB0601(1994年)でRzと定義されていたものである。JISB0601は、2001年の規格改訂でRzが改訂され、1994年時のRy(最大高さ)に置き換わった。1994年時のRzは区別のために、2001年にRzjisと名称変更された。さらに、導電性粒子の使用量を増やした場合、干渉縞の発生だけでなく、導電層の膜厚を厚くするとクラックが発生しやすくなり、成膜性が低下する場合がある。
【0060】
一方、導電性粒子である酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の平均粒径が0.60μmを超える場合、導電層の体積抵抗率を上記範囲の収めることは可能であるが、導電層表面が極端に荒れてしまい、感光層への局所的な電荷注入が起こりやすくなり、出力画像中の白地におけるポチが目立つようになる。また、ゴースト現象発生の抑制効果は薄くなる。
【0061】
本発明における平均粒径、粒度分布の測定方法は以下のとおりである。
【0062】
分散粒子は導電性粒子のみの組成の導電層用塗布液を液相沈降法にて測定した。具体的には、導電層用塗布液をそれに用いた溶剤で希釈して、(株)堀場製作所製の超遠心式自動粒度分布測定装置(CAPA700)を用いて平均粒径、粒度分布を測定した。
【0063】
本発明において、導電層は、平均粒径0.20〜0.60μmの酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子を結着樹脂および溶剤とともに分散して得られる導電層用塗布液を支持体上に塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機などを用いた方法が挙げられる。
【0064】
導電層用塗布液に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールや、アセトン、メチルエチルケトン、シクロへキサノンなどのケトンや、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルや、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステルや、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
導電層の膜厚は、ゴースト現象の発生を抑制するという観点から0.1〜15μmであることが好ましいが、支持体の表面欠陥を確実に隠蔽するために導電層の膜厚を15〜25μmにしても本発明においてはゴースト現象の発生を抑制することができる。
【0065】
なお、本発明において、導電層を含む電子写真感光体の各層の膜厚は、(株)フィッシャーインストルメンツ社製のFISHERSCOPE mmsで測定した。
【0066】
導電層の結着樹脂としては、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリビニールアセタール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは1種または2種以上用いることができる。また、各種樹脂の中でも、他層へのマイグレーション(溶け込み)の抑制、支持体への密着性、導電性粒子の分散性・分散安定性、成膜後の耐溶剤性などの観点から、導電層の結着樹脂は硬化性樹脂が好ましく、特には熱硬化性樹脂がより好ましい。具体的には、熱硬化性フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂などが好ましい。
【0067】
また、導電性粒子(P)である平均粒径0.20〜0.60μmの酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子と結着樹脂(B)との質量比(P/B)は、2.3〜3.3である。P/Bが3.5〜6.0のように大きい範囲では、導電層の体積抵抗率が低く制御でき、ゴースト現象発生の抑制できることは参考文献5で開示されている。P/Bが2.3より小さすぎると、導電層の体積抵抗率を上記範囲に収めることが難しくなり、P/Bが6.0よりも大きすぎると、導電層における平均粒径0.20〜0.60μmの酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の結着が難しくなる。
【0068】
また、導電層表面で反射した光が干渉して出力画像に干渉縞が発生することを抑制するために、導電層に、結着樹脂および平均粒径0.20〜0.60μmの酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子に加えて、導電層表面を粗面化するための表面粗し付与材を添加することも可能である。表面粗し付与材としては、平均粒径1〜3μmの樹脂粒子が好ましく、例えば、硬化性ゴム、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アクリル−メラミン樹脂などの硬化性樹脂の粒子などが挙げられる。これらの中でも、凝集しにくいシリコーン樹脂の粒子が好ましい。樹脂粒子の比重(0.5〜2)は、酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の比重(4〜7)に比べて小さいため、導電層形成時に効率的に該導電層の表面を粗面化することができる。ただし、導電層中の表面粗し付与材の含有量が多いほど、導電層の体積抵抗率が上昇する傾向にあるため、導電層の体積抵抗率を上記範囲に収めるためには、導電層中の表面粗し付与材の含有量は、導電層中の結着樹脂に対して15〜35質量%であることが好ましい。
【0069】
また、導電層の表面性を高めるためにレベリング剤を添加してもよく、また、導電層の隠蔽性を向上させるために、顔料粒子を導電層に含有させてもよい。
【0070】
導電層から感光層への電荷注入を阻止するために、電気的バリア性を有する中間層を導電層と感光層との間に設ける必要があるが、中間層の体積抵抗率は1.0×10〜1.0×1013Ω・cmであることが好ましい。中間層の体積抵抗率が小さすぎると、電気的バリア性が乏しくなり、導電層からの電荷注入に起因するポチやカブリの発生が顕著になる傾向にある。一方、中間層の体積抵抗率が大きすぎると、画像形成時に電荷(キャリア)の流れが滞り、残留電位の上昇(電位安定性の欠如)が顕著になる傾向にある。
【0071】
本発明における中間層の体積抵抗率の測定方法は以下のとおりである。
【0072】
まず、アルミニウムシート上に測定対象の中間層を2〜5μm程度の膜厚で形成し、さらに、この中間層上に金の薄膜を蒸着により形成して、アルミニウムシートと金薄膜の両電極間を流れる電流値をpAメーターで測定した。測定環境はRH%であり、印加電圧は100Vである。電流値測定開始1分後の安定した値を読み取り、中間層の体積抵抗率とした。
【0073】
中間層は、結着樹脂を含有する中間層用塗布液を導電層上に塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
【0074】
中間層の結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼイン、でんぷんなどの水溶性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリグルタミン酸エステル樹脂などが挙げられる。電気的バリア性を効果的に発現させるためには、また、塗工性、密着性、耐溶剤性、抵抗などの観点から、中間層の結着樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂などが好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンなどが好ましい。また、中間層の膜厚は0.1〜2μmであることが好ましい。
【0075】
また、中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、中間層には、電子輸送物質(アクセプターなどの電子受容性物質)を含有させてもよい。
【0076】
次に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
【0077】
図1に示すように、本発明の電子写真感光体は、支持体101上に導電層102、中間層103、感光層104(電荷発生層1041、電荷輸送層1042)をこの順に有する電子写真感光体である。
【0078】
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層104であっても(図1(a)参照)、電荷発生物質を含有する電荷発生層1041と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層1042とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよいが、電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体101側から電荷発生層1041、電荷輸送層1042の順に積層した順層型感光層(図1(b)参照)と、支持体101側から電荷輸送層1042、電荷発生層1041の順に積層した逆層型感光層(図1(c)参照)があるが、電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。
【0079】
また、感光層104(電荷発生層1041、電荷輸送層1042)上に、保護層105を設けてもよい(図1(d)参照)。
【0080】
支持体としては、導電性を有するもの(支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属製の支持体を用いることができる。アルミニウム、アルミニウム合金の場合は、押し出し工程および引き抜き工程を含む製造方法により製造されるアルミニウム管や、押し出し工程およびしごき工程を含む製造方法により製造されるアルミニウム管や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解および研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理したものも用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体や樹脂製支持体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン樹脂など)を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を樹脂や紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックなどを用いることもできる。
【0081】
導電層の電荷(キャリア)をアースに流すためには、導電性の支持体の体積抵抗率は、1.0×1010Ω・cm以下であることが好ましい。また、支持体の表面が導電性を付与するために設けられた層を有する場合においても、その層の体積抵抗率は、1.0×1010Ω・cm以下であることが好ましい。
【0082】
なお、支持体が非導電性の支持体である場合には、本発明の電子写真感光体の導電層からアースを取る構成を採る必要がある。
【0083】
支持体上には導電層が設けられ、導電層上には中間層が設けられる。導電層および中間層に関しては上述のとおりである。
【0084】
中間層上には感光層が設けられる。
【0085】
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、シアニン染料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどの金属フタロシアニンが好ましい。
【0086】
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられる。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
【0087】
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂、フェノール化合物および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、10:1〜1:10(質量比)の範囲が好ましく、特には3:1〜1:1(質量比)の範囲がより好ましい。
【0088】
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
【0089】
電荷発生層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
【0090】
また、電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
【0091】
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターなどの電子受容性物質)を含有させてもよい。
【0092】
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリルメタン化合物などが挙げられる。
【0093】
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和樹脂などが挙げられる。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
【0094】
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
【0095】
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタンなどのエーテル、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン原子で置換された炭化水素などが用いられる。
【0096】
電荷輸送層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
【0097】
電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが帯電均一性および電界強度の観点からより好ましい。
【0098】
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
【0099】
感光層が単層型感光層である場合、該単層型感光層は、上記電荷発生物質および上記電荷輸送物質を上記結着樹脂および上記溶剤と共に分散して得られる単層型感光層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
【0100】
また、感光層上には、該感光層を保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は、上述した各種結着樹脂を溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
【0101】
保護層の膜厚は0.5〜10μmであることが好ましく、特には1〜5μmであることが好ましい。
【0102】
図2に、本発明のプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
【0103】
図2において、1はドラム状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0104】
回転駆動される電子写真感光体1の周面は、帯電手段3により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。帯電手段3に印加する電圧は、直流電圧のみであってもよいし、交流電圧を重畳した直流電圧であってもよい。
【0105】
電子写真感光体1の周面に形成された静電潜像は、現像手段5のトナーにより現像されてトナー画像となる。次いで、電子写真感光体1の周面に形成担持されているトナー画像が、転写手段(転写ローラー)6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
【0106】
トナー画像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の周面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0107】
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光11により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図2に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどの接触帯電部材を用いた接触帯電手段である場合、その構成は、例えば、導電性の支持体と、その上(外周)に形成された弾性層と、さらにその上(外周)に形成された表面層から構成される。また、連続通紙時のトナー、トナー外添剤および紙粉の付着による帯電ローラー汚れに伴う画像ムラ抑制の点から、帯電ローラーの表面粗さは、5μm以下であることが好ましい。
【0108】
なお、転写手段として、例えば、ベルト状やドラム状などの中間転写体を用いた中間転写方式の転写手段を採用してもよい。ベルト状の中間転写体(中間転写ベルト)を用いる場合は、その体積抵抗率は1.0×10〜8.0×1013Ω・cmが好ましい。
【0109】
上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図2では、電子写真感光体1と、接触帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
【実施例】
【0110】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0111】
(実施例1)
押し出し・引き抜き工程により製造された、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体とした。この支持体のRzjisを測定したところ、0.8μmであった。
【0112】
本発明において、Rzjisの測定は、JIS−B0601(1994)に準じ、(株)小坂研究所製の表面粗さ計サーフコーダーSE3500を用い、送り速度0.1mm/s、カットオフλc0.8mm、測定長さ2.50mmの設定で行った。
次に、導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率400Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は50%)7.41部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:J−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)4.12部、溶剤としてのメトキシプロパノール8.60部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調整した。
【0113】
この分散液における酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の平均粒径は0.20μmであった。
【0114】
この分散液に、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)0.5部、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調整した。
【0115】
この導電層用塗布液を、23℃、60%RH環境下で、支持体上に浸漬塗布し、これを30分間140℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が4μmの導電層を形成した。導電層表面のRzjisを測定したところ、0.9μmであった。
【0116】
また、別途、この導電層用塗布液をマイヤーバーでアルミニウムシート上に膜厚4μmの厚さに塗布し、これを乾燥させることによって、導電層体積抵抗率測定用サンプルを作製した。この導電層上に金の薄膜を蒸着により形成して、導電層の体積抵抗率を測定したところ、1.0×10Ω・cmであった。
【0117】
次に、導電層上に、N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)2部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して得られた中間層用塗布液を浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
【0118】
また、別途、この中間層用塗布液をマイヤーバーでアルミニウムシート上に膜厚3μmの厚さに塗布し、これを乾燥させることによって、中間層体積抵抗率測定用サンプルを作製した。この中間層上に金の薄膜を蒸着により形成して、中間層の体積抵抗率を測定したところ、5.0×1011Ω・cmであった。
【0119】
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部、表1のF−8で示されるフェノール化合物2部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
【0120】
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
【0121】
次に、下記式で示される構造を有するアミン化合物10部、および、
【0122】
【化8】


【0123】
ポリカーボネート樹脂(商品名:Z400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)10部を、ジメトキシメタン30部/クロロベンゼン70部の混合溶媒に溶解して、電荷輸送層用塗布液を調製した。
【0124】
この電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、これを30分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が17μmの電荷輸送層を形成した。
【0125】
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
【0126】
作製した電子写真感光体を、15℃、10%RHの環境下にて、前露光ユニットの電源を切った状態のキヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510に装着して、初期と4000枚通紙耐久後の画像の評価を行った。詳しくは以下のとおりである。
【0127】
LBP−2510のシアン色用のプロセスカートリッジに作製した電子写真感光体を装着して、シアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。
【0128】
通紙時は各色の印字率2%の文字画像をレター紙にて20秒毎に1枚出力する間欠モードでフルカラープリント操作を行い、4000枚の画像出力を行った。
【0129】
そして、評価開始時と4000枚終了時に3枚(ベタ白、ゴーストチャート、ベタ黒、桂馬パターンのハーフトーン画像)の画像評価用のサンプルを出力した。
【0130】
なお、ゴーストチャートとは、プリント画像書き出し(紙上端10mm)位置から30mmの範囲をベタ白背景に25mm四方のベタ黒の正方形を等間隔かつ平行にプリント画像書き出し位置に4つ並べ、プリント画像書き出し位置から30mm以降は、桂馬パターンのハーフトーン(将棋の桂馬パターン(6マスに2ドット印字するパターン)を繰り返すハーフトーン画像)を印字するチャートである。
【0131】
ゴーストの評価結果は、ゴーストチャートから以下のように分類した。
A:ゴーストが全くなし、B:ゴーストがほとんどなし、C:ゴーストがわずかに観測される、D:ゴーストが観測される、E:ゴーストがはっきりわかる。
【0132】
干渉縞の有無は、桂馬パターンのハーフトーン画像から以下のように分類した。
A:干渉縞が全くなし、B:干渉縞がわずかに観測される、C:干渉縞が観測される。
【0133】
カブリ、ポチに関しては、ベタ白画像から評価した。カブリ、ポチの発生がない場合は無記載である。
【0134】
また、画像評価用のサンプルを出力後、電子写真感光体の表面電位を測定するための装置(プロセスカートリッジの現像ローラー位置に電子写真感光体の表面電位測定用のプローブを設置した装置(トナー、現像ローラー類、クリーニングブレードは外した))に、電子写真感光体を装着し、LBP−2510の静電転写ベルトユニットを外した状態でゴースト電位を測定した。
【0135】
ゴースト電位の測定方法は以下のとおりである。
【0136】
まず、レター紙サイズのゴースト電位測定用チャート(プリント画像書き出し(紙上端10mm)位置から25mmの範囲をベタ黒で、プリント画像書き出し位置から25〜30mmの範囲をベタ白で、プリント画像書き出し位置から30mm以降は、桂馬パターンのハーフトーンの繰り返し)の印字モードを、非通紙にて、シアンのプロセスカートリッジのステーションで電子写真感光体の表面電位を測定した。
【0137】
次に、ベタ黒1回転後のハーフトーン電位とその前後のハーフトーン電位の差(ベタ黒1回転後のハーフトーン電位はベタ黒1回転後の直前直後のハーフトーン電位より小さい)をゴースト電位とした。
【0138】
結果を表1に示す。
【0139】
(実施例2〜7)
実施例1において、電荷発生層のフェノール化合物をF−3、F−9、F−11、F−12、F−15、F−17にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0140】
(実施例8)
実施例1において、以下の点を変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0141】
導電層の導電性粒子である酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の使用量を6.89部に、導電層の結着樹脂であるフェノール樹脂の使用量を4.98部に変更した。その結果、導電層表面のRzjisは0.7μmになり、導電層の体積抵抗率は8.4×1010Ω・cmとなった。
【0142】
(実施例9)
実施例1において、以下の点を変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0143】
導電層の導電性粒子である酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の使用量を7.82部に、導電層の結着樹脂であるフェノール樹脂の使用量を3.42部に変更した。その結果、導電層表面のRzjisは1.2μmになり、導電層の体積抵抗率は8.6×10Ω・cmとなった。
【0144】
(実施例10)
実施例8において、以下の点を変更した以外は、実施例8と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0145】
導電層の導電性粒子の粉体抵抗率を35Ω・cmにし、SnOの被覆率(質量比率)を76%に変更した。この酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の平均粒径は0.57μmであった。その結果、導電層表面のRzjisは1.6μmに、導電層の体積抵抗率は8.2×10Ω・cmとなった。
【0146】
(実施例11)
実施例8において、以下の点を変更した以外は、実施例8と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0147】
導電層の導電性粒子の粉体抵抗率を75Ω・cmにし、SnOの被覆率(質量比率)を58%に変更した。この酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の平均粒径は0.47μmであった。その結果、導電層表面のRzjisは1.4μmに、導電層の体積抵抗率は4.5×10Ω・cmとなった。
【0148】
(実施例12)
実施例11において、電荷発生層のフェノール化合物の使用量を4.00部に変更した以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0149】
(実施例13)
実施例11において、電荷発生層のフェノール化合物の使用量を1.47部に変更した以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0150】
(実施例14)
実施例12において、電荷発生層のフェノール化合物をF−11に変更した以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0151】
(実施例15)
実施例13において、電荷発生層のフェノール化合物をF−11に変更した以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0152】
(実施例16)
実施例14において、導電層の膜厚を9μmに、電荷発生層のフェノール化合物の使用量を2.00部に変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
その結果、導電層表面のRzjisは1.5μmとなった。
【0153】
(実施例17)
実施例14において、導電層の膜厚を10μmに変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
その結果、導電層表面のRzjisは1.6μmとなった。
【0154】
(実施例18)
実施例14において、導電層の膜厚を19μmに変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
その結果、導電層表面のRzjisは2μmとなった。
【0155】
(実施例19)
実施例14において、導電層の膜厚を25μmに変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
その結果、導電層表面のRzjisは2.3μmとなった。
【0156】
(実施例20)
実施例11において、以下の点を変更した以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0157】
まず、支持体として、以下の条件でJIS−A3003のアルミニウムシリンダーに湿式ホーニング処理を施したものに変更した。ホーニング処理には、(株)不二精機製造所製の湿式ホーニング装置を用いた。その結果、表面のRzjisが2.0μmとなった。
−ホーニング条件−
研磨材砥粒:平均粒径30μmの球状アルミナビーズ(商品名:CB−A30S、昭和電工(株)製)
懸濁媒体:水
研磨材砥粒/懸濁媒体=1/9(体積比)
アルミニウムシリンダーの回転数:1.67s−1
エアー吹き付け圧力:0.165MPa
ガンの移動速度:13.3mm/s
ガンノズルとアルミニウムシリンダーとの距離:180mm
研磨材砥粒の吐出角度:45°
研磨液(研磨材砥粒および懸濁媒体)投射回数:1回
また、導電層の膜厚を2μmに変更した。以上の結果、導電層表面のRzjisは1.8μmとなった。
【0158】
(比較例1)
実施例1において、電荷発生層にフェノール化合物を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0159】
(比較例2)
実施例1において、以下の点を変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0160】
導電層の導電性粒子である酸素欠損型SnOを被覆した硫酸バリウム粒子(粉体抵抗率950Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は32%)の使用量を7.90部に、導電層の結着樹脂であるフェノール樹脂の使用量を3.30部に変更し、導電層の膜厚を6μmに変更した。この酸素欠損型SnOを被覆した硫酸バリウム粒子の平均粒径は0.19μmであった。その結果、導電層表面のRzjisは0.85μmになり、導電層の体積抵抗率は6.0×10Ω・cmとなった。さらに、電荷発生層にフェノール化合物を使用しなかった。
【0161】
(比較例3)
実施例1において、以下の点を変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
導電層の導電性粒子である10質量%の酸化アンチモンをドープしたSnOを被覆したTiO2粒子(粉体抵抗率10Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は50%)の使用量を7.90部に、導電層の結着樹脂であるフェノール樹脂の使用量を3.30部に変更した。この酸化アンチモンをドープしたSnOを被覆したTiO粒子の平均粒径は0.63μmであった。その結果、導電層表面のRzjisは1.60μmになり、導電層の体積抵抗率は5.0×10Ω・cmとなった。さらに、電荷発生層にフェノール化合物を使用しなかった。
【0162】
【表1】


【0163】
以上の結果からわかるように、本発明によれば、支持体表面の欠陥の被覆、感光層の塗工性向上、支持体と感光層との接着性向上、感光層の電気的破壊に対する保護、帯電性の向上、支持体から感光層への電荷注入性の改良を図るために、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に設けてなる電子写真感光体であり、かつ、導電層の体積抵抗率が8.0×10Ω・cmを超え、1.0×1011Ω・cm以下であっても、ゴースト現象の発生が抑制された電子写真感光体を、リユース性に優れた酸素欠損型SnOを用いて提供することができる。
【0164】
また、本発明によれば、このような電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の電子写真感光体の層構成の例を示す。
【図2】本発明のプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
【符号の説明】
【0166】
101 支持体
102 導電層
103 中間層
104 感光層
1041 電荷発生層
1042 電荷輸送層
105 保護層
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段(一次帯電手段)
4 露光光(画像露光光)
5 現像手段
6 転写手段(転写ローラー)
7 クリーニング手段(クリーニングブレード)
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
11 前露光光
P 転写材(紙など)




 

 


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