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発明の名称 シリコーンゴムローラ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−11407(P2007−11407A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2006−271759(P2006−271759)
出願日 平成18年10月3日(2006.10.3)
代理人 【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三
発明者 五月女 修 / 岸野 一夫 / 高橋 正明 / 川元 英雄 / 太田 光弘 / 石塚 二郎
要約 課題
定着部材、加圧部材、及びジメチルシリコーンオイルからなる離型オイルの塗布手段を少なくとも有する加熱加圧定着装置に用いられる、トナーのオフセットを防止でき、離型寿命が長く、ローラー傷の発生の少ないシリコーンゴムローラを提供する。

解決手段
貯蔵弾性率E’が1.0×10dyn/cmよりも大きく1.5×10dyn/cmよりも小さな範囲にあり、損失弾性率E”が1.0×10dyn/cmよりも大きく7.5×10dyn/cmよりも小さな範囲にあり、塩化第二鉄を含有するジメチルシリコーンゴムを少なくとも表面に有することを特徴とするシリコーンゴムローラ。
特許請求の範囲
【請求項1】
貯蔵弾性率E’が1.0×10dyn/cmよりも大きく1.5×10dyn/cmよりも小さな範囲にあり、損失弾性率E”が1.0×10dyn/cmよりも大きく7.5×10dyn/cmよりも小さな範囲にあり、塩化第二鉄を含有するジメチルシリコーンゴムを少なくとも表面に有することを特徴とするシリコーンゴムローラ。
【請求項2】
前記ジメチルシリコーンゴムが、
(A)(a)一分子中にビニル基を2個以上有し、分岐状オルガノポリシロキサンを50乃至70重量%と、(b)25℃における粘度が10000Pa・s以上の、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサン30乃至50重量%、を含むポリシロキサン混合物、
(B)一分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(C)白金系触媒、および
(D)(A)+(B)+(C)の合計量に対して、鉄成分基準で3乃至300ppmとなるだけの量の塩化第二鉄、
の少なくとも(A)+(B)+(C)+(D)の成分を有する付加型液状シリコーンゴムを付加重合して得られたジメチルシリコーンゴム、である請求項1記載のシリコーンゴムローラ。
【請求項3】
前記ジメチルシリコーンゴムが、
(A)(a)一分子中にビニル基を2個以上有する分岐状オルガノポリシロキサンを50乃至70重量%と、(b)25℃における粘度が10000Pa・s以上の、両末端ビニル基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサン30乃至50重量%、を含むポリシロキサン混合物、
(B)一分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(C)白金系触媒、
(D)(A)+(B)+(C)の合計量に対して、鉄成分基準で3乃至300ppmとなるだけの量の塩化第二鉄、および
(E)(A)+(B)+(C)+(D)の合計量100重量部に対して、5乃至20重量部となるだけの量のジメチルシリコーンオイル、
の少なくとも(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の成分を有する付加型液状シリコーンゴムを付加重合して得られたジメチルシリコーンゴム、である請求項1記載のシリコーンゴムローラ。
【請求項4】
該シリコーンゴムローラが、ジメチルシリコーンオイルからなる離型オイルの定着ローラへの塗布手段を有するトナー画像の加熱加圧定着装置において、加圧ローラと協働してトナー画像を定着させるために用いられる定着ローラである請求項1乃至3の何れかに記載のシリコーンゴムローラ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザービームプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に用いられるシリコーンゴムローラに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機及びレーザービームプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置は、トナーを記録シート上へ永久画像として定着させるための定着装置を有している。この定着装置は、加熱されたローラとローラや、フィルムとローラ、ベルトとローラといった一対の加熱部材と加圧部材間で加圧した形態を成しているのが一般的である。この加熱加圧された部材間を、未定着のトナー画像が表面に形成された記録シートが通過することにより、記録シート上にはトナーが永久画像として定着される。記録シートとしては、一般には、紙、又は、OHPトランスペアレンシーシート等が用いられる。このような、トナーを永久画像として定着する装置は、一般に加熱加圧定着装置、または、加熱定着装置、トナー定着装置等、又は単に定着装置と呼ばれる。
【0003】
加熱加圧定着装置の中でも、一対の加熱・加圧部材が何れもローラであるものは、ローラ式加熱加圧定着装置、又はローラ定着装置と呼ばれる。加熱加圧定着装置の中で、未定着のトナー画像に直接接する側の部材は定着部材と呼ばれ、他方は加圧部材と呼ばれる。
【0004】
加熱加圧定着装置の、定着部材及び加圧部材の最外層は表層と呼ばれる。表層は、直接にトナー画像や記録シートに接触するため、表層の機能や性能が永久画像の画質等に対して大きな影響を及ぼす。
【0005】
表層に求められる機能・性能の中でも、最も重要なもののひとつに、トナー離型性が挙げられる。トナー離型性とは、表層へのトナーの付着のし難さのことを指している。未定着のトナー画像から表層へトナーが付着することは、一般にはトナーオフセット、又は単にオフセット等と呼ばれる。
【0006】
例えば、定着ローラの表層のトナー離型性が悪い、すなわち、表層にトナーが付着しやすい場合には、未定着トナー画像からトナーオフセットが生じ、永久画像においては、トナーの抜け等が生じ、画質を悪化させる。また、オフセットしたトナーが、次の未定着トナー画像に対して定着してしまい、トナー汚れや、オフセット画像等と呼ばれる画像不良を生じる原因となる。更に、トナーオフセットは、定着ローラに当接した部品が存在する場合に、この当接部品に対してオフセットしたトナーが固着してしまい、表層を傷つけたり、部品機能を損なうような問題をも引き起こす原因となる。
【0007】
更に、加圧部材の表層のトナー離型性が悪い場合には、両面画像形成を行なう場合に問題を生じる場合がある。この両面画像形成は、第一面目の画像を形成した加熱加圧定着済みの記録シートを、自動または手動により第二面目へ画像を形成出来得るように反転させ、第二面目のトナー画像を記録シート上に形成し、再び加熱加圧定着を行うのが一般的である。このため、第二面目トナー画像定着時に、既に定着された第一面目永久画像が加圧部材の表層に接するため、第一面目永久画像のトナーが一部加圧部材にオフセットして、画質の悪化や、加圧部材への記録シートの巻き付き等の問題を生じる。
【0008】
特に、フルカラー複写機やフルカラーレーザービームプリンター等の、フルカラー画像形成装置では、モノクロの画像形成装置に比べて、表層には特に高いトナー離型性が要求される。なぜなら、フルカラー画像形成装置においては、多色のトナーが二層〜四層の層を形成しているために、使用されるトナーには、加熱した際の溶融性、及び混色性が良好であることが要求され、軟化点が低く、かつ溶融粘度の低いシャープメルト性のトナーが用いられるからである。このようなトナーは、シャープメルト性カラートナー、シャープメルト性トナー等、又は単にカラートナー等と呼ばれる。
【0009】
上記のような問題を解決するため、定着部材の表層には、フッ素樹脂、あるいはシリコーンゴム等のトナー離型性が良く、かつ、耐摩耗性および耐熱性に優れた材料が用いられるのが一般的である。
【0010】
特にカラー複写機の加熱加圧定着装置においては、色再現性の向上などの高画質化の要求のために、定着部材の表層のトナー離型性が悪化するような苛酷な条件下で使用されるので、表層には特にトナー離型性に優れたシリコーンゴムが、用いられる傾向にある。
【0011】
また、カラー複写機以外の電子写真画像形成装置においても、トナー離型性の向上を重視する場合には、上記同様の理由から、定着部材の表層にはシリコーンゴムが好んで用いられる。
【0012】
従来の定着部材の表層に関する発明においては、トナー離型性、耐摩耗性および耐熱性の向上を目指しているものが幾つか見られる。
【0013】
特開平05−214250号公報によれば、シリコーンゴムの補強材として、例えば分岐状オルガノポリシロキサンを配合して、これを定着部材の表層として用いることにより、トナー離型性と物理的強度の向上を図っている。
【0014】
特開平07−311508号公報によれば、定着部材の表層に、例えば分岐状ジメチルポリシロキサンと無機微粉体を含む付加型ジメチルシリコーンゴムを用いることにより、より一層の物理的強度とトナー離型性の向上に対し、その両立を図っている。
【0015】
しかしながら、カラー複写機において、これらの材料を定着部材の表層に用いる場合には、加熱加圧定着装置には、トナー離型性の確保のために、表層表面に均一に離型オイルを塗布する手段が必要不可欠である。一般に、表層が上記のようなジメチルシリコーンゴムからなる場合、25℃における粘度が100〜1000cSであるジメチルシリコーンが離型オイルとして用いられる。また、表層が上記ジメチルシリコーンゴムである定着部材を用いた加熱加圧定着装置においては、離型オイルの表層表面へのオイル塗布量は、トナー離型性の確保のために40mg/621cm(A4相当)以上が必要である。
【0016】
一方で、このような離型オイルの塗布は、特にOHPフィルムシートのコピーにおいて、シートのオイルべたつきという問題を含んでいる。上記加熱加圧定着装置のように、離型オイルの塗布量が40mg以上であるような場合には、OHPフィルムシートのオイルべたつきが顕著に確認され、実用上問題となる場合がある。このべたつきの問題を解決するには、離型オイルの塗布量の低減が必須であり、また、このような従来よりも少量の離型オイル塗布条件下での定着ローラーの表層のトナー離型性の確保が要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明においては、トナー離型性および物理的強度の長期安定性に優れたシリコーンゴムローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によるシリコーンゴムローラは、貯蔵弾性率E’が1.0×10dyn/cmよりも大きく1.5×10dyn/cmよりも小さな範囲にあり、損失弾性率E”が1.0×10dyn/cmよりも大きく7.5×10dyn/cmよりも小さな範囲にあり、塩化第二鉄を含有するジメチルシリコーンゴムを表層に有することを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係るシリコーンゴムローラが、ジメチルシリコーンオイルの低塗布量のもとで、良好なトナー離型性を長期間保持できることについては次のように説明される。
【0020】
本発明者らは、定着部材の表層のジメチルシリコーンゴムのトナー離型性と動的粘弾性との相関について注目した。まず、トナー離型性を、未使用の表層のトナー離型性を示す初期離型性と、表層使用毎のトナー離型性の低下の速さを示す離型低下速度の2つの因子に分離した。次に、表層の動的粘弾性を、弾性項を示す貯蔵弾性率E’と、粘性項を示す損失弾性率E”の2つの因子に分離した。貯蔵弾性率と損失弾性率は、実施例にて後述する方法により測定した。これら4つの因子の相関を解析したところ、貯蔵弾性率を小さくすることにより離型低下速度が小さくなる傾向があり、損失弾性率を小さくすることにより初期離型性が大きくなる傾向があることが明らかとなった。ここで、離型寿命を、オフセット画像が発生するまでの寿命であると定義すれば、初期離型性を大きくし、離型低下速度を小さくすることにより離型寿命が永くなることから、貯蔵弾性率および損失弾性率を小さくすることにより、離型寿命は相乗的に永くなるという知見が得られる。つまりこれは、トナー離型性に優れたジメチルシリコーンゴムを得ることができることを意味している。
【0021】
以上のようなトナー離型性の知見に基づき、離型オイルであるジメチルシリコーンオイルの塗布量が1mg〜20mg/A4である場合には、表層であるジメチルシリコーンゴムの貯蔵弾性率は1.5×10dyn/cmよりも小さくすることにより、長期の離型寿命を示し、トナー離型性に優れたジメチルシリコーンゴムが得られることを見出した。一方、損失弾性率は7.5×10dyn/cmよりも小さくすることにより、長期の離型寿命を示す。トナー離型性に優れたジメチルシリコーンゴムが得られることを見出した。
【0022】
また、物理的強度の点から、貯蔵弾性率と損失弾性率は、ある下限値よりも大きな値で使用されなければならない。即ち、ジメチルシリコーンゴムの場合、表層としては、貯蔵弾性率が1×10dyn/cmよりも大きく、かつ損失弾性率が1.0×10dyn/cm2よりも大きなジメチルシリコーンゴムであることを見出した。
【0023】
以上の知見に基づき、画像を加熱加圧定着させる装置であり、少なくとも定着部材、及び定着部材へ離型オイルを塗布する手段を有した該加熱加圧定着装置において、離型オイルがジメチルシリコーンオイルであり、その塗布量が1〜20mg/A4(621cm)であって、少なくとも定着部材の表層がジメチルシリコーンゴムであり、該ジメチルシリコーンゴムの170℃における貯蔵弾性率E’が次式、
1×10dyn/cm<E’<1.5×10dyn/cm
の範囲にあり、かつ170℃における損失弾性率E”が次式、
1.0×10dyn/cm<E”<7.5×10dyn/cm
の範囲にあることを特徴とした加熱加圧定着装置を用いることにより、OHPトランスペアレンシーシートのオイルべたつきの低減を実現できる程に少ない量の離型オイル量を実現し、かつ、それ程の少ない離型オイル塗布量であっても、優れたトナー離型性を示すことのできる表層を有した定着部材から成る加熱加圧定着装置を提供することができるものである。
【0024】
本発明に係る定着装置に用いる定着部材の少なくとも表面を形成するジメチルシリコーンゴムは、付加型液状シリコーンゴムを付加重合して生成されるものが好ましく、次の組成の付加型液状シリコーンゴムが好適である。
(A)(a)一分子中にビニル基を2個以上有し、分岐状ポリシロキサンセグメントを有するオルガノポリシロキサンを50〜70重量%と、(b)25℃における粘度が10000Pa・s以上の、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサン30〜50重量%、を含むポリシロキサン混合物、
(B)一分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(C)白金系触媒、および
(D)(A)+(B)+(C)の合計量に対して、鉄成分基準で3〜300ppmとなるだけの量の塩化第二鉄、
(A)(a)成分のオルガノポリシロキサンは物理的強度を高める。
(A)(b)成分の直鎖状ポリジメチルシロキサンはトナー離型性を高める、(A)(a)成分と(A)(b)成分の混合物において、(A)(b)成分の割合は、トナー離型性を高める上で、30重量%以上とし、物理的強度を低下させない点で50%以下とする。また、(A)(b)成分の25℃における粘度が10000Pa・s以上である場合にトナー離型性が良好になる。
(B)成分のオルガノポリシロキサンは、上記(A)成分の混合物を硬化させるための架橋剤であり、望まれる硬化が十分に行われる量配合される。
(C)成分である白金系触媒は、(A)、(B)成分を付加架橋反応させるための触媒である。
(D)成分である塩化第二鉄は、硬化後のジメチルシリコーンゴムにおいて、物理的強度の変化が少なく、また、動的粘弾性の変化も少ないジメチルシリコーンゴムを得るために有効な成分であり、その効果が適切に発揮されるように、3ppm以上を必要とし、必要上限量としては300ppm以下程度である。
【0025】
また、トナー離型性を一層高めるために、
上記(A)(a)成分であるオルガノポリシロキサンとして、ビニル基を有する少なくとも1つの分岐状ポリシロキサンセグメントと二官能性のシロキサン単位を少なくとも100個以上連続して有する直鎖状ポリシロキサンセグメントとを同一分子中に持つブロックコポリマーであり、25℃における粘度が1Pa・s以上のオルガノポリシロキサンを用いることが特に好適である。
【0026】
分岐状ポリシロキサンセグメントは、三官能性および四官能性のシロキサン単位の少なくとも一方を含むポリシロキサンで構成されるのが好適である。三官能性シロキサン単位はCH3SiO3/2および四官能性シロキサン単位はSiOである。また、分岐状ポリシロキサンセグメントのビニル基は、(CH=CH)(CHSiO1/2、(CH=CH)(CH)SiOおよび(CH=CH)SiO3/2などのビニル基含有シロキサン単位として含まれる。分岐状ポリシロキサンセグメントには、2官能性のシロキサン単位(CHSiOが含まれていてもよい。
【0027】
(B)成分である1分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有するオルガノポリシロキサンの含有量は、(A)(a)成分と(A)(b)成分の混合物中に含まれる全ビニル基のモル量に対して、該水素原子のモル量が、ジメチルシリコーンゴムの硬度を高める点から、0.6倍以上となるように、また、耐熱性および強度を高める点から20倍以下となるように設定するのが好適である。
【0028】
(C)成分である白金系触媒は、(A)、(B)、(C)および(D)成分の混合物100万重量部に対して、白金金属成分として0.1〜500重量部が好適である。白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯体、白金担持シリカ、白金担持活性炭、などが用いられる。
【0029】
また、トナー離型性を一層高めるために、上記(A)、(B)、(C)および(D)の合計量100重量部に対して、5〜20重量部のジメチルシリコーンオイルを加えることも有効である。さらに、ジメチルシリコーンオイルの添加により、シリコーンゴムの損失弾性率の値を大きく変化させることなく、貯蔵弾性率の値を小さくすることができ、さらに貯蔵弾性率の減少の程度もコントロールすることができる。その結果、所望の粘弾性値を持ったシリコーンゴムを容易に設計できる。
【0030】
トナー画像の定着は一般にハロゲンランプ、又は発熱抵抗体に電流を流して発熱させ、定着部材としてのローラ又はフィルムを介してトナー画像を加熱することにより行う。あるいはまた、特開平7−114276号公報に記載されているように、電磁誘導を利用して、導電層を持つフィルムのその導電層に渦電流を生じさせ、その結果発生する熱でトナー画像を定着させる。
【0031】
トナー画像を定着部材に押圧するための加圧部材としては、定着部材と共にトナー画像を担持する記録シートを加圧挾持して回転又は移動するローラ、ベルト等が用いられる。
【0032】
定着部材として定着フィルムを用いた本発明による加熱加圧定着例として、ウォームアップ時間の短縮を目的とした定着装置としてエンドレスフィルムを用いた定着装置を挙げる。これは、加熱体と、一方の面がこの加熱体と摺動し他方の面が記録シートと接して共に移動する耐熱エンドレス定着フィルムと、この定着フィルムを懸け回される懸回部材と、定着フィルムを介して加熱体とニップを形成する加圧部材とを有し、前記ニップで未定着画像を担持した記録シートを挟持搬送し定着フィルムを介した加熱体からの熱により未定着画像を記録シート上に加熱定着する定着装置である。一般に上記の加圧部材としては、弾性体加圧ローラが配置される。
【0033】
上記耐熱エンドレス定着フィルムとしては、厚さ20〜80μmのポリイミド等の耐熱性の樹脂基材上にプライマーを介して100〜300μm厚のジメチルシリコーンゴム層を形成したものが用いられる。
【0034】
記録シートの両面にトナー画像を形成する場合には、加圧部材の少なくとも表面も、定着部材に用いられるジメチルシリコーンゴムで形成されることが、加圧部材へのトナーのオフセットを防止する上で有効である。
【0035】
定着部材および加圧部材について、それらの部材の少なくとも表面を本発明で規定するジメチルシリコーンゴムで形成される場合として、それらの部材が多層構成になっており、その表層が上記ジメチルシリコーンゴム層である場合、および上記ジメチルシリコーンゴムで、定着部材および加圧部材の全体が形成される場合がある。
【0036】
本発明で規定するシリコーンゴムを定着部材、または、加圧部材として用いる場合には、一般には1μm〜2mmの厚さで用いられる。また、定着部材または加圧部材が2層以上の構成になっており、表層にシリコーンゴムを用い、下層に弾性層が用いられる場合には、表層の厚さは1μm〜300μmが好適であり、特に、トナーの定着性および画質の点から、50μm〜300μmが好適である。
【0037】
本発明による定着装置は、3色以上のカラートナーで形成されるトナー画像の定着に特に有効に適用される。カラートナーには、トナー間の溶融混色が容易に生ずるようにするために、シャープメルト性が要求される。
【0038】
このシャープメルト性カラートナーを使用することにより、永久画像の色再現性を高め、原稿の多色またはフルカラー画像に忠実な永久画像を得ることができる。しかしながら、熱溶融時のトナー成分ポリマーの分子間凝集力の低下が、表層への付着力を増加させることとなり、一般に高温オフセット等と呼ばれるような、トナーが溶融しすぎることにより生じるトナーオフセットが発生しやすくなるため、少いオフセット防止シリコーンオイルの使用でオフセット防止に優れた本発明の定着装置は特に有効に適用される。
【0039】
一般にシャープメルト性カラートナーには以下のようなものがある。
【0040】
例えばカラートナーは、ポリエステル樹脂またはスチレン−アクリルエステル樹脂のごとき結着樹脂、着色剤(染料、昇華性染料)、荷電制御剤等のトナー形成用材料を溶融混練、粉砕、分級することにより製造される。必要とあらば、トナーに各種外添剤(例えば、疎水性コロイダルシリカ)を添加する外添工程を付加してもよい。このようなカラートナーとしては定着性、シャープメルト性を考慮すると結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用したものが特に好ましい。シャープメルト性ポリエステル樹脂としてはジオール化合物とジカルボン酸とから合成される分子の主鎖にエステル結合を有する高分子化合物が例示される。特に、次式
【0041】
【化1】


【0042】
(式中Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ1以上の正の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)で代表されるビスフェノール誘導体もしくはその置換体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えばフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)とを少なくとも共縮重合したポリエステル樹脂がシャープな溶融特性を有するのでより好ましい。
【0043】
ポリエステル樹脂の軟化点は、75〜150℃、好ましくは80〜120℃が良い。
【0044】
このポリエステル樹脂を結着樹脂として含有するシャープメルトトナーの軟化特性の例を図1に示す。測定条件は以下の通りである。
【0045】
フローテスターCFT−500A型(島津製作所製)を使用し、ダイ(ノズル)の直径0.2mm、厚み1.0mmとして20kgの押出荷重を加え初期設定温度70℃で、予熱時間300秒の後、6℃/分の速度で等速昇温したとき描かれるトナーのプランジャー降下量−温度曲線(以下軟化S字曲線という)を求めた。試料となるトナーは1〜3g精秤した微粉末を用い、プランジャー断面積は1.0cmとする。軟化S字曲線は図1のようなカーブとなる。等速昇温するに従い、トナーは徐々に加熱され流出が開始される(プランジャー降下A→B)。さらに昇温すると溶融状態となったトナーは大きく流出し(B→C→D)プランジャー降下が停止し終了する(D→E)。
【0046】
S字曲線の高さHは全流出量を示し、H/2のC点に対応する温度Tはトナーの軟化点を示す。
【0047】
トナー及び結着樹脂がシャープメルト姓を有するか否かは、トナーまたは結着樹脂の見掛けの溶融粘度を測定することにより判定できる。
【0048】
このようなシャープメルト姓を有するトナーまたは結着樹脂とは、見掛けの溶融粘度が10ポイズを示すときの温度をT、5×10ポイズを示すときの温度をTとしたとき、
=90〜150℃
|ΔT|=|T−T|=5〜20℃
の条件を満たすものをいう。
【0049】
これらの温度−溶融粘度特性を有するシャープメルト性樹脂は加熱されることにより極めてシャープに粘度低下を起こすことが特徴である。このような粘度低下が最上部トナー層と最下部トナー層との適度な混合を生じせしめ、さらにトナー層自体の透明性を急激に増加させ、良好な減色混合を起こすものである。すなわち、永久画像における色再現性が向上するのである。
【発明の効果】
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、定着部材、加圧部材、及びジメチルシリコーンオイルからなる離型オイルの塗布手段を少なくとも有する加熱加圧定着装置において、少い離型オイルの塗布条件下でもトナーのオフセットを防止でき、離型寿命が長く、ローラー傷の発生の少ない定着装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明を適用した画像形成装置について具体的に説明する。
【0052】
図2は本発明の画像形成装置の一態様を示す概略図である。本態様の装置は、第一面に対する画像形成定着済みの記録材を再び画像形成部及び定着手段へ搬送させて第二面に対する画像形成定着を実行させることで該記録材の両面に画像を形成する両面画像形成機能を有する電子写真方式のカラー画像形成装置である。両面画像形成を行なわず、片面画像形成のみによる使用も可能である。
【0053】
図中、1は装置本体外装筐、Aは該装置本体外装筐の上部に配設した原稿走査読取り部である。原稿台ガラス2上に原稿Oをその画像面を下向きにして所定の装置基準でセットし、その上から原稿押え板3をかぶせて読取りをスタートすることにより、原稿台ガラス下側の移動光学系4が原稿台ガラスの下面に沿って一辺側から他辺側に移動して原稿台ガラス3上のセット原稿の下向き画像面が照明走査させ、その照明走査光の原稿面反射光が光電読取りユニット5に結像され、色分解フィルタによって色分解されると共に、原稿画像の各色分解成分画像がカラー画像信号(時系列電気デジタル画素信号)としてそれぞれ光電読取りされ、メモリー回路に記憶貯蔵される。
【0054】
6は画像形成部の像担持体としての電子写真感光体ドラムである。この感光体ドラム6は例えば直径180mmであり、矢示の時計方向に所定のプロセススピード(周速度)をもって回転駆動される。7は感光体ドラム6を所定の極性・電位に一様に帯電処理する帯電器、8はレーザ出力部・ポリゴンミラー・レンズ系・ミラー等よりなる像露光手段である。帯電器7による感光体ドラム帯電処理面が前記メモリー回路からの時系列電気デジタル画素信号に対応して像露光手段8から変調出力されるレーザービームEにより走査露光されることにより、回転感光体ドラム6面に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0055】
9は複合現像装置であり、シアントナーを収容したシアン現像器9C、マゼンタトナーを収容したマゼンタトナー現像器9M、イエロートナーを収容したイエロートナー現像器9Y、黒トナーを収容したブラック現像器9Kの4つの現像器を有しており、この4つの現像器9C−9M−9Y−9Kが選択的に回転感光体ドラム6に作用して回転感光体ドラム6面の静電潜像がトナー現像される。
【0056】
11は転写ドラムであり、複合現像装置9の次位において感光体ドラム6に接して感光体ドラムと略同一の周速度をもって感光体ドラム6の回転に順方向に回転駆動される。この転写ドラム11は、例えば直径180mmであり、その周面開口域には記録材担持手段であるフィルム状の誘電体からなる記録材担持シート11aが円筒状に一体的に張設されている。また記録材を転写ドラム11の外周面に吸着させるための吸着帯電手段である吸着用コロナ帯電器11bとその対向電極としての吸着用(当接用)ローラ11C、転写ドラム11に吸着された記録材へ感光体ドラム6側のトナー画像を転写させるための転写用コロナ帯電器11d、内側コロナ帯電器11e、外側コロナ帯電器11f、記録材分離帯電器11g、記録材分離爪11h等を配設してある。
【0057】
12、13、14は第1〜第3の記録材自動給紙機構、15は記録材手差し給紙部である。記録材(転写材)Pは選択された第1〜第3の記録材自動給紙機構12、13、14の何れかから1枚宛給紙され、ガイド板・搬送ローラ対等からなる所定のシートパスを通ってレジストローラ対16へ搬送される。あるいは記録材手差し給紙部15からレジストローラ対16へ搬送される。
【0058】
そして、記録材はレジストローラ対16により所定のタイミングにて転写ドラム11へ給送されて転写ドラム11の外周面に対して巻き付けられて静電的に保持され転写ドラム11と一体に回転搬送され、その記録材の外面に対して感光体ドラム6側のトナー画像が転写用コロナ帯電器11dにより転写される。記録材Pに対するトナー画像転写後の回転感光体ドラム6面はクリーナ(クリーニング装置)10により転写残りトナー等の残留付着物の除去を受けて清掃される。
【0059】
フルカラー画像形成モードの場合は、1.回転感光体ドラム6に対する、帯電→目的のカラー画像の前述色分解画像信号のうちのシアン画像信号により変訳されたレーザ光による画像露光E→シアン現像器9Cによる現像→そのシアントナー画像の記録材Pに対する転写→回転感光体ドラム6のクリーニングの工程、2.回転感光体ドラム6に対する、帯電→目的のカラー画像の前述色分解画像信号のうちのマゼンタ画像信号により変調されたレーザ光による画像露光E→マゼンタ現像器9Mによる現像→そのマゼンタトナー画像の記録材Pに対する転写→回転感光体ドラム6のクリーニングの工程、3.回転感光体ドラム6に対する、帯電→目的のカラー画像の前述色分解画像信号のうちのイエロー画像信号により変調されたレーザ光による画像露光E→イエロー現像器9Yによる現像→そのイエロートナー画像の記録材Pに対する転写→回転感光体ドラム6のクリーニングの工程、4.回転感光体ドラム6に対する、帯電→目的のカラー画像の前述色分解画像信号のうちのブラック画像信号により変調されたレーザ光による画像露光E→ブラック現像器9Kによる現像→そのブラックトナー画像の記録材Pに対する転写→回転感光体ドラム6のクリーニングの工程、の以上4つの作像・転写サイクル1〜4の感光体ドラム6及び転写ドラム11の回転が続行して順次実行されることで、回転転写ドラム11に巻き付き保持された同一の記録材Pの外面(第一面)に対して上記のシアントナー画像・マゼンタトナー画像・イエロー画像・ブラックトナー画像の都合4つのトナー画像が相互に所定に位置合わせ(レジストレーション)されて重畳転写されることにより、記録材Pに目的のカラー画像に対応したカラートナー画像が合成形成される。
【0060】
回転転写ドラム11に保持された同一の記録材Pに対する上記4色分のトナー画像の重ね転写が終了すると、記録材は分離帯電器11gにより除電され、分離手段としての分離爪11hによって転写ドラム11から分離され、搬送手段17により定着装置(本例では熱ローラ定着装置)18に送られて、4色分のトナー画像が一括して記録材面に定着処理される。
【0061】
片面画像形成モードのときは、定着装置18をデータ片面(第一面)画像形成・定着済みの記録材は排紙口19から機外の排紙トレイ20へ排出される。
【0062】
両面画像形成モードのときは、定着装置18を出た片面画像形成・定着済みの記録材は再搬送シートパスaへ導入され、スイッチバックシートパスb→シートパスcの経路を通って表裏反転されて中間トレイ21へ送られる。そしてこの中間トレイ21からレジストローラ対16へ搬送されて再び転写ドラム11に対して給送されて、画像形成済みの第一面側内向き、第二面側外向きで転写ドラム11に巻き付き保持される。
【0063】
この記録材の第2面に対して、前記第一面に対する画像形成と同様に、感光体ドラム6に順次に形成される第二面用のカラー画像の4色の色分解トナー画像の転写が順次行なわれてカラートナー画像が合成形成される。
【0064】
そして記録材は転写ドラム11から分離されて再び定着装置18に送られて第二面に形成された4色分のトナー画像が一括して定着処理され、フルカラー両面画像形成済みの記録材が排出口19から排紙トレイ20へ排紙される。
【0065】
片面(第一面)画像形成・定着済みの記録材を一旦排紙トレイ20へ排出させ、その記録材を第二面上向きにして手差し給紙部15から装置へ再導入して第二面に対する画像形成を実行させることもできる。
【0066】
なお、上記4色の色分解トナー画像の形成順序は本例の順序に隈られない。白黒画像コピーの場合はブラック現像器9Kのみが作動する。自黒画像の両面コピーモードや、記録材の一方の面はカラー画像とし、他方の面は白黒画像とする画像形成モードも選択実行できる。
【0067】
<加熱加圧定着装置の構成>
本発明を適用した加熱加圧定着装置について具体的に説明する。
【0068】
図3は、本発明を実際に適用した加熱加圧定着装置の断面図である。定着ローラ100と加圧ローラ102が対を成して圧接し、7mm程度のニップ幅を形成している。
【0069】
上記定着ローラ101は、基材としてアルミニウム等を用いた芯金111に、2mm程度の厚さのHTV(ミラブル型)シリコーンゴムからなる弾性層112が形成され、該弾性層112上には50μm程度の厚さのフッ素ゴムから成るオイルバリア層113が形成され、該オイルバリア層113上には200μm程度の厚さのジメチルシリコーンゴムから成る表層114が形成されている。この定着ローラ101は、外径が60mm程度になるように構成されている。
【0070】
また、上記加圧ローラ102も同様に、基材としてアルミニウム等を用いた芯金121に、2mm程度の厚さのHTV(ミラブル型)シリコーンゴムから成る弾性層122が形成され、該弾性層122上には50μm程度の厚さのフッ素ゴムから成るオイルバリア層123が形成され、該オイルバリア層123上には200μm程度の厚さの例えばジメチルシリコーンゴムから成る表層124が形成されている。この加圧ローラ102も、外径が60mm程度になるように構成されている。
【0071】
上記定着ローラ101には、離型オイルを均一に塗布するオイル塗布ユニット103と、定着ローラ101の表面に付着したトナー等の汚れをクリーニングするためのクリーニングウェブユニット4と、定着ローラ1上の離型オイルの量を規制して制御する弾性体オイル規制ブレード107が接するように配置されている。
【0072】
上記オイル塗布ユニット103は、離型オイル132を保持するオイルパン131と、回転して離型オイル132を汲み上げる金属製のオイル汲み上げローラ133と、この汲み上げられた離型オイル132を定着ローラ1表面に回転しながら塗布する弾性体オイル塗布ローラ134と、オイル塗布ローラ134上の離型オイルの量を規制して制御する弾性体オイル規制ブレード135で構成されている。
【0073】
離型オイルには、ジメチルシリコーンオイルを用いた。このジメチルシリコーンオイルには、25℃における動粘度が300cSt(センチトークス)のジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製、商品名、KF−96SS)を用いた。
【0074】
また、上記クリーニングウェブユニット104は、トナー等の汚れをクリーニングする不織布であるクリーニングウェブ141と、このクリーニングウェブ141を定着ローラ表面に押し当てる弾性体ウェブ押し当てローラ42で構成されている。クリーニングウェブ141はdの方向に少しずつ巻き取られる。
【0075】
上記弾性体オイル規制ブレード107は、支持体のバネ(図示せず)により、その押し当て圧が任意に変更でき、これにより定着ローラ1の表層114の表面上への離型オイル塗布量を変化させることが出来るようになっている。
【0076】
上記加圧ローラ102には、過剰な離型オイルを除去するための弾性体オイル除去ブレード105が接するように配置されている。
【0077】
定着ローラ101および加圧ローラ102に芯金111および121の中心には、加熱ヒーター106が配置されており、それぞれのローラの表層114および124の表面に接するように配置された熱電対(図示せず)で検知された温度に基づき、表面温度が設定値になるようにヒーター通電タイミングが制御される。本実施例では、設定値を170℃とした。
【0078】
図3に示した加熱加圧定着装置においては、定着ローラ101はaの方向に、加圧ローラ102はbの方向に回転し、紙Pはcの方向に搬送され、未定着トナーT1は、定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部を通過し、定着トナーT2となり画像を形成する。
【0079】
<定着部材の製造方法>
定着部材である定着ローラ101は次のような方法で製造した。まず、芯金111上に、耐熱グレードのHTVシリコーンゴム(ミラブル型)を加硫接着し、研磨により目的の外径を得た。次に、フッ素ゴム塗料を50μm程度の厚みでスプレー塗布し、150℃にて30分乾燥させてフッ素ゴム被覆ローラを得た。次に、予めシロキサン系プライマー処理した該フッ素ゴム被覆ローラ上に、表層として用いる請求項記載の未硬化の付加型液状シリコーンゴムのトルエン溶媒希釈液コーティングし、室温で30分放置してトルエンを揮発させ、130℃1時間1次加硫によって硬化させ、次に200℃4時間2次加硫をして200μm厚のジメチルシリコーンゴムで被覆された定着ローラ101を得た。
【0080】
加圧部材である加圧ローラ102も、定着ローラ101と同様な方法により製造して得た。
【0081】
<オイル塗布量の測定方法>
定着ローラ101の表層114上への離型オイルの塗布量を次のようにして測定した。まず、図3に示した加熱加圧定着装置の、加圧ローラ102とクリーニングウェブユニット104を取り外し、定着ローラ101の表面温度が170℃になるまで加熱ヒーター106により加熱を行い、その後、定着ローラ101を半周回転させる。これにより、定着ローラ表面の半周に離型オイルが塗布される。その後、その塗布された表面上に、素早く汎用の定量濾紙(5センチ×30センチ角、秤量済)を、50g/cm程度の圧力で1分間押し付け、引き剥がす。このような濾紙サンプルを10個採取し、精密天秤(1/1000g)によりサンプル重量を秤量し、事前に秤量した濾紙重量との差から、単位面積当たりの濾紙へのオイル付着量を計算し、これを定着ローラ表面への単位面積当たりのオイル塗布量とした。
【0082】
<表層の動的粘弾性の測定方法>
定着ローラ101及び加圧ローラ102の表層114及び124の動的粘弾性は次のようにして測定した。まず、表層に用いるのと同じ未硬化の付加型液状シリコーンゴムを用意し、2mmの厚さのシート状に成形して、加熱・加硫によって硬化させてシート状の測定サンプルを得た。この厚さ2mmの測定サンプルは、幅5mm、長さ40mm程度に切り取り、その動的粘弾性を(株)レオロジ製の粘弾性測定装置(DVEREHOSPECTOLER DVE−V4)によって測定した。この際の測定条件は、引っ張治具(175%伸長)、測定温度170℃、正弦波歪(周波数100Hz)という条件に設定し測定した。
【0083】
<使用した材料の詳細>
以下に、本実施例において使用した、表層の材料の詳細について述べる。
【0084】
<実施材料1>
25℃における粘度が約30Pa・sであり、二官能性のジメチルシロキサン単位を約300個連続して有する直鎖状ポリシロキサンセグメントと、その両端に結合している、1つのビニル基を有する分岐状ポリシロキサンセグメントとからなるブロックコポリマー(A−a−1)60重量部に、25℃における粘度が約10000Pa・sの両末端にビニル基を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン(A−b−1)40重量部を混合し、架橋剤として一分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有したオルガノポリシロキサンを(A−a−1)成分と(A−b−1)成分の混合物中に含まれる全ビニル基のモル量に対して、該水素原子のモル量が1.3倍となる量加える。さらに、これに、白金系触媒を加え、これらの混合物に対して鉄成分基準で50ppmとなるだけの量の塩化第二鉄(D−1)を加えて、未硬化の付加型液状シリコーンゴム(S−1)を得た。
【0085】
この付加型液状シリコーンゴム(S−1)を加熱・加硫により硬化することにより、貯蔵弾性率が1.37×10dyn/cmであり、損失弾性率が5.28×10dyn/cmであるジメチルシリコーンゴムを得ることができた。
【0086】
<実施材料2>
実施材料1の未硬化の付加型液状シリコーンゴム(S−1)の100重量部に対して、重量平均分子量が1.6×10のジメチルシリコーンオイルを20重量部混合し、未硬化の付加型液状シリコーンゴム(S−2)を得た。
【0087】
架橋剤及び触媒は、実施材料1と同様とした。
【0088】
この付加型液状シリコーンゴム(S−2)を加熱・加硫により硬化することにより、貯蔵弾性率が0.89×10dyn/cmであり、損失弾性率が7.0×10dyn/cmであるジメチルシリコーンゴムを得ることができた。
【0089】
<実施材料3>
25℃における粘度が約20Pa・sであり、二官能性のジメチルシロキサン単位を約200個連続して有する直鎖状オイルセグメントと、その両端に結合している、1つのビニル基を有する分岐状ポリシロキサンセグメントとからなるブロックコポリマー(A−a−2)55重量部に、25℃における粘度が約11000Pa・sの両末端にビニル基を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン(A−b−2)45重量部を混合し、架橋剤として一分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有したオルガノポリシロキサンと白金系触媒を加え、これらの混合物に対して鉄成分基準で50ppmとなるだけの量の塩化第二鉄(D−1)を加えて、未硬化の付加型液状シリコーンゴム(S−3)を得た。
【0090】
架橋剤及び触媒は、実施材料1と同様とした。
【0091】
この付加型液状シリコーンゴム(S−3)を加熱・加硫により硬化することにより、貯蔵弾性率が0.9×10dyn/cmであり、損失弾性率が3.0×10dyn/cmであるジメチルシリコーンゴムを得ることができた。
【0092】
<実施材料4>
実施材料3の未硬化の付加型液状シリコーンゴム(S−3)の100重量部に対して、重量平均分子量が1.6×10のジメチルシリコーンオイルを20重量部混合し、未硬化の付加型液状シリコーンゴム(S−4)を得た。
【0093】
架橋材及び触媒は、実施材料1と同様とした。
【0094】
この付加型液状シリコーンゴム(S−4)を加熱・加硫により硬化することにより、貯蔵弾性率が0.4×10dyn/cmであり、損失弾性率が4.6×10dyn/cmであるジメチルシリコーンゴムを得ることができた。
【0095】
<比較材料1>
実施材料1に記載したオルガノポリシロキサン(A−a−1)60重量部に、実施材料1に記載した直鎖状ジメチルポリシロキサン(A−b−1)40重量部を混合し、架橋剤として一分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有したオルガノポリシロキサンと白金系触媒を加え、これらの混合物に対して、耐熱性のシリカ粉体(日本アエロジル社製、R972)を3重量%加え混合し、未硬化の付加型液状シリコーンゴム(S−5)を得た。
【0096】
架橋剤及び触媒は、実施材料1と同様とした。
【0097】
この付加型液状シリコーンゴム(S−5)を加熱・加硫により硬化することにより、貯蔵弾性率が2.01×10dyn/cmであり、損失弾性率が7.88×10dyn/cmであるジメチルシリコーンゴムを得た。
【0098】
<比較材料2>
実施材料1に記載したオルガノポリシロキサン(A−a−1)100重量部に、架橋剤として一分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有したオルガノポリシロキサンと白金系触媒を加え、未硬化の付加型液状シリコーンゴム(S−6)を得た。
【0099】
架橋剤及び触媒は、実施材料1と同様とした。
【0100】
この付加型液状シリコーンゴム(S−6)を加熱・加硫により硬化することにより、貯蔵弾性率が5.95×10dyn/cmであり、損失弾性率が2.04×10dyn/cmであるジメチルシリコーンゴムを得ることができた。
【0101】
<比較材料3>
25℃における粘度が約5Pa・sであり、二官能性のジメチルシロキサン単位を有する直鎖状ポリシロキサンセグメントと、その両端に結合している、1つのビニル基を有する分岐状ポリシロキサンセグメントとからなるブロックコポリマー(A−a−3)80重量部に、25℃における粘度が約1000Pa・sの両末端にビニル基を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン(A−b−3)20重量部を混合し、架橋剤として一分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有したオルガノポリシロキサンと白金系触媒を加え、これらの混合物に対して鉄成分基準で50ppmとなるだけの量の塩化第二鉄(D−1)を加えて、未硬化の付加型液状シリコーンゴム(S−7)を得た。
【0102】
架橋剤及び触媒は、実施材料1と同様とした。
【0103】
この付加型液状シリコーンゴム(S−7)を加熱・加硫により硬化することにより、貯蔵弾性率が4.0×10dyn/cmであり、損失弾性率が13×10dyn/cmであるジメチルシリコーンゴムを得ることができた。
【0104】
<比較材料4>
比較材料3記載のレジン状オルガノポリシロキサン(A−a−3)60重量部に、25℃における粘度が500Pa・s程度の末端ビニル基封鎖の直鎖状ジメチルポリシロキサン(A−b−4)40重量部を混合し、架橋剤として一分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有したオルガノポリシロキサンと白金系触媒を加え、これらの混合物に対して鉄成分基準で50ppmとなるだけの量の塩化第二鉄(D−1)を加えて、未硬化の付加型液状シリコーンゴム(S−8)を得た。
【0105】
架橋剤及び触媒は、実施材料1と同様とした。
【0106】
以上のような付加型液状シリコーンゴム(S−8)を加熱・加硫により硬化することにより、貯蔵弾性率が3.9×10dyn/cmであり、損失弾性率が11×10dyn/cmであるジメチルシリコーンゴムを得ることができた。
【0107】
<実施例>
以下に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
【0108】
<実施例1>
まず、定着ローラ表層への離型オイルの塗布量と、PHPトランスペアレンシーシートべたつきとの関係を明らかにするため、以下のような実験を行なった。
【0109】
この実験には、図2に示す画像形成装置(キヤノン社製、カラーレーザーコピア800(CLC800))を用いた。実験条件は、
コピー原稿:ブラック
コピーモード:フルカラーモード、片面コピー
記録シート:カラーレーザーコピアトランスペアレンシー(キヤノン、CT−700)、A4
とした。ブランクコピー原稿とは、白紙の原稿の事である。また、カラーレーザーコピアトランスペアレンシーとは、CLC用のOHPトランスペアレンシーシートである。
【0110】
加熱加圧定着装置の定着ローラ及び加圧ローラには、表1に示したように、実施材料と比較材料のジメチルシリコーンゴムの表層を有したローラを使用した。
【0111】
また、オイル規制ブレード7の押し当て圧を変化させて、表層への離型オイル塗布量を20、40、60mg/A4に変化させた。
【0112】
OHPトランスペアレンシーシートべたつきは、OHPトランスペアレンシーシートを1枚コピーして、ガラス板上に乗せて引き剥す際のべたつきにより評価した。
【0113】
実験結果である表1にあるように、40、60mg/A4の塗布量では、OHPトランスペアレンシーシートのべたつきが確認された。一方で、20mg/A4の塗布量では、べたつきは確認されなかった。
【0114】
【表1】


【0115】
<実験例2>
次に、貼着ローラ表層への離型オイルの塗布量と、両面画像形成時の画像不良との関係を明らかにするため、以下のような実験を行なった。
【0116】
この実験には、実験例1と同じ画像形成装置を用い、実験条件は、
コピー原稿:マゼンタベタ、
コピーモード:フルカラーモード、両面コピー
記録シート:普通紙(81.4g/m)、A4
とした。マゼンタコピー原稿とは、マゼンタ濃度100%で、本画像形成装置で画像形成を行なった画像のことである。
【0117】
加熱加圧定着装置の定着ローラ及び加圧ローラの表層のジメチルシリコーンゴム、及び表層への離型オイル塗布量は、実験例1と同様にした。
【0118】
画像不良の評価は、50枚の両面コピー実験を行い、感光ドラムオイル汚れ起因の画像不良の発生有無を、50枚コピー時点で、定着画像の目視確認により評価した。
【0119】
実験結果である表2にあるように、40、60mg/A4の塗布量では、両面画像形成時の画像不良が確認された。一方で、20mg/A4の塗布量では、画像不良は確認されなかった。
【0120】
【表2】


【0121】
<実験例3>
本発明の実施材料と、本発明の効果を明らかにするための比較材料の、定着ローラーとしての離型性を明らかにするため、以下のような実験を行なった。
【0122】
この実験には、実験例1と同じ画像形成装置を用い、実験条件は、
コピー原稿:マゼンタハーフトーン
コピーモード:フルカラーモード、片面コピー
記録シート:普通紙(81.4g/m)、A4
とした。マゼンタハーフトーンコピー原稿とは、マゼンタ濃度50%で、ハーフトーンモードによって本画像形成装置で画像形成を行なった画像のことである。
【0123】
なお、この実験は、定着ローラーの性能を明らかにするための実験であり、加圧ローラーの表層材料は任意に選べるが、ここでは、定着ローラーの材料と同一の材料を用いた。
【0124】
離型性は、定着ローラの離型寿命によって評価した。離型寿命とは、トナーオフセットが定着後の画像上に目視で確認された時点での通紙枚数とした。
【0125】
実験結果である表3にあるように、実験材料は、離型オイルの塗布量が20mg/A4以下である場合には、0.5mg/A4未満である場合を除いて、比較材料に比べて十分に長期な離型寿命を示した。
【0126】
【表3】


【0127】
<実験例4>
本発明の実施材料と比較材料の、両面画像形成における加圧ローラーとしての離型性を明らかにするため、以下のような実験を行なった。
【0128】
この実験には、実験例1と同じ画像形成装置を用い、実験条件は、
コピー原稿:マゼンタハーフトーン
コピーモード:フルカラーモード、両面コピー
記録シート:普通紙(81.4g/m)、A4
とした。
【0129】
加圧ローラの離型性は、100枚毎に、裏面(加圧ローラー側)がマゼンタベタである定着済みの画像を記録シートとして用い、ブランクコピー原稿で1枚コピーを行ない、裏面マゼンタベタ画像の画像抜けの程度により、加圧ローラーの離型性を評価した。この評価では、離型性が悪い場合には、通紙後の裏面画像に画像抜けが発生し、目視によって確認できる。
【0130】
実験結果である表4にあるように、実施材料は、離型オイルの塗布量が20mg/A4以下である場合には、比較材料に比べて、加圧ローラ側でのマゼンタベタ画像の抜けを生じず、優れた離型性を有する。
【0131】
【表4】


【0132】
<実験例5>
実験例5として、3色以上のトナーを用いた画像形成における、実施材料の性能を確認する実験を行なった。
【0133】
この実験には、実験例1と同じ画像形成装置を用い、実験条件は、
コピー原稿:フルカラー写真原稿
コピーモード:フルカラーモード、片面コピー
記録シート:普通紙(81.4g/m)、A4
とした。ここで、フルカラー写真原稿とは、画像形成を行なう際に、CMYKの4色のトナーがバランス良く使用されるような、人物写真を配した原稿である。
【0134】
実施材料の性能は、定着後の画像を目視確認し、トナーオフセット等の画像不良が生じるかどうかにより評価した。
【0135】
実験結果である表5にあるように、実施材料は、10万枚以上にわたり画像定着の性能を発揮し、問題無く加熱加圧定着を行なうことができた。
【0136】
【表5】


【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】シャープメルト性トナーの軟化特性図
【図2】加熱加圧定着装置を備えた画像形成装置の説明図
【図3】本発明の実施例の加熱加圧定着装置の断面図




 

 


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