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発明の名称 電子写真用半導電性弾性部材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−11059(P2007−11059A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−192607(P2005−192607)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
発明者 古川 匠 / 村田 淳 / 加藤 久雄 / 三浦 俊成 / 黒田 紀明 / 鈴木 敏郎 / 北原 道隆
要約 課題
電子写真装置に用いられる、被接触部材、例えば感光体等への汚染が抑制された半導電性弾性部材を提供することである。

解決手段
半導電性弾性体層を、(a)有機変性した層状粘土鉱物および(b)エポキシ基を有するオリゴマーを含有する半導電性弾性体層原料から硬化形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
半導電性弾性体層が、(a)有機変性した層状粘土鉱物および(b)エポキシ基を有するオリゴマーを含有する半導電性弾性体層原料から硬化形成されたものである電子写真用半導電性弾性部材。
【請求項2】
エポキシ基を有するオリゴマーがエポキシ化ブタジエンオリゴマーである請求項1に記載の電子写真用半導電性弾性部材。
【請求項3】
層状粘土鉱物がベントナイトである請求項1または2に記載の電子写真用半導電性弾性部材。
【請求項4】
半導電性弾性体層をX線回折による測定で、層状粘土鉱物に基づく層間距離が3.7nm〜5.0nmに観察されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用半導電性弾性部材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置内で用いられる、現像部材、帯電部材、転写部材等の電子写真用半導電性弾性部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、光プリンタ等の電子写真装置、静電記録装置等の画像形成装置において、感光体、誘電体等の像担持体を帯電処理する手段として、従来はコロナ放電が利用されてきた。
【0003】
しかしながら、コロナ放電は像担持体の被帯電体面を所定の電位に均一に帯電処理する手段として有効であるものの、高価な高圧電源を必要とし、かつ装置が大型になり、また、コロナ放電におけるオゾン発生、異常放電による被帯電面の破壊等の不具合が発生する場合があった。
【0004】
この様なコロナ放電方式に対して、近年は接触帯電方式が採用されている。接触帯電方式は、電圧を印加した帯電する部材(帯電部材)を、被帯電面に近接又は接触させて、被帯電面を帯電するもので、コロナ放電方式に比べ、オゾン等のコロナ生成物の発生が少ない、構造が簡単で低コスト化や装置の小型化が図れる、異常放電による被帯電面の破壊が少ない等の利点がある。そして、通常、金属製芯金上に半導電性弾性体層が形成された半導電性ローラが使用されている。
【0005】
接触帯電方式で用いられる帯電部材の性弾性体層は、感光体等の被帯電面のピンホール、傷等により生じるリークを防止するため、適度な半導電性を有することが必要である。また、被帯電面を均一に帯電させるためには、帯電部材の弾性体層が体積固有抵抗率で1×103〜1×109Ω・cm程度の半導電性領域の均一な導電性を有していることが重要である。そして、この様な導電性を実現するために、従来、導電性カーボンブラック等の導電粒子が配合され、半導電化された電子導電系ゴム組成物を用いて、弾性体層が作製されている。
【0006】
しかしながら、この様な電子導電系ゴム組成物は原料ゴムに配合する導電粒子の添加量によって、電気抵抗を調整することができるものの、体積固有抵抗率が1×103〜1×109Ω・cmの半導電領域においては、導電粒子の種類にもよるが、導電粒子の配合量の僅かな変化により、電気抵抗が大きく変化する場合がある。したがって、半導電領域において均質な所望の電気抵抗値を示す弾性体層を作製することが困難となり、帯電部材内及び帯電部材間で電気抵抗にバラツキが生じ易い。
【0007】
電気抵抗が均一なゴム成形物を得る手法としては、エピクロルヒドリンゴム、NBR等のそれ自身が半導電性を有する極性ゴムを使用することや、原料ゴムにイオン導電剤を添加して半導電性を付与したイオン導電系ゴムにより弾性体層を構成することが知られている。
【0008】
一方、帯電部材には感光体等の像担持体(以下、「感光体」と記載する)を汚染しないことも要求される。接触帯電方式においては帯電部材が感光体に接触して使用されるため、長期間の使用において、帯電部材中のイオン導電剤や軟化剤等の低分子量成分が感光体を汚染し、感光体に機能障害を生じさせ、画像不良が発生する場合がある。低分子量成分による感光体汚染を防ぐ方法として、帯電部材に使用されるゴム材料に層状有機珪酸塩を混入する例がある(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
しかしながら、近年、電子写真装置における高画質化、高速化に伴い、低電気抵抗でありながら、より感光体汚染の少ない帯電部材が要求されている。帯電部材の原料ポリマーとなる極性ゴムは、電気抵抗が低いほど、帯電部材中の低分子量成分の移行速度が速くなり、感光体を汚染しやすく、同じく電気抵抗を下げる目的で用いられるイオン導電剤も、感光体汚染の原因となりやすい。
【特許文献1】特開平2003−223038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、電子写真装置に用いられる、被接触部材、例えば感光体等への汚染が抑制された半導電性弾性部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、原料中に有機変性した層状粘土鉱物およびエポキシ基を有する低分子量のポリマー(オリゴマー)を配合し、半導電性弾性体層を形成したならば、感光体への汚染が極めて少ない電子写真用半導電性弾性部材が提供できることを見出し、さらに検討して本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、下記構成を有する。
【0013】
(1)半導電性弾性体層が、(a)有機変性した層状粘土鉱物および(b)エポキシ基を有するオリゴマーを含有する半導電性弾性体層原料から硬化形成されたものである電子写真用半導電性弾性部材。
【0014】
(2)エポキシ基を有するオリゴマーがエポキシ化ブタジエンオリゴマーである上記(1)の電子写真用半導電性弾性部材。
【0015】
(3)層状粘土鉱物がベントナイトである上記(1)〜(2)の電子写真用半導電性弾性部材。
【0016】
(4)半導電性弾性体層をX線回折による測定で、層状粘土鉱物に基づく層間距離が3.7nm〜5.0nmに観察されることを特徴とする上記(1)〜(3)の電子写真用半導電性弾性部材。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子写真装置に用いられる、被接触部材、例えば感光体等への汚染が抑制された半導電性弾性部材を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。
【0019】
本発明に係る半導電性弾性部材は、主に電子写真装置の感光体に当接して用いられ、少なくとも半導体領域の導電性を有するゴム弾性体成形体であり、(a)有機変性した層状粘土鉱物および(b)エポキシ基を有するオリゴマーを含有する半導電性弾性体層原料から硬化形成されたものである。
【0020】
具体的には、ロール形状の半導体弾性部材においては、少なくとも表面が導電性である柱状あるいは円筒状の芯金の外周に、(a)有機変性した層状粘土鉱物(以下、有機変性層状粘土鉱物、(a)成分ということがある)および(b)エポキシ基を有するオリゴマー(以下、(b)成分ということがある)を含有する半導電性弾性体層原料を、成形し、硬化し、半導電性弾性体層を形成したものである。
【0021】
本発明で用いる、(a)有機変性した層状粘土鉱物とは、層状をした粘土鉱物の層間に、有機物が修飾されているものである。なお、この有機物は、粘土鉱物の層間に物理吸着していても、化学的に結合していても構わない。
【0022】
層状をした粘土鉱物とは、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サボナイト、ヘクトライト、ソーコナイト等のスメクタイトやバーミキュライトのように厚み約1nmの板状のケイ酸塩層が積層され、その板状ケイ酸塩層表面がマイナスに帯電しており、層間にはカリウム、ナトリウム、リチウムやカルシウムのような無機陽イオンが通常介在して電気的に中性を保っているもので、この無機陽イオンは容易に交換可能である。また、この無機陽イオンの性質によって、この層間が水によって容易に膨潤することが知られている。
【0023】
本発明において、有機変性した層状粘土鉱物として、上記の層状粘土鉱物の層間の無機陽イオンを、例えば、トリメチルステアリルアンモニウムイオン、ジメチルステアリルアンモニウムイオン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン、オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン等の第四級アンモニウムイオンに代表される有機陽イオンで一部もしくは全部がイオン交換され、層間に置き換えられたものが使用できる。
【0024】
有機変性層状粘土鉱物の使用量は特に限定されるものではないが、弾性体層原料のゴム成分100質量部に対して、0.5〜100質量部が好ましい。有機変性粘土鉱物の使用量が0.5質量部未満では半導電性部材の汚染防止効果が充分に得られず、また、100質量部を超える場合、半導電性弾性部材の硬度が非常に高くなり好ましくない。更に好ましい範囲は1〜30質量部である。
【0025】
本発明で用いる、(b)エポキシ基を有するオリゴマーとは、オリゴブタジエン、オリゴイソプレン、オリゴアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、オリゴスチレン−ブタジエン等の不飽和結合を分子内に有する、数平均分子量が1000〜10000であり、該不飽和結合の少なくとも1つがエポキシ基となった化合物であり、そのエポキシ基がオリゴマー分子の末端、側鎖あるいは主連鎖、好ましくは末端および/または側鎖に存在する。なお、エポキシ基含有量としては、エポキシ当量で100〜10000であることが好ましい。さらに、エポキシ基以外のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基が末端もしくは/および側鎖に修飾されたものであっても良い。
【0026】
エポキシ基を有するオリゴマーの使用量としては、弾性体層原料ポリマー100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。この値より小さいと汚染防止効果が充分に得られず、加工性の向上につながる粘度の低下も小さい。この値より大きいと、半導電性弾性体の圧縮永久歪み等の物性が低下してしまう。
【0027】
このエポキシ基を有するオリゴマーは、半導電性弾性体層中で、エポキシ基を有するオリゴマー、上記有機変性層状粘土鉱物、弾性体層原料ポリマー、各種配合剤等の少なくとも1つと反応し、本発明の効果を達成する。
【0028】
また、これらエポキシ基を有するオリゴマーは部材加工時の熱処理等によって、反応し架橋することによって、エポキシ基を有するオリゴマー自身が表面へ移行することが無く、感光体を汚染することが無い。
【0029】
本発明の汚染防止効果の作用機構については、有機変性層状粘土鉱物は有機変性していないものに比べ、層間が広がっていることに加え、エポキシ基を有するオリゴマーと共存することにより、さらにその層間が広がる。エポキシ基を有するオリゴマーは、エポキシ基が極性を持っているために、有機変性層状粘土鉱物の層間に侵入し易く、層間を広げる働きをし、このように層間距離が拡大することで、エポキシ基を有するオリゴマーを用いない場合に比べ、比較的大きな分子量の汚染物質でも、物理的および化学的に層間に吸着保持するができ、弾性体から外部に移行していくのを防いでいると考えられる。また、他の作用機構としては、エポキシ基を有するオリゴマーの存在によって、弾性体に使用される原料ポリマーが層間に侵入し易くなり、物理的および化学的に吸着し、加熱硬化によってナノ複合体を形成し、弾性体層構成ポリマーの分子運動が拘束され、弾性体中における汚染物質の移行速度が低下することで、汚染を防止していることが考えられる。
【0030】
特に、有機変性層状粘土鉱物として、モンモリロナイトを主成分とする天然鉱物であるベントナイトを有機アンモニウム変性したものを用いた場合、エポキシ基を有するオリゴマーとしてエポキシ化ブタジエンオリゴマーを用いた場合に、非常に汚染防止効果が大きい。
【0031】
弾性体用の原料ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、電気抵抗が均一なイオン導電系ポリマーを使用することが好ましい。イオン導電系ポリマーとして、例えば、エピクロルヒドリンホモポリマー(CO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体(GECO)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)の水素添加物、アクリルゴム(ACM、ANM)及びウレタンゴム(AU、EU)等が挙げられる。なお、原料ポリマーはこれらに限らず、また、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。その際に、電子写真装置の高速化に伴い、帯電能力を向上させるためより電気抵抗が低いイオン導電性ポリマーが望まれる。一般的に原料ポリマーが低抵抗であるほど、汚染性が悪化する傾向にある。しかし、本発明を用いることで、そのような低抵抗である原料ポリマーを用いた場合でも感光体汚染を防止することが可能となる。
【0032】
弾性体層の体積固有抵抗率は、帯電電圧を電子写真感光体に印加することができるよう、1×103〜1×109Ω・cmであることが好ましい。そのため、弾性体層には電気抵抗を調整するためにカーボンブラック、グラファイト、酸化チタン等の酸化物や、銅、銀等の金属等の導電性粒子を添加しても良い。
【0033】
有機変性層状粘土鉱物の層間距離は、該鉱物を含有する高分子組成物試料についてX線回折装置を用いて、2θ/θスキャンを行い、その回折強度のピーク角度から計算される格子間隔を層間距離と定義する。有機変性層状粘土鉱物は弾性体中の高分子材料に含有された状態で、その層間距離が3.7〜5.0nmであることが好ましく、3.8〜4.5nmが更に好ましい。層間距離が3.7nm未満である場合、低分子量成分の移行防止効果が充分に得られ難くなり、また、層間距離が5.0nm超であると、低分子量成分を捕捉する効果が殆どなくなる。
【0034】
さらに、本発明では、発明の効果を著しく損なわない範囲内で、必要に応じて、ゴム分野で配合剤として一般に用いられている充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、粘着付与剤、分散剤、発泡剤等を添加することができる。なお、可塑剤、軟化剤、イオン導電剤等のオイル状の配合剤は、感光体汚染の原因となりやすく、用いないのが好ましい。
【0035】
これらの原料の混合方法としては、バンバリーミキサーや加圧式ニーダーといった密閉型混合機を使用した混合方法、オープンロールのような開放型の混合機を使用した混合方法等を例示することができる。
【0036】
本発明における半導電性弾性部材がローラ形状である時、上記弾性体層原料組成物をチューブ状に押出して、加熱硬化して半導電性弾性体チューブを得て、所定長さに切断した後、導電性芯金を挿入し、表面を研磨し、あるいは表面に他の機能性層を形成し、本発明の半導電性弾性部材を製造することができる。また、芯金を内蔵した円筒状金型に上記弾性体層原料を注入し、一次硬化した後金型より成形物を取り出し、加熱炉中で更に加熱硬化(二次硬化)し、さらに上記と同様の表面処理を必要により行なって本発明の半導電性弾性部材が製造できる。
【0037】
なお、この際の加工条件については、弾性体層原料ポリマーに応じて適宜選択すればよく、特に制限されるものではない。
【0038】
以下、図面により本発明を説明する。
【0039】
本発明の半導電性弾性部材がローラ形状である例の概略断面図を図1に示す。
【0040】
半発明の半導電性弾性部材は、図1(a)に示すように、少なくとも、少なくとも表面が導電性である円筒状あるいは円柱状の芯金11とその外周に設けられた半導電性を有する弾性体層12とからなる。なお、半導電性弾性体層は本例では単層で示しているが、多層であっても構わない。また、芯金11と弾性体層12の間に接着性を得るために接着剤層が形成されていてもよい。
【0041】
さらに、弾性体層12の表面に機能、特にトナー及びトナー外添剤の付着防止性を付与するために、図1(b)に示すように表面層13が形成されていてもよい。さらに、弾性体層12と表面層13との間に中間層や接着層を何層か配置した多層構成であってもよい。
【0042】
表面層13は、弾性体層表面に電子線、紫外線、X線、マイクロウェーブ等のエネルギー線を照射して表面を硬化して、あるいは、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、シリコーン樹脂等の非粘着性樹脂やシリコーン系の反応性表面処理剤を用いて、形成される。
【0043】
なお、表面層13が設けられる場合、表面層を有する半導電性弾性部材においても、その電気抵抗が半導電性を示す必要がある。この場合、先述した非粘着性樹脂に対して、必要に応じて、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン等の酸化物や、銅、銀等の金属を配し、所望の電気抵抗値としたものを用いる。
【0044】
感光体の汚染の程度は、表面の非粘着処理の方法や程度によっても異なる。厚膜や積層された表面層を形成する場合にくらべ、極薄い膜で表面層が形成されている非粘着処理の場合は、より半導電性弾性体層内部から汚染物質が表面に移行しやすく、また、エネルギー線の照射により表面処理だけで表面層が形成される非粘着処理の場合も同様に半導電性弾性体層内部から汚染物質が表面に移行しやすい。本発明では、(a)有機変性層状粘土鉱物および(b)エポキシ基を有するオリゴマーが配されて、半導電性弾性体層が形成されているので、これらの非粘着処理の場合にも感光体汚染を防止されている。
【0045】
なお、本発明において(a)成分と(b)成分は、半導電性弾性体層に配されていることが必須であるが、導電性弾性体層が多層である時は少なくとも最外層の半導電性弾性体層にのみ(a)成分と(b)成分が配されていてもよく、また、表面層、中間層等の半導電性弾性体層以外に配されていてもよい。
【0046】
層間の広がった層状粘土鉱物は、感光体を汚染する低分子量成分を含有する層に存在してこれらの汚染成分の移行を防止する作用もあるが、低分子量成分を含有する層の外側層に含まれることにより、移行物質を外側層で捕捉する作用もある。
【0047】
本発明の半導電性弾性部材は、電子写真装置等の画像形成装置や、感光体及び弾性部材を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置本体に対して着脱自在としたプロセスカートリッジにおいて、感光体等の非弾性部材に当接して使用される電子写真用半導電性弾性部材、すなわち帯電部材、現像部材、転写部材等として好適である。
【0048】
図2は、本発明の弾性部材を有する電子写真装置の概略構成図である。
【0049】
21は被帯電体としての電子写真感光体であり、通常は、アルミニウム等の導電性を有する支持体21bと、該支持体21b上に形成した感光層21aを基本構成とするドラム形状の電子写真感光体である。軸21cを中心に図の矢印方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
【0050】
電子写真感光体21に接触配置されて電子写真感光体を所定の極性・電位に帯電(一次帯電)する帯電ローラ1は、芯金11と、芯金11上に形成した弾性体層12と、弾性体層12上に形成した表面層13からなり、芯金11の両端部を不図示の押圧手段で電子写真感光体21の回転駆動に伴い従動回転する。
【0051】
電源23で摺擦端子23aにより、芯金11の所定の直流(DC)バイアス、あるいは直流+交流(DC+AC)バイアスが印加されることで電子写真感光体21が所定の極性・電位に接触帯電される。帯電ローラ1で周面が帯電された電子写真感光体21は、次いで露光手段24により目的画像情報の露光(レーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光等)を受けることで、その周面に目的の画像情報に対した静電潜像が形成される。
【0052】
静電潜像は、次いで、現像手段25により、トナー画像として順次に可視像化されていく。このトナー画像は、次いで、転写手段26により不図示の給紙手段部から電子写真感光体21の回転と同期取りされて適正なタイミングをもって電子写真感光体21と転写手段26との間の転写部へ搬送された転写材27に順次転写されていく。ここで転写手段26は転写ローラであり、転写材27の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで電子写真感光体21側のトナー画像が転写材27に転写されていく。
【0053】
表面にトナー画像の転写を受けた転写材27は、電子写真感光体21から分離されて不図示の定着手段へ搬送されて像定着を受け、画像形成物として出力される。あるいは、裏面にも像形成するものでは、転写部への再搬送手段へ搬送される。
【0054】
像転写後の電子写真感光体21の周面は、前露光手段28による前露光を受けて電子写真感光体ドラム上の残留電荷が除去(除電)される。この前露光手段28には公知の手段を利用することができ、例えばLEDチップアレイ、ヒューズランプ、ハロゲンランプ、蛍光ランプ等を好適に例示することができる。前露光手段は、除電効果を考慮すると、その露光量は前述した露光手段の露光量よりも大きいことが好ましい。また、前露光手段の位置は本実施形態に限定されるものではなく、クリーニング手段29と帯電手段(例えば、帯電ローラ1)の間に設けてもよい。
【0055】
除電された電子写真感光体21の周面は、クリーニング手段29で転写残りトナー、転写材屑等の付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて、繰り返して画像形成に供される。
【0056】
帯電ローラ1は面移動駆動される電子写真感光体21に従動駆動させてもよいし、非回転にしてもよいし、電子写真感光体21の面移動方向に順方向又は逆方向に所定の周速度をもって積極的に回転駆動させるようにしてもよい。
【0057】
また、露光は、電子写真装置を複写機として使用する場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは原稿を読み取り信号化し、この信号に基づいてレーザービームを走査したり、LEDアレイを駆動したり、又は液晶シャッターアレイを駆動したりすること等により行われる。
【0058】
本発明の電子写真用半導電性弾性部材を使用しうる電子写真装置としては、複写機、レーザービームプリンター、LEDプリンタ、あるいは、電子写真製版システム等の電子写真応用装置等が挙げられる。
【0059】
本発明の弾性部材は、除電部材や給紙ローラ等の搬送部材としても使用可能である。
【0060】
本発明においては、図3に示されるように、電子写真感光体21、帯電部材1、現像手段25、クリーニング手段29のような複数部材が、プロセスカートリッジに一体的に組み込まれることもできる。プロセスカートリッジは、電子写真装置本体に対して着脱自在の構成とすることができる。例えば、本発明の帯電部材及び電子写真感光体、必要に応じて、更に現像部材やクリーニング部材等をプロセスカートリッジに一体的に組み込み、電子写真装置本体のレール等の案内手段を用いて着脱自在に構成できる。
【実施例】
【0061】
以下に、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。これらは、本発明を何ら限定するものではない。なお、以下、特に明記しない限り、「部」は「質量部」を意味しており、試薬等で特に指定のないものは、市販の高純度品を用いた。
【0062】
実施例1
原料ゴムとしてエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体「エピクロマー CG105」(商品名、ダイソー株式会社製)50部およびエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体「エピクロマー EPION301」(商品名、ダイソー株式会社製)50部、加工助剤としてステアリン酸亜鉛1部、加硫促進助剤として酸化亜鉛5部、充填剤としてMTカーボンブラック「サーマックスフローフォームN990」(商品名、CANCARB社製)35部、有機変性層状粘土鉱物「エスベンNX」(商品名、株式会社ホージュン製、層間がジメチルオクタデシルアンモニウムイオンで修飾されたベントナイト)5部、エポキシ基を有するオリゴマーとしてエポキシ化ブタジエン「アデカイザー BF1000」(商品名、旭電化工業株式会社製)5部、加硫剤としてジベンゾチアゾリルジスルフィド「ノクセラーDM」(商品名、大内新興化学工業株式会社製)1部、テトラメチルチオラムジスルフィド「ノクセラーTS」(商品名、大内新興化学工業株式会社製)1部、及び硫黄1.2部をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0063】
得られた未加硫ゴム組成物を、株式会社イーエム技研製のベント式ゴム押出機(φ50mm、L/D=16)によりチューブ状に押出し、加硫缶を用いた加圧水蒸気により160℃で30分間の一次加硫を行い、切断して、外径15mm、内径5.5mm、長さ250mmのゴムチューブを得た。
【0064】
直径6mm、長さ256mmの円柱形の導電性芯金(鋼製、表面はニッケルメッキ)の円柱の中央部232mmに導電性ホットメルト接着剤を塗布し、80℃で30分間乾燥したものを、上記ゴムチューブに圧入し、熱風炉にて160℃で2時間の二次加硫と接着処理を行った。ゴム両端部を突切って、ゴム部分の長さを232mmとした後、ゴム部分を回転砥石で研磨し、端部直径8.3mm、中央部直径8.5mmの太鼓形状の弾性体層を有するローラを得た。
【0065】
このローラの弾性体層表面に、回転させながら、紫外線照射装置(185nm、245nmが波長主成分)を用いて紫外線強度40mW/cm2で10分間紫外線を照射して表面処理を行い、電子写真用半導電性弾性部材を得た。
【0066】
この弾性体層から2mm厚の試験片を短冊状に数枚切り出し、アルミニウム製の試料ホルダーに測定面が平滑に揃うように敷き詰め、X線回折装置「TTR―2」(商品名、株式会社リガク製)によって層状鉱物の層間距離を2θ/θスキャン法にて2θ=1〜10°で測定した。なお、X線回折測定の条件は、X線出力50kV、300mAのCuKα線を用い、発散スリット0.20mm、発散縦制限スリット10.0mm、散乱スリット開放、受光スリット0.15mm、インシデントモノクロメーター使用とした。その結果、層間距離は3.97nmであった。
【0067】
この電子写真用半導電性弾性部材を帯電ローラとして図3に示したプロセスカートリッジ「トナーカートリッジEP−85」(商品名、キヤノン株式会社製)に組み込み、40℃/95%RHの過酷環境下で30日間放置し、感光体汚染性の加速試験を行った。その結果、電子写真用半導電性弾性部材から感光体への汚染物質の移行は確認されなかった。
【0068】
次に、このカートリッジを図2に示した電子写真装置「レーザショットLBP−2510」(商品名、キヤノン株式会社製)にて、常温常湿環境下でハーフトーンの画像形成を行い、過酷環境放置後の画像評価を行い、下記基準で評価したところ、A評価であった。
【0069】
(過酷環境放置後の画像評価基準)
A評価:電子写真用半導電性弾性部材から感光体への汚染物質の移行は確認されず、品位良好な画像がえられ、「良い」。
B評価:汚染物質が表面に移行することにより、電子写真用半導電性弾性部材や感光体の表面に汚染物質が残り、その部位の帯電特性や現像特性や転写特性が変わり、電子写真用半導電性弾性部材や感光体の円周長さの周期で画像不良が発生し、「悪い」。
C評価:汚染物質が表面に移行することにより、電子写真用半導電性弾性部材や感光体の表面に汚染物質が多く残り、その部位の帯電特性や現像特性や転写特性がかなり変わり、電子写真用半導電性弾性部材や感光体の円周長さの周期で画像不良が多く発生し、「非常に悪い」。
【0070】
実施例2
エポキシ基を有するオリゴマーとしてエポキシ化ブタジエン「アデカレンジ EPB1200」(商品名、旭電化工業株式会社製)5部を使用した以外は実施例1と同様に電子写真用半導電性弾性部材を得た。なお、この弾性体中の層状粘土鉱物の層間距離は、4.03nmであった。また、実施例1と同様に感光体汚染試験を画像出力により行った。その結果、過酷環境放置後も電子写真用半導電性弾性部材から感光体への汚染物質の移行は確認されず、品位良好な画像が得られた(A評価)。
【0071】
実施例3
表面処理として、紫外線照射に替えて、シリコーン系反応性表面処理液「SAT−500F」(商品名:、シンコー技研株式会社製)に弾性体層を1分間ディッピングした後、100℃、10分の熱処理とする他は実施例1と同様にして、電子写真用半導電性弾性部材を得た。このとき表面処理液の硬化物の膜厚は0.1μm以下であった。また、この弾性体層中の層状粘土鉱物の層間距離は3.97nmであった。実施例1と同様に感光体汚染試験を画像出力により行った結果、過酷環境放置後も電子写真用半導電性弾性部材から感光体への汚染物質の移行は確認されず、品位良好な画像が得られた(A評価)。
【0072】
実施例4
表面処理として、紫外線照射に替えて、シリコーン系反応性表面処理液「SAT−500F」(商品名)に弾性体層を1分間ディッピングした後、100℃、10分の熱処理とする他は実施例2と同様にして、電子写真用半導電性弾性部材を得た。このとき表面処理液の硬化物の膜厚は0.1μm以下であった。また、この弾性体中の層状粘土鉱物の層間距離は4.03nmであった。実施例1と同様に感光体汚染試験を画像出力により行った結果、過酷環境放置後も電子写真用半導電性弾性部材から感光体への汚染物質の移行は確認されず、品位良好な画像が得られた(A評価)。
【0073】
実施例5
表面処理を何も行なわないこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真用半導電性弾性部材を得た。また、この弾性体層中の層状粘土鉱物の層間距離は3.97nmであった。この電子写真用半導電性弾性部材を帯電ローラとして図3に示したプロセスカートリッジ「トナーカートリッジEP−85」(商品名、キヤノン株式会社製)に組み込み、40℃/95%RHの過酷環境下で30日間放置し、感光体汚染性の加速試験を行った。その結果、過酷環境放置後も電子写真用半導電性弾性部材から感光体への汚染物質の移行は確認されなかった。ただし、表面処理を行っていないために、トナーや外添剤が電子写真用半導電性部材表面に付着するという弊害があるので、画像出力は行なわなかった。
【0074】
比較例1
導電性弾性体層原料として、有機変性層状粘土鉱物およびエポキシ基を有するオリゴマーを含まないものとした以外は実施例1と同様に電子写真用半導電性弾性部材を得た。実施例1と同様に感光体汚染試験を画像出力により行った結果、過酷放置中に電子写真用半導電性部材からかなり滲み出し、感光体と電子写真用半導電性弾性部材に付着した汚染物質と見られる画像不良が明確に確認された(C評価)。
【0075】
比較例2
導電性弾性体層原料として、有機変性層状粘土鉱物およびエポキシ基を有するオリゴマーを含まないものとした以外は実施例3と同様に電子写真用半導電性弾性部材を得た。実施例1と同様に感光体汚染試験を画像出力により行った結果、過酷放置中に電子写真用半導電性部材からかなり滲み出し、感光体と電子写真用半導電性弾性部材に付着した汚染物質と見られる画像不良が明確に確認された(C評価)。
【0076】
比較例3
導電性弾性体層原料として、エポキシ基を有するオリゴマーを含まないものとした以外は実施例1と同様に電子写真用半導電性弾性部材を得た。なお、この弾性体層中の層状粘土鉱物の層間距離は3.52nmであった。実施例1と同様に感光体汚染試験を画像出力により行った結果、過酷放置中に電子写真用半導電性部材から滲み出し、感光体と電子写真用半導電性弾性部材に付着した汚染物質と見られる画像不良が確認された(B評価)。
【0077】
比較例4
導電性弾性体層原料として、有機変性層状粘土鉱物を含まないものとした以外は実施例1と同様に電子写真用半導電性弾性部材を得た。実施例1と同様に感光体汚染試験を画像出力により行った結果、過酷放置中に電子写真用半導電性部材からかなりの量が滲み出し、感光体と電子写真用半導電性弾性部材に付着した汚染物質と見られる画像不良が確認された(B評価)。
【0078】
以上の帯電ローラの、弾性体層の材料組成、表面処理および評価結果を表1に示す。
【0079】
【表1】


注)組成中の記号は下記を示す。
CG105:ダイソー株式会社製のエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体「エピクロマー CG105」(商品名)
EPION:ダイソー株式会社製のエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体「エピクロマー EPION301」(商品名)
MTカーボンブラック:CANCARB社製のMTカーボンブラック「サーマックスフローフォームN990」(商品名)
BF1000:旭電化工業株式会社製のエポキシ化ブタジエン「アデカイザー BF1000」(商品名)
EPB1200:旭電化工業株式会社製のエポキシ化ブタジエン「アデカイザー EPB1200」(商品名)
DM:ジベンゾチアゾリルジスルフィド
TS:テトラメチルチオラムジスルフィド
*)表面処理は、それぞれUV:紫外線照射、SAT:シリコーン系反応性表面処理剤処理を示す。
【0080】
比較例1〜4については帯電ローラを構成するポリマーに、本発明の有機変性層状粘土鉱物とエポキシ化ブタジエンオリゴマーの少なくとも一方が含有されておらず、比較例3では、有機変性粘土鉱物があるために、その層間に比較的小さな汚染物質であれば吸着保持することができ、比較例4では、エポキシ化ブタジエンオリゴマーのエポキシ基が塩素と反応し、塩素起因の汚染を防ぐことができるが、本発明ほどの効果を得ることはできなかった。その結果、電子写真用半導電性弾性部材を感光体と当接させて過酷環境下で長期放置した場合に、該部材の弾性体層からの移行物質が感光体を汚染したことによる画像不良が発生した。
【0081】
表1から明らかなように、本発明の電子写真用半導電性弾性部材を帯電ローラとして用いたときには、感光体と当接して過酷環境下で長期放置された場合でも、弾性体層からの移行物質が殆どなく、感光体汚染による画像不良は発生していない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の半導電性弾性部材(ローラ形状)の模式断面図である。
【図2】本発明における電子写真装置の模式的断面図である。
【図3】本発明におけるプロセスカートリッジの模式的断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 帯電ローラ
11 芯金
12 弾性体層
13 表面層
21 電子写真感光体
21a 感光層
21b 導電性支持体
21c 軸
23 電源
23a 摺擦端子
24 露光手段
25 現像手段
26 転写手段
27 転写材
28 前露光手段
29 クリーニング手段
T トナー




 

 


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