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発明の名称 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−11006(P2007−11006A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−191981(P2005−191981)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100065385
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 穣平
発明者 辻 晴之 / 酒匂 春海 / 菊地 憲裕 / 吉村 公博 / 玉井 秀明 / 小坂 宣夫
要約 課題
連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と潤滑性を与える物質との相溶性に問題がなく、感光体表面の硬さと潤滑性が得られ感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与させる感光体を提供すること。

解決手段
支持体及び該支持体上に感光層を有する感光体であって、該感光層が式(1)又は式(2)で示される正孔輸送性化合物を重合した化合物を含有する電子写真感光体:
特許請求の範囲
【請求項1】
支持体及び該支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該感光層が下記一般式(1)で示される正孔輸送性化合物を重合した化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【化1】



(式中、Ar〜Arは置換基を有してもよいアリール基を示し、Ar〜Arのうち少なくとも1つがフッ素原子を含有しない連鎖重合基を1つ以上有し、Ar〜Arのうち少なくとも1つが1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有する。ただし、該フッ素原子は該アリール基中のフェニル基と直接結合されていない。また、該フッ素原子を含有しない連鎖重合基と該フッ素原子を含有する置換基は、同一のアリール基が有しても、別のアリール基が有してもよく、Ar〜Arは同一でも異なっていてもよい。ただし、該1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有するアリール基以外はフッ素原子を有さない。)
【請求項2】
支持体及び該支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該感光層が下記一般式(2)で示される正孔輸送性化合物を重合した化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【化2】



(式中、Ar〜Arは置換基を有してもよいアリール基を示し、Ar〜Arのうち少なくとも1つがフッ素原子を含有しない連鎖重合基を1つ以上有し、Ar〜Arのうち少なくとも1つが1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有する。ただし、該フッ素原子は前記アリール基中のフェニル基と直接結合されていない。また、該フッ素原子を含有しない連鎖重合基と該フッ素原子を含有する置換基は、同一のアリール基が有しても、別のアリール基が有してもよく、Ar〜Arは同一でも異なっていてもよい。ただし、該1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有するアリール基以外はフッ素原子を有さない。)
【請求項3】
前記フッ素原子を含有しない連鎖重合基が、下記構造式のいずれかである請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
【化3】


【請求項4】
前記フッ素原子を含有する置換基が下記構造式に示される置換基である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体:
−(R)p−(CH)q−(CF)r−CF
(式中、Rはフッ素原子を含有しない置換基を有してもよいアルキル基又は−C(CH−、−O−、−COO−であり。p、qはそれぞれ0以上の整数を示し、p、qのいずれかは1以上の整数である。rは0以上の整数を示す。)
【請求項5】
前記フッ素原子を含有する置換基が下記構造式に示される置換基である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体:
【化4】



(式中、s、uはそれぞれ0以上の整数を示し、t、vはそれぞれ0以上の整数を示す。)
【請求項6】
前記一般式(1)又は(2)で示される正孔輸送性化合物中のフッ素原子含有量Fwt%が、下記に示される数式(i)において5wt%以上30wt%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
【数1】


【請求項7】
前記一般式(1)又は(2)で示される正孔輸送性化合物中のフッ素原子含有量Fwt%が10wt%以上25wt%以下である請求項6に記載の電子写真感光体。
【請求項8】
前記一般式(1)又は(2)で示される正孔輸送性化合物の重合が電子線によって行われる請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを共に一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対し露光を行い静電潜像を形成する露光手段、静電潜像の形成された電子写真感光体にトナーで現像する現像手段及び電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えることを特徴とする電子写真装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは、感光層中に特定の正孔輸送性化合物を重合した化合物を含有する電子写真感光体、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真感光体に用いられる光導電材料としては、セレン、硫化カドミウム及び酸化亜鉛等の無機材料が知られていた。他方、有機材料であるポリビニルカルバゾール、フタロシアニン及びアゾ顔料等は高生産性や無公害性等の利点が注目され、無機材料と比較して光導電特性や耐久性等の点で劣る傾向にあるものの、広く用いられるようになってきた。これらの電子写真感光体は、電気的及び機械的特性の双方を満足するために電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の電子写真感光体として利用される場合が多い。
【0003】
一方、当然のことながら電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、そして光学的特性を備えていることが要求される。また、特に繰り返し使用される電子写真感光体にあっては、その電子写真感光体表面には、帯電、画像露光、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理といった電気的や機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性や安定性が要求される。具体的には、摺擦による表面の磨耗や傷の発生に対する耐久性、帯電時のオゾンや窒素酸化物に対する耐表面劣化性等が要求される。加えて、電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与させるために、電子写真感光体表面の低エネルギー化が必要とされる。
【0004】
一般に電子写真感光体の表面は薄い樹脂層であり、樹脂の特性が非常に重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が選択され、電荷輸送材料を混合させた電荷輸送層として広く実用化されている。
【0005】
但し上述したような表面層は、熱可塑性のポリマーであるために機械的強度に限界があること、及び電気的特性を満たす目的で低分子の電荷輸送材料を多量に混合させているために、耐磨耗性という面で十分ではなく、種々の検討がなされている。
【0006】
その一例として、硬化性の樹脂を表面保護層として用いることが有効である(例えば特許文献1及び2)。紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂を用いた表面層が開示され、耐久性の向上が示されている。中でも、硬化性のアクリル樹脂はその反応性が高く硬化速度が速いために、各種ハードコートとして使用されており、これを電子写真感光体の表面層に用いた場合にも十分な耐久性が得られることが示されている(例えば特許文献3)。
【0007】
また、硬化性の樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いる試みがある(例えば特許文献4)。このように、電荷輸送層用の樹脂に硬化性の樹脂を用い電荷輸送層を硬化、架橋することによって機械的強度が増し、繰り返し使用時の耐削れ性及び耐傷性が向上する。
【0008】
更には、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送材を熱あるいは光のエネルギーによって反応させ、電荷輸送マトリックスに化学的に結合させたり(例えば特許文献5及び6)、熱可塑性高分子鎖中に電荷輸送能を有する基を導入したりすることで、電子写真感光体の表面層の機械的強度を向上させる方法(例えば特許文献7)が開示されている。
【0009】
一方で、先に述べたように電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与させるために、電子写真感光体表面の低エネルギー化が重要な課題である。このような特性を改良するために、感光層に潤滑性を有する材料、例えばフッ素系、シリコーン系の化合物等の使用が考えられる。しかしこれらの材料は、そもそも感光層に用いられている構成材料との相溶性が低かったり、塗工液にした場合の溶解性や液安定性の問題が発生したり、また塗工性が非常に悪化したり、成膜時あるいは成膜後に層分離する等の問題を起こし易い。また、その高い表面移行性により電子写真感光体のごく表層のみに高濃度で存在する傾向にあり、初期は高潤滑性を示すものの、繰り返し使用の耐久により電子写真感光体が削れるとすぐさまその潤滑性が低減する等して、十分な効果が得られない等の問題点があった。
【0010】
また、一方、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と連鎖重合性官能基を有するフッ素系、シリコーン系の化合物を重合させてなる層を有する電子写真感光体がある(例えば特許文献8)。
【0011】
しかしこれらの材料は特性の異なる重合性化合物を混合し重合させた層であるため、相溶性、溶解性や液安定性を更に向上させることが求められていた。
【0012】
前述のように、硬化性の高い表面層を有する電子写真感光体において、電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与させるために、電子写真感光体表面の低エネルギー化が重要である。そのためには、表面層に潤滑性を有する材料を多量に導入することが必要となってくる。
【0013】
しかしながら、表面層が連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合した化合物と多量の潤滑性を有する材料の添加された層である電子写真感光体や、表面層が連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と多量の連鎖重合性官能基を有するフッ素系、シリコーン系の化合物を重合させてなる層を有する電子写真感光体では、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と潤滑性を有する材料あるいは連鎖重合性官能基を有するフッ素系、シリコーン系の化合物との相溶性を原因にした課題が発生する。
【0014】
相溶性の課題を解決するため、フッ素及び連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物が考えられる。
【0015】
フッ素原子を有する連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物の例が示されている(例えば特許文献9)。しかしながらこの例示化合物は、フッ素を含有しないものよりも正孔輸送能が低下することがあった。すなわちフッ素及び連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物というだけでは相溶性の課題が解決できても、別の課題が発生し、感光体材料としては更なる向上が求められていた。
【特許文献1】特開昭51−66834号公報
【特許文献2】特開昭64−72167号公報
【特許文献3】特開昭61−5253号公報
【特許文献4】特開平2−127652号公報
【特許文献5】特開平5−216249号公報
【特許文献6】特開平7−72640号公報
【特許文献7】特開平8−248649号公報
【特許文献8】特開2001−166510号公報
【特許文献9】特開2001−166509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と潤滑性を与える物質との相溶性に問題がなく、感光体表面の硬さと潤滑性が得られ電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与させる電子写真感光体、該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に従って、支持体及び該支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該感光層が下記一般式(1)又は一般式(2)で示される正孔輸送性化合物を重合した化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0018】
【化5】


【0019】
式中、Ar〜Arは置換基を有してもよいアリール基を示し、Ar〜Arのうち少なくとも1つがフッ素原子を含有しない連鎖重合基を1つ以上有し、Ar〜Arのうち少なくとも1つが1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有する。ただし、該フッ素原子は該アリール基中のフェニル基と直接結合されていない。また、該フッ素原子を含有しない連鎖重合基と該フッ素原子を含有する置換基は、同一のアリール基が有しても、別のアリール基が有してもよく、Ar〜Arは同一でも異なっていてもよい。ただし、該1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有するアリール基以外はフッ素原子を有さない。
【0020】
【化6】


【0021】
式中、Ar〜Arは置換基を有してもよいアリール基を示し、Ar〜Arのうち少なくとも1つがフッ素原子を含有しない連鎖重合基を1つ以上有し、Ar〜Arのうち少なくとも1つが1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有する。ただし、該フッ素原子は前記アリール基中のフェニル基と直接結合されていない。また、該フッ素原子を含有しない連鎖重合基と該フッ素原子を含有する置換基は、同一のアリール基が有しても、別のアリール基が有してもよく、Ar〜Arは同一でも異なっていてもよい。ただし、該1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有するアリール基以外はフッ素原子を有さない。
【0022】
また、本発明に従って、上記電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、硬化性の高い、高耐久、高寿命の表面層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ及び電子写真装置において、相溶性に問題がなく電子写真感光体表面の低エネルギー化が出来、電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与させることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0025】
本発明の電子写真感光体の構成は、導電性支持体上に感光層として電荷発生材料を含有する電荷発生層及び電荷輸送材料を含有する電荷輸送層をこの順に積層した構成あるいは逆に積層した構成、また電荷発生材料と電荷輸送材料を同一層中に分散した単層からなる構成のいずれの構成をとることも可能である。前者の積層型においては、電荷輸送層が二層以上の構成、また後者の単層型においては、電荷発生材料と電荷輸送材料を同一に含有する感光層上に更に電荷輸送層を構成してもよく、更には電荷発生層あるいは電荷輸送層上に保護層の形成も可能である。
【0026】
電子写真感光体が有する支持体は、導電性を有するものであればよい。例えばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金をドラム状又はシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
【0027】
本発明においては、支持体と感光層の間にバリアー機能と接着機能を有する下引き層を設けることができる。下引き層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。
【0028】
下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が挙げられる。下引き層は、これらの材料をそれぞれに適した溶剤に溶解した溶液を支持体上に塗布し、乾燥することによって形成される。膜厚は、0.1〜2μmであることが好ましい。
【0029】
積層型の電荷発生層は少なくとも電荷発生材料と結着樹脂からなる。電荷発生材料としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶系、具体的には例えば、α、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及び特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコン等が挙げられる。
【0030】
結着樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン及びトリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体や共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0031】
電荷発生層は、前記電荷発生材料を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アドライダー及びロールミル等の方法で良く分散し、得られた分散液を塗布し、乾燥することによって形成されるか、前記電荷発生材料の蒸着膜等、単独組成の膜として形成される。その膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることが好ましい。
【0032】
本発明における連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、前述した電荷発生層上に電荷輸送層として用いることができる。もしくは電荷発生層上に電荷輸送材料と結着樹脂からなる第1電荷輸送層を形成した後に、第2電荷輸送層として用いることができる。また、電荷発生材料と電荷輸送材料を同一層中に分散した単層の場合には、前記電荷輸送材料として本発明における連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を用いることが出来る。もしくは電荷発生材料と電荷輸送材料を同一層中に分散した層上に電荷輸送層として用いることができる。
【0033】
いずれの場合も、前記正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合/架橋反応させるのが好ましいが、前もって正孔輸送性化合物を含む溶液を反応させて硬化物を得た後に、再度溶剤中に分散あるいは溶解させたもの等を用いて、表面層を形成することも可能である。
【0034】
連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物を電荷輸送層として用いた場合の正孔輸送性化合物の量は、硬化後の電荷輸送層の全質量に対して、正孔輸送性基(例えば一般式(1)中のアリール基の置換基を全て水素に置き換えたもの)が20質量%以上が好ましく、特には40質量%以上含有されていることが好ましい。20質量%に満たないと電荷輸送能が低下し易く、感度の低下及び残留電位の上昇等の問題点が生じ易くなる。電荷輸送層の膜厚は、1〜50μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
【0035】
正孔輸送性化合物を第2電荷輸送層あるいは電荷発生材料と電荷輸送材料を同一層中に分散した層上の電荷輸送層として用いた場合、その下層に当たる第1電荷輸送層あるいは電荷発生材料と電荷輸送材料を同一層中に分散した層は適当な電荷輸送材料、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体及びヒドラジン誘導体等の低分子化合物等を適当な結着樹脂(前述の電荷発生層用樹脂の中から選択できる)と共に溶剤に分散/溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
【0036】
この場合の電荷輸送材料と結着樹脂の比率は、両者の全質量に対し、電荷輸送材料の質量が20〜70質量%であることが好ましく、特には25〜60質量%であることが好ましい。電荷輸送材料の量が20質量%に満たないと、電荷輸送能が低下し易く、感度の低下及び残留電位の上昇等の問題点が生じ易くなる。電荷輸送層の膜厚は、上層の表面保護層と合わせた総膜厚が1〜50μmとなることが好ましく、特には5〜30μmであることが好ましい。
【0037】
本発明においては上述のいずれの場合においても、連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物の硬化物を含有する感光層に、前記電荷輸送材料を含有することが可能である。
【0038】
単層型感光層の場合は、正孔輸送性化合物と電荷発生材料の両方を含有する溶液を重合/架橋することによって形成するか、電荷発生材料及び電荷輸送材料を含有する単層型感光層上に正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合/架橋することによって形成する。
【0039】
前述のように、硬化性の高い表面層を有する電子写真感光体において、電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与させることを目的とした電子写真感光体表面の低エネルギー化が重要である。そのためには、表面層に潤滑性を有する材料を多量に導入することが必要となってくる。
【0040】
しかしながら、表面層が連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合した化合物と多量の潤滑性を有する材料の添加された層である電子写真感光体や、表面層が連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と多量の連鎖重合性官能基を有するフッ素系、シリコーン系の化合物を重合させてなる層を有する電子写真感光体では連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と潤滑性を有する材料あるいは連鎖重合性官能基を有するフッ素系、シリコーン系の化合物との相溶性を原因にした課題が発生する。
【0041】
また、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物の例として、トリフェニルアミン構造のフェニル基にフッ素原子が直接結合した構造の化合物(例えは、特許文献9における化合物例No.331、No.409)が挙げられているが、実際に用いた場合には、フッ素原子を含有しないものよりも正孔輸送能が低下することがあった。
【0042】
すなわち、これまでの技術や知見では、相溶性、正孔輸送能、硬化性、硬さのいずれにも課題がなく、硬化性の高い表面層を有するにおいて、電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与することが出来なかった。
【0043】
本発明の正孔輸送性化合物を用いることにより、これらの課題を解決し、硬化性の硬い表面層を有するにおいて、電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与することが可能となった。以下に本発明の正孔輸送性化合物について説明する。
【0044】
本発明の正孔輸送性化合物は、下記一般式(1)で示される正孔輸送性化合物あるいは、下記一般式(2)で示される正孔輸送性化合物である。
【0045】
【化7】


【0046】
式中、Ar〜Arは置換基を有してもよいアリール基を示し、Ar〜Arのうち少なくとも1つがフッ素原子を含有しない連鎖重合基を1つ以上有し、Ar〜Arのうち少なくとも1つが1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有する。ただし、該フッ素原子は該アリール基中のフェニル基と直接結合されていない。また、該フッ素原子を含有しない連鎖重合基と該フッ素原子を含有する置換基は、同一のアリール基が有しても、別のアリール基が有してもよく、Ar〜Arは同一でも異なっていてもよい。ただし、該1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有するアリール基以外はフッ素原子を有さない。
【0047】
【化8】


【0048】
式中、Ar〜Arは置換基を有してもよいアリール基を示し、Ar〜Arのうち少なくとも1つがフッ素原子を含有しない連鎖重合基を1つ以上有し、Ar〜Arのうち少なくとも1つが1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有する。ただし、該フッ素原子は該アリール基中のフェニル基と直接結合されていない。また、該フッ素原子を含有しない連鎖重合基と該フッ素原子を含有する置換基は、同一のアリール基が有しても、別のアリール基が有してもよく、Ar〜Arは同一でも異なっていてもよい。ただし、該1つ以上のフッ素原子を含有する置換基を有するアリール基以外はフッ素原子を有さない。
【0049】
連鎖重合基としては、一般的な付加反応、縮合反応、脱水反応、重合反応、架橋反応等が可能な官能基群から最適なものを選択するが、反応効率等の点から、重合あるいは架橋性反応基が好ましい。重合あるいは架橋性反応基の例としては、ラジカル重合あるいはイオン重合等の連鎖重合性官能基、付加縮合、重縮合、重付加等の逐次重合性官能基等が挙げられるが、反応効率の点から連鎖重合性官能基が好ましい。ここで連鎖重合性官能基について詳しく説明する。
【0050】
本発明における連鎖重合とは、高分子物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた場合の前者の重合反応形態を示し、詳しくは例えば技報堂出版 三羽忠広著の「基礎 合成樹脂の化学(新版)」1995年7月25日(1版8刷)P.24に説明されているように、その形態が主にラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そして異性化重合等のことをいう。ここでは、その大半を占め応用範囲の広い不飽和重合あるいは開環重合性官能基の具体例を示す。
【0051】
不飽和重合とは、ラジカル、イオン等によって不飽和基、例えばC=C、C≡C、C=O、C=N、C≡N等が重合する反応であるが、主にはC=Cである。不飽和重合性官能基の具体例を表1に示すがこれらに限定されるものではない。
【0052】
【表1】


【0053】
表中、Rは置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基又は水素原子を示す。
【0054】
開環重合とは、炭素環、オクソ環及び窒素ヘテロ環等のひずみを有した不安定な環状構造が触媒の作用で活性化され、開環すると同時に重合を繰り返し鎖状高分子物を生成する反応であるが、この場合、基本的にはイオンが活性種として作用するものが大部分である。開環重合性官能基の具体例を表2に示すがこれらに限定されるものではない。
【0055】
【表2】


【0056】
表中、Rは置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基又は水素原子を示す。
【0057】
これらの連鎖重合性基にはフッ素原子を含有しないことを特徴とする。連鎖重合基中にフッ素原子が存在すると、重合を阻害する。これらの連鎖重合基の中でも以下のものが好ましい。
【0058】
【化9】


【0059】
また、更にフッ素原子を含有しない連鎖重合基と前記アリール基中フェニル基との間にフッ素原子を含有しない有機残基を有してもよい。
【0060】
一方、前記フッ素原子を含有する置換基としては、各種有機残基の水素がフッ素に置換されたものが使用でき、アルキル基やアラルキル基の水素がフッ素に置き換えられたものが好ましいが、以下の構造式に示される置換基が更に好ましい。
【0061】
−(R)p−(CH)q−(CF)r−CF
式中、Rは2価のフッ素原子を含有しない置換基を有してもよいアルキル基、又は2価のフッ素原子を含有しない−C(CH−、−O−、−COO−のいずれかを示す。p、qはそれぞれ0以上の整数を示し、p、qのいずれかは1以上の整数である。rは0以上の整数を示し、1以上の整数が好ましい。
【0062】
フッ素原子を含有する置換基として、より好ましくは、以下の構造式に示される置換基である。
【0063】
【化10】


【0064】
式中、s、tはそれぞれ0以上の整数を示し、u、vはそれぞれ0以上の整数を示す。u、vはそれぞれ1以上の整数が好ましい。
【0065】
また、本発明の正孔輸送性化合物中のフッ素原子含有量Fwt%を下記数式(i)のように表した時、正孔輸送性化合物中のフッ素原子含有量Fwt%は5wt%以上30wt%以下であることが好ましく、より好ましくは10wt%以上25wt%以下である。
【0066】
【数2】


【0067】
フッ素原子含有量Fwt%が5wt%より小さいと、本発明の効果が発現し難くなり、30wt%より大きいと連鎖重合性基や正孔輸送を担う部分の割合が小さくなるため、結果として、正孔輸送能が悪くなったり、重合性が悪くなったりする。
【0068】
本発明の正孔輸送性化合物の例を以下に示す。ただし、本発明の正孔輸送性化合物は例示化合物に限らない。
【0069】
【表3】


【0070】
【表4】


【0071】
【表5】


【0072】
【表6】


【0073】
【表7】


【0074】
下記に本発明の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物の代表的な合成法を示す。ただし、以下の合成法は代表的な例を示し、その他の製造方法に従って製造しても構わない。
【0075】
(合成例1:表3の例示化合物No.1の合成)
以下のルートに従い合成した。
【0076】
【化11】


【0077】
(200質量部;以下部)、(428部)、無水炭酸カリウム(122部)及び銅粉(113部)を1,2−ジクロロベンゼン(500部)と共に190〜200℃で加熱撹拌を24時間行った。反応液の固形物を濾過により除去後、濾液中の溶媒及び過剰のを減圧蒸留により除去した。蒸留した後の残留物にエタノール1000部を加え、室温で撹拌しながら苛性ソーダ(120部)をゆっくり添加し、添加終了後そのまま室温で1時間撹拌後、更に70〜80℃で10時間加熱撹拌を行った。反応液を水にあけ希塩酸で中和後、酢酸エチルで抽出を行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで12時間乾燥した。その後、無水硫酸ナトリウムを濾過で除去し、濾液中の溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物をトルエン/メチルエチルケトン混合溶媒を用い再結晶を行い、を220部得た。
【0078】
(200部)、アクリル酸(55部)及びP−メトキシフェノール(0.5部)をトルエン(400部)に溶解後、P−トルエンスルホン酸(1水和物)(6部)を室温で添加した。その後油浴で加熱し脱水還流を7時間行った。反応液を氷水にあけ10%苛性ソーダ水溶液で中和後、酢酸エチルを用い抽出し、更に有機層を水洗して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、無水硫酸ナトリウムを濾過で除去し、濾液中の溶媒を減圧下で留去して粗製品のを185部得た。
【0079】
粗製品(180部)をトルエン900部に溶解し、そこへ活性白土(キシダ化学(株)製)90部を添加し30分間室温で攪拌処理した。活性白土を1.0μmの濾紙を使用し濾過後、更に0.5μmのメンブランフィルターを用い濾過した。得られた濾液をそのままシリカゲルカラム(展開溶媒:トルエン)を用い分離精製し、目的化合物(粘調液体)を145部得た。
【0080】
本発明における感光層には、各種添加剤を添加することができる。
【0081】
上記各層用の溶液を塗布する方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等が挙げられるが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。また、蒸着、プラズマ、その他の公知の製膜方法が適宜選択できる。
【0082】
本発明において、上述の添加剤を重合させる手法としては、熱あるいは紫外線、γ線や電子線のような高エネルギー放射線を利用するのが好ましく、場合によっては重合開始剤を併用することが可能である。但し、開始剤類は電子写真特性に悪影響を及ぼす場合があるため、慎重に選択するべきである。特に、電子線等の高エネルギー線の利用は、開始剤を必要としないことと、重合効率が高い点で好ましい。
【0083】
熱により重合反応を行う際には、熱エネルギーのみで重合反応が進行する場合と重合開始剤が必要となる場合があるが、より低い温度で効率良く反応を進行させるためには、開始剤を添加することが好ましい。
【0084】
この場合に用いられる重合開始剤としては、室温以上で半減期を有するものであればよく、その具体例は過硫酸アンモン、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及びジt−ブチルパーオキサイド等の過酸化物やアゾビスブチロニトリル等のアゾ系化合物等である。添加量は連鎖重合性基を有する化合物100質量部に対して0.01〜10質量部程度であり、開始剤に応じて反応系の温度は室温〜200℃の間で適宜選択できる。
【0085】
紫外線により重合反応を行う際には、光エネルギーのみで反応が進行することはごく稀であり、一般には光重合開始剤が併用される。
【0086】
この場合の重合開始剤とは、主には波長400nm以下の紫外線を吸収してラジカルやイオン等の活性種を生成し、重合を開始させるものを指すが、それらの具体例はアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾフェノン及びチオキサンソン系等のラジカル重合開始剤、またジアゾニウム化合物、スルフォニウム化合物、ヨードニウム化合物及び金属錯体化合物等のイオン重合開始剤等である。ただ近年では、波長400nm以上で赤外/可視領域の光を吸収して先の活性種を生成する重合開始剤も発表されており、それらの利用した赤外/可視領域の光による重合反応も可能である。開始剤の添加量は連鎖重合性基を有する化合物100質量部に対して0.01〜50質量部程度である。
【0087】
なお、本発明においては、上述した熱及び光重合開始剤を併用することも可能である。
【0088】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0089】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、原稿からの反射光であるスリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0090】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5内の荷電粒子(トナー)で正規現像又は反転現像により可転写粒子像(トナー像)として顕画化され、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材7に、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が転写手段6により順次転写されていく。この時、転写手段にはバイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。
【0091】
トナー画像の転写を受けた転写材7(最終転写材(紙やフィルム等)の場合)は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ搬送されてトナー像の定着処理を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。転写材7が一次転写材(中間転写材等)の場合は、複数次の転写工程の後に定着処理を受けてプリントアウトされる。
【0092】
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナー等の付着物の除去を受けて清浄面化される。近年、クリーナレスシステムも研究され、転写残りトナーを直接、現像器等で回収することもできる。更に、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0093】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも1つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール等の案内手段12を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0094】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動又は液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0095】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応し得るが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用し得るものである。
【実施例】
【0096】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明の実施の形態は、これらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0097】
(実施例1)
まず導電層用の塗料を以下の手順で調製した。10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して調製した。この塗料をφ30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、140℃で30分間乾燥して、膜厚20μmの導電層を形成した。
【0098】
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、下引き層用塗料を調製した。この塗料を前記の導電層上に浸漬コーティング法によって塗布し、100℃で20分間乾燥して、膜厚が0.6μmの下引き層を形成した。
【0099】
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶10部、下記構造式で示される構造を有する化合物0.1部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX-1、積水化学工業(株)製)5部、並びにシクロヘキサノン250部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散し、その後、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗料とした。この塗料を前記下引き層上に浸漬コーティング法で塗布して、100℃で15分間乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0100】
【化12】


【0101】
次いで、下記構造式で示されるトリアリールアミン化合物7.5部、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ200、三菱瓦斯化学製)10部をモノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン30部に溶解した第一電荷輸送層用塗料を電荷発生層上に塗布し、120℃で60分間乾燥して、膜厚が15μmの第一電荷輸送層を得た。
【0102】
【化13】


【0103】
更に、第一電荷輸送層上に表3の化合物例No.1の正孔輸送性化合物60部を1,4−ジオキサン80部、テトラヒドロフラン20部を加えて溶解し第二電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記の第一電荷輸送層上にコーティングし、加速電圧150kV、線量2Mradの条件で電子線を照射し樹脂を硬化し、膜厚が5μmの第二電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
【0104】
以上で作製した電子写真感光体について、電子写真特性、耐久性、純水接触角、表面潤滑性及び転写効率を評価した。電子写真特性、耐久性及び転写効率は、この電子写真感光体をキヤノン(株)製LBP−SXに装着して評価した。初期の電子写真感光体特性[暗部電位Vd、明部電位Vl及び残留電位Vsl(露光光量の5倍の光量を照射したときの電位)]を測定し、更に一日当たり1500枚ずつ、合計15000枚の通紙耐久試験を行い、電子写真感光体の削れ量及び耐久後の前記電子写真感光体特性を測定した。削れ量は、渦電流式膜厚測定器(FISCHER社製、PERMASCOPE TYPE E111)を用いて測定した。純水接触角については、滴下式の接触角計(協和界面化学(株)社製)により、前記電子写真感光体表面の純水に対する接触角を比較した。表面潤滑性については、複写機用のウレタンゴム製のクリーニングブレードを用い、これを当接角25度で電子写真感光体表面に当接しその滑り抵抗をHEIDON−14型表面性試験機(新東化学(株)製)を用いて測定した。結果を表5に示す。
【0105】
(実施例2〜5)
実施例1の表3の化合物例No.1の正孔輸送性化合物60部の代わりにそれぞれ表3の化合物例No.2〜5の正孔輸送性化合物60部を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0106】
(実施例6〜17)
実施例1の表3の化合物例No.1の正孔輸送性化合物60部の代わりにそれぞれ表3の化合物例No.7、8、10、11、12、14、15、16、17、18、23及び24の正孔輸送性化合物60部を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0107】
(比較例1〜3)
実施例1の表3の化合物例No.1の正孔輸送性化合物60部の代わりにそれぞれ表4の化合物例No.1、2及び3の正孔輸送性化合物60部を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0108】
【表8】


【0109】
【表9】


【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段




 

 


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