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発明の名称 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−11005(P2007−11005A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−191980(P2005−191980)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100065385
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 穣平
発明者 吉村 公博 / 玉井 秀明 / 酒匂 春海 / 菊地 憲裕 / 小坂 宣夫
要約 課題
繰り返し使用時にも安定して優れた電子写真特性を示し、長期間に亘りその表面性が低下することのない高耐久、高安定な電子写真感光体を高い生産性を維持しつつ提供することにある。該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。

解決手段
導電性支持体上に少なくとも感光層を有しかつ、該感光層の表面層が硬化性正孔輸送化合物モノマー及び反応性フッ素原子含有モノマーとを硬化させて形成した電子写真感光体において、該反応性フッ素原子含有モノマーが反応性官能基を2つ以上含むことを特徴とする電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置。
特許請求の範囲
【請求項1】
導電性支持体上に少なくとも感光層を有しかつ、該感光層の表面層が硬化性正孔輸送化合物モノマー及び反応性フッ素原子含有モノマーとを硬化させて形成した電子写真感光体であって、
該反応性フッ素原子含有モノマーが2つ以上の連鎖重合性官能基を含むことを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
前記反応性フッ素原子含有モノマーの芳香族環の数をn(Ar)、−O−、−CH−、−CF−、−C(CF3−及び−C(CH3−から選ばれる2価の結合基の数をn(Bnd)とした場合、n(Ar)/n(Bnd)≦0.5である請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記反応性フッ素原子含有モノマー一分子中の反応性基の数をn(Fnc){但し、2≦n(Fnc)}、フッ素原子の数をn(F)とした場合、2.5≦n(F)/n(Fnc)≦8.5である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
【請求項4】
前記フッ素原子含有モノマーがパーフルオロアルキレン基を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項5】
前記硬化性正孔輸送化合物モノマーがトリアリールアミン型構造を有し、かつ3つのアリール部位のうち2つのアリール部位には反応性基が結合していない請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項6】
導電性支持体上に少なくとも感光層を有しかつ、該感光層の表面層が硬化性正孔輸送化合物モノマー及び反応性フッ素原子含有モノマーとを硬化させて形成した電子写真感光体であって、
該表面層が2.0μm以上あって、最表面より0.5μm地点から第2層界面の手前1.0μm地点までの間にかけてフッ素原子含有率(atomic%)が増加し、最表面より0.5μm地点のフッ素原子含有率をF1(atomic%)、第2層界面の手前1.0μm地点のフッ素原子含有率をF2(atomic%)としたときに、1.5≦F2/F1≦4.0を満たすことを特徴とする電子写真感光体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを共に一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対し露光を行い静電潜像を形成する露光手段、静電潜像の形成された電子写真感光体にトナーで現像する現像手段及び電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えることを特徴とする電子写真装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは、感光層の表面層中に特定のフッ素原子含有モノマーを含有する電子写真感光体、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真感光体に用いられる光導電材料としては、セレン、硫化カドミウム及び酸化亜鉛等の無機材料が知られていた。他方、有機材料であるポリビニルカルバゾール、フタロシアニン及びアゾ顔料等は高生産性や無公害性等の利点が注目され、無機材料と比較して光導電特性や耐久性等の点で劣る傾向にあるものの、広く用いられるようになってきた。これらの電子写真感光体は、電気的及び機械的特性の双方を満足するために電荷発生層と正孔輸送層を積層した機能分離型の電子写真感光体として利用される場合が多い。
【0003】
一方、当然のことながら電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、そして光学的特性を備えていることが要求される。また、特に繰り返し使用される電子写真感光体にあっては、その電子写真感光体表面には帯電、画像露光、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理といった電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性や安定性が要求される。具体的には、摺擦による表面の磨耗や傷の発生に対する耐久性、帯電時のオゾンや窒素酸化物等の放電生成物に対する耐表面劣化性等が要求される。加えて、電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与させるために、電子写真感光体表面の低エネルギー化が必要とされる。
【0004】
一般に電子写真感光体の表面は薄い樹脂層であり、樹脂の特性が非常に重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が選択され、正孔輸送材料を混合させた正孔輸送層として広く実用化されている。
【0005】
但し上述したような表面層は、熱可塑性のポリマーであるために機械的強度に限界があること、及び電気的特性を満たす目的で低分子の正孔輸送材料を多量に混合させているために、耐磨耗性という面で十分ではなく、種々の検討がなされている。
【0006】
その一例として、硬化性の樹脂を表面保護層として用いることが有効であり、例えば特許文献1や特許文献2には紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂を用いた表面層が開示され、耐久性の向上が示されている。中でも、硬化性のアクリル樹脂はその反応性が高く硬化速度が速いために、各種ハードコートとして使用されており、これを電子写真感光体の表面層に用いた場合にも例えば特許文献3にあるように、十分な耐久性が得られることが示されている。
【0007】
また、硬化性の樹脂を正孔輸送層用の樹脂として用いる試みが、例えば特許文献4等に開示されている。このように、正孔輸送層用の樹脂に硬化性の樹脂を用い正孔輸送層を硬化、架橋することによって機械的強度が増し、繰り返し使用時の削れ性及び耐傷性が向上する。
【0008】
更には、特許文献5や特許文献6等のように、炭素−炭素二重結合を有する正孔輸送材を熱あるいは光のエネルギーによって反応させ、正孔輸送マトリックスに化学的に結合させたり、特許文献7等においては熱可塑性高分子鎖中に正孔輸送能を有する基を導入したりすることで、電子写真感光体の表面層の機械的強度を向上させる方法が開示されている。
【0009】
このような表面硬度を上げることにより、耐摩耗性や耐傷性を良化させることは可能であるが、電子写真感光体の使用時間に対する磨耗量の低下は、先に述べた放電生成物による劣化の蓄積という観点では不利な方向である点は否めず、単純に硬度を上がるだけで寿命の長い電子写真感光体を完成させたことにはならない。
【0010】
一方で、この硬化性表面層の放電生成物による劣化という課題に対して、特許文献8においては加水分解性のシロキサン化合物を利用して架橋性表面層を設けることにより強度と表面特性の両立を図る試みが提案されている。しかしながら、加水分解性化合物を利用する場合は成膜後の極性も高く十分な正孔輸送性を得ることが出来ない。更に、加水分解性基と雰囲気中の水分との反応の問題があり、成膜条件の最適化や塗料安定性といった製造上の課題が生じる。
【0011】
表面硬度を上げて耐磨耗性が改良されると、放電生成物等の劣化蓄積は増える傾向にあり、これは電子写真感光体の長期に亘る繰り返し使用においては、クリーニング性や画像流れが厳しくなる方向である。この現象は、硬化系表面層に比べて磨耗スピードが10〜100倍程度になるポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂といった熱可塑系表面層を用いて形成されている電子写真感光体では磨耗スピードと蓄積スピードが同等か寧ろ磨耗スピードのほうが速いために、大きな問題ではなく、硬化系表面層に特に顕著な課題である。
【0012】
一方で、先に述べたように電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与させるために、電子写真感光体表面の低エネルギー化が重要な課題である。このような特性を改良するために、感光層に潤滑性を有する材料、例えばフッ素原子含有化合物等の添加が提案されている。
【0013】
しかしフッ素系オイルのようなフッ素系材料を表面層に含有させることで、表面層膜硬度の低下、表面に移行したフッ素系材料の染み出し、表面層塗布時に下層の塗布ムラ、付着物、凝集物等を起点とした表面層のハジキといった弊害が生じた。特に、フッ素を含有する化合物を含んだ感光層塗料を塗布した後に硬化反応を利用して成膜させる場合は、その現象がより厳しくなる傾向にあった。このハジキや膜厚不均一化といった現象は、必ず発生するものではないが、特に生産性、良品率を考えた場合には塗布面の微小な欠陥等に左右されずより安定して問題のない塗工表面を得られることが求められる。表面層用の塗料の溶媒としてプロトン受容体パラメーターが2以上である溶媒を使用し、更に表面層の直下層がポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレンといった芳香族性の高い樹脂が用いられている場合には、特にこのハジキや膜厚不均一化が厳しい方向である。
【0014】
フッ素系材料は、その高い表面移行性により電子写真感光体のごく表層のみに高濃度で存在する傾向にあり、初期は高潤滑性を示すものの、繰り返し使用の耐久により電子写真感光体が削れるとすぐさまその潤滑性が減少し十分な効果が得られない、更には表面に移行したフッ素系材料成分にトナー等が付着してしまう等の問題点があった。特に硬化性の表面層においては、磨耗スピードに対して放電劣化の蓄積が多い状態になりがちであり、表面層は極表面よりも内側へ向かうほどフッ素系材料の作用がより必要となってくる。
【0015】
特許文献9においては、フッ素系化合物の表面移行性の問題を解決するためにはフッ素系化合物を含有する表面層を塗工方法や乾燥条件を最適化する必要性を挙げているが、いずれも製造方法としては複雑になる方法である。
【0016】
また、特許文献10では、連鎖重合性官能基を有するフッ素系潤滑剤と連鎖重合性官能基を含有する正孔輸送材料とを共に重合させることで表面移行性の課題や膜強度低下の問題の解決を試みているが、更なる高寿命電子写真感光体の設計においては膜強度と長期に亘る表面性の維持が求められる。
【0017】
また、特許文献11においては、表面層を構成する材料において反応性基が無く、短期の使用に関しては良好な表面性を維持できていても、超長期の電子写真感光体の使用に対して十分な強度を有さないばかりではなく、フッ素系材料の添加により表面層塗布時に下層の塗布ムラ、付着物、凝集物等を起点とした表面層のハジキが発生し、生産性良く電子写真感光体を製造し難いという課題が生じる。
【特許文献1】特開昭51−66834号公報
【特許文献2】特開昭64−72167号公報
【特許文献3】特開昭61−5253号公報
【特許文献4】特開平2−127652号公報
【特許文献5】特開平5−216249号公報
【特許文献6】特開平7−72640号公報
【特許文献7】特開平8−248649号公報
【特許文献8】特開2000−171990号公報
【特許文献9】特開2000−298361号公報
【特許文献10】特開2001−66561号公報
【特許文献11】特開平9−15891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、繰り返し使用時にも安定して優れた電子写真特性を示し、長期間に亘りその表面性が低下することのない高耐久、高安定な電子写真感光体を高い生産性を維持しつつ提供することにある。
【0019】
本発明の別の目的は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に従って、導電性支持体上に少なくとも感光層を有しかつ、該感光層の表面層が硬化性正孔輸送化合物モノマー及び反応性フッ素原子含有モノマーとを硬化させて形成した電子写真感光体において、該反応性フッ素原子含有モノマーが反応性官能基を2つ以上含むことを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0021】
また、本発明に従って、導電性支持体上に少なくとも感光層を有しかつ、該感光層の表面層が硬化性正孔輸送化合物モノマー及び反応性フッ素原子含有モノマーとを硬化させて形成した電子写真感光体であって、
該表面層が2.0μm以上あって、最表面より0.5μm地点から第2層界面の手前1.0μm地点までの間にかけてフッ素原子含有率(atomic%)が増加し、最表面より0.5μm地点のフッ素原子含有率をF1(atomic%)、第2層界面の手前1.0μm地点のフッ素原子含有率をF2(atomic%)としたときに、1.5≦F2/F1≦4.0を満たすことを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0022】
更に、本発明に従って、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供される。
【発明の効果】
【0023】
以上より、表面層が硬化性正孔輸送化合物モノマー及び反応性フッ素原子含有モノマーとを硬化させて形成した電子写真感光体において、反応性フッ素原子含有モノマーが反応性官能基を2つ以上含有するフッ素原子含有化合物とする又は表面層のフッ素含有量を内部に向かって傾斜的に多く含有させることで、表面層の成膜性が特に優れ、画像流れ及びトナー融着を抑制できる。本発明の電子写真感光体は、優れた電子写真特性を示し、更には長期間に亘りその表面性が低下することのない高安定な電子写真感光体を提供できる。
【0024】
また、電子写真感光体の効果は、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置においても当然に発揮され、長期間安定した性能が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
まず本発明におけるフッ素原子含有モノマーについて説明する。ここでいうフッ素原子含有モノマーとは、パーフルオロアルキル基若しくはパーフルオロアルキレン基、好ましくはパーフルオロアルキル基のフッ素原子含有ユニットを有し、更に正孔輸送剤と重合反応が可能な反応性基を2つ以上含有した分子であり、電子写真感光体表面層において潤滑性の付与及び、帯電生成物の付着の抑制や放電劣化の抑制といった機能を有する。
【0027】
表面層に含有させる反応性フッ素原子含有モノマーに関し、様々な構造を有する化合物について本発明者らが鋭意検討を行なったところ、反応性官能基の数を2つ以上含有させることで、反応性フッ素原子含有モノマーを含む感光層塗料を用いて表面層を形成した場合にも、表面層より下の層の微小な欠陥やゴミ等の付着物の影響を受けずに、均一な表面層を形成できることを見出した。
【0028】
更に、反応性フッ素原子含有モノマーの芳香族環の数をn(Ar)、−O−、−CH−、−CF−、−C(CF−及び−C(CH−で示される2価の結合基の数をn(Bnd)とした場合、n(Ar)/n(Bnd)≦0.5とすることで、これまで均一な成膜が困難であった材料の組合せ、即ちプロトン受容体パラメーター:δaが2以上である溶媒を使用した表面層塗料を、表面層の直下層が芳香族性の高い樹脂である層上に形成した場合においても、均一成膜を高いレベルで実現することが可能となった。
【0029】
この場合、上記5つの2価の結合種が含まれているそれぞれの個数の和が重要であり、例えば−O−CH−CH−というユニットでは、n(Bnd)=3となる。この方法に従って、ジフェニルエーテール:C−O−Cという分子ならば、Yは−O−となり、n(Ar)=2、n(Bnd)=1と計算され、ビスフェノールA:H−O−C−C(CH−C−O−Hという分子ならば、n(Ar)=2、n(Bnd)=3と計算される。
【0030】
更に、複数個の反応性官能基を有するフッ素原子含有モノマーと正孔輸送材料の重合性官能基が化学的に結合或いは重合させることによって、機械的強度が低下する可塑剤効果を低減することも可能である。
【0031】
また、反応性フッ素原子含有モノマー一分子中の反応性基の数をn(Fnc)、フッ素原子の数をn(F)とした場合、2.5≦n(F)/n(Fnc)≦8.5であることを特徴とすることで、反応性フッ素原子含有モノマーの表面移行性の抑制と膜強度維持の両立を図れることを見出した。但し、2≦n(Fnc)である。
【0032】
フッ素原子含有モノマーが含有する反応性の官能基としては、表面層に含有する正孔輸送材料が有する反応性基と反応しうる連鎖重合性官能基である必要がある。
【0033】
ここで連鎖重合性官能基について詳しく説明する。
【0034】
本発明における連鎖重合とは、高分子物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた場合の前者の重合反応形態を示し、詳しくは例えば技報堂出版 三羽忠広著の「基礎 合成樹脂の化学(新版)」1995年7月25日(1版8刷)24頁に説明されているように、その形態が主にラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そして異性化重合等のことをいう。ここでは、その大半を占め応用範囲の広い不飽和重合あるいは開環重合性官能基の具体例を示す。
【0035】
不飽和重合とは、ラジカル、イオン等によって不飽和基、例えばC=C、C≡C、C=O、C=N、C≡N等が重合する反応であるが、主にはC=Cである。不飽和重合性官能基の具体例を表1に示すがこれらに限定されるものではない。
【0036】
【表1】


【0037】
表中、Rは置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基又は水素原子を示す。
【0038】
開環重合とは、炭素環、オクソ環及び窒素ヘテロ環等のひずみを有した不安定な環状構造が触媒の作用で活性化され、開環すると同時に重合を繰り返し鎖状高分子物を生成する反応であるが、この場合、基本的にはイオンが活性種として作用するものが大部分である。開環重合性官能基の具体例を表2に示すがこれらに限定されるものではない。
【0039】
【表2】


【0040】
表中、Rは置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基又は水素原子を示す。
【0041】
上記で示した様な本発明に係わる連鎖重合性官能基の中でも、特に下記一般式(1)で示された不飽和重合性官能基が好ましい。
【0042】
【化1】


【0043】
式中、Lは水素原子、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基及びナフチル基等のアリール基、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基及びフルフリル基等のアラルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基)又は−CONR(R及びRは水素原子、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基及びフルフリル基等のアラルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基のアリール基、互いに同一であっても異なっていてもよい)を示す。
【0044】
は置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基及びアントラセニル基等のアリーレン基又は置換基を有してもよいメチレン基、エチレン基及びブチレン基等のアルキレン基、−COO−、−CH−、−O−、−OO−、−S−又は−CONR−(Rは水素原子、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基及びフルフリル基等のアラルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基のアリール基)を示す。Jは置換基を有してもよい有機基を示す。l及びlはそれぞれ独立に0以上の整数を示す。また、l及びlがそれぞれ1以上の整数である場合、M及びJはそれぞれが同一でも異なっていてもよい。
【0045】
上記一般式(1)の中でも更に下記一般式(2)で示されるものが好ましい。
【0046】
【化2】


【0047】
式中、Lは水素原子又はメチル基、Mは置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基及びアントラセニル基等のアリーレン基又は置換基を有してもよいメチレン基、エチレン基及びブチレン基等のアルキレン基、−COO−又は−O−を示す。Jは置換基を有してもよい有機基を示す。l及びlはそれぞれ独立に0以上の整数を示す。また、l及びlがそれぞれ1以上の整数である場合、M及びJはそれぞれが同一でも異なっていてもよい。
【0048】
更に、上記一般式(2)の中でも下記一般式(3)〜一般式(8)で示されるものが特に好ましい。
【0049】
【化3】


【0050】
式中、J及びJは置換基を有してもよい有機基を示す。l及びlはそれぞれ独立に0以上の整数を示す。
【0051】
【化4】


【0052】
式中、J及びJは置換基を有してもよい有機基を示す。l及びlはそれぞれ独立に0以上の整数を示す。また、l及びlがそれぞれ1以上の整数である場合、J及びJはそれぞれが同一でも異なっていてもよい。
【0053】
【化5】


【0054】
式中、J及びJは置換基を有してもよい有機基を示す。l及びl10はそれぞれ独立に0以上の整数を示す。また、l及びl10がそれぞれ1以上の整数である場合、J及びJはそれぞれが同一でも異なっていてもよい。
【0055】
本発明において、正孔輸送材料及び反応性フッ素原子含有モノマーに含有される連鎖重合性官能基の具体例として、特に好ましいのは以下の表3に示される官能基の構造式である。
【0056】
【表3】


【0057】
本発明における反応性フッ素原子含有モノマーは2つ以上の連鎖重合性官能基を含有する必要がある。連鎖重合性官能基をXとした場合、反応性フッ素原子含有モノマーの構造式を表4に示す。
【0058】
【表4】


【0059】
本発明においては表面層中のフッ素原子の分布が重要な意味を持つ。即ち、連鎖重合基のような架橋性官能基を有する正孔輸送材料及びモノマーを硬化させて形成された表面層は、表面硬度が高く電子写真プロセス中における電子写真感光体表面層の磨耗スピードは一般的に使用される熱可塑系有機電子写真感光体よりも十分の1〜百分の1程度とかなり遅くなる。それ故に放電生成物の蓄積が起こり易く、特に50000枚以上に使用積算時間が長くなった状態では、初期の表面状態とは異なり放電生成物や水分が付着し易く、更には一旦付着した成分の脱離もし難くなる。従って硬化性表面層を有する電子写真感光体においては、使用蓄積時間が長くなるに連れ(即ち、表面層の内側に進むほど)、フッ素原子の割合が多くなることで超長期に亘る電子写真感光体の使用においても、安定した表面状態で使用できることになる。
【0060】
つまり本発明においては、表面層が2.0μm以上あって、最表面より0.5μm地点から第2層界面の手前1.0μm地点までの間にかけてフッ素原子含有率(atomic%)が増加し、最表面より0.5μm地点のフッ素原子含有率をF1(atomic%)、第2層界面の手前1.0μm地点のフッ素原子含有率をF2(atomic%)としたときに、1.5≦F2/F1≦4.0を満たすことが必要となる。最表面より0.5μm地点から第2層界面の手前1.0μm地点までの間にかけてフッ素原子含有率が減少していると上記で述べた安定した表面状態を維持することが困難となる。1.5>F2/F1であると電位変動が大きくなり、初期から画像流れが発生し、一方、F2/F1>4.0であるとトナー融着が生じ、繰り返し耐久時に画像流れが発生する。
【0061】
表面層中のフッ素原子の検出については、表面層を浅い角度で斜めに切り出し、実効測定面積を広くした上でXPS(ESCA)やTOF−SIMS等の分析手段により検出することができる。
【0062】
一般にこれらの分析手法の分解能は数10〜100μmだが、切り出し角をθ(度)、表面層の膜厚をd(μm)としたとき、実効分析長:l(μm)はl=d/sinθとなるため、θが1度以下では、lを実際の表面層膜厚の50倍以上としてサンプリングでき、膜厚方向に対しても詳細かつ正確な分析が可能となる。
【0063】
本発明において、上述の添加剤を重合させる手法としては、熱あるいは紫外線、γ線や電子線のような高エネルギー放射線を利用するのが好ましく、場合によっては重合開始剤を併用することが可能である。但し、開始剤類は電子写真特性に悪影響を及ぼす場合があるため、慎重に選択するべきである。特に、電子線等の高エネルギー線の利用は、開始剤を必要としないことと、重合効率が高い点で好ましい。
【0064】
本発明においては、前記連鎖重合性官能基を有する添加剤と、感光層マトリックスを構成させる樹脂成分として反応性の官能基を有する化合物、より具体的には連鎖重合性官能基を有するモノマーやオリゴマー類を混合し、同時に重合反応させることで、機械的強度の向上と低表面自由エネルギーの持続性向上の両方を満たすことができる。更には、正孔輸送機能を有するモノマーやオリゴマーを利用することで、優れた電子写真特性を高安定に維持することが期待できる。ここで、正孔輸送機能を有するモノマー類について、一般的な正孔輸送性化合物の例を挙げる。
【0065】
前記正孔輸送性化合物は、下記一般式(9)で示されるように、同一分子内に2つ以上の連鎖重合性官能基を有するものが、重合硬化後の機械的強度の点から好ましい。但し、正孔輸送機能を有しない多官能モノマーを併用することで機械的強度を確保できる場合には、連鎖重合性官能基が1つのものも使用可能である。
【0066】
【化6】


【0067】
式中、P及びPは連鎖重合性官能基を示し、PとPは同一でも異なってもよい。Zは置換基を有してもよい有機基を示す。a、b及びdは0又は1以上の整数を示し、a+b×dは2以上の整数を示す。また、aが2以上の場合Pは同一でも異なってもよく、dが2以上の場合Pは同一でも異なってもよく、またbが2以上の場合、Z及びPは同一でも異なってもよい。
【0068】
なおここで、『aが2以上の場合Pは同一でも異なってもよく』とは、それぞれ異なるn種類の連鎖重合性官能基をP11、P12、P13、P14、P15・・・・P1nと示した場合、例えばa=3のとき正孔輸送性化合物Aに直接結合する重合性官能基Pは3つとも同じものでも、2つ同じで1つは違うもの(例えば、P11とP11とP12とか)でも、それぞれ3つとも異なるもの(例えば、P12とP15とP17とか)でもよいということを意味するものである(『dが2以上の場合P2は同一でも異なってもよく』というのも、『bが2以上の場合、Z及びPは同一でも異なってもよい』というのもこれと同様なことを意味するものである)。
【0069】
上記一般式(9)のAは正孔輸送性基を示し、正孔輸送性を示すものであればいずれのものでもよく、PやZとの結合部位を水素原子に置き換えた水素付加化合物(正孔輸送化合物)として示せば、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体及びN−フェニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。
【0070】
更に、上記正孔輸送化合物の中でも、下記一般式(10)、(11)、(12)、(13)及び(15)で示されるものが好ましい。その中でも、一般式(10)、(11)及び(12)で示される化合物である場合が特に好ましい。
【0071】
【化7】


【0072】
上記一般式(10)中、R、R及びRは置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数10以下のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基及びベンゾチオフェニル基等のアリール基を示す。
【0073】
但し、R、R及びRのうち少なくとも2つはアリール基を示し、R、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。更に、その中でもR、R及びRの全てがアリール基であるものが特に好ましい。また、上記一般式(10)のR又はR又はRのうち任意の2つはそれぞれ直接もしくは結合基を介して結合してもよく、その結合基としては、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基等のアルキレン基、酸素及び硫黄原子等のヘテロ原子又はCH=CH基等が挙げられる。
【0074】
【化8】


【0075】
上記一般式(11)中、R、R、R及びRは置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数10以下のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール基を示し、R、R、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R及びRは置換基を有してもよいメチレン基、エチレン基及びプロピレン基等の炭素数10以下のアルキレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、チオフェン、フラン、ピリジン、キノリン、ベンゾキノリン、カルバゾール、フェノチアジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン及びジベンゾチオフェン等より2個の水素を取り除いた基)を示し、R及びRは同一であっても異なっていてもよい。Qは置換基を有してもよい有機基を示す。
【0076】
更にその中でも、上記一般式(11)中のR、R、R及びRのうち少なくとも2つが置換基を有してもよいアリール基であり、かつR及びRは置換基を有してもよいアリーレン基である場合が好ましく、更にR、R、R及びRが4つとも全てアリール基である場合が特に好ましい。また、上記一般式(11)のR又はR又はRのうち任意の2つあるいはR又はR又はRのうち任意の2つはそれぞれ直接もしくは結合基を介して結合してもよく、その結合基としては、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基等のアルキレン基、酸素及び硫黄原子等のヘテロ原子又はCH=CH基等が挙げられる。
【0077】
【化9】


【0078】
上記一般式(12)中、mは0又は1を示し、m=1であることが好ましく、R〜R13は置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数10以下のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール基を示し、R10〜R13はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0079】
Arは置換基を有してもよいアリーレン基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、チオフェン、フラン、ピリジン、キノリン、ベンゾキノリン、カルバゾール、フェノチアジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン及びジベンゾチオフェン等より2個の水素を取り除いた基)を示し、Arはm=0の場合、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール基を示し、m=1の場合は上記Arと同様なアリーレン基を示す。なお、m=1の場合は、ArとArは同一であっても異なっていてもよい。
【0080】
更にその中でも、上記一般式(12)中のR10及びR11が置換基を有してもよいアリール基である場合が好ましく、R10〜R13が4つとも全てアリール基である場合が特に好ましい。また、上記一般式(12)のR10とR11又はR12とR13又はArとArはそれぞれ直接もしくは結合基を介して結合してもよく、その結合基としては、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基等のアルキレン基、カルボニル基、酸素及び硫黄原子等のヘテロ原子又はCH=CH基等が挙げられるが、これらの中ではアルキレン基が好ましい。
【0081】
【化10】


【0082】
上記一般式(13)中、Ar、Ar及びR14のうち少なくとも一つは、下記一般式(14)で示される基を少なくとも一つ有する。
【0083】
【化11】


【0084】
上記一般式(13)及び(14)中、Ar、Ar及びArは置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール基を示し、R14、R15及びR16は置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数10以下のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール基又は水素原子を示す(但し、R14が水素原子である場合は除く)。なお、Ar及びArとR及びR16はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0085】
更にその中でも、R14及びR16がアリール基である場合が特に好ましい。また、R14又はAr又はArのうち任意の2つ、又はAr及びR16はそれぞれ直接もしくは結合基を介して結合してもよく、その結合基としては、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基等のアルキレン基、酸素及び硫黄原子等のヘテロ原子又はCH=CH基等が挙げられる。nは0〜2の整数を示す。
【0086】
【化12】


【0087】
上記一般式(15)は、下記一般式(16)で示される基を少なくとも一つ有する。
【0088】
【化13】


【0089】
上記一般式(15)及び(16)中、Ar及びArは置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール基を示し、R17、R18、R19及びR20は置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数10以下のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール基又は水素原子を示す(但し、R17及びR18が水素原子である場合は除く)。なお、R17とR及びR19とR20はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0090】
その中でも、R20がアリール基である場合が好ましく、更にR17とR18がアリール基である場合が特に好ましい。また、R17又はR18又はArのうち任意の2つ、又はAr及びR20はそれぞれ直接もしくは結合基を介して結合してもよく、その結合基としては、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基等のアルキレン基、酸素及び硫黄原子等のヘテロ原子又はCH=CH基等が挙げられる。nは0〜2の整数を示す。
【0091】
また、上記一般式(9)中のZ及び上記一般式(11)中のQは、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、CR21=CR22(R21及びR22はアルキル基、アリール基又は水素原子を示し、R21及びR22は同一でも異なってもよい)、C=O、S=O、SO、酸素原子又は硫黄原子より一つあるいは任意に組み合わされた有機基を示す。その中でも下記一般式(17)で示されるものが好ましく、下記一般式(18)で示されるものが特に好ましい。
【0092】
【化14】


【0093】
上記一般式(17)中、X〜Xは置換基を有してもよいメチレン基、エチレン基及びプロピレン基等の炭素数20以下のアルキレン基、(CR23=CR24)m、C=O、S=O、SO、酸素原子又は硫黄原子を示し、Ar及びArは置換基を有してもよいアリーレン基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、チオフェン、フラン、ピリジン、キノリン、ベンゾキノリン、カルバゾール、フェノチアジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等より2個の水素原子を取り除いた基)を示す。R23及びR24は置換基を有してもよいメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びチオフェニル基等のアリール基又は水素原子を示し、R23及びR24は同一でも異なってもよい。mは1〜5の整数、p〜tは0〜10の整数を示す(但し、p〜tは同時に0であることはない)。
【0094】
上記一般式(18)中、X及びXは(CH)m、(CH=CR25)m、C=O、又は酸素原子を示し、Ar10は置換基を有してもよいアリーレン基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、チオフェン、フラン、ピリジン、キノリン、ベンゾキノリン、カルバゾール、フェノチアジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等より2個の水素原子を取り除いた基)を示す。R25は置換基を有してもよいメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びチオフェニル基等のアリール基又は水素原子を示す。mは1〜10の整数、mは1〜5の整数、u〜wは0〜10の整数を示す(特に、0〜5の整数の時が特に好ましい。但し、u〜wは同時に0であることはない)。
【0095】
なお、上述の一般式(11)〜一般式(18)のR〜R25、Ar〜Ar10、X〜X、Z及びQがそれぞれ有してもよい置換基としてはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子;ニトロ基、シアノ基、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びナフトキシ基等のアリールオキシ基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基が挙げられる。また、一般式(10)のR〜Rが有してもよい置換基としては、アリール基を除いた上記置換基及びジフェニルアミノ基及びジ(p−トリル)アミノ基等のジアリールアミノ基が挙げられる。
【0096】
また、本発明における同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、酸化電位が1.2(V)以下であることが好ましく、特には0.4〜1.2(V)であることが好ましい。それは、酸化電位が1.2(V)を超えると電荷発生材料よりの電荷(正孔)の注入が起こり難く残留電位の上昇、感度悪化及び繰り返し使用時の電位変動が大きくなる等の問題が生じ易い。また0.4(V)未満では帯電能の低下等の問題の他に、化合物自体が容易に酸化されるために劣化し易く、それに起因した感度悪化、画像ボケ及び繰り返し使用時の電位変動が大きくなる等の問題が生じ易くなるためである。
【0097】
なお、ここで述べている酸化電位は、以下の方法によって測定される。
【0098】
(酸化電位の測定法)
飽和カロメル電極を参照電極とし、電解液に0.1N(n−Bu)ClOアセトニトリル溶液を用い、ポテンシャルスイーパによって作用電極(白金)に印加する電位をスイープし、得られた電流−電位曲線がピークを示したときの電位を酸化電位とした。詳しくは、サンプルを0.1N(n−Bu)ClOアセトニトリル溶液に5〜10mmol%程度の濃度になるように溶解する。そしてこのサンプル溶液に作用電極によって電圧を加え、電圧を低電位(0V)から高電位(+1.5V)に直線的に変化させた時の電流変化を測定し、電流−電位曲線を得る。この電流−電位曲線において、電流値がピーク(ピークが複数ある場合には最初のピーク)を示したときのピークトップの位置の電位を酸化電位とした。
【0099】
また更に、上記連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は正孔輸送能として1×10−7(cm/V.sec)以上のドリフト移動度を有しているものが好ましい(但し、印加電界:5×10V/cm)。1×10−7(cm/V.sec)未満では電子写真感光体として露光後現像までに正孔が十分に移動できないため見かけ上感度が低減し、残留電位も高くなってしまう問題が発生する場合がある。
【0100】
連鎖重合性官能基P及びPは、下記一般式(19)〜一般式(21)で示されるものが好ましい。
【0101】
【化15】


【0102】
式中、Eは水素原子、フッ素、塩素及び臭素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基及びフリル基等のアリール基、CN基、ニトロ基、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基、−COOR26又は−CONR2728を示す。
【0103】
Wは置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基及びアントラセニレン基等のアリーレン基、置換基を有してもよいメチレン基、エチレン基及びブチレン基等のアルキレン基、−COO−、−CH−、−O−、−OO−、−S−又は−CONR29−で示される。
【0104】
26〜R29は水素原子、フッ素、塩素及び臭素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基及び置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基を示し、R27とR28は互いに同一であっても異なってもよい。また、fは0又は1を示す。
【0105】
E及びW中で有してもよい置換基としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子;ニトロ基、シアノ基、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びナフトキシ基等のアリールオキシ基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基;又はフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基等が挙げられる。
【0106】
【化16】


【0107】
式中、R30及びR31は水素原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基及びナフチル基等のアリール基を示し、nは1〜10の整数を示す。
【0108】
【化17】


【0109】
式中、R32及びR33は水素原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基及びナフチル基等のアリール基を示し、nは0〜10の整数を示す。
【0110】
なお、上記一般式(20)及び(21)のR30〜R33が有してもよい置換基としてはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びナフトキシ基等のアリールオキシ基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基;又はフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基等が挙げられる。
【0111】
また、上記一般式(19)〜一般式(21)の中でも、更に特に好ましい連鎖重合性官能基としては、下記一般式(22)〜一般式(28)で示されるものが挙げられる。
【0112】
【化18】


【0113】
更に上記一般式(22)〜一般式(28)の中でも、一般式(22)のアクリロイルオキシ基及び一般式(23)のメタクリロイルオキシ基が、重合特性等の点から特に好ましい。
【0114】
以下に本発明に関わる、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物の代表例を挙げるがこれらに限定されるものではない。
【0115】
【表5】


【0116】
【表6】


【0117】
【表7】


【0118】
【表8】


【0119】
【表9】


【0120】
【表10】


【0121】
【表11】


【0122】
【表12】


【0123】
【表13】


【0124】
【表14】


【0125】
【表15】


【0126】
【表16】


【0127】
【表17】


【0128】
【表18】


【0129】
【表19】


【0130】
【表20】


【0131】
【表21】


【0132】
【表22】


【0133】
【表23】


【0134】
【表24】


【0135】
【表25】


【0136】
【表26】


【0137】
【表27】


【0138】
【表28】


【0139】
【表29】


【0140】
【表30】


【0141】
【表31】


【0142】
【表32】


【0143】
【表33】


【0144】
【表34】


【0145】
【表35】


【0146】
【表36】


【0147】
【表37】


【0148】
【表38】


【0149】
【表39】


【0150】
【表40】


【0151】
【表41】


【0152】
【表42】


【0153】
【表43】


【0154】
【表44】


【0155】
【表45】


【0156】
【表46】


【0157】
【表47】


【0158】
【表48】


【0159】
【表49】


【0160】
【表50】


【0161】
【表51】


【0162】
【表52】


【0163】
【表53】


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【表54】


【0165】
【表55】


【0166】
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【0167】
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【表59】


【0170】
【表60】


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【0176】
【表66】


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【表67】


【0178】
【表68】


【0179】
【表69】


【0180】
【表70】


【0181】
【表71】


【0182】
【表72】


【0183】
【表73】


【0184】
【表74】


【0185】
【表75】


【0186】
【表76】


【0187】
【表77】


【0188】
【表78】


【0189】
【表79】


【0190】
【表80】


【0191】
【表81】


【0192】
【表82】


【0193】
【表83】


【0194】
【表84】


【0195】
【表85】


【0196】
【表86】


【0197】
【表87】


【0198】
【表88】


【0199】
【表89】


【0200】
【表90】


【0201】
【表91】


【0202】
【表92】


【0203】
【表93】


【0204】
また、正孔輸送材料の構造上、例えばトリアリールアミンの複数のアリール基に反応性官能基が結合している場合、硬化反応後では、それぞれの官能基を介してアリール基側にも硬化に伴う収縮ストレスが加わり、正孔輸送材料としても正孔を輸送するのに最適の配座を取れないことがある。これは表面層が正孔輸送材料のみで構成されている場合には正孔輸送材料の分子間距離が近いために正孔輸送能に大きな影響を及ぼさないが、正孔輸送機能を有さない化合物を添加する場合には、正孔輸送材料の分子間距離が大きくなるために硬化後の正孔輸送材料の分子構造(立体構造)の影響が大きくなるためと予想される。特にトリアリールアミン型正孔輸送材料の3つのアリール基全てに重合性基が結合しているタイプや、ベンジジン型正孔輸送材料のビフェニル部位以外の4つのアリール基全てに重合性基が結合しているタイプの正孔輸送材料では硬化反応後には架橋反応に組み込まれていないアリール基が無いため、硬化に伴う収縮ストレスがより大きくなる傾向にある。
【0205】
しかし、本発明者らはこれらの正孔輸送材料に正孔輸送能を有さない化合物を添加した場合、シロキサン結合を有する反応性モノマー化合物を入れた場合の正孔輸送能低下が少ない或いは寧ろ良化することを見出した。この現象に対するメカニズムは不明であるが、このシロキサン結合自体が比較的自由度がある結合であるため、正孔輸送材料と一緒に硬化した場合には収縮ストレスを緩和する作用があるためか、正孔輸送材料分子同士が接近し過ぎることによるダイマートラップ形成を抑制している可能性が挙げられる。
【0206】
逆に、正孔輸送材料が硬化後にトリフェニルアミン部位が架橋反応に組み込まれないタイプ(トリアリールアミン型構造を有し、3つのアリール部位のうち2つのアリール部位には反応性基が結合していないタイプで、所謂ペンダント型)では、硬化時の収縮ストレスも殆ど無く元々の正孔輸送能が高いために、正孔輸送能が無い成分を加えても、正孔輸送能に及ぼす影響は少ない。このような所謂ペンダント型の正孔輸送材料の代表例を以下に挙げる、本発明はこれらの正孔輸送材料に限定されるものではない。
【0207】
【表94】


【0208】
【表95】


【0209】
【表96】


【0210】
【表97】


【0211】
【表98】


【0212】
【表99】


【0213】
【表100】


【0214】
【表101】


【0215】
【表102】


【0216】
【表103】


【0217】
本発明の電子写真感光体の構成は、導電性支持体上に感光層として電荷発生材料を含有する電荷発生層及び正孔輸送材料を含有する正孔輸送層をこの順に積層した構成あるいは逆に積層した構成、また電荷発生材料と正孔輸送材料を同一層中に分散した単層からなる構成のいずれの構成をとることも可能である。前者の積層型においては正孔輸送層が二層以上の構成、また後者の単層型においては、電荷発生材料と正孔輸送材料を同一に含有する感光層上に更に正孔輸送層を構成してもよい。
【0218】
これらいずれの場合においても、その表面層は複数の連鎖重合性官能基を有する反応性フッ素原子含有モノマーを重合した化合物が含有していればよい。但し、電子写真感光体としての特性、特に残留電位等の電気的特性及び耐久性の点より、電荷発生層/正孔輸送層をこの順に積層した機能分離型の電子写真感光体構成が好ましく、更にその最表面層は耐摩耗性の点から3次元マトリックス構成をとっていることが好ましく、この3次元マトリックス中に反応性フッ素原子含有モノマーが化学結合を介して取り込まれていることが、最も効果的である。
【0219】
次に、本発明による電子写真感光体の製造方法を具体的に示す。
【0220】
電子写真感光体の支持体としては導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、またプラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
【0221】
本発明においては、導電性支持体の上にはバリアー機能と接着機能を有する下引き層を設けることができる。下引き層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。
【0222】
下引き層の材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が挙げられる。これらは、それぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その際の膜厚としては0.1〜2μmが好ましい。
【0223】
本発明の電子写真感光体が機能分離型である場合には、電荷発生層及び正孔輸送層を積層する。電荷発生層に用いる電荷発生材料としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶系、具体的には例えばα、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及び特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコン等が挙げられる。
【0224】
機能分離型の電子写真感光体の場合、電荷発生層は前記電荷発生材料を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミル等の方法で良く分散し、分散液を塗布し、乾燥されて形成されるか、又は前記電荷発生材料の蒸着膜等、単独組成の膜として形成される。その膜厚は、5μm以下であることが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。
【0225】
結着樹脂を用いる場合は、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン及びトリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体や共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0226】
正孔輸送層は適当な正孔輸送材料、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体等の低分子化合物、マトリックスを構成する連鎖重合性官能基を有するモノマーやオリゴマー及び前記連鎖重合性官能基を有する添加剤と共に溶剤に分散/溶解した溶液を後述の公知の方法によって塗布後、重合硬化させて形成させることができる。あるいは、前述の連鎖重合性官能基自体を同一分子内に有する正孔輸送性材料及び前述連鎖重合性官能基を有する添加剤を溶剤に分散/溶解した溶液を後述の公知の方法によって電荷発生層上に塗布後、重合硬化させて形成することができる。
【0227】
この場合の正孔輸送材料と連鎖重合性官能基を有するモノマー及びオリゴマーの比率は、両者の全質量を100質量%とした場合に正孔輸送材料は20〜80質量%が好ましく、特には40〜60質量%の範囲で適宜選択されるのが好ましい。正孔輸送材料が20質量%未満であると、正孔輸送能が低下し、感度低下及び残留電位の上昇等の問題点が生じ易い。一方、正孔輸送材料が80質量%を超えると塗膜の機械的強度が低下し耐久性が大幅に低下し易いので、注意が必要である。連鎖重合性官能基自体を同一分子内に有する正孔輸送材料を用いる場合においては、正孔輸送能を低下させない範囲で他の連鎖重合性官能基を有するモノマーやオリゴマー等、また結着樹脂を混合させることができる。正孔輸送層の膜厚は、2〜50μmが好ましく、特には5〜30μmの範囲が好ましい。
【0228】
単層型の電子写真感光体の場合、感光層の膜厚は8〜40μmであることが好ましく、特には12〜30μmであることが好ましい。また、電荷発生材料や正孔輸送材料等の光導電性材料の含有量は感光層の全質量に対し、20〜80質量%であることが好ましく、特には30〜70質量%であることが好ましい。
【0229】
ここで添加剤の量は、その種類や効果によって電気的特性や機械的強度を満足させる範囲で任意に選択できる。
【0230】
次に、本発明の表面層を設ける場合について説明する。まず前記電荷発生層上に、先に述べた適当な正孔輸送材料とポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン及びアクリル樹脂等の結着樹脂を適当な溶剤に分散/溶解した塗工液を用いて形成し乾燥させ、正孔輸送層を形成させる。その後、硬化性正孔輸送化合物及び反応性フッ素原子含有モノマーを溶剤に分散/溶解した溶液を後述の公知の方法によって塗布後、重合硬化させて形成させる。但し、前述の電荷層については必ずしも必要ではなく、電荷発生層の上に硬化性正孔輸送化合物及び反応性フッ素原子含有モノマーを溶剤に分散/溶解した溶液を後述の公知の方法によって塗布後、重合硬化させて形成させて、表面層を設けてもよい。
【0231】
これらの溶液を塗布する方法は、例えば、浸漬コーティング法、スプレイコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等が知られているが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。また、蒸着、プラズマその他の公知の製膜方法が適宜選択できる。
【0232】
次に、反応性フッ素原子含有モノマーの重合方法について説明する。
【0233】
本発明において、複数の連鎖重合性官能基を有する反応性フッ素原子含有モノマーは熱、可視光や紫外線等の光、更に放射線により重合させることができる。熱や紫外線硬化の場合には、一般に重合開始剤を含有させる。なお、本発明においては、その中でも放射線によって該連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合させることが好ましい。放射線による重合の最大の利点は、重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な3次元感光層の作製が可能となり、良好な電子写真特性が確保される点である。また、短時間でかつ効率的な重合反応であるがゆえに生産性も高く、更には放射線の透過性の良さから、厚膜時や含有している遮蔽物質が膜中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等が挙げられる。但し、連鎖重合性官能基の種類や中心骨格の種類によっては重合反応が進行し難い場合があり、その際には影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。このとき使用する放射線とは電子線及びγ線であるが、特には電子線が好ましい。
【0234】
電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用することができる。電子線を照射する場合に、本発明の電子写真感光体においては、電気特性及び耐久性能を発現させる上で照射条件が非常に重要である。本発明において、加速電圧は300KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また線量は、好ましくは0.5Mrad〜100Mradの範囲、より好ましくは1Mrad〜50Mradの範囲である。加速電圧が300KVを超えると電子写真感光体特性に対する電子線照射のダメージが増加する傾向にある。また、線量が0.5Mradよりも少ない場合には硬化が不十分となり易く、線量が100Mradより多い場合には電子写真感光体特性の劣化が起こり易いので注意が必要である。
【0235】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0236】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、原稿からの反射光であるスリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0237】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5内の荷電粒子(トナー)で正規現像又は反転現像により可転写粒子像(トナー像)として顕画化され、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材7に、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が転写手段6により順次転写されていく。この時、転写手段にはバイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。
【0238】
トナー画像の転写を受けた転写材7(最終転写材(紙やフィルム等)の場合)は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ搬送されてトナー像の定着処理を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。転写材7が一次転写材(中間転写材等)の場合は、複数次の転写工程の後に定着処理を受けてプリントアウトされる。
【0239】
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナー等の付着物の除去を受けて清浄面化される。近年、クリーナレスシステムも研究され、転写残りトナーを直接、現像器等で回収することもできる。更に、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0240】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも1つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール等の案内手段12を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0241】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動又は液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0242】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応し得るが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用し得るものである。
【実施例】
【0243】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明の実施の形態は、これらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0244】
(実施例1)
まず導電層用の塗料を以下の手順で調製した。10質量%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して調製した。この塗料をφ30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、140℃で30分間乾燥することによって、膜厚が16μmの導電層を形成した。
【0245】
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、下引き層用塗料を調製した。この塗料を前記導電層上に浸漬コーティング法によって塗布し、100℃で20分間乾燥することによって、膜厚が0.6μmの下引き層を形成した。
【0246】
次に、電荷発生材料としてCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の28.1°に最も強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン3部とポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製)2部とをシクロヘキサノン100部に添加し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで1時間分散し、これにメチルエチルケトン100部を加えて希釈して電荷発生層用塗布液を調製し、上記下引き層上に、この電荷発生層用塗布液を浸漬コーティングし、90℃で10分間乾燥して、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
【0247】
次いで、化合物例No.6の正孔輸送性化合物(CTM)7部及び、中心骨格がF−1、連鎖重合性官能基:XがACで示されるフッ素原子含有モノマー3部をトルエン9部の溶媒中に溶解し、正孔輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記電荷発生層上に浸漬塗布法によりコーティングし、45℃で5分間放置した後に、窒素雰囲気中で加速電圧150KV、線量5Mradの条件で2秒間電子線を照射し、その後120℃で20分間加熱して正孔輸送層を硬化することによって、膜厚が15μmの硬化型正孔輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0248】
(実施例2〜23)
正孔輸送層の材料構成を表に示す化合物に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜23の電子写真感光体を作製した。
【0249】
(比較例1)
実施例1において、正孔輸送層の正孔輸送材料を化合物例No.94、塗料溶剤にモノクロロベンゼンを用いた以外は、同様にして電子写真感光体を作製した。
【0250】
(比較例2)
実施例1において、正孔輸送層の正孔輸送材料を化合物例No.53、フッ素原子含有モノマーとして下記構造式(F−101)で示されるモノマー、塗料溶剤にシクロヘキサノンを用いた以外は、同様にして電子写真感光体を作製した。
【0251】
【化19】


【0252】
(比較例3)
実施例1において、正孔輸送層の正孔輸送材料を化合物例No.245、フッ素原子含有モノマーとして下記構造式(F−102)で示されるモノマー、塗料溶剤にジエチルエーテルを用いた以外は、同様にして電子写真感光体を作製した。
【0253】
【化20】


【0254】
(比較例4)
実施例1において、正孔輸送層中の正孔輸送材料を官能基を有さない下記構造式(A)で示されるトリアリールアミン化合物に変えた以外は、同様にして電子写真感光体を作製した。
【0255】
【化21】


【0256】
(比較例5)
比較例4において、フッ素原子含有モノマーを添加しなかった点以外は、同様にして電子写真感光体を作製した。
【0257】
【表104】


【0258】
(実施例24)
実施例1において電荷発生層を形成した後、構造式(A)で示されるトリアリールアミン化合物8部及びポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱瓦斯化学製)10部をモノクロロベンゼン60部に溶解させた塗工液を用いて正孔輸送層を形成した。このとき正孔輸送層の膜厚は4μmであった。
【0259】
次に、化合物例No.6の正孔輸送性化合物(CTM)7部及び、F−1(X=AC)で示されるフッ素原子含有モノマー3部を1−プロパノール(プロトン受容体パラメーター:δa=5.0)9部の溶媒中に溶解し、正孔輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記正孔輸送層上に浸漬塗布法によりコーティングし、45℃で5分間放置した後に、窒素雰囲気中で加速電圧150KV、線量5Mradの条件で2秒間電子線を照射し、その後120℃で20分間加熱して正孔輸送層を硬化することによって、膜厚が6μmの硬化型表面層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0260】
(実施例25)
実施例24において、正孔輸送層の結着樹脂を下記構造式に示される構成単位を有するポリアリレート樹脂(粘度平均分子量:120000)に代え、膜厚が6μmの正孔輸送層を形成した。
【0261】
【化22】


【0262】
次に、化合物例No.9の正孔輸送性化合物(CTM)7部及び、化合物例F−2(X=AC)で示されるフッ素原子含有モノマー3部をアセトン(プロトン受容体パラメーター:δa=2.5)9部の溶媒中に溶解し、正孔輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記正孔輸送層上に浸漬塗布法によりコーティングし、45℃で5分間放置した後に、窒素雰囲気中で加速電圧150KV、線量5Mradの条件で2秒間電子線を照射し、その後120℃で20分間加熱して正孔輸送層を硬化することによって、膜厚が4μmの硬化型表面層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0263】
(実施例26)
実施例24において正孔輸送層の結着樹脂をスチレン−アクリル共重合ポリマー(商品名:エスチレン、MS−200、新日鐵化学株式会社製、スチレン/メチルメタアクリレート比:80/20)に変え、正孔輸送材料を構造式(A)で示されるトリアリールアミン化合物6部、及び下記構造式(B)で示されるスチリル系化合物2部とし、膜厚が7μmの正孔輸送層を形成した。
【0264】
【化23】


【0265】
次に、化合物例No.11の正孔輸送性化合物(CTM)7部及び、化合物例F−3(X=AC)で示されるフッ素原子含有モノマー3部をメタノール(プロトン受容体パラメーター:δa=7.5)9部の溶媒中に溶解し、正孔輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記正孔輸送層上に浸漬塗布法によりコーティングし、45℃で5分間放置した後に、窒素雰囲気中で加速電圧150KV、線量5Mradの条件で2秒間電子線を照射し、その後120℃で20分間加熱して正孔輸送層を硬化することによって、膜厚が3μmの硬化型表面層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0266】
(実施例27〜50、比較例6〜8)
正孔輸送層及び表面層の材料構成を表に示す化合物に変えた以外は、実施例24と同様にして実施例27〜50及び比較例6〜8の電子写真感光体を作製した。
【0267】
【表105】


【0268】
<表面層の成膜状態の評価>
実施例、比較例で作製した各電子写真感光体の表面を観察した結果を表にまとめて示す。
【0269】
【表106】


【0270】
<電子写真感光体の評価>
以上で作製した電子写真感光体を温度32.5℃/相対湿度85%の環境においてキヤノン(株)製複写機IR−400(接触AC/DC帯電)に装着して評価した。A4サイズの紙でハーフトーン画像上に文字が印刷してある画像を1枚間欠で出力するモードで100000枚の超長期耐久試験を行った。耐久試験20000枚時点における画像流れの評価に関しては、ハーフトーンの乱れが確認されないものをランクA、僅かに濃度ムラが見られるものをランクB、文字の流れが見られるものをランクCとした。
【0271】
100000枚出力終了後の電子写真感光体の表面状態を観察し、3μm以上の深傷の有無及び、トナー融着の有無を確認した。
【0272】
評価結果をまとめて表に示す。
【0273】
【表107】


【0274】
(実施例51)
まず導電層用の塗料を以下の手順で調製した。10質量%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して調製した。この塗料をφ30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、140℃で30分間乾燥することによって、膜厚が16μmの導電層を形成した。
【0275】
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、下引き層用塗料を調製した。この塗料を前記導電層上に浸漬コーティング法によって塗布し、100℃で20分間乾燥することによって、膜厚が0.6μmの下引き層を形成した。
【0276】
次に、下記構造式(C)で示されるビスアゾ顔料を1.125部、下記構造式(D)で示されるトリスアゾ顔料を0.375部、
【0277】
【化24】


【0278】
及び、下記構造式(E)で示されるポリビニルベンザール(ベンザール化率80%、重量平均分子量12000)2部及びシクロヘキサノン30部をφ1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で25時間分散した後、テトラヒドロフラン60部を加えて電荷発生層用塗工液を調製した。この塗工液を下引き層上に浸漬コーティング法により塗布し、80℃で10分間乾燥することによって、膜厚が0.26μmの電荷発生層を形成した。
【0279】
【化25】


【0280】
次に、下記構造式(F)で示されるアミン化合物5部及び下記構造式(G)で示されるスチリル系化合物3部、更にポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱瓦斯化学製)10部をモノクロロベンゼン60部に溶解させた塗工液を用いて正孔輸送層を形成した。このとき正孔輸送層の膜厚は11μmであった。
【0281】
【化26】


【0282】
実施例24において、表面層用塗料の溶剤をメタノールとし、前記正孔輸送層上に表面層を塗布した後の放置条件を、25℃で10分間とした以外は、同様にして電子写真感光体を作製した。
【0283】
(実施例52〜54、比較例9〜13)
実施例51において、表面層に添加するフッ素原子含有モノマー及び表面層を塗布した後の放置温度を以下の表のように変更した以外は、同様にして電子写真感光体を作製した。
【0284】
表面層中のフッ素原子の分布に関しては、感光層表面をごく浅い角度:1〜1.5度で切り出し、その表面をスポット径100μmに絞ったXPS法により全元素中のフッ素原子の割合を測定した。表面から0.5μmに相当するフッ素原子量(F1)と表面層とその下の層の界面から1μmだけ表面層側のフッ素原子量(F2)の比率:F2/F1を併せて表に記載した。
【0285】
【表108】


【0286】
以上で作製した電子写真感光体を、温度30℃/相対湿度10%の環境においてキヤノン製複写機GP−55(コロナ帯電)に装着して評価した。初期の状態において暗部電位Vdを−650V、明部電位を約−150V(±15V)となるようにレーザー照射光量を調整し、連続で999枚のハーフトーン画像の連続出力を行った後に、再度明部電位を測定した。連続出力前後の明部電位の変動幅が30V未満であるものをランクA、30V以上50V未満であるものをランクB、50V以上80V未満であるものをランクC、80V以上であるものをランクDとして評価した。その後、温度32.5℃/相対湿度82.5%の環境にて、ハーフトーン画像を1枚間欠で出力し、表面層が摩滅するまで耐久評価を継続した。出力1000枚時点の電子写真感光体表面のトナー融着及び、耐久試験を通じての画像流れを評価した。評価結果を表にまとめて示した。
【0287】
【表109】


【図面の簡単な説明】
【0288】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
【0289】
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段




 

 


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