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発明の名称 加熱装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3599(P2007−3599A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−180672(P2005−180672)
出願日 平成17年6月21日(2005.6.21)
代理人 【識別番号】100086818
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 幸雄
発明者 増田 義隆 / 木村 章治
要約 課題
加熱部材と加圧部材を加圧するときの衝撃の緩和。

解決手段
加熱回転体2と加圧回転体4とを操作部材8により加圧状態から離間状態へ移行させる時間よりも加圧部材6により離間状態から加圧状態へ移行させる時間を遅くする制御手段11・17を備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
加熱回転体と、前記加熱回転体と接してニップ部を形成する加圧回転体と、を有し、前記ニップ部で導入された被加熱材を挟持搬送しつつ加熱する加熱装置において、
前記加熱回転体と前記加圧回転体とを加圧する加圧部材と、前記加熱回転体と前記加圧回転体とを離間させる操作部材と、前記加熱回転体と前記加圧回転体とを前記操作部材により加圧状態から離間状態へ移行させる時間よりも前記加圧部材により離間状態から加圧状態へ移行させる時間を遅くする制御手段と、を有することを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記加熱回転体と前記加圧回転体とを離間状態から加圧状態へ移行させるときの速度を減衰させる速度減衰手段であることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記速度減衰手段は、前記加熱回転体と前記加圧回転体とを加圧状態から離間状態へ移行させる場合に伸びが遅延し、離間状態から加圧状態へ移行させる場合に縮みが追従するダンパーとバネであることを特徴とする請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
加熱回転体と、前記加熱回転体と接してニップ部を形成する加圧回転体と、を有し、前記ニップ部で導入された被加熱材を挟持搬送しつつ加熱する加熱装置において、
前記加熱回転体と前記加圧回転体とを加圧状態から離間状態へ移行させ、離間状態から加圧状態へ移行させる回転部材と、前記回転部材により前記加熱回転体と前記加圧回転体とを離間状態から加圧状態へ移行させるときの前記回転部材の回転速度を減速させる制御手段と、を有することを特徴とする加熱装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記回転部材と連動して回転する切り欠きギアと、前記加熱回転体と前記加圧回転体とを離間状態から加圧状態へ移行させるときに前記切り欠きギアと噛み合って回転する従動ギアと、前記従動ギアに連結され、前記従動ギアの回転に応じて前記従動ギアに前記回転部材の回転速度を減速させるための制動力を付与する回転式ダンパーと、を有することを特徴とする請求項4に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記回転部材と連動して回転する全歯ギアと、前記全歯ギアと噛み合って回転する従動ギアと、前記加熱回転体と前記加圧回転体とを離間状態から加圧状態へ移行させるときに前記従動ギアの回転の伝達を行う回転伝達部材と、前記回転伝達部材により伝達された前記従動ギアの回転に応じて前記従動ギアに前記回転部材の回転速度を減速させるための制動力を付与する回転式ダンパーと、を有することを特徴とする請求項4に記載の加熱装置。
【請求項7】
加熱回転体と、前記加熱回転体と接してニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で導入された被加熱材を挟持搬送しつつ加熱する加熱装置において、
前記加熱回転体と前記加圧回転体とを加圧状態から離間状態へ移行させ、離間状態から加圧状態へ移行させる回転部材と、前記回転部材により前記加熱回転体と前記加圧回転体とを加圧状態から離間状態へ移行させる時間よりも離間状態から加圧状態へ移行させる時間を長くする制御手段と、を有することを特徴とする加熱装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記回転部材を回転させる駆動源と、前記加熱回転体と前記加圧回転体とを加圧状態から離間状態へ移行させるときの前記駆動源の回転時間に対し、離間状態から加圧状態へ移行させるときの前記駆動源の回転時間を長くする駆動制御部と、を有することを特徴とする請求項7に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記加熱回転体と前記加圧回転体は、前記ニップ部に被加熱材が導入されていないときも加圧状態を維持していることを特徴とする請求項1、4または7に記載の加熱装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、或いは静電記録方式の画像形成装置に搭載される加熱定着器として用いれば好適な加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用する複写機やプリンター等の画像形成装置に具備される画像加熱定着装置(以下、定着装置と記す)においては熱ローラ方式の加熱定着器が広く用いられている。この定着装置では、未定着トナー像を担持した転写材を、互いに圧接して回転する定着ローラ(定着部材)と加圧ローラ(加圧部材)とで形成されるニップ部に通過させることにより未定着トナー像を記録材上に永久画像として定着させている。
【0003】
上記の定着装置は、大別して、次の二種類に分類することができる。
【0004】
(I)常時加圧型
定着部材と加圧部材は常に加圧状態にあり、ジャム処理など非常の場合のみ加圧を解除する。
【0005】
(II)常時離間型
電源OFFの時を含み、通常時においてニップ部に加圧力がかかっておらず、定着部材と加圧部材が離間している。
【0006】
特許文献1には上記(I)の常時加圧型の定着装置が記載されている。図12と図13に特許文献1の定着装置の概略構成図を示す。
【0007】
図12において、200はエンドレス状の定着ベルトであり、定着ローラ201と加熱ローラ202とに巻き掛けられている。203は加圧ローラであり、定着ベルト202を挟んで定着ローラ201とニップ部Nを形成している。加圧ローラ203は不図示の回転駆動系により反時計方向に回転駆動される。加圧ローラ203の回転に伴い定着ベルト202、定着ローラ201および加熱ローラ202は時計方向に従動回転する。回転駆動中の定着ベルト200はヒータ204により加熱ローラ202を介して加熱される。加熱ローラ202の温度はサーミスタ205により検知され、その検知温度に基づいて不図示の温調制御系がヒータ204への電力供給を制御することにより定着ベルト200の温度を所定温度(目標温度)に保っている。
【0008】
上記定着装置において加圧ローラ203が定着ローラ201に対して加圧・離間される。すなわち、上下に移動可能な加圧ローラ203と回転可能な駆動カム206との間に加圧バネ207が配設してある。そして、加圧バネ207の一端を加圧ローラ203のローラ軸203aに結合し、他端を駆動カム207の径大の圧着カム部207aに接触させて加圧バネを圧縮させることにより、定着ベルト200と加圧ローラ203とを加圧状態とする所定の加圧力を得ている。定着ベルト200と加圧ローラ202とを離間させる場合には、一点鎖線のように駆動カム207を時計方向に所定角度回転させて駆動カム207の径小の解除カム部207bに加圧バネ206の他端を接触させる。このとき加圧ローラ203は自重で加圧バネ206を収縮させながら下降して定着ベルト100から離間する。
【0009】
図13に示す定着装置は、加圧ローラ210を不図示の加圧バネにより定着ベルト200に加圧させ、この加圧ローラの端部にスペーサ211A・211Bを設けた他は、図11の加熱定着装置の構成と同じである。
【0010】
スペーサ211A・211Bは加圧ローラ210と定着ローラ201との軸間距離を制御するためのものであり、加圧ローラが時計方向に回転駆動されることで一点鎖線のように定着ローラのローラ軸201aと接する。スペーサ211A・211Bはそれぞれ厚みが異なっており、スペーサ211Aよりスペーサ211Bの方が軸間距離が短くなるように設けられている。加圧ローラ210端部にスペーサ211A・211Bを設けることにより加圧ローラ210の加圧力を2段階に調整可能である。また、加圧ローラ210の回転方向においてスペーサ211A・211Bの後端側は圧着音を軽減するため傾斜をもたせてある。また同様な目的でスペーサ211A・211Bと当接する定着ローラ201表面をゴムなどの弾性層で被覆している。
【0011】
従来の定着装置では常時加圧型を用いることが多い。
【0012】
次に上記(II)の常時離間型の定着装置の一例を説明する。図14に常時離間型の定着装置の概略構成図を示す。
【0013】
220は定着ローラである。221は加圧ローラであり、加圧アーム222に回転可能に支持されている。223は加圧フレームであり、支軸223aを支点に揺動可能である。加圧アーム222の一端は加圧フレーム223の支軸223aに回動可能に支持されている。そして加圧アーム222の他端は加圧アームと加圧フレーム223との間に配置した加圧バネ224により伸び規制部材225に当接されている。加圧アーム222の他端を伸び規制部材225に当接させることで加圧ローラ221と定着ローラ220とを離間させている([A]参照)。伸び規制部材225は加圧フレーム223に設けられ、加圧フレームと共に揺動する。226は加圧フレーム223を揺動させる駆動カムである。
【0014】
上記定着装置では、画像形成装置の作像機構部が画像形成動作に入ると、駆動カム226は時計方向に回転されて加圧フレーム223に当接し、加圧フレームを支軸223aを支点に持ち上げる。加圧ローラ221が定着ローラ220に接触するまでは加圧バネ224の力は伸び規制部材21により制限されている。加圧ローラ221が定着ローラ220に接触した後、駆動カム11がさらに回転してカムプロフィール(カム形状)のリフト量が大きくなると加圧バネ224が圧縮されて加圧ローラ221を定着ローラ220に加圧する([B]参照)。
【0015】
作像機構部の画像形成動作が終わると、駆動カム226は更に回転される。そしてカムプロフィールのリフト量の無いホームポジションまで回転すると、次の加圧動作まで待機する。
【特許文献1】特開2003−270978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記(II)の常時離間型の定着装置は、画像形成動作に連動した加圧動作が必要であるため自動化が不可欠である。しかも加圧する時にカムを回転駆動するための動力が必要なため、画像形成のタイミングとも重なり、動作時に集中して大きな電力を要する。電力配分のシーケンスを工夫し、画像形成とのタイミングをずらすことで電力の集中を分散させることは可能である。その場合には、定着装置に加圧動作をさせてから画像形成動作に入るなど、加圧動作と画像形成動作を並列に実行できないためファースト・プリントアウト・タイム(最初の1枚を印刷完了するまでの時間)が遅くなってしまう。
【0017】
従って、定着ユニットが大掛かりになるとか、使用可能な電力の問題から現実には常時離間型の定着装置は大型プリンタに用いられることが多い。
【0018】
上記(I)の常時加圧型の定着装置では、カムプロフィールにより加熱回転体としての定着ベルト、或いは定着ローラと、加圧回転体としての加圧ローラとの加圧・離間制御が行われるため、以下のような問題が発生する傾向がある。すなわち、離間時にはカムプロフィールに倣った離間を行うものの、加圧(接近)時にはカムそのものを早回しする方向に加圧力が働き、実質的にカムプロフィールに沿わない接近速度になってしまう。従って、定着ベルト、或いは定着ローラと加圧ローラは急激に加圧(圧着)されることになり、大きな衝突が発生する。
【0019】
上記の現象を図15を参照して詳しく説明する。図15は、[A]から[E]へ順に、カムCの回転に対する従動子Fの動きを表している。
【0020】
[A]と[B]に示すように、カムCは時計方向に回転し従動子FはカムCのカムプロフィールに倣うような力をうけている。カムプロフィールのリフト量が最大になる[C]に至るまでは従動子Fの反力がカムCの回転方向のトルクに相反するため従動子Fの移動はカムCのプロフィール通りになる。
【0021】
しかし、[D]と[E]に示すように、カムプロフィールの最大リフト量を超えると従動子Fの反力はカムCの回転方向と一致してしまい、従動子Fの反力はカムCを回すトルクとして働いてしまう。
【0022】
従動子Fの反力がカムCを回す動力に対して充分小さい場合は問題ないものの、定着ユニットのように大きな加圧力を反力とする場合はカムプロフィール通りの動きにならなくなってしまう。
【0023】
つまり、本来のカムプロフィールによる加圧ローラの接近速度よりも速くなってしまうことが衝撃となって現れてしまう。
【0024】
この現象はカムプロフィールを変えたり、従動子との接点位置を変えても根本的に解決しない。
【0025】
定着ベルト、或いは定着ローラと加圧ローラの衝突を緩和するため、定着ベルト、或いは定着ローラおよび加圧ローラにおいて加圧時に当接する部位にゴムなどの弾性層を設けることが考えられる。弾性層を設けることで衝突音そのものは多少和らぐものの、加圧力に起因してローラの位置関係が曖昧になったり、経時的な弾性層の変化によりローラの位置関係が変わってしまう。すなわち所望の加圧力が得られない。
【0026】
また、ゴムなどの弾性体は荷重によって変位量が変わり、かつ経時変化によって弾性率も変化してしまうことは周知である。しかも定着装置という高温な環境下においてゴムの劣化は促進されるのも周知の事実である。
【0027】
従って、初期段階では騒音防止の効果はあるものの、加圧力がバラツキ所望の定着性を達成できないとか、月日がたつと弾性体の劣化により騒音防止効果も弱まってしまう。
【0028】
加圧時の衝撃力は加圧力に比例して大きくなることから、衝撃を少なくするだけなら加圧力を小さくすればよいことになる。
【0029】
しかしながら、加圧力は定着性を確保するため、より大きくなる傾向にある。
【0030】
上記のような加圧時の衝撃は次のような弊害を起こす。
・耳障りな衝撃音
突発的な音は数値的な稼動音として現れにくく従来見のがされてきた項目である。しかし、感覚的な騒音としては装置全体の品位を落としかねない。
・振動
加圧時の衝撃が振動となり装置全体を伝わっていく。共振も含め、画像形成装置に伝わった場合は画質劣化の元になる。
・軸受けの寿命
消費電力を初めとする環境対策を盛り込むため定着温度を高く設定することは好ましくない。しかし、一定の定着性を確保するため加圧力を高くする傾向にある。
【0031】
更により高速化の要望が増えるにつれ、すべり軸受けでは耐荷重を満足できず転がり軸受けを用いる場合が増えている。
【0032】
転がり軸受けは回転動作中に耐えうる荷重を基に設計されており、定着ローラと加圧ローラの静止時(非回転時)に大きな衝撃を受けると一個のボール(鋼球)に荷重が集中してしまい、ボールやリムの一部的な変形により寿命を縮めてしまうこともある。
【0033】
本発明の目的は、加熱部材と加圧部材を加圧するときの衝撃を緩和できる加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明に係る加熱装置の代表的な構成は、加熱回転体と、前記加熱回転体と接してニップ部を形成する加圧回転体と、を有し、前記ニップ部で導入された被加熱材を挟持搬送しつつ加熱する加熱装置において、前記加熱回転体と前記加圧回転体とを加圧する加圧部材と、前記加熱回転体と前記加圧回転体とを離間させる操作部材と、前記加熱回転体と前記加圧回転体とを前記操作部材により加圧状態から離間状態へ移行させる時間よりも前記加圧部材により離間状態から加圧状態へ移行させる時間を遅くする制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、加熱部材と加圧部材とを加圧するときの衝撃を緩和できる。これにより、加熱部材と加圧部材との不快な衝撃音を無くし動作品位を高くできる。また加熱部材と加圧部材の衝撃による振動を無くすことができ、二次振動や共振による画像ブレを防げる。また加熱部材と加圧部材の静止時の衝撃荷重を無くすことができ、転がり軸受けの長寿命化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。
【実施例1】
【0037】
(1)画像形成装置例
図1は本発明に係る加熱装置を画像加熱定着装置として搭載した画像形成装置の一例の概略模型図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザープリンタである。
【0038】
101は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)である。矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0039】
102は帯電手段としての接触帯電ローラである。回転する感光ドラム101の外周面を所定の極性・電位に一様に帯電処理する。
【0040】
103は露光手段としてのレーザースキャナである。画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調したレーザー光Lを出力して、回転する感光ドラム101の一様帯電処理面を走査露光する。これにより感光ドラム面に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0041】
104は現像装置である。感光ドラム面の静電潜像をトナー像として反転現像または正規現像する。
【0042】
105は転写手段としての転写ローラである。感光ドラム101に対して所定の押圧力で接触して転写ニップ部Tを形成している。この転写ニップ部Tに不図示の給送機構部から被加熱材として記録紙、OHPシート等の転写材Pが所定の制御タイミングにて給送されて転写ニップ部Tを挟持搬送されていく。また転写ローラ105には所定の制御タイミングで所定の転写バイアスが印加される。これにより、転写ニップ部Tを挟持搬送される転写材Pの面に感光ドラム101面側のトナー像が順次に静電転写される。
【0043】
転写ニップ部Tを出た転写材Pは感光ドラム101面から分離されて画像加熱定着装置(以下、定着装置と記す)1に導入される。定着装置1は導入された転写材P上の未定着トナー像を永久固着画像として加熱・加圧定着する。そして転写材Pは排出搬送される。
【0044】
106は感光ドラムクリーニング器であり、転写材分離後の感光ドラム上の転写残トナーを除去する。転写残トナーが除去されて清浄面化された感光ドラム面は繰り返して作像に供される。
【0045】
(2)定着装置1
図2は定着装置の横断面側面模型図である。
【0046】
本実施例の定着装置1は熱ローラ方式の定着装置であり、加熱回転体としての定着ローラ2と、加熱源としてのハロゲンヒータ3と、加圧回転体としての弾性加圧ローラ(以下、加圧ローラと記す)4と、を有する。
【0047】
定着ローラ2は、アルミ等の熱伝導性の良好な金属からなる円筒状の芯金2aの表面にシリコンゴムなどからなる弾性層2bを有し、さらにその表面にフッ素樹脂などからなる離型層2cを有する。そして芯金2aの両端が不図示の装置フレームに軸受けを介して回転可能に支持されている。
【0048】
定着ローラ2の芯金2aの内部にはハロゲンヒータ3が挿入配置されている。ハロゲンヒータ3は両端が不図示のヒータホルダーを介して上記の装置フレームに支持されている。
【0049】
加圧ローラ4は、金属製のローラ状の芯金4aの表面にシリコンゴムなどからなる弾性層4bを有し、さらにその表面にフッ素樹脂などからなる離型層4cを有する。加圧ローラ4は、定着ローラ2の下方で定着ローラと平行に対向配置され、芯金4aの両端が加圧・離間機構Mの加圧ローラ支持台(以下、支持台と記す)5(図3、図4)に設けられた一対の支持部5aに不図示の軸受けを介して回転可能に支持されている。そして加圧ローラ4は、支持台5を介して加圧部材としての加圧バネ5(図3、図4)により定着ローラ2に加圧されることによって定着ローラとニップ部Nを形成している。加圧・離間機構Mについては次の(3)の項で詳述する。
【0050】
上記の定着装置において、画像形成装置の不図示の制御部がプリント信号を取り込むと、定着ローラ2は回転駆動系21により時計方向に回転駆動され、ハロゲンヒータ3には不図示の温調制御系21により電力が供給される。ハロゲンヒータ3により加熱された定着ローラ2の温度はサーミスタ22により検知される。温調制御系21はサーミスタ22の検知温度に基づいてハロゲンヒータ3への電力供給を制御して定着ローラ2の温度を所定温度(目標温度)に維持する。そして未定着トナー画像tを担持した転写材Pがニップ部Nに導入され、定着ローラ2と加圧ローラとにより挟持搬送される。転写材Pがニップ部Nを挟持搬送されていく過程で未定着トナー画像tは加熱・加圧されて転写材P面に永久固着画像として定着される。
【0051】
(3)加圧・離間機構M
定着装置1は定着ローラ2と加圧ローラ4とを加圧・離間させるための加圧・離間機構Mを具備している。図3は加圧・離間機構の外観斜視図、図4は加圧・離間機構の横断面側面模型図である。
【0052】
支持台5は横断面略コ字形状の加圧基準部材(以下、基準部材と記す)7に不図示のガイド機構を介して上下方向に移動可能に保持されている。基準部材7は上記の装置フレームに取り付けられている。この基準部材7および上記の定着ローラ2は装置フレームに対して移動しない。
【0053】
基準部材7の内部において支持台5の下方側には、加圧手段としての一対の上記加圧バネ6が配置してある。加圧バネ6は、加圧ローラ4を定着ローラ2に加圧させるように支持台5を常時上方に付勢している。
【0054】
基準部材7の上板に設けられた一対の支持部7aには、それぞれ操作部材としてのハンドル8が取り付けられている。ハンドル8は側面略く字形状に形成されて中央部分の屈曲部が対応する支持部7aに軸9aにより回動可能に取り付けられている。ハンドル8の下端には、それぞれトグルリンク(以下、リンク記す)10が軸9bにより回動可能に連結されている。そしてリンク10の先端を支持台5上に回動可能に連結させている。本実施例では、リンク10の先端を加圧バネ6の略中心と対応する位置で軸9cにより支持台5と連結している。またリンク10はハンドル8に対し所定の傾斜角度をもって連結されている。ハンドル8は図の位置から反時計方向へ軸9aを支点に所定角度回動させることができ、そのときリンク10よって支持台5を図中下方向へ押し下げることができる。
【0055】
図4においてSa・Sbはハンドル8の回動範囲の下限と上限を規制するストッパーである。定着ローラ2と加圧ローラ4との加圧状態においてハンドル8は下限規制用のストッパーSaに当接している。
【0056】
基準部材7の内部において支持台5の上方側には、制御手段としての速度減衰手段を構成する一対のオイルダンパー(以下、ダンパーと記す)11およびバネである補助スプリング17(以下、スプリングと記す)が配置してある。
【0057】
ダンパー11は、ダンパーオイル12がダンピング媒体としてシリンダー13内に収納され、図示していないオリフィスを設けたピストン14がシリンダー内を移動する速度に応じた減衰力を支持台5に供給する。シリンダー13は基準部材7に取り付けられている。ピストン14は支持台5を貫通するロッド14aを有している。ロッド14aはシリンダー13と支持台5との間にバネ受け部材15を有している。バネ受け部材15の加圧ローラ支持台5側の面にはゴムなどの弾性部材16が設けられている。
【0058】
スプリング17は圧縮バネであり、基準部材7とバネ受け部材16との間においてダンパー11の外周に配置されている。スプリング17はダンパー11の減衰力に対してかなり弱い力であり、ダンパーのピストン14と共にロッド14aをバネ受け部材15を利用して押し伸ばす速度は0.5mm/sである。
【0059】
図5を参照して定着装置1の加圧・離間動作を説明する。[A]は加圧状態を、[B]は加圧状態から離間状態への移行状態を、[C]は離間状態を、[D]は離間状態から加圧状態への移行状態を、それぞれ表している。
【0060】
[A]に示すように、定着ローラ2と加圧ローラ4はニップ部Nに転写材Pが導入されていないときも加圧状態を維持している。すなわち、ハンドル8を反時計方向へ回動する操作を行わない限り定着ローラ2と加圧ローラ4との加圧状態を解除することができない。ハンドル8はジャム処理などを行う場合に反時計方向へ回動操作される。
【0061】
ハンドル8を反時計方向へ軸9aを支点に回動させると、ハンドルは軸9aを支点にリンク10を時計方向へ回動させる。このリンク10の回動量に応じて支持台5が加圧バネ6を押し縮めながら下降する。これにより支持台5がダンパー11側の弾性部材16から、加圧ローラ4が定着ローラ2からそれぞれ離れ、定着ローラと加圧ローラは加圧状態から離間状態へと移行し始める。そしてリンク10が中立位置になると([B])、加圧バネ6は支持台5により最も押し縮められる。このとき支持台5とダンパー11側の弾性部材16との間、および定着ローラ2と加圧ローラ4との間に空間Sが形成される。これによりスプリング17が伸び、ダンパー11のバネ受け部材15を押し下げることでダンパーのピストン14を下降させロッド14aが伸びる。すなわち、定着ローラ2と加圧ローラ4において加圧状態から離間状態へ移行する場合、先ずスプリング17が伸び、次にその伸び量に応じてダンパー11のロッド14aが伸びる。つまり、スプリング17とダンパー11は、定着ローラ2と加圧ローラ4とを加圧状態から離間状態へ移行させる場合に伸びが遅延することになる。
【0062】
ハンドル8をさらに反時計方向へ回動させ、リンク10が中立位置を過ぎると、ハンドルは上限規制用のストッパーSbと当接して停止し([C])、これに伴い支持台5の下降も停止する。これにより加圧ローラ4の定着ローラ2に対する離間状態が保持される。そしてダンパー11のバネ受け部材15と共に下降する弾性部材16をスプリング17が支持台5上に押し当てる。この離間状態でハンドル8をその位置で固定させておき、ジャム処理を行う。
【0063】
([C])の離間状態からハンドル8を時計方向へ回動させると、ハンドル8はリンク10を反時計方向へ回動させる。そしてリンク10が中立位置を過ぎると、支持台5はスプリング17を押し縮める同時に、バネ受け部材15を押し上げてダンパー11のロッド14aを押し縮める。このとき支持台5はロッド14aが押し縮められるときのピストン14の移動速度に応じた減衰力を受ける([D])。このときのピストン14の移動速度は約1.5〜2mm/sである。このように支持台5がダンパー11から上記の移動速度に応じた減衰力Fを受けることで加圧バネ6の急激な伸びを抑えながら上昇して[A]の加圧状態の位置に戻る。これにより加圧ローラ4は加圧バネ6の付勢力により定着ローラ2に加圧される。すなわち、定着ローラ2と加圧ローラ4において離間状態から加圧状態へ移行する場合、スプリング17とダンパー11は同時に縮む。つまり、スプリング17とダンパー11は、定着ローラ2と加圧ローラ4とを離間状態から加圧状態へ移行させる場合に縮みが追従することになる。
【0064】
本実施例の定着装置1によれば、定着ローラ2と加圧ローラ4において離間状態から加圧状態へ移行させる場合に、加圧ローラ4に対してダンパー11からピストン14の移動速度に応じた減衰力Fを付与することができる。これによって、定着ローラ2と加圧ローラ4とを加圧状態から離間状態へ移行させる時間よりも離間状態から加圧状態へ移行させる時間を遅くでき、定着ローラと加圧ローラとを加圧するときの衝撃を緩和できる。これにより定着ローラ2と加圧ローラ4との不快な衝撃音を無くし動作品位を高くできる。また定着ローラ2と加圧ローラ4の衝撃による振動を無くすことができ、二次振動や共振による画像ブレを防げる。また定着ローラ2と加圧ローラ4の静止時(非回転時)の衝撃荷重を無くすことができ、転がり軸受けの長寿命化が図れる等の効果を奏し得る。
【0065】
本実施例では、加圧・離間機構Mのハンドル8の回動操作を手動で行う手動加圧・離間機構として構成してあるが、加圧・離間機構はこれに限らず、ハンドルの回動操作をギアの回転に置き換えてモータ等を動力とした自動加圧・離間機構として構成してもよい。
【実施例2】
【0066】
図6に第2の実施例の定着装置1の外観斜視図を示す。本実施例では実施例1の定着装置の部材と同じ機能を有する部材には同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0067】
加圧・離間機構Mにおいて、24は駆動源としてのモータであり、正逆回転可能である。モータ24は基準部材7に配置してある。
【0068】
25・26はそれぞれ制御手段としての切り欠きギアおよび回転式ダンパー(以下、ダンパーと記す)である。ダンパー26は基準部材7に配置してある。
【0069】
27はダンパー26の入力軸26aに取り付けられた従動ギアである。
【0070】
28はモータ24が逆回転したときのみトラクションのかかる1ウエイクラッチ28aを具備させたカム駆動用ギアである。29はモータ24が正回転したときのみトラクションのかかる1ウエイクラッチ29aを具備させた定着ローラ用駆動ギア(以下、定着駆動ギアと記す)である。カム駆動用ギア28と定着駆動ギア29はそれぞれモータ24の出力軸24aに取り付けられている。カム駆動用ギア28は後述の軸33に設けられている被駆動ギア35と噛み合っている。定着駆動ギア29は定着ローラ2の支軸2aに設けられたギア32と噛み合っている。
【0071】
30はエンコーダ、31はフォトインタラプタである。エンコーダ30は固定軸33に設けてあり、後述のカム34と共に回転する。エンコーダ30は切り欠き30aを有し、この切り欠きをフォトインタラプタ31が検知することでカムの回転位置によって加圧ローラ4が加圧状態か離間状態かを判別している。
【0072】
軸33は基準部材7の一対の支持板7bに加圧ローラ4と平行に、かつ回転可能に支持されている。軸33には切り欠きギア25と、回転部材としての一対のカム34と、被駆動ギア35と、エンコーダ30がそれぞれ取り付けられている。
【0073】
36はカム34の従動子たる従動ローラであり、加圧ローラ4と平行に支持台5の一対の支持部5bに支持された可動軸37に回転可能に支持されている。可動軸37は基準部材7の支持部7bに設けられた縦長のガイド孔7b1を貫通しており、このガイド孔に沿って可動軸37と支持台5が上下移動するようになっている。支持台5と基準部材7との間には一対の加圧バネ7が配置してあり、加圧ローラ4と定着ローラ2とを加圧させ、かつカム34と従動ローラ36とを接触させるように支持台5を常時上方に付勢している。
【0074】
カム34は、定着ローラ2と加圧ローラ4とを加圧状態から離間状態へ移行させるためのカムリフト部34aと、離間状態から加圧状態へ移行させるためのカムダウン部34bと、を有する。カム34のカムリフト部34aには従動ローラ36が接触している。カムリフト部34aとカムダウン部34bの形状はカム34の長径方向の中心線Sに対して対称である。
【0075】
切り欠きギア25は、定着ローラ2と加圧ローラ4とを離間状態から加圧状態へ移行させるための半円形状のギア部25aを有する。
【0076】
本実施例の定着装置1において、モータ24が正回転(矢示の反時計方向への回転)した場合はカム駆動用ギア28がフリーになり、定着駆動ギア29が定着ローラ2のギア32に動力(回転駆動力)を伝達する。定着ローラ2はギア32から動力を受けて矢示の時計方向へ回転駆動される。定着ローラ2に加圧されている加圧ローラ4は定着ローラから回転力を受けて矢示の反時計方向に従動回転する。
【0077】
モータ24が逆回転(矢示の時計方向への回転)した場合は定着駆動ギア29がフリーになり、カム駆動用ギア28が被駆動ギア35に動力(回転駆動力)を伝達する。被駆動ギア35はカム駆動用ギア28から動力を受けて矢示の反時計方向へ回転する。これにより切り欠きギア25と、カム34と、エンコーダ30が反時計方向へ回転される。
【0078】
図7を参照して定着装置1の加圧・離間動作を説明する。[A]は加圧状態を、[B]は離間状態を、[C]は離間状態から加圧状態への移行状態を、それぞれ表している。
【0079】
[A]に示すように、定着ローラ2と加圧ローラ4はニップ部Nに転写材Pが導入されていないときも加圧状態を維持している。この加圧状態において従動ローラ36はカム34のカムリフト部34aに接触している。またこの加圧状態においては切り欠きギア25のギア部25aは従動ギア27と噛み合っていない。そしてジャム処理などを行うためにモータ24(図6)を逆回転させてカム34と切り欠きギア25を反時計方向へ回転させる。このカム34の回転量に応じて従動ローラ36はカムリフト部34aにより押し下げられ、支持台5は加圧バネ6を押し縮めながら従動ローラと共に下降し始める。これにより加圧ローラ4が定着ローラ2から離れ、定着ローラと加圧ローラは加圧状態から離間状態へと移行し始める。
【0080】
カム34がさらに回転してカムリフト部34aおよびカムダウン部34bの共通の最長部34cが従動ローラ36と接触すると、切り欠きギア25のギア部25aが従動ギア27と噛み合う([B])。このとき加圧バネ6は支持台5により最も押し縮められ、定着ローラ2と加圧ローラ4は離間状態となる。この離間状態でカム34の回転を止め、ジャム処理を行う。
【0081】
[B]の離間状態からさらにカム34が回転すると、カムダウン部34bが従動ローラ36と接触し始める。従動ローラ36は加圧バネ7の付勢力によりカムダウン部34bと接触されながら支持台5と共に上昇し始める。またカム34が回転することで切り欠きギア25も回転し、切り欠きギアの回転に応じて従動ギア27は反時計方向へ回転し始める。そしてさらにカム34が回転することで切り欠きギア25を介して従動ギア27がさらに回転される。従動ギア27の回転は入力軸26aからダンパー26に取り込まれる。ダンパー26は従動ギア27の回転に応じて従動ギアにカム34の回転速度を減速させるための制動力を付与する([C])。従動ギア27がダンパー26から制動力を受けることでカム3の回転速度は減速する。このとき支持台5は加圧バネ6の急激な伸びを抑えながら上昇して[A]の加圧状態の位置に戻る。これにより加圧ローラ4は加圧バネ6の付勢力により定着ローラ2に加圧される。
【0082】
本実施例の定着装置1によれば、定着ローラ2と加圧ローラ4において離間状態から加圧状態へ移行させる場合に、従動ギア27に対してダンパー26からカム34の回転速度を減速させるための制動力を付与することができる。これによって、定着ローラ2と加圧ローラ4とを離間状態から加圧状態へ移行させる場合に、定着ローラと加圧ローラとを加圧するときの衝撃を緩和できる。これにより、実施例1の定着装置と同様な効果を奏し得ることができる。
【0083】
また、ダンパー26は離間状態から加圧状態へ移行する場合に従動ギア27に制動力を付与するため負荷(特に離間時の負荷)の適正化が図れ、モータ24は低トルクで安価なものを用いることができる。
【0084】
〔定着装置の変形例〕
本実施例の定着装置1においては、従動ギア27がダンパー26から制動力Bを受けるか、受けないかの選択を切り欠きギア25を用いて行っているが、電磁クラッチを用いて行うこともできる。その一例を図8に示す。
【0085】
40は全歯ギア、41は回転伝達部材としての電磁クラッチである。全歯ギア40および電磁クラッチ41は、それぞれ従動ギア27とダンパー26と共に制御手段を構成している。
【0086】
全歯ギア40は切り欠きギア25(図7)に代えて軸33に取り付けられる。全歯ギア40は従動ギア27と噛み合っており、軸33によりカム34(図7)と共に回転される。
【0087】
電磁クラッチ41の一方のクラッチ板41aを従動ギア27の出力軸27aに取り付け、他方のクラッチ板41bをダンパー26の入力軸26aに取り付ける。
【0088】
電磁クラッチ41は定着ローラ2と加圧ローラ4とを加圧状態から離間状態へ移行させる場合にOFFされ、離間状態から加圧状態へ移行させる場合にONされる。電磁クラッチ41はOFFによりクラッチ板41aと41bを分離させ、ONによりクラッチ板41aと41bを結合させる。クラッチ板41aと41bが結合されることで従動ギア27の回転をダンパー26の入力軸26aに伝達する。
【0089】
ダンパー26は従動ギア27の回転に応じて従動ギアにカム34の回転速度を減速させるための制動力を付与する。これにより定着ローラ2と加圧ローラ4とを離間状態から加圧状態へ移行させる場合に、定着ローラと加圧ローラとを加圧するときの衝撃を緩和できる。
【実施例3】
【0090】
図9は第3の実施例の定着装置1の構成模型図、図10は離間状態を示す図である。本実施例においても実施例1の定着装置の部材と同じ機能を有する部材には同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0091】
支持台5と基準部材7との間には加圧バネ7が配置してあり、加圧ローラ4と定着ローラ2とを加圧させるように支持台を常時上方に付勢している。
【0092】
回転部材としてのカム40は、定着ローラ2と加圧ローラ4とを加圧状態から離間状態へ移行させるためのカムリフト部40aと、離間状態から加圧状態へ移行させるためのカムダウン部40bと、を有する。カムリフト部40aとカムダウン部40bの形状はカム40の長径方向の中心線S1に対して対称である。
【0093】
カム40の回転軸にはピニオンギア41が用いられている。ピニオンギア41はウオームギア42と噛み合っている。ウオームギア42には駆動源としてのモータ43が連結してある。モータ24は駆動制御部44により回転駆動される。モータ24は駆動制御部44と共に制御手段を構成している。
【0094】
本実施例の定着装置1においても、定着ローラ2と加圧ローラ4はニップ部Nに転写材Pが導入されていないときも加圧状態を維持している。この加圧状態においてカムリフト部40aおよびカムダウン部40bの共通の最短部40cが支持台5と接触している。そしてジャム処理などを行うためにモータ43が駆動制御部44により回転駆動される。
【0095】
モータ43が回転駆動されると、モータの回転に応じてウオームギア42とピニオンギア41が回転し、ピニオンギアの回転によりカム40は時計方向に180°回転される。カム40は回転過程においてカムリフト部40aで支持台5を押し下げ、カムリフト部40aおよびカムダウン部40bの共通の最長部40dが支持台5と接触したところで回転が停止される(図10)。加圧バネ6は支持台5により最も押し縮められ、定着ローラ2と加圧ローラ4は離間状態となる。この離間状態でジャム処理を行う。
【0096】
モータ43が駆動制御部44により再び回転駆動されると、モータの回転に応じてウオームギア42とピニオンギア41が回転し、ピニオンギアの回転によりカム40が時計方向に180°回転される。カム40は回転過程においてカムダウン部40bが支持台5と接触しながら回転し、最短部40cが支持台と接触したところで回転が停止される(図9)。このとき支持台5は加圧バネ6の急激な伸びを抑えながら上昇して加圧状態の位置に戻る。これにより加圧ローラ4は加圧バネ6の付勢力により定着ローラ2に加圧される。
【0097】
モータ43が回転駆動されたときウオームギア42の特性より、モータの駆動力にてカム40を回すことはできるけれども、逆回転防止機構が働くため加圧バネ6の反力によりカムが回されることは無い。
【0098】
ただし、バックラッシやギアの歯面精度によるガタを無くすことはできないため、加圧ローラ4の加圧時に定着ロー2との接触直前にひとかみ合い程度の衝突が起こることがある。
【0099】
加圧ローラ4が等速で定着ローラ2に加圧(接近)・離間を行う場合、衝突の大きさは衝突までの距離と関係なく衝突時の速度で決まってしまう。
【0100】
そこで、本実施例では、駆動制御部44によりモータ43の駆動を制御して、カム40により定着ローラ2と加圧ローラ4とを加圧状態から離間状態へ移行させる時間よりも離間状態から加圧状態へ移行させる時間を長くしている。
【0101】
図11に駆動制御部44のモータ駆動シーケンスを示す。
【0102】
横軸はモータ43もしくはカム40の回転時間、縦軸は角速度である。
【0103】
横軸の回転時間で0からT1までがカムリフトに要する時間。すなわち加圧ローラ2の離間に要する時間である。T1からT4までがカムダウンに要する時間。すなわち加圧ローラ2の加圧(接近)に要する時間である。
【0104】
波形(0→A1→A2→T1)で囲まれた面積[A]と、波形(T1→B1→B2→T4)で囲まれた面積[B]はモータもしくはカムの回転角度に相当し、カムプロフィールがリフト側とダウン側で同じであれば面積[A]と面積[B]は等しくなる。
【0105】
回転時間0→TA1はカムリフトに要する加速時間であり、その間にモータは最大定格速度の87.5%(A1)まで達する。その後、回転時間TA1→TA2間では一定速度で回転し、TA1→T1で減速している。
【0106】
減速時の加速度A2/(TA2−T1)は増速時の加速度A1/(TA1)とほぼ同じである。
【0107】
図11では回転時間T1にて角速度が0になった時点ですぐに次の加速が始まるように描いているけれど、実際にはT1では一時停止状態になる。
【0108】
すなわち、面積[A]のパターンでカムリフトし、図示していない定着ローラと加圧ローラが離間し、回転時間T1ではジャム処理などが行われている。その間、モータやカムは回転を一時停止している。
【0109】
ジャム処理等が終了し画像形成装置が動作可能状態になると、図示していない動作信号などにより面積[B]のパターンが始まる。
【0110】
面積[B]のパターンではカムダウンによる加圧動作が行われる。
【0111】
T1→TB1の区間では面積[A]のパターンと同じ加速が行われる。ただし、到達速度はモータの最大定格速度の50%である。
【0112】
B1→B2までわずかな一定速度の後、減速に入る。ただし、減速パターンは加速時の様に一定加速ではなく、徐々に角加速度を小さくしている。
【0113】
このことによりカムプロフィールのもつ落差をよりなめらかにすることができる。
【0114】
つまり、カムは一回転(=360度)に割り当てられたリフト量変化でしかカムプロフィールを刻むことができない。そのため回転角当たりのリフト量変化に限界ができてしまい、リフト量変化が大きくならざるをえない。
【0115】
本実施例ではカムリフト(面積[A]のパターン)に対し、カムダウン(面積[B]のパターン)に要する回転時間を3倍長くしている。
【0116】
このようにリフトとダウンで回転速度を変え、時間配分に偏差をもたせることでカムプロフィールをより緩やかにしたような効果を得ることができる。
【0117】
また、図11で示した面積[B]のパターンにおいて、回転時間TB2→T4へ至る減速パターンは直線ではない。すなわち一定の角加速度で減速するのではなく、指数関数的に角速度を変化させている。定常回転から減速し始める負の加速度がモータの回転時間に伴い小さくなっている。
【0118】
本実施例の定着装置1によれば、定着ローラ2と加圧ローラ4とを加圧状態から離間状態へ移行させる時間よりも離間状態から加圧状態へ移行させる時間を長くできるので定着ローラと加圧ローラとを加圧するときの衝撃を緩和できる。これにより、実施例1の定着装置と同様な効果を奏し得ることができる。
【0119】
本実施例ではカムリフトに対するカムダウンの回転時間を3倍に、カムダウン時の減速カーブを指数関数にしているが、本発明はこれら条件に限定されるわけではない。
【0120】
本実施例では、カム40は偏芯カムを用いており、回転方向が同一方向でも逆転方向でもほぼ同じ結果になる。またカム40の全周を用いるのではなく、一部だけを用いてモータ43を正逆両方向に制御する構成でもかまわない。
【0121】
〔その他〕
本発明の加熱装置は、画像加熱定着装置としてばかりではなく、画像を担持した転写材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着処理する像加熱装置、シート状物を給送して乾燥処理・ラミネート処理する等の加熱装置など、広く被加熱材の加熱処理装置として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】画像形成装置の一例の概略模型図。
【図2】第1の実施例に係る定着装置の横断面側面模型図。
【図3】第1の実施例に係る定着装置の加圧・離間機構の外観斜視図。
【図4】第1の実施例に係る定着装置の加圧・離間機構の横断面側面模型図。
【図5】第1の実施例に係る定着装置の加圧・離間動作の説明図。
【図6】第2の実施例に係る定着装置の外観斜視図。
【図7】第2の実施例に係る定着装置の加圧・離間動作の説明図。
【図8】第2の実施例に係る定着装置の変形例の説明図。
【図9】第3の実施例に係る定着装置の構成模型図。
【図10】第3の実施例に係る定着装置の離間状態を示す図。
【図11】第3の実施例に係る定着装置の駆動制御部のモータ駆動シーケンスの説明図。
【図12】カムを用いた従来の常時加圧型の加圧・離間機構の説明図。
【図13】カムを用いた従来の常時加圧型の加圧力調整機構の説明図。
【図14】カムを用いた常時離間型の加圧・離間機構の説明図。
【図15】カムの回転位置による従動子の作用方向の説明図。
【符号の説明】
【0123】
2‥‥定着ローラ、4‥‥加圧ローラ、3‥‥ハロゲンヒータ、5‥‥加圧ローラ支持台、6‥‥加圧バネ、7‥‥加圧基準部材、8‥‥ハンドル、10‥‥トグルリンク、11‥‥オイルダンパー、12‥‥ダンパーオイル、13‥‥シリンダー、14‥‥ピストン、14a‥‥ロッド、16‥‥弾性部材、17‥‥補助スプリング、22‥‥サーミスタ、24‥‥モータ、25‥‥切り欠きギア、26‥‥回転式ダンパー、27‥‥従動ギア、28‥‥カム駆動用ギア、29‥‥定着ローラ用駆動ギア、30‥‥エンコーダ、31‥‥フォトインタラプタ、34‥‥カム、36‥‥従動ローラ、43‥‥モータ、42‥‥ウオームギア、41‥‥ピニオンギア、44‥‥駆動制御部。




 

 


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