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定着装置および画像形成装置 - 株式会社リコー
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発明の名称 定着装置および画像形成装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−17732(P2007−17732A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199737(P2005−199737)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100080115
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 和壽
発明者 駒井 博道 / 中村 琢磨 / 二川 佳央
要約 課題
加熱効率が高くかつ均一加熱特性に優れるとともに、小型化、低価格化が図れるマイクロ波などの高周波を用いた定着装置、および画像形成装置を提供する。

解決手段
高周波により未定着画像を定着する定着装置11において、高周波発生手段20と、この高周波発生手段20により発生された高周波を伝播する伝播手段22と、この伝播手段22に接続されたキャビティ23とを有し、このキャビティ23には、前記未定着画像を有した被加熱定着物Sの搬入用開口27、排出用開口28を形成するとともに、該キャビティ23内に、電磁界制御素子32を配置した。
特許請求の範囲
【請求項1】
高周波により未定着画像を定着する定着装置において、
高周波発生手段と、この高周波発生手段により発生された高周波を伝播する伝播手段と、この伝播手段に接続されたキャビティとを有し、
このキャビティには、前記未定着画像を有した被加熱定着物の搬入用開口、排出用開口を形成するとともに、該キャビティ内に、電磁界制御素子を配置したことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記電磁界制御素子は、導電性パターンが、誘電体基板上に配置されて構成されていることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記電磁界制御素子は、導電性パターンが、誘電体基板同士の間に積層されて構成されていることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項4】
前記電磁界制御素子は、前記被加熱定着物の搬送経路に近接して配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載の定着装置を有していることを特徴とする画像形成装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成に用いられる定着装置に係り、マイクロ波などの高周波により未定着画像を被加熱定着物に定着する、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等に用いられる画像形成装置は、画像情報に基づいて紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の被記録媒体に、文字や記号等を含む画像を記録するものである。このような画像形成装置には、種々の画像形成方式が提案されているが、普通紙を被記録媒体とでき、高速であり、また高画質であるなどの利点から電子写真方式が多用されており、プリンタ、ファクシミリ、複写機等としての、この電子写真方式を採用した画像形成装置が、オフィスなどに広く普及している。
【0003】
この電子写真方式では、紙に代表される被記録媒体上の未定着画像であるトナー像を加熱溶融して被記録媒体に定着させる定着装置が必須となる。この定着装置として、一対の加熱ローラおよび加圧ローラの構成が一般に用いられているが、この加熱および加圧ローラ対の定着装置では、電源投入後の待ち時間の短縮や消費電力低減などが大きな課題となっている。
【0004】
そこで、このような課題を解決する定着装置として、誘電加熱を原理とする高周波(ラジオ波)加熱方式、およびより短波長のマイクロ波加熱方式を上記の定着装置へ応用展開することが有効であり、従来よりいくつかの提案がなされている。
【0005】
すなわち、平行電極間に高周波電界を印加し、この平行電極間に、未定着トナーを有してこのトナーが定着されるべき対象物としての被加熱定着物を搬送することにより、トナーを定着する高周波定着装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
また、マイクロ波が伝播する方形導波管中に被加熱定着物を搬送することによりトナーを定着するマイクロ波定着装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照。)。
さらに、被加熱定着物に対して、実質的に紫外線領域の照射波長を照射するとともに、その下方からマイクロ波放射線(電磁波)を放射して、トナー材料を定着する定着装置が提案されている(たとえば、特許文献3参照。)。また、この定着装置では、被加熱定着物の搬送経路における所定波長を照射する放射器の下流に、マイクロ波を放射するマイクロ波共鳴器を複数、配置した構成とされ、さらに、1つの共鳴器の通過中に所定波長の照射と、電磁波の放射とを被加熱定着物が受けるように構成し、この構成では、所定波長を照射する放射器にマイクロ波放射線が到達することを阻止する金属格子を、所定に配置している。
【0006】
特に家庭用電子レンジで普及したマイクロ波加熱方式は、マグネトロンに代表されるマイクロ波発信源の利用が可能であることから、このマイクロ波加熱方式を採用すれば、小型、低電力、低価格の定着装置を実現できるという特徴を有している。
【0007】
すなわち、インク記録ヘッド部から記録媒体上へインクを吐出し、このインクを乾燥させて定着させるインクジェット記録装置において、この記録装置は、インク乾燥用にマグネトロンからなる高周波加熱手段から構成された定着手段を有し、高周波加熱手段を、インク記録ヘッド部の近傍に配設した構成が提案されている(たとえば、特許文献4参照。)。
【0008】
しかし、このような家庭用電子レンジで使用されるマグネトロンを定着装置として応用するには、トナーなどの未定着画像を有して連続して搬送される紙などの薄い被記録媒体をいかに効率よく、且つ均一に加熱定着するかが課題となる。
【0009】
この課題を解決するために、被加熱定着物の搬送方向に対して垂直方向にその管軸方向を向けて導波管を配置するとともに、この導波管の一部にその管軸方向に複数のスリットを設けてスリット近傍の電界を強め、このスリットに近接させて被加熱定着物を搬送する方法が提案されている(たとえば、特許文献5参照。)。さらに、このように複数のスリットを設けた定着装置において、管軸方向に向うに伴い各スリットの大きさを異ならせたり、スリット同士間の間隔を異ならせたり、さらに被加熱定着物のサイズに応じて、定着物が通過する領域外のスリットを閉止する可動式の遮蔽板を設けたりした定着装置が提案されている(たとえば、特許文献6参照。)。
【0010】
しかしながら、上記の方法では、加熱均一化の点で不充分であった。そこで、この方式の改良案として、導波管を被加熱定着物の搬送方向に対して垂直方向に振動(往復移動)させることにより加熱均一化を図る方法が提案されており(たとえば、特許文献7参照。)、また導波管の実効的長さを振動的に変化させ、導波管中の電磁波長のその腹と節の位置を変化させることにより加熱均一化を図る方法が提案されている(たとえば、特許文献8参照。)。
【0011】
【特許文献1】特公昭43−027854号公報(第1〜2頁、図1)
【特許文献2】特公昭49−038171号公報(第1〜2頁、図1)
【特許文献3】特開2002−258665号公報(第2〜4頁、図1,2)
【特許文献4】特開平11−207941号公報(第3〜4頁、図1)
【特許文献5】特開昭52−020039号公報(第1〜2頁、図1)
【特許文献6】特開昭58−217971号公報(第4〜8頁、図1,3)
【特許文献7】特開昭57−097563号公報(第2〜3頁、図3)
【特許文献8】特開昭57−124379号公報(第1〜2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記の改良案として提案された2つの方式のいずれにおいても、依然として加熱効率向上、および均一加熱の課題が残っていることが確認された。
【0013】
また、このような定着装置を、被加熱定着物の搬送方向に複数個、配置すれば、均一加熱の課題は解決されるものの、小型化、低価格化、低電力化の課題を解決していないことは明らかである。
【0014】
そこでこの発明は、前記のような従来のものが有する問題点を解決し、加熱効率が高くかつ均一加熱特性に優れるとともに、小型化、低価格化が図れるマイクロ波などの高周波を用いた定着装置、およびこの定着装置を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、高周波により未定着画像を定着する定着装置において、高周波発生手段と、この高周波発生手段により発生された高周波を伝播する伝播手段と、この伝播手段に接続されたキャビティとを有し、このキャビティには、前記未定着画像を有した被加熱定着物の搬入用開口、排出用開口を形成するとともに、該キャビティ内に、電磁界制御素子を配置した。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記電磁界制御素子は、導電性パターンが、誘電体基板上に配置されて構成されている。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記電磁界制御素子は、導電性パターンが、誘電体基板同士の間に積層されて構成されている。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記電磁界制御素子は、前記被加熱定着物の搬送経路に近接して配置されている。
【0019】
請求項5に記載の発明は、画像形成装置において、前記請求項1ないし4のいずれかに記載の定着装置を有している。
【発明の効果】
【0020】
この発明は、前記のような構成であるから、加熱均一性と加熱効率に優れるとともに、信頼性が高く安価な定着装置および画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、この発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。図1は、この発明の実施形態の定着装置を搭載した画像形成装置を示し、(a)は、この画像形成装置の主要部として複数の画像形成ユニットを有した画像形成部の概略を示し、(b)は、同画像形成ユニットの概略を示し、画像形成部は、複写機やプリンタに利用される電子写真方式を採用した画像形成部とされている。
【0022】
すなわち、図示しない画像形成装置本体内に収納された画像形成部100には、トナー像担持体として中間転写ベルト1が設けられている。この中間転写ベルト1は、3つの支持ローラ2,3,4に張架されている。2つの支持ローラ2、3は、略水平方向に所定に離されて水平軸支され、両支持ローラ2、3の略中央かつ下方に支持ローラ4に水平軸支されている。したがって、中間転写ベルト1は、2つの支持ローラ2、3との間に、略水平方向に直線状の所定長さを確保して延在されたベルト走行面が形成されるとともに、支持ローラ4に巻回されて下方に突出した部分が、2次転写位置に供されている。
また、これらの支持ローラ2,3,4のうちの適宜のローラには、回転駆動力が伝達されて、時計方向に回転するよう構成されている。したがって、中間転写ベルト1は、同図中の時計方向である右回り方向に、一定速度でベルト送り駆動される。
【0023】
そして、この中間転写ベルト1における支持ローラ2、3との間の水平部分には、それぞれ各色を担当した画像形成ユニット5BK、5Y、5M、5Cが、所定に配列されている。すなわち、このベルト水平部分におけるその搬送方向の上流側から下流側に、順次、ブラック(BK)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、およびシアン(C)用の各画像形成ユニット5BK、5Y、5M、5Cが、配置されている。
【0024】
これらの画像形成ユニット5BK、5Y、5M、5Cは、それぞれが担当した色のトナー像を形成して担持するための像担持体として感光体ドラム6BK、6Y、6M、6Cを有し、これらの各感光体ドラム6BK〜6Cの外周表面は、所定の間隙距離を確保してベルト走行面に対面した、1次転写位置が形成されている。これらの画像形成ユニット5BK〜5Cの上方には、図示しない露光装置が配置されている。例えば複写機の場合、画像読取り部としてのスキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて感光体ドラム6BK、6Y、6M、6Cの露光位置に、それぞれレーザ光Lbk、Ly、Lm、Lcが露光装置により照射され、各感光体ドラム6BK〜6C表面上に、それぞれの色用の静電潜像が書き込まれて、不可視の静電潜像が生成される。
【0025】
中間転写ベルト1の支持ローラ4に対向する位置には、2次転写装置7が設けられ、これらの両者4,7の間に、中間転写ベルト1上のカラートナー像を記録材(以降、記録紙と称する)Sに転写するための2次転写位置が設定されている。この2次転写装置7は、2つの支持ローラ8,9間に張架された2次転写ベルト10で構成されている。そして、2次転写ベルト10を巻回した支持ローラ8が、中間転写ベルト1を巻回した支持ローラ4の部分に圧接されて、両ベルト1,10が接した箇所に、2次転写位置が設定されている。また、支持ローラ9は、定着装置11の近傍に配置されている。したがって、この2次転写装置7は、2次転写位置を通過してカラートナー像が転写された記録紙Sを、2次転写ベルト10上面に載置したまま、定着装置11に搬送するようにしている。
【0026】
なお、2次転写装置7としては転写ベルト以外に転写ローラを用いた構成としてもよい。また、中間転写ベルト1の支持ローラ2に巻回された部分に対向する位置には、ベルトクリーニング装置12が配置されている。このベルトクリーニング装置12は、2次転写位置を通過しても、中間転写ベルト1上に残留したトナーを除去するため設けられ、前記対向する位置の中間転写ベルト1表面に当接して清掃するブレード材などの適宜の清掃部材を有している。
【0027】
2次転写位置の直前には、上下一対の給紙ローラ13が配置されており、トナー像が定着される対象物としての記録紙Sは、中間転写ベルト1上の所定箇所に転写されて該中間転写ベルト1のベルト送り速度で移動してくるカラートナー像に同期するように、所定のタイミングを確保して、一対の給紙ローラ13によって、2次転写位置へ導かれるようになっている。したがって、中間転写ベルト1からトナー像を記録紙Sに転写する際には、所定の同期タイミングが確保されて記録紙Sが送り出され、2次転写ベルト10を中間転写ベルト1に押し当てて、中間転写ベルト1上のトナー像が記録紙Sに転写される。
【0028】
次に、画像形成ユニット5BK、5Y、5M、5Cについて説明する。なお、これらの画像形成ユニット5BK〜5Cは、それぞれが担当した色以外は基本的に同一構成とされているので、担当した色を示した添え字の英字を外して画像形成ユニット5、その構成部材および関連した装置を表記し説明することとする。画像形成ユニット5は、その感光体ドラム6の周辺に、帯電装置14、現像装置15、感光体クリーニング装置16、および除電装置17が配置されている。また、感光体ドラム6に対して、中間転写ベルト1を介して対向する位置に、1次転写装置18が設けられている。
【0029】
すなわち、画像形成ユニット5は、所定径の円筒形状に形成され水平軸を中心にして所定に回転駆動される感光体ドラム6を有し、この感光体ドラム6の周りに、その図中反時計回りの回転方向の上流側から下流側に向けて、順次、帯電装置14、現像装置15、感光体クリーニング装置16、除電装置17などのいずれか1つ以上を設けた構成とされている。
【0030】
帯電装置14は、帯電ローラを採用した接触帯電方式であり、帯電ローラが感光体ドラム6表面に接触して電圧を印加することにより該ドラム表面を一様に帯電するようにしている。なお、この帯電装置14として、非接触のスコロトロンチャージなどを採用した非接触帯電方式を採用してもよい。
【0031】
現像装置15は、感光体ドラム6表面上に生成された不可視の潜像に対応して、現像材中のトナーを付着させ可視像化させる。各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、少なくとも加熱により溶融し、所定の定着液により溶解、又は膨潤するするように形成されている。なお、現像装置15には、図示しない攪拌部と現像部が構成されており、現像に寄与しない現像剤は攪拌部に戻され再利用されるとともに、攪拌部のトナー濃度はトナー濃度センサで検出されその濃度が一定に制御されている。すなわち、トナー濃度が所定に低下した場合には、攪拌部に新品トナーが補給される。
【0032】
1次転写装置18は、感光体ドラム6上で可視像化されたトナーを中間転写ベルト1に転写する。ここでは1次転写装置18として転写ローラ方式を採用しており、中間転写ベルト1を挟んで感光体ドラム6に押し当てるように配置されている。すなわち、この1次転写装置18は、中間転写ベルト1の移動に従動して回転し、かつ感光体6側に付勢された1次転写バイアスローラを主体に構成され、感光体6の表面が中間転写ベルト1に接する箇所に所定圧を確保した1次転写ニップを形成して、これを1次転写位置としている。1次転写バイアスローラには、トナーとは逆極性(たとえばプラス極性)の転写バイアスが印加され、少なくとも、この1次転写バイアスローラが接した中間転写ベルト1の裏面(ベルトループ内周面)に転写バイアスを確保するようにしている。なお、1次転写バイアスローラを除く支持ローラ2,3,4などの他のローラは、全て電気的に接地されている。また1次転写装置18としてはローラ形状の他に導電性ブラシ形状のものや、非接触に帯電させるコロナチャージャーなどを採用することもできる。
【0033】
感光体クリーニング装置16は、転写後の感光体ドラム6上に残留した不要なトナーを除去するよう設けられている。このクリーニング装置16としては、その先端が感光体ドラム6に押し当てられるように構成されたブレード材を用いることができる。なお、回収されたトナーは、図示しない回収スクリューや図示しないトナーリサイクル装置で、現像装置15に復帰させて、現像に再利用するようにしている。
除電装置17は、ランプで構成されており、感光体ドラム6表面の所定箇所に除電用の光を照射して、同箇所の帯電状態を解除し、転写後の感光体ドラム6の表面電位を初期化するようにしている。
【0034】
このように構成された画像形成部100では、中間転写ベルト1上の所定箇所が、各画像形成ユニット5BK、5Y、5M、5Cが形成したそれぞれの1次転写位置を通過するたびに、各色のトナー像が重なるように転写されて1つのカラートナー像が形成され、そして2次転写位置でカラートナー像が記録紙Sに転写され、この未定着のカラートナー像が転写された記録紙Sは、定着装置11へ搬送され、この定着装置11によって、記録紙Sに未定着トナー像が定着される。そして、記録紙Sは、図示しない搬送手段によって搬送され、最終的に画像装置本体外に排出される。
【0035】
次に、この実施形態の定着装置を説明する。図2は定着装置を示し、(a)は、高周波定着装置全体の縦断面を示し、(b)は、キャビティを構成する下蓋に接続された導波管の開口形状を示し、(c)は、電磁界制御素子を単体でその詳細を示している。
【0036】
すなわち、定着装置11は、図2(a)に示すように、高周波発生手段であるマグネトロン20と、このマグネトロン20が発生した高周波数電磁波(マイクロ波)を所定の一端部側に伝播する伝播手段である中空管体状の導波管22と、この導波管22の一端部に接続されて未定着画像を有した被加熱定着物である記録紙Sが通過できる内部空間を確保したキャビティ23とを有し、このキャビティ23には、記録紙Sの搬入用開口27、排出用開口28を形成するとともに、該キャビティ23内に、所定に電磁界制御素子32を配置した構成とされ、この電磁界制御素子32は、少なくとも、キャビティ23内を記録紙Sが通過する搬送経路に近接して設置されている。換言すれば、定着装置11は、トナーなどの未定着画像を有して搬送される紙などのシート状物である記録紙S、つまりいずれの割合でも未定着画像とともに被加熱されて該未定着画像が定着されるべき対象物としての記録紙Sが、通過できる内部空間を確保したキャビティ23に、つまり搬入用および搬出用の最小限の開口27,28以外の開口が形成されてなく少なくともその外部に電磁波を漏出させたり透過させたりしない密閉状のキャビティ23に、導波管22を介してマグネトロン20が発生した電磁波を供給するとともに、キャビティ23内での記録紙Sが通過する搬送経路における電磁波が放射される側に、かつ搬送経路に近接させて対面した面状の電磁界制御素子32を配置した構成とされている。
【0037】
この定着装置11では、高周波発生源として周波数2.45GHz、出力500Wの家庭用電子レンジに使用される低価格のマグネトロン20を用いている。このマグネトロン20のアンテナ21より発生した電磁波は、導波管22によりキャビティ23内に導かれるようにしている。
導波管22は、一端が封止され他端が開口された所定の横断面形状を確保した略角筒状に形成され、その開口端を上方に向けた直立した姿勢で、キャビティ23の底部の略中央に接続され、導波管22の管内がキャビティ23内に連通されている。この直立した導波管22の側面には、マグネトロン20が取り付けられており、このマグネトロン20のアンテナ21が、該側面を貫通して、導波管22内に所定長さ突出して設けられている。したがって、マグネトロン20で生成され、そのアンテナ21から放射された電磁波は、導波管22外に漏出することなく、導波管22内を上方の開口端側に進んで、キャビティ23に伝播される。
【0038】
キャビティ23は、上蓋24、下蓋25から構成され、導波管22の開口22aは、図2(b)に示されるように、下蓋25の中心に位置するように構成している。すなわち、導波管22の横断面形状は、下蓋25の底面外形状と相似して小形な長方形状に形成され、この長方形状の開口22aと同一形状の開口25aが、下蓋25底部の中心に該底部縦長方向に向きを揃えて形成され、下蓋25の開口25aに導波管22の開口22aを一致させるようにして、下蓋25に導波管22が接続されている。したがって、アンテナ21から放射された電磁波はそのすべてが導波管22により、これらの開口22a(開口25a)を介してキャビティ23内に導かれ、この導かれた電磁波は、開口22a(開口25a)を中心にして放射されるので、そのキャビティ23内で偏在することなく、均一に拡散することになる。
【0039】
また、再び図2(a)に示すように、キャビティ23には、被加熱定着物である記録紙Sの搬入用、搬出用の開口27、28が形成されており、記録紙Sは、一対の搬送ローラ29,30によりキャビティ23内を搬送されるようになっている。
【0040】
より詳細には、キャビティ23は、上蓋24、下蓋25との2分割構造からなる所定寸法を確保した略直方体形状に形成されており、このキャビティ23の図中の左右方向に対向した面には、それぞれ同一な高さ位置に、略水平方向に所定長さ延在されたスリット状の開口27、開口28が形成されている。また、キャビティ23外における開口27の近傍箇所には、水平軸を中心に回転可能に軸支された上下一対の搬送ローラ29が、キャビティ23外における開口28の近傍箇所には水平軸を中心に回転可能に軸支された上下一対の搬送ローラ30が、それぞれ配置されている。そして、これらのうちの適宜のローラには図示しない駆動源から回転駆動力が伝達されて、所定に記録紙Sを搬送するために所定の回転速度で回転駆動されるようになっている。したがって、少なくとも、搬送ローラ29、30のいずれかによって挟持されて搬送方向に進む前進力が付与された記録紙S単体だけが、キャビティ23内に導入され、キャビティ23内を通過し、キャビティ23から排出される。
【0041】
また、下蓋25には、支持板31により電磁界制御素子32が保持されており、記録紙Sは、電磁界制御素子32に近接、又は密着して搬送される構成となっている。
より詳細には、開口27および開口28の開口下縁から、電磁界制御素子32の厚さ分だけ下方に離れた位置に、それぞれの支持板31が下蓋25に固定されている。したがって、これらの支持板31,31によって、搬送方向におけるその両端が支持された電磁界制御素子32は、少なくともそれぞれの端部上縁が、各開口27および開口28の開口下縁に上下方向で略一致する。このため、キャビティ23内には、搬入用の開口27から搬出用の開口28に至るまで、謂わば電磁界制御素子32の上面を、搬入された記録紙Sを支持する搬送面にした搬送経路が形成され、この搬送経路は、段差が皆無で直進状の平坦面を有することになる。この結果、キャビティ23内において、記録紙Sはその一面を、電磁界制御素子32に近接、または一様に密接させながら搬送されることになる。
【0042】
この支持板31は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなどの誘電損失の小さい材料で構成することが発熱による変形防止などの点から好ましく、同じく誘電損失の小さい材料からなる図示しないネジなどによりキャビティ下蓋25に固定されている。
【0043】
なお、キャビティ23の内寸法(X,Y,Z)は、各々320,100,70mmであり、A4サイズ(長手方向)とA3サイズ(短手方向)の記録紙Sの定着に対応することができる構成となっている。換言すれば、キャビティ23内に形成される内部空間の寸法は、該キャビティ23内を通過して搬送される記録紙Sを基準にすると、用紙搬送方向(通紙方向)に向かうその長さ寸法Yが100mmとされ、同図(a)中の奥行き方向である用紙幅方向の幅寸法Xが320mmとされ、上下方向の高さ寸法Zが70mmとされている。
【0044】
電磁界制御素子32は、図2(c)に示すように、基板33とこの基板33上に形成された導電性パターンとしての複数個の導電性素子である金属パターン素子34とから構成されている。すなわち、キャビティ23内における記録紙Sの搬送経路に対面した側の基板33の表面には、所定パターンで配列された複数個の金属パターン素子34が、形成され配置されている。
【0045】
この基板33は、所定に平面度が確保された長板状に形成され、上記したキャビティ23の内寸法に応じて、少なくとも320mm×100mmの大きさの寸法が確保され、また所定の厚さを有するなどによって、両端支持された場合にも、前記の平面度を維持できる剛性強度が確保されている。
基板33を形成する材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなどの誘電損失の小さい材料を用いることが、基板33自身の温度上昇防止の点から好ましい。また、基板33は、耐熱用の高周波用基板として市販されている誘電損失の小さいガラス布基板を、用いることが好ましく、特にあらかじめその表面に金属被膜を備えたガラス布基板熱硬化性樹脂銅張積層板や、ガラス布基板フッ素樹脂銅張積層板を、用いることがより好ましい。
【0046】
金属パターン素子34は、厚さ数十ミクロン程度の銅やアルミニウムを、エッチングなどによりパターン化して形成したものを用いることが好ましい。すなわち、金属パターン素子34は、まず基板33の表面上に、銅やアルミニウムなどの導電性材料からなる薄膜を一様に形成し、この薄膜を、化学的なエッチング処理などによって、所定に規則化された配列パターンで、同一な所定形状を複数個、残留させて、形成している。換言すれば、1つの平面である基板33表面上に、良導体である金属被膜を、エッチング処理加工によって、互いに等間隔を確保したスポット的に、同一方向に向いた同一形状で残留させて、複数個の金属パターン素子34が一度に形成されている。
【0047】
具体的には、この金属パターン素子34は、2つの略小楕円をその長軸を互いに平行にしかつ短軸を同一直線状に揃えて隣接させ、両楕円の間隙を外方に凹となる円弧で接続した外形状を1単位のパターン素子の形状にして、この1単位のパターン素子形状を、基板33の表面の長方形状に対して斜め格子状の各交点に、同一の斜め方向に向けて、配置した配列とされている。
【0048】
したがって、このように構成された電磁界制御素子32は、市販の材料と簡素な技術により簡単、かつ安価に製作が可能である。すなわち、このように充分な平面度が確保された基板33の表面に金属被膜を形成し、この金属被膜の特定箇所を除去するエッチング処理加工で一挙に、所定形状の金属パターン素子34を、複数、所定パターンで配列するようにして製作しているので、基板33に対する各金属パターン素子34の接合強度を充分に確保したうえで、個別に製作した金属パターン素子34を、それぞれ個々に配置するのに比べて、大幅な手間が省けるとともに、各金属パターン素子34の形状精度や、各配列箇所への位置決め精度やその向きの精度を充分に確保できる。このため、安価に製作できる。他方、このように、充分な平面度が確保された基板33の表面に、金属パターン素子34が設置され、しかも個々の金属パターン素子34においてその形状、位置および向きなどについても充分に高精度を確保できるので、これらの金属パターン素子34を主要部にした電磁界制御素子32は、その設計とおりの充分な性能を発揮でき、このため、その機能動作に高信頼性を確保できる。
【0049】
なお、金属パターン素子34の形状とその配置の一例を、図2(c)に示したが、あくまで一例であり、この金属パターン素子34の形状、数、配置方法などは、導波管22やキャビティ23などの形状寸法、キャビティ23内の配置位置、基板33材料の誘電率などの諸条件を勘案して、個別的に最適化するものとする。すなわち、それぞれの条件の組み合わせごとに個別的に、適宜、少なくとも、最適な形状、数、配置を選択する。
【0050】
図3は、図2(c)に示した金属パターン素子34を有する電磁界制御素子32の加熱均一性と加熱効率向上の効果を、シミュレーションした結果が示されたグラフである。このグラフにおいて、その横軸は、キャビティ23のX方向の長さを、その縦軸は各X軸においてY軸方向に対して電界強度を積分し平均した値を示している。
図3のグラフに明示されているように、電磁界制御素子32に金属パターン素子34がない場合には、X軸方向に3個の電界強度の山が見られ不均一な加熱パターンとなることが示されている。これに対して、所定パターンで配列された複数個の金属パターン素子34を設けた場合には、電界強度が増すと同時に、電界強度がより均一化されることが示されている。すなわち、これらの金属パターン素子34の近傍には、マイクロ波が集中、集束して、高強度の電界が得られ、しかもこの高強度にムラなく均一化された電界となる。したがって、電界内に位置した誘電加熱される対象物は、より均一に加熱されるとともに、電気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率が向上する。
【0051】
このような加熱均一性と加熱効率向上の効果は、約70℃以上で黒色に発色する感熱紙を記録紙Sの替わりに電磁界制御素子32上に配置することで確認することができた。金属パターン素子34がない場合には、3個の黒色加熱パターンが確認され、金属パターン素子34を設けた場合は、感熱紙全体が略均一に黒色に加熱されることが確認された。すなわち、金属パターン素子34を形成しない電磁界制御素子32を加熱定着に用いた場合には、3個という個数をカウントできる程度に明瞭に区別できる黒色部分が、感熱紙上に形成され、不均一な加熱が生じていることが確認されたのに対して、金属パターン素子34を形成した電磁界制御素子32を用いた場合には、感熱紙全体が略均一な黒色となり、感熱紙が均一に加熱されていることが確認できた。このように、金属パターン素子34を設けた電磁界制御素子32を用いれば、不均一な加熱に敏感な感熱紙を対象にしても、少なくとも、良好な加熱均一性を確保できることが確認できた。
【0052】
また、電磁波の影響を受けない温度センサ素子である光ファイバ温度計を基板33上に配置して温度を測定したところ、金属パターン素子34がない場合、感熱紙加熱パターン部は最高約80℃に加熱され、金属パターン素子34を設けた場合は金属パターン近傍で最高約200℃に加熱されることが確認された。すなわち、前者の場合は、その加熱による最高温度が約80℃に留まるのに対して、後者の場合は、その最高温度が約200℃にまで達して、被加熱温度が上昇していることが明らかであり、同一の電力消費条件下でも高い加熱温度が得られる、つまり加熱効率が向上していることが確認できた。
このように、シミュレーション結果は、実際の加熱結果とも良く一致しており、金属パターン素子34を設けた電磁界制御素子32を配置することで、加熱の均一化と加熱効率の向上とを両立させて達成できることが確認された。
【0053】
次に電磁界制御素子32上の金属パターン素子34の有無によるトナー画像の定着効果の違いを、画像形成装置を用いて確認した。すなわち、図1で示される電子写真方式の画像形成装置で形成された未定着トナー画像の定着効果を確認した。トナーとしては比較的誘電損失の大きい材料であるエポキシ樹脂を主成分とするトナーを用いた。この結果、電磁界制御素子32の金属パターン素子34がない場合には、トナーは定着されないのに対して、金属パターン素子34がある場合には、記録紙Sの搬送速度が30mm/sまでの範囲で略均一にトナーが定着されることが確認できた。
【0054】
また、図1の電子写真方式の画像形成装置の替わりに、インクジェット画像形成装置を用いた場合の定着性能を評価した。市販のインクジェットプリンタを使用して記録紙Sに未定着インク画像を形成し、その後直ちに図2の定着装置11によるインク定着性能を評価した。その結果、記録紙Sの搬送速度が60mm/sまでの範囲で、インク中の水分がほぼ全て蒸発しインクが記録紙S上に定着されることが確認された。
【0055】
以上のように、電磁界制御素子32は、基板33上に金属パターン素子34を設けた構成としている。しかし、この構成ではいくつかの課題があることがわかった。第1の課題は、金属パターン素子34の近傍は、電界強度が増すため、紙粉やゴミ等の異物が付着した場合に放電することがあることである。また、第2の課題は、金属パターン素子34の厚みを厚くすると記録紙Sが金属パターン素子34に衝突して、均一な記録紙Sの搬送を妨げる場合があることである。すなわち、微小な数十ミクロンの単位でも金属パターン素子34の外縁が基板33の表面から突出することになるので、たとえば記録紙Sの先端や中間が、金属パターン素子34に起因して電磁界制御素子32表面に形成された僅かな凹凸部に引っ掛かって、記録紙Sを変形させたり、スムーズな記録紙Sの搬送を妨げたりする傾向がある。
【0056】
そこで、このような課題を解決するために、この実施形態の定着装置では、誘電体基板の表面に、所定形状の導電性素子である金属パターン素子を、複数個、所定に配列した構成の導電性パターンを配置したうえ、この導電性パターンが配置された表面を、誘電体材料で被覆した構成の電磁界制御素子とするか、この表面を、誘電体材料の替わりに、第2の誘電体基板を積層して覆った構成の電磁界制御素子とするか、のいずれかとしている。
【0057】
すなわち、上記の課題を解決するには、電磁界制御素子32の少なくとも金属パターン素子34を誘電体材料35で被覆することが有効であることがわかった。
具体的には、上記の課題を解決する第1の例として、図4(a)に示すように、基板33と同様にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなどの誘電損失が小さく且つ記録紙Sに対する摩擦係数の小さい材料35を、各種溶着法や溶剤法を用いて、少なくとも、金属パターン素子34部分を被覆するように、金属パターン素子34を設置した基板33上に薄膜状に形成する。これによって、金属パターン素子34部の放電防止と記録紙Sの均一搬送を実現できることがわかった。
【0058】
すなわち、低誘電損失かつ低摩擦係数の特性を有した誘電体材料35で、金属パターン素子34を単に被覆するだけではなく、電磁界制御素子32としてその記録紙Sに接する表面が平坦となるように被覆しているので、該表面を、なめらかな表面に成形でき、均一な搬送性を確保できるとともに、該表面に、異物が付着した場合にもこの異物が金属パターン素子34に直接、接することなく、僅かでも間隙距離を確保でき、金属パターン素子34の放電を防止できる。
【0059】
さらに、上記の課題を解決する第2の例として、図4(b)に示すように、誘電体基板33の表面に、所定形状の導電性パターンである金属パターン素子34を、複数個、所定に配列して配置したうえ、この金属パターン素子34が配置された表面を、誘電体基板33と同形状の第2の誘電体基板33Aを積層して覆って、2つの基板33、33A同士間に金属パターン素子34を中間層として積層し配置した構成とすることが有効であることがわかった。
【0060】
すなわち、上記の基板33として用いたガラス布基板熱硬化性樹脂銅張積層板や、ガラス布基板フッ素樹脂銅張積層板は、あらかじめその表面に金属被膜を備えて積層基板用に開発されたものであり、銅からなる金属パターン素子34を2枚の基板33、33Aで簡単な熱処理で積層することができる。このように金属パターン素子34を基板33、33Aで積層することによっても、金属パターン素子34部の放電防止と記録紙Sの均一搬送を実現できることがわかった。
【0061】
このように、2枚の誘電体基板33,33Aを積層して基板33,33A間に導電性パターンを配置した構成の電磁界制御素子32はその表面が、他方の基板33Aにおける金属パターン素子34に対面しない側の表面となるので、なめらかで低摩擦な表面にできるとともに、該表面に付着した異物が金属パターン素子34に直接、接触することを回避できる。このため、放電防止と均一搬送性を確保できる。
【0062】
以上のように、この実施形態の定着装置によれば、高周波により未定着画像であるトナー像を被加熱定着物である記録材に定着する定着装置において、記録材の搬入用開口、排出用開口を形成したキャビティ内に、電磁界制御素子を配置しているので、この電磁界制御素子によって、キャビティ内を搬送される記録材に対して高い加熱均一性と優れた加熱効率特性とを確保することができる。これとともに、信頼性が高く安価な定着装置を得ることができる。
【0063】
すなわち、この定着装置では、電磁界制御素子が、その適正度が実証されたシミュレーション結果のグラフに示されるように、キャビティ内の搬送経路において搬送される記録紙の幅方向の全域および該記録紙の進行方向の所定長さに渡って、均一で高強度の電界を形成することができる。したがって、この電界を通過する記録材はその全面に、該電界による電磁的な作用を均一に受けることになる。このため、記録材に対する高い加熱均一性および優れた高い加熱効率が得られる。
【0064】
他方、このように、電磁界制御素子によって、搬送経路に局所的に電磁波を集中、集束させて、加熱定着に供しているので、高い電力利用効率が得られる。このため、定着装置として、その加熱定着用に消費する電力を従来よりも削減でき、省電力化を図ることが可能となる。このように、高加熱均一性および高加熱効率を達成した定着装置とできるので、いくつかの定着装置を並置することなく、1つの定着装置で済み、小型化、低価格化が図れる。
【0065】
特に、課題で採り上げた改良案の方式を採用した定着装置においては、その2つの方式のいずれも、導波管における電磁波が進行する管長手方向に多数のスリットを間欠的に形成して、これらのスリットから電磁波を漏洩させ、対象物に放射した構成なので、発生した電磁波をすべて対象物に放射できるとは限らず、加熱効率を向上させる余地があり、またこのように連続的ではなく間欠的に設けられた各スリットから放射された電磁波が対象物に到達するので、加熱均一性の面でも改善する余地があるのに対して、この実施形態の定着装置によれば、このような余地を生じさせる課題自体を生起させずに済む。すなわち、少なくとも、後者の改良案方式においては、その腹と節の位置を変化させると明記されていることから、謂わば導波管中に電磁波の定在波が形成されることを前提にしており、この定在波から各スリットを介して分配された電磁波を対象物に放射しているので、発生したすべての電磁波のうち、このように分配されずに導波管中に留まる部分が生じてしまい、この部分はまったく加熱に供されないことになる。また、たとえ腹と節の位置の変化させたとしても、さらに前者の改良案方式のように、導波管を所定方向に振動させて、対象物に対する相対位置を変化させたとしても、これらの変化過程の各時点においては、間欠的な位置に設けられた各スリットから電磁波が放射されることには変わりないので、所定面積の平面的な広がりを有した被加熱定着物の加熱均一性を充分に追及できないことになる。
これに対して、この実施形態の定着装置では、伝播手段として一端封止された導波管の開口端側から、発生したすべての電磁波がキャビティ内に放射され、導波管中に電磁波が残留させることなく、また何ら分配することなく、空間的に連続的な広がりを持たせて電磁波を被加熱定着物に到達させることができ、しかも上記したように、電磁界制御素子によって、被加熱定着物が搬送される箇所付近の電界強度を強めかつ均一化できるので、キャビティ内に位置した被加熱定着物の部分を同時的に強くかつ均一に電磁的な作用を与えることができ、これによって高加熱均一性および高加熱効率を達成できる。
【0066】
また、たとえば、従来例として採り上げた2つの改良案の定着装置では、加熱定着に関連して、導波管を振動させるための、または導波管の実効的長さを変化させるための、可動部材および駆動源を有して、これらを所定に動作させているのに対して、この定着装置では、そのキャビティ内には、可動部材を一切有してなく、固定部材だけで構成されているので、構造が簡素な安価であり、また高い信頼性や耐久性を確保できる。
【0067】
なお、上記の実施形態では、トナーを用いる電子写真方式の画像形成装置に搭載した定着装置に適用した例を説明したが、これに限られることなく、インクを用いたインクジェット方式の画像形成装置に搭載した定着装置に適用してもよく、またそれぞれの方式でカラーやモノクロのいずれでもよい。すなわち、たとえばインクジェット方式の画像形成装置では、上記の感光体ドラムを主体にした画像形成部の替わりに、インク印字ヘッドおよび該ヘッドへのインク供給手段を有した適宜に構成された画像形成部を有して、この画像形成装置内の記録材搬送方向における画像形成部の下流側に、上記した定着装置を配置した構成としてよく、この画像形成部が記録材上に形成したインク像は、上記した構成の定着装置によって記録材に定着される。また、上記の実施形態のように、中間転写ベルトなどの中間転写体に一旦転写したうえで、記録材に転写する構成だけではなく、直接、記録材に転写する構成に適用してもよい。さらに、被加熱定着物としての記録紙は、未定着画像をその表面上に載せて搬送可能かつ該未定着画像が定着可能なシート状物であれば、紙、布、プラスチックシート、OHP用シートなどのように、適宜の構成物でよい。
【0068】
請求項2の発明によれば、電磁界制御素子は、導電性パターンを、誘電体基板上に配置した構成としたので、加熱均一性と加熱効率に優れるとともに、信頼性が高く安価な定着装置を得ることができる。
【0069】
請求項3の発明によれば、電磁界制御素子は、導電性パターンを、誘電体基板同士の間に、積層して配置した構成としたので、請求項1の効果に加えて、被加熱定着物に対面した電磁界制御素子の表面は、段差を皆無とした平坦で、なめらかな表面にでき、この表面に被加熱定着物が接した場合にもそのスムーズな移動を妨げずに済み、被加熱定着物の均一な搬送性を確保できるとともに、該表面に、異物が付着した場合にもこの異物が導電性パターンに直接、接することを回避でき、該異物による導電性パターンの放電を防止できる。
【0070】
請求項4の発明によれば、電磁界制御素子は、被加熱定着物の搬送経路に近接して配置したので、請求項1ないし3のいずれかの効果に加えて、電磁界制御素子による高強度かつムラがない均一な電界内に、搬送経路を位置させることができ、この搬送経路上を運ばれる被加熱定着物に対して、良好な加熱均一性と加熱効率とを得ることができる。
【0071】
請求項5の発明によれば、画像形成装置は、上記の請求項1ないし4のいずれかに記載の定着装置を有しているので、上記の請求項1ないし4のいずれかの効果が得られ、少なくとも、その定着性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】この発明の実施形態の定着装置を搭載した画像形成装置の概略を示し、(a)は、この画像形成装置の主要部として複数の画像形成ユニットを有した画像形成部を示した正面図、(b)は、同画像形成ユニットの概略を示した縦断面図である。
【図2】この実施形態の定着装置の全体および各部を示し、(a)は、定着装置の全体構成を示し縦断面図、(b)は、キャビティを構成する下蓋に形成された導波管の開口形状を示した(a)中のb−b矢視方向の断面図、(c)は、電磁界制御素子の金属パターン素子を主体に示した平面図である。
【図3】従来構成の定着装置と対比して、この実施形態の定着装置による加熱均一性および加熱効率向上の効果を、シミュレーションした結果を示したグラフである。
【図4】この実施形態の定着装置を示し、(a)は、金属パターン素子を誘電体材料で被覆した例を示した概略断面図、(b)は、同材料で被覆する替わりに、第2の基板で覆った例を示した概略断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 中間転写ベルト
2,3,4 支持ローラ(中間転写ベルト支持用ローラ)
5BK,5Y,5M,5C 画像形成ユニット
6BK、6Y、6M、6C 感光体ドラム
7 2次転写装置 8,9 支持ローラ(2次転写装置用)
10 2次転写ベルト(2次転写装置用) 11 定着装置
12 ベルトクリーニング装置 13 給紙ローラ(レジストローラ)
20 マグネトロン(高周波発生手段) 21 アンテナ
22 導波管(伝播手段) 23 キャビティ
24 上蓋 25 下蓋
27 キャビティに形成した搬入用の開口 28 キャビティに形成した搬出用の開口
29 搬入用の1対の搬送ローラ 30 搬出用の1対の搬送ローラ
31 支持板 32 電磁界制御素子
33 基板(誘電体基板)
33A 第2の基板(金属パターン素子被覆用誘電体基板)
34 金属パターン素子(導電性パターンの構成要素)
35 誘電体材料(金属パターン素子被覆用)
100 画像形成部 S 記録紙(被加熱定着物)




 

 


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