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発明の名称 画像形成装置に用いるベルト
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−17713(P2007−17713A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199274(P2005−199274)
出願日 平成17年7月7日(2005.7.7)
代理人 【識別番号】100110386
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 敏雄
発明者 稲村 穣
要約 課題
基層と弾性層を接着して成る画像形成装置用のベルトにおいて、従来技術の問題点を解消するために、基層と弾性層との接着の仕方(接着方法)を工夫することにより、基層−弾性層(弾性ゴム)間の接着強度を増大させて、ローラ回転方向に対しての基層−弾性層界面に与えるせん断力を緩和させることにより、接着耐久性を向上させて寿命を延ばすこと。

解決手段
基層(2)と弾性層(3)を接着して成る画像形成装置に用いるベルト部材において、
特許請求の範囲
【請求項1】
基層(2)と弾性層(3)を接着して成る画像形成装置に用いるベルト部材において、
上記基層(2)はその表面に複数本のくさび状の溝(4)を備え、この基層(2)の表面上に弾性ゴムを接着して弾性層(3)を形成したことを特徴とする画像形成装置に用いるベルト。
【請求項2】
基層(2)と弾性層(3)を接着して成る画像形成装置に用いるベルト部材において、
上記基層(2)はその表面に、切り込み方向が交互に逆方向の角度を持つ複数本のくさび状の溝(4)を備え、この基層(2)の表面上に弾性ゴムを接着して弾性層(3)を形成したことを特徴とする画像形成装置に用いるベルト。
【請求項3】
上記くさび状の溝(4)はベルト(1)の軸方向に備えられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置に用いるベルト。
【請求項4】
上記くさび状の溝(4)は、基層(2)の表面と該くさび状の溝(4)を形成するどちらか一方の平面とのなす角θが、θ<90°であるように形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置に用いるベルト。
【請求項5】
上記くさび状の溝(4)の深さdが、4μm以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置に用いるベルト。
【請求項6】
上記くさび状の溝(4)の開口幅Wが、1/5d<W<1/2dであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置に用いるベルト。
【請求項7】
基層(2)と弾性層(3)を接着することにより画像形成装置に用いるベルト部材を製造する方法において、
切り込み方向が交互に逆方向の角度を持つ複数本のくさび状の溝(4)を、その表面においてベルト(1)の軸方向に備える基層(2)を成型し、
上記基層(2)の外周面に接着剤を塗布した後、
弾性ゴム(3)を塗布して加硫接着することを特徴とする画像形成装置に用いるベルトの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の画像形成装置に用いるベルト(1)を、トナーを定着する定着ベルトとして用いたことを特徴とする画像形成装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、プリンタ、又はファクシミリ等の画像形成装置に用いるベルトに関し、特に、基層と弾性層を接着して成る画像形成装置に用いるベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真複写機、プリンタ、又はファクシミリ等の画像形成装置においては、紙表面に所定形状でトナーを付着させてトナー像を形成した後、ポリイミド等からなる基層にゴムを接着させたベルト(以下、定着ベルトという)と芯金にゴムを接着したローラ(以下、加圧ローラという)との間に、上記トナー像を形成した紙を通過させる。このとき、定着ベルトの内周面側から押圧するゴムローラ(以下、定着ローラという)と、定着ベルトの外周面側から押圧する加圧ローラによって、上記紙表面に付着したトナーに圧力を加え、且つ加熱することによってトナーを紙表面に定着させる方式が採用されている。
【0003】
しかし、このような方法により定着を行う場合、定着ベルトと加圧ローラの間を紙が通過する際に、紙を圧接しながら同時に搬送・排紙させるため、定着ベルトの走行時に発生する屈曲による該定着ベルトの基層と弾性ゴムの界面にズレ力、およびゴムの弾性反発による伸縮が発生し、主に加圧ローラの回転方向のせん断力により、基層と弾性ゴムの界面において剥離が発生するという問題があった。
従来では、このような剥離を防止するために、耐熱性の高い接着剤を選定し、接着力を増大させる手段を講じてきたが、しかし、このような剥離力よりも大きな接着力を長期間に亘って維持することは、非常に困難であった。
【0004】
特開2004−255828号公報(特許文献1、複合ベルト及びその製造方法)には、管状基材層と弾性体層とフッ素樹脂層とを積層して成る画像形成装置用の複合ベルトにおいて、弾性体層とフッ素樹脂層を接着する界面の弾性体層側に凹部を形成し、アンカー効果により接着力を維持することが提案されている。
この特許文献1に記載された複合ベルトは、図3に示されているように、管状基材層11と弾性体層12とフッ素樹脂層13をこの順番で備えるシームレス複合管状物であり、弾性体層12とフッ素樹脂層13の境界面であって、かつ弾性体層12側の表面にブラスト処理により凹部が形成され、この凹部内にフッ素樹脂14が埋め込まれ、フッ素樹脂14とフッ素樹脂13は融着一体化することにより、弾性体層12とフッ素樹脂層13の密着力を増大させているものである。
しかしながら、画像形成装置用の定着ベルトのように屈曲を長期間に亘って繰り返すものでは、1つの層表面に凹部を形状して、この凹部内に他の層を部分的に埋め込むだけではアンカー効果が低く、界面のズレ力や伸縮に耐え得る十分な接着力を得ることができず、耐久性に劣るものである。
【0005】
また、画像形成装置に用いるローラにおいて、該ローラを構成する内側層とゴム製又は合成樹脂製の外側層との密着性を高めるために、この内外層の間に凹凸形状を形成することは既に提案されている。
例えば、特開2004−85628号公報(特許文献2、画像形成装置に用いるローラ)には、図4に示されているように、ローラ芯金21の表面においてその軸方向に複数本の溝23を形成し、これらの溝23を有する表面上に接着剤を塗布した後、弾性ゴム22を加硫接着した画像形成装置用のローラが記載されている。このローラにおいて、弾性ゴム22が溝23の内部まで侵入して嵌合する形状になっているため、アンカー効果によりローラ回転方向に対して芯金−弾性ゴムの界面に与えられるせん断力が緩和され、相対的に接着力(密着性)が大きくなるものである。
このように、特許文献2の画像形成装置用のローラは、ローラ芯金のような剛体に対して平行な溝を加工をしたものであるが、画像形成装置用のベルトのように屈曲を繰り返すものにおいては、平行な溝だけではアンカー効果が低く、界面のズレ力や伸縮に耐え得る十分な接着力を得ることができない。
【0006】
また、特開平10−48985号公報(特許文献3、定着ローラ及びその製造方法)には、上記特許文献2に記載された画像形成装置用のローラと類似するものが記載されており、定着ローラ芯金の表面に形成される凹凸形状の凸部は、該定着ローラが紙搬送のために回転するときに、芯金の外周を覆う外層(接着層と離型層)に対して楔を打つ形状とされているものである。この定着ローラは、これが紙搬送のために回転する方向に対して、逆回転方向へ生じる力による芯金とその外周を覆う外層との密着力の低下を抑制し得るものである。
このように、この画像形成装置用の定着ローラは、定着ローラ芯金に楔形状の凹凸を形成したものであるが、画像形成装置用のベルトのように屈曲を繰り返すものにおいては、回転方向にある角度をもった楔状の凹凸だけではアンカー効果が低く、界面のズレ力や伸縮に耐え得る十分な接着力を得ることができない。
【0007】
また、特開平8−339119号公報(特許文献4、二層ゴムローラおよびその製造方法)には、円筒状の金型の内面に、該金型の内径と大略同じ外径を有しその内面に予め軸方向の溝を複数形成した加硫済みのソリッドゴムチューブを配置し、該金型の中心部には未発泡のスポンジゴムを周囲に設けた芯軸を装着し、該スポンジゴムを発泡膨張させてソリッドゴムチューブの内面と密着させた後、このスポンジゴムを加硫させてソリッドゴムチューブの内面と加硫接着させる二層ゴムローラの製造方法が記載されており、さらに、この製造方法により製造された「二層ゴムローラ」についても記載されている。
このように、この画像形成装置用のローラは、表層となるソリッドゴム内面に溝をつけたものであるが、画像形成装置用の定着ベルトのような屈曲を繰り返すものにおいては、平行な溝だけではアンカー効果が低く、界面のズレ力や伸縮に耐え得る十分な接着力を得ることができない。
【0008】
【特許文献1】特開2004−255828号公報
【特許文献2】特開2004−85628号公報
【特許文献3】特開平10−48985号公報
【特許文献4】特開平8−339119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、基層と弾性層を接着して成る画像形成装置用のベルトにおいて、上記従来技術の問題点を解消するために、基層と弾性層との接着の仕方(接着方法)を工夫することにより、基層−弾性層(弾性ゴム)間の接着強度を増大させて、ローラ回転方向に対しての基層−弾性層界面に与えるせん断力を緩和させることにより、接着耐久性を向上させて寿命を延ばすことを、その技術課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段は、基層に弾性層を接着させて成る画像形成装置用のベルトにおいて、該基層の表面においてベルトの軸方向に複数本のくさび状の溝を形成することが基本である。
(1) 本発明に係る画像形成装置用のベルトは、基層と弾性層を接着して成る画像形成装置に用いるベルト部材を前提として、
上記基層はその表面に、切り込み方向が交互に逆方向の角度を持つ複数本のくさび状の溝を備え、この基層の表面上に弾性ゴムを接着して弾性層を形成したことである。
このような構成によれば、弾性層を形成する弾性ゴムが、基層の表面において交互に逆方向の角度を持って形成された複数本のくさび状の溝に侵入し嵌合するので、双方のアンカー効果によって相対的に接着力の増大を図ることができる。
【0011】
(2) 上記画像形成装置用のベルトにおいて、くさび状の溝はベルトの軸方向に備えることができる。
この構成によれば、基層の表面の溝をベルトの軸方向にしているので、ベルトの走行方向に発生する基層−弾性ゴム界面のせん断力を緩和させることができ、相対的に接着力の増大を図ることができる。
【0012】
(3) また、上記画像形成装置用のベルトにおいて、くさび状の溝は、基層の表面と該くさび状の溝を形成するどちらか一方の平面とのなす角θが、θ<90°であるように形成されていることである。
この構成によれば、基層の表面とくさび状の溝の平面部とのなす角θが、θ<90°であるので、どちらの方向にせん断力が発生してもアンカー効果を得ることができ、基層−弾性ゴム界面のせん断力を緩和させることができる。
【0013】
(4) また、上記画像形成装置用のベルトにおいて、くさび状の溝の深さdが4μm以上であることである。
この構成によれば、くさび状の溝の深さdが4μm以上であるので、基層−弾性ゴムの嵌合によって得られるアンカー効果を十分に発揮することができる。
【0014】
(5) さらに、上記画像形成装置用のベルトにおいて、くさび状の溝の開口幅Wが、1/5d<W<1/2dであることである。
この構成によれば、くさび状の溝の開口幅Wが、1/5d<W<1/2dであるので、該くさび状の溝の底部まで弾性ゴムを完全に浸透させることができ、且つ、基層−弾性ゴムの嵌合によって得られるアンカー効果の低減を防止することができる。
【0015】
(6) 本発明に係る画像形成装置用のベルトの製造方法は、基層と弾性層を接着することにより画像形成装置に用いるベルト部材を製造する方法を前提として、
切り込み方向が交互に逆方向の角度を持つ複数本のくさび状の溝を、その表面においてベルトの軸方向に備える基層を成型し、上記基層の外周面に接着剤を塗布した後、弾性ゴムを塗布して加硫接着することである。
このような構成によれば、弾性層を形成する弾性ゴムが、基層の表面において交互に逆方向の角度を持って形成された複数本のくさび状の溝に侵入し嵌合するので、双方のアンカー効果によって相対的に接着力が増大する画像形成装置用のベルトを製造することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果を請求項にしたがって整理すると、次ぎのとおりである。
(1) 請求項1〜請求項6に係る発明
基層と弾性層を接着して成る画像形成装置用のベルトにおいて、弾性層を形成する弾性ゴムが、基層の表面において交互に逆方向の角度を持って形成された複数本のくさび状の溝に侵入し嵌合していることにより、双方のアンカー効果によって相対的に接着力の増大を図ることができるので、ベルトを加熱状態や圧接状態で使用しても基層−弾性ゴム界面での剥離を防止することができる。
また、基層の表面の溝をベルトの軸方向にすることにより、ベルトの走行方向に発生する基層−弾性ゴム界面でのせん断力を緩和させることができるので、相対的に接着力の増大を図ることができる。
【0017】
基層の表面と溝の平面部とのなす角θが、θ<90°であるので、どちらの方向にせん断力が発生してもアンカー効果を得ることができ、基層−弾性ゴム界面でのせん断力を緩和させ、相対的に接着力の増大を図ることができる。
また、くさび状の溝の深さdが4μm以上であるので、基層−弾性ゴムの嵌合によって得られるアンカー効果を十分に発揮することができ、相対的に接着力の増大を図ることができる。
さらに、くさび状の溝の開口幅Wが、1/5d<W<1/2dであることにより、該くさび状の溝の底部まで弾性ゴムを完全に浸透させることができ、且つ、基層−弾性ゴムの嵌合によって得られるアンカー効果の低減を防止することができるので、せん断力を緩和させ相対的に接着力の増大を図ることができる。
【0018】
(2) 請求項7に係る発明
基層と弾性層を接着することにより画像形成装置に用いるベルト部材を製造する方法において、切り込み方向が交互に逆方向の角度を持つ複数本のくさび状の溝をその表面に備える基層を成型し、この基層の外周面に接着剤を塗布した後、弾性ゴムを塗布して加硫接着することにより、弾性層を形成する弾性ゴムが、基層の表面において交互に逆方向の角度を持って形成された複数本のくさび状の溝に侵入し嵌合するので、双方のアンカー効果によって相対的に接着力の増大を図ることができ、ベルトを加熱状態や圧接状態で使用しても基層−弾性ゴム界面での剥離を防止することができる画像形成装置用のベルトを製造することができる。
【0019】
(3) 請求項8に係る発明
この画像形成装置は、基層−弾性ゴム間の接着力を増大させた定着ベルトを搭載しており、定着ベルトにおける弾性層の剥離等を発生しないため、部品の交換コストが抑えられ、長期間に亘り良好な画像を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は画像形成装置用のベルトの模式図であり、図2は画像形成装置用のベルトの基層−弾性ゴム界面に関する説明図である。
画像形成装置に用いるベルト1は、基層2に弾性ゴム3を接着することにより構成されるものであり、この基層2の表面に軸方向に複数本のくさび状の溝4が形成され、これらの溝4を備える基層2の表面上に弾性ゴム3を接着して成るものである。
このくさび状の溝4は、基層2の表面と該溝4を形成するどちらか一方の平面とのなす角θ(図2(b)を参照)が、θ<90°の範囲にあり、且つ該溝4の切り込む向きが交互に逆方向の角度になるように形成されている。このくさび状の溝4の深さdと開口幅W(図2(b)を参照)は、それぞれd>4μm以上、1/5d<W<1/2dであることが、主要な特徴となっている。
【0021】
画像形成装置用のベルト1の基層2はポリイミドから成り、遠心成型やディッピング、又は押出し成型等の方法を用いて成型される。この基層2の内側には複数のローラが配置されるため、その周長は120mm以上であることが好ましいが、この例では179mmとした。基層2の厚みは、ベルト1を張架して走行させるのに強度と柔軟性が必要であるため、50〜200μmが好ましいが、この例では90μmとした。
このようにして基層2を成型した後で該基層2の表面に機械加工により、切り込み方向が交互に逆方向の角度を持つ複数本のくさび状の溝4をベルトの軸方向に形成する。この溝4は、基層2の成型を押出し成型により行う場合には、成型と同時に該溝4を形成することも可能である。
次に、基層2の外周面に接着剤(図示を省略)を塗布した後、弾性ゴム3をスプレー塗装やディッピング等により厚みが150μmになるように塗布して、加硫接着させることによりベルト1を製造した。塗布された弾性ゴム3は、基層2の表面に形成された切り込み方向が交互に逆方向の角度を持つくさび状の溝4の内部にまで侵入し、嵌合する状態になるため、アンカー効果により接着力を相対的に増大することができ、ベルトを加熱状態や圧接状態で使用する場合にも基層−弾性ゴム界面での剥離を防止することが可能である。
【0022】
基層2と弾性ゴム3を剥離させるせん断力は、主として、ベルト1の屈曲や2本のローラにより挟まれて走行する時のローラ速度差によるせん断力である。そこで、上記くさび状の溝4の方向は、このせん断力に対向するベルトの軸方向に形成されており、この構成により、ベルトの走行方向に発生する基層−弾性ゴム界面でのせん断力を緩和するとができる。
ベルト1を圧接する2本のローラ速度は、設計上では同一であり速度差は発生しないが、ローラ加工上の外径のバラツキにより全てのローラの組み合わせで同一速度にすることは不可能である。この組み合わせ方によりローラ速度差によるベルトのせん断力の方向は、ベルト走行方向の場合と逆方向の場合の二方向において発生することになる。このため、基層2に設けるくさび状の溝4の切り込み方向は交互に逆方向に変えられ、且つ、基層2の表面とくさび状の溝4を形成する平面部とのなす角θが、θ<90°に設定されているため、どちらの方向にせん断力が発生してもアンカー効果を得ることができ、基層−弾性ゴム界面でのせん断力を緩和させて、相対的に接着力の増大を図ることが可能である。
これに対して、θ>90°である場合は、せん断力が剥離を誘発する方向となるため、くさび状の溝4による効果が低減する。
【0023】
本発明の画像形成装置用のベルトを定着ベルトとして採用し通常の定着ユニットを構成して、1000時間走行させた後、基層2と弾性ゴム3を強制的に引き剥がし、基層−弾性ゴム間の剥離状態を調査した。その結果を表1に示す。

【表1】


上記表1において、○印は界面剥離部無し、×印は界面剥離部有り、そして、※印は1000時間経過前に剥離が発生したことを示している。
【0024】
基層−弾性ゴム間の接着(界面剥離部無し)は、強制的に剥離させた状態において弾性ゴム3が破壊されていることが必要である。また、このような状態であれば、十分な接着力が発生していたことになる。上記表1の結果によれば、くさび状の溝4の深さdが4μm以上であれば、基層−弾性ゴムの嵌合によって得られるアンカー効果を十分に発揮してせん断力の緩和がなされ、相対的に接着力の増大を図ることができるので、1000時間経過後であっても十分な接着状態を維持することが可能である。これに対して、深さdが3μmではせん断力の緩和の効果を十分に期待することができない。
くさび状の溝4の幅Wによる効果は該溝4の深さdと関係を有しており、1/5d<W<1/2dであれば、くさび状の溝4の底部まで弾性ゴムを完全に浸透させることができ、且つ、基層−弾性ゴムの嵌合によって得られるアンカー効果を十分に発揮することができるので、せん断力を緩和させて相対的に接着力の増大を図ることが可能である。
これに対して、W<1/5dでは1000時間経過前に剥離が発生する。この理由は、くさび状の溝4の内部に弾性ゴム3が十分に浸透しないため気泡が残り、加熱による気泡の膨張によって弾性ゴム3を剥がす作用が働くためである。
【0025】
本発明のベルトを定着ベルトとして画像形成装置に搭載して、プリント数10万枚運転した結果を表2に示す。稼働台数1万台当たり、稼動中に基層−弾性ゴム間の剥離は発生しなかった。

【表2】


このように、本発明のベルトを画像形成装置の定着ベルトとして搭載することにより、定着ベルトにおける弾性層の剥離等を発生しないため、部品の交換コストが抑えられ、長期間に亘り良好な画像を得ることができる。
【0026】
図2(c)は、基層2のくさび状の溝4の断面形状の変形例を示す。この図におけるくさび状の溝4の断面形状は、下方側(基層側)が丸みを帯びたR形状を有するものである。このような形状の溝を採用した場合も、図2(b)に示されたくさび状の溝と同一の効果が得られる。本発明におけるくさび状の溝は、これらの形状に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る溝形状であれば、種々の形状を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】は、本発明の実施の形態による定着ベルトについての模式図であり、(a)は外観図、(b)は(a)のA−A’断面図である。
【図2】は、本発明の実施の形態による定着ベルトの基層−弾性ゴム界面に関する説明図であり、(a)はその拡大断面図、(b)はくさび状の溝の断面形状を示す説明図、(c)はくさび状の溝の変形例を示す説明図である。
【図3】は、従来の画像形成装置用の定着ベルトの模式図であり、(a)は断面図、(b)拡大断面図である。
【図4】は、従来の画像形成装置用のローラの模式図であり、(a)は側面断面図、(b)は(a)のB−B’断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1…ベルト 2…基層
3…弾性層(弾性ゴム) 4…溝(くさび状の溝)





 

 


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