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画像形成装置 - 株式会社リコー
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発明の名称 画像形成装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−4065(P2007−4065A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−187054(P2005−187054)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
発明者 赤藤 昌彦 / 成瀬 修 / 矢野 英俊 / 渡辺 一彦
要約 課題
先端角が鈍角のクリーニングブレードを備えたクリーニング手段を有し、トナー像担持体上の球形トナーを長期に渡って安定してクリーニングすることができる画像形成装置を提供する。

解決手段
ブレードニップ2nよりも感光体表面移動方向上流側に、クリーニングブラシ21を備え、ブレードニップ2nにトナーが堆積することを防止するトナー堆積防止手段として、感光体ドラム1を表面通常移動方向である正規回転方向とは逆方向に表面移動させることで、ブレードニップ2nの感光体表面移動方向上流側の楔形の空間に、堆積した堆積トナーをクリーニングブラシ21がトナーを除去する位置まで運び、クリーニングブラシ21によってトナーを除去する。
特許請求の範囲
【請求項1】
トナー像を担持して表面移動するトナー像担持体と、
該トナー像担持体の表面にカウンター方向に当接し、該トナー像担持体上のトナーを除去するクリーニングブレードを備えたクリーニング手段とを有する画像形成装置において、
該トナー像を形成する該トナーとして円形度0.98以上の球形トナーを用い、
該トナー像担持体と接触する該クリーニングブレードの稜線を形成する2つの面が成す先端角を鈍角形状とし、
該トナー像担持体と該クリーニングブレードとが当接するブレード当接部に該トナーが堆積することを防止するトナー堆積防止手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記トナー像担持体は潜像担持体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置において、
上記トナー像担持体は中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の画像形成装置において、
上記ブレード当接部よりも上記トナー像担持体の表面移動方向上流側で該トナー像担持体の表面上の上記トナーを除去するトナー除去手段を有し、
該トナー像担持体を該表面移動方向(以下、表面通常移動方向と呼ぶ)とは逆方向(以下、表面逆移動方向と呼ぶ)に表面移動させることで、該ブレード当接部の該トナー像担持体の通常表面移動方向上流に堆積した堆積トナーを該トナー除去手段が該トナーを除去する位置まで運び、該トナー除去手段によって該堆積トナーを除去する堆積トナー除去制御を行い、
該トナー除去手段と該堆積トナー除去制御とによって上記トナー堆積防止手段を成すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記堆積トナー除去制御時の上記トナー除去手段による上記トナー像担持体の表面上の上記堆積トナーの除去は、
0.01[mg/cm]以上、0.1[mg/cm]以下の範囲で上記トナーを該トナー像担持体表面上に残留させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または5の画像形成装置において、
上記トナー除去手段が上記トナー像担持体に回転しながら接触することにより上記トナーを除去するブラシ部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記ブラシ部材に電圧を印加するためのバイアス印加手段を有し、上記トナー像担持体が上記表面逆移動方向に表面移動するときに、該ブラシ部材を回転させるとともに、該バイアス印加手段により該ブラシ部材に画像形成時の上記トナーの正規の摩擦帯電特性と同極性のバイアスを印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6の画像形成装置において、
上記ブラシ部材に電圧を印加するためのバイアス印加手段を有し、上記トナー像担持体が上記表面逆移動方向に表面移動するときに、該ブラシ部材は回転するとともに、該バイアス印加手段により該ブラシ部材に画像形成時のトナーの正規の摩擦帯電特性と逆極性のバイアスを印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6、7または8の画像形成装置において、
上記ブラシ部材のブラシ長は、0.2[mm]以上、20[mm]以下であり、
より好ましくは、0.5[mm]以上、10[mm]以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項4、5、6、7、8または9の画像形成装置において、
上記トナー像担持体が所定の回転数だけ表面移動したときに、上記堆積トナーを除去する堆積トナー除去モードとなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項4、5、6、7、8、9または10の画像形成装置において、
作像動作終了後に上記堆積トナーを除去する堆積トナー除去モードとなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の画像形成装置において、
上記先端角の角度が95[°]以上、120[°]以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、
上記クリーニングブレードのゴム硬度(JIS−A硬度)は65[°]以上、80[°]以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の画像形成装置において、
上記クリーニングブレードの常温(24[℃]±3[℃])における反発弾性係数が30[%]以下であり、10[℃]から40[℃]までの間での変化率が350[%]以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の画像形成装置において、
上記トナー像担持体が静止している状態での上記クリーニングブレードが該トナー像担持体に加える線圧は、0.50[N/cm]以上であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の画像形成装置において、
少なくとも上記クリーニング手段と上記トナー像担持体とを一体として、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の画像形成装置において、
上記トナー像担持体の表面を形成する表層に架橋構造を備えるバインダー樹脂を用いた保護層を設け、該バインダー樹脂はその構造中に電荷輸送材を備えることを特徴とする画像形成装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファックス、プリンタ等の画像形成装置に係り、詳しくはトナーが付着したトナー像担持体表面上のトナーを除去するクリーニングブレ−ドを備えたクリーニング装置を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、転写工程後の像担持体の表面に残留した転写残トナーをクリーニングブレードで掻き取ってクリーニングするものが広く知られている。このクリーニングブレードとしては、金属製のもの、ゴムなどの弾性材で形成されたものが知られている。
金属製のクリーニングブレードは、像担持体の表面との当接部分が変形しにくいため、像担持体表面に当接するブレード先端部の加工精度が低い場合や像担持体表面の微小な凹凸がある場合には、ブレード先端部と像担持体表面との間を密着させることができない。そのため、ブレード先端部と像担持体表面との当接部分に微小な隙間が形成されてしまう。このような微小な隙間があると、その隙間を通じてトナーがすり抜け、クリーニング不良が生じやすい。
これに対し、ゴムなどの弾性材で形成されたクリーニングブレードは、像担持体表面との当接部分が像担持体表面に沿って変形するため、ブレード先端部の加工精度が多少低くても、また像担持体表面に微小な凹凸があっても、像担持体表面と密着することができる。よって、金属製のクリーニングブレードに比べて、トナーがすり抜けにくくクリーニング性能に優れている。したがって、クリーニングブレードとしては、ゴムなどの弾性材で形成されたものが広く実用化されている。このようなクリーニングブレードを用いた画像形成装置としては、特許文献1、特許文献2等に記載のものが知られている。
【0003】
近年、高画質化の要求に応えるべく、重合法等により形成された球形に近いトナー(以下、「球形トナー」という。)を用いた画像形成装置が知られている。この球形トナーは、従来の粉砕トナー(異形トナー)に比べて転写効率が高いなどの特徴があり、近年の高画質化の要求に応えることが可能であることが知られている。
しかし、球形トナーは、従来の粉砕トナーをクリーニングするためのクリーニングブレードを用いて像担持体表面から除去しようとしても十分に除去することが困難であり、クリーニング不良が発生してしまうという問題を有している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−325621号公報
【特許文献2】特開2003−167492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、球形トナーのすり抜けによるクリーニング不良の発生メカニズムを独自に解明すべく種々の実験を行った。そして、このクリーニング不良の発生メカニズムは次のようなものであるとの結論に達した。以下、そのメカニズムについて説明する。
【0006】
図23は、像担持体であるドラム形状の感光体ドラム1に対するクリーニングブレード2の配置を説明するための説明図である。
このクリーニングブレード2は、感光体ドラム1の表面移動方向Aに対して、ブレード先端部分2Aがカウンター方向となるように感光体ドラム1表面に当接している。
このときのクリーニングブレード2の感光体ドラム1に対する初期接触角度はθであり、かつ、その食込み量はdである。ここで、「初期接触角」とは、次のように定義されるものである。すなわち、感光体ドラム1の軸方向から見て、感光体ドラム1が無いとしたときにクリーニングブレード2の感光体ドラム1と対向する面(以下、単にブレード対抗面2aと言う)が位置することになる仮想の面を示す直線を仮想ブレード線Fとし、クリーニングブレード2と感光体ドラム1の表面との交点Cにおける感光体ドラム1表面部分の接線を接線Gとする。そして、この接線Gと仮想ブレード線Fとのなす角θを初期接触角と定義する。
【0007】
また、上述の「食込み量」とは、次のように定義されるものである。感光体ドラム1の軸方向から見て、クリーニングブレードのブレード先端面2cとブレード対抗面2aとの間で形成される稜線部(以下、単に「ブレード稜線部2b」という。)が感光体ドラム1が無い状態で位置することになる点を仮想点2b´とする。そして、仮想点2b´を通り、且つ上記接線Gに平行な仮想接線Hと、上記接線Gとの距離dを食込み量と定義する。
【0008】
このようなクリーニングブレード2の配置を実現する場合、例えば、まず、ブレード稜線部2bを感光体ドラム1表面に接触させる。そして、その状態から、感光体ドラム1表面に対するクリーニングブレード2の相対的な姿勢を変えないように、その接触点における感光体ドラム1表面部分の法線方向に沿ってクリーニングブレード2を感光体ドラム1表面側へ移動させて、図23に示す状態にする。
【0009】
クリーニングブレード2は、感光体ドラム1表面に当接する先端部とは反対側の端部(後端部)が図示しないケーシングに固定されたブレード支持部材としての金属支持板3に接着されている。このようなクリーニングブレード2は、その厚さw1が、0.5[mm]以上、2.0[mm]以下であり、金属支持板3に接着されていない部分(自由端部分)の長さw2が、3.0[mm]以上、10.0[mm]以下であるのが一般的である。
また、クリーニングブレード2の材料としては、ゴムなどの弾性部材が用いられ、硬度(JIS−A)が65[°]以上、80[°]以下であり、反発弾性係数が20[%]以上、60[%]以下であるポリウレタンが広く用いられている。
【0010】
図24は、ブレード先端部分2Aの感光体ドラム1を静止させた状態でクリーニングブレード2を食込み量dで当接させたときの変形状態を、感光体ドラム1軸方向から見た断面図である。このときのブレード先端部は、図示のように、その下流側側面が感光体ドラム表面と接触した状態になる。
図25は、図24に示した状態において感光体ドラム1を図中矢印Aの方向へ表面移動させたときのブレード先端部分2Aの変形状態を、感光体ドラム1軸方向から見た断面図である。図24に示した状態で感光体ドラム1が図中矢印Aの方向へ表面移動すると、感光体ドラム1表面に接触していたクリーニングブレード2のブレード対抗面2aが、感光体ドラム1表面との摩擦力によって図中矢印Aの方向へ引っ張られる。これにより、ブレード稜線部2bが移動し、最終的には、図25に示すように、ブレード稜線部2bを含むブレード先端面2cの一部が感光体ドラム1表面に接触した状態となる。この状態を「スティック状態」という。
このスティック状態におけるブレード稜線部2bの周囲の圧縮変形は、感光体ドラム1の表面移動中は、その圧縮変形による復元力とその当接部分の動摩擦力とが平衡状態になるところで維持される。一方、感光体ドラム1の表面移動停止中は、その圧縮変形による復元力よりも大きい当接部分の静止摩擦力によって維持される。したがって、感光体ドラム1の表面移動中に当接部分の動摩擦力が変動せず、かつ、当接部分の静止摩擦力がスティック状態におけるブレード稜線部2bの周囲の圧縮変形に対する復元力よりも大きい場合には、スティック状態が一定に維持される。
【0011】
スティック状態においては、図24に示した状態に比べて、クリーニングブレード2と感光体ドラム表面とが当接している部分の面積が小さい。しかも、スティック状態においては、感光体ドラム1表面から受ける摩擦力により、ブレード稜線部2bの周囲が感光体ドラム1の表面移動方向に圧縮変形する。そして、この圧縮変形に対する復元力は、クリーニングブレード2と感光体ドラム1表面との当接圧を高める向きに働く。なお、この圧縮変形は図24に示した状態では発生しない。
このように、スティック状態においては、感光体ドラム1表面との当接面積が小さく、かつ、圧縮弾性がクリーニングブレード2と感光体ドラム1表面との当接圧を高める向きに働くことから、図24に示した状態に比べて、その当接圧が高い状態になり、トナーのすり抜けが起きにくい。よって、トナーのすり抜けを抑制するためには、クリーニング時に安定してスティック状態を維持することが重要である。
【0012】
本発明者らは、実験によりクリーニングブレード2と感光体ドラム1表面との当接部分を球形トナーがすり抜ける様子を観察した。この実験では、まず、感光体ドラム1表面と同様の摩擦特性を有する透明な表面移動部材の表面にクリーニングブレード2を当接させる。そして、この表面移動部材をその表面に球形トナーを付着させた状態で表面移動させ、そのときのクリーニングブレード2と表面移動部材との当接部分を、表面移動部材の裏面からカメラで撮影し、球形トナーのすり抜けの様子を観察した。
この実験の結果、クリーニングブレード2と表面移動部材との当接部分では、ブレード長手方向において部分的に、球形トナーのすり抜けが発生することが確認された。そして、球形トナーのすり抜けが発生している部分では、スティックスリップ運動が発生していることが確認された。
この「スティックスリップ運動」とは、スティック状態時のブレード稜線部2bが位置する点をゼロ(原点)としたとき、その原点に対して感光体ドラム1表面移動方向上流側の領域で、ブレード稜線部2bが原点との距離にして8[μm]以上15[μm]以下の範囲内で往復移動する運動をいう。
本発明者らは、上述の実験を含む種々の実験を行った結果、スティックスリップ運動が開始されるのは、スティック状態のクリーニングブレード2と感光体ドラム1表面との当接部分を1個又は数個の球形トナーがすり抜けた直後であることを確認した。
【0013】
図26は、図23のブレード先端部分2Aにおける、スティック状態のクリーニングブレード2と感光体ドラム1表面とが当接するブレード当接部であるブレードニップ2nを球形トナーTがすり抜ける様子を模式的に示した説明図である。
感光体ドラム1の表面移動に伴って搬送されてきた球形トナーTは、ブレードニップ2nにおいて一旦はせき止められる。その後、この球形トナーTは、表面移動する感光体ドラム1の表面との接触部分に働く摩擦力を駆動源として回転し始める。そして、球形トナーTは、その回転力によりブレードニップ2nで球形トナーTと接触する部分のクリーニングブレード2にめり込み、これを変形(めり込み変形)させ、ブレードニップ2nを回転しながら進んでいく。その結果、球形トナーTは、スティック状態のブレードニップ2nをすり抜けてしまう。
ここで、めり込み変形とはクリーニングブレード2が圧縮変形した状態で、球形トナーTがブレードニップ2n部に潜り込んだときに、球形トナーTがクリーニングブレード2を押し上げて変形させるものを言う。
【0014】
上述したように、スティック状態におけるクリーニングブレード2は、ブレード稜線部2bの周囲が図25に示したような圧縮変形した状態となっている。この状態において、球形トナーがすり抜けると、その直後は、そのブレード部分のめり込み変形に対する復元力に抗していた、トナーを介した感光体ドラム1表面からの抗力が働かなくなる。したがって、その復元力により、めり込み変形したブレード部分がめり込み変形前の形状に戻ろうとして、ブレード稜線部2bが感光体ドラム1表面移動方向上流側へ移動する。その結果、図27に示すように、このブレード部分(図中破線Iで囲んだ領域)は、クリーニングブレード2のブレード対抗面2aが感光体ドラム1表面と接触したスリップ状態になってしまう。
このとき、スリップ状態になったブレード部分Iのブレード長手方向両側部分は、図27に示すようにスティック状態が維持されて、ブレード稜線部2bの周囲が十分に圧縮変形した状態であり、この圧縮変形による復元力によって十分に当接圧が働いている。これに対して、ブレード部分Iでは、スリップ状態になっているため、ブレード稜線部2bの周囲の圧縮変形が小さく、圧縮変形による復元力が小さい状態である。したがって、スリップ状態になったブレード部分Iと感光体ドラム1表面との当接部分には十分な当接圧が働かなくなる。
【0015】
よって、このスリップ状態になったブレード部分から次々と球形トナーがすり抜けてしまう。その後、このようにスリップ状態になったブレード部分は、感光体ドラム1表面やすり抜ける球形トナーとの摩擦力により、ブレード稜線部2bが感光体ドラム1表面移動方向下流側へ移動し、再びスティック状態に戻ろうとする。しかし、ブレード稜線部2bは、スティック状態の位置まで移動する途中で、すり抜けていく球形トナーが妨げとなって、めり込み変形に対する復元力により再び感光体ドラム1表面移動方向上流側へ移動しスリップ状態になる。したがって、すり抜けていく球形トナーがなくなるまでは、スリップ状態からスティック状態に戻ろうとするスティックスリップ運動が繰り返されることになる。
このように、スティックスリップ運動が発生してしまったブレード部分では、一度に多くの球形トナーがすり抜けてしまい、クリーニング不良が発生する。
【0016】
なお、クリーニングブレード2と感光体ドラム1の表面との当接圧が高くなればなるほど、トナーのすり抜けの抑制効果が高まる。したがって、この当接圧を非常に高く設定できれば、トナーが球形トナーであっても、トナーのすり抜けを完全に阻止することが可能である。しかし、この当接圧を高くするためにクリーニングブレード2の感光体ドラム1に対する押圧力を高くしすぎると、像担持体の表面移動に対する負荷が増大して、像担持体を安定して表面移動させることが困難になる。さらに、像担持体表面の削れ量が増大して、像担持体の寿命が短くなる。したがって、この押圧力を高めるにも限界がある。
【0017】
また、本発明者らは、実験を含む種々の実験を行った結果、クリーニングブレード2が感光体ドラム1と接触するブレード稜線部2bを形成するブレード先端面2cとブレード対抗面2aとが成す先端角の形状により、球形トナーをクリーニング可能なブレード線圧値が異なることがわかった。
具体的には、先端角が鈍角形状のブレードと直角形状のブレードで同じ条件でクリーニング性を評価した結果、同じブレード線圧値であってもクリーニング性が異なり、先端角が鈍角形状のブレードのほうが直角形状のブレードよりも低いブレード線圧値でクリーニング可能であることがわかった。
これは、ブレードの先端角が鈍角であると直角のものに比べて、クリーニングブレード2におけるブレード稜線部2bの周囲が変形しにくい。そして、図24に示す状態からクリーニングブレード2が感光体ドラム1の表面移動方向に引っ張られ、スティック状態となるときに、先端角が鈍角である方がブレード稜線部2bの移動する量が少なくなり、感光体ドラム1と接触するブレード先端面2cの接触幅も小さくなる。これにより、感光体ドラム1との感光体表面移動方向における接触幅であるブレードニップ2nのニップ幅が小さくなり、同じブレード線圧(押圧力)であっても感光体ドラム1にかかるピーク圧力が大きくなるためである。
【0018】
しかしながら、先端角が鈍角形状であるクリーニングブレード2を用いたとしても初期的にはクリーニング可能であるが、長期期間使用するとクリーニング不良が発生することがわかった。この原因は先端角を鈍角にすることにより、ブレード先端面2cと感光体ドラム1とで形成される角度が鋭角になり、ブレードニップ2nの感光体ドラム1表面移動方向上流側にトナーが堆積しやすい状態にあることに起因することがわかった。
これは、クリーニングブレード2と感光体ドラム1との当接部の感光体ドラム1表面移動方向上流側にトナーが堆積することにより、堆積したトナーに当接する押圧力が分散され、接触幅が広いものと同じ状態となるためである。当接する押圧力が分散されるとピーク圧力が低下し、クリーニング不良が発生する。
【0019】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、先端角が鈍角のクリーニングブレードを備えたクリーニング手段を有し、トナー像担持体上の球形トナーを長期に渡って安定してクリーニングすることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナー像を担持して表面移動するトナー像担持体と、該トナー像担持体の表面にカウンター方向に当接し、該トナー像担持体上のトナーを除去するクリーニングブレードを備えたクリーニング手段とを有する画像形成装置において、該トナー像を形成する該トナーとして円形度0.98以上の球形トナーを用い、該トナー像担持体と接触する該クリーニングブレードの稜線を形成する2つの面が成す先端角を鈍角形状とし、該トナー像担持体と該クリーニングブレードとが当接するブレード当接部に該トナーが堆積することを防止するトナー堆積防止手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記トナー像担持体は潜像担持体であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記トナー像担持体は中間転写体であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の画像形成装置において、上記ブレード当接部よりも上記トナー像担持体の表面移動方向上流側で該トナー像担持体の表面上の上記トナーを除去するトナー除去手段を有し、該トナー像担持体を該表面移動方向(以下、表面通常移動方向と呼ぶ)とは逆方向(以下、表面逆移動方向と呼ぶ)に表面移動させることで、該ブレード当接部の該トナー像担持体の通常表面移動方向上流に堆積した堆積トナーを該トナー除去手段が該トナーを除去する位置まで運び、該トナー除去手段によって該堆積トナーを除去する堆積トナー除去制御を行い、該トナー除去手段と該堆積トナー除去制御とによって上記トナー堆積防止手段を成すことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記堆積トナー除去制御時の上記トナー除去手段による上記トナー像担持体の表面上の上記堆積トナーの除去は、0.01[mg/cm]以上、0.1[mg/cm]以下の範囲で上記トナーを該トナー像担持体表面上に残留させることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4または5の画像形成装置において、上記トナー除去手段が上記トナー像担持体に回転しながら接触することにより上記トナーを除去するブラシ部材であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記ブラシ部材に電圧を印加するためのバイアス印加手段を有し、上記トナー像担持体が上記表面逆移動方向に表面移動するときに、該ブラシ部材を回転させるとともに、該バイアス印加手段により該ブラシ部材に画像形成時の上記トナーの正規の摩擦帯電特性と同極性のバイアスを印加することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記ブラシ部材に電圧を印加するためのバイアス印加手段を有し、上記トナー像担持体が上記表面逆移動方向に表面移動するときに、該ブラシ部材は回転するとともに、該バイアス印加手段により該ブラシ部材に画像形成時のトナーの正規の摩擦帯電特性と逆極性のバイアスを印加することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項6、7または8の画像形成装置において、上記ブラシ部材のブラシ長は、0.2[mm]以上、20[mm]以下であり、より好ましくは、0.5[mm]以上、10[mm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項4、5、6、7、8または9の画像形成装置において、上記トナー像担持体が所定の回転数だけ表面移動したときに、上記堆積トナーを除去する堆積トナー除去モードとなることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項4、5、6、7、8、9または10の画像形成装置において、作像動作終了後に上記堆積トナーを除去する堆積トナー除去モードとなることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の画像形成装置において、上記先端角の角度が95[°]以上、120[°]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、上記クリーニングブレードのゴム硬度(JIS−A硬度)は65[°]以上、80[°]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の画像形成装置において、上記クリーニングブレードの常温(24[℃]±3[℃])における反発弾性係数が30[%]以下であり、10[℃]から40[℃]までの間での変化率が350[%]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の画像形成装置において、上記トナー像担持体が静止している状態での上記クリーニングブレードが該トナー像担持体に加える線圧は、0.50[N/cm]以上であることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の画像形成装置において、少なくとも上記クリーニング手段と上記トナー像担持体とを一体として、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとすることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の画像形成装置において、上記トナー像担持体の表面を形成する表層に架橋構造を備えるバインダー樹脂を用いた保護層を設け、該バインダー樹脂はその構造中に電荷輸送材を備えることを特徴とするものである。
【0021】
上記請求項1乃至17に記載の画像形成装置においては、トナー堆積防止手段により、ブレード当接部にトナーが堆積することを防止し、クリーニングブレードがトナー像担持体に当接する押圧力が分散することを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1乃至17の発明によれば、クリーニングブレードがトナー像担持体に当接する押圧力が分散することを防止することにより、ピーク圧力を維持することができ、球形トナーを長期に渡って安定してクリーニングすることができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[実施形態1]
以下、本発明を電子写真方式の画像形成装置であるプリンタ100に適用した一つ目の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。
まず、実施形態1に係るプリンタ100全体の構成及び動作について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ100全体の概略構成図である。このプリンタ100は、図中矢印A方向に回転するトナー像担持体としての感光体ドラム1を備えている。感光体ドラム1は、アルミニウム基体の外周面に有機感光体からなる感光層を形成したものを用い、そのドラム表層がポリカーボネート製のもので、オイラーベルト法の測定により測定した摩擦係数μが0.3≦μ≦0.6の範囲内のものである。この感光体ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電装置4と、潜像形成手段としての露光装置5、現像手段としての現像装置6、転写手段としての転写装置7、クリーニング手段としてのクリーニング装置8及び除電手段としての除電装置9が配置されている。また、転写装置7により転写が行われる転写領域に対して、紙などの記録材Pが搬送される記録材搬送方向(図中矢印Bの方向)の下流側には、記録材P上のトナー像を定着させる定着手段としての定着装置(不図示)が配置されている。
【0024】
帯電装置4は、感光体ドラム1の表面を一様に帯電するものである。この帯電装置4は、帯電部材を感光体ドラム1の表面に接触させ、又は感光体ドラム1の表面と微小な空隙を空けて配置し、これに帯電バイアスを印加することによって感光体ドラム1の表面を所望の極性及び所望の電位に一様帯電する。この帯電部材としては、例えば弾性体からなる帯電ローラや、ワイヤー電極とグリッド電極を用いたスコロトロン帯電器などを用いることができる。なお、帯電装置4としては、このような構成に限らず、広く公知のものを利用することができる。
【0025】
露光装置5は、帯電装置4によって帯電された感光体ドラム1の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成するものである。この露光装置5は、例えば、発光素子としてLD(Laser Diode)あるいはLED(Light Emitting Diode)を使用し、一様に帯電された感光体ドラム1表面に対して画像データに基づく光を照射することにより、その感光体ドラム1表面に静電潜像を形成する。なお、露光装置5としては、このような構成に限らず、広く公知のものを利用することができる。
【0026】
現像装置6は、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うものである。この現像装置6は、固定配置された磁界発生手段としてのマグネットローラを内部に有する現像剤担持体としての現像ローラ6aを備えている。この現像ローラ6aは、表面に現像剤を担持しながら回転することによって、現像剤を感光体ドラム1と対向する現像領域へ搬送する。本実施形態では、現像剤としてトナーとキャリアからなる二成分現像剤を用い、マグネットローラの磁力により現像領域でキャリアを穂立ちさせてブラシ状にして現像を行う磁気ブラシ現像方式を採用している。なお、現像剤としては、キャリアを用いずにトナーのみからなる一成分現像剤を用いてもよい。現像ローラ6aには、不図示の現像バイアス電源から現像バイアスが印加される。これにより、現像領域において、現像ローラ6a表面の電位と感光体ドラム1表面の静電潜像部分における電位との間に電位差が生じ、この電位差によって形成される現像電界の作用を受けて、現像剤中のトナーが静電潜像へ付着する。これにより、感光体ドラム1上の静電潜像がトナー像になる。なお、現像装置6としては、このような構成に限らず、広く公知のものを利用することができる。
【0027】
転写装置7は、感光体ドラム1上のトナー像を、図中矢印Bの方向に搬送されてくる記録材P上へ転写するものである。この転写装置7は、転写ローラ等の転写部材を感光体ドラム1の表面に所定の押圧力で接触させ、その転写部材と感光体ドラム1との間に転写ニップを形成する。そして、この転写ニップで記録材Pを挟み込んだ状態で、転写バイアス電源からトナーとは逆極性の転写バイアスを転写部材に印加することによって形成される転写電界により、感光体ドラム1表面上のトナー像を記録材P上へ転写させる。なお、転写部材としては、例えば弾性体からなる転写ローラや転写ベルト、あるいは、ワイヤー電極とグリッド電極を用いたスコロトロン帯電器などを用いることができる。なお、転写装置7としては、このような構成に限らず、広く公知のものを利用することができる。このようにしてトナー像が転写された記録材Pは、上述の定着装置(不図示)へ搬送され、ここでトナー像が定着された後、機外へ排出される。
【0028】
クリーニング装置8は、転写されずに感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーを感光体ドラム1の表面から除去するものである。このクリーニング装置8は、クリーニングブレード2とクリーニングブラシ21によって感光体ドラム1表面上の転写残トナーを掻き取って除去する。
クリーニングブレード2およびクリーニングブラシ21により除去されたトナーは、クリーニング装置8の内部に落下する。そして、図示しないトナー搬送機構により廃トナーとして図示しない廃トナーボトルへ搬送され、ここに蓄えられる。このようにして廃トナーボトルに蓄えられた廃トナーは、サービスマンなどにより回収される。なお、クリーニング装置8の内部に落下した転写残トナーを、リサイクルトナーとして現像装置6などに搬送し、再度現像に使用するようにしてもよい。
【0029】
除電装置9は、感光体ドラム1表面の残留電荷を除去するものである。残留電荷が除去された感光体ドラム1の表面は、次の画像形成に寄与することになる。なお、この除電装置9は、LEDなどを用いた光除電方式を採用しているが、これに限られるものではない。
【0030】
プリンタ100で用いるトナーとしては、画質向上のために、円形度が0.98以上の球形トナーを使用している。ここでいう「円形度」は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製、商品名)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に、分散剤として界面活性剤好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、更に測定試料(トナー)を0.1〜0.5[g]程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度が3000〜1[万個/μl]となるようにしたものを上述の分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。そして、この測定結果に基づき、図2(a)に示す実際のトナー投影形状の外周長をC1、その投影面積をSとし、この投影面積Sと同じ図2(b)に示す真円の外周長をC2としたときのC2/C1を求め、その平均値を円形度とした。
【0031】
球形トナーとしては、従来から広く用いられている粉砕法により形状が歪な異形のトナー(粉砕トナー)を加熱処理等して球形化したものや、重合法により製造されたトナーなどを用いることができ、その製造方法に限定されない。
このような球形トナーにおいては、上述したように、粉砕トナーを感光体ドラム1表面から除去するために用いられていた従来のクリーニングブレードでは、その球形トナーを感光体ドラム1表面から十分に除去しきれず、クリーニング不良が発生するという問題がある。
そこで、本発明者らが解析を行なったところ、クリーニングブレード2により球形トナーを除去している部分は球形トナーの回転によるブレードニップ2nへの潜り込みに起因するブレード稜線部のスティックスリップ運動が全く発生していなかった。一方、クリーニング不良しているクリーニングブレード2と感光体ドラム1のブレードニップ2nでは、ほとんどの場合クリーニングブレード2のブレード稜線部2bがスティックスリップ運動していることがわかった。よって、このスティックスリップ運動を無くすことができれば、一度に多くの球形トナーがすり抜けてしまう事態の大半を防止でき、クリーニング不良の発生を抑制できる。そこで、本発明者らの鋭意研究の結果、種々のクリーニング条件のうち、クリーニングブレード2が感光体ドラム1に与える垂直抗力(ブレード線圧)がスティックスリップ運動に密接に関係することを突き止めた。また、クリーニングブレード2と感光体ドラム1で形成されるブレードニップ2nの感光体表面移動方向上流側に堆積する堆積トナーの量がクリーニング性に大きく影響していることがわかった。
【0032】
図3は、プリンタ100に用いているクリーニングブレード2と金属支持板3との断面図である。
クリーニングブレード2は感光体ドラム1と接触する側の稜線を形成する2つの面が成す先端角が鈍角となるように加工されており、厚み幅w1で先端エッジ部をw1×w3の幅でカットしている。w2は金属支持板3との接着部の先端からブレード稜線部2bまでのブレード自由長部分の長さである。
図4は、従来の先端を加工していないクリーニングブレード2と金属支持板3との断面図である。従来はクリーニングブレード2が感光体ドラム1と接触する部分のエッジ角度は90[°]とし、稜線精度を上げて感光体ドラム1との接触均一性を向上させるものであった。プリンタ100では、先端角を95[°]〜120[°]と鈍角形状とし、さらに、従来どおりに稜線精度を上げている。
【0033】
プリンタ100で用いる先端角を鈍角加工したクリーニングブレード2と先端角を加工していない従来のクリーニングブレード2とを用いて、ブレードを感光体ドラム1にある量押し込んだときのブレードが感光体ドラム1に与える圧力(ブレードの単位長さあたりの圧力とし、以後クリーニング線圧と呼ぶ)と初期の段階でのクリーニング性について実験を行った。
なお、この実験には図2で説明した円形度が0.98以上となるような球形トナーを用いた。また、クリーニングブレード2の大きさは、図3及び図4を用いて説明すると、w1=3.6[mm]、w2=7.2[mm]、w3=1.8[mm]の大きさのブレードを用いた。また、感光体ドラム1は直径30[mm]の小径ドラムを使用した。また、感光体ドラム1に球形トナーを現像装置により全面付着させた状態で行っている。
【0034】
図5は、感光体ドラム1と接触するブレード稜線部2bを形成する2つの面であるブレード先端面2cとブレード対抗面2aとの成す先端角が鈍角形状となるように先端を加工したクリーニングブレードと、加工していない先端角が直角形状のクリーニングブレード2との感光体ドラム1に対して垂直に押し込んだ時の押し込み量(食い込み量)に対する垂直抗力(ブレード線圧)の関係を示したグラフである。
図5に示すように、加工していないブレードと比べると、クリーニングブレード2の先端角を鈍角形状とすることにより食い込み量に対するブレード線圧値の増加率が大きくなる。
【0035】
図6は、先端角を鈍角に加工したブレードの球形トナーをクリーニングすることが可能な線圧の領域を示すグラフであり、図7は先端角が直角形状のブレードの球形トナーをクリーニングすることが可能な線圧の領域を示すグラフである。なお、この実験結果は経時変動、環境変動などを評価に入れていない初期的評価によるものである。
図6に示すように、先端角を鈍角形状に加工したブレードはブレード線圧が0.5[N/cm]以上でクリーニング可能となった。一方、加工していないブレードは、図7に示すように、0.75[N/cm]以上でクリーニングが可能となった。
このように、両者のブレードのクリーニング可能線圧値に差が生じた原因は以下のためである。
【0036】
図8は先端角を鈍角形状に加工したクリーニングブレード2のクリーニング動作時に感光体ドラム1に対する垂直抗力の関係を示す概略図である。また、図9は、先端角を直角とした従来のクリーニングブレード2の垂直抗力の関係を示す概略図である。ブレードニップ2nの感光体表面移動方向上流側のブレード先端面2cと感光体ドラム1との間の楔状の空間に堆積する堆積トナー12が存在する。
図8および図9の図中Nは垂直抗力であるブレード線圧を示し、N1はクリーニングブレード2がブレードニップ2nで感光体ドラム1表面に直接加える抗力を示し、N2はクリーニングブレード2がブレード先端面2cから堆積トナー12を介して感光体ドラム1表面に加える抗力を示している。ここでは、クリーニングブレード2を使用開始した初期の状態について検討するので、堆積トナー12は少ない状態であるので、堆積トナー12を介して感光体ドラム1に加えられる抗力N2のクリーニング性への影響は考慮しない。
【0037】
クリーニングブレード2と感光体ドラム1との当接部には摩擦力が発生し、ブレードが感光体ドラム1の進行方向に引っ張られる。図9のように従来のクリーニングブレード2を用いた場合は、ブレード先端部の変形量が大きくなり、感光体ドラム1とクリーニングブレード2の接触する幅L1(ブレードニップ2nの幅)が大きくなる。したがって、クリーニングブレード2が感光体ドラム1に与える抗力N1のピーク圧力が減少し、結果的にブレード先端部がスティックスリップ運動してしまい、トナーを堰きとめるためにはさらに大きなブレード線圧Nが必要となる。
一方、クリーニングブレード2の先端角を鈍角形状に加工することにより、感光体ドラム1との摩擦力による巻き込みが少なくなり、ブレードニップ2nの幅L1が小さくなる。したがって、クリーニングブレード2が感光体ドラム1に与える抗力N1のピーク圧力は大きくなり、クリーニングブレード2のスティックスリップ運動が発生せず、球形トナーを押しとめることが可能となる。
【0038】
このように、同じブレード線圧Nであっても感光体ドラム1が動作しクリーニングブレード2が変形した状態でのブレードのピーク圧力がクリーニング性に影響する。ブレード変形量が小さい先端鈍角形状ブレードを用いることにより、感光体ドラム1に対するピーク圧力の低下を抑制することでき、結果的にブレードのスティックスリップ運動が発生せず、球形トナーのクリーニングが可能である。
また、クリーニングブレード2の材料によってもクリーニングブレード2のスティックスリップ運動を抑制することができることがわかっている。クリーニングブレード2の硬度に関しては、高硬度にすることにより球形トナーがクリーニングブレード2に衝突したときの変形を低減し、クリーニングブレード2の感光体ドラム1への抗力の分布ムラを低減することができ感光体ドラム1との接触状態が安定化する。
【0039】
なお、クリーニングブレード2の材質によっては、スティックスリップ運動が発生していない状態であっても、クリーニング不良が発生することがあることを確認した。
この点について説明すると、図26に示すようにブレードニップ2nにおいて、一旦はせき止められた球形トナーTは、その回転力によって球形トナーと接触する部分のクリーニングブレード2をめり込み変形させながら押しのける。そして、最終的に、スティック状態のクリーニングブレード2と感光体ドラム1との当接部分をすり抜ける。
【0040】
このとき、上記材質の反発弾性が高いと、球形トナーのすり抜けによりめり込み変形した箇所が復元するスピードが速いために、その変形箇所に対応するブレード稜線部2bが復元によって感光体ドラム1表面に接触するときの速度が速い。そのため、ブレード稜線部2bが感光体ドラム1表面に接触するときの勢いが大きく、ブレード稜線部2bがスリップ状態になるまで感光体ドラム1表面に沿って移動する。スティック状態からスリップ状態になった箇所では、図27で説明したブレード部分Iの状態になり、上述したようにスティックスリップ運動が発生する。これは、感光体ドラム1表面に接触したときのブレード稜線部2bがもつ運動エネルギー量が、感光体ドラム1表面との接触による摩擦で奪われるエネルギー量よりも大きいために起こるものと考えられる。
【0041】
一方、上記材質の反発弾性が低い場合、球形トナーのすり抜けによりめり込み変形した箇所が復元するスピードが遅い。そのため、その変形箇所に対応するブレード稜線部2bが感光体ドラム1表面に接触したときの勢いが小さいため、すなわち、感光体ドラム1表面に接触したときのブレード稜線部2bがもつ運動エネルギー量が、感光体ドラム1表面との接触による摩擦で奪われるエネルギー量よりも小さいため、感光体ドラム1表面に沿って移動するブレード稜線部2bがスリップ状態になる前に、感光体ドラム1表面との間の摩擦力によりスティック状態に戻る。その結果、スティックスリップ運動が発生せず、スティックスリップ運動中に起きていた一度に多くのトナーのすり抜けるという事態が抑制される。
このように、クリーニングブレード2として反発弾性係数が低い材料を用いる場合、トナーのすり抜けが起きた直後のスティックスリップ運動の発生を防止することができる。
【0042】
しかし、スティックスリップ運動が発生しないようなクリーニングブレード2の上記材質の反発弾性係数が低い場合でも、クリーニングブレード2の硬度が低いとクリーニング不良が発生する。反発弾性係数が低くかつ硬度が低い場合、球形トナーTのすり抜けが起きた直後のブレード部分は、球形トナーTがすり抜けてめり込み変形した変形箇所の変形度合が大きく、且つ変形した状態から元に戻る復元スピードが遅い。このため、その変形箇所の復元中にこの箇所を次の球形トナーTが通過してしまう。このように復元中に球形トナーTが通過すると、この球形トナーTによって変形箇所の復元が妨げられ、その箇所を更に次の球形トナーTが通過するという事態が生じる。その結果、球形トナーTが一旦すり抜けたクリーニングブレード2の部分では、一度に多くの球形トナーTがすり抜けてしまい、クリーニング不良が発生する。
【0043】
クリーニングブレード2の真直度や感光体ドラム1自身の真直度のばらつきから高硬度にすると、クリーニングブレード2と感光体ドラム1との接触ムラが生じ、クリーニングブレード線圧は高いがクリーニングムラが生じる結果となる。
硬度が80[°]以上になるとブレード部材自身がクリープをおこし初期は高ブレード線圧となるが、時間と共にブレード線圧が低下する即ち弾性力が低下するという現象となる。
一方硬度を低くすると、食い込み量に対してブレード線圧変化が小さくなりバラツキが低減する。しかし、硬度が低い弾性体からなるクリーニングブレードを用いる場合、クリーニングするために必要なブレード線圧を得るために大きく食い込ませなくてはならない。硬度が低い上に食い込みを大きくすると感光体ドラム1との接触面積が大きくなり圧力分布が平坦となり、ピーク圧力が低下する。
これらのことからブレード硬度は65〜80[°]が適正で好適なクリーニング性能がえられる。なお、この硬度は、JIS−A規格に基づくものである。
【0044】
反発弾性係数に関しては、クリーニングブレード2の反発弾性係数を低くすることにより、トナーがクリーニングブレード2に衝突したときの変形に対する復元力を低下させることができ、クリーニングブレード2の感光体ドラム1への接触状態が安定化する。
反発弾性はクリーニングブレード2がトナーをクリーニングするときに、ブレード稜線部2bと接触しているトナーを跳ね返すなどの作用がある。これまで、非球形である粉砕トナーなどのクリーニングには、反発弾性は大きい方が跳ね返すことでクリーニング能力を高める作用をしてきた。しかし、球形トナー用いると、この跳ね返す前にトナーがブレードニップ2nのブレード下面へ潜り込み、跳ね返しによるクリーニング性の向上の作用の効果が少ないことが判ってきた。なお、反発弾性を小さくするにはポリウレタン成分のハードセグメントを多くする。
これによって、線圧を高くする構成に対して、低反発ブレードを使用することは必須となる。温度変化に対する反発弾性係数の変化を図10に示す。反発弾性係数は温度と共に高くなる傾向にある。しかし、C品の様に10[℃]で比較的高い反発弾性を有する物は40[℃]で高くなるが変化率自身は200[%]程度の変動しかない。又、B品の様に低温で小さな反発弾性でも、高温度で反発弾性係数が大きくなり変化率が600[%]に達するものもある。実験的にA品のように常温時に30[%]以下で且つ変化率が350[%]以下の物が安定的なクリーニング性能がえられた。
【0045】
クリーニングブレード2として、23[℃]における反発弾性係数を30[%]以下とし、10[℃]〜40[℃]の変化率350[%]以下とすることで球形トナーのクリーニング性に有効に機能することがわかった。このようにブレードの先端形状およびブレード材質によって球形トナーをクリーニングすることが可能であることがわかった。
【0046】
ここまでは初期評価についての実験であった。次に経時のクリーニング性について検討する。
図11は、図3に示す先端角が鈍角形状のクリーニングブレード2を用いた場合の経時おけるクリーニング性の変化を評価した耐久実験の結果を示すグラフである。図11では、横軸が作像枚数であり、縦軸がクリーニング性の評価である。この耐久実験にはリコー製imagio NEO 352 を用い、画像面積率A4横用紙で5[%]の横帯ベタ画像を作成し、クリーニングブレード2によりクリーニングさせたときの感光体ドラム1上の残留トナーを目視で確認し、ランク評価を行った。ランク値が大きいほどクリーニング性が良好で、ランク5が完全にクリーニング可、ランク1が全面クリーニング不良発生である。
【0047】
先端を鈍角形状に加工したクリーニングブレード2を用いた場合、初期的には球形トナーを良好にクリーニングすることが可能であるが、ある時点で急激にクリーニング不良が発生することがわかった。この原因解析を行った結果以下のことがわかった。
【0048】
図12は先端角を鈍角形状に加工したブレードを用いた場合、図13は先端を加工していないブレードを用いた場合の球形トナーが堆積している状態のクリーニングブレード2と感光体ドラム1との接触部の断面模式図である。図中のNはブレード線圧、N1はクリーニングブレード2からブレードニップ2nより感光体ドラム1に直接加わる抗力、N2はクリーニングブレード2から堆積トナーを介して感光体ドラム1に加わる抗力である。θ1はブレード先端面2cと感光体ドラム1で形成される角度(クリーニング角度)である。
【0049】
先端角を鈍角に加工したブレードは加工していないブレードに比べクリーニング角度θ1が小さく、より鋭角の楔状の空間となるため堆積トナーの幅L2が大きくなる。このような状態で堆積トナー12がブレードニップ2nより感光体表面移動方向上流側の楔状の空間に堆積しつづけると、クリーニングブレード2と感光体ドラム1とに挟まれた堆積トナーの面積が広くなる。押圧力であるブレード線圧Nが堆積トナーを介して加わる抗力N2に分散されてしまい、トナーを堰き止めるために重要なブレードの抗力N1が小さくなってしまう。
【0050】
そこで、プリンタ100では、トナー堆積防止手段として、クリーニングブラシ21を用いてブレードニップ2nより感光体表面移動方向上流側の楔状の空間に一度堆積し、堆積トナー12となった球形トナーを除去かつ感光体ドラム1上に均一に散らす制御を行う。
【0051】
図14は、芯金と導電性のブラシからなるクリーニングブラシ21により堆積トナー12を除去かつ散らす、堆積トナー除去モードの一連の動きを示した図である。
図14(a)は、クリーニングブラシ21および先端角を鈍角形状に加工したクリーニングブレード2により感光体ドラム1から球形トナーを除去し、感光体ドラム1が静止している状態である。なお、図14(a)についてクリーニングブラシ21と感光体ドラム1とが接触する部分をブラシニップ21nと呼ぶ。
クリーニングブレード2のブレードニップ2nの感光体表面移動方向上流側の楔状の空間には堆積トナー12がある量存在する状態である。この堆積トナー12の量がある値以上なったとき、もしくは感光体ドラム1が静止し、ニップ部のトナーがクリーニングブレード2から圧力を受け続け固着した状態になったとき、堆積トナー12がブレードニップ2nにおける圧力のバランスを崩す原因となりクリーニング不良が発生する。
【0052】
図14(b)は、感光体ドラム1が画像形成時の回転方向(以下、「正規回転方向」と呼ぶ)とは逆方向に回転し、クリーニングブラシ21が感光体ドラム1と接触する位置まで堆積トナー12を運んでいる状態である。このときクリーニングブレード2は感光体ドラム1と接触したままでも特に問題ない。また、帯電装置4、現像装置6、転写装置7が感光体ドラム1と接触していても特に問題ない。
【0053】
図14(c)は、堆積トナー12がクリーニングブラシ21と感光体ドラム1と接触する位置であるブラシニップ21nまできたときに、感光体ドラム1の正規回転方向とは逆方向に回転するクリーニングブラシ21が堆積トナー12を除去している状態である。このとき、クリーニングブラシ21には電源バイアス13が接続されており、トナーの正規極性と異なる極性のバイアスが印加されている。
【0054】
堆積トナー12は転写残トナーであるから転写バイアスの影響を受け、正規の極性と逆極性のトナーが混在する状態となっている。したがって、クリーニングブラシ21には正規帯電極性のトナーがブラシ静電的に付着し、感光体ドラム1から除去されるが、転写の影響で逆極性に帯電したトナーはブラシには付着せず、ブラシの散らし効果により感光体ドラム1に均一に散らされる。
【0055】
図14(d)は、堆積トナー12がクリーニングブラシ21により除去かつ感光体ドラム1上に均一分散された状態になった状態で感光体ドラム1が正規回転方向に回転し、再びクリーニングブレード2によりクリーニングされる状態である。分散されたトナーは量が少ない状態となっているので、ブレードニップ2nの楔状の空間に堆積しても、ブレードからの押圧力の分散への影響が少なく、良好なクリーニング可能である。
【0056】
次に、堆積トナー除去モードを実行するタイミングについて説明する。
図15は、ブレードの接離のタイミングを示すフローチャートである。このフローチャートは、ある一定回数画像形成動作を行った後にクリーニングモードを実行するものである。図15において、プリントする枚数を指定してプリントON(S1)して、プリントを実行する(S2)。このときのプリント枚数nをカウント(S3)して、積算のプリント枚数nがある一定枚数A以上(S4のYES)の場合、堆積トナー除去モードを実行する(S5)。堆積トナー除去モードが実行されると、図14を用いて説明した動作が実行される。クリーニングモードが終了したら、プリント枚数をリセット(S6)して、指定枚数プリントした場合(S7のYES)は終了する。一方、指定枚数プリントしてない場合(S7のNO)は、再びプリントを実行する。プリント枚数がある一定枚数A以下の場合(S4のNO)かつ、指定枚数プリントしたか確認していない場合(S7のNO)は、再びプリントを実行する。一方、指定枚数プリントした場合は終了(エンド)する。
【0057】
図16は、堆積トナー除去モード時の感光体ドラム1、クリーニングブラシ21および電源バイアス13の動作を説明するのタイミングチャートを示している。
T1〜T2の間は通常の画像形成時の動作であり、T2〜T6の間は堆積トナー除去モード時の動作である。画像形成動作中に堆積トナー除去モードが実行されると、正規回転方向に回転していた感光体ドラム1は図14(a)のように静止する(T2)。感光体ドラム1は静止した後に図14(b)のように正規回転方向とは逆方向に回転し始める(T3)。感光体ドラム1が逆回転することによりブラシニップ21nに到達した堆積トナー12は回転するクリーニングブラシ21により感光体ドラム1上から除去がなされる。
感光体ドラム1が所定時間dt1逆回転すると、その回転を停止して(T4)、図14(d)のように正規回転方向に回転し始める(T5)。そして、所定時間dt2、回転すると堆積トナー除去モードを終了(T6)する。
【0058】
ここで、図14(a)に示すようにブレードニップ2nとブラシニップ21nとの感光体ドラム1表面上の距離をL3、感光体ドラム1の表面移動速度をvとしたときの、所定時間dt1は、
dt1>L3/v
の関係を満たす。これにより、ブレードニップ2nに堆積した堆積トナー12をブラシニップまで搬送することができる。
さらに、所定時間dt2は
dt2>L3/v
の関係を満たすことにより、クリーニングブラシ21の散らし効果により感光体ドラム1に均一に散らされたトナーをブレードニップ2nまで到達させることができる。
【0059】
なお、図16のタイミングチャートでは、T2〜T3間およびT4〜T5間の感光体ドラム1が停止している間は、クリーニングブラシ21および電源バイアス13ともに動作をOFFにしているが、通常の画像形成から堆積トナー除去モードの間、動作をONにしたままでも良い。また、堆積トナー除去モード終了時(T6)には、全ての動作をOFFにしている。しかし、T5〜T6間の動作と、T1〜T2間の動作とは同じであるので、指定枚数のプリントが終わっていなければ、動作をOFFにすることなく、連続して通常の画像形成動作に移行する制御を行っても良い。
【0060】
上述のように、堆積トナー除去モードでは、転写の影響で逆極性に帯電したトナーはブラシには付着せず、ブラシの散らし効果により感光体ドラム1に均一に散らされた状態となっている。このように、堆積トナーをある程度感光体表面上に残すことにより、堆積トナー除去モードの後の画像形成時のクリーニングブレード2の捲れが生じることを防止することができる。
すなわち、堆積トナー除去モードにおいて、感光体ドラム1表面上からトナーを完全に除去すると、その後の画像形成の際には、ブレードニップ2nで感光体ドラム1表面とクリーニングブレード2とが直接接触する状態となる。感光体ドラム1表面とクリーニングブレード2とが直接接触した状態で、感光体ドラム1が回転すると摩擦力が大きい状態となり、ブレード稜線部2bが感光体ドラム1の表面移動方向下流側に巻き込まれ、クリーニングブレード2全体が折れた状態となる、いわゆる「捲れ」が生じるおそれがある。
一方、堆積トナー除去モードにおいて、感光体ドラム1表面上にトナーをある程度残しておくことにより、その後の画像形成の際には、ブレードニップ2nで感光体ドラム1とクリーニングブレード2との間にトナーが入る。トナーが間に入ることにより、ブレードニップ2nでの摩擦力を軽減し、クリーニングブレード2の捲れが生じることを防止することができる。
【0061】
堆積トナー除去モード時には、0.01[mg/cm]以上、0.1[mg/cm]以下の範囲でトナーを感光体ドラム1表面上に残留させようにする。プリンタ100ではバイアスの大きさにより、適切なトナー量が残留するように制御する。
トナーの残留量が0.01[mg/cm]未満の場合、ブレードニップ2nにおけるクリーニングブレード2と感光体ドラム1との摩擦力が下がらず、捲れが生じるおそれがある。また、トナーの残留量が0.1[mg/cm]よりも多くなると、堆積トナー12により線圧を分散する抗力N2が大きくなり、クリーニングブレード2が感光体ドラム1に与える抗力N1のピーク圧力が減少してクリーニング不良が生じる。また、クリーニング不良が生じなくても、クリーニング不良が生じる状態になりやすく、頻繁に堆積トナー除去モードを実行しなくてはならなくなる。
【0062】
なお、印加するバイアスの極性としては、トナーの正規極性と異なる極性に限るものではなく、トナーの正規極性と同じ極性のバイアスを印加してもよい。このとき、主に逆極性のトナーの除去がなされるが、クリーニングブラシ21の機械的な摺擦によっても感光体ドラム1表面上からトナーの除去がなされるため、バイアスの大きさよって、適切なトナー量が残留するように制御する。
さらに、適切な量のトナーが感光体ドラム1表面上に残留する構成としては、印加するバイアスの極性または大きさによって調節するものに限るものではない。ブラシの密度や食込み量、クリーニングブラシ21と感光体ドラム1との速度比など、クリーニングブラシ21の機械的な除去能力を調節することにより、堆積トナー除去モード時に適切な量のトナーが残留するようにしてもよい。
このようにブレードニップ2nに堆積した堆積トナー12がある所定の量以上にならないようにクリーニングブラシ21を用いて制御することによりクリーニング不良の発生を防止することができる。また、この堆積トナーの除去モードはある一定の間隔で定期的に行ってもよく、さらには画像面積率が大きく転写残トナー量が多くなるような場合は毎回行うことにより確実にクリーニング不良の発生を防止することが可能となる。また、所定の回転数だけ表面移動したときに、堆積トナー除去モードとすることで、クリーニング不良の発生を防止することができる。
【0063】
クリーニングブラシ21により回収されたトナーは回収ローラ14により静電的に移動し、図示しないブレード部材で除去される。このとき回収ローラからは完全に球形トナーが除去される必要は無い。
クリーニングブラシ21について、ブラシ長は、0.2〜20[mm]、好ましくは0.5〜10[mm]の範囲である。ブラシの毛の長さが20[mm]以上では、クリーニング装置の稼動時間とともに像担持体との繰り返し摺擦により、ブラシ体の逆方向の傾斜角が減少して倒毛してクリーニング機能が低下する。ブラシ毛体の毛の長さが、0.2[mm]以下では、像担持体に対する物理的な力が不足する。したがって、0.2〜20[mm]好ましくは0.5〜10[mm]の範囲にすることによって、像担持体からのクリーニング性、像担持体へのトナー付着性が向上する。
【0064】
上述した構成を備えたプリンタ100で、図11を用いて説明したものと同様の耐久実験を行った。実験にはリコー製imagio NEO 352を用い、画像面積率A4横用紙で5%の横帯ベタ画像を作成し、クリーニングブレード2によりクリーニングさせたときの感光体ドラム1上の残留トナーを目視で確認し、ランク評価を行った。
図17は、プリンタ100を用いた耐久試験結果である。ランク値が大きいほどクリーニング性が良好で、ランク5が完全にクリーニング可、ランク1が全面クリーニング不良発生である。また、堆積トナーを除去するモードは一定の間隔で定期的に行っている。その結果、図17に示すように150000(枚)まで画像形成を行う耐久試験を行ったが、クリーニング不良の発生はなかった。
上述の実施形態1では、高解像性や転写性の良好な小粒径の球形トナーとして重合法によるものを記載したが、用いるトナーとして歯これに限定されるものではなく、例えば従来の機械的な粉砕分級法で作成されたものであっても良い。
【0065】
球形トナーをクリーニングするために必要な押圧力を得るためには、粉砕トナーの場合よりも押圧力を高めなければならないことは既に述べた通りである。このように押圧力を高めると、当然ながら感光体ドラム1の表面を磨耗させ易くなる。そこで、プリンタ100においては、表面に保護層を備えたものを用いている。
【0066】
図18は、プリンタ100で用いた感光体ドラム1を表す断面図である。基層としての導電性支持体50上に、絶縁層である下引き層51が設けられている。そして、その上に感光層としての電荷発生層52、電荷輸送層53が設けられている。さらにその上に表面保護層54が積層されている。
導電性支持体50としては、体積抵抗1010[Ω・cm]以下の導電性を示すものを用いることができる。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層52と電荷輸送層53とからなる積層構成の場合についてから述べる。
【0067】
電荷発生層52は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ、これらは有用に用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合して用いることも可能である。
電荷発生層52は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体50上、あるいは下引き層51上に塗布し、乾燥することにより形成される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
【0068】
電荷発生層52の膜厚は、0.01〜5[μm]程度が適当であり、好ましくは0.1〜2[μm]である。
電荷輸送層53は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層52上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、25[μm]以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5[μm]以上が好ましい。
【0069】
次に感光層が単層構成の場合について述べる。
感光層は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体50上ないし、下引き層51上に塗布、乾燥することによって形成できる。電荷輸送物質を含有させずに、電荷発生物質と結着樹脂とから構成してもよい。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
結着樹脂としては先に電荷輸送層53で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層52で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに50〜150重量部であればより好ましい。
感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25[μm]程度が適当である。
【0070】
下引き層51は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
下引き層51にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。また、これらの下引き層51は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。
【0071】
更に感光体ドラム1の下引き層51として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。また、この他には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層51の膜厚は0〜5[μm]が適当である。
【0072】
感光体ドラム1は、最表面層に機械的磨耗を防止するために保護層54を有している。
保護層54のバインダー構成として、架橋構造からなる保護層54も有効に使用される。架橋構造の形成に関しては、1分子内に複数個の架橋性官能基を有する反応性モノマーを使用し、光や熱エネルギーを用いて架橋反応を起こさせ、3次元の網目構造を形成するものである。この網目構造がバインダー樹脂として機能し、高い耐摩耗性を発現するものである。
電気的な安定性、耐刷性、寿命の観点から、上記反応性モノマーとして、全部もしくは一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用することは非常に有効な手段である。このようなモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、保護層54としての機能を十分に発現することが可能となる。
【0073】
電荷輸送能を有する反応性モノマーとしては、同一分子中に電荷輸送性成分と加水分解性の置換基を有する珪素原子とを少なくとも1つずつ以上含有する化合物、同一分子中に電荷輸送性成分とヒドロキシル基とを含有する化合物、同一分子中に電荷輸送性成分とカルボキシル基とを含有する化合物、同一分子中に電荷輸送性成分とエポキシ基とを含有する化合物、同一分子中に電荷輸送性成分とイソシアネート基とを含有する化合物等が挙げられる。これら反応性基を有する電荷輸送性材料は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
さらに好ましくは、電荷輸送能を有するモノマーとして、電気的・化学的安定性が高いこと、キャリアの移動度が速いこと等から、トリアリールアミン構造を有する反応性モノマーが有効に使用される。
これ以外に塗工時の粘度調整、架橋型電荷輸送層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能の重合性モノマー及び重合性オリゴマーを併用することができる。これらの重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
【0074】
また感光体ドラム1は、熱または光を用いて正孔輸送性化合物の重合または架橋を行うが、熱により重合反応を行う際には、熱エネルギーのみで重合反応が進行する場合と重合開始剤が必要となる場合があるが、より低い温度で効率よく反応を進行させるためには、開始剤を添加することが好ましい。
光により重合させる場合は、光として紫外線を用いることが好ましいが、光エネルギーのみで反応が進行することはごく稀であり、一般には光重合開始剤が併用される。
この場合の重合開始剤とは、主には波長400[nm]以下の紫外線を吸収してラジカルやイオン等の活性種を生成し、重合を開始させるものである。なお、本発明においては、上述した熱及び光重合開始剤を併用することも可能である。
【0075】
このように形成した網目構造を有する電荷輸送層53は、耐摩耗性が高い反面、架橋反応時に体積収縮が大きく、あまり厚膜化するとクラックなどを生じる場合がある。このような場合には、保護層54を積層構造として、下層(感光層側)には低分子分散ポリマーの保護層を使用し、上層(表面側)に架橋構造を有する保護層を形成しても良い。
上述した表層に非常に硬い保護層を設けた像担持体としての感光体を用いることにより、感光層としての機能が損なわれないようにしたままクリーニングブレード2による感光体膜削れを防止することができる。
【0076】
以上、実施形態1によれば、トナーとして円形度0.98以上の球形トナーを用いることにより、高画質化を図ることができ、トナー像担持体としての感光体ドラム1に当接するクリーニングブレード2の稜線であるブレード稜線部2bを形成する2つの面であるブレード先端面2cとブレード対抗面2aとが成す先端角を鈍角形状とすることで、粉砕トナーに比してクリーニングが困難な球形トナーを良好にクリーニングすることができる。そして、ブレードニップ2nよりも感光体表面移動方向上流側に、トナー除去手段としてのブラシ部材であるクリーニングブラシ21を備え、ブレード当接部としてのブレードニップ2nにトナーが堆積することを防止するトナー堆積防止手段として、感光体ドラム1を表面通常移動方向である正規回転方向とは逆方向に表面移動させることで、ブレードニップ2nの感光体表面移動方向上流側の楔形の空間に、堆積した堆積トナーをクリーニングブラシ21がトナーを除去する位置まで運び、クリーニングブラシ21によってトナーを除去するものである。これにより、先端角を鈍角にすることで、ブレード先端面2cと感光体ドラム1表面とが成す角が鋭角となり、経時においてトナーが堆積しやすい状態であっても、感光体ドラム1を正規回転方向とは逆方向に表面移動させ、クリーニングブラシ21で堆積トナーを除去することができ、ブレードニップ2nにトナーが堆積することを防止し、クリーニングブレード2が感光体ドラム1に当接する押圧力が分散することを防止することができる。よって、ピーク圧力を維持することができ、球形トナーを長期に渡って安定してクリーニングすることができる。
また、クリーニングブラシ21に電荷を印加するためのバイアス印加手段としての電源バイアス13を有し、感光体ドラム1が正規回転方向とは逆方向に表面移動するときに、クリーニングブラシ21を回転させるとともに、画像形成時のトナーの正規の摩擦帯電特性と同極性のバイアスをクリーニングブラシ21印加することにより、転写残トナーに多く含まれる逆帯電トナーを良好に除去することとができ、正規帯電トナーを感光体ドラム1表面上に残留させることにより、クリーニング再開時のクリーニングブレード2に捲れが生じることを防止することができる。これについて、すべてのトナーを感光体ドラム1から除去すると感光体ドラム1が再び正回転したとき、ブレードニップ2nにトナーが全くいない状態となる。このような状態が起こるとクリーニングブレード2と感光体ドラム1との当接部における摩擦力が大きくなり、ブレード部材が捲れ返ってしまう。また、ブレード部材によりクリーニングされたニップ部の堆積トナーは転写の影響でプラスとマイナスの極性トナーが混在している状態となっているため、いずれかの極性のバイアスをクリーニングブラシ21に印加することで、クリーニングブラシ21に静電的に回収されるトナーと、回収されずにクリーニングブラシ21により均一に感光体ドラム1上に散らされるトナーが発生する。均一に散らされたトナーはブレードニップ2nに再び堆積されるが、量が少ないのでクリーニング不良の発生には至らない。さらに、ブレードニップ2nにおける潤滑作用でクリーニングブレード2と感光体ドラム1との摩擦力を低減し、クリーニングブレード2の捲れ返りを防止することができる。
特に、0.01[mg/cm]以上の範囲でトナーを感光体ドラム1表面上に残留させることで、より確実に、クリーニングブレード2と感光体ドラム1との摩擦力を低減し、クリーニングブレード2の捲れ返りを防止することができる。さらに、0.1[mg/cm]以下の範囲でトナーを感光体ドラム1表面上に残留させることで、クリーニング不良が生じることを防止することができる。
また、ブラシの毛の長さが20[mm]以上では、クリーニング装置8の稼動時間とともに感光体ドラム1との繰り返し摺擦により、ブラシ体の逆方向の傾斜角が減少して倒毛してクリーニング機能が低下する。ブラシ毛体の毛の長さが、0.2[mm]以下では、感光体ドラム1に対する物理的な力が不足する。したがって、0.2〜20[mm]好ましくは0.5〜10[mm]の範囲にすることによって、感光体ドラム1からのクリーニング性、感光体ドラム1へのトナー散らし性が向上する。
また、感光体ドラム1が所定の回数だけ表面移動したときに、堆積トナー除去モードを実行することにより、トナーすり抜けが発生するブレードニップ2nの堆積トナー量の閾値を把握し、簡易な制御で堆積トナー12の量がその閾値を超えないようにすることができる。
また、作像動作終了後に堆積トナー除去モードを実行することにより、画像濃度が濃い画像を連続して出力した場合や紙ジャムなどの異常動作による転写残トナーの増加が発生しても、毎回除去モードを実行することで確実にクリーニングブレード2でトナーをクリーニングすることができる。
また、クリーニングブレード2の先端角の角度を、95[°]以上、120[°]以下とすることにより、ブレードニップ2nの幅が小さくなり、通常の直角形状のブレードと同じ加重かけてもブレード面圧が高くなるので、球形トナーをクリーニングすることができる。
また、クリーニングブレード2のゴム硬度(JIS−A硬度)を65[°]以上とすることにより、トナーがクリーニングブレード2に衝突したときの変形を低減し、80[°]以下とすることにより、クリーニングブレード2の感光体ドラム1への抗力の分布ムラを低減し感光体ドラム1とクリーニングブレード2との接触状態を安定にすることができる。
また、クリーニングブレード2の常温(24[℃]±3[℃])における反発弾性係数を30[%]以下とし、10[℃]から40[℃]までの間での変化率が350[%]以下とすることで、クリーニングブレード2の反発弾性係数を低くして、トナーがクリーニングブレードに衝突したときの変形に対する復元力を低下させることにより、クリーニングブレード2の感光体ドラム1への接触状態を安定化させる。
また、感光体ドラム1が静止している状態でのクリーニングブレード2が感光体ドラム1に加える線圧は、0.50[N/cm]以上としている。従来のブレード部材を用いた場合は大きな荷重を与えようとすると、ブレード部材が支持板との接着部分の根元で折れ曲がり、ブレード部材が像担持体と所謂腹当り状態で接触し、接触面積が大きくなる。このような状態では大きな
荷重を与えてもクリーニングに必要なピーク圧力は得られないので、さらに大きな荷重を与える必要がある。クリーニングブレード2のように、先端角を鈍角に加工したブレードを用いると、その形状効果で感光体ドラム1との接触面積が小さくなりことがわかり、クリーニングに重要なピーク圧力を効率よく与えることができる。その結果、従来ブレードよりも低い0.50[N/cm]の抗力を感光体ドラム1に与えることで球形トナーをクリーニングすることができる。
また、感光体ドラム1の表層に、架橋構造を備えるバインダー樹脂を用いた保護層54を設けることにより、球形トナーを除去するために大きな線圧が加わる感光体ドラム1が削れることを防止することができる。さらに、バインダ−樹脂の構造中に電荷輸送材を分散させることにより、感光層としての機能が損なわれないようにすることができる。
【0077】
〔実施形態2〕
次に、画像形成装置であるプリンタ100の他の実施形態(以下、「実施形態2」という。)について説明する。
実施形態2のプリンタ100は、感光体ドラム1とクリーニング装置8とを一体に支持し、プリンタ100本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを有するものである。なお、実施形態2では、感光体ドラム1及びクリーニング装置8のほか、帯電装置4及び現像装置6も一体に支持したプロセスカートリッジである。プロセスカートリッジとしては、少なくとも、感光体ドラム1及びクリーニング装置8を一体に支持したものであればよい。また、プリンタ本体部分の基本構成は、実施形態1と同様である。
【0078】
図19は、本実施形態2に係るプリンタに着脱可能なプロセスカートリッジ200の概略構成を示す断面図である。一般に、プロセスカートリッジ200は、クリーニング装置8で回収した廃トナーを蓄えるスペースが必要である。実施形態2では、球形トナーを用いることができるので、転写効率が良く、転写残トナーが少ないことから、従来の粉砕トナーに比べて廃トナーの量を少なく抑えることができる。
従来スペースの問題で小型のクリーニング手段しか搭載できないプロセスカートリッジではクリーニング不良が発生しやすい問題から球形トナーを用いることは困難であった。しかし、プリンタ100では球形トナーを用いても簡易な構成でクリーニングを行うことができるので、球形トナーを用いるプリンタ100で、プロセスカートリッジを用いることが可能である。
したがって、プロセスカートリッジ200内における廃トナーを蓄えるスペースを小さくでき、コンパクトなプロセスカートリッジ200を実現できる。
また、一般に、このような電子写真方式の画像形成装置は、その構成が複雑で、これを構成する各装置を容易に交換したりすることが困難である場合が多いが、本実施形態2のように交換等が必要な装置について一体に支持したプロセスカートリッジとすることで、その交換等が容易となり、利便性が向上する。
【0079】
以上、実施形態2によれば、少なくともクリーニング装置8と感光体ドラム1とを一体として、プリンタ100装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジ200とすることにより、像担持体、帯電手段、現像手段、クリーニング装置の構成要素をプロセスカートリッジ200として一体に結合して構成することによって、ユーザーによる交換が可能となる。また、プリンタ100の利便性、およびメンテナンス性を向上させることができる。
【0080】
〔実施形態3〕
次に、画像形成装置であるプリンタの更に他の実施形態(以下、「施形態3」いう。)について説明する。実施形態3のプリンタは、実施形態2におけるプロセスカートリッジ200を用いたカラープリンタ300である。
図20、実施形態3に係るプリンタ全体の概略構成図である。このカラープリンタ300は、カラープリンタ300を水平面上に設置したときに、水平方向に長尺な状態となるように、複数のローラ30a,30bに張架された中間転写ベルト27を備えている。この中間転写ベルト27は、図中矢印Dの向きに表面移動する。中間転写ベルト27における水平方向に延在する平面部分には、上述したプロセスカートリッジ200が4つ並んで配置されている。各プロセスカートリッジ200は、それぞれ異なる色のトナーを用い、図中左側から順に、イエロー用プロセスカートリッジ200Y、マゼンタ用プロセスカートリッジ200M、シアン用プロセスカートリッジ200C、ブラック用プロセスカートリッジ200Kである。各プロセスカートリッジにおいて感光体ドラム1の表面に形成された各色トナー像は、各感光体ドラム1に中間転写ベルト27を介して対向配置された1次転写装置29Y,29M,29C,29Kによって形成される転写電界によって、中間転写ベルト27上に1次転写される。このとき、ブラック用プロセスカートリッジ200Kから図中左側から向かって、順次、中間転写ベルト27上に各色トナー像が互いに重なり合うように1次転写される。これにより、中間転写ベルト27上には、各色トナー像が互いに重なり合った、重ね合わせトナー像が形成される。この重ね合わせトナー像は、中間転写ベルト27の表面移動に伴って2次転写装置32と対向する2次転写領域へ搬送される。また、この2次転写領域には、重ね合わせトナー像の先端がこの領域へ進入するタイミングに合わせて、図中矢印Eの向きに搬送される記録材Pも進入してくる。そして、2次転写装置32によって形成される転写電界によって、中間転写ベルト27上の重ね合わせトナー像は、記録材P上に一括して2次転写される。このようにして重ね合わせトナー像が転写された記録材Pは、図示しない定着装置へ搬送され、ここで重ね合わせトナー像が定着された後、機外へ排出される。
なお、本実施形態のプリンタは、4つのプロセスカートリッジを、中間転写ベルト27の表面移動方向上流側から、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に配置しているが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で配置してもよい。
【0081】
〔実施形態4〕
次に、画像形成装置であるプリンタの更に他の実施形態(以下、「実施形態4」という。)について説明する。実施形態4のプリンタも、実施形態2におけるプロセスカートリッジを用いたカラープリンタである。
図21は、実施形態4に係るカラープリンタ300全体の概略構成図である。このカラープリンタ300は、実施形態3の中間転写ベルト27に代えて、表面に記録材Pを担持した状態で表面移動する記録材搬送ベルト34を用い、各プロセスカートリッジ200Y,200M,200C,200Kの感光体ドラム1上の各色トナーを、直接記録材P上に重なり合うように転写するものである。なお、実施形態4においても、4つのプロセスカートリッジの配置順序は任意である。
【0082】
〔実施形態5〕
次に、画像形成装置であるプリンタの更に他の実施形態(以下、「実施形態5」という。)について説明する。実施形態5のプリンタも、実施形態2におけるプロセスカートリッジ200を用いたカラープリンタ300である。中間転写ベルト27を上述の感光体ドラム1をクリーニングするクリーニング装置8と同様のクリーニング装置を用いてクリーニングする構成となっている。
図22は、実施形態5に係るカラープリンタ300全体の概略構成図である。このカラープリンタ300は、実施形態3の場合と同様に中間転写ベルト27を用いて記録材P上に重ね合わせトナー像を転写するこのであるが、2次転写後のトナー像担持体としての中間転写ベルト27の表面部分に残留した転写残トナーをクリーニングするベルトクリーニング装置35を備えている。このベルトクリーニング装置35は、上述したクリーニング装置8と同様の構成になっている。このベルトクリーニング装置35は、ローラ30cによって巻き回されている中間転写ベルト27の表面部分にクリーニングブレードが当接するように配置されている。上述したクリーニング装置8と同様の構成を有するベルトクリーニング装置35によれば、中間転写ベルト27のようなベルト状の像担持体表面に付着した球形トナーも、高いクリーニング性をもってクリーニングすることが可能である。
また、図示しないが、同じような構成の転写搬送ベルトのクリーニング装置としても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施形態1に係るプリンタ全体の概略構成図。
【図2】(a)及び(b)は、円形度の測定方法を説明するための説明図。
【図3】実施形態1に係るプリンタで用いるクリーニングブレードと金属支持版との断面図。
【図4】従来のクリーニングブレードと金属支持版との断面図。
【図5】食い込み量とブレード線圧との関係を示したグラフ。
【図6】先端角が鈍角であるブレードの球形トナーをクリーニングすることが可能な線圧の領域を示すグラフ。
【図7】先端角が直角形状のブレードの球形トナーをクリーニングすることが可能な線圧の領域を示すグラフ。
【図8】先端角が鈍角形状のクリーニングブレードの感光体ドラムに対する垂直抗力の関係を示す概略図。
【図9】先端角が直角形状のクリーニングブレードの感光体ドラムに対する垂直抗力の関係を示す概略図。
【図10】4種類のクリーニングブレードにおける反発弾性率と温度との関係を示すグラフ。
【図11】先端角が鈍角形状のクリーニングブレードを用いた耐久実験の結果を示すグラフ。
【図12】先端角が鈍角形状のクリーニングブレードを用いた場合のトナーが堆積している状態の断面模式図。
【図13】先端角が直角形状のクリーニングブレードを用いた場合のトナーが堆積している状態の断面模式図。
【図14】堆積トナー除去モードの一連の動きを示した図、(a)は、感光体ドラムが静止している状態、(b)は、感光体ドラムが画像形成時とは逆方向に回転し、クリーニングブラシが感光体ドラムと接触する位置まで堆積トナーを運んでいる状態、(c)は、クリーニングブラシが堆積トナーを除去している状態、(d)感光体ドラムが正規回転方向に回転し、再びクリーニングブレードによりクリーニングされる状態。
【図15】ブレードの接離のタイミングを示すフローチャート。
【図16】堆積トナー除去モード時の感光体ドラム、クリーニングブラシおよび電源バイアスの動作を説明するのタイミングチャート。
【図17】先端角が鈍角形状のクリーニングブレードを用い、堆積トナー除去モードを実行するプリンタの耐久実験の結果を示すグラフ。
【図18】感光体ドラムの断面図。
【図19】実施形態2に係るプリンタに着脱可能なプロセスカートリッジの概略構成を示す断面図。
【図20】実施形態3に係るプリンタ全体の概略構成図。
【図21】実施形態4に係るプリンタ全体の概略構成図。
【図22】実施形態5に係るプリンタ全体の概略構成図。
【図23】感光体ドラムに対するクリーニングブレードの配置の説明図。
【図24】感光体ドラムを静止させた状態で同クリーニングブレードを食込み量で当接させたときのブレード先端部の変形状態を示す説明図。
【図25】図24に示した状態から感光体ドラム1を表面移動させたときのブレード先端部の変形状態を示す説明図。
【図26】ブレードニップを球形トナーがすり抜ける様子を模式的に示した説明図。
【図27】スティック状態からスリップ状態になったクリーニングブレードのブレード先端部分を示す拡大斜視図。
【符号の説明】
【0084】
1 感光体ドラム
2 クリーニングブレード
2a ブレード対抗面
2b ブレード稜線部
2c ブレード先端面
2n ブレードニップ
3 金属支持板
4 帯電装置
5 露光装置
6 現像装置
7 転写装置
8 クリーニング装置
9 除電装置
21 クリーニングブラシ
100 プリンタ
200 プロセスカートリッジ
300 カラープリンタ




 

 


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