米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 写真;映画 -> 株式会社リコー

発明の名称 画像形成装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3964(P2007−3964A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−185965(P2005−185965)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
発明者 角田 幸一 / 馬場 聡彦
要約 課題
装置の大型化、高コスト化をせずに、ユーザーが不快に感じやすい高周波領域をもつ騒音(高周波騒音)をユーザーに聞こえにくくして、画像形成装置の使用環境における騒音問題を改善する。

解決手段
本画像形成装置では、画像情報に基づいて記録材上に画像を形成するための画像形成手段が、低周波騒音を発生させる低周波構成物品(ドラム駆動モータギヤ及びギヤ等)と高周波騒音を発生させる高周波構成物品(給紙ステッピングモータ、ドラム駆動モータ、ポリゴンミラーモータ等)とから構成されている。本装置は、上記低周波構成物品が発生させる低周波騒音(ドラム駆動モータギヤとギヤとの噛合い音等)を増幅させる低周波増幅手段を有し、この低周波騒音によりマスキング効果を利用して、上記高周波構成物品が発生させる高周波騒音(モータ駆動音等)をユーザーに聞こえにくくする。
特許請求の範囲
【請求項1】
画像情報に基づいて記録材上に画像を形成するための画像形成手段を備え、該画像形成手段が、低周波騒音を発生させる低周波構成物品と高周波騒音を発生させる高周波構成物品とから構成されている画像形成装置において、
上記低周波構成物品が発生させる低周波騒音を増幅させる低周波増幅手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記低周波構成物品は、300[Hz]以上800[Hz]以下の周波数領域における低周波騒音を発生させるものであり、
上記高周波構成物品は、1000[Hz]以上の周波数領域における高周波騒音を発生させるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記低周波増幅手段は、上記高周波構成物品が発生させる高周波騒音よりも高いレベルとなるように上記低周波騒音を増幅させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3の画像形成装置において、
上記低周波増幅手段は、上記低周波構成物品が発生させる低周波騒音の周波数と一致又は近似した固有振動数を有する共振部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記共振部材は、上記画像形成手段を構成する構成物品に該構成物品の質量調整用の部材を固定したものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置において、
上記質量調整用の部材は、上記構成物品で生じる振動のうち上記高周波騒音の発生原因となる振動を抑制する制振部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4、5又は6の画像形成装置において、
上記低周波構成物品は駆動装置の構成物品であり、
上記共振部材は、当該構成物品を支持する支持部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6又は7の画像形成装置において、
少なくとも上記高周波騒音を吸収する吸音手段を有することを特徴とする画像形成装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィス等のような画像形成装置の使用環境においては、画像形成装置の騒音が問題化されている。画像形成装置は、多くの構成物品が機械的に連結等されており、画像形成装置の駆動時にこれらの構成物品から様々な騒音が発生するため、その騒音がユーザに不快感を与えることがある。特に、高周波領域の騒音や、単一周波数で音圧レベルが高い純音成分の騒音は、人間が不快に感じやすいことが知られている。中でも、高周波領域における純音成分の騒音は、キンキンというような金属的な響きで聞こえるため、不快さの度合いが高い。
【0003】
特許文献1には、騒音の原因となり得る回転体駆動系の振動共振を抑制する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、回転体駆動系を構成するタイミングベルトの張力を調製するタイトナーを用いて、モータの回転数やギヤの噛み合い周波数に応じてタイミングベルトの弦振動共振が発生するのを抑制する。
【0004】
また、特許文献2には、騒音の発生源となる駆動機構が発生させる騒音に対し、その騒音の波形と逆波形の2次音を発生させて当該騒音を低減する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、駆動機構から発生する騒音の波形を検知し、その検知結果から当該波形と逆波形の2次音を生成し、これをスピーカから出力する。この画像形成装置によれば、スピーカから出力した2次音と駆動機構から発生する騒音とが互いに干渉して打ち消し合い、その騒音の音圧レベルを低減することができる。更に、この画像形成装置においては、2次音により低減された騒音をマスキングする3次音もスピーカから出力する構成になっている。この3次音は、周波数が低くなるほど音圧が大きくなるような周波数分布を有するものである。このような3次音を出力することで、2次音によって低減された騒音のうち高周波領域の騒音が強調されなくなり、ユーザーの不快感を効果的に少なくできる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−39296号公報
【特許文献2】特開平9−193504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1に記載の画像形成装置においては、タイミングベルトの弦振動共振による騒音が比較的低い周波数領域のものであるため、人間が不快に感じやすい高周波領域の騒音を抑制することはできない。そのため、ユーザーが不快と感じる騒音についての抑制効果は得られない。
また、上記特許文献2に記載の画像形成装置においては、駆動機構から発生する騒音の波形を検知する機構、2次音を生成して出力する機構、3次音を生成して出力する機構などの大がかりな構成が必要となり、スペース化が困難で、かつ、コストが高騰するという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、装置の大型化、高コスト化をせずに、ユーザーが不快に感じやすい高周波領域をもつ騒音(高周波騒音)をユーザーに聞こえにくくして、使用環境における騒音問題を改善し得る画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像情報に基づいて記録材上に画像を形成するための画像形成手段を備え、該画像形成手段が、低周波騒音を発生させる低周波構成物品と高周波騒音を発生させる高周波構成物品とから構成されている画像形成装置において、上記低周波構成物品が発生させる低周波騒音を増幅させる低周波増幅手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記低周波構成物品は、300[Hz]以上800[Hz]以下の周波数領域における低周波騒音を発生させるものであり、上記高周波構成物品は、1000[Hz]以上の周波数領域における高周波騒音を発生させるものであることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記低周波増幅手段は、上記高周波構成物品が発生させる高周波騒音よりも高いレベルとなるように上記低周波騒音を増幅させることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の画像形成装置において、上記低周波増幅手段は、上記低周波構成物品が発生させる低周波騒音の周波数と一致又は近似した固有振動数を有する共振部材であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記共振部材は、上記画像形成手段を構成する構成物品に該構成物品の質量調整用の部材を固定したものであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記質量調整用の部材は、上記構成物品で生じる振動のうち上記高周波騒音の発生原因となる振動を抑制する制振部材であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4、5又は6の画像形成装置において、上記低周波構成物品は駆動装置の構成物品であり、上記共振部材は、当該構成物品を支持する支持部材であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6又は7の画像形成装置において、少なくとも上記高周波騒音を吸収する吸音手段を有することを特徴とするものである。
【0009】
人間の聴覚特性としてマスキング効果というものがある。このマスキング効果とは、ある音が発生しているときに他のマスク音を発生させると、当該ある音がマスク音によって全く聞こえなくなる、又は聞こえにくくなる現象をいう。マスキング効果は、一般に、マスク音より高い周波数領域の騒音については広範囲にわたってマスキング効果が得られるが、マスク音より低い周波数領域の音についてはマスキング効果が得られにくいという特徴がある。また、マスク音のレベルが大きいほど、マスキング効果が大きくなるとともに、マスキング効果が得られる周波数領域が広がるという特徴もある。
本発明においては、このようなマスキング効果を利用して、画像形成手段を構成する高周波構成物品が発生させる高周波騒音、特に高周波領域における純音成分の騒音をユーザーに聞こえにくくするために、画像形成手段を構成する低周波構成物品から発生する低周波騒音を増幅させる。これにより、増幅した低周波騒音によって高周波構成物品が発生させる高周波騒音をマスキング効果で聞こえにくくすることができる。
しかも、本発明においては、高周波構成物品が発生させる高周波騒音をマスクするマスク音として、画像形成手段を構成する低周波構成物品が発生させる低周波騒音を用いるので、画像形成手段以外に、マスク音を発生させるための機構を別途設ける必要がない。したがって、その分、省スペース化、低コスト化が可能となる。
ここでいう画像形成手段とは、画像形成に関与する手段であって、画像形成に関与しない、上記特許文献2に記載の装置における2次音を生成して出力する機構や3次音を生成して出力する機構等を含まない趣旨である。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明によれば、画像形成装置から発生する騒音のうちユーザーが不快に感じやすい高周波騒音について、装置の大型化、高コスト化をせずに、ユーザーに聞こえにくくなり、使用環境における騒音問題を改善することができるという優れた効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式のカラープリンタに適用した一実施形態について説明する。なお、本プリンタは、4連ドラムのタンデム作像方式を採用した画像形成装置であるが、他の方式の画像形成装置であってもよい。
図1は、本実施形態に係るプリンタ全体の概略構成を示す説明図である。
このプリンタは、主に、潜像形成手段としての光学ユニット1と、潜像担持体としての感光体ユニット3と、現像手段としての現像ユニット4と、転写手段としての転写ユニット5と、定着手段としての定着ユニット46と、給紙部110とから構成されている。画像形成時には、本プリンタの最下部に配置されている給紙部110に収容された記録材としての用紙(印刷用紙やOHPシート等も含む。)が、図中右下側から左斜め上方に向かって延びる用紙搬送経路に沿って搬送される。この用紙搬送経路上には、その経路に沿って並んで配置された4つの感光体ユニット3と、これらに対向するように配置された転写ユニット5が設けられており、用紙は、4つの感光体ユニット3と転写ユニット5との間を通るように搬送される。各感光体ユニット3の周囲には、それぞれ、一様帯電手段としての帯電ユニット、現像ユニット4、感光体クリーニングユニットなどが配置されている。各感光体ユニット3が備える感光体ドラムの表面は、帯電ユニットによって所定電位に一様に帯電された後、光学ユニット1によって各色に対応した静電潜像がそれぞれ形成される。各感光体ドラム上の静電潜像は、それぞれ現像ユニット4によって各色の現像剤で現像され、これにより各色のトナー像となる。各感光体ドラムと転写ユニット5の転写ベルト29とが互いに対向した各領域(転写領域)において、各色トナー像はこの転写領域を通過する用紙上に互いに重なり合うようにして転写される。転写後の用紙がこれらの転写領域よりも用紙搬送方向下流側にある定着ユニット46に送られると、この定着ユニットにより互いに重ねられた各色トナー像が用紙上に定着させられる。その後、用紙は排紙トレイ510に排出される。
【0012】
図2は、光学ユニット1の構成を示す説明図である。
光学ユニット1は、4つの感光体ユニット3の配列方向(用紙搬送方向)に沿って延在している。光学ユニット1を構成するハウジング11の上部には、各色ごとのレーザダイオード(LD)17,18,19,20が取り付けられている。また、ハウジング11には、主走査ライン走査のためのポリゴンミラーモータ2、ドット位置補正のための二層fθレンズ21,22、各色ごとの面倒れ補正を行うための長尺WTLレンズ23,24,25,26、図示しないレーザビーム径補正のためのシリンダレンズ等が取り付けられている。ポリゴンミラーモータ2には、上下2枚の6面ミラーが一体となって形成されたポリゴンミラー27が取り付けられており、このポリゴンミラー27に各LD17,18,19,20が発したレーザ光が照射される。各色に対応する各LD17,18,19,20は、用紙の搬送タイミングにあわせて発光し、そのレーザ光(図中太線で示す。)がシリンダレンズ、ポリゴンミラー27、二層fθレンズ21,22、長尺WTLレンズ23,24,25,26を経由して各色の感光体ドラム28に照射される。
【0013】
図1に示すように、感光体ユニット3及び現像ユニット4は、各色で独立したユニットとなっている。つまり、マゼンタ(M)用の感光体ユニット3および現像ユニット4、シアン(C)用の感光体ユニット3および現像ユニット4、イエロー(Y)用の感光体ユニット3および現像ユニット4、ブラック(Bk)用の感光体ユニット3および現像ユニット4がある。なお、Bk用を除いたM用、C用、Y用の感光体ユニット3は全く同一の構成であるため、新しいユニットであればどの色用(M、C、Y)にも用いることができる。
【0014】
図3は、感光体ユニット3の周辺構成を示す説明図である。
感光体ユニット3は、感光体ドラム28(例えばφ30)を有している。感光体ドラム28は中空円柱状であり、後述する駆動機構によって図中時計回りに回転させられるようになっている。感光体ドラム28の右斜め上方には帯電ローラ36(例えばφ11)が配置されている。帯電ローラ36は、その表面が感光体ドラム28の表面から0.05[mm]程度離間した位置に配置されている。そして、帯電ローラ36は、感光体ドラム28と逆方向、つまり図中半時計周りに回転させられ、感光体ドラム28の面上に均一な電荷を付与する。この帯電ローラ36の上方側にはクリーニングブラシ37が配置されている。また、感光体ドラム28の左斜め上方にはクリーニングブラシ39およびカウンターブレード38が配置され、これらによって感光体ドラム28のクリーニングがなされる。また、クリーニングブラシ39の左側には、廃トナー回収コイル40が配置されており、この廃トナー回収コイル40によって回収された廃トナーは、図1に示す廃トナーボルト16に搬送されるようになっている。
現像ユニット4は、乾式2成分磁気ブラシ現像方式を採用したものであり、現像ローラ30と、現像ドクタ31と、搬送スクリュー左32と、搬送スクリュー右33と、トナー濃度センサ34と、剤カートリッジ35とを備える。
【0015】
図4は、感光体ユニット3の駆動機構の説明図である。
M用、C用、Y用(カラー用)の3つの感光体ユニット3と、Bk用の感光体ユニット3とは、別々の駆動機構によって駆動されるようになっている。すなわち、カラー用の感光体ユニット3の駆動は、カラードラム駆動モータ41を駆動源とし、この駆動力を伝達するギヤ43,44及びジョイント45によって各感光体ドラムに伝達する。一方、ブラック用の感光体ユニット3の駆動は、黒ドラム駆動モータ42を駆動源とし、この駆動力を伝達するギヤ44及びジョイント45によって感光体ドラムに伝達する。したがって、カラーモード印刷時には、カラードラム駆動モータ41のみが動作し、黒ドラム駆動モータ42は停止している。一方、モノクロモード印刷時には、黒ドラム駆動モータ42のみが動作し、カラードラム駆動モータ41は停止している。なお、カラードラム駆動モータ41および黒ドラム駆動モータ42はステッピングモータである。
【0016】
図1に戻り、転写ユニット5は、複数のローラと、当該ローラに巻き掛けられたエンドレスの転写ベルト29とを有している。図示しないモータによってローラが回転すると転写ベルト29が図中半時計回りに回転し、給紙部110から送り出された用紙が転写ベルト29の表面に載った状態で用紙搬送経路に沿って搬送される。転写ユニット5の用紙搬送方向下流側には、パターンセンサ(以下、「Pセンサ」という。)6が配置されている。このPセンサ6は、転写ベルト29上に形成されたテスト用トナー像(テストパターン)の濃度を検知するものであり、その検知結果は各種ユニットのフィードバック制御に利用される。
【0017】
図5は、定着ユニット46の内部構造を示す斜視図である。
図6は、定着ユニット46に設けられたオイル塗布ユニット47の拡大図である。
定着ユニット46は、ベルト定着方式を採用したものである。ベルト定着方式が用いるベルトはローラ定着方式で用いられるローラと比べて熱容量が小さいことから、ベルト定着方式は、一般にローラ定着方式に比べて、ウォームアップ時間を短縮できたり、待機時の設定温度を低下できたりするなどのメリットがある。定着ユニット46は、転写後の用紙を加熱、加圧することにより、用紙上のトナー像を定着させる。この定着ユニット46は、定着ベルト13にシリコーンオイルを塗布するオイル塗布ユニット47を備えている。オイル塗布ユニット47内には、シリコーンオイルが塗布フェルト48から塗布ローラ49に供給される。そして、塗布ローラ49が回転しながら定着ベルト13に微量のシリコーンオイルを塗布している。このように定着ベルト13にシリコーンオイルを塗布することで、定着ベルト13と用紙との剥離性が向上する。なお、オイル塗布ユニット47による塗布動作は、用紙が一枚搬送されるたびになされるようになっており、図示しないソレノイドやスプリングを有する機構によって、用紙一枚が搬送されるごとにオイル塗布ユニット47が駆動され、塗布ローラ49が定着ベルト13に接触する。一方、用紙一枚が通過すると、上記機構によってオイル塗布ユニット47が定着ベルト13から離間させられるようになっている。また、図5に示すように、定着ベルト13の用紙搬送方向上流側には、クリーニングローラ50が設けられており、このクリーニングローラ50が定着ベルト13上の汚れを吸着し、これによりベルトクリーニングがなされる。
【0018】
図7は、給紙部110の構成を示す説明図である。
給紙部110は、第1トレイ9と、第2トレイ10と、手差し給紙トレイ8といった3つのトレイを有している。各トレイ8,9,10に収容された用紙を送り出す方式としては、FRR給紙方式を採用している。FRR給紙方式による送り出し機構は、給紙トレイ内に積層された用紙束中から送り出された用紙を一枚づつに分離するために、給紙方向に回転駆動される給紙コロに対して逆転コロを当接させた構成となっている。この構成の下、逆転コロは、給紙コロとは逆方向へ向かう弱いトルクがトルクリミッタを介して付与されているため、給紙コロと接触している状態あるいは一枚の用紙が両コロ間に進入した状態では給紙コロに連れ回りする一方で、給紙コロと離間した状態あるいは2枚以上の用紙が両コロ間に進入した状態では逆回転する。このため、重送用紙の進入時には逆転コロに接する側の用紙は給紙方向下流側へ戻されて、重送が防止されることとなる。
【0019】
第1トレイ9に収容された用紙は、第1給紙ユニット51によって一枚分離されて第1トレイ9から送り出されると、中継ローラ53によって搬送され、搬送ローラ55に到達する。この用紙は、搬送ローラ55によってターンさせられながら、図中左斜め上方側のレジストローラ7に向けて搬送され、停止しているレジストローラ7に突き当たる。この突き当たりにより、用紙の斜行が補正される。そして、感光体ユニット3等による画像形成工程とのタイミング調整を行い、所定のタイミングで図示しないレジストクラッチがつながれてレジストローラ7が駆動し、用紙が転写ユニットに向けて搬送される。以降、用紙は、上述したように転写ベルト29によって搬送され、転写工程及び定着工程を経て本体トレイ510に排出される。
なお、第2トレイ10に収容された用紙の送り出しは、第2給紙ユニット52、中継ローラ54によって搬送ローラ55に向けて用紙が搬送され、その後は第1トレイ9に収容された用紙と同様である。
また、手差しトレイ8にセットされた用紙は、給紙ユニット56によってレジストローラ7に向けて搬送され、以降は上記第1トレイ9からの用紙搬送と同様である。
【0020】
図8は、第1トレイ9および第2トレイ10から用紙を送り出す第1給紙ユニット51および第2給紙ユニット52の駆動系を示す説明図である。
これらの両ユニット51,52は、1つの給紙ステッピングモータ83によって駆動されており、各々のユニット51,52への駆動力伝達は第1給紙クラッチ57および第2給紙クラッチ58を介して行われる。すなわち、第1トレイ9から用紙を送り出すときは第1給紙クラッチ57のみがつながれた状態となり、第2トレイ10から用紙を送り出すときは第2給紙クラッチ58のみがつながれた状態となる。
【0021】
〔騒音分析〕
以上説明したように、本プリンタは、多くの構成物品が機械的に連結等されており、本プリンタの画像形成に関与する画像形成手段からは様々な騒音が発生する。そこで、まず、本発明者らは、上述したプリンタと同じ構成を有する従来のプリンタの稼働時における騒音分析を行った。
本騒音分析においては、プリンタ前面(操作パネルが設けられている側の面)からの水平距離が1[m]で、床面からの高さが1.5[m]で、プリンタ前面側から見てプリンタ幅方向中央の場所に、ダミーヘッドを設置し、プリンタから発せられる騒音を測定した。このダミーヘッドは、人間の頭部の音伝達特性をシミュレーションして鼓膜の位置にマイクロホンを設置したものである。このダミーヘッドを用いることで、バイノーラル(両耳覚)で録音した音を専用ヘッドホンで再生することにより、そのヘッドホンを装着した人間にダミーヘッドの場所で実際に聞いたのとほぼ同じ状態で音を聞かせることができる。
また、本騒音分析においては、ダミーヘッドで録音した音データから、所定のソフトウェアを用いて心理音響パラメータ値を算出した。この心理音響パラメータの代表的なものは以下の通りである(括弧内は単位)。(例えば、日本機械学会「第7回設計工学・システム部門講演会"21世紀に向けて設計、システムの革新的飛躍を目指す!"」’97年11月10日、11日「音・振動と設計、色と設計(1)」部門第089B 参照)
・ラウドネス(sone) :聞こえの大きさ
・シャープネス(acum) :高周波成分の相対的な分布量
・トーナリティ(tu) :調音性、純音成分の相対的な分布量
・ラフネス(asper) :音の粗さ感
・フラクチュエーション・ストレングス(vacil):変動強度、うなり感
また、これ以外に
・インパルシブネス(iu) :衝撃性
・レラティブ・アプローチ :変動感
という心理音響パラメータもある。
【0022】
上述したどのパラメータも、その値が増すと、人間が不快と感じる不快感が増す傾向にある。これらのパラメータ中、ラウドネスだけがISO532Bで規格化されているが、他のパラメータについては、基本的な考え方や定義は同じであるが、計測器メーカーによる独自の研究によってプログラムや計算方法が異なるため、計測器の違いによってその値が若干異なるのが普通である。本騒音分析においては、ヘッドアコースティックス社製のダミーヘッドHMS(Head Measurement System)IIIを用いて騒音測定を行い、ヘッドアコースティックス社製の音質解析ソフトウエアArtemiS(アルテミス)を使用して分析を行った。ArtemiSはインパルシブネスの算出が可能である。なお、ダミーヘッドを用いずに、一般的なマイクロホンを使用して騒音を測定してもよい。
【0023】
また、ArtemiSは、心理音響パラメータを算出する際に、様々な設定を選択することができるが、今回はデフォルト設定を用いて分析を行った。
具体的には、ラウドネスについては、「Caluculationmethod」として「FFT/ISO0532」、「Filter/ISO0532」および「FFT/HEAD」が選択できるが、デフォルトの「FFT/ISO0532」を採用した。また、「SpectrumSize」は、デフォルトの「4096」に設定した。
シャープネスについては、「Caluculationmethod」は、デフォルトの「FFT/ISO532」を採用し、「Sharpnessmethod」は、「Aures」、「vonBismarck」のうち、デフォルトの「Aures」を採用した。また、「SpectrumSize」は、デフォルトの「4096」に設定した。
他の心理音響パラメータは、ラウドネスと相関があり、ラウドネスの設定によって自動的に変化する。
以上のように設定した音質解析ソフトウェアArtemiSを用い、従来のプリンタから発せられる騒音の音圧レベルと心理音響パラメータ値を求めた。また、測定した音圧レベルから周波数分析も行った。
【0024】
図9は、上記騒音分析において測定した音圧レベルをFFT分析した結果を示すグラフである。このグラフは、横軸に周波数をとり(対数目盛表示)、縦軸に音圧レベルをとったものである。
波数の低い方から順に音圧レベルの主なピーク部分についての騒音源を調べてみたところ、401[Hz]のピークはドラム駆動モータギヤ61,62とギヤ44との噛合い音であり、1132[Hz]のピークは給紙ステッピングモータ83の駆動音であり、2292[Hz]のピークはドラム駆動モータ41,42の駆動音であり、2953[Hz]はポリゴンミラーモータの駆動音であった。
【0025】
ドラム駆動モータギヤ61,62とギヤ44との噛合い音について解説すると、ドラム駆動モータが上記のとおり687.75[rpm]であり、ドラム駆動モータギヤ61,62の歯数が35であることから、その噛合い音の周波数は(687.75/60)×35=401[Hz]となる。この噛合い音も、図9に示すように急峻なピークをもつ純音成分であるが、高周波ではないため、人間にとって特に不快な音ではない。
【0026】
給紙ステッピングモータ83の駆動音について解説すると、給紙ステッピングモータ83は、紙搬送を正常に行う機能さえ満足すればよいので、2相励磁のステッピングモータで構成されている。入力パルスは1132[pps]であるので、この入力パルスそのものの周波数をもつ音が駆動音として発生する。給紙ステッピングモータ83の駆動音は、1132[Hz]という高周波であり、図9に示すように最も高い音圧レベルをもつ純音成分と呼ばれる音である。このような純音成分の音は、トーナリティ値が高く、キンキンという耳障りな音として人間に聞き取られる。
【0027】
ドラム駆動モータの駆動音について解説すると、ドラム駆動モータは、2相ステッピングモータであり、687.75[rpm]で回転している。このドラム駆動モータは、感光体ドラム28を高精細に回転させたいために、2W1−2相励磁(2相励磁の1/8分割)で駆動するように制御されている。入力パルスは、18339.965[pps]で、2W1−2相のステップ角は0.225[°]である。ドラム駆動モータの回転数は、(入力パルス×ステップ角×60)/360[rpm]から計算される。よって、ドラム駆動モータの駆動音は、上述したように、18339.965[pps]の1/8の周波数である2292[Hz]の周波数領域で発生する。このようにステッピングモータからなるドラム駆動モータの駆動音も、2292[Hz]という高周波であり、図9に示すように急峻なピークをもつ純音成分の音である。よって、ドラム駆動モータの駆動音も、キンキンという耳障りな音として人間に聞き取られる。
【0028】
ポリゴンミラーモータ2の駆動音について解説すると、その駆動音はポリゴンミラーの風切り音が支配的である。ポリゴンミラーモータ2は、ミラー面が6面で、モータ回転数が29530[rpm]なので、(29530/60)×6=2953[Hz]という周波数をもった駆動音を発生させる。この駆動音も、2953[Hz]という高周波であり、図9に示すように急峻なピークをもつ純音成分の音である。よって、ドラム駆動モータの駆動音も、キンキンという耳障りな音として人間に聞き取られる。
【0029】
以上のように、本騒音分析で用いた従来のプリンタにおいては、1000[Hz]以上の高周波側に純音成分の騒音が多数発生し、実際に聞いてみても不快に感じられた。上述した音質解析ソフトウェアArtemiSを用いて、この従来のプリンタから発せられる騒音について、音圧レベルと心理音響パラメータの計算を行ったところ、下記の表1に示す結果を得た。なお、心理音響パラメータとしては、実際の不快さと相関が高い、ラウドネス、シャープネス、トーナリティ、インパルシブネスを用いた。
【表1】


【0030】
次に、本発明の特徴部分である、ユーザーが不快に感じやすい高周波領域の騒音(高周波騒音)をユーザーに聞こえにくくするための構成について説明する。
具体的な構成を説明する前に、高周波騒音をユーザーに聞こえにくくする原理を説明する。本実施形態においては、いわゆる聴覚のマスキング効果を利用して高周波騒音をユーザーに聞こえにくくする。マスキング効果とは、上述したとおり、ある音が発生しているときに他のマスク音を発生させると、当該ある音がマスク音によって全く聞こえなくなる、又は聞こえにくくなる現象をいう。なお、広い意味では、当該ある音の大きさが小さくなる現象も含む。マスキング効果は、例えば、地下鉄ホームで電車がホームにやってくるときに、ホームで会話していた相手の声が聞き取りにくくなる現象でも表れる。この場合のマスク音となる電車の音は広帯域にわたるノイズであるが、純音成分の音をマスク音として用いた場合でもマスキング効果が得られる。
【0031】
具体的には、周波数が互いに異なる2つの純音成分の音を発生させた場合、周波数の低い音が周波数の高い音をマスクするときのマスキング効果は高く、周波数の高い音が周波数の低い音をマスクするときのマスキング効果は低い。また、マスクする側の音の音圧レベルが上昇するほど、マスキング効果が高まるとともに、マスクされる周波数領域が広がる。耳の神経層の興奮パターンがそのような状態になることは知られている。
【0032】
以上より、図9に示したFFT分布から考えると、本騒音分析において用いた従来のプリンタにおいては、ドラム駆動モータギヤ61,62とギヤ44との噛合い音(低周波騒音)を増幅させてこれをマスク音とすることにより、給紙ステッピングモータ83の駆動音(1132[Hz])、ドラム駆動モータ41,42の駆動音(2292[Hz])、ポリゴンミラーモータの駆動音(2953[Hz])などの高周波騒音をマスキングすることができる。
更に、マスキング効果だけでなく高周波騒音を積極的に低減した方が、ユーザーの不快感を取り除くのに効果的である。
なお、ドラム駆動モータギヤ61,62とギヤ44との噛合い音を増幅させても、増幅前よりも高周波騒音が低減する結果、プリンタ全体における増幅後の音圧レベルと音響パワーレベルは増幅後とほぼ同程度あるいはそれ以下に抑えることが可能である。
【0033】
続いて、高周波騒音をユーザーに聞こえにくくするための具体的な構成について説明する。
図10は、カラードラム駆動モータ41と黒ドラム駆動モータ42とを含むドラム駆動機構を示す斜視図である。
カラードラム駆動モータ41、黒ドラム駆動モータ42、ギヤ43,44は、それぞれモータブラケット59に支持されている。モータブラケット59は、板金を絞り加工等で強度をもたせた部材である。このモータブラケット59は、曲げ加工により本プリンタ筐体への取り付けるためのねじ穴等が形成されており、このねじ穴等によってプリンタ筐体に固定される。モータブラケット59は、各感光体ドラム28に対応した4つのギヤ44を回転可能に支持している。これらのギヤ44のうち図中最も右側のギヤ44と、黒ドラム駆動モータ42のモータ軸に取り付けられたギヤ61とが、互いに噛み合っている。これにより黒ドラム駆動モータ42によってギヤ44が回転し、これに伴ってブラック(Bk)用の感光体ドラム28が回転する。一方、残り3つのギヤ44のうち図中左側と中央の2つのギヤ44は、カラードラム駆動モータ41のモータ軸62によって回転する。他方、残り3つのギヤ44のうち図中右側と中央の2つのギヤ44は、互いに中継ギヤ43に噛み合っている。これにより、当該中央のギヤ44の回転に伴って当該図中右側のギヤ44が回転する。つまり、カラードラム駆動モータ41の回転に伴って、上記残り3つのギヤ44が回転し、これによりC用、M用、Y用の感光体ドラム28が同時に回転する。
【0034】
上記4つのギヤ44においては、モジュール0.5でギヤの軸間距離を設計値に正確にあわせることができるよう、モータの取り付けに対して特殊な防振構造等を採用していない。つまり、黒ドラム駆動モータ42およびカラードラム駆動モータ41は、直接モータブラケット59に取り付けられて固定されている。このようにモータ41,42をモータブラケット59に直接取り付けることによって、モータ駆動時におけるモータの振動がモータブラケット59に固体伝搬する。このようにしてモータブラケット59に固体伝搬される振動は、ドラム駆動モータの駆動周波数成分を多く含む振動と、ドラム駆動モータギヤ61,62とドラムギヤ44の噛合い振動である。ここで、モータブラケット59の固有振動数は、ドラム駆動モータギヤ61,62とドラムギヤ44の噛合い音と同じ401Hz又はその近傍に設定してある。よって、モータブラケット59に固体伝搬したドラム駆動モータギヤ61,62とギヤ44との噛合い振動と共振し、これが増幅してモータブラケット59からドラム駆動モータギヤ61,62とギヤ44との噛合い音が放射される。すなわち、本実施形態においては、このモータブラケット59が、共振部材であり、低周波増幅手段として機能する。
なお、このような共振を発生させると、その共振周波数に応じた濃度ムラ等が画像に表れることがある。しかし、濃度ムラとして人間の目に知覚できるのは200〜300[Hz]以下の周波数までであり、それより高い周波数になると濃度ムラを知覚できない。よって、本実施形態のように401[Hz]の共振を発生させても、これによる濃度ムラを人間が知覚できないので、何ら問題はない。
【0035】
図11は、質量mの物体に対し、強制的に余弦波の加振力Pcosωtを与えるときのモデルを示す模式図である。図示のモデルは、振動が図中上下方向の1軸なので、1自由度の振動となる。このモデルにおいて、物体の変位量をxとし、バネ定数をkとし、粘性減衰係数をCとし、臨界粘性係数をCCとし、固有振動数をf0とし、固有角振動数をω0とし、減衰比をζとし、静的変位をXstとする。
上記モデルにおいては、次の関係式が成り立つ。
ω0 = (k/m)/2
ζ = C/CC
C = 2×(m×k)/2
Xst = P/k
以上の関係式から、固有振動数f0は、ω0/2πであり、次のように表すことができる。
0 = (1/2π)×(k/m)/2
つまり、質量mを変化させることで、固有振動数f0を調節することができる。そこで、本実施形態では、モータブラケット59の質量を調節して、モータブラケット59の固有振動数を、ドラム駆動モータギヤ61,62とドラムギヤ44の噛合い音と同じ401[Hz]又はその近傍に設定する。
【0036】
図12は、本実施形態におけるモータブラケット59の構成を示す説明図である。
モータブラケット59の質量を調節する方法としては、モータブラケットの材料を質量の異なるものを代えたり、モータブラケット自体の厚さtを変化させたり、モータブラケットに質量調整用の別部材を固定したりする方法などが挙げられる。本実施形態では、モータブラケットに質量調整用の部材を固定する方法を採用し、モータブラケット59の固有振動数を401Hz又はその近傍に設定した。具体的には、質量調整用の部材として制振部材63を用い、これを接着剤等によりモータブラケット59に貼り付けることで、モータブラケット59の質量を調節した。このように質量調整用の部材として制振部材63を用いれば、単にモータブラケット59の固有振動数を設定するだけでなく、その固有振動数から外れた振動を抑制できる効果が得られ、高周波領域の振動を積極的に低減できる。この結果、ユーザーにとって不快な高周波騒音の音圧レベルを低下させることができる。もちろん、質量調整用の部材として制振部材63を用いなくても、高周波領域の振動を積極的に低減できないがマスキング効果による改善は図れる。これは、モータブラケット59の材料を質量の異なるものを代えたり、モータブラケット59の厚さtを変化させたりして、モータブラケット59の質量を調節する場合も同様である。
【0037】
図13は、制振部材63によるモータブラケット59の制振効果を確認する実験の結果を示すグラフである。
この実験では、固有振動数が401[Hz]から外れている比較例のモータブラケットと、制振部材63により質量調整して固有振動数が401[Hz]に一致又はその近傍となるように調節された実験例のモータブラケットとを用い、ドラム駆動モータ41,42のみを駆動させて音響パワーレベルの1/3オクターブ分析を比較した。400[Hz]の周波数領域(図中破線で囲った部分)では、実験例のモータブラケットの方がその共振効果により、比較例のモータブラケットよりも音響パワーレベルが大きい。一方、実線で囲った部分の高い周波数領域は、制振部材63の効果で、特にドラム駆動モータ41、42の駆動音の周波数と、それよりも高い周波数帯でレベルの低減が確認できた。なお、実線で囲っていない部分の高い周波数領域は、比較例と実験例との間で音響パワーレベルに差はない。これは、制振部材63による効果は、モータブラケットから放射される固体伝搬音に対しては効果があるものの、モータブラケットを介さない音に対しては効果がないことに起因するものと考えられる。
【0038】
ところで、上述したように、マスキング効果だけでなく高周波騒音を積極的に低減した方がユーザーの不快感を取り除くのに効果的であるので、以下、高周波騒音の発生源となる給紙ステッピングモータ83、ドラム駆動モータ41,42、ポリゴンミラーモータから発生する騒音を低減する構成について説明する。
【0039】
まず、給紙ステッピングモータ83の騒音低減について説明する。
図14(a)乃至(e)は、ステップ角θ0で駆動する給紙ステッピングモータ83のロータの動きを説明するための説明図である。
図15は、給紙ステッピングモータ83の簡単な電気回路図である。
給紙ステッピングモータ83のステップ角は、機械構造的に決められるものであり、通常はロータがステップ角θ0ずつ一度に移動する。よって、ステップ角θ0が大きいほどロータの動きは滑らかではなくなり、これに起因して振動等が大きくなり、高周波騒音が顕著になる。そこで、本実施形態では、図15のような電気回路によって制御を行い、機械的構造によって決まるステップ角θ0よりも小さなステップ角で駆動する、いわゆるマイクロステップ駆動を行う。すなわち、励磁相の1相に供給する電流値を徐々に増加させる一方で、他の1相へ供給する電流値を徐々に低下させるといった電流供給制御を行うことで、図14の(a)〜(e)に示すように、ステップ角θ0よりも小さなステップ角での駆動を可能とし、ロータの動きを滑らかにしている。これにより、給紙ステッピングモータ83から発生する高周波騒音を低減できる。
【0040】
図16は、図15に示した電気回路においてマイクロステップ駆動の1つである1−2相励磁を行うときのシーケンス図である。
1−2相励磁は、コイルを1相づつ励磁する1相励磁とコイルを2相づつ励磁する2相励磁を交互に繰り返す励磁方式であり、この励磁方式を用いてステッピングモータを駆動した場合、モータのステップ角が1/2となり、通常の駆動を行うよりもロータの動きが滑らかになり、振動を低減することができる。
【0041】
次に、ポリゴンミラーモータ2の騒音低減について説明する。
図17は、光学ユニット1のハウジング11内におけるポリゴンミラーモータ2の周辺構成を示す説明図である。
ポリゴンミラーモータ2は、光学ユニット1のハウジング11内部に取り付けられている。ハウジング11内部は、異物の混入を防止するためにほぼ密閉構造になっている。そのため、ポリゴンミラーモータ2の駆動音によってハウジング11内部に発生する音圧のレベルは高く、これが外部に漏れることで騒音となる。そこで、本実施形態では、ハウジング11内部に吸音手段としての吸音材64を貼り付けている。具体的には、ハウジング11内部におけるおけるポリゴンミラーモータ2の上部に吸音材64を貼り付けている。
【0042】
上記吸音材64としては、薄くても吸音化効果が高い、例えば住友スリーエム株式会社製のシンサレート(登録商標)を用いることができる。吸音材64の吸音素材は、メルトブローン法によって作られた繊維径1〜4[μm]のマイクロファイバーと繊維径20〜30[μm]の短繊維で作られた不織布であり、フェルトやグラスウールよりも細かい繊維である。この吸音材64を通過する音の振動エネルギーは、マイクロファイバーで区切られた細孔で熱エネルギーに変換して効率的に吸音される。このため、吸音材64の厚さが比較的薄くても十分な吸音性能を発揮できる。なお、この吸音材64は、1000[Hz]未満の周波数領域では、比較的吸音性能が低い。
【0043】
また、本プリンタ全体を静音化する目的で、プリンタ内部の空きスペースに上記吸音材64と同様の吸音材を設けるのが望ましい。具体的には、例えば、図18に示すように、排紙トレイ510の下方に位置するプリンタ内部に吸音材65を貼り付ける。また、図示しないが、プリンタ背面側におけるプリンタ内部に設けられた駆動系近傍にも、同様に吸音材を貼り付けることにより、その駆動系から発生する1000[Hz]以上の騒音を静音化できる。なお、このような吸音材は、上記のとおり不織布なので、スリットを入れてそのスリット部を引っかけて簡単にプリンタ内部に固定できること、リサイクルに便利であること等の利点がある。
【0044】
図19は、本実施形態におけるプリンタについて、上記騒音分析の場合と同じ条件で測定した音圧レベルをFFT分析した結果を示すグラフである。
すなわち、この結果は、上述したようにドラム駆動モータギヤ61,62とギヤ44との噛合い音を増幅(強調)するとともに、給紙ステッピングモータ83の駆動音(1132[Hz])、ドラム駆動モータ41,42の駆動音(2292[Hz])、ポリゴンミラーモータ2の駆動音(2953[Hz])について上述した騒音低減対策を施し、更にプリンタ内部の空きスペースに吸音材を設けてプリンタ全体の騒音低減対策も施したときのものである。図示のように、ドラム駆動モータギヤ61,62とギヤ44との噛合い音(401[Hz])が、本プリンタで発生する騒音の周波数分布の中で最も音圧レベルが高く、高周波領域の騒音に対してマスキング効果が得られる。
【0045】
図20は、図9に示した結果と図19に示した結果を1/3オクターブ分析に変えて比較分析した結果を示すグラフである。
図示のように、ドラム駆動モータギヤ61,62とギヤ44との噛合い音(401[Hz])が増幅されて音圧レベルが高くなったことにより、高周波領域の騒音をマスキング効果によって低減できていることがわかる。さらに、4000[Hz]を越える周波数領域の騒音については、吸音材64,65による静音化効果が大きく現われていることも確認された。
【0046】
音圧レベルと心理音響パラメータについて、本プリンタと上述した従来のプリンタとの比較結果を下記の表2に示す。
【表2】


【0047】
上記表2により、本実施形態のプリンタでは、音圧レベルが下がり、かつ、ラウドネス(聞こえの大きさ)、シャープネス(高周波成分)、トーナリティ(純音成分)についての心理音響パラメータの値も下がっているので、ユーザーの不快感は軽減できている。なお、インパルシブネス(衝撃性)についての心理音響パラメータの値が上昇しているが、これは本実施形態のプリンタでは様々な高周波騒音が聞こえにくくなったことにより、衝撃性のある音が目立って聞こえるようになったためだと考えられる。よって、インパルシブネス(衝撃性)が高い騒音の発生源について改良することが更に好ましいと言える。
【0048】
以上、本実施形態のプリンタは、画像情報に基づいて記録材である用紙上に画像を形成するための画像形成手段を備え、この画像形成手段が、低周波騒音を発生させる低周波構成物品であるドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44と、高周波騒音を発生させる高周波構成物品である給紙ステッピングモータ83、ドラム駆動モータ41,42、ポリゴンミラーモータ2から構成されている。そして、ドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44が発生させる低周波騒音である噛合い音を増幅させる低周波増幅手段としてのモータブラケット59を有している。これにより、増幅した噛合い音によって、給紙ステッピングモータ83、ドラム駆動モータ41,42、ポリゴンミラーモータ2が発生させる高周波騒音をマスキング効果で聞こえにくくすることができる。しかも、本プリンタでは、このマスキング効果を得るためのマスク音として、画像形成手段を構成するドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44の噛合い音を用いるので、画像形成手段以外に、マスク音を発生させるための機構を別途設ける必要がなく、省スペース化、低コスト化を実現できる。
また、本実施形態では、ドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44(低周波構成物品)は300[Hz]以上800[Hz]以下の周波数領域における低周波騒音を発生させるものであり、給紙ステッピングモータ83等の高周波構成物品は1000[Hz]以上の周波数領域における高周波騒音を発生させるものである。上述したように騒音周波数が1000[Hz]以上である高周波騒音は人間にとって特に不快な音に聞こえる。よって、本プリンタによれば、人間にとって不快な音を効果的に聞こえにくくすることができる。
また、本実施形態では、給紙ステッピングモータ83等の高周波構成物品が発生させる高周波騒音よりも高いレベルとなるように、モータブラケット59がドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44の噛合い音を増幅させる。これにより、この噛合い音によるマスキング効果を効果的に得ることができる。
また、本実施形態では、低周波増幅手段として用いるモータブラケット59が、ドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44の噛合い音の周波数(401[Hz])と一致又は近似した固有振動数を有する共振部材である。これにより、上記噛合い音を簡易な構成で増幅することができる。
特に、本実施形態のように、共振部材として用いるモータブラケット59が、画像形成手段を構成する構成物品であってこの構成物品の質量調整用の部材63を固定したものであるので、モータブラケット自体が上記噛合い音の周波数(401[Hz])と一致又は近似した固有振動数を有しないものであっても、このモータブラケット59を上記共振部材として利用することができる。しかも、本実施形態では、この質量調整用の部材として、モータブラケット59で生じる振動のうち1000[Hz]以上の高周波騒音の発生原因となる振動を抑制する制振部材63を用いるので、この制振部材63によって、モータブラケット59の固有振動数を噛合い音の周波数(401[Hz])に一致又は近似させるとともに、高周波騒音を積極に低減することもできる。
また、本実施形態では、マスク音として用いる低周波騒音を発生させるドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44(低周波構成物品)が駆動装置を構成する構成物品であり、上記共振部材として用いるモータブラケット59がドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44を支持する支持部材である。これにより、ドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44が発生させる噛合い音(低周波騒音)は、本プリンタ内で発生する低周波騒音の中でも比較的音圧レベルが高いものであるため、これをマスク音として利用することにより高周波騒音の高いマスキング効果を効果的に得ることができる。しかも、ドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44を支持するモータブラケット59を共振部材として用いることで、ドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44で発生する噛合い音(低周波騒音)を効果的に増幅させることができる。
また、本実施形態では、少なくとも上記高周波騒音を吸収する吸音手段としての吸音材64,65を設けているので、本プリンタ全体の騒音、特に人間が特に不快と感じる高周波騒音を積極的に低減し、本プリンタの静音化を図ることができる。
【0049】
尚、本実施形態では、駆動装置を構成するドラム駆動モータギヤ61,62及びギヤ44が低周波構成物品である場合について説明したが、同様の低周波騒音を発生させる他の構成物品を用いてもよい。
また、本実施形態では、低周波増幅手段として、モータブラケット59を用いる場合を例に挙げたが、低周波構成物品が発生させる低周波騒音を増幅させることができるものであれば他の部材であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施形態に係るプリンタ全体の概略構成を示す説明図。
【図2】同プリンタの光学ユニットの構成を示す説明図。
【図3】同プリンタの感光体ユニットの周辺構成を示す説明図。
【図4】同感光体ユニットの駆動機構の説明図。
【図5】同プリンタの定着ユニットの内部構造を示す斜視図。
【図6】同定着ユニットに設けられたオイル塗布ユニットの拡大図。
【図7】同プリンタの給紙部の構成を示す説明図。
【図8】同給紙部における第1トレイおよび第2トレイから用紙を送り出す第1給紙ユニットおよび第2給紙ユニットの駆動系を示す説明図。
【図9】本発明者らが行った騒音分析において測定した、従来のプリンタが発生させる騒音の音圧レベルをFFT分析した結果を示すグラフ。
【図10】同感光体ユニットにおけるカラードラム駆動モータと黒ドラム駆動モータとを含むドラム駆動機構を示す斜視図。
【図11】質量mの物体に対し、強制的に余弦波の加振力Pcosωtを与えるときのモデルを示す模式図。
【図12】同感光体ユニットのモータブラケットの構成を示す説明図。
【図13】同モータブラケットの固有振動数を401[Hz]又はその近傍に設定したときの実験結果を示すグラフ。
【図14】(a)乃至(e)は、ステップ角θ0で駆動する給紙ステッピングモータのロータの動きを説明するための説明図。
【図15】同給紙ステッピングモータの簡単な電気回路図。
【図16】図15に示した電気回路においてマイクロステップ駆動の1つである1−2相励磁を行うときのシーケンス図。
【図17】同光学ユニットのハウジング内におけるポリゴンミラーモータの周辺構成を示す説明図。
【図18】排紙トレイの下方に位置するプリンタ内部に吸音材を貼り付けた例を示す説明図。
【図19】同プリンタについて、上記騒音分析の場合と同じ条件で測定した音圧レベルをFFT分析した結果を示すグラフ。
【図20】図9に示した結果と図19に示した結果を1/3オクターブ分析に変えて比較分析した結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0051】
1 光学ユニット
2 ポリゴンミラーモータ
3 感光体ユニット
41,42 ドラム駆動モータ
44 ドラムギヤ
59 モータブラケット
61,62 ドラム駆動モータギヤ
63 制振部材
64,65 吸音材
83 給紙ステッピングモータ
110 給紙部
510 排紙トレイ




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013