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発明の名称 定着装置及び画像形成装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3808(P2007−3808A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−183623(P2005−183623)
出願日 平成17年6月23日(2005.6.23)
代理人
発明者 上野 智志
要約 課題
加熱部材に当接する定着部材が幅方向に変位して、加熱部材に対する定着部材の幅方向端部における当接不良が生じても、加熱部材の幅方向端部における過昇温が発生しない定着装置及び画像形成装置を提供する。

解決手段
磁束を発生させる磁束発生手段と、磁束によって電磁誘導加熱される加熱部材23aと、加熱部材23aに当接して加熱されるとともにトナー像を加熱してトナー像を記録媒体に定着させる定着部材22と、加熱部材23aに対する定着部材22の幅方向端部における当接状態を直接的又は間接的に検知する検知手段37a、37bと、検知手段37a、37bの検知結果に基いて加熱部材23aの幅方向端部に作用する磁束を低下させる磁束調整部材29と、を備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
磁束を発生させる磁束発生手段と、
前記磁束によって電磁誘導加熱される加熱部材と、
前記加熱部材に当接して加熱されるとともに、トナー像を加熱して当該トナー像を記録媒体に定着させる定着部材と、
前記加熱部材に対する前記定着部材の幅方向端部における当接状態を直接的又は間接的に検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基いて前記加熱部材の幅方向端部に作用する磁束を低下させる磁束調整部材と、
を備えたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記磁束調整部材は、前記検知手段が前記当接状態の不良を検知した場合に、前記幅方向端部の磁束を低下させることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記定着部材又は/及び前記加熱部材の幅方向端部における温度を検知する温度検知手段であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記磁束調整部材は、前記温度検知手段によって検知される前記定着部材及び前記加熱部材の幅方向端部の温度差が所定値以上になる場合に当該幅方向端部の磁束を低下させることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記磁束調整部材は、前記温度検知手段によって検知される前記定着部材の温度が所定値以下になる場合に当該幅方向端部の磁束を低下させることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項6】
前記磁束調整部材は、前記温度検知手段によって検知される前記加熱部材の温度が所定値以上になる場合に当該幅方向端部の磁束を低下させることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項7】
前記磁束調整部材は、前記温度検知手段によって検知される前記定着部材の幅方向両端部の温度差が所定値以上になる場合に幅方向両端部のうち温度の低い幅方向端部の磁束を低下させることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項8】
前記磁束調整部材は、前記温度検知手段によって検知される前記加熱部材の幅方向両端部の温度差が所定値以上になる場合に幅方向両端部のうち温度の高い幅方向端部の磁束を低下させることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項9】
前記検知手段は、前記加熱部材に対する前記定着部材の幅方向端部における変位を直接的に検知する変位検知手段であることを特徴とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
【請求項10】
前記磁束発生手段は、前記加熱部材に対向するように幅方向に延設されたコイル部と、前記加熱部材を介して前記コイル部に対向する内部コアと、を備え、
前記磁束調整部材は、前記コイル部と前記内部コアとの間に配設された磁束遮蔽部材であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。
【請求項11】
前記磁束遮蔽部材は、前記コイル部に対向する前記内部コアの外周を覆う範囲を連続的又は段階的に増減できるように形成されたことを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
【請求項12】
前記内部コアの外周を覆う範囲を連続的又は段階的に増減するように前記磁束遮蔽部材を駆動する駆動手段を備えたことを特徴とする請求項11に記載の定着装置。
【請求項13】
前記加熱部材に対する前記記録媒体の幅方向の範囲を検知する第2検知手段を備え、
前記駆動手段は、前記第2検知手段によって検知された前記幅方向の範囲に基いて前記磁束調整部材を駆動制御することを特徴とする請求項12に記載の定着装置。
【請求項14】
前記磁束発生手段は、前記加熱部材に対向しない側で前記コイル部に対向するとともにセンターコアを有するコア部を備え、
前記磁束遮蔽部材は、前記センターコアに対向する前記内部コアの外周を覆うことを特徴とする請求項10〜請求項13のいずれかに記載の定着装置。
【請求項15】
前記定着部材は、定着ベルトであって、
前記加熱部材は、定着補助ローラとともに前記定着ベルトを張架する加熱ローラであることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれかに記載の定着装置。
【請求項16】
前記定着ベルトは、前記加熱ローラに当接する内周面側の幅方向端部に突起部を備え、
前記加熱ローラは、前記定着ベルトの幅方向の変位に連動して前記突起部が当接する係合部を備えたことを特徴とする請求項15に記載の定着装置。
【請求項17】
前記係合部は、前記加熱ローラの端部に挿設されたフランジに形成されたことを特徴とする請求項16に記載の定着装置。
【請求項18】
前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項15〜請求項17のいずれかに記載の定着装置。
【請求項19】
請求項1〜請求項18のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置とそこに設置される定着装置とに関し、特に、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、装置の立ち上がり時間を低減して省エネルギー化することを目的として、電磁誘導加熱方式の定着装置を用いたものが広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1等において、電磁誘導加熱方式の定着装置は、加熱部材としての加熱ローラ、定着補助ローラ(定着ローラ)、加熱ローラと定着補助ローラとによって張架された定着部材としての定着ベルト、加熱ローラに定着ベルトを介して対向する磁束発生手段としての誘導加熱部(誘導加熱手段)、定着補助ローラに定着ベルトを介して当接する加圧ローラ、等で構成される。誘導加熱部は、幅方向(記録媒体の搬送方向に直交する方向である。)に延設されたコイル部(励磁コイル)や、コイル部に対向するコア部(励磁コイルコア)等で構成される。
【0004】
そして、定着ベルトは、誘導加熱部との対向位置で加熱される。加熱された定着ベルトは、定着補助ローラ及び加圧ローラの位置に搬送される記録媒体上のトナー像を加熱して定着する。詳しくは、コイル部に高周波の交番電流を流すことで、コイル部の周囲に交番磁界が形成されて、加熱ローラ表面近傍に渦電流が生じる。加熱ローラに渦電流が生じると、加熱ローラ自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、加熱ローラに巻装された定着ベルトが加熱される。
このような電磁誘導加熱方式の定着装置は、発熱体が電磁誘導によって直接的に加熱されるために、熱ローラ方式(ヒータランプ加熱方式)等の他方式のものに比べて熱変換効率が高く、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間にて定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できるものとして知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−70376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の定着装置は、定着部材としての定着ベルトが幅方向に位置ずれ(ベルト寄り)したときに、加熱部材としての加熱ローラに対する定着ベルトの幅方向端部における当接不良が生じて、加熱ローラの幅方向端部に過昇温が発生してしまう可能性があった。
【0007】
詳しくは、次の通りである。
従来の定着装置においては、誘導加熱部に対向する定着ベルトが幅方向に位置ずれ(ベルト寄り)するのを抑止するために、定着ベルトの内周面であって幅方向両端部に突起部(寄り止め部)を設けるとともに、その突起部に当接する係合部を加熱ローラの両端部に圧入されたフランジに形成することができる。すなわち、定着ベルトが一方の幅方向端部側に位置ずれしそうになっても、他方の幅方向端部に設けられた突起部が、ストッパとして機能する加熱ローラの係合部に当接することで、定着ベルトの幅方向の移動が抑止される。
【0008】
しかし、定着ベルトの突起部が加熱ローラの係合部を乗り上げてしまった場合(完全に乗り上げてはいないがそれに近い状態になっている場合も含む。)には、その部分で定着ベルトが加熱ローラから離間してしまうことになる。このように加熱ローラに対する定着ベルトの当接状態の不良が発生すると、その部分(幅方向端部である。)で加熱ローラが瞬時に過昇温してしまう。これは、電磁誘導加熱された加熱ローラの熱が定着ベルト(非当接の状態である。)に伝わらずに、加熱ローラの内部に蓄積されてしまうためである。そして、加熱ローラの幅方向両端部が過昇温してしまうと、加熱ローラの両端部に圧入されたフランジが耐熱温度を超えて破損してしまう可能性もある。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、加熱部材に当接する定着部材が幅方向に変位して、加熱部材に対する定着部材の幅方向端部における当接不良が生じても、加熱部材の幅方向端部における過昇温が発生しない定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、磁束を発生させる磁束発生手段と、前記磁束によって電磁誘導加熱される加熱部材と、前記加熱部材に当接して加熱されるとともに、トナー像を加熱して当該トナー像を記録媒体に定着させる定着部材と、前記加熱部材に対する前記定着部材の幅方向端部における当接状態を直接的又は間接的に検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基いて前記加熱部材の幅方向端部に作用する磁束を低下させる磁束調整部材と、を備えたものである。
【0011】
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記磁束調整部材は、前記検知手段が前記当接状態の不良を検知した場合に、前記幅方向端部の磁束を低下させるものである。
【0012】
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記検知手段を、前記定着部材又は/及び前記加熱部材の幅方向端部における温度を検知する温度検知手段としたものである。
【0013】
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記磁束調整部材は、前記温度検知手段によって検知される前記定着部材及び前記加熱部材の幅方向端部の温度差が所定値以上になる場合に当該幅方向端部の磁束を低下させるものである。
【0014】
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記磁束調整部材は、前記温度検知手段によって検知される前記定着部材の温度が所定値以下になる場合に当該幅方向端部の磁束を低下させるものである。
【0015】
また、請求項6記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記磁束調整部材は、前記温度検知手段によって検知される前記加熱部材の温度が所定値以上になる場合に当該幅方向端部の磁束を低下させるものである。
【0016】
また、請求項7記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記磁束調整部材は、前記温度検知手段によって検知される前記定着部材の幅方向両端部の温度差が所定値以上になる場合に幅方向両端部のうち温度の低い幅方向端部の磁束を低下させるものである。
【0017】
また、請求項8記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記磁束調整部材は、前記温度検知手段によって検知される前記加熱部材の幅方向両端部の温度差が所定値以上になる場合に幅方向両端部のうち温度の高い幅方向端部の磁束を低下させるものである。
【0018】
また、請求項9記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記検知手段を、前記加熱部材に対する前記定着部材の幅方向端部における変位を直接的に検知する変位検知手段としたものである。
【0019】
また、請求項10記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記磁束発生手段は、前記加熱部材に対向するように幅方向に延設されたコイル部と、前記加熱部材を介して前記コイル部に対向する内部コアと、を備え、前記磁束調整部材を、前記コイル部と前記内部コアとの間に配設された磁束遮蔽部材としたものである。
【0020】
また、請求項11記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項10に記載の発明において、前記磁束遮蔽部材は、前記コイル部に対向する前記内部コアの外周を覆う範囲を連続的又は段階的に増減できるように形成されたものである。
【0021】
また、請求項12記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項11に記載の発明において、前記内部コアの外周を覆う範囲を連続的又は段階的に増減するように前記磁束遮蔽部材を駆動する駆動手段を備えたものである。
【0022】
また、請求項13記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項12に記載の発明において、前記加熱部材に対する前記記録媒体の幅方向の範囲を検知する第2検知手段を備え、前記駆動手段は、前記第2検知手段によって検知された前記幅方向の範囲に基いて前記磁束調整部材を駆動制御するものである。
【0023】
また、請求項14記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項10〜請求項13のいずれかに記載の発明において、前記磁束発生手段は、前記加熱部材に対向しない側で前記コイル部に対向するとともにセンターコアを有するコア部を備え、前記磁束遮蔽部材は、前記センターコアに対向する前記内部コアの外周を覆うものである。
【0024】
また、請求項15記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項14のいずれかに記載の発明において、前記定着部材は、定着ベルトであって、前記加熱部材を、定着補助ローラとともに前記定着ベルトを張架する加熱ローラとしたものである。
【0025】
また、請求項16記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項15に記載の発明において、前記定着ベルトは、前記加熱ローラに当接する内周面側の幅方向端部に突起部を備え、前記加熱ローラは、前記定着ベルトの幅方向の変位に連動して前記突起部が当接する係合部を備えたものである。
【0026】
また、請求項17記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項16に記載の発明において、前記係合部は、前記加熱ローラの端部に挿設されたフランジに形成されたものである。
【0027】
また、請求項18記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項15〜請求項17のいずれかに記載の発明において、前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたものである。
【0028】
また、この発明の請求項19記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項18のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置において、加熱部材に対する定着部材の当接状態を検知して、その検知結果に基いて加熱部材の幅方向端部に作用する磁束を低下させている。これにより、加熱部材に当接する定着部材が幅方向に変位して、加熱部材に対する定着部材の幅方向端部における当接不良が生じても、加熱部材の幅方向端部における過昇温が発生しない定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0031】
実施の形態1.
図1〜図8にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、3は画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、4は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11、12は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は主として給紙部11、12の記録媒体Pとは異なるサイズの記録媒体Pを搬送する際に用いる手差し給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置を示す。
【0032】
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、露光部3(書込部)から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ4の感光体ドラム18上に向けて発せられる。感光体ドラム18は図中の反時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
なお、図示は省略するが、プロセスカートリッジ4には、感光体ドラム18、感光体ドラム18上を帯電する帯電部、トナー(現像剤)が収容されていて感光体ドラム18上に形成された静電潜像を現像する現像部、感光体ドラム18上に残存する未転写トナーを除去するクリーニング部、等が一体的に設けられている。
【0033】
一方、転写部7に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部11、12のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする。)。なお、複数の給紙部11、12には、それぞれ、異なるサイズの記録媒体Pや、搬送方向の異なる同一サイズの記録媒体Pが、収納されている。
【0034】
そして、給紙部11に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。その後、記録媒体Pは、搬送経路Kを通過してレジストローラ13の位置に達する。そして、レジストローラ13の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム18上に形成されたトナー像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
【0035】
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着ベルトと加圧ローラとの間に送入されて、定着ベルトから受ける熱と加圧ローラから受ける圧力とによってトナー像が定着される。トナー像が定着された記録媒体Pは、定着ベルトと加圧ローラとの間から送出された後に、出力画像として画像形成装置本体1から排出されて、排紙トレイ10上に載置される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0036】
次に、図2にて、画像形成装置本体1に設置される定着装置20の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置20は、主として、定着補助ローラ21、定着ベルト22(定着部材)、加熱ローラ23(加熱部材)、誘導加熱部24(磁束発生手段)、加圧ローラ30、オイル塗布ローラ34、ガイド板35、分離板36等で構成される。
【0037】
ここで、定着補助ローラ21は、その表面にシリコーンゴム等の弾性層が形成されていて、不図示の駆動部によって図2の反時計方向に回転駆動される。
加熱部材としての加熱ローラ23は、主として、SUS304等の非磁性材料からなる円筒部23a(図3及び図4を参照できる。)で構成されていて、図の反時計方向に回転する。加熱ローラ23の内部には、フェライト等の強磁性材料からなる内部コア28と、銅等の透磁性の低い材料からなる磁束遮蔽部材29(磁束調整部材)と、が設置されている。内部コア28は、定着ベルト22及び加熱ローラ23を介してコイル部25に対向している。また、磁束遮蔽部材29は、内部コア28の幅方向両端部を遮蔽できるように構成されている。内部コア28と磁束遮蔽部材29とは一体的に回転するように構成されている。この内部コア28及び磁束遮蔽部材29の回転は、加熱ローラ23の回転とは別々におこなわれる。加熱ローラ23の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0038】
定着部材としての定着ベルト22は、加熱ローラ23と定着補助ローラ21とに張架・支持されている。定着ベルト22は、ポリイミド樹脂等からなるベース層や、銀やニッケルや鉄等からなる発熱層や、フッ素化合物等からなる離型層(表面層)等からなる多層構造のエンドレスベルトである。定着ベルト22の離型層によって、トナーTに対する離型性が担保されている。
【0039】
磁束発生手段としての誘導加熱部24は、コイル部25、センターコア26a及びサイドコア26bを有するコア部26、コイルガイド27、等で構成される。
ここで、コイル部25は、加熱ローラ23に巻装された定着ベルト22の一部を覆うように、細線を束ねたリッツ線を幅方向(図2の紙面垂直方向である。)に延設したものである。コイルガイド27は、耐熱性の高い樹脂材料等からなり、コイル部25及びコア部26を保持する。コア部26は、フェライト等の透磁性の高い材料からなる。コア部26は、幅方向に延設されたコイル部25に対向するように設置されている。サイドコア26bは、コイル部25の端部に設置されている。センターコア26aは、コイル部25の中央に設置されている。
なお、本実施の形態1においては、加熱ローラ23内に内部コア28を設置している。これによって、コア部26と内部コア28との間に良好な磁界が形成されて、加熱ローラ23及び定着ベルト22を効率よく加熱することができる。
【0040】
また、加圧ローラ30は、芯金上にフッ素ゴムやシリコーンゴム等の弾性層が形成されたものであり、定着ベルト22を介して定着補助ローラ21に圧接している。そして、定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部(定着ニップ部である。)に、記録媒体Pが搬送される。
【0041】
定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部の入口側には、記録媒体Pの搬送を案内するガイド板35が配設されている。
定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部の出口側には、記録媒体Pの搬送を案内するとともに記録媒体Pが定着ベルト22から分離するのを促進する分離板36が配設されている。
【0042】
定着ベルト22の外周面の一部には、オイル塗布ローラ34が当接している。オイル塗布ローラ34は、定着ベルト22上にシリコーンオイル等のオイルを供給する。これにより、定着ベルト22上におけるトナー離型性がさらに担保される。なお、オイル塗布ローラ34には、その表面上の汚れを除去するクリーニングローラ33が当接されている。
【0043】
図示は省略するが、加熱ローラ23の外周面の一部(幅方向中央部である。)には、サーモスタットが当接されている。サーモスタットで検知した加熱ローラ23の温度が所定の温度を超えた場合には、サーモスタットによって誘導加熱部24への通電が切断される。
また、図示は省略するが、定着ベルト22上の幅方向中央部にはサーミスタ(又は、サーモパイル)が設置されていて、定着ベルト22上の表面温度(定着温度)を検知して定着温度の制御をおこなっている。
【0044】
このように構成された定着装置20は、次のように動作する。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着ベルト22は図2中の矢印方向に周回するとともに、加熱ローラ23も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、誘導加熱部24との対向位置で加熱される。詳しくは、コイル部25に高周波の交番電流を流すことで、コア部26と内部コア28との間に磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このとき、加熱ローラ23表面に渦電流が生じて、加熱ローラ23自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、加熱ローラ23に巻装された定着ベルト22が加熱される。なお、本実施の形態1では、定着ベルト22自身も発熱層を有するために、定着ベルト22は加熱ローラ23によって加熱される他に、定着ベルト22自身でも誘導加熱部24によって電磁誘導加熱されることになる。
【0045】
その後、誘導加熱部24によって発熱した定着ベルト22表面は、加圧ローラ30との当接部に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像Tを加熱して溶融する。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板35に案内されながら定着ベルト22と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Yの搬送方向の移動である。)。そして、定着ベルト22から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト22と加圧ローラ30との間から送出される。
【0046】
図3及び図4にて、加熱ローラ23の構成・動作について、詳しく説明する。
図3(A)及び図3(B)は、図2の定着装置20に設置された加熱ローラ23を誘導加熱部24側から幅方向にみた図であって、内部に設置された内部コア28及び磁束遮蔽部材29の構成が理解容易になるように図示したものである。図3(B)は、内部コア28及び磁束遮蔽部材29を図3(A)の状態から所定角度回転させた状態を示した図である。
【0047】
図3(A)に示すように、加熱ローラ23の内部には、幅L1の円柱状の内部コア28と、内部コア28の幅方向両端部に貼着された磁束遮蔽部材29と、が回転自在に設置されている。磁束調整部材としての磁束遮蔽部材29は、定着ベルト22が幅方向に位置ずれ(ベルト寄り)して幅方向端部にて加熱ローラ23に対する当接不良が生じた場合に、その幅方向端部の加熱ローラ23の過昇温を防止する機能を有する。具体的に、幅方向端部における定着ベルト22の当接不良が生じた場合に、内部コア28を磁束遮蔽部材29とともに回転させることによって、誘導加熱部24のコイル部25(主として、センターコア26aの位置である。)に対向する内部コア28の幅方向端部を遮蔽して、加熱ローラ23の幅方向端部に作用する磁束を低下させる。これについては、後で詳しく説明する。
【0048】
他方、本実施の形態1における磁束遮蔽部材29は、上述の機能の他に、定着ベルト22上の記録媒体Pの幅を超えた範囲で温度上昇が生じないように幅方向の加熱範囲を調整する機能も有している。具体的に、磁束遮蔽部材29は、内部コア28の周面を遮蔽する範囲を端面側から漸減(又は漸増)するように形成されている。これにより、内部コア28を磁束遮蔽部材29とともに回転させる角度を調整することによって、誘導加熱部24のコイル部25に対向する内部コア28の幅方向の遮蔽範囲(主として、センターコア26aに対向する範囲である。)を可変することができる。
なお、内部コア28及び磁束遮蔽部材29の回転駆動は、内部コア28の軸部28aに連結された駆動手段としてのステッピングモータ(不図示である。)によっておこなわれる。このステッピングモータは、定着補助ローラ21、定着ベルト22、加熱ローラ23等を駆動する駆動モータ(不図示である。)とは別の駆動系となる。
【0049】
具体的に、図3(A)の状態の内部コア28及び磁束遮蔽部材29を、周方向に90°回転させると、図3(B)の状態になる。このとき、誘導加熱部24に対向する内部コア28の最大範囲が遮蔽されることになる。そして、磁束遮蔽部材29によって遮蔽された遮蔽範囲では、誘導加熱部24のコア部26との間に形成されるべき磁力線が遮断される。したがって、遮蔽範囲に対応する定着ベルト22上は加熱されずらく、その領域外(中央の幅L2の領域である。)のみが定着ベルト22の加熱範囲となる。
【0050】
この状態は、幅L2の記録媒体Pを連続的に定着する場合に適している。具体的に、画像形成装置で扱う最小幅(例えば、148mm)の記録媒体Pを定着する場合には、内部コア28及び磁束遮蔽部材29の回転方向の姿勢を図3(B)の状態に固定して、図2で説明した定着工程をおこなう。
【0051】
このとき、図4の実線R2に示すように、定着ベルト22上の幅方向の定着温度分布は、幅L2の範囲で均一化されるため、幅L2の記録媒体Pに対して良好な定着性が確保される。また、定着ベルト22上の幅L2を超えた範囲では、温度上昇が生じないために、定着ベルト22の熱的破損を抑止できる。
【0052】
なお、図4は、定着ベルト22上の幅方向の温度分布を示すグラフである。図4において、横軸は定着ベルト22における幅方向の位置を示し、縦軸は定着ベルト22表面の温度(定着温度)を示す。ここで、横軸の幅方向位置の「0」は、定着ベルト22の幅方向中央位置を示す。実線R1は磁束遮蔽部材29の遮蔽範囲を最小として定着ベルト22の加熱範囲を最大としたときの温度分布を示し、実線R2は磁束遮蔽部材29の遮蔽範囲を最大として定着ベルト22の加熱範囲を最小としたときの温度分布を示す。
【0053】
図3(B)の状態の内部コア28及び磁束遮蔽部材29を、さらに周方向に180°回転させると、誘導加熱部24に対向する内部コイル23aの最大範囲が磁束遮蔽部材29の遮蔽から開放されることになる。そして、開放された内部コア28と誘導加熱部24のコア部26との間に形成される磁力線によって、定着ベルト22の最大範囲(幅L1の全範囲である。)が加熱範囲となる。
【0054】
この状態は、幅L1の記録媒体Pを連続的に定着する場合に適している。具体的に、画像形成装置で扱う最大幅(例えば、297mm)の記録媒体Pを定着する場合には、内部コア28及び磁束遮蔽部材29の回転方向の姿勢を図3(B)の状態から180°回転させた状態に固定して、図2で説明した定着工程をおこなう。
このとき、図4の実線R1に示すように、定着ベルト22上の幅方向の定着温度分布は、幅L1の範囲で均一化される。このため、幅L1の記録媒体Pに対して良好な定着性が確保される。
【0055】
また、幅がL1よりも小さくL2よりも大きな記録媒体Pを定着(画像形成)する場合には、内部コア28及び磁束遮蔽部材29を記録媒体Pの幅に応じて所定角度回転させて、定着ベルト22の加熱範囲がその幅になるように調整する。これにより、定着ベルト22上の幅方向の定着温度分布は、記録媒体Pの幅の範囲で均一化されるため良好な定着性が確保される。また、定着ベルト22上の記録媒体Pの幅を超えた範囲では、温度上昇が生じないために、定着ベルト22の熱的破損を抑止できる。
なお、記録媒体Pの幅方向の大きさは、給紙部11、12、15に設置されたサイズ検知センサ(フォトセンサ)の検知結果や、操作部に入力された操作情報に基いて、制御部で判断される。このようなサイズ検知センサ等の第2検知手段によって検知された幅方向範囲に基いて、磁束遮蔽部材29が駆動制御される。
【0056】
図5〜図8にて、本実施の形態1の定着装置20において特徴的な構成・動作について、詳しく説明する。
図5は、内部コア28及び磁束遮蔽部材29が内設されて定着ベルト22が当接された加熱ローラ23の幅方向端部の構成を詳細に示す断面図である。図5中の上方がセンターコア26aの位置になる。また、図6は、磁束遮蔽部材29が図5の状態から内部コア28とともに180度回転した状態を示す図である。
【0057】
図5に示すように、加熱ローラ23は、SUS304等の非磁性材料からなる円筒部23a(電磁誘導加熱される加熱部材の主部である。)、円筒部23aの両端部に圧入された樹脂製のフランジ23b、フランジ23bに挿設された軸受32、等で構成される。加熱ローラ23は、軸受32を介して内部コア28の軸部28bに回転自在に支持されている。加熱ローラ23は、当接する定着ベルト22との摩擦抵抗によって、定着ベルト22の走行に従動して所定方向に回転することになる。一方、内部コア28は、加熱ローラ23の回転とは独立して、不図示のステッピングモータ(駆動手段)に連結された軸部28aとともに所定のタイミング(幅方向端部における過昇温発生時や記録媒体Pのサイズ変更時である。)で回転駆動される。
【0058】
また、定着ベルト22の内周面であって幅方向両端部には、ゴム材料からなる突起部22a(寄り止め部)が設けられている。そして、加熱ローラ23のフランジ23bには、定着ベルト2の突起部22aが当接する係合部23b1が設けられている。これにより、定着ベルト22が一方の幅方向端部側に位置ずれ(図5の左側への移動である。)しそうになっても、他方の幅方向端部(図5に示す幅方向端部である。)に設けられた突起部22aが、ストッパとして機能する加熱ローラ23の係合部23b1に当接することで、定着ベルトの幅方向の移動が抑止される。
【0059】
また、加熱ローラ23の外周面上であって幅方向両端部には、加熱ローラ23の幅方向端部の温度(T1)を検知する第1の温度センサ37aが設置されている。さらに、加熱ローラ23に当接する定着ベルト22の外周面上であって幅方向両端部には、定着ベルト22の幅方向端部の温度(T2)を検知する第2の温度センサ37bが設置されている。これらの温度センサ(温度検知手段)37a、37bは、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の幅方向端部における当接状態を間接的に検知する検知手段として機能するものである。
【0060】
詳しくは、図7に示すように、定着ベルト22が図中矢印方向に位置ずれして、定着ベルト22の突起部22aが加熱ローラ23の係合部23b1を乗り上げてしまった場合(完全に乗り上げてはいないがそれに近い状態になっている場合も含む。)には、その部分で定着ベルト22が加熱ローラ23から離間してしまうことになる。このように加熱ローラ23に対する定着ベルト22の当接状態の不良が発生すると、その部分(幅方向端部である。)で加熱ローラ23が瞬時に過昇温してしまう。これは、電磁誘導加熱された加熱ローラ23の熱が定着ベルト22に伝わらずに、加熱ローラ23の内部に蓄積されてしまうためである。そして、加熱ローラ23の幅方向端部が過昇温してしまうと、加熱ローラ23の端部に圧入されたフランジ23bが耐熱温度を超えて破損してしまうことになる。一方、加熱ローラ23から離間した定着ベルト22の端部は、その温度が低下してしまうことになる。
【0061】
本実施の形態1では、幅方向端部における定着ベルト22の当接不良(浮き)を、加熱ローラ23の幅方向端部の温度(T1)と定着ベルト22の幅方向端部の温度(T2)との温度差によって、間接的に検知している。すなわち、双方の温度差(T1−T2)が所定値以上になる場合には、加熱ローラ23から定着ベルト22への正常な熱伝達がなくて、定着ベルト22の位置ずれによる当接不良が生じているものと判断される。
【0062】
そして、定着ベルト22の当接不良が生じているものと判断された場合には、磁束遮蔽部材29をコイル部25に対向する位置に移動(回転駆動)させる(図5の状態である。)。これにより、加熱ローラ23の幅方向端部(過昇温が生じる位置である。)に作用する磁束を低下させて、その位置における電磁誘導加熱の低減にともない幅方向端部の過昇温を未然に防止することができる。なお、定着ベルト22の当接不良が生じていないものと判断された場合(正常時である。)には、図6に示すように、磁束遮蔽部材29をコイル部25に対向しない位置(ホームポジション)に移動させることになる。
【0063】
図8にて、本実施の形態1における定着装置20でおこなわれる、具体的な制御について説明する。
まず、第1の温度センサ37aによって加熱ローラ23の幅方向端部の温度(T1)が測定され、それと同時に第2の温度センサ37bによって定着ベルト22の幅方向端部の温度(T2)が測定され、双方の温度差(T1−T2)が求められる(ステップS1)。
【0064】
その後、加熱ローラ23及び定着ベルト22の温度差(T1−T2)が所定値以上(T1−T2>80℃)であるかが判断される(ステップS2)。その結果、温度差が所定値以上ではないと判断された場合には、定着ベルト22の当接不良がないものとして、ステップS1以降のフローが繰り返される。
これに対して、温度差が所定値以上(T1−T2>80℃)である場合には、定着ベルト22の当接不良があるものとして、端部の磁束を低下させる位置(図5の位置である。)に磁束遮蔽部材29を移動させる(ステップS3)。
【0065】
その後、ステップS1と同様に、加熱ローラ23及び定着ベルト22の幅方向端部の温度差(T1−T2)が求められる(ステップS4)。そして、加熱ローラ23及び定着ベルト22の温度差(T1−T2)が所定値以上となっていないか(T1−T2≦80℃であるか)が判断される(ステップS5)。
その結果、温度差が所定値以上ではないと判断されると(T1−T2≦80℃)、幅方向端部における加熱ローラ23の過昇温が抑止されたものとして、磁束遮蔽部材29をホームポジション(図6の位置である。)に移動させる(ステップS6)。以後、ステップS1以降のフローが繰り返される。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態1では、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の当接状態を間接的に検知して、その検知結果に基いて加熱ローラ23の幅方向端部に作用する磁束を低下させている。これにより、加熱ローラ23に当接する定着ベルト22が幅方向に変位して、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の幅方向端部における当接不良が生じても、加熱ローラ23の幅方向端部における過昇温の発生を抑止することができる。その結果、フランジ23bの熱的破損等の二次的な不具合も抑止することができる。
【0067】
なお、本実施の形態1では、加熱ローラ23を加熱部材として用いるとともに、定着ベルト22に発熱層を形成して定着ベルト22を定着部材及び加熱部材として用いた。これに対して、定着ベルト22に発熱層を形成しないで定着ベルト22を定着部材としてのみ用いるとともに、加熱ローラ23のみを加熱部材として用いることもできる。その場合も、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の当接状態を検知して、その検知結果に基いて加熱ローラ23の幅方向端部に作用する磁束を低下させることで、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0068】
また、本実施の形態1では、定着ベルト22の当接不良にともない幅方向両端部のうち一方の幅方向端部が過昇温したときに、双方の幅方向端部の磁束を磁束遮蔽部材29によって低下させた。これに対して、過昇温が生じる一方の幅方向端部のみの磁束を低下させるように、定着装置を構成し制御することもできる。この場合、上述の磁束遮蔽部材(記録媒体Pの幅によって加熱範囲を可変するものである。)とは別に、双方の幅方向端部をそれぞれ個別に磁束低下させる磁束遮蔽部材を内部コア28の円周方向に位相差を設けて配設することになる。
【0069】
実施の形態2.
図9にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図9は、実施の形態2における定着装置20に設置される加熱ローラ23を示す図であって、前記実施の形態1の図3(A)に相当する図である。本実施の形態2は、加熱ローラ23の内部に設置される磁束遮蔽部材29の形状が、前記実施の形態1のものとは相違する。
【0070】
図9に示すように、加熱ローラ23の内部には、内部コア28と磁束遮蔽部材29とが回転自在に設置されている。
内部コア28と一体化された磁束遮蔽部材29は、前記実施の形態1のものとは異なり、内部コア28の周面を遮蔽する範囲を端面側から段階的(本実施の形態2では3段階である。)に減少(又は増加)するように形成されている。本実施の形態2においても、加熱ローラ23の幅方向端部に作用する磁束を必要に応じて減ずることができる。さらに、内部コア28を磁束遮蔽部材29とともに回転させることによって、誘導加熱部24のコイル部25に対向する内部コア28の遮蔽範囲を可変することができる。
本実施の形態2においても、前記実施の形態1と同様に、内部コア28及び磁束遮蔽部材29を記録媒体Pの幅に応じて所定角度回転させて、定着ベルト22の加熱範囲がその幅になるように調整する。
【0071】
そして、本実施の形態2においても、前記実施の形態1と同様に、幅方向端部における定着ベルト22の当接不良(浮き)を、温度検知手段37a、37bで間接的に検知している。そして、定着ベルト22の当接不良が生じているものと判断された場合には、磁束遮蔽部材29がコイル部25に対向する位置に移動するように駆動制御している。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態2においても、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の当接状態を検知して、その検知結果に基いて加熱ローラ23の幅方向端部に作用する磁束を低下させている。これにより、加熱ローラ23に当接する定着ベルト22が幅方向に変位して、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の幅方向端部における当接不良が生じても、加熱ローラ23の幅方向端部における過昇温の発生を抑止することができる。
【0073】
実施の形態3.
図10にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図10は、実施の形態3における定着装置20でおこなわれる制御を示すフローチャートであって、前記実施の形態1の図8に相当する図である。本実施の形態3は、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の幅方向端部の当接状態を検知する検知手段が、前記実施の形態1のものとは相違する。
【0074】
図示は省略するが、本実施の形態3における定着装置も、加熱ローラ23に当接する定着ベルト22の外周面上であって幅方向両端部には、それぞれ、定着ベルト22の幅方向端部の温度(T2、T2´)を検知する温度センサ37bが設置されている。これらの両端に設置された温度センサ(温度検知手段)37bは、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の幅方向端部における当接状態を間接的に検知する検知手段として機能するものである。
【0075】
本実施の形態3では、幅方向端部における定着ベルト22の当接不良(浮き)を、定着ベルト22の一方の幅方向端部の温度(T2)と他方の幅方向端部の温度(T2´)との温度差によって、間接的に検知している。すなわち、幅方向両端部の温度差(|T2−T2´|)が所定値以上になる場合には、加熱ローラ23から定着ベルト22への正常な熱伝達がなくて、一方の端部に定着ベルト22の位置ずれによる当接不良が生じているものと判断される。
【0076】
そして、定着ベルト22の当接不良が生じているものと判断された場合には、磁束遮蔽部材29をコイル部25に対向する位置に移動させる。これにより、加熱ローラ23の幅方向端部(定着ベルト22の温度が低くなっている側の幅方向端部である。)に作用する磁束を低下させて、幅方向端部の過昇温を未然に防止することができる。
【0077】
図10にて、本実施の形態3における定着装置20でおこなわれる、具体的な制御について説明する。
まず、一端側の温度センサ37bによって定着ベルト22の一方の幅方向端部の温度(T2)が測定され、それと同時に他端側の温度センサ37bによって定着ベルト22の他方の幅方向端部の温度(T2´)が測定され、双方の温度差(|T2−T2´|)が求められる(ステップS11)。
【0078】
その後、定着ベルト22の幅方向両端部の温度差(|T2−T2´|)が所定値以上(|T2−T2´|>40℃)であるかが判断される(ステップS12)。その結果、温度差が所定値以上ではないと判断された場合には、定着ベルト22の当接不良がないものとして、ステップS11以降のフローが繰り返される。
これに対して、温度差が所定値以上(|T2−T2´|>40℃)である場合には、定着ベルト22の当接不良があるものとして、端部の磁束を低下させる位置に磁束遮蔽部材29を移動させる(ステップS13)。
【0079】
その後、再び定着ベルト22の幅方向両端部の温度差(|T2−T2´|)が求められる(ステップS14)。そして、定着ベルト22の両端部の温度差(|T2−T2´|)が所定値以上となっていないか(|T2−T2´|≦40℃であるか)が判断される(ステップS15)。
その結果、温度差が所定値以上ではないと判断されると(|T2−T2´|≦40℃)、幅方向端部における加熱ローラ23の過昇温が抑止されたものとして、磁束遮蔽部材29をホームポジションに移動させる(ステップS16)。以後、ステップS11以降のフローが繰り返される。
【0080】
以上説明したように、本実施の形態3においても、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の当接状態を検知して、その検知結果に基いて加熱ローラ23の幅方向端部に作用する磁束を低下させている。これにより、加熱ローラ23に当接する定着ベルト22が幅方向に変位して、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の幅方向端部における当接不良が生じても、加熱ローラ23の幅方向端部における過昇温の発生を抑止することができる。
【0081】
なお、本実施の形態3では、定着ベルト22の幅方向両端部の温度差が所定値以上になる場合に、幅方向両端部のうち少なくとも温度の低い幅方向端部(当接不良が生じた側である。)の磁束を低下させるように制御している。これに対して、加熱ローラ23の幅方向両端部の温度差が所定値以上になる場合に、幅方向両端部のうち少なくとも温度の高い幅方向端部(当接不良が生じた側である。)の磁束を低下させるように制御することもできる。このような場合であっても、本実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
【0082】
実施の形態4.
図11にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図11は、実施の形態4における定着装置20でおこなわれる制御を示すフローチャートであって、前記実施の形態1の図8に相当する図である。本実施の形態4は、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の幅方向端部の当接状態を検知する検知手段が、前記実施の形態1のものとは相違する。
【0083】
図示は省略するが、本実施の形態4における定着装置も、加熱ローラ23の外周面上であって幅方向両端部には、それぞれ、加熱ローラ23の幅方向端部の温度(T1)を検知する温度センサ37aが設置されている。この温度センサ(温度検知手段)37aは、加熱ローラ23の幅方向端部における当接状態を間接的に検知する検知手段として機能するものである。
【0084】
本実施の形態4では、幅方向端部における定着ベルト22の当接不良(浮き)を、加熱ローラ23の幅方向端部の温度(T1)のみによって、間接的に検知している。すなわち、幅方向端部の温度(T1)が所定値以上になる場合には、加熱ローラ23から定着ベルト22への正常な熱伝達がなくて、一方の端部に定着ベルト22の位置ずれによる当接不良が生じているものと判断される。
【0085】
そして、定着ベルト22の当接不良が生じているものと判断された場合には、磁束遮蔽部材29をコイル部25に対向する位置に移動させる。これにより、加熱ローラ23の幅方向端部に作用する磁束を低下させて、幅方向端部の過昇温を未然に防止することができる。
【0086】
図11にて、本実施の形態4における定着装置20でおこなわれる、具体的な制御について説明する。
まず、温度センサ37aによって加熱ローラ23の幅方向端部の温度(T1)が測定される(ステップS21)。その後、加熱ローラ23の幅方向端部の温度(T1)が所定値以上(T1>300℃)であるかが判断される(ステップS22)。その結果、温度が所定値以上ではないと判断された場合には、定着ベルト22の当接不良がないものとして、ステップS21以降のフローが繰り返される。
これに対して、温度が所定値以上(T1>300℃)である場合には、定着ベルト22の当接不良があるものとして、端部の磁束を低下させる位置に磁束遮蔽部材29を移動させる(ステップS23)。
【0087】
その後、再び加熱ローラ23の幅方向端部の温度(T1)が測定される(ステップS24)。そして、加熱ローラの温度(T1)が所定値以上となっていないか(T1≦300℃であるか)が判断される(ステップS25)。
その結果、温度が所定値以上ではないと判断されると(T1≦300℃)、幅方向端部における加熱ローラ23の過昇温が抑止されたものとして、磁束遮蔽部材29をホームポジションに移動させる(ステップS26)。以後、ステップS21以降のフローが繰り返される。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態4においても、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の当接状態を検知して、その検知結果に基いて加熱ローラ23の幅方向端部に作用する磁束を低下させている。これにより、加熱ローラ23に当接する定着ベルト22が幅方向に変位して、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の幅方向端部における当接不良が生じても、加熱ローラ23の幅方向端部における過昇温の発生を抑止することができる。
【0089】
なお、本実施の形態4では、加熱ローラ23の幅方向端部の温度が所定値以上になる場合に、その幅方向端部(当接不良が生じた側である。)の磁束を低下させるように制御している。これに対して、定着ベルト22の幅方向端部の温度が所定値以下になる場合に、その幅方向端部(当接不良が生じた側である。)の磁束を低下させるように制御することもできる。ただし、この場合には、定着ベルト22の温度低下が、当接不良によるものなのか、通常の定着工程において生じているものなのか(例えば、装置の立ち上げ時に生じている温度低下である。)、を区別するための制御(例えば、誘導加熱部24への通電時間の長短に基く補正をおこなう。)が必要である。このような場合であっても、本実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
【0090】
なお、前記各実施の形態では、温度検知手段としての温度センサ37a、37bを用いて、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の幅方向端部の当接状態を間接的に検知した。これに対して、加熱ローラ23に当接する定着ベルト22の幅方向端部に光学的センサや圧電センサ等の変位検知手段を設置して、加熱ローラ23に対する定着ベルト22の幅方向端部の当接状態(浮き)を直接的に検知することもできる。その場合にも、変位検知手段によって直接的に検知した当接不良の情報に基いて加熱ローラ23の幅方向端部に作用する磁束を低下させることで、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0091】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の画像形成装置に設置される定着装置を示す断面図である。
【図3】図2の定着装置に設置される加熱ローラを示す図である。
【図4】定着ベルト上の幅方向の温度分布を示すグラフである。
【図5】加熱ローラの幅方向端部を示す断面図である。
【図6】図5の加熱ローラに内設された内部コアが所定角度回転した状態を示す断面図である。
【図7】図5の加熱ローラに対して定着ベルトの当接不良が生じた状態を示す断面図である。
【図8】定着装置でおこなわれる制御を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態2における定着装置に設置される加熱ローラを示す図である。
【図10】この発明の実施の形態3における定着装置でおこなわれる制御を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態4における定着装置でおこなわれる制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
20 定着装置、 21 定着補助ローラ、
22 定着ベルト(定着部材)、 22a 突起部、
23 加熱ローラ(加熱部材)、 23a 円筒部、
23b フランジ、 23b1 係合部、
24 誘導加熱部(磁束発生手段)、 25 コイル部、 26 コア部、
26a センターコア、 26b サイドコア、 27 コイルガイド、
28 内部コア、 28a 軸部、
29 磁束遮蔽部材(磁束調整部材)、
30 加圧ローラ、 32 軸受、
37a、37b 温度センサ(温度検知手段、検知手段)、 P 記録媒体。




 

 


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