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発明の名称 軽量サンドイッチパネルの破壊靱性試験方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−147348(P2007−147348A)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
出願番号 特願2005−339822(P2005−339822)
出願日 平成17年11月25日(2005.11.25)
代理人
発明者 永田 啓一 / 北野 彰彦 / 西山 等
要約 課題
本発明は、歩行者頭部保護機能を有する自動車フードなど、安全性を司るサンドイッチパネル部材の破壊挙動、エネルギー吸収挙動の設計指標となるサンドイッチパネルの破壊靭性値を、実用条件に近い条件で定量化できる試験法を確立する。

解決手段
繊維強化プラスチック製の2枚のスキンと、2枚のスキンの間に、接着層を介して、スキンより低比重のコアが存在する矩形状のサンドイッチパネル試験片に、一方のスキンから他方のスキンに到達し、コアを完全に分断する予亀裂、もしくはコアを80%以上分断する予亀裂をいれておき、3点曲げ、または4点曲げ試験により、コアとスキンが剥離するように亀裂を進展させ、亀裂が進展する際の荷重、荷重点の変位、亀裂長さの進展量を計測し、荷重−変位曲線から破壊に使われたエネルギーを算出し、これを平均亀裂長さと幅の積である亀裂面積で割って破壊靱性値を算出する。
特許請求の範囲
【請求項1】
繊維強化プラスチック製の2枚のスキンと、2枚のスキンの間に、接着層を介して、スキンより低比重のコアが存在する矩形状のサンドイッチパネル試験片に、一方のスキンから他方のスキンに到達し、コアを完全に分断する予亀裂、もしくはコアを80%以上分断する予亀裂をいれておき、3点曲げ、または4点曲げ試験により、コアとスキンが剥離するように亀裂を進展させ、亀裂が進展する際の荷重、荷重点の変位、亀裂長さの進展量を計測し、荷重−変位曲線から破壊に使われたエネルギーを算出し、これを平均亀裂長さと幅の積である亀裂面積で割って破壊靱性値を算出する、軽量サンドイッチパネルの破壊靭性試験方法。
【請求項2】
前記予亀裂を、3点曲げ試験、もしくは4点曲げ試験により形成する請求項1に記載の軽量サンドイッチパネルの破壊靭性試験方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、スポーツ部材や自動車部品に用いられる、繊維強化プラスチック(以下FRPと略す)製のスキンと、スキンよりも低比重のフォーム材やハニカム材のコアからなる軽量サンドイッチパネル(図1参照)の破壊靱性試験法に関する。
【背景技術】
【0002】
FRP製のスキンと、スキンよりも低比重のフォーム材やハニカム材のコアからなる軽量サンドイッチパネルは、比剛性(重さ当たりの剛性)が高いため、軽量化要請の高い、自動車をはじめとする輸送機器部材やスポーツ部材に適用が拡大しているが、部材の安全性を確保するために、破壊挙動の予測を正確に行い、部材設計することが重要である。
【0003】
図1に示すように、通常、サンドイッチパネルは、上下2層のスキン板とその間に位置するコアからなる3層構造(コアをスキンでサンドイッチした(挟んだ)構造)であり、剛性のより高い材料をパネルの外側(スキン)に、より軽量な材料をパネルの内側(コア)
とすることで、軽量で曲げ剛性が大きくできるという特徴がある。スキンには金属シートやFRP製の薄板が用いられ、コアにはスキンよりも軽量なハニカム材やフォーム材が用いられ、ヨットやボートのハル、デッキなどの構造部材として使われている。近年、燃費向上要請の大きな自動車分野においても、軽量化の手段として、FRPをスキンとし、フォーム材とコアとする、軽量なサンドイッチパネルのフードやルーフ等の構造部材への本格適用が検討さている。
【0004】
フードとはエンジンルームを覆うカバーであり、フードの機能として、雨よけや空気の整流機能のほか、高級感を出すための面剛性や正面衝突時に曲げ変形させるなどの機能が挙げられる。最近ではこれらの機能に加え歩行者頭部保護性能が要求され頭部衝撃試験が行われており、日本でも2005年9月から国土交通省において歩行者頭部保護基準が導入されている。スチールを用いた従来の設計で歩行者頭部保護性能を確保するには、衝突時にフードの変形のストロークをかせぐためにエンジンとのクリアランスを大きくとる必要があり、ボンネット位置が高くなる。ボンネット位置を高くすると視界が悪くなり、視界を確保するために車高全体を上げる必要がある。車高を上げると、重量増による燃料消費率低下などが起こるといったような性能面への影響を及ぼす。プラスチックを発泡させたプラスチックフォーム材をコアに使ったフォームコアサンドイッチパネルを自動車フードへ適用した場合、フード単体の軽量化が期待されるが、剛性設計やエネルギー吸収設計の自由度が高くなるため、ボンネット位置の高さを押さえつつ歩行者頭部保護性能を確保することが可能となる。
【0005】
一方、サンドイッチパネルを構造部材として使用する場合、まずは、日本工業規格(JIS)等の規格に従って、強度や剛性試験を実施する。例えば、図2と図3に示す3点、あるいは4点曲げ試験(非特許文献1、文非特許献2参照)に従ってサンドイッチパネルの静的剛性と強度を測定するが、自動車のフード等における衝撃エネルギー吸収などのより実用的な部材設計を行う場合やスキンと剥離亀裂の進展しやすさなどの評価を行う場合、FRP同様、サンドイッチパネルが破壊する際のエネルギー吸収量である破壊靭性値を知る必要があり、かかる観点から、サンドイッチ構造部材のエネルギー吸収量を設計するための破壊靭性測定法が必要となっている。しかしながら、サンドイッチパネルの破壊靭性値を評価する試験規格は今のところ制定されていない。FRPに用いられる破壊靭性値を評価する試験規格(非特許文献3、非特許文献4参照)を用いてサンドイッチパネルの破壊靭性値を測定することも考えられるが、非特許文献3,4がサンドイッチパネルに適用できると規定していないことからも明らかなように、複雑な破壊挙動を示すサンドイッチパネルにおいては、部材の運用上想定される破壊とは異なる破壊挙動を示すこともあり、また、試験そのものが実行不可能である場合もあり、エネルギー吸収設計を行うために必要な靭性値を的確に取得することが困難である。
【非特許文献1】JIS K7074−1988「炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法」
【非特許文献2】ASTM C393−00 “Standard Test Method for Flexural Properties of Sandwich Constructions”
【非特許文献3】JIS K7086−1993「炭素繊維強化プラスチックの層間破壊靱性試験法」
【非特許文献4】ASTM D5528−94a “Standard Test Method for Mode I Interlaminar Fracture Toughness of Unidirectional Fiber−Reinforced Polymer Matrix Composites
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、歩行者頭部保護機能を有する自動車フードなど、安全性を司るサンドイッチパネル部材の破壊挙動、エネルギー吸収挙動の設計指標となるサンドイッチパネルの破壊靭性値を、実用条件に近い条件で定量化できる試験法を提案することを目的とする。サンドイッチパネルを構成するスキン、コア、接着層の破壊靱性を正確に測定する試験方法を確立することにより、信頼性、安全性のより高い軽量サンドイッチパネル部材が実現可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)繊維強化プラスチック製の2枚のスキンと、2枚のスキンの間に、接着層を介して、スキンより低比重のコアが存在する矩形状のサンドイッチパネル試験片に、一方のスキンから他方のスキンに到達し、コアを完全に分断する予亀裂、もしくはコアを80%以上分断する予亀裂をいれておき、3点曲げ、または4点曲げ試験により、コアとスキンが剥離するように亀裂を進展させ、亀裂が進展する際の荷重、荷重点の変位、亀裂長さの進展量を計測し、荷重−変位曲線から破壊に使われたエネルギーを算出し、これを平均亀裂長さと幅の積である亀裂面積で割って破壊靱性値を算出する、軽量サンドイッチパネルの破壊靭性試験方法。
【0008】
(2)前記予亀裂を、3点曲げ試験、もしくは4点曲げ試験により形成する前記(1)に記載の軽量サンドイッチパネルの破壊靭性試験方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部材の実用上想定される荷重に近い条件でサンドイッチパネルの破壊靭性値を定量化することが可能になるため、部材の破壊挙動予測やエネルギー吸収設計を容易にする。例えばサンドイッチパネルを用いた自動車フード部材に本発明の破壊靭性試験法を適用することにより、歩行者保護性能の最適設計が容易となる。また、かかるデータに基づき設計をすることにより、部材の信頼性が向上し、部材自体の安全性も著しく向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明における破壊靱性試験および、予亀裂を入れるための試験は3点曲げ試験(図3)、もしくは4点曲げ試験(図4)のいずれかで行うことができるが、以下、本発明の最良の実施態様を3点曲げ試験を用いた試験法で説明する。
【0011】
まず、軽量サンドイッチパネル1とは、繊維強化プラスチック(以下、FRP:Fiber Reinforced Plasticと略す)からなる2枚のFRPスキン2、と、プラスチックを発泡させたプラスチックフォーム材やハニカム等からなるスキンより低比重のコア3、および接着層4で構成される。コア3はFRPスキンの間に位置し、接着層はスキンとコアの間に位置する(図1)。
【0012】
本発明に用いるサンドイッチパネル試験片5は、図2に示すように、長さ6、幅7と厚み8を有する矩形状のサンドイッチパネルであり、後述する破壊靭性試験の前に予亀裂22を入れておく(図8)。予亀裂とは、後述する亀裂を発生させるトリガーの役割を果たすものである。
【0013】
FRPスキン2は、炭素繊維強化プラスチック(通常、CFRPと称される)、ガラス繊維強化プラスチック(通常、GFRPと称される)、アラミド繊維強化プラスチック(通常、AFRPと称される)からなる平板であり、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂などのプラスチックを、強化繊維である炭素繊維などで強化したものである。プラスチックには、上記したエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂の他、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化樹脂や、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂など熱可塑樹脂が使用される。強化繊維は、炭素繊維やガラス繊維などの無機繊維や、アラミド繊維(ケブラー、トワロンなど)、高強度ポリエチレン繊維、PBO繊維などの有機繊維であり、強化繊維の比重は軽金属であるアルミニウムの比重2.7より小さい。また、樹脂の比重は1.0〜1.5の範囲内であるため、FRPの比重もアルミニウムを下回る。中でも、炭素繊維とエポキシ樹脂を重量比で4:6〜7:3の割合で組み合わせたCFRPは、重量当たりの剛性、強度が最も高く、本発明で最も好ましい材料である。ちなみに、通常、炭素繊維の弾性率は、200〜800GPa、強度は3GPa〜8GPaであり、アルミニウムの弾性率70GPa、強度0.2〜0.8GPaを大きく上回る。また、炭素繊維の比重は、1.5〜2.0程度で、アルミニウムの比重2.7より軽い。さらに、エポキシ樹脂の比重は、1.2〜1.3であり、樹脂を炭素繊維で強化したCFRPの比重は、アルミニウムのそれを大きく下回る。
【0014】
コア3は、アルミニウムハニカム、ペーパーハニカム、アラミドハニカム、カーボンハニカムなどのハニカム材や、ウレタン、ポリメタクリルイミド、アクリル、フェノール、ポリスチレンなどの樹脂を発泡させたプラスチックフォーム材、バルサ材などの低密度材料が用いられる。具体的なコアの例として、昭和飛行機株式会社のアルミニウムハニカム、デュポン社のノーメックスを使用したノーメックスハニカム、Rohm社のロハセル、積水化学工業のフォーマックなどがある。コア3の比重は、上記したFRPスキン2より低比重であり、0.6以下である。上記のスキンと組み合わせたサンドイッチパネルは、金属材料に比べ大幅に軽量な材料となる。なお、本発明で好ましいサンドイッチパネルの比重としては、0.03〜0.6の範囲内であり、上述したプラスチックフォーム材をコアと用いるのが好ましい。
【0015】
コア3の厚みは、3mm〜20mm、FRPスキン2の厚みは、0.2mm〜4mmで、サンドイッチパネル1は、図1のようにスキンとコアが接着層4を介して一体となっている。サンドイッチコアの厚みを大きくすること、あるいは、剛性の大きなスキンを使用することで、サンドイッチパネルの剛性を向上させることができ、重量あたりの曲げ強度、曲げ剛性が高い材料となる。
【0016】
本発明における破壊靭性値とは、材料が破壊し亀裂が進展する際、エネルギーが必要となるが、この亀裂進展に必要なエネルギーを、亀裂進展面積で除したもの、亀裂進展に必要な単位面積あたりエネルギーのことを示す。
【0017】
FRP積層板の層間破壊靱性値はJIS K7086−1993記載のDCB試験、ENF試験等で計測することができ、DCB試験では図6のように亀裂を、亀裂と垂直の方向に開く(モードI)ように予荷重18を与え、ENF試験では図7のように、亀裂先端に亀裂方向へのせん断力がはたらくモードIIと呼ばれる荷重20を与える。
【0018】
本発明における破壊靱性試験法においては、サンドイッチパネルのスキンとコアが剥離し亀裂が進展する際に使われたエネルギーを、亀裂進展面積で割ったものを破壊靱性値とし、亀裂先端にモードIとモードIIの両方の応力が加わるため、モードIとモードIIの混合モードとなる。ここで亀裂進展面積は平均亀裂進展長さと試験片の幅を乗じたものとする。平均亀裂進展長さは両端側の亀裂進展長さを平均したものとする。亀裂進展長さは、亀裂に沿って計測する場合と、スキンに沿って計測する場合が考えられるが、サンドイッチ材としての性能評価をする場合はスキンに沿って計算する方がより好ましい。亀裂はスキンと接着層との界面を進展する場合とコアの内部を進展する場合とがあり、コア内を進展する場合、コア内に異物や接着剤の固まりがあるときはこれらを避けて進展する。破壊に使われたエネルギーの算出は荷重変位線図から求められる。図13に荷重変位線図の例を示す。図13の点Aから点Bの間に亀裂が進展し、亀裂面積がaだけ増加したとすると、斜線部の面積ΔUが亀裂が進むのに使われたエネルギーに相当し、ΔUをaで除したものが破壊壊靭性値Gcとなる。JIS K7086−1993記載のDCB試験ではモードIの破壊靭性値(GIc)を計測し、ENF試験ではモードIIの破壊靱性値(GIIc)を計測するのに対し、本試験法ではモードIとモードIIの混合モードでの破壊靱性値(Gc)を計測する。亀裂が進展するに従い、亀裂先端のモードIとモードIIの応力の混合比は変化するため、亀裂が進展するに従い見かけ上の破壊靱性値は変化する。
【0019】
本発明では、プラスチックフォーム材をコアとしたサンドイッチパネル(フォームコアサンドイッチパネル)を用いるのが好ましい。フォームコアサンドイッチパネルは、オートクレーブ成形法、ハンドレイアップ成形法、引き抜き成形法、RTM成形(Resin Transfer Molding)、Va−RTM成形(VaRTM:Vacuum Assisted Resin Transfer Molding、真空圧を用いたRTM成形法)等により一体成形を行う、もしくはFRPのスキンとコアを接着して作ることができるが、成形時に樹脂がコア内部深くに含浸することを防ぐため、コアは独立発泡であることが好ましい。この場合でも、より大きなプラスチックフォーム材から切り出した場合などは表面のセルは外の空間とつながっており、表面のセルに樹脂が含浸することがある(図5)。コア表面に含浸した樹脂層は接着層4としての機能を果たすが、この樹脂層がサンドイッチパネルの破壊靱性値に影響をあたえることが考えられる。
【0020】
予亀裂22とは、後述する亀裂を発生させるトリガーの役割を果たすものである。予亀裂を入れる方法は、コアをあらかじめ予亀裂を入れておく位置で分割しておき、離型性の高いフィルムを挟んで成形する方法、成形後のサンドイッチパネルのコアに穴を開け、糸鋸のような刃物で予亀裂を入れる方法などが挙げられるが、短いスパンで3点曲げ試験(図3)もしくは4点曲げ試験(図4)により、剪断力によりコアを破壊させ予亀裂22を入れる方法が好ましい。この場合、支点間の距離12がサンドイッチパネルの厚み8の2〜4倍となるようにスパンを設定することが好ましい。予亀裂22の形状は、コアが80%以上分断されており、分断されたそれぞれのコアが両側のスキンとつながった状態とする。好ましい形状として、(サンドイッチパネル試験片の幅方向から見た断面を観察すると)コアを分断する箇所が直線状であり、該直線と2枚のスキンのなす角度が30度以上60度未満である形状が挙げられる(図8)。さらに部材の運用上想定される破壊を考慮した場合、特にプラスチックフォーム材をコアとする場合は、せん断力が最大となる40〜50度の範囲内が好ましい。また、予亀裂22は、四角形形状(図9)、三角形状(図10)にするなどの方法においても試験は可能である。さらに、部材の運用上想定される破壊荷重条件に近い3点曲げ(もしくは4点曲げ)を用いて予亀裂22を入れる(図11)ことも好ましい。
【0021】
本発明における破壊靭性試験は、上記破壊靭性試験用試験片を3点曲げ試験(もしくは4点曲げ試験)にて行い、荷重を徐々に加えて予亀裂22先端から亀裂を進展させ(図12)、亀裂が進展する際の亀裂長さ23に試験片の幅7(図2)を乗じた亀裂面積、荷重および荷重点の変位から亀裂が進展する際の破壊靭性値を定量化するものである。3点曲げ試験、4点曲げ試験のいずれにおいても破壊靭性試験は可能であるが、以下は3点曲げ試験について説明を行う。4点曲げ試験についても同様に試験することができる。
【0022】
スパンは、支点間の距離がサンプルの厚みの4倍以上が必要であり、10倍以上が好ましい。10倍未満では亀裂が進展するためのスペースを確保することが困難である。ただし、スパンが長すぎると、徐々に亀裂が進展することなく一度に亀裂が進展することがあるため(不安定破壊)、靭性値の絶対値評価は困難となるケースもある。どの程度のスパンで不安定破壊が起こるかは、サンプルの構成によって異なる。また、部材の運用上想定される荷重条件で行うことが最も好ましい。予亀裂の位置は支点間のいずれの箇所でも試験することが可能であるが、亀裂が進展するスペースを確保するため、予亀裂の先端が中央の支点に接する程度が好ましい。衝撃荷重の場合、衝撃荷重が作用した箇所に亀裂が発生することが多いためである。ただし、部材の運用上想定される亀裂発生位置がこの位置と異なる場合は、予想される亀裂位置に予亀裂を配置することが好ましい。試験機の速度はスパンの大きさや試験片の剛性によって変える必要があるが、スパンが200〜300mmで0.5〜50mm/secを目安に試験を行うことが好ましい。好ましい試験条件は、厚さ6mmの独立発泡アクリルフォーム材(積水化学社製 フォーマックHR1000)製コア(比重0.1)の上下に東レ社製炭素繊維クロスCO6343B(炭素繊維の弾性率は230GPa、強度は3.53GPa)を2層ずつ配置し、コアと炭素繊維クロスをバッグしてバッグ内を真空圧にした後に、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤を混合したものを注入してオーブン内にて90℃×40分の熱を加えて硬化させ(RTM成形法)、硬化後のサンドイッチパネルの厚さが7.2mmとしたものを試験片として用いた場合、スパンは200mm以上〜300mm以下、試験機の速度は0.5mmであった。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
厚さ6mmの独立発泡アクリルフォーム材(積水化学社製 フォーマックHR1000)製コア(比重0.1)の上下に東レ社製炭素繊維クロスBT70−30(炭素繊維の弾性率は230GPa、強度は4.9GPa)を2層ずつ配置し、コアと炭素繊維クロスをバッグしてバッグ内を真空圧にした後に、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤を混合したものを注入してオーブン内にて90℃×40分の熱を加えて硬化させた(VaRTM:Vacuum Assisted Resin Transfer Molding、真空圧を用いたRTM成形法)。硬化後のサンドイッチパネル(サイズ500mm×500mm)は、51点の平均厚さが7.21mm(最大厚さ7.4mm、最小厚さ7.0mm)であった。
本サンドイッチパネルから、ダイアモンドカッターを用いて、幅22mm、長さ300mmの曲げ疲労試験用サンドイッチパネルを5本切り出し、インストロン社製試験機5565、ロードセル2525−805(最大荷重5kN)を用い、図9のような3点曲げ荷重を加え予亀裂を入れた。この時のスパンは60mmで、支持側の圧子は曲率半径2mm、荷重側の圧子の曲率半径は5mmであった。また、荷重側の圧子の集中荷重によりスキンが割れてしまうため、図この時の予亀裂は図14のように圧子の試験片の間に厚さ1mmのシリコンゴム24を挟んだ。
予亀裂22は、図15のように、試験片側面において、コアを分断する箇所が直線状となり、該直線と2枚のスキンのなす角度が45度となるような予亀裂となった。予亀裂の両端はコア内部をスキンと界面近くに伸びており、予亀裂長さ27をスキンに沿った方向で計測すると平均15.9mm(最小8.18mm、最大18.73mm)であった。上記のように予亀裂を入れた試験片をスパンを大きくして3点曲げ荷重を加え、徐々に亀裂を進展させ荷重、変位、および亀裂長さを記録し、サンドイッチパネルの破壊靭性値を測定した。この時のスパンは200mm、支持側の圧子の径は25mm、荷重点側の圧子の径は4mmとした。荷重点側の圧子にシリコンゴム24を挟むとか重点の正確な変位を測定することができなくなるため、シリコンゴムを挟まなかったが、集中荷重によりスキンが割れることはなかった。亀裂はコア内部のスキンと界面近くに伸びていき、最終的に平均亀裂長さが83.3mm(最小78.9mm、最大85.8mm)となるまで荷重を加えた。荷重変位線図の概形を図13に示す。亀裂が進展するに従い破壊靱性値の見かけ上の値が増加しているが、モードIとモードIIの混合比が変化したためと考えられる。破壊靱性値のそれぞれのサンプルにおける平均値(図13のグラフにおける、亀裂進展開始から終了までの破壊靱性値の平均値)をさらにサンプル数5で平均すると1.23J/m(最小0.90J/m、最大1.64J/m)となった。
【0024】
(実施例2)
実施例1で使用したコアの表面に、幅1.5mm、深さ1.5mmの溝28を、10mm間隔で切削加工したものをコアとして用い、実施例1と同様の方法でサンドイッチパネルを成形し、図18のように、亀裂方向と試験片の長さ方向が垂直になるように試験片を切り出した。3本の試験片を用いて実施例1と同様にして破壊靭性試験を行ったところ、破壊靭性値(亀裂進展開始から終了までの平均値)は、2.61kJ/m、1.58kJ/m、1.53kJ/m、平均1.91kJ/mとなった。実施例1と比較すると0.68kJ/m増加しており、溝加工が影響しているものと思われる。亀裂進展箇所を観察すると、図19のように溝を迂回しながら亀裂が進展しており、コアの破壊面積が大きくなっていることが要因と考えられる。
【0025】
(比較例1)
実施例1と同じサンドイッチパネルからダイアモンドカッターを用いて、幅22mm、長さ300mmの曲げ疲労試験用サンドイッチパネルを切り出し、試験片の端から片側のスキンを75mm剥離させ、JIS K7086−1993記載のENF試験法を参考に図16のように剥離側のスキンを荷重点側にし、スパン200mmの3点曲げで破壊靭性試験を行ったところ、剥離の先端でコアがスキンと垂直方向に割れて(図17)、著しい剛性低下が起こり、実験の継続が不可能となった。剥離側のスキンを支持点側にしても同様にコアが割れた。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における被測定体のサンドイッチパネルの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明における被測定体のサンドイッチパネル試験片を示す斜視図である。
【図3】3点曲げ試験法の一例を示す図である。
【図4】4点曲げ試験法の一例を示す図である。
【図5】フォームコアサンドイッチパネルのスキン近くの拡大図である。
【図6】JIS K7086−1993記載のDCB試験の模式図である。
【図7】JIS K7086−1993記載のENF試験の模式図である。
【図8】本発明における被測定体試験片の予亀裂の一例を示す図である。
【図9】本発明における被測定体試験片の予亀裂の一例を示す図である。
【図10】本発明における被測定体試験片の予亀裂の一例を示す図である。
【図11】本発明における被測定体試験片に予亀裂を入れる方法の一例を示す図である。
【図12】本発明の破壊靱性試験法の一実施態様を示す図である。
【図13】本発明における破壊靱性値を算出するために必要な荷重変位線図の一例を示す図である。
【図14】本発明における被測定体試験片に予亀裂を入れる方法の一例を示す図である。
【図15】本発明における被測定体試験片の予亀裂の一例を示す図である。
【図16】ENF試験を参考に行った破壊靭性試験法を示す図である。
【図17】ENF試験を参考に行った破壊靭性試験法の結果を示す図である。
【図18】本発明の破壊靱性試験法に使用する破壊試験片の一例を示す側面図である。
【図19】本発明の破壊靱性試験法を行った結果、試験片に亀裂が進展したものの一例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1:サンドイッチパネル
2:FRPスキン
3:コア
4:接着層
5:サンドイッチパネル試験片
6:(サンドイッチパネル試験片の)長さ
7:(サンドイッチパネル試験片の)幅
8:(サンドイッチパネル試験片の)厚さ
9:上部支点
10:下部支点
11:曲げ試験治具
12:支点間の距離
13:荷重
14: CFRPスキン
15:フォームコアのセル
16:樹脂が含浸したフォームコアのセル
17:試験片(ENF、DCB)
18:荷重
19:モードI変形方向
20:荷重
21:モードII変形方向
22:予亀裂
23:亀裂長さ
24:シリコンゴム
25:直線状亀裂
26:予亀裂
27:亀裂長さ
28:溝
29:溝
30:溝
31:亀裂
32:溝を迂回した亀裂




 

 


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