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発明の名称 分析チップおよび分析方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−121278(P2007−121278A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2006−260915(P2006−260915)
出願日 平成18年9月26日(2006.9.26)
代理人
発明者 山崎 義昭 / 村上 裕二 / 信正 均 / 日笠 雅史 / 鄭 基晩 / 小園 聡子 / 金森 大典
要約 課題
担体、反応室への測定対象成分の吸着を防ぐことにより、高い精度で効率よく免疫分析などの選択結合性物質を用いる分析を行うことを可能とする、新しい分析チップとこれを用いた分析方法を提供する。

解決手段
液体流入口、液体流出口及び反応室を有し、液体流入口から導入した試料溶液中の測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体を該反応室の内部に収納する分析チップであって、該反応室内の少なくとも一部の接液面が親水性高分子で被覆され、該担体の少なくとも一部の表面が親水性高分子で構成される分析チップを提供する。
特許請求の範囲
【請求項1】
液体流入口、液体流出口及び反応室を有し、液体流入口から導入した試料溶液中の測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体を該反応室の内部に収納する分析チップであって、該反応室内の少なくとも一部の接液面が親水性高分子で被覆され、該担体の少なくとも一部の表面が親水性高分子で構成される分析チップ。
【請求項2】
液体流入口と反応室の間および液体流出口と反応室の間に、反応室からの担体の流出を防ぐ堰き止め手段をさらに有し、該堰き止め手段の接液面が親水性高分子で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の分析チップ。
【請求項3】
反応室の接液面を被覆する親水性高分子の少なくとも一部が接液面と化学結合していることを特徴とする請求項1又は2に記載の分析チップ。
【請求項4】
反応室の接液面を被覆する親水性高分子が、高エネルギー線を照射する方法により該接液面と共有結合されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の分析チップ。
【請求項5】
反応室の接液面を被覆する親水性高分子がポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールのいずれかである請求項1〜4のいずれかに記載の分析チップ。
【請求項6】
堰き止め手段の接液面を被覆する親水性高分子の少なくとも一部が接液面と化学結合していることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の分析チップ。
【請求項7】
堰き止め手段の接液面を被覆する親水性高分子が、高エネルギー線を照射する方法により該接液面と共有結合されたものである請求項2〜6のいずれかに記載の分析チップ。
【請求項8】
堰き止め手段の接液面を被覆する親水性高分子がポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールのいずれかである請求項2〜7のいずれかに記載の分析チップ。
【請求項9】
担体表面の少なくとも一部を構成する親水性高分子が多糖類である請求項1〜8のいずれかに記載の分析チップ。
【請求項10】
液体流入口、反応室、堰き止め手段、液体流出口の少なくとも1つを備える基材が樹脂を含む請求項1〜9のいずれかに記載の分析チップ。
【請求項11】
樹脂が熱可塑性樹脂である請求項10に記載の分析チップ。
【請求項12】
請求項1〜11に記載の分析チップの反応室に試料溶液を導入し、試料溶液中の測定対象成分の有無又は存在量を免疫分析法により測定する分析方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はタンパク質の構造・機能の解析又はタンパク質を使用した反応に用いる分析チップに関する。特に、抗原−抗体反応を用いたタンパク質の分析に使用する免疫分析チップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
免疫分析および選択結合性物質を用いる分析は、医療や生化学などの分野で重要な分析方法のひとつであることが知られている。しかし従来の試験管、マイクロプレート、マイクロチューブ、マイクロウェル等を用いて行う酵素免疫分析方法(ELISA)などは、複数種の試薬の導入、反応、洗浄等の工程があり、操作が煩雑であるため、分析に多くの時間を要し、あるいは容器の容積が大きいため用いる試薬量が多いという欠点がある。そこで、一枚の基板上にマイクロメートルオーダーのマイクロチャネル(微細溝)を形成した分析チップを使用することにより、その特性である微小容積、大きな比表面積、短い拡散移動距離を利用して反応効率を高め、様々な化学システムを構築してきたことの実績と知見を踏まえて、そのひとつとして免疫分析法の分析チップへの適用が行われてきた。すなわち、分析チップのマイクロチャネル中において、試料溶液中の抗原または抗体と選択的に結合する抗体または抗原を固定化する固定化担体としてマイクロビーズを用い、このマイクロビーズに抗体または抗原を結合させることにより、複数種の試薬を連続的に導入、反応させ、洗浄を行うことが可能となると同時に、従来の担体(マイクロプレート、マイクロチューブ、マイクロウェルなど)に抗体または抗原を結合させたものよりも効率よく抗原−抗体反応を行うことが可能となった。
【0003】
分析チップを用いたタンパク質、すなわち選択結合性物質としての抗原および抗体の分析は、一般に以下のようにして行われる。
【0004】
測定対象成分を捕捉するための選択結合性物質としての抗原または抗体をガラスまたは樹脂基板、プラスチックビーズ、プラスチック試験管、紙などの固体担体に結合させ、そしてこれらの捕捉用抗原または抗体を固定化した担体に、同定すべき抗体または抗原を含有する液体を加える。一定の反応時間後に、捕捉用抗原または抗体と測定対象成分が反応すると、それらは担体と結合した状態となる。
【0005】
測定対象成分を検出する方法としては、例えば以下のような例があげられる。すなわち、測定対象成分を前もって放射性、蛍光性または酵素的に活性な標識物質で標識する工程、これらの標識された測定対象成分を担体に固定化された捕捉用抗原または抗体と反応される工程、さらに、これらの放射能、蛍光または酵素活性を利用して測定する工程を含む方法、或いは、測定対象成分を担体に固定化された捕捉用抗原または抗体と反応させる工程、捕捉された検出対象に対して更に放射能、蛍光または酵素活性によって標識した検出用の物質を反応させる工程、さらに、これらの放射能、蛍光または酵素活性を利用して測定する工程を含む方法などがある。
【0006】
分析チップの形態としては、分析チップ内部に反応室を有し、反応室内部に固体粒子を収納し、固体粒子を堰き止める堰部を設け測定対象成分を固体粒子に固定化し、固定化した測定対象成分を光分析、あるいは固定化した測定対象成分と発色試薬液を反応させ、これにより発色した発色試薬液を光分析するチップが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
また、ガラス、シリコン基板等からなるマイクロチップ内に反応室を有し、反応室内に免疫抗原−抗体反応のための反応固相としての直径1mm以下のガラスビーズもしくはポリスチレン等の高分子固体微粒子を装入し、マイクロチャネル流入部から導入した抗原および標識抗体の反応を該固体微粒子上で行い、未反応物あるいは反応生成物を分離して光熱変換分析により分析する免疫分析チップが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、これらの分析チップの場合、反応室、担体、堰き止め手段、液体流入口、液体流出口、これらを連結する微細流路、又はマイクロチャネル等、その中でも特に反応室、担体、堰き止め手段の壁面への測定対象物の吸着の問題については対策がなされておらず、多くの測定対象物が該液体流入口、反応室、堰き止め手段、液体流出口、およびこれらを連結する微細流路、マイクロチャネル等に吸着してしまうため、測定の信号強度が極端に低下してしまう。また、測定対象成分または標識抗体などの反応物質や発色試薬等が非特異的に反応室や測定部の表面、あるいは固定化担体、固体微粒子等の表面に吸着することにより、本来、測定対象成分の存在によって生成される反応生成物以外にノイズ成分が生じるという問題があった。このように、従来の方法あるいは分析チップでは、信号強度の低下とノイズレベルの上昇が起こり、S/Nの低下により検出感度が低下するという微量分析としての課題があった。
【0009】
こうした感度の低下を防ぐためには、ウシ血清アルブミンあるいはスキムミルク溶液等で、担体、反応室に対する測定対象成分の非特異的な吸着を防ぐ操作、すなわちブロッキングという操作を行う必要があった。
【特許文献1】特開2004−132820号公報
【特許文献2】特開2001−4628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、担体、反応室等への測定対象成分の吸着を防ぐことにより、高い感度で効率よく免疫分析などの選択結合性物質を用いる分析を行うことを可能とする分析チップとこれを用いた分析方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は次の構成を有する。
〔1〕液体流入口、液体流出口及び反応室を有し、液体流入口から導入した試料溶液中の測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体を該反応室の内部に収納する分析チップであって、該反応室内の少なくとも一部の接液面が親水性高分子で被覆され、該担体の少なくとも一部の表面が親水性高分子で構成される分析チップ。
〔2〕液体流入口と反応室の間および液体流出口と反応室の間に、反応室からの担体の流出を防ぐ堰き止め手段をさらに有し、該堰き止め手段の接液面が親水性高分子で被覆されていることを特徴とする〔1〕に記載の分析チップ。
〔3〕反応室の接液面を被覆する親水性高分子の少なくとも一部が接液面と化学結合していることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の分析チップ。
〔4〕反応室の接液面を被覆する親水性高分子が、高エネルギー線を照射する方法により該接液面と共有結合されたものである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の分析チップ。
〔5〕反応室の接液面を被覆する親水性高分子がポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールのいずれかである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の分析チップ。
〔6〕堰き止め手段の接液面を被覆する親水性高分子の少なくとも一部が接液面と化学結合していることを特徴とする〔2〕〜〔5〕のいずれかに記載の分析チップ。
〔7〕堰き止め手段の接液面を被覆する親水性高分子が、高エネルギー線を照射する方法により該接液面と共有結合されたものである〔2〕〜〔6〕のいずれかに記載の分析チップ。
〔8〕堰き止め手段の接液面を被覆する親水性高分子がポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールのいずれかである〔2〕〜〔7〕のいずれかに記載の分析チップ。
〔9〕担体表面の少なくとも一部を構成する親水性高分子が多糖類である〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の分析チップ。
〔10〕液体流入口、反応室、堰き止め手段、液体流出口の少なくとも1つを備える基材が樹脂を含む〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の分析チップ。
〔11〕樹脂が熱可塑性樹脂である〔10〕に記載の分析チップ。
〔12〕〔1〕〜〔11〕に記載の分析チップの反応室に試料溶液を導入し、試料溶液中の測定対象成分の有無又は存在量を免疫分析法により測定する分析方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明により以下のような優れた効果が得られる。
【0013】
第一に、担体の表面の少なくとも一部が親水性高分子からなり、反応室内の少なくとも一部の接液面を親水性高分子で被覆し、好ましくは液体流入口、堰き止め手段、液体流出口、これらを連結する微細流路、マイクロチャネル等の接液面をさらに親水性高分子で被覆することにより、測定対象成分および選択結合性物質の担体又は接液面への吸着が抑制され、分析対象となる測定対象成分の減少による信号強度の低下や、測定対象成分または標識抗体などの反応物質や発色試薬等が担体、反応室、測定部へ非特異的に吸着することによるノイズの上昇が抑制されるために、微量かつ精度の高い分析が可能となる。
【0014】
第二に、担体および反応室等の接液面への測定対象成分や選択結合性物質の吸着が抑制されているため、従来の分析チップにおいて必要であったブロッキングの操作を必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[分析チップ]
本発明は、液体流入口、液体流出口及び反応室を有し、液体流入口から導入した試料溶液中の測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体を反応室の内部に収納する分析チップであって、該反応室内の少なくとも一部の接液面が親水性高分子で被覆され、該担体の少なくとも一部の表面が親水性高分子で構成される分析チップである。
【0016】
図1〜4に本発明の一実施形態を示す。図1は平面模式図、図2は分解斜視図、図3は図1の堰き止め手段3付近の拡大図、図4は図2中のA−A線の要部断面図である。
【0017】
図2に示す本分析チップの一実施形態においては、略平面板状の分析チップ基板1に分析チップ蓋2が積層され、これらが接合により一体化されて概略構成されている。基板1には溝が形成されている。また液体流入口8側および液体流出口9側の流路5、6の間の部分に反応室4が形成され、担体7が封入されている。また、反応室4と液体流出口9側の流路5の間には担体7を堰き止めるための堰き止め手段3が形成されている。
【0018】
図1に示す本発明の一実施形態の分析チップを用いた測定は以下のように行うことができる。まず、液体流入口より測定対象成分を含む溶液を流入し、測定対象成分を反応室内の選択結合性物質と結合させる。その後、洗浄液で未反応の測定対象成分を洗い流す。洗浄液は液体流出口より排出される。測定成分が選択結合性物質に結合した後、1種以上の標識物質によって標識された検出用選択結合性物質を測定成分と反応させ、結合させた後、該検出用選択結合性物質の量、標識物質の量又は活性を測定することによって測定対象成分の有無又は量を測定することができる。
【0019】
液体流入口および液体流出口の形状は特に限定されず、液体流入口は測定成分、選択結合性物質、洗浄液又は選択結合性物質反応物等が流路に送液できる形状であれば良い。また、液体流出口は測定成分、選択結合性物質、洗浄液又は選択結合性物質反応物を回収できる形状であれば良く、液体流入口および液体流出口は開放されていても閉鎖されていても良い。
【0020】
本発明における分析チップには、溶液試料に対して、導入、反応、洗浄、分離、精製、検出などの様々な操作を任意に選択して1枚の基板上で行えるようにチップ化したものも含まれる。これらの技術により超高感度分析、超微量分析、多種目同時分析などを実現させることができる。また、本発明における分析チップとは、チップ自体、これらの部分が一つでも含まれるもの、微細流路のみのもの、または微細流路がなく基板のみのものを含む。
【0021】
分析チップにおける流路の形状は特に限定されるものではない。なお、前記流路が一枚のチップ上に3〜96本設置された、同時に多流路を解析することができるチップを使用することもできる。多流路の並べ方は、並行、放射線状、円形状等があるが、その形状は特に限定されるものではない。
【0022】
[反応室、堰き止め手段の親水性高分子処理]
本発明の分析チップにおける反応室は、選択結合性物質が表面に固定化された担体を収納し、測定対象物質と選択結合性物質が反応するための部分である。
【0023】
本発明の分析チップの反応室内の少なくとも一部の接液面は、タンパク質などの測定対象物質の吸着を抑制するために、親水性高分子で被覆される。好ましくは、反応室内の接液面の全面が親水性高分子で被覆される。また、後述する分析チップの堰き止め手段の接液面が親水性高分子で被覆されていることが好ましい。
【0024】
堰き止め手段又は反応室が親水性高分子で被覆された状態とは、堰き止め手段又は反応室内の接液面に親水性高分子がファンデルワールス力、イオン結合、疎水結合、水素結合、共有結合などの化学結合によって結合した状態のことをいう。これらのうち、堰き止め手段又は反応室の接液面から親水性高分子の剥離を防ぐ意味からも、堰き止め手段又は反応室の接液面と親水性高分子は共有結合していることが望ましい。ここで、共有結合とは2個の原子が電子を共有してつくる結合のことを言い、シグマ結合、パイ結合、他の非局在共有結合および/または他の共有結合タイプを持つものをいう。
【0025】
堰き止め手段又は反応室の接液面を親水性高分子で被覆する方法としては、特に限定されず、既存の方法を適用することができる。例えば、非共有結合的な化学結合により親水性高分子を被覆する手段としては、親水性高分子又はその溶液を接液面に塗布する方法、あるいは親水性高分子又はその溶液に接液面を浸漬して被覆する方法等を用いることができる。
【0026】
堰き止め手段又は反応室の接液面に親水性高分子を共有結合させる手段としては、堰き止め手段又は反応室表面に開始剤を浸漬し親水性高分子を重合する方法、親水性高分子をビニル基で修飾し高エネルギー線照射により結合させる方法等があるが、操作の簡便性、また開始剤や修飾剤などの混在を防ぐ面からも、高エネルギー線照射によって共有結合させることが望ましい。
【0027】
本発明における高エネルギー線とはある一定のエネルギー量を持つエネルギー線のことで、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、エックス線、ガンマ線、電子線、陽子線、中性子線も高エネルギー線に含まれる。本発明において基材として用いる樹脂のケイ素の含有率が低い場合は、高いエネルギーを持つエネルギー線を用いることができるので好ましい。
【0028】
高エネルギー線の照射量は特に限定されるものではなく、タンパク質吸着抑制能を付与したい接液面に親水性高分子が固定化するだけの照射量があれば良い。高エネルギー線としてガンマ線を用いる場合は、吸収エネルギーとして通常100kGy以下、好ましくは40kGy以下、さらに好ましくは樹脂基板の黄変による被験試料検出への影響が少ない10kGy以下が用いられる。
【0029】
本発明の分析チップの堰き止め手段又は反応室の接液面に被覆する親水性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリα−ヒドロキシビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリα−ヒドロキシアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、馬鈴薯デンプン、とうもろこしデンプン、小麦デンプン等のデンプン、グルコマンナン、絹フィブロイン、絹セリシン、寒天、ゼラチン、卵白たんぱく質又はアルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0030】
これらの中でも、被覆する親水性高分子としては、ポリアルキレングリコール又はポリビニルアルコールが好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、特にポリエチレングリコールが好ましい。ポリアルキレングリコールは、例えばポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールに代表される主鎖中に酸素原子を含む鎖状高分子であるが、ポリアルキレングリコールがグラフトしたポリマーであっても良い。ポリアルキレングリコールの分子量は、特に限定されるものではなく、数平均分子量で600〜4000000、タンパク質の吸着阻害能を考慮すると10000〜1000000程度のものが好ましく用いられる。また、ポリビニルアルコールの分子量は、数平均分子量で600〜4000000、タンパク質の吸着阻害能を考慮すると1000〜1000000程度のものが好ましく用いられる。
【0031】
親水性高分子で被覆された堰き止め手段又は反応室の接液面の親水性の程度は、接液面に対する水の接触角を測定することにより数値化することができる。水との接触角は、測定対象面に対して水又は水と同等の表面張力を有する検査液が接触する角を、JIS規格 R3257(1999年)の方法に従って測定される値である。市販の接触角測定器(例えば、協和界面科学株式会社製Dropmaster100)を用いて測定することができる。通常、接液面が親水性になるほど水の接触角が小さくなる。本発明の分析チップにおいては、堰き止め手段又は反応室の接液面の親水性の程度は、20℃で、1μLの水滴を接液面に滴下した際、当該表面における水滴の接触角が80度以下であることが好ましく、75度以下であることが更に好ましい。
【0032】
[担体]
本発明における担体は、その表面に試料溶液中の測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が固定化されるものである。
【0033】
本発明における担体の大きさは特に限定はしないが、担体が反応室に封入される大きさであれば良い。担体の形状は単位容積あたりの選択結合性物質の結合する比面積を大きくする点から粒状、更には球状が好ましい。担体が球状の場合、単位容積あたりの選択結合性物質の結合する比面積を大きくする点から、また、担体が堰き止め手段で堰き止められ、かつ液体が反応室を支障なく通過できるために、球体の直径は0.1μm以上1000μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0034】
担体の形状は、ガラス、アガロース、シリカ、アクリルアミドなどからなる粒状、フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜、セルロース膜といったフィルム膜が好ましい。あるいは、例えば、スポンジ形状や繊維形状を形成する材料によっても成し遂げられる。繊維形状を形成する担体の材料としては例えば、ナイロン、シルク、アミロイド繊維などが挙げられるが、これらに限るものではない。また、その大きさも特に限定されることはない。
【0035】
担体表面を構成する親水性高分子の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース又は酪酸セルロース等のセルロース類、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸グリセリル、メタクリル酸グリセリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド等を重合させてアクリル樹脂、ポリビニルピロリドンやポリビニルアルコール等のビニル樹脂、ポリカプロラクタム、ポリラウリルラクタム、ポリヘキサメチレンアジポアミド又はポリヘキサメチレンドデカンジアミド等のナイロン類、ポリウレタン類、ポリ乳酸、直鎖又は分岐の多糖類などが挙げられる。これらのなかでも多糖類が好ましく、アミロース、デキストラン、キトサン、ヒアルロン酸等の直鎖多糖類、アミロペクチン、ヒアルロン酸、ヘミセルロース等の分岐多糖類がより好ましく用いられる。
【0036】
本発明の担体表面を構成する親水性高分子は、ファンデルワールス力、イオン結合、疎水結合、水素結合、共有結合等により結合している。
【0037】
また、親水性高分子が担体表面を構成している面積割合は、担体に結合している選択結合性物質が測定成分と結合可能であれば、特に限定されない。
【0038】
本発明の担体表面に親水性高分子を構成させる方法としては、既知の方法を用いることができるが、例えば、担体を親水性高分子に浸漬し、高エネルギー線を照射することにより本発明の担体を作製することができる。また、ビーズ自体の表面にエポキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有するアクリル型ポリマービーズや、ビーズを構成する成分自体が親水性であるアガロース架橋ビーズ等の市販ビーズを用いても良い。
【0039】
[選択結合性物質]
本発明の分析チップの担体に固定化される選択結合性物質とは、測定対象成分との特異的親和性を保持し、これと選択的に結合する物質のことである。例えば、抗体、抗体フラグメント、リガンド、抗原、ハプテン、レセプター等が挙げられる。また、金属イオンやヘパリン、ストレプトアビジン、ビオチン、ベンザミジン、グルタチオン、アルギニン、カルモジュリン、ゼラチン、リジン、マンノース、DNA、2’5’−アデノシン−2−リン酸、核酸、酵素基質、酵素阻害剤等も選択結合性物質に含まれる。
【0040】
かかる抗体にはポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、合成抗体、組換え抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、単鎖抗体、抗体断片としてはFab断片、F(ab’)断片などを含む。ポリクローナル抗体は、精製ポリペプチドを結合した親和性カラムに結合させることを含む、いわゆる吸収法によって、特異的抗体として調製することができる。
【0041】
これらの選択結合性物質は、担体に固定して測定対象成分を捕捉する捕捉用選択結合性物質として用いることも、また適当な標識物質を結合させて標識した上で測定対象成分と反応させて、標識の有無又は強度を測定することによりこれを検出するために用いる検出用選択結合性物質としても用いることもできる。
【0042】
本発明の選択結合性物質を担体に結合する方法は特に限定されず、既存の方法を用いることができる。例えば、選択的結合性物質の溶液に担体を浸漬することで非共有結合的に化学結合させる方法、あるいは活性型スクシンイミドを用いた反応又は適当な縮合剤を用いた縮合反応等により、担体表面に存在するカルボキシル基とのアミド化結合等により共有結合させる方法を用いることができる。
【0043】
また、本発明の分析チップに用いられる担体へ選択結合性物質を結合させる場合は、選択結合性物質結合体を介して結合させても良い。ここでいう選択結合性物質結合体は、担体と選択結合性物質との間に介在してこれらを結合させるものであって、選択結合性物質を担体へ結合させる際にこれを効率よく行うために使用される。選択結合性物質結合体の種類は特に限定されず既知のものを使用することができるが、好ましくはプロテインA、プロテインG、プロテインL、プロテインA/Gの様な抗体のFc部位またはκ鎖との結合用リガンドとして広く使用される結合用タンパク質、あるいは2本鎖DNA認識物質が挙げられる。
【0044】
また、担体へ選択結合性物質結合体を結合させる方法は特に限定されないが、担体表面あるいは内部に選択結合性物質結合体が共有結合又は非共有結合的に化学結合されれば良い。あるいは担体の組成物として選択結合性物質結合体が混在している状態、すなわち一般的な免疫分析法において用いられる環境下で、選択結合性物質結合体が担体から剥がれない形態をとっていれば良い。選択結合性物質結合体を担体へ固定化する方法としては、具体的には、活性型スクシインミドを用いた反応、縮合反応等により共有結合させる方法、担体を選択結合性物質結合体の溶液に浸漬して非共有結合的に化学結合させる方法などがあるが、これに限定されるものではない。また、選択結合性物質結合体が固定化された市販の担体を用いても良い。
【0045】
[測定対象成分]
本発明の分析チップにおける測定対象成分は特に限定されないが、測定対象成分としてはタンパク質、核酸、脂質又は低分子化合物等が挙げられ、その中でもタンパク質が望ましい。タンパク質とは、複数のアミノ酸がペプチド結合により連結された構造を有する化合物をいい、天然由来物、合成物、および短鎖のペプチドをも含むことを意味する。構成成分としてアミノ酸以外に糖、核酸、脂質を含んでいてもよい。
【0046】
本発明の分析チップを用いて解析されうるタンパク質としては、特に限定されることなく、天然由来物、合成物、アミノ酸以外の構成成分を含む核タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質等が挙げられるが、水溶性タンパク質に好適に使用される。
【0047】
[分析方法]
本発明の分析方法は、本発明の分析チップを用いて、試料溶液中の測定対象成分の有無又は存在量を免疫分析法により測定するものである。ここでいう免疫分析法とは、分析チップの反応室内の担体に固定化された選択結合性物質と結合した測定対象成分を測定する分析法である。この分析方法は、測定対象成分と、その測定対象成分と特異的に反応する選択結合性物質とが結合する第1の工程、該選択結合性物質に共有あるいは非共有的に結合した発色性、発光性、放射性、蛍光性または酵素的に活性な標識物質による発色量、発光量、放射量、蛍光強度、あるいは酵素活性などを測定する第2の工程を含む。
【0048】
また、本発明の分析チップを用いた分析方法には以下の様なものが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0049】
(1)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象成分(A)を担体に結合させ、担体に結合した測定対象成分(A)を光分析する分析方法
(2)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象成分(A)を担体に結合させ、測定対象成分と選択的に結合する物質(B)の溶液を導入して、担体に結合した測定対象成分(A)に該物質(B)を結合させ、成分(A)を介して担体に結合した物質(B)を光分析する分析方法
(3)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象(A)を担体に結合させ、測定対象成分と反応しうる反応基質(B)の溶液を導入し、担体表面に結合した測定対象成分(A)と反応基質(B)の反応により生成した生成物(C)を光分析する分析方法
(4)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象(A)を担体に結合させ、続いて測定対象成分(A)と選択的に結合する物質(B)を結合させ、続いて物質(B)に選択的に結合する物質(C)を結合させて、成分(A)および物質(B)を介して担体に結合した物質(C)を光分析する分析方法
(5)担体に結合した選択結合性物質に対して測定対象成分(A)と競争的に結合する成分(A’)と試料とを混合させ、その混合液を反応質に導入し、成分(A’)を光分析する分析方法。
【0050】
ここで成分(A’)は、成分(A)、あるいは成分(A)の一部に標識物質を結合させたものとすることができるが、これに限定されるものではない。
【0051】
[試料溶液]
本発明の分析チップには、被験者の疾患の診断に用いる臨床検体である喀痰、唾液、尿、便、精液、血液、組織、臓器、その他の体液、またはこれらの体液の分画等を被験材料とし、必要によりこれらを分析に適するような前処理をして調製した溶液を試料溶液として用いることができる。ここで被験者とは、哺乳動物、例えば非限定的にヒト、サル、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、マウス、ラットなどを指す。また同様に、食品、飲料水、土壌、排水、河川水、海水、環境のふき取り液、環境のふき取り綿の滲出液などを被験材料として用いることができる。また、菌体の培養液や、固形培地上に培養された菌体(コロニー)を使用することができる。
【0052】
[測定対象成分の回収率]
本発明における測定対象成分の一つであるタンパク質の回収率の測定は、以下の様に行うことができる。しかし、回収率の測定方法は以下の方法に限定されるものではない。
【0053】
液体流入口から10μg/mlに希釈したFITC標識ウシ血清アルブミンタンパク質およびマウスIgGタンパク質の試験水溶液を注入し、液体流入口から微細流路を経て反応室、測定部、液体流出口に該試験水溶液を満たす。室温で10分間静置した後、液体流出口から注入溶液を回収する。液体流入口から注入する前の試験水溶液と液体流出口から回収した試験水溶液に含まれるFITC標識ウシ血清アルブミンタンパク質およびマウスIgGタンパク質の蛍光またはおよび吸光度を測定することにより濃度を算出し、回収率を求める。
【0054】
[堰き止め手段の構造]
本発明の分析チップにおける堰き止め手段は、担体が液体流出口側流路に流れるのを防ぐためのものである。堰き止め手段は担体の粒径よりも、微細流路の深さが浅くなるか、流路幅が狭くなるか、あるいは、これらの組み合わせによって実現される。このために形成される流路を構成する基材自体が狭隘な構造を取る場合と、別部材の導入によって狭隘な構造とする場合、あるいはこれらの組み合わせを行うことができる。しかし、別部材の導入は作製工程を煩雑にするため、製作コストの観点から基材自体を狭隘な形状に加工することが望ましい。
【0055】
[微細流路の形状]
本発明の分析チップには、液体流入口、反応室、液体流出口が微細流路で連結されている構造を取るものも含まれる。
【0056】
本発明の分析チップにおける微細流路は、凹部を形成した板状の基材を別基材と接合して作製される。あるいは貫通したスリット形状を有する薄膜とこれを挟み込む少なくとも2つの基材によっても作製可能である。基材はシート状、板状、フィルム状、棒状、管状、塗膜状、円筒状、その他複雑な形状の成形物をとりうるが、これに限定されるものではない。加工性および取り扱いの容易さから、好ましくはシート状、板状、フィルム状である。
【0057】
分析チップの微細流路の幅、深さは、分析チップの大きさ、使用目的などにより適宜設定されうる。具体的には、微細流路の幅は、十分な検出精度を得る観点から、0.1μm以上、好ましくは10μm以上であり、十分な検出感度を得る観点から、1000μm以下、好ましくは500μm以下であることが望ましい。また、微細流路の深さは、分析チップの大きさ、使用目的などにより適宜設定されうる。具体的には、十分な検出感度を得る観点から、0.1μm以上、好ましくは10μm以上であり、十分な検出精度を得る観点から、1000μm以下、好ましくは500μm以下であることが望ましい。
【0058】
本発明の分析チップの反応室は、選択結合性物質と結合した測定対象成分の分析に十分量の担体が封入される大きさであれば良い。すなわち、具体的な反応室の幅は、十分な検出感度を得る観点から、0.1μm以上、好ましくは10μm以上であり、十分な検出精度、検出感度を得る観点から、10000μm以下、好ましくは5000μm以下であることが好ましい。また、反応室の深さは、分析チップの大きさ、使用目的などにより適宜設定される。具体的な反応室の深さは十分な検出感度を得る観点から、0.1μm以上、好ましくは10μm以上であり、十分な検出精度を得る観点から、10000μm以下、好ましくは5000μm以下であることが好ましい。更に、微量分析を行う観点から、1000μm以下、好ましくは500μm以下であることが好ましい。
【0059】
微細流路の長さは、分析チップの大きさ、解析対象の化合物に応じて適宜選択することができる。
【0060】
また、液体流入口、液体流出口の大きさは、試料溶液の容量に応じて適宜設定することができる。具体的には、試料溶液導入の操作の観点から、直径0.05mm以上、好ましくは4mm以下であることが望ましい。
【0061】
本発明の分析チップの微細流路内壁が親水性高分子で被覆される部分は、測定部より上流が被覆されていれば特に限定しないが、液体流入部および液体流出部と反応室を連結する微細流路の内壁もしくは反応室および反応室の下流に連接した測定部の内壁が被覆されていることが好ましい。
【0062】
[樹脂]
本発明の分析チップを構成する基材は、樹脂を含むものであることが好ましい。液体流入口、反応室、堰き止め手段、液体流出口の少なくとも1つがこの基材によって形成される。ここでいう樹脂とは、天然樹脂若しくは合成樹脂の単独材料又は混合材料、又はこれらの改質物、又はこれらの樹脂とガラス、金属、炭素材料等との混合または複合により得られた複合材料等を意味する。
【0063】
合成樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれも用いることができるが、熱可塑性樹脂が好ましい。合成樹脂としては、以下の(1)〜(11)が例示される。例えば、(1)付加重合体:オレフィン、オレフィン以外のビニル化合物、ビニリデン化合物およびその他の炭素−炭素二重結合を有する化合物からなる群から選ばれる単量体の単独重合体または共重合体、またはこれらの単独重合体もしくは共重合体の混合物あるいは改質物、(2)重縮合体:ポリエステル、ポリアミドなど、またはこれらの重合体の混合物あるいは改質物、(3)付加縮合体:フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂など、またはこれらの重合体の混合物あるいは改質物、(4)重付加生成物:ポリウレタン、ポリ尿素など、またはこれらの重合体の混合物あるいは改質物、(5)開環重合体:シクロプロパン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ラクトン、ラクタムなどの単独重合体または共重合体、またはこれらの単独重合体もしくは共重合体の混合物あるいは改質物、(6)環化重合体:ジビニル化合物(例えば:1,4−ペンタジエン)やジイン化合物(例えば:1,6−ヘプタジイン)などの単独重合体または共重合体、またはこれらの単独重合体もしくは共重合体の混合物あるいは改質物、(7)異性化重合体:例えばエチレンとイソブテンの交互共重合体など、(8)電解重合体:ピロール、アニリン、アセチレンなどの単独重合体または共重合体、またはこれらの単独重合体もしくは共重合体の混合物あるいは改質物、(9)アルデヒドやケトンのポリマー、(10)ポリエーテルスルホン、(11)ポリペプチド、などが挙げられる。
【0064】
天然樹脂としては、セルロース、タンパク質、多糖類等の単独物または混合物やこれらの改質物等が挙げられる。
【0065】
また本発明の分析チップを構成する基材のガラス転移温度は特に限定しないが、射出成形を行い微細流路を有するチップに加工して量産する点から80℃以上200℃以下が好ましい。
【0066】
[分析チップの黒色化]
本発明の分析チップは、基材となる樹脂に黒色物質が含有またはコーティングされていても良い。ここでいう黒色とは、可視光(波長が400nmから800nm)範囲において、黒色部分の分光反射率が特定のスペクトルパターン(特定のピークなど)を持たず、一様に低い値であり、かつ、黒色部分の分光透過率も、特定のスペクトルパターンを持たず、一様に低い値であることをいう。
【0067】
この分光反射率、分光透過率の値としては、可視光(波長が400nmから800nm)の範囲の分光反射率が7%以下であり、同波長範囲での分光透過率が2%以下であることが好ましい。なお、ここでいう分光反射率は、JIS Z 8722 条件Cに適合した、照明・受光光学系で、基材からの正反射光を取り込んだ場合の分光反射率をいう。
【0068】
黒色にする手段としては、基材、絶縁材料に黒色物質を含有させることにより達成しうる。この黒色物質は、光を反射したり透過し難いものであれば特に制限はないが、好ましいものを挙げると、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、アニリンブラック、またはRu、Mn、Ni、Cr、Fe、Coおよび/もしくはCuの酸化物、またはSi、Ti、Ta、Zrおよび/もしくはCrの炭化物などの黒色物質が使用できる。
【0069】
これらの黒色物質は単独で含有させる他、2種類以上を混合して含有させることもできる。例えば、基材、絶縁材料がポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリコン樹脂などのポリマーの場合は、この中の黒色物質の中でも、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、アニリンブラックを好ましく含有させることができ、特にカーボンブラックを好ましく用いることができる。ガラス、セラミックの無機材料の場合は、Ru、Mn、Ni、Cr、Fe、Coおよび/またはCuの酸化物、Si、Ti、Ta、Zrおよび/またはCrの炭化物を好ましく含有させることができる。
【0070】
[分析チップの分離膜付与]
本発明の分析チップは、流路、試料導入部、あるいはそれ以外の場所に分離膜があっても良い。分離膜の厚さ・素材は試料を含む溶液が分離できるものであればよい。
【0071】
該分離膜の厚さは任意ではあるが好ましくは1μm以上で、より好ましくは10μm以上かつ3mm以下である。単独で1μm以下の厚さの膜は強度が弱く、作成後、接合工程へ持ち込むための取り扱いが困難となるからで、10μm以下の厚さの膜は、本発明の方式によらずとも、良好な挟み込みが実施できる。また、3mm以上の厚さの膜は微小なデバイスに適さないからである。
【0072】
該分離膜の素材には既存の膜に用いられている種々の材料を用いることができる。セルロース、再生セルロース、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、硝酸セルロース、その他セルロース誘導体、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル、その他ポリ酢酸誘導体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、これらの共重合体、その他合成樹脂、ガラス、ゼオライト、その他セラミックス、金属類およびこれらの組み合わせがあるが、これに限定されない。
【実施例】
【0073】
本発明を以下の実施例により更に具体的に説明するが本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
実施例1
深さ0.04、幅0.1mm、長さ10cmの反応室を有するポリメチルメタクリレート製の樹脂基板の接液面を含む基板全体を、親水性高分子として分子量500,000、2,000ppmのポリエチレングリコール水溶液に浸漬した。浸漬したポリメチルメタクリレート板を密封し、2.5kGyのガンマ線を照射し、グラフト化した。グラフト化した基板を洗浄後、該基板上の反応室に10μg/mlに希釈したFITC標識ウシ血清アルブミンタンパク質およびヒトIgGタンパク質の水溶液を注入した。室温で10分間静置した後、注入溶液を回収した。酵素免液法を用いて回収したFITC標識ウシ血清アルブミンタンパク質およびヒトIgGタンパク質水溶液の量を測定し回収率を算出した。
【0075】
比較例1
深さ0.04、幅0.1mm、長さ10cmの反応室を有するポリメチルメタクリレート製の樹脂基板に、親水性高分子をグラフト化することなく、反応室に10μg/mlに希釈したFITC標識ウシ血清アルブミンタンパク質およびヒトIgGタンパク質の水溶液を注入した。室温で10分間静置した後、注入溶液を回収した。酵素免液法を用いて回収したFITC標識ウシ血清アルブミンタンパク質およびヒトIgGタンパク質水溶液の量を測定し回収率を算出した。

回収率を算出した結果、実施例1におけるFITC標識ウシ血清アルブミンタンパク質およびヒトIgGタンパク質の回収率は各々92.3、93.6%、比較例1におけるFITC標識ウシ血清アルブミンタンパク質およびヒトIgGタンパク質の回収率は各々72.9、59.6%であった(図5)。樹脂基板、特に反応室にポリエチレングリコールを被覆した実施例1では、被覆処理をしていない比較例1に比べて蛍光標識ウシ血清アルブミンタンパク質の回収率が約20%、蛍光標識ヒトIgGタンパク質の回収率が約30%高いという結果が得られた。
【0076】
実施例2
本実施例では、本発明の分析チップを用いたヒトインターロイキン−8タンパク質(hIL−8)の測定を行った。
【0077】
図1記載のポリメチルメタクリレート製の分析チップの接液面を含む基板全体を、親水性高分子として分子量500,000、2,000ppmのポリエチレングリコール水溶液に浸漬した。浸漬したポリメチルメタクリレート板を密封し、2.5kGyのガンマ線を照射し、グラフト化した。
【0078】
表面が親水性高分子からなる担体として、プロテインAを被覆したセファロースからなるビーズ(Amersham Bioscience社)をリン酸緩衝液で洗浄し、セファロースビーズと同量の0.1μg/ml抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社)0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を添加し4℃で一晩浸透させた。浸透後、セファロースビーズを0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄し、上記分析チップの流路内に2μl充填した。
【0079】
チップの流路内を0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄した後、0.25%ウシ血清アルブミン、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させたhIL−8(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを2.5μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入した後、引き続いて0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を20μl/分の流速で注入することにより、流路内を10分間洗浄した。洗浄後、0.25%BSA、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させた0.6μg/mlのHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを2.5μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入して先に注入したhIL―8と反応させ、さらに0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を20μl/分の流速で流路内に注入して10分間洗浄した。洗浄後、20μM過酸化水素水、13μg/ml Amplex Red(Molecular Probes社)を含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を20μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入し、流路内で産生されたレゾルフィンの量を分析チップ基板上で蛍光顕微鏡IX−71(オリンパス社)を用いて測定した。
【0080】
比較例2
本比較例では反応室内の接液面を含む樹脂基板全体および担体表面が親水性高分子で被覆されていない分析チップを用いたhIL−8の測定を行った。
【0081】
ポリスチレンビーズ(Polyscience社)をリン酸緩衝液で洗浄し、ポリスチレンビーズと同量の0.1μg/ml抗hIL−8抗体0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を添加し4℃で一晩浸透させた。浸透後、ポリスチレンビーズを0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄し、反応室内の接液面および担体表面を親水性高分子で被覆していない図1記載のポリメチルメタクリレート製分析チップの流路に2μl充填した。
【0082】
チップの流路内を0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄した後、0.25%ウシ血清アルブミン、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させたhIL−8(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを2.5μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入した後、引き続いて0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を20μl/分の流速で注入することにより、流路内を10分間洗浄した。洗浄後、0.25%BSA、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させた0.6μg/mlのHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを2.5μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入して先に注入したhIL―8と反応させ、さらに0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を20μl/分の流速で流路内に注入して10分間洗浄した。洗浄後、20μM過酸化水素水、13μg/ml Amplex Red(Molecular Probes社)を含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を20μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入し、流路内で産生されたレゾルフィンの量を分析チップ基板上で蛍光顕微鏡IX−71(オリンパス社)を用いて測定した。
【0083】
比較例3
本比較例では反応室内の接液面を含む樹脂基板全体が親水性高分子で被覆されていない分析チップを用いたhIL−8の測定を行った。
【0084】
プロテインAを被覆した親水性高分子であるセファロースからなるビーズ(Amersham Bioscience社)をリン酸緩衝液で洗浄し、セファロースビーズと同量の0.1μg/ml抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社)0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を添加し4℃で一晩浸透させた。浸透後、セファロースビーズを0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄し、反応室内の接液面を親水性高分子で被覆していない図1記載のポリメチルメタクリレート製分析チップの流路に2μl充填した。
【0085】
チップの流路内を0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄した後、0.25%ウシ血清アルブミン、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させたhIL−8(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを2.5μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入した後、引き続いて0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を20μl/分の流速で注入することにより、流路内を10分間洗浄した。洗浄後、0.25%BSA、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させた0.6μg/mlのHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを2.5μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入して先に注入したhIL―8と反応させ、さらに0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を20μl/分の流速で流路内に注入して10分間洗浄した。洗浄後、20μM過酸化水素水、13μg/ml Amplex Red(Molecular Probes社)を含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を20μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入し、流路内で産生されたレゾルフィンの量を分析チップ基板上で蛍光顕微鏡IX−71(オリンパス社)を用いて測定した。
【0086】
比較例4
本比較例では担体表面が親水性高分子で被覆されていない分析チップを用いたhIL−8の測定を行った。
【0087】
図1記載のポリメチルメタクリレート製の分析チップを、親水性高分子として分子量500,000、2,000ppmのポリエチレングリコール水溶液に浸漬した。浸漬したポリメチルメタクリレート板を密封し、2.5kGyのガンマ線を照射し、グラフト化した。
【0088】
表面が親水性高分子で被覆されていない担体として、ポリスチレンビーズ(Polyscience社)をリン酸緩衝液で洗浄し、ポリスチレンビーズと同量の0.1μg/ml抗hIL−8抗体0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を添加し4℃で一晩浸透させた。浸透後、ポリスチレンビーズを0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄し、親水性高分子で被覆された上記の分析チップの流路に2μl充填した。
【0089】
チップの流路内を0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄した後、0.25%ウシ血清アルブミン、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させたhIL−8(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを2.5μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入した後、引き続いて0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を20μl/分の流速で注入することにより、流路内を10分間洗浄した。洗浄後、0.25%BSA、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させた0.6μg/mlのHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを2.5μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入して先に注入したhIL―8と反応させ、さらに0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を20μl/分の流速で流路内に注入して10分間洗浄した。洗浄後、20μM過酸化水素水、13μg/ml Amplex Red(Molecular Probes社)を含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を20μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入し、流路内で産生されたレゾルフィンの量を分析チップ基板上で蛍光顕微鏡IX−71(オリンパス社)を用いて測定した。

実施例2について,各濃度でのhIL−8の蛍光強度を図6に示す(励起波長510−560nm、発光波長575−650nm、露光時間0.5秒)。実施例2では、図6のように検量線を作成できた。本実施例における蛍光強度は0〜4096の範囲で表示することができ、1000〜4000の範囲で実用的な値を取る。一方、比較例2〜4ではhIL−8の吸着によるノイズが高く、蛍光強度は測定限界値である4096を超過してしまい、検量線を作成するのは不可能であった。
【0090】
実施例3,4
本実施例では反応室内の接液面を含む樹脂基板全体にガンマ線照射により親水性高分子をグラフト化して共有結合させた分析チップの、該接液面について水の接触角の測定を行った。ポリメチルメタクリレート製の樹脂基板を、親水性高分子として分子量10,000、1,000ppmのポリビニルアルコール(PVA)水溶液に浸漬した。浸漬したポリメチルメタクリレート板を密封し、2.5kGy又は25kGyのガンマ線を照射し、グラフト化した。グラフト化した基板を精製水で洗浄後、マイクロシリンジを用いて精製水0.5μlを滴下し、30秒間静置し、接触角計Dropmaster100(協和界面科学株式会社)を用いて水の接触角を測定した。
【0091】
実施例5
本実施例では反応室内の接液面を含む樹脂基板全体に親水性高分子を非共有結合的に化学結合させ、該接液面について水の接触角の測定を行った。ポリメチルメタクリレート製の樹脂基板を、親水性高分子として分子量10,000、1,000ppmのポリビニルアルコール(PVA)水溶液に浸漬した。浸漬したポリメチルメタクリレート板を洗浄後、マイクロシリンジを用いて精製水1μlを滴下し、30秒間静置し、接触角計Dropmaster100(協和界面科学株式会社)を用いて水の接触角を測定した。
【0092】
比較例5
本実施例では反応室内の接液面を含む樹脂基板全体を親水性化処理していない樹脂基板の接液面について水の接触角の測定を行った。ポリメチルメタクリレート製の樹脂基板を精製水で洗浄後、マイクロシリンジを用いて精製水1μlを滴下し、30秒間静置し、接触角計Dropmaster100を用いて水の接触角を測定した。
【0093】
実施例3〜5、比較例5について各基板接液面における水の接触角(度)を表1に示す。表1中のPVAはポリビニルアルコールを示し、照射したガンマ線の照射量はキログレイ(kGy)で示す。比較例5の親水性化未処理の基板の接触角が87.3度であったのに対し、実施例3、4のPVAをグラフト化して共有結合させた基板の接触角は72.0度,62.7度、実施例5のPVAを非共有結合的に被覆した基板の接触角は77.3度となり、未処理の基板に比べて小さくなり、親水性が向上した。
【0094】
【表1】


【0095】
実施例6,7
本実施例では反応室内の接液面を含む樹脂基板全体の表面にガンマ線照射により親水性高分子をグラフト化して共有結合させた分析チップについて、タンパク質の吸着量を測定した。深さ0.04、幅0.1mm、長さ10cmの反応室を有するポリメチルメタクリレート製の樹脂基板を、親水性高分子として分子量500,000、2,000ppmのポリエチレングリコール(PEG)又は分子量10,000、1,000ppmのポリビニルアルコール(PVA)水溶液に浸漬した。浸漬したポリメチルメタクリレート板を密封し、2.5kGyのガンマ線を照射し、グラフト化した。グラフト化した基板をリン酸緩衝液で洗浄した後、反応室内に1ng/mlのhIL−8を4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて20μl注入した後、リン酸緩衝液を15μl/分の流速で10分間洗浄し、8.4μg/mlのHRP標識抗hIL−8抗体を4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて20μ注入した後、リン酸緩衝液を15μl/分の流速で10分間洗浄し、洗浄後、20μM過酸化水素水、13μg/ml Amplex Redを含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を20μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入し、流路内で産生されたレゾルフィンの量を分析チップ基板上で蛍光顕微鏡IX−71を用いて測定した。
【0096】
実施例8
本実施例では樹脂基板に親水性高分子を非共有結合的に化学結合させた分析チップについて、タンパク質の吸着量を測定した。深さ0.04、幅0.1mm、長さ10cmの反応室を有するポリメチルメタクリレート製の樹脂基板を、親水性高分子として分子量10,000、1,000ppmのポリビニルアルコール(PVA)水溶液に浸漬した。浸漬した基板をリン酸緩衝液で洗浄した後、反応室内に1ng/mlのhIL−8を4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて20μl注入した後、リン酸緩衝液を15μl/分の流速で10分間洗浄し、8.4μg/mlのHRP標識抗hIL−8抗体を4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて20μ注入した後、リン酸緩衝液を15μl/分の流速で10分間洗浄し、洗浄後、20μM過酸化水素水、13μg/ml Amplex Redを含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を20μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入し、流路内で産生されたレゾルフィンの量を分析チップ基板上で蛍光顕微鏡IX−71を用いて測定した。
【0097】
比較例6
本比較例では反応室内の接液面を含む樹脂基板全体の表面が親水性高分子で被覆されていない樹脂基板の分析チップについて、タンパク質の吸着量を測定した。深さ0.04、幅0.1mm、長さ10cmの反応室を有するポリメチルメタクリレート製の樹脂基板をリン酸緩衝液で洗浄した後、反応室内に1ng/mlのhIL−8を4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて20μl注入した後、リン酸緩衝液を15μl/分の流速で10分間洗浄し、8.4μg/mlのHRP標識抗hIL−8抗体を4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて20μ注入した後、リン酸緩衝液を15μl/分の流速で10分間洗浄し、洗浄後、20μM過酸化水素水、13μg/ml Amplex Redを含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を20μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入し、流路内で産生されたレゾルフィンの量を分析チップ基板上で蛍光顕微鏡IX−71を用いて測定した。
【0098】
実施例6〜8、比較例6について各被覆状態の反応室内のタンパク質hIL−8の吸着量を表2に示す。hIL−8の吸着量が多いほどhIL−8に反応するHRP標識抗hIL−8抗体量が多くなり、HRPを触媒として過酸化水素水、Amplex Redから産生させるレゾルフィンの産生量が高くなる。その結果、蛍光顕微鏡で測定した蛍光値が高くなる。表2の様に、親水性化未処理の樹脂基板である比較例6に比べて、親水性高分子をグラフト化して共有結合させ又は非共有結合的に化学結合させた樹脂基板である実施例6〜8では蛍光強度が約50〜65%低下した。
【0099】
【表2】


【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明にかかる分析チップの一実施形態の平面模式図
【図2】図1に示す分析チップの分解模式図
【図3】図1に示す分析チップの堰き止め手段付近の拡大図
【図4】図1に示す分析チップの要部縦断面図
【図5】本発明の分析チップと比較例の分析チップとのタンパク質の回収率の比較
【図6】本発明の分析チップと比較例の分析チップを用いたイムノアッセイの比較
【符号の説明】
【0101】
1 分析チップ基板
2 分析チップ蓋
3 分析チップ堰き止め手段
4 反応室
5 液体流出口側流路
6 液体流入口側流路
7 担体
8 液体流入口
9 液体流出口




 

 


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