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バッテリ放電能力判定方法、バッテリ放電能力判定装置、及び電源システム - 古河電気工業株式会社
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発明の名称 バッテリ放電能力判定方法、バッテリ放電能力判定装置、及び電源システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−187534(P2007−187534A)
公開日 平成19年7月26日(2007.7.26)
出願番号 特願2006−5420(P2006−5420)
出願日 平成18年1月12日(2006.1.12)
代理人 【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
発明者 岩根 典靖 / 藤村 幸司 / 杉村 竹三
要約 課題
要求負荷電流に対する応答電圧を推定してバッテリの放電能力を判定することが可能なバッテリ放電能力判定方法等を提供する。

解決手段
図1に示す本発明のバッテリ放電能力判定方法の実施形態では、拡張カルマンフィルタ演算により最適な状態ベクトルXを推定し、推定された状態ベクトルXから等価回路21の調整パラメータを最適なものに更新している(ステップS7)。そして、更新された調整パラメータを用いた等価回路21に基づき、所定の電流パターンでバッテリ12から放電させたときの電圧降下ΔVを推定し(ステップS8)、バッテリ12の放電能力を判定している(ステップS9)。
特許請求の範囲
【請求項1】
バッテリの等価回路に基づいて該バッテリの放電能力を判定するバッテリ放電能力判定方法であって、
少なくとも前記等価回路の調整パラメータ及び該調整パラメータの所定の関数を要素とする状態ベクトルを設定し、
前記バッテリの電流及び電圧を測定して求め、
前記測定された電流値及び電圧値と所定のSOC算出方法で算出されたSOCとを観測値とし、これから前記状態ベクトルを推定し、
推定された前記状態ベクトルの要素である前記調整パラメータを前記等価回路に適用して所定の電流パターンで放電したときの前記バッテリの電圧値を推定し、
推定された前記電圧値を所定の電圧許容値と比較することにより前記バッテリの放電能力を判定する
ことを特徴とするバッテリ放電能力判定方法。
【請求項2】
前記バッテリの電流、電圧及び充電率(SOC)から算出される二次観測値から前記状態ベクトルを推定することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ放電能力判定方法。
【請求項3】
1以上の周波数におけるインピーダンスを前記観測値の要素に追加し、
前記測定された電流値及び電圧値と前記SOC算出方法で算出されたSOCと所定のインピーダンス算出方法で算出された前記1以上の周波数におけるインピーダンスとから前記状態ベクトルを推定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバッテリ放電能力判定方法。
【請求項4】
前記インピーダンス算出方法は、前記バッテリにパルス電流を放電または充電させたときの電流及び電圧を測定し、前記測定された電流値及び電圧値をそれぞれフーリエ展開して前記1以上の周波数に対応するそれぞれの係数を求め、前記係数から前記1以上の周波数におけるインピーダンスを算出する
ことを特徴とする請求項3に記載のバッテリ放電能力判定方法。
【請求項5】
前記インピーダンス算出方法は、前記バッテリが電装機器に電力供給しているときの電流及び電圧を測定し、前記測定された電流値及び電圧値をそれぞれフーリエ変換して前記1以上の周波数に対応するそれぞれの係数を求め、前記係数から前記1以上の周波数におけるインピーダンスを算出する
ことを特徴とする請求項3に記載のバッテリ放電能力判定方法。
【請求項6】
前記インピーダンス算出方法は、前記フーリエ展開あるいはフーリエ変換して求めた前記インピーダンス(Zmesとする)に対し、さらに前記バッテリと並列接続された電装機器のインピーダンス(Zxとする)の影響を除去するために、
1/Zmes=1/Zx+1/Zbat
なる関係式より前記バッテリのインピーダンスZbatを算出する
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のバッテリ放電能力判定方法。
【請求項7】
前記調整パラメータは、少なくとも前記バッテリの電流値/温度/SOCのいずれかについて所定の補正計算が行われる
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のバッテリ放電能力判定方法。
【請求項8】
前記SOC算出方法は、前記バッテリの安定OCV測定値、電流積算値、I/V特性の少なくともいずれか1つを用いる
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のバッテリ放電能力判定方法。
【請求項9】
バッテリの等価回路に基づいて該バッテリの放電能力を判定するバッテリ放電能力判定装置であって、
前記バッテリの電流を測定する電流センサと、
前記バッテリの電圧を測定する電圧センサと、
前記電流センサから入力した電流値と、前記電圧センサから入力した電圧値と、所定の算出方法で算出されたSOCとから、前記等価回路の調整パラメータ及び該調整パラメータの所定の関数を要素とする状態ベクトルを推定し、推定された前記状態ベクトルの要素である前記調整パラメータを前記等価回路に適用して所定の電流パターンで放電したときの前記バッテリの電圧値を推定し、推定された前記電圧値を所定の電圧許容値と比較することにより前記バッテリの放電能力を判定する制御手段と
を備えることを特徴とするバッテリ放電能力判定装置。
【請求項10】
前記制御手段は、1以上の周波数におけるインピーダンスを前記観測値の要素に追加し、前記電流センサ及び電圧センサから入力した電流値及び電圧値と前記SOC算出方法で算出されたSOCと所定のインピーダンス算出方法で算出された前記1以上の周波数におけるインピーダンスとから前記状態ベクトルを推定する
ことを特徴とする請求項9に記載のバッテリ放電能力判定装置。
【請求項11】
前記バッテリにパルス電流を放電又は充電させる放電回路又は充電回路を備え、
前記制御手段は、前記放電回路又は充電回路により前記パルス電流を放電又は充電させたときの電流値及び電圧値をそれぞれ前記電流センサ及び電圧センサから入力し、前記電流値及び電圧値をそれぞれフーリエ展開あるいはフーリエ変換して前記1以上の周波数に対応するそれぞれの係数を求め、前記それぞれの係数から前記1以上の周波数におけるインピーダンスを算出する
ことを特徴とする請求項10に記載のバッテリ放電能力判定装置。
【請求項12】
請求項9から請求項11のいずれか1項に記載のバッテリ放電能力判定装置を備えた電源システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に電力を供給するバッテリの放電能力を判定するバッテリ放電能力判定方法、バッテリ放電能力判定装置、及び電源システムの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の安全性能や乗り心地等の一層の向上のために、車両に搭載される電子機器がますます増大している。また、環境への負荷を低減するために、燃費の向上だけでなくアイドルストップなどの普及が進められている。
【0003】
このような電子機器の増大やアイドルストップの普及などに伴い、バッテリの状態を監視して異常や充電不足等を早期に検知する必要性が急速に高まりつつある。これに対応して、バッテリの劣化状態(SOH)あるいは充電率(SOC)を推定する方法が様々に提案されている。
【0004】
特許文献1では、所定のモデル計算によりバッテリ電圧を計算し、該バッテリ電圧を用いて所定の算出式に基づいてバッテリのSOCを計算するようにしている。上記のモデル計算では、少ないパラメータによる簡単なバッテリモデルを用いており、バッテリ電圧の計算結果と測定されたバッテリ電圧とをフィードバックすることで、前記のパラメータを補正させるようにしている。
【0005】
また、特許文献2では、バッテリのSOCと電圧を状態変数とするバッテリの挙動モデルを用いて、カルマンフィルターに基づく状態推定を行うことで、バッテリのSOCを求めるようにしている。
【0006】
すなわち、上記のバッテリの挙動モデルを用いて測定された電流に対する電圧の変化を予測し、予測された電圧と測定された電圧との差に基づいて状態変数を補正するようにしている。これにより、状態変数の一つであるSOCが補正された結果として得られる。
【特許文献1】特表2004−514249号公報
【特許文献2】特開2002−319438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バッテリの実際の動作環境を考えた場合、起動要求された負荷に電流が流れたときの応答電圧(SOF)が、負荷の安定動作範囲内にあるかどうかが最も重要な情報となる。また上記の応答電圧は、起動要求時のバッテリの状態、例えば他の負荷に供給されている負荷電流の大きさ等によって様々に変動する。
【0008】
しかしながら、上記の応答電圧についての情報を提供できる技術は、これまで提案されてはいない。これを実現するための技術としては、例えば、バッテリを電気的な等価回路としてモデル化し、この等価回路に基づいて要求される負荷電流パターンが流れたときの応答電圧を推定し、推定した応答電圧が負荷の安定動作範囲内にあるかどうかを判定させる方法が一般的に考えられる。
【0009】
上記の等価回路を用いる方法では、広範の周波数領域にわたってバッテリのインピーダンス測定を行い、測定されたインピーダンスと前記の等価回路から算出されるインピーダンスとが広範の周波数領域で一致するように等価回路の各素子定数を決定しておく必要がある。
【0010】
しかしながら、バッテリの実際の使用環境を考えた場合、各素子定数の決定に必要な広範の周波数領域にわたるインピーダンス測定は、測定に要する時間や計算負荷等の観点からも極めて困難である。また、各素子定数を予め決定して記憶させておく場合でも、バッテリの経年変化等に伴って各素子定数を調整する必要があるが、これを行うのが極めて困難という問題があった。
【0011】
特許文献1及び特許文献2では、所定のバッテリモデルに基づいてバッテリのSOCを推定するようにしているだけであり、新たに負荷を起動したときの負荷電流に対する応答電圧を予測することはできない。
【0012】
そこで、本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、要求負荷電流に対する応答電圧を推定してバッテリの放電能力を判定することが可能なバッテリ放電能力判定方法等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、バッテリの等価回路に基づいて該バッテリの放電能力を判定するバッテリ放電能力判定方法であって、少なくとも前記等価回路の調整パラメータ及び該調整パラメータの所定の関数を要素とする状態ベクトルを設定し、前記バッテリの電流及び電圧を測定して求め、前記測定された電流値及び電圧値と所定のSOC算出方法で算出されたSOCとを観測値とし、この観測値から前記状態ベクトルを推定し、推定された前記状態ベクトルの要素である前記調整パラメータを前記等価回路に適用して所定の電流パターンで放電したときの前記バッテリの電圧値を推定し、推定された前記電圧値を所定の電圧許容値と比較することにより前記バッテリの放電能力を判定することを特徴とするバッテリ放電能力判定方法である。
【0014】
第2の態様は、電流、電圧及び充電率(SOC)から算出される二次的な観測値から前記状態ベクトルを推定することを特徴とするバッテリ放電能力判定方法である。
【0015】
第3の態様は、1以上の周波数におけるインピーダンスを前記観測値の要素に追加し、前記測定された電流値及び電圧値と前記SOC算出方法で算出されたSOCと所定のインピーダンス算出方法で算出された前記1以上の周波数におけるインピーダンスとから前記状態ベクトルを推定することを特徴とするバッテリ放電能力判定方法である。
【0016】
第4の態様は、前記インピーダンス算出方法が、前記バッテリにパルス電流を放電または充電させたときの電流及び電圧を測定し、前記測定された電流値及び電圧値をそれぞれフーリエ展開して前記1以上の周波数に対応するそれぞれの係数を求め、前記係数から前記1以上の周波数におけるインピーダンスを算出することを特徴とするバッテリ放電能力判定方法である。
【0017】
第5の態様は、前記インピーダンス算出方法が、前記バッテリから電装機器に電力供給しているときの電流及び電圧を測定し、前記測定された電流値及び電圧値をそれぞれフーリエ変換して前記1以上の周波数に対応するそれぞれの係数を求め、前記係数から前記1以上の周波数におけるインピーダンスを算出することを特徴とするバッテリ放電能力判定方法である。
【0018】
第6の態様は、前記インピーダンス算出方法が、前記フーリエ展開あるいはフーリエ変換して求めた前記インピーダンス(Zmesとする)に対し、さらに前記バッテリと並列接続された電装機器のインピーダンス(Zxとする)の影響を除去するために、
1/Zmes=1/Zx+1/Zbat
なる関係式より前記バッテリのインピーダンスZbatを算出することを特徴とするバッテリ放電能力判定方法である。
【0019】
第7の態様は、前記調整パラメータが、少なくとも前記バッテリの電流値/温度/SOCのいずれかについて所定の補正計算が行われることを特徴とするバッテリ放電能力判定方法である。
【0020】
第8の態様は、前記SOC算出方法が、前記バッテリの安定OCV測定値、電流積算値、I/V特性の少なくともいずれか1つを用いることを特徴とするバッテリ放電能力判定方法である。
【0021】
第9の態様は、バッテリの等価回路に基づいて該バッテリの放電能力を判定するバッテリ放電能力判定装置であって、前記バッテリの電流を測定する電流センサと、前記バッテリの電圧を測定する電圧センサと、前記電流センサから入力した電流値と、前記電圧センサから入力した電圧値と、所定の算出方法で算出されたSOCとから、前記等価回路の調整パラメータ及び該調整パラメータの所定の関数を要素とする状態ベクトルを推定し、推定された前記状態ベクトルの要素である前記調整パラメータを前記等価回路に適用して所定の電流パターンで放電したときの前記バッテリの電圧値を推定し、推定された前記電圧値を所定の電圧許容値と比較することにより前記バッテリの放電能力を判定する制御手段とを備えることを特徴とするバッテリ放電能力判定装置である。
【0022】
第10の態様は、前記制御手段が、1以上の周波数におけるインピーダンスを前記観測値の要素に追加し、前記電流センサ及び電圧センサから入力した電流値及び電圧値と前記SOC算出方法で算出されたSOCと所定のインピーダンス算出方法で算出された前記1以上の周波数におけるインピーダンスとから前記状態ベクトルを推定することを特徴とするバッテリ放電能力判定装置である。
【0023】
第11の態様は、前記バッテリにパルス電流を放電又は充電させる放電回路又は充電回路を備え、前記制御手段が、前記放電回路又は充電回路により前記パルス電流を放電又は充電させたときの電流値及び電圧値をそれぞれ前記電流センサ及び電圧センサから入力し、前記電流値及び電圧値をそれぞれフーリエ展開して前記1以上の周波数に対応するそれぞれの係数を求め、前記それぞれの係数から前記1以上の周波数におけるインピーダンスを算出することを特徴とするバッテリ放電能力判定装置である。
【0024】
第12の態様は、第9の態様から第11の態様のいずれかのバッテリ放電能力判定装置を備えた電源システムである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、要求負荷電流に対する応答電圧を推定してバッテリの放電能力を判定することが可能なバッテリ放電能力判定方法等を提供することが可能となる。本発明によれば、要求負荷電流に対する応答電圧を、最適に学習させた等価回路を用いて予測させるようにしたことにより、バッテリが負荷に給電を行っている負荷動作環境においても、バッテリの放電能力を高精度で評価することが可能となる。
【0026】
また、所定の周波数のインピーダンス測定を併用することで、バッテリ放電能力の予測精度を一層向上させることができる。さらに、等価回路の調整パラメータの値を、バッテリの電流値/温度/SOCのいずれかに基づいて決定し、これを用いた前記等価回路により応答電圧を予測させるようにすることにより、より一層高い精度でバッテリ放電能力を判定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図面を参照して本発明の好ましい実施の形態におけるバッテリ放電能力判定方法、バッテリ放電能力判定装置、及び電源システムの構成について詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0028】
本発明のバッテリ放電能力判定装置及び電源システムの一実施形態を図2に示す。電源システム11は、電源としてバッテリ12とオルタネータ13を備えており、バッテリ放電能力判定装置16にはバッテリ12の電流及び電圧を測定するための電流計14及び電圧計15が設けられている。バッテリ放電能力判定装置16に備えられた制御手段20は、所定の時間間隔で前記電流計14及び電圧計15からそれぞれ電流及び電圧を入力し、本発明のバッテリ放電能力判定方法に基づいてバッテリ12の放電能力を判定している。
【0029】
制御手段20によるバッテリ12の放電能力判定方法は、バッテリ12を所定の等価回路モデルで模擬し、所定の電流パターンで放電したときの電圧又は電圧降下を該等価回路を用いて推定し、推定した電圧又は電圧降下を所定の許容値と比較することで、バッテリ12の放電能力を判定している。上記の放電能力判定方法によりバッテリ12の放電能力を正確に判定できるためには、前記等価回路による電圧又は電圧降下を精度よく推定できるようにする必要がある。
【0030】
本発明の放電能力判定方法では、バッテリの所定の等価回路を用いて、少なくとも前記等価回路の調整パラメータ及び該調整パラメータの所定の関数を要素とする状態ベクトルを設定し、測定した前記バッテリの電流及び電圧と所定の算出方法で算出したSOCとを観測値とし、これから前記状態ベクトルを推定し、推定した前記状態ベクトルの要素である前記調整パラメータを前記等価回路に適用し、これを用いて所定の電流パターンで放電したときの前記バッテリの電圧値を推定するようにしている。
【0031】
バッテリ12の等価回路モデルの一実施例を図3に示す。図3に示す等価回路21には、抵抗を表す6種類の素子定数RΩ、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2と、コンデンサを表す5種類の素子定数Ca1、Ca2、Ca3、Cb1、Cb2が含まれている。これらの素子定数は、さらに以下のように置換することができる。
【0032】
Ra1=α・Ra
Ra2=β・Ra
Ra3=γ・Ra
Ca1=δ・Ca
Ca2=ε・Ca
Ca3=ζ・Ca
Ca4=η・Ca
Ca5=θ・Ca
Rb1=ι・Rb
Rb2=κ・Rb
Cb1=λ・Cb
Cb2=μ・Cb
Cb3=ν・Cb
【0033】
ここで、定数α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νは、事前に実験等で決定しておくことができる。そこで、上式のRΩ,Ra,Ca,Rb,Cbを調整パラメータとして推定させるようにすることができる。
【0034】
図3の等価回路21において、調整パラメータRa,Caを含む回路部22と調整パラメータRb,Cbを含む回路部23とRΩによる電圧降下ΔVは、バッテリ12の電流及び電圧をそれぞれI、Vとしたとき、
ΔV=V−OCV (式1)
と表すことができる。本実施形態の制御手段20では、等価回路21を用いて上式の電圧降下ΔVを二次的な観測値として前記調整パラメータを含む状態ベクトル推定し、また該等価回路に所定の電流パターンが流れたときの電圧降下の予測地ΔVxを所定の許容値と比較することで、バッテリ12の放電能力を判定するようにしている。
【0035】
制御手段20で実行されるバッテリ12の放電能力判定方法について、図1を用いて以下に詳細に説明する。図1は、本発明のバッテリ放電能力判定方法の一実施形態を示すブロック図である。
【0036】
バッテリ12の放電能力を正確に判定するためには、バッテリ12の等価回路21が所定の電流パターンで放電したときの電圧降下ΔVxを精度良く推定する必要がある。そこで、本実施形態のバッテリ放電能力判定方法では、所定の間隔の離散時間でバッテリを観測し、得られた観測データを基に等価回路21の調整パラメータを学習していくことにより、バッテリ12の電圧降下ΔVxを高精度で推定できるようにしている。
【0037】
等価回路21に含まれる調整パラメータRΩ、Ra、Ca、Rb、Cbを最適化させる方法として、例えば最小自乗演算、拡張カルマンフィルタ、適切に教育されたニューラル・ネットワーク等を用いる方法が知られており、本発明のバッテリ放電能力判定方法ではいずれの方法を用いてもよい。図1に示す本実施形態では、最も一般的でかつ好適な方法の一つである拡張カルマンフィルタを用いている。
【0038】
拡張カルマンフィルタ演算においては、上記調整パラメータあるいはそれらを含む所定の数式で与えられる値を状態ベクトルとして表し、所定の離散時間間隔で測定される電流Inと電圧Vn及び別に測定又は算出された充電率SOCnとを要素とする観測値ベクトルを作成し、前記状態ベクトルからの前記観測値ベクトルの期待値誤差が最小となるように状態ベクトルを更新する。
【0039】
前記拡張カルマンフィルタ演算の一般的な方法は、ヤコビアン行列の更新→1期先予測→カルマンゲイン計算→フィルタリング演算を繰り返す。これにより、前記状態ベクトルを逐次的に推定していくことができ、前記状態ベクトルの推定結果として等価回路の定数RΩ、Ra,Ca,Rb,Cbを最適なものに更新することができる。
【0040】
図1に示す本実施形態では、バッテリ12の状態ベクトルの更新ならびに観測値の取得は、時間間隔ΔT毎に行われる。ステップS1は、時刻が前回の実行時刻Tn-1から前記時間間隔ΔTだけ経過して実行時刻Tnに達したことを示している。実行時刻Tnに到達すると、ステップS2においてバッテリ12の測定を行う。
【0041】
ステップS2では、電流計14及び電圧計15でn+1回目に測定されたバッテリ12の電流In+1及び電圧Vn+1を入力するとともに、所定のSOC算出方法でSOCn+1を算出している。前記SOC算出方法として、例えばバッテリ12の起動初期の安定OCV測定値と電流積算値とを組み合わせて用いる方法、動作環境中のI/V特性を用いる方法等があり、いずれを用いてもよい。
【0042】
本実施形態では、バッテリ12の放電能力を基準電圧からの電圧降下の大きさで判定するものとしている。すなわち、所定の電流パターンで放電したときの前記基準電圧からの電圧降下が、所定の許容値よりも大きくなった場合を放電能力が不足と判定させるようにしている。バッテリ12の電圧降下として、例えば図3に示す等価回路21に記載されたΔVで評価することができる。
【0043】
ステップS3では、ステップS2で得られた観測データのIn+1、Vn+1及びSOCn+1をもとに、電圧降下ΔVn+1を算出している。電圧降下ΔVn+1は、次式で算出することができる。
ΔVn+1=Vn+1−OCVn+1 (式2)
ここで、OCVn+1はステップS2で得られたSOCn+1から、次式で算出することができる。
OCV=a・SOC+b (式3)
【0044】
上式は、時刻Tn+1における安定OCVを算出する式であり、実験等によって事前に作成したものを用いることができる。係数a、bは、温度等に依存して変化させるようテーブル形式あるいは関数式として設定してもよい。
【0045】
一方ステップS4では、n回目の観測値と前回の状態ベクトル推定値からヤコビアン行列Fnの更新を行う。本実施例のヤコビアン行列Fnは、
Fn=diag(1−ΔT/αRa:n・δCa:n,1−ΔT/βRa:n・εCa:n,
1−ΔT/γRa:n・ζCa:n,1−ΔT/βRa:n・ηCa:n,
1−ΔT/αRa:n・θCa:n,1−ΔT/ιRb:n・λCb:n,
1−ΔT/κRa:n・μCa:n,1−ΔT/ιRb:n・νCb:n,
1,1,1,1,1)
で与えられる。
【0046】
ステップS5では、ステップS3で測定によって得た観測値から計算したΔVn+1を拡張カルマンフィルタ計算上の観測値をYn+1とする。
Yn+1=ΔVn+1 (式4)
【0047】
図3において、例えば回路部22内の第一のRC並列部の電圧降下ΔV1nは、
ΔV1:n+1=ΔV1n+ΔT{In/Ca1−Vn/(Ra1・Ca1)} (式5)
と表されるので、状態ベクトルXn
Xn=(ΔVa1n,ΔVa2n,ΔVa3n,ΔVa4n,ΔVa5n,
ΔVb1n,ΔVb2n,ΔVb3n,RΩ:n,Ra:n,Ca:n,
Rb:n,Cb:n)
(式6)
とし、入力ベクトルUn
Un=(Δt・In/δCa:n,Δt・In/εCa:n,Δt・In/ζCa:n,
Δt・In/ηCa:n,Δt・In/θCa:n,Δt・In/λCb:n,
Δt・In/μCb:n,Δt・In/νCb:n,0,0,0,0,0)
(式7)
と設定することによって、ステップS6ではXnの一期先予測値Xn+1|nを
Xn+1|n=Fn・Xn+Un (式8)
として算出する。
【0048】
さらにHn=(1,1,1,1,1,1,1,1,In,0,0,0,0)(式9)
とすることにより
システム方程式:Xn+1=Fn・Xn (式10)
観測方程式: Yn=Hn・Xn (式11)
と表現可能である。
【0049】
上記状態ベクトルの一期先予測値Xn+1|nと観測値Yn+1とを用いて、ステップS7では、カルマンゲイン計算とフルタリング計算による拡張カルマンフィルタ演算により最適な状態ベクトルXnを逐次的に推定し、推定された状態ベクトルXから前記調整パラメータを最適なものに更新している。
【0050】
上記の拡張カルマンフィルタ演算によって更新された前記調整パラメータを用いた等価回路21に基づき、ステップS8では所定の電流パターンでバッテリ12から放電させたときの電圧降下ΔVxを推定する。前記所定の電流パターンは、例えば現在の放電電流に新たに起動させる負荷の電流パターンを加算して決定することができる。
【0051】
その具体的な計算方法としては(式5)の関係と所定の電流パターンIx:n+1の値を用いて
ΔVx:n+1=ΔV1n+1+ΔV2n+1+ΔV3n+1+ΔV4n+1+ΔV5n+1+
ΔV6n+1+ΔV7n+1+ΔV8n+1+RΩ・Ix:n+1 (式12)
として逐次的に算出可能である。
【0052】
また計算負荷を低減する手段として、前記方法より若干精度は落ちるが、便宜的にΔVx=(Ra+Rb)×IxあるいはΔVx=Ra×Ix、ΔVx=Rb×IxのようなΔVx=G(Ra,Rb,Ix)の関係を実験よりもとめて算出しても全く問題ない。
【0053】
ステップS9では、上記で予測した電圧降下ΔVxを所定の許容値ΔVlimitと比較して、ΔVxがΔVlimit以下の場合には放電能力が十分と判定する(ステップS10)一方、ΔVxがΔVlimitより大きい場合には放電能力が不足していると判定する(ステップS11)。
【0054】
上記実施形態を用いて説明した通り、本発明によれば、所定の電流パターンで放電させたときのバッテリの電圧又は電圧降下を、最適に学習させた等価回路を用いて予測させるようにしたことにより、該バッテリが負荷に給電を行っている負荷動作環境においても、該バッテリの放電能力を高精度で評価することが可能となる。
【0055】
本発明のバッテリ放電能力判定方法の別の実施形態を以下に説明する。本実施形態では、観測値として1以上の周波数におけるインピーダンスを追加しており、例えば調整パラメータの一つであるRΩを、測定で得られる前記インピーダンスから算出させるようにしている。
【0056】
本実施形態では、例えば調整パラメータの一つであるRΩを、実測で求め観測値とすることにより、状態ベクトルXを次式のように表すことができる。
=(ΔVa1n,ΔVa2n,ΔVa3n,ΔVa4n,ΔVa5n,
ΔVb1n,ΔVb2n,ΔVb3n,Ra:n,Ca:n,Rb:n,Cb:n)
(式13)
上式に示す通り、本実施形態では学習させる調整パラメータをRa,Ca,Rb,Cbの4つに限定することができ、計算負荷の低減と精度の向上を図ることができる。
【0057】
この場合、各行列ならびにベクトルを
Fn=diag(1−ΔT/αRa:n・δCa:n,1−ΔT/βRa:n・εCa:n,
1−ΔT/γRa:n・ζCa:n,1−ΔT/βRa:n・ηCa:n,
1−ΔT/αRa:n・θCa:n,1−ΔT/ιRb:n・λCb:n,
1−ΔT/κRa:n・μCa:n,1−ΔT/ιRb:n・νCb:n,
1,1,1,1) (式14)
Un=(Δt・In/δCa-n,Δt・In/εCa-n,Δt・In/ζCa-n,
Δt・In/ηCa-n,Δt・In/θCa-n,Δt・In/λCb-n,
Δt・In/μCb-n,Δt・In/νCb-n,0,0,0,0)
(式15)
=(1,1,1,1,1,1,1,1,0,0,0,0) (式16)
とすることにより前実施形態と同様に計算可能である。
【0058】
前記1以上の周波数におけるインピーダンスを算出する方法として、バッテリ12にパルス電流を放電または充電させたときの電流とそのときの応答電圧を測定し、前記測定された電流値及び電圧値をそれぞれフーリエ展開して前記1以上の周波数に対応するそれぞれの係数を求め、前記それぞれの係数から前記1以上の周波数におけるインピーダンスを算出する方法がある。
【0059】
図2に示す電源システム11は、バッテリ12からパルス電流を放電させるための放電回路17を備えている。また、バッテリ12にパルス電流を充電させる場合には、オルタネータ13から線路18を経由して充電させるようにすることができる。
【0060】
前記1以上の周波数におけるインピーダンスを算出する別の方法として、バッテリ12の負荷動作環境において、すなわちバッテリ12が負荷19に電力供給している状態において、バッテリ12の電流及び電圧を測定し、測定された電流値及び電圧値をそれぞれフーリエ変換して前記1以上の周波数に対応するそれぞれの係数を求め、それぞれの係数から前記1以上の周波数におけるインピーダンスを算出することができる。
【0061】
バッテリ12と負荷19が並列に接続された並列回路となっているため、上記いずれのインピーダンス算出方法においても、実車環境においては前記並列回路の合計インピーダンスを測定していることとなる。すなわち、バッテリ12のインピーダンスをZbat、負荷19のインピーダンスをZxとしたとき、測定値から算出されるインピーダンスは次式のZmesである。
1/Zmes=1/Zx+1/Zbat (式17)
【0062】
負荷19のインピーダンスZxは、バッテリ12のインピーダンスZbatに比べて十分大きいことから、算出されたインピーダンスZmesを近似的にバッテリ12のインピーダンスZbatとしてもよいことが上式よりわかる。
【0063】
さらに、インピーダンスZmesから(式17)に基づいて負荷19のインピーダンスZxの影響を除去することで、バッテリ12のインピーダンスZbatを算出させるようにすることも可能である。負荷19のインピーダンスZxは、車両種毎に予め実測によって定められた値を記憶しておいて用いても良いし、負荷動作環境中に学習取得するようにしても構わない。
【0064】
本発明のバッテリ放電能力判定方法のさらに別の実施形態を以下に説明する。上記の実施形態では、図1のステップS7で更新された前記調整パラメータをそのまま用いて、等価回路21に基づいて所定の電流パターンで放電したときの電圧降下ΔVを予測していた。
【0065】
一般に、等価回路21の回路定数は、放電した電流値に依存して非線形に変化することが知られている。そのため、この回路定数を決定する前記調整パラメータを更新したときの放電電流が、前記所定の電流パターンの電流値と大きく異なる場合には、等価回路21による電圧降下の予測値が無視できない誤差を含む可能性がある。
【0066】
そこで本実施形態では、前記所定の電流パターンの電流値に依存して前記調整パラメータを決定するようにしている。調整パラメータRa,Ca,Rb,Cbは、下記に示すような電流Iに依存する関数としている。
【0067】
Ra(I)=f1(a)×exp{-I/f2(a)}+f3(a)×exp{-I/f4(a)}+a (式18)
Ca(I)=f5(b)×exp{-I/f6(b)}+f7(b)×exp{-I/f8(b)}+b (式19)
Rb(I)=f9(c)×exp{-I/f10(c)}+f11(c)×exp{-I/f12(c)}+f13(c)×exp{-I/f14(c)}+c (式20)
Cb(I)=d (式21)
【0068】
上記(式18)〜(式21)におけるa,b,c,dは定数であり、f1〜f14は前記定数の関数としている。最も簡単な関数式の例として、例えば
f1(a)=ψ・a+ω (式22)
のような一次式とすることができる。ここで、ψ、ω等の各関数の係数は事前に実験等によって決定しておくことができる。
【0069】
(式18)〜(式21)の関数の1実施例を図4〜7に示す。図4〜7は、横軸を電流Iとしたときの各調整パラメータRa,Ca,Rb,Cbの変化を示すグラフである。各グラフから、(式18)〜(式21)の関数に含まれる定数a,b,c,d及びf1〜f14を決定することができる。
【0070】
上記の通り決定された(式18)〜(式21)の関数に、目標の電流パターンの電流を代入することにより、調整パラメータRa,Ca,Rb,Cbの値を決定し、これを用いて等価回路21により前記目標の電流パターンで放電した時の電圧降下ΔVを高い精度で予測することが可能となる。
【0071】
上記の通り、(式18)〜(式21)から目標電流パターンの電流値における調整パラメータRa,Ca,Rb,Cbの値(以下では、それぞれをRa-x,Ca-x,Rb-x,Cb-xとする)を求め、これを用いてバッテリ12の放電能力を評価した1実施例を図8及び図9に示す。図8は目標電流パターンの1実施例であり、図9は図8の目標電流パターンで放電したときの電圧降下の予測結果を示す図である。
【0072】
図9において、グラフ31は等価回路21を用いて予測した電圧降下を示しており、グラフ32は図8の電流パターンで実際に放電したときの測定結果を示している。電流Inで放電したときの応答電圧は、(式2)より
Vn=OCVn+RΩ×In+ΔVn
で求められる。ここで、ΔVnは調整パラメータの値Ra-x,Ca-x,Rb-x,Cb-xと、電流In及び前回のΔVn-1より、次式で算出される。
ΔVn=F(Ra-x,Ca-x,Rb-x,Cb-x,In,ΔVn-1)
【0073】
図9より、予測結果の電圧降下31と実際の電圧降下とは良い一致を示しており、本実施形態のバッテリ放電能力判定方法は、極めて精度良くバッテリ12の放電能力を判定することが可能なことがわかる。
【0074】
なお、上記調整パラメータに加えて、SOC等のその他のパラメータついても同様の補正を行うようにすることによって、さらに精度を向上させることができるのはいうまでもない。また、前記調整パラメータを電流Iに依存する関数とする代わりに、バッテリ12の温度又はSOCの関数として上記と同様の補正を行わせるようにすることも可能である。あるいは、電流、温度、SOCのいずれか2つ以上の関数とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、本発明のバッテリ放電能力判定方法の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明のバッテリ放電能力判定装置及び電源システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図3】図3は、バッテリ12の等価回路モデルの一実施例を示す回路図である。
【図4】図4は、横軸を電流Iとしたときの調整パラメータRaの変化を示すグラフである。
【図5】図5は、横軸を電流Iとしたときの調整パラメータRbの変化を示すグラフである。
【図6】図6は、横軸を電流Iとしたときの調整パラメータCaの変化を示すグラフである。
【図7】図7は、横軸を電流Iとしたときの調整パラメータCbの変化を示すグラフである。
【図8】図8は、目標電流パターンの1実施例を示す図である。
【図9】図9は、図8の目標電流パターンで放電したときの電圧降下の予測結果を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
11・・・電源システム
12・・・バッテリ
13・・・オルタネータ
14・・・電流計
15・・・電圧計
16・・・バッテリ放電能力判定装置
17・・・放電回路
18・・・線路
19・・・負荷
21・・・等価回路
22、23・・・回路部




 

 


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