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発明の名称 二次電池劣化判定方法、二次電池劣化判定装置、及び電源システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−108063(P2007−108063A)
公開日 平成19年4月26日(2007.4.26)
出願番号 特願2005−300333(P2005−300333)
出願日 平成17年10月14日(2005.10.14)
代理人 【識別番号】100101764
【弁理士】
【氏名又は名称】川和 高穂
発明者 岩根 典靖 / 渡辺 勇一 / 岩花 史和 / 木村 貴史 / 佐藤 敏幸
要約 課題
二次電池の使用温度による内部インピーダンスまたは内部抵抗の変化を的確に補正し、高い精度で二次電池の劣化状態を判定することが可能な二次電池劣化状態判定方法等を提供する。

解決手段
二次電池劣化判定方法で用いている温度特性関数は、少なくとも1つ以上の指数項と1つの調整パラメータを含むことを特徴としている。内部インピーダンスの温度特性関数に指数項を1つだけ含ませた例(グラフ2)を、測定値(グラフ1)と共に示したもので良い一致を示している。
特許請求の範囲
【請求項1】
負荷に電力を供給する二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗に基づいて前記二次電池の劣化状態を判定する二次電池劣化判定方法であって、
少なくとも1つ以上の指数項と1つの調整パラメータを含み、前記内部インピーダンスまたは前記内部抵抗の温度依存性を表す所定の温度特性関数を事前に作成し、
前記二次電池が所定の電流で充電または放電されたときの電流測定値及び電圧測定値をもとに前記内部インピーダンスまたは前記内部抵抗を算出し、
前記二次電池が前記所定の電流で充電または放電されたときの前記二次電池の温度測定値と前記算出された内部インピーダンスまたは内部抵抗とを前記温度特性関数に代入して前記調整パラメータの値を決定し、
前記決定された調整パラメータの値と所定の基準温度とを前記温度特性関数に代入して基準内部インピーダンスまたは基準内部抵抗を算出し、
前記算出された基準内部インピーダンスまたは基準内部抵抗に基づいて前記二次電池の劣化状態を判定することを特徴とする二次電池劣化判定方法。
【請求項2】
前記温度特性関数は、前記内部インピーダンスをZ、前記内部抵抗をR、前記調整パラメータをC、前記二次電池の温度をTemp、としたとき、


(ここで、f、gは所定の関数を表す)
と表されることを特徴とする請求項1に記載の二次電池劣化判定方法。
【請求項3】
前記基準内部インピーダンスに基づいて劣化判定を行うための第一の判定閾値と、前記基準内部抵抗に基づいて劣化判定を行うための第二の判定閾値とをそれぞれ事前に設定しておき、
前記基準内部インピーダンスを算出した場合にはこれと前記第一の判定閾値との大小関係を評価し、
前記基準内部抵抗を算出した場合にはこれと前記第二の判定閾値との大小関係を評価し、
前記大小関係のいずれかに基づいて前記二次電池の劣化状態を判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二次電池劣化判定方法。
【請求項4】
前記所定の電流として周波数100Hz以上の交流電流を充電または放電させた時の前記電流測定値及び前記電圧測定値をもとに前記内部インピーダンスを算出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次電池劣化判定方法。
【請求項5】
前記所定の電流としてパルス状電流を充電または放電させ、前記充電または放電開始後10ms以内の前記電流測定値及び前記電圧測定値をもとに前記内部抵抗を算出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次電池劣化判定方法。
【請求項6】
負荷に電力を供給する二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗に基づいて前記二次電池の劣化状態を判定する二次電池劣化判定装置であって、
前記二次電池に所定の電流を充電させる充電回路と、
前記二次電池から所定の電流を放電させる放電回路と、
前記二次電池の電流を測定する電流センサと、
前記二次電池の電圧を測定する電圧センサと、
前記二次電池の温度を測定する温度センサと、
前記充電回路または前記放電回路により前記二次電池が所定の電流で充電または放電されたときの電流測定値、電圧測定値及び温度測定値をそれぞれ前記電流センサ、電圧センサ及び温度センサから入力し、前記電流測定値及び前記電圧測定値をもとに前記内部インピーダンスまたは前記内部抵抗を算出し、少なくとも1つ以上の指数項と1つの調整パラメータを含み前記内部インピーダンスまたは前記内部抵抗の温度依存性を表す温度特性関数に、前記算出された内部インピーダンスまたは内部抵抗及び前記温度測定値を代入して前記調整パラメータの値を決定し、前記決定された調整パラメータの値と所定の基準温度とを前記温度特性関数に代入して基準内部インピーダンスまたは基準内部抵抗を算出し、前記算出された基準内部インピーダンスまたは基準内部抵抗に基づいて前記二次電池の劣化状態を判定する制御手段と
を備えることを特徴とする二次電池劣化判定装置。
【請求項7】
前記基準内部インピーダンスに基づいて劣化判定を行うための第一の判定閾値と、前記基準内部抵抗に基づいて劣化判定を行うための第二の判定閾値とを予め記憶させる記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記基準内部インピーダンスを算出した場合には前記記憶手段から前記第一の判定閾値を読み出して前記基準内部インピーダンスとの大小関係を評価し、前記基準内部抵抗を算出した場合には前記記憶手段から前記第二の判定閾値を読み出して前記基準内部抵抗との大小関係を評価し、前記大小関係のいずれかに基づいて前記二次電池の劣化状態を判定することを特徴とする請求項6に記載の二次電池劣化判定装置。
【請求項8】
前記記憶手段には、前記二次電池に対し前記所定の電流を充電するかあるいは放電するかの充放電選択信号が記憶され、
前記制御手段は、前記記憶手段から前記充放電選択信号を読込み、前記充放電選択信号に基づいて前記充電回路か前記放電回路のいずれかに所定の指令信号を出力する
ことを特徴とする請求項7に記載の二次電池劣化判定装置。
【請求項9】
前記記憶手段には、前記所定の電流が周波数100Hz以上の交流電流か、あるいはパルス状電流かを指定する直交流選択信号が記憶され、
前記制御手段は、前記記憶手段から前記直交流選択信号を読込み、前記直交流選択信号に基づいて周波数100Hz以上の交流電流かあるいはパルス状電流かのいずれかを選択して前記充電回路または前記放電回路に所定の制御信号を出力する
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の二次電池劣化判定装置。
【請求項10】
前記記憶手段には、前記交流電流の周波数及び/または前記パルス状電流のパルス幅が記憶され、
前記制御手段は、前記記憶手段から前記交流電流の周波数及び/または前記パルス状電流のパルス幅を読込み、前記充電回路または前記放電回路に対する前記所定の制御信号と同時または前記所定の制御信号に先立って前記交流電流の周波数及び/または前記パルス状電流のパルス幅を前記充電回路または前記放電回路に設定する
ことを特徴とする請求項9に記載の二次電池劣化判定装置。
【請求項11】
請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の二次電池劣化判定装置を備えた電源システム。
【請求項12】
前記二次電池劣化判定装置から前記二次電池の劣化状態判定結果を入力して表示する表示手段を備えている
ことを特徴とする請求項11に記載の電源システム。
【請求項13】
前記記憶手段に記憶されたデータを変更するための入力手段を備え、
前記入力手段から前記第一の判定閾値、前記第二の判定閾値、前記充放電選択信号、前記直交流選択信号、前記交流電流の周波数、及び前記パルス状電流のパルス幅のいずれか、あるいは全てが変更可能である
ことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の電源システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に電力を供給する二次電池の劣化状態を判定する二次電池劣化状態判定方法等の技術分野に関し、特に、二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗を推定し、その推定結果に基づき二次電池の劣化状態を判定する二次電池劣化判定方法等の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等に搭載される鉛蓄電池等の二次電池に関して、その劣化状態を判定する技術が従来から知られており、例えば、特許文献1に記載されている例がある。
【0003】
一般に、二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗は、二次電池の劣化状態と強い相関があることから、二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗を知ることができれば、その結果から二次電池の劣化度合を判定することが可能となる。これにより、ユーザに対して、劣化度合が大きい二次電池の交換を促すことができる。
【0004】
二次電池を有する電源システムにおいて、該二次電池の劣化状態を判定可能とするために、該二次電池に対し所定の電流の充電または放電を行い、そのときの電流及び電圧を測定し、測定された電流及び電圧から所定の演算により内部インピーダンスまたは内部抵抗を算出する構成を採用すればよい。
【0005】
二次電池を自動車等に搭載する場合には、多様な地域や外部環境での使用が想定されることから、非常に広範囲にわたる使用温度において二次電池が正常に動作することを保証することが重要になる。
【0006】
一方、二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗は、温度に依存して大きく変化し、特に低温で著しく増大する傾向がある。そのため、常温では内部インピーダンスまたは内部抵抗が許容範囲内にあっても、低温では許容範囲を逸脱して二次電池の使用に支障を来たすこともある。
【0007】
そこで、二次電池の使用温度にかかわらずその劣化状態を確実に判定することが重要となるが、そのためには、二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗を、何らかの方法で温度補正を行った上で推定する必要がある。二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗は、複雑な温度特性を有しているため、これを単純な近似式等で精度よく近似することは困難であり、内部インピーダンスまたは内部抵抗の温度補正を高い精度で行うことは容易ではなかった。
【0008】
そこで、内部インピーダンスの温度特性を少なくとも3次以上の多項式を用いて補正することにより、二次電池の劣化状態を高い精度で判定するようにした従来技術が特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2001−228226号
【特許文献2】特開2005−91217号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の二次電池の劣化判定方法では、以下のような問題があった。内部インピーダンスを算出するために、二次電池に所定の電流を充電または放電してそのときの電流及び電圧を測定するが、前記所定の電流が20Hz以下の低周波の交流電流である場合には、特許文献2による方法でも二次電池の劣化判定が可能であった。
【0010】
しかし、前記所定の電流を20Hz以下の低周波交流電流とした場合には、ノイズが無視できなくなるという問題があった。すなわち、前記所定の電流を二次電池に充電する場合には、オールタネータを用いて充電することになるが、20Hz以下の低周波交流電流では、オールタネータからのノイズを無視することはできない。また、前記所定の電流を放電する場合でも、負荷からのノイズの影響を受けることになる。
【0011】
そこで、オールタネータあるいは負荷からのノイズの影響を受けないようにするためには、前記所定の電流として100Hz以上の交流電流を用いる必要がある。また、前記所定の電流としてパルス状の直流電流を用いる場合には、パルス電流印加後10ms以内の電流測定値及び電圧測定値を内部抵抗の算出に用いる必要がある。
【0012】
ところが、前記所定の電流として100Hz以上の交流電流あるいはパルス状電流に対する10ms以内の応答を用いた場合には、特許文献2に記載の二次電池の劣化判定方法では、十分な精度で二次電池の劣化を判定することはできなかった。
【0013】
そこで、本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、二次電池の使用温度による内部インピーダンスまたは内部抵抗の変化を的確に補正し、高い精度で二次電池の劣化状態を判定することが可能な二次電池劣化状態判定方法等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の二次電池劣化判定方法の第1の態様は、負荷に電力を供給する二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗に基づいて前記二次電池の劣化状態を判定する二次電池劣化判定方法であって、少なくとも1つ以上の指数項と1つの調整パラメータを含み、前記内部インピーダンスまたは前記内部抵抗の温度依存性を表す所定の温度特性関数を事前に作成し、前記二次電池が所定の電流で充電または放電されたときの電流測定値及び電圧測定値をもとに前記内部インピーダンスまたは前記内部抵抗を算出し、前記二次電池が前記所定の電流で充電または放電されたときの前記二次電池の温度測定値と前記算出された内部インピーダンスまたは内部抵抗とを前記温度特性関数に代入して前記調整パラメータの値を決定し、前記決定された調整パラメータの値と所定の基準温度とを前記温度特性関数に代入して基準内部インピーダンスまたは基準内部抵抗を算出し、前記算出された基準内部インピーダンスまたは基準内部抵抗に基づいて前記二次電池の劣化状態を判定することを特徴とする二次電池劣化判定方法である。
【0015】
第2の態様は、前記温度特性関数が、前記内部インピーダンスをZ、前記内部抵抗をR、前記調整パラメータをC、前記二次電池の温度をTemp、としたとき、


(ここで、f、gは所定の関数を表す)
と表されることを特徴とする二次電池劣化判定方法である。
【0016】
第3の態様は、前記基準内部インピーダンスに基づいて劣化判定を行うための第一の判定閾値と、前記基準内部抵抗に基づいて劣化判定を行うための第二の判定閾値とをそれぞれ事前に設定しておき、前記基準内部インピーダンスを算出した場合にはこれと前記第一の判定閾値との大小関係を評価し、前記基準内部抵抗を算出した場合にはこれと前記第二の判定閾値との大小関係を評価し、前記大小関係のいずれかに基づいて前記二次電池の劣化状態を判定することを特徴とする二次電池劣化判定方法である。
【0017】
第4の態様は、前記所定の電流として周波数100Hz以上の交流電流を充電または放電させた時の前記電流測定値及び前記電圧測定値をもとに前記内部インピーダンスを算出することを特徴とする二次電池劣化判定方法である。
【0018】
第5の態様は、前記所定の電流としてパルス状電流を充電または放電させ、前記充電または放電開始後10ms以内の前記電流測定値及び前記電圧測定値をもとに前記内部抵抗を算出することを特徴とする二次電池劣化判定方法である。
【0019】
第6の態様は、負荷に電力を供給する二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗に基づいて前記二次電池の劣化状態を判定する二次電池劣化判定装置であって、前記二次電池に所定の電流を充電させる充電回路と、前記二次電池から所定の電流を放電させる放電回路と、前記二次電池の電流を測定する電流センサと、前記二次電池の電圧を測定する電圧センサと、前記二次電池の温度を測定する温度センサと、前記充電回路または前記放電回路により前記二次電池が所定の電流で充電または放電されたときの電流測定値、電圧測定値及び温度測定値をそれぞれ前記電流センサ、電圧センサ及び温度センサから入力し、前記電流測定値及び前記電圧測定値をもとに前記内部インピーダンスまたは前記内部抵抗を算出し、少なくとも1つ以上の指数項と1つの調整パラメータを含み前記内部インピーダンスまたは前記内部抵抗の温度依存性を表す温度特性関数に、前記算出された内部インピーダンスまたは内部抵抗及び前記温度測定値を代入して前記調整パラメータの値を決定し、前記決定された調整パラメータの値と所定の基準温度とを前記温度特性関数に代入して基準内部インピーダンスまたは基準内部抵抗を算出し、前記算出された基準内部インピーダンスまたは基準内部抵抗に基づいて前記二次電池の劣化状態を判定する制御手段とを備えることを特徴とする二次電池劣化判定装置である。
【0020】
第7の態様は、前記基準内部インピーダンスに基づいて劣化判定を行うための第一の判定閾値と、前記基準内部抵抗に基づいて劣化判定を行うための第二の判定閾値とを予め記憶させる記憶手段を備え、前記制御手段が、前記基準内部インピーダンスを算出した場合には前記記憶手段から前記第一の判定閾値を読み出して前記基準内部インピーダンスとの大小関係を評価し、前記基準内部抵抗を算出した場合には前記記憶手段から前記第二の判定閾値を読み出して前記基準内部抵抗との大小関係を評価し、前記大小関係のいずれかに基づいて前記二次電池の劣化状態を判定することを特徴とする二次電池劣化判定装置である。
【0021】
第8の態様は、前記記憶手段には、前記二次電池に対し前記所定の電流を充電するかあるいは放電するかの充放電選択信号が記憶され、前記制御手段が、前記記憶手段から前記充放電選択信号を読込み、前記充放電選択信号に基づいて前記充電回路か前記放電回路のいずれかに所定の指令信号を出力することを特徴とする二次電池劣化判定装置である。
【0022】
第9の態様は、前記記憶手段には、前記所定の電流が周波数100Hz以上の交流電流か、あるいはパルス状電流かを指定する直交流選択信号が記憶され、前記制御手段が、前記記憶手段から前記直交流選択信号を読込み、前記直交流選択信号に基づいて周波数100Hz以上の交流電流かあるいはパルス状電流かのいずれかを選択して前記充電回路または前記放電回路に所定の制御信号を出力することを特徴とする二次電池劣化判定装置である。
【0023】
第10の態様は、前記記憶手段には、前記交流電流の周波数及び/または前記パルス状電流のパルス幅が記憶され、前記制御手段が、前記記憶手段から前記交流電流の周波数及び/または前記パルス状電流のパルス幅を読込み、前記充電回路または前記放電回路に対する前記所定の制御信号と同時または前記所定の制御信号に先立って前記交流電流の周波数及び/または前記パルス状電流のパルス幅を前記充電回路または前記放電回路に設定することを特徴とする二次電池劣化判定装置である。
【0024】
第11の態様は、第6の態様から第10の態様のいずれか1項に記載の二次電池劣化判定装置を備えた電源システムである。
【0025】
第12の態様は、前記二次電池劣化判定装置から前記二次電池の劣化状態判定結果を入力して表示する表示手段を備えていることを特徴とする電源システムである。
【0026】
第13の態様は、前記記憶手段に記憶されたデータを変更するための入力手段を備え、前記入力手段から前記第一の判定閾値、前記第二の判定閾値、前記充放電選択信号、前記直交流選択信号、前記交流電流の周波数、及び前記パルス状電流のパルス幅のいずれか、あるいは全てが変更可能であることを特徴とする電源システムである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗の温度依存性を少なくとも1つ以上の指数項を含む温度特性関数を用いて補正することにより、所定の基準温度における基準内部インピーダンスまたは基準内部抵抗を推定して二次電池の劣化状態を判定するようにしたので、使用温度にかかわらず二次電池の劣化状態を高精度で確実に判定することが可能となる。
【0028】
また、二次電池の電流測定値、電圧測定値及び温度測定値に基づいて前記温度特性関数の調整パラメータを決定するようにしたので、二次電池の経年劣化等による温度特性の変化に対しても、二次電池の劣化状態を精度良く判定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図面を参照して本発明の好ましい実施の形態における二次電池劣化判定方法、二次電池劣化判定装置、及び電源システムの構成について詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。以下、本実施形態においては、自動車等の車両に搭載される二次電池の劣化状態を判定する機能を備えた車両用電源装置及び車両用電源システムに対して本発明を適用する場合を説明する。
【0030】
図2は、本実施形態に係る車両用電源装置の概略の構成を示すブロック図である。図2において、車両用電源装置11は、二次電池12と、二次電池12の電流、電圧及び温度を測定するためのそれぞれのセンサである、電流センサ13、電圧センサ14、及び温度センサ15を備えている。また、二次電池12の劣化判定を行うために、放電回路16と制御部17及び記憶部18を備えている。
【0031】
車両用電源装置11は、車両の各種電装品等からなる負荷21及びオールタネータ22と接続されており、負荷21への電力供給が二次電池12またはオールタネータ22から行われる構成となっている。オールタネータ22はまた、二次電池12を充電するための充電用電力も供給している。
【0032】
図2に示す構成の車両用電源装置11では、二次電池12の劣化状態を判定するために、所定のタイミングで二次電池12に対し所定の電流を放電または充電させる。二次電池12から前記所定の電流を放電させる場合には、放電回路16を二次電池12に接続して放電を行わせる。また、二次電池12を充電させる場合には、オールタネータ22からの電流で充電させるようにする。すなわち、本実施形態では充電回路としてオールタネータ22を用いる構成としている。この場合、放電回路16をバイパスさせるために、経路19を経由して電流が流れるようにする。
【0033】
上記のように二次電池12の放電または充電が行われると、そのときの電流及び電圧をそれぞれ電流センサ13及び電圧センサ14で測定し、測定された電流測定値及び電圧測定値を制御部17に送出する。
【0034】
制御部17は、電流センサ13及び電圧センサ14からそれぞれ前記電流測定値及び前記電圧測定値を入力すると、これをもとに後述の方法により二次電池12の内部インピーダンスまたは内部抵抗を算出して劣化状態を判定する。制御部17はまた、前記所定のタイミングで二次電池12に前記所定の電流を放電させるか、または充電させるかを判定し、判定結果に基づき放電回路16との接続をオン/オフさせる。
【0035】
前記所定の電流を放電させるか、または充電させるかの判定にあたっては、例えば記憶部18に充放電選択信号をあらかじめ設定しておき、制御部17が記憶部18から前記充放電選択信号を読み込んで充電かあるいは放電かの判定を行うようにすることができる。
【0036】
本発明の車両用電源装置11では、さらに温度センサ15を備えている。温度センサ15は、二次電池12の近傍に設置されて二次電池12の温度を測定し、測定温度を制御部17に送出する。
【0037】
本実施形態では、二次電池12に対し充電または放電を行うときの前記所定の電流として、周波数100Hz以上の交流電流、またはパルス状電流を用いるものとしている。但し、パルス状電流を用いる場合には、パルス状電流印加後10ms以内に測定した電流及び電圧を内部抵抗の算出に用いものとしている。前記所定の電流を上記のようにすることにより、オールタネータ22あるいは負荷21からのノイズの影響をできるだけ受けないようにすることが可能となる。
【0038】
前記所定の電流を周波数100Hz以上の交流電流とするか、あるいはパルス状電流とするかの判定は、制御部17が記憶部18から直交流選択信号を読み込み、該直交流選択信号に基づいて行わせるようにすることができる。なお、オールタネータ22からの電流により周波数100Hz以上の交流電流を二次電池12に印加するようにするためには、経路19に代えて所定の充電回路を設ける必要がある。
【0039】
次に、二次電池12の内部インピーダンス及び内部抵抗について、図1を用いてその温度特性を説明する。図1は、縦軸を内部インピーダンス、横軸を二次電池の温度としたときの、二次電池の温度特性の一実施例を示すグラフである。同図において、グラフ1は、それぞれの温度で測定した二次電池の内部インピーダンスの大きさを示すグラフである。なお、図1の実施例は、周波数100Hzの交流電流を用いて二次電池12の内部インピーダンスを測定したときのものを示している。
【0040】
図1より、二次電池の内部インピーダンスは、温度が低いほど大きくなり、特に氷点下では急激に大きくなることが分かる。同図に示す温度特性は、二次電池の使用期間によっても変化し、使用期間が長くなるにつれて内部インピーダンスも大きくなる特性(経年劣化)を有している。上記では、内部インピーダンスの温度特性について説明したが、直流電流を用いて測定した内部抵抗でも同様の温度特性を有している。
【0041】
一般に車両用の二次電池12は、広い温度範囲にわたって使用されることから、使用温度範囲内で二次電池12が適正な内部インピーダンス及び内部抵抗を有している必要がある。従って、車両用電源装置11の制御部17において二次電池12の劣化状態を判定するにあたっては、二次電池12の内部インピーダンスまたは内部抵抗が有する上記の温度特性を精度良く評価できるようにすることが重要となる。
【0042】
そこで、本発明の二次電池劣化判定方法では、二次電池12の内部インピーダンスまたは内部抵抗の温度特性を精度良く表す所定の温度特性関数を事前に作成して用いるようにしている。本発明の二次電池劣化判定方法は、電流及び電圧の測定と同時に二次電池12の温度も測定し、電流測定値及び電圧測定値から算出した二次電池12の内部インピーダンスまたは内部抵抗を、前記所定の温度特性関数を用いて所定の基準温度における内部インピーダンスまたは内部抵抗に変換している。
【0043】
本発明の二次電池劣化判定方法で用いている前記温度特性関数は、少なくとも1つ以上の指数項と1つの調整パラメータを含むことを特徴としている。前記温度特性関数の一実施例を(1)式に示す。


ここで、二次電池12の内部インピーダンスをZ、内部抵抗をR、二次電池12の温度をTemp、前記調整パラメータをCとし、f、gをCの関数としている。
【0044】
(1)式では、指数項が1つだけ含まれた数式となっているが、指数項をさらに追加してもよい。いずれにせよ、(1)式が二次電池12の内部インピーダンスZまたは内部抵抗Rを精度良く表せるように、指数項の個数、及び関数f(C)とg(C)の関数形を決める。図1には、(1)式で表される内部インピーダンスの一実施例をグラフ2で示している。グラフ2で示した温度特性関数の具体的な関数形を次式に示す。
【0045】


(2)式では、C、f、gをそれぞれ以下のように設定している。
C=8.176 (3)
f(C)=0.6648×C=5.435 (4)
g(C)=-2.790×C=-22.81 (5)
同図に示す通り、(2)式で算出される内部インピーダンス(グラフ2)は、測定値(グラフ1)と良い一致を示しており、R=0.99854となっている。
【0046】
本発明の二次電池劣化判定方法では、まず二次電池を放電または充電させたときの電流測定値及び電圧測定値から、内部インピーダンスZまたは内部抵抗Rを算出する。また、このときの二次電池の温度も測定されていることから、前記算出された内部インピーダンスZまたは内部抵抗Rと温度測定値Tempを(1)式に代入して調整パラメータCの値を決定する。
【0047】
二次電池の内部インピーダンスまたは内部抵抗は、使用開始後の経年劣化等により温度特性が変化する。調整パラメータCは、このような経年劣化等による温度特性の変化を調整して、その時点における温度特性に(1)式が一致するようにするためのものである。
【0048】
調整パラメータCの値が決定されると、決定されたCの値を用いて、次に(1)式の温度Tempに所定の基準温度Txを代入する。その結果、(1)式から該所定の基準温度Txにおける内部インピーダンスまたは内部抵抗が算出される。そして、算出された内部インピーダンスまたは内部抵抗を所定の閾値と比較することで、二次電池12の劣化状態を判定することができる。
【0049】
次に、本実施形態に係る車両用電源装置11において、二次電池12の劣化状態の判定を行う具体的な処理の流れの一実施例を、図3を用いて以下に説明する。図3は、主として制御部17で実行される演算処理の流れを示すフローチャートである。図3に示す演算処理は、車両用電源装置11において、予め設定された所定のタイミングで実行開始される。なお、図3では、内部インピーダンスに基づいて二次電池12の劣化状態の判定を行う実施例を示しているが、内部抵抗に基づいて劣化判定を行う場合には、図3において内部インピーダンスを内部抵抗におきかえればよい。
【0050】
図3おいて、前記所定のタイミングに達すると、制御部17における演算処理が開始され、まずステップS101において演算に必要なパラメータの初期設定が行われる。各パラメータの設定値は、記憶部18に予め記憶させたものを、ステップS101で記憶部18から読込んで設定するようにすることができる。
【0051】
ステップS101で初期設定の対象となるパラメータとして、内部インピーダンスまたは内部抵抗を推定する前記基準温度Tx、二次電池12の劣化状態を判定するための内部インピーダンス及び内部抵抗に対する判定閾値Zth及びRthなどがある。また、前記充放電選択信号や直交流選択信号もステップS101で記憶部18から読込むようにすることができる。さらに、制御部17から放電回路16あるいはオールタネータ22に対して放電あるいは充電の指令を行わせるようにする場合には、ステップS101で交流電流の周波数あるいはパルス状電流のパルス幅を記憶部18から読込んで設定するようにしてもよい。
【0052】
なお、二次電池12の特性に応じた適切な初期設定値を予め固定的に定めておくこともできるが、二次電池12の動作状況や経年劣化等に応じて初期設定値を適宜に変更できるようにしてもよい。
【0053】
次にステップS102では、放電回路16またはオールタネータ22により交流電流あるいはパルス状電流の所定の電流を放電または充電させ、所定のタイミングで電流センサ13と電圧センサ14のそれぞれから、電流測定値と電圧測定値を取得する。
【0054】
ステップS103では、ステップS102で取得した電流測定値及び電圧測定値を用いて、フーリエ展開等の手法により二次電池12の内部インピーダンスZを算出する。なお、内部抵抗Rを算出する場合には、パルス状電流を放電または充電開始から10ms以下の所定の時間dtにおける電圧変化dVから、R=dV/dtで内部抵抗Rを算出することができる。
【0055】
次にステップS104において、温度センサ15から前記放電または充電を行ったときの二次電池12の温度測定値Tpを入力する。そして、ステップS105において、ステップS103で算出した内部インピーダンスZと、ステップS104で入力した温度測定値Tpとを(1)式に代入し、同式より調整パラメータCを算出する。
【0056】
次に、ステップS106において、ステップS101で設定された基 準温度Txと、ステップS105で算出された調整パラメータCとを用いて、(1)式から基準温度Txにおける内部インピーダンスZxを算出する。


【0057】
次に、ステップS107において、ステップS106で算出された基準温度Txにおける内部インピーダンスZxを、ステップS101で設定した判定閾値Zthと比較し、その大小関係を評価する。そして、内部インピーダンスZxが判定閾値Zth以下であると評価された場合、すなわちZx≦Zthと評価された場合には、二次電池12は劣化していないと判定して処理を終了する。
【0058】
これに対し、ステップS107で内部インピーダンスZxが判定閾値Zthを超えていると評価された場合、すなわちZx>Zthと評価された場合には、二次電池12が劣化している可能性があると判定される。図3に示す本実施形態の劣化判定方法では、二次電池12の劣化判定を確実に行うために、ステップS107の判定が所定回数連続で行われた場合に二次電池12が劣化していると判定するようにしている。
【0059】
すなわち、ステップS107において二次電池12が劣化している可能性があると判定されると、ステップS108において、上記判定が前記所定回数だけ連続して行われたか否かを判定する。その結果、前記所定回数連続して二次電池12が劣化していると判定された場合には、ステップS109に進んで二次電池12の劣化判定処理を行う。上記のように、所定回数連続して劣化判定が行われたことを確認するようにしているのは、内部インピーダンスの変動の影響を抑え、判定結果が安定するのを待つためである。
【0060】
次に、本発明の車両用電源装置を備えた車両用電源システムについて以下に説明する。図4は、本発明の車両用電源システムの実施形態を示すブロック図である。車両用電源システム31は、車両用電源装置11と入力装置32、及び表示装置33から構成されている。
【0061】
入力装置32及び表示装置33は、制御部17に接続されてデータの入出力が行えるように構成されている。図3のステップS109において二次電池12の劣化が判定された場合、その結果を制御部17から表示装置33に送出して表示させることで、運転者に二次電池12の劣化を通報できるようにすることができる。
【0062】
また、入力装置32は、例えば二次電池12の内部インピーダンスに対する判定閾値、内部抵抗に対する判定閾値、前記充放電選択信号、前記直交流選択信号、前記交流電流の周波数、及び前記パルス状電流のパルス幅を記憶部18に設定するのに用いることができる。図4の実施形態では、記憶部18への設定を制御部17を介して行わせるように構成している。
【0063】
本発明の車両用電源システムを上記のように構成することにより、二次電池12の劣化を運転者に迅速で判り易く通報できるようにすることが可能であり、また、入力装置32から設定値の変更が容易に行えることから、二次電池12の動作状況や経年劣化等に対応して適切な処理を行わせようにすることが可能となる。
【0064】
上記では、車両に搭載される車両用二次電池の劣化状態を判定する構成を備えた車両用電源システムについて説明したが、本発明は車両用二次電池に限られることなく、一般的な二次電池を搭載した各種電源システムに対しても広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、縦軸を内部インピーダンス、横軸を二次電池の温度としたときの、二次電池の温度特性の一実施例を示すグラフである。
【図2】図2は、本実施形態に係る車両用電源装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、主として制御部17で実行される演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の車両用電源システムの実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0066】
1、2・・・内部インピーダンスのグラフ
11・・・車両用電源装置
12・・・二次電池
13・・・電流センサ
14・・・電圧センサ
15・・・温度センサ
16・・・放電回路
17・・・制御部
18・・・記憶部
19・・・経路
21・・・負荷
22・・・オールタネータ
31・・・車両用電源システム
32・・・入力装置
33・・・表示装置




 

 


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