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発明の名称 アレイ導波路回折格子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−65562(P2007−65562A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−254672(P2005−254672)
出願日 平成17年9月2日(2005.9.2)
代理人 【識別番号】100093894
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 清
発明者 長谷川 淳一 / 奈良 一孝
要約 課題
アレイ導波路回折格子の光透過中心波長温度依存性を低減する。

解決手段
光入力導波路2と、第1のスラブ導波路3と、互いに異なる長さの複数の導波路よりなるアレイ導波路4と、第2のスラブ導波路5と、複数の光出力導波路6を有するアレイ導波路回折格子の第1のスラブ導波路3を、通過光経路と交わる分離面8で分離して分離スラブ導波路3a,3bとし、互いに温度変化に対する伸縮量が異なる部材により形成したスライド移動部材7a,7b,7cによって、分離スラブ導波路3aを分離面8に沿って温度に依存してスライド移動する。各スライド移動部材7a,7b,7cはアレイ導波路回折格子の使用温度帯内の互いに異なる温度帯に対応して分離スラブ導波路3aを移動する構成とし、分離スラブ導波路3aのスライド移動量を、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減するように温度変化に対して変化する温度依存低減量と成す。
特許請求の範囲
【請求項1】
1本または並設された複数の光入力導波路の出射側に第1のスラブ導波路が接続され、該第1のスラブ導波路の出射側には該第1のスラブ導波路から導出された光を伝播する互いに異なる長さの複数の導波路よりなるアレイ導波路が接続され、該アレイ導波路の出射側には第2のスラブ導波路が接続され、該第2のスラブ導波路の出射側には1本または並設された複数の光出力導波路が接続されて成る導波路構成が基板上に形成されているアレイ導波路回折格子であって、前記第1と第2のスラブ導波路の少なくとも一方が、スラブ導波路を通る光の経路と交わる交差面の分離面で分離されて分離スラブ導波路と成し、該分離スラブ導波路の少なくとも一方側を前記アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減させる方向に前記分離面に沿って温度に依存してスライド移動するスライド移動部材が複数設けられており、これら複数のスライド移動部材は互いに温度変化に対する伸縮量が異なる部材により形成されており、各スライド移動部材はアレイ導波路回折格子の使用温度帯内の互いに異なる温度帯に対応して前記分離スラブ導波路を移動する構成と成し、前記複数のスライド移動部材の温度変化に対応する伸縮量による前記分離スラブ導波路のスライド移動量がアレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減するように温度変化に対して変化する温度依存低減量と成していることを特徴とするアレイ導波路回折格子。
【請求項2】
複数のスライド移動部材のうち少なくとも2つのスライド移動部材は互いに異なる長さに形成されていることを特徴とした請求項1記載のアレイ導波路回折格子。
【請求項3】
複数のスライド移動部材のうち少なくとも2つのスライド移動部材は互いに異種材料の部材であることを特徴とした請求項1または請求項2記載のアレイ導波路回折格子。
【請求項4】
複数のスライド移動部材のうち、少なくとも1つのスライド移動部材は少なくとも1箇所で分割された分割型スライド移動部材と成し、少なくとも1つのスライド移動部材は分割されていない非分割スライド移動部材と成しており、前記分割型スライド移動部材はその分割された面がアレイ導波路回折格子の使用温度帯内の一部の接触配設温度帯において互いに接触して配設され、他の温度帯においては分割面同士が互いに間隔を介して対向配設されることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載のアレイ導波路回折格子。
【請求項5】
接触配設温度帯が互いに異なる温度帯の分割型スライド移動部材が複数設けられ、各分割型スライド移動部材の接触配設温度帯における伸縮量と非分割スライド移動部材の伸縮量とに応じて、アレイ導波路回折格子の使用温度帯内の複数の各温度帯における温度変化に対応する分離スラブ導波路のスライド移動量を互いに異なる移動量とすることを特徴とする請求項4記載のアレイ導波路回折格子。
【請求項6】
スライド移動部材は非分割スライド移動部材の第1スライド移動部材と、アレイ導波路回折格子の使用温度帯のうち高温側に設定される第1温度帯を接触配設温度帯とする第2スライド移動部材と、アレイ導波路回折格子の使用温度帯のうち前記第1温度帯よりも温度間隔を介して低温側に設定される第3温度帯を接触配設温度帯とする第3スライド移動部材とを有し、前記第1温度帯では前記第1スライド移動部材と前記第2スライド移動部材との伸縮量に応じたスライド移動が行われ、前記第1温度帯と前記第3温度帯との間の第2温度帯では前記第1スライド移動部材の伸縮量に応じたスライド移動が行われ、前記第3温度帯では前記第1スライド移動部材と前記第3スライド移動部材との伸縮量に応じたスライド移動が行われることを特徴とする請求項5記載のアレイ導波路回折格子。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光通信分野において、複数の波長の光の合分波等を行うアレイ導波路回折格子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光通信分野において、例えば図11の模式図に示されるようなアレイ導波路回折格子が用いられている。アレイ導波路回折格子は、1本または並設された複数(ここでは複数)の光入力導波路2と、該光入力導波路2の出力側に接続された第1スラブ導波路3と、該第1スラブ導波路3の出力側に接続されたアレイ導波路4と、該アレイ導波路4の出力側に接続された第2スラブ導波路5と、該第2スラブ導波路5の出力側に接続された1本または並設された複数(ここでは複数)の光出力導波路6とを有している。
【0003】
前記アレイ導波路4は、第1のスラブ導波路3から導出された光を伝搬するものであり、複数の導波路(チャンネル導波路)40を並設して形成されている。隣り合うチャンネル導波路40の長さは互いに設定量(ΔL)異なっており、アレイ導波路回折格子11における位相部分を形成している。
【0004】
なお、アレイ導波路4を構成するチャンネル導波路40は、通常、例えば100本といったように多数設けられるが、同図においては、図の簡略化のために、これらのチャンネル導波路40の本数を簡略的に示してある。
【0005】
アレイ導波路回折格子11は、例えば、1本の光入力導波路2に、波長λ1、λ2、λ3、・・・λnを持った波長多重光を導入すると、この波長多重光は、光入力導波路2を通って第1のスラブ導波路3に導入され、その回折効果によって広がってアレイ導波路4に入射し、アレイ導波路4を伝搬する。
【0006】
このアレイ導波路4を伝搬した光は、第2のスラブ導波路5に達し、さらに、光出力導波路6に集光されて出力されるが、アレイ導波路4の全てのチャンネル導波路40の長さが互いに異なることから、アレイ導波路4を伝搬した後に個々の光の位相にずれが生じ、このずれ量に応じて集束光の波面が傾き、この傾き角度により集光する位置が決まる。
【0007】
そのため、波長の異なった光の集光位置は互いに異なることになり、その位置に光出力導波路6を形成することによって、波長の異なった光を波長ごとに異なる光出力導波路6から出力する波長分波機能を有する。
【0008】
また、アレイ導波路回折格子は、光回路の相反性(可逆性)の原理を利用しているため、波長分波機能と共に、波長合波機能も有している。すなわち、上記とは逆に、各光出力導波路6から互いに波長が異なる例えば波長λ1、λ2、λ3、・・・λnの複数の光を入射させると、これらの光は、上記と逆の伝搬経路を通り、第2のスラブ導波路5とアレイ導波路4と第1のスラブ導波路3とによって合波され、1本の光入力波路2から出射される。
【0009】
一般に、アレイ導波路回折格子は、石英系ガラスで構成されているため、その屈折率の温度依存性に起因した温度変動が発生する。具体的には、アレイ導波路回折格子の配置されている環境温度が変化するとアレイ導波路回折格子の光透過中心波長(中心波長)が温度に依存して変化し、通常使用されている温度範囲(−5℃から70℃)において、約0.8nm程度の中心波長変動が生じる。したがって、従来は、アレイ導波路回折格子をDWDM(高密度波長合分波)システムで使用するためには、ペルチェやヒータでアレイ導波路回折格子チップ全体の温度調節をする必要があった。
【0010】
このため、アレイ導波路回折格子の温度無依存化が強く望まれており、最近では、中心波長の温度依存性を補償する技術(温度無依存型のアレイ導波路回折格子の開発技術)が開発されている。そして、これらの技術により、アレイ導波路回折格子の温調(温度調節)フリー、無電力化が実現できている(例えば、非特許文献1、2、参照。)。
【0011】
図12には、従来提案されている温度無依存型のアレイ導波路回折格子の例が示されている。このアレイ導波路回折格子は、第1のスラブ導波路3が第1のスラブ導波路3を通る光の経路と交わる交差面の分離面8で分離されて分離スラブ導波路3a,3bと成している。また、分離面8と交差する交差面18でもアレイ導波路回折格子が分離されており、これら分離面8と交差面18とによって、アレイ導波路回折格子がチップ1aとチップ1bとに分離されている。
【0012】
また、分離スラブ導波路3aを、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減させる方向(矢印Aまたは矢印Bの方向)に前記分離面8に沿って温度に依存してスライド移動する1つのスライド移動部材7が設けられており、このスライド移動部材7による分離スラブ導波路3aの移動によって、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度無依存化を図ろうとしている。
【0013】
【非特許文献1】Y.Inoue,A.Kaneko, F.Hanawa, H.Takahashi, K.Hattori, S.Sumida, “Athermal silica-basedarrayed-waveguide grating multiplexer,” Electron Lett.,vol.33, pp1945-1947, 1997.
【非特許文献2】T.Saito,K.Nara, Y.Nekado, J.Hasegawa, K.Kashihara,”100GHz-32ch athermal アレイ導波路回折格子with extremely low temperature dependency of center wavelength,” OFC’03 MF47,pp57-59, 2003.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、近年ブロードキャストサービスとpoint-to-point伝送を同時に実現できるWDM-PON(Wavelength Division Multiplexing−Possive Optical Network)システムの検討が進められており、本システムでは従来のPONシステムで使用されている光スプリッタと同様、アレイ導波路回折格子自身は屋外に設置される可能性がある。この場合、従来の端局での使用温度範囲(−5〜70℃)よりも厳しく、−40〜85℃と非常に広い範囲を補償しなければならない。
【0015】
しかしながら、従来提案されている温度無依存型のアレイ導波路回折格子では、図13に示すように、中心波長の温度依存性が完全にフラットではなく、中心波長シフト量の正方向を上にした場合に下に凸の温度依存性が観測されており、アレイ導波路回折格子の中心波長の温度無依存化が十分ではなかった。つまり、従来提案されている温度無依存型のアレイ導波路回折格子は、−5〜70℃における光透過中心波長(中心波長)の変動は、±0.015nm以下で問題がない特性であったが、使用温度範囲を−40〜85℃まで拡大すると、中心波長の変動が±0.04nm程度まで劣化することになる。
【0016】
なお、図13に示す例は、20℃でのアレイ導波路回折格子の光透過中心波長(中心波長)が0となるように、アレイ導波路回折格子を形成した例である。
【0017】
また、トラフィックが増大する今後のネットワークを構築する上で、アレイ導波路回折格子の狭スペーシング化は必要になりつつある。スペーシングが狭くなると、中心波長の温度依存性のトレランスが小さくなり、従来の温度無依存型のアレイ導波路回折格子が実現している中心波長変動、つまり、−5〜70℃で±0.015nm以下よりも小さくする必要がある。
【0018】
したがって、従来の温度無依存型のアレイ導波路回折格子では、その中心波長の温度依存性に問題が生じることになるため、より一層中心波長の温度依存性を低減できるアレイ導波路回折格子の開発が望まれる。
【0019】
本発明は、上記従来の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、例えばアレイ導波路回折格子を屋外に配置したとしても、そのアレイ導波路回折格子の使用温度帯における光透過中心波長の温度依存性を従来よりもさらに低減できる、光透過中心波長の温度変化が小さいアレイ導波路回折格子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明は、1本または並設された複数の光入力導波路の出射側に第1のスラブ導波路が接続され、該第1のスラブ導波路の出射側には該第1のスラブ導波路から導出された光を伝播する互いに異なる長さの複数の導波路よりなるアレイ導波路が接続され、該アレイ導波路の出射側には第2のスラブ導波路が接続され、該第2のスラブ導波路の出射側には1本または並設された複数の光出力導波路が接続されて成る導波路構成が基板上に形成されているアレイ導波路回折格子であって、前記第1と第2のスラブ導波路の少なくとも一方が、スラブ導波路を通る光の経路と交わる交差面の分離面で分離されて分離スラブ導波路と成し、該分離スラブ導波路の少なくとも一方側を前記アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減させる方向に前記分離面に沿って温度に依存してスライド移動するスライド移動部材が複数設けられており、これら複数のスライド移動部材は互いに温度変化に対する伸縮量が異なる部材により形成されており、各スライド移動部材はアレイ導波路回折格子の使用温度帯内の互いに異なる温度帯に対応して前記分離スラブ導波路を移動する構成と成し、前記複数のスライド移動部材の温度変化に対応する伸縮量による前記分離スラブ導波路のスライド移動量がアレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減するように温度変化に対して変化する温度依存低減量と成している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0021】
なお、前記互いに異なる温度帯とは、例えば1つの温度帯が−50℃〜70℃であり、別の温度帯が−5℃〜20℃といったように、共通している温度帯(例えばこの例では、−5℃〜20℃)を有する場合と、互いに共通している温度帯が全く無い場合との両方を含むものである。
【0022】
また、第2の発明は、上記第1の発明の構成に加え、前記複数のスライド移動部材のうち少なくとも2つのスライド移動部材は互いに異なる長さに形成されていることを特徴とする。
【0023】
さらに、第3の発明は、上記第1または第2の発明の構成に加え、前記複数のスライド移動部材のうち少なくとも2つのスライド移動部材は互いに異種材料の部材であることを特徴とする。
【0024】
さらに、第4の発明は、上記第1または第2または第3の発明の構成に加え、前記複数のスライド移動部材のうち、少なくとも1つのスライド移動部材は少な
くとも1箇所で分割された分割型スライド移動部材と成し、少なくとも1つのスライド移動部材は分割されていない非分割スライド移動部材と成しており、前記分割型スライド移動部材はその分割された面がアレイ導波路回折格子の使用温度帯内の一部の接触配設温度帯において互いに接触して配設され、他の温度帯においては分割面同士が互いに間隔を介して対向配設される構成をもって課題を解決する手段としている。
【0025】
さらに、第5の発明は、上記第4の発明の構成に加え、前記接触配設温度帯が互いに異なる温度帯の分割型スライド移動部材が複数設けられ、各分割型スライド移動部材の接触配設温度帯における伸縮量と非分割スライド移動部材の伸縮量とに応じて、アレイ導波路回折格子の使用温度帯内の複数の各温度帯における温度変化に対応する分離スラブ導波路のスライド移動量を互いに異なる移動量とすることを特徴とする。
【0026】
さらに、第6の発明は、上記第5の発明の構成に加え、スライド移動部材は非分割スライド移動部材の第1スライド移動部材と、アレイ導波路回折格子の使用温度帯のうち高温側に設定される第1温度帯を接触配設温度帯とする第2スライド移動部材と、アレイ導波路回折格子の使用温度帯のうち前記第1温度帯よりも温度間隔を介して低温側に設定される第3温度帯を接触配設温度帯とする第3スライド移動部材とを有し、前記第1温度帯では前記第1スライド移動部材と前記第2スライド移動部材との伸縮量に応じたスライド移動が行われ、前記第1温度帯と前記第3温度帯との間の第2温度帯では前記第1スライド移動部材の伸縮量に応じたスライド移動が行われ、前記第3温度帯では前記第1スライド移動部材と前記第3スライド移動部材との伸縮量に応じたスライド移動が行われる構成をもって課題を解決する手段としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、第1と第2のスラブ導波路の少なくとも一方が、スラブ導波路を通る光の経路と交わる交差面の分離面で分離されて分離スラブ導波路と成し、該分離スラブ導波路の少なくとも一方側を前記アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減させる方向に前記分離面に沿って温度に依存してスライド移動するスライド移動部材が複数設けられているので、これらのスライド移動部材によって分離スラブ導波路を移動して、以下のように、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を非常に小さくすることができる。
【0028】
つまり、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性(波長シフト量)は、温度変化に対する光透過中心波長のシフト量が、正方向(長波長側へのシフト)を上にした場合に下に凸の湾曲した変化(例えば二次曲線的変化)となり、スラブ導波路を通る光の経路と交わる交差面の分離面で分離された分離スラブ導波路をスライド移動することによってアレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減するためには、この温度特性に対応させて、スライド移動量を温度変化に対して変化させればよいことを本出願人は見出した。
【0029】
なお、本出願人は、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性がこのような特性となる原因は、アレイ導波路回折格子を構成する石英系ガラスの屈折率の温度係数dn/dT自体の温度変化にあることも、検討により見出している。
【0030】
本発明によれば、前記複数のスライド移動部材は互いに温度変化に対する伸縮量が異なる部材により形成されて、各スライド移動部材はアレイ導波路回折格子の使用温度帯内の互いに異なる温度帯に対応して前記分離スラブ導波路を移動する構成と成し、前記複数のスライド移動部材の温度変化に対応する伸縮量による前記分離スラブ導波路のスライド移動量が、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減するように、温度変化に対して変化する温度依存低減量と成しているので、温度変化に対する光透過中心波長のシフト量が例えば湾曲した変化となっても、そのアレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を前記スライド移動量によって効率的に低減できる。
【0031】
したがって、本発明によれば、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を極めて小さくすることができる。
【0032】
また、本発明において、複数のスライド移動部材のうち少なくとも2つのスライド移動部材を互いに異なる長さに形成したり、複数のスライド移動部材のうち少なくとも2つのスライド移動部材は互いに異種材料の部材としたりすることによって、複数のスライド移動部材を互いに温度変化に対する伸縮量が異なる部材とすることができ、簡単な構成により上記効果を発揮できる。
【0033】
さらに、本発明において、複数のスライド移動部材は、少なくとも1箇所で分割された分割型スライド移動部材と、分割されていない非分割スライド移動部材とをそれぞれ1つ以上有して、分割型スライド移動部材はその分割された面がアレイ導波路回折格子の使用温度帯内の一部の接触配設温度帯において互いに接触して配設され、他の温度帯においては分割面同士が互いに間隔を介して対向配設される構成によれば、非分割スライド移動部材と分割型スライド移動部材とを組み合わせることにより、アレイ導波路回折格子の使用温度帯内の複数の各温度帯において分離スラブ導波路のスライド移動量を的確に調整でき、該スライド移動量を温度変化に対して変化する温度依存低減量と成すことができる。
【0034】
さらに、非分割スライド移動部材と分割型スライド移動部材とを有する本発明の構成において、接触配設温度帯が互いに異なる温度帯の分割型スライド移動部材が複数設けられ、各分割型スライド移動部材の接触配設温度帯における伸縮量と非分割スライド移動部材の伸縮量とに応じて、アレイ導波路回折格子の使用温度帯内の複数の各温度帯における温度変化に対応する分離スラブ導波路のスライド移動量を互いに異なる移動量とする構成によれば、アレイ導波路回折格子の使用温度帯内の複数の各温度帯において分離スラブ導波路のスライド移動量をより一層的確に調整でき、該スライド移動量を温度変化に対して変化する温度依存低減量と成すことができる。
【0035】
さらに、本発明において、スライド移動部材は非分割スライド移動部材の第1スライド移動部材と分割型スライド移動部材の、第2と第3スライド移動部材とを有し、アレイ導波路回折格子の使用温度帯における3つの互いに異なる温度帯(第1、第2、第3温度帯)において、それぞれ、第1、第2、第3のスライド移動部材のうち、対応するスライド移動部材の(単独または組み合わせの)伸縮量に応じたスライド移動が行われる構成によれば、アレイ導波路回折格子の使用温度帯内の複数の各温度帯において分離スラブ導波路のスライド移動量をより一層的確に調整でき、該スライド移動量を温度変化に対して変化する温度依存低減量と成すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態例の説明において、これまでの従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。図1には、本発明に係るアレイ導波路回折格子の一実施形態例が模式的な平面図により示されており、図1(a)、(b)、(c)は、それぞれ、アレイ導波路回折格子の温度Tを互いに異なる温度にしたときの状態により示されている。
【0037】
これらの図に示されるように、本実施形態例のアレイ導波路回折格子は、図12に示したアレイ導波路回折格子と同様の回路構成を有し、第1のスラブ導波路3が第1のスラブ導波路3を通る光の経路と交わる交差面の分離面8で分離されて分離スラブ導波路3a,3bと成しており、また、分離面8と交差する交差面18と、分離面8とによって、アレイ導波路回折格子がチップ1aとチップ1bとに分離されている。
【0038】
ただし、本実施形態例では、分離スラブ導波路3a,3bの少なくとも一方側(ここでは分離スラブ導波路3a)を、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減させる方向(矢印Aまたは矢印Bの適宜の方向)に前記分離面8に沿って温度に依存してスライド移動するスライド移動部材7が、複数(ここでは、第1、第2、第3スライド移動部材7a,7b,7cの3個)設けられている。
【0039】
各スライド移動部材7(7a,7b,7c)は、分離スラブ導波路3aと光入力導波路2とを有するチップ1aと、分離スラブ導波路3bとアレイ導波路40とを有するチップ1bとに跨る態様で設けられており、それぞれ、一端側がチップ1aに固定され、他端側がチップ1bに固定されている。
【0040】
例えば、図2(a)には、図2(b)の切断線C−Cでアレイ導波路回折格子を切断したときの断面構成が示されており、第3スライド移動部材7cは、接続部位11でチップ1a,1bにそれぞれ、例えば接着剤等によって接続固定されている。また、この図に示す第3スライド移動部材7cと同様の態様で、第1、第2スライド移動部材7a,7bも、それぞれ、チップ1a,1bに接続固定されている。
【0041】
また、本実施形態例のアレイ導波路回折格子は、その光透過中心波長シフトが20℃において0となるように設計されている。前記各スライド移動部材7a,7b,7cは、アレイ導波路回折格子の環境温度変化に応じて伸縮し、アレイ導波路回折格子が20℃を越える温度となると、各スライド移動部材7a,7b,7cはそれぞれ伸張して分離スラブ導波路3aを矢印A方向に移動する。また、アレイ導波路回折格子が20℃未満となると、各スライド移動部材7a,7b,7cはそれぞれ収縮して分離スラブ導波路3aを矢印B方向に移動する。
【0042】
3つのスライド移動部材7a,7b,7cのうち、第1スライド移動部材7aは分割されていない非分割スライド移動部材と成し、第2、第3スライド移動部材7b,7cは少なくとも1箇所(ここでは、それぞれ、長手方向中央部の1箇所)で分割された分割型スライド移動部材と成している。
【0043】
また、3つのスライド移動部材7(7a,7b,7c)は、互いに異なる長さに形成されており、第1スライド移動部材7aの長さはL1、第2スライド移動部材7bの分割されていない状態での長さはL2、第3スライド移動部材7cの分割されていない状態での長さはL3であり、L3<L1<L2と成している。
【0044】
本実施形態例では、このように、第1、第2、第3スライド移動部材7a,7b,7cの長さを互いに異なる長さに形成することによって、各スライド移動部材7(7a,7b,7c)は、互いに温度変化に対する伸縮量が異なる部材により形成されている。
【0045】
また、各スライド移動部材7(7a,7b,7c)は、アレイ導波路回折格子の使用温度帯内の互いに異なる温度帯に対応して前記分離スラブ導波路3aを移動する構成と成している。なお、ここで、互いに異なる温度帯とは、共通の温度帯を含むものであってもよいし、共通の温度帯を含まない温度帯でもよい。
【0046】
例えば、本実施形態例において、アレイ導波路回折格子の使用温度帯は−40℃〜85℃としており、第1スライド移動部材7aは−40℃〜85℃の温度帯に対応して前記分離スラブ導波路3aを移動する構成と成し、第2スライド移動部材7bは50℃〜85℃の温度帯に対応して前記分離スラブ導波路3aを移動する構成と成し、第3スライド移動部材7cは−40℃〜20℃の温度帯に対応して前記分離スラブ導波路3aを移動する構成と成している。つまり、本実施形態例においては、互いに異なる温度帯とは、共通の温度帯を含むものである。
【0047】
また、本実施形態例では、第1スライド移動部材7aを非分割スライド移動部材とし、第2、第3スライド移動部材7b,7bを分割型スライド移動部材とし、以下のように構成することにより、上記のように、第1、第2、第3スライド移動部材7a,7b,7cにより移動する温度帯が互いに異なる温度帯になるようにしている。
【0048】
つまり、分割型スライド移動部材である第2、第3スライド移動部材7b,7cは、それぞれ、その分割された面9b,9cが、アレイ導波路回折格子の使用温度帯内の一部の接触配設温度帯において互いに接触して配設され、他の温度帯においては分割面9b同士や分割面9c同士が互いに間隔を介して対向配設されるように構成されるものであり、本実施形態例において、第2スライド移動部材7bと第3スライド移動部材7cとは、接触配設温度帯が互いに異なる温度帯の分割型スライド移動部材である。
【0049】
具体的には、第2スライド移動部材7bは、アレイ導波路回折格子の使用温度帯(ここでは、−40℃〜85℃)のうち、高温側に設定される第1温度帯(50℃以上)を接触配設温度帯とし、第3スライド移動部材7cは、アレイ導波路回折格子の使用温度帯のうちの、前記第1温度帯よりも温度間隔を介して低温側に設定される第3温度帯(20度以下)を接触配設温度帯とする。なお、各温度帯は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【0050】
そして、本実施形態例では、各分割型スライド移動部材7b,7cの接触配設温度帯における伸縮量と非分割スライド移動部材7aの伸縮量とに応じて、アレイ導波路回折格子の使用温度帯内の、以下に述べる第1、第2、第3の複数の各温度帯における温度変化に対応する分離スラブ導波路3aのスライド移動量を互いに異なる移動量とし、それにより、複数のスライド移動部材7(7a,7b,7c)の、温度変化に対応する伸縮量による、前記分離スラブ導波路3aのスライド移動量が、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減するように温度変化に対して変化する温度依存低減量と成していることを特徴とする。
【0051】
具体的には、前記第1温度帯においては、第1スライド移動部材7aと第2スライド移動部材7bとの伸縮量に応じたスライド移動が行われ、前記第1温度帯と前記第3温度帯との間の第2温度帯では、第1スライド移動部材7aの伸縮量のみに応じたスライド移動が行われ、第3温度帯では第1スライド移動部材7aと第3スライド移動部材7cとの伸縮量に応じたスライド移動が行われ、それにより、分離スラブ導波路8aの分離面8に沿ったスライド移動量が、温度変化に対して変化する温度依存低減量と成している。
【0052】
なお、本出願人は、アレイ導波路回折格子の温度無依存化を実現する検討を行い、このとき、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性(波長シフト量)は、温度変化に対する光透過中心波長のシフト量が、正方向を上にした場合に下に凸の湾曲した変化となることを確認した。そして、スラブ導波路を通る光の経路と交わる交差面の分離面で分離された分離スラブ導波路をスライド移動することによって、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減するためには、この温度特性に対応させて、スライド移動量dxを、例えば図10に示すように、温度変化に対して変化(図10の場合には、二次曲線的変化)させればよいことを見出した。
【0053】
なお、図10の特性は、100GHz間隔で42波長の光を合分波するアレイ導波路回折格子について求めた例であり、スライド移動量dxは、温度をTとしたときに、(数1)の二次関数により表される。
【0054】
【数1】


【0055】
そして、この検討に基づき、本実施形態例を含む本発明の構成を提案することにしたものであり、本実施形態例では、非分割の第1スライド移動部材7aと、それぞれ1箇所で分割されて、使用温度帯内の一部の接触配設温度帯においては互いに接触して配設される第2、第3スライド移動部材7b,7cとを設け、これらのスライド移動部材7a,7b,7cによって、分離スラブ導波路3aを分離面8に沿って移動することにして、前記の如く、前記分離スラブ導波路3aの分離面8に沿ったスライド移動量を、前記の如く変化する温度依存低減量(例えば、図10に対応する値)としている。
【0056】
したがって、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を効率的に低減することができる。
【0057】
以下に、本実施形態例のアレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減する動作について具体的に述べ、その効果について言及する。
【0058】
図1(a)に示すように、前記第1温度帯と前記第3温度帯との間の第2温度帯では、第2スライド移動部材7bと第3スライド移動部材7cとが分割配設されているので、前記第1スライド移動部材7aの伸縮量にのみ応じたスライド移動が行われる。なお、本実施形態例では、第2温度帯の温度をTとすると、20℃<T<50℃となり、第2温度帯は、20℃より高い温度帯であるので、第1スライド移動部材7aは伸張し、分離スラブ導波路3aは、スライド移動部材7aの伸張量に応じて、図1の矢印A方向に温度に依存して移動する。
【0059】
また、前記第1温度帯では、例えば図1(b)に示すように、第2スライド移動部材7bが接触配設される。そのため、この第2スライド移動部材7bと、元々分割されていない第1スライド移動部材7aとの伸縮量に応じたスライド移動が行われる。なお、第1温度帯においては、第3スライド移動部材7cは分割面9c同士が間隔を介して分離配設されているので、分離スラブ導波路3aの移動に関与しない。
【0060】
また、第1温度帯の温度をTとすると、本実施形態例では、50℃≦Tとなり、第1温度帯は、20℃より高い温度帯であるので、第1スライド移動部材7aと第2スライド移動部材7bは共に伸張し、分離スラブ導波路3aを図1の矢印A方向に移動する。ここで、第2スライド移動部材7bの長さL2が第1スライド移動部材7aの長さL1より長いので、温度に対する伸張量は、第2スライド移動部材7bの方が第1スライド移動部材7aより大きく、この第2スライド移動部材7bの伸張量の影響によって、分離スラブ導波路3aは、前記第2温度帯における単位温度毎の移動量よりも大きい単位温度毎の移動量だけ温度に依存してA方向に移動する。
【0061】
一方、前記第3温度帯では、例えば図1(c)に示すように、第3スライド移動部材7cが接触配設される。そのため、この第3スライド移動部材7cと、元々分割されていない第1スライド移動部材7aとの伸縮量に応じたスライド移動が行われる。なお、第3温度帯においては、第2スライド移動部材7bは分割面9b同士が間隔を介して分離配設されているので、分離スラブ導波路3aの移動に関与しない。
【0062】
本実施形態例では、第3温度帯の温度をTとすると、20℃≧Tとなり、第3温度帯は、20℃以下の温度帯であるので、第1スライド移動部材7aと第3スライド移動部材7cは共に収縮し、分離スラブ導波路3aを図1の矢印B方向に移動する。
【0063】
ここで、第3スライド移動部材7cの長さL3が第1スライド移動部材7aの長さL1より短いので、温度に対する収縮量(ここでは温度が低くなるにつれて収縮する量)は、第3スライド移動部材7cの方が第1スライド移動部材7aより小さく、この第3スライド移動部材7cの収縮量の影響によって、分離スラブ導波路3aの矢印B方向への移動量が小さく抑えられ、第1スライド移動部材7a単独による移動の場合よりもその移動量は小さくなる。
【0064】
なお、20度以下の温度帯であっても、その温度帯において、温度が上昇する場合(例えば0℃から20℃に変化する場合に)は、上昇前の温度を基準とすると(例えば0℃を基準とすると)、第1、第3スライド移動部材7a,7cは共に伸張し、分離スラブ導波路3aは基準とした位置から矢印A方向に移動する。ただし、この場合も、第3スライド移動部材7cの伸張量は第1スライド移動部材7aの伸張量より小さく、この影響を受けて、温度上昇に伴って分離スラブ導波路3aを矢印A方向に移動する単位温度毎の移動量は、第1スライド移動部材7a単独の時に比べて小さくなる。
【0065】
以上の動作によって、つまり、上記のように、第1、第2、第3スライド移動部材7a,7b,7bが使用温度帯内の互いに異なる第1、第2、第3温度帯に対応して前記分離スラブ導波路3aを移動することによって、本実施形態例では、前記の如く、分離スラブ導波路3aのスライド移動量を、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減するように温度変化に対して変化する温度依存低減量とすることができる。
【0066】
したがって、本実施形態例では、アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性、つまり、温度変化に対する光透過中心波長のシフト量が、正方向を上とした場合に下に凸の湾曲した、例えば二次曲線的な変化となる温度依存性を、前記スライド移動部材7a,7b,7cによる、二次曲線的なスライド移動量によって効率的に低減できる。
【0067】
また、本実施形態例によれば、複数のスライド移動部材7a,7b,7cの長さを互いに異なる長さに形成することにより、これらのスライド移動部材7a,7b,7cを互いに温度変化に対する伸縮量が異なる部材とすることができ、簡単な構成により上記効果を発揮できる。
【0068】
さらに、本実施形態例によれば、複数のスライド移動部材のうち、2つのスライド移動部材7b,7cは1箇所で分割された分割型スライド移動部材と成し、1つのスライド移動部材7aは分割されていない非分割スライド移動部材と成しており、分割型スライド移動部材7b,7cはその分割された面9b,9cがアレイ導波路回折格子の使用温度帯内の互いに異なる一部の接触配設温度帯において互いに接触して配設され、他の温度帯においては分割面9b同士や分割面9c同士が互いに間隔を介して対向配設されるので、上記のように、アレイ導波路回折格子の使用温度帯内の複数の各温度帯において分離スラブ導波路3aのスライド移動量を的確に調整でき、該スライド移動量を温度変化に対して変化する温度依存低減量と成すことができる。
【0069】
(実施例)
以下に、上記実施形態例の実施例について説明する。この実施例は、図1に示した平面構成を有しており、シリコンの基板21上に、火炎加水分解法、フォトリソグラフィー、反応性イオンエッチングにより石英系ガラスで構成される光入力導波路2、第1のスラブ導波路3、アレイ導波路4、第2のスラブ導波路5、光出力導波路6を有する回路構成の、100GHz-32chガウシアンタイプのアレイ導波路回折格子のチップを作製し、次にダイシング装置により第1のスラブ導波路3を切断分離し、スライド移動部材7a,7b,7cを設けて形成したものである。
【0070】
表1にアレイ導波路回折格子の回路パラメータを示す。なお、チャンネルスペーシングは合分波間隔である。
【0071】
【表1】


【0072】
第1スライド移動部材7aとして銅板(線膨張係数1.7×10−5)を用いて、切断後のアレイ導波路回折格子チップ同士を接続した。このとき、第1スライド移動部材7aの長さL1は、次式(数2)の温度変化dTによる中心波長変化dλと、必要な焦点位置の補正量dxの関係により計算して決定した。
【0073】
【数2】


【0074】
ここで、Lはスラブ導波路の焦点距離、ΔLはアレイ導波路の光路長差、nはスラブ導波路の実効屈折率、dはスラブ導波路端におけるアレイ導波路の間隔、nはアレイ導波路の群屈折率、ΔTは温度変化である。
【0075】
回路パラメータと上式(数2)より、L1は16.2mmと計算される。
【0076】
ここで、比較のために、スライド移動部材7b,7cを設けずに、スライド移動部材7aのみを設けたアレイ導波路回折格子について、その光透過中心波長の温度変動を測定した。図5に、その測定結果を示す。同図から明らかなように、温度範囲−5℃から70℃において、約±0.015nm程度の温度依存性が生じている。
【0077】
続いて、本実施例の構成となるように、つまり、図1に示したように、スライド移動部材7aの隣にスライド移動部材7b,7cを接続した。ここで、スライド移動部材7b,7cの長さL2、L3は、それぞれ19.4mmと13.0mmmとした。また、第2スライド移動部材7bは、その分離面9b同士が隙間無く当接するように、50℃でアレイ導波路回折格子チップと接続した。一方、第3スライド移動部材7cは、その分離面9c同士が隙間無く当接するように、20℃でアレイ導波路回折格子チップと接続した。
【0078】
図3、図4に本実施例の温度特性を示す。温度範囲−5℃から70℃において、約±0.005nm以下の温度依存性(図4参照)実現することができた。また、−40℃から85℃の温度範囲においても、中心波長変動±0.015nm以下を実現することができていることが分かる(図3参照)。このように、本実施例によって、上記実施形態例の効果が確認できた。
【0079】
なお、本発明は、上記実施形態例およびその実施例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、複数配設されるスライド移動部材7の配設数は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものであり、2つでもよいし、4つ以上でもよい。例えば図6には、5つのスライド移動部材7を設けた例が示されており、上記実施形態例に示したスライド移動部材7b,7cをそれぞれ幅方向に2分割してスライド移動部材7aの両側に並設している。このような構成とすると、スライド移動部材7aの伸縮時に回転モーメントが発生しにくくなる構成となり、好ましい。
【0080】
また、上記実施形態例では、スライド移動部材7a,7b,7cの長さL1、L2、L3の関係を、L3<L1<L2としたが、スライド移動部材7a,7b,7cの長さは適宜設定されるものである。
【0081】
例えば、3つのスライド移動部材7a,7b,7cを互いに異種材料の部材により形成することによって、図7に示すように、スライド移動部材7a,7b,7cの長さを互いに等しい長さとしても互いに温度変化に対する伸縮量が異なる部材とすることができる。なお、同図に示す例は、スライド移動部材7aを銅により、スライド移動部材7bをアルミニウムにより、スライド移動部材7cをステンレスによりそれぞれ形成した例であり、それにより、各スライド移動部材7の温度に対する伸縮量は、スライド移動部材7b>スライド移動部材7a>スライド移動部材7cの順にしている。
【0082】
さらに、複数のスライド移動部材7は、互いに温度変化に対する伸縮量が異なる部材とすれば、その配設数、長さ、厚み、素材、形状等は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【0083】
さらに、スライド移動部材7の接続位置は限定されるものでなく、適宜設定されるものであり、スライド移動部材7は、アレイ導波路回折格子の分割された部分(チップ1a,1b)に各々接続されて分離スラブ導波路を適切にスライド移動できる態様と成していればよい。
【0084】
さらに、上記実施形態例では、スライド移動部材7b,7cは中央部の面9b,9cで2つに分割されていたが、スライド移動部材7b,7cの分割位置は特に限定されることはなく、どの部分(位置)で分割されていてもよいし、分割数も2分割とは限らず、3分割以上でもよい。
【0085】
さらに、本実施形態例では、スライド移動部材7b,7cは、図2に示すような断面構成にしたが、スライド移動部材7b,7c等の分割型スライド移動部材の断面構成は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものであり、例えば図8(a)に示す断面構成であってもよい。なお、図8(a)は、図8(b)のC−C断面図であり、図8(a)において、第3スライド移動部材7cは、接続部位11でチップ1a,1bにそれぞれ接続されており、符号12で示す非接続部位においては接続されていない。また、第2スライド移動部材7bも同様の態様で接続されている。
【0086】
さらに、複数のスライド移動部材7の配置形態は、図9に示す構成とすることもできる。つまり、スライド移動部材7の配置形態は、例えば枠形状の第1スライド移動部材7aの内側に、第2スライド移動部材7bと第3スライド移動部材7cを配置するといったような配置形態としてもよい。ここで、図9(b)は、この実施形態例の平面図、図9(a)は、図9(b)のC−C断面図であり、第2、第3スライド移動部材7b,7bは、共に、第1スライド移動部材7aの内側に挿入もしくは、その両端側が固定されている。なお、図9のような態様でスライド移動部材7を設ける場合、例えば第1スライド移動部材7aを、その長手方向に波状に変化する曲面を有するように形成すると、固定部位11での負荷がかからないので好ましい。
【0087】
なお、図9に示す例は、スライド移動部材7aを銅により、スライド移動部材7bをアルミニウムにより、スライド移動部材7cをステンレスによりそれぞれ形成した例を示しているが、これらのスライド移動部材7の材質は特に限定されるものではなく、適宜設定されるものであり、その数も、2つでも、4つ以上でもよい。
【0088】
さらに、上記実施形態例では、アレイ導波路回折格子の温度変化に対する光透過中心波長のシフト量が、正方向を上とした場合に下に凸の湾曲した二次曲線的な変化となる温度依存性を有し、この温度依存性に対応させて、複数のスライド移動部材7の温度変化に対応する伸縮量による分離スラブ導波路3aのスライド移動量がアレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減するように温度変化に対して変化する温度依存低減量と成したが、スライド移動部材7による分離スラブ導波路のスライド移動量は適宜決定されるものである。つまり、本発明は、複数のスライド移動部材7を設けることにより、アレイ導波路回折格子の温度依存性が直線的もしくは二次曲線的な変化の場合においても、それ以外であっても、その変化に対応してアレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減するように、分離スラブ導波路のスライド移動量を温度変化に対して変化する温度依存低減量と成すことができる。
【0089】
さらに、上記実施形態例では、第1のスラブ導波路3を分離して分離スラブ導波路3a,3bとしたが、第2のスラブ導波路5側を分離してもよいし、第1と第2のスラブ導波路3,5を分離してもよい。また、スライド移動部材7は、分離スラブ導波路の一方を分離面に沿ってスライド移動してもよいが、両方を分離面に沿ってスライド移動してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係るアレイ導波路回折格子の一実施形態例を、その動作と共に模式的に示す説明図である。
【図2】上記実施形態例の断面構成を説明するための図である。
【図3】上記実施形態例の一実施例の−40℃から85℃までの光透過中心波長温度依存性を示すグラフである。
【図4】上記実施形態例の一実施例の−5℃から約70℃までの光透過中心波長温度依存性を示すグラフである。
【図5】1つのスライド移動部材のみを有する温度無依存型のアレイ導波路回折格子の光透過中心波長温度依存性の例を示すグラフである。
【図6】本発明に係るアレイ導波路回折格子の別の実施形態例を平面図により模式的に示す説明図である。
【図7】本発明に係るアレイ導波路回折格子のさらに別の実施形態例を平面図と断面図とにより模式的に示す説明図である。
【図8】本発明に係るアレイ導波路回折格子のさらにまた別の実施形態例を平面図と断面図とにより模式的に示す説明図である。
【図9】本発明に係るアレイ導波路回折格子のさらにまた別の実施形態例を平面図と断面図とにより模式的に示す説明図である。
【図10】アレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を効率的に低減できる温度に対応したスライド移動量の例を示すグラフである。
【図11】アレイ導波路回折格子の構成例を示す斜視説明図である。
【図12】従来提案された温度無依存型のアレイ導波路回折格子の例を示す平面説明図である。
【図13】従来提案された温度無依存型のアレイ導波路回折格子の光透過中心波長の温度依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0091】
2 光入力導波路
3 第1のスラブ導波路
4 アレイ導波路
5 第2のスラブ導波路
6 光出力導波路
7,7a,7b,7c スライド移動部材
8 分離面
21 基板




 

 


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