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発明の名称 応力・歪みの解析方法及び装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−192689(P2007−192689A)
公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
出願番号 特願2006−11844(P2006−11844)
出願日 平成18年1月20日(2006.1.20)
代理人
発明者 兵藤 行志 / 徐 超男 / 山根 隆志 / 赤松 幹之 / 横川 善之 / 亀山 哲也
要約 課題
光弾性測定法で測定できる物理量は主応力差(σ1−σ2)と主応力方向であり、それぞれの主応力成分値はわからないという原理的な限界を有する。

解決手段
物体の応力状態を測定するに際して、光弾性測定法だけでなく、応力発光物質を適用した応力測定(応力発光測定)を併用することによって、光弾性測定の原理的な限界を超えて、例えば主応力の成分値であるσとσをそれぞれ知ることを実現し、詳細な応力測定を可能とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
応力による物質の光複屈折を測定することにより被測定物体に作用する応力状態を測定し(光弾性測定)、
応力で発光する物質の光を測定することにより前記被測定物体に作用する応力状態を測定し(応力発光)、
前記両測定データを演算処理することにより所定の応力分布等の力学情報を得ることを特徴とする応力解析方法。
【請求項2】
前記所定の力学情報は、垂直応力成分分布情報であることを特徴とする請求項1記載の応力解析方法。
【請求項3】
前記所定の力学情報は、せん断応力分布情報であることを特徴とする請求項1記載の応力解析方法。
【請求項4】
前記演算の力学情報は、応力方向情報であることを特徴とする請求項1記載の応力解析方法。
【請求項5】
応力による物質の光複屈折を測定することにより被測定物体に作用する応力状態を測定する光弾性測定手段と、
応力で発光する物質の光を測定することにより前記被測定物体に作用する応力状態を測定する応力発光測定手段と、
前記両応力測定手段で得られたデータを演算処理することにより所定の応力分布等の力学情報を得る演算処理手段とを備えたことを特徴とする応力解析装置。
【請求項6】
前記所定の力学情報は、垂直応力成分分布情報であることを特徴とする請求項5記載の応力解析装置。
【請求項7】
前記所定の力学情報は、せん断応力分布情報であることを特徴とする請求項5記載の応力解析装置。
【請求項8】
前記所定の力学情報は、応力方向情報であることを特徴とする請求項5記載の応力解析装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の応力・歪み状態をより詳細に把握できるようにした応力・歪み解析方法及び応力・歪み解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機やトラック、発電所の配管、橋梁から整形外科・歯科用インプラントに至るまで、様々な製品が力学的な安全性を有していることは、安心・安全な社会の実現において、基本的で必要不可欠な要素である。そして、製品の力学的な安全性の実現・評価には、応力・歪み計測技術が重要な役割を果たしている。
【0003】
従来より応力分布の測定においては、測定対象物体の表面に多数の歪みゲージを貼って、荷重を加えた時の各歪みゲージの出力信号から応力・歪み分布を把握する、歪みゲージ法が用いられてきた。この手法は、定量的に測定できるものの、広範囲な測定領域、あるいは狭小な測定領域では貼り付けるゲージ数に限界があるため、漏れ点のない計測は不可能であった。
【0004】
このため、試料に荷重が加えられた時に、応力の量に応じて生じる一時的な光の複屈折性を応用して応力分布を測定する光弾性測定法も使われてきた。実試料と相似形の透明モデルでの計測や、実試料表面に光弾性被膜を作成して計測する等の方法があり、いずれも応力を画像として計測できる特徴を有する。
【0005】
一方、本件出願人等は、機械的エネルギーによって発光する無機材料の研究により、下記特許文献1に示すように、特にウルツ鉱山型構造の圧電体である母体材料及び発光中心からなる無機物質を原料とした材料を製造することに成功した。上記のような母体材料にこれを添加すると、得られた薄膜の発光強度を飛躍的に向上させることが可能となることを見い出し、特許出願を行っている。その後更なる研究の結果、このような力によって発光する種々の無機物質を見出すとともに、この物質を各種の分野で使用する研究も進めており、例えば下記特許文献2に開示しているように、コンクリート中に応力発光材料を混合しておき、コンクリートの破壊に至る前の異常な応力を検知することを提案している。
【特許文献1】特開平11−120801号公報(特許第3265356号)
【特許文献2】特開2003−137622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、光弾性測定法は物体の応力分布を画像として測定できる特徴を有している。例えば、一般的な平面偏光器による光弾性測定法で、検光子を通過した後に観測される光強度Iは、
I=I0sin22Ψsin2(ρ/2) ・・・(1)
I0 : 視野の光強度
Ψ: 試料の主応力方向
ρ: 相対位相差
となる。
ここで、相対位相差ρおよび縞次数Nは次のように表される。
ρ=2παt(σ−σ) ・・・(2)
N=αt(σ1−σ2) ・・・(3)
α: 光弾性感度
t: 試料厚み
光弾性感度αは次式で表される。
α=2πC/λ ・・・(4)
C: Brewsterの定数
λ: 光波長
(1)〜(4)式で示されるように、この手法では2つの情報を得る。すなわち、Ψ=0、π/2時にI=0で光軸と主応力軸が一致する黒縞(等傾線)からは主応力方向が、そしてN=0、1、2・・のような正の整数となる黒縞(等色線)からは主応力差がわかる。
しかしながら、この手法では、応力成分値σとσをそれぞれ知ることはできないという原理的な限界がある。
【0007】
したがって本発明は、物体の応力状態を測定するに際して、光弾性測定法だけでなく、応力発光物質を応用した応力測定を併用することによって、光弾性測定法の原理的な限界を超えて、より詳細な応力測定を可能とする応力解析方法及び応力解析装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、前記のように本件出願人が先に開発した、機械的エネルギーによって発光する物質を応力測定に応用することを見いだし、本件発明に至ったものである。具体的には、光弾性応力測定法と、物体に応力発光物質を塗布や混合等で適用し、荷重負荷によって発する光をカメラ等の受光装置で捉えて応力分布等を測定する手法(応力発光測定法と定義する)を併用する手法である。即ち、本発明に係る応力解析方法は、応力による物質の光複屈折を測定することにより被測定物体に作用する応力状態を測定し(光弾性測定)、応力で発光する物質の光を測定することにより前記被測定物体に作用する応力状態を測定し(応力発光測定)、前記両測定データを演算処理することにより所定の応力分布等の力学情報を得ることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の応力解析方法は、前記応力解析方法において、前記所定の力学情報は、垂直応力成分分布情報であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の応力解析方法は、前記応力解析方法において、前記所定の力学情報は、せん断応力分布情報であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の応力解析方法は、前記応力解析方法において、前期所定の力学情報は、応力方向情報であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る応力解析装置は、応力による物質の光複屈折を測定することにより被測定物体に作用する応力分布を測定する光弾性測定手段と、応力で発光する物質の光を測定することにより前記被測定物体に作用する応力分布を測定する応力発光測定手段と、前記両応力測定手段で得られたデータを演算処理することにより所定の応力分布等の力学情報を得る演算処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る他の応力解析装置は、前記応力解析装置において、前記所定の力学情報は、垂直応力成分分布情報であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る他の応力解析装置は、前記応力解析装置において、前記所定の力学情報は、せん断応力分布情報であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る他の応力解析装置は、前記応力解析装置において、前記所定の力学情報は、応力方向情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
物体の応力分布を測定するに際して、光弾性測定法の、例えば主応力成分値がわからないという原理的な限界を超えて、より詳細な応力状態を測定することができる。
【本発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、物体の応力分布を測定するに際して、光弾性応力測定と応力発光測定を併用して行うことで実現される。それぞれ得られたデータ、さらに両者のデータを用いて演算処理等を行うことで、単独では得られない応力情報を得ることが可能となる。
【実施例】
【0018】
例えば、図1(a)に示すような被試験片としてのフック1に荷重Wを加える場合の応力分布測定について説明する。本発明においては、例えば図1(a)の荷重が加えられたフック1をカメラ2で撮影するが、その際に、フック1に作用した応力・歪みによって生じる複屈折を撮影する、従来から用いられている光弾性測定用カメラ2によって撮影し(光弾性光学系は省略)、更に、フック1に応力により発光する物質を適用して、その物質が応力によって発光する状態をカメラで撮影する。ここで使用するカメラはそれぞれ別個のものを用いることができるが、1つのカメラによって撮影しても良い。
【0019】
上記のようにして撮影した画像データにより、図1(b)に示す光弾性応力測定部3で光弾性応力分布を測定し、また、応力発光測定部4で応力発光分布を測定する。これらの測定データは演算処理部5において演算を行う。その演算結果はデータ出力部6から例えば画像として画像出力部7に出力し、モニタ等に画像表示する。
【0020】
図2には、上記のようなフック1に荷重Wを加えた場合の例を模式的に示している。(a)で示す応力発光画像データと、(b)で示す光弾性画像データを演算して、それぞれの計測だけでは得ることができない、(c)に示す応力情報、例えば主応力成分値(σとσ)それぞれを知ることが可能になる。以下に本発明の基本的な理論の例を説明する。
【0021】
それぞれの測定法だけでは原理的に計測が不可能である物理量、主応力成分値(σ1、σ2)を、2つの手法を組み合わせることによって獲得可能とする。
試料(等方弾性体)の表面応力を、平面応力状態として検討する。主応力σ1、σ2に対して歪みε1、ε2
ε1=1/E ×(σ1−νσ2) ・・・(5)
ε2=1/E ×(σ2−νσ1) ・・・(6)
と表記できる。ここで、Eは縦弾性係数、νはポアソン比である。
【0022】
また、弾性エネルギuは、
u=1/2 ×(σ1ε1+σ2ε2) ・・・(7)
であるので、(3)式に、(1)、(2)式を代入すると、
u=1/2E ×(σ12+σ22)− ν/E ×σ1σ2 ・・・(8)
=1/2E ×(σ12+σ22−2νσ1σ2) ・・・(9)
=1/2E ×((σ1+σ22−2σ1σ2−2νσ1σ2) ・・・(10)
である。
【0023】
また、光弾性測定法では主応力差を測定できるので、得られる値をAとし、
σ1−σ2=A ・・・(11)
σ2=−A+σ1 ・・・(12)
を(6)式に代入すると、
u=((1−ν)/E)×σ12 −(A(1−ν)/E)×σ1+(A2/2E) ・・・(13)
となり、この式を変形すれば、
((1+ν)/E)×σ12 −(A(1+ν)/E)×σ1
+((A2/2E)−u)=0 ・・・(14)
と、σ1に関する2次方程式を得る。
【0024】
弾性エネルギuは応力発光法より得られる情報であるので、この方程式の3つの係数
(1−ν)/E = B ・・・(15)
−A(1−ν)/E = C ・・・(16)
(A2/2E)−u = D ・・・(17)
はすべて既知の値となる。
【0025】
したがって、σ1に関する2次方程式である(10)式を解けば、
σ1 = (−C±(C2−4BD)1/2)/(2B) ・・・(18)
σ2 = A−σ1 ・・・(19)
と求めることができる。(14)式内の±符号は、絶対値やキャリブレーションから一意に決定できる。なお、この結果は、
(σ1、σ2)=(−C±(C2−4BD)1/2)/(2B) ・・・(20)
とも表現できる。
【0026】
以上の過程は、光弾性測定法および応力発光法で得られる2次元画像をもとに演算でき、その結果を画像で提示できる。そして光弾性測定法でわかる主応力方向と当該演算結果とを組合わせれば、それぞれ主応力の成分そして主応力方向と完全な応力情報が明らかとなる。
【0027】
本発明は、応力分布を測定することが好ましい種々の分野に利用することができるが、例えば、3次元造形装置等で作成した製品・モデルに、混合、塗布等で応力発光物質を適用し、光弾性測定と応力発光測定を行うことで、破損、疲労破壊を防ぐ等の目的で、表面の詳細な応力解析、応力集中領域の確認等に用いることができる。
【0028】
また、例えば、切削加工等で作成した部品・モデル等に塗布等で応力発光物質を適用し、光弾性測定と応力発光測定を行うことで、表面の詳細な応力解析ができる。破損、疲労破壊を防ぐ等の目的で、応力集中領域の確認に用いることができる。
【0029】
また、有限要素法などのシミュレーションにおいては、境界条件の設定をいかに実物に近づけるかがその精度を左右する。実物やモデルの応力成分を、当該光弾性測定と光応力測定を行うことで確認し、シミュレーションの境界条件等を最適化することでその精度を向上させることができる。
【0030】
また、例えば、整形外科あるいは歯科インプラントを装着した模擬骨を対象に計測すれば、その詳細な表面応力分布を知ることができ、インプラントのより詳細な力学的適合性評価に用いることができる。
【0031】
更に、例えば、(赤外)顕微鏡等、拡大光学系を用い、光弾性測定と応力発光測定を行うことで、マイクロマシン等、従来の手法では計測できなかった微小領域の高精度応力解析に用いることができる。
【0032】
また、両手法における光学的に透明な材料を用いることにより、表面だけではなく、内部の応力も計測対象とできる。
【0033】
キャリブレーション等のために歪みゲージ法等の応力測定法を補助的に用いることができるのは述べるまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、光弾性法の原理的な限界を超えた詳細な応力分布を測定することが可能なため、応力測定が必要な広範な産業領域で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例の説明図であり、(a)は試験片としてのフックに荷重Wをかけた時の応力分布を測定する状態を示し、(b)は本発明の機能ブロック図である。
【図2】本発明において応力発光撮影画像データと、光弾性応力撮影画像データとを演算処理して所定の応力分布情報を得る状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 フック
2 カメラ
3 応力発光測定部
4 光弾性応力測定部
5 演算処理部
6 データ出力部
7 画像出力部




 

 


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