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発明の名称 スラブ光導波路分光ケミカルセンサ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−101471(P2007−101471A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−294538(P2005−294538)
出願日 平成17年10月7日(2005.10.7)
代理人
発明者 青柳 将 / 清水 敏美 / 加藤 健次 / 松田 直樹 / 河田 明義
要約 課題
水中に微量存在する特定の化学物質を高感度に検出、識別するスラブ光導波路分光測定装置を提供する

解決手段
分子認識能を有する化学物質からなる単分子膜と、この膜が坦持または固定されたセンサスラブ光導波路を使用して信号を検出し、溶質中の有機分子を検出するスラブ光導波路分光ケミカルセンサ。
特許請求の範囲
【請求項1】
分子認識能を有する化学物質からなる単分子膜と、この膜が坦持または固定されたセンサスラブ光導波路を使用して信号を検出し、溶質中の有機分子を検出するスラブ光導波路分光ケミカルセンサ。
【請求項2】
検出する信号が吸収スペクトルである請求項1に記載したスラブ光導波路分光ケミカルセンサ。
【請求項3】
単分子膜が、分子認識能を有する化学物質を気水界面で配列させることによって得られる単分子膜を、疎水処理した光導波路コアに坦持することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したスラブ光導波路分光ケミカルセンサ。
【請求項4】
単分子膜が、分子認識能を有する化学物質がシランカップリング反応により光導波路コアに結合した単分子膜からなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかひとつに記載したスラブ光導波路分光ケミカルセンサ。
【請求項5】
センサにおいて単分子膜を坦持するスラブ光導波路コアが石英からなることを特徴とする請求項1ないし請求項4記載のいずれかひとつに記載したスラブ光導波路分光ケミカルセンサ。
【請求項6】
光源からの光を前記光導波路コア内に入射させ、光導波路コア内で全反射を繰り返して、出射した光を光検出器で検出することを特徴とするスラブ光導波路分光ケミカルセンサ。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本研究は環境測定等の分野における水中の有機分子を高感度に検出、識別するケミカルセンサに関する。

【背景技術】
【0002】
近年、食品、医療、化学工学、環境測定などの分野において、機能性膜を利用した化学センサの研究開発が盛んに進められている。とくに機能性膜を固定化したスラブ光導波路を用いたオプティカルケミカルセンサは高感度に化学物質を検出することができる。たとえば、相間移動触媒にイオン対を形成させたpH感応色素(メタクレゾールパープル)を担持させた高分子膜を熱イオン交換処理したガラス製スラブ光導波路の表面に形成したCO2センサは、メタクレゾールパープルにCO2が作用すると色の変化が起きる。
このCO2センサに光源から632.8nmの光線を入射させ、センサから出射した光線の光強度を光検出器で検出することでCO2濃度を測定することができる(特許文献1参照)。
また、スラブ光導波路上に酵素グルコースオキダーゼ固定化膜を形成させたグルコースセンサは、固定化膜内でグルコースが酸化されると固定化膜の光吸収特性が変化する。このグルコースセンサに光源から488nmの光線を入射させ、出射した光線の光強度を光検出器で検出することでグルコース濃度を測定する(特許文献2参照)。
しかし、いずれの例も機能性膜中での化学反応に伴う色変化を単一波長光で検出することにより標的化学物質の吸着を間接的に検出している。したがって多種の化学物質の存在が予想される実サンプルにおける測定においては吸着した化学種が不確かであった。
一方、単一光ではなく白色光を導波路に導入するスラブ光導波路分光は、導波路表面に吸着した化学物質の吸収スペクトルを測定することができるため、吸着した化学物質の識別が可能になると考えられる。
【0003】
これまでに水中に微量存在する色素やタンパク質の石英製の光導波路への吸着が調べられてきた(特許文献3参照)。スラブ光導波路分光での表面の機能化としては、用いる光導波路の表面のシランカップリング剤処理による疎水処理が報告されているが(非特許文献1参照)、疎水処理表面には多くの有機分子が吸着し、特定の標的化学物質に対する選択性は期待できない。
また分子認識能を用いたケミカルセンサとして、シクロデキストリンを含有する薄膜や、標的化学物質を鋳型にして重合することによって標的化学物質の立体分子構造を認識するポリマー(Molecular Inprinting Polymer)などの分子認識能を有する薄膜を固定した水晶発振子上への標的化学物質の吸着による微量な質量変化を発信周波数変化として観測する水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance、以下QCMと略す)センサが知られている(特許文献4参照)。しかしこのセンサも重量変化を観測しているため。標的ではない化学物質が薄膜に吸着されてもその識別ができなかった。
【特許文献1】特開平7-72081号公報
【特許文献2】特開平9-61346号公報
【特許文献3】特開2004-163257号公報
【特許文献4】特開平8-15160号公報
【非特許文献1】N.Matsuda et al., Applied Spectroscopy, 2003, 57, 100-103
【非特許文献2】M.Aoyagi et al., J. Am. Chem. Soc., 1999, 121, 7457-7458
【非特許文献3】M.Aoyagi et al., Chem. Lett., 2004, 861-862
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はスラブ光導波路を利用して水中に微量存在する特定の化学物質を高感度に検出、識別する方法を提供することを目的とする。また水中に微量存在する特定の化学物質を高感度に検出、識別するスラブ光導波路分光測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、気水界面で形成する分子認識能を有する単分子膜を光導波路上に固定することによりに、従来にはない、標的化学物質の薄膜への吸着を検出し、また類似した物質が薄膜に吸着されても吸収スペクトルから類似成分のスペクトルを抽出し、識別可能であることを特徴とするスラブ光導波路分光ケミカルセンサを開発することに成功した。すなわち、本発明は、分子認識能を有する化学物質からなる単分子膜と、この膜が坦持または固定されたセンサスラブ光導波路を使用して信号を検出し、溶質中の有機分子を検出するスラブ光導波路分光ケミカルセンサである。
また、本発明において、検出する信号を吸収スペクトルとすることができる。
さらに本発明においては、単分子膜が、分子認識能を有する化学物質を気水界面で配列させることによって得られる単分子膜を、疎水処理した光導波路コアに坦持することができる。
また、本発明は、単分子膜が、分子認識能を有する化学物質を、シランカップリング反応により光導波路コアに結合した単分子膜とすることができる。
さらに本発明においては、センサにおいて単分子膜を坦持するスラブ光導波路コアを、石英からなる光導波路コアとすることができる。
またさらに、本発明においては、光源からの光を前記光導波路コア内に入射させ、光導波路コア内で全反射を繰り返して、出射した光を光検出器で検出することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明のスラブ光導波路分光ケミカルセンサは、水中に微量存在する特定の化学物質を高感度に検出、識別することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において用いる分子認識能を有する化学物質からなる単分子膜としては、種々の化合物を用いることが出来る。
代表的には、ピリジン環が複数個連結した有機配位子とパラジウムエチレンジアミン錯体硝酸塩は錯形成してゲスト分子を包摂することによりチューブ状構造体を作る。チューブ構造分子の長さは用いるパネル型の配位子によって制御できる。またホスト骨格はそれ自身がカチオン性であり芳香環上の電子密度の高い分子に対してより高い親和性を持ち、アニオン性分子に対してはさらに高い親和性を示す(非特許文献2参照)。
このチューブ構造分子は親水性なのでその骨格中に疎水基を導入することで両親媒性にして、この両親媒性の錯体から形成される単分子膜を気水界面で作ることができる(非特許文献3参照)この単分子膜をシランカップリング剤により疎水処理した石英製スラブ光導波路上にラングミューア・ブロジェット膜として固定した。
スラブ光導波路に入射された光が光導波路内で全反射して伝搬するとき、表面でエバネッセント波が生じる。エバネッセント波は光導波路のごく近傍のみに届くので、光導波路に吸着した化学物質の吸収を観測することができる。
【0008】
本発明では、配位子とパラジウム錯体から形成する錯体のLB膜をスラブ光導波路上に固定してセンサとすることもできる。この基板に紫外-可視領域に吸収をもつ化学物質の水溶液を滴下し、化学物質の膜への吸着、さらにその識別を分光測定により行うこともできる。
【0009】
また、光導波路コアは極端に薄いと破損しやすく取り扱いが困難になるが、厚いと測定感度が下がる。実際には0.1mm以下の厚さであることが好ましい。分子認識能を有する薄膜は分子認識能を有する化学物質を水面上に展開して得られるラングミューアブロジェット膜をシランカップリング剤にて疎水処理した石英基板に累積したものか、シランカップリング部位を導入した分子認識能を有する化学物質を用いることが好ましい。
さらに、分子認識能を有する化学物質としては本発明で用いた自己集合性錯体の他、標的化学物質との親和力を最適化するべく設計された自己集合性物質を用いてもよい。
【0010】
また本発明においては、自己集合性物質は有機配位子と金属イオンからなるものだけでなく、水素結合などの弱い分子間相互作用を利用したものでも良い。さらに、自己集合性物質だけでなく、シクロデキストリン、カリックスアレン、シクロファン、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル誘導体などの大環状構造からなる単分子膜も使用できる。光導波路コア内に光を導入する手段として液滴、カップリングプリズム、シリコン片等を使用することができる。液滴によって光を光導波路コアに導入する場合、液滴にはグレセリンのほか、液状有機物質、シリコンオイル、また有機物質もしくは無機物質の有機溶液もしくは水溶液でもよい。さらにゲルや液晶物質でもよい。光源は吸収スペクトルを測定するため、ある波長幅を持った光を使用することが好ましい。また吸収スペクトルの測定波長領域にあわせて光源を変えることができる。サンプリングには光導波路の分子認識膜上に試料液を直接滴下してもよいし、試料セルを設置して試料液をセルに導入してもよい。さらに試料液流路を作成して、流路内に試料液を流すこともできる。
【実施例1】
【0011】
次に本発明により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない
(LB膜累積基板の製造)
化学式
【化1】


で示される両親媒性有機配位子化合物2.17 mg を、4 mLのクロロホルムに溶解したものを、25°Cに保ったLB膜製造装置トラフ中のパラジウムエチレンジアミン硝酸塩の1mol/L水溶液上に55 μL展開し、15分間放置して溶媒を蒸発させた後、10mm/秒の速度で表面圧30 mN/mまで圧縮し、配位子-パラジウムエチレンジアミン錯体硝酸塩の水面単分子膜を形成させた。
次いでシランカップリング剤(オクタデシルトリクロロシラン)で疎水処理した長さ76mm幅26mm厚さ0.1mmの光導波路基板に水平付着法での分子膜を図1に示す位置(7)に1層累積した。
【0012】
(装置)
この導波路上に直径約2mmのグレセリン滴を載せ、このグレセリン滴の内部に光源から光を導く光ファイバを差し込み、光導波路コア内に光を導入した。光導波路コア内に伝搬した光は単分子膜上に載せた10 mm x 3 mm x 3 mmのシリコンゴム製試料セルの下を伝搬して光導波路端面の光出射部から出射し、受光レンズにより集光されたのち、CCD検出器に導かれた。この際に検出された信号をコンピュータで処理することにより吸収スペクトルを得る。
【0013】
(測定)
試料セルに試料が入っていない状態で検出される信号を測定におけるベースラインとする。試料セルに10mg/Lの試料水溶液を入れて、同様に光導波路コア内に光を導入し光吸収スペクトルを測定した。その光吸収スペクトルの測定結果を図のグラフに示す。
この結果、試料として化学物質4,4’-ジヒドロキシアゾベンゼンや2,3-ジヒドロキシナフタレン水溶液を用いたところ、これらの時間分解能吸収スペクトルが検出されたことから、どちらの化合物も有機配位子-パラジウムエチレンジアミン錯体硝酸塩からなるLB膜に吸着され、その吸着量が時間経過とともに増大することが分かった。さらにその吸収スペクトルにより、いずれの成分が水溶液中に存在しているか識別できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0014】
スラブ光導波路を利用した本発明センサは簡単に作成可能で、さらにコンパクトなため持ち運びにも適している。また分子認識を利用して標的化学物質の検出をするだけでなく、吸収スペクトルによる化学物質の識別が可能なため分析の精度が向上し、環境分析分野などに応用することができるなど、産業上の利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例における分子認識能を有する薄膜を固定したスラブ光導波路分光センサの説明図である。
【図2】4,4’-ジヒドロキシアゾベンゼン水溶液の光吸収スペクトルを示すグラフである。
【図3】2,3-ジヒドロキシナフタレン水溶液の光吸収スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0016】
1 光源
2 光ファイバ
3 グリセリン液滴
4 スラブ光導波路基板
5 試料セル
6 試料溶液
7 有機配位子-パラジウムエチレンジアミン錯体硝酸塩からなるLB膜
8 分析対象化学物質
9 受光レンズ





 

 


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