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発明の名称 循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−64690(P2007−64690A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−248315(P2005−248315)
出願日 平成17年8月29日(2005.8.29)
代理人
発明者 丸山 修 / 山根 隆志
要約 課題
特殊な部材を必要とせずに、動物実験を行う前に循環器系人工臓器の血液適合性をあらかじめ試験し、該人工臓器を動物実験の対象とするかどうかを効率良く的確に評価することができる循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法を提供する。

解決手段
血液バッグ、人工臓器、及びこれらを結合する循環流路を備えた閉鎖系循環装置内に、クエン酸ナトリウム及び塩化カルシウムを含有する血液を循環させて人工臓器の血液適合性を評価することにより、循環器系人工臓器の血液適合性を判定する。
特許請求の範囲
【請求項1】
血液バッグ、人工臓器、及びこれらを結合する循環流路を備えた閉鎖系循環装置内に、クエン酸ナトリウム及び塩化カルシウムを含有する血液を循環させて人工臓器の血液適合性を評価することを特徴とする、循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法。
【請求項2】
閉鎖系循環装置内を循環させる血液中のクエン酸ナトリウムの含有量が0.500〜0.970wt/vol%、塩化カルシウムの含有量が0.002〜0.100wt/vol%であることを特徴とする、請求項1に記載の循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法。
【請求項3】
閉鎖系循環装置内を循環させる血液がウシの血液であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法。
【請求項4】
閉鎖系循環装置内にクエン酸ナトリウムを含有する血液を充填した後に泡抜きをし、ついで塩化カルシウムを添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法。
【請求項5】
人工臓器内に生成する血栓の生成量を観察することにより人工臓器の血液適合性を評価することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工心臓をはじめとする循環器系人工臓器の血液適合性を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工心臓や人工血管のような、人体の血液に接触する循環器系の人工臓器は、血液に対する良好な適合性を必要とし、人工臓器を製品化する前にその血液適合性を十分に調査することが求められている。
人工臓器の血液適合性を評価するには、人工臓器を動物内に埋め込み、人体における血液の循環状況に近似した状態で評価できる動物実験が不可欠であるが、このような動物実験には飼育室や手術室等の特別な設備を必要とし、時間とコストのかかるものである。
【0003】
したがって、このような動物実験を行う前に、人工臓器の血液適合性をあらかじめ試験し、動物実験の対象とするかどうかを予め評価することが好ましい。動物実験を行う前に、人工臓器の血液適合性を評価する方法としては、拍動流を生成する駆動ポンプと、この駆動ポンプの流出口及び流入口間に配置される循環流路を備え、駆動ポンプの作動により循環流路内に流体を循環させる、流体の流れ抵抗付与手段と脈拍減衰手段を有する流体循環装置が提案されている。(特許文献1参照)
しかしながら、特許文献1に記載された装置は特殊な部材を使用するものであり、また循環流路内に循環させる血液として、どのような血液を使用すれば生体内に近い条件で試験を行うことができるかについては、開示されていない。
【特許文献1】特開2004−8586号公報
【0004】
一方、医療用途に用いられる材料の血液適合性を評価する際に、特定濃度のヘパリンを混合した血液を使用することが提案されている。(特許文献2,3参照)
しかしながら、これらの方法は閉鎖系の循環装置内で血液を循環させるものではなく、生体内での血液循環時における医療用材料の血液適合性を評価するには、不十分なものである。
【特許文献2】特開2005−69966号公報
【特許文献3】特開2005−70020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明はこれら従来技術の問題点を解消して、特殊な部材を必要とせずに、動物実験を行う前に循環器系人工臓器の血液適合性をあらかじめ試験し、該人工臓器を動物実験の対象とするかどうかを効率良く的確に評価することができる循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は鋭意検討した結果、血液バッグ、人工臓器、及びこれらを結合する循環流路を備えた閉鎖系循環装置内に、クエン酸ナトリウム及び塩化カルシウムを含有する血液を循環させて人工臓器の血液適合性を評価することにより、上記課題が解決されることを見出し本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は次の1〜5の構成を採用するものである。
1.血液バッグ、人工臓器、及びこれらを結合する循環流路を備えた閉鎖系循環装置内に、クエン酸ナトリウム及び塩化カルシウムを含有する血液を循環させて人工臓器の血液適合性を評価することを特徴とする、循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法。
2.閉鎖系循環装置内を循環させる血液中のクエン酸ナトリウムの含有量が0.500〜0.970wt/vol%、塩化カルシウムの含有量が0.002〜0.100wt/vol%であることを特徴とする、1に記載の循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法。
3.閉鎖系循環装置内を循環させる血液がウシの血液であることを特徴とする、1又は2に記載の循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法。
4.閉鎖系循環装置内にクエン酸ナトリウムを含有する血液を充填した後に泡抜きをし、ついで塩化カルシウムを添加することを特徴とする1〜3のいずれかに記載の循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法。
5.人工臓器内に生成する血栓の生成量を観察することにより人工臓器の血液適合性を評価することを特徴とする、1〜4のいずれかに記載の循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特別な装置や試薬類を必要とせずに、市販の血液や試薬を使用して、循環器系人工臓器の血液適合性を効率良く的確に評価し、当該人工臓器を動物実験の対象とするかどうかを簡単に判定することができる。したがって、不必要な動物実験を抑制することが可能となり、犠牲となる実験動物の数を大幅に減少させると共に、人工臓器の評価に必要な時間及びコストを抑制することが可能となる。また、動物飼育施設を持たない者や新鮮な動物の血液を入手することができない者でも、人工臓器の血液適合性を評価することが可能となるので、実用的価値が極めて高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の循環器系人工臓器の血液適合性の判定方法について説明する。
図1は、本発明の判定方法に使用する血液循環装置の1例を示す概念図で、人工心臓のような人工臓器自体が駆動装置を有する人工臓器の血液適合性の判定に好適に用いられる装置である。
この装置1は、人工心臓のような人工臓器自体が駆動装置を有する人工臓器2と血液バッグ3を、流路4及び5により結合し、流路5に流量抵抗器6を設けて閉鎖系循環流路を構成したものである。
【0009】
図2は、本発明の判定方法に使用する血液循環装置の他の例を示す概念図で、人工血管のように人工臓器自体が駆動装置を有さない人工臓器の血液適合性の判定に好適に用いられる装置である。
この装置11では、循環装置内で血液を循環させるポンプ7、人工臓器8及び血液バッグ3を、流路4、4’及び5により結合し、流路5に流量抵抗器6を設けて閉鎖系循環流路を構成したものである。
【0010】
これらの装置に用いられる血液バッグ3としては、例えばポリ塩化ビニル等の材料によって構成された市販の血液バッグを使用することができる。また、流路4,4’及び5を構成する材料としては、血液バッグ3と同様にポリ塩化ビニル等の材料が用いられる。流量抵抗器6としては特に制限はなく、例えば流路5の外側に配置し、流路5を外側から締め付けるナイロン樹脂製の環状体等を使用することができる。血液を循環させるポンプとしては、市販の血液ポンプを使用することができる。
【0011】
本発明では、これらの閉鎖系装置内に循環させる血液として、クエン酸ナトリウム及び塩化カルシウムを含有する血液を使用することを特徴とする。
従来技術では、人工臓器の抗血栓性等を判定する際に、抗凝固剤としてヘパリンを単独で、或いはさらにヘパリンにその中和剤としてプロタミンを組み合わせて使用していた。しかしながら、ヘパリンを添加した血液ではその凝固能が不安定となり血液が凝固し易く、プロタミンを中和剤として使用する場合には、ごく微量のプロタミンを使用するために血液の抗凝固性を制御することが極めて困難であった。また、血液の凝固を避けるために、試験装置内に血液を迅速に充填することが必要となり、回路内に泡が残存し正確な評価結果が得られない等の問題点があった。
【0012】
本発明では、閉鎖系循環装置内で使用する血液の抗凝固剤としてクエン酸ナトリウムを、またその中和剤として塩化カルシウムを使用することによって、このような問題点を解消し、市販の動物血液を使用した場合にも、人工臓器の血液適合性を効率良く、的確に評価することが可能となった。
本発明で使用する血液としては、ウシ、羊、豚等の大型の動物の血液を使用することができる。これらの血液は新鮮血である必要はなく、市販の血液を使用することができ、例えば試薬として購入可能なウシの血液が、好適に使用される。
【0013】
血液中のクエン酸ナトリウムの含有量は、0.100〜5.000wt/vol%、好ましくは0.500〜0.970wt/vol%、特に好ましくは0.500〜0.690wt/vol%、さらに好ましくは0.500〜0.590wt/vol%程度である。
また、塩化カルシウムの含有量は、0.001〜1.000wt/vol%、好ましくは0.002〜0.100wt/vol%、特に好ましくは0.030〜0.080wt/vol%、さらに好ましくは0.054〜0.080wt/vol%程度である。
【0014】
本発明で血液適合性を判定する対象となる人工臓器としては特に制限はなく、人工心臓、人工腎臓、人工肺等の独立した臓器や人工血管等の循環器系の人体構成材料が挙げられる。
これらの人工臓器の血液適合性を判定するには、血液の抗凝固性、血栓の生成量、血小板の数等、種々の指標が使用される。血液適合性の簡便な指標としては、例えば、目視により対象とする人工臓器中に生成した血栓の量を確認する方法が挙げられる。
【実施例】
【0015】
つぎに実施例により本発明をさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
(実施例1)
容量100mLのビーカーに、クエン酸ナトリウムを0.45wt/vol%含有する市販の牛血を入れ、濃度2wt/vol%の塩化カルシウム水溶液(大塚製薬製)を添加して、塩化カルシウムの牛血中の濃度が0.002〜0.100wt/vol%である混合血液を調製した。
得られた種々の塩化カルシウム濃度を有する混合血液から各2mLを採取し、ヘモクロンテストチューブ(International Technidyne Corporation 製)に入れ、血液凝固計ヘモクロン801(同社製)を使用してACT(活性化凝固時間)を測定した。各濃度の混合血液についてそれぞれ6回測定を行い、その平均値を図3に記載した。塩化カルシウムの濃度の増加に伴い、ACTは徐々に低下することが判明した。
【0016】
(実施例2)
実施例1と同様にして、塩化カルシウムの濃度を0.08wt/vol%としてACTを約200秒に調整した混合血液を得た。この混合血液に、濃度4.8wt/vol%のクエン酸ナトリウム水溶液を添加し、クエン酸ナトリウムの濃度が0.500〜0.970wt/vol%である混合血液を調製した。得られた種々のクエン酸ナトリウム濃度を有する混合血液から各2mLを採取し、実施例1と同様にしてACTを測定した。各濃度の混合血液についてそれぞれ6回測定を行い、その平均値を図4に記載した。クエン酸ナトリウムの再添加により、ACTは徐々に再上昇した。
【0017】
(比較例1)
抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを10,000units/L含有する牛血に、ヘパリンナトリウムの中和剤として硫酸プロタミンを添加して、硫酸プロタミンの牛血中の濃度が0.001〜0.050wt/vol%である混合血液を調製した。
得られた種々の硫酸プロタミン濃度を有する混合血液を使用し、実施例1と同様にしてACTを測定した。各濃度の混合血液についてそれぞれ6回測定を行い、その平均値を図5に記載した。
【0018】
(比較例2)
比較例1と同様にして、硫酸プロタミンの濃度を0.005wt/vol%としてACTを約200秒に調整した混合血液を調製した。この混合血液に、濃度1,000units/mLのヘパリンナトリウム水溶液を添加し、ヘパリンナトリウムの再添加によるACTへの影響を測定した。各濃度の混合血液についてそれぞれ6回測定を行い、その平均値を図6に記載した。
【0019】
上記実施例1,2及び比較例1,2によれば、クエン酸ナトリウムと塩化カルシウムを使用する本発明では、ACTを制御することが容易である。これに対して、ヘパリンナトリウムと硫酸プロタミンを使用する従来の方法では、硫酸プロタミンの濃度を僅かに増加させることによってACTが急激に低下し、さらにその濃度を増加させるとACTが再度上昇した(比較例1)。また、ヘパリンナトリウムを再添加した場合にも、ACTを安定に制御することは困難であることが判明した(比較例2)。
本発明によれば、中和剤として塩化カルシウムを使用することによって、抗凝固剤を含む血液のACTを制御することが可能となる。そして、人工臓器の血液適合性を評価する閉鎖系循環装置内に抗凝固剤を含む血液を充填した後に泡抜きをし、その後塩化カルシウムを添加してACTを所定値に設定し評価試験を開始するので、未経験者でも容易に評価試験を行うことができる。
【0020】
(実施例3)
図7にその概略を示す閉鎖系循環装置を使用し、人工心臓の血液適合性試験を行った。この装置21は、モータードライバーMにより駆動するポンプを備えた評価対象となる人工心臓2と血液バッグ3を流路4、5により結合したものである。流路4には流量計9が設けられ、流路5にはクエン酸ナトリウムを注入するポート12、塩化カルシウムを注入するポート13、サンプリング用ポート14、及び流量抵抗器6が配置されている。
【0021】
この装置21に配置する人工心臓2として、動圧軸受機構を有する遠心ポンプ型の人工心臓を3種類(モデルHH6,HH7及びHH8)用意し、それぞれ評価の対象とした。 はじめに、装置21内にクエン酸ナトリウムを0.45wt/vol%含有する市販の牛血を充填し、装置内の気泡を入念に取り除いた。つぎに、ポート13から濃度2wt/vol%の塩化カルシウム水溶液を注入して、血液のACTを200〜400秒に設定した。血液の流量を5L/min、ポンプの回転数を1,900rpmとし、室温で120分間試験を行った。この条件では、人工心臓の血液流出口と血液流入口には100mmHgの差圧が発生する。試験後に人工心臓内に付着する血栓の量を目視で確認することによって、人工心臓の血液適合性を評価した。
【0022】
評価対象とした3種類の人工心臓のうち、モデルHH6では試験後人工心臓の内部全面に多量の血栓が付着していた。また、モデルHH7においても、人工心臓の内部に多量の血栓の付着が認められた。これに対して、モデルHH8では、血栓の付着量は僅かであった。したがって、これら3種類の人工心臓のうち、動物実験を行う価値のあるモデルはなかったが、モデルを改良するにしたがって抗血栓性が増加していることが予想できた。
【0023】
人工臓器の血液適合性を評価するには、最終的には動物実験を行うことが必要であるが、本発明によれば動物実験を行うまでもなく不適合な人工臓器を選別することが可能となる。例えば、上記3種類の人工心臓について全て1週間の急性期動物実験を行う場合には、1つの動物実験に7日間を必要とするので、合計21日間の試験期間と3頭の動物が必要となる。これに対して、本発明の判定方法を使用すれば、1つの判定試験に必要とされる時間は2時間程度であるので、1日で3種類のモデルについて試験を行い、動物実験の対象とすべきモデルを選別することができる。そして、このモデルについて動物実験(試験期間7日間)を行えば、合計8日間で全てのモデルについての評価結果を得ることができるので、人工臓器の開発速度を大幅にスピードアップすることが可能となる。また、動物実験に必要となる動物の数を大幅に減少させることも可能となる。
本発明によれば、人工臓器の構造に基づく血栓の生成のみならず、加工や組み立て時の不具合による血栓の生成等、設計者の予測しないトラブルを発見することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の判定方法に使用する血液循環装置の1例を示す概念図である。
【図2】本発明の判定方法に使用する血液循環装置の他の例を示す概念図である。
【図3】実施例1で、塩化カルシウムの濃度とACTの関係を測定した結果を示す図である。
【図4】実施例2で、クエン酸ナトリウムの再添加量とACTの関係を測定した結果を示す図である。
【図5】比較例1で、硫酸プロタミンの濃度とACTの関係を測定した結果を示す図である。
【図6】比較例2で、ヘパリンナトリウムの再添加量とACTの関係を測定した結果を示す図である。
【図7】実施例3で使用した血液循環装置の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1,11,21 閉鎖系血液循環装置
2,8 人工臓器
3 血液バッグ
4,4’,5 流路
6 流量抵抗器
7 ポンプ
9 流量計
12,13,14 ポート
M モータードライバー




 

 


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