米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 測定; 光学 -> 三菱重工業株式会社

発明の名称 流動抵抗低減装置及び流動抵抗低減方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−26264(P2007−26264A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−209714(P2005−209714)
出願日 平成17年7月20日(2005.7.20)
代理人 【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
発明者 新屋 謙治 / 花本 幹夫 / 平井 悦郎 / 長谷川 雅人 / 尾崎 浩一 / 松本 壮平
要約 課題
流動抵抗の減少効果を安定して維持することができる流動抵抗低減装置及び流動抵抗低減方法を提供する。

解決手段
流体2の圧力に応じた圧力の空気を多孔板4の孔6に保持させ、流体2の表面張力と空気の圧力をバランスさて孔6から空気が噴出しない状態で空気層7を形成し、流体2中への空気の吸収に対して経時的に安定した空気層7を形成して流体2と空気との界面に安定したすべり層を形成し、流動抵抗を安定して低減する。
特許請求の範囲
【請求項1】
液相の流体が流れる流路の該流体との接触面に多数の小孔が設けられた多孔板を設け、前記多孔板の反流路側に気体室を形成し、前記気体室から供給される前記流体の圧力に応じた圧力の気体を前記小孔に保持させる気体圧送手段を設けたことを特徴とする流動抵抗低減装置。
【請求項2】
前記気体室が複数の気体室に区画され、前記複数の気体室毎に対応する前記流体の圧力に応じた圧力の気体を前記多孔板に保持させるように前記それぞれの気体室に気体を個別に圧送する気体圧送手段を設けたことを特徴とする流動抵抗低減装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の流動抵抗低減装置において、
前記気体圧送手段は、
流路の上流側及び下流側の流体の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段の検出情報に応じて流体の圧力を導出する圧力導出手段と、
前記気体層形成部材に保持させる気体が所定圧力となるように所望圧力に制御した気体を前記気体層形成部材に供給する気体供給手段と、
前記圧力導出手段により導出された圧力に応じて前記気体供給手段の所望圧力を制御する制御手段と
から構成されることを特徴とする流動抵抗低減装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の流動抵抗低減装置において、
前記気体圧送手段は、
前記流体の圧力に応じた一定圧力の気体を前記多孔板に保持させる
ことを特徴とする流動抵抗低減装置。
【請求項5】
液相の流体が流れる流路の該流体との接触面に多数の小孔が設けられた発泡体もしくは網状体を設け、前記発泡体もしくは網状体の反流路側に気体室を形成し、前記気体室から供給される前記流体の圧力に応じた圧力の気体を前記小孔に保持させる気体圧送手段を設けたことを特徴とする流動抵抗低減装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の流動抵抗低減装置において、
前記多孔板の前記流体との接触面に液体に対して撥水性を有する撥水剤をコーティングした
ことを特徴とする流動抵抗低減装置。
【請求項7】
請求項5に記載の流動抵抗低減装置において、
前記発泡体もしくは網状体の前記流体との接触面に対して撥水性を有する撥水剤をコーティングした
ことを特徴とする流動抵抗低減装置。
【請求項8】
液相の流体が流れる流路の前記流体との接触面に設けられた多数の小孔が設けられた多孔板の前記小孔に、前記流体の圧力に応じた圧力の気体を、前記多孔板の反流路側から供給して保持させ、前記気体と前記流体とを接触させて前記流体の流動抵抗を低減することを特徴とする流動抵抗低減方法。
【請求項9】
液相の流体が流れる流路の前記流体の圧力を計測し、計測した圧力に応じた圧力の気体を前記流路の前記流体との接触面に設けられた多数の小孔が設けられた多孔板の前記小孔に、前記多孔板の反流路側から供給して保持させ、圧力が調整された前記気体と前記流体とを接触させて前記流体の流動抵抗を低減することを特徴とする流動抵抗低減方法。
【請求項10】
液相の流体が流れる流路の前記流体の圧力を複数箇所で計測し、計測した圧力に応じた圧力の気体を計測箇所の途中で前記流路の前記流体との接触面に設けられた多数の小孔が設けられた多孔板の前記小孔に、前記多孔板の反流路側から供給して保持させ、圧力が調整された前記気体と前記流体とを接触させて前記流体の流動抵抗を低減することを特徴とする流動抵抗低減方法。
【請求項11】
請求項10に記載の流動抵抗低減方法において、
計測した圧力と、計測点間の距離と、計測点から前記流体の流出点の間の距離と、前記流体の表面張力と、前記流体の保持開口の寸法とに基づいて前記気体の圧力を求め、
前記流体の圧力と前記気体の保持圧力とが流路の長手方向の位置に拘らず平衡に保たれるようにした
ことを特徴とする流動抵抗低減方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路における液相の流体の流動抵抗を低減する流動抵抗低減装置及び流動抵抗低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、配管内を流れる流体の流動抵抗の低減や、船体表面の流体の流動抵抗の低減は、輸送エネルギーの消費量を低減させるために重要なことである。流体の流動抵抗は流体の粘性により流路表面と流体との間に発生する速度勾配に起因して発生するため、流路表面で発生する速度勾配を減少させることにより流体の流動抵抗を低減させることができる。
【0003】
流体の流動抵抗を低減させる従来の技術として、流路の表面に微細なくぼみ(凹部)を形成し、くぼみの部分に空気層を付着させて保持することが考えられている(非特許文献1参照)。流路のくぼみの内部に空気(気体)が保持されることにより固体と気体の複合面が形成され、気液境界(流路面)で流体のすべりが生じる。これにより、流体の流動抵抗が低減される。
【0004】
また、流体の流動抵抗を低減させる従来の技術として、流路の表面に撥水塗料を塗布したりテフロン(登録商標)等の撥水剤をコーティングすることが考えられている(非特許文献2)。流路の表面に撥水性をもたせることで、撥水面上で固体分子と液体分子の相互作用が小さくなり、固体壁(流路面)で流体のすべりが生じる。これにより、流体の流動抵抗が低減される。
【0005】
【非特許文献1】日本機械学会論文集Vol.66,No.644(2000−4)
【非特許文献2】日本機械学会論文集Vol.66,No.650(2000−10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のくぼみの部分に空気層を付着させる技術では、くぼみの部分に保持された空気層は流体(液相、水等)に吸収されるため、時間の経過と共に空気層は減少して流動抵抗の低減効果が低下してしまう。また、従来の流路の表面に撥水性をもたせる技術では、表面の汚れなどにより撥水性能が低下してこれに伴い流動抵抗の低減効果が低下してしまう。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、流動抵抗の減少効果を安定して維持することができる流動抵抗低減装置及び流動抵抗低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の流動抵抗低減装置は、
液相の流体が流れる流路の該流体との接触面に多数の小孔が設けられた多孔板を設け、前記多孔板の反流路側に気体室を形成し、前記気体室から供給される前記流体の圧力に応じた圧力の気体を前記小孔に保持させる気体圧送手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するための請求項2に係る本発明の流動抵抗低減装置は、
前記気体室が複数の気体室に区画され、前記複数の気体室毎に対応する前記流体の圧力に応じた圧力の気体を前記多孔板に保持させるように前記それぞれの気体室に気体を個別に圧送する気体圧送手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
そして、請求項3に係る本発明は、
請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の流動抵抗低減装置において、
前記気体圧送手段は、
流路の上流側及び下流側の流体の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段の検出情報に応じて流体の圧力を導出する圧力導出手段と、
前記気体層形成部材に保持させる気体が所定圧力となるように所望圧力に制御した気体を前記気体層形成部材に供給する気体供給手段と、
前記圧力導出手段により導出された圧力に応じて前記気体供給手段の所望圧力を制御する制御手段と
から構成されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る本発明は、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の流動抵抗低減装置において、
前記気体圧送手段は、
前記流体の圧力に応じた一定圧力の気体を前記多孔板に保持させる
ことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するための請求項5に係る本発明の流動抵抗低減装置は、
液相の流体が流れる流路の該流体との接触面に多数の小孔が設けられた発泡体もしくは網状体を設け、前記発泡体もしくは網状体の反流路側に気体室を形成し、前記気体室から供給される前記流体の圧力に応じた圧力の気体を前記小孔に保持させる気体圧送手段を設けたことを特徴とする。
【0013】
そして、請求項6に係る本発明は、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の流動抵抗低減装置において、
前記多孔板の前記流体との接触面に液体に対して撥水性を有する撥水剤をコーティングした
ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る本発明は、
請求項5に記載の流動抵抗低減装置において、
前記発泡体もしくは網状体の前記流体との接触面に対して撥水性を有する撥水剤をコーティングした
ことを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するための請求項8に係る本発明の流動抵抗低減方法は、
液相の流体が流れる流路の前記流体との接触面に設けられた多数の小孔が設けられた多孔板の前記小孔に、前記流体の圧力に応じた圧力の気体を、前記多孔板の反流路側から供給して保持させ、前記気体と前記流体とを接触させて前記流体の流動抵抗を低減することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するための請求項9に係る本発明の流動抵抗低減方法は、
液相の流体が流れる流路の前記流体の圧力を計測し、計測した圧力に応じた圧力の気体を前記流路の前記流体との接触面に設けられた多数の小孔が設けられた多孔板の前記小孔に、前記多孔板の反流路側から供給して保持させ、圧力が調整された前記気体と前記流体とを接触させて前記流体の流動抵抗を低減することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するための請求項10に係る本発明の流動抵抗低減方法は、
液相の流体が流れる流路の前記流体の圧力を複数箇所で計測し、計測した圧力に応じた圧力の気体を計測箇所の途中で前記流路の前記流体との接触面に設けられた多数の小孔が設けられた多孔板の前記小孔に、前記多孔板の反流路側から供給して保持させ、圧力が調整された前記気体と前記流体とを接触させて前記流体の流動抵抗を低減することを特徴とする。
【0018】
そして、請求項11に係る本発明は、
請求項10に記載の流動抵抗低減方法において、
計測した圧力と、計測点間の距離と、計測点から前記流体の流出点の間の距離と、前記流体の表面張力と、前記流体の保持開口の寸法とに基づいて前記気体の圧力を求め、
前記流体の圧力と前記気体の保持圧力とが流路の長手方向の位置に拘らず平衡に保たれるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の本発明では、液相の流体が流れる流路の該流体との接触面に多数の小孔が設けられた多孔板を設け、前記多孔板の反流路側に気体室を形成し、前記気体室から供給される前記流体の圧力に応じた圧力の気体を前記気体層形成部材に保持させる気体圧送手段を設けたので、圧力の変動に対して安定した気体層を形成することができ、流体中への気体の吸収に対して経時的に安定した気体層を形成することができる。この結果、流体と気体との界面に安定したすべり層が形成され、流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0020】
請求項2の本発明では、前記気体室が複数の気体室に区画され、前記複数の気体室毎に対応する前記流体の圧力に応じた圧力の気体を前記多孔板に保持させるように前記それぞれの気体室に気体を個別に圧送する気体圧送手段を設けたので、流体の流路に沿った圧力の変動に対して安定した気体層を均一に形成することができ、流体中への気体の吸収に対して経時的に安定した均一の気体層を形成することができる。この結果、流体と気体との界面に安定したすべり層が形成され、流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0021】
請求項3の本発明では、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の流動抵抗低減装置において、前記気体圧送手段は、流路の上流側及び下流側の流体の圧力を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段の検出情報に応じて流体の圧力を導出する圧力導出手段と、前記気体層形成部材に保持させる気体が所定圧力となるように所望圧力に制御した気体を前記気体層形成部材に供給する気体供給手段と、前記圧力導出手段により導出された圧力に応じて前記気体供給手段の所望圧力を制御する制御手段とから構成されるので、圧力検出手段で圧力を検出することで、流体の流路に沿った圧力の変動に対して安定した気体層を均一に形成することができ、流体中への気体の吸収に対して経時的に安定した均一の気体層を形成することができる。この結果、流体と気体との界面に安定したすべり層が形成され、流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0022】
請求項4の本発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の流動抵抗低減装置において、前記気体圧送手段は、前記流体の圧力に応じた一定圧力の気体を前記多孔板に保持させるので、簡単な制御で流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0023】
請求項5の本発明では、液相の流体が流れる流路の該流体との接触面に多数の小孔が設けられた発泡体もしくは網状体を設け、前記発泡体もしくは網状体の反流路側に気体室を形成し、前記気体室から供給される前記流体の圧力に応じた圧力の気体を前記小孔に保持させる気体圧送手段を設けたので、圧力の変動に対して安定した気体層を均一に形成することができ、流体中への気体の吸収に対して経時的に安定した均一の気体層を形成することができる。この結果、流体と気体との界面に安定したすべり層が形成され、流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0024】
請求項6の本発明では、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の流動抵抗低減装置において、前記多孔板の前記流体との接触面に液体に対して撥水性を有する撥水剤をコーティングしたので、更に安定した気体層を形成することができる。
【0025】
請求項7の本発明では、請求項5に記載の流動低減装置において、前記発泡体もしくは網状体の前記流体との接触面に対して撥水性を有する撥水剤をコーティングしたので、更に安定した気体層を形成することができる。
【0026】
請求項8の本発明では、液相の流体が流れる流路の前記流体との接触面に設けられた多数の小孔が設けられた多孔板の前記小孔に、前記流体の圧力に応じた圧力の気体を、前記多孔板の反流路側から供給して保持させ、前記気体と前記流体とを接触させて前記流体の流動抵抗を低減するようにしたので、圧力の変動に対して安定した気体層を形成することができ、流体中への気体の吸収に対して経時的に安定した気体層を形成することができる。この結果、流体と気体との界面に安定したすべり層が形成され、流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0027】
請求項9の本発明では、液相の流体が流れる流路の前記流体の圧力を計測し、計測した圧力に応じた圧力の気体を前記流路の前記流体との接触面に設けられた多数の小孔が設けられた多孔板の前記小孔に、前記多孔板の反流路側から供給して保持させ、圧力が調整された前記気体と前記流体とを接触させて前記流体の流動抵抗を低減するようにしたので、圧力の変動に対して安定した気体層を均一に形成することができ、流体中への気体の吸収に対して経時的に安定した均一の気体層を形成することができる。この結果、流体と気体との界面に安定したすべり層が形成され、流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0028】
請求項10の本発明では、液相の流体が流れる流路の前記流体の圧力を複数箇所で計測し、計測した圧力に応じた圧力の気体を計測箇所の途中で前記流路の前記流体との接触面に設けられた多数の小孔が設けられた多孔板の前記小孔に、前記多孔板の反流路側から供給して保持させ、圧力が調整された前記気体と前記流体とを接触させて前記流体の流動抵抗を低減するようにしたので、流体の流路に沿った圧力の変動に対して安定した気体層を均一に形成することができ、流体中への気体の吸収に対して経時的に安定した均一の気体層を形成することができる。この結果、流体と気体との界面に安定したすべり層が形成され、流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0029】
請求項11の本発明では、請求項10に記載の流動抵抗低減方法において、計測した圧力と、計測点間の距離と、計測点から前記流体の流出点の間の距離と、前記流体の表面張力と、前記流体の保持開口の寸法とに基づいて前記気体の圧力を求め、前記流体の圧力と前記気体の保持圧力とが流路の長手方向の位置に拘らず平衡に保たれるようにした簡単な制御で流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1には本発明の一実施形態例に係る流動抵抗低減方法を矩形管に適用して実施する流動抵抗低減装置の概略構成、図2には流路の要部断面、図3には図2中のIII矢視状況、図4には気体層形成部材の他の例を説明する断面を示してある。
【0031】
図1、図2に示すように、矩形断面の配管(矩形配管)1には水等の流体2が、例えば、図示しない給水ポンプ等の圧送手段により送られる。矩形配管1の底面には矩形配管の長手方向(流路の長手方向)に仕切壁5で分割された(図には3箇所を示してある)気体室としての空気室3が形成され、空気室3の上面(流体2との接触面である流路の壁面)は気体層形成部材としての多孔板4が設けられている。つまり、多孔板4の反流路側に流路の長手方向に分割された複数の空気室3が形成されている。
【0032】
尚、図示例では、空気室3を底面に設けたが、側壁部及び天井部に空気室を設け(矩形配管1の全周)、流路の壁面となる部位を多孔板4で構成することも可能である。
【0033】
図3に示すように、多孔板4には多数の円形の孔6が、例えば、エッチングにより形成されている。孔6の開口部と流体2との界面に発生する表面張力による空気層の保持力は孔6の径に反比例するため、孔6の径が大きくなるほど空気層の形成が困難になる。
【0034】
このため、孔6の径は、10μ乃至5mmに設定されている。孔6の径が10μを下回ると加工が困難になり、孔6の径が5mmを超えると気体の気泡の保持が困難になる。また、孔6の開口率は、例えば、80%を上限として設定されている。気体層形成部材として多孔板4を設けたことにより、開口率を正確に設定することができる。
【0035】
気体層形成部材としては、図4に示すように、内部に気泡が形成されて表面に気体がしみ出る気体流路11を有する発泡体12で構成することも可能である。発泡体12としては、発泡金属、発泡セラミック、発泡プラスチック等が適用可能である。また、気体層形成部材としては、網状体を適用することも可能である。気体層形成部材として、発泡体12もしくは網状体を適用することで、簡単な構造で気体層形成部材を構成することができる。
【0036】
空気室3には流体2の圧力に応じて空気が供給される。これにより、流体2の圧力に応じた圧力の空気が多孔板4の孔6に保持し、流体2の表面張力と空気の圧力をバランスさせることで、孔6から空気が噴出しない状態で気体層である空気層7が形成される。流体2の表面張力と空気の圧力をバランスさせるため、それぞれの空気室3に空気を個別に圧送する気体圧送手段8が設けられている。
【0037】
空気室3に流体2の圧力に応じた空気を供給することにより、空気層7を形成することができ、流体2中への空気の吸収に対して経時的に安定した空気層7を形成することができる。このため、流体2と空気との界面に安定したすべり層が形成され、流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0038】
多孔板4の表面及び孔6の内周(流体との接触面)には液体に対して撥水性を有する撥水剤がコーティングされている。撥水剤をコーティングしたことにより、孔6の内壁と流体2との濡れ性を低下させることができ、流体2の孔6内への浸入を抑制して凸状の空気層7を形成することができる。このため、更に安定した気体層を形成することが可能になる。
【0039】
気体圧送手段8を説明する。図1、図2に示すように、各空気室3にはそれぞれ気体供給手段21が接続され、多孔板4に保持する空気が所定圧力となるように、所望圧力に制御された空気が気体供給手段21から空気室3(多孔板4)に供給される。
【0040】
気体供給手段21は、コンプレッサー22、リサーブタンク23及び圧力制御弁24で構成され、コンプレッサー22で圧縮された空気がリサーブタンク23に溜められ、圧力制御弁24の開閉制御によりリザーブタンク23に溜められた空気が所望圧力で空気室3に供給される。
【0041】
一方、空気室3に対応する流路の上流側の矩形配管1には圧力導出手段としての上流圧力計26が設けられ、空気室3に対応する流路の下流側の矩形配管1には圧力導出手段としての下流圧力計27が設けられている。上流圧力計26及び下流圧力計27の検出情報は圧力導出手段としての制御装置28に入力され、上流圧力計26で検出された流体圧力値P1と下流圧力計27で検出された相対的に低圧の流体圧力値P2に応じて空気室3に対応した位置の流体圧力が演算(導出)される。
【0042】
尚、空気室3に対応した位置の流体圧力の導出は、演算に限らず、予め記憶されたマップ値から求める等演算以外の手法を用いることも可能である。
【0043】
制御装置28で求められた流体圧力の情報に基づいて、制御装置28からは圧力制御弁24の開閉指令が出力される。空気室3に対応した位置の流体圧力の情報に基づいて圧力制御弁24が開閉制御されることにより、多孔板4に保持する空気が空気室3に対応した位置の流体圧力と釣り合うように、リザーブタンク23に溜められた空気が所望圧力で空気室3に供給される。
【0044】
リザーブタンク23から空気室3に送られる空気圧値PCは供給圧力計29で検出され、供給圧力計29で検出された空気圧値PCは制御装置28に送られる。これにより、空気圧値PCが所望圧力となるように制御装置28から圧力制御弁24に開閉指令が出力され、圧力制御弁24の開閉がフィードバック制御される。
【0045】
所望の圧力である空気圧値PCの演算を説明する。空気圧値PCは、流体圧力値P1,P2に基づいて次式で演算される。
PC={(l-Δl)P1-ΔlP2}(K1/l)+(4γ/d)K2
式中の符号で、
lは、上流圧力計26と下流圧力計27の距離(圧力測定点間の距離)、
Δlは、空気供給箇所の上流圧力計26(上流測定点)からの距離、
γは、流体2の表面張力、
dは、孔6の径、
K1,K2は、係数である。
【0046】
これにより、空気室3に対応する流体2の圧力に応じた圧力の空気が多孔板4の孔6に保持し、流体の表面張力と空気の圧力をバランスさせることで、孔6から空気が噴出しない状態で空気層7が形成される。即ち、流体2の表面張力と空気の圧力がバランスされるように空気室3に空気が圧送される。
【0047】
流体2中へは空気が微量づつ吸収されていくが、空気室3の圧力が一定に保たれているため、流体2側への吸収で失われた空気が空気室3に供給され、安定した空気層7が孔6の表面に保持されることになる。
【0048】
図1に示すように、気体供給手段21はそれぞれの空気室3毎に設けられ、図示は省略したが、上流圧力計26、下流圧力計27及び制御装置28も各空気室3に対応して設けられている。
【0049】
上述した流動抵抗低減装置では、上流圧力計26及び下流圧力計27で流体2の圧力を検出することで、流体2の流路に沿った圧力の変動に対して安定した空気層7を均一に形成することができ、流体2中への空気の吸収に対して経時的に安定した均一の空気層7を形成することができる。この結果、流体2と空気層7との界面に安定したすべり層が形成され、流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0050】
従って、流体2の圧力と空気の保持圧力とが流路の長手方向の位置に拘らず平衡に保たれるようにした簡単な制御で流動抵抗を安定して低減することが可能になり、流動抵抗の減少効果を安定して維持することができる流動抵抗低減装置及び流動抵抗低減方法となる。これにより、流体の圧送ポンプ等の圧送エネルギーの消費量を低減させることができ、小型の機器を適用しても所定の流量を確保することが可能になる。
【0051】
図5に基づいて本発明の他の実施形態例を説明する。
【0052】
図5には発明の一実施形態例に係る流動抵抗低減方法を円形管に適用して実施する流動抵抗低減装置の概略構成を示してある。尚、矩形配管に適用した図1の構成と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
【0053】
図5に示すように、円形断面の配管(円形配管)31には水等の流体2が、例えば、図示しない給水ポンプ等の圧送手段により送られる。円形配管31の内周には円形配管31の長手方向(流路の長手方向)に仕切壁34で分割された(図には3箇所を示してある)気体室としての空気室32が形成され、空気室32の内周面(流体2との接触面である流路の壁面)は気体層形成部材である多孔板としての筒状の多孔壁33が設けられている。つまり、多孔壁33の反流路側に流路の長手方向に分割された複数の空気室32が形成されている。
【0054】
多孔壁33には多数の円形の孔35が、例えば、エッチングにより形成されている。孔35の径は、図1乃至図3で示した実施形態例と同様に、10μ乃至5mmに設定されている。孔35の径が10μを下回ると加工が困難になり、孔35の径が5mmを超えると気体の気泡の保持が困難になる。また、孔35の開口率は、例えば、80%を上限として設定されている。気体層形成部材として多孔壁33を設けたことにより、開口率を正確に設定することができる。
【0055】
尚、図示例では、空気室32を全周に設け、円形配管31に流体2が充満して流れる場合を想定したが、円形配管31の下側半分の部分に空気室32を設け、流体2が流通する部分の流路の壁面となる部位を多孔壁33で構成することも可能である。
【0056】
流体2の表面張力と空気の圧力をバランスさせるため、それぞれの空気室32に空気を個別に圧送する、図1乃至図3で示した実施形態例と同一の気体圧送手段8が設けられている。空気室32には流体2の圧力に応じて空気が供給される。これにより、流体2の圧力に応じた圧力の空気が多孔壁33の孔35に保持され、流体2の表面張力と空気の圧力をバランスさせることで、孔35から空気が噴出しない状態で気体層である空気層が形成される。
【0057】
尚、気体圧送手段8の構成、作用は図1乃至図3で示してあるので、説明は省略してある。
【0058】
空気室32に流体2の圧力に応じた空気を供給することにより、空気層を形成することができ、流体2中への空気の吸収に対して経時的に安定した空気層を形成することができる。このため、流体2と空気との界面に安定したすべり層が形成され、流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0059】
図1乃至図3で示した実施形態例と同様に、多孔壁33の表面及び孔35の内周(流体との接触面)に、液体に対して撥水性を有する撥水剤をコーティングすることも可能である。
【0060】
上述した流動抵抗低減装置では、図1乃至図3で示した実施形態例と同様に、流体2の流路に沿った圧力の変動に対して安定した空気層を均一に形成することができ、流体2中への空気の吸収に対して経時的に安定した均一の空気層7を形成することができる。この結果、流体2と空気層との界面に安定したすべり層が形成され、流動抵抗を安定して低減することが可能になる。
【0061】
従って、流体2の圧力と空気の保持とが流路の長手方向の位置に拘らず平衡に保たれるようにした簡単な制御で流動抵抗を安定して低減することが可能になり、流動抵抗の減少効果を安定して維持することができる流動抵抗低減装置及び流動抵抗低減方法となる。これにより、流体の圧送ポンプ等の圧送エネルギーの消費量を低減させることができ、小型の機器を適用しても所定の流量を確保することが可能になる。
【0062】
尚、上述した各実施形態例では、矩形配管1、円形配管31の内壁に適用した例を挙げて説明したが、例えば、船体の外壁面に本願発明を適用することも可能である。この場合、消費量が低減される輸送エネルギーは、船舶自体の航行駆動エネルギーであり、駆動手段の小型化や、航行速度の高速化(航行効率の向上)を図ることが可能になる。
【0063】
また、上述した各実施形態例では、流体2の圧力を検出して流体2の圧力に応じた空気を供給するようにしたが、流体2の圧力が一定の配管等の場合には、空気の供給を予め決められた一定の圧力となるように設定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、流動抵抗の減少効果を安定して維持することができる流動抵抗低減装置及び流動抵抗低減方法における産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態例に係る流動抵抗低減方法を矩形管に適用して実施する流動抵抗低減装置の概略構成図である。
【図2】流路の要部断面図である。
【図3】図2中のIII矢視図である。
【図4】気体層形成部材の他の例を説明する断面図である。
【図5】発明の一実施形態例に係る流動抵抗低減方法を円形管に適用して実施する流動抵抗低減装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1 配管(矩形配管)
2 流体
3,32 空気室
4 多孔板
5,34 仕切壁
6,35 孔
7 空気層
8 空気圧送手段
11 気体流路
12 発泡体
21 気体供給手段
22 コンプレッサー
23 リザーブタンク
24 圧力制御弁
26 上流圧力計
27 下流圧力計
28 制御装置
29 供給圧力計
31 配管(円形配管)
33 多孔壁




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013