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発明の名称 光学レンズ,および,光学レンズの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−101649(P2007−101649A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−288360(P2005−288360)
出願日 平成17年9月30日(2005.9.30)
代理人 【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
発明者 小谷 恭子
要約 課題
薄いシリコンからなるレンズ部分を分離した後,単独で保持することの可能な光学レンズおよびその製造方法を提供する。

解決手段
SOI層112,SiO層114,およびSi層116からなる基板のSOI層112の表面にレンズ面118を形成するレンズ面形成工程と,レンズ面118およびその縁部120を含むレンズ領域にのみSOI層112が残存するように,SiO層114が露出するまで,レンズ領域以外のSOI層112を除去するレンズ領域形成工程と,レンズ領域を保持するレンズ保持部122を形成するように,基板の裏面からSiO層114が露出するまで,レンズ保持部122以外のSi層116を除去するレンズ保持部形成工程と,を含むことを特徴とする。薄いレンズを保持するために,レンズ保持部122を形成することで,モジュール等に容易に実装が可能である。
特許請求の範囲
【請求項1】
第1層,第2層,および第3層からなる基板の第1層の表面にレンズ面を形成するレンズ面形成工程と,
前記レンズ面およびその縁部を含むレンズ領域を保持するレンズ保持部を形成するように,前記基板の裏面から前記第2層が露出するまで,前記レンズ保持部以外の前記第3層を除去するレンズ保持部形成工程と,
を含むことを特徴とする,光学レンズの製造方法。
【請求項2】
第1層,第2層,および第3層からなる基板の第1層の表面にレンズ面を形成するレンズ面形成工程と,
前記レンズ面およびその縁部を含むレンズ領域にのみ前記第1層が残存するように,前記第2層が露出するまで,前記レンズ領域以外の前記第1層を除去するレンズ領域形成工程と,
前記レンズ領域を保持するレンズ保持部を形成するように,前記基板の裏面から前記第2層が露出するまで,前記レンズ保持部以外の前記第3層を除去するレンズ保持部形成工程と,
を含むことを特徴とする,光学レンズの製造方法。
【請求項3】
前記第2層は,エッチング耐性の高い耐エッチング層であり,
前記レンズ領域形成工程は,前記第2層をエッチストッパとするエッチング処理工程を含むことを特徴とする,請求項2に記載の光学レンズの製造方法。
【請求項4】
前記レンズ面の厚みは,5μm以下であることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の光学レンズの製造方法。
【請求項5】
前記第2層は,エッチング耐性の高い耐エッチング層であり,
前記レンズ保持部形成工程は,前記第2層をエッチストッパとするエッチング処理工程を含むことを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の光学レンズの製造方法。
【請求項6】
前記レンズ保持部形成工程の後,さらに,前記基板の裏面から前記第2層を除去する工程を含むことを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の光学レンズの製造方法。
【請求項7】
前記レンズ面形成工程において,前記基板上に複数のレンズ面を形成し,
前記レンズ保持部形成工程の後,さらに,前記各レンズ領域により規定される各光学レンズを前記基板から分離する分離工程を含むことを特徴とする,請求項1〜6のいずれかに記載の光学レンズの製造方法。
【請求項8】
前記基板はSOI基板であることを特徴とする,請求項1〜7のいずれかに記載の光学レンズの製造方法。
【請求項9】
基板の表面にレンズ面を形成するレンズ面形成工程と,
前記レンズ面およびその縁部を含むレンズ領域にのみ所定厚みが残存するように,前記レンズ領域以外の前記基板の表面を所定厚み分除去するレンズ領域形成工程と,
前記レンズ領域を保持するレンズ保持部を形成するように,前記基板の裏面から前記レンズ保持部以外を所定厚み分除去するレンズ保持部形成工程と,
を含むことを特徴とする,光学レンズの製造方法。
【請求項10】
前記レンズ面の厚みは,5μm以下であることを特徴とする,請求項9に記載の光学レンズの製造方法。
【請求項11】
前記レンズ面形成工程において,前記基板上に複数のレンズ面を形成し,
前記レンズ保持部形成工程の後,さらに,前記各レンズ領域により規定される各光学レンズを前記基板から分離する分離工程を含むことを特徴とする,請求項9または10に記載の光学レンズの製造方法。
【請求項12】
前記基板はSOI基板であることを特徴とする,請求項9〜11のいずれかに記載の光学レンズの製造方法。
【請求項13】
基板の表面に形成されたレンズ面と,
前記レンズ面およびその縁部を含むレンズ領域を,前記基板の裏面から保持するレンズ保持部と,
を備えたことを特徴とする,光学レンズ。
【請求項14】
前記レンズ面の厚みは,5μm以下であることを特徴とする,請求項13に記載の光学レンズ。
【請求項15】
前記基板の裏面の前記レンズ保持部以外の領域に反射防止膜が形成されていることを特徴とする,請求項13または14に記載の光学レンズ。
【請求項16】
前記基板はSOI基板であることを特徴とする,請求項13〜15のいずれかに記載の光学レンズ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は,光学デバイスにおいて適用される光学レンズおよび光学レンズの製造方法にかかり,特に,波長0.70μmから11μmの範囲の赤外光領域において使用可能な光学レンズおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレンズ素子を形成する方法としては,特開2003−139917号公報に開示の方法がある。同文献に開示された方法では,レンズ素子を形成する光学基板として,結晶基板を用いることができる。以下に,レンズ素子の製造方法について説明する。図12は従来の光学レンズの製造工程を説明するための模式的な断面図である。ここでは,光学基板として,例えばSOI(Silicon(Si) on Insulator)基板を用いるものとする。
【0003】
図12(a)に示すように,SOI基板は,上層にSOI層12,下層にSi層16,その中間層としてSiO層14を挟んだ構造を有する。ここで,SOI層12はSiから成り立っている。SOI基板には,例えば直径が4インチのサイズの基板を使用できる。各層の厚みは例えば,SOI層12が100μm,SiO層14が1〜2μm,Si層16が500μmとすることができる。
【0004】
まず,図12(b)に示すように,SOI層12の表面に複数のレンズ面18を所定の間隔をおいて形成する。レンズ面18の形状としては,回折型レンズ,屈折型レンズ等があり,その形成方法もエッチング,研磨等がある。その一例として,例えば半導体技術で用いられるフォトリソ・エッチング技術を用いて,SOI層12の表面にエッチング処理を施すことにより,所望の光学特性を示す多数のレンズ面18を一括的かつ高精度に形成することができる。
【0005】
次に,図12(c)に示すように,各レンズ面18の周囲に縁部と取扱支持部20を形成する。この工程では,各レンズ面18と縁部,取扱支持部20に対応する形状のパターンをエッチングマスクで部分的に覆い,マスクから露出した領域のSiO層14上面が露出するまでエッチングすることにより,レンズ素子24が基板上に形成される。このように形成された複数のレンズ素子24を保持基板で支持した状態で,例えば研磨等の処理を施す。そして,図12(d)に示すように,各レンズ領域により規定されるレンズ素子24のそれぞれを分離し,かつ,保持基板から解放する。
【0006】
【特許文献1】特開2003−139917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,上記従来の製造方法で製造されるシリコンを基材とするレンズは,レンズ厚が100〜600μm程度であり,近赤外領域の光(波長:750〜1100nm)や赤外領域中の波長9μm周辺の光はシリコンに吸収され,透過させることはできなかった。このような波長の光をレンズに透過させるためには,シリコンレンズ厚を薄くする必要があるが,上記従来の製造方法では,シリコンレンズ厚を薄くするとレンズを保持することが不可能になるという問題点があった。
【0008】
本発明は,従来の光学レンズおよびその製造方法が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,薄いシリコンでレンズを形成することにより近赤外領域の光を透過することが可能な,新規かつ改良された光学レンズおよび光学レンズの製造方法を提供することである。さらにこれに関連して,薄いシリコンでは,レンズ部分を分離した後,単独では保持することが不可能であるため,これを保持することの可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため,本発明の第1の観点によれば,光学レンズの製造方法が提供される。本発明の光学レンズの製造方法は,第1層,第2層,および第3層からなる基板の第1層の表面にレンズ面を形成するレンズ面形成工程と,前記レンズ面およびその縁部を含むレンズ領域を保持するレンズ保持部を形成するように,前記基板の裏面から前記第2層が露出するまで,前記レンズ保持部以外の前記第3層を除去するレンズ保持部形成工程と,を含むことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
また,上記課題を解決するため,本発明の第2の観点によれば,光学レンズの製造方法が提供される。本発明の光学レンズの製造方法は,第1層,第2層,および第3層からなる基板の第1層の表面にレンズ面を形成するレンズ面形成工程と;前記レンズ面およびその縁部を含むレンズ領域にのみ前記第1層が残存するように,前記第2層が露出するまで,前記レンズ領域以外の前記第1層を除去するレンズ領域形成工程と;前記レンズ領域を保持するレンズ保持部を形成するように,前記基板の裏面から前記第2層が露出するまで,前記レンズ保持部以外の前記第3層を除去するレンズ保持部形成工程と;を含むことを特徴とする(請求項2)。
【0011】
かかる製造方法によれば,レンズ領域を保持するレンズ保持部(支持壁)を形成することができる。このため,薄いシリコンでは,レンズ部分を分離した後,単独では保持することが不可能であったが,本発明によれば,レンズ外周部に厚みを残した形状とすることで,レンズ部分を保持することが可能である。
【0012】
前記第2層は,エッチング耐性の高い耐エッチング層であり,前記レンズ領域形成工程は,前記第2層をエッチストッパとするエッチング処理工程を含むことが可能である(請求項3)。第2層をエッチストッパとしてエッチング処理することにより,容易にレンズ領域形成工程を行うことが可能である。
【0013】
レンズ保持部を形成することにより,レンズ面の厚みを薄くした場合であっても,レンズ部分を保持することが可能である。レンズ面の厚みは,例えば,5μm以下(例えば,1〜5μm)とすることが可能である(請求項4)。レンズ面を薄く形成することにより,近赤外領域の光を透過することができる。
【0014】
また同様に,前記第2層は,エッチング耐性の高い耐エッチング層であり,前記レンズ保持部形成工程は,前記第2層をエッチストッパとするエッチング処理工程を含むことが可能である(請求項5)。第2層をエッチストッパとしてエッチング処理することにより,容易にレンズ保持部形成工程を行うことが可能である。
【0015】
前記レンズ保持部形成工程の後,さらに,前記基板の裏面から前記第2層を除去する工程を含むことが可能である(請求項6)。第2層が不要な場合には,除去することが可能である。また逆に,この第2層を残存させることも可能である。予め第2層の厚みを調整しておくことにより,残存させた第2層を反射防止膜として利用することが可能である。この点については,さらに後述する。
【0016】
前記レンズ面形成工程において,前記基板上に複数のレンズ面を形成し,前記レンズ保持部形成工程の後,さらに,前記各レンズ領域により規定される各光学レンズを前記基板から分離する分離工程を含むことが可能である(請求項7)。一の基板から複数のレンズを製造することが可能である。なお,分離工程で分離される光学レンズは,一つのレンズ素子に一つのレンズ面を含むようにしてもよく,一つのレンズ素子に複数のレンズ面を含むレンズアレイとしてもよい。
【0017】
前記基板は,例えばSOI(silicon on insulator)基板とすることが可能である(請求項8)。SOI基板は,Si基板と表面Si層の間にSiOを挿入した構造の基板である。従って,本発明のように第1層,第2層,および第3層からなる構造に好適である。
【0018】
上記課題を解決するため,本発明の第3の観点によれば,光学レンズの他の製造方法が提供される。本発明の光学レンズの製造方法は,基板の表面にレンズ面を形成するレンズ面形成工程と,前記レンズ面およびその縁部を含むレンズ領域にのみ所定厚みが残存するように,前記レンズ領域以外の前記基板の表面を所定厚み分除去するレンズ領域形成工程と,前記レンズ領域を保持するレンズ保持部を形成するように,前記基板の裏面から前記レンズ保持部以外を所定厚み分除去するレンズ保持部形成工程と,を含むことを特徴とする(請求項9)。
【0019】
かかる製造方法によれば,レンズ領域を保持するレンズ保持部(支持壁)を形成することができる。このため,薄いシリコンでは,レンズ部分を分離した後,単独では保持することが不可能であったが,本発明によれば,レンズ外周部に厚みを残した形状とすることで,レンズ部分を保持することが可能である。
【0020】
レンズ保持部を形成することにより,レンズ面の厚みを薄くした場合であっても,レンズ部分を保持することが可能である。レンズ面の厚みは,例えば,5μm以下(例えば,1〜5μm)とすることが可能である(請求項10)。レンズ面を薄く形成することにより,近赤外領域の光を透過することができる。
【0021】
前記レンズ面形成工程において,前記基板上に複数のレンズ面を形成し,前記レンズ保持部形成工程の後,さらに,前記各レンズ領域により規定される各光学レンズを前記基板から分離する分離工程を含むことが可能である(請求項11)。一の基板から複数のレンズを製造することが可能である。なお,分離工程で分離される光学レンズは,一つのレンズ素子に一つのレンズ面を含むようにしてもよく,一つのレンズ素子に複数のレンズ面を含むレンズアレイとしてもよい。
【0022】
前記基板は,例えばSOI(silicon on insulator)基板とすることが可能である(請求項12)。
【0023】
上記課題を解決するため,本発明の第4の観点によれば,光学レンズが提供される。本発明の光学レンズは,基板の表面に形成されたレンズ面と,前記レンズ面およびその縁部を含むレンズ領域を,前記基板の裏面から保持するレンズ保持部と,を備えたことを特徴とする(請求項13)。
【0024】
かかる構成によれば,薄いレンズを保持するためのレンズ保持部を備えることによって,例えば,厚さが1〜5μm程度の非常に薄いシリコンレンズを形成することができ,近赤外領域の光を透過する光学レンズを作製することができる。また,レンズを保持することが可能になり,モジュール等に実装が可能である光学レンズとして提供できる。
【0025】
上述のように,前記レンズ面の厚みは,5μm以下とすることが可能である(請求項114)。
【0026】
また,前記基板の裏面の前記レンズ保持部以外の領域に反射防止膜が形成された構造とすることも可能である(請求項15)。
【0027】
また,前記基板は,例えばSOI(silicon on insulator)基板とすることが可能である(請求項16)。
【発明の効果】
【0028】
以上のように,本発明によれば,薄いシリコンでレンズを形成することにより近赤外領域の光を透過することができる。また,薄いシリコンでは,レンズ部分を分離した後,単独では保持することが不可能であったが,本発明によれば,レンズ外周部に厚みを残した形状とすることで,レンズ部分を保持することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に添付図面を参照しながら,本発明にかかる光学レンズおよびその製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0030】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
本実施形態では,シリコンレンズを薄いシリコン基材で形成することにより,近赤外領域の光(波長:750〜1100nm)や赤外領域中の波長9μm周辺の光を透過させることができ,かつ,ハンドリング容易な光学レンズおよびその製造方法について説明する。
【0031】
図1は,本実施形態にかかるシリコンレンズの製造方法を概略的に示す説明図である。
本実施形態では光学基板として,例えば直径が4インチのサイズのSOI基板を用いる。SOI基板は,図1(a)に示したように,上層(第1層)にSOI層112,下層(第3層)にSi層116,その中間層(第2層)としてSiO層114を挟んだ構造を有する。各層の厚みは例えば,SOI層112が5μm,SiO層114が1〜2μm,Si層116が100μmとすることができる。
【0032】
SOI層112は,例えば単結晶シリコンから成り立っているものを用いるものとする。ただし本発明はこれに限定されず,例えばSOI層112はアモルファスシリコン層であってもよい。単結晶シリコンおよびアモルファスシリコンの吸収端の波長は,単結晶シリコンが1100nmであり,アモルファスシリコンが690〜770nmである。
【0033】
まず,図1(b)に示すように,SOI層112の表面に複数のレンズ面118を所定の間隔をおいて形成する。レンズ面118の形状としては,回折型レンズ,屈折型レンズ等があり,その形成方法もエッチング,研磨等がある。その一例として,例えば半導体技術で用いられるフォトリソ・エッチング技術を用いて,SOI層の表面にフォトリソとエッチング工程の繰り返しによって回折光学素子によるレンズを形成することができる。これによって,集光特性に優れる高品質のレンズを一括的かつ高精度に形成することができる。
【0034】
次に図1(c)に示すように,各レンズ面118の周囲に縁部120を形成する。この工程では,まず,各レンズ面118と縁部120に対応する形状のパターンをエッチングマスクで部分的に覆う。そして,マスクから露出した領域のSiO層114上面が露出するまでエッチングする。このとき,SiO層114はエッチストッパとして機能する。このようにして,レンズ素子が基板上に形成される。図2は,SiO層114にレンズ面118と縁部120が形成された状態を示す平面図である。図2のA−A断面が図1(c)に対応する。
【0035】
このように形成された複数のレンズ素子を保持基板で支持した状態で,レンズ裏面のSi層上に縁部に対応する形状のパターンをエッチングマスクで部分的に覆い,図1(d)に示すように,マスクから露出した領域をエッチングする。なお,本実施形態では,図1(d)に示したように,単体レンズの周囲の外周に縁部を形成する場合について説明するが,レンズアレイの周囲の外周に縁部を形成することも可能である。この点については,(応用例2)として,さらに後述する。
【0036】
図1(c)から図1(d)に至る裏面剥離工程の一例について,図3を参照しながら説明する。図1(c)の状態に対し,図3に示すプロセスで裏面剥離を行う。
【0037】
まず図3(a)に示したように,レンズ裏面のSi層上に縁部に対応する形状のパターンをエッチングマスク153で部分的に覆う。そして,図3(b)に示したように,エッチングマスク153から露出した領域をエッチングする。その後,図3(c)に示したように,不要なエッチングマスク150を除去する。さらに,図3(d)に示したように,レンズ裏面に相当する部分の不必要なSiO層114を除去する。最後に,図3(e)に示したようにダイシングソー140でダイシングを行うことで,図1(d)に示したように個々の光学レンズ124に分離する。
【0038】
以上の工程を経て,レンズ面の厚みが1〜5μmで,100μmのレンズ保持部122を有する,ハンドリング容易な赤外用の光学レンズ124が形成される。図4は,図3(e)の光学レンズ124の詳細な説明図であり,図4(a)は斜視図を示し,図4(b)は図4(a)を背面から見たものである。本実施形態にかかる光学レンズ124は,図4(b)に示したように,レンズ1個に対し,その周りにレンズ保持部122がロの字型に形成される。
【0039】
5μmのような非常に薄いシリコンでのレンズでは,従来のレンズ面およびその上部のハンドリング部だけではレンズ形状を保持することができない。この点,本実施形態では,レンズ外周領域に100μmオーダーの厚さのレンズ保持部を形成することで,レンズのハンドリングが容易になる。
【0040】
図5は,レンズ厚さと透過率との関係を示す説明図である。図5に示したように,827nm波長帯域では,5μm厚で68%,1μm厚では93%の透過率が得られる。例えば,70%程度の透過効率が要求される分野においては,5μm厚のシリコンでレンズを形成すれば,光の透過の観点からは実用可能である。
【0041】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように,本実施形態によれば,酸化膜層上のシリコン膜上にレンズ面を具えた構造とすることによって,厚さが1〜5μm程度の非常に薄いシリコンレンズを形成することができ,近赤外領域の光を透過するレンズを作製することができる。また,この薄いレンズを保持するために,周辺部に保持部を形成することで,レンズを保持することが可能になり,モジュール等に実装が可能であるレンズとして提供できる。
【0042】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態は,上記第1の実施形態の応用例として,SOI基板の酸化膜層を反射防止膜として使用することを特徴とするものである。
【0043】
図6は,本実施形態にかかるシリコンレンズの製造方法を概略的に示す説明図である。
本実施形態では光学基板として,例えば直径が4インチのサイズのSOI基板を用いる。SOI基板は,図6(a)に示したように,上層(第1層)にSOI層212,下層(第3層)にSi層216,その中間層(第2層)としてSiO層214を挟んだ構造を有する。
【0044】
本実施形態では,SOI基板の酸化膜層は予め計算された膜厚とし,SiO層214を反射防止膜として使用可能な膜厚としておく。例えば,SiO層214の厚さを1μmとすれば,反射率を約7%に抑えることができ,反射防止膜として有効である。従って,本実施形態では,各層の厚みは例えば,SOI層212が5μm,SiO層214が1μm,Si層216が100μmとすることができる。
【0045】
SOI層212は,例えば単結晶シリコンから成り立っているものを用いるものとする。ただし本発明はこれに限定されず,例えばSOI層212はアモルファスシリコン層であってもよい。この点は,上記第1の実施形態と同様である。
【0046】
まず,図6(b)に示すように,SOI層212の表面に複数のレンズ面218を所定の間隔をおいて形成する。レンズ面218の形状としては,回折型レンズ,屈折型レンズ等があり,その形成方法もエッチング,研磨等がある。その一例として,例えば半導体技術で用いられるフォトリソ・エッチング技術を用いて,SOI層の表面にフォトリソとエッチング工程の繰り返しによって回折光学素子によるレンズを形成することができる。これによって,集光特性に優れる高品質のレンズを一括的かつ高精度に形成することができる。この工程は,上記第1の実施形態と実質的に同様である。
【0047】
次に図6(c)に示すように,各レンズ面218の周囲に縁部220を形成する。この工程では,まず,各レンズ面218と縁部220に対応する形状のパターンをエッチングマスクで部分的に覆う。そして,マスクから露出した領域のSiO層214上面が露出するまでエッチングする。このとき,SiO層214はエッチストッパとして機能する。
このようにして,レンズ素子が基板上に形成される。この工程についても,上記第1の実施形態と実質的に同様である。
【0048】
このように形成された複数のレンズ素子を保持基板で支持した状態で,レンズ裏面のSi層上に縁部に対応する形状のパターンをエッチングマスクで部分的に覆い,図6(d)に示すように,マスクから露出した領域を深いエッチングする。このとき,本実施形態においては,レンズ素子裏面のSiO層の除去は行わない。これによって,レンズ形状形成と同時に反射防止膜224も完成する。
【0049】
以上の工程を経て,レンズ面の厚みが1〜5μmで,100μmのレンズ保持部222を有する,ハンドリング容易な赤外用レンズ124が形成される。
【0050】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように,本実施形態によれば,酸化膜層上のシリコン膜上にレンズ面を具えた構造とすることによって,厚さが1〜5μm程度の非常に薄いシリコンレンズを形成することができ,近赤外領域の光を透過するレンズを作製することができる。また,この薄いレンズを保持するために,周辺部に保持部を形成することで,レンズを保持することが可能になり,モジュール等に実装が可能であるレンズとして提供できる。
【0051】
また,SOI基板を用いて作製されたシリコンレンズの酸化膜層を反射防止膜と使用することによって,レンズ厚の非常に薄い近赤外領域用シリコンレンズの反射膜形成を容易に行うことができる。さらにまた,通常のシリコンレンズのように,レンズ形成後に反射膜の膜付を行う方法では,レンズの膜厚が薄い場合には,反りによる割れ,剥がれ等が生じることがあり,酸化膜層をそのまま使用できるこの手法はプロセスの簡略化,レンズ性能の改善に有効である。
【0052】
(応用例1)
図7は,応用例1として,上記実施形態にかかる光学レンズを利用した赤外センサを示す説明図である。図7(a)は赤外センサを示す。レンズ素子310からの光が受光部320に入射している状態を示す。図7(b)はレンズ素子310のB−B断面を示す。図7(b)が図1(d)のレンズ素子断面に相当する。
【0053】
(応用例2)
図8は,応用例2として,複数のレンズの周囲に一体の縁部を形成し,レンズアレイを形成した場合を示す説明図である。図8(a)はレンズアレイ410を実装面に実装した状態を示し,図8(b)は図8(a)のC−C断面を示す。図8(a)に示したように,縁部をコの字型にすることによって,実装面からの配線420の取り出しが可能である。
【0054】
(応用例3)
上記実施形態では,レンズ1個に対し,周りにレンズ保持部(支持壁)が1つある場合(ロの字型,図4)について説明したが,本発明はかかる場合に限定されず,例えば,以下のような応用が可能である。
(1)コの字型のレンズ保持部(図9)
図9(a)に示したように,レンズ2個の周りにレンズ保持部(支持壁)があり,図9(b)に示したように,真ん中でダイシングする。
(2)くの字型(2辺だけに支持壁がある)のレンズ保持部(図10)
図10(a)に示したように,レンズ4個の周りにレンズ保持部(支持壁)が有り,図10(b)に示したように,十字にダイシングする。
(3)複数のレンズの周囲にレンズ保持部(支持壁)があるアレイレンズの場合(図11)
図11(a)に示したように,レンズ16個(4個×4個)の周りにレンズ保持部(支持壁)が有り,図11(b)に示したように,十字にダイシングする。レンズ保持部の形状はロの字,コの字,くの字等のケースがあり,(1),(2)に準ずる。なお,図11の例では,ダイシングされた後の1つのレンズ素子に,レンズ面が4個(2個×2個)あるが,レンズの個数はこれに限定されず,例えば9個(3個×3個)でもよい。
【0055】
以上,添付図面を参照しながら本発明にかかる光学レンズおよびその製造方法の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0056】
例えば,上記第1の実施形態においては,図1(c),図4(a)などを参照して,レンズ面118およびその縁部120を含むレンズ領域を形成する工程について説明した。すなわち,レンズ面118およびその縁部120を含むレンズ領域にのみ,SOI層112が残存するように,SiO層114が露出するまで,レンズ領域以外のSOI層112を除去するレンズ領域形成工程について説明した。しかしながら,本発明はこれに限定されず,レンズ領域形成工程を行うことなく,最終形状である光学レンズ124を形成することも可能である。すなわち,図1(b)の形状から,所望の形状のパターンをエッチングマスクを用いてエッチング処理等を行うことにより,図1(c)の状態を経ることなく,図1(d)の光学レンズ124の形状を作製することも可能である。以上の点は,第2の実施形態(図6(c))についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は,光学デバイスにおいて適用される光学レンズおよび光学レンズの製造方法に利用可能であり,特に,波長0.70μmから11μmの範囲の赤外光領域において使用可能な光学レンズおよびその製造方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1の実施形態にかかる光学レンズの製造方法を示す説明図である。
【図2】基板上にレンズ面が形成された状態を示す平面図である。
【図3】裏面剥離工程を示す説明図である。
【図4】光学レンズの詳細を示す説明図である。
【図5】シリコン基板厚と透過率との関係を示す説明図である。
【図6】第2の実施形態にかかるレンズおよびその製造方法を示す説明図である。
【図7】光学センサを形成した例(応用例1)を示す説明図である。
【図8】レンズアレイを形成した例(応用例2)を示す説明図である。
【図9】レンズ保持部をコの字型に形成した例(応用例3)を示す説明図である。
【図10】レンズ保持部をくの字型に形成した例(応用例3)を示す説明図である。
【図11】レンズアレイを形成した例(応用例3)を示す説明図である。
【図12】従来の光学レンズおよびその製造方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
112 SOI層
114 SiO
116 Si層
118 レンズ面
120 縁部
122 レンズ保持部
124 光学レンズ
212 SOI層
214 SiO
216 Si層
218 レンズ面
220 縁部
222 レンズ保持部
224 反射防止膜
226 光学レンズ




 

 


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