米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 測定; 光学 -> 富士フイルム株式会社

発明の名称 バイオセンサー
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−71811(P2007−71811A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−261658(P2005−261658)
出願日 平成17年9月9日(2005.9.9)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 江副 利秀 / 袴田 正志
要約 課題
低分子化合物の非特異吸着を抑制し、低分子化合物の生理活性物質への結合を高感度で検出することができるバイオセンサーを提供すること。

解決手段
基板の上に金属層が形成され、該金属層の上にパラジウム層が形成され、さらに該パラジウム層の上に親水性高分子化合物が被覆されているバイオセンサー。
特許請求の範囲
【請求項1】
基板の上に金属層が形成され、該金属層の上にパラジウム層が形成され、さらに該パラジウム層の上に親水性高分子化合物が被覆されているバイオセンサー。
【請求項2】
基板が、樹脂の成型により得られる基板である、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項3】
金属層が、金、銀、銅、アルミニウム又は白金から選択される金属の層である、請求項1又は2に記載のバイオセンサー。
【請求項4】
基板と金属層の間にさらに介在層が存在する、請求項1から3の何れかに記載のバイオセンサー。
【請求項5】
金属層及びパラジウム層がスパッタ法により形成されている、請求項1から4の何れかに記載のバイオセンサー。
【請求項6】
金属層の膜厚が0.1nm以上500nm以下である、請求項1から5の何れかに記載のバイオセンサー。
【請求項7】
パラジウム層の膜厚が0.1nm以上100nm以下である、請求項1から6の何れかに記載のバイオセンサー。
【請求項8】
非電気化学的検出に使用される、請求項1から7の何れかに記載のバイオセンサー。
【請求項9】
表面プラズモン共鳴分析に使用される、請求項1から8の何れかに記載のバイオセンサー。
【請求項10】
基板の上に金属層を形成する工程、該金属層の上にパラジウム層を形成する工程、及び該パラジウム層の上に親水性高分子化合物を被覆する工程を含む、請求項1から9の何れかに記載のバイオセンサーの製造方法。
【請求項11】
生理活性物質が表面に結合している、請求項1から9の何れかに記載のバイオセンサー。
【請求項12】
請求項1から9の何れかに記載のバイオセンサーと生理活性物質とを接触させて、該バイオセンサーの表面に該生理活性物質を結合させる工程を含む、バイオセンサーに生理活性物質を固定化する方法。
【請求項13】
生理活性物質が共有結合により表面に結合している請求項1から9の何れかに記載のバイオセンサーと被験物質とを接触させる工程を含む、該生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する方法。
【請求項14】
生理活性物質と相互作用する物質を非電気化学的方法により検出または測定する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
生理活性物質と相互作用する物質を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する、請求項13又は14に記載の方法。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサー及びそれを用いた生体分子間の相互作用を分析する方法に関する。特に本発明は、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに用いるためのバイオセンサー及びそれを用いた生体分子間の相互作用を分析する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、臨床検査等で免疫反応など分子間相互作用を利用した測定が数多く行われているが、従来法では煩雑な操作や標識物質を必要とするため、標識物質を必要とすることなく、測定物質の結合量変化を高感度に検出することのできるいくつかの技術が使用されている。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術である。SPR測定技術はチップの金属膜に接する有機機能膜近傍の屈折率変化を反射光波長のピークシフト又は一定波長における反射光量の変化を測定して求めることにより、表面近傍に起こる吸着及び脱着を検知する方法である。QCM測定技術は水晶発振子の金電極(デバイス)上の物質の吸脱着による発振子の振動数変化から、ngレベルで吸脱着質量を検出できる技術である。また、金の超微粒子(nmレベル)表面を機能化させて、その上に生理活性物質を固定して、生理活性物質間の特異認識反応を行わせることによって、金微粒子の沈降、配列から生体関連物質の検出ができる。
【0003】
上記した技術においては、いずれの場合も、生理活性物質を固定化する表面が重要である。以下、当技術分野で最も使われている表面プラズモン共鳴(SPR)を例として、説明する。
【0004】
一般に使用される測定チップは、透明基板(例えば、ガラス又は樹脂)、蒸着された金属膜、及びその上に生理活性物質を固定化できる官能基を有する薄膜からなり、その官能基を介し、金属表面に生理活性物質を固定化する。該生理活性物質と検体物質間の特異的な結合反応を測定することによって、生体分子間の相互作用を分析する。
【0005】
生理活性物質を固定化できる官能基を有する薄膜としては、金属と結合する官能基、鎖長の原子数が10以上のリンカー、及び生理活性物質と結合できる官能基を有する化合物を用いて、生理活性物質を固定化した測定チップが報告されている(特許文献1を参照)。また、金属膜と、該金属膜の上に形成されたプラズマ重合膜からなる測定チップが報告されている(特許文献2を参照)。
【0006】
一方、非特許文献1には、金−パラジウム基板上にoligo(ethyleneglycol)-terminated SAM(自己組織化膜)を形成した基板で非特異的なタンパクの吸着と細胞の接着を防止でき、また、oligo(ethyleneglycol)-terminated SAM の海の上にC18 SAMのmicroislandsを形成すれば、パターン化された細胞の接着が可能で、細胞培養液中でパターンが4週間以上維持できることが記載されている。金基板上の同様のSAMではパターンの維持は2週間である。この基板を用いてタンパクへの低分子化合物の結合をSPRで検出しようとすると、低分子化合物の非特異吸着が防止できないという問題があった。
【0007】
【非特許文献1】"Palladium as a Substrate for Self-Assembled Monolayers Used in Biotechnology" Xingyu Jiang, at. El. Anal. Chem. 2004, 76, 6116-6121
【特許文献1】特許第2815120号
【特許文献2】特開平9−264843号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した従来技術の問題を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、低分子化合物の非特異吸着を抑制し、低分子化合物の生理活性物質への結合を高感度で検出することができるバイオセンサーを提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、基板の上に金属層を形成し、該金属層の上にパラジウム層を形成し、さらに該パラジウム層の上に親水性高分子化合物を被覆することによって、バイオセンサーへの低分子化合物の非特異吸着を抑制できること、特に、作成から経時後のバイオセンサーへの低分子化合物の非特異吸着を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明によれば、基板の上に金属層が形成され、該金属層の上にパラジウム層が形成され、さらに該パラジウム層の上に親水性高分子化合物が被覆されているバイオセンサーが提供される。
【0011】
好ましくは、基板は、樹脂の成型により得られる基板である。
好ましくは、金属層は、金、銀、銅、アルミニウム又は白金から選択される金属の層である。
好ましくは、基板と金属層の間にさらに介在層が存在する。
好ましくは、金属層及びパラジウム層はスパッタ法により形成されている。
【0012】
好ましくは、金属層の膜厚は0.1nm以上500nm以下である。
好ましくは、パラジウム層の膜厚は0.1nm以上100nm以下である。
好ましくは、本発明のバイオセンサーは非電気化学的検出に使用され、さらに好ましくは、表面プラズモン共鳴分析に使用される。
【0013】
本発明の別の側面によれば、基板の上に金属層を形成する工程、該金属層の上にパラジウム層を形成する工程、及び該パラジウム層の上に親水性高分子化合物を被覆する工程を含む、上記した本発明のバイオセンサーの製造方法が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、生理活性物質が表面に結合している、上記した本発明のバイオセンサーが提供される。
【0015】
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のバイオセンサーと生理活性物質とを接触させて、該バイオセンサーの表面に該生理活性物質を結合させる工程を含む、バイオセンサーに生理活性物質を固定化する方法が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の側面によれば、生理活性物質が共有結合により表面に結合している本発明のバイオセンサーと被験物質とを接触させる工程を含む、該生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する方法が提供される。
好ましくは、生理活性物質と相互作用する物質を非電気化学的方法により検出または測定し、さらに好ましくは生理活性物質と相互作用する物質を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のバイオセンサーにおいては、低分子化合物の非特異吸着が抑制されており、特に、作成から経時後のバイオセンサーへの低分子化合物の非特異吸着が抑制されている。生理活性物質を結合させた本発明のバイオセンサーを用いることにより、低分子化合物の当該生理活性物質への結合を高感度で検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のバイオセンサーは、基板の上に金属層が形成され、該金属層の上にパラジウム層が形成され、さらに該パラジウム層の上に親水性高分子化合物が被覆されていることを特徴とするバイオセンサーである。
【0019】
本発明で言うバイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を基板に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。
【0020】
本発明のバイオセンサーにおいては、金属膜は基板上に形成されている。ここで、「基板上に形成される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。本発明で使用することができる基板としては例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂(具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、及び非晶性ポリオレフィンなどのレーザー光に対して透明な材料からなるもの)又は天然樹脂を使用できるが、好ましくは合成樹脂である。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。
【0021】
基板(誘電体ブロック)には、金属層の形成に先立って、プラズマ照射を施してもよい。プラズマ照射は、Ar、N2、又はO2から選択されるプラズマ放電ガスを用いて行うことができる。例えば、スパッタ装置の基板ホルダに基板(光学ブロック、プリズム)を取付け、真空に引いてからArガスなどを導入し、基板ホルダを回転させながら、基板ホルダにRFパワー(例えば、0.5kW)を印加してプリズム表面をプラズマ処理することができる。また、プラズマ照射後の光学ブロックの光反射面の表面粗さはRa≦30nmであることが好ましい。
【0022】
本発明における金属層を構成する金属としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されないが、好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金、又は銀から構成される金属層が好ましい。上記の金属は単独又は組み合わせて使用することができる。
【0023】
また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属層との間に、介在層を設けてもよい。このような介在層を構成する金属の好ましい例としては、クロム、チタン、タンタル、ニッケル又はアルミニウムなどが挙げられ、特に好ましくはクロムである。
【0024】
金属層の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.1nm以上500nm以下であるのが好ましく、特に1nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であるのが好ましい。
【0025】
金属層の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができ、特に好ましくは、金属層はスパッタ法により形成されている。
【0026】
スパッタ法は、基板上に膜を形成するための方法の一種であり、通常は真空中にArガスなどの不活性ガスを導入して行われる。基板と膜原料(金属)を近くに設置し、真空状態にして、不活性ガスを導入し、基板と膜原料(金属)の間に電圧をかける。電子やイオンが高速移動し、イオンが膜原料(金属)に衝突する。高速移動した電子やイオンは、気体分子に衝突し、分子の電子をはじき飛ばし、さらにイオンとなる。膜原料(金属)に衝突したイオンは、膜原料(金属)の粒子をはじき飛ばす(これはスパッタリング現象とも称される)。はじき飛ばされた粒子(金属)が基板に衝突及び付着することにより、膜が形成される。
【0027】
スパッタ法を行うための具体的なスパッタ装置としては以下のものが挙げられる。
(1)2極DCグロー放電スパッタ装置
1〜10-2Torr程度の不活性ガス(たとえばAr)中で基板とターゲット(本発明では、金属)の間に数100Vの電圧を加えると、イオン化したArがターゲットに向かって加速して衝突し、ターゲットの物質がスパッタされて基板に堆積される。このとき、同時にターゲットから高エネルギーのγ-電子が生じ、Ar原子と衝突する際にAr原子をイオン化し、プラズマが持続する。
【0028】
(2)マグネトロンスパッタ装置
ターゲット(金属)の裏側に磁石を置き、 磁界をかけてターゲット近傍にγ電子を閉じ込めることを特徴とする。γ電子は磁力線に絡みついた軌道をとるため,プラズマがターゲット近傍に集中し,基板へのダメージを低減できる。同時にγ電子の運動距離が長くなるため,低ガス圧で高速なスパッタが可能となる。
【0029】
(3)イオンビームスパッタ法
膜堆積室とイオン発生室とが分離されており、プラズマイオン室から放出されたイオンをターゲットに照射し, スパッタリングを起こす。この装置では、堆積室にはプラズマが侵入しないため, γ電子などによる悪影響を受けず、またターゲットに照射するイオンのエネルギーとイオン密度を独立に制御できる。
【0030】
本発明においては、上記した金属層の上にパラジウム層が形成されている。パラジウム層の形成は、上記した金属層の形成と同様の方法により行うことができる。パラジウム層の厚さは、0.1nm以上100nm以下であるのが好ましく、特に0.5nm以上200nm以下であるのが好ましい。
【0031】
本発明においては、パラジウム層の上に親水性高分子化合物が被覆されている。本発明で用いる親水性高分子化合物は、水溶液中に溶解または膨潤する高分子化合物である。親水性高分子化合物としては、ポリヒドロキシ高分子化合物を使用することができ、例えば多糖類(例えば、デキストラン、アガロース、カラギーナン、アルギン酸、デンプン又はその誘導体、セルロース、キチン、キトサン)、合成高分子化合物(例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸)、寒天、蛋白質(例えば、アルブミン、カゼイン)などを挙げることができる。本発明においては、多糖類が好ましく用いられ、デキストランが最も好ましい。
【0032】
本発明においては、好ましくは、平均分子量1万以上200万以下のポリヒドロキシ高分子化合物が用いられる。好ましくは2万以上200万以下、さらに好ましくは3万以上100万以下、最も好ましくは20万以上80万以下のポリヒドロキシ高分子化合物を用いることができる。
【0033】
ポリヒドロキシ高分子化合物は、例えば塩基性条件下でブロモ酢酸と反応させることでカルボキシ化できる。反応条件の制御により、ポリヒドロキシ化合物が初期状態で含有するヒドロキシ基の一定の割合をカルボキシ化できる。本発明においては例えば、1〜90%のヒドロキシ基をカルボキシ化することができる。なお、任意のポリヒドロキシ高分子化合物で表面被覆された表面について、例えば、以下の方法でカルボキシ化率を算出することができる。膜表面をジ−tert−ブチルカルボジイミド/ピリジン触媒を用いてトリフルオロエタノールで50℃、16時間、気相修飾し、ESCA(electron spectroscopy for chemical analysis)でトリフルオロエタノール由来のフッ素量を測定し、膜表面の酸素量との比率(以下、F/O値と呼ぶ)を算出する。全てのヒドロキシ基がカルボキシ化された場合の理論的なF/O値をカルボキシ化率100%とし、任意の条件でカルボキシ化した時のF/O値を測定することで、その時のカルボキシ化率を算出することができる。
【0034】
ポリヒドロキシ高分子化合物は有機分子X1−R1−Y1を介して金属膜に付着させることができる。有機分子X1−R1−Y1について詳細に説明する。
【0035】
1は金属膜に対する結合性を有する基である。具体的には、非対称又は対称スルフィド(−SSR1111、−SSR1Y1)、スルフィド(−SR1111、−SR1Y1)、ジセレニド(−SeSeR1111、−SeSeR1Y1)、セレニド(SeR1111、−SeR1Y1)、チオール(−SH)、ニトリル(−CN)、イソニトリル、ニトロ(−NO2)、セレノール(−SeH)、3価リン化合物、イソチオシアネート、キサンテート、チオカルバメート、ホスフィン、チオ酸またはジチオ酸(−COSH、−CSSH)が好ましく用いられる。
【0036】
1(とR11)は場合によりヘテロ原子により中断されており、好ましくは適当に密な詰め込みのため直鎖(枝分かれしていない)であり、場合により二重及び/又は三重結合を含む炭化水素鎖である。鎖の長さは10原子を越えることが好ましい。炭素鎖は場合により過弗素化されることができる。
【0037】
1とY11はポリヒドロキシ高分子化合物を結合させるための基である。Y1とY11は好ましくは同一であり、ポリヒドロキシ高分子化合物に直接又は活性化後結合できるような性質を持つ。具体的にはヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、アルデヒド、ヒドラジド、カルボニル、エポキシ、又はビニル基などを用いることができる。
【0038】
有機分子X1−R1−Y1の具体例としては、10-カルボキシ-1-デカンチオール、4,4'-ジチオジブチリックアシッド、11-ヒドロキシ-1-ウンデカンチオール、11-アミノ-1-ウンデカンチオールなどが挙げられる。
【0039】
親水性高分子化合物の基板へのコーティングは常法によって行うことができ、例えば、スピン塗布、エアナイフ塗布、バー塗布、ブレード塗布、スライド塗布、カーテン塗布、さらにはスプレー法、蒸着法、キャスト法、浸漬法等によって行うことができる。
【0040】
親水性高分子化合物でコーティングした基板から成るバイオセンサーにおいては、基板の最表面に生理活性物質を固定化することができる官能基を有することが好ましい。ここで言う「基板の最表面」とは、「基板から最も遠い側」という意味であり、さらに具体的には、「基板上にコーティングした親水性高分子化合物中の基板から最も遠い側」という意味である。
【0041】
本発明の親水性高分子化合物でコーティングした基板から成るバイオセンサーにおける最表面の生理活性物質を固定化することができる官能基は親水性高分子が元々含有していても良いし、成膜後導入しても良い。
【0042】
好ましい官能基としては−OH、−SH、−COOH、−NR12(式中、R1及びR2は互いに独立に水素原子又は低級アルキル基を示す)、−CHO、−NR3NR12(式中、R1、R2及びR3は互いに独立に水素原子又は低級アルキル基を示す)、−NCO、−NCS、エポキシ基、またはビニル基などが挙げられる。ここで、低級アルキル基における炭素数は特に限定されないが、一般的にはC1〜C10程度であり、好ましくはC1〜C6である。
【0043】
上記のようにして得られたバイオセンサー用表面において、上記の官能基を介して生理活性物質を共有結合させることによって、金属表面又は金属膜に生理活性物質を固定化することができる。
【0044】
本発明のバイオセンサー用表面上に固定される生理活性物質としては、測定対象物と相互作用するものであれば特に限定されず、例えば免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。
【0045】
免疫蛋白質としては、測定対象物を抗原とする抗体やハプテンなどを例示することができる。抗体としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgDを使用することができる。具体的には、測定対象物がヒト血清アルブミンであれば、抗体として抗ヒト血清アルブミン抗体を使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を抗原とする場合には、例えば抗アトラジン抗体、抗カナマイシン抗体、抗メタンフェタミン抗体、あるいは病原性大腸菌の中でO抗原26、86、55、111 、157 などに対する抗体等を使用することができる。
【0046】
酵素としては、測定対象物又は測定対象物から代謝される物質に対して活性を示すものであれば、特に限定されることなく、種々の酵素、例えば酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素等を使用することができる。具体的には、測定対象物がグルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、測定対象物がコレステロールであれば、コレステロールオキシダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を測定対象物とする場合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールアミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ドーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができる。
【0047】
微生物としては、特に限定されることなく、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用することができる。
核酸としては、測定の対象とする核酸と相補的にハイブリダイズするものを使用することができる。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられる。
【0048】
非免疫蛋白質としては、特に限定されることなく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオチン又はレセプターなどを使用できる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
【0049】
上記のようにして生理活性物質を固定化したバイオセンサーは、当該生理活性物質と相互作用する物質の検出及び/又は測定のために使用することができる。
【0050】
即ち、本発明によれば、生理活性物質が固定化された本発明のバイオセンサーを用いて、これに被験物質を接触させることにより、該バイオセンサーに固定化されている生理活性物質と相互作用する物質を検出及び/又は測定する方法が提供される。
被験物質としては例えば、上記した生理活性物質と相互作用する物質を含む試料などを使用することができる。
【0051】
本発明では、バイオセンサー用表面に固定化されている生理活性物質と被験物質との相互作用を非電気化学的方法により検出及び/又は測定することが好ましい。非電気化学的方法としては、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術などが挙げられる。
【0052】
本発明の好ましい態様によれば、本発明のバイオセンサーは、例えば、表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとして用いることができる。
【0053】
表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとは、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用されるバイオセンサーであって、該センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材を言い、該センサーの本体に固着されるものであってもよく、また脱着可能なものであってもよい。
【0054】
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
【0055】
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0056】
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
【0057】
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
【0058】
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角(θSP)より表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。この種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角(θSP)を精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号公報に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
【0059】
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて全反射減衰角(θSP)を特定し、被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
【0060】
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0061】
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
【0062】
なおこの漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
【0063】
また、上述した表面プラズモン測定装置や漏洩モード測定装置は、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモン測定装置の場合は金属膜であり、漏洩モード測定装置の場合はクラッド層および光導波層)上に上記被測定物質としてセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加し、所定時間が経過する毎に前述の全反射減衰角(θSP)の角度を測定している。
【0064】
試料液中の被検体が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記全反射減衰角(θSP)を測定し、該全反射減衰角(θSP)の角度に変化が生じているか否か測定することにより、被検体とセンシング物質の結合状態を測定し、その結果に基づいて被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として薄膜層の表面に固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
【0065】
なお、被検体とセンシング物質の結合状態を測定するためには、全反射減衰角(θSP)の角度そのものを必ずしも検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角(θSP)の角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。前述したアレイ状の光検出手段と微分手段を全反射減衰を利用した測定装置に適用する場合であれば、微分値の変化量は、全反射減衰角(θSP)の角度変化量を反映しているため、微分値の変化量に基づいて、センシング物質と被検体との結合状態を測定することができる(本出願人による特願2000−398309号参照)。このような全反射減衰を利用した測定方法および装置においては、底面に予め成された薄膜層上にセンシング物質が固定されたカップ状あるいはシャーレ状の測定チップに、溶媒と被検体からなる試料液を滴下供給して、上述した全反射減衰角(θSP)の角度変化量の測定を行っている。
【0066】
さらに、ターンテーブル等に搭載された複数個の測定チップの測定を順次行うことにより、多数の試料についての測定を短時間で行うことができる全反射減衰を利用した測定装置が、特開2001−330560号公報に記載されている。
【0067】
本発明のセンサーチップを表面プラズモン共鳴分析に使用する場合、上記したような各種の表面プラズモン測定装置の一部として適用することができる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0068】
(1)表面プラズモン共鳴測定装置及び誘電体ブロック
以下の実験は、特開2001−330560号公報の図22に記載の装置(以下、本発明の表面プラズモン共鳴測定装置と呼ぶ)(本明細書において図1として示す)、及び同公報の図23に記載の誘電体ブロック(以下、本発明の誘電体ブロックと呼ぶ)(本明細書において図2として示す)を用いて行った。
【0069】
図1に示す表面プラズモン共鳴測定装置は、測定ユニットを支持する支持体として、互いに平行に配された2本のガイドロッド400,400に摺動自在に係合し、それらに沿って図中の矢印Y方向に直線移動自在とされたスライドブロック401が用いられている。そしてこのスライドブロック401には、上記ガイドロッド400,400と平行に配された精密ねじ402が螺合され、この精密ねじ402はそれとともに支持体駆動手段を構成するパルスモータ403によって正逆回転されるようになっている。
【0070】
なおこのパルスモータ403の駆動は、モータコントローラ404によって制御される。すなわちモータコントローラ404には、スライドブロック401内に組み込まれてガイドロッド400,400の長手方向における該スライドブロック401の位置を検出するリニアエンコーダ(図示せず)の出力信号S40が入力され、モータコントローラ404はこの信号S40に基づいてパルスモータ403の駆動を制御する。
【0071】
またガイドロッド400,400の側下方には、それに沿って移動するスライドブロック401をそれぞれ左右から挟む形で、レーザ光源31および集光レンズ32と、光検出器40とが配設されている。集光レンズ32は光ビーム30を集光する。また、光検出器40が設置されている。
【0072】
ここで本実施形態においては、一例として8個の測定ユニット10を連結固定してなるスティック状のユニット連結体410が用いられ、測定ユニット10は8個一列に並べた状態でスライドブロック401にセットされるようになっている。
【0073】
図2は、このユニット連結体410の構造を詳しく示すものである。ここに示される通りユニット連結体410は、測定ユニット10が8個、連結部材411により連結されてなるものである。
【0074】
この測定ユニット10は、誘電体ブロック11と試料保持枠13とを例えば透明樹脂等から一体成形してなるものであり、ターンテーブルに対して交換可能な測定チップを構成している。交換可能とするためには、例えばターンテーブルに形成された貫通孔に、測定ユニット10を嵌合保持させる等すればよい。なお本例では、金属膜12の上にセンシング物質14が固定されている。
【0075】
(2)測定チップ
(金属膜の製膜)
ゼオネックス(日本ゼオン社製)を射出成型して得られた上記誘電体ブロックの上面に以下の方法で金属膜(1)、(2)、(3)を製膜した。
【0076】
金属膜(1):Au膜
スパッタ装置(ULVAC SH-550)の基板ホルダに誘電体ブロックを取付け、真空(ベースプレッシャー1×10-3Pa以下)に引いてからArガスを導入し(1Pa)、基板ホルダを静止した状態で、8inchのAuターゲットにDCパワー(4kW)を1.5秒間印加して50nmのAu薄膜を成膜した。
【0077】
金属膜(2):Au+Pd膜
スパッタ装置(ULVAC SH-550)の基板ホルダに誘電体ブロックを取付け、真空(ベースプレッシャー1×10-3Pa以下)に引いてからArガスを導入し(1Pa)、基板ホルダを静止した状態で、8inchのAuターゲットにDCパワー(4kW)を1.2秒間印加して40nmのAu薄膜を成膜した。次に、Arガスを止めて真空に引き、Arガスを再び導入し(0.5Pa)、基板ホルダを回転(10〜40rpm)させながら、8inchのPdターゲットにDCパワー(0.2kW)を約3分間印加して10nmのPd薄膜を成膜した。
【0078】
金属膜(3):Cr+Au+Pd膜
スパッタ装置(ULVAC SH-550)の基板ホルダに誘電体ブロックを取付け、真空(ベースプレッシャー1×10-3Pa以下)に引いてからArガスを導入し(1Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、基板ホルダにRFパワー(0.5kW)を約9分間印加してプリズム表面をプラズマ処理(基板エッチング、逆スパッタとも呼ばれる)した。プラズマ照射後の光学ブロックの光反射面の表面粗さがRa≦30nmであった。次に、Arガスを止めて真空に引き、Arガスを再び導入し(0.5Pa)、基板ホルダを回転(10〜40rpm)させながら、8inchのCrターゲットにDCパワー(0.2kW)を約30秒間印加して2nmのCr薄膜を成膜した。次に。Arガスを止めて再び真空に引き、Arガスを再び導入し(0.5Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、8inchのAuターゲットにDCパワー(1kW)を約40秒間印加して40nm程度のAu薄膜を成膜した。次に、Arガスを止めて真空に引き、Arガスを再び導入し(0.5Pa)、基板ホルダを回転(10〜40rpm)させながら、8inchのPdターゲットにDCパワー(0.2kW)を約3分間印加して10nmのPd薄膜を成膜した。
【0079】
(ヒドロゲル被覆チップの作成)
上記の金属膜を製膜した誘電体ブロック上に、以下の方法でヒドロゲル膜を作成した。
【0080】
誘電体ブロックをModel-208UV−オゾンクリーニングシステム(TECHNOVISION INC.)で30分間処理した後、エタノール/水(80/20)で溶解した11-ヒドロキシ-1-ウンデカンチオール(Aldrich社製)の5.0mM溶液を金属膜に接触するように添加し、40℃で30分、さらに25℃で16時間表面処理を行った。その後、エタノールで5回、エタノール/水混合溶媒で1回、水で5回洗浄を行った。
【0081】
次に、11-ヒドロキシ-1-ウンデカンチオールで被覆した表面に10質量%のエピクロロヒドリン溶液(溶媒:0.4M水酸化ナトリウム及びジエチレングリコールジメチルエーテルの1:1混合溶液)を接触させ、25℃の振盪インキュベーター中で4時間反応を進行させた。その後、表面をエタノールで2回、水で5回洗浄した。次に、25質量%のデキストラン(T500, Pharmacia)水溶液40.5mlに4.5mlの1M水酸化ナトリウムを添加し、その溶液をエピクロロヒドリン処理表面上に接触させた。次に振盪インキュベーター中で25℃で20時間インキュベートした。表面を50℃の水で10回洗浄した。続いて、ブロモ酢酸3.5gを27gの2M水酸化ナトリウム溶液に溶解した混合物を上記デキストラン処理表面に接触させて、28℃の振盪インキュベーターで16時間インキュベートした。表面を水で洗浄し、その後上述の手順を1回繰り返した。このサンプルをヒドロゲルで被覆された測定チップとした。
【0082】
(SAM被覆チップの作成)
上記の金属膜を製膜した誘電体ブロック上に、以下の方法でSAM膜を作成した。
誘電体ブロックをModel-208UV−オゾンクリーニングシステム(TECHNOVISION INC.)で30分間処理した後、エタノールで溶解したSH(CH2)2(OCH2CH2)7OH(LLC engineering社製)の2.0mM溶液を金属膜に接触するように添加し、25℃で16時間表面処理を行った。その後、エタノールで5回、エタノール/水混合溶媒で1回、水で5回洗浄を行った。このサンプルをSAMで被覆された測定チップとした。
【0083】
(3)評価
上記のように作成した測定チップについて、作成直後、および、50℃で10日間経時後に、以下の方法で、蛋白質、および低分子化合物の非特異吸着性を評価した。
(3−1)蛋白質の非特異吸着量測定
フィブリノーゲン(MP Biomedicals社製)0.5mgをHBS-EPバッファー(ビアコア社製)0.5mlに溶解する。HBS-EPバッファーの組成は、HEPES(N-2-Hydroxyethylpiperazine-N'-2-ethanesulfonicAcid)0.01mol/l(pH7.4)、NaCl0.15mol/l、EDTA 0.003mol/l、Surfactant P20 0.005質量%である。SPR装置に、ランニングバッファーとしてHBS-EPバッファーを流し、基準点をとる。次に作成したフィブリノーゲン溶液を3分間流し、その後、HBS-EPバッファーを3分間流す。基準点からのSPR信号の増加分を非特異吸着量とする。非特異吸着量は100RU以上であると実用上不可であり、20RU以下であることが好ましい。測定結果を表1に示す。
【0084】
(2)低分子化合物の非特異吸着量測定
下記の化合物A、化合物Bを0.1mMになるようにHBS-Nバッファー(ビアコア社製)/DMSO 5%溶液に溶解する。HBS-Nバッファーの組成は、HEPES(N-2-Hydroxyethylpiperazine-N'-2-ethanesulfonicAcid)0.01mol/l(pH7.4)、NaCl0.15mol/lである。SPR装置に、ランニングバッファーとしてHBS-Nバッファー/DMSO5質量%溶液を流し、基準点をとる。次に作成した化合物A、化合物B溶液を3分間流し、その後、HBS-Nバッファー/DMSO 5質量%溶液を3分間流す。基準点からのSPR信号の増加分を非特異吸着量とする。非特異吸着量は100RU以上であると実用上不可であり、20RU以下であることが好ましい。測定結果を表1に示す。
【0085】
【化1】


【0086】
【化2】


【0087】
【表1】


【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、表面プラズモン共鳴測定装置を示す。
【図2】図2は、誘電体ブロックを示す。
【符号の説明】
【0089】
10 測定ユニット
11 誘電体ブロック
12 金属膜
13 試料保持枠
14 センシング物質
31 レーザ光源
32 集光レンズ
40 光検出器
S40 出力信号
400 ガイドロッド
401 スライドブロック
402 精密ねじ
403 パルスモータ
404 モータコントローラ
410 ユニット連結体
411 連結部材






 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013