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発明の名称 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、反射防止フィルム、並びにそのような光学フィルムまたは反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−65634(P2007−65634A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2006−207975(P2006−207975)
出願日 平成18年7月31日(2006.7.31)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 福田 謙一 / 福重 裕一 / 伊吹 俊太郎 / 米山 博之
要約 課題
点欠陥や塗布ムラのない光学フィルムまたは反射防止フィルムの製造法、点欠陥や塗布ムラがなく反射防止処理がなされている偏光板、および点欠陥や塗布ムラがなく反射防止処理がされている画像表示装置を提供すること。

解決手段
透明プラスチックフィルム基材上に直接または他の層を介して積層された第1の硬化層上に第2の硬化層を積層する工程において、第2の硬化層積層前に、第1の硬化層に含有する特定の物質を除去する工程を含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
透明プラスチックフィルム基材上に直接または他の層を介して積層された第1の硬化層上に第2の硬化層を積層する工程において、第2の硬化層積層前に、第1の硬化層に含有する特定の物質を除去する工程を含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項2】
該特定の物質がレベリング剤であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項3】
該特定の物質を除去する工程が熱処理工程であることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項4】
該特定の物質を除去する工程が洗浄処理工程であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項5】
該洗浄処理工程が、プラスチックフィルム上に設けた第1の硬化層上に洗浄液を塗布または吹き付け処理により行われることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項6】
該洗浄処理工程が、プラスチックフィルム上に設けた第1の硬化層上に付着した洗浄液を液切り手段により掻き落とす工程を含むことを特徴とする、請求項4〜5の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項7】
第2の硬化層積層前に、第1の硬化層に含有する特定の物質を除去する工程を施すことで、第1の硬化層表面に存在するレベリング剤の量を1/2以下に減少させることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記レベリング剤が、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含む共重合体であることを特徴とする請求項2〜7の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
(i)下記一般式(1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式(1)
【化1】




(一般式(1)においてRは水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R)−を表し、mは1〜6の整数、nは1〜5の整数を表す。Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【請求項9】
前記レベリング剤が、更に(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含む共重合体であることを特徴とする請求項2〜8の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。(ii)ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及び/またはポリ(オキシアルキレン)メタクリレート
【請求項10】
フィルム表面が微細な凹凸形状を有することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項11】
第2の硬化層の平均膜厚が500nm以下であることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項12】
上記第1の硬化層に不飽和2重結合を有する化合物を有し、第2の硬化層に光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12記載の製造方法によって製造された光学フィルムまたは反射防止フィルム。
【請求項14】
請求項13記載の光学フィルム、または反射防止フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
【請求項15】
請求項13に記載の光学フィルム、または反射防止フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムの他方に、用いたことを特徴とする偏光板。
【請求項16】
請求項14または15の偏光板が配置されたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項17】
TN、STN、IPS、VA及びOCBの何れかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする請求項16に記載の画像表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、点欠陥や塗布ムラのない光学フィルムの製造方法に関する。更にはそのような方法により製造された光学フィルム又は反射防止フィルムに関する。更にはそのような光学フィルム又は反射防止フィルムを用いた、偏光板及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面に配置される。
この様な目的でディスプレイの表面に配置される反射防止フィルム等の光学フィルム上の塗布ムラは、搭載した画像装置の品位を著しく低下させるため、光学フィルムの塗布ムラは極力少ないことが強く望まれる。従って光学フィルムの製造業者においては塗布ムラを極力発生させないことが重要な課題である。
塗布ムラを減少させるために塗布膜の表面張力を低下する目的で、シリコーン系レベリング剤やフッ素系レベリング剤などのレベリング剤が一般に用いられる。特に、フッ素系レベリング剤は表面張力低下能を実現するためのパーフルオロアルキル(Rf)基と、コーティング用組成物に対する親和性に寄与する親媒性基とを同一分子内に有する化合物からなるものであり、表面張力低下能に優れていることが知られている。
ところが、面状改良のためにレベリング剤を添加し形成した第1の硬化層上に第2の硬化層を形成する場合、第1の硬化層表面に存在するレベリング剤は邪魔なものである。その理由は、例えば、これらのレベリング剤を含有した塗布膜から形成される第1の硬化層表面にはレベリング剤が存在し、表面自由エネルギーが低下されているため、第1の硬化層上に第2の硬化層を形成するための塗布膜で充分な濡れ性が確保できず、ハジキ欠陥や塗布ムラの原因となる。
また、第2の硬化層形成後にも第1の硬化層表面にレベリング剤が存在する場合、このレベリング剤は第1の硬化層と第2の硬化層の界面をブロックし、第1の硬化層と第2の硬化層を繋ぐ結合が形成されず、密着不良の問題を引き起こす。
一方、第2の硬化層形成時、レベリング剤が第2の硬化層形成液で抽出される場合、上記の密着不良の問題は回避されうるが、抽出されたレベリング剤は一般に反応性の官能基を有していないため、第2の硬化層に固定化され難く、硬化層上に析出するなどの問題を新たに引き起こす。
これを防止するために第1の硬化層中のレベリング剤を減少すると、第1の硬化層で満足な塗布面状が得られなくなるというジレンマに陥る。
【0003】
光拡散フィルムは、外光の反射や像の映り込みを防止、または視野角拡大を目的に透明基材プラスチックフィルム上に平均粒径2〜5μm程度の樹脂ビーズ等の粒子を含有した硬化層(光拡散層)を積層し、表面微細凹凸を形成することで、表面散乱および/または内部散乱性を付与することで作成され、更にこのような表面凹凸形状を有する硬化層表面に硬化膜厚が100nm程度の低屈折率層を形成することで反射防止性光拡散フィルムが形成される。
ところが、このような反射防止性光拡散フィルムにおいては、内部散乱が膜厚に対応して変化するため、塗布ムラによる膜厚差が目立ち易い。従って、レベリング剤を用いて塗布ムラを防止するニーズが高い。一方、光拡散層の表面凹凸形状の凸部は低屈折率層を積層する時のハジキのきっかけとなり易い。また、低屈折率層は膜厚が薄く、固形分濃度を下げて、塗布膜厚上げる試みをしても充分な膜厚が確保できず、ハジキが起き易い。以上の理由から特に反射防止性拡散フィルムにおいて、光拡散層形成にシリコーン系又はフッ素系レベリング剤を使うこと、塗布量の制約や化合物の制約など著しい制限を与える。
特許文献1には、フッ素系レベリング剤を含有したハードコート層表面にコロナ処理などの親水化処理を施した後に機能性層を積層することで機能性層の塗布ムラを防止する方法が記載されている。コロナ処理などで親水化できるのは第1の硬化層が充分にレベリング剤のフルオロアルキル基などの疎水性基に覆われていない部分が親水化される場合と、フルオロアルキル基が切断して親水化する場合が考えられる。フルオロアルキル基に覆われていない場合は、第1の硬化層形成時充分なレベリング能が期待できない。また、フルオロアルキル基が切断して親水化する場合は切断したフルオロアルキル基には新媒性基を有さないため、第2の硬化層用塗布液への分散性が悪く、この化合物が第2の硬化層の面状に及ぼす悪影響が懸念される。このように従来の技術では限界があり、更なる改良が求められていた。
【特許文献1】特開2003−326649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
要すれば、透明プラスチックフィルム基材のレベリング剤を含有する硬化層上に硬化層を形成するとき、下層のレベリング剤が点欠陥や塗布ムラなどの問題を引き起こす。
この反射防止フィルムを、例えば液晶ディスプレイ等画像表示装置用光学フィルムとして用いた場合、この点欠陥やムラは、画像表示装置の品位を著しく低下させる。従って透明プラスチックフィルムを基材とした反射防止フィルムでは、この点欠陥を減少させる、または塗布ムラをなくすことが極めて重要な課題であることを知見した。
【0005】
本発明の目的は、点欠陥や塗布ムラのない光学フィルムまたは反射防止フィルムの製造法を提供することにある。
本発明の他の目的は、点欠陥や塗布ムラがなく、反射防止処理がなされている偏光板を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、点欠陥や塗布ムラがなく反射防止処理がされている画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、鋭意検討の結果、レベリング剤を含有した組成物によって形成される第1の硬化層上に第2の硬化層を形成する工程において、第2の硬化層を形成するための塗布液が塗布される前に、第1の硬化層表面に存在するレベリング剤を洗浄除去することで上記目的が達成されることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明によれば、下記構成の光学フィルム、反射防止フィルム、その製造方法、及び画像表示装置が提供される。
1.透明プラスチックフィルム基材上に直接または他の層を介して積層された第1の硬化層上に第2の硬化層を積層する工程において、第2の硬化層積層前に、第1の硬化層に含有する特定の物質を除去する工程を含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
2.該特定の物質がレベリング剤であることを特徴とする前記1に記載の光学フィルムの製造方法。
3.該特定の物質を除去する工程が熱処理工程であることを特徴とする前記1〜2の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
4.該特定の物質を除去する工程が洗浄処理工程であることを特徴とする前記1〜3の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0007】
5.該洗浄処理工程が、プラスチックフィルム上に設けた第1の硬化層上に洗浄液を塗布または吹き付けにより行われることを特徴とする前記4に記載の光学フィルムの製造方法。
6.該洗浄処理工程が、プラスチックフィルム上に設けた第1の硬化層上に付着した洗浄液を液切り手段により掻き落とす工程を含むことを特徴とする、前記4〜5の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0008】
7.第2の硬化層積層前に、第1の硬化層に含有する特定の物質を除去する工程を施すことで、第1の硬化層表面に存在するレベリング剤の量を1/2以下に減少させることを特徴とする前記1〜6の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0009】
8.前記レベリング剤が、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含む共重合体であることを特徴とする前記2〜7の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
(i)下記一般式(1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式(1)
【0010】
【化1】


【0011】
(一般式(1)においてRは水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R)−を表し、mは1〜6の整数、nは1〜5の整数を表す。Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
9.前記レベリング剤が、更に(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含む共重合体であることを特徴とする前記2〜8の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
(ii)ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及び/またはポリ(オキシアルキレン)メタクリレート
10.前記レベリング剤が更に下記(iii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とする上記9に記載の光学フィルムの製造方法。
(iii)上記(i)及び(ii)と共重合可能な下記一般式(2)で表されるモノマー一般式(2)
【0012】
【化2】


【0013】
(一般式(2)においてRは水素原子またはメチル基を表し、Yは2価の連結基を表し、Rは置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。)
11.ヘイズが10%以上であることを特徴とする前記1〜10の何れかに記載の光学フィルム。
12.ヘイズが30%以上であることを特徴とする前記1〜10の何れかに記載の光拡散フィルム。
13.フィルム表面が微細な凹凸形状を有することを特徴とする前記1〜12の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0014】
14.第2の硬化層の平均膜厚が500nm以下であることを特徴とする前記1〜13の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
15.第2の硬化層の平均膜厚が300nm以下であることを特徴とする前記1〜13の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
16.第2の硬化層の平均膜厚が150nm以下であることを特徴とする前記1〜13の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
17.上記第1の硬化層に不飽和2重結合を有する化合物を有し、第2の硬化層に光重合開始剤を含有することを特徴とする前記1〜16の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0015】
18.前記1〜17に記載の製造方法によって製造された光学フィルムまたは反射防止フィルム。
19.前記18記載の光学フィルム、または反射防止フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
20.前記19に記載の光学フィルム、または反射防止フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムの他方に、用いたことを特徴とする偏光板。
21.前記19または20の偏光板が配置されたことを特徴とする画像表示装置。
22.TN、STN、IPS、VA及びOCBの何れかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする前記21に記載の画像表示装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、透明プラスチックフィルム上に直接又は他の層を介して積層された第1の硬化層を良好な面状を確保するために充分な量のレベリング剤を添加することができ、第2の硬化層を形成する前に第1の硬化層上に存在するレベリング剤を除去することで第2の硬化層形成時にも面状に悪影響を及ぼさず、良好な面状の光学フィルムを提供することができ、画像表示装置の保護フィルムとして好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明である光学フィルムに関して詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は、「数値1以上〜数値2以下」の意味を表す。
【0018】
1.<層構成>
一般に基材(トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン)の上に硬化樹脂、有機溶剤、光拡散粒子(樹脂ビーズ等)を含有する光拡散層用塗布組成物(塗布溶液)を塗布、乾燥、硬化することで、光拡散層を形成し、液晶表示装置等、画像表示装置の外光の反射や像の映り込みを防止するための光拡散フィルムを作製することが行なわれている。
この時、塗布性改良、乾燥均一性、高速塗布適性付与のために、フッ素系レベリング剤やシリコーン系レベリング剤の添加が有効である。しかしながら、これ等のレベリング剤を含有した第1の硬化層上に第2の硬化層を設ける場合、レベリング剤は膜厚ムラや点欠陥の原因となるため、邪魔なものである。
特に、第2の硬化層の膜厚が500nm以下の薄膜である場合はハジキ故障が発生し易く本発明の効果は顕著であり、第2の硬化層の平均膜厚が500nm以上である系に本発明を適応するのが好ましい。同様の理由から、第2の硬化層の平均膜厚は300nm以下がより好ましく、150nm以下であることが特に好ましい。
【0019】
本発明を反射防止フィルムに応用した場合の典型的な例は、第1の硬化層としてハードコート層または光拡散層、第2の硬化層として低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層とした以下のような公知の層構成を使用することができる。
たとえば、代表的な例としては、
イ:透明プラスチックフィルム基材/ハードコート層/低屈折率層
ロ:透明プラスチックフィルム基材/光拡散層/低屈折率層
ハ:透明プラスチックフィルム基材/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
二:透明プラスチックフィルム基材/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層がある。
上記イは本発明の反射防止フィルムの、上記ロは本発明の光拡散性反射防止フィルムの1実施態様である。
【0020】
また透明プラスチックフィルム基材とそれよりも表面側の層の間に設けても良い層として、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、ハードコート層(光拡散層だけで硬度が不足する場合)、防湿層、密着改良層、干渉斑防止層(基材と光拡散層の間に屈折率差がある場合)等が挙げられる。
帯電防止層は基材とその上の層との間以外の位置に儲けることもできる。
以下、本発明の反射防止フィルムの態様例を、図面を引用しながら説明する。ここで、図1(a)は、本発明の反射防止フィルム12の好ましい1実施形態を模式的に示す断面図である。
図1(a)に示す態様は、透明プラスチックフィルム基材1、光拡散層6、そして低屈折率層(最外層)4の順序の層構成を有する。光拡散層に含まれる粒子7は、平均粒径が1μm以上の粒子である。
図1(a)に示す態様では透明プラスチックフィルム基材1、低屈折率層4は、以下の関係を満足する屈折率を有する。すなわち、透明プラスチックフィルム基材の屈折率>低屈折率層の屈折率。
【0021】
図1(a)のような層構成では、低屈折率層4が下記数式(10)を満足することが優れた反射防止フィルムとすることができる点で好ましい。
【0022】
数式(10) (m7λ/4)×0.7<n77<(m7λ/4)×1.3
【0023】
数式(10)中、m7は正の奇数(一般に1)であり、n7は低屈折率層の屈折率であり、そして、d7は低屈折率層の層厚(nm)である。また、λは可視光線の波長であり、380〜680(nm)の範囲の値である。
【0024】
2.<第1硬化層の構成>
第1硬化層として好ましく用いられるハードコート層及び光拡散層について以下に説明する。
2−1.<ハードコート層>
ハードコート層は後述の硬化性組成物、硬化性組成物に含まれるバインダーとしてハードコート性を付与するためのバインダー(硬化樹脂)、その他必要に応じて防眩性または内部散乱性を付与するためのマット粒子、及び高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機微粒子から形成される。
【0025】
<硬化樹脂>
硬化樹脂は、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
バインダーポリマーをより高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含む高屈折率モノマーや、フルオレン骨格を分子内に有するモノマー等を選択することもできる。
【0026】
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。前記モノマーは2種以上併用してもよい。
【0027】
高屈折率モノマーの具体例としては、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート類、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
【0028】
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、光拡散性粒子、後述するレべリング剤、および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明基材上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して光拡散層を形成することができる。
【0029】
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
【0030】
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光重合開始剤あるいは熱重合開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、前記光拡散層は、上述のエチレン性不飽和モノマー等の硬化樹脂形成用のモノマー、光重合開始剤あるいは熱重合開始剤、光拡散性粒子、後述するレべリング剤、および必要に応じて後述するような無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明基材上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させることにより形成することができる。
【0031】
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
【0032】
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ-ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ-ジメチル-p-イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類の例にはS-トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-スチリルフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(3-Br-4-ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-トリハロメチル-5-(p-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールが含まれる。
無機錯体の例にはビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6−ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
【0033】
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI-403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S,BP-100,BDMK,CTX,BMS,2-EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等が好ましい例として挙げられる。
【0034】
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
【0035】
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
【0036】
2−2.<光拡散層>
次に本発明で好ましく用いることのできるハードコート層として光拡散層について説明する。
光拡散層は表面散乱性、または内部散乱性、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに付与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与することのできる硬化樹脂、光拡散性を付与するための光拡散性粒子、塗布性改良、乾燥均一化、高速塗布適性付与のためのレべリング剤、および有機溶媒を含有する。
【0037】
<光拡散性粒子>
本発明の光拡散フィルムに用いられる光拡散性粒子の平均粒径は1μm以上であり、10μm以下であることが好ましい。好ましくは2.0〜6.0μmであり、より好ましくは3.0〜4.0μmである。平均粒径が1μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字ボケを引き起こしたりするため、好ましくない。一方、10μmを超えると、光拡散層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールが大きくなる、素材コストが上昇してしまう、等の問題が生じる。
前記光拡散性粒子の具体例としては、例えばポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子(樹脂ビーズ)が好ましく挙げられる。なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた光拡散性粒子の屈折率に合わせて硬化樹脂の屈折率を調整することにより、好ましい内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを調整することができる。具体的には、後述するような本発明の光拡散層に好ましく用いられる3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした硬化樹脂(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる光拡散性粒子の組合せが好ましく、特に前記硬化樹脂と架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる光拡散性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
【0038】
光拡散性粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の粒径分布を示すS値は下記式で表され、2.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.7以下である。
【0039】
S=[D(0.9)−D(0.1)]/D(0.5)
【0040】
D(0.1):体積換算粒径の積算値の10%値、
D(0.5):体積換算粒径の積算値の50%値、
D(0.9):体積換算粒径の積算値の90%値。
【0041】
また、粒子径の異なる2種以上の光拡散性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の光拡散性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の光拡散性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
【0042】
前記光拡散性粒子は、形成された光拡散層中に、光拡散層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合される。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%未満であると、光拡散性が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、光拡散性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2である。
【0043】
本発明における硬化樹脂と光拡散性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、硬化樹脂及び光拡散性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、硬化樹脂と光拡散性粒子との屈折率の差(光拡散性粒子の屈折率−硬化樹脂の屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、前記硬化樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。光拡散性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に光拡散性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
【0044】
光拡散層の膜厚は、1〜10μmが好ましく、1.2〜8μmがより好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。
【0045】
光拡散層には、層の屈折率を調整して内部散乱に起因するヘイズ値を低減するために、前記の光拡散性粒子に加えて、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーを含有してもよい。これらの無機フィラーは、一般的に比重が有機物よりも高く、塗布組成物の密度を高くできるため、光拡散性粒子の沈降速度を遅くする効果もある。
光拡散層に用いられる無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーを用いる場合、その添加量は、光拡散層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、このような無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
また、光拡散層にオルガノシラン化合物を用いることができる。オルガノシラン化合物の添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
【0046】
光拡散層には塗布液の粘度調整の目的で、ウレタン、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)の樹脂類を含有することも好ましい。
【0047】
また、本発明の光拡散層を形成する為の塗布組成物中に、チクソトロピー剤を添加しても良い。チクソトロピー剤としては、0.1μm以下のシリカ、マイカ等があげられる。これら添加剤の含有量は、通常、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、1〜10質量部程度とするのが好適である。
【0048】
本発明の光拡散層は、直接透明基材上にウエット塗布されるケースが多いため、特に塗布組成物に用いる溶剤は重要な要因となる。要件としては、上記硬化樹脂等の各種溶質を充分に溶解すること、上記光拡散性粒子を溶解しないこと、塗布〜乾燥過程で塗布ムラ、乾燥ムラを発生しにくいこと、基材を溶解しないこと(平面性悪化、白化等の故障防止に必要)、逆に最低限の程度には基材を膨潤させること(密着性に必要)、等が挙げられる。
具体例としては、基材にトリアセチルセルロースを用いる場合には、主溶媒として各種ケトン(メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、各種セロソルブ(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)が好ましく用いられる。また、上記の中から選択した主溶媒に対して、水酸基を有する少量溶媒を添加することにより、防眩性(光拡散性)が調整でき、特に好ましい。水酸基を有する少量溶媒は、塗布組成物の乾燥工程において主溶媒よりも後まで残留することで防眩性を強くすることができるため、20〜30℃の範囲内のある温度における蒸気圧が前記主溶媒に対して低いことが好ましい。例えば、主溶媒をメチルイソブチルケトン(21.7℃における蒸気圧:16.5mmHg)に対して水酸基を有する少量溶媒としてプロピレングリコール(20.0℃における蒸気圧:0.08mmHg)の組み合わせが好ましい一例として挙げられる。主溶媒と水酸基を有する少量溶媒の混合比は、質量比で99:1〜50:50が好ましく、95:5〜70:30がより好ましい。50:50を超えると、塗布液の安定性や、塗布後の乾燥工程における面質のバラツキが大きくなり、好ましくない。
【0049】
2−3.<レベリング剤>
本発明の第1の硬化層(例えば、光拡散層)塗布液には、塗布性改良、乾燥均一化、高速塗布適性付与のために、フッ素系、シリコーン系のレベリング作用をもつ成分(夫々フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤とも記載する。)を、何れか、あるいはその両者を、塗布組成物中に添加する。
【0050】
シリコーン系レベリング剤の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含み、化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中には、ジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
【0051】
シリコーン系レベリング剤の分子量には特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量にも、特に制限はないが、18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
【0052】
好ましいシリコーン系レベリング剤の例としては、特開2003−112383号公報の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。特に、ポリ−エーテル変性シリコーンオイル(SF−8428、SH−3746、BY−16−004、各東レダウコーニングシリコーン製)、直鎖ジメチルシリコーンーポリエーテルブロックコポリマー(FZ−2203,2206,2207、各日本ユニカー製)、ジメチルポリシロキサン(SH−200、東レダウコーニングシリコーン製)が好ましい。また、例えば特開2004−42278号公報段落番号[0068]に記載のもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0053】
フッ素系レベリング剤としては、フルオロアルキル基を含有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖[例えば−CFCF、−CH(CFH、−CH(CFCF、−CHCH(CFH等]であっても、分岐構造[例えば−CH(CF、−CHCF(CF、−CH(CH)CFCF、−CH(CH)(CFCFH等]であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であってもよく、エーテル結合を有していてもよい(例えば−CHOCHCFCF、−CHCHOCHH、−CHCHOCHCH17、−CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
【0054】
フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はなく用いられる。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが、20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としては、“R−2020”、“M−2020”、“R−3833”、“M−3833”[商品名:以上、ダイキン化学工業(株)製];メガファックF−171、F−172、F−179A、F−780−F、ディフェンサMCF−300[商品名:以上、大日本インキ(株)製]などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0055】
以上の添加剤のうち、フルオロアルキル基含有共重合体を塗布組成物中に含有することが特に好ましい。このフルオロアルキル基含有共重合体は、より少ない添加量で、光学フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましい。
【0056】
また、この塗布層に対して、さらに上層に低屈折率層等の皮膜を形成する場合には、この添加剤中に結合形成または相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
【0057】
さらに、以下のフルオロアルキル基含有共重合体の構造の選択により、機能層表面に偏在した共重合体を有機溶剤などの洗浄液で洗浄した時に洗浄液に抽出させて、低屈折率層などの第2の硬化層を形成する時には第1の硬化層表面に存在させないことが好ましい。
【0058】
フルオロアルキル基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)は、側鎖に炭素数2以上のパーフルオロアルキル基を有するフルオロアルキル基を有する共重合体を用いることが好ましい。
なかでも、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)および下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)を含むアクリル樹脂またはメタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。
【0059】
(i) 下記一般式(1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
(ii)ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及び/またはポリ(オキシアルキレン)メタクリレート
【0060】
一般式(1)
【0061】
【化3】


【0062】
一般式(1)においてRは水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R)−を表す。ここでRは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子がより好ましい。
一般式(1)中のmは1〜6の整数を表し、2が特に好ましい。
一般式(1)中のnは1〜5の整数を表し、1〜3が好ましく、1〜3の混合物を用いても良く、2〜3が特に好ましい。
一般式(1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーのより具体的なモノマーの例としては特開2004−163610号公報の[0027]〜[0030]に記載のF−1〜F−64の化合物を挙げることができるがこの限りではない。
【0063】
次に、ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及び/またはポリ(オキシアルキレン)メタクリレートについて説明する。
ポリオキシアルキレン基は(OR)xで表すことができ、Rは2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、例えば−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、または−CH(CH)CH(CH)−であることが好ましい。
前記のポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位はポリ(オキシプロピレン)におけるように同一であってもよく、また互いに異なる2種以上のオキシアルキレンが不規則に分布されたものであっても良く、直鎖または分岐状のオキシプロピレンまたはオキシエチレン単位であったり、または直鎖または分岐状のオキシプロピレン単位のブロック及びオキシエチレン単位のブロックのように存在するものであっても良い。
このポリ(オキシアルキレン)鎖は1つまたはそれ以上の連鎖結合(例えば−CONH−Ph−NHCO−、−S−など:Phはフェニレン基を表す)で連結されたものも含むことができる。連鎖の結合が3つまたはそれ以上の原子価を有する場合には、これは分岐鎖のオキシアルキレン単位を得るための手段を供する。またこの共重合体を本発明に用いる場合には、ポリ(オキシアルキレン)基の分子量は250〜3000が適当である。
【0064】
ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及びメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名“プルロニック”[Pluronic(旭電化工業(株)製)、アデカポリエーテル(旭電化工業(株)製)“カルボワックス[Carbowax(グリコ・プロダクス)]、”トリトン“[Toriton(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas製))およびP.E.G(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリドまたは無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
【0065】
本発明におけるフッ素系ポリマーは、一般式(1)で表されるモノマーとポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートとの共重合体が用いられことが好ましいが、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートを含むことが塗布液に対する溶解性が向上することから更に好ましい。
特に好ましい態様としては、一般式(1)で表されるモノマーとポリオキシエチレン(メタ)アクリレートとポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートとの3種以上のモノマーを共重合したポリマーである。ここでポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートは、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートとは異なるモノマーである。
より好ましくは、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートとポリオキシプロピレン(メタ)アクリレートと一般式(1)で表されるモノマーとの3元共重合体である。
ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートの好ましい共重合比率としては、全モノマー中の0.5モル%以上20モル%以下、より好ましくは1モル%以上10モル%以下である。
【0066】
本発明で用いられるフッ素系ポリマーは、(i)および(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位と、それらに共重合可能な下記一般式(2)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことも好ましい。
【0067】
一般式(2)
【化4】




【0068】
一般式(2)において、Rは水素原子、メチル基を表し、Yは2価の連結基を表す。2価の連結基としては、酸素原子、イオウ原子、−N(R5)−、等が好ましい。ここでR5は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が好ましい。R5のより好ましい形態は水素原子及びメチル基である。
Yは、酸素原子、−N(H)−、−N(CH)−がより好ましい。
は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。Rのアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
【0069】
一般式(2)で示されるモノマーのより具体的には特開平2004−163610号公報[0033]〜[0041]のA−1〜A−130があげられるがこの限りではない。
【0070】
さらに本発明で使用するフッ素系ポリマーは、一般式(1)で表されるモノマー、ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及び/またはポリ(オキシアルキレン)メタクリレート、更に必要に応じて用いられる一般式(2)で表されるモノマーの他に、これらと共重合可能なモノマーを反応させることができる。
この共重合可能なモノマーの好ましい共重合比率としては、全モノマー中の20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
このような単量体としては、PolymerHandbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2,Page 1〜483記載のものを用いることができ、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
【0071】
具体的には、以下の単量体をあげることができる。
アクリル酸エステル類: アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなど。
メタクリル酸エステル類: メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、クロルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなど。
【0072】
アクリルアミド類: アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなど。
メタクリルアミド類: メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミドなど。
アリル化合物: アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど。
【0073】
ビニルエーテル類: アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど。
ビニルエステル類: ビニルビチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β―フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなど。
【0074】
イタコン酸ジアルキル類: イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど。
フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類: ジブチルフマレートなど。
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、スチレンなど。
【0075】
本発明で用いられるフッ素系ポリマー中に用いられるこれらの一般式(1)で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて5モル%以上であり、好ましくは5〜65モル%であり、より好ましくは10〜60モル%の範囲である。
ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及び/又はポリ(オキシアルキレン)メタクリレートの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%である。
一般式(2)で表されるモノマーの量は、該フッ素ポリマーの各単量体に基づいて、3モル%以上であり、好ましくは5〜50モル%であり、より好ましくは10〜40モル%である。
【0076】
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、6,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、ハードコート層または光拡散層形成塗布組成物(溶媒を除いた塗布成分)に対して0.001〜8質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜5質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなることがある。
【0077】
本発明のフッ素系ポリマーは公知慣用の方法で製造することができる。例えば先にあげたフルオロ脂肪族基を有する(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート等の単量体を有機溶媒中、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造てきる。もしくは場合によりその他の付加重合性不飽和化合物とを、添加して上記と同じ方法にて製造することができる。
各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。
【0078】
以下、本発明によるフッ素系ポリマーの具体的な構造の例を示すがこの限りではない。なお式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
【0079】
【化5】


【0080】
【化6】


【0081】
【化7】


【0082】
【化8】


【0083】
【化9】


【0084】
【化10】


【0085】
【化11】


【0086】
【化12】


【0087】
【化13】


【0088】
【化14】


【0089】
【化15】


【0090】
本発明で用いられるフッ素ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、6,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるレベリング剤の好ましい添加量は、光拡散層形成組成物(溶媒を除いた塗布成分)に対して、0.01〜1質量%の範囲であり、レベリング剤の添加量が0.01質量%未満では効果が不十分であり、また1質量%より多くなると、上層塗布時に種々の故障の原因となる。
【0091】
3.<第1硬化層の硬化>
本発明のフィルムは溶剤の乾燥の後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。
【0092】
本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
【0093】
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
【0094】
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、20mJ/cm〜500mJ/cmであり、特に好ましくは、30mJ/cm〜250mJ/cmである。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。
【0095】
電離放射線を照射する時間については0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.5秒以下では、硬化反応が完了することができず、十分な硬化を行うことができない。また長時間低酸素条件を維持することは、設備が大型化し、多量の不活性ガスが必要であり好ましくない。
【0096】
酸素濃度は6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することが好ましく、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。必要以上に酸素濃度を低減するためには、窒素などの不活性ガスの多量の使用量が必要であり、製造コストの観点から好ましくない。
【0097】
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
【0098】
不活性ガスを電離放射線照射室に供給し、かつ照射室のウェッブ入り口側にやや吹き出す条件にすることで、ウェッブ搬送にともなう同伴エアーを排除し反応室の酸素濃度を有効に下げられるとともに、酸素による硬化阻害の大きい極表面の実質の酸素濃度を効率よく低減することができる。照射室のウェッブ入り口側での不活性ガスの流れの方向は、照射室の給気、排気のバランスを調整することなどで制御できる。
不活性ガスをウェッブ表面に直接吹き付けることも、導搬エアーを除去する方法として好ましく用いられる。
【0099】
また前記反応室の前に前室を設け、事前にウェッブ表面の酸素を排除することで、より硬化を効率よく進めることができる。また電離放射線反応室または前室のウェッブ入口側を構成する側面は、不活性ガスを効率的に使用するために、ウェッブ表面とのギャップは0.2〜15mmが好ましく、より好ましくは、0.2〜10mmとするのがよく、0.2〜5mmとするのがもっとも好ましい。しかし、ウェッブを連続製造するには、ウェッブを接合して繋げていく必要があり、接合には接合テープなどで貼る方法が広く用いられている。このため、電離放射線反応室または前室の入口面とウェッブのギャップをあまり狭くすると、接合テープなど接合部材が引っかかる問題が生じる。このためギャップを狭くするためには、電離放射線反応室または前室の入口面の少なくとも一部を可動とし、接合部が入るときは接合厚み分ギャップを広げるのが好ましい。この実現のためには、電離放射線反応室または前室の入口面を進行方向前後に可動にしておき、接合部が通過する際に前後に動いてギャップを広げるやり方や、電離放射線反応室または前室の入口面をウェッブ面に対し、垂直方向に可動にし、接合部が通過する際に上下に動いてギャップを広げるやり方を取ることができる。
【0100】
硬化の際、フィルム面が60℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。60℃以下では加熱の硬化は少なく、170℃以上では基材の変形などの問題が生じる。更に好ましい温度は60℃〜100℃である。フィルム面とは硬化しようとする層の膜面温度を指す。またフィルムが前記温度になる時間は、UV照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。フィルム面の温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を促進できず、逆に長すぎてもフィルムの光学性能が低下し、また設備が大きくなるなどの製造上の問題も生じる。
【0101】
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気・オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用しても良い。
【0102】
本発明では、第1の硬化層が未反応の重合性化合物を含有したまま第2の硬化層を塗設し、その後に更に硬化を進めることが好ましい。第2の硬化層を塗設する前の第1の硬化層の重合性化合物の重合率は、10〜80%が好ましく、更に好ましくは20〜70%、最も好ましくは30〜60%である。上記範囲に重合率を調節することで、レベリング剤の除去が容易となり、また第1の硬化層と第2の硬化層の間の界面密着強化が達成できる。重合率は、高分子分析ハンドブック(日本分析化学会高分子分析懇談会編)に記載されている方法を用いることができる。具体的には、例えば(メタ)アクロイルオキシ基による重合反応の場合には、塗布済みのハードコート層中バインダーの(メタ)アクロイルオキシ基の炭素―炭素二重結合(C=C)起因の810cm−1付近の赤外吸収ピーク面積Aとアシル基(C=O)起因の1720cm−1付近の赤外吸収ピーク面積Bを重合反応前後で測定し、[(重合後のA/B)/(重合前のA/B)]*100により二重結合の消失度を算出し、これを重合率(%)とする。
【0103】
4.<レベリング剤を除去する方法>
レベリング剤を除去する方法としてはレベリング剤を溶解する溶剤などの洗浄液で硬化層表面を洗浄する方法、加熱して蒸発させる方法、UV光などの高エネルギー線などを照射しレベリング剤を分解、蒸発させる方法などが挙げられるが、(分解)蒸発したレベリング剤の回収の問題を考えると、レベリング剤を溶解する溶剤、特に有機溶剤等の洗浄液で第1の硬化層表面を洗浄することで、除去することが好ましい。
洗浄液で洗浄することによって洗浄液に含有したレベリング剤を吸着剤などで除去し洗浄液を再利用することが、環境保全の観点からより好ましい。
【0104】
洗浄は、洗浄液を塗布する方法、洗浄液を吹き付ける方法、あるいは、洗浄液の入った容器に基材となる第一の硬化層を有するプラスチックフィルム(以下、プラスチックフィルムと略記する)ごと浸漬する方法で実施できる。洗浄液を塗布する方法と吹き付ける方法が、プラスチックフィルムを連続搬送しながら実施するため、生産性の観点で好ましい。洗浄液を吹き付ける方法は、噴流によってレベリング剤を含む硬化層上の洗浄液中で乱流混合が起こり洗浄効率が上がるため、特に好ましい。
【0105】
洗浄液の吹き付け方法は、塗布ヘッド(例、ファウンテンコーター、フロッグマウスコーター)を用いる方法、あるいは、空気の加湿や塗装、タンクの自動洗浄に利用されるスプレーノズルを用いる方法で実施できる。塗布方式に関しては、「コーティングのすべて」荒木正義編集、(株)加工技術研究会(1999年)に記載がある。円錐状あるいは扇状のスプレーノズルをプラスチックフィルムの幅方向に配列して、全幅に噴流が衝突するように配列することができる。市販のスプレーノズル(例えば、(株)いけうち製、スプレーイングシステムズ社製)を用いても良い。
【0106】
洗浄液の吹き付け速度は、大きいほうが高い乱流混合が得られる。ただし、速度が大きいと、連続搬送するプラスチックフィルムの搬送安定性を損なう場合もある。吹き付けの衝突速度は、50〜1000cm/秒が好ましく、100〜700cm/秒がさらに好ましく、100〜500cm/秒が最も好ましい。
【0107】
洗浄液の吹き付け量のバラツキは、走行するプラスチックフィルムの幅方向および塗布時間に対して30%未満に制御することが好ましい。ただし、プラスチックフィルムの幅方向の両端では、第1の硬化層の膜厚が厚く、それに伴い、レベリング剤の塗布量が多いことがしばしば発生する。塗布量が多い部分の洗浄性を確保するために、幅方向両端の吹き付け量を増やすこともできる。塗布ヘッドを用いる場合は、両端の流量が多くなるように洗浄液が吐出するスリットのクリアランスを広く設定する。また、局所的に両端に洗浄液膜を供給するために幅が狭いコーターを別途、設置してもよい。幅が狭いコーターは、複数設置することもできる。スプレーノズルを用いる場合も、両端に局所的に洗浄液を吹き付けるためのノズルを設置する。
【0108】
洗浄工程で一定の洗浄液を用いる場合、一度に全量適用するよりも数回に分割して適用する回分式洗浄方法が好ましい。すなわち、洗浄液の量を幾つかに分けて、プラスチックフィルムの搬送方向にタンデムに設置した複数の洗浄手段に供給する。一つの洗浄手段と次の洗浄手段との間には適当な時間(距離)を設けて、拡散によるレベリング剤の希釈を進行させる。さらに好ましくは、プラスチックフィルムに傾斜を設けるなどして、フィルム上の洗浄液がフィルム面に沿って流れるようにすれば、拡散に加えて、流動による混合希釈が得られる。
【0109】
最も好ましい方法としては、洗浄手段と洗浄手段の間にプラスチックフィルムの洗浄液膜を除去する液切り手段を設けることで、更に洗浄希釈効率を高められる。具体的な液切り手段としては、ブレードコーターに用いられるブレード、エアナイフコーターに用いられるエアナイフ、ロッドコーターに用いられるロールが挙げられる。タンデムに配置された洗浄手段の数は、多いほうが有利である。ただし、設置スペースならびに設備コストの観点から、通常は2〜10段、好ましくは2〜5段が使用される。
【0110】
液切り手段後の洗浄液膜厚みは、薄い方が好ましいが、用いる液切り手段の種類によって最低液膜厚みが制限される。ブレード、ロッド、ロールなど、物理的に固体をプラスチックフィルムに接触させる方法においては、例え固体がゴムなどの硬度の低い弾性体であったとしても、フィルム表面にキズを付けたり、弾性体が磨り減ったりするので有限の液膜を潤滑流体として残す必要がある。通常は、数μm以上、好ましくは10μm以上の液膜を潤滑流体として残存させる。
【0111】
極限まで洗浄液膜厚みを減少させられる液切り手段としては、エアナイフが好ましい。充分な風量と風圧を設定することにより、洗浄液膜厚みをゼロに近づけることが出来る。ただし、エアの吹出し量が大きすぎると、ばたつきや寄りなど、プラスチックフィルムの搬送安定性に影響を及ぼすことがあるので、好ましい範囲が存在する。プラスチックフィルム上の元の洗浄液膜厚み、フィルムの搬送速度にもよるが、通常は10〜500m/秒、好ましくは20〜300m/秒、より好ましくは30〜200m/秒の風速を使用する。また、均一に洗浄液膜除去を行うためには、プラスチックフィルムの幅方向の風速分布を、通常は10%以内、好ましくは5%以内になる様、エアナイフの吹出し口やエアナイフへの給気方法を調整する。搬送するプラスチックフィルム表面とエアナイフ吹出し口の間隙は、狭い方が液切り能が増すが、プラスチックフィルムと接触して傷付ける可能性が高くなるため、適当な範囲がある。通常は、10μm〜10cm、好ましくは100μm〜5cm、さらに好ましくは500μm〜1cmの間隙をもって、エアナイフを設置する。さらに、エアナイフと対向する様に、プラスチックフィルムの洗浄面と反対側にバックアップロールを設置することで、間隙の設定が安定するとともに、フィルムのバタツキやシワ、変形などの影響を緩和することができるために好ましい。
【0112】
洗浄液の温度は、高い方が洗浄能力が上がる。しかし、搬送されるプラスチックフィルム上に洗浄液を吹き付ける方法においては、空気と接触する有機溶剤の面積が大きく、高温ほど蒸発が著しくなるため、周囲の有機溶剤濃度が増す。このため、洗浄液の温度は、通常は5〜50℃、好ましくは10℃〜40℃、さらに好ましくは20℃〜30℃の範囲で設定する。
【0113】
洗浄工程の次に乾燥工程を実施することもできる。通常は、エアナイフなどの液切り手段で充分に洗浄液膜を除去できることが多く、乾燥工程は必要でないことあるが、プラスチックフィルムをロール状に巻き取る前に、加熱乾燥してもよい。乾燥風の温度は30〜200℃が好ましく、40〜150℃がより好ましく、50〜120℃が特に好ましい。
【0114】
本発明のレベリング剤の洗浄方法は上述した洗浄工程の後にロール状に巻き取る前に、連続して第2の硬化層の塗設を行うことができる。連続して塗設を行うことで洗浄液の乾燥の負荷を減少させることができ、好ましい。また、第1の硬化層積層後の巻き取り後にレベリング剤が裏面に転写している場合、洗浄後に巻き取ることで、裏面に転写したレベリング剤が硬化層側に不均一に2次転写する可能性があり、これを回避するためにも洗浄後に連続して第2の硬化層を塗設することが好ましい。
【0115】
5.<透明プラスチック基材(透明基材)>
次に、透明プラスチックフィルム基材について説明する。
本発明の光学フィルムの基材として用いられる透明プラスチックフィルムとしてはセルロースエステルセルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましく、特に、液晶表示装置に用いる場合、トリアセチルセルロースであることが好ましい。
【0116】
透明基材がトリアセチルセルロースアシレートフィルムの場合、トリアセチルセルロースアシレートを溶剤に溶解することで調整したトリアセチルセルロースアシレートドープを単層流延、複数層共流延の何れかの流延方法により作製したトリアセチルセルロースアシレートフィルムが好ましい。
【0117】
特に、環境保全の観点から、トリアセチルセルロースアシレートを低温溶解法あるいは高温溶解法によってジクロロメタンを実質的に含まない溶剤に溶解することで調整したトリアセチルセルロースアシレートドープを用いて作製したトリアセチルセルロースアシレートフィルムが好ましい。
本発明に好ましく用いられるトリアセチルセルロースアシレートフィルムについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745)に例示されている。
【0118】
上記の透明基材の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚は、好ましくは1〜300μmであり、より好ましくは30〜150μm、特に好ましくは40〜120μm、最も好ましくは40〜100μmである。
透明基材の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。
透明基材のヘイズは低い方が好ましい。2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
透明基材の屈折率は、1.40〜1.70であることが好ましい。
本発明の光学フィルムに用いられる透明基材はウェブ状で用いられることが好ましく、該フィルムの表面粗さの中心線平均粗さ(Ra)が1μm以下、あるいは1μmより大きい凹凸部分が塗布進行方向において連続して10cm未満のウェブを用いることが、塗布スジ故障低減のために好ましく、Raが0μm以上0.8μm以下で、凹凸部分が進行方向において連続して5cm未満であることがさらに好ましい。
【0119】
透明基材には、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明基材の構成樹脂に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。
また、透明基材には、滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を添加してもよい。無機化合物の例には、SiO、TiO、BaSO、CaCO、タルクおよびカオリンが含まれる。
【0120】
透明基材に、表面処理を実施してもよい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理とコロナ放電処理が特に好ましい。
【0121】
6.<第2硬化層の構成>
本発明において、第2の硬化層を低屈折率層、高屈折率層、又は中屈折率層とすることで、前述の層構成で述べた光学フィルムを作製することができる。好ましい一つの態様として、本発明の光拡散層を形成した後、更に低屈折率層を形成し、光拡散性を有する反射防止フィルム(以降、単に反射防止フィルムと称する。)を作製することができる。
【0122】
6−1.<低屈折率層>
本発明の低屈折率層は、含フッ素化合物を含有することが好ましい。特に、含フッ素化合物を主体とする低屈折率層を構築することが好ましい。含フッ素化合物を主体とする低屈折率層は最外層として保護層又は防汚層として機能することができる。ここで、「含フッ素化合物を主体とする」とは、低屈折率層の中に含まれる構成成分のうち、含フッ素化合物の質量比が最も大きいことを意味し、含フッ素化合物の含有率が低屈折率層の全質量に対し50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上含まれることがより好ましい。
【0123】
本発明の含フッ素化合物を有する低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)、塗布法のどちらで作製してもよいが、低コストで作製できる点で塗布法が好ましい。
塗布法で作製する場合、低屈折率層の含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物の架橋又は重合反応により形成することが好ましく、該架橋又は重合性の官能基は電離放射線硬化性の官能基であることが好ましい。以下、低屈折率層に含まれる含フッ素化合物について記載する。
【0124】
(含フッ素化合物)
低屈折率層に含まれる含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47、さらに好ましくは1.38〜1.45である。
含フッ素化合物には、含フッ素ポリマー、含フッ素シラン化合物、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテルなどが挙げられる。
含フッ素ポリマーとしては、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの架橋又は重合反応により合成されたものが挙げられる。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例には、フルオロオレフィン(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素置換アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが含まれる。
【0125】
含フッ素ポリマーとしてフッ素原子を含む繰り返し構造単位とフッ素原子を含まない繰り返し構造単位からなる共重合体も用いることができる。
上記共重合体は、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーとフッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることができる。
フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーとしては、オレフィン(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等)、メタクリル酸エステル(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレンおよびその誘導体(例、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミドおよびアクリロニトリルが挙げられる。
【0126】
含フッ素シラン化合物としては、パーフルオロアルキル基を含むシラン化合物などが挙げられる。
【0127】
含フッ素界面活性剤は、疎水性部分を構成する炭化水素の水素原子の一部または全部が、フッ素原子により置換されているもので、その親水性部分はアニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性のいずれであってもよい。
【0128】
含フッ素エーテルは、一般に潤滑剤として使用されている化合物である。含フッ素エーテルとしては、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
【0129】
低屈折率層の含フッ素化合物としては、架橋又は重合構造が導入された含フッ素ポリマーが特に好ましい。架橋又は重合構造が導入された含フッ素ポリマーは、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物を架橋又は重合させることにより得られる。
【0130】
架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有さない含フッ素化合物に、架橋又は重合性の官能基を側鎖として導入することにより得ることができる。架橋又は重合性の官能基としては、光(好ましくは紫外線照射)、電子ビーム(EB)照射あるいは加熱などにより反応して含フッ素ポリマーが架橋又は重合構造を有するようになる官能基であることが好ましい。架橋又は重合性の官能基としては、(メタ)アクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロールおよび活性メチレン等の基が挙げられる。架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物として、市販品を用いてもよい。
【0131】
低屈折率層の含フッ素化合物は、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位をからなる共重合体を主成分として含有することが好ましい。該共重合体由来の成分は最外層の全質量に対し50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。以下に、最外層に用いられるのに好ましい上記共重合体について説明する。
【0132】
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学工業(株)製)やM−2020(商品名、ダイキン工業(株)製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%であり、特に好ましくは30〜50質量%である。
【0133】
上記共重合体は(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を有する。(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、(i)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、(ii)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(iii)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(iv)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(v)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(vi)3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して(i)または(ii)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
【0134】
側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位は、上記共重合体中に5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
【0135】
上記共重合体には、上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、透明基材など下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合させることもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、より好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは0〜30モル%である。
【0136】
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
【0137】
本発明に用いられる含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位からなる共重合体の好ましい形態として、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。
一般式(4)
【0138】
【化16】


【0139】
一般式(4)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖、分岐、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**、*−(CH2)2−NH−**、*−(CH2)4−O−**、*−(CH2)6−O−**、*−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**、−CONH−(CH2)3−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
【0140】
一般式(4)中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
【0141】
一般式(4)中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、透明基材など下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていてもよい。
【0142】
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
【0143】
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10である。
【0144】
さらに上記共重合体の特に好ましい形態として一般式(5)で表されるものが挙げられる。
一般式(5)
【0145】
【化17】


【0146】
一般式(5)中、X、x、yはそれぞれ一般式(4)と同義であり、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、単一組成であっても複数組成によって構成されていてもよい。例としては、前記一般式(4)におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のモル%を表し、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式(5)で表される共重合体としては、40≦x≦60、30≦y≦60、z2=0を満たすものが特に好ましい。
【0147】
一般式(4)又は一般式(5)で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
【0148】
本発明で有用な共重合体の好ましい例として、特開2004−45462号公報の[0043]〜[0047]に記載されたものが挙げられる。また、それらの共重合体の合成法も該公報に詳しく記載されている。
【0149】
また、本発明に用いられる共重合体の合成は、上記以外の種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することによって行なうこともできる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
【0150】
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
【0151】
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独又は2種以上の混合物でもよいし、水との混合溶媒としてもよい。
【0152】
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
【0153】
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
【0154】
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
【0155】
本発明の低屈折率層を作製するのに用いる組成物は、塗料の形態をとることが好ましく、含フッ素化合物を必須の構成成分とし、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが0.01〜60質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
【0156】
低屈折率層は、目的に応じて充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、滑り剤(ジメチルシリコーンなどのポリシロキサン化合物等)、オルガノシラン化合物及びその誘導体、バインダー、界面活性剤等の添加剤を含有することができる。特に、充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、滑り剤(ジメチルシリコーンなどのポリシロキサン化合物等)を添加することは好ましい。
以下に、低屈折率層に用いる好ましい充填剤、滑り剤等について記載する。
【0157】
(低屈折率層の好ましい充填剤)
充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)は、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)を改良する点で、添加することが好ましい。低屈折率層に添加する充填剤としては無機微粒子が好ましく、中でも屈折率が低い二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)などが好ましい。特に好ましいのは二酸化珪素(シリカ)である。
【0158】
充填剤の一次粒子の質量平均粒径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることがさらに好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。低屈折率層において充填剤は、より微細に分散されていることが好ましい。充填剤の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状(中空状)、あるいは不定形状であることが好ましい。特に好ましいのは、球形状、不定形状、中空状である。充填剤は、結晶質、非晶質のいずれでも良い。
【0159】
充填剤は、分散液中又は塗料中で、分散安定化を図るために、あるいは低屈折率層の構成成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。カップリング剤による表面処理が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシ化合物(例、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。特に、シランカップリング剤処理が有効である。
【0160】
充填剤の表面処理は、低屈折率層の塗料の調製前にあらかじめ表面処理を実施しておくことが好ましいが、カップリング剤による表面処理の場合、塗料の調製時に塗料中にカップリング剤を添加して実施することも好ましい。
【0161】
充填剤は、媒体(溶媒など)中に予め分散されていることが好ましい。
充填剤の添加量は、低屈折率層の全質量に対し5〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは20〜40質量%である。少なすぎると物理強度(耐擦傷性など)の改良効果が減り、多すぎると低屈折率層が白濁することがある。
【0162】
充填剤の平均粒径は、低屈折率層の膜厚に対し20〜100%が好ましく、より好ましくは30〜80%、特に好ましくは30%〜50%である。
【0163】
低屈折率層に添加する充填剤が二酸化珪素微粒子の場合、中空の二酸化珪素微粒子を用いることが特に好ましい。
中空のシリカ微粒子は屈折率が1.17〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最もに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(1)で表される空隙率xは、好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
【0164】
数式(1)
x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
【0165】
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、これら中空シリカ粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなった。
中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611号や特開2002−79616号に記載されている。
【0166】
中空シリカの塗布量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
【0167】
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上80nm以下、最も好ましくは40nm以上60nm以下である。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
【0168】
(低屈折率層の好ましい滑り剤)
滑り剤は、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)、防汚性を改良する点で添加することが好ましい。
滑り剤としては、含フッ素エーテル化合物(パーフルオロポリエーテル、及び、その誘導体など)、ポリシロキサン化合物(ジメチルポリシロキサン、及び、その誘導体など)などが挙げられる。ポリシロキサン化合物が好ましい。
【0169】
ポリシロキサン化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物の末端、及び/又は、側鎖に置換基を有するものが挙げられる。
ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として含む化合物中にはジメチルシリルオキシ単位以外の構造単位(置換基)を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。
【0170】
好ましい置換基の例としては(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
【0171】
滑り剤の分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シロキサン化合物のSi原子含有量には特に制限はないが5質量%以上であることが好ましく、10〜60質量%であることが特に好ましく、15〜50質量%であることが最も好ましい。
【0172】
特に好ましい滑り剤は、下記一般式(A)で表される架橋又は重合性の官能基を有するポリシロキサン化合物及びその誘導体(誘導体とは、例えば、一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物の架橋又は重合体、一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物とポリシロキサン化合物以外の架橋又は重合可能な官能基を有する化合物との反応生成物など)である。
一般式(A)
【0173】
【化18】


【0174】
一般式(A)中、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜20の置換基を表し、それぞれの基が複数ある場合それらは互いに同じであっても異なっていてもよく、R1、R3、R4のうち少なくとも一つの基が架橋又は重合性の官能基を表す。
pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは10≦q≦500を満たす整数を表し、rは0≦r≦500を満たす整数を表し、{ }で囲われているポリシロキサン部分はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
【0175】
本発明の低屈折率層は、一般式(A)で表される架橋又は重合性の官能基を有するポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体と含フッ素化合物とを含む硬化物を含有することが好ましい。
【0176】
ポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体の含有量は、含フッ素化合物に対し、0.1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
【0177】
ポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体において、好ましい架橋又は重合性の官能基は、低屈折率層の他の構成成分(含フッ素化合物、バインダー、など)と架橋又は重合反応して結合を形成することができる官能基であればよく、例えば、活性水素原子を有する基(たとえば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、カチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニル基、ビニルオキシ基等)、ラジカル種による架橋または重合が可能な不飽和二重結合を有する基((メタ)アクリロイル基、アリル基等)、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、酸無水物、イソシアネート基、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等が挙げられる。
【0178】
これらの架橋又は重合性官能基は最外層の構成成分に合わせて適宜選択される。好ましくは、電離放射線硬化性の官能基である。
【0179】
また、一般式(A)の架橋又は重合性の官能基は、含フッ素化合物が有する架橋又は、重合性の官能基と架橋又は重合反応することが好ましく、特に好ましい官能基はカチオン開環重合反応性基(特に、エポキシ基、オキセタニル基など)、ラジカル重合反応性基(特に、(メタ)アクリロイル基)である。
【0180】
一般式(A)のR2が表す置換基は、炭素数1〜20の置換又は無置換の有機基であり
、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、ヘキシル基等)、フッ素化アルキル基(トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)または炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)であり、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、フッ素化アルキル基またはフェニル基であり、特に好ましくはメチル基である。これらはさらに置換基で置換されていてもよい。
一般式(A)のR1、R3、R4が架橋又は重合性の官能基でない場合、上記有機基をとることができる。
【0181】
pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは10≦q≦500を満たす整数を表し、好ましくは50≦q≦400であり、特に好ましくは100≦q≦300である。rは0≦r≦500を満たす整数を表し、好ましくは0≦r≦qであり、特に好ましくは0≦r≦0.5qである。
【0182】
一般式(A)で表される化合物のポリシロキサン構造は、その繰り返し単位(−OSi(R22−)が単一の置換基(R2)のみで構成された単独重合体であっても、異なる置換基を有する繰り返し単位の組み合わせによって構成されたランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
【0183】
一般式(A)で表される化合物の質量平均分子量は、103〜106であることが好ましく、より好ましくは5×103〜5×105であり、特に好ましくは104〜105である。
【0184】
一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物は市販されているもの、例えば、KF-100T、X-22-169AS、KF-102、X-22-3701IE、X-22-164B、X-22-164C、X-22-5002、X-22-173B、X-22-174D、X-22-167B、X-22-161AS、X-22-174DX、X-22-2426、X-22-170DX、X-22-176D、X-22-1821(信越化学工業(株)製)、AK-5、AK-30、AK-32(東亜合成化学(株)製)、サイラプレーンFM-0275、FM-0721、FM-0725、FM-7725、DMS-U22、RMS-033、RMS-083、UMS-182(チッソ(株)製)等を用いることもできる。また、市販のポリシロキサン化合物が含有する水酸基、アミノ基、メルカプト基等に架橋、又は、重合性官能基を導入することで作製することもできる。
【0185】
以下に、一般式(A)で表される好ましいポリシロキサン化合物の具体例としては、特開2003−329804号公報の[0041]〜[0045]に記載された化合物S−(1)〜S−(32)が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0186】
一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体の添加量は、最外層の全固形分に対し、0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
【0187】
(低屈折率層及びその形成法)
低屈折率層は、上記含フッ素化合物、さらに必要に応じて、上記充填剤、上記ポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体、を溶媒に溶解、又は、分散した塗料を塗布することにより作製することが好ましい。
好ましい溶媒としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
特に好ましい溶媒としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類であり、最も好ましい溶媒としては、ケトン類である。ケトン類の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。溶媒には、ケトン系溶媒の含有量が塗料に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。 2種類以上の溶剤を併用することもできる。
【0188】
架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物であれば、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、含フッ素化合物を架橋又は重合反応させ、低屈折率層を作製することが好ましい。
含フッ素化合物が、ラジカルで架橋又は重合する官能基を有していれば、ラジカル重合開始剤、特に光ラジカル重合開始剤を用いて架橋又は重合反応させることが好ましい。また、カチオンで架橋又は重合する官能基を有していれば、カチオン重合開始剤、特に光カチオン重合開始剤を用いて架橋又は重合反応させることが好ましい。
【0189】
ラジカル重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、あるいは光の作用によりラジカルを発生するものが好ましい。特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤は前記帯電防止層の項に記載のものが好ましく用いられる。
【0190】
光ラジカル重合開始剤は、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましくこれについては、高薄一弘著「最新UV硬化技術」((株)技術情報協会、159頁、1991年)に記載されている。
【0191】
光重合開始剤は、含フッ素化合物100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
さらには、これらの光重合開始剤と併用して光増感剤も好ましく用いることができ、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
本発明においては、第1の硬化層が不飽和2重結合を含有する硬化樹脂を含有する場合に、第2の硬化層が光重合開始剤を含む態様が、界面密着強化の観点で好ましい。本発明の第1硬化層のレベリング剤を除去する工程で、第1硬化層の光重合開始剤も一部が除去されてしまうため、界面付近での光重合開始点が減少してしまう。第2硬化層組成物中に光重合開始剤を添加することで、第1硬化層の上部に光重合開始剤が供給され、光重合開始点の減少を補うことができる。
【0192】
バインダーは、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)、低屈折率層と隣接する層との密着性を改良する点で、添加することが好ましい。
含フッ素化合物が、架橋又は重合性の官能基を有する化合物であれば、バインダーは含フッ素化合物と架橋又は重合する官能基を有するバインダーであることが好ましい。
特に、含フッ素化合物が、光架橋又は光重合性の官能基を有する化合物であれば、バインダーとして光架橋又は光重合性の官能基を有する多官能モノマーであることが好ましい。光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、前記第1の硬化層で記載したものが挙げられる。多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
最外層の含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物と、一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体、及び/又は、該架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物と架橋又は重合するバインダーとから形成される硬化物であることが好ましい。
【0193】
低屈折率層は、含フッ素化合物、その他最外層の構成成分を溶解あるいは分散させた塗料を、塗布と同時又は塗布後に、光照射、電子線ビーム照射、加熱処理などを実施して、架橋又は重合反応させ、作製することが好ましい。
紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
【0194】
低屈折率層の作製は、特に最外層として電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成する場合には、酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。
低屈折率層を酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で作製することにより、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性、耐候性、更には、低屈折率層と低屈折率層と隣接する層との接着性を改良することができる。
好ましくは酸素濃度が3体積%以下の雰囲気で、電離放射線硬化性の化合物の架橋反応、又は、重合反応により作製することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。
酸素濃度を4体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
【0195】
低屈折率層の膜厚は30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜150nm、特に好ましくは60〜120nmである。
また低屈折率層の上にさらに最外層(例えば防汚層)を用いる場合、最外層の膜厚は3〜50nmが好ましく、より好ましくは5〜35nm、特に好ましくは7〜25nmである。
【0196】
低屈折率層は反射防止フィルムの物理強度を改良するために、表面の動摩擦係数が0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で表面を移動させたときの、表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
【0197】
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
また、低屈折率層の表面の水に対する接触角は後述する鹸化処理の前後で変わらないことが望ましく、鹸化処理の前後で変化量が10°以内であることが好ましく、特に好ましくは5°以内である。
【0198】
低屈折率層のヘイズは、低いほど好ましい。3%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。
【0199】
低屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
【0200】
低屈折率層には、前記の成分(含フッ素化合物、重合開始剤、光増感剤、充填剤、滑り剤、バインダーなど)以外に、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、などを添加することもできる。
【0201】
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は、ケイ素化合物を含むことが好ましい。
また、低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましい。より好ましくは1.31〜1.49、更に好ましくは1.35〜1.48、特に好ましくは1.37〜1.45である。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は塗布法または気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により作製することができる。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
【0202】
低屈折率層を塗布で作製する場合、下記一般式(I)で表されるケイ素化合物、及び、その誘導体(加水分解物、および該加水分解物が縮合して生成した架橋ケイ素化合物など)からなる群から選ばれた化合物で作製することもできる。この場合架橋、又は、重合ケイ素化合物で作製することが好ましい。
【0203】
一般式(I) (X1)a(Y1)bSi(Z1)4-a-b
【0204】
一般式(I)中:X1は、炭素数1〜12の有機基(例えばアルキル、アリール、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、アルケニル、またはエポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基等)を表す。Y1は、炭素数1〜3の炭化水素基である。Z1は、ハロゲン原子またはアルコキシ基(例えば、OCH3、OC25、OC37等)を表す。aおよびbは、同一または異なってもよく、0〜2の整数である。
【0205】
特に限定されないが、一般式(I)の具体例として、メチルシリケート、エチルシリケート等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシランなどのトリアルコキシ又はトリアシルオキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどのジアルコキシ又はジアシルオキシシラン類などが挙げられる。
【0206】
特に硬度を必要とする場合には、電離放射線硬化性ケイ素化合物、特に、電離放射線によって架橋又は重合反応する複数の官能基を有する分子量5,000以下のケイ素化合物が好ましい。例えば、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。エポキシ基、(メタ)アクリロイル基を含むケイ素化合物が好ましい。これらのケイ素化合物は単独又は2種類以上組み合わせることができる。
【0207】
これらのケイ素化合物は各種硬化剤、触媒を用いて硬化することが好ましく、例えば、ルイス酸、ルイス塩基を含む各種酸・塩基、及びこれらから作製される中性又は塩基性塩、例えば有機カルボン酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、臭素酸、亜セレン酸、チオ硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝酸、アルミン酸、炭酸の金属塩、特にアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、更にアルミニウム、ジルコニウム、チタニウムのアルコキシド又はこれらの錯化合物などが挙げられる。特に、好ましいのはアルミキレート化合物で、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセテートなどである。
【0208】
また、低屈折率層には、無機微粒子、例えばLiF、MgF2、SiO2等の微粒子を添加することが好ましく、なかでもSiO2が特に好ましい。
【0209】
(オルガノシラン化合物)
本発明において、反射防止フィルムの各層に特に好ましく用いることができるオルガノシラン化合物について記載する。
皮膜の物理強度(耐擦傷性など)、皮膜と皮膜に隣接する層の密着性を改良する点でオルガノシラン化合物及び/又はその誘導体を透明基材上のいずれかの層に添加することが好ましい。
【0210】
オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体としては、下記一般式(a)で表される化合物及び/又はその誘導体を用いることができる。好ましいのは、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基を含有するオルガノシラン化合物であり、特に好ましいのはエポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイルなど)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノなど)を含有するオルガノシラン化合物である。
【0211】
一般式(a) (R10s−Si(Z)4-s
【0212】
一般式(a)中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6である。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Zは水酸基または加水分解可能な基を表す。例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR12COO(R12は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
sは1〜3の整数を表す。好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはZが複数存在するとき、複数のR10あるいはZはそれぞれ異なっていてもよい。
【0213】
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アルコキシシリル基(トリメトキシシリル、トリエトキシシリル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更にこれらの置換基で置換されていてもよい。
【0214】
これらのうちで更に好ましくは水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基である。特に、架橋又は重合性の官能基が好ましく、エポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイル)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノ)が好ましい。またこれら置換基は更に上記の置換基で置換されていてもよい。
【0215】
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物及びその誘導体の中でも、下記一般式(b)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物及び/又はその誘導体が好ましい。
一般式(b)
【0216】
【化19】


【0217】
一般式(b)において、R11は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合、*−COO−**、*−CONH−**、*−O−**、又は*−NH−CO−NH−**を表し、単結合、*−COO−**、*−CONH−**が好ましく、単結合、*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。ここで、*は=C(R11)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
【0218】
1は2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
【0219】
tは0または1を表す。tとして好ましくは0である。
10は一般式(a)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Zは一般式(a)と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。Zが複数存在するとき、複数のZはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0220】
一般式(a)、一般式(b)の化合物、及びその誘導体は、2種類以上を併用してもよい。
一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物の好ましい具体例としては、特開2004−170901号公報の[0036]〜[0044]に記載されたM−1〜M−60が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0221】
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
【0222】
本発明において、一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物の誘導体とは、一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物、部分縮合物などを意味する。以下、本発明で用いるオルガノシラン化合物の好ましい誘導体(加水分解物及び/又は部分縮合物)について説明する。
オルガノシラン化合物の加水分解反応及び/又は縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
【0223】
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒を塗料あるいは塗料の一部として用いることが好ましく、その他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
【0224】
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。
これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
【0225】
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1%〜90質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜70質量%の範囲である。
【0226】
オルガノシラン化合物の加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明では、一般式R13OH(式中、R13は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R14COCH2COR15(式中、R14は炭素数1〜10のアルキル基、R15は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti及びAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物の存在下で、25〜100℃で撹拌することにより加水分解を行うことが好ましい。
【0227】
金属キレート化合物は、一般式R13OH(式中、R13は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R14COCH2COR15(式中、R14は炭素数1〜10のアルキル基、R15は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物は、一般式Zr(OR13p1(R14COCHCOR15p2、Ti(OR13q1(R14COCHCOR15q2、およびAl(OR13r1(R14COCHCOR15r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
【0228】
金属キレート化合物中のR13およびR14は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R15は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1およびr2は、それぞれ、p1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
【0229】
金属キレート化合物の具体例としは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、等が好ましい。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
【0230】
金属キレート化合物は、前記オルガノシラン化合物に対し、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%の割合で用いられる。0.01質量%未満では、オルガノシラン化合物の縮合反応が遅く、塗膜の耐久性が低下するおそれがあり、一方50質量%を超えると、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物と金属キレート化合物を含有してなる組成物の保存安定性が低下するおそれがあり好ましくない。
【0231】
上記オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体(加水分解物、部分縮合物)、さらに必要に応じて添加される金属キレート化合物などを含む組成物に、β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加することが好ましい。
【0232】
6−2.<中屈折率層又は高屈折率層>
本発明を構成する層を高屈折率化する目的に対しては、屈折率の高い無機粒子をモノマーと開始剤、有機置換された珪素化合物中に分散した組成物の硬化物が好ましく用いられる。
この場合の無機粒子としては、屈折率の観点から、特にATO、ZrO2、TiO2好ましく用いられる。高屈折率層、中屈折率層用の粒子としてはTiO2の微粒子が最も好ましい。
【0233】
上記TiO2の粒子としては、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するTiO2を主成分とする無機粒子が特に好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
【0234】
本発明におけるTiO2を主成分とする粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
【0235】
TiO2を主成分とする粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
【0236】
TiO2を主成分とする粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
【0237】
TiO2を主成分とする粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、TiO2が有する光触媒活性を抑えることができ、本発明の反射防止フィルムの耐候性を改良することができる。特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
【0238】
本発明で用いられるTiO2を主成分とする無機粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していてもよい。
【0239】
層中の無機粒子の添加量は、バインダーの全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。無機粒子は層内で2種類以上用いてもよい。
【0240】
層構成の頁で述べた代表的な例ニに対応する構成である、透明プラスチックフィルム基材/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層を有する光学フィルムにおいては、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層のそれぞれの層の光学膜厚、すなわち屈折率と膜厚の積が設計波長λに対してnλ/4前後、またはその倍数であることが好ましいことが特開昭59−50401号公報に記載されている。
また、低反射率かつ反射光の色味が低減された反射率特性を実現するためには、特に設計波長λ(=500nm)に対して中屈折率層が下式(I)を、高屈折率層が下式(II)を、低屈折率層が下式(III)をそれぞれ満足するのが好ましい。
【0241】
lλ/4×0.80<n1d1<lλ/4×1.00 (I)
【0242】
mλ/4×0.75<n2d2<mλ/4×0.95 (II)
【0243】
nλ/4×0.95<n3d3<nλ/4×1.05 (III)
【0244】
式中、lは1であり、n1は中屈折率層の屈折率であり、そして、d1は中屈折率層の層厚(nm)であり、mは2であり、n2は高屈折率層の屈折率であり、そして、d2は高屈折率層の層厚(nm)であり、nは1であり、n3は低屈折率層の屈折率であり、そして、d3は低屈折率層の層厚(nm)である。
【0245】
<塗工>
本発明の光拡散性反射防止フィルムの作製は、透明基材上に硬化塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法、スロットエクストルージョンコーター法(単層、重層)、スライドコーター法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、紫外線照射して、硬化させることにより作製することができる。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥条件は、基材の熱的強度や搬送速度、乾燥工程長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが重合率を高める点で好ましい。
【0246】
<光拡散フィルムの好ましい物性>
本発明の光拡散性反射防止フィルムの基材となる光拡散フィルムは、物理強度(耐擦傷性など)を改良するために、最外層を有する側の表面の動摩擦係数は0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で最外層を有する側の表面を移動させたときの、最外層を有する側の表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
【0247】
本発明の光拡散フィルムのヘイズは3%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、30%以上であることが特に好ましい。一方、ヘイズの上限は70%以下であることが好ましい。ヘイズが高いほど膜厚ムラが目立ちやすい。一方、ヘイズは高すぎると画像鮮明性が悪化する。
【0248】
本発明の光拡散フィルムの反射率は低いほど好ましく、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.5%以下、更に好ましくは2.0%以下、特に好ましくは1.5%以下である。
本発明の光拡散フィルムは、紫外線照射硬化後の膜厚で、200nm以下の塗布層が少なくとも1層塗布される。200nm以下の層は、より好ましくは160nm〜20nmであり、さらに好ましくは120nm〜40nmである。200nmの層以外の構成層としてこれより膜厚の厚い層が塗布されていてもよい。
さらに反射防止フィルムは、防汚性能を改良するために、最外層を有する側の表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
【0249】
前記のようにして製造された本発明の光拡散フィルムまたは反射防止フィルムは、公知の粘着剤層を設けて各種ディスプレイ材料の表面フィルムとして用いたり、これらのフィルムを用いて偏光板を作成することにより液晶表示装置等の画像表示装置に用いることができる。この場合、片面に粘着剤層を設けるなどして、ディスプレイの最表面に配置する。本発明の光拡散フィルムまたは反射防止フィルムは、偏光板における偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。特に本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐擦傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
【0250】
本発明の光拡散フィルムや反射防止フィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、前記の反射防止フィルムを、反射防止構造を有する側とは反対側の透明基材の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
【0251】
<鹸化処理>
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中に光拡散フィルムや反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、光拡散フィルムや反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
【0252】
鹸化処理することにより、透明基材の光拡散層や低屈折率層を有する表面と反対の表面が親水化される。 偏光板用保護フィルムは、透明基材の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、光拡散層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明基材の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に光拡散層や低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明基材の水に対する接触角を用いた場合、特に透明基材がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度を超えると、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、反射防止膜の受けるダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
【0253】
(2)アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を光拡散層や反射防止膜を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
【0254】
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の基材から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、前述の光拡散フィルムや反射防止フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した基材からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
【0255】
(3)光拡散層や反射防止層をラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、光拡散層および/または低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、光拡散層、低屈折率層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
【0256】
(4)光拡散層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
光拡散層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、光拡散層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に光拡散層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には光拡散層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
【0257】
(5)予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに光拡散層や反射防止層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して光拡散層、低屈折率層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、光拡散層または他の層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、光拡散層または他の層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから光拡散層または他の層を形成することで対処できる。また、光拡散層または他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
【0258】
以下に、本発明の光散乱フィルムまたは反射防止フィルムを用いた偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装置について説明する。
[偏光板]
本発明の好ましい偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方として、本発明の光拡散フィルムまたは反射防止フィルムを有する。偏光板用保護フィルムは、前記のように、光拡散層や反射防止層を有する側とは反対側の透明基材の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が10度〜50度の範囲にあることが好ましい。
本発明の光拡散フィルムや反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、物理強度、耐光性に優れた光散乱機能、あるいは反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、本発明の光拡散フィルムや反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、さらに、液晶表示装置の明室での視認性やコントラストを改良し、上下左右の視野角が非常に広げることができる偏光板を作製できる。
【0259】
[光学補償層]
偏光板には光学補償層(位相差層)を設けることにより、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償層としては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層を有し、該ディスコティック化合物と透明基材とのなす角度が透明基材からの距離に伴って変化していることを特徴とする光学補償層が好ましい。
該角度は該ディスコティック化合物からなる光学異方性層の透明基材面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償層を偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
【0260】
[偏光膜]
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
【0261】
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
【0262】
<画像表示装置、液晶表示装置>
本発明の光拡散フィルムおよび反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。本発明の光拡散フィルムおよび反射防止フィルムは透明基材を有しているので、透明基材側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
以下、図面を参照し、本発明の反射防止フィルム12を画像表示装置または液晶表示装置に適用する態様を説明する。
図2(a)は、本発明の反射防止フィルム12を画像表示装置に適用する態様を模式的に示す概略断面図である。反射防止フィルム12は、最外層である低屈折率層4とは反対面である透明基材1側を画像表示装置の表示面に粘着剤層8を介して接着される。
一方、本発明の反射防止フィルム12を偏光板に導入した場合、液晶表示装置に適用する態様は、以下のいずれであってもよい。
図2(b)は、偏光膜11とその両面を保護する2枚の保護フィルム9,10からなる偏光板に本発明の反射防止フィルム12を導入する態様を模式的に示す概略断面図であり、このとき反射防止フィルム12は粘着剤層8を介して保護フィルム9に接着される。他方の保護フィルム10は粘着剤層8を介して液晶セル(図示せず)に接着される。
図3(c)および(d)は、本発明の反射防止フィルム12を偏光板の保護フィルムとして導入する態様を模式的に示す概略断面図であり、反射防止フィルム12は、フィルムの基材面1側を必要に応じて用いられる粘着剤層8を介して偏光膜11に接着することにより導入される。該偏光板は、偏光膜11の反射防止フィルム12とは反対面側の保護フィルム10を粘着剤層8を介して液晶セル(図示せず)に接着されることにより液晶表示装置に適用される(粘着剤層有り:図3(c)、粘着剤層無し:図3(d))。
【0263】
本発明の光拡散フィルムや反射防止フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。特に、大型液晶テレビ等の用途として、VA、IPS、OCB等で好ましく用いることができ、中小の精細度の低い表示装置用途であれば、TN、STN等にも好ましく用いることができる。大型液晶テレビ等の用途としては、表示画面の対角が20インチ以上であり、精細度がXGA以下(縦横比3:4の表示装置において1024×768以下)であるものに対して、特に好ましく用いることができる。本発明の反射防止フィルムは、実質的に内部ヘイズがないため、20インチで精細度がXGA(縦横比3:4の表示装置において1024×768)を超えるものに対してはギラツキが許容レベルを超える為、ギラツキを重視する場合には好ましくない。また、ギラツキの程度は画素の大きさと表面の防眩フィルムの表面凹凸形状との関係で発生するものであるため、表示装置の大きさが30インチになれば精細度がUXGA(縦横比3:4の表示装置において1600×1200)以下、40インチならば精細度がQXGA(縦横比3:4の表示装置において2048×1536)以下まで好ましく用いることができる。
【0264】
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
【0265】
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
【0266】
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
【実施例】
【0267】
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0268】
<硬化性組成物>
[光拡散層用塗布液(HCL−1)の調製]
{光拡散層用塗布液(HCL−1)の組成}
UV硬化性樹脂 500.0部
“PETA”{日本化薬(株)製}
「イルガキュア184」 20.0部
架橋ポリスチレン粒子トルエン分散液(30%) 17.0部
{SX−350H:平均粒径3.5μm:綜研化学(株)製の30wt%トルエン分散液}
架橋アクリル−スチレン粒子トルエン分散液(30%) 133.0部
{SX−350HL:平均粒径3.5μm:綜研化学(株)製の30wt%トルエン分散液}
KBM−5103{信越化学工業(株)製} 100.0部
トルエン 287.0部
シクロヘキサノン 98.0部
フッ素系共重合体(P−1) 1.0部
【0269】
上記塗布液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して光拡散層の塗布液(HCL−1)を調製した。
【0270】
[光拡散層用塗布液(HCL−2)の調製]
光拡散層用塗布液(HCL−1)に対しレベリング剤であるフッ素系共重合体(P−1)の量を0.3部に変更する以外は全く同様の方法で光拡散層用塗布液(HCL−2)を調製した。
【0271】
[光拡散層用塗布液(HCL−3)の調製]
光拡散層用塗布液(HCL−1)に対しレベリング剤であるフッ素系共重合体(P−1)を除去する以外は全く同様の方法で光拡散層用塗布液(HCL−3)を調製した。
【0272】
光拡散フィルムAの作製
支持体(基材)として1340mm幅の長さ2600mのトリアセチルセルロースフィルム“TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出し、直接、前記のフッ素系共重合体生成物添加した光拡散層用塗布液(HCL−1)を、線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度15m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに酸素濃度が1.0体積%以下になるように、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量250mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、光拡散層(HC−1)を形成し、巻き取った。硬化後、光拡散層の平均厚さが6.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。硬化層の純水による接触角は70度だった。
【0273】
光拡散フィルムBの作製
光拡散フィルムAの作成方法に対し、光拡散層用塗布液(HCL−1)を光拡散用塗布液(HCL−2)に代える以外は全く同様にして光拡散フィルムBを作成した。硬化層の純水による接触角は67度だった。
【0274】
光拡散フィルムCの作製
光拡散フィルムAの作成方法に対し、光拡散層用塗布液(HCL−1)を光拡散用塗布液(HCL−3)に代える以外は全く同様にして光拡散フィルムCを作成した。硬化層の純水による接触角は62度だった。
【0275】
<反射防止フィルムの作製>
[ゾル液aの調製]
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート「ケロープEP−12」{ホープ製薬(株)製}3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調節してゾル液aとした。
【0276】
{低屈折率層用塗布液(LLL−1)の組成}
熱架橋性含フッ素ポリマー「オプスターJTA113」 300.0部
{屈折率1.44、固形分6%、JSR(株)製}
「中空シリカA」 150.0部
“MEK−ST−L” 30.0部
{シリカゾル、平均粒径45nm、固形分濃度30%、溶媒MEK、日産化学(株)製}
ゾル液a 29.0部
シクロヘキサノン 60.0部
MEK 487.0部
【0277】
ここで「中空シリカA」はKBM−5103{シランカップリング剤(信越化学工業(株)製)}で表面修飾した中空シリカゾル{表面修飾空シリカ(特開2002−79616号公報の調製例4に準じて作成;平均粒径40nm、シェル厚み約7nm、シリカ粒子の屈折率1.31)、固形分濃度26質量%であり、うちシリカ粒子に起因する固形分濃度は20質量%、表面修飾剤に起因する固形分濃度は6質量%である。また、溶媒はMEKである。}
【0278】
実施例1−1の反射防止フィルムの作製
上記で作成した光拡散フィルムAを再び巻きだし、光拡散層上にロッドコーターを用いて、3cc/mのメチルエチルケトンを塗布し、レベリング剤を洗い落とした。次いで、ファウンテンコーターによるメチルエチルケントンによる洗浄とエアナイフによる液切りを3回繰り返し、レベリング剤を洗い落とした後に、70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥した。この時、硬化層の純水の接触角は63度だった。また、ESCAにより表面フッ素量を調べたら洗浄前の値に対し1/10以下に減少していた。
引き続き、前記低屈折率層用塗布液(LLL−1)を、線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃、150秒で前乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で400mW/cm、照射量900mJ/cm の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層(LL−1)を形成して巻き取り、反射防止フィルム試料(101)を作製した。
【0279】
実施例1−2の反射防止フィルムの作製
上記で作成した光拡散フィルムAを再び巻きだし、光拡散層上にエクストルージョン型コーターを用いて、500cc/mのメチルエチルケトンを塗布し、洗浄を行い、5秒間経過後に100m/秒の風をエアナイフより洗浄液塗布面に衝突させた。このエクストルージョン型コーターによる洗浄とエアナイフによる液切りを2回繰り返した後に60℃の乾燥ゾーンに10秒間滞留させて乾燥した。この時、硬化層の純水の接触角は62度だった。また、ESCAにより、表面フッ素含量を調べたら、洗浄前の値に対して1/10以下に減少していた。
引き続き実施例1−1同様の方法を用いて低屈折率層(LL−1)を形成して巻き取り、反射防止フィルム(102)を作成した。
【0280】
比較例1−1の反射防止フィルムの作製
上記で作成した光拡散フィルムAを再び巻きだし、前記低屈折率層用塗布液(LLL−1)を、線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃、150秒で前乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で400mW/cm、照射量900mJ/cmの紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層(LL−1)を形成して巻き取り、反射防止フィルム試料(103)を作製した。
【0281】
比較例1−2の反射防止フィルムの作成
比較例1−1の反射防止フィルムに対し、光拡散フィルムAを光拡散フィルムBに変更して反射防止フィルム(104)を作成した。
【0282】
比較例1−3の反射防止フィルムの作成
比較例1−1の反射防止フィルムに対し、光拡散フィルムAを光拡散フィルムCに変更して反射防止フィルム(105)を作成した。
【0283】
[塗布ムラの評価]
作成した光拡散フィルムA〜C及び反射防止フィルム試料(101)〜(105)の裏面を黒マジックインキで黒塗りし、フィルムの法線に対し約30°の角度から蛍光灯を照射し、法線に対し約−70°の方向からフィルム表面のムラを観察し以下の評価を行った。
○:よく観てもムラが見えない
△:よく観るとムラが見える
×:ムラが見える
【0284】
【表1】


【0285】
表1に示される結果から、以下のことが明らかである。
光拡散層形成時に光拡散層形成用塗布液にレベリング剤を含有させることで塗布ムラを改善できるが、光拡散フィルム上に低屈折率層を積層する時に塗布ムラを発生させる。レベリング剤の量を減少させることで何とか低屈折率層塗布後の塗布ムラレベルをレベリング剤添加前よりも改善することができる。これに対し、光拡散層形成時に光拡散層形成用塗布液にレベリング剤を含有させ、低屈折率形成前にレベリング剤を洗浄除去することで低屈折率層形成時の塗布ムラを完全に防止できる。
【0286】
{光拡散層用塗布液(HCL−4)の組成}
ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液 612.0部
「デソライトZ7404」{粒径20nm:JSR(株)製}
UV硬化性樹脂 174.0部
“DPHA”{日本化薬(株)製}
シランカップリング剤 60.0部
“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}
シリカ粒子 53.4部
“KE−P150”{1.5μm:(株)日本触媒製}
架橋PMMA粒子 20.4部
“MXS−300”{3μm:綜研化学(株)製}
メチルエチルケトン(MEK) 174.0部
メチルイソブチルケトン(MIBK) 78.0部
フッ素系共重合体(P−1) 1.0部
【0287】
上記塗布液(HCL−4)を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して光拡散層の塗布液を調製した。
【0288】
光拡散フィルムDの作製
支持体として1340mm幅の長さ2600mのトリアセチルセルロースフィルム“TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出し、直接、前記のフッ素系共重合体生成物添加した光拡散層用塗布液(HCL−4)を、線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度15m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに酸素濃度が1.0体積%以下になるように、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量250mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、光拡散層を形成し、巻き取った。硬化後、光拡散層の平均厚さが8.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
【0289】
実施例2−1の反射防止フィルムの作成
実施例1−1に対し、光拡散フィルムAの代わりに光拡散フィルムDを用いて反射防止フィルム(106)を作成した。この時光拡散フィルムDの硬化層の純水による接触角は洗浄前が71度で洗浄後は64度だった。
【0290】
比較例2−1の反射防止フィルムの作製
実施例2−1で示した反射防止フィルムに対し、洗浄工程を除去し反射防止フィルム(107)を作成した。
実施例1−1と同様に塗布ムラの評価を行ない、結果を表2に示す。
【0291】
{光拡散層用塗布液(HCL−5)の組成}
シリカ微粒子含有ハードコート組成液 680.0部
「デソライト7526」の溶媒組成変更品{JSR(株)製}
3.5μ架橋ポリスチレン粒子MIBK分散液(25%)110.0部
5.0μ架橋ポリスチレン粒子MIBK分散液(25%)144.5部
メチルイソブチルケトン 65.5部
メチルエチルケトン 120.0部
フッ素共重合体P−1 1.0部
【0292】
上記塗布液(HCL−5)を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して光拡散層の塗布液を調製した。
【0293】
光拡散フィルムEの作製
支持体として1340mm幅の長さ2600mのトリアセチルセルロースフィルム“TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出し、直接、前記のフッ素系共重合体生成物添加した光拡散層用塗布液(HCL−3)を、線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度15m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに酸素濃度が1.0体積%以下になるように、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量250mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、光拡散層を形成し、巻き取った。硬化後、光拡散層の平均厚さが3.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
【0294】
実施例3−1の反射防止フィルムの作製
実施例1−2に対し、光拡散フィルムAの代わりに光拡散フィルムEを用いて反射防止フィルム(108)を作成した。この時光拡散フィルムEの硬化層の純水による接触角は洗浄前が71度で洗浄後は63度だった。
【0295】
比較例3−1の反射防止フィルムの作製
実施例3−1で示した反射防止フィルムに対し、洗浄工程を除去し反射防止フィルム(109)を作成した。
実施例1−1と同様に塗布ムラの評価を行ない、結果を表2に示す。
【0296】
【表2】


【0297】
表2に示される結果から、以下のことが明らかである。
レベリング剤を用いた光拡散層は面状が良好であり、低屈折率積層前にレベリング剤を洗浄除去することで塗布ムラのない反射防止フィルムが得られた。(実施例2−1と3−1)これに対し、レベリング剤を洗浄除去しなかった比較例2−1と3−1では塗布ムラが発生した。
【0298】
[反射防止フィルムの鹸化処理]
反射防止フィルム試料の作製製後、これら反射防止フィルム試料について次のような処理を行った。
1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムをこの水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
【0299】
[反射防止フィルムの評価]
(1)平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における各反射防止フィルム試料の分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの平均反射率を用いた。
【0300】
(2)スチールウール(SW)耐傷性評価
反射防止フィルム試料について、ラビングテスターを用い、以下の条件でこすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH。
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール{日本スチールウール(株)製、「グレードNo.0000」}を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:500g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
【0301】
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△:中程度の傷が見える。
△×〜×:一目見ただけで分かる傷がある。
【0302】
(3)消しゴム擦り耐性
反射防止フィルム試料をガラス面上に粘着剤で固定し、直径8mm、厚さ4mmにくりぬいた消しゴム、“MONO”(商品名){(株)トンボ鉛筆製}を擦り試験機のヘッドとして、反射防止フィルム試料の表面に500g/cmの荷重で垂直に上方から押し付けた後、25℃、60RH%の条件下においてストローク長3.5cm、擦り速度1.8cm/秒にて200往復擦った後、付着した消しゴムを除去後、試料の擦り部を目視で確認し、このテストを3回繰り返し、表面の傷つき度合の平均を次の4段階で評価した。
○:ほとんどキズが認められない。
△:僅かにキズが認められる。
×:はっきりとキズが認められる。
××:キズが擦りあと全面に認められる。
【0303】
(4)マジック拭き取り性
反射防止フィルム試料をガラス面上に粘着剤で固定し、25℃60RH%の条件下で黒マジック「マッキー極細(商品名:ゼブラ(株)製)」のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねたベンコット(商品名、旭化成(株)製)でベンコットの束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。マジック痕が拭き取りで消えなくなるまで前記の書き込みと拭き取りを前記条件で繰り返し、拭き取りできた回数を求めた。上記テストを4回繰り返し、平均して下記4段階で評価した。
○:10回以上拭き取り可能。
△:数回〜10回未満拭き取れる。
×:1回だけ拭き取れる。
××:1回も拭き取れない。
【0304】
これらの評価結果を表3に示す。
【0305】
【表3】


【0306】
表3の結果から、本発明製造方法を用いることで、優れた反射防止フィルムを作製できることが分かる。
【0307】
<偏光板の作製>
実施例11−1〜11−4
次に、実施例1−1〜1−2、2−1、3−1の本発明反射防止フィルム試料101〜102、106、108をそれぞれ、1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面に接着、保護して作製した偏光板と貼り合わせて反射防止付き偏光板をそれぞれ作製した。この偏光板を用いて反射防止層を最表層に配置した液晶表示装置を作製したところ、反射率が低く、外光の映り込みが少なく、反射像が目立たず、優れた視認性を有していた。また、実使用形態において問題となる防汚性にも優れていた。
【0308】
実施例21−1〜21−4
濃度1.5mol/Lで、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬した後、中和、水洗した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}と、実施例1−1〜1−2、2−1、3−1の反射防止フィルム試料101〜102、106、108を、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光膜の両面に接着、保護して偏光板を作製した。このようにして作製した偏光板を、反射防止膜側が最表面となるように透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置{偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製“D−BEF”をバックライトと液晶セルとの間に有する}の視認側の偏光板と貼り代えたところ、いずれも反射率が低く、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高く、防汚性にすぐれた表示装置が得られた。
【0309】
<液晶表示装置>
実施例31−1〜31−4
本発明の反射防止フィルム試料101〜102、106、108を夫々貼りつけた透過型TN液晶セルの、視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルム、及びバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムとして、視野角拡大フィルム「ワイドビューフィルムSA 12B」{富士写真フイルム(株)製}を用いたところ、上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
【0310】
実施例4
実施例1の光拡散層用塗布液(HCL−1)を用い、実施例1の光拡散フィルムAの作製において、紫外線硬化時の照射量を、照射量100mJ/cmに変更した以外は全く同様にして光拡散フィルムFを作製した。光拡散フィルムFも光拡散フィルムAと同様に、塗布ムラの観察されない良好な面状が得られた。
【0311】
上記の様に作製した光拡散フィルムFを再び巻きだし、光拡散層上にロッドコーターを用いて、3cc/mのメチルエチルケトンを塗布し、レベリング剤を洗い落とした。次いで、ファウンテンコーターによるメチルエチルケントンによる洗浄とエアナイフによる液切りを3回繰り返し、レベリング剤を洗い落とした後に、70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥した。この時、硬化層の純水の接触角は59度だった。また、ESCAにより表面フッ素量を調べたら洗浄前の値に対し1/15以下に減少していた。このようにしてレベリング剤除去済みの光拡散フィルムFwを作製した。
【0312】
実施例1の光拡散フィルムAを再び巻きだし、光拡散層上にロッドコーターを用いて、3cc/mのメチルエチルケトンを塗布し、レベリング剤を洗い落とした。次いで、ファウンテンコーターによるメチルエチルケントンによる洗浄とエアナイフによる液切りを3回繰り返し、レベリング剤を洗い落とした後に、70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥した。この時、硬化層の純水の接触角は63度だった。また、ESCAにより表面フッ素量を調べたら洗浄前の値に対し1/10以下に減少していた。このようにしてレベリング剤除去済みの光拡散フィルムAwを作製した。
【0313】
低屈折率層用塗布液(LLL−2)の調製
実施例1の低屈折率層用塗布液(LLL−1)において、光重合開始剤PM980M(和光純薬製)を0.7質量部加えた以外は全く同様にして、低屈折率層用塗布液(LLL−2)を調製した。
【0314】
上記の様にして得られた拡散フィルムA,Aw,F,Fwの上に、表4に示すように低屈折率層を塗設して表面に微細凹凸を有する防眩性反射防止フィルム401〜408を得た。低屈折率層の塗布条件は実施例1の反射防止膜101と同様にし、硬化条件は以下の様に変更した。120℃で150秒乾燥後、110℃10分乾燥させてから、窒素パージ下で酸素濃度を0.1%以下に保ちながら100mW/cm、照射量300mJ/cmの紫外線を照射した。
このようにして得られた防眩性反射防止フィルムは、実施例1〜3に準じた評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0315】
【表4】


【0316】
表4に示される結果から、以下のことが明らかである。
レベリング剤を除去することによりSW擦り耐性及び消しゴム擦り耐久性が大きく改善される。なかでも特に第1硬化層の硬化条件を弱くし、低屈折率層用塗布液に光重合開始剤を添加することで最も耐擦り性に優れる試料が得られる(試料402と401,403,404の比較)。
また、光拡散層用塗布液(HCL−1)において、レベリング剤を同量のポリエーテル変性シリコーンオイル(SF−8428、東レダウコーニングシリコーン製)に変更して、上記実施例の401〜408と同様の評価を行った結果、シリコーン系レベリング剤でもほぼ良好な面状が得られ、洗浄によりレベリング剤を除去した本発明の光学フィルムは耐擦り性に優れた試料が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0317】
【図1】反射防止フィルムの層構成を模式的に示す概略断面図である。
【図2】(a)反射防止フィルムを画像表示装置に適用する態様を模式的に示す概略断面図である。(b)反射防止フィルムを液晶表示装置に適用する態様を模式的に示す概略断面図である。
【図3】(c)反射防止フィルムを液晶表示装置に適用する態様を模式的に示す概略断面図である。(d)反射防止フィルムを液晶表示装置に適用する態様を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0318】
1 透明基材
4 低屈折率層(最外層)
6 光拡散層
7 平均粒径が1μm以上の粒子
8 粘着剤層
9 偏光膜の保護フィルム
10 偏光膜の保護フィルム
11 偏光膜
12 反射防止フィルム




 

 


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