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発明の名称 液晶表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−65617(P2007−65617A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2006−121750(P2006−121750)
出願日 平成18年4月26日(2006.4.26)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 深川 伸隆 / 春田 裕宗 / 佐多 博暁
要約 課題
色味視野角依存性が改良された液晶表示装置。

解決手段
液晶セルの両側に配置された偏光板1,12と、光学補償フィルムを有し、偏光板は、偏光子と、保護フィルムとを有し、保護フィルムが、400〜700nmの波長範囲において下記式(1)および下記式(2)を満たし、前記光学補償フィルムが、下記式(3)〜下記式(8)を満たす、液晶表示装置10。0nm≦Re(λ)≦5nm(1) −20nm≦Rth(λ)≦20nm(2)20nm<Re(548)<150nm(3) 50nm<Rth(548)<400nm(4) 0.5<Re(446)/Re(548)<1(5)1.0<Re(628)/Re(548)<2.0(6)1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0(7) 0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 (8)
特許請求の範囲
【請求項1】
液晶セルと、該液晶セルの両側に配置された2枚の偏光板と、光学補償フィルムとを有し、前記偏光板は、偏光子と、該偏光子の少なくとも前記液晶セルに近い側の片面に配置された保護フィルムとを有し、前記光学補償フィルムは、前記液晶セルと前記偏光子の間に設けられており(但し、前記保護フィルムは、前記光学補償フィルムと兼ねる構成であってもよい)、
前記保護フィルムが、400〜700nmの波長範囲において下記式(1)および式(2)の関係を満たし、かつ、前記光学補償フィルムが、下記式(3)〜式(8)の関係を満たす、液晶表示装置。
0nm≦Re(λ)≦5nm (1)
−20nm≦Rth(λ)≦20nm (2)
20nm<Re(548)<150nm (3)
50nm<Rth(548)<400nm (4)
0.5<Re(446)/Re(548)<1 (5)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 (6)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0 (7)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 (8)
(ここでRe(λ)およびRth(λ)は波長λにおけるReおよびRthを表す。)
【請求項2】
前記式(3)〜式(8)の関係を満たす光学補償フィルムが、2枚以上の延伸したポリマーフィルムを有し、前記2枚以上の延伸したポリマーフィルムは、互いの延伸方向が直交するように積層している、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記式(3)〜式(8)の関係を満たす光学補償フィルムが、延伸ポリマーフィルム上に液晶性化合物の塗布層を有する積層体である、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
液晶セルと、該液晶セルの両側に配置された2枚の偏光板と、該偏光板と液晶セルの間に設けられた少なくとも2枚の光学補償フィルムを有し、前記偏光板が偏光子と、該偏光子の両側に配置された2枚の保護フィルム(但し、前記保護フィルムのうち液晶セルに近い側のものは、前記光学補償フィルムと兼ねる構成であってもよい)からなり、前記保護フィルムのうち、液晶セルに近い側の保護フィルムの少なくとも一方は、400〜700nmの波長範囲において下記式(1)および式(2)の関係を満たし、かつ、前記光学補償フィルムの1枚が、下記式(9)〜式(12)の関係を満たし、前記光学補償フィルムの他の1枚が下記式(13)〜式(16)を満たす、液晶表示装置。
0nm≦Re(λ)≦5nm (1)
−20nm≦Rth(λ)≦20nm (2)
50nm<Re(548)<200nm (9)
30nm<Rth(548)<150nm (10)
0.5<Re(446)/Re(548)<1 (11)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 (12)
0nm≦Re(548)<10nm (13)
100nm<Rth(548)<300nm (14)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0 (15)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 (16)
【請求項5】
前記式(13)〜式(16)を満たす光学補償フィルムが、前記式(1)と式(2)および/または式(17)を満たすセルロースアシレートフィルム上に塗布された請求項4に記載の液晶表示装置。
−10nm≦Rth(446)−Rth(629)≦10nm (17)
【請求項6】
前記式(1)および式(2)の関係を満たす保護フィルムが下記式(17)の関係を満たす請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
−10nm≦Rth(446)−Rth(629)≦10nm (17)
【請求項7】
前記式(1)および式(2)の関係を満たす保護フィルムが、セルロースアシレートフィルムである請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記式(1)および式(2)の関係を満たす保護フィルムが、下記式(17)の関係を満たすセルロースアシレートフィルムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
−10nm≦Rth(446)−Rth(629)≦10nm (17)
【請求項9】
前記式(1)および式(2)の関係を満たす保護フィルムが、下記式(A)で表される化合物を少なくとも1種含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
式(A)
【化1】



(式(A)中、R4、R5およびR6は、それぞれ、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。)
【請求項10】
前記式(1)および式(2)の関係を満たす保護フィルムが、下記式(B)で表される化合物を少なくとも1種含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
式(B)
【化2】


(式(B)中、RおよびRは、それぞれ、アルキル基またはアリール基を表す。)
【請求項11】
液晶セルがVAモードである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々用途が広がっている。従来、画像の視野角依存性が大きいことが液晶表示装置の大きな欠点であったが、近年、VAモードの高視野角液晶モードが実用化されており、これによりテレビ等の高品位の画像が要求される市場でも液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
VAモードは、他の液晶表示モードに比べて一般にコントラストが高いというメリットがある一方、視角によるコントラストおよび色味の変化が大きいという問題を有している。これに対して、正面方向と厚み方向のレターデーションの波長分散特性の異なる光学補償フィルムを使用することがこの問題の解決に有効であることが知られており、特許文献1および2には光学特性の異なる2枚のポリマーフィルムを用いる方法が開示されている。さらに、特許文献3には延伸ポリマーフィルム上に重合性液晶層を塗設する方法が開示されている。
しかし、上記いずれの方法においても一定の改良効果を有するものの、依然として視角による色味変化が大きく、さらなる改良が求められていた。
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2003/032060号パンフレット
【特許文献2】特開2005−77853号公報
【特許文献3】特開2004−326089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、色味視野角依存性が改良された液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、偏光板のうち液晶セルに近い側の保護フィルムが有するレターデーションが視角による色味変化に影響を与えるため、光学補償フィルムだけでなく、光学補償フィルムと偏光板のうち液晶セルに近い側の保護フィルムを合わせたトータルのレターデーションを調節することが視角による色味変化低減に必要であることを見出した。さらに、2枚の偏光板のうち液晶セルに近い側の保護フィルムのうちの少なくとも1枚を、実質的にレターデーションを有しないものにすることにより、光学補償フィルムと偏光板のうち液晶セルに近い側の保護フィルムを合わせたトータルのレターデーション調節を容易に行えることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的には、以下の手段により達成された。
(1)液晶セルと、該液晶セルの両側に配置された2枚の偏光板と、光学補償フィルムとを有し、前記偏光板は、偏光子と、該偏光子の少なくとも前記液晶セルに近い側の片面に配置された保護フィルムとを有し、前記光学補償フィルムは、前記液晶セルと前記偏光子の間に設けられており(但し、前記保護フィルムは、前記光学補償フィルムと兼ねる構成であってもよい)、
前記保護フィルムが、400〜700nmの波長範囲において下記式(1)および式(2)の関係を満たし、かつ、前記光学補償フィルムが、下記式(3)〜式(8)の関係を満たす、液晶表示装置。
0nm≦Re(λ)≦5nm (1)
−20nm≦Rth(λ)≦20nm (2)
20nm<Re(548)<150nm (3)
50nm<Rth(548)<400nm (4)
0.5<Re(446)/Re(548)<1 (5)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 (6)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0 (7)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 (8)
(ここでRe(λ)およびRth(λ)は波長λにおけるReおよびRthを表す。)
(2)前記式(3)〜式(8)の関係を満たす光学補償フィルムが、2枚以上の延伸したポリマーフィルムを有し、前記2枚以上の延伸したポリマーフィルムは、互いの延伸方向が直交するように積層している、(1)に記載の液晶表示装置。
(3)前記式(3)〜式(8)の関係を満たす光学補償フィルムが、延伸ポリマーフィルム上に液晶性化合物の塗布層を有する積層体である、(1)に記載の液晶表示装置。
(4)液晶セルと、該液晶セルの両側に配置された2枚の偏光板と、該偏光板と液晶セルの間に設けられた少なくとも2枚の光学補償フィルムを有し、前記偏光板が偏光子と、該偏光子の両側に配置された2枚の保護フィルム(但し、前記保護フィルムのうち液晶セルに近い側のものは、前記光学補償フィルムと兼ねる構成であってもよい)からなり、前記保護フィルムのうち、液晶セルに近い側の保護フィルムの少なくとも一方は、400〜700nmの波長範囲において下記式(1)および式(2)の関係を満たし、かつ、前記光学補償フィルムの1枚が、下記式(9)〜式(12)の関係を満たし、前記光学補償フィルムの他の1枚が下記式(13)〜式(16)を満たす、液晶表示装置。
0nm≦Re(λ)≦5nm (1)
−20nm≦Rth(λ)≦20nm (2)
50nm<Re(548)<200nm (9)
30nm<Rth(548)<150nm (10)
0.5<Re(446)/Re(548)<1 (11)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 (12)
0nm≦Re(548)<10nm (13)
100nm<Rth(548)<300nm (14)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0 (15)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 (16)
(5)前記式(13)〜式(16)を満たす光学補償フィルムが、前記式(1)と式(2)および/または式(17)を満たすセルロースアシレートフィルム上に塗布された(4)に記載の液晶表示装置。
−10nm≦Rth(446)−Rth(629)≦10nm (17)
(6)前記式(1)および式(2)の関係を満たす保護フィルムが下記式(17)の関係を満たす(1)〜(5)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
−10nm≦Rth(446)−Rth(629)≦10nm (17)
(7)前記式(1)および式(2)の関係を満たす保護フィルムが、セルロースアシレートフィルムである(1)〜(6)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(8)前記式(1)および式(2)の関係を満たす保護フィルムが、下記式(17)の関係を満たすセルロースアシレートフィルムである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
−10nm≦Rth(446)−Rth(629)≦10nm (17)
(9)前記式(1)および式(2)の関係を満たす保護フィルムが、下記式(A)で表される化合物を少なくとも1種含有する、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
式(A)
【化1】


(式(A)中、R4、R5およびR6は、それぞれ、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。)
(10)前記式(1)および式(2)の関係を満たす保護フィルムが、下記式(B)で表される化合物を少なくとも1種含有する、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
式(B)
【化2】


(式(B)中、RおよびRは、それぞれ、アルキル基またはアリール基を表す。)
(11)液晶セルがVAモードである、(1)〜(10)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、 簡便で安価に製造でき、色味視野角依存性が改良された液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書における繰り返し単位の数を示す「n」は、特に述べない限り、正の整数であり、本願発明の効果を奏する範囲に従い適宜定めることができる。
【0008】
本明細書において、400〜700nmの波長範囲において式(1)および式(2)の関係を満たすフィルムを、「低レターデーションフィルム」という。また、低レターデーションフィルムであって、セルロースアシレートを主原料とするものを、「低レターデションセルロースアシレートフィルム」ということがある。
【0009】
本発明の液晶表示装置は、2枚偏光板のうち少なくとも一方については、液晶セルに近い側の偏光板の保護フィルムが、400〜700nmの波長範囲において式(1)および式(2)の関係を満たす。
本発明の液晶表示装置は、2種類の構成をとりうる。第一は式(3)〜式(8)の関係を満たす光学補償フィルムを有するものである。この光学補償フィルムは、偏光子と液晶セルの間に設けられており、偏光板の保護フィルム(以下、単に「保護フィルム」という)を兼ねる構成であってもよいし、保護フィルムとは別に設けられていてもよい。本発明の液晶表示装置では、式(3)〜式(8)の関係を満たす光学補償フィルムは、液晶セルに近い側の保護フィルムとして用いられていることが好ましい。
第2の構成は本発明の液晶表示装置は式(9)〜式(12)の関係を満たす光学補償フィルムと式(13)〜式(16)の関係を満たす光学補償フィルムを併せ持つものである。式(9)〜(12)の関係を満たす光学補償フィルムはは液晶セルに近い側の保護フィルム上に設けられることが好ましく、この際の保護フィルムとしてはセルロースアシレートフィルムが好ましい。また、式(13)〜式(16)の関係を満たす光学補償フィルムは、液晶セルに近い側の保護フィルムを兼ねてもよい。
【0010】
<偏光板のうち液晶セルに近い側の保護フィルム>
本発明で採用する低レターデーションフィルムは、大きく2種類に分けられる。
第1はノルボルネン系フィルムに代表される、固有複屈折の小さいモノマー成分を重合させたポリマーフィルムである。
第2は正の固有複屈折成分と負の固有複屈折成分を併せ持ち、両者の発現性が互いに相殺されることにより、実質的にレターデーションが発現しなくなるタイプのものである。正の固有複屈折成分と負の固有複屈折成分の導入方法としては、特開2003−321535号、特開2004−176051号各公報に開示されているように両者を重合させたポリマーをフィルムにする方法、特開2003−292639号公報に開示されているような正の複屈折成分からなるポリマーと負の複屈折成分からなるポリマーをブレンドする方法、セルロースアシレートのように主鎖と側鎖を有するポリマーにおいて主鎖を正の固有複屈折成分、側鎖を負の固有複屈折成分として機能させる方法等が知られている。
これらの中でもセルロースアシレートフィルムを用いる方法は原材料が安価であること、および偏光板加工適性の点から特に好ましい。
【0011】
〔セルロースアシレート〕
まず、本発明で採用する低レターデーションフィルムに好ましく用いられるセルロースアシレートについて説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位(β1→4グリコシド結合しているグルコース)に存在している三つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度は、セルロースの構成単位重量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、ASTM−D817−91に準じて実施する。また、β1→4グリコシド結合しているグルコースの2位、3位および6位それぞれの置換度はC13−NMR測定におけるアシル基中のカルボニル炭素に対応したピーク強度より算出することができる。
本発明の低レターデーションフィルムにおける、セルロースアシレートは下記2つのタイプが好ましい。
第1のタイプは、アセチル化度が2.7〜3.0のセルロースアセテートである。アセチル化度は2.85〜2.98がより好ましく、2.90〜2.97がさらに好ましい。
【0012】
第2のタイプは、炭素原子数が2〜6の2種類以上のアシル基を有するものである。アシル化度は2.6〜2.98が好ましく、2.7〜2.95がさらに好ましい。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基またはブチリル基であることが好ましい。また、本発明のセルロースアシレートフィルムがアセチル基とそれ以外のアシル基を有する場合、アセチル基の置換度は2.5未満が好ましく、2.0未満がさらに好ましい。
【0013】
本発明におけるセルロースアシレートは、350〜800の重量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の重量平均重合度を有することがさらに好ましい。本発明におけるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
【0014】
本発明におけるセルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例えば、酢酸)や塩化メチレンが使用される。触媒としては、硫酸のようなプロトン性触媒が用いられる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物が用いられる。工業的に最も一般的な合成方法では、セルロースをアセチル基および他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)またはそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースアシレートを合成する。この方法において、綿花リンターや木材パルプのようなセルロースは、酢酸のような有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、上記のような有機酸成分の混合液を用いてエステル化する場合が多い。有機酸無水物成分は、一般にセルロース中に存在する水酸基の量に対して過剰量で使用する。このエステル化処理では、エステル化反応に加えてセルロース主鎖β1→4グリコシド結合)の加水分解反応(解重合反応)が進行する。主鎖の加水分解反応が進むとセルロースアシレートの重合度が低下し、製造するセルロースアシレートフィルムの物性が低下する。そのため、反応温度のような反応条件は、得られるセルロースアシレートの重合度や分子量を考慮して決定することが好ましい。
【0015】
重合度の高い(分子量の大きい)セルロースアシレートを得るためには、エステル化反応工程における最高温度を50℃以下に調節することが重要である。最高温度は、好ましくは35〜50℃、さらに好ましくは37〜47℃に調節する。反応温度を35℃以上にすることにより、エステル化反応をより円滑に進行させることができる。反応温度を50℃以下とすることにより、セルロースアシレートの重合度が低下をより効果的に抑止できる。エステル化反応の後、温度上昇を抑制しながら反応を停止すると、さらに重合度の低下を抑制でき、高い重合度のセルロースアシレートを合成できる。すなわち、反応終了後に反応停止剤(例えば、水、酢酸)を添加すると、エステル化反応に関与しなかった過剰の酸無水物は、加水分解して対応する有機酸を副成する。この加水分解反応は激しい発熱を伴い、反応装置内の温度が上昇する。反応停止剤の添加速度が大きいと、反応装置の冷却能力を超えて急激に発熱する。そのため、セルロース主鎖の加水分解反応が著しく進行し、得られるセルロースアシレートの重合度が低下する。また、エステル化の反応中に触媒の一部はセルロースと結合しており、その大部分は反応停止剤の添加中にセルロースから解離する。しかし、反応停止剤の添加速度が大きいと、触媒が解離するために充分な反応時間がなく、触媒の一部がセルロースに結合した状態で残る。強酸の触媒が一部結合しているセルロースアシレートは安定性が非常に悪く、製品の乾燥時の熱などで容易に分解して重合度が低下する。これらの理由により、エステル化反応の後、好ましくは4分以上、さらに好ましくは4〜30分の時間をかけて反応停止剤を添加して、反応を停止することが望ましい。なお、反応停止剤の添加時間を30分以下とすることが工業的な生産性の観点から好ましい。反応停止剤としては、一般に酸無水物を分解する水やアルコールが用いられている。ただし、本発明では、各種有機溶媒への溶解性が低いトリエステルを析出させないために、水と有機酸との混合物が、反応停止剤として好ましく用いられる。以上のような条件でエステル化反応を実施すると、重量平均重合度が500以上である高分子量セルロースアシレートを容易に合成することができる。
【0016】
次に、本発明で採用する低レターデーションフィルムに含まれる添加剤について説明する。
本発明で採用する低レターデーションフィルムには、添加剤として、レターデーション低減剤の他、劣化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等が含まれていてもよい。
【0017】
(レターデーション低減剤)
本発明で採用する低レターデーションフィルムが、低レターデーションセルロースアシレートフィルムである場合、レターデーション低減剤として、セルロースアシレートフィルムとの親和性が高い化合物を含むことが好ましい。
本発明におけるレターデーション低減剤としては、下記式(A)または式(B)で表される化合物が、レターデーション低減効果が大きく好ましい。
【0018】
以下に式(A)で表される化合物に関して詳細に説明する。
【化3】


(式(A)中、R4、R5およびR6は、それぞれ、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。)
【0019】
上記式(A)において、R、R5およびRは、それぞれ、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。アルキル基は炭素原子数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがより好ましく、1〜12のものがさらに好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。
【0020】
上記式(A)におけるアルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
【0021】
次に、式(A)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0022】
【化4】


【0023】
【化5】


【0024】
【化6】


【0025】
【化7】


【0026】
上述の化合物はいずれも既知の方法により製造することができる。すなわち、式(A)で表される化合物は、縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など)を用いたカルボン酸類とアミン類との脱水縮合反応、またはカルボン酸クロリド誘導体とアミン誘導体との置換反応などにより得ることができる。
【0027】
次に、下記式(B)で表される化合物について説明する。
【化8】


(式(B)中、RおよびRは、それぞれ、アルキル基またはアリール基を表す。)
また、RおよびRの炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ビシクロオクチル基、ノニル基、アダマンチル基、デシル基、tert−オクチル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、ジデシル基)が特に好ましい。
アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、ビナフチル基、トリフェニルフェニル基)が特に好ましい。
式(B)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0028】
【化9】


【0029】
【化10】


【0030】
また、本発明において、レターデーション低減剤の添加量は、セルロースアシレートに対し、1〜30質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜25質量%がさらに好ましく、5%〜20質量%が最も好ましい。
【0031】
本発明で採用するレターデーション低減剤は、例えば、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に溶解してから、セルロースアセテート溶液(ドープ)に添加したり、直接ドープ組成中に添加したりして用いることができる。
【0032】
(紫外線吸収剤)
本発明で採用する低レターデーションフィルムは波長分散を平坦にする目的で紫外部に吸収極大を有する化合物(紫外線吸収剤)を波長分散調節剤として添加することが好ましい。紫外線吸収剤の吸収極大の範囲は230〜380nmが好ましく、250〜360nmがさらに好ましい。上記範囲に吸収極大を有することにより波長分散を平坦にする効果を大きくし、かつフィルムの黄色化を抑制することができる。
【0033】
本発明における低レターデーションセルロースアシレートフィルムに添加する紫外線吸収剤は、公知の紫外線吸収剤を広く採用することができる。
紫外線吸収剤は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.1〜20質量部添加することが好ましく、0.1〜15質量部添加することがより好ましく、0.1〜10質量部添加することがさらに好ましい。複数種類添加する場合、これらの合計量が、前記範囲内であることが好ましい。
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、式(III)〜(VI)で示される化合物が好ましい。
【0034】
【化11】


(式(III)中、QおよびQはそれぞれ芳香族環を表す。XおよびYは、それぞれ、Qに結合する基であって、水素原子または置換基を表す。)
およびQはそれぞれ、ベンゼン環またはベンゼン環が縮環したものが好ましい。
XおよびYが取りうる置換基としては、好ましくは、OR300であり、R300は、水素原子またはアルキル基である。
XおよびYは、それぞれ、Qで表される芳香族環のいずれの位置に結合していてもよい。
式(III)で示される化合物としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物が挙げられる。
式(III)に該当する化合物の好ましい例として、後述する紫外線吸収剤UV−1、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0035】
【化12】


(式(VI)中、R401、R402、R403、R404およびR405は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子若しくは塩素原子)または、1価の有機基であり、R401、R402およびR403の少なくとも1つは総炭素原子数10〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基である。)
401、R402、R403、R404およびR405が有する有機基としては、アルキル基のほか、水酸基、アルコキシ基が好ましい。
式(IV)に該当する化合物の好ましい例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等があげられる。
【0036】
【化13】


(式中、R501、R502、R504およびR505はそれぞれ1価の有機基であり、R506は分岐のアルキル基である。)
【0037】
式(V)に該当する化合物の好ましい例として下記構造式(UV−105)、(UV−106)で示される化合物が上げられる。
【0038】
(UV−105)
【化14】


(UV−106)
【化15】


【0039】
また、特開2003−315549号公報に記載されているように、式(VI)で示される化合物も好ましく使用することができる。
【0040】
【化16】


(式中、R600およびR601はそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜25のアルキル基、炭素原子数7〜9のフェニルアルキル基、無置換または炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されたフェニル基、置換または無置換のオキシカルボニル基、置換または無置換のアミノカルボニル基を表す。R602〜R605およびR619〜R623はそれぞれ水素原子、炭素原子数2〜20の置換または無置換のアルキル基を表す。)
【0041】
以下に式(IV)で表される化合物の好ましい例を示す。
【0042】
【化17】


【0043】
【化18】


【0044】
【化19】


【0045】
次に下記式(VII)で表される紫外線吸収剤について詳しく説明する。
式(VII) Q701−Q702−OH
(式(VII)中、Q701は1,3,5−トリアジン環を表し、Q702は芳香族環を表す。)
式(VII)としてさらに好ましくは下記式(VII−A)で表される化合物である。
【0046】
式(VII−A)
【化20】


(式(VII-A)中、R701は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;フェニル基若しくはOH若しくは炭素原子数1〜18のアルコキシ基若しくは炭素原子数5〜12のシクロアルコキシ基若しくは炭素原子数3〜18のアルケニルオキシ基若しくはハロゲン原子若しくは−COOH若しくは−COOR704若しくは−O−CO−R705若しくは−O−CO−O−R706若しくは−CO−NH若しくは−CO−NHR707若しくは−CO−N(R707)(R708)若しくはCN若しくはNH若しくはNHR若しくは−N(R707)(R018)若しくは−NH−CO−R705若しくはフェノキシ基若しくは炭素原子数1〜18のアルキル基で置換されたフェノキシ基;フェニル−炭素原子数1〜4のアルコキシ基若しくは炭素原子数6〜15のビシクロアルコキシ基若しくは炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルコキシ基若しくは炭素原子数6〜15のビシクロアルケニルアルコキシ基若しくは炭素原子数6〜15のトリシクロアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜18のアルキル基;OH若しくは炭素原子数1〜4のアルキル基若しくは炭素原子数2〜6のアルケニル基若しくは−O−CO−R705で置換された炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R709;−SO−R710;1以上の酸素原子で中断されたおよび/若しくはOH若しくはフェノキシ基若しくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素原子数3〜50のアルキル基;−A;−CH−CH(XA)−CH−O−R712;−CR713R’13−(CH−X−A;−CH−CH(OA)−R714;−CH−CH(OH)−CH−XA;
【化21】


−CR715R’715−C(=CH)−R”715;−CR713R’713−(CH−CO−X−A;−CR713R’713−(CH−CO−O−CR71R’715−C(=CH)−R”715;または;−CO−O−CR715R’71−C(=CH)−R”715(式中、Aは−CO−CR716=CH−R717を表す。)で表される定義の一つを表し;
702は、それぞれ、炭素原子数6〜18のアルキル基;炭素原子数2〜6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;COOR704;CN;−NH−CO−R705;ハロゲン原子;トリフルオロメチル基;−O−R703を表し;
703は、R701と同義であり;
704は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;1以上の−O−、−NH−、−NR707−、−S−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表し;
705は、H;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基;炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基を表し;
706は、H;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し;
707およびR708は、それぞれ、炭素原子数1〜12のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4〜16のジアルキルアミノアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し;
707およびR708は、結合して、炭素原子数3〜9のアルキレン基、炭素原子数3〜9のオキサアルキレン基または炭素原子数3〜9のアザアルキレン基を表してもよく;
709は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基;または炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基を表し; R710は炭素原子数1〜12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;または炭素原子数7〜14のアルキルフェニル基を表し;
711は、それぞれ、H;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;ハロゲン原子;炭素原子数1〜18のアルコキシ基を表し;
712は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数3〜8のアルケノキシ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基で1〜3回置換されたフェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルケニルアルキル基;−CO−R705を表し;1以上の−O−、−NH−、−NR−、−S−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表し;
713およびR’713は、それぞれ、H;炭素原子数1〜18のアルキル基;フェニル基を表し;
714は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1〜4のアルキル基を表し;
715、R’715およびR”715は、それぞれ、HまたはCHを表し;
716は、H;−CH−COO−R704;炭素原子数1〜4のアルキル基;またはCNを表し;R717はH;−COOR704;炭素原子数1〜17のアルキル基;またはフェニル基を表し;
Xは−NH−;−NR707−;−O−;−NH−(CH−NH−;または−O−(CH−NH−を表し;
mは0〜19の整数を表し;
nは1〜8の整数を表し;
pは0〜4の整数を表し;
qは2〜4の整数を表す;
但し式(VII−A)中、R701、R702およびR711の少なくとも1つが2個以上の炭素原子を含む、である。
【0047】
さらに式(VII−A)の化合物を説明する。
アルキル基としての基R701〜R710、R712〜R714、R716およびR17は、直鎖または分岐のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基またはオクタデシル基である。
【0048】
炭素原子数5〜12のシクロアルキル基としてのR701、R703〜R709およびR712は例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基である。好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基およびシクロドデシル基である。
【0049】
アルケニル基としてのR716、R719、R711およびR712は、特にアリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−ペンタ−2,4−ジエチル基、3−メチル−ブテ−2−エニル基、n−オクテ−2−エニル基、n−ドデセ−2−エニル基、イソ−ドデセニル基、n−ドデセ−2−エニル基およびn−オクタデセ−4−エニル基が含まれる。
【0050】
置換されたアルキル基、シクロアルキル基またはフェニル基の置換基の数は1または2以上であり、結合している炭素原子において(α−位において)または他の炭素原子において置換基をもつことができ;置換基がヘテロ原子によって(例えばアルコキシ基)結合する場合、その置換基の結合位置は好ましくはα−位以外であり、また、置換されたアルキル基の炭素原子数は好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。2以上の置換基は好ましくは異なる炭素原子と結合する。
【0051】
−O−、−NH−、−NR707−、−S−により中断されたアルキル基はこれらの基の1以上で中断されていてもよく、それぞれの場合一般に一つの結合中に1つの基が挿入されており、およびヘテロ−ヘテロ結合、例えばO−O、S−S、NH−NH等は生じず;中断されたアルキル基がさらに置換されている場合、置換基は一般にヘテロ原子に対してα位にない。1つの基の中で2以上の−O−、−NH−、−NR707−、−S−のタイプの中断する基が生じる場合、それらは一般に同一である。
【0052】
アリール基は、一般に芳香族炭化水素基であり、例えばフェニル基、ビフェニルイル基またはナフチル基であり、好ましくはフェニル基およびビフェニルイル基である。アルアルキルは一般にアリール基、特にフェニル基により置換されたアルキル基であり;従って炭素原子数7〜20のアルアルキルは、例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基およびフェニルヘキシル基を含み;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基は好ましくはベンジル基、α−メチルベンジル基およびα,α−ジメチルベンジル基である。
アルキルフェニル基およびアルキルフェノキシ基はそれぞれアルキル基で置換されたフェニル基またはフェノキシ基である。
【0053】
ハロゲン置換基となるハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、より好ましいものはフッ素原子または塩素原子であり特に塩素原子であることが好ましい。
【0054】
炭素原子数1〜20のアルキレン基は例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等である。ここにアルキル鎖はまた枝分かれでき、例えばイソプロピレン基である。
【0055】
炭素原子数4〜12のシクロアルケニル基は、例えば、2−シクロブテニ−2−イル基、2−シクロペンテニ−1−イル基、2,4−シクロペンタジエニ−1−イル基、2−シクロヘキセ−1−イル基、2−シクロヘプテニ−1−イル基、または2−シクロオクテニ−1−イル基である。
【0056】
炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基は、例えば、ボルニル基、ノルボルニル基、[2.2.2]ビシクロオクチル基である。ボルニル基およびノルボルニル基、特にボルニル基およびノルボルニ−2−イル基が好ましい。
【0057】
炭素原子数6〜15のビシクロアルコキシ基は、例えばボルニルオキシ基またはノルボルニ−2−イルオキシ基である。
【0058】
炭素原子数6〜15のビシクロアルキル−アルキル基または−アルコキシ基は、ビシクロアルキル基で置換されたアルキル基またはアルコキシ基で、炭素原子の総数が6〜15であるものであり;具体例はノルボルナン−2−メチル基およびノルボルニル−2−メトキシ基である。
【0059】
炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基は、例えば、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基である。好ましいものは、ノルボルネニル基、特にノルボルネ−5−エン基である。
【0060】
炭素原子数6〜15のビシクロアルケニルアルコキシ基は、ビシクロアルケニル基で置換されたアルコキシ基で、炭素原子の総数が6〜15であるものであり;例えばノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基である。
【0061】
炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基は、例えば、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基である。好ましいものは1−アダマンチル基である。
【0062】
炭素原子数6〜15のトリシクロアルコキシ基は、例えば、アダマンチルオキシ基である。炭素原子数3〜12のヘテロアリール基は、好ましくは、ピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニルまたはキノリニル基である。
【0063】
式(VII−A)で表される化合物はさらに好ましくは、R701は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数3〜12のアルケニル基;フェニル基;フェニル基若しくはOH若しくは炭素原子数1〜18のアルコキシ基若しくは炭素原子数5〜12のシクロアルコキシ基若しくは炭素原子数3〜18のアルケニルオキシ基若しくはハロゲン原子若しくは−COOH若しくは−COOR704若しくは−O−CO−R705若しくは−O−CO−O−R706若しくは−CO−NH若しくは−CO−NHR707若しくは−CO−N(R707)(R708)若しくはCN若しくはNH若しくはNHR707若しくは−N(R707)(R708)若しくは−NH−CO−R705若しくはフェノキシ基若しくは炭素原子数1〜18のアルキル基で置換されたフェノキシ基;フェニル−炭素原子数1〜4のアルコキシ基若しくはボルニルオキシ基若しくはノルボルニ−2−イルオキシ基若しくはノルボルニル−2−メトキシ基若しくはノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基若しくはアダマンチルオキシ基で置換された炭素原子数1〜18のアルキル基;OH若しくは炭素原子数1〜4のアルキル基若しくは炭素原子数2〜6のアルケニル基および/若しくは−O−CO−R705で置換された炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R709若しくは−SO−R710;R711は1以上の酸素原子で中断されたおよび/若しくはOH若しくはフェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素原子数3〜50のアルキル基;−A;−CH−CH(XA)−CH−O−R712;−CR713R’713−(CH−X−A;−CH−CH(OA)−R714;−CH−CH(OH)−CH−XA;
【0064】
【化22】


−CR715R’715−C(=CH)−R”715;−CR713R’713−(CH−CO−X−A;−CR713R’713−(CH−CO−O−CR71R’715−C(=CH)−R”715または−CO−O−CR715R’715−C(=CH)−R”715(式中、Aは−CO−CR716=CH−R717を表す。)で表される定義の一つを表し;
702は炭素原子数6〜18のアルキル基;炭素原子数2〜6のアルケニル基;フェニル基;−O−R703または−NH−CO−R705を表し;
703はそれぞれR701と同義であり;
704は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;1以上の−O−、−NH−、−NR707−、−S−で中断されおよびOH若しくはフェノキシ基若しくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい炭素原子数3〜50のアルキル基を表し;
705は、H;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表し;
706は、H;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し;
707およびR708は、互いに独立して炭素原子数1〜12のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4〜16のジアルキルアミノアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;R707およびR708は、互いに結合して炭素原子数3〜9のアルキレン基;炭素原子数3〜9のオキサアルキレン基または炭素原子数3〜9のアザアルキレン基を形成してもよく;
709は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表し;
710は、炭素原子数1〜12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;または炭素原子数7〜14のアルキルフェニル基を表し;
711は、それぞれ、H;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基を表し;
712は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1〜8のアルキル基若しくは炭素原子数1〜8のアルコキシ基若しくは炭素原子数3〜8のアルケノキシ基若しくはハロゲン原子若しくはトリフルオロメチル基で1〜3回置換されたフェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;1−アダマンチル基;2−アダマンチル基;ノルボルニル基;ノルボルナン−2−メチル−;−CO−R705
712は1以上の−O−、−NH−、−NR707−、−S−で中断されたおよびOH若しくはフェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表し;
713およびR’713は、それぞれ、H;炭素原子数1〜18のアルキル基;フェニル基を表しR714は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1〜4のアルキル基を表し;
715は、R’715およびR”715は互いに独立してHまたはCHを表し;
16は、H;−CH−COO−R704;炭素原子数1〜4のアルキル基;またはCNを表し;R17は、H;−COOR704;炭素原子数1〜17のアルキル基;フェニル基を表し;
Xは−NH−;−NR707−;−O−;−NH−(CH−NH−;−O−(CH−NH−を表し;
mは、0〜19の整数を表し;
nは、1〜8の整数を表し;
pは、0〜4の整数を表し;
qは、2〜4の整数を表す場合である。
【0065】
式(VII)および(VII−A)で表される化合物は慣用の方法により、例えば欧州特許第434608号公報またはH.BrunettiおよびC.E.Luthi, Helv. Chim.Acta 55,1566(1972) による刊行物に示される方法に従ってまたはそれと同様に、相当するフェノールへのハロトリアジンのフリーデル−クラフツ付加によって、公知の化合物と同様に得ることができる。
【0066】
次に、式(VII)および(VII−A)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明で用いることができる化合物はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0067】
【化23】


【0068】
【化24】


【0069】
上記のほか、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物なども好ましい。
【0070】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。特に(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。
また例えば、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンなどのヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトなどの燐系加工安定剤を併用してもよい。金属不活性剤や燐系加工安定剤の添加量は、セルロースアシレートに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
【0071】
また、その他にも旭電化、プラスチック用添加剤概要、「アデカスタブ」のカタログにある光安定剤も使用できる。チバ・スペシャル・ケミカルズのチヌビン製品案内にある光安定剤、紫外線吸収剤も使用できる。SHIPROKASEI KAISYAのカタログにあるSEESORB、SEENOX、SEETECなども使用できる。城北化学工業の紫外線吸収剤、酸化防止剤も使用することができる。共同薬品のVIOSORB、吉富製薬の紫外線吸収剤も使用することができる。
【0072】
なお、本発明における紫外線吸収剤は予めセルロースアシレートの混合溶液を作製するときに添加してもよいが、セルロースアシレートのドープを予め作製し、流延までのいずれかの時点で添加されてもよい。後者の場合、セルロースアシレートを溶剤に溶解させたドープ液と、紫外線吸収剤と少量のセルロースアシレートとを溶解させた溶液をインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。後添加する紫外線吸収剤には、同時にマット剤を混合しても良いし、そのレターデーション制御剤、可塑剤、劣化防止剤、剥離促進剤等の添加物を混合しても良い。インラインミキサーを用いる場合、高圧下で濃縮溶解することが好ましく、加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、撹拌ができればよい。加圧容器はそのほか圧力計、温度計などの計器類を適宜配設する。加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば30〜150℃の範囲に設定するのが好適である。又、圧力は設定温度で、溶剤が沸騰しないように調整される。溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。このときの冷却温度は常温まで冷却してもよいが、沸点より5〜10℃低い温度まで冷却し、その温度のままキャスティングを行うほうが、ドープ粘度を低減できるためより好ましい。
【0073】
次に本発明で採用する低レターデーションセルロースアシレートフィルムの製造方法について詳しく説明する。
本発明における低レターデーションセルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
【0074】
前記有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−およびCOO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上記した上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
【0075】
前記炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
【0076】
炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0077】
セルロースアシレート溶液(ドープ)は、0℃以上の温度(常温または高温)で処理することからなる一般的な方法で調製することができる。セルロースアシレート溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
【0078】
セルロースアシレート溶液(組成)中におけるセルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0079】
セルロースアシレート溶液は、常温(例えば、0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを撹拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で撹拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら撹拌する。加熱温度は、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
【0080】
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は撹拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
【0081】
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
【0082】
撹拌は、容器内部に撹拌翼を設けて、これを用いて行うことが好ましい。撹拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。撹拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
【0083】
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0084】
冷却溶解法により、セルロースアシレート溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法ではセルロースアシレートを溶解させることが困難な有機溶媒中にも、セルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
【0085】
冷却溶解法では、最初に室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0086】
次に、混合物を、好ましくは、−100〜−10℃(より好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。冷却によりセルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
【0087】
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が概ね理論的な上限であり、1000℃/秒が概ね技術的な上限であり、そして100℃/秒が概ね実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0088】
さらに、冷却した混合物を、好ましくは0〜200℃(より好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよく、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が概ね理論的な上限であり、1000℃/秒が概ね技術的な上限であり、そして100℃/秒が概ね実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
【0089】
以上のようにして、均一なセルロースアシレート溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0090】
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
【0091】
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量計(DSC)による測定によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保することが好ましい。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
【0092】
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法により低レターデーションセルロースアシレートフィルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
【0093】
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号および同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号および同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号および同62−115035号の各公報に記載がある。バンドまたはドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
【0094】
また、得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃から〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して、残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
【0095】
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法により低レターデーションセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
【0096】
2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能であり、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。これらは、例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによっても、フィルム化することもできる。これは、例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。さらに特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押し出す低レターデーションセルロースアシレートフィルムの流延方法を用いることもできる。
【0097】
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
【0098】
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を2種以上用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明におけるセルロースアシレート本発明におけるセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
【0099】
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押し出すことが必要とされる傾向にある。この場合、セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となりやすい傾向にあった。この問題の改善方法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性がより良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷のより低減化が達成でき、フィルムの生産スピードをより高めることができる。
低レターデーションセルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。また、前記劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、添加量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
【0100】
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明における低レターデーションセルロースアシレートフィルムの製造に用いる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
【0101】
(熱収縮処理)
本発明における低レターデーションセルロースアシレートフィルムは熱収縮処理工程を経て作製してもよい。熱収縮処理により、セルロース分子鎖間の自由体積が減少することにより、セルロースアシレートとレターデーション低減剤との相互作用が大きくなり、レターデーション低減剤の保留性をより向上させることができる。
【0102】
熱収縮処理は様々な方法により行うことができるが、幅方向あるいは搬送方向のいずれか一方のみを固定した状態でフィルムを(ガラス転移温度(Tg)−20)℃以上の温度下に一定時間処理する方法が好ましく用いられる。熱処理開始時のフィルム中の残留溶剤含量は30質量%以下が好ましく、10%質量以下がさらに好ましく、5質量%以下が最も好ましい。残留溶剤含量が高いまま熱処理を行うと、フィルムの結晶化が進行し、脆性の劣化、ヘイズの上昇等好ましくない変化を引き起こす。
【0103】
前記熱処理の方法として、剥ぎ取り後のフィルムをテンタークリップ等の装置により幅方向を規制しつつ乾燥させ、残留溶剤含量が十分低下したのちに、幅方向の規制から開放して、搬送方向にのみテンションがかかった状態でTg以上の高温ゾーンを通過せしめる方法を、特に好ましく用いることができる。
【0104】
[延伸処理]
本発明で採用する低レターデーションセルロースアシレートフィルムは幅方向と搬送方向のセルロースアシレートの配向度を均一に近づける目的で延伸処理を行ってもよい。
低レターデーションセルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。低レターデーションセルロースアシレートフィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、該低レターデーションセルロースアシレートフィルムのTg以下であることが好ましい。低レターデーションセルロースアシレートフィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、低レターデーションセルロースアシレートフィルムの搬送ローラーの速度を調節して、低レターデーションセルロースアシレートフィルムの剥ぎ取り速度よりも低レターデーションセルロースアシレートフィルムの巻き取り速度の方を速くすると低レターデーションセルロースアシレートフィルムは延伸される。幅(横)方向の延伸の場合、低レターデーションセルロースアシレートフィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによっても低レターデーションセルロースアシレートフィルムを延伸できる。低レターデーションセルロースアシレートフィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。低レターデーションセルロースアシレートフィルムの延伸倍率は、1〜30%が好ましく、1%〜15%がさらに好ましい。
【0105】
[レターデーション]
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
【化25】


注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)xd −−− 式(2)
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
【0106】
本発明における低レターデーションフィルムの25℃60%RHにおけるReは測定波長400nm〜700nmの範囲に渡って、式(1)および式(2)を満たす。
式(1)において、Reはさらに好ましくはRe(λ)≦5nmであり、最も好ましくはRe(λ)≦3nmである。
式(2)において、Rthはさらに好ましくは−10nm≦Rth(λ)≦10nmであり、最も好ましくは、−5nm≦Rth(λ)≦5nmである。
さらに、本発明における低レターデーションフィルムは25℃60%RHにおけるRth(446)とRth(628)が下記式(17)の関係を満たす。
−10nm≦Rth(446)−Rth(628)≦10nm (17)
式(17)においてRth(446)−Rth(628)はさらに好ましくは
−9nm≦Rth(446)−Rth(628)≦9nm
であり、最も好ましくは、
−7nm≦Rth(446)−Rth(628)≦7nm
である。。
上記範囲とすることにより、本発明の液晶表示装置の視角によるコントラスト変化、色味変化を低減できるという効果を奏する。
【0107】
[低レターデーションセルロースアシレートフィルムの厚み]
本発明における低レターデーション低レターデーションセルロースアシレートフィルムの厚みは10〜200μmが好ましく、20〜150μmがより好ましく、30〜100μmがさらに好ましい。
【0108】
(光学補償フィルム)
次に本発明の液晶表示装置に使用する光学補償フィルムについて説明する。
本発明における光学補償フィルムは以下の2つの構成をとることが好ましい。
第1は式(3)〜(8)の関係を満たす光学補償フィルムを有するものである。
式(3)において、はさらに好ましくは25nm<Re(548)<135nmであり、最も好ましくは30nm<Re(548)<120nmである。
式(4)において、さらに好ましくは80nm<Rth(548)<350nmであり、最も好ましくは100nm<Rth(548)<300nmである。
式(5)において、さらに好ましく0.55<Re(446)/Re(548)<0.95であり、最も好ましくは0.6<Re(446)/Re(548)<0.9である。
式(6)において、さらに好ましく1.05<Re(628)/Re(548)<1.75であり、最も好ましくは1.1<Re(628)/Re(548)<1.5である。
式(7)において、さらに好ましく1.05<Rth(446)/Rth(548)<1.75であり、最も好ましくは1.10<Rth(446)/Rth(548)<1.5である。
式(8)において、さらに好ましく0.6<Rth(628)/Rth(548)<0.95であり、最も好ましくは0.7<Rth(628)/Rth(548)<0.90である。
本発明における光学補償フィルムの第2の好ましい構成は式(9)〜(12)の関係を満たす光学補償フィルムと式(13)〜(16)を満たす光学補償フィルムを有するものである。
50nm<Re(548)<200nm (9)
30nm<Rth(548)<150nm (10)
0.5<Re(446)/Re(548)<1 (11)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 (12)
0nm≦Re(548)<10nm (13)
100nm<Rth(548)<300nm (14)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0 (15)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 (16)
式(9)において、はさらに好ましくは70nm<Re(548)<175nmであり、最も好ましくは90nm<Re(548)<150nmである。
式(10)において、さらに好ましくは40nm<Rth(548)<120nmであり、最も好ましくは50nm<Rth(548)<100nmである。
式(11)において、さらに好ましく0.55<Re(446)/Re(548)<0.95であり、最も好ましくは0.6<Re(446)/Re(548)<0.9である。
式(12)において、さらに好ましく1.05<Re(628)/Re(548)<1.50であり、最も好ましくは1.08<Re(628)/Re(548)<1.30である。
式(13)において、はさらに好ましくは0≦Re(548)<5nmであり、最も好ましくは0≦Re(548)<3nmである。
式(14)において、さらに好ましくは120nm<Rth(548)<250nmであり、最も好ましくは140nm<Rth(548)<230nmである。
式(15)において、さらに好ましく1.03<Rth(446)/Rth(548)<1.50であり、最も好ましくは1.05<Rth(446)/Rth(548)<1.3である。
式(16)において、さらに好ましく0.7<Rth(628)/Rth(548)<1.00であり、最も好ましくは0.85<Rth(628)/Rth(548)<0.97である。
【0109】
本発明における光学補償フィルムは複数のフィルムおよびあるいは塗布層の積層体であってもよい。また、前記複数のフィルムおよびあるいは塗布層を用いる場合様々な配置が可能である。例えば、液晶セルに対して片側のみに光学補償フィルムを集中させる方法、あるいは液晶セルの両側に光学補償フィルムを分配する方法の双方を好ましく用いることができる。
また、液晶セルの両側に光学補償フィルムを分配する場合、液晶セルの両側の光学補償フィルムのレターデーションがほぼ均等になるように配置する方法、および液晶セルの両側の光学補償フィルムば異なるレターデーションを有するように配置する方法のいずれも好ましく用いることができる。
また、偏光板のうち液晶セルに近い側の保護フィルムが光学補償フィルムを兼ねる構成であってもよい。
【0110】
以下、図1に、本発明における光学補償フィルムおよび偏光板のうち液晶セルに近い側の保護フィルムの好ましい配置の例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものでない。
図1の構成1中、2軸フィルムおよび位相差膜の積層体が式(3)〜式(8)の関係を満たす光学補償フィルムの一例であり、構成1および構成2中の低レターデーションフィルムがそれぞれ、式(1)および式(2)の関係を満たす保護フィルムである。また、構成2では、AプレートおよびCプレートの積層体が、光学補償フィルムに該当する。また、構成3では光学補償フィルムAが式(9)〜式(12)の関係を満たす光学補償フィルム、光学補償フィルムBが式(13)〜(16)の関係を満たす光学補償フィルムの、一例である。
さらに、構成1、構成2、および構成3において、各部材(層)の間に、粘着剤層、接着剤層、配向層等を任意に設けても良い。
【0111】
(構成1)
(位相差膜)
構成1における位相差膜は長手方向に遅相軸を発現する。
長手方向に遅相軸を発現させる方法としては、ポリマーを長手方向に延伸する方法、重合性液晶性化合物を配向させる方法等があげられる。
また、構成1における位相差膜は2軸フィルムを構成する材料よりも長波長側に吸収を有することが好ましい。このような構成を採用することにより、光学補償フィルムのレターデーションの波長分散を所望のパターンにコントロールすることができる。構成1の位相差膜に使用する材料の吸収極大の範囲は、好ましくは200nm〜370nmであり、さらに好ましくは220nm〜350nmであり、最も好ましくは240nm〜330nmである。吸収極大を370nm以下とすることにより、吸収の裾が可視域にかかり光学補償フィルムが黄色味を帯びてしまうのをより効果的に抑止できる。
構成1に使用する位相差膜は非液晶性ポリマーまたは液晶性化合物を含有することが好ましい。
【0112】
(位相差膜のレターデーション)
構成1の位相差膜のReは0〜300nmが好ましく、0〜200nmがさらに好ましい。Rthの絶対値は0〜400nmが好ましく、0〜200nmがさらに好ましい。
【0113】
(非液晶性ポリマーを含有する位相差膜)
ここで、非液晶性ポリマーおよび該非液晶性ポリマーを含有する位相差膜について説明する。
本発明で用いられる位相差膜を形成する非液晶性ポリマーは、好ましくは、ジメチルホルムアミド溶媒によるポリエチレンオキサイドを標準試料として、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法で測定した質量平均分子量(Mw)が1万〜40万の範囲にあるものである。このように質量平均分子量が1万以上のポリマーを用いることにより、より高い複屈折を有する複屈折層が得られ、さらにクラックの発生を防止できる。また、質量平均分子量が40万以下のポリマーを用いることにより、位相差のバラツキがより効果的に防止される。これは、ポリマー溶液を塗工して前記位相差膜を形成する場合、質量平均分子量が40万以下のポリマーの溶液は粘度が高くなりすぎず、基材などへのポリマー溶液の塗工が容易になり、その結果、均一な位相差膜が形成可能となるからである。また、質量平均分子量が40万以下のポリマーを用いてポリマー溶液を調製する場合、ポリマーの可溶性が高いため、使用する溶媒量を少なくすることができる。その結果、塗工層の厚みを薄くすることができ、精密塗工が可能となる。位相差膜を形成するポリマーの質量平均分子量(Mw)は、より好ましくは1万〜30万、さらに好ましくは1万〜20万である。
【0114】
非液晶性ポリマーは、例えば、液晶性ポリマーとは異なり、基板の配向性に関係なく、それ自身の性質によりnx>nz、ny>nzという光学的一軸性を示す膜を形成することができる。このため、例えば、使用する支持体は、配向基に限定されることもなく、例えば、未配向膜であってもよく、配向膜を塗布する工程や配向膜を積層する工程等を省略することができる。
【0115】
本発明で用いられる非液晶性ポリマーとしては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーが好ましい。これらのポリマーの材料は特に限定はなく、従来公知のポリマー材料を使用でき、単独でまたは任意の組み合せで用いることができる。
さらに、これらのポリマーは、耐熱性、耐薬品性に優れ、剛性に富み、透明性に優れる等の理由から、後述する二軸性フィルムの材料としても適している。
【0116】
前記ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記式(46)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
【0117】
式(46)
【化26】


【0118】
前記式(46)中、R463〜R466は、それぞれ、水素、ハロゲン原子、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子または炭素原子数1〜10アルキル基で置換されたフェニル基、および炭素原子数1〜10アルキル基からなる群から選択される基である。好ましくは、R463〜R466は、それぞれ、ハロゲン原子、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子若しくは炭素原子数1〜10アルキル基で置換されたフェニル基、および炭素原子数1〜10アルキル基からなる群から選択される基である。
【0119】
前記式(46)中、Zは、炭素原子数6〜20の4価の芳香族性を有する基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または、下記式(47)で表される基である。
【0120】
式(47)
【化27】


【0121】
前記式(7)中、Z’は、共有結合、−C(R477−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−Si(C−、または、−NR478−であり、Z’が2以上の場合、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、wは、1〜10の整数を表す。R477は、それぞれ、水素原子または−C(R479である。R78は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、または炭素原子数6〜20のアリール基であり、R478が2以上の場合、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。R479は、それぞれ、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、R479が2以上の場合、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0122】
前記多環式芳香族基としては、例えば、ナフタレン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはアントラセンから誘導される4価の基があげられる。また、前記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルキル基のフッ素化誘導体およびハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)からなる群から選択される少なくとも一つの基で置換された前記多環式芳香族基があげられる。
【0123】
この他にも、例えば、特表平8−511812号公報に記載された、繰り返し単位が下記式(48)または式(49)で示されるホモポリマーや、繰り返し単位が下記式(410)で示されるポリイミド等があげられる。なお、下記式(410)のポリイミドは、下記式(48)のホモポリマーの好ましい形態である。
【0124】
式(48)
【化28】


【0125】
式(49)
【化29】


【0126】
式(410)
【化30】


【0127】
前記式(48)〜式(410)中、GおよびG’は、それぞれ、共有結合、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−C(CX−(ここで、Xは、ハロゲン原子である。)、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−Si(CHCH−、および、−N(CH)−からなる群から選択される基を表す。
【0128】
前記式(48)および式(410)中、Lは、置換基を表す。Lは、好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基であり、Lが2以上の場合、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、および炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基からなる群から選択される置換基を有する置換フェニル基が好ましい例としてあげられる。また、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が好ましい例としてあげられる。dは0〜2の整数であり、eは0〜3の整数である。
【0129】
前記式(48)〜式(410)中、Qは水素原子または置換基を表す。Qとしては、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基、および、置換若しくは無置換のアルキルエステル基からなる群から選択される原子または基であって、Qが2以上の場合、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子があげられる。前記置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基があげられる。また前記置換アリール基としては、例えば、ハロゲン化アリール基があげられる。fは0〜4の整数、gは0〜3の整数、hは1〜3の整数である。また、gおよびhは、それぞれ、1より大きいことが好ましい。
【0130】
前記式(49)中、R491は、それぞれ、水素原子、または、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のフェニル基、および置換若しくは無置換のアルキル基からなる群から選択される基である。その中でも、R491は、それぞれ、ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
前記式(410)中、MおよびMは、それぞれ、置換基であり、好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基、または、置換若しくは無置換のフェニル基である。前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が好ましい例としてあげられる。また、前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、および炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基からなる群から選択される基を有する置換フェニル基があげられる。
【0131】
前記式(48)に示すポリイミドの具体例としては、例えば、下記式(411)で表されるもの等があげられる。nは、100〜1000であることが好ましい。
【0132】
式(411)
【化31】


【0133】
さらに、前記ポリイミドとしては、例えば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーも好ましい。
【0134】
前記酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物があげられる。前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
【0135】
前記ピロメリト酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物等があげられる。前記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2’−ジブロモ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジクロロ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
【0136】
また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物のその他の例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−[4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物等があげられる。
【0137】
これらの中でも、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、2,2’−ビス(トリハロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
【0138】
前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンがあげられ、具体例としては、ベンゼンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複素環式芳香族ジアミン、およびその他の芳香族ジアミンがあげられる。
【0139】
前記ベンゼンジアミンとしては、例えば、o−、m−およびp−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼンおよび1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンのようなベンゼンジアミンから成る群から選択されるジアミン等があげられる。
前記ジアミノベンゾフェノンの例としては、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、および3,3’−ジアミノベンゾフェノン等があげられる。
前記ナフタレンジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノナフタレン、および1,5−ジアミノナフタレン等があげられる。
前記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、および2,4−ジアミノ−S−トリアジン等があげられる。
【0140】
また、前記芳香族ジアミンとしては、これらの他に、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジアニリン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等があげられる。
【0141】
前記ポリエーテルケトンとしては、例えば、特開2001−49110号公報に記載された、下記式(412)で表されるポリアリールエーテルケトンがあげられる。
【0142】
式(412)
【化32】


【0143】
前記式(412)中、X412は、置換基を表す。X412は、好ましくは、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化アルキル基、低級アルコキシ基、または、ハロゲン化アルコキシ基であり、X412が複数の場合、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0144】
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子およびヨウ素原子があげられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。前記低級アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜6の直鎖または分岐鎖の低級アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、および、tert−ブチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基およびエチル基である。前記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の前記低級アルキル基のハロゲン化物があげられる。前記低級アルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、および、tert−ブトキシ基が、さらに好ましく、特に好ましくはメトキシ基およびエトキシ基である。前記ハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基等の前記低級アルコキシ基のハロゲン化物があげられる。
【0145】
前記式(412)中、q412およびa412は、それぞれ、0〜4の整数である。前記式(412)においては、q412=0であり、かつ、ベンゼン環の両端に結合したカルボニル基とエーテルの酸素原子とが互いにパラ位に存在することが好ましい。また、前記式(412)中、R412は、下記式(413)で表される基であり、m412は、0または1の整数である。
式(413)
【化33】


【0146】
前記式(413)中、X413は置換基を表し、例えば、式(412)におけるX41と同様である。前記式(413)において、X413が複数の場合、それぞれ同一であってもよいし、異なっててもよい。q413は、0〜4の整数であり、q413=0が好ましい。また、p413は、0または1である。b413はフッ素原子Fの置換数を表し、0〜4の整数である。
【0147】
前記式(413)中、R413は、2価の芳香族基を表す。この2価の芳香族基としては、例えば、o−、m−もしくはp−フェニレン基、または、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、o−、m−もしくはp−テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフェニルエーテル、もしくは、ビフェニルスルホンから誘導される2価の基等があげられる。これらの2価の芳香族基において、芳香族に直接結合している水素が、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基で置換されてもよい。これらの中でも、前記R413としては、下記(9)〜(15)からなる群から選択される芳香族基が好ましい。
【0148】
【化34】


【0149】
前記式(412)中、前記R412としては、下記式(21)で表される基がより好ましく、下記式(21)において、R413およびp413は前記式(413)と同義であり、好ましい範囲も同義である。
【0150】
式(21)
【化35】


【0151】
さらに、前記式(412)中、n412は重合度を表し、好ましくは2〜5000であり、より好ましくは5〜500である。また、その重合は、同じ構造の繰り返し単位からなるものであってもよく、異なる構造の繰り返し単位からなるものであってもよい。後者の場合には、繰り返し単位の重合形態は、ブロック重合であってもよいし、ランダム重合でもよい。
【0152】
さらに、式(412)で示されるポリアリールエーテルケトンの末端は、p−テトラフルオロベンゾイレン基側がフッ素であり、オキシアルキレン基側が水素原子であることが好ましく、このようなポリアリールエーテルケトンは、例えば、下記式(22)で表すことができる。なお、下記式において、n412は前記式(412)と同様の重合度を表す。X412、q412、R412、m412は、式(412)と同義であり、好ましい範囲も同義である。
【0153】
式(22)
【化36】


【0154】
前記式(12)で示されるポリアリールエーテルケトンの具体例としては、下記(23)〜(26)で表されるもの等があげられ、下記各式において、nは、前記式(412)と同様の重合度を表す。
【0155】
【化37】


【0156】
また、これらの他に、前記ポリアミドまたはポリエステルとしては、例えば、特表平10−508048号公報に記載されるポリアミドやポリエステルがあげられ、それらの繰り返し単位は、例えば、下記式(27)で表すことができる。
【0157】
式(27)
【化38】


【0158】
前記式(27)中、Y27は、−O−または−NH−である。また、E27は、例えば、共有結合、炭素原子数2のアルキレン基、ハロゲン化炭素原子数2のアルキレン基、CH基、C(CX27基(ここで、X27はハロゲンまたは水素である。)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(R27基、および、N(R27)基からなる群から選ばれる少なくとも1種類の基であり、それぞれ同一でもよいし異なってもよい。前記E27において、R27は、炭素原子数1〜3のアルキル基および炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基の少なくとも1種類であり、カルボニル官能基またはY27に対してメタ位またはパラ位にある。
【0159】
また、前記式(27)中、A27およびA’27は、置換基であり、t271およびt272は、それぞれ、0〜4の整数であり、z271およびz272は、それぞれ、0〜4の整数であり、p27は0〜3の整数であり、q27は1〜3の整数であり、r27は0〜3の整数である。
【0160】
前記A27は、例えば、水素、ハロゲン、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基、OR27(ここで、R27は、前記定義のものである。)で表されるアルコキシ基、アリール基、ハロゲン化等による置換アリール基、炭素原子数1〜9のアルコキシカルボニル基、炭素原子数1〜9のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数1〜12のアリールオキシカルボニル基、炭素原子数1〜12のアリールカルボニルオキシ基およびその置換誘導体、炭素原子数1〜12のアリールカルバモイル基、ならびに、炭素原子数1〜12のアリールカルボニルアミノ基およびその置換誘導体からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記A’27は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基、フェニル基および置換フェニル基からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記置換フェニル基のフェニル環上の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基およびこれらの組み合わせがあげられる。
【0161】
前記式(27)で表されるポリアミドまたはポリエステルの繰り返し単位の中でも、下記式(28)で表されるものが好ましい。
【0162】
式(28)
【化39】


【0163】
前記式(28)中、A28、A’28およびY28は、それぞれ、式(27)におけるA27、A’ 27およびY27と同義であり、好ましい範囲も同義である。v28は0〜3の整数であり、好ましくは、0〜2の整数である。v28およびy28は、それぞれ、0または1であるが、共に0であることはない。
【0164】
非液晶性ポリマーを含む位相差膜の製造は、例えば、以下に示すようにして行うことができる。まず基材上に、位相差膜を形成する前記所定のポリマーを塗工して前駆層を形成する。塗工方法としては、特に限定されないが、例えば、前述のようなポリマーを加熱溶融して塗布する方法や、前記ポリマーを溶媒に溶解させたポリマー溶液を塗布する方法等があげられる。その中でも、作業性に優れ、光学異方性制御の点から、前記ポリマー溶液を塗布する方法が好ましい。
【0165】
前記ポリマーの塗工工程により、製造される位相差膜の厚みを調節することができる。例えば、前記ポリマー溶液を塗布する方法においては、基材の面積(cm)あたりの前記ポリマーの塗工量を調節して、位相差膜の厚みを調節することができる。
本発明における非液晶性ポリマーを含む位相差膜の厚みは0.1〜50μmが好ましく、1〜20μmがさらに好ましい。
【0166】
ポリマー溶液の溶媒としては、ポリマーを溶解させることができるものであれば特に制限はなく、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどを挙げることができる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。
【0167】
前記ポリマー溶液の粘度は、塗工が容易な粘度が好ましい。塗工が容易であれば、前記したように均一な位相差膜の形成が可能となるからである。その粘度は、好ましくは0.1〜12Pa・s、より好ましくは1〜10Pa・s、さらに好ましくは1〜5Pa・sである。前記ポリマー溶液における前記ポリマーの濃度は、特に制限されないが、用いる非液晶性ポリマーの質量平均分子量を考慮に入れて、溶液の粘度が前記の範囲になるように調整されることが好ましい。前記ポリマーの濃度は、溶媒100質量部に対して、好ましくは、5〜50質量部であり、より好ましくは10〜40質量部である。
【0168】
前記ポリマー溶液は、例えば、必要に応じて、さらに安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤を配合してもよい。また、前記ポリマー溶液は、例えば、前記ポリマーの配向性等が著しく低下しない範囲で、異なる他の樹脂を含有してもよい。前記他の樹脂としては、例えば、各種汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等があげられる。
【0169】
前記汎用樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、およびアクリルニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)等があげられる。前記エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)等があげられる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、および液晶ポリマー(LCP)等があげられる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂等があげられる。
【0170】
このように、前記他の樹脂等を前記ポリマー溶液に配合する場合、その配合量は、前記ポリマーに対して、好ましくは、0〜50質量%であり、より好ましくは、0〜30質量%である。
【0171】
また塗工処理は、スピンコート法やロールコート法、フローコート法やプリント法、ディップコート法や流延成膜法、バーコート法やグラビア印刷法等の適宜な方法で行うことができる。塗工に際しては、必要に応じポリマー層の重畳方式なども採ることができる。
【0172】
また、前記ポリマーを塗工する際に、基材上に一方向に応力を加えながら塗工したり、基材に対して一方向から風などを送りながら塗工してもよい。
【0173】
次いで、前記前駆層を固化させて基材上に位相差膜を形成する。固化の方法としては、塗工後、自然乾燥(風乾)または、好ましくは25〜180℃、より好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは60〜150℃で加熱する方法がある。乾燥または加熱の時間は、その温度や、前駆層への溶媒の使用の有無、その溶媒の種類等により決定されるが、好ましくは0.5〜30分、より好ましくは1〜20分、さらに好ましくは1〜15分、行うことができる。
【0174】
本発明における位相差膜を製造する方法においては、基材と位相差膜との積層体を延伸する工程をさらに含んでもよい。前記積層体の延伸方法としては、特に制限されず、例えば、固定端延伸や、従来公知の方法が適用できる。テンター横延伸や、長軸方向の延伸倍率が短軸方向の延伸倍率よりも小さい二軸延伸が好ましい。二軸延伸は全テンター方式による同時二軸延伸、ロールーテンター法による逐次二軸延伸のいずれでもよい。延伸倍率は、延伸方法によって異なるが、例えば前記積層体を1〜200%延伸する。延伸時の加熱温度は、使用する基材のTgや添加物の種類などに応じて適宜選択されるが、好ましくは80〜250℃、より好ましくは120〜220℃、特に好ましくは140〜200℃である。特に、用いる基材のTg付近またはTg以上であるのがよい。
【0175】
次に、基材上に直接形成された位相差膜を、さらに低レターデーションポリマーフィルムと対向するように接着させ、基材のみを剥離する工程を行うことが好ましい。このように低レターデーションポリマーフィルムに前記位相差膜を転写して、前記基材を剥離することによって形成された前記位相差膜と前記低レターデーションポリマーフィルム)との積層体を製造し、本発明における光学積層体を得ることもできる。
【0176】
前記基材としては、適宜な材料を用いることができ限定されるものではない。例えば、ガラス転移点(Tg)の低い高分子フィルム、弾性率の高い高分子フィルム、材料との線膨張が同等もしくはそれより大きい基材、熱伝達率が高い基材、アスペクト比が高い基材、厚みの薄い基材などが挙げられる。前記基材に伸縮性を持たせるには、基材の固定なしに乾燥し、全方位に収縮性を持たせる方法、少なくとも一方向以上固定しそれ以外に収縮性をもたせる方法、金属ベルトの線膨張を利用する方法、フィルム搬送時にテンター固定で収縮制御する方法、事前に基材を膨張させて乾燥により収縮率を上げる方法、基材に乾燥工程前に延伸をかけて、硬化収縮させる方法、基材に乾燥工程中あるいは工程後に延伸をかける方法などを用いることができる。その方法は限定されるものではない。
【0177】
前記基材の厚さは、使用目的等に応じて適宜決定することができるが、強度や薄層化などの点より、好ましくは5〜500μmであり、より好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは15〜150μmである。
【0178】
(液晶性化合物を含有する位相差膜)
つぎに構成1の位相差膜として好ましく用いられる重合性液晶層について詳しく説明する。
本発明における重合性液晶層は、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させ、その配向状態を固定することにより形成することが好ましい。液晶性化合物の配向状態を固定するため、液晶性化合物は重合性基を有することが好ましい。
【0179】
(棒状液晶性化合物)
まず本発明における重合性液晶層で使用する棒状液晶性化合物について説明する。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましい。低分子の液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることもできる。特に好ましく用いられる、低分子の重合性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記式(I)の棒状液晶性化合物である。
【0180】
式(I)
11−L−Cy−L−(Cy−Ln111−Cy−L−Q22
式(I)中、Q11およびQ22はそれぞれ重合性基であり、LおよびLはそれぞれ2価の連結基であり、LおよびLはそれぞれ単結合または2価の連結基であり、Cy、CyおよびCyは2価の環状基であり、n111は0、1または2である。
【0181】
11およびQ22において、重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
【0182】
【化40】


【0183】
およびLはそれぞれ2価の連結基である。LおよびLはそれぞれ、−O−、−S−、−CO−、−NR222−、2価の鎖状基、2価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。上記R222は炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子である。
組み合わせからなる2価の連結基の例を以下に示す。ここで、左側がQ(Q11またはQ22)に、右側がCy(CyまたはCy)に結合する。
L−1:−CO−O−2価の鎖状基―O−
L−2:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−
L−3:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−O−
L−4:−CO−O−2価の鎖状基―O−2価の環状基−
L−5:−CO−O−2価の鎖状基―O−2価の環状基−CO−O−
L−6:−CO−O−2価の鎖状基―O−2価の環状基−O−CO−
L−7:−CO−O−2価の鎖状基―O−2価の環状基−2価の鎖状基―
L−8:−CO−O−2価の鎖状基―O−2価の環状基−2価の鎖状基―CO−O−
L−9:−CO−O−2価の鎖状基―O−2価の環状基−2価の鎖状基―O−CO−
L−10:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−2価の環状基−
L−11:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−2価の環状基−CO−O−
L−12:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−2価の環状基−O−CO−
L−13:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−2価の環状基−2価の鎖状基―
L−14:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−2価の環状基−2価の鎖状基―CO−O−
L−15:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−2価の環状基−2価の鎖状基―O−CO−
L−16:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−O−2価の環状基−
L−17:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−O−2価の環状基−CO−O−
L−18:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−O−2価の環状基−O−CO−
L−19:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−O−2価の環状基−2価の鎖状基―
L−20:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−O−2価の環状基−2価の鎖状基―CO−O−
L−21:−CO−O−2価の鎖状基―O−CO−O−2価の環状基−2価の鎖状基―O−CO−
【0184】
2価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は1〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることが最も好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることが最も好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素原子数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
2価の鎖状基の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタメチレン基、1−メチル−ブタメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2−ブテニレン基、2−ブチニレン基などが挙げられる。
【0185】
2価の環状基の定義および例は、後述するCy、CyおよびCyの定義および例と同様である。
222は、炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0186】
またはLはそれぞれ単結合または2価の連結基である。LおよびLはそれぞれ、−O−、−S−、−CO−、−NR222−、2価の鎖状基、2価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基または単結合であることが好ましい。上記R222は炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。2価の鎖状基、および2価の環状基についてはLおよびLの定義と同義である。
【0187】
式(I)において、n111は0または1または2である。nが2の場合、2つのLは同じであっても異なっていても良く、2つのCyも同じであっても異なっていてもよい。n111は1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0188】
式(I)において、Cy、CyおよびCyは、それぞれ、2価の環状基である。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジンー2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジンー2,5−ジイル基が好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜5のアルキル基、炭素原子数が1〜5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜5のアルコキシ基、炭素原子数が1〜5のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2〜6のアシルアミノ基が含まれる。
【0189】
以下に、式(I)で表される重合性液晶性化合物の例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0190】
【化41】


【0191】
【化42】


【0192】
【化43】


【0193】
【化44】


【0194】
重合性液晶層は、液晶性化合物および必要に応じて重合開始剤、平均傾斜角調整剤、および任意の添加剤(例えば、可塑剤、モノマー、界面活性剤、配向温度低下剤、カイラル剤)を含む塗布液を配向膜の上に塗布することで形成できる。
【0195】
(重合開始剤)
配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0196】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがより好ましい。
液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm〜50J/cmの範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cmの範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cmの範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
【0197】
(平均傾斜角制御剤)
本発明における位相差膜は特定の界面活性を有する化合物により液晶性化合物の平均傾斜角を調節することができる。
平均傾斜角を低下せしめる化合物としてはセルロースの低級脂肪酸エステル、含フッ素界面活性剤、または1,3,5−トリアジン環を有する化合物が挙げられる。
【0198】
(セルロースの低級脂肪酸エステル)
セルロースの低級脂肪酸エステルにおける「低級脂肪酸」とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2〜5であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。脂肪酸には置換基(例えば、ヒドロキシ基)が結合していてもよい。2種類以上の脂肪酸がセルロースとエステルを形成していてもよい。セルロースの低級脂肪酸エステルの例には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースヒドロキシプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートが含まれる。セルロースアセテートブチレートが特に好ましい。セルロースアセテートブチレートのブチリル化度は、30%以上であることが好ましく、30〜80%であることがさらに好ましい。セルロースアセテートブチレートのアセチル化度は、30%以下であることが好ましく、1〜30%であることがさらに好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルは、液晶性化合物の量の0.01〜1質量%の量で使用する。使用量は、液晶性化合物の量の0.1〜1質量%であることが好ましく、0.3〜0.9質量%であることがさらに好ましい。
【0199】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、下記式(III-I)で表される化合物であることが好ましい。
【0200】
式(III-I)
【化45】


式(III-I)中、X、XおよびXは、それぞれ、単結合、−NR333−(R33は炭素原子数が1〜30のアルキル基または水素原子)、−O−または−S−であり
31、R32およびR33は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。
式(III-I)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。メラミン化合物では、式(III-I)において、X、XまたはXが−NR333−であるか、あるいは、X、XまたはXが単結合であり、かつR31、R32およびR33が窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基である。メラミン化合物については、式(IV)を引用して、さらに詳細に説明する。−NR333−のR333は、水素原子であることが特に好ましい。R31、R32およびR33は、アリール基であることが特に好ましい。
【0201】
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、2〜30であることがより好ましく、4〜30であることがさらに好ましく、6〜30であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、エポキシエチルオキシ基)およびアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が含まれる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、3〜30であることがより好ましく、4〜30であることがさらに好ましく、6〜30であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、エポキシエチルオキシ基)およびアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が含まれる。
【0202】
上記アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述したアルキル基と同様の定義を有する。アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同様である。上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同様の定義を有する。アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基およびアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同様である。上記アリール基の例には、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、4−メトキシフェニル基、3,4−ジエトキシフェニル基、4−オクチルオキシフェニル基および4−ドデシルオキシフェニル基が含まれる。アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基およびアシル基の部分の例は、上記アリール基の例と同様である。
【0203】
、XまたはXが−NR333−、−O−または−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、N、SまたはOであることが好ましく、Nであることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジル環または4−ピリジル環)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。X、XまたはXが単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価を有する複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O、S)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。以下に、窒素原子に遊離原子価を有する複素環基の例を示す。
【0204】
【化46】


【化47】


【化48】


【化49】


【0205】
31、R32およびR33の少なくとも一つは、炭素原子数が9〜30のアルキレン部分またはアルケニレン部分を含むことが好ましい。炭素原子数が9〜30のアルキレン部分またはアルケニレン部分は、直鎖状であることが好ましい。アルキレン部分またはアルケニレン部分は、アリール基の置換基に含まれていることが好ましい。また、R31、R32およびR33の少なくとも一つは、重合性基を置換基として有することが好ましい。1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、少なくとも2つの重合性基を有することが好ましい。また、重合性基は、R31、R32またはR33の末端に位置することが好ましい。1,3,5−トリアジン環を有する化合物に重合性基を導入することで、1,3,5−トリアジン環を有する化合物と液晶性化合物、例えばディスコティック液晶性分子とが重合している状態で位相差膜に含ませることができる。重合性基を置換基として有するR31、R32またはR33を、下記式(Rp)で示す。
【0206】
式(Rp)
−L(−P)n333
式(Rp)中、Lは、(n333+1)価の連結基であり、Pは、重合性基であり、n333は1〜5の整数である。式(Rp)において、(n333+1)価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、n333+1価の芳香族基、2価のヘテロ環残基、−CO−、−NR334−(R334は炭素原子数が1〜30のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−および−SO−からなる群より選ばれる基を少なくとも二つ組み合わせた連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。芳香族基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。式(Rp)のL5 の例を以下に示す。左側が式(III-I)のX、XまたはXに結合(X、XまたはXが単結合の場合は、1,3,5−トリアジン環に直結)し、右側が(L53〜L59ではn個の)重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基、Hcは2価のヘテロ環残基、ARは芳香族基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基、ヘテロ環残基および芳香族基は、置換基(例えば、アルキル基、ハロゲン原子)を有していてもよい。
51:−AL−O−CO−
52:−AL−O−
53:−AR(−O−AL−O−CO−)n
54:−AR(−O−AL−O−)n
55:−AR(−O−CO−AL−O−CO−)n
56:−AR(−CO−O−AL−O−CO−)n
57:−AR(−O−CO−AR−O−AL−O−CO−)n
58:−AR(−NR−SO2 −AL−O−CO−)n
59:−AR(−SO2 −NR−AL−O−CO−)n
式(Rp)における重合性基(P)としては、下記の構造を好ましく使用できる。
【0207】
【化50】


【化51】


【化52】


【化53】


【化54】


【化55】


【0208】
重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P17)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P15、P16、P17)であることが最も好ましい。式(Rp)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、液晶性化合物の種類に応じて決定される。
【0209】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物の(メラミン化合物を除く)具体例を以下に示す。
【0210】
【化56】


TR−1:R31、R32、R33:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−2:R31、R32、R33:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
TR−3:R31、R32:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2 ;R33:−(CH2)12−CH3
TR−4:R31、R32:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R33:−(CH2)12−CH3
TR−5:R31:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2;R32、R33:−(CH2)12−CH3
TR−6:R31:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R32、R33:−(CH2)12−CH3
TR−7:R31、R32:−(CH2)4−O−CO−CH=CH2 ;R33:−(CH2)12−CH3
TR−8:R31:−(CH2)4−O−CO−CH=CH2 ;R32、R33:−(CH2)12−CH3
TR−9:R31、R32、R33:−(CH2)9−O−EpEt
TR−10:R31、R32、R33:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−EpEt
TR−11:R31、R32:−(CH2)9−O−EpEt;R33:−(CH2)12−CH3
TR−12:R31、R32、R33:−(CH2)9−O−CH=CH2
TR−13:R31、R32:−(CH2)9−O−CH=CH2;R33:−(CH2)12−CH3
EpEtは、エポキシエチル基を表す(以下、同じ)。
【化57】


TR−14:X1、X2、X3:−O−;R32、R35、R38:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−15:X1、X2、X3:−O−;R31、R32、R34、R35、R37、R38:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−16:X1、X2、X3:−O−;R32、R35、R38:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
TR−17:X1、X2、X3:−O−;R31、R32、R34、R35、R37、R38:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
TR−18:X1、X2、X3:−O−;R31、R33、R34、R36、R37、R39:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−19:X1、X2、X3:−O−;R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−20:X1、X2:−O−;X3:−NH−;R32、R35、R38:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−21:X1、X2:−O−;X3:−NH−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R38:−O−(CH2)12−CH3
TR−22:X1、X2:−O−;X3:−NH−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R37、R38:−O−(CH2)12−CH3
TR−23:X1、X2:−O−;X3:−NH−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R38:−O−CO−(CH2)11−CH3
TR−24:X1:−O−;X2、X3:−NH−;R31、R33:−O−(CH2)12−CH3;R35、R38:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−25:X1:−O−;X2、X3:−NH−;R31、R32:−O−(CH2)6−O−CO−CH=CH2;R35、R38:−O−(CH2)11−CH3
TR−26:X1:−O−;X2、X3:−NH−;R31、R32、R33:−O−(CH2)6−O−CO−CH=CH2;R35、R38:−O−(CH2)11−CH3
TR−27:X1、X2:−NH−;X3:−S−;R32、R35:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2;R38:−O−CO−(CH2)11−CH3
TR−28:X1、X2:−NH−;X3:−S−;R31、R32、R34、R35:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2;R38:−O−CO−(CH2)11−CH3
TR−29:X1、X2:−NH−;X3:−S−;R32、R35:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R38:−O−CO−(CH2)11−CH3
TR−30:X1、X2:−NH−;X3:−S−;R31、R32、R34、R35:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R38:−O−CO−(CH2)11−CH3
TR−31:X1、X2:−NH−;X3:−S−;R31、R33、R34、R36:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2;R38:−O−CO−(CH2)11−CH3
TR−32:X1、X2:−NH−;X3:−S−;R31、R32、R33、R34、R35、R36:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2;R38:−O−CO−(CH2)11−CH3
TR−33:X1、X2:−O−;X3:−S−;R32、R35、R38:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−34:X1、X2:−O−;X3:−S−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R38:−O−(CH2)12−CH3
TR−35:X1、X2:−O−;X3:−S−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R37、R38:−O−(CH2)12−CH3
TR−36:X1、X2:−O−;X3:−S−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R38:−O−CO−(CH2)11−CH3
TR−37:X1:−O−;X2、X3:−S−;R31、R33:−O−(CH2)12−CH3;R35、R38:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−38:X1:−O−;X2、X3:−S−;R31、R32:−O−(CH2)6−O−CO−CH=CH2;R35、R38:−O−(CH2)11−CH3
TR−39:X1:−O−;X2、X3:−S−;R31、R32、R33:−O−(CH2)6−O−CO−CH=CH2;R35、R38:−O−(CH2)11−CH3
TR−40:X1、X2、X3:−S−;R32、R35、R38:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−41:X1、X2、X3:−S−;R31、R32、R34、R35、R37、R38:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−42:X1、X2、X3:−S−;R32、R35、R38:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
TR−43:X1、X2、X3:−S−;R31、R32、R34、R35、R37、R38:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
TR−44:X1、X2、X3:−S−;R31、R33、R34、R36、R37、R39:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−45:X1、X2、X3:−S−;R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−46:X1、X2:−S−;X3:−NH−;R32、R35、R38:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
TR−47:X1、X2:−S−;X3:−NH−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R38:−O−(CH2)12−CH3
TR−48:X1、X2:−S−;X3:−NH−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R37、R38:−O−(CH2)12−CH3
TR−49:X1、X2:−S−;X3:−NH−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R38:−O−CO−(CH2)11−CH3
TR−50:X1:−O−;X2:−NH−;X3:−S−;R31、R33:−O−(CH2)12−CH3;R35:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2;R38:−O−(CH2)12−CH3
TR−51:X1:−O−;X2:−NH−;X3:−S−;R31、R32:−O−(CH2)6−O−CO−CH=CH2;R35:−O−(CH2)11−CH3;R38:−O−(CH2)12−CH3
TR−52:X1:−O−;X2:−NH−;X3:−S−;R31、R32、R33:−O−(CH2)6−O−CO−CH=CH2;R35:−O−(CH2)11−CH3;R38:−O−(CH2)12−CH3
TR−53:X1、X2、X3:−O−;R32、R35、R38:−O−(CH2)9−O−EpEt
TR−54:X1、X2、X3:−O−;R31、R32、R34、R35、R37、R38:−O−(CH2)9−O−EpEt
TR−55:X1、X2、X3:−O−;R32、R35、R38:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−EpEt
TR−56:X1、X2、X3:−O−;R31、R32、R34、R35、R37、R38:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−EpEt
TR−57:X1、X2、X3:−O−;R31、R33、R34、R36、R37、R39:−O−(CH2)9−O−EpEt
TR−58:X1、X2、X3:−O−;R32、R35、R38:−O−(CH2)9−O−CH=CH2
TR−59:X1、X2:−O−;X3:−NH−;R32、R35、R38:−O−(CH2)9−O−EpEt
TR−60:X1、X2:−O−;X3:−NH−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−EpEt;R38:−O−(CH2)12−CH3
TR−61:X1、X2:−O−;X3:−NH−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−EpEt;R37、R38:−O−(CH2)12−CH3
TR−62:X1、X2:−O−;X3:−NH−;R32、R35:−O−(CH2)4−O−EpEt;R38:−O−CO−(CH2)11−CH3
TR−63:X1:−O−;X2、X3:−NH−;R31、R33:−O−(CH2)12−CH3;R35、R38:−O−(CH2)9−O−EpEt
TR−64:X1:−O−;X2、X3:−NH−;R31、R32:−O−(CH2)6−O−EpEt;R35、R38:−O−(CH2)11−CH3
TR−65:X1、X2:−O−;X3:−NH−;R32、R35、R38:−O−(CH2)9−O−CH=CH2
【0211】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、下記式(IV-I)で表されるメラミン化合物であることが好ましい。
【0212】
式(IV-I)
【化58】


式(IV-I)中、R41、R43およびR45は、それぞれ、炭素原子数が1〜30のアルキル基または水素原子であり、R42、R44およびR46は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であるか、あるいは、R41とR42、RとR44またはR45とR46がそれぞれ結合して、複素環を形成する。R41、RおよびR45は、炭素原子数が1〜20のアルキル基または水素原子であることが好ましく、炭素原子数が1〜10のアルキル基または水素原子であることがより好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。R42、R44およびR46は、アリール基であることが特に好ましい。上記アルキル基、アルケニル基、アリール基および複素環基の定義および置換基は、前記式(III-I)で説明した各基の定義および置換基と同様である。R41とR42、R43とR44またはR45とR46が結合して形成する複素環は、前記式(III-I)で説明した窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基と同様である。
【0213】
42、R44およびR46の少なくとも一つは、炭素原子数が9〜30のアルキレン部分またはアルケニレン部分を含むことが好ましい。炭素原子数が9〜30のアルキレン部分またはアルケニレン部分は、直鎖状であることが好ましい。アルキレン部分またはアルケニレン部分は、アリール基の置換基に含まれていることが好ましい。また、R42、R44およびR46の少なくとも一つは、重合性基を置換基として有することが好ましい。メラミン化合物は、少なくとも二つの重合性基を有することが好ましい。また、重合性基は、R42、R44およびR46の末端に位置することが好ましい。メラミン化合物に重合性基を導入することで、メラミン化合物とディスコティック液晶性分子とが重合している状態で光学的異方性層に含ませることができる。重合性基を置換基として有するR42、R44およびR46は、前述した式(Rp)で示される基と同様である。
メラミン化合物の具体例を以下に示す。
【0214】
【化59】


【0215】
MM−1:R43、R44、R53、R54、R63、R64:−O−(CH2)9−CH3
MM−2:R43、R44、R53、R54、R63、R64:−O−(CH2)11−CH3
MM−3:R43、R44、R53、R54、R63、R64:−O−(CH2)15−CH3
MM−4:R44、R54、R64:−O−(CH2)9−CH3
MM−5:R44、R54、R64:−O−(CH2)15−CH3
MM−6:R43、R53、R63:−O−CH3;R44、R54、R64:−O−(CH2)17−CH3
MM−7:R44、R54、R64:−CO−O−(CH2)11−CH3
MM−8:R44、R54、R64:−SO2−NH−(CH2)17−CH3
MM−9:R43、R53、R63:−O−CO−(CH2)15−CH3
MM−10:R42、R52、R62:−O−(CH2)17−CH3
MM−11:R42、R52、R62:−O−CH3;R43、R53、R63:−CO−O−(CH2)11−CH3
MM−12:R42、R52、R62:−Cl;R43、R53、R63:−CO−O−(CH2)11−CH3
MM−13:R42、R52、R62:−O−(CH2)11−CH3;R45、R55、R65:−SO2−NH−iso−C3H7
【0216】
MM−14:R42、R52、R62:−Cl;R45、R55、R65:−SO2−NH−(CH2)15−CH3
MM−15:R42、R46、R52、R56、R62、R66:−Cl;R45、R55、R65:−SO2−NH−(CH2)19−CH3
MM−16:R43、R54:−O−(CH2)9−CH3;R44、R53、R63、R64:−O−(CH2)11−CH3
MM−17:R44:−O−(CH2)11−CH3;R54:−O−(CH2)15−CH3;R64:−O−(CH2)17−CH3
MM−18:R42、R45、R52、R55、R62、R65:−O−CH3;R44、R54、R64:−NH−CO−(CH2)14−CH3
MM−19:R42、R45、R52、R55、R62、R65:−O−(CH2)3−CH3;R44、R54、R64:−O−(CH2)15−CH3
MM−20:R42、R52、R62:−NH−SO2−(CH2)15−CH3;R44、R45、R54、R55、R64、R65:−Cl
MM−21:R42、R43、R52、R53、R62、R63:−F;R44、R54、R64:−CO−NH−(CH2)15−CH3;R45、R46、R55、R56、R65、R66:−Cl
MM−22:R42、R52、R62:−Cl;R44、R54、R64:−CH3;R45、R55、R65:−NH−CO−(CH2)12−CH3
MM−23:R42、R52、R62:−OH;R44、R54、R64:−CH3;R45、R55、R65:−O−(CH2)15−CH3
MM−24:R42、R45、R52、R55、R62、R65:−O−CH3;R44、R54、R64:−(CH2)11−CH3
MM−25:R42、R52、R62:−NH−SO2−CH3;R45、R55、R65:−CO−O−(CH2)11−CH3
MM−26:R42、R52、R62:−S−(CH2)11−CH3;R45、R55、R65:−SO2−NH2
【0217】
MM−27:R43、R44、R53、R54、R63、R64:−O−(CH2)12−O−CO−CH=CH2
MM−28:R43、R44、R53、R54、R63、R64:−O−(CH2)8−O−CO−CH=CH2
MM−29:R43、R44、R53、R54、R63、R64:−O−CO−(CH2)7−O−CO−CH=CH2
MM−30:R44、R54、R64:−CO−O−(CH2)12−O−CO−C(CH3)=CH2
MM−31:R43、R44、R53、R54、R63、R64:−O−CO−p−Ph−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
MM−32:R42、R44、R52、R54、R62、R64:−NH−SO2−(CH2)8−O−CO−CH=CH2;R45、R55、R65:−Cl
MM−33:R42、R52、R62:−NH−SO2−CH3;R45、R55、R65:−CO−O−(CH2)12−O−CO−CH=CH2
【0218】
MM−34:R44、R54、R64:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
MM−35:R43、R44、R53、R54、R63、R64:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
MM−36:R44、R54、R64:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
MM−37:R43、R44、R53、R54、R63、R64:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
MM−38:R43、R45、R53、R55、R63、R65:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
MM−39:R43、R44、R45、R53、R54、R55、R63、R64、R65:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
MM−40:R44、R54:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R64:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
MM−41:R44、R54:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R64:−O−(CH2)12−CH3
MM−42:R44、R54:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R63、R64:−O−(CH2)12−CH3
MM−43:R44、R54:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R63、R64:−O−CO−(CH2)11−CH3
MM−44:R43、R45:−O−(CH2)12−CH3;R54、R64:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
MM−45:R43、R44:−O−(CH2)6−O−CO−CH=CH2;R54、R64:−O−(CH2)11−CH3
MM−46:R43、R44、R45:−O−(CH2)6−O−CO−CH=CH2;R54、R64:−O−(CH2)11−CH3
p−Phは、p−フェニレンを表す(以下、同じ)。
【0219】
【化60】


【0220】
MM−47:R46、R56、R66:−SO2−NH−(CH2)15−CH3;R48、R58、R68:−O−(CH2)11−CH3
MM−48:R45、R55、R65:−SO2−NH−(CH2)17−CH3
MM−49:R46、R56、R66:−SO2−NH−(CH2)15−CH3
MM−50:R45、R55、R65:−O−(CH2)17−CH3;R47、R57、R67:−SO2−NH−CH3
MM−51:R43、R53、R63:−O−(CH2)15−CH3
MM−52:R41、R51、R61:−O−(CH2)17−CH3
MM−53:R46、R56、R66:−SO2−NH−Ph;R48、R58、R68:−O−(CH2)11−CH3
MM−54:R45、R55、R65:−O−(CH2)21−CH3;R47、R57、R67:−SO2−NH−Ph
MM−55:R41、R51、R61:−p−Ph−(CH2)11−CH3
MM−56:R46、R48、R56、R58、R66、R68:−SO2−NH−(CH2)7−CH3
MM−57:R46、R56、R66:−SO2−NH−(CH2)10−O−CO−CH=CH2;R48、R58、R68:−O−(CH2)12−CH3
MM−58:R45、R55、R65:−O−(CH2)12−O−CO−CH=CH2;R47、R57、R67:−SO2−NH−Ph
MM−59:R43、R53、R63:−O−(CH2)16−O−CO−CH=CH2
【0221】
【化61】


【0222】
MM−60:R45、R55、R65:−NH−CO−(CH2)14−CH3
MM−61:R42、R52、R62:−O−(CH2)17−CH3MM−62:R44、R54、R64:−O−(CH2)15−CH3
MM−63:R45、R55、R65:−SO2−NH−(CH2)15−CH3
MM−64:R43、R53、R63:−CO−NH−(CH2)17−CH3;R44、R54、R64:−OH
MM−65:R45、R55、R65:−O−(CH2)15−CH3;R46、R56、R66:−SO2−NH−(CH2)11−CH3
MM−66:R47、R57、R67:−O−(CH2)21−CH3MM−67:R44、R54、R64:−O−p−Ph−(CH2)11−CH3
MM−68:R46、R56、R66:−SO2−NH−(CH2)15−CH3
MM−69:R43、R53、R63:−CO−NH−(CH2)17−CH3;R44、R54、R64:−O−(CH2)12−O−CO−CH=CH2
MM−70:R45、R55、R65:−O−(CH2)8−O−CO−CH=CH2;R46、R56、R66:−SO2−NH−(CH2)11−CH3
MM−71:R43、R46、R53、R56、R63、R66:−SO2−NH−(CH2)8−0−CO−CH=CH2
【0223】
【化62】


【0224】
MM−72:R41、R43、R45:−CH3
MM−73:R41、R43、R45:−C2H5
MM−74:R41、R43:−C2H5;R45:−CH3
MM−75:R41、R43、R45:−(CH2)3−CH3
【0225】
【化63】


【0226】
MM−76:R42、R44、R46:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
MM−77:R42、R44、R46:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
MM−78:R42、R44:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2 ;R46:−(CH2)12−CH3
MM−79:R42、R44:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R46:−(CH2)12−CH3
MM−80:R42:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2;R44、R46:−(CH2)12−CH3
MM−81:R42:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R44、R46:−(CH2)12−CH3
MM−82:R42、R44:−(CH2)4−O−CO−CH=CH2 ;R46:−(CH2)12−CH3
MM−83:R42:−(CH2)4−O−CO−CH=CH2 ;R44、R46:−(CH2)12−CH3
MM−84:R42、R44、R46:−(CH2)9−O−EpEt
MM−85:R42、R44、R46:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−EpEt
MM−86:R42、R44:−(CH2)9−O−EpEt;R46:−(CH2)12−CH3
MM−87:R42、R44、R46:−(CH2)9−O−CH=CH2
MM−88:R42、R44:−(CH2)9−O−CH=CH2;R46:−(CH2)12−CH3
【0227】
【化64】


【0228】
MM−89:R41、R42、R43、R44、R45、R46:−(CH2)9−CH3
MM−90:R41、R43、R45:−CH3;R42、R44、R46:−(CH2)17−CH3
MM−91:R41、R42、R43、R44:−(CH2)7−CH3;R45、R46:−(CH2)5−CH3
MM−92:R41、R42、R43、R44、R45、R46:−CyHx
MM−93:R41、R42、R43、R44、R45、R46:−(CH2)2−O−C2H5
MM−94:R41、R43、R45:−CH3;R42、R44、R46:−(CH2)12−O−CO−CH=CH2
MM−95:R41、R42、R43、R44、R45、R46:−(CH2)8−O−CO−CH=CH2
CyHxはシクロヘキシルを表す。
【0229】
【化65】


【0230】
メラミン化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、下記式(V-I)で示すメラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。
【0231】
式(V-I)
【化66】


【0232】
式(V-I)中、R71、R72、R73、R74、R75およびR76は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。上記アルキル基、アルケニル基、アリール基および複素環基の定義および置換基は、前記式(III-I)で説明した各基の定義および置換基と同様である。メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応は、通常のメラミン樹脂(例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂)の合成方法と同様である。市販のメラミンポリマー(メラミン樹脂)を用いてもよい。メラミンポリマーの分子量は、2千〜40万であることが好ましい。
【0233】
71、R72、R73、R74、R75およびR76の少なくとも一つは、炭素原子数が9〜30のアルキレン部分またはアルケニレン部分を含むことが好ましい。炭素原子数が9〜30のアルキレン部分またはアルケニレン部分は、直鎖状であることが好ましい。アルキレン部分またはアルケニレン部分は、アリール基の置換基に含まれていることが好ましい。また、R71、R72、R73、R74、R75およびR76の少なくとも一つは、重合性基を置換基として有することが好ましい。また、重合性基は、R71、R、R73、R74、R75およびR76の末端に位置することが好ましい。メラミンポリマーに重合性基を導入することで、メラミンポリマーとディスコティック液晶性分子とが重合している状態で位相差膜(光学的異方性層)に含ませることができる。重合性基を置換基として有するR71、R72、R73、R74、R75およびR76は、前述した式(Rp)で示される基と同様である。重合性基は、カルボニル化合物(R71、R72)とメラミン化合物(R73、R74、R75、R76)の一方に導入すればよい。メラミン化合物が重合性基を有する場合は、カルボニル化合物はホルムアルデヒドのような簡単な化学構造の化合物が好ましく用いられる。カルボニル化合物が重合性基を有する場合は、メラミン化合物は、(無置換)メラミンのような簡単な化学構造の化合物が好ましく用いられる。
【0234】
重合性基を有するカルボニル化合物の例を以下に示す。
【0235】
【化67】


CO−1:R72:−H;R82:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
CO−2:R72:−H;R81、R82:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
CO−3:R72:−H;R82:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
CO−4:R72:−H;R81、R82:−O−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
CO−5:R72:−H;R81、R83:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
CO−6:R72:−H;R81、R82、R83:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
CO−7:R72:−CH3;R82:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
CO−8:R72:−(CH2)11−CH3;R82:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
CO−9:R72:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2;R82:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
CO−10:R72:−(CH2)9−O−CO−EpEt;R82:−O−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
CO−11:R72:−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R81、R83:−O−(CH2)12−CH3
【0236】
【化68】


CO−12:R81、R82、R83、R84:−O−(CH2)6−O−CO−CH=CH2
CO−13:R82、R83:−O−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
【化69】


CO−14:R71:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2;R72:−H
CO−15:R71:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R72:−H
CO−16:R71:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2;R72:−CH3
CO−17:R71:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R72:−CH3
CO−18:R71:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2;R72:−Ph
CO−19:R71:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R72:−Ph
CO−20:R71:−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R72:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
CO−21:R71:−(CH2)4−O−CO−CH=CH2;R72:−(CH2)12−CH3
CO−22:R71:−(CH2)9−O−EpEt;R72:−H
CO−23:R71:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−EpEt;R72:−H
CO−24:R71、R72:−(CH2)9−O−EpEt
CO−25:R71、R72:−(CH2)9−O−CO−CH=CH2
CO−26:R71、R72:−(CH2)4−CH=CH−(CH2)4−O−CO−CH=CH2
Phはフェニル基を表す(以下、同じ)。
【0237】
メラミン化合物側に重合性基を有するメラミンポリマーの例を以下に示す。
【化70】


MP−1:R73、R75、R76:−CH2−NH−CO−CH=CH2;R74:−CH2−NH−CO−(CH2)8−CH3
MP−2:R71:−CH3;R73、R75、R76:−CH2−NH−CO−CH=CH2;R74:−CH2−NH−CO−(CH2)8−CH3
MP−3:R71、R72:−CH3;R73、R75、R76:−CH2−NH−CO−CH=CH2;R74:−CH2−NH−CO−(CH2)8−CH3
MP−4:R71:−Ph;R73、R75、R76:−CH2−NH−CO−CH=CH2;R74:−CH2−NH−CO−(CH2)8−CH3
MP−5:R73、R76:−CH2−NH−CO−CH=CH2;R74:−CH2−NH−CO−(CH2)7−CH=CH−(CH2)7−CH3;R75:−CH2−O−CH3
MP−6:R73、R76:−CH2−NH−CO−CH=CH2;R74:−CH2−NH−CO−(CH2)7−CH=CH−(CH2)7−CH3;R75:−CH2−OH
MP−7:R73、R76:−CH2−NH−CO−C2H5;R74:−CH2−NH−CO−(CH2)16−CH3;R75:−CH2−O−CH3
MP−8:R73、R76:−CH2−NH−CO−C2H5;R74:−CH2−NH−CO−(CH2)16−CH3;R75:−CH2−OH
MP−9:R73、R76:−CH2−O−CO−CH=CH2;R74:−CH2−O−CO−(CH2)7−CH=CH−(CH2)7−CH3;R75:−CH2−O−CH3
MP−10:R73、R76:−CH2−O−CO−CH=CH2;R74:−CH2−O−CO−(CH2)7−CH=CH−(CH2)7−CH3;R75:−CH2−OH
MP−11:R73、R76:−CH2−O−CO−(CH2)7−CH=CH−(CH2)7−CH3;R74:−CH2−NH−CO−(CH2)7−CH=CH−(CH2)7−CH3;R75:−CH2−O−CH3
MP−12:R73、R76:−CH2−O−CO−(CH2)7−CH=CH−(CH2)7−CH3;R74:−CH2−NH−CO−(CH2)7−CH=CH−(CH2)7−CH3;R75:−CH2−OH
MP−13:R73、R74、R75、R76:−CH2−O−(CH2)11−O−CO−CH=CH2
MP−14:R73、R75、R76:−CH2−NH−CO−CH=CH2;R74:−CH2−O−(CH2)16−CH3
【0238】
(含フッ素界面活性剤)
本発明における重合性液晶層は含フッ素界面活性剤の添加により液晶性化合物を安定かつ均一に配向させることができる。
本発明における含フッ素界面活性剤は、フッ素原子を含む疎水性基、ノニオン性、アニオン性、カチオン性あるいは両性の親水性基および任意に設けられる連結基からなる。一つの疎水性基と一つの親水性基からなる含フッ素界面活性剤は、下記式(II)で表わされる。
【0239】
式(II)
Rf−L23−Hy
式中、Rfは、フッ素原子で置換された1価の炭化水素残基であり;L23は、単結合または2価の連結基であり;そして、Hyは親水性基である。式(II)のRfは、疎水性基として機能する。炭化水素残基は、アルキル基またはアリール基であることが好ましい。アルキル基の炭素原子数は3〜30であることが好ましく、アリール基の炭素原子数は6〜30であることが好ましい。炭化水素残基に含まれる水素原子の一部または全部は、フッ素原子で置換されている。フッ素原子で、炭化水素残基に含まれる水素原子の50%以上を置換することが好ましく、60%以上を置換することがより好ましく、70%以上を置換することがさらに好ましく、80%以上を置換することが最も好ましい。残りの水素原子は、さらに他のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)で置換されていてもよい。Rfの例を以下に示す。
【0240】
Rf:n−C8 17
Rf:n−C6 13
Rf:Cl−(CF2 −CFCl)3 −CF2
Rf:H−(CF2 8
Rf:H−(CF2 10
Rf:n−C9 19
Rf:ペンタフルオロフェニル
Rf:n−C7 15
Rf:Cl−(CF2 −CFCl)2 −CF2
Rf10:H−(CF2 4
Rf11:H−(CF2 6
Rf12:Cl−(CF2 6
Rf13:C3 7
【0241】
式(II)において、2価の連結基は、アルキレン基、アリーレン基、2価のヘテロ環残基、−CO−、−NR222−(R222は炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)、−O−、−SO2 −およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。式(II)のL23の例を以下に示す。左側が疎水性基(Rf)に結合し、右側が親水性基(Hy)に結合する。ALはアルキレン基、ARはアリーレン基、Hcは2価のヘテロ環残基を意味する。なお、アルキレン基、アリーレン基および2価のヘテロ環残基は、置換基(例えば、アルキル基)を有していてもよい。
【0242】
30:単結合
31:−SO2 −NR−
32:−AL−O−
33:−CO−NR−
34:−AR−O−
35:−SO2 −NR−AL−CO−O−
36:−CO−O−
37:−SO2 −NR−AL−O−
38:−SO2 −NR−AL−
39:−CO−NR−AL−
40:−AL1 −O−AL2
41:−Hc−AL−
42:−SO2 −NR−AL1 −O−AL2
43:−AR−
44:−O−AR−SO2 −NR−AL−
45:−O−AR−SO2 −NR−
46:−O−AR−O−
【0243】
式(II)のHyは、ノニオン性親水性基、アニオン性親水性基、カチオン性親水性基あるいはそれらの組み合わせ(両性親水性基)のいずれかである。ノニオン性親水性基が特に好ましい。式(II)のHyの例を以下に示す。
【0244】
Hy:−(CH2 CH2 O)n −H(nは5〜30の整数)
Hy:−(CH2 CH2 O)n −R(nは5〜30の整数、Rは炭素原子数が1〜6のアルキル基)
Hy:−(CH2 CHOHCH2 n −H(nは5〜30の整数)
Hy:−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属原子または解離状態)
Hy:−SO3 M(Mは水素原子、アルカリ金属原子または解離状態)
Hy:−(CH2 CH2 O)n −CH2 CH2 CH2 −SO3 M(nは5〜30の整数、Mは水素原子またはアルカリ金属原子)
Hy:−OPO(OH)2Hy:−N+ (CH3 3 ・X(Xはハロゲン原子)
Hy:−COONH4
【0245】
ノニオン性親水性基(Hy、Hy、Hy)が好ましく、ポリエチレンオキサイドからなる親水性基(Hy)が最も好ましい。式(II)で表わされる含フッ素界面活性剤の具体例を、以上のRf、L23およびHyの例を引用して示す。
【0246】
FS−1:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=6)
FS−2:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=11)
FS−3:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=16)
FS−4:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=21)
FS−5:Rf−L31(R=C2 5 )−Hy(n=6)
FS−6:Rf−L31(R=C2 5 )−Hy(n=11)
FS−7:Rf−L31(R=C2 5 )−Hy(n=16)
FS−8:Rf−L31(R=C2 7 )−Hy(n=21)
FS−9:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=6)
FS−10:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=11)
FS−11:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=16)
FS−12:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=21)
FS−13:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=5)
FS−14:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=10)
FS−15:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=15)
FS−16:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=20)
FS−17:Rf−L33(R=C3 7 )−Hy(n=7)
FS−18:Rf−L33(R=C3 7 )−Hy(n=13)
FS−19:Rf−L33(R=C3 7 )−Hy(n=19)
FS−20:Rf−L33(R=C3 7 )−Hy(n=25)
【0247】
FS−21:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=11)
FS−22:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=15)
FS−23:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=20)
FS−24:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=30)
FS−25:Rf−L34(AR=p−フェニレン)−Hy(n=11)
FS−26:Rf−L34(AR=p−フェニレン)−Hy(n=17)
FS−27:Rf−L34(AR=p−フェニレン)−Hy(n=23)
FS−28:Rf−L34(AR=p−フェニレン)−Hy(n=29)
FS−29:Rf−L35(R=C3 7 、AL=CH2 )−Hy(n=20)
FS−30:Rf−L35(R=C3 7 、AL=CH2 )−Hy(n=30)
FS−31:Rf−L35(R=C3 7 、AL=CH2 )−Hy(n=40)
FS−32:Rf−L36−Hy(n=5)
FS−33:Rf−L36−Hy(n=10)
FS−34:Rf−L36−Hy(n=15)
FS−35:Rf−L36−Hy(n=20)
FS−36:Rf−L36−Hy(n=8)
FS−37:Rf−L36−Hy(n=13)
FS−38:Rf−L36−Hy(n=18)
FS−39:Rf−L36−Hy(n=25)
【0248】
FS−40:Rf−L0−Hy(n=6)
FS−41:Rf−L0−Hy(n=11)
FS−42:Rf−L0−Hy(n=16)
FS−43:Rf−L0−Hy(n=21)
FS−44:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=7、R1 =C2 5
FS−45:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=13、R1 =C2 5
FS−46:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=20、R1 =C2 5
FS−47:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=28、R1 =C2 5
FS−48:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=5)
FS−49:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=10)
FS−50:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=15)
FS−51:Rf−L32(AL=CH2 )−Hy(n=20)
FS−52:Rf−L37(R=C3 7 、AL=CH2CH2)−Hy(n=5)
FS−53:Rf−L37(R=C3 7 、AL=CH2CH2)−Hy(n=7)
FS−54:Rf−L37(R=C3 7 、AL=CH2CH2)−Hy(n=9)
FS−55:Rf−L37(R=C3 7 、AL=CH2CH2)−Hy(n=12)
FS−56:Rf−L0−Hy(M=H)
FS−57:Rf−L0−Hy4(M=H)
FS−58:Rf−L38(R=C3 7 、AL=CH2 )−Hy(M=K)
FS−59:Rf−L39(R=C3 7 、AL=CH2 )−Hy(M=Na)
【0249】
FS−60:Rf−L0−Hy(M=K)
FS−61:Rf10−L40(AL1 =CH2 、AL2 =CH2CH2)−Hy(M=Na)
FS−62:Rf11−L40(AL1 =CH2 、AL2 =CH2CH2)−Hy(M=Na)
FS−63:Rf−L40(AL1 =CH2 、AL2 =CH2CH2)−Hy(M=Na)
FS−64:Rf−L38(R=C3H7、AL=CH2CH2CH2)−Hy(M=Na)
FS−65:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=5、M=Na)
FS−66:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=10、M=Na)
FS−67:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=15、M=Na)
FS−68:Rf−L31(R=C3 7 )−Hy(n=20、M=Na)
FS−69:Rf−L38(R=C2 5 、AL=CH2 CH2 )−Hy
FS−70:Rf−L38(R=H、AL=CH2CH2CH2 )−Hy(X=I)
FS−71:Rf11−L41(下記Hc、AL=CH2CH2CH2)−Hy(Mは解離)
【0250】
【化71】


【0251】
FS−72:Rf−L42(R=C3H7、AL1=CH2CH2、AL2=CH2CH2CH2)−Hy6(M=Na)
FS−73:Rf12−L0−Hy(M=Na)
FS−74:Rf13−L43(AR=o−フェニレン)−Hy(M=K)
FS−75:Rf13−L43(AR=m−フェニレン)−Hy(M=K)
FS−76:Rf13−L43(AR=p−フェニレン)−Hy(M=K)
FS−77:Rf−L44(R=C2H5、AL=CH2CH2)−Hy(M=H)
FS−78:Rf−L45(AR=p−フェニレン、R=C2H5)−Hy(n=9)
FS−79:Rf−L45(AR=p−フェニレン、R=C2H5)−Hy(n=14)
FS−80:Rf−L45(AR=p−フェニレン、R=C2H5)−Hy(n=19)
FS−81:Rf−L45(AR=p−フェニレン、R=C2H5)−Hy(n=28)
FS−82:Rf−L46(AR=p−フェニレン)−Hy(n=5)
FS−83:Rf−L46(AR=p−フェニレン)−Hy(n=10)
FS−84:Rf−L46(AR=p−フェニレン)−Hy(n=15)
FS−85:Rf−L46(AR=p−フェニレン)−Hy(n=20)
【0252】
フッ素原子を含む疎水性基または親水性基を2以上有する含フッ素界面活性剤を用いてもよい。二以上の疎水性基または親水性基を有する含フッ素界面活性剤の例を以下に示す。
【化72】


【0253】
FS−86:n1+n2=12、
FS−87:n1+n2=18、
FS−88:n1+n2=24
【0254】
【化73】


【0255】
FS−89:n1+n2=20、
FS−90:n1+n2=30、
FS−91:n1+n2=40
【0256】
【化74】


【0257】
FS−92:n=5、
FS−93:n=10、
FS−94:n=15、
FS−95:n=20
【0258】
【化75】


【0259】
2種類以上の含フッ素界面活性剤を併用してもよい。界面活性剤については、様々な文献(例えば、堀口弘著「新界面活性剤」三共出版(1975)、M.J. Schick, Nonionic Surfactants,Marcell Dekker Inc., New York,(1967)、特開平7−13293号公報)に記載がある。含フッ素界面活性剤は、液晶性化合物の量の2〜30質量%の量で使用する。使用量は、液晶性化合物の量の3〜25質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがさらに好ましい。
【0260】
2種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物(メラミン化合物およびメラミンポリマーを含む)を併用してもよい。1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、液晶性化合物の量の0.01〜20質量%の量で使用する。使用量は、液晶性化合物の量の0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましい。
【0261】
重合性液晶層は、本発明における2軸フィルムまたは配向膜の上に塗布することで形成する。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液は、公知の方法(例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法)により実施できる。連続塗布により光学的異方性層を形成することが好ましい。カーテンコーティング法、ロールコーティング法およびスライドコーティング法が連続塗布に適している。
【0262】
重合性液晶層の厚さは、0.5〜100μmであることが好ましく、0.5〜30μmであることがさらに好ましい。
【0263】
(配向膜)
配向膜は、液晶性化合物の配向方向を決定する機能を有する。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア−ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
【0264】
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。ラビング処理は2軸フィルムの遅相軸と実質的に垂直の方向に行うことが好ましい。これにより2軸フィルムの遅相軸と位相差膜の遅相軸を直交させることが可能である。
2軸フィルムの遅相軸と位相差膜の遅相軸を直交させることにより、2軸フィルムのReと位相差膜のReが相殺され、光学補償シートのReの波長分散を容易に調節できるという効果が得られる。
【0265】
ポリマーは、ポリビニルアルコールが好ましい。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。疎水性基は、位相差膜の液晶性化合物と親和性があるため、疎水性基をポリビニルアルコールに導入することで、液晶性化合物を均一に配向させることができる。疎水性基は、ポリビニルアルコールの主鎖末端または側鎖に結合させる。
疎水性基は、炭素原子数が6以上の脂肪族基(好ましくは、アルキル基またはアルケニル基)または芳香族基が好ましい。
【0266】
ポリビニルアルコールの主鎖末端に疎水性基を結合させる場合、疎水性基と主鎖末端との間に連結基を導入することが好ましい。連結基の例には、−S−、−C(CN)R44−、−NR555−、−CS−およびそれらの組み合わせが含まれる。上記R444およびR555 は、それぞれ、水素原子または炭素原子数が1〜6のアルキル基(好ましくは、炭素原子数が1〜6のアルキル基)である。
【0267】
ポリビニルアルコールの側鎖に疎水性基を導入する場合は、ポリビニルアルコールの酢酸ビニル単位のアセチル基(−CO−CH3 )の一部を、炭素原子数が7以上のアシル基(−CO−R666)で置き換えればよい。R666は、炭素原子数が6以上の脂肪族基または芳香族基である。
【0268】
市販の変性ポリビニルアルコール(例えば、MP103、MP203、R1130、クラレ(株)製)を用いてもよい。
配向膜に用いる(変性)ポリビニルアルコールのケン化度は、80%以上であることが好ましい。(変性)ポリビニルアルコールの重合度は、200以上であることが好ましい。
ラビング処理は、配向膜の表面を、紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。長さおよび太さが均一な繊維を均一に植毛した布を用いることが好ましい。
なお、重合性液晶層の液晶性化合物を配向膜で配向させた後、配向膜を除去しても、液晶性化合物の配向状態を維持することができる。すなわち、配向膜は液晶性化合物を配向させるため、光学補償シートの製造において必須であるが、製造された光学補償シートにおいては必須ではない。
配向膜を2軸フィルムと重合性液晶層との間に設ける場合は、さらに接着層(下塗り層)を透明支持体と配向膜との間に設けてもよい。
【0269】
本発明における位相差膜は特開2000−155216号公報の記載の変性ポリビニルアルコールを含む配向層により液晶性化合物の平均傾斜角を調節することもできる。
【0270】
(2軸フィルム)
本発明における2軸フィルムの厚みは10〜200μmが好ましく、20〜150μmがさらに好ましく、30〜100μmが最も好ましい。
【0271】
本発明における2軸フィルムはポリマーフィルムを延伸したものが好ましい。ポリマーとしてはノルボルネン系ポリマー、ポリカーボネート、セルロースアシレートを好ましく用いることができる。このなかでも、ノルボルネン系フィルムとセルロースアシレートフィルムは主鎖が脂肪族構造からなり主鎖に起因する波長分散が小さいため特に好ましい。
【0272】
ノルボルネン系ポリマーとしては特開2004−020823号、特開2004−309979号、特開2005−008698号の各公報に記載のポリマー等を好ましく用いることができる。
【0273】
次に、本発明における2軸フィルムに好ましく使用されるセルロースアシレートフィルム(以下、「2軸セルロースアシレートフィルム」という)について詳しく説明する。
〔セルロースアシレート〕
本発明における2軸セルロースアシレートフィルムのセルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位(β1→4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、前記低レターデーションフィルムと同じ方法で算出できる。
【0274】
本発明のセルロースアシレートはアシル化度が2.00〜2.90のセルロースアセテートが好ましい。アシル化度は2.2〜2.8がさらに好ましい。さらに全アシル化度に対する6位のアシル化度の比率は0.25以上が好ましく、0.3以上がさらに好ましい。
【0275】
さらに、もう一つの本発明の好ましいセルロースアシレートは、アシル化度が2〜2.9であり、アセチル基と炭素数が3〜4のアシル基を有する混合脂肪酸エステルである。アシル化度は2.2〜2.85がさらに好ましく、2.4〜2.8が最も好ましい。また、アセチル化度は2.5未満が好ましく、1.9未満がさらに好ましい。さらに全アシル化度に対する6位のアシル化度の比率は0.25以上が好ましく、0.3以上がさらに好ましい。
【0276】
さらに本発明のセルロースアシレートとしては、アセチル基と下記一般式(B)で表されるアシル基を有する混合エステルも好ましい。
【0277】
一般式(B)
【化76】


【0278】
まず、前記一般式(B)について説明する。一般式(B)中、Xは置換基を示す。前記置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基およびアリールオキシスルホニル基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)、−SiH−R、−SiH(−R)、−Si(−R)、−O−SiH−R、−O−SiH(−R)および−O−Si(−R)が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基である。
【0279】
前記一般式(B)中、nは置換基の数であり、0〜5の整数を示す。前記置換基の数(n)は、1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1または2であることが最も好ましい。前記で示される置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基およびウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基およびカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基およびアリールオキシ基がさらに好ましく、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基が最も好ましい。
【0280】
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が含まれる。上記アルキル基は、環状構造または分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基および2−エチルヘキシル基が含まれる。上記アルコキシ基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基およびオクチルオキシ基が含まれる。
【0281】
上記アリール基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリール基の例には、フェニル基およびナフチル基が含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基およびナフトキシ基が含まれる。上記アシル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アシル基の例には、ホルミル基、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミド基およびベンズアミド基が含まれる。上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基およびp−トルエンスルホンアミド基が含まれる。上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる。
【0282】
上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル基、フェネチル基およびナフチルメチル基が含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルが含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20であることが好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニル基が含まれる。上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイル基およびN−メチルカルバモイル基が含まれる。上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることがさらに好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイル基およびN−メチルスルファモイル基が含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0283】
上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基およびイソプロペニル基が含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例には、チエニル基が含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
【0284】
また、一般式(B)において芳香族環に置換する置換基Xの数(n)は0または1〜5個であり、好ましくは1〜3個で、特に好ましいのは1または2個である。
【0285】
さらに、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、該置換基は互いに同じでも異なっていてもよいし、互いに連結して縮合多環化合物(例えば、ナフタレン基、インデン基、インダン基、フェナントレン基、キノリン基、イソキノリン基、クロメン基、クロマン基、フタラジン基、アクリジン基、インドール基、インドリン基など)を形成してもよい。一般式(B)で表される芳香族アシル基の具体例は下記に示す通りである。
【0286】
【化77】


【0287】
【化78】


【0288】
【化79】


【0289】
【化80】


【0290】
アセチル基と一般式Bで表されるアシル基を有する混合エステルの総アシル置換度は、2.0〜2.90が好ましく、2.2〜2.70がさらに好ましい。一般式Bで表される置換基の置換度は0.1〜1.0が好ましく、0.3〜0.9がさらに好ましい。
一般式Bで表される置換基の置換度は、2位、3位および6位の置換度をそれぞれDS2、DS3、DS6として
DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.60
を満たすことが好ましい。
さらに好ましくは、
DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.70
であり、最も好ましくは、
DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.80
である。
【0291】
本発明の2軸セルロースアシレートフィルムのセルロースアシレートは前記低レターデーションフィルムのセルロースアシレートと同様の方法により調製することができる。
特に、セルロース混合アシレートを得る方法としては、アシル化剤として2種のカルボン酸無水物を混合または逐次添加により反応させる方法、2種のカルボン酸の混合酸無水物(例えば、酢酸・プロピオン酸混合酸無水物)を用いる方法、カルボン酸と別のカルボン酸の酸無水物(例えば、酢酸とプロピオン酸無水物)を原料として反応系内で混合酸無水物(例えば、酢酸・プロピオン酸混合酸無水物)を合成してセルロースと反応させる方法、置換度が3に満たないセルロースアシレートを一旦合成し、酸無水物や酸ハライドを用いて、残存する水酸機をさらにアシル化する方法などを用いることができる。
【0292】
本発明における2軸セルロースアシレートフィルムのセルロースアシレートは、100〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、200〜550の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明のセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
また、本発明に使用するセルロース体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜5.0であることが好ましく、1.5〜3.5であることがさらに好ましく、2.0〜3.0であることが最も好ましい
また重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2.0以上5.0以下が好ましく、2.0以上4.0以下がさらに好ましい。
【0293】
本発明における2軸セルロースアシレートフィルムはレターデーション発現剤を含有することが好ましい。以下に本発明のレターデーション発現剤について詳しく説明する。
【0294】
本発明のレターデーション発現剤は360nm以上750nmの波長範囲のモル吸光係数が1000以下であることがフィルムに不要の着色を引き起こさないの点から好ましい。さらに好ましくは330nm以上750nm以下の波長範囲のモル吸光係数が1000以下であることである。
モル吸光係数は、市販の分光光度計(例えば(株)島津製作所 UV3400など)を用いて測定できる。
【0295】
下記一般式(1)で表される化合物は本発明における2軸セルロースアシレートフィルムのレターデーション発現剤として特に好ましい。
一般式(1):Ar−L−Ar
上記一般式(1)において、ArおよびArは、それぞれ独立に、芳香族基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
【0296】
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基)、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(例えば、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ウレイド基、アルキルウレイド基(例えば、N−メチルウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N,N,N’−トリメチルウレイド基)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、s−ブチル基、tert−アミル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基)、アルキニル基(例えば、エチニル基、ブチニル基)、アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ヘキサノイル基、ラウリル基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ラウリルオキシ基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、ブトキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基)、アミド基(例えば、アセトアミド基、ブチルアミド基、ヘキシルアミド基、ラウリルアミド基)および非芳香族性複素環基(例えば、モルホリル基、ピラジニル基)が含まれる。
【0297】
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびアルキル基が好ましい。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
【0298】
一般式(1)において、Lは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−およびそれらの組合せからなる基から選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜8であり、最も好ましくは1〜6である。
【0299】
アルケニレン基およびアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜4であり、最も好ましくは2(ビニレンまたはエチニレン)である。
アリーレン基は、炭素原子数は6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜16であり、さらに好ましくは6〜12である。
【0300】
一般式(1)の分子構造において、Lを挟んで、ArとArとが形成する角度は、
140度以上であることが好ましい。
棒状化合物としては、下記式一般式(2)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(2):Ar−L−X−L−Ar
上記一般式(2)において、ArおよびArは、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、一般式(1)のArおよびArと同様である。
【0301】
一般式(2)において、LおよびLは、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−およびそれらの組合せからなる基より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6であり、さらに好ましくは1〜4であり、1または2(メチレンまたはエチレン)であることが最も好ましい。
およびLは、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
【0302】
一般式(2)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。
以下に、一般式(1)または(2)で表される化合物の具体例を示す。
【0303】
【化81】


【0304】
【化82】


【0305】
【化83】


【0306】
【化84】


【0307】
【化85】


【0308】
【化86】


【0309】
【化87】


【0310】
【化88】


【0311】
【化89】


【0312】
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
【0313】
【化90】


【0314】
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)および(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
【0315】
その他、好ましい化合物を以下に示す。
【化91】


【0316】
【化92】


【0317】
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法により合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc., 113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
【0318】
本発明のレターデーション発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、1〜30質量%が好ましく、2〜25質量%がさらに好ましい。
本発明のレターデーション発現剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
【0319】
〔延伸セルロースアシレートフィルムの製造〕
本発明における2軸セルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
【0320】
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−およびCOO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上記した好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
【0321】
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
【0322】
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0323】
セルロースアシレート溶液は、0℃以上の温度(常温または高温)で処理することからなる一般的な方法で調製することができる。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
【0324】
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0325】
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを撹拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で撹拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、且つ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら撹拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
【0326】
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は撹拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
【0327】
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
【0328】
撹拌は、容器内部に撹拌翼を設けて、これを用いて行うことが好ましい。撹拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。撹拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
【0329】
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0330】
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にも、セルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
【0331】
冷却溶解法では、最初に室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0332】
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。冷却によりセルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
【0333】
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0334】
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよく、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
【0335】
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0336】
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
【0337】
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量計(DSC)による測定によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保することが好ましい。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
【0338】
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。ドープにはレターデーション発現剤を添加することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
【0339】
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号および同2739070号の各明細書、英国特許640731号および同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号および同62−115035号の各公報に記載がある。バンドまたはドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
【0340】
得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して、残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
【0341】
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
【0342】
2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能で、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによっても、フィルム化することもできる。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。さらに特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押し出すセルロースアシレートフィルムの流延方法を用いることもできる。
【0343】
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
【0344】
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明のセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
【0345】
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
【0346】
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、添加量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
【0347】
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明のセルロースアシレートフィルムの製造に用いる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
【0348】
〔延伸処理〕
本発明における2軸セルロースアシレートフィルムは延伸処理を行うことが好ましい。セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向が好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
【0349】
フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
【0350】
フィルムの延伸倍率(延伸前のフィルムに対する伸び率)は、1%〜200%が好ましく、5%〜150%がさらに好ましい。特に、幅方向に1%〜200%で延伸するのが好ましく、さらに好ましくは5%〜150%である。延伸速度は1%/分〜100%/分が好ましく、5%/分〜80%/分がさらに好ましく、10%/分〜60%/分が最も好ましい。
また、本発明の延伸セルロースアシレートフィルムは、最大延伸倍率まで延伸したのちに、最大延伸倍率より低い延伸倍率で一定時間保持する工程(以下緩和工程)を経て製造されることが好ましい。緩和工程における延伸倍率は最大延伸倍率の50%〜99%が好ましく、70%〜97%がさらに好ましく、90%〜95%が最も好ましい。また、緩和工程の時間は1秒〜120秒が好ましく、5秒〜100秒がさらに好ましい。
【0351】
緩和工程の延伸倍率、時間を上記範囲にすることにより、レターデーション発現剤の配向度が高まり、高レターデーションで且つ正面および膜厚方向のレターデーションの変動が小さいセルロースアシレートフィルムが得られる。
【0352】
〔鹸化処理〕
本発明における2軸セルロースアシレートフィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、保護フィルムとして好ましく用いることができる。
【0353】
〔構成2〕
次に本発明の液晶表示装置の構成2に使用される部材について説明する。
【0354】
(Aプレート)
本発明に使用されるAプレートは、例えば、国際公開WO2003/032060号パンフレットに記載の変性ポリカーボネートフィルムを本発明におけるAプレートとして好ましく用いることができる。
また、特開2003−255102号に記載のノルボルネン系フィルムも本発明におけるAプレートとして好ましく用いることができる。
(Cプレート)
本発明におけるCプレートとしては、国際公開WO2003/032060号パンフレットに記載の2軸延伸ポリマーフィルムや特開2004−326089号公報に記載の重合性液晶層などを好ましく用いることができる。
【0355】
〔構成3〕
次に本発明の液晶表示装置の構成3に使用される部材について説明する。
(光学補償フィルムA)
本発明の光学補償フィルムAは前記式(9)〜(12)の関係を満たす。国際公開WO2003/032060号パンフレットに記載の変性ポリカーボネートフィルムや特開2003−255102号に記載のノルボルネン系フィルムを延伸処理することにより本発明の光学補償フィルムAとして好ましく用いることができる。
本発明の光学補償フィルムAは偏光板保護フィルムを兼ねてよい。
【0356】
以下に本発明の光学補償フィルムAとして好ましく用いられるノルボルネン系樹脂について詳しく説明する。
本発明の光学補償フィルムAに好ましく用いられる熱可塑性ノルボルネン系樹脂(以下、「本発明の樹脂」ということがある。)は、下記一般式(1)で表される構造単位aと下記一般式(2)で表される構造単位bを含む共重合体であり、さらに必要に応じて他の構造単位を含むことは任意である。
【0357】
一般式(1)
【化93】


[式中、X及びR1〜R4は、前記のとおりであり、R1〜R4のうち少なくとも1つは、下記一般式(1−1)及び/又は下記一般式(1−2)で表される基である。nは0又は1であり、mは0又は1以上の整数であり、好ましくは0〜3、更に好ましくは0〜2、特に好ましくは0である。]
【0358】
一般式(1−1)
【化94】


【0359】
一般式(1−2)
【化95】


〔一般式(1−1)及び一般式(1−2)において、R5〜R14、Z、RA、RB、p及びqは前記のとおりである。sは0又は1以上の整数であり、好ましくは0〜3、更に好ましくは0〜2、特に好ましくは0である。〕
【0360】
一般式(2)
【化96】


[式中、X及びR1〜R4は、前記のとおりである。tは0又は1であり、uは0又は1以上の整数であり、好ましくは0〜3、更に好ましくは0〜2、特に好ましくは1である。但し、式(2)においてR1〜R4が、上記一般式(1−1)又は上記一般式(1−2)で表わされる基である場合を除く。]
【0361】
ここで、上記一般式(1)、一般式(1−1)、一般式(1−2)及び一般式(2)において、R1〜R14、Z、RA及びRBは、水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ又はケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表すが、これらの原子及び基について説明する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族基等が挙げられる。これらの炭化水素基は置換されていてもよく、置換基としては例えばフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、フェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0362】
また、上記の置換又は非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2)m−(mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウ又はケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、カルボニルオキシ基(−COO−)、オキシカルボニル基(−OCO−)、スルホニル基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エチル等のアルキル基);あるいはこれらの2種以上が組合さって連なったものが挙げられる。
【0363】
極性基としては、例えば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド環含有基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル含有基、及びカルボキシル基などあげられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等があげられ;アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基があげられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等があげられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等があげられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等があげられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等があげられ;アミノ基としては第1級アミノ基があげられ、アルコキシシリル基としては例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等があげられる。
【0364】
本発明の光学補償フィルムAに用いられる熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、前記一般式(1)で表される構造単位a及び前記一般式(2)で表される構造単位bを必須の構造単位として含む共重合体であるが、該共重合体は、下記一般式(3)で表される1種以上の単量体(以下、「特定単量体A」という。)と下記一般式(4)で表される1種以上の単量体(以下、「特定単量体B」という。)を含む単量体混合物を開環共重合して得ることができる。
【0365】
一般式(3)
【化97】


[式中、R1〜R4は一般式(1)に関して定義のとおりであり、R1〜R4のうち少なくとも1つは前記一般式(1−1)及び/又は前記一般式(1−2)で表される基である。また、vは0又は1であり、wは0又は1以上の整数であり、好ましくは0〜3、更に好ましくは0〜2、特に好ましくは0である。]
【0366】
一般式(4)
【化98】


[式中、R1〜R4は一般式(1)に関しての定義のとおりである。但し、前記一般式(1−1)又は前記一般式(1−2)で表される基である場合を除く。また、xは0又は1であり、yは0又は1以上の整数であり、好ましくは0〜3、更に好ましくは0〜2、特に好ましくは1である。]
【0367】
構造単位aの含有量は、本発明の樹脂中に95〜5重量%、好ましくは90〜10重量%、さらに好ましくは80〜20重量%である。構造単位aの含有量が5重量%以下の場合、正の波長依存性を示す光学用フィルムが得られないことがある。また、構造単位aの含有量が95重量%以上の場合も、正の波長依存性を示す光学用フィルムが得られないことがある。本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂のより具体的な例としては、下記(1)〜(3)示す重合体を挙げることができる。
(1) 特定単量体Aと特定単量体Bとの開環共重合体。
(2)特定単量体Aと特定単量体Bとその他の共重合性単量体との開環共重合体。
(3) (1)または(2)の開環共重合体の水素添加物。
【0368】
<特定単量体A>
以下に特定単量体Aについて具体的な例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。5−ベンゾイルオキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ベンゾイルオキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−ナフチルカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−ナフチルカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ナフチルカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ビフェニルカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ビフェニルカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(3−ビフェニルカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(3−ビフェニルカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(9−フルオレンカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(9−フルオレンカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−フルオレンカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−フルオレンカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(9−アントラセンカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(9−アントラセンカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−ベンゾイルオキシ−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ベンゾイルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−ナフチルカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−ナフチルカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(2−ナフチルカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(3−ビフェニルカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(3−ビフェニルカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.1,5.17,10]−3−ドデセン、8−(2−ビフェニルカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(2−ビフェニルカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(9−フルオレンカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(9−フルオレンカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(2−フルオレンカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,1]−3−ドデセン、8−(2−フルオレンカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(9−アントラセンカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(9−アントラセンカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0369】
<特定単量体B>
特定単量体Bの具体的な例としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソプロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n-ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n-オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ナフチル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(4−ビフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(4−ビフェニル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(4−フェニルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−アミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリプロポキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリブトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセン、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセン、ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16]−4−エイコセン、ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17]−5−ヘンエイコセン等。
【0370】
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの単量体Bのうち、一般式(4)において、x=0及びy=1である特定単量体Bは、得られる重合体の耐熱性と靱性のバランスの点で好ましい。すなわち、xが2以上若しくはyが1の特定単量体Bを用いると、得られる重合体のガラス転移温度(Tg)が高くなり耐熱性が向上する傾向があり、好ましい場合もあるが、靱性が低下する傾向があり、フィルムとした時に加工あるいは使用時に割れたり破断したりしやすくなる問題が生じる場合がある。
【0371】
また、分子内に少なくとも1つ極性基を有する特定単量体Bを使用することが好ましい。すなわち、上記一般式(4)中、R〜Rのうち任意の3つが水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、残りの1つが炭化水素基以外の極性基であるものが、他の素材との密着性及び接着性を高めるので好ましい。さらに、該極性基が一般式(5):
−(CH2zCOOR15 (5)
〔ここで、zは通常0〜5の整数であり、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0である。R15は一価の有機基である。〕で表される極性基である特定単量体Bは、得られる重合体のガラス転移温度と吸水性を制御しやすい点で好ましい。
一般式(5)においてR15で表される一価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニリル基等のアリール基;この他にもジフェニルスルホン、テトラヒドロフルオレン等のフルオレン類等の芳香環やフラン環、イミド環等の複素環を有する一価の基等が挙げられる。また、一般式(5)において、zは上述のように通常0〜5であるが、zの値が小さいものほど得られる重合体のガラス転移温度が高くなるので好ましく、特にzが0である特定単量体Bは、その合成が容易である点で好ましい。
【0372】
さらに、上記一般式(4)において、一般式(5)で表される極性基が結合した炭素原子にアルキル基が結合していることが、得られる重合体の耐熱性と吸水性のバランスを図る上で好ましい。当該アルキル基の炭素原子数は1〜5であることが好ましく、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。上記特定単量体Bの具体例の中から挙げるならば、特に、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセンが、ガラス転移温度を高め、吸水による変形等の悪影響を殆ど受けずかつ他材料との密着性や接着性が良好となる程度の吸水性を維持できるので好ましい。
【0373】
重合体中の極性基の含有量は、所望する機能等により決定されるものであり特に限定はされないが、全構造単位中に極性基を有する構造単位が、通常1モル%以上、好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上含まれる。全ての構造単位が極性基を有していてもよい。極性基の含有量は、特定単量体Aと特定単量体B(あるいは下記の「他の共重合性単量体」)との共重合比率や共重合性単量体の種類を適宜選択することで調整できる。
【0374】
<他の共重合性単量体>
特定単量体A及び特定単量体Bとともに、共重合させることができる他の共重合性単量体としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素原子数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜12である。さらにポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下で、特定単量体Aと特定単量体B(及び他の共重合性単量体)を重合させてもよい。そして、この場合に得られる共重合体は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料として有用である。
【0375】
<重合条件>
1種以上の特定単量体Aと、特定単量体B及び/又はその他の共重合性単量体との開環重合反応の条件を説明する。
・触媒:該開環重合反応はメタセシス触媒の存在下に行われる。このメタセシス触媒は、(a)W、Mo及びReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素(例えば、Li、Na、Kなど)、IIA族元素(例えば、Mg、Caなど)、IIB族元素(例えば、Zn、Cd、Hgなど)、IIIB族元素(例えば、B、Alなど)、IVA族元素(例えば、Ti、Zrなど)あるいはIVB族元素(例えば、Si、Sn、Pbなど)の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒である。またこの場合に触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。
【0376】
(a)成分として適当なW、MoあるいはReの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl5 、ReOCl3 など特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。(b)成分の具体例としては、n−C49 Li、(C253 Al 、(C252 AlCl、(C251.5 AlCl1.5 、(C25 )AlCl2、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、更に特開平1−240517号公報に記載の化合物を使用することができる。
【0377】
メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と特定単量体A〜D(以下、特定単量体A〜Dを総称する場合は、単に「特定単量体」という。)とのモル比で、(a)成分:特定単量体が、通常1:500〜1:50,000となる範囲、好ましくは1:1,000〜1:10,000となる範囲とされる。(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a):(b)」が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲とされる。(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c):(a)」が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲とされる。
【0378】
分子量調節剤:重合体の分子量の調節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。好適な分子量調節剤としては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類及びスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。分子量調節剤の使用量としては、重合反応に供される特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルとされる。
【0379】
開環重合反応用溶媒:重合反応において用いられる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、上記芳香族炭化水素が好ましい。溶媒の使用量としては、溶媒:特定単量体(重量比)が、通常1:1〜10:1となる量とされ、好ましくは1:1〜5:1となる量とされる。
【0380】
重合体の水素添加:以上のようにして得られる重合体は、そのまま本発明の樹脂として使用することもできるが、残留するオレフィン性不飽和結合を水素添加して使用することが好ましい。水素添加反応は、通常の方法、すなわち、重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
【0381】
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒及び均一系触媒が公知である。不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属類を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。これらの水素添加触媒は、重合体:水素添加触媒(重量比)が、1:1×10−6〜1:2となる割合で使用される。
【0382】
水素添加することにより得られる水素添加重合体は優れた熱安定性を有するものとなり、フィルム製膜時及び、延伸加工時や製品としての使用時の加熱によってはその特性が劣化しにくくなる。オレフィン性不飽和結合の水素添加率は、通常50%以上、好ましく70%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上である。
【0383】
なお、特定単量体Aに由来する構造単位a中の芳香環は、上記水素添加反応によっても実質的に水素添加されないことが必要である。そのような水素添加反応は、上記通常のオレフィン性化合物の水素添加反応の条件を用いれば実施可能であるが、水素ガス圧や反応温度を上記範囲の中で低めに設定する、あるいは、水素添加触媒の種類や添加量を調整する等条件調整をする必要がある場合もある。また、その他の共重合性単量体が芳香環を含む置換基を有し係る単量体に由来する構造単位が芳香環を含む場合も、水素添加によって芳香環の不飽和結合が実質的に水素添加されない条件を選択することが望ましい。
【0384】
(光学補償フィルムB)
本発明の光学補償フィルムBは前記式(13)〜(16)の関係を満たす。本発明の光学補償フィルムBとしては、コレステリック液晶を固定した光学異方性層を用いることができる。コレステリック液晶としては、例えば特開平3−67219号公報や特開平3−140921号公報、特開平5−61039号公報や特開平6−186534号公報、特開平9−133810号公報などに記載された、ものを用いることができる。
また、特開平11−352328号に開示の水平配向したディスコティック液晶化合物を固定した光学異方性層も本発明の光学補償フィルムBとして好ましく用いることができる。
本発明の光学補償フィルムBは前記式(1)および(2)の関係を満たす保護フィルム上に設けることが好ましい。保護フィルム上に直接光学補償フィルムを設けてもよく、また保護フィルムと光学補償フィルムの間に配向層、密着層等他の機能層を設けてもよい。
【0385】
以下に本発明の光学補償フィルムBにコレステリック液晶層について詳しく説明する。
コレステリック液晶層に用いられる液晶モノマー分子(重合性液晶分子)としては、液晶性モノマーとキラル化合物の混合物がある。このような重合性液晶材料の一例としては、次の化学式(11)に包含されるような化合物や、下記の化学式(1)〜化学式(10)の化合物の2種類以上を混合して使用することができる。なお、化学式(11)で示される液晶性モノマーの場合、Xは2〜5(整数)であることが好ましい。
【0386】
また、カイラル剤としては、例え化学式(12)〜化学式(14)に示されるようなカイラル剤を用いることができる。なお、化学式(12)、化学式(13)で示されるカイラル剤の場合、Xは2〜12(整数)であることが望ましく、また、化学式(14)で示されるカイラル剤の場合、Xが2〜5(整数)であることが望ましい。
【0387】
化学式(1)
【化99】


【0388】
化学式(2)
【化100】


【0389】
化学式(3)
【化101】


【0390】
化学式(4)
【化102】


【0391】
化学式(5)
【化103】


【0392】
化学式(6)
【化104】


【0393】
化学式(7)
【化105】


【0394】
化学式(8)
【化106】


【0395】
化学式(9)
【化107】


【0396】
化学式(10)
【化108】


【0397】
化学式(11)
【化109】


【0398】
化学式(12)
【化110】


【0399】
化学式(13)
【化111】


【0400】
化学式(14)
【化112】


【0401】
<偏光板の作製>
(偏光子)
次に本発明における偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明における偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
【0402】
前記PVAとしては、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材が好ましいが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分とを含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは、特許2978219号明細書に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されているように45〜52.5%であることも好ましく用いることができる。
【0403】
PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造方法は、PVA系樹脂を水または有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号、に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002−236214号公報に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
【0404】
PVAフィルムの複屈折(△n)は小さいことが好ましく、特許第3342516号明細書に記載されている複屈折が1.0×10−3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。但し、特開2002−228835号公報に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.002〜0.01としてもよいし、特開2002−060505号公報に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003〜0.01としてもよい。PVAフィルムのRe(1090)は0nm〜100nmが好ましく、0nm〜50nmがさらに好ましい。また、PVAフィルムのRth(1090)は0nm〜500nmが好ましく、0nm〜300nmがさらに好ましい。
【0405】
この他、本発明における偏光板には、特許3021494号に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量部混合したり、特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
【0406】
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。特開2002−236212号に記載されているように水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
【0407】
二色性分子はIやIなどの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
【0408】
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
【0409】
このような二色性染料の具体例としては、例えば、C.I.Direct Red 37、 Congo Red(C.I. Direct Red 28)、C.I.Direct Violet 12、 C.I.Direct Blue 90、 C.I.Direct Blue 22、 C.I.Direct Blue 1、 C.I.Direct Blue 151、 C.I.Direct Green 1等のベンジジン系、C.I.Direct Yellow 44、 C.I.Direct Red 23、 C.I.Direct Red 79等のジフェニル尿素系、C.I.Direct Yellow 12等のスチルベン系、C.I.Direct Red 31等のジナフチルアミン系、C.I.Direct Red 81、 C.I.Direct Violet 9、 C.I.Direct Blue 78等のJ酸系を挙げることができる。
【0410】
これ以外にも、C.I.Direct Yellow 8、C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 87、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 106、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Direct Red 240、C.I.Direct Red 242、C.I.Direct Red 247、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Violet 98、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 98、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Blue 236、C.I.Direct Blue 249、C.I.Direct Blue 270、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Green 85、C.I.Direct Brown 44、C.I.Direct Brown 106、C.I.Direct Brown 195、C.I.Direct Brown 210、C.I.Direct Brown 223、C.I.Direct Brown 224、C.I.Direct Black 1、C.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 54等が、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開2002−082222号公報に記載されているように吸着厚みが4μm以上であってもよい。
【0411】
フィルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01〜5質量%の範囲に調整される。
前記偏光子の好ましい膜厚としては、5μm〜40μmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜30μmである。また、偏光子の厚さと上述する保護フィルムの厚さの比を、特開2002−174727号公報に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護フィルム膜厚)≦0.16範囲とすることも好ましい。
さらに、保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
<偏光板の製造工程>
次に、本発明における偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615号明細書に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
【0412】
本発明では、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けても構わない。
【0413】
前記膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化および、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
【0414】
前記染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
【0415】
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素は0.05〜20g/l、ヨウ化カリウムは3〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜2000が好ましい範囲である。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/l、ヨウ化カリウムは30〜120g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は30〜120がよく、染色時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃がよい。
また、特許第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
【0416】
前記硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
【0417】
前記架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
【0418】
本発明では、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うことが好ましく行われる。ホウ酸は1〜100g/l、ヨウ化カリウムは1〜120g/l、塩化亜鉛は0.01〜10g/l、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/l、ヨウ化カリウムは5〜100g/l、塩化亜鉛は0.02〜8g/l、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。
【0419】
前記延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、さらに好ましくは3倍〜10倍である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95とすることも好ましく行うことができる。
【0420】
前記乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号明細書に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングすることも好ましく行うことができる。
【0421】
保護フィルム貼り合わせ工程は、乾燥工程を出た前述の偏光子の両面を2枚の保護フィルムで貼合する工程である。貼合直前に接着液を供給し、偏光子と保護フィルムとを重ね合わせるように、一対のロールで貼り合わせる方法が好ましく使用される。また、特開2001−296426号公報および特開2002−86554号公報に記載されているように、偏光子の延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するため、貼り合わせ時の偏光子の水分率を調整することが好ましい。本発明では0.1%〜30%の水分率が好ましく用いられる。
【0422】
偏光子と保護フィルムとの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmが特に好ましい。
【0423】
また、偏光子と保護フィルムとの接着力を向上させるために、保護フィルムを表面処理して親水化してから接着することが好ましく行われる。表面処理の方法は特に制限は無いが、上述のようにアルカリ溶液を用いてケン化する方法、コロナ処理法など公知の方法を用いることができる。また、表面処理後にゼラチン下塗り層等の易接着層を設けてもよい。特開2002−267839号公報に記載されているように保護フィルム表面の水との接触角は50°以下が好ましい。
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554号公報に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07−325220号公報に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
【0424】
偏光子中の元素含有量は、ヨウ素0.1〜3.0g/m、ホウ素0.1〜5.0g/m、カリウム0.1〜2.00g/m、亜鉛0〜2.00g/mであることが好ましい。また、カリウム含有量は特開2001−166143号公報に記載されているように0.2質量%以下であってもよいし、偏光子中の亜鉛含有量を特開2000−035512号公報に記載されている0.04質量%〜0.5質量%としてもよい。
【0425】
特許第3323255号明細書に記載されているように、偏光板の寸法安定性を上げるために、染色工程、延伸工程および硬膜工程のいずれかの工程において有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物を添加使用し、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有することもできる。また、偏光板の色相を調整するために二色性染料を添加してもよい。
【0426】
<偏光板の特性>
(1)透過率および偏光度
本発明における偏光板の好ましい単板透過率は42.5%〜49.5%であるが、さらに好ましくは42.8%〜49.0%である。下記式4で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%〜99.999%であり、さらに好ましくは99.940%〜99.995%である。平行透過率の好ましい範囲は36%〜42%であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%〜0.05%である。
【0427】
(式4)
【数1】


【0428】
上述の透過率はJISZ8701に基づいて、下記式により定義される。
【0429】
【数2】


ここで、K、S(λ)、y(λ)、τ(λ)は以下の通りである。
【0430】
【数3】


S(λ):色の表示に用いる標準光の分光分布
y(λ):XYZ系における等色関数
τ(λ):分光透過率
【0431】
また、下記式5で定義される二色性比の好ましい範囲は48〜1215であるが、さらに好ましくは53〜525である。
【0432】
【数4】


【0433】
ヨウ素濃度と単板透過率とは特開2002−258051号公報の[0017]に記載されている範囲であってもよい。
平行透過率は、特開2001−083328号公報や特開2002−022950号公報に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開2001−091736号公報の[0007]に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率との関係は、特開2002−174728号公報の[0006]に記載されている範囲内であってもよい。
【0434】
また、特開2002−221618号公報に記載されているように、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の平行透過率の標準偏差が3以下で、且つ、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の(平行透過率/直交透過率)の最小値が300以上であってもよい。
偏光板の波長440nmにおける平行透過率と直交透過率、平行透過率、波長550nmにおける平行透過率と直交透過率、波長610nmにおける平行透過率と直交透過率が、特開2002−258042号公報の[0012]や特開2002−258043号公報の[0012]に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
【0435】
(2)色相
本発明における偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL表色系における明度指数Lおよびクロマティクネス指数aとbを用いて好ましく評価される。
、a、bの定義は、例えば、東京電機大学出版局刊、色彩光学等に記載されている。
【0436】
偏光板単枚の好ましいaの範囲は−2.5〜0.2であり、さらに好ましくは−2.0〜0である。偏光板単枚の好ましいbの範囲は1.5〜5であり、さらに好ましくは2〜4.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のaの好ましい範囲は−4.0〜0であり、さらに好ましくは−3.5〜−0.5である。2枚の偏光板の平行透過光のbの好ましい範囲は2.0〜8であり、さらに好ましくは2.5〜7である。2枚の偏光板の直交透過光のaの好ましい範囲は−0.5〜1.0であり、さらに好ましくは0〜2である。2枚の偏光板の直交透過光のbの好ましい範囲は−2.0〜2であり、さらに好ましくは−1.5〜0.5である。
【0437】
色相は、前述のX、Y、Zから算出される色度座標(x,y)で評価しても良く、例えば、2枚の偏光板の平行透過光の色度(x、y)と直交透過光の色度(x、y)は、特開2002−214436号の[0017]、特開2001−166136号の[0007]や特開2002−169024号の各公報の[0005]〜[0008]に記載されている範囲にしたり、色相と吸光度との関係を特開2001−311827号公報の[0005]〜[0006]に記載されている範囲内にすることも好ましく行うことができる。
【0438】
(3)視野角特性
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40°の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開2001−166135号や特開2001−166137号公報に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10−068817号公報に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T)を10000以下としたり、特開2002−139625号公報に記載されているように、偏光板に法線から仰角80°までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08−248201号公報に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
【0439】
(4)耐久性
(4−1)湿熱耐久性
60℃、相対湿度95%の雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率および偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下であることが好ましい。また、特開平07−077608号公報に記載されているように80℃、相対湿度90%、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
【0440】
(4−2)ドライ耐久性
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率および偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、さらには0.1%以下であることが好ましい。
【0441】
(4−3)その他の耐久性
さらに、特開平06−167611号公報に記載されているように80℃で2時間放置した後の収縮率を0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値およびy値を特開平10−068818号公報に記載されている範囲内としたり、80℃、相対湿度90%の雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm−1および157cm−1のスペクトル強度比の変化を、特開平08−094834号公報や特開平09−197127号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
【0442】
(5)配向度
PVAの配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2〜1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59−133509号公報に記載されているように、偏光子の全非晶領域の高分子セグメントの配向係数と占領分子の配向係数(0.75以上)との差を少なくとも0.15としたり、特開平04−204907号公報に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数を0.65〜0.85としたり、IやIの高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8〜1.0とすることも好ましく行うことができる。
【0443】
(6)その他の特性
特開2002−006133号公報に記載されているように、80℃で30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力を4.0N/cm以下としたり、特開2002−236213号公報に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率および偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開2002−090546号公報に記載されているように3質量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開2000−249832号公報に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さを中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10−268294号に記載されているように透過軸方向の屈折率n を1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フィルムの厚みの関係を特開平10−111411号公報の[0004]に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
【0444】
<液晶表示装置>
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
【0445】
図2は、本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。図2において、液晶表示装置10は、液晶層7とこの上下に配置された液晶セル上電極基板5および液晶セル下電極基板8とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板1および下側偏光板12からなる。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。前記液晶表示装置10を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。
【0446】
上側偏光板1および下側偏光板12は、それぞれ2枚の保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有している。本発明の液晶表示装置10は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護フィルム、偏光子、本発明におけるセルロースアシレートフィルムの順序で積層することが好ましい。液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
【0447】
(VAモード)
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層7の厚さdは3.5μmに設定してある。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
【0448】
液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板12の吸収軸13は略直交に積層する。液晶セル上電極基板5および液晶セル下電極基板8のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層7中の液晶分子は、基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。なお図2において、符号6および9は、配向制御方向である。
【0449】
ここでは上下基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用した。また電極を一方の基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
【0450】
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化する課題がある。黒表示時に液晶分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。これを解決するために光学補償シートを配置する。
【0451】
また白表示時には液晶分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にする。
【0452】
[マルチドメイン]
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
【0453】
また配向分割の領域境界では、液晶分子が応答しずらい。そのためノーマリーブラック表示では黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加して境界領域を小さくすることが可能である。
【実施例】
【0454】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0455】
[参考例1]
(低レターデーションフィルムA−1の作製)
<セルロースアセテート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液A組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度2.94、平均重合度310のセルロースアセテート
100.0質量部
レターデーション低下剤A−12 12.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
【0456】
<マット剤溶液の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液A 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
【0457】
<紫外線吸収剤溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤 UV−1 2.0質量部
紫外線吸収剤 UV−19 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液A 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
【0458】
紫外線吸収剤UV−101
【化113】


【0459】
紫外線吸収剤UV−103
【化114】


【0460】
紫外線吸収剤UV−104
【化115】


【0461】
上記セルロースアシレート溶液Aを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、紫外線吸収剤溶液4.1質量部を濾過後に混合し、バンド流延機を用いて1500mmの幅で流延した。残留溶剤含量40質量%でフィルムをバンドから剥離し、100℃の条件でフィルムをテンタークリップで保持して8%の延伸倍率で横延伸し、残留溶剤含量が5質量%になるまで乾燥した(乾燥1)。さらにフィルムの延伸後の幅のまま100℃で30秒間保持した。テンタークリップからフィルムを解放し、フィルムの幅方向を両端から各5%ずつを切り落とした後、さらに幅方向が自由(保持されていない)状態で140℃の乾燥ゾーンを30分間かけて通過させた後(乾燥2)、フィルムをロールに巻き取った。得られたセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は80μmであった。
【0462】
(セルロースアシレートフィルム102〜105の作製)
セルロースアシレートの種類、ならびに、添加剤の種類および添加量を表1の内容に変更した以外は上記と同様にしてセルロースアシレートフィルム102〜105を作製した。ここで、表中の添加剤A−12およびD−5は、それぞれ、上記で示したレターデーション低減剤の例示化合物のA−12およびD−5に相当する。
【0463】
【表1】


【0464】
(光学特性の測定)
“WR KOBRA”(王子計測機器(株))を用いて25℃60%相対湿度の環境下で、セルロースアシレートフィルム101〜105の446nm、548nm、628nmにおけるReおよびRthをそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
【0465】
【表2】


【0466】
[参考例2]
<光学補償フィルムAの作製>
厚さ105μmの等方性ノルボルネンフィルムを175℃で180%テンター横一軸延伸して、厚み63μmの延伸ノルボルネンフィルムを得た。
【0467】
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FDA)および、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(PFMBTFMB)から合成された重量平均分子量(Mw)12万のポリイミドを、シクロヘキサノンに溶解して15重量%のポリイミド溶液を調製した。その溶液を、前記延伸ノルボルネンフィルム上に塗布した。その後100℃で10分間熱処理し、厚さ5.5μmの完全透明で平滑なポリイミドフィルムを前記延伸ノルボルネンフィルム上に形成し、さらに、180℃で4%縦一軸延伸することにより、光学補償フィルムAを得た。
【0468】
[参考例3]
<光学補償フィルムBの作製>
図1の構成1に用いた光学補償フィルムB(位相差膜と2軸フィルムの積層体)を以下の方法により作製した。
[セルロースアシレート溶液の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
【0469】
(セルロースアシレート溶液の組成)
セルロースアシレート(CA−1) 100.0質量部
アセチル化度1.75、ベンゾイル化度0.65
ベンゾイル基の6位置換比率0.90
可塑剤:トリフェニルホスフェート(吸収極大の波長は280nmより短波長) 6.0質量部
可塑剤:ビフェニルホスフェート(吸収極大の波長は280nmより短波長) 3.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
【0470】
[マット剤溶液の調製]
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
【0471】
(マット剤溶液組成)
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子 2.0質量部
“AEROSIL R972”日本アエロジル(株)製
メチレンクロリド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液 10.3質量部
【0472】
[レターデーション発現剤溶液の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液を調製した。
【0473】
(レターデーション発現剤溶液の組成)
レターデーション発現剤(41)(吸収極大の波長は250nmより短波長) 20.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液 12.8質量部
【0474】
上記セルロースアシレート溶液94.3質量部、マット剤溶液1.3質量部およびレターデーション発現剤溶液4.4質量部をそれぞれ濾過した後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶媒含量35質量%で得られたウェブをバンドから剥離し、120℃の条件でテンターを用いて55%の延伸倍率まで、40%/分の延伸速度で横延伸した後、48%の延伸倍率で120℃、30秒間保持した。その後、クリップを外して120℃で30分間乾燥させ、延伸セルロースアシレートフィルムを製造した。でき上がった延伸セルロースアシレートフィルムの残留溶媒量は0.1質量%であり、膜厚は92μmであった。
【0475】
(延伸セルロースアシレートフィルムの鹸化処理)
作製した延伸セルロースアシレートフィルム(CAF1)上に、下記組成の液を5.2mL/m塗布し、60℃で10秒間乾燥させた。フィルムの表面を流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルム表面を乾燥させた。
【0476】
(鹸化液の組成)
イソプロピルアルコール 818質量部
水 167質量部
プロピレングリコール 187質量部
日本エマルジョン(株)製“EMALEX” 10質量部
水酸化カリウム 67質量部
【0477】
(配向膜層の形成)
鹸化処理した延伸セルロースアシレートフィルム(CAF1)の片方の面に、下記の組成の塗布液を、#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、鹸化処理した延伸セルロースアシレートフィルム(CAF1)の延伸方向(遅相軸とほぼ一致)と90゜の方向に、形成した膜に対してラビング処理を実施した。
【0478】
配向膜塗布液組成
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
【0479】
変性ポリビニルアルコール
【化116】


【0480】
(光学異方性層の作製)
配向膜上に、下記組成の塗布液を、#4のワイヤーバーコーターで15.4ml/m2塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、液晶性化合物を配向させた。次に、90℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。
【0481】
────────────────────────────────────
光学異方性層塗布液組成
────────────────────────────────────
棒状液晶性化合物I−6(吸収極大の波長は280nmより長波長) 100質量部
架橋性基含有ポリマー(1) 0.7重量部
フッ素系ポリマー
(大日本インク(株)製メガファック F-780-F) 0.5質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 2.9質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 253質量部
────────────────────────────────────
以上のようにして光学補償フィルムBを作製した。
【0482】
[参考例4]
図1の構成2に用いた光学補償フィルムC(AプレートとCプレートの積層体)と低レターデーションフィルムの積層体を以下の方法により作製した。
<Cプレートの作製>
(セルロースアシレートフィルムの鹸化処理)
市販のセルロースアシレートフィルム(富士タックTD80UL)を2.3 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
【0483】
(配向膜層の形成)
鹸化処理したセルロースアシレートフィルムの片方の面に、下記の組成の塗布液を、#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、鹸化処理した延伸セルロースアシレートフィルム(CAF1)の延伸方向(遅相軸とほぼ一致)と90゜の方向に、形成した膜に対してラビング処理を実施した。
【0484】
配向膜塗布液組成
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
【0485】
変性ポリビニルアルコール
【化117】


【0486】
(光学異方性層の作製)
配向膜上に、下記組成の塗布液を、#4のワイヤーバーコーターで15.4ml/m塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、135℃の恒温槽中で2分間加熱し、液晶性化合物を配向させた。次に、90℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。
【0487】
────────────────────────────────────
光学異方性層塗布液組成
────────────────────────────────────
円盤状液晶性化合物(D) 100質量部
エチレンオキシド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
“V#360”{大阪有機化学(株)製} 9.1質量部

平均傾斜角制御剤(E) 1.1重量部
フッ素系ポリマー(F) 0.2質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3.3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.1質量部
メチルエチルケトン 253質量部
────────────────────────────────────
【0488】
円盤状液晶性化合物(D)
【化118】


【0489】
平均傾斜角制御剤(E)
【化119】


【0490】
フッ素系ポリマー(F)
【化120】


【0491】
<AプレートとCプレートの積層体の作製>
上記で作製したCプレートから光学異方性層のみを剥離し粘着剤を用いて、異なる波長分散特性の高分子を形成するモノマー単位を含む共重合体からなるポリカーボネートフィルム(商品名:ピュアエースWR(帝人(株)製))(Aプレート)に貼りあわせた。
【0492】
<低レターデーションセルロースアシレートフィルムの鹸化処理>
参考例1で作製したセルロースアシレートフィルム101を2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05 mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルム101表面の鹸化処理を行った(以下、保護フィルムEという)。
【0493】
<光学補償フィルムCの作製>
鹸化処理したセルロースアシレートフィルム101にポリビニルアルコール樹脂(クラレPVA217、重合度1700、けん化度88%)5質量%水溶液と、オキサゾリン基含有水溶性ポリマー(日本触媒WS700)25質量%水溶液を重量比で7:3の割合にて混合した接着剤を塗り、上記で作製したAプレート+Cプレートの積層体のポリカーボネートフィルム側と貼りあわせた。
【0494】
[参考例5]
<光学補償フィルムDの作製>
鹸化処理したセルロースアシレートフィルム101上に1重量%ポリビニルアルコール溶液を塗布し、90℃で乾燥させて厚さ約0.01μmの皮膜を形成し、その表面をラビング処理して配向膜を形成した後、液晶性化合物(G)、カイラル剤(H)および重合開始剤を含むコレステリック型液晶液をコーティングし、それを90℃で1分間熱処理して紫外線架橋を行い、厚さが2.5μmで、Reが0nm、Rthが185nmの位相差膜を形成した。
【0495】
液晶性化合物(G)
【化121】


【0496】
カイラル剤(H)
【化122】


【0497】
<光学補償フィルムEの作製>
(重合体溶液の調製)
ノルボルネン系単量体(Im)として、下記構造式(A)で表される6−(2,4−ジメトキシフェニル)−6−アザ−ペンタシクロ〔9.2.1.13,9.02,10.0,8〕テトラデカ−12−エン−5,7−ジオン7.90g(21.6ミリモル)、ノルボルネン系単量体(IIm)として下記構造式(C)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセン5.01g(21.6ミリモル)、分子量調節剤として1−へキセン0.27g、および溶媒としてトルエン51.5gを、窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。この反応系に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6モル/L)0.13mL、およびメタノール変性六塩化タングステンのトルエン溶液(0.025モル/L)0.34mLを加え、80℃で4時間反応させることにより、ノルボルネン系開環重合体を含む重合体溶液を得た。
【0498】
【化123】


【0499】
【化124】


【0500】
(開環重合体樹脂の調製)
得られた重合体溶液をオートクレーブに入れ、さらにトルエンを300g加えた。次いで、この反応系に、水添触媒として、モノマー仕込み量に対して2500ppmとなる量のRuHCl(CO)〔P(Cを添加し、水素ガス圧が9〜10MPa、反応温度が160〜165℃、反応条件が4時間の条件で水素添加反応を行った。反応が終了した後、得られた反応溶液を多量のメタノールに注ぎ、沈殿させることにより、水素添加されたノルボルネン系開環重合体を得た。このノルボルネン系開環重合体を「樹脂(P1)」とする。
(延伸フィルムの作製)
【0501】
上記で得た樹脂(P1)をトルエンに30%濃度になるように溶解し、井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着)の表面処理した厚さ100μmのPETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU94)に、乾燥後のフィルム厚みが350μmになるように塗布し、これを50℃で一次乾燥の後、100℃で二次乾燥を行った。PETフィルムより剥がした樹脂フィルムを(P1−F)とした。
【0502】
このフィルムをテンター内で228℃に加熱し、延伸速度300%/分で1.7倍に延伸した後、221℃の雰囲気下で約1分間この状態を保持した後、室温まで冷却して取り出し光学補償フィルム(E)を得た。
【0503】
[参考例6]
<2軸フィルムFの作製>
厚さ188μmのARTONフィルム(JSR社製)を175℃で、縦延伸で130%、横延伸で135%に延伸して、厚み120μmのフィルムを得た。このフィルムは、Re=50nm、Rth=250nmの光学特性を示した。
【0504】
上記のようにして作製した光学補償フィルムA〜C、および2軸フィルムDの光学特性を25℃60%RHの環境下でコブラWRを用いて測定した。結果を表3に示す。
【表3】


【0505】
[参考例7]
偏光板の作製
(セルロースアシレートフィルムのアルカリ処理)
参考例4と同様にしてセルロースアシレートフィルム102〜105の表面、および光学補償フィルムBおよび光学補償フィルムC、および光学補償フィルムDのセルロースアシレート表面の鹸化処理を行った。
【0506】
[参考例8]
(光学補償フィルムA、Eおよび2軸フィルムFの表面処理)
光学補償フィルムAのノルボルネンフィルム側の表面に12W・分/mの条件で春日電機(株)製コロナ放電して親水性を付与した。
また、光学補償フィルムEおよび2軸フィルムFの表面についても同様の処理を行い、親水性を付与した。
【0507】
[参考例9]
<偏光板101の作製>
(偏光板保護フィルムの鹸化処理)
市販のセルロースアシレートフィルム(富士写真フイルム製、富士タックTD80)を1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で1分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05 mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した(以下、保護フィルムGという)。
【0508】
(偏光子の作成)
重合度1700、厚さ39μmのポリビニルアルコールフィルムを、30度の温水浴にて膨潤した後、ヨウ素とヨウ化カリウムの水溶液からなる30℃の染色浴にて約4倍に延伸した。次いで、ホウ酸とヨウ化カリウムの入った50℃の架橋浴にて総延伸倍率が5.5倍になるように延伸し、架橋した。これを、35℃のヨウ化カリウム水溶液中に10秒間浸漬して色相の調整を行った。さらに水洗、乾燥して、厚さ18μmの偏光子を得た。この偏光子の水分率は14%であった。また波長900nmにおける複屈折率(Δn)は0.0482、透過率は43%、偏光度は99.9%であった。
【0509】
なお、複屈折率は、900nmの波長光により、平行ニコル回転法を用いて位相差値(Δnd)を求め、厚さd(nm)で割ることにより求めた。
透過率は、分光光度計(村上色彩技術研究所製,DOT−3)を用いて測定し、JIS Z8701の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
偏光度は、2枚の同じ偏光子を偏光軸が平行になるように重ね合わせた場合の透過率(H0)と直交に重ね合わせた場合の透過率(H90)を、上記の透過率の測定に準じて測定し、以下の式から求めた。なお、偏光の透過率(H0)と直交の透過率(H90)は、視感度補正したY値である。
偏光度(%)=√{(H0 −H90)/(H0 +H90)}×100
【0510】
(接着剤の調製)
ポリエステル系ウレタン(三井武田ケミカル社製、タケラックXW−74−C154)10部およびイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製、タケネートWD−725)1部を、水に溶解し、固形分を20%に調整した溶液を調製した。これを接着剤として用いた。
【0511】
(偏光板101の作製)
上記偏光子の両面に、上記接着剤溶液を塗布した後、鹸化処理した低レターデーションフィルム101と上記で作製した保護フィルムGとを偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、偏光板101を作製した。
【0512】
[参考例8]
(偏光板102〜105の作製)
セルロースアシレートフィルム102〜105についても偏光板101と同様にして偏光板102〜105をそれぞれ作製した。
【0513】
[参考例9]
(偏光板A、EおよびFの作製)
参考例6で表面処理した光学補償フィルムA、光学補償フィルムE、および2軸フィルムFについても上記接着剤溶液を塗布した後、上記で作製した保護フィルムGとを偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、偏光板AおよびDを作製した。なお、偏光板Aについては光学補償フィルムAの親水性を付与したノルボルネンフィルムが偏光子と向かい合うように貼り合せた。
(偏光板Bおよび偏光板C、および偏光板Dの作製)
光学補償フィルムBについても上記接着剤溶液を塗布した後、上記で作製した保護フィルムFとを偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、偏光板Bよび偏光板Cを作製した。なお、セルロースアシレートフィルムが偏光子を向かい合うように貼り合わせた。さらに、光学補償フィルムCおよび光学補償フィルムDについても同様にしてそれぞれ偏光板Cおよび偏光板Dを作製した。
【0514】
[実施例1]
(液晶表示装置(a)の作製)
実施例7の液晶表示装置(図3)の上側偏光板には参考例7で作製した偏光板(101)を本発明におけるセルロースアシレートフィルム101(低レターデーションフィルム、保護フィルムE)が液晶セル側となるように、下側偏光板には参考例9で作製した偏光板(A)を本発明におけるポリイミド層が液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このようにして液晶表示装置(a)を作製した。
さらに、上側偏光板、下側偏光板を表4の内容に変更して本発明における液晶表示装置(a)〜(j)を作製した。
【0515】
[実施例2]
(色味視野角の変化)
実施例1で作製した液晶表示装置イ〜ヌについて極角60°において、方位角0°と方位角80°との色味変化を測定器(ELDIM社製Ezcontrast)により測定し、xy色度図上での色味変化の絶対値Δx、Δyを求めた。
結果を表4に示す。
【0516】
【表4】



表4の結果から本発明の液晶表示装置(a)〜(d)、(g)、(i)は比較例の液晶表示装置(e)〜(g)に対して視角による色味変化が小さく好ましいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0517】
【図1】光学補償フィルムおよび偏光板保護フィルムの好ましい配置の例を示す概略図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
【図3】光学補償フィルムおよび偏光板保護フィルムの好ましい配置の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0518】
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸の方向
5 液晶セル上電極基板
6 上基板の配向制御方向
7 液晶層
8 液晶セル下電極基板
9 下基板の配向制御方向
10 液晶表示装置
12 下側偏光板
13 下側偏光板吸収軸の方向






 

 


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