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発明の名称 光学補償素子及びその製造方法、液晶表示装置及び液晶プロジェクタ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−65473(P2007−65473A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−253571(P2005−253571)
出願日 平成17年9月1日(2005.9.1)
代理人 【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
発明者 二宮 敏貴
要約 課題
黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償し、幅広い視野角において光漏れを防止し、経年劣化の少ない光学補償素子及びその製造方法、前記光学補償素子により高視野角、高コントラストで高画質な液晶表示装置及び液晶プロジェクタの提供。

解決手段
透明支持体上に、重合性化合物で形成された光学異方性層と、無機材料層とをこの順に有してなり、前記無機材料層に隣接し、且つ前記透明支持体側に位置する有機材料層における、前記無機材料層側の表面が、25℃における純水に対する濡れ接触角が50°以下であることを特徴とする光学補償素子及びその製造方法である。一対の電極及び該電極間に封入される液晶分子を有する液晶素子と、該液晶素子の両面又は片面に配置される前記光学補償素子と、前記液晶素子及び光学補償素子に対向配置される偏光素子とを備えた液晶表示装置である。
特許請求の範囲
【請求項1】
透明支持体上に、重合性化合物で形成された光学異方性層を少なくとも1層と、無機材料層とをこの順に有してなり、前記無機材料層に隣接し、且つ前記透明支持体側に位置する有機材料層における、該無機材料層側の表面が、25℃における純水に対する濡れ接触角が50°以下であることを特徴とする光学補償素子。
【請求項2】
有機材料層が、光学異方性層及び中間層の少なくともいずれかである請求項1に記載の光学補償素子。
【請求項3】
光学異方性層が液晶分子を含む重合性液晶化合物から形成され、該液晶分子の配向角が、該光学異方性層の厚み方向に対して傾斜した状態で重合により固定されてなる請求項1から2のいずれかに記載の光学補償素子。
【請求項4】
配向角が光学異方性層の厚み方向に変化するハイブリッド配向である請求項3に記載の光学補償素子。
【請求項5】
光学異方性層における層内の液晶分子が一定方向に向いた配向方向を有してなる請求項3から4のいずれかに記載の光学補償素子。
【請求項6】
重合性化合物で形成された光学異方性層を少なくとも2層有し、該光学異方性層における少なくとも2層の液晶分子の配向方向が互いに異なる請求項3から5のいずれかに記載の光学補償素子。
【請求項7】
配向方向が互いに異なる光学異方性層が、透明支持体の一方の面上に設けられた請求項6に記載の光学補償素子。
【請求項8】
液晶プロジェクタに用いられる請求項1から7のいずれかに記載の光学補償素子。
【請求項9】
透明支持体上に光学異方性層と、無機材料層とをこの順に積層する請求項1から8のいずれかに記載の光学補償素子の製造方法であって、重合性化合物を重合し前記光学異方性層を形成する工程と、前記光学異方性層上に前記無機材料層を形成する工程と、前記無機材料層に隣接し、且つ前記透明支持体側に位置する有機材料層における、該無機材料層側の表面が、25℃における純水に対する濡れ接触角が50°以下になる様に表面処理を施す工程とを含むことを特徴とする光学補償素子の製造方法。
【請求項10】
少なくとも一対の電極及び該一対の電極間に封入される液晶分子を有する液晶素子と、該液晶素子の両面及び片面のいずれかに配される光学補償素子と、前記液晶素子及び光学補償素子に対向配置される偏光素子とを備え、前記光学補償素子が請求項1から8のいずれかに記載の光学補償素子であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
液晶素子がツイストネマティック型である請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
光源と、該光源からの照明光が照射される液晶表示装置と、該液晶表示装置によって光変調された光をスクリーン上に結像させる投影光学系とを備え、前記液晶表示装置が請求項10から11のいずれかに記載の液晶表示装置であることを特徴とする液晶プロジェクタ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間の使用に対して、光学特性の劣化の少ない光学補償素子及びその製造方法、液晶表示装置及び液晶プロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は、その用途展開が急速に進んでおり、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビ、液晶プロジェクタ、などに使われている。
一般に、液晶表示装置は、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、などの表示モードで液晶を動作させて、該液晶を通過する光を電気的に制御して明暗の違いを画面上に表すことで、文字や画像を表現する表示装置である。
このような液晶表示装置としては、一般に、TFT(Thin Film Transistor)−LCDが知られており、該TFT−LCDの液晶動作モードとしてはTNモードが主流である。一方、近年液晶表示装置の用途展開が進むにつれて、高コントラスト化の要望が高まっており、VAモードの液晶表示装置の研究も盛んに行われている。
TNモードの液晶表示装置は、2枚のガラス基板の間に90°ねじれたネマチック液晶が封入され、また、2枚のガラスの外側には一対の偏光板がクロスニコルで配置されている。そして、電圧無印加状態では、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が液晶層で偏光面が90°ねじられて検光子側の偏光板を通過して白表示となる。また、電圧が十分に印加された状態では、液晶の配列方向が液晶パネルに略垂直に変化して、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が偏光状態を変化させることなく液晶層を通り抜けて検光子側の偏光板に到達して黒表示となる。
一方、VAモードの液晶表示装置は、2枚のガラス基板の間に垂直配向あるいは垂直傾斜配向するようにネマチック液晶が封入され、また、2枚のガラスの外側には一対の偏光板がクロスニコルで配置されている。そして、電圧無印加状態では、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が液晶層でその偏光面をほとんど変化させることなく液晶層を通り抜けて検光子側の偏光板に到達して黒表示となる。また、電圧が十分に印加された状態では、液晶の配列方向が液晶パネルに平行で、且つ90°ねじれた状態に変化して、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が液晶層で偏光面が90°ねじられて検光子側の偏光板を通過して白表示となる。
これらの表示モードで動作する液晶表示装置は、斜め方向から表示画面を見た場合に、光漏れに起因して、コントラストの低下や階調表示で明るさが逆転する階調反転現象が生じるという問題がある。
【0003】
このような問題を改善するため、従来より、黒表示状態の液晶層を通過する光の位相差値と、光学異方性層の位相差値とを合わせこみ、該黒表示状態の液晶層を三次元的に光学補償して、どの方向から見ても光漏れをなくして、視野角依存性の問題を改善する光学補償フィルムが提案されている。
例えば、本願出願人によって、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の支持体及びその上に設けられた光学異方性層からなる光学補償シートであって、前記光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層であり、前記ディスコティック構造単位の円盤面が、支持体面に対して傾いており、且つ、前記ディスコティック構造単位の円盤面と支持体面とのなす角度が、光学異方性層の厚み方向において変化するハイブリッド配向を有し、前記支持体が光学的にほぼ一軸性の負の屈折率楕円体の特性を有する光学補償フィルムが提案されている(特許文献1参照)。
この光学補償フィルムによれば、黒表示状態の液晶層と鏡面対称となるように前記光学異方性層のディスコティック構造単位が配列されているため、前記支持体と前記ディスコティック構造単位との積層体全体の光学特性として、黒表示状態の液晶層が光学的に補償され幅広い視野角において光漏れを防止することが可能となる。
【0004】
しかしながら、前記光学補償フィルムを用いることにより、前記液晶表示装置の視野角依存性の問題が改善され、視野角を拡大することに成功したが、近年、大画面表示を可能とする大画面液晶モニタや液晶プロジェクタ等への要望が高まり、前記大画面液晶モニタや液晶プロジェクタ等に対し、更なる高視野角、高コントラスト化や長期間使用しても退色や色ずれなどの表示品質の劣化の少ない耐久性(耐光性)のあるものが望まれている。また、液晶プロジェクタは、様々な角度で液晶セルに入射した光が投影レンズにより統合されてスクリーンに拡大投影されるため、より高いコントラストが要求され、前記光学補償フィルムには未だ改善の余地がある。
【0005】
また、従来より、液晶セルを挟むように配置される2つの偏光板間に、ハイブリット配向した液晶層を有する光学フィルムを配置してなり、該光学フィルムが、複屈折性が極めて少ないプラスチックフィルムからなる基材フィルム上にハイブリッド配向した液晶層を配置してなる液晶プロジェクタのコントラスト比改善方法が知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、これらの素子においては、屈折率が異なる層を積層しているため、各層間の屈折率差によって発生する反射によって入射光の利用効率が低下する上に、反射光が局部的な画質の劣化を起こすことが懸念されている。
【0006】
そこで、前記光学補償フィルムに反射防止層を設け、反射光による局部的な画質の劣化を抑止することにより、視野角や、コントラストを改善することが可能である。また、前記光学補償層上に保護層を設け、光学補償層の酸化反応を抑止することにより、表示品質の経時劣化を抑止することが可能である。
これら反射防止層や保護層は、耐久性の観点から無機材料から形成されることが望ましいが、有機材料から形成された層上に無機材料から形成された層を形成する場合は、両者の付着力が弱いため、経時使用により、膜剥れやクラックが生じ無機材料から形成された層の持つ所望の機能が低下してしまうという弊害がある。そこで、このような問題を改善するため、有機材料の表面を親水化することで無機材料との付着力を向上させる方法が知られている(特許文献3〜4参照)。
しかしながら、前記方法による位相差板の耐久性(耐光性)向上については報告されていなかった。
【0007】
【特許文献1】特開平8−50206号公報
【特許文献2】再公表特許WO01/090808
【特許文献3】特開2001−49444号公報
【特許文献4】特開2005−94510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償し、幅広い視野角において光漏れを防止するとともに、経年劣化の少ない光学補償素子及びその光学補償素子の簡便な製造方法、前記光学補償素子を用いることにより高視野角、高コントラストで高画質な長寿命の液晶表示装置及び液晶プロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 透明支持体上に、重合性化合物で形成された光学異方性層を少なくとも1層と、無機材料層とをこの順に有してなり、前記無機材料層に隣接し、且つ前記透明支持体側に位置する有機材料層における、該無機材料層側の表面が、25℃における純水に対する濡れ接触角が50°以下であることを特徴とする光学補償素子である。
<2> 有機材料層が光学異方性層及び中間層の少なくともいずれかである前記<1>に記載の光学補償素子である。
<3> 光学異方性層が液晶分子を含む重合性液晶化合物から形成され、該液晶分子の配向角が、該光学異方性層の厚み方向に対して傾斜した状態で重合により固定されてなる前記<1>から<2>のいずれかに記載の光学補償素子である。
<4> 配向角が光学異方性層の厚み方向に変化するハイブリッド配向である前記<3>に記載の光学補償素子である。
<5> 光学異方性層における層内の液晶分子が一定方向に向いた配向方向を有してなる前記<3>から<4>のいずれかに記載の光学補償素子である。
<6>重合性化合物で形成された光学異方性層を少なくとも2層有し、該光学異方性層における少なくとも2層の液晶分子の配向方向が互いに異なる前記<3>から<5>のいずれかに記載の光学補償素子である。
<7> 配向方向が互いに異なる光学異方性層が、透明支持体の一方の面上に設けられた前記<6>に記載の光学補償素子である。
<8> 液晶プロジェクタに用いられる前記<1>から<7>のいずれかに記載の光学補償素子である。
<9> 透明支持体上に光学異方性層と、無機材料層とをこの順に積層する前記<1>から<8>のいずれかに記載の光学補償素子の製造方法であって、重合性化合物を重合し前記光学異方性層を形成する工程と、前記光学異方性層上に前記無機材料層を形成する工程と、前記無機材料層に隣接し、且つ前記透明支持体側に位置する有機材料層における、該無機材料層側の表面が、25℃における純水に対する濡れ接触角が50°以下になる様に表面処理を施す工程とを含むことを特徴とする光学補償素子の製造方法である。
<10> 少なくとも一対の電極及び該一対の電極間に封入される液晶分子を有する液晶素子と、該液晶素子の両面及び片面のいずれかに配される光学補償素子と、前記液晶素子及び光学補償素子に対向配置される偏光素子とを備え、前記光学補償素子が前記<1>から<8>のいずれかに記載の光学補償素子であることを特徴とする液晶表示装置である。
<11> 液晶素子がツイストネマティック型である前記<10>に記載の液晶表示装置である。
<12> 光源と、該光源からの照明光が照射される液晶表示装置と、該液晶表示装置によって光変調された光をスクリーン上に結像させる投影光学系とを備え、前記液晶表示装置が前記<10>から<11>のいずれかに記載の液晶表示装置であることを特徴とする液晶プロジェクタである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記問題を解決し、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償し、幅広い視野角において光漏れを防止するとともに、経年劣化の少ない光学補償素子及びその光学補償素子の簡便な製造方法、前記光学補償素子を用いることにより高視野角、高コントラストで高画質な長寿命の液晶表示装置及び液晶プロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(光学補償素子)
本発明の光学補償素子は、支持体の面上に、重合性化合物で形成された光学異方性層及び、無機材料層を少なくともこの順に有してなり、好ましくは中間層を有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層を有してなる。
【0012】
<支持体>
前記支持体としては、透明性に優れ、80%以上の光透過率を示して均一な光学特性を与えるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白板ガラス、青板ガラス、石英ガラス、サファイアガラス、有機高分子フィルム、などが挙げられる。
前記有機高分子フィルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリオレフィン系、ポリエーテル系、ポリスルフィン系、ポリスルホン系及びポリエーテルスルホン系、セルロースエステル系、などの重合体群から選ばれる1種類、又は2種類以上の組合せが挙げられる。
前記有機高分子フィルムの具体例としては、ポリカーボネート共重合体、ポリエステル共重合体、ポリエステルカーボネート共重合体、ポリアリレート共重合体が好適に挙げられ、ポリカーボネート共重合体がより好適に挙げられる。
前記ポリカーボネート共重合体としては、フルオレン骨格を有するポリカーボネート共重合体が好ましく、透明性、耐熱性、生産性の観点から、ビスフェノール類とホスゲンあるいは炭酸ジフェニルなどの炭酸エステル形成化合物と反応させて得られるポリカーボネート共重合体が特に好ましい。
前記ポリカーボネート共重合体が有するフルオレン骨格の含有量としては、1〜99モル%が好ましい。前記ポリカーボネート共重合体としては、国際公開第00/26705号パンフレットに記載の、繰り返し単位を用いることも可能である。
具体的には、例えば、トリアセチルセルロースやポリビニルアルコール、ポリイミドやポリアリレート、ポリエステルやポリカーボネート、ポリスルホンやポリエーテルスルホン、エポキシ系樹脂のようなプラスチックからなるフィルムなどが挙げられる。
これらの中でも、前記支持体としては、面の平滑性などの観点から、前記の各種無機材料よりなるガラス又はトリアセチルセルロースフィルムを好適に用いることができる。
【0013】
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上が好ましく、前記厚みの上限としては、組込みのハンドリング性や機械的強度の観点から、0.3〜3mmが好ましく、0.5〜1.5mmがより好ましい。
【0014】
<重合性化合物で形成された光学異方性層>
前記重合性化合物で形成された光学異方性層の構成としては、少なくとも重合性化合物を備えていれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、必要に応じて適宜選択したその他の構成を備えてなる。
【0015】
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、配向状態を固定可能とした液晶構造を含む重合性液晶化合物を用いることが好ましく、棒状液晶構造、円盤状液晶構造、バナナ状液晶構造、などの液晶構造を含む重合性液晶化合物がより好ましく、円盤状の液晶構造を含む重合性液晶化合物が特に好ましい。
また、前記重合性化合物には、必要に応じて適宜選択した、その他の成分を含有することが可能である。
【0016】
本発明において、液晶を構成する分子に分子形状に起因する固有軸、つまり、棒状などの棒状様分子であれば長軸方向、板状分子であれば板の法線方向にこの固有軸を設定した場合に、注目した微少領域に含まれる液晶構造の固有軸の平均方向がほぼ揃っていることを液晶構造が配向状態にあると言う。更に、本発明では、この配向状態にあるとき、注目した微少領域の液晶構造の固有軸の平均方向と、光学補償素子の積層方向(光学異方性層と支持体との界面における法線方向)とのなす角を配向角と称し、固有軸の平均方向を前記界面へ投影した成分を配向方向と称する。
配向状態としては、前記液晶構造の配向角が傾斜する状態を有しているもの、つまり、配向角が、光学異方性層の厚み方向に平行又は垂直状態にないことが好適に挙げられ、前記配向角が光学異方性層の上面と下面との間で厚み方向に連続的に変化するハイブリッド配向を有しているものがより好適に挙げられる。
前記ハイブリッド配向における配向角度としては、配向膜側から空気界面側に向かって連続的に20°±20°〜65°±25°の範囲で変化するように調整されることが好ましい。
【0017】
前記重合性液晶化合物の前記配向角度及び配向方向により決定される前記配向状態としては、黒表示状態の液晶層と鏡面対象となるように前記配向角及び配向方法が調整されることが好ましい。
ここで、前記光学異方性層における前記液晶分子の配向膜側近傍の配向角、空気界面側の配向角及び平均配向角は、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、多方向からのレターデーションを測定し、測定されたレターデーションから屈折率楕円体モデルを想定し、該屈折率楕円体モデルから算出された推定値である。
また、前記レターデーションから配向角を算出する方法としては、Design Concepts of Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGESTに記載された手法で算出することも可能である。前記配向角を算出する場合における前記レターデーションの測定方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光学異方性層の法線方向のレターデーション(Re0)、該法線方向に対して−40°方向のレターデーション(Re−40)及び+40°方向のレターデーション(Re40)が挙げられる。
前記Re0、Re−40、Re40の測定は、それぞれ前記エリプソメーターを用いて、前記各測定方向に観察角度を変えて測定した値である。
【0018】
前記棒状液晶構造を含む重合性液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリマーバインダーを用いて前記棒状液晶構造の配向状態を固定可能とした重合性液晶化合物、重合により液晶構造の配向状態を固定可能とした重合性基を有する重合性液晶化合物などが挙げられ、この中でも重合性基を有する前記重合性液晶化合物が好適に挙げられる。
前記棒状液晶構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が挙げられる。
【0019】
前記棒状液晶構造を含む重合性液晶化合物としては、下記構造式(1)で表される低分子の重合性基を有する棒状液晶化合物が重合した高分子液晶化合物が挙げられる。
【化1】


但し、前記構造式(1)において、Q及びQは、それぞれ重合性基を表し、L、L、L及びLは、それぞれ単結合又は二価の連結基を表すが、L及びLの少なくとも一方は、−O−CO−O−を表す。また、A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサー基を表す。また、Mは、メソゲン基を表す。
【0020】
前記円盤状液晶構造を含む重合性液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリマーバインダーを用いて前記円盤状液晶構造の配向状態を固定可能とした重合性液晶化合物、重合により前記円盤状液晶構造の配向状態を固定可能とした重合性基を有する重合性液晶化合物などが挙げられ、この中でも重合性基を有する前記重合性液晶化合物が好適に挙げられる。
【0021】
前記重合性基を有する重合性液晶化合物としては、例えば、円盤状コアと重合性基との間に連結基を導入した構造が挙げられる。前記重合性液晶化合物の具体的としては、特開平8−050206号公報に記載されている様な下記構造式(2)で表される化合物が好適に挙げられる。
【化2】


但し、前記構造式(2)において、Dは円盤状コアを表し、Lは二価の連結基を表し、Pは重合性基を表す。また、nは4〜12の整数である。また、複数の二価の連結基Lと重合性基Pとの組合せとしては、異なる二価の連結基と重合性基との組合せでもよいが、同一の組合せが好ましい。前記円盤状コアDとしては、2種以上を併用することも可能である。
前記構造式(2)において、円盤状コアDの具体例としては、下記構造式(D1)〜(D15)で表される円盤状コアが挙げられる。
【化3】


【化4】


【化5】


【化6】


【化7】


【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


前記構造式(2)において、二価の連結基Lとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びこれらの組合せなどが好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びこれらの中から選ばれる二価の基を少なくとも二つ組合せた二価の連結基がより好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−O−及びこれらの中から選ばれる二価の基を少なくとも二つ組合せた二価の連結基が特に好ましい。
前記アルキレン基の炭素原子数としては、1〜12が好ましい。前記アルケニレン基の炭素原子数としては、2〜12が好ましい。前記アリーレン基の炭素原子数としては、6〜10でが好ましい。また、前記アルキレン基、前記アルケニレン基、前記アリーレン基としては、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基、などの置換基を有していてもよい。
前記二価の連結基Lの具体例としては、−AL−CO−O−AL−、−AL−CO−O−AL−O−、−AL−CO−O−AL−O−AL−、−AL−CO−O−AL−O−CO−、−CO−AR−O−AL−、−CO−AR−O−AL−O−、−CO−AR−O−AL−O−CO−、−CO−NH−AL−、−NH−AL−O−、−NH−AL−O−CO−、−O−AL−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−O−CO−NH−AL−、−O−AL−S−AL−、−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−、−O−CO−AR−O−AL−CO−、−O−CO−AR−O−AL−O−CO−、−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−、−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−、−S−AL−、−S−AL−O−、−S−AL−O−CO−、−S−AL−S−AL−、−S−AR−AL−、などが挙げられる。
但し、前記二価の連結基Lの具体例において、左側が前記円盤状コアDに結合し、右側が重合性基Pに結合する。また、ALはアルキレン基、アルケニレン基を表し、ARはアリーレン基を表す。
【0022】
前記構造式(2)において、前記重合性基Pとしては、特に制限はなく、重合反応の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、不飽和重合性基、エポキシ基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。前記重合性基Pの具体例としては、下記構造式(P1)〜(P18)で表される重合性基が挙げられる。
【化12】


【化13】



【化14】



【化15】



【化16】



【化17】



これらの重合性液晶化合物については、例えば、特開平9−104656号公報、特開平11−92420号公報、特開2000−34251号公報、特開2000−44507号公報、特開2000−44517号公報、特開2000−86589号公報、などを例示することができる。
【0023】
前記重合性化合物に含有するその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記重合性化合物の重合反応を開始する重合開始剤などが挙げられる。
【0024】
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱重合反応を開始する熱重合開始剤、光重合反応を開始する光重合開始剤が挙げられる。こられの中でも、前記光重合開始剤が好適に挙げられる。
前記光重合開始剤の具体例としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号明細書、同2367670号明細書に記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書に記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書に記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号明細書、同2951758号明細書に記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組合せ(米国特許3549367号明細書に記載)、アクリジン及びフェナジンの化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書に記載)、オキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書に記載)が挙げられる。
前記光重合開始剤の前記重合性液晶化合物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記重合性液晶化合物の塗布液における固形分の0.01〜20質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
【0025】
−その他の構成−
前記重合成化合物で形成された光学異方性層が備える前記その他の構成としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記重合性化合物に含まれる前記液晶構造を配向させるための配向膜が好適に挙げられる。前記配向膜上に前記重合性化合物が塗布等により積層されることが好ましい。
前記配向膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラビング処理された有機化合物(ポリマー)からなる配向膜、マイクログループを有する配向膜、ラングミュア・ブロジェット法(LB膜)によりω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチル、などの有機化合物が累積された配向膜、無機化合物が斜方蒸着された配向膜、電場、磁場又は光照射、などにより配向機能が生じる配向膜などが挙げられ、前記ラビング処理された有機化合物からなる配向膜が好適に挙げられる。
【0026】
前記ラビング処理された有機化合物からなる配向膜における、前記ラビング処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記有機化合物からなる膜の表面を紙や布で一定方向に数回こする処理が挙げられる。
前記有機化合物の種類としては、特に制限はなく、前記液晶構造の配向状態(特に配向角)に応じて決定することができ、例えば、前記液晶構造を水平に配向させるために配向膜の表面エネルギーを低下させない配向膜用ポリマーが挙げられる。
前記配向膜用ポリマーの具体例としては、ラビング処理の方向に対して直交する方向に前記液晶構造を配向する場合には、変性ポリビニルアルコール(特開2002−62427号公報に記載)、アクリル酸系コポリマー(特開2002−98836号公報に記載)ポリイミド、ポリアミック酸(特開2002−268068号公報に記載)が好適に挙げられる。これらの中でも、配向性に優れたポリイミドがより好ましい。
前記配向膜は、前記重合性化合物、前記支持体に対する密着性を向上させることを目的として、反応性基を有することが好ましい。前記反応性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記配向膜用ポリマーの繰り返し単位の側鎖に反応性基を導入したもの、前記配向膜用ポリマーに環状基の置換基を導入したものなどが挙げられる。
前記反応性基により前記重合性化合物、前記支持体に対して化学結合を形成する配向膜としては、特開平9−152509号公報に記載の配向膜を用いることも可能である。
前記配向膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.01〜5μmが好ましく、0.02〜2μmがより好ましい。
【0027】
−重合成化合物で形成された光学異方性層の作製方法−
前記重合成化合物で形成された光学異方性層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶剤に前記液晶構造を含む前記重合性化合物、前記重合開始剤などを含有した塗布液を、前記配向膜の上に塗布して積層し、次に、積層された該重合成化合物で形成された光学異方性層を熱処理して配向を均一にし、次いで、該重合成化合物を重合硬化させて、一定の配向方向を有する該重合成化合物で形成された光学異方性層を作製する方法が好適に挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機溶剤が好適に挙げられる。前記有機溶剤の具体例としては、アミド、スルホキシド、ヘテロ環化合物、炭化水素、アルキルハライド、エステル、ケトン、エーテル、などが好適に挙げられる。該アミドとしては、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられ、該スルホキシドとしては、ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、該ヘテロ環化合物としては、ピリジンなどが挙げられ、該炭化水素としては、ベンゼン、ヘキサンなどが挙げられ、該アルキルハイドライドとしては、クロロホルム、ジクロロメタンなどが挙げられ、該エステルとしては、酢酸メチル、酢酸ブチルなどが挙げられ、該ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられ、該エーテルとしては、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどが挙げられる。
これらの中でもアルキルハライド、ケトンがより好適に挙げられる。前記有機溶剤としては、これらの二種類以上を併用してもよい。
塗布液の前記配向膜上への塗布方法としては、特に制限はなく、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコート法、などの公知の方法が挙げられる。
【0028】
前記熱処理工程は、重合性化合物で形成された光学異方性層を加熱して配向を均一にし、熟成させ、それを維持するために行われる。
前記熱処理としては、特に制限はなく、前記塗工層を60〜120℃で加熱して溶媒を揮発、乾燥させた後に、液晶構造を含む重合化合物の配向を熟成させるために加熱温度を85〜180℃の範囲若しくは液晶がND層を示すまで制御すればよい。
【0029】
前記重合性液晶化合物の重合方法としては、該液晶層の配向を固定化できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開平8−27284号公報、特開平10−278123号公報に記載の方法を用いることも可能である。
具体的には、光重合用の活性線を照射することにより硬化反応を行うものが挙げられる。光重合用の活性線としては、電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)、などを必要に応じて適宜選択して用いることができ、一般的には、紫外線が好ましい。
前記光照射手段の照射エネルギーとしては、20〜50,000mJ/cmが好ましく、100〜800mJ/cmがより好ましい。また、前記光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)及びショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)を挙げることができる。
【0030】
エチレン性不飽和基の重合反応のためのラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビス化合物、パーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、レドックス触媒、など、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、tert−ブチルパーオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルパーカーボネート、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーキサイド、ジクミルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド或いはベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンゾイン類、チオキサントン類、などを挙げることができる。これらの詳細については「紫外線硬化システム」(総合技術センター、1989年)の63頁〜147頁などに記載されている。
【0031】
また、エポキシ基を有する化合物の重合には、紫外線活性化カチオン触媒として、例えば、アリルジアゾニウム塩(ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボラート等)、ジアリルヨードニウム塩、VIa族アリロニウム塩(PF、AsF、SbFのようなアニオンをもつアリルスルホニウム塩等)が一般的に用いられる。
また、ラジカル反応を用いて硬化反応を行う場合、空気中の酸素の存在による重合反応の遅れをさけるために、窒素雰囲気下で上記活性線を照射することが、反応時間の短縮化と少ない光量で硬化できる点で好ましい。
【0032】
前記重合成化合物で形成された光学異方性層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ0.1〜5.0μmが好ましく、0.5〜2.5μmがより好ましい。
【0033】
<無機材料層>
前記無機材料層の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、同一材料の単層又は積層でもよく、2以上の異なる材料の積層でもよい。保護層や反射防止層又はそれらの組み合わせなどとしての目的が挙げられる。
保護層の材料、構造としては、有機材料からなる前記光学異方性層を酸化反応から遮断し耐久性を向上させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、サファイアガラス、アルミナ、シリカ、などの素材を好適に用いることができる。これらの中でも、酸素ガスなどの透過性がほとんどなく、積層の容易なアルミナが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
反射防止層の材料、構造としては、反射率を低減し、透過率を増加させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
−無機材料層の作製方法−
前記無機材料層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、材料を蒸着することにより作製する蒸着方法が好適に挙げられる。
前記蒸着方法としては、特に制限はなく、例えば、試料を気体原料の雰囲気内におき、化学反応によって、試料表面に薄膜を形成する化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)や蒸発やスパッタによって、粒子になった原料を試料に付着させて形成する物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)などが挙げられる。
【0035】
前記無機材料層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ0.05〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。
【0036】
−−無機材料層に隣接する有機材料層表面の純水に対する濡れ接触角−−
前記無機材料層を形成する場合は、該無機材料層に隣接し、且つ前記透明支持体側に位置する有機材料層と、該無機材料層との付着力を高めるため、該有機材料層における該無機材料層側の表面の、純水に対する濡れ接触角を小さくすることが好ましい。該濡れ接触角としては、25℃において、50°以下が好ましく、40°以下がより好ましい。接触角が50°よりも大きくなると付着力が極端に低下し、経時使用により膜剥れやクラックが生じ、無機材料層の持つ所望の機能が低下してしまうことがある。
ここで、純水とは、イオン交換樹脂などを通すことによって、その電気抵抗を10万Ω以上にした水をいう。
前記有機材料層としては、有機材料で形成された層であれば特に制限はなく、前記重合成化合物で形成された光学異方性層であってもよいし、後述する中間層であってもよい。若しくは、その他の層であってもよい。
前記有機材料層の25℃における接触角を50°以下にするには、例えば、プラズマ処理やオゾン処理などが挙げられる。プラズマ処理やオゾン処理により基材表面にカルボニル基、カルボキシル基、水酸基、などの極性基が生成することで表面親水性を上げ、純水に対する濡れ接触角を低下させることが可能である。これらの方法は、処理時間などの処理条件を変更することにより、接触角の制御ができる点で好適である。ここで、プラズマ処理やオゾン処理後の接触角は処理後10分以内に測定した値である。
前記有機材料層表面が前記プラズマ処理やオゾン処理などで表面処理された場合、処理後2時間以内に無機材料層を積層することが好ましい。処理後1時間以内に無機材料層を積層することが更に好ましい。ここで、処理後2時間を超えると該有機材料層表面の親水性が低下し処理の効果が低減してしまう恐れがある。
【0037】
<中間層>
有機材料から形成される前記中間層は、重合性化合物で形成された光学異方性層と無機材料層との間に位置しており、前記無機材料層に隣接している。前記中間層を形成後にプラズマ処理やオゾン処理などによる表面処理を施すことにより、表面処理時の高速粒子やオゾンによる前記光学異方性層の配向状態の破壊が抑制されるため、例えば表面処理時間を十分に取っても、前記光学異方性層の配向状態を破壊することなく、純水に対する濡れ接触角を十分に低下させることが可能となり、同時に無機材料層と中間層を強固に付着させ経時使用時の膜剥れやクラックの発生を抑止することが可能となる。
【0038】
前記中間層の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、同一材料の単層又は積層でもよく、2以上の異なる有機材料の積層でも良い。
前記中間層の材料としては、機械的強度があり、透明性に優れ、80%以上の光透過率を示して均一な光学特性を満たすものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリビニルアルコール、塩化ビニルのような高分子材料や単官能重合性化合物や多官能重合成化合物などが挙げられるが、機械的強度の観点から多官能重合性化合物が望ましい。
前記多官能重合成化合物の具体例としてはエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート等の多官能メタクリル酸エステル類、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリル酸エステル類、ジビニルベンゼン等があげられる。
【0039】
前記重合性化合物に含有するその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記重合性化合物の重合反応を開始する重合開始剤などが挙げられる。
【0040】
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱重合反応を開始する熱重合開始剤、光重合反応を開始する光重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、前記光重合開始剤が好適に挙げられる。
前記光重合開始剤の具体例としては、前記光学異方性層に含有しうる光重合開始剤と同様の化合物例が好適に挙げられる。
前記光重合開始剤の前記重合性液晶化合物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記重合性液晶化合物の塗布液における固形分の0.01〜20質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
【0041】
−中間層の作製方法−
前記中間層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶剤に前記重合性化合物、前記重合開始剤などを含有した塗布液を、前記光学異方性層上に塗布し、次いで、該重合成化合物を重合硬化させることにより作製する方法が好適に挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光学異方性層に含有しうる有機溶剤と同様の化合物例が好適に挙げられる。前記有機溶剤としては、これらの2種類以上を併用してもよい。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコート法、などが挙げられる。
【0042】
前記重合性液晶化合物の重合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合用の活性線を照射することにより硬化反応を行うものが挙げられる。前記光重合反応に用いられる活性線としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線が好適に挙げられる。
前記光照射手段の照射エネルギーとしては、20〜50,000mJ/cmが好ましく、100〜800mJ/cmがより好ましい。また、前記光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)及びショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)を挙げることができる。
【0043】
また、ラジカル反応を用いて硬化反応を行う場合、空気中の酸素の存在による重合反応の遅れをさけるために、窒素雰囲気下で上記活性線を照射することが、反応時間の短縮化と少ない光量で硬化できる点で好ましい。
【0044】
前記中間層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、放電処理などによる表面処理時に重合性化合物で形成された光学異方性層の配向状態が破壊されるのを防止するのに十分な厚みであるのがより好ましく、一方で、各層の熱膨張率の違いから生じる応力により膜はがれやクラックが生じるのを避ける必要があるため、必要以上の厚みは好ましくない。すなわち、前記中間層の厚みは0.05〜2μmが好ましく、0.2μm〜1.0μmがより好ましい。
【0045】
<その他の層>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、防眩層、防汚層、帯電防止層、などが挙げられる。これらの層を設ける場合は、その機能から、素子と空気の界面に設けられることが好ましい。あるいは、無機光学異方性層を重合性化合物で形成された光学異方性層と併用することもできる。
【0046】
−無機光学異方性層−
前記無機光学異方性層の構造としては、層全体として、光学異方性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが例えば、前記支持体の法線方向を積層方向として、屈折率が互いに異なる複数の層が規則的な順序で積層され、繰り返し構造を有してなる(繰り返し単位が繰り返されてなる)周期構造積層体であり、前記繰り返し単位の光学厚み、即ち、前記周期構造積層体中の繰り返し構造の積層方向における厚み(以下「周期構造ピッチ」という。)が、可視光領域における光の波長より短い構造が好適に挙げられる。
なお、前記周期構造積層体中の一の繰り返し構造の積層方向における厚みと、他の繰り返し構造の積層方向における厚みとは、必ずしも同一とする必要はなく、前記無機光学異方性層を通過させる光の性質等により異ならせることも可能である。
前記一の繰り返し構造を構成する層数としては、屈折率が互いに異なる複数の層であれば、特に層数に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、これらの中でも、2種の無機材料による2つの層からなるものが好適に挙げられる。
前記周期構造積層体を構成する各層の厚みとしては、可視光領域における光の波長より小さいものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光領域における光の波長をλとした場合に、λ/100〜λ/5が好ましく、λ/50〜λ/5がより好ましく、λ/30〜λ/10が特に好ましい。
前記周期構造積層体を構成する各層の厚みとしては、積層された層の相互間で光干渉が生じることを避ける必要があるため、各層の厚みは薄い方がよいが、必要な合計厚みを得るのに成層回数が増えてくるので、各層の厚みの決定に際しは、前記無機光学異方性層の所望とする光学特性、層の相互干渉による着色の問題などを考慮して、各層の材料、屈折率、厚み比、合計厚みなどから各層の厚みの最適値が決定されることが好ましい。例えば、400〜700nmの範囲で適宜選択して形成することが好ましい。
【0047】
前記周期構造ピッチとしては、可視光領域における光の波長よりも短いものであれば、特に制限はなく、該可視光領域の中から目的に応じて適宜選択することができるが、ここで、前記可視光領域としては、特に明記するもの以外は、400〜700nmの波長領域をいう。従って、前記周期構造ピッチとしては、400〜700nmの範囲で適宜選択されることが好ましい。
前記無機材料で形成された光学異方性層のレターデーションとしては、下記式(1)で表されるレターデーションRthは、20〜300nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。
Rth={(n+n)/2−n}×d・・・式(1)
但し、前記式(1)において、n、n及びnは、前記支持体の法線方向をZ軸とした時に、前記無機光学異方性層中におけるお互いに直交するX、Y、Z軸方向の屈折率をそれぞれ表す。また、dは、光学異方性層の厚みを表す。
前記周期構造積層体中の繰り返し構造の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記無機光学異方性層の厚みとしては、前記レターデーションRthを満たすものが好ましく、具体的には、50〜2,000μmが好ましく、100〜1,500μmがより好ましい。
【0048】
前記無機光学異方性層を構成する前記周期構造積層体の材料としては、無機材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記無機光学異方性層の複屈折性による位相差値は、光学異方性層の厚みdと、前記繰り返し構造を構成する各層の屈折率差Δnとの積によって決まるので、所望の屈折率差Δnに応じて適宜選択されることが好ましく、具体的には、屈折率の高い材料として、TiO、ZrOなど、屈折率の低い材料として、SiO、MgFなどから適宜選択されることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
具体的には、可視光領域における屈折率の最大値と最小値との屈折率差Δnが0.5以上となる材料の組合せから選択されることが好ましく、酸化物層から適宜選択される複数の材料の組合せがより好ましく、SiO層(屈折率n=1.4870〜1.5442)及びTiO層(屈折率n=2.583〜2.741)の組合せが特に好ましい。
前記屈折率差Δnが0.5未満であると、光学異方性層の厚みdを調整して、前記無機光学異方性層における位相差値を所望の値とすることとなるため、繰り返し単位を積層する工程が増加してしまい、製造適性や生産性を勘案した場合好ましくない。
このような無機光学異方性層は、各層の積層方向、即ち、前記支持体の法線方向には、屈折率の一様な媒質と等価であり、層全体としては、構造性複屈折とよばれる異方性が生じることにより、一軸性の傾斜していない負の屈折率楕円体の光学特性を有するものである。そして、前記無機光学異方性層は、平滑性が高く、且つ前記周期構造積層体の材料、厚み、層数、前記周期構造ピッチの周期などを適宜選択することにより、前記レターデーションRthなどを容易且つ高精度に得ることが可能となる。
【0049】
また、前記無機光学異方性層は、各層の厚み比や厚みを適宜選択することにより反射防止層としての機能を付与することも可能である。
なお、前記レターデーションRthの測定としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて測定することができる。
【0050】
−無機光学異方性層の作製方法−
前記無機光学異方性層の作製方法としては、屈折率が互いに異なる複数の層が形成されれば、特に制限はないが、2種の無機材料による2以上の層からなるように形成することが好ましく、例えば、前記支持体上に減圧下でスパッタ装置を用いて、SiOとTiOを交互に蒸着して、数十層からなる周期構造積層体を形成する方法が挙げられる。
【0051】
〔光学補償素子の構造〕
以下に、本発明の光学補償素子の例について、図面を参照しながら説明する。
前記光学補償素子の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下に示す第1から第9の構造の光学補償素子が好適に挙げられる。
−第1の構造の光学補償素子−
図1は、第1の構造に係る光学補償素子の断面図である。
第1の構造に係る光学補償素子は、前記支持体の一方の面上に、前記無機光学異方性層を備え、他方の面上に配向方向が異なる2つの前記重合性化合物で形成された光学異方性層を備えてなる。
即ち、図1に示すように、第1の構造に係る光学補償素子10は、支持体11の一方の面上に、配向膜14A、重合性化合物で形成された光学異方性層13A、配向膜14B、重合性化合物で形成された光学異方性層13B、保護層16、反射防止層15Bがこの順に、該反射防止層15Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体11の他方の面上に無機光学異方性層12、反射防止層15Aがこの順に、該反射防止層15Aが最外表面に配置されるように積層されたものである。
無機光学異方性層12は、TiO層2A及びSiO層2Bの周期構造積層体であり、各層の厚みはそれぞれ約15nmである。無機光学異方性層12は、このような周期構造積層体とすることにより反射防止機能を兼ね備えることも可能である。
また、配向膜14Aと配向膜14Bのラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。このような配向膜14A及び配向膜14Bを備えることにより、重合性化合物で形成された光学異方性層13A及び13Bにおける前記重合性化合物に含まれる前記液晶分子の配向方向を90°異なる方向に配向させることが可能となる。
【0052】
−第2の構造の光学補償素子−
図2は、第2の構造に係る光学補償素子の断面図である。
第2の構造に係る光学補償素子は、前記支持体の一方の面上に、前記無機光学異方性層を備え、他方の面上に配向方向が異なる2つの前記重合性化合物で形成された光学異方性層を備えてなる。
即ち、図2に示すように、第2の構造に係る光学補償素子20は、支持体21の一方の面上に、配向膜24A、重合性化合物で形成された光学異方性層23A、配向膜24B、重合性化合物で形成された光学異方性層23B、中間層27、保護層26、反射防止層25Bがこの順に、該反射防止層25Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体21の他方の面上に無機光学異方性層22、反射防止層25Aがこの順に、該反射防止層25Aが最外表面に配置されるように積層されたものである。
中間層27は、素子の耐久性を向上させるため、重合性化合物で形成された光学異方性層23Bと、保護層26及び反射防止層25Bからなる無機層との間に積層されている。
無機光学異方性層22の構造としては、前記第1の構造に係る光学補償素子10における無機光学異方性層12と同様の構造とすることができる。
また、配向膜24Aと配向膜24Bのラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。このような配向膜24A及び配向膜24Bを備えることにより、重合性化合物で形成された光学異方性層23A及び23Bにおける前記重合性化合物に含まれる前記液晶分子の配向方向を90°異なる方向に配向させることが可能となる。
【0053】
−第3の構造の光学補償素子−
図3は、第3の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第3の構造に係る光学補償素子は、前記支持体の一方の面上に、前記無機光学異方性層及び前記重合性化合物で形成された光学異方性層をこの順に備えてなる。
即ち、図3に示すように、第3の構造に係る光学補償素子30は、支持体31の一方の面上に、無機光学異方性層32、配向膜34、重合性化合物で形成された光学異方性層33、中間層37、保護層36、反射防止層35Bがこの順に、該反射防止層35Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体31の他方の面上に反射防止層35Aを積層してなるものである。
中間層37は、素子の耐久性を向上させるため、重合性化合物で形成された光学異方性層33と、保護層36及び反射防止層35Bからなる無機材料層との間に積層されている。
無機光学異方性層32の構造としては、前記第1の構造に係る光学補償素子10における無機光学異方性層12と同様の構造とすることができる。
また、前記第3の構造に係る光学補償素子30を、2枚積層して用いることも可能である。この場合には、それぞれの光学補償素子における配向膜のラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。
前記第3の構造に係る光学補償素子30に示すように、支持体の一方の面上に各層を配置する態様は、各層を構成する素材、組合せにもよるが、一般的にハンドリングがよく、製造も容易となる。
【0054】
−第4の構造の光学補償素子−
図4は、第4の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第4の構造に係る光学補償素子は、前記支持体の一方の面上に、前記無機光学異方性層及び配向方向が異なる2つの前記重合性化合物で形成された光学異方性層をこの順に備えてなる。
即ち、図4に示すように、第4の構造に係る光学補償素子40は、支持体41の一方の面上に、無機光学異方性層42、配向膜44A、重合性化合物で形成された光学異方性層43A、配向膜44B、重合性化合物で形成された光学異方性層43B、中間層47、保護層46、反射防止層45Bがこの順に、該反射防止層45Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体41の他方の面上に、反射防止層45Aを積層してなるものである。
中間層47は、素子の耐久性を向上させるため、重合性化合物で形成された光学異方性層43Bと、保護層46及び反射防止層45Bからなる無機材料層との間に積層されている。
無機光学異方性層42の構造としては、前記第1の構造に係る光学補償素子10における無機光学異方性層12と同様の構造とすることができる。
また、配向膜44Aと配向膜44Bのラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。このような配向膜44A及び44Bを備えることにより、重合性化合物で形成された異方性層43A及び43Bにおける前記重合性化合物に含まれる前記液晶構造の配向方向を90°異なる方向に配向させることが可能となる。
【0055】
−第5の構造の光学補償素子−
図5は、第5の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第5の構造に係る光学補償素子は、配向方向が異なる2つの前記重合性化合物で形成された光学異方性層が前記支持体を介して設けられてなる。
即ち、図5に示すように、第5の構造に係る光学補償素子50は、支持体51の一方の面上に、無機光学異方性層52、配向膜54B、重合性化合物で形成された光学異方性層53B、中間層57B、保護層56B、反射防止層55Bがこの順に、該反射防止層55Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体51の他方の面上に配向膜54A、重合性化合物で形成された光学異方性層53B、中間層57A、保護層56A、反射防止層55Aがこの順に配置されるように積層されてなるものである。
中間層57Bは、素子の耐久性を向上させるため、重合性化合物で形成された光学異方性層53Bと、保護層56B及び反射防止層55Bからなる無機材料層との間に積層されている。中間層57Aは、素子の耐久性を向上させるため、重合性化合物で形成された光学異方性層53Bと、保護層56A及び反射防止層55Aからなる無機材料層との間に積層されている。
無機光学異方性層52の構造としては、前記第1の構造に係る光学補償素子10における無機光学異方性層12と同様の構造とすることができる。
また、配向膜54Aと配向膜54Bのラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。このような配向膜54A及び54Bを備えることにより、重合性化合物で形成された異方性層53A及び53Bにおける前記重合性化合物に含まれる前記液晶構造の配向方向を90°異なる方向に配向させることが可能となる。
【0056】
−第6の構造の光学補償素子−
図6は、第6の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第6の構造に係る光学補償素子は、前記支持体の少なくとも一方の面上に、前記重合性化合物で形成された光学異方性層及び前記無機光学異方性層をこの順に備えてなる。
即ち、図6に示すように、第6の構造に係る光学補償素子60は、支持体61の一方の面上に、配向膜64、重合性化合物で形成された光学異方性層63、中間層67、保護層66、無機光学異方性層62、反射防止層65Bがこの順に、該反射防止層65Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体61の他方の面上に反射防止層65Aが積層されてなるものである。
中間層67は、素子の耐久性を向上させるため、重合性化合物で形成された光学異方性層63と保護層66、無機光学異方性層62、反射防止層65Bからなる無機材料層の間に積層されている。
無機光学異方性層62の構造としては、前記第1の構造に係る光学補償素子10における無機光学異方性層12と同様の構造とすることができる。
また、前記第6の構造に係る光学補償素子60を、2枚積層して用いることも可能である。この場合には、それぞれの光学補償素子における配向膜のラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。
【0057】
−第7の構造の光学補償素子−
図7は、第7の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第7の構造に係る光学補償素子は、配向方向が異なる2つの前記重合性化合物で形成された光学異方性層及び前記無機光学異方性層をこの順に有してなる。
即ち、図7に示すように、第7の構造に係る光学補償素子70は、支持体71の一方の面上に、配向膜74A、重合性化合物で形成された光学異方性層73A、配向膜74B、重合性化合物で形成された光学異方性層73B、中間層77、保護層76、無機光学異方性層72、反射防止層75Bがこの順に、該反射防止層75Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体71の他方の面上に反射防止層75Aが積層されてなるものである。
中間層77は、素子の耐久性を向上させるため、重合性化合物で形成された光学異方性層73Bと、保護層76、無機光学異方性層72、反射防止層75Bからなる無機材料層との間に積層されている。
無機光学異方性層72の構造としては、前記第1の構造に係る光学補償素子10における無機光学異方性層12と同様の構造とすることができる。
また、配向膜74Aと配向膜74Bのラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。このような配向膜74A及び配向膜74Bを備えることにより、重合性化合物で形成された光学異方性層73A及び73Bにおける前記重合性化合物に含まれる前記液晶構造の配向方向を90°異なる方向に配向させることが可能となる。
【0058】
−第8の構造の光学補償素子−
図8は、第8の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第8の構造に係る光学補償素子は、配向方向が異なる2つの前記重合性化合物で形成された光学異方性層及び前記無機光学異方性層が前記支持体を介して設けられてなる。
即ち、図8に示すように、第8の構造に係る光学補償素子80は、支持体81の一方の面上に、配向膜84B、重合性化合物で形成された光学異方性層83B、中間層87B、保護層86B、無機光学異方性層82、反射防止層85Bがこの順に、該反射防止層85Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体81の他方の面上に配向膜84A、重合性化合物で形成された光学異方性層83A、中間層87A、保護層86A、無機光学異方性層82、反射防止層85Aがこの順に、該反射防止層85Aが最外表面に配置されるように積層されてなるものである。
中間層87Bは、素子の耐久性を向上させるため、重合性化合物で形成された光学異方性層83Bと、保護層86B、無機光学異方性層82、反射防止層85Bからなる無機材料層との間に積層されている。中間層87Aは、素子の耐久性を向上させるため、重合性化合物で形成された光学異方性層83Aと、保護層86A、無機光学異方性層82、反射防止層85Aからなる無機材料層との間に積層されている。
無機光学異方性層82の構造としては、前記第1の構造に係る光学補償素子10における無機光学異方性層12と同様の構造とすることができる。また、無機光学異方性層82は少なくとも一層備えていればよく、いずれか一方の無機光学異方性層82を省略することが可能である。
また、配向膜84Aと配向膜84Bのラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。このような配向膜84A及び84Bを備えることにより、重合性化合物で形成された光学異方性層83A及び83Bにおける前記重合性化合物に含まれる前記液晶構造の配向方向を90°異なる方向に配向させることが可能となる。
【0059】
−第9の構造の光学補償素子−
図9は、第9の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第9の構造に係る光学補償素子は、前記支持体の一方の面上に前記無機光学異方性層を備え、他方の面上に前記重合性化合物で形成された光学異方性層を備えてなる。
即ち、図9に示すように、第9の構造に係る光学補償素子90は、支持体91の一方の面上に配向膜94、重合性化合物で形成された光学異方性層93、中間層97、保護層96、反射防止層95Bがこの順に、該反射防止層95Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体91の他方の面上に、無機光学異方性層92、反射防止層95Aがこの順に、該反射防止層95Aが最外表面に配置されるように積層されてなるものである。
中間層97は素子の耐久性を向上させるため光学異方性層93と、保護層96、反射防止層95Bからなる無機材料層との間に積層されている。
無機光学異方性層92の構造としては、前記第1の構造に係る光学補償素子10における無機光学異方性層12と同様の構造とすることができる。
また、前記第9の構造に係る光学補償素子90を、2枚積層して用いることも可能である。この場合には、それぞれの光学補償素子における配向膜のラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。
【0060】
前記光学補償素子にあっては、無機光学異方性層12、22、22、32、42、52、62、72、82、92における光学特性が無機材料よりなる周期構造積層体による周期構造ピッチによって決められるために、高分子フィルムを一軸伸延して所定の光学特性を得る場合に生じる残留応力による高分子フィルム面内における屈折率のバラツキやヘイズ値の低下等の光学的不均一性の問題が防止でき、前記無機光学異方性層面内における光学的均一性を高くすることが可能である。従って、前記光学補償素子は、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償することが可能となる。
また、無機光学異方性層12、22、22、32、42、52、62、72、82、92は、10数nmの範囲で面内の厚みの制御が可能であり、高い平滑性を実現でき、前記無機光学異方性層面内における光学的均一性を高くすることが可能である。従って、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償して、光漏れを低減して、スジ状のむらが顕在化することが防止できる。
更に、無機光学異方性層12、22、22、32、42、52、62、72、82、92は、高温・高多湿環境で長期にわたり使用されても、膨張又は収縮が生じることがない。
更に、前記保護層16、26、36、46、56A、56B、66、76、86A、86B、96は、前記重合性化合物で形成された光学異方性層13A、13B、23A、23B、33、43A、43B、53A、53B、63、73A、73B、83A、83B、93の外表面側に積層され、重合性化合物で形成された光学異方性層の酸化反応を抑制することができる。
更に、無機材料層16、15Bは、下層の重合性化合物で形成された光学異方性層13Bがプラズマ処理やオゾン処理などにより、25℃における純水に対する接触角が50°以下になるように表面処理を施された後に積層されるため無機材料層の膜剥れやクラックを抑制することができる。
更に、無機材料層26、25B及び36、35B及び46、45B及び56、55B及び56A、55A及び66、62、65B及び76、72、75B及び86B、82、85B及び86A、82、85A及び96、95Bは、前記中間層27及び37及び47及び57A及び57B及び67及び77及び87A及び87Bの表面に積層されており無機材料層形成前のプラズマ処理やオゾン処理などの表面処理による下層の重合性化合物で形成された光学異方性層の破壊を防止し、かつ該表面処理により経時使用時の無機材料層の膜剥れやクラックを抑制することができる。
以上の光学補償素子全体として、長期にわたり光学特性の変化を最小とすることが可能となり耐久性が著しく向上する。なお、以上に挙げた態様それぞれにおいて、簡素化のため無機光学異方性層を省略した形態も考えうるが、本発明はこれらの無機光学異方性層を省略した形態においても、同様な耐久性を有する。
【0061】
特に、前記第3〜第5の構造の光学補償素子にあっては、支持体31、41、51上に、10数nmの範囲で面内の厚み制御が可能な無機光学異方性層32、42、52を備えてなる。このため、無機光学異方性層32、42、52は、高い精度で面内の厚みむらを防止することが可能であり、高平滑な表面を有する無機光学異方性層を得ることが可能となる。このような高平滑な表面を有する無機光学異方性層32、42、52上に、重合性化合物で形成された光学異方性層33、43、53が積層されるので、該重合性化合物で形成された光学異方性層33、43、53の面内における配向欠陥を防止することが可能となる。このため、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償し、幅広い視野角において光漏れを防止する光学補償素子を実現でき、幅広い視野角が要求される大画面液晶モニタや液晶プロジェクタ等に前記光学補償素子を用いることにより高画質、高コントラストな液晶表示装置及び液晶プロジェクタが実現することが可能となる。
【0062】
(光学補償素子の製造方法)
前記光学補償素子の製造方法としては、透明支持体上に光学異方性層と、無機材料層とをこの順に積層する光学補償素子の製造方法であって、重合性化合物を重合し前記光学異方性層を形成する工程と、前記光学異方性層上に前記無機材料層を形成する工程と、前記無機材料層に隣接し、且つ前記透明支持体側に位置する有機材料層における、該無機材料層側の表面が、25℃における純水に対する濡れ接触角が50°以下になる様に表面処理を施す工程とを含んでなり、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
即ち、前記透明支持体の面上に直接、前記重合性化合物を重合し光学異方性層を得た後に、該光学異方性層表面に、25℃における純水に対する濡れ接触角が50°以下になる様に表面処理を施し、その後、該光学異方性層上に、無機材料層を得ることにより光学補償素子を製造してもよく、前記透明支持体の面上に、前記配向膜を介して前記重合性化合物を重合し光学異方性層を得た後に、該光学異方性層上に、中間層を得て、該中間層表面に、25℃における純水に対する濡れ接触角が50°以下になる様に表面処理を施し、その後、該中間層上に、無機材料層を得ることにより光学補償素子を製造してもよい。また、前記光学異方性層及び前記無機材料層を、前記透明支持体の一方の面上に得た後に、該透明支持体の他方の面上に前記光学異方性層及び前記無機材料層を得ることにより光学補償素子を製造してもよい。
【0063】
光学補償素子の製造方法の具体例としては、例えば、以下の製造方法が挙げられる。
まず、所定の大きさのガラス基板に、無機光学異方性層及び反射防止層をこの順に形成する。該無機光学異方性層及び該反射防止層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、該ガラス基板上に、TiO膜及びSiO膜を交互に蒸着して周期構造積層体を製膜する。該無機光学異方性層における各層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、それぞれ約15nmとするものが挙げられる。次いで、反射防止層の構成材料を蒸着して該反射防止層を製膜する。
次いで、前記支持体の他方の面上に、変性ポリビニルアルコール樹脂の溶液を塗工し、配向膜を製膜する。製膜された該配向膜の表面を一方向に布地でラビング処理して配向機能を付与する。
次いで、液晶分子を含む重合性化合物の溶液を前記配向膜上にバーコーター、スピンコータ、ダイコーター、などを用いて塗工する。次いで、該塗工層を加熱して溶媒を乾燥させた後に、液晶分子の配向を熟成させるために加熱温度を変化させた後、紫外線を照射して前記重合化合物を重合させて、液晶分子の配向を固定し、重合性化合物で形成された光学異方性層を得る。
なお、前記重合性化合物の溶媒の乾燥、液晶分子の配向時の加熱条件は同様であってもよい。
重合性化合物で形成された光学異方性層を前記ガラス基板の一方の面上に2層備えるものにあっては、更に、該重合性化合物で形成された光学異方性層上に、配向膜を前記配向膜と同様の作製方法により製膜し、次いで、該配向膜上に前記重合性化合物で形成された光学異方性層の作製方法と同様の方法により、2層目の重合性化合物で形成された光学異方性層を得る。この場合、1層目及び2層目の配向膜の配向方向は、90°異なるように配置されることが好ましい。
次いで、得られた重合性化合物で形成された光学異方性層の表面に、プラズマ処理をすることにより、該重合性化合物で形成された光学異方性層表面の、25℃における純水に対する接触角を50°以下に調整する。
なお、前記重合成化合物で形成された光学異方性層上に、中間層を形成する場合は、該中間層を製膜後に、該中間層の表面に前記表面処理を行う。該中間層は、該重合性化合物で形成された光学異方性層上に、重合性化合物を含む、中間層の材料溶液を、スピンコータなどを用いて塗工し、次いで、該塗工層を加熱して溶媒を乾燥させた後に、紫外線を照射して前記重合化合物を重合させて得ることができる。
最後に表面処理後の重合性化合物で形成された光学異方性層上に、所定の無機材料層形成材料の溶液を塗工して無機材料層を形成し、光学補償素子を作製することができる。
【0064】
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、少なくとも一対の電極及び該一対の電極間に封入される液晶構造を有する液晶素子と、該液晶素子の両面及び片面のいずれかに配置される光学補償素子と、前記液晶素子及び光学補償素子に対向配置される偏光素子とを備え、更に、必要に応じてその他の構成を備えてなり、前記光学補償素子が前記本発明の光学補償素子を用いてなる。
前記液晶素子の表示モードとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、などが挙げられるが、この中でも、高コントラスト比であることなどから、TNモードが好適に挙げられる。
【0065】
図10〜13は、本発明の液晶表示装置の概略構成図である。
これらの図において理解を促すため、各図に示す液晶表示装置の概略構成においては、図面の下側から光源からの光が入射され、図面の上側に進んで出射される形態を示し、偏向板や第2光学異方性層の2つ構成要素を含むものについては、図面の上下方向になぞらえて、以下、図面の上方向を「上側」、図面の下方向を「下側」と表記する。
図10に示すように、液晶表示装置100は、吸収軸102及び115が概略直交しクロスニコルで対向配置される一対の上側偏光素子101(検光子)及び下側偏光素子116(偏光子)と、上・下側偏光素子101、116の間に配置される光学補償素子108と、液晶素子114(液晶セル)とを備えてなる。
なお、上・下側偏光素子101、116に代えて、グラン−トムソンプリズムなどの偏光ビームスプリッタを偏光素子として、液晶素子114に対向配置して用いることも可能である。
【0066】
液晶素子114は、ガラス基板よりなる上側基板109と下側基板113とが対向配置され、これらの上側基板109及び下側基板113の間には、例えば、ネマチック液晶111が封入されている。上側基板109及び下側基板113の対向面には、不図示の画素電極、回路素子(薄膜トランジスタ)等が形成されている。上側基板109及び下側基板113のネマチック液晶111が接する対向面には不図示の上・下側配向膜が形成されている。該配向膜のネマチック液晶111が接する面上は、液晶分子の配列方向を揃えるために、ラビング処理が施されている。該ラビング処理を施すことにより刻まれる溝の方向(ラビング方向)としては、例えば、TNモードの液晶表示装置の場合では、上・下側配向膜におけるラビング方向110及び112が概略直交している。
図11は、液晶素子114に電圧が印加されていない通常状態時の液晶分子の配列状態を表している。上側基板109及び下側基板113側のネマチック液晶111は、前記不図示の配向膜に施されたラビング処理の作用によりラビング方向110及び112と略同一の方向に配列されている。そして、ラビング方向110及び112はお互いに直交しているので、ネマチック液晶111の分子は、上側基板109から下側基板113に向かうに従い、液晶分子の長軸が90°ねじれた状態となるように配列される。
【0067】
前記偏光素子としては、該偏光素子を平行ニコル配置したときの光の透過率を100%とした場合に、該偏光素子をクロスニコル配置したときの光の透過率が0.001%以下が好ましい。
上側偏光素子101(検光子)及び下側偏光素子116(偏光子)は、少なくとも偏光膜を有してなり、更に、必要に応じてその他の構成を有してなる。
前記偏光膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体部分ケン化物等の親水性ポリマーなどからなるフィルムに、ヨウ素、アゾ系、アントラキノン系、テトラジン系等の二色性染料などの二色性物質を吸着させて、延伸配向処理したものなどが挙げられる。
前記伸延配向処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記偏光膜の吸収軸が長手方向に対して実質的に直交する、幅方向一軸延伸型テンター延伸機が好適に挙げられる。このような幅方向一軸延伸型テンター延伸機は、貼り合せ時に異物が入りにくいというという利点を有する。
前記伸延配向処理としては、特開2002−131548号公報に記載の延伸方法を用いることも可能である。
前記その他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記偏光膜の片面又は両面に有する透明保護層、反射防止層、防眩処理層、などが挙げられる。
上・下側偏光素子101、116の構造としては、前記偏光膜の少なくとも一方の面に前記透明保護層を有した偏光板、光学補償素子114を支持体として該光学補償素子の一方の面に一体的に前記偏光膜を有するものなどが好適に挙げられる。
前記透明保護層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、などが挙げられる。
前記透明保護層としては、具体的には、セルローストリアセテート、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)、などのポリオレフィン類が好適に挙げられる。
また、特開平8−110402号公報、特開平11−293116号公報に記載されている非複屈折性光学樹脂材料も用いることが可能である。
前記透明保護層の配向軸(遅相軸)方向としては、特に制限はないが、作業操作上の簡便性から、前記透明保護層の配向軸が長手方向に平行であることが好ましい。また、透明保護層の遅相軸(配向軸)と偏光膜の吸収軸(延伸軸)の角度も特に限定的でなく、偏光板の目的に応じて適宜設定できる。なお、前記幅方向一軸延伸型テンター延伸機を用いて前記偏光膜を作製した場合には、前記透明保護層の遅相軸(配向軸)と前記偏光膜の吸収軸(延伸軸)方向とは実質的に直交することになる。
前記透明保護層のレターデーションとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、測定波長632.8nmにおいて10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。
なお、前記セルロースアセテートを用いる場合には、環境の温湿度によるレターデーション変化を小さくおさえる目的から、レターデーションが3nm未満が好ましく、2nm以下がより好ましい。
前記偏光板の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール形態で供給される長尺の偏光膜に対して、長手方向が一致するようにして
連続して貼り合わされることが好ましい。
また、前記偏光膜、前記偏光板は、光学軸のズレ防止、ゴミなどの異物侵入防止などの点から前記光学補償素子に固着処理されていることが好ましい。
反射防止層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素系ポリマーのコート層、多層金属蒸着層等の光干渉性の層、などが挙げられる。
上・下側偏光素子101、116の光学的性質、耐久性(短期、長期での保存性)としては、市販のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618等)と同等かそれ以上の性能を有することが好ましい。
【0068】
光学補償素子108は、前記本発明の光学補償素子を用いてなる。
前記光学補償素子としては、液晶表示装置100に組み込んだ状態における液晶表示装置100の白表示透過率をVw、黒表示透過率をVbとしたときに、該液晶表示装置100の正面における前記白表示透過率Vwと黒表示透過率Vbとの比、即ち、コントラスト比Vw:Vbが100:1以上が好ましく、200:1以上がより好ましく、300:1以上が特に好ましい。
また、液晶表示装置100の表示面における法線方向から60°傾斜した全方位角方向において、黒表示透過率の最大値がVwに対して10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。このような光学補償素子を用いることにより、高コントラストで階調反転の生じない広い視野角の液晶表示装置を実現できる。
また、残留捩れ成分が大きい液晶素子を正確に補償するためには、クロスニコルに配置した一対の偏光素子の間に前記光学補償素子を配置し、該光学補償素子の法線方向を回転軸として該光学補償素子を回転させたときに前記液晶表示装置が消光する方位がなく、全方位にあたり、光の透過率が0.01%以上が好ましい。
光学補償素子108は、上側偏光素子101と液晶素子114との間に配置され、無機光学異方性層107、上側重合性化合物で形成された光学異方性層103、下側重合性化合物で形成された光学異方性層105を含んでなる。
光学補償素子108を構成する各光学異方性層はそれぞれ、上側重合性化合物で形成された光学異方性層103における配向膜のラビング方向104と、液晶素子114の上側基板109における上側配向膜のラビング方向110との成す角が180°となるように配置され、下側重合性化合物で形成された光学異方性層105における配向膜のラビング方向106と、液晶素子114の下側基板132における下側配向膜のラビング方向112との成す角が、180°となるように配置される。
なお、重合性化合物で形成された光学異方性層と、液晶素子の基板における配向膜のラビング方向との関係は置換しても良く、下側重合性化合物で形成された光学異方性層105における配向膜のラビング方向106と、液晶素子114の上側基板109における上側配向膜のラビング方向110との成す角が180°となるように配置され、上側重合性化合物で形成された光学異方性層103における配向膜のラビング方向104と、液晶素子114の下側基板113における下側配向膜のラビング方向112との成す角が180°となるように配置されてもよい。
また、無機光学異方性層107は液晶素子114側となるように備えられることが好ましい。
【0069】
図12は、TNモードの液晶表示装置において、黒表示状態、即ち、液晶素子114に電圧が印加された状態の液晶分子の配列状態を表している。液晶素子114に電圧が印加されると、液晶分子が立ち上がった状態、即ち、液晶分子の長軸が光の入射面に対して垂直となるように液晶分子の配列状態が変化する。ここで理想的には、電圧を印加した時の液晶素子114内の全ての液晶分子が、光の入射面に対して平行となることが望ましいが、実際には、図12に示すように、液晶素子114内の液晶分子は、上側基板109及び下側基板113から液晶素子114の中心領域に向かうに従い、徐々に液晶分子の長軸が立ち上がった状態となる。従って、上側基板109及び下側基板113側界面近傍の液晶分子は電圧印加時においても、その液晶分子の長軸が光りの入射面に対して平行ではなく、傾斜した配列状態となっている。このように、光の入射面に対して傾斜した液晶分子が存在することが、視野角によっては、黒表示状態とならずに光漏れを起こす原因となる。
更に、TNモードの液晶表示装置に用いられるネマチック液晶は、一般に棒状液晶であり、光学的に正の一軸性を示す。このため、液晶素子114の中心領域に存在し、完全に立ち上がった状態の液晶分子によっても、斜め方向から液晶表示装置100を見た場合には、複屈折が発現され、視野角によっては、黒表示状態とならずに光漏れを起こす原因となる。
従って、黒表示状態における上側基板109及び下側基板113側界面近傍の液晶素子114内の液晶の配向状態に対しては、重合性化合物で形成された光学異方性層103及び105に含まれる液晶分子の配向状態を鏡面対称として、上側基板109及び下側基板113側界面領域における前記複屈折の発現を光学的に補償するとともに、液晶素子114の中心領域における液晶による複屈折に対しては、一軸性の傾斜していない負の屈折率楕円体の光学特性を有する無機光学異方性層107により光学的に補償して配置されることにより、全体として黒表示状態の液晶表示素子114を三次元的に光学補償して、幅広い視野角において光漏れを防止することが可能となる。
また、光学補償素子108は、図12に示すように液晶素子114の下面に備えることもでき、更には図13に示すように液晶素子114の上下面に108a、108bとして備えることも可能である。なお、液晶素子の上下面に配置する場合、無機光学異方性層107a又は107bのいずれかを省略することも可能であり、それぞれに無機光学異方性層を設ける場合は107a、107bの合計のレターデーション値で調整される。
また、光学補償素子108としては、該光学補償素子108に備えられる不図示の前記支持体が液晶素子114の上側基板109と下側基板113であることも可能である。この場合には、図13に示す無機光学異方性層107a又は107bが上側基板109と下側基板113に直接形成される。
【0070】
(液晶プロジェクタ)
本発明の液晶プロジェクタは、光源からの照明光を液晶表示装置に照射し、液晶表示装置によって光変調された光を、投影光学系によりスクリーン上に結像させて画像を表示する液晶プロジェクタにおいて、前記液晶表示装置が前記本発明の液晶表示装置を用いてなる。
前記液晶プロジェクタとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スクリーン投影型のフロントプロジェクタ、リアプロジェクションテレビなどが挙げられる。また、前記液晶プロジェクタに用いられる液晶表示装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置などが好適に挙げられる。
【0071】
図14はリア方式の液晶プロジェクタの一例を示す外観図である。
図14に示すように液晶プロジェクタ200は、筐体202の前面に拡散透過型のスクリーン203が設けられ、その背面に投影された画像がスクリーン203の前面側から観察される。筐体202の内部には投影ユニット300が組み込まれ、投影ユニット300によって投影される投影画像が、ミラー206、207で反射されスクリーン203の背面に結像される。液晶プロジェクタ200は、筐体202の内部には、図示しないチューナー回路、ビデオ信号及び音声信号再生用の周知の回路ユニットなどが配置されている。
投影ユニット300には、画像表示手段として図示しない液晶表示装置が組み込まれている。該液晶表示装置がビデオ信号の再生画像を表示することによって、画像をスクリーン203上に表示することができる。
【0072】
図15は投影ユニット300の一例を示す構成図である。
図15に示すように、投影ユニット300は、透過型の三枚の液晶素子311R,311G,311Bを備え、フルカラーで画像投影を行うことが可能である。
光源312から出射された光は、紫外線及び赤外線をカットするフィルタ313を透過することにより赤色光、緑色光、青色光を含む白色光となり、光源312から液晶素子311R、G、Bに至る照明光軸にしたがってガラスロッド314に入射する。ガラスロッド314の光入射面は、光源312に用いられている放物面鏡の焦点位置近傍に位置し、光源312からの光は効率的にガラスロッド314に入射する。
【0073】
ガラスロッド314の出射面には、リレーレンズ315が配設され、ガラスロッド314から出射される白色光は、リレーレンズ315及び後段のコリメートレンズ316により平行光となって、ミラー317に入射する。
ミラー317で反射された白色光は、赤色光だけを透過するダイクロイックミラー318Rで2光束に分けられ、透過した赤色光はミラー319で反射して液晶素子311Rを背面から照明する。
また、ダイクロイックミラー318Rで反射された緑色光と青色光は、緑色光だけを反射するダイクロイックミラー318Gで更に2光束に分割される。ダイクロイックミラー318Gで反射された緑色光は、液晶素子311Gを背面側から照明する。ダイクロイックミラー318Gを透過した青色光は、ミラー318B,320で反射され、液晶素子311Bを背面から照明する。
【0074】
各々の液晶素子311R、311G、311Bは、それぞれTNモードの液晶素子で構成され、個々の該液晶素子には、フルカラー画像を構成する赤色画像、緑色画像、青色画像の濃度パターンの画像が表示される。これらの液晶素子311R、311G、311Bから光学的に等距離となる位置に中心がくるように、合成プリズム324が配置され、該合成プリズム324の出射面に対面して投影レンズ325が設けられている。合成プリズム324は、内部に2面のダイクロイック面324a、324bを備え、液晶素子311Rを透過してきた赤色光、液晶素子311Gを透過してきた緑色光、液晶素子311Bを透過してきた青色光を合成して投影レンズ325に入射させる。
【0075】
各液晶素子311R、311G、311Bの出射面の中心から、合成プリズム324及び投影レンズ325の中心を通り、スクリーン3の中心に至る投影光軸上には、投影レンズ325が設けられている。投影レンズ325は、物体側焦点面が液晶素子311R、311G、311Bの出射面に一致し、像面側焦点面がスクリーン3に一致するように配置される。このため合成プリズム324で合成されたフルカラー画像は、スクリーン303に結像される。
【0076】
液晶素子311R、311G、311Bの照明光の入射面側には、それぞれ偏光板326R、326G、326Bが設けられている。また、前記各液晶素子の出射面側には、光学補償素子327R、327G、327Bと、偏光板328R、328G、328Bとが設けられている。入射面側の偏光板326R、326G、326Bと出射面側の偏光板328R、328G、328Bとはクロスニコルの配置となっており、入射面側の偏光板は偏光子、出射面側の偏光板は検光子として作用する。
前記本発明の液晶表示装置は、液晶素子311R、311G、311B、偏光板326R、326G、326B、328R、328G、328B、及び光学補償素子327R、327G、327Bを備えてなる。
尚、それぞれの色チャンネルごとに設けられた液晶素子、その両側にそれぞれ設けられた偏光板及び光学補償素子の作用は、それぞれの色光に基づく相違はあるものの、基本的な作用は実質的に共通であるので、以下、赤色チャンネルにより作用を説明する。
【0077】
ミラー319で反射された赤色照明光は、入射面側の偏光板326Rで直線偏光となって液晶素子311Rに入射する。ノーマリーホワイトモードの場合、液晶素子311Rに用いられているTNモードの液晶は、赤色画像の黒を表示するために画素に信号電圧が印加される。このとき、液晶層に含まれる液晶分子は様々な配向姿勢をとるようになり、赤色照明光が平行光束となって液晶素子311Rに入射しても、液晶層が呈する旋光性と複屈折性により、液晶素子311Rの出射面から出射する光は完全な直線偏光とはならず、一般に楕円偏光の画像光が出射するようになり、検光子側の偏光板328Rから光漏れを生じて、充分な黒が得られない。また、ノーマリーブラックモードの場合でも、液晶分子のわずかな傾きによって黒レベルが充分に黒くはならない。
【0078】
また、黒表示させたい状態において、液晶素子中の液晶分子を斜めに通過する光が含まれている場合には、液晶層によって変調された画像光は、直線偏光とはわずかに光学的な位相が相違した楕円偏光となって、検光子側の偏光板328Rから光漏れを生じて、充分な黒が得られない。
本発明の液晶プロジェクタは、前記本発明の光学補償素子を備えた前記本発明の液晶表示装置を用いてなる。そして光学補償素子327Rが黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償して、幅広い視野角において光漏れを防止することが可能となる。
このため、前記本発明の液晶プロジェクタは、高視野角、高コントラスト、高画質を得ることが可能となる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(光学補償素子の作製)
実施例1は、図1に示す、第1の構造に係る光学補償素子10の実施例であり、支持体11の一方の面上に、無機光学異方性層12、反射防止層15Aがこの順に積層され、支持体11の他方の面上に配向膜14A、重合性化合物で形成された光学異方性層13A、配向膜14B、重合性化合物で形成された光学異方性層13B、保護層16、反射防止層15Bがこの順に積層されたものである。
【0080】
−無機光学異方性層の作製−
支持体11として、ガラス基板を用い、該ガラス基板上に減圧下でスパッタ装置を用いてSiOとTiOを交互に蒸着して、各層をそれぞれ26層ずつ、合計52層の周期構造積層体からなる無機光学異方性層12を作製した。作製された無機光学異方性層の全体の厚みは、760nm、Rth=200nmであった。
【0081】
−反射防止層の作製−
得られた無機光学異方性層12の表面上に減圧下でスパッタ装置を用いてSiOとTiOを交互に蒸着して、反射防止層15Aを作製した。作製された該反射防止層15Aの厚みは0.24μmであった。
【0082】
−配向膜の作製−
下記構造式(3)の変性ポリビニルアルコール20g、水(溶剤)360g、メタノール120g、グルタルアルデヒド(架橋剤)1.0gからなる配向膜塗布液を調製した。
【0083】
【化18】


【0084】
次に、無機光学異方性層12とは反対側の前記ガラス基板の面上に配向膜塗布液100ml/mを滴下し、1,000rpmの条件でスピンコートする。その後、該配向膜塗布液を100℃の温風で3分間乾燥して、厚み600nmの配向膜を作製した。次いで、形成された前記配向膜の表面上にラビング処理を施して、所定の配向方向に配向する配向膜14Aを作製した。
【0085】
−重合性液晶化合物の調製−
下記構造式(4)の円盤状液晶化合物4.27g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.42g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.09g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.02g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.14g、増感剤(カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製)0.05gを溶剤としてのメチルエチルケトン15.0gに溶解し、重合性液晶化合物の塗布液を調製した。
【0086】
【化19】


【0087】
重合性液晶化合物塗布液100ml/mを配向膜14Aの表面上に滴下し、1,500rpmの条件でスピンコートする。その後、130℃の恒温ゾーンで5分間加熱し、前記重合性液晶化合物を配向させた。その後、高圧水銀灯を用いて照射エネルギー300mJ/cmでUV照射して、前記重合性液晶化合物を重合させ、液晶分子の配向状態を固定した。その後、室温まで放冷し、重合性化合物で形成された光学異方性層13Aを作製した。作製された該重合性化合物で形成された光学異方性層13Aの厚みは1.3μmであった。
作製された重合性化合物で形成された光学異方性層13Aにおいて、前記円盤状液晶化合物は、円盤面の垂直軸法線と前記ガラス基板の法線とのなす角度(配向角)が、10°から62°に前記ガラス基板側から空気界面側に向かって増加し、前記円盤状液晶化合物がハイブリッド配向していた。前記円盤状液晶化合物の配向角は、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、観察角度を変えてレターデーションを測定し、得られた測定値から屈折率楕円体モデルを仮想し、「Design Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST」に記載されている手法により算出した。
重合性化合物で形成された光学異方性層13Aの表面上に、更に、配向膜14Bをその配向方向が配向膜14Aと概略直交するように積層した。そして、該配向膜14Bの表面上に重合性化合物で形成された光学異方性層13Bを重合性化合物で形成された光学異方性層13Aと同様の方法により形成した。
なお、配向膜14B及び重合性化合物で形成された光学異方性層13Bの材料、配合量、厚み等は配向膜14A及び重合性化合物で形成された光学異方性層13Aと同様とした。
得られた該重合性化合物で形成された光学異方性層13Bにおいて、円盤状液晶化合物は、円盤面と前記ガラス基板とのなす角度(配向角)が、7°から60°に前記ガラス基板側から空気界面側に向かって増加し、該円盤状液晶化合物がハイブリッド配向していた。また、得られた重合性化合物で形成された光学異方性層13Bはシュリーレンなどの欠陥がない均一な層であった。
【0088】
−表面処理−
得られた重合性化合物で形成された光学異方性層13Bの表面をプラズマ処理することにより、25℃における純水に対する接触角を43°に調整した。接触角は図16に示す液滴法によりプラズマ処理後5分後に測定した。すなわち、光学鏡内の角度盤、可動十字を使い、基板上16A上の純水液滴16Bの頂点16Cを作図的に求めθ/2を直読し、その角度を2倍して液滴の接線16Dとなす接触角θを求めた。
【0089】
−保護層の作製−
得られた表面処理後の重合性化合物で形成された光学異方性層13Bの表面上に、アルミナを蒸着して、保護層16を作製した。表面処理後からアルミナの蒸着開始までの時間は30分だった。作製された該保護層16の厚みは0.4μmであった。
【0090】
−反射防止層の作製−
得られた保護層16の表面上に減圧下でスパッタ装置を用いてSiOとTiOを交互に蒸着して、反射防止層15Bを作製した。作製された該反射防止層16の厚みは0.24μmであった。
【0091】
(液晶表示装置の作製)
作製された前記光学補償素子を白表示1.5V、黒表示3VのノーマリーホワイトモードのTNモード液晶素子に重ね合わせて、実施例1の液晶表示装置を得た。
【0092】
(実施例2)
実施例2は、図2に示す、第2の構造に係わる光学補償素子20の実施例であり、実施例1の重合性化合物で形成された光学異方性層23Bに対して、透明支持体の反対側に中間層27を設けた以外は前記実施例1と同様の方法により実施例2の液晶表示装置を得た。
【0093】
−中間層の作製−
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.42g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.14g、増感剤(カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製)0.05gを溶剤としてのメチルエチルケトン15.0gに溶解し、重合性化合物の塗布液を調製した。
【0094】
重合性化合物塗布液100ml/mを配向膜04Aの表面上に滴下し、2,500rpmの条件でスピンコートする。その後、130℃の恒温ゾーンで3分間加熱し、溶融させた。その後、高圧水銀灯を用いて照射エネルギー300mJ/cmでUV照射して、前記重合性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷し、中間層27を作製した。作製された該中間層27の厚みは0.3μmであった。
【0095】
−表面処理−
得られた中間層27の表面をプラズマ処理することにより、25℃における純水に対する接触角を45°に調整した。
【0096】
(実施例3)
実施例1の重合性化合物で形成された光学異方性層13Bのプラズマ処理後の25℃における純水に対する接触角を43°から28°に変更した以外は前記実施例1と同様の方法により実施例3の液晶表示装置を得た。
【0097】
(実施例4)
実施例2の中間層27のプラズマ処理後の25℃における純水に対する接触角を45°から25°に変更した以外は前記実施例2と同様の方法により実施例4の液晶表示装置を得た。
【0098】
(比較例1)
実施例1の重合性化合物で形成された光学異方性層13Bのプラズマ処理を施さなかったこと以外は前記実施例1と同様の方法により比較例1の液晶表示装置を得た。
【0099】
(比較例2)
実施例1の重合性化合物で形成された光学異方性層13Bのプラズマ処理後の25℃における純水に対する接触角を43°から60°に変更した以外は前記実施例1と同様の方法により比較例2の液晶表示装置を得た。
【0100】
(比較例3)
実施例2の重合性化合物で形成された光学異方性層23Bのプラズマ処理後の25℃における純水に対する接触角を45°から60°に変更した以外は前記実施例2と同様の方法により比較例3の液晶表示装置を得た。
【0101】
<液晶表示装置のコントラストの評価>
実施例1〜4及び比較例1〜3の液晶表示装置について、コノスコープ(Autronic−Melcher社製)を用いて、表示面の正面から仰角20°、方位角45°の場所におけるコントラストを測定した。ここで、前記コントラストは、白表示照度、黒表示照度及びそれらの比から算出されるコントラスト(白表示照度/黒表示照度)を測定した。
【0102】
(実施例5〜8及び比較例4〜6)
(液晶プロジェクタの作製)
RGBの各色にそれぞれ各一枚の3枚の実施例1〜4及び比較例1〜3の液晶表示装置をそれぞれ市販のTN型液晶プロジェクタに装着して、実施例5〜8及び比較例4〜6の液晶プロジェクタを作製した。
【0103】
<液晶プロジェクタのコントラストの評価>
得られた該液晶プロジェクタについて、投射レンズから3mの距離に設置したスクリーン上での白表示照度、黒表示照度及びそれらの比から算出されるコントラスト(白表示照度/黒表示照度)を測定した。
【0104】
<付着性の評価>
実施例1〜4及び比較例1〜3で作製された光学補償素子について、ガラス基板に対し重合性化合物で形成された光学異方性層側の付着性の評価をJIS K 5600−5−6に則り行った。試験結果の6段階の分類(0〜5)も前記JISに則り表記した。数字が小さいほど付着性が良好であることを意味する。
【0105】
<使用経時(強制試験)の評価>
前記液晶表示装置(実施例1〜4及び比較例1〜3)及び液晶プロジェクタ(実施例5〜8及び比較例4〜6)について、白色光2億lux相当の光源度用いて240時間の各加速条件で使用経時(強制試験)を行い、前記コントラストの評価を行った。また、目視にて表面状態を観察した。その結果を表1及び表2に示す。
【0106】
【表1】


表1の結果から、比較例1、2及び3の液晶表示装置と比較して実施例1〜4の液晶表示装置は、保護層形成前の有機材料層表面の、25℃における純水に対する接触角を50°以下にすることにより、無機材料層の付着性が著しく向上し、強制試験後もコントラストが劣化していないことが判る。また、保護層形成前の有機材料層表面の純水に対する接触角が小さいほどコントラストの劣化が小さいことが判る。
また、実施例3及び4の比較より、中間層を設け、該中間層に表面処理することにより重合性化合物で形成された光学異方性層の配向状態の破壊が生じないため、強制試験開始時のコントラストを低下させることなく十分な付着性を付与し高コントラストかつ強制試験後のコントラストの劣化が小さい液晶表示装置が得られることが判る。
【0107】
【表2】


表2の結果から、実施例1〜4の液晶表示装置を用いて作製した実施例5〜8の液晶プロジェクタにおいても、表1と同様に、比較例1〜3の液晶表示装置を用いて作製した比較例4〜6の液晶プロジェクタと比較して、いずれもコントラストが劣化していないことが判る。であることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の光学補償素子、液晶表示装置は、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビ、液晶プロジェクタなどに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、第1の構造の光学補償素子の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、第2の構造の光学補償素子の一例を示す断面図である。
【図3】図3は、第3の構造の光学補償素子の一例を示す断面図である。
【図4】図4は、第4の構造の光学補償素子の一例を示す断面図である。
【図5】図5は、第5の構造の光学補償素子の一例を示す断面図である。
【図6】図6は、第6の構造の光学補償素子の一例を示す断面図である。
【図7】図7は、第7の構造の光学補償素子の一例を示す断面図である。
【図8】図8は、第8の構造の光学補償素子の一例を示す断面図である。
【図9】図9は、第9の構造の光学補償素子の一例を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【図11】図11は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【図13】図13は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【図14】図14は、リア方式の液晶プロジェクタの一例を示す外観図である。
【図15】図15は、投影ユニットの一例を示す構成図である。
【図16】図16は、接触角測定方法の概略図である。
【符号の説明】
【0110】
10、20、30、40、50、60、70、80、90・・・・・光学補償素子
11、21、31,41、51、61、71、81、91・・・・・支持体
12、22、32、42、52、62、72、82、92・・・・・無機光学異方性層
13、23、33、43、53、63、73、83、93・・・・・重合性化合物で形成された光学異方性層
14、24、34、44、54、64、74、84、94・・・・・配向膜
15、25、35、45、55、65、75、85、95・・・・・反射防止層
16、26、36、46、56、66、76、86、96・・・・・保護層
27、37、47、57、67、77、87・・・・・・・・・・・中間層
16A・・・・・・・・・・・・・・・基板
16B・・・・・・・・・・・・・・・液滴
16C・・・・・・・・・・・・・・・液滴の頂点
16D・・・・・・・・・・・・・・・液滴の接線
100・・・・・・・・・・・・・・・液晶表示装置
101・・・・・・・・・・・・・・・上側偏光板
102・・・・・・・・・・・・・・・上側偏光板吸収軸
103・・・・・・・・・・・・・・・上側重合性化合物で形成された光学異方性層
104・・・・・・・・・・・・・・・上側重合性化合物で形成された光学異方性層作製時のラビング方向
105・・・・・・・・・・・・・・・下側重合性化合物で形成された光学異方性層
106・・・・・・・・・・・・・・・下側重合性化合物で形成された光学異方性層作製時のラビング方向
107・・・・・・・・・・・・・・・無機光学異方性層
108・・・・・・・・・・・・・・・光学補償素子
109・・・・・・・・・・・・・・・液晶セル上側基板
110・・・・・・・・・・・・・・・上側基板液晶配向用ラビング方向
111・・・・・・・・・・・・・・・液晶分子(液晶層)
112・・・・・・・・・・・・・・・下側基板液晶配向用ラビング方向
113・・・・・・・・・・・・・・・液晶セル下側基板
114・・・・・・・・・・・・・・・液晶素子
115・・・・・・・・・・・・・・・下側偏光板の吸収軸
116・・・・・・・・・・・・・・・下側偏光板
200・・・・・・・・・・・・・・・液晶プロジェクタ
202・・・・・・・・・・・・・・・筐体
203・・・・・・・・・・・・・・・スクリーン
206、207・・・・・・・・・・・ミラー
300・・・・・・・・・・・・・・・投射ユニット
303・・・・・・・・・・・・・・・スクリーン
311・・・・・・・・・・・・・・・液晶素子
312・・・・・・・・・・・・・・・光源
313・・・・・・・・・・・・・・・フィルタ
314・・・・・・・・・・・・・・・ガラスロッド
315・・・・・・・・・・・・・・・リレーレンズ
316・・・・・・・・・・・・・・・コリメートレンズ
317、319、320・・・・・・・ミラー
318・・・・・・・・・・・・・・・ダイクロイックミラー
324・・・・・・・・・・・・・・・合成プリズム
324a,b・・・・・・・・・・・・ダイクロック面
325・・・・・・・・・・・・・・・投影レンズ
326、328・・・・・・・・・・・偏光板
327・・・・・・・・・・・・・・・光学補償素子




 

 


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