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発明の名称 組成物、位相差板および液晶表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−65078(P2007−65078A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−248129(P2005−248129)
出願日 平成17年8月29日(2005.8.29)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 吉川 将
要約 課題
配向欠陥に起因する欠陥等のないまたは軽減された光学異方性層を安定的に作製するのに有用な組成物等を提供する。

解決手段
液晶性化合物と、一般式(A)で表される化合物を含有する。一般式(A)
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも一種の液晶性化合物と、少なくとも一種の下記一般式(A)で表される化合物を含有する組成物。
一般式(A)
【化1】


(一般式(A)中、R1Aは、ヘテロ原子を含む置換基を表し、R2Aは、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基またはヘテロ原子を含む置換基を表し、R3AおよびR4Aは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、−OR31A、−NR32A33Aまたは−C(=X)R34Aを表し、R31A、R32AおよびR33Aは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、R34Aは水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基または−NR35A36Aを表し、Xは酸素原子、硫黄原子またはNR37Aを表し、R35A、R36AおよびR37Aは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(A)において、R1Aが−OR11A、−NR12A13Aまたは−SR14Aを表し、R11A、R12A、R13AおよびR14Aが、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基または置換もしくは無置換のアリール基を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記一般式(A)において、R2Aが水素原子である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記液晶性化合物が、下記一般式(DI)で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
一般式(DI)
【化2】


(一般式(DI)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。L1、L2およびL3は、それぞれ、単結合または二価の連結基を表す。H1、H2、H3は、それぞれ、下記一般式(DI−A)または下記一般式(DI−B)を表す。R1、R2およびR3は、それぞれ、下記一般式(DI−R)を表す。
一般式(DI−A)
【化3】


(一般式(DI−A)中、YA1およびYA2は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。XAは酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。*はL1〜L3と結合する位置を表し、**はR1〜R3と結合する位置を表す。)
一般式(DI−B)
【化4】


(一般式(DI−B)中、YA1およびYA2は、それぞれ、メチンまたは窒素原子 を表す。XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。*はL1 〜L3と結合する位置を表し、**はR1〜R3と結合する位置を表す。)
一般式(DI−R)
*−(−L11−F1n1−L12−L13−Q1
(一般式(DI−R)中、*はH1〜H3と結合する位置を表す。L11は単結合または二価の連結基を表す。F1は、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の環状連結基を表す。n1は0〜4整数を表す。L12は、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−、*−C≡C−を表し(*はL13と反対側に結合する位置を表す。)、L13は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、これらの基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。Q1は重合性基または水素原子を表す。))
【請求項5】
前記一般式(DI)で表される液晶性化合物が、下記一般式(DII)で表される液晶性化合物である、請求項4に記載の組成物。
一般式(DII)
【化5】


(一般式(DII)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。R21、R22およびR23は、それぞれ、下記一般式(DII−R)で表される。
一般式(DII−R)
【化6】


(一般式(DII−R)中、YA1およびYA2は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。XAは酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。F1は、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の環状連結基を表す。n2は、1〜3の整数を表す。L12は、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−または*−C≡C−を表し(*はL13と反対側に結合する位置を表す。)、L13は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、これらの基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。Q1は重合性基または水素原子を表す。))
【請求項6】
支持体上に、配向膜と、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物から形成されてなる光学異方性層とを有する位相差板。
【請求項7】
前記配向膜が、ポリビニルアルコール類を含む、請求項6に記載の位相差板。
【請求項8】
前記光学異方性層がハイブリッド配向したディスコティック液晶性化合物を含む、請求項6または7に記載の位相差板。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の位相差板と、偏光膜とを有する、楕円偏光板。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の位相差板を有する液晶表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は光学異方性層の形成に有用な組成物および該組成物を用いて作製された位相差板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、通常、液晶セルを挟んで第1の偏光板と第2の偏光板とが設けられ、液晶セルは一対の基板間に棒状液晶性化合物を含有する液晶層を有する。棒状液晶性化合物を用いた液晶セル内で生じる位相差を、ディスコティック液晶性化合物(例えば、2,3,6,7,10,11−ヘキサ{4−(4−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ}トリフェニレン等)から形成される光学異方性層を有する光学補償シート(例えば、特許文献1)によって相殺する場合、棒状液晶性化合物とディスコティック液晶性化合物との波長分散性が異なるために全ての光の波長について同時に位相差を相殺できず、変色(黒の色味が出ない等)が生じる場合がある。
【0003】
一方、ヘテロ環基による3置換ベンゼン化合物が報告されている(非特許文献1)。しかしながら、この化合物の使用によって低い波長分散性を達成することは容易でなく、より波長分散性の小さい(Re(短波長(例えば、450nm))/Re(長波長(例えば、650nm))の値が小さい)化合物が望まれている。
【0004】
位相差板のRe(λ)は、補償しようとする液晶セルの光学的性質に応じて決定する必要がある。ここで、レターデーション(△nd)は、光学異方性層の屈折率異方性(△n)と光学異方性層の厚さ(d)との積であり、光学異方性層の屈折率異方性(△n)が大きければ、層の厚さ(d)が薄くても液晶セルを補償できる。また、液晶を配向固定化して作製された位相差板においては、配向した液晶の配向角度(チルト角、平均チルト角)によってReが変化するため、その配向角度を制御する必要がある。
【0005】
しかしながら、ヘテロ環基による3置換ベンゼン型のディスコティック液晶性化合物の場合、配向角度を制御するのが困難であり、特に、低いチルト角でハイブリッド配向させる事が困難であったことから、ディスコティック液晶性化合物を所望の角度に低下する事ができる配向制御剤が望まれていた。
【0006】
また、液晶性組成物を配向膜上に塗布した際に、液晶性組成物の濡れ性が悪く、弾いてしまった後が欠陥として残ってしまう事が問題となることがあり、特に3置換ベンゼン型のディスコティック液晶性化合物の場合には多くみられる問題であり改善が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】特開平8−50206号公報
【非特許文献1】Molecular Crystals and Liquid Crystals,2001年,370巻,391頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、例えば、液晶表示装置の光学補償に寄与する光学異方性層を安定的に作製するのに有用な組成物(特に、液晶性組成物)を提供することを課題とする。さらに、ディスコティック液晶性化合物(例えば、ディスコティック液晶性分子)のハイブリッド配向によって発現された光学異方性を示す光学異方性層を、配向不良やハジキ等に起因する欠陥なく(または欠陥を軽減して)作製するのに有用な組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、液晶表示装置の光学補償に有用な位相差板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1)少なくとも一種の液晶性化合物と、少なくとも一種の下記一般式(A)で表される化合物を含有する組成物。
一般式(A)
【化1】


(一般式(A)中、R1Aは、ヘテロ原子を含む置換基を表し、R2Aは、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基またはヘテロ原子を含む置換基を表し、R3AおよびR4Aは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、−OR31A、−NR32A33Aまたは−C(=X)R34Aを表し、R31A、R32AおよびR33Aは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、R34Aは水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基または−NR35A36Aを表し、Xは酸素原子、硫黄原子またはNR37Aを表し、R35A、R36AおよびR37Aは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
(2)前記一般式(A)において、R1Aが−OR11A、−NR12A13Aまたは−SR14Aを表し、R11A、R12A、R13AおよびR14Aが、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基または置換もしくは無置換のアリール基を表す、(1)に記載の組成物。
(3)前記一般式(A)において、R2Aが水素原子である、(1)または(2)に記載の組成物。
(4)前記液晶性化合物が、下記一般式(DI)で表される、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の組成物。
一般式(DI)
【化2】


(一般式(DI)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。L1、L2およびL3は、それぞれ、単結合または二価の連結基を表す。H1、H2、H3は、それぞれ、下記一般式(DI−A)または下記一般式(DI−B)を表す。R1、R2およびR3は、それぞれ、下記一般式(DI−R)を表す。
一般式(DI−A)
【化3】


(一般式(DI−A)中、YA1およびYA2は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。XAは酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。*はL1〜L3と結合する位置を表し、**はR1〜R3と結合する位置を表す。)
一般式(DI−B)
【化4】


(一般式(DI−B)中、YA1およびYA2は、それぞれ、メチンまたは窒素原子 を表す。XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。*はL1 〜L3と結合する位置を表し、**はR1〜R3と結合する位置を表す。)
一般式(DI−R)
*−(−L11−F1n1−L12−L13−Q1
(一般式(DI−R)中、*はH1〜H3と結合する位置を表す。L11は単結合または二価の連結基を表す。F1は、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の環状連結基を表す。n1は0〜4整数を表す。L12は、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−、*−C≡C−を表し(*はL13と反対側に結合する位置を表す。)、L13は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、これらの基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。Q1は重合性基または水素原子を表す。))
(5)前記一般式(DI)で表される液晶性化合物が、下記一般式(DII)で表される液晶性化合物である、(4)に記載の組成物。
一般式(DII)
【化5】


(一般式(DII)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。R21、R22およびR23は、それぞれ、下記一般式(DII−R)で表される。
一般式(DII−R)
【化6】


(一般式(DII−R)中、YA1およびYA2は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。XAは酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。F1は、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の環状連結基を表す。n2は、1〜3の整数を表す。L12は、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−または*−C≡C−を表し(*はL13と反対側に結合する位置を表す。)、L13は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、これらの基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。Q1は重合性基または水素原子を表す。))
(6)支持体上に、配向膜と、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の組成物から形成されてなる光学異方性層とを有する位相差板。
(7)前記配向膜が、ポリビニルアルコール類を含む、(6)に記載の位相差板。
(8)前記光学異方性層がハイブリッド配向したディスコティック液晶性化合物を含む、(6)または7に記載の位相差板。
(9)(6)〜(8)のいずれか1項に記載の位相差板と、偏光膜とを有する、楕円偏光板。
(10)(6)〜(8)のいずれか1項に記載の位相差板を有する液晶表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液晶表示装置の光学補償に寄与する光学異方性層を安定的に作製するのに有用な組成物を提供することができる。本発明によれば、特に、ディスコティック液晶性化合物のハイブリッド配向によって発現された光学異方性を示す光学異方性層を、配向不良もしくはハジキ等に起因する欠陥なく(または軽減して)作製するのに有用な組成物を提供することができる。また、本発明によれば、液晶表示装置の光学補償に有用な位相差板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0012】
まず、本明細書における、Re(λ)、Rth(λ)、チルト角および平均チルト角の詳細について以下に記す。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRYA1ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRYA1ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRYA1ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
【0013】
また、本明細書において、光学異方性層中のディスコティック液晶性化合物の分子の平均チルト角とは、光学異方性層の一方の面(本発明の位相差板においては配向膜表面)と光学異方性中のディスコティック液晶性化合物の分子の物理的な対象軸とのなす角度をチルト角θ1、および、他方の面(本発明の位相差板においては空気界面)とのなす角度をチルト角θ2とし、その平均値((θ1+θ2)/2)として定義する。しかしながら、θ1および他方の面のチルト角θ2を、直接的にかつ正確に測定することは困難である。そこで本明細書においては、θ1およびθ2は、以下の手法で算出する。本手法は実際の配向状態を正確に表現していないが、光学フィルムのもつ一部の光学特性の相対関係を表す手段として有効である。
本手法では算出を容易にすべく、下記の2点を仮定し、光学異方性層の2つの界面におけるチルト角とする。
1.光学異方性層はディスコティック液晶性化合物や棒状液晶性化合物を含む層で構成された多層体と仮定する。さらに、それを構成する最小単位の層(ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物のチルト角は該層内において一様と仮定)は光学的に一軸と仮定する。
2.各層のチルト角は光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化すると仮定する。
具体的な算出法は下記のとおりである。
(1)各層のチルト角が光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化する面内で、光学異方性層への測定光の入射角を変化させ、3つ以上の測定角でレターデーション値を測定する。測定および計算を簡便にするためには、光学異方性層に対する法線方向を0°とし、−40°、0°、+40°の3つの測定角でレターデーション値を測定することが好ましい。このような測定は、KOBRYA1ADHおよびKOBRA−WR(王子計測器(株)製)、透過型のエリプソメーターAEP−100((株)島津製作所製)、M150およびM520(日本分光(株)製)、ABR10A(ユニオプト(株)製)で行うことができる。
(2)上記のモデルにおいて、各層の常光の屈折率をno、異常光の屈折率をne(neは各々すべての層において同じ値、noも同様とする)、および多層体全体の厚みをdとする。さらに各層におけるチルト方向とその層の一軸の光軸方向とは一致するとの仮定の元に、光学異方性層のレターデーション値の角度依存性の計算が測定値に一致するように、光学異方性層の一方の面におけるチルト角θ1および他方の面のチルト角θ2を変数としてフィッティングを行い、θ1およびθ2を算出する。
ここで、noおよびneは文献値、カタログ値等の既知の値を用いることができる。値が未知の場合はアッベ屈折計を用いて測定することもできる。光学異方性層の厚みは、光学干渉膜厚計、走査型電子顕微鏡の断面写真等により測定数することができる。
【0014】
本発明の位相差板は、以下に詳細を示す本発明の一般式(A)で表される化合物と液晶性化合物を含有する組成物からなる光学異方性層を有する。特に、本発明の組成物に含まれる液晶性化合物としてはディスコティック液晶性化合物が好ましく、ディスコティック液晶性化合物としては、以下に詳細を示す一般式(DI)で表される化合物がより好ましい。また、本発明の位相差板に用いられる組成物中には、上記化合物以外にも重合開始剤や配向制御剤等の添加剤が含有されていることが好ましい。さらに本発明の位相差板は、支持体上に設けられた配向膜上に光学異方性層が形成された形態が好ましい。
以下、本発明の位相差板に用いられる組成物に含有される一般式(A)で表される化合物、液晶性化合物、およびその他好適に用いられる添加剤ついて順次説明する。さらに、本発明の位相差板に好適に用いられる配向膜や支持体についても順次説明する。
【0015】
1.組成物
(1)一般式(A)で表される化合物
【0016】
一般式(A)
【化7】


(一般式(A)中、R1Aは、ヘテロ原子を含む置換基を表し、R2Aは、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基またはヘテロ原子を含む置換基を表し、R3AおよびR4Aは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、−OR31A、−NR32A33Aまたは−C(=X)R34Aを表し、R31A、R32AおよびR33Aは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、R34Aは水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基または−NR35A36Aを表し、Xは酸素原子、硫黄原子またはNR37Aを表し、R35A、R36AおよびR37Aは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
【0017】
一般式(A)中、R1Aは、好ましくは、−OR11A、−NR12A13A、または、−SR14Aを表し、より好ましくは、−OR11Aまたは−NR12A13Aを表し、さらに好ましくは、−OR11Aを表す。
11A、R12A、R13AおよびR14Aは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、または、置換もしくは無置換のアリール基を表す。
11A、R12A、R13AおよびR14Aで表される脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基など)、炭素数3〜30のアラルキル基(例えば、アリル基、ベンジル基など)等が挙げられる。
11A、R12A、R13AおよびR14Aで表されるアリール基としては、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基(例えば、無置換フェニル基、トリル基、ナフチル基等)等が挙げられる。
11A、R12A、R13AおよびR14Aは、好ましくは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0018】
一般式(A)中、R2Aで表される脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基など)、炭素数3〜30のアラルキル基(例えば、アリル基、ベンジル基など)等が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基(例えば、無置換フェニル基、トリル基、ナフチル基等)等が挙げられる。R2Aで表されるヘテロ原子を含む置換基は、R1Aと同義の置換基であり、好ましい範囲も同義である。
2Aは、好ましくは、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基であり、より好ましくは水素原子である。
【0019】
一般式(A)中、R3AおよびR4Aで表される脂肪族炭化水素基としては、それぞれ、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基など)、炭素数3〜30のアラルキル基(例えば、アリル基、ベンジル基など)等が挙げられる。
3AおよびR4Aで表されるアリール基としては、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基(例えば、無置換フェニル基、トリル基、ナフチル基等)等が挙げられる。
3AおよびR4Aで表されるヘテロ環基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環基(例えば、ピリジン環基、イミダゾ−ル環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、トリアジン環基、モルフォリン環基など)が挙げられる。
31A、R32A、R33A35A、R36AおよびR37Aで表される置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、および、置換もしくは無置換のアリール基は、前記R11A、R12A、R13AおよびR14Aと同義であり、好ましい範囲も同義である。
【0020】
また、R3AとR4Aが連結して環を形成していてもよい。この場合、ヘテロ環基であることが好ましく、少なくとも1つの窒素原子を含むヘテロ環であることがより好ましい。ヘテロ環基としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピロール環、モルフォリン環、ピペリジン環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアゾリジン環、もしくは、イミダゾリジン環(例えば、2−オキサイミダゾリジン)等が挙げられ、好ましくは、イミダゾリジン環である。
【0021】
3Aは、好ましくは、水素原子、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、ヒドロキシメチル基、または、メトキシメチル基である。
4Aは、好ましくは、炭素数6〜15のアリール基、ヘテロ環基、または、−C(=X)R34Aであり、より好ましくは、ヘテロ環基、または、−C(=O)NR35A36Aであり、最も好ましくは、ヘテロ環基(例えば、トリアジン環等)である。
【0022】
本発明の一般式(A)で表される化合物として好ましくは、下記一般式(A1)、一般式(A2)、または、一般式(A3)である。
【0023】
一般式(A1)
【化8】


【0024】
一般式(A1)中、R11Aは、一般式(A)中のR1Aと同義であり、Qは一般式(A)中のR3AおよびR4Aが連結して形成したヘテロ環を表す。
11Aは、水素原子またはメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
Qを含むヘテロ環は、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピロール環、モルフォリン環、ピペリジン環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアゾリジン環、または、イミダゾリジン環(例えば、2−オキサイミダゾリジン)好ましく、イミダゾリジン環がより好ましい。
【0025】
一般式(A2)
【化9】


【0026】
一般式(A2)中、R11Aは、一般式(A)中のR1Aと同義であり、R3AおよびR35Aは、ぞれぞれ、一般式(A)中のR3Aと同義である。
11Aは、好ましくは、水素原子またはメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
3AおよびR35Aは、好ましくは、水素原子または炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基であり、R3AとR35Aが連結してウレイド基を含む環(例えば、2−オキサイミダゾリジン環等)を形成することも好ましい。
【0027】
一般式(A3)
【化10】


一般式(A3)中、R11Aは、一般式(A)中のR1Aと同義であり、R3Aは、一般式(A)中のR3Aと同義である。R41Aはヘテロ環基である。
11Aは、好ましくは、水素原子またはメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
3Aは、好ましくは、水素原子または炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、アルキルオキシメチル基またはヒドロキシメチル基であり、さらに好ましくはメトキシメチル基である。
41Aは、トリアジン環基またはピリミジン環基が好ましく、トリアジン環基がより好ましい。
【0028】
本発明の組成物に含有される一般式(A)で表される化合物の好ましい添加量範囲は、液晶性化合物に対して、好ましくは0.01〜50質量%であり、より好ましくは、0.1〜30質量%であり、さらに好ましくは、1〜20質量%である。
【0029】
本発明の組成物に含有される一般式(A)で表される化合物として好ましい具体例を以下に示すが、本発明は以下に限定されるものではない。
【0030】
【化11】


【0031】
【化12】


【0032】
本発明の一般式(A)で表される化合物は、容易に入手可能であったり、既知の方法を適用して容易に製造することができる。より具体的には、尿素類や含窒素ヘテロ環化合物に対し、ホルマリン等のアルデヒド化合物を、アルコール等の溶媒中で反応させることで合成できる。
【0033】
(2)液晶性化合物
本発明において用いる液晶性化合物としては、棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物が好ましく、ディスコティック液晶性化合物がより好ましい。液晶性化合物は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがより好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることがさらに好ましい。
【0034】
棒状液晶性化合物としては、重合性基が置換した重合性棒状液晶性化合物が好ましく、重合性棒状液晶性化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、国際公開WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号パンフレット、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物を用いることができる。
【0035】
以下に、棒状液晶性化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【化13】


【0037】
【化14】


【0038】
【化15】


【0039】
【化16】


【0040】
ディスコティック液晶性化合物としては、各種文献(C. Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,voL116,page 2655(1994))に記載されているものを広く採用できる。ディスコティック液晶性化合物の重合については、例えば、特開平8−27284号公報に記載がある。ディスコティック液晶性化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入した化合物が好ましい。
【0041】
本発明に用いられるディスコティック液晶性化合物として好ましくは、特開平8−27284号公報に記載されているような少なくとも一つの重合性基が置換したトリフェニレン化合物、または、下記一般式(DI)で示される化合物が好ましい。以下に一般式(DI)で表される化合物について詳細に記す。
【0042】
[一般式(DI)で表される化合物]
本発明に用いられる一般式(DI)表される化合物は、ディスコティック液晶性を示すことが好ましく、特に、ディスコティックネマチック相を示すことが好ましい。
【0043】
一般式(DI)
【化17】


【0044】
一般式(DI)中、Y11、Y12およびY13はそれぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。Y11、Y12およびY13がそれぞれメチンの場合、メチンは置換基を有していてもよい(以下、同じ)。メチンが有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子およびシアノ基を挙げることができる。これらの中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がさらに好ましく、炭素数は1〜12のアルキル基、炭素数は1〜12のアルコキシ基、炭素数は2〜12アルコキシカルボニル基、炭素数は2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がより好ましい。
【0045】
11、Y12、Y13は、すべてメチンであることが好ましく、またメチンは無置換であることが好ましい。
【0046】
一般式(DI)中、L1、L2およびL3はそれぞれ、単結合または二価の連結基である。前記二価の連結基は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0047】
前記二価の環状基は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。環状基は、芳香族環および複素環を含んでいるのが好ましい。
前記二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
前記二価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜16のアルキル基、炭素原子数が2〜16のアルケニル基、炭素原子数が2〜16のアルキニル基、炭素原子数が1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜16のアルコキシ基、炭素原子数が2〜16のアシル基、炭素原子数が1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
【0048】
1、L2およびL3としては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−、*−O−CO−二価の環状基−、*−CO−O−二価の環状基−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−、*−二価の環状基−O−CO−、*−二価の環状基−CO−O−、*−二価の環状基−CH=CH−または*−二価の環状基−C≡C−が好ましい。この中でも、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−CH=CH−二価の環状基−または*−C≡C−二価の環状基−がより好ましく、単結合がさらに好ましい。ここで、*は一般式(DI)中のY11、Y12およびY13を含む6員環に結合する位置を表す。
【0049】
前記式中、H1、H2およびH3はそれぞれ、下記一般式(DI−A)または下記一般式(DI−B)を表す。
【0050】
一般式(DI−A)
【化18】


【0051】
一般式(DI−A)中、YA1およびYA2は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。YA1およびYA2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。XAは酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。XAは、酸素原子であることが好ましい。*はL1〜L3と結合する位置を表し、**はR1〜R3と結合する位置を表す。
【0052】
一般式(DI−B)
【化19】


(一般式(DI−B)中、YA1およびYA2は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。*はL1〜L3と結合する位置を表し、**はR1〜R3と結合する位置を表す。)
【0053】
一般式(DI−B)中、YA1、YA2およびXAは、それぞれ、一般式(DI−A)におけるものと同義であり、好ましい範囲も同義である。
【0054】
1、R2およびR3は、それぞれ、下記一般式(DI−R)を表す。
一般式(DI−R)
*−(−L11−F1n1−L12−L13−Q1
(一般式(DI−R)中、*はH1〜H3と結合する位置を表す。L11は単結合または二価の連結基を表す。F1は、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の環状連結基を表す。n1は0〜4整数を表す。L12は、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−、*−C≡C−を表し(*はL13と反対側に結合する位置を表す。)、L13は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、これらの基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。Q1は重合性基または水素原子を表す。)
【0055】
11が二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
【0056】
11は単結合、**−O−CO−、**−CO−O−、**−CH=CH−または**−C≡C−(ここで、**はF1の反対側に結合する位置を表す)が好ましい。特に、単結合が好ましい。
【0057】
一般式(DI−R)中のF1は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の環状連結基を表す。二価の環状連結基は5員環、6員環、または7員環構造を有するのが好ましく、5員環または6員環構造を有するのがより好ましく、6員環構造を有するのがさらにより好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
【0058】
1で表される二価の環状連結基のうち、ベンゼン環を有する環状連結基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状連結基としては、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルナフタレン−2,7−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状連結基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状連結基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状連結基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。二価の環状連結基としては、特に、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイルおよび1,4−シクロへキシレンが好ましい。
【0059】
1で表される二価の環状連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜16のアルキル基、炭素原子数が2〜16のアルケニル基、炭素原子数が2〜16のアルキニル基、炭素原子数が1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜16のアルコキシ基、炭素原子数が2〜16のアシル基、炭素原子数が1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2〜16のアシルアミノ基が含まれる。二価の環状基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が1〜6のハロゲン置換アルキル基が好ましく、さらに、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜4のアルキル基、炭素原子数が1〜4のハロゲン置換アルキル基が好ましく、特に、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0060】
n1は0〜4整数を表す。n1としては、1〜3の整数が好ましく、1または2が好ましい。なお、n1が0の場合は、L12が直接、前記式(D1)中のH1〜H3と結合する。
【0061】
12は、好ましくは、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−CH2−、*−CH=CH−または*−C≡C−であり、より好ましくは、*−O−、*−O−CO−、*−O−CO−O−または*−CH2−である。
【0062】
13における水素原子は、他の置換基で置換されていてもよく、この場合の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が1〜6のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、炭素原子数が2〜6のアシル基、炭素原子数が1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2〜6のアシルアミノ基が含まれる。特に、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜6のアルキル基が好ましい。これらの置換基に置き換えられることにより、前記一般式(DI)で表される化合物の溶媒に対する溶解性を向上させることができ、容易に、塗布液として本発明の組成物を調製することができる。
【0063】
13は、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−およびC≡C−並びにこれらの組み合わせからなる群から選ばれる連結基であることが好ましい。L13は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することが好ましい。さらに、L13は−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、特に、−CH2−を2〜12個含有することが好ましい。
【0064】
1は重合性基または水素原子である。本発明の組成物を、光学補償フィルムのような位相差の大きさが熱により変化しないことを必要とする光学フィルム等の作製に用いる場合には、Q1は重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
【0065】
【化20】


【0066】
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。
【0067】
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
【0068】
【化21】


【0069】
上記(M−3)および(M−4)中、Rは水素原子またはアルキル基を表す。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。上記(M−1)〜(M−6)の中でも、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
【0070】
開環重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基またはオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
【0071】
前記一般式(DI)で表される化合物の中でも、下記一般式(DII)で表される化合物が好ましく、下記一般式(DIII)で表される化合物がより好ましい。
【0072】
一般式(DII)
【化22】


【0073】
前記一般式(DII)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれメチンまたは窒素原子を表す。Y11、Y12およびY13は、一般式(DI)におけるこれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
【0074】
前記一般式(DII)中、R21、R22およびR23は、それぞれ、下記一般式(DII−R)で表される。
【0075】
一般式(DII−R)
【化23】


(一般式(DII−R)中、YA1およびYA2は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表す。XAは酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。F1は、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の環状連結基を表す。n2は、1〜3の整数を表す。L12は、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−または*−C≡C−を表し(*はL13と反対側に結合する位置を表す。)、L13は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、これらの基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。Q1は重合性基または水素原子を表す。)
【0076】
前記一般式(DII−R)中、YA1、YA2およびXAは、一般式(DI−A)におけるこれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。一般式(DII−R)中、F1は一般式(DI−R)におけるこれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(DII−R)中、n2は1〜3の整数を表す。n2は、1または2が好ましい。
一般式(DII−R)中のL12は、一般式(DI−R)中のL12の定義と同一であり、好ましい範囲も同様である。一般式(DII−R)中のL13は、一般式(DI−R)中のL13の定義と同一であり、好ましい範囲も同様である。一般式(DII−R)中のQ1は、一般式(DI−R)中のQ1の定義と同一であり、好ましい範囲も同様である。
【0077】
次に、一般式(DIII)で表される化合物の詳細を記す。
【0078】
一般式(DIII)
【化24】


(一般式(DIII)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれメチンまたは窒素原子を表し、R31、R32およびR33は、それぞれ、下記一般式(DIII−A)、下記一般式(DIII−B)または下記一般式(DIII−C)を表す。
【0079】
一般式(DIII)中、Y11、Y12およびY13は、一般式(DI)におけるこれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
【0080】
31、R32およびR33は、それぞれ下記一般式(DIII−A)、下記一般式(DIII−B)または下記一般式(DIII−C)を表す。波長分散性の小さい位相差板等を作製する場合は、R31、R32およびR33は、それぞれ、一般式(DIII−A)または一般式(DIII−C)で表される基であるのが好ましく、一般式(DIII−A)で表される基であるのがより好ましい。
【0081】
一般式(DIII−A)
【化25】


(一般式(DIII−A)中、YA1、YA2、A13、A14、A15およびA16は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表し、XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、L12は*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−、*−C≡C−を表し、L13は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、これらの基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。Q1は、重合性基または水素原子を表す。)
【0082】
一般式(DIII−A)中、YA1、YA2およびXAは、それぞれ、一般式(DI−A)におけるこれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
13、A14、A15およびA16は、これらのうちの少なくとも3つがメチンであることが好ましく、全てメチンであることがより好ましい。A13、A14、A15およびA16がそれぞれメチンの場合、該メチンは置換基を有していてもよいが、置換基を有していない方が好ましい。
置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
12、L13およびQ1は、一般式(DI−R)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
【0083】
一般式(DIII−B)
【化26】


(一般式(DIII−B)中、YA1、YA2、A13、A14、A15およびA16は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表し、を表し、XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、L12は*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−、*−C≡C−を表し、L13は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、これらの基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。Q1は、重合性基または水素原子を表す。)
【0084】
一般式(DIII−B)中、YA1、YA2およびXAは、それぞれ、一般式(DI−A)におけるこれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
13、A14、A15およびA16は、それぞれ、一般式(DIII−A)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
12、L13およびQ1は、それぞれ、一般式(DI−R)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
【0085】
一般式(DIII−C)
【化27】


(一般式(DIII−C)中、YA1、YA2、A13、A14、A15およびA16は、それぞれ、メチンまたは窒素原子を表し、を表し、XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、L12は*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−、*−C≡C−を表し、L13は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、これらの基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。Q1は、重合性基または水素原子を表す。)
【0086】
一般式(DIII−C)中、YA1、YA2およびXAは、それぞれ、一般式(DI−A)におけるこれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
13、A14、A15およびA16は、それぞれ、一般式(DIII−A)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
12、L13およびQ1は、それぞれ、一般式(DI−R)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。
【0087】
以下に、一般式(DI)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0088】
【化28】




【0089】
【化29】


【0090】
【化30】


【0091】
【化31】


【0092】
【化32】


【0093】
本発明の液晶性化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相およびディスコティックネマチック相(ND相)を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示すディスコティックネマチック相(ND相)が好ましい。
【0094】
前記一般式(DI)で表される化合物は、液晶相を20℃〜300℃の範囲で発現することが好ましい。より好ましくは40℃〜280℃であり、さらに好ましくは60℃〜250℃である。ここで20℃〜300℃で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(例えば、10℃〜22℃)や、300℃をまたぐ場合(例えば、298℃〜310℃)も含む趣旨である。40℃〜280℃と60℃〜250℃に関しても同様である。
【0095】
本発明に用いられる一般式(DI)で表される化合物の合成は、既知の方法を適用して合成することができる。
【0096】
[位相差板]
本発明の位相差板は、本発明の組成物からなる光学異方性層を有する。本発明の位相差板の一態様は、支持体と、該支持体上に形成された配向膜と、該配向膜によって配向制御され、且つその配向状態に固定された本発明の組成物からなる光学異方性層とを有する態様である。
以下に、光学異方性層、配向膜および支持体について順次詳細に説明する。
【0097】
(1)光学異方性層
本発明の光学異方性層は、液晶性化合物および一般式(A)で表される化合物を含む組成物からなる。前記光学異方性層は、この他にも所望により重合性開始剤や他の添加剤を含む。これらを含む塗布液を、例えば支持体上に形成された本発明の配向膜の表面に塗布し、液晶性化合物を配向、固定化することで形成することができる。液晶性化合物を配向および固定化した後は、支持体を剥離してもよい。
【0098】
(1)−a 形成方法
前記光学異方性層は、例えば、以下の方法により形成することができる。すなわち、前記液晶性化合物や一般式(A)で表される化合物を可溶できる溶媒に溶解して調製した塗布液を、支持体上に塗布することにより、また、配向性が付与された配向膜上に塗布することによって作製することができる。また、可能であれば蒸着による形成でも良いが、塗布による形成が好適に用いられる。塗布方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーテティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。次いで、25℃〜130℃において用いた溶媒を乾燥すると同時に、前記液晶性化合物の分子を配向させ、さらに、紫外線照射等によって固定化することによって、光学異方性層が形成される。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。このようにして形成された光学異方性層の厚さは、光学補償等の用途によって、最適なレターデーションの値によって異なるが、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
【0099】
前記液晶性化合物は、光学異方性層中では、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることが最も好ましい。
【0100】
前記光学異方性層を占める、一般式(DI)で表される化合物もしくは一般式(DI)で表される化合物から得られる重合物の割合は、10〜100質量%であることが好ましく、30〜99質量%であることがさらに好ましく、50〜99質量%であることが最も好ましい。
【0101】
(1)−b 光学異方性層の形成に用いられるその他の材料
本発明の組成物は、前記液晶性化合物、一般式(A)で表される化合物の他にも他の材料(添加剤)を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、重合開始剤、液晶性化合物の配向状態を制御する添加剤(例えば、オニウム塩、および空気界面垂直配向剤等)、重合開始剤、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を含有していてもよい。これらの添加剤は、種々の目的、例えば、配向の固定化、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性の向上等を目的として添加される。
【0102】
重合開始剤としては、熱重合開始剤および光重合開始剤のいずれを用いてもよい。光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
【0103】
配向制御剤としては、例えば、特開2002−37777号公報等に記載のオニウム塩、特開2005−196015号公報、または、特開2005−196015号公報に記載のオニウム塩、カルボキシル基やスルホ基等を有する共重合成分を含有した含フッ素ポリマー等が挙げられる。
【0104】
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶性化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報の段落番号[0018]〜[0020]に記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、液晶性化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
【0105】
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報の段落番号[0028]〜[0056]に記載の化合物が挙げられる。
【0106】
液晶性化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報の段落番号[0178]に記載のものが挙げられる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
【0107】
塗布液中の液晶性化合物およびその他の添加剤の固形分濃度としては、0.1質量%〜60質量%が好ましく、0.5質量%〜50質量%がより好ましく、2質量%〜40質量%がさらに好ましい。また、塗布液の粘度は、0.01cp〜100cpが好ましく、0.1cp〜50cpがより好ましい。
【0108】
(1)−c 配向状態
本発明の光学異方性層は、TN(Twisted Nematic)のような液晶表示モードの位相差板として使用する場合においては、ディスコティックネマチック相がハイブリッド配向した状態を固定化することが好ましい。ここで、ハイブリッド配向とは、膜厚方向で液晶性化合物のチルト角が連続的に変化している状態を表す。
【0109】
液晶性化合物は支持体上(さらに好ましくは配向膜上)に塗布され後、例えば加熱することで液晶相を発現するため、液晶性化合物は支持体側の界面では支持体面または塗布膜界面(配向膜を設けた場合には配向膜界面)のチルト角(換言すれば支持体面の方向と液晶性化合物の円盤面方向(本発明の液晶性化合物は円盤状の形状を有する)のなす角)で配向し、空気との界面では空気界面のチルト角で配向することとなる。
本発明において、光学異方性層の平均チルト角(支持体面の方向と液晶性化合物の円盤面方向のなす角)は、10〜70°が好ましく、20〜60°がさらに好ましく、20〜35°がさらに好ましい。
また、それぞれの界面におけるチルト角は、空気界面のチルト角が0〜50°かつ支持体側界面のチルト角が20〜90°の組み合わせ、もしくは、支持体側界面のチルト角が0〜50°かつ空気界面のチルト角が20〜90°の組み合わせが好ましい。特に、空気界面のチルト角が0〜40°かつ支持体側界面のチルト角が40〜80°の組み合わせ、もしくは、支持体側界面のチルト角が0〜40°、かつ空気界面のチルト角が40〜80°の組み合わせが好ましい。
【0110】
(2)配向膜
本発明の位相差板の作製には配向膜を用いてもよい。配向膜は、化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、またはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
【0111】
配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性化合物を配向させる機能のある分子構造を有する。本発明では、液晶性化合物を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例えば、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性化合物を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。
【0112】
ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報の段落番号[0022]に記載のメタクリレート系重合体、スチレン系重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
【0113】
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
【0114】
液晶性化合物を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性化合物の種類および必要とする配向状態に応じて決定する。
例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
【0115】
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、液晶性化合物を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、位相差板の強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0080]〜[0100]に記載のもの等が挙げられる。
【0116】
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報の段落番号[0023]〜[0024]に記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
【0117】
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、または高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
【0118】
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、必要であればラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、支持体上に塗布した後、任意の時期に行なうことができる。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例えば、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で、水:メタノールが0より大きく99以下:100未満1以上が好ましく、0より大きく91以下:100未満9以上であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生がより効果的に抑えられ、配向膜、さらには光学異方層の層表面の欠陥を著しく減少させることができる。
【0119】
配向膜形成時に利用する塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、80℃〜100℃がさらに好ましい。乾燥時間は、例えば、1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、例えば、pH4.5〜5.5で、pH5が好ましい。
【0120】
配向膜は、支持体上または下塗り層を設けた支持体上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、必要であれば表面をラビング処理することにより得ることができる。
【0121】
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
【0122】
配向膜上で液晶性化合物を配向させた後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させてもよい。配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。前記配向膜用ポリマーを溶媒に溶解して調製した塗布液を、支持体表面に塗布し、25℃〜140℃で塗布液中の溶媒を乾燥除去することで作製することができる。また、可能であれば蒸着によって形成することもできるが、塗布による形成がより好ましい。このようにして形成された配向膜の厚さは、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
【0123】
前記配向膜形成用塗布液の調製に用いられる溶媒としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等)、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等が挙げられるが、好ましくは、水、アルコール類およびこれらの混合溶媒である。前記塗布液中の配向膜用ポリマーの濃度は、0.1質量%〜40質量%であることが好ましく、0.5質量%〜20質量%であることがより好ましく、2質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。前記塗布液の粘度は、0.1cp〜100cpであることが好ましく、0.5cp〜50cpであることがより好ましい。
【0124】
前記塗布液中には、前記配向膜用ポリマー以外にも、適宜添加剤を添加してもよい。例えば、前記配向膜用ポリマーが水溶性の溶媒に溶解し難い場合は、塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリエチルアミンなど)や、酸性化合物(例えば、塩酸、酢酸、コハク酸等)を添加して溶解を促進してもよい。
【0125】
上記方法によって形成された配向膜は、その表面がラビング処理され、液晶配向性が付与されているのが好ましい。ラビング処理としてはポリマー塗布層の表面を、紙や布で一定方向(通常は長手方向)に、数回こすることにより実施することができる。また、ラビング以外の方法としては、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により液晶配向性を付与する事もできる。液晶配向性を付与する方法としては、ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。
【0126】
(3)支持体
位相差板は、支持体を有していてもよく、該支持体は、透明支持体が好ましい。前記支持体は、主に、光学的等方性で、光透過率が80%以上であれば、特に材料の制限はないが、ポリマーフィルムが好ましい。ポリマーの具体例として、セルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、ノルボルネン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリレートエステル類のフィルムなどを挙げることができ、多くの市販のポリマーを好適に用いることが可能である。このうち、光学性能の観点からセルロースエステル類が好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸で、炭素原子数は、2、3、4であることが好ましい。具体的には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネートまたはセルロースブチレートがあげられる。この中でも、セルローストリアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際公開WO00/26705号パンフレットに記載のような分子を修飾することで該発現性を低下させたものも用いることもできる。
【0127】
以下、支持体として好ましく使用されるセルロースエステルについて詳述する。
セルロースエステルとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は57.0〜62.0%であることがより好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがより好ましく、1.4〜1.6であることがさらに好ましい。
セルロースエステルでは、セルロースの2位、3位、6位の水酸基が全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。セルロースの6位水酸基の置換度が、2位、3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が30%〜40%の割合でアシル基に置換されていることが好ましく、さらに、31%以上が置換されていることがより好ましく、32%以上が置換されていることがさらに好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基(例えば、プロピオニル基、ブチリル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基)で置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。6位水酸基の置換度が高いセルロースエステルは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
【0128】
支持体として用いるポリマーフィルム、特にセルロースアセテートフィルムは、レターデーション値を調整するために、少なくとも2つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用してもよい。このようなレターデーション上昇剤を使用する場合、レターデーション上昇剤は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.05〜15質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。さらに、レターデーション上昇剤として、2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。
ここでいう芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環の他、芳香族性ヘテロ環を含む趣旨である。
【0129】
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環および1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
【0130】
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。2つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。このようなレターデーション上昇剤については、例えば、国際公開WO01/88574号パンフレット、国際公開WO00/2619号パンフレット、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、特開2002−363343号公報に記載されている。
【0131】
セルロースアセテートフィルムは、調製されたセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ドープには、前記のレターデーション上昇剤を添加してもよい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、例えば、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
【0132】
ドープは、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解する。セルロースアシレートを溶解するための溶剤としては、ジクロロメタンが代表的である。しかし、地球環境や作業環境の観点では、溶剤はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、例えば、有機溶剤中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることをいう。
ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、 〜 頁、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されている。
【0133】
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)を用いて、ドープを2層以上流延することによりフィルム化することもできる。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。複数のセルロースアセテート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔をおいて設けた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて、それらを積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによりフィルム化してもよい。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、高粘度および低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフィルムの流延方法を用いてもよい。
【0134】
セルロースアセテートフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーション値を調整することができる。延伸倍率は、0〜100%の範囲にあることが好ましい。本発明で用いるセルロースアセテートフィルムを延伸する場合には、テンター延伸が好ましく使用され、遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度、離脱タイミング等の差をできる限り小さくすることが好ましい。
【0135】
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジ−2−エチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、o−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびo−アセチルクエン酸、トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、3〜15質量%であることがさらに好ましい。
【0136】
セルロースエステルフィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、例えば、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載のものを採用できる。
劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量を0.01質量以上とすると、劣化防止剤の効果が効果的であり、添加量を1質量%以下とすると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)をより効果的に抑止できる。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、例えば、特開平7−11056号公報に記載のものを採用できる。
【0137】
セルロースアセテートフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、ケン化処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、例えば、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
【0138】
下塗り層については、例えばDr.K.Keller編集のScience and Technol−ogy(VCH,1993)に種々の方法が知られている。また、下塗層の構成としても種々の工夫が行われており、第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着する親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布する所謂重層法と、疎水性基と親水性基との両方を含有する樹脂層を一層のみ塗布する単層法とがある。
【0139】
重層法における下塗第1層では、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸中から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体のほか、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロース、ポリ臭化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、臭素化ポリエチレン、塩化ゴム、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニルメタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、クロロエチルビニルエーテル−アクリル酸エステル共重合体、ポリクロロプレン、などの含ハロゲン合成樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテン、ポリ−1,2−ブタジエン、などのα−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ビニルエーテル共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ブテン−1−プロピレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体およびこれらの共重合体とハロゲン含有樹脂とのブレンド品、アクリル酸メチルエステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチルエステル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチルエステル−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル−スチレン共重合体、メチクリル酸ブチルエステル−スチレン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリ−α−クロルアクリル酸メチル、ポリアクリル酸メトキシエチルエステル、ポリアクリル酸グリシジルエステル、ポリアクリル酸ブチルエステル、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステルアクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、などの如きアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−フマル酸ジメチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリ−2,6−ジメチルフェニレンオキサイド、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリ−p−キシリレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフタレート、3酢酸セルロース、酪酸セルロース、酪酢酸セルロース、セルロースフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、メトキシメチル−6−ナイロン、ナイロン6、10ポリカプラミド、ポリ−N−ブチル−ナイロン−6ポリエチレンセバケート、ポリブチレングルタレート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリジエチレングリコールテレフタレート、ポリエチレンオキシベンゾエート、ビスフェノールA−イソフタレート、ポリアクリロニトリル、ビスフェノールA−アジペート、ポリヘキサメチレン−m−ベンゼンジスルホンアミド、ポリテトラメチレンヘキサメチレンカーボネート、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンメチレンビス−4−フェニレンカーボネート、ビスフェノールA−ポリカーボネート等のオリゴマーもしくはポリマーなどがある。さらに、E.H.Immergut"Polymer Handbook" IV187−231、Intersciense Pub.NewYork (1966)に記載のものも採用できる。などに詳しい)
一方、下塗第2層ではゼラチンが好ましい。
【0140】
単層法においては、高分子フィルムを膨張させ、親水性下塗ポリマーと界面混合させることによって良好な密着性を達成する。本発明で使用する親水性下塗ポリマーとしては、水溶性ポリマー、セルロースエステル、ラテックスポリマー、水溶性ポリエステルなどが例示される。水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、カゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、でんぷん、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸共重合体、無水マレイン酸共重合体等が例示される。セルロースエステルとしては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が例示される。ラテックスポリマーとしては塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニリデン含有共重合体、アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニル含有共重合体、ブタジエン含有共重合体等が例示される。この中でも最も好ましいのはゼラチンである。ゼラチンとしては、いわゆる石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体及び変性ゼラチン等のこの種の分野において一般に用いられているものはいずれも好ましく用いることができる。これらのゼラチンのうち、最も好ましく用いられるのは石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンである。これらのゼラチンは、その作製工程における種々の不純物、例えば0.01〜20000ppmの金属類(Na、K、Li、Rb、Ca、Mg、Ba、Ce、Fe、Sn、Pb、Al、Si、Ti、Au、Ag、Zn、Niなどの金属、及びそのイオンなど)、イオン(F、Cl、Br、I、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、アンモニウムイオンなど)を含有していてもよい。特に、石灰処理ゼラチンがCaイオンおよびMgイオンを含有することが公知であり、その含有量も10〜3000ppmと非常に幅広いことが知られている。この中でも、下塗層の塗布性能を向上する観点から1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。
【0141】
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアセテートフィルムの温度をガラス転移温度(Tg)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
【0142】
セルロースアセテートフィルムの表面処理は、配向膜などとの接着性の観点から、ケン化処理(酸処理またはアルカリ処理)を実施することが特に好ましい。
以下、アルカリケン化処理を例に、具体的に説明する。
アルカリケン化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0Nの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温(例えば、25℃)〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
【0143】
また、セルロースアセテートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60〜75mN/mの範囲にあることがさらに好ましい。
セルロースアセテートフィルムの厚さは、5〜500μmの範囲が好ましく、20〜250μmの範囲がより好ましく、30〜180μmの範囲がさらに好ましく、30〜110μmの範囲が最も好ましい。
【0144】
位相差板は、偏光膜と組み合わせて楕円偏光板の用途に供することができる。さらに、透過型、反射型、および半透過型液晶表示装置に、偏光膜と組み合わせて適用することにより、視野角の拡大に寄与する。以下に、位相差板を利用した楕円偏光板および液晶表示装置について説明する。
【0145】
[偏光板]
位相差板と偏光膜を積層することによって偏光板(楕円偏光板)を作製することができる。位相差板を利用することにより、液晶表示装置の視野角を拡大し得る楕円偏光板を提供することができる。前記偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
【0146】
偏光膜は、位相差板の光学異方性層側に積層する。偏光膜の位相差板を積層した側と反対側の面に保護膜(透明保護膜)を形成することが好ましい。保護膜は、光透過率が80%以上であるのが好ましい。保護膜としては、好ましくは、セルロースエステルフィルム、より好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
【0147】
[液晶表示装置]
本発明の位相差板は、液晶表示装置の視野角の拡大に寄与する。液晶表示装置は、通常、液晶セル、偏光板および位相差板(光学補償シート)を有する。前記偏光板は、一般に偏光膜と保護膜からなり、偏光膜と保護膜については、上記楕円偏光板で説明したものを用いることができる。TNモードの液晶セル用位相差板は、例えば、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の明細書に記載のものを採用できる。また、IPSモードまたはFDCモードの液晶セル用位相差板は、例えば、特開平10−54982号公報に記載のものを採用できる。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用位相差板は、例えば、米国特許5805253号明細書および国際公開WO96/37804号パンフレットに記載のものを採用できる。さらにまた、STNモードの液晶セル用位相差板は、例えば、特開平9−26572号公報に記載のものを採用できる。そして、VAモードの液晶セル用位相差板は、例えば、特許登録号第2866372号公報に記載のものを採用できる。
【0148】
本発明において、前記公報等の記載を参考にして各種のモードの液晶セル用位相差板(光学補償シート)を作製することができる。位相差板は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−PDane Switching)、FDC(FerroeDectric Diquid CrystaD)、OCB(OpticaDDy Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(VerticaDDy ADigned)およびHAN(Hybrid ADigned Nematic)モードのような様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができる。位相差板は、TN(Twisted Nematic)、OCB(OpticaDDy Compensatory Bend)モードの液晶表示装置の光学補償に特に効果がある。
【実施例】
【0149】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0150】
合成例1[D3−10の合成]
下記スキームに従って合成した。
【0151】
【化33】


【0152】
(D3−10Aの合成)
3−シアノ安息香酸クロライド2.5gをテトラヒドロフラン(THF)20mlに溶解させ、3−クロロ−1−プロパノール1.3ml、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)3.0mlを添加後、室温で1時間撹拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を減圧濃縮した。残渣をメタノール100mlに溶解させ、50%ヒドロキシルアミン溶液2.8mlを添加後、40℃で1時間撹拌した。冷却後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾別、乾燥し、D3−10Aを3.4g得た。
【0153】
(D3−10Bの合成)
14gのD3−10Aをジメチルアセトアミド(DMAc)10mlに溶解させ、ピリジン(Pyridine)1.2ml、トリメシン酸クロライド1.2gを添加後、120℃で1時間撹拌した。冷却後、メタノールを添加し、析出した結晶を濾取、乾燥し、D3−10Bを3.9g得た。
【0154】
(D3−10の合成)
3.9gのD3−10Bをジメチルアセトアミド50mlに溶解させ、炭酸カリウム3.7g、ヨウ化ナトリウム2.0g、アクリル酸1.9mlを添加後、100℃で3時間撹拌した。反応液に水を加え、析出した結晶をろ過により濾取した。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、D3−10を3.0g得た。得られたD3−10のNMRスペクトルは以下の通りである。
【0155】
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):2.30(6H、quint)、4.40(6H、t)、4.55(6H、t)、5.85(3H、dd)、6.15(3H、dd)、6.45(3H、dd)、7.65(3H、t)、8.25(3H、d)、8.45(3H、d)、8.90(3H、s)、9.30(3H、s)。
【0156】
得られたD3−10の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行ったところ、温度を上げていき115℃付近で結晶相からディスコティックネマチック液晶相に変わり、178℃を超えると等方性液体相に変わった。すなわち、D3−10は115℃から178℃の間でディスコティックネマチック液晶相を呈することが認められた。
【0157】
[実施例1:本発明の組成物(LM−1)の調製]
以下に示した組成の割合で、一般式(D1)で表される液晶性化合物(D3−10)、一般式(A)で表される化合物(A−1)(東京化成工業(株)製)、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907)、および、光増感剤としてジエチルチオキサントンをそれぞれ秤量し、メチルエチルケトンに溶解して、本発明の組成物(LM−1)を調製した。
【0158】
組成物(LM−1)の組成
一般式(D1)で表される液晶性化合物:D3−10 100質量部
一般式(A)で表される化合物:A−1 10質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))3.0質量部
ジエチルチオキサントン 1.0質量部
メチルエチルケトン 250質量部
【0159】
[実施例2:本発明の組成物(LM−2〜LM−6)の調製]
前記化合物(A−1)を下記表1に記載の化合物にそれぞれ変更した以外は、実施例1の組成物(LM−1)と全て同様にして、本発明の組成物(LM−2)〜(LM−4)を調製した。また、液晶性化合物を前記D3−10から、下記DLC−1に変更した以外は、実施例1の組成物(LM−1)と全て同様にして、本発明の組成物(LM−5)を調製した。さらに、界面活性剤として、下記のポリマー(界面活性剤)(W−1)を0.4質量部添加したこと以外は実施例1の組成物(LM−1)と全て同様にして、本発明の組成物(LM−6)を調製した。
【0160】
液晶性化合物(DLC−1)
【化34】


【0161】
ポリマー(界面活性剤)(W−1)
【化35】


【0162】
[比較例1:比較用組成物(LH−1〜LH−3)の調製]
前記化合物(A−1)を添加しなかった以外は、実施例1の組成物(LM−1)、実施例2の(LM−5)および(LM−6)と全て同様にして、比較用組成物をそれぞれ(LH−1)、(LH−2)、および、(LH−3)を調製した。
【0163】
これらの結果を表1に示した。
【0164】
【表1】


【0165】
[実施例3:本発明の位相差板(RM−1)の作製]
(支持体の作製)
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱攪拌して、セルロースアセテート溶液(以下、ドープと呼ぶことがある)を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート 6.5質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 5.2質量部
下記のレターデーション上昇剤(1) 0.1質量部
下記のレターデーション上昇剤(2) 0.2質量部
メチレンクロライド 310.25質量部
メタノール 54.75質量部
1−ブタノール 10.95質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0166】
レターデーション上昇剤(1)
【化36】


【0167】
レターデーション上昇剤(2)
【化37】


【0168】
得られたドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の領域で、幅方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、120℃を越える領域で機械方向の延伸率が実質0%、すなわち、剥ぎ取り時に機械方向に4%延伸することを考慮して、幅方向の延伸率と機械方向の延伸率との比が0.75となるように調整して、厚さ100μmのセルロースアセテートフィルムを作製した。作製したフィルムのレターデーション値を波長632.8nmで測定したところ、Reが40nm、Rthが4nmであった。作製したセルロースアセテートフィルムを支持体として用いた。
【0169】
(第1下塗り層の形成)
上記支持体の上に、下記の組成の塗布液を28mD/m2塗布し、乾燥して、第1下塗り層を形成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第1下塗り層塗布液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ゼラチン 5.44質量部
ホルムアルデヒド 1.38質量部
サリチル酸 1.62質量部
アセトン 391質量部
メタノール 158質量部
メチレンクロライド 406質量部
水 12質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0170】
(第2下塗り層の形成)
第1下塗り層の上に、下記の組成の塗布液を7mD/m2塗布し、乾燥して、第2下塗り層を形成した。
【0171】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第2下塗り層塗布液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記のアニオン性ポリマー 0.77質量部
クエン酸モノエチルエステル 10.1質量部
アセトン 200質量部
メタノール 877質量部
水 40.5質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0172】
アニオン性ポリマー
【化38】


【0173】
(バック層の形成)
支持体の反対側の面に、下記の組成の塗布液を25mD/m2塗布し、乾燥して、バック層を形成した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
バック層塗布液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
酢化度55%のセルロースジアセテート 6.56質量部
シリカ系マット剤(平均粒子サイズ:1μm) 0.65質量部
アセトン 679質量部
メタノール 104質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0174】
(配向膜の形成)
下記変性ポリビニルアルコールとグルタルアルデヒド(変性ポリビニルアルコールの5質量%)を、メタノール/水の混合溶媒(容積比=20/80)に溶解して、5質量%の溶液を調製した。
【0175】
【化39】


【0176】
この溶液を、第2下塗り層の上に塗布し、100℃の温風で120秒間乾燥した後、ラビング処理を行い、配向膜を形成した。得られた配向膜の膜厚は0.5μmであった。配向膜のラビング方向は、支持体の流延方向と平行であった。
【0177】
(光学異方性層の形成)
前記で作製した配向膜のラビング処理面上に、実施例1で調製した本発明の組成物(LM−1)の塗布液を、ワイヤーバーを用いて塗布した。上記の光学異方性層を塗布したフィルムを、恒温槽中にて配向させ、200mJ/cm2の紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定した。室温まで放冷して、本発明の位相差板(RM−1)を作製した。形成した光学異方性層の厚さは約1.0μmであった。
【0178】
[実施例4:本発明の位相差板(RM−2〜RM−6)の作製]
前記実施例3に記載した本発明の位相差板(RM−1)の作製において用いた本発明の組成物(LM−1)を、本発明の組成物(LM−2)〜(LM−6)に変更したこと以外は全て同様にして、本発明の位相差板(RM−2)〜(RM−6)を作製した。
【0179】
[比較例2:比較用位相差板(RH−1〜RH−3)の作製]
前記実施例3に記載した本発明の位相差板(RM−1)の作製において用いた本発明の組成物(LM−1)を、前記比較用の組成物(LH−1)〜(LH−3)に変更したこと以外は全て同様にして、比較用の位相差板(RH−1)〜(RH−3)を作製した。
【0180】
[実施例5:位相差板の評価]
(Re、Rthの測定)
Re(589nm)、Rth(589nm)はそれぞれ、波長589nmにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。尚、実施例3、4および比較例2で得られたReおよびRthは、上述した方法により測定した。
【0181】
(平均チルト角の測定)
上記の光学異方性層のレターデーション値の角度依存性の計算が測定値に一致するように、光学異方性層の一方の面におけるチルト角θ1および他方の面のチルト角θ2を変数としてフィッティングを行い、θ1およびθ2を算出した。
この値の平均値((θ1+θ2)/2)から平均チルト角を求めた。
【0182】
また、実施例3、4および比較例2で得られた位相差板の断面の超薄切片を、マイクロトームを用いて作製し、その切片を偏光顕微鏡で観察した。本発明の位相差板RM−1〜RM−6および比較例2のRH−1〜3の光学異方性層がハイブリッド配向していることが確認できた。
【0183】
(配向欠陥の測定)
偏光板とする前の位相差板を、偏光顕微鏡下で観察し、配向欠陥の評価を行った。評価は顕微鏡下、1.0mm2の範囲に観測される配向欠陥(ハジキおよびシュリーレン配向による点状欠陥)の数で行い、1.0mm2範囲の点欠陥数が平均2個以下の場合をA、3〜5個の場合をB、6〜10個の場合をC、11〜20個をD、21個以上をEとして比較した。このようにして評価した各位相差板の配向欠陥の評価を以下の表2に記載した。
【0184】
【表2】


【0185】
表2の結果から、本発明の組成物から作製した位相差板(RM−1〜RM−6は、本発明の一般式(A)で表される化合物を含有しないで作製した位相差板(RH−1〜R−3)と比較して、配向欠陥の少ない位相差板を作製できる事がわかる。また、その効果は特に、一般式(DI)で表される液晶性化合物を用いた時に顕著であった。
これらの結果から、本発明の一般式(A)で表される化合物を含有した組成物から作製した位相差板では、配向欠陥が少ない状態でディスコティック液晶性化合物をハイブリッド配向させた位相差板を得ることができることがわかる。
【0186】
[実施例6:本発明の位相差板(RM−7)、(RM−8)および、比較例の位相差板(RH−4)、(RH−5)の作製]
実施例3に記載した本発明の位相差板(RM−1)において、用いた本発明の組成物(LM−1)を、表3に示すとおり、本発明の組成物(LM−7)および(LM−8)に変更したこと以外は全て同様にして、本発明の位相差板(RM−7)および(RM−8)を作製した。また、前記2種の組成物から本発明の一般式(A)で表される化合物(A−1)を除いた比較用組成物(LH−4)および(LH−5)を用いて同様にして、比較用位相差板(RH−4)および(RH−5)を作製した。得られた4種のサンプルにおいて、用いた棒状液晶性化合物は全てラビングした方向に対して平行に、且つ、配向膜の基板に対して水平に配向していた。また、これら4種のサンプルの光学特性値(Re,Rth)および厚みは、順に、LM−1、LM−6、LH−1、LH−3とそれぞれ同等であった。
【表3】


【0187】
液晶性化合物(V−1)
【化40】


【0188】
[実施例7:位相差板の評価]
(配向欠陥の測定)
偏光板とする前の位相差板を、偏光顕微鏡下で観察し、配向欠陥の評価を行った。評価は顕微鏡下、1.0mm2の範囲に観測される配向欠陥(ハジキおよびシュリーレン配向による点状欠陥)の数で行い、1.0mm2範囲の点欠陥数が平均2個以下の場合をA、3〜5個の場合をB、6〜10個の場合をC、11〜20個をD、21個以上をEとして比較した。このようにして評価した各位相差板の配向欠陥の評価を以下の表4に記載した。
【0189】
【表4】


【0190】
表4の結果から、棒状液晶性化合物を用いた場合にも、本発明の一般式(A)を用いる事で配向欠陥の少ない位相差板を作製できることが認められた。




 

 


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