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発明の名称 全反射減衰を利用した測定方法及び装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−64943(P2007−64943A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−255013(P2005−255013)
出願日 平成17年9月2日(2005.9.2)
代理人 【識別番号】100075281
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 和憲
発明者 村石 勝明
要約 課題
測定精度を損なうことなく、スループットを向上する。

解決手段
全反射減衰を利用する測定方法では、センサ面における試料の反応を、光強度に応じて信号レベルが変化する測定信号を取得することにより測定する。センサ面は、反応測定処理が終了した後、洗浄液が送液されることによって洗浄処理が施されて再生される。この洗浄処理中に、測定信号をモニタして、その測定信号に基づいてセンサ面が初期状態に復帰しているか否かを判定する。測定信号の信号レベルが初期レベルに復帰した場合には、初期状態に復帰したと判定して、洗浄処理を終了する。
特許請求の範囲
【請求項1】
表面がリガンドを固定したセンサ面となる薄膜と、この薄膜が形成された透明な誘電体とからなるセンサを用い、前記薄膜の裏面と前記誘電体との界面に向けて全反射条件を満たすように光を入射させ、前記界面における反射光の光強度を検出して、その減衰角を表す測定信号を得ることにより、前記センサ面へ送液された溶液中のアナライトと前記リガンドとの結合反応を測定する全反射減衰を利用した測定方法において、
前記結合反応の測定処理を終了した後、前記センサ面へ洗浄液を送液して前記センサ面の洗浄処理を開始し、この洗浄処理中に前記測定信号を取得して、その測定信号に基づいて前記センサ面の洗浄状態を調べて前記センサ面が前記結合反応前の初期状態に復帰したか否かを判定する洗浄状態判定処理を行い、前記センサ面が前記初期状態に復帰したと判定された場合には前記洗浄処理を終了することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項2】
前記洗浄状態判定は、前記洗浄処理開始後所定時間経過した時点における前記測定信号の信号レベルが前記結合反応前の初期の信号レベルである初期レベルに達したか否かに応じて行われることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項3】
前記センサ面が初期状態に復帰していないと判定された場合には、前記洗浄処理を継続することを特徴とする請求項1又は2記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項4】
前記洗浄処理の継続に際して、前記洗浄液を前記センサ面に再送することを特徴とする請求項3記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項5】
前記洗浄処理の継続に際して、前記測定信号の信号レベルと前記初期レベルとの差を調べて、その差が所定値以上ある場合には、前記洗浄処理の内容を変更することを特徴とする請求項3又は4記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項6】
前記センサ面へ再送する前記洗浄液の種類又は濃度を変更することを特徴とする請求項
5記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項7】
前記センサ面に送液した洗浄液が前記センサ面上で流動するように前記洗浄液を攪拌することを特徴とする請求項5又は6記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項8】
前記センサ面に対向して配置された流路を通じて前記洗浄液を前記センサ面へ送液する際に、前記流路へ前記洗浄液とともにエアーを注入し、前記洗浄液と前記エアーとが交互に前記センサ面上を通過するようにしたことを特徴とする請求項5〜7いずれか記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項9】
前記測定信号の変化を表す曲線の傾きを調べ、その傾きが前記初期レベルに向かっている場合には、前記洗浄液を前記センサ面へ再送することなく、前記センサ面の洗浄状態が前記初期状態へ復帰するのを待機して前記洗浄処理を継続することを特徴とする請求項3記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項10】
前記洗浄状態判定処理において前記センサ面が初期状態に復帰していないと判定された場合には、その判定結果を表すエラーフラグを記録するフラグ記録処理を行って、前記洗浄処理を終了することを特徴とする請求項3記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項11】
表面がリガンドを固定したセンサ面となる薄膜と、この薄膜が形成された透明な誘電体とからなるセンサを用い、前記薄膜の裏面と前記誘電体との界面に向けて全反射条件を満たすように光を入射させる光源と、前記界面における反射光の光強度を検出して、その減衰角を表す測定信号を出力する検出器と、前記センサ面と対向して配置された流路を通じて、アナライトを含む溶液を前記センサ面へ送液して前記アナライトを前記リガンドと接触させる送液手段と、前記アナライトと前記リガンドとの結合反応を、前記測定信号に基づいて解析して測定するデータ解析部とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
前記結合反応の測定処理を終了した後、前記送液手段によって前記流路を通じて前記センサ面へ洗浄液を送液して前記センサ面の洗浄処理を開始し、この洗浄処理中に取得した前記測定信号に基づいて前記センサ面の洗浄状態が前記結合反応前の初期状態に復帰したか否かを判定する洗浄状態判定手段と、前記センサ面が前記初期状態に復帰したと判定された場合に前記洗浄処理を終了する制御手段とを設けたことを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
【請求項12】
前記洗浄状態判定手段は、前記洗浄処理開始後所定時間経過した時点における前記測定信号の信号レベルが前記結合反応前の初期の信号レベルである初期レベルに達したか否かに応じて前記洗浄状態を判定することを特徴とする請求項11記載の全反射減衰を利用した測定装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記センサ面が初期状態に復帰していないと判定された場合には、前記洗浄処理を継続することを特徴とする請求項11又は12記載の全反射減衰を利用した測定装置。
【請求項14】
前記洗浄処理を継続する際に、前記測定信号の変化を表す曲線の傾きが前記初期レベルに向かっている場合には、前記洗浄液を前記センサ面へ再送することなく、前記センサ面の洗浄状態が前記初期状態へ復帰するのを待機することを特徴とする請求項13記載の全反射減衰を利用した測定装置。
【請求項15】
前記洗浄状態判定処理において前記センサ面が初期状態に復帰していないと判定された場合に、その判定結果を表すエラーフラグを記録するフラグ記録処理手段を設け、このフラグ記録処理を実行後、前記洗浄処理を終了することを特徴とする請求項13記載の全反射減衰を利用した測定装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の全反射減衰を利用して試料の反応状況を測定する全反射減衰を利用した測定方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、タンパク質やDNAなどの生化学物質の相互作用を調べたり、薬品のスクリーニングを行うために、試料の反応を測定する測定装置として、全反射減衰を利用した測定装置が知られている。
【0003】
全反射減衰を利用した測定装置は、透明な誘電体ブロックの一面に形成された薄膜の表面であるセンサ面上において試料の反応を生じさせ、前記薄膜と誘電体ブロックとの界面に全反射条件を満たすように光を入射させ、その反射光の減衰状況を検出することにより前記反応を測定する。こうした全反射減衰を利用した測定装置の1つに、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)現象を利用した測定装置(以下、SPR測定装置という)がある。表面プラズモンとは、金属中の自由電子が集団的に振動することによって生じ、その金属の表面に沿って進む自由電子の粗密波である。
【0004】
SPR測定装置は、前記界面に向けて光を入射させる光源と、界面で反射した反射光を受光してその光強度を検出する光検出部とからなる測定部を備えており、前記薄膜として金属膜を使用したセンサユニットを用いる。SPR測定装置は、センサ面にSPRを発生させ、そこで生じる物質の反応状況を測定部によってSPRを検出することにより測定する(例えば、下記特許文献1参照)。
【0005】
全反射条件を満足するように(臨界角以上の入射角で)光を前記界面に向けて入射させると、全反射が起こるが、入射光のうちわずかな光は反射せずに金属膜内を通過して、センサ面に染み出す。この染み出した光波がエバネッセント波と呼ばれる。このエバネッセント波と表面プラズモンの振動数が一致して共鳴すると(SPRが発生すると)、反射光の強度が大きく減衰する。界面には、全反射条件を満たす様々な角度の入射光が入射され、それら様々な角度の入射光が界面で反射してその反射光が光検出部の受光面に出力される。SPRが発生する入射角(共鳴角)で入射した光の反射光は、その光強度が減衰して、受光面上では暗線として捉えられる。
【0006】
共鳴角は、エバネッセント波および表面プラズモンが伝播する媒質の屈折率に依存する。言い換えると、媒質の屈折率が変化すれば、共鳴角が変化する。センサ面と接する物質は、エバネッセント波および表面プラズモンを伝播させる媒質となるので、例えば、センサ面において、2種類の分子間の結合や解離などの化学反応が生じると、それが媒質の屈折率の変化として顕れて、共鳴角が変化する。SPR測定装置は、上記暗線の位置の変化を、共鳴角に対応する反射光の減衰角として捉えることにより、分子間の相互作用を測定する。
【0007】
生化学分野の実験や研究においては、タンパク質、DNA、薬品などが、リガンドやアナライトとして使用される。例えば、薬品のスクリーニングを行う場合には、リガンドとして、タンパク質などの生体物質を使用し、このリガンドにアナライトとなる複数種類の薬品を接触させて、それらの相互作用を調べる。
【0008】
こうしたリガンドとアナライトとの反応を測定する測定処理では、まず、アナライトを含むアナライト溶液をリガンドが固定されたセンサ面に送液して、アナライトとリガンドとを接触させることにより両者の結合反応が測定される。この後、バッファ液を前記センサ面に送液して、いったんリガンドに結合したアナライトがリガンドから解離する解離反応が測定される。こうした測定処理では、反応時の測定信号がリアルタイムで検出されて、これが測定データとして記録される。
【0009】
多種多量の試料の反応を測定する場合には、処理効率(スループット)を向上することが重要な課題となる。試料の反応速度は試料の種類によって異なり、反応速度が速い試料は短時間の測定で、結合の有無などの反応結果を得ることができるが、反応速度が遅い試料は反応結果を得るまでに時間がかかる。そのため、測定開始から終了までの測定時間を一律に決めてしまうと、反応速度が短い試料については、測定時間が無駄に長くなる一方、反応速度が遅い試料については、測定時間が足りず、反応結果を得ることができないという懸念が生じる。
【0010】
そこで、特許文献1に記載の測定方法では、測定時に検出される測定信号をモニタして、その信号に応じて測定時間を決定するようにしている。こうすれば、試料の反応速度に応じて測定時間を最短にすることができるので、スループットを向上することができる。
【0011】
測定処理が終了した後、センサ面は、所定時間洗浄処理が施されて再生される。洗浄処理は、センサ面に洗浄液を送液して、前記センサ面に残留したアナライトを払拭することにより行われる。再生されたセンサ面は、再度、反応測定に使用される。
【特許文献1】特開2002−310903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の方法では、センサ面の洗浄時間を一定にしていたため、次のような不都合があった。すなわち、洗浄時間が短いと、十分な洗浄が行われずセンサ面に残留したアナライトが次回の測定結果に影響して、測定結果の精度が低下するとともに、その反対に洗浄時間が無駄に長いと、スループットの低下を招く。
【0013】
本発明の目的は、測定精度を損なうことなく、スループットを向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の全反射減衰を利用した測定方法は、表面がリガンドを固定したセンサ面となる薄膜と、この薄膜が形成された透明な誘電体とからなるセンサを用い、前記薄膜の裏面と前記誘電体との界面に向けて全反射条件を満たすように光を入射させ、前記界面における反射光の光強度を検出して、その減衰角を表す測定信号を得ることにより、前記センサ面へ送液された溶液中のアナライトと前記リガンドとの結合反応を測定する全反射減衰を利用した測定方法において、前記結合反応の測定処理を終了した後、前記センサ面へ洗浄液を送液して前記センサ面の洗浄処理を開始し、この洗浄処理中に前記測定信号を取得して、その測定信号に基づいて前記センサ面の洗浄状態を調べて前記センサ面が前記結合反応前の初期状態に復帰したか否かを判定する洗浄状態判定処理を行い、前記センサ面が前記初期状態に復帰したと判定された場合には前記洗浄処理を終了することを特徴とする。
【0015】
前記洗浄状態判定は、前記洗浄処理開始後所定時間経過した時点における前記測定信号の信号レベルが前記結合反応前の初期の信号レベルである初期レベルに達したか否かに応じて行われることが好ましい。
【0016】
前記センサ面が初期状態に復帰していないと判定された場合には、例えば、前記洗浄処理を継続される。
【0017】
前記洗浄処理の継続に際して、前記測定信号の信号レベルと前記初期レベルとの差を調べて、その差が所定値以上ある場合には、前記洗浄処理の内容を変更してもよい。
【0018】
前記洗浄処理の継続に際しては、例えば、前記洗浄液が前記センサ面に再送される。この際に、洗浄液の種類や濃度を変更してもよい。また、洗浄液がセンサ面上で流動するように攪拌したり、流路へ前記洗浄液とともにエアーを注入し、前記洗浄液と前記エアーとが交互に前記センサ面上を通過するようにしてもよい。
【0019】
また、前記測定信号の変化を表す曲線の傾きを調べ、その傾きが前記初期レベルに向かっている場合には、前記洗浄液を前記センサ面へ再送することなく、前記センサ面の洗浄状態が前記初期状態へ復帰するのを待機して前記洗浄処理を継続してもよい。
【0020】
前記洗浄状態判定処理において前記センサ面が初期状態に復帰していないと判定された場合には、その判定結果を表すエラーフラグを記録するフラグ記録処理を行って、前記洗浄処理を終了してもよい。
【0021】
本発明の全反射減衰を利用した測定装置は、表面がリガンドを固定したセンサ面となる薄膜と、この薄膜が形成された透明な誘電体とからなるセンサを用い、前記薄膜の裏面と前記誘電体との界面に向けて全反射条件を満たすように光を入射させる光源と、前記界面における反射光の光強度を検出して、その減衰角を表す測定信号を出力する検出器と、前記センサ面と対向して配置された流路を通じて、アナライトを含む溶液を前記センサ面へ送液して前記アナライトを前記リガンドと接触させる送液手段と、前記アナライトと前記リガンドとの結合反応を、前記測定信号に基づいて解析して測定するデータ解析部とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、前記結合反応の測定処理を終了した後、前記送液手段によって前記流路を通じて前記センサ面へ洗浄液を送液して前記センサ面の洗浄処理を開始し、この洗浄処理中に取得した前記測定信号に基づいて前記センサ面の洗浄状態が前記結合反応前の初期状態に復帰したか否かを判定する洗浄状態判定手段と、前記センサ面が前記初期状態に復帰したと判定された場合に前記洗浄処理を終了する制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0022】
前記洗浄状態判定手段は、前記洗浄処理開始後所定時間経過した時点における前記測定信号の信号レベルが前記結合反応前の初期の信号レベルである初期レベルに達したか否かに応じて前記洗浄状態を判定することが好ましい。
【0023】
前記制御手段は、前記センサ面が初期状態に復帰していないと判定された場合には、前記洗浄処理を継続することが好ましい。
【0024】
前記洗浄処理を継続する際に、前記測定信号の変化を表す曲線の傾きが前記初期レベルに向かっている場合には、前記洗浄液を前記センサ面へ再送することなく、前記センサ面の洗浄状態が前記初期状態へ復帰するのを待機してもよい。
【0025】
前記洗浄状態判定処理において前記センサ面が初期状態に復帰していないと判定された場合に、その判定結果を表すエラーフラグを記録するフラグ記録処理手段を設け、このフラグ記録処理を実行後、前記洗浄処理を終了してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、センサ面におけるリガンドとアナライトとの結合反応を測定する測定処理を終了した後、前記センサ面へ洗浄液を送液して前記センサ面の洗浄処理を開始し、この洗浄処理中に測定信号を取得して、その測定信号に基づいて前記センサ面の洗浄状態を調べて前記センサ面が前記結合反応前の初期状態に復帰したか否かを判定する洗浄状態判定処理を行い、前記センサ面が前記初期状態に復帰したと判定された場合には前記洗浄処理を終了するようにしたから、測定精度を損なうことなく、スループットを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1に示すように、SPR測定装置には、リガンドとアナライトとの結合反応や解離反応を検知するためのセンサユニット12が着脱自在にセットされる。SPR測定装置には、反応を測定する測定部と、前記流路16への前記試料溶液の注入と排出とを行う一対のピペット28a,28bを備えた分注ヘッド28とが設けられている。測定部は、センサユニット12に対して、全反射条件を満たす様々な入射角を持つ光ビームを照射する照明部26と、センサユニット12で反射した反射光を受光して、その光強度を検出する検出器27とからなる。検出器27は、受光面における反射光の光強度分布を測定信号として出力する。この測定信号を解析することにより、共鳴角の変化を捉えて試料の反応が測定される。
【0028】
図2に示すように、センサユニット12は、透明な誘電体であるプリズム14と、液体を送液する流路16が形成された流路部材18と、この流路部材18を、プリズム14の上面に圧接させ、流路部材18とプリズム14とを一体的に保持する保持部材19と、この保持部材19の上面に、両面テープ21によって取り付けられる蓋部材22とからなる。
【0029】
流路部材18は、断面が四角形の長尺の角柱状をしており、弾性部材で形成されている。流路部材18の下面は、プリズム14の上面と対面して圧接される。流路16は、略U字形をした送液管であり、プリズム14の上面と対向して注入された液体をプリズム14の上面に沿って流す対向部分16cと、この対向部分16cの両端から流路部材18の上面18aに向けて流路部材18を縦方向に貫通する貫通部分16dとからなる。各貫通部分16dの上端には、それぞれ、ピペット28a,28bの先端が挿入され試料溶液の注入口及び排出口となる出入口16a,16bが形成される。
【0030】
流路16の管径は、例えば、約1mm程度であり、各出入口16a,16bの間隔は、例えば、約10mm程度である。対向部分16cは、流路部材18の底面に形成された溝であり、その底面に圧接されるプリズム14の上面によってその開放部位が覆われて封止される。流路部材18には、こうした流路16が、例えば、3つ設けられており、各流路16は、流路部材18の長手方向に沿って並べて配列されている。
【0031】
プリズム14には、その上面に、表面がセンサ面13aとなる金属膜13が蒸着によって形成される。この金属膜13は、流路部材18に形成された複数の流路16と対向するように短冊状に形成される。さらに、この金属膜13の上面には、各流路16に対応する部位に、リガンドを固定するリガンド固定膜となる複数のリンカー膜23が形成される。リンカー膜23は、センサユニット12の製造時に製膜される。このリンカー膜23を含む1つのセンサ面13aと、1つの流路16とによって1個のセンサセル17が構成される。
【0032】
図1に示すように、リンカー膜23上には、リガンドが固定されアナライトとリガンドとの結合反応が生じる測定領域(act領域)23aと、リガンドが固定されず、前記測定領域の信号測定に際しての参照信号を得るための参照領域(ref領域)23bとが形成される。ref領域23bは、リンカー膜23を製膜する際に形成される。形成方法としては、例えば、リンカー膜23に対して表面処理を施して、リンカー膜23の半分程度の領域について、リガンドと結合する結合基を失活させる。これにより、リンカー膜23の半分がact領域23aとなり、残りの半分がref領域23bとなる。
【0033】
このリンカー膜23には、流路16を通じて、まず、リガンドを含むリガンド溶液が送液されて、act領域23aにリガンドが固定される。リガンドを固定した後、流路16には、アナライトを含むアナライト溶液が注入され、これがリンカー膜23に送液されてリガンドと接触する。この際に検出される測定信号を解析することにより、リガンドとアナライトの結合反応が測定される。
【0034】
プリズム14は、例えば、断面が台形の棒状をしている。プリズム14の素材としては、例えば、ホウケイクラウン(BK7)やバリウムクラウン(Bak4)などに代表される光学ガラスや、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネイト(PC)、非晶性ポリオレフィン(APO)などに代表される光学プラスチックなどが用いられる。
【0035】
プリズム14と流路部材18とは、保持部材19によって一体的に保持される。プリズム14の長手方向の両側面には、保持部材19の係合部19aと係合する係合爪14aが設けられている。これらの係合により、流路部材18が、保持部材19とプリズム14とによって挟み込まれる。また、プリズム14の短辺方向の両端部には、突部14bが設けられている。この突部14bは、センサユニット12をホルダ(図示せず)に収納する際に、その内壁と係合してその収納位置を位置決めする位置決め部材である。
【0036】
保持部材19の上部には、各流路16の出入口16a,16bに対応する位置に、ピペット28a,28bの先端を誘い込む受け入れ口19bが形成されている。保持部材19が流路部材18を挟み込んでプリズム14と係合すると、各受け入れ口19bと、各出入口16a,16bとが連結される。また、これら各受け入れ口19bの両脇には、円筒形のボス19cが設けられている。これらのボス19cは、蓋部材22に形成された穴22aと嵌合して、蓋部材22を位置決めするためのものである。
【0037】
蓋部材22は、流路16に通じる受け入れ口19bを覆うことで、流路16内の液体の蒸発を防止する。蓋部材22は、弾性部材、例えば、ゴムやプラスチックで形成されており、各受け入れ口19bに対応する位置に、十字形のスリット22bが形成されている。ピペット28a,28bは、スリット22bを押し広げながら挿入される。スリット22bは、ピペット28a,28bが引き抜かれると、弾性力によって初期状態に復帰して、受け入れ口19bを塞ぐ。
【0038】
また、図示しないが、このセンサユニット12には、個々のユニットを識別できるように各ユニット毎の識別IDなどの情報を含むバーコードが記録されている。各センサユニット12に識別IDを記録しておけば、例えば、各センサユニット12毎の測定結果と、注入した試料溶液の種類などを対応付けてデータを管理することが可能になる。なお、バーコードを設ける代わりに、例えば、RFIDタグなどのICタグを設けてもよい。
【0039】
センサユニット12がセットされる測定ステージには、センサユニット12を着脱自在に保持する装着部となるテーブル31が設けられている。センサユニット12は、図示しないハンドリング機構によって待機位置から測定ステージへ運ばれ、テーブル31にセットされる。テーブル31には、センサユニット12の底部と嵌合するガイドレール31aが設けられている。センサユニット12は、ガイドレール31aに沿ってスライド自在に設けられており、そのスライドによって、各センサセル17が選択的に測定位置に挿入される。センサユニット12のスライドは、前記ハンドリング機構によって行われる。
【0040】
図3に示すように、照明部26は、プリズム14と金属膜13との界面33に向けて光を照射する。上述したとおり、リガンドとアナライトの反応状況は、共鳴角の変化として顕れるため、照明部26は、全反射条件を満足する様々な入射角の光ビームを前記界面33に入射させる。照明部26は、光源と、光学系からなり、光源としては、例えば、LED(Light Emitting Diode),LD(Laser Diode),SLD(Super Luminescent Diode)などの発光素子が使用される。
【0041】
光学系は、コリメータレンズ,光ファイバー36,集光レンズ37などからなる。光ファイバー36が出射する発散光は、集光レンズ37によって界面33の特定の入射位置に収束する。これにより、様々な入射角の光ビームが界面33に照射される。この光ビームの入射位置は、反射光の光強度を検出して測定信号を得る検出位置Pとなる。また、act領域23aとref領域23bには、それぞれの領域に光ビームが照射されるが、各領域への光ビームは、例えば、1つの光源からの光を分光して生成される。
【0042】
検出器27は、例えば、CCDエリアセンサやフォトダイオードアレイからなり、界面33上の検出位置Pで反射した反射光を受光してその反射光の光強度に応じたレベルの光強度信号を出力する。検出位置Pでは、様々な入射角で入射した光ビームが反射する。それらに対応する様々な反射角の反射光は検出器27に入射する。検出器27は、各反射角を持つ反射光に対応する光強度信号をそれぞれ出力する。これにより、反射光の光強度分布が得られる。
【0043】
SPRが発生する共鳴角は、金属膜13表面の媒質の屈折率に応じて決まる。図4のグラフに示すように、様々な入射角θで入射した光ビームのうち、共鳴角θspで入射した反射光Rsp(図3上ハッチングで示す)の光強度は、大きく減衰するので、検出器27の受光面27a上では、反射光Rspの受光位置(以下、暗線位置という)Dが暗線として検出される。図4のグラフに示すように、リガンドとアナライトとの反応が生じて、屈折率が変化すると、共鳴角θspが変化(θsp0→θsp1)し、受光面27a内で暗線位置Dが移動する。測定信号に基づいて、この暗線位置Dの変化を捉えることにより、リガンドとアナライトの結合反応が測定される。
【0044】
検出器27は、act領域23aに対応する測定信号をact信号として出力し、ref領域23bに対応する測定信号をref信号として出力する。信号処理部38は、act信号とref信号の差や比に基づいて、測定データを生成する。act信号とref信号とに基づいて測定データを生成することで、センサユニットやセンサセルの個体差や、装置の機械的な変動や、液体の温度変化など、外乱に起因するノイズをキャンセルすることができるので、精度の高い測定が可能になる。
【0045】
コントローラ39は、分注ヘッド28,照明部26,検出器27など、SPR測定装置の各部を統括的に制御する。ヘッド駆動機構41は、分注ヘッド28を駆動する。コントローラ39は、ヘッド駆動機構41を通じて、分注ヘッド28の移動や、吸引及び吐出動作を制御する。
【0046】
データ解析部42は、測定データを解析して、共鳴角に対応する反射光の減衰角を表すレゾナンスシグナル(SPR信号)の経時変化を求める。測定処理は、アナライトとリガンドの相互作用を測定する反応測定処理と、センサ面13aを次回の測定のために再生する洗浄処理とからなる。SPR信号は、この測定処理の全期間を通じて取得される。
【0047】
図5に示すグラフは、1回の測定処理の全期間におけるSPR信号の経時変化を示す。測定処理は、アナライトとリガンドの相互作用を測定する反応測定処理と、センサ面13aを次回の測定のために再生する洗浄処理とからなる。反応測定処理では、まず、バッファ液(緩衝液)がセンサ面13aに送液され、そのときのセンサ面13aの屈折率に応じた共鳴角に対応するSPR信号が検出される。バッファ液を送液した際のSPR信号の信号レベルは、結合反応測定処理前の初期の信号レベルであり、この初期レベル(ベースライン)Iは、結合反応を評価する際の基準となる。
【0048】
この後、アナライトを溶媒に溶かしたアナライト溶液をセンサ面13aに送液して結合反応が測定される。センサ面13a上でリガンドとアナライトとの結合反応が生じると、屈折率変化が生じて減衰角が変化する。これにより、SPR信号の信号レベルが上昇する。この結合反応を測定後、再びバッファ液をセンサ面13aに送液して、結合したリガンドとアナライトとの解離反応が測定される。リガンドからアナライトが解離すると、センサ面13aが、リガンドへアナライト結合する前の初期状態に近づくのでSPR信号の信号レベルが下降して、初期レベルIに近づく。
【0049】
ここで、バッファ液や、アナライト溶液の溶媒(希釈液)としては、例えば、各種のバッファ液(緩衝液)の他、生理的食塩水に代表される生理的塩類溶液や、純水が使用される。これらの各液の種類、pH値、混合物の種類及びその濃度等は、試料の種類に応じて適宜決められる。
【0050】
反応測定処理が終了すると、センサ面13aの洗浄処理が実行される。洗浄処理では、洗浄液をセンサ面13aに送液して残留したアナライトを除去することにより、センサ面13aを次回の測定に使用することができるように、結合反応前の初期状態に復帰(再生)させる。洗浄液としては、再生液と、バッファ液とが使用される。再生液は、残留したアナライトをセンサ面13aから払拭する作用を持つことが要求されるが、同時にリガンドの活性を保持するものでなければならない。再生液の具体例としては、例えば、生理的食塩水、塩酸溶液、蟻酸(Formic Acid)、界面活性剤などが使用される。
【0051】
再生液を流路16へ注入してセンサ面13aに送液すると、再生液自体の影響によって屈折率が急激に変化してSPR信号の信号レベルが急激に立ち上がる。流路16内で所定時間再生液を滞留させた後、バッファ液を流路16へ注入する。バッファ液の注入により再生液が流路16から排出されると、SPR信号が下降する。センサ面13aに残留したアナライトの多くは、再生液とともに流路16から排出されるが、一部はセンサ面13aに残留する。バッファ液は、こうした残留アナライトとともに、残留した再生液をセンサ面13aから除去する。バッファ液は、所定時間、流路16内に滞留されるが、その間、洗浄が進むにつれてSPR信号が下降する。この洗浄処理において、バッファ液の注入は、例えば、3回行われる。もちろん、この注入回数は、1〜2回でもよいし、3回以上でもよく、試料の量、種類等に応じて適宜決定される。
【0052】
データストレージ43は、こうして得たSPR信号の経時変化を測定結果として記憶する。タイマ44は、測定時間等を計測する。洗浄状態判定部46は、洗浄処理中における
SPR信号に基づいてセンサ面13aの洗浄状態を判定する。コントローラ39は、洗浄状態判定部46の判定結果に基づいて、洗浄処理を終了するか、継続するか否かを決定する。
【0053】
図6に示すフローチャートは、洗浄処理手順を示すフローチャートである。洗浄処理が開始されると、再生液、バッファ液の順に洗浄液が流路16へ注入される。洗浄液が注入されて所定時間が経過した時点で洗浄状態判定処理が行われる。洗浄状態判定部46は、洗浄状態判定部46は、SPR信号の信号レベルが初期レベルIに達しているかを調べ、信号レベルが初期レベルIに達している場合には、センサ面13aが初期状態に復帰したと判定する。
【0054】
コントローラ39は、初期状態に復帰したという判定結果を受けると、洗浄処理の終了を決定する。洗浄処理の終了が決定されると、分注ヘッド28によって流路16に滞留したバッファ液を排出して洗浄処理を終了する。
【0055】
他方、洗浄状態判定部46は、信号レベルが初期レベルIに達していない場合には、洗浄状態が初期状態に復帰していないと判定する。コントローラ39は、この判定結果を受けると、洗浄処理の継続を決定する。洗浄処理の継続が決定されると、分注ヘッド28によりバッファ液を流路16へ再注入してセンサ面13aへ送液する。この後、再びセンサ面13aの洗浄状態が判定され、その判定結果に基づいて洗浄処理の終了又は継続が決定される。こうした手順を洗浄状態が初期状態に復帰するまで継続する。
【0056】
このように、洗浄処理中にSPR信号をモニタしてセンサ面13aの洗浄状態を調べ、洗浄状態が初期状態に復帰した場合には、洗浄処理が終了される。そのため、洗浄状態が初期状態に復帰したにも関わらず洗浄処理が継続されるというように無駄な洗浄処理時間が省かれるので、測定処理のスループットの低下が防止される。また、洗浄状態判定の結果、センサ面13aが初期状態に復帰していない場合には、洗浄処理が継続されるので、測定済みの試料がセンサ面13aに残留するなど洗浄が不完全な状態で次回の測定処理が行われることがなくなる。これにより、試料の反応を正確に測定することができる。
【0057】
上記実施形態では、洗浄処理を継続する際に、センサ面にバッファ液のみを再送する例で説明しているが、バッファ液だけでなく再生液も再送するようにしてもよい。送液順序としては、図6の洗浄処理の手順に従って、再生液を送液した後、バッファ液が送液される。
【0058】
また、上記実施形態では、洗浄処理を継続する際に、洗浄内容が一律に決められる例で説明しているが、洗浄処理開始後所定時間経過した時点におけるセンサ面の洗浄処理の進捗度は、試料の種類や量によって様々である。センサ面が初期状態に復帰しているか否かだけでなく、こうした洗浄処理の進捗度を含む洗浄状態は、例えば、図7に示すように、洗浄処理開始後、所定時間経過するまでのSPR信号の経時変化を表す曲線C1〜C4に基づいて調べることができる。
【0059】
曲線C1は、バッファ液の送液開始時刻T1から信号レベルが初期レベルに向かって下降して、時刻T2で初期レベルIに達している。曲線C2〜C4は、時刻T2において、信号レベルが初期レベルIに達しておらず、洗浄状態が初期状態に復帰していない。これら曲線C2〜C4のうち、曲線C2,C3は、初期レベルIよりも信号レベルが高いが、所定値Sよりは低い。曲線C4は、所定値Sを上回っている。洗浄状態判定部46によってこうした曲線を解析して洗浄状態を調べ、その結果に応じてコントローラ39が洗浄内容を変更するようにしてもよい。
【0060】
例えば、図8に示すフローチャートのように、洗浄状態判定処理において、まず、信号レベルが初期レベルIに達しているかを調べ、曲線C1のように、初期レベルIに達している場合には、センサ面が初期状態に復帰したと判定して、洗浄処理を終了する。曲線C2〜C4のように、信号レベルが初期レベルIに達していない場合には、洗浄処理を継続するが、その洗浄内容を、信号レベルと初期レベルとの差が所定量以上あるか否かに応じて変更する。例えば、初期レベルよりも高い所定値Sを設定し、この所定値Sを上回っている曲線C4のような場合には、洗浄処理の進捗度がかなり遅れていると考えられるので、洗浄処理を再生液の送液から再度実行して、再生液とバッファ液の送液を行う。所定値S以下の曲線C2,C3のような場合には、曲線C4と比較して洗浄処理の進捗度は進行していると考えられるので、再生液を送液せずに、バッファ液のみ再送する。
【0061】
また、曲線C2と曲線C3は、時刻T2における信号レベルは同じだが、傾き(変化率)が異なる。すなわち、曲線C2の傾きはほぼ水平で信号レベルの変化は見られないのに対して、曲線C3は、初期レベルIに向かって傾いており、まだ信号レベルが下降する可能性が認められる。そこで、図9に示すフローチャートのように、曲線の傾きを調べて、それが曲線C3のように初期レベルIに向かっているような場合には、洗浄液(再生液やバッファ液)を再送することなく、流路16にバッファ液を滞留させたまま所定時間放置して、洗浄処理が進行(信号レベルが下降)するのを待機してもよい。
【0062】
また、図10に示すように、洗浄液(ハッチングで示す)を流路16に再注入したときに、センサ面に送液した洗浄液がセンサ面上で流動するように、分注ヘッド28によって洗浄液を攪拌するようにしてもよい。分注ヘッド28は、各ピペット28a,28bの一方から洗浄液を吐出し、他方から洗浄液を吸引する。こうした吐出動作と吸引動作とを交互に切り替えることにより、流路16内で洗浄液が流動して攪拌される。こうすることで、単に流路16へ洗浄液を注入する場合と比べて、センサ面13aの洗浄力を高めることができる。洗浄力を高めることは、洗浄処理時間の短縮化にも寄与する。こうした方法は、例えば、曲線C4のように、センサ面13aの洗浄処理の進捗度がかなり遅れている場合に特に有効である。
【0063】
また、洗浄力を高める方法としては、図11に示すように、センサ面13aに洗浄液を送液する際に、洗浄液とともにエアー51を流路16に注入して、洗浄液とエアー51とが交互にセンサ面13a上を通過するようにしてもよい。この場合には、図11(A)に示すように、まず、ピペット28aで洗浄液とエアー51とを交互に吸引する。そして、図11(B)に示すように、ピペット28aから洗浄液とエアー51とを流路16へ注入する。これにより、流路16に注入された洗浄液とエアー51とが交互にセンサ面13aを通過する。なお、こうして流路16に注入した洗浄液とエアー51とを、図10に示す手順で攪拌してもよい。こうすれば、より高い洗浄力が得られる。
【0064】
また、洗浄力を高めるために、洗浄液の種類又は濃度を変更して、この変更後の洗浄液を再送するようにしてもよい。もちろん、洗浄液の種類又は濃度の変更と、上記攪拌やエラー混入とを組み合わせてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、いずれも、洗浄状態判定処理において、信号レベルが初期レベルIに達していない場合には、洗浄処理を継続する例で説明したが、図12のフローチャートに示すように、信号レベルが初期レベルIに達していない場合に、洗浄処理が不完全であるという判定結果を表すエラーフラグを記録するエラーフラグ記録処理を行って、洗浄処理を継続することなく、洗浄処理を終了してもよい。エラーフラグは、例えば、当該センサ面を特定するためのID情報と関連付けて、コントローラ39によってデータストレージ43に記録される。ID情報は、例えば、センサユニットIDとこのセンサユニット内のどのセンサセルかを特定するためのチャンネルIDとからなる。こうしたエラーフラグを記録しておけば、このエラーフラグに基づいて、洗浄処理が不完全なセンサ面を識別することができるので、そのセンサ面が次回の測定に使用されることを避けたり、仮にそのセンサ面で測定を行った場合でも、その測定結果を排除することができる。
【0066】
このように、洗浄状態が不完全な場合に、エラーフラグを記録して洗浄処理を終了させることは、複数のチャンネル(センサセル)を持つセンサユニットを用いる場合には、特に有効である。例えば、各チャンネルを使用する測定処理を並行して行うような場合には、洗浄処理に時間のかかるチャンネルが1つでもあると、他のチャンネルはそのチャンネルの洗浄処理が終了するまでの間待機しなければならず、次回の測定処理に進むことができず、スループットが低下してしまうことになる。そのため、1つのチャンネルの洗浄処理が不完全な場合でも、そのチャンネルに対してエラーフラグを記録して次回の測定処理に進めれば、他のチャンネルの待機時間をなくすことができるのでスループットが低下することがない。
【0067】
これまで、センサ面の洗浄状態が初期レベルに復帰していない場合の処理として、大きくわけて、洗浄処理を継続するか、又は、エラーフラグを記録して洗浄処理を終了するかという2通りのパターンを説明したが、例えば、信号レベルが所定値よりも上回っている場合には、フラグ記録処理を行い、所定値以下の場合には、洗浄状態を継続するというようにこれらを組み合わせてもよい。
【0068】
また、洗浄処理を継続する場合でも、大きくわけて、洗浄液を再送する処理、所定時間待機する処理の2通りのパターンがあり、さらに、洗浄液を再送する処理でも、攪拌や洗浄液の濃度変更などいくつかのパターンがある。上記実施形態では、こうしたパターンの組み合わせの例をいくつか説明したが、上述した以外の組み合わせとして、例えば、曲線C4の場合にはエラーフラグを記録して、曲線C3の場合には所定時間待機して、曲線C2の場合には洗浄液を再送するというように、各種の組み合わせが考えられる。本発明には、こうした種々のパターンの組み合わせももちろん含まれる。
【0069】
上記実施形態では、3つのセンサセルを持つマルチチャンネルタイプのセンサユニットを使用した例で説明しているが、1ユニットに含まれるセンサセルの数は3つに限らず、1つでもよいし、3つ以上設けてもよい。
【0070】
また、センサユニットとして、金属膜、流路、プリズムを一体化した例で説明したが、これらのうち、プリズムや流路部材をセンサユニットの構成要素から除いて、装置側に設けてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、センサ面上にSPRを発生させて、そのときの反射光の減衰を検出するSPRセンサを例に説明したが、本発明は、SPRセンサに限らず、他の全反射減衰を利用した測定にも適用することができる。全反射減衰を利用するセンサとしては、SPRセンサの他に、例えば、漏洩モードセンサが知られている。漏洩モードセンサは、誘電体と、この上に順に層設されたクラッド層と光導波層とによって構成された薄膜とからなり、この薄膜の一方の面がセンサ面となり、他方の面が光入射面となる。光入射面に全反射条件を満たすように光を入射させると、その一部が前記クラッド層を透過して前記光導波層に取り込まれる。そして、この光導波層において、導波モードが励起されると、前記光入射面における反射光が大きく減衰する。導波モードが励起される入射角は、SPRの共鳴角と同様に、センサ面上の媒質の屈折率に応じて変化する。この反射光の減衰を検出することにより、前記センサ面上の反応が測定される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】SPR測定方法の概略説明図である。
【図2】センサユニットの構成図である。
【図3】SPR測定装置の概略図である。
【図4】反射光強度と共鳴角変化を説明するグラフである。
【図5】測定処理のSPR信号の経時変化を示すグラフである。
【図6】洗浄処理手順を示すフローチャートである。
【図7】洗浄処理中のSPR信号の変化を示すグラフである。
【図8】信号レベルが所定値に達しているか否かに応じて処理を変更する洗浄処理手順を示すフローチャートである。
【図9】SPR信号の曲線の傾きに応じて処理を変更する洗浄処理手順を示すフローチャートである。
【図10】洗浄液の攪拌方法の説明図である。
【図11】洗浄液及びエアーの注入方法の説明図である。
【図12】洗浄状態が不完全な場合には、エラーフラグ記録を行う洗浄処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
12 センサユニット
13 金属膜
13a センサ面
14 プリズム
16 流路
17 センサセル
23 リンカー膜
26 照明部
27 検出器
28 分注ヘッド
39 コントローラ
42 データ解析部
43 データストレージ
46 洗浄状態判定部





 

 


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