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発明の名称 光学フィルム、画像表示装置、液晶表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−57665(P2007−57665A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−240967(P2005−240967)
出願日 平成17年8月23日(2005.8.23)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 田坂 知樹
要約 課題
画像表示装置において発生する視野角に依存した光漏れ及び色味の変化を極力抑えることが可能な光学フィルムを提供する。

解決手段
偏光子1bと、これに積層された3つの位相差フィルム2a〜2cとを有する光学フィルム10は、偏光子1bの吸収軸と3つの位相差フィルム2a〜2cの各遅相軸とが直交または平行で、かつ、3つの位相差フィルム2a〜2cの各遅相軸が平行となっており、3つの位相差フィルム2a〜2cのそれぞれのNz値の総和が実質的に0.5×i(iは前記位相差フィルムの数)となり、3つの位相差フィルム2a〜2cのそれぞれの面内位相差Re=(nx−ny)×dが200〜350nmである。
特許請求の範囲
【請求項1】
偏光子と、これに積層された少なくとも3つの位相差フィルムとを有する光学フィルムであって、
前記偏光子の吸収軸と前記少なくとも3つの位相差フィルムの各遅相軸とが直交または平行で、かつ、前記少なくとも3つの位相差フィルムの各遅相軸が平行となっており、
前記少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれの面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、前記位相差フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、nzとし、前記少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれの厚さをd(nm)とした場合に、前記少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれについて算出されるNz値=(nx−nz)/(nx−ny)の総和が、実質的に0.5×i(iは前記位相差フィルムの数)となり、且つ、前記少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれの面内位相差Re=(nx−ny)×dが200〜350nmである光学フィルム。
【請求項2】
請求項1記載の光学フィルムであって、
前記偏光子と、これに積層された3つの前記位相差フィルムとを備え、
前記偏光子の吸収軸と前記3つの位相差フィルムの各遅相軸とが平行であり、
前記3つの位相差フィルムの各々のNz値は、前記偏光子に近い側から順に、0.85〜0.9、0.4〜0.6、0.1〜0.15の範囲内にある光学フィルム。
【請求項3】
請求項1記載の光学フィルムであって、
前記偏光子と、これに積層された3つの前記位相差フィルムとを備え、
前記偏光子の吸収軸と前記3つの位相差フィルムの各遅相軸とが直交しており、
前記3つの位相差フィルムの各々のNz値は、前記偏光子に近い側から順に、0.1〜0.15、0.4〜0.6、0.85〜0.9の範囲内にある光学フィルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の光学フィルムであって、
前記偏光子を挟んで対向する2つの透明な保護フィルムを備え、
前記位相差フィルムは前記2つの保護フィルムのいずれかの上に積層される光学フィルム。
【請求項5】
請求項4記載の光学フィルムであって、
前記保護フィルムの面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、前記保護フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx2、ny2、nz2、前記保護フィルムの厚さをd2(nm)とした場合に、
前記2つの保護フィルムの少なくとも一方の面内位相差Re2=(nx2−ny2)×d2が20nm以下であり、かつ、厚み方向位相差Rth={(nx2+ny2)/2−nz2}×d2が30nm以下である光学フィルム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の光学フィルムであって、
前記保護フィルムが延伸処理されたフィルムである光学フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか記載の光学フィルムと、
画像を表示する表示手段とを備える画像表示装置。
【請求項8】
IPSモードの液晶表示装置であって、
液晶パネルと、
前記液晶パネルの画像表示面側に設けられた請求項1〜6のいずれか記載の光学フィルムと、
前記液晶パネルの画像表示面の反対側に設けられた偏光板とを備え、
前記液晶パネルへの電圧無印加状態において、前記液晶パネル内の液晶物質の異常光屈折率方向と前記偏光板の吸収軸とが平行になる液晶表示装置。
【請求項9】
IPSモードの液晶表示装置であって、
液晶パネルと、
前記液晶パネルの画像表示面の反対側に設けられた請求項1〜6のいずれか記載の光学フィルムと、
前記液晶パネルの画像表示面側に設けられた偏光板とを備え、
前記液晶パネルへの電圧無印加状態において、前記液晶パネル内の液晶物質の異常光屈折率方向と前記光学フィルムの偏光子の吸収軸とが直交する液晶表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光子と、これに積層された少なくとも3つの位相差フィルムとを有する光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置としては、正の誘電率異方性を有する液晶を、相互に対向する基板間にねじれ水平配向したいわゆるTNモードの液晶表示装置が主として使われている。しかし、TNモードではその駆動特性上、黒表示をしようとしても基板近傍の液晶分子により複屈折が生じる結果、光漏れが生じてしまい、完全な黒表示を行うことが困難であった。これに対し、IPSモードの液晶表示装置は、非駆動状態において液晶分子が基板面に対して略平行なホモジニアス配向を有するため、光は液晶層を、その偏光面をほとんど変化させること無く通過し、その結果基板の上下に偏光板を配置することにより非駆動状態でほぼ完全な黒色表示が可能である。
【0003】
しかしながら、IPSモードでは表示面の法線方向においてはほぼ完全な黒色表示ができるものの、法線方向からずれた方向から表示面を観察する場合、液晶セルの上下に配置する偏光板の光軸方向からずれた方向では偏光板の特性上避けられない光漏れが発生する結果、視野角が狭くなるという問題があった。
【0004】
この問題を解決する光学フィルムが特許文献1に記載されているが、この光学フィルムは、視野角に依存する光漏れは抑えることができるものの、視野角に依存する色味の変化を抑えることが難しかった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−99476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、画像表示装置において発生する視野角に依存した光漏れ及び色味の変化を極力抑えることが可能な光学フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学フィルムは、偏光子と、これに積層された少なくとも3つの位相差フィルムとを有する光学フィルムであって、前記偏光子の吸収軸と前記少なくとも3つの位相差フィルムの各遅相軸とが直交または平行で、かつ、前記少なくとも3つの位相差フィルムの各遅相軸が平行となっており、前記少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれの面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、前記位相差フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、nzとし、前記少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれの厚さをd(nm)とした場合に、前記少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれについて算出されるNz値=(nx−nz)/(nx−ny)の総和が、実質的に0.5×i(iは前記位相差フィルムの数)となり、且つ、前記少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれの面内位相差Re=(nx−ny)×dが200〜350nmである。
【0008】
本発明の光学フィルムは、前記偏光子と、これに積層された3つの前記位相差フィルムとを備え、前記偏光子の吸収軸と前記3つの位相差フィルムの各遅相軸とが平行であり、前記3つの位相差フィルムの各々のNz値は、前記偏光子に近い側から順に、0.85〜0.9、0.4〜0.6、0.1〜0.15の範囲内にある。
【0009】
本発明の光学フィルムは、前記偏光子と、これに積層された3つの前記位相差フィルムとを備え、前記偏光子の吸収軸と前記3つの位相差フィルムの各遅相軸とが直交しており、前記3つの位相差フィルムの各々のNz値は、前記偏光子に近い側から順に、0.1〜0.15、0.4〜0.6、0.85〜0.9の範囲内にある。
【0010】
本発明の光学フィルムは、前記偏光子を挟んで対向する2つの透明な保護フィルムを備え、前記位相差フィルムは前記2つの保護フィルムのいずれかの上に積層される。
【0011】
本発明の光学フィルムは、前記保護フィルムの面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、前記保護フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx2、ny2、nz2、前記保護フィルムの厚さをd2(nm)とした場合に、前記2つの保護フィルムの少なくとも一方の面内位相差Re2=(nx2−ny2)×d2が20nm以下であり、かつ、厚み方向位相差Rth={(nx2+ny2)/2−nz2}×d2が30nm以下である。
【0012】
本発明の光学フィルムは、前記保護フィルムが延伸処理されたフィルムである。
【0013】
本発明の画像表示装置は、前記光学フィルムと、画像を表示する表示手段とを備える。
【0014】
本発明の液晶表示装置は、IPSモードの液晶表示装置であって、液晶パネルと、前記液晶パネルの画像表示面側に設けられた前記光学フィルムと、前記液晶パネルの画像表示面の反対側に設けられた偏光板とを備え、前記液晶パネルへの電圧無印加状態において、前記液晶パネル内の液晶物質の異常光屈折率方向と前記偏光板の吸収軸とが平行になる。
【0015】
本発明の液晶表示装置は、IPSモードの液晶表示装置であって、液晶パネルと、前記液晶パネルの画像表示面の反対側に設けられた前記光学フィルムと、前記液晶パネルの画像表示面側に設けられた偏光板とを備え、前記液晶パネルへの電圧無印加状態において、前記液晶パネル内の液晶物質の異常光屈折率方向と前記光学フィルムの偏光子の吸収軸とが直交する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像表示装置において発生する視野角に依存した光漏れ及び色味の変化を極力抑えることが可能な光学フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本明細書において、「数値a〜数値b」という表現は、数値a以上数値b以下ということを意味する。
図1及び図2は、本発明の実施形態を示す光学フィルムの構成例を示す図であり、(a)は断面図、(b),(c)は光学フィルムの各構成要素の光学軸同士の関係を示す図である。図1及び図2の(b),(c)では、各構成要素上に矢印を図示している。この矢印は、それぞれの光学軸(位相差フィルムの場合は遅相軸、偏光板の場合はそれを構成する偏光子の吸収軸)を表している。
【0018】
図1に示す光学フィルム10は、偏光子1b及びこれを挟む2つの透明な保護フィルム1a,1cからなる偏光板1と、偏光板1の保護フィルム1a上に積層された位相差フィルム2aと、位相差フィルム2a上に積層された位相差フィルム2bと、位相差フィルム2b上に積層された位相差フィルム2cとを備える。
【0019】
図1(b)に示すように、光学フィルム10は、偏光板1の吸収軸と位相差フィルム2a,2b,2cの各遅相軸とが平行になり、且つ、位相差フィルム2a,2b,2cの各遅相軸が平行になるように、偏光板1と位相差フィルム2a,2b,2cとを積層した構成となっている。尚、図1(c)に示すように、光学フィルム10は、偏光板1の吸収軸と位相差フィルム2a,2b,2cの各遅相軸とが直交し、且つ、位相差フィルム2a,2b,2cの各遅相軸が平行になるように、偏光板1と位相差フィルム2a,2b,2cとを積層した構成であっても良い。
【0020】
図2に示す光学フィルム20は、図1に示す光学フィルム10の位相差フィルム2c上に、もう一つの位相差フィルム2dを積層した点のみが異なる。位相差フィルム2dの遅相軸は、図2(b)に示すように、他の位相差フィルムの遅相軸及び偏光板の吸収軸それぞれに平行になっている。光学フィルム20も光学フィルム10と同様、図2(c)に示すように、偏光板1の吸収軸と位相差フィルム2a,2b,2c,2dの各遅相軸とが直交し、且つ、位相差フィルム2a,2b,2c,2dの各遅相軸が平行になるように、偏光板1と位相差フィルム2a,2b,2c,2dとを積層した構成であっても良い。
【0021】
図1及び図2では、偏光板1の保護フィルム1a上に3つ又は4つの位相差フィルムが積層されるものとしたが、保護フィルム1aを省略して、3つ又は4つの位相差フィルムを保護フィルムとして機能させても良い。又、位相差フィルムを5つ以上積層した構成であっても良い。
【0022】
本出願人は、創意工夫の結果、図1及び図2に示す少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれの面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、これら位相差フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、nzとし、これら少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれの厚さをd(nm)とした場合に、これら少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれについて算出されるNz値=(nx−nz)/(nx−ny)の総和が、実質的に0.5×i(iは前記位相差フィルムの数)となり、且つ、これら少なくとも3つの位相差フィルムのそれぞれの面内位相差Re=(nx−ny)×dが200〜350nmとなるようにすることで、この光学フィルムを、液晶表示装置、特にIPSモードの液晶表示装置等の画像表示装置に適用したとき、その画像表示装置の視野角に依存する光漏れ及び色味変化を抑制できることを見出した。
【0023】
又、図1(b)に示す光学フィルムにおいて、位相差フィルム2aのNz値が0.85〜0.9の範囲にあり、位相差フィルム2bのNz値が0.4〜0.6の範囲にあり、位相差フィルム2cのNz値が0.1〜0.15の範囲にあるときに、色味変化の抑制効果が高いことも分かった。
【0024】
又、図1(c)に示す光学フィルムにおいて、位相差フィルム2aのNz値が0.1〜0.15の範囲にあり、位相差フィルム2bのNz値が0.4〜0.6の範囲にあり、位相差フィルム2cのNz値が0.85〜0.9の範囲にあるときに、色味変化の抑制効果が高いことも分かった。
【0025】
以下では、上記効果を証明するためのシミュレーション結果について説明するが、その前に、光学フィルムの各構成要素及びその作り方について説明する。
【0026】
位相差フィルムとしては、上述したNz値および面内位相差Reの値を満足するものを特に制限なく使用することができる。たとえば、高分子ポリマーフィルムの複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルムなどがあげられる。
【0027】
高分子ポリマーとしては、たとえば、ポリカーボネート、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリノルボルネン等の脂環式ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。任意のRe及びNz値を持つ位相差フィルムは、高分子ポリマーフィルムを面方向に二軸に延伸する方法、面方向に一軸または二軸に延伸し、厚さ方向にも延伸する方法等により厚さ方向の屈折率を制御することにより得られる。また高分子ポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理して傾斜配向させる方法等により得られる。
【0028】
液晶性ポリマーとしては、たとえば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これら液晶性ポリマーの配向フィルムは、たとえば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化珪素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより、液晶ポリマーを配向させたもの、特に傾斜配向させたものが好ましい。
【0029】
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
【0030】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
【0031】
偏光板は、2つの保護フィルムの面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、2つの保護フィルムのそれぞれの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx2、ny2、nz2、2つの保護フィルムのそれぞれの厚さをd2(nm)とした場合に、2つの保護フィルムの少なくとも一方の面内位相差Re2=(nx2−ny2)×d2が20nm以下であり、かつ、厚み方向位相差Rth={(nx2+ny2)/2−nz2}×d2が30nm以下であることが好ましい。
【0032】
更に、少なくとも一方の保護フィルムの面内位相差Re2が10nm以下であり、かつ、厚み方向位相差Rthが20nm以下であることがより好ましい。このように、偏光子を保護する保護フィルムの残留位相差を小さくすることにより、偏光板に積層する位相差フィルムの設計が容易になるとともに、位相差フィルムによる補償効果の高い光学フィルムを得ることができる。保護フィルムの厚さd2は特に制限されないが、一般には500μm以下であり、1〜300μmが好ましい。特に5〜200μmとするのが好ましい。
【0033】
偏光子を保護する2つの保護フィルムを形成する材料は、特に制限されないが、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニル基およびニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有してなるものを好ましく使用できる。かかる熱可塑性樹脂(A)、(B)を含有する保護フィルムは、偏光子の寸法変化による応力を受けた場合にも位相差が生じにくく、延伸処理した場合にも面内位相差Re2、厚み方向位相差Rthを小さく制御することができる。かかる熱可塑性樹脂(A)、(B)を含有する保護フィルムは、たとえば、WO01/37007に記載されている。なお、保護フィルムは、熱可塑性樹脂(A)、(B)を主成分とする場合にも他の樹脂を含有することもできる。
【0034】
熱可塑性樹脂(A)は、側鎖に置換および/または非置換イミド基を有するものであり、主鎖は任意の熱可塑性樹脂である。主鎖は、例えば、炭素のみからなる主鎖であってもよく、または炭素以外の原子が炭素間に挿入されていてもよい。また炭素以外の原子からなっていてもよい。主鎖は好ましく炭化水素またはその置換体である。主鎖は、例えば付加重合により得られる。具体的には例えば、ポリオレフィンまたはポリビニルである。また主鎖は縮合重合により得られる。例えばエステル結合、アミド結合などで得られる。主鎖は好ましくは置換ビニルモノマーを重合させて得られるポリビニル骨格である。
【0035】
熱可塑性樹脂(A)に置換および/または非置換のイミド基を導入する方法としては、従来公知の任意の方法を採用できる。例えば、前記イミド基を有するモノマーを重合する方法、各種モノマーを重合して主鎖を形成した後、前記イミド基を導入する方法、前記イミド基を有する化合物を側鎖にグラフトさせる方法等があげられる。イミド基の置換基としては、イミド基の水素を置換し得る従来公知の置換基が使用可能である。例えば、アルキル基などがあげられる。
【0036】
熱可塑性樹脂(A)は、少なくとも1種のオレフィンから誘導される繰り返し単位と少なくとも1種の置換および/または非置換マレイミド構造を有する繰り返し単位とを含有する二元またはそれ以上の多元共重合体であるのが好ましい。上記オレフィン・マレイミド共重合体は、オレフィンとマレイミド化合物から、公知の方法で合成できる。合成法は、例えば、特開平5−59193号公報、特開平5−195801号公報、特開平6−136058号公報および特開平9−328523号公報に記載されている。
【0037】
オレフィンとしては、たとえば、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−へキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−へプテン、1−イソオクテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ペンテン、2−エチル−2−ブテン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−へキセン等があげられる。これらのなかでもイソブテンが好ましい。これらのオレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を組合せてもよい。
【0038】
マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−へプチルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド等があげられる。これらのなかでもN−メチルマレイミドが好ましい。これらマレイミド化合物は単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせてもよい。
【0039】
オレフィン・マレイミド共重合体において、オレフィンの繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、熱可塑性樹脂(A)の総繰り返し単位の20〜70モル%程度、好ましくは40〜60モル%、さらに好ましくは45〜55モル%である。マレイミド構造の繰り返し単位の含有量は30〜80モル%程度、好ましくは40〜60モル%、さらに好ましくは45〜55モル%である。
【0040】
熱可塑性樹脂(A)は前記オレフィンの繰り返し単位とマレイミド構造の繰り返し単位を含有し、これらの単位のみにより形成することができる。また前記以外に、他のビニル系単量体の繰り返し単位を50モル%以下の割合で含んでいてもよい。他のビニル系単量体としてはアクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸系単量体、酢酸ビニル等のビニルエステル単量体、メチルビニルエーテル等のビニルエーテル単量体、無水マレイン酸のような酸無水物、スチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等のスチレン系単量体等があげられる。
【0041】
熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量は特に制限されないが、1×103 〜5×106 程度である。前記重量平均分子量は1×104 以上が好ましく、5×105 以下が好ましい。熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度は80℃以上、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。
【0042】
また熱可塑性樹脂(A)としては、グルタルイミド系熱可塑性樹脂を用いることができる。グルタルイミド系樹脂は、特開平2−153904号公報等に記載されている。グルタルイミド系樹脂は、グルタルイミド構造単位とアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチル構造単位を有する。グルタルイミド系樹脂中にも前記他のビニル系単量体を導入できる。
【0043】
熱可塑性樹脂(B)は、置換および/または非置換フェニル基とニトリル基とを側鎖に有する熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂(B)の主鎖は、熱可塑性樹脂(A)と同様のものを例示できる。
【0044】
熱可塑性樹脂(B)に前記フェニル基を導入する方法としては、例えば、前記フェニル基を有するモノマーを重合する方法、各種モノマーを重合して主鎖を形成した後、フェニル基を導入する方法、フェニル基を有する化合物を側鎖にグラフトする方法等があげられる。フェニル基の置換基としては、フェニル基の水素を置換し得る従来公知の置換基が使用可能である。例えば、アルキル基などがあげられる。熱可塑性樹脂(B)にニトリル基を導入する方法もフェニル基の導入法と同様の方法を採用できる。
【0045】
熱可塑性樹脂(B)は、不飽和ニトリル化合物から誘導される繰り返し単位(ニトリル単位)とスチレン系化合物から誘導される繰り返し単位(スチレン系単位)とを含む二元または三元以上の多元共重合体であるのが好ましい。たとえばアクリロニトリル・スチレン系の共重合体を好ましく用いることができる。
【0046】
不飽和ニトリル化合物としては、シアノ基および反応性二重結合を有する任意の化合物があげられる。例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα−置換不飽和ニトリル、フマロニトリル等のα,β−二置換オレフィン性不飽和結合を有するニトリル化合物等があげられる。
【0047】
スチレン系化合物としては、フェニル基および反応性二重結合を有する任意の化合物があげられる。例えば、スチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、クロロスチレン等の非置換または置換スチレン系化合物、α−メチルスチレン等のα−置換スチレン系化合物があげられる。
【0048】
熱可塑性樹脂(B)中のニトリル単位の含有量は特に制限されないが、総繰り返し単位を基準として、10〜70重量%程度、好ましくは20〜60重量%、さらに好ましくは20〜50重量%である。特に20〜40重量%、20〜30重量%が好ましい。スチレン系単位は、30〜80重量%程度、好ましくは40〜80重量%、さらに好ましくは50〜80重量%である。特に60〜80重量%、70〜80重量%が好ましい。
【0049】
熱可塑性樹脂(B)は前記ニトリル単位とスチレン系単位を含有し、これらの単位のみにより形成することができる。また前記以外に他のビニル系単量体の繰り返し単位を50モル%以下の割合で含んでいてもよい。他のビニル系単量体としては熱可塑性樹脂(A)に例示したもの、オレフィンの繰り返し単位、マレイミド、置換マレイミドの繰り返し単位等があげられる。かかる熱可塑性樹脂(B)としてはAS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂等があげられる。
【0050】
熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量は特に制限されないが、1×103 〜5×106 程度である。好ましくは1×104 以上、5×105 以下である。
【0051】
熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の比率は、透明保護フィルムに求められる位相差に応じて調整される。前記配合比は、一般的には熱可塑性樹脂(A)の含有量がフィルム中の樹脂の総量のうちの50〜95重量%であることが好ましく、60〜95重量%であることがより好ましく、さらに好ましくは、65〜90重量%である。熱可塑性樹脂(B)の含有量は、フィルム中の樹脂の総量のうちの5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜40重量%であり、さらに好ましくは、10〜35重量%である。熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)はこれらを熱溶融混練することにより混合される。
【0052】
偏光子を保護する保護フィルムは、前記例示の(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニル基およびニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有してなるものを好ましく使用できる。当該材料を用いた保護フィルムは、偏光子の両面に積層して用いることができる他、偏光子の片面には前記材料を含有する保護フィルムを用い、もう一方の偏光子の片面は前記以外の材料の保護フィルムを用いることができる。さらには、偏光子の両面に前記以外の材料の保護フィルムを用いることができる。本実施形態の光学フィルムにおいては、前記例示の(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニル基およびニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する保護フィルムの上に、位相差フィルムが積層されている構成とするのがより好ましい。かかる構成とすることにより、黒表示における面内ムラを少なくすることができる。
【0053】
前記以外の保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
【0054】
前記保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
【0055】
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
【0056】
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
【0057】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0058】
前記偏光子と保護フィルムとの接着処理には、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等が用いられる。
【0059】
前記位相差フィルムと偏光板の積層法は特に制限されず、粘着剤層等により行うことができる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
【0060】
光学フィルムや粘着剤層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0061】
本発明の光学フィルムは、画像を表示する手段を有する画像表示装置、特に、IPSモードの液晶表示装置に好適に用いられる。
【0062】
IPSモードの液晶表示装置は、一対のガラス基板と、この一対のガラス基板の一方に形成された電極群と、ガラス基板間に挟持された誘電異方性を有する液晶組成物質層と、この一対のガラス基板の対向面に形成されて液晶組成物質の分子配列を所定の方向に配列させるための配向制御層および該電極群に駆動電圧を印加するための駆動手段とを具備した液晶セルを有する。電極群は配向制御層および液晶組成物質層の界面に対して、主として平行な電界を印加するごとく配置された配列構造を有している。
【0063】
図3及び図4は、図1に示す光学フィルムをIPSモードの液晶表示装置に適用した場合の構成例を示す図であり、(a)は断面図、(b)は液晶表示装置の各構成要素の光学軸同士の関係を示す図である。図3及び図4の(b)では、各構成要素上に矢印を図示している。この矢印は、それぞれの光学軸(位相差フィルムの場合は遅相軸、偏光板の場合はそれを構成する偏光子の吸収軸、液晶パネルの場合はそこに含まれる液晶物質の異常光屈折率方向)を表している。
【0064】
図1(b)に示す光学フィルム10を用いる場合には、図3に示すように、液晶パネル4の画像表示面側(視認側)に、光学フィルム10を偏光板1が上になるように設置し、液晶パネル4の画像表示面の反対側(光入射側)に、偏光板1と同じ構成の偏光板3を設置する。又、図3(b)に示すように、偏光板1の吸収軸と偏光板3の吸収軸が直交し、且つ、液晶パネル4への電圧無印加状態において、液晶パネル4内の液晶物質の異常光屈折率方向と偏光板3の吸収軸とが平行になるように、偏光板3、液晶パネル4、及び光学フィルム10を積層する。
【0065】
又は、図4に示すように、液晶パネル4の画像表示面とは反対側(光入射側)に、光学フィルム10を偏光板1が下になるように設置し、液晶パネル4の画像表示面側(視認側)に偏光板3を設置する。又、図4(b)に示すように、偏光板1の吸収軸と偏光板3の吸収軸が直交し、且つ、液晶パネル4への電圧無印加状態において、液晶パネル4内の液晶物質の異常光屈折率方向と偏光板1の吸収軸とが平行になるように、偏光板3、液晶パネル4、及び光学フィルム10を積層する。
【0066】
図2(b)に示す光学フィルム10を用いる場合には、図3及び図4において、液晶パネル4と位相差フィルム2cとの間に位相差フィルム2dが設置された構成となる。
【0067】
一方、図1(c)に示す光学フィルム10を用いる場合には、図5に示すように、液晶パネル4の画像表示面側(視認側)に、光学フィルム10を偏光板1が上になるように設置し、液晶パネル4の画像表示面の反対側(光入射側)に、偏光板1と同じ構成の偏光板3を設置する。又、図5(b)に示すように、偏光板1の吸収軸と偏光板3の吸収軸が直交し、且つ、液晶パネル4への電圧無印加状態において、液晶パネル4内の液晶物質の異常光屈折率方向と偏光板1の吸収軸とが直交するように、偏光板3、液晶パネル4、及び光学フィルム10を積層する。
【0068】
又は、図6に示すように、液晶パネル4の画像表示面とは反対側(光入射側)に、光学フィルム10を偏光板1が下になるように設置し、液晶パネル4の画像表示面側(視認側)に偏光板3を設置する。又、図6(b)に示すように、偏光板1の吸収軸と偏光板3の吸収軸が直交し、且つ、液晶パネル4への電圧無印加状態において、液晶パネル4内の液晶物質の異常光屈折率方向と偏光板1の吸収軸とが直交するように、偏光板3、液晶パネル4、及び光学フィルム10を積層する。
【0069】
図2(c)に示す光学フィルム20を用いる場合には、図5及び図6において、液晶パネル4と位相差フィルム2cとの間に位相差フィルム2dが設置された構成となる。
【0070】
次に、以上説明したIPSモードの液晶表示装置において、光学フィルムの構成を適宜変えたときの、視野角特性(輝度及び色味)のシミュレーション結果を説明する。
シミュレーション条件は以下の通りとした。
液晶パネルのΔnd(Δn:複屈折の大きさ、d:液晶の厚さ)は300nmとし、液晶パネルに含まれる液晶組成物質のプレチルト角が0°と1.5°の2つに分けてシミュレーションを行った。又、液晶組成物質の配向処理は、反平行にラビングなされているものとした。この条件において、液晶パネルを暗状態とし、波長380〜780nmの光の透過率の視野角依存性を、ジョーンズマトリクスを用いた光学シミュレーションにて計算し、結果を比較した。視野角依存性を評価するデータとして、極角60°、方位角0〜360°での黒表示の輝度と色度を計算し、これをグラフ化した。本発明の効果を証明するために、比較用シミュレーション1〜5と、本発明のシミュレーション1〜5との併せて10個のシミュレーション結果を得た。
【0071】
比較用シミュレーション1:図3(b)に示す構成の液晶表示装置において、プレチルト角を0°とし、位相差フィルム2a,2b,2cを省略した構成としてシミュレーションを行った。結果を図7に示した。
【0072】
比較用シミュレーション2:図3(b)に示す構成の液晶表示装置において、プレチルト角を0°とし、位相差フィルム2b,2cを省略した構成とし、位相差フィルム2aのNz値=0.5、Re=275nm、Nz値の総和=0.5として、シミュレーションを行った。シミュレーション結果を図8に示した。
【0073】
比較用シミュレーション3:図3(b)に示す構成の液晶表示装置において、プレチルト角を0°とし、位相差フィルム2cを省略した構成とし、位相差フィルム2aのNz値=0.75、位相差フィルム2bのNz値=0.25、各位相差フィルムのRe=275nm、Nz値の総和=1として、シミュレーションを行った。シミュレーション結果を図9に示した。
【0074】
シミュレーション1:図3(b)に示す構成の液晶表示装置において、プレチルト角を0°とし、位相差フィルム2aのNz値=0.833、位相差フィルム2bのNz値=0.5、位相差フィルム2cのNz値=0.167、各位相差フィルムのRe=275nm、Nz値の総和=1.5として、シミュレーションを行った。シミュレーション結果を図10に示した。
【0075】
シミュレーション2:図3(b)に示す構成の液晶表示装置に位相差フィルム2dを追加した装置において、プレチルト角を0°とし、位相差フィルム2aのNz値=0.875、位相差フィルム2bのNz値=0.625、位相差フィルム2cのNz値=0.375、位相差フィルム2dのNz値=0.125、各位相差フィルムのRe=275nm、Nz値の総和=2として、シミュレーションを行った。シミュレーション結果を図11に示した。
【0076】
シミュレーション3:図3(b)に示す構成の液晶表示装置において、プレチルト角を0°とし、位相差フィルム2aのNz値=0.86、位相差フィルム2bのNz値=0.5、位相差フィルム2cのNz値=0.14、各位相差フィルムのRe=275nm、Nz値の総和=1.5として、シミュレーションを行った。シミュレーション結果を図12に示した。
【0077】
シミュレーション4:図6(b)に示す構成の液晶表示装置において、プレチルト角を0°とし、位相差フィルム2aのNz値=0.14、位相差フィルム2bのNz値=0.5、位相差フィルム2cのNz値=0.86、各位相差フィルムのRe=275nm、Nz値の総和=1.5として、シミュレーションを行った。シミュレーション結果を図13に示した。
【0078】
比較用シミュレーション4:図3(b)に示す構成の液晶表示装置において、プレチルト角を1.5°とし、位相差フィルム2b,2cを省略した構成とし、位相差フィルム2aのNz値=0.5、Re=275nm、Nz値の総和=0.5として、シミュレーションを行った。シミュレーション結果を図14に示した。
【0079】
比較用シミュレーション5:図3(b)に示す構成の液晶表示装置において、プレチルト角を1.5°とし、位相差フィルム2cを省略した構成とし、位相差フィルム2aのNz値=0.75、位相差フィルム2bのNz値=0.25、各位相差フィルムのRe=275nm、Nz値の総和=1として、シミュレーションを行った。シミュレーション結果を図15に示した。
【0080】
シミュレーション5:図3(b)に示す構成の液晶表示装置において、プレチルト角を1.5°とし、位相差フィルム2aのNz値=0.86、位相差フィルム2bのNz値=0.5、位相差フィルム2cのNz値=0.14、各位相差フィルムのRe=275nm、Nz値の総和=1.5として、シミュレーションを行った。シミュレーション結果を図16に示した。
【0081】
図7〜図16に示すグラフのうち、右側のグラフはXY色度図を示し、左側のグラフは方位角毎の輝度のlog値を示す。右側のグラフの横軸はX、縦軸はYを示す。左側のグラフの横軸は方位角を示し、縦軸は輝度のlog値を示す。
【0082】
図9〜図13を見ると、図7,図8の場合よりも、輝度値が正面値(正面から見たときの値)に近づいており、斜め方向から見たときの光漏れが少ないことが分かる。又、図10〜図13を見ると、図9の場合よりも、色味のばらつきが小さい範囲に収まっており、斜め方向から見たときの色味の変化が少ないことが分かる。比較用シミュレーション3で用いた光学フィルムの構成は、特許文献1の実施例1の構成とほぼ同じである。このため、本発明の光学フィルムによれば、特許文献1記載の光学フィルムよりも色味変化を抑えることができることが証明された。
【0083】
又、プレチルト角を1.5°にした状態では、図15に示すように、特許文献1の実施例1のような構成であっても、輝度値は正面値から大きく外れ、色味も広範囲にばらついてしまう。しかし、本発明によれば、プレチルト角を変化させた場合でも、図16に示すように、輝度値を正面値に近づけることができると共に、色味のばらつきを狭い範囲に収めることができる。
【0084】
以上の説明では、シミュレーションによって本発明の効果を証明したが、以下では実施例によって本発明の効果を証明する。尚、本発明は以下に説明する実施例によって限定されるものではない。
【0085】
光学フィルムに用いる位相差フィルムの屈折率nx、ny、nzを自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製,自動複屈折計KOBRA21ADH)により計測し、Nz値、面内位相差Re1を算出した。また、偏光子を保護する保護フィルムについて同様に計測し、面内位相差Re2、厚み方向位相差Rthを算出した。
【0086】
<実施例1>
(保護フィルム1a,1b)
イソブテンおよびN−メチルマレイミドからなる交互共重合体(N−メチルマレイミド含有量50モル%)75重量部と、アクリロニトリルの含有量が28重量%であるアクリロニトリル−スチレン共重合体25重量部とを塩化メチレンに溶解し、固形分濃度15重量%の溶液を得た。この溶液をガラス板上に敷いたポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、室温で60分放置した後、当該フィルムから剥がした。100℃で10分間乾燥後に、140℃で10分間、さらに160℃で30分間乾燥して、厚さ100μmの保護フィルム1a,1cを得た。保護フィルム1a,1cのそれぞれの面内位相差Re2は4nm、厚み方向位相差Rthは4nmであった。
【0087】
(偏光板)
保護フィルム1a,1cを、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて延伸した偏光子(厚さ:20μm)の両面に接着剤を用いて積層して偏光板1を作製した。
【0088】
(位相差フィルム)
ポリカーボネートフィルムを延伸することにより、位相差フィルム2a,2b,2cを作製した。位相差フィルム2aのNz値は約0.833であり、位相差フィルム2bのNz値は約0.5であり、位相差フィルム2cのNz値は約0.167であり、これらの総和は実質的に1.5であった。位相差フィルム2a,2b,2cのそれぞれの面内位相差Re1は275nmであった。
【0089】
(光学フィルム)
これらの材料を図1(b),(c)に示すように粘着剤を用いて積層し、2つの光学フィルム10を作製した。
【0090】
(液晶表示装置)
作成した2つの光学フィルム10を用いて図3〜図5に示すような4つの液晶表示装置を作製した。偏光板3は偏光板1と同じものとした。液晶表示装置に含まれる液晶パネルとしては、シミュレーション1〜5で設定した条件(ラビング反平行処理、プレチルト角0°)を満たすものとした。
【0091】
作製した4つの液晶表示装置を黒表示状態にして、極角60°、方位角0〜360°で観察を行った結果、どの方位角から見ても、光漏れは少なく、又、色味の変化も少なかった。
【0092】
<実施例2>
保護フィルム及び偏光板は実施例1と同じものを用いた。
【0093】
(位相差フィルム)
ポリカーボネートフィルムを延伸することにより、位相差フィルム2a,2b,2c,2dを作製した。位相差フィルム2aのNz値は約0.875であり、位相差フィルム2bのNz値は約0.625であり、位相差フィルム2cのNz値は約0.375であり、位相差フィルム2dのNz値は0.125であり、これらの総和は実質的に2であった。位相差フィルム2a,2b,2c,2dのそれぞれの面内位相差Re1は275nmであった。
【0094】
(光学フィルム)
これらの材料を図2(b),(c)に示すように粘着剤を用いて積層し、2つの光学フィルム20を作製した。
【0095】
(液晶表示装置)
作成した2つの光学フィルム20を用いて図3〜図5に示すような4つの液晶表示装置(図3〜図5において、液晶パネル4と位相差フィルム2cとの間に位相差フィルム2dが入る構成)を作製した。偏光板3は偏光板1と同じものとした。液晶表示装置に含まれる液晶パネルとしては、シミュレーション1〜5で設定した条件(ラビング反平行処理、プレチルト角0°)を満たすものとした。
【0096】
作製した2つの液晶表示装置を黒表示状態にして、極角60°、方位角0〜360°で観察を行った結果、どの方位角から見ても、光漏れは少なく、又、色味の変化も少なかった。
【0097】
<実施例3>
保護フィルム及び偏光板は実施例1と同じものを用いた。
【0098】
(位相差フィルム)
ポリカーボネートフィルムを延伸することにより、位相差フィルム2a,2b,2cを作製した。位相差フィルム2aのNz値は約0.86であり、位相差フィルム2bのNz値は約0.5であり、位相差フィルム2cのNz値は約0.14であり、これらの総和は実質的に1.5であった。位相差フィルム2a,2b,2cのそれぞれの面内位相差Re1は275nmであった。
【0099】
(光学フィルム)
これらの材料を図1(b)に示すように粘着剤を用いて積層し、光学フィルム10を作製した。
【0100】
(液晶表示装置)
作成した光学フィルム10を用いて図3及び図4に示すような2つの液晶表示装置を作製した。偏光板3は偏光板1と同じものとした。液晶表示装置に含まれる液晶パネルとしては、シミュレーション1〜5で設定した条件(ラビング反平行処理、プレチルト角0°)を満たすものとした。
【0101】
作製した2つの液晶表示装置を黒表示状態にして、極角60°、方位角0〜360°で観察を行った結果、どの方位角から見ても、光漏れは少なく、又、色味の変化も少なかった。又、実施例1,2と比べると、光漏れ量及び色味変化はより少なかった。
【0102】
<実施例4>
保護フィルム及び偏光板は実施例1と同じものを用いた。
【0103】
(位相差フィルム)
ポリカーボネートフィルムを延伸することにより、位相差フィルム2a,2b,2cを作製した。位相差フィルム2aのNz値は約0.14であり、位相差フィルム2bのNz値は約0.5であり、位相差フィルム2cのNz値は約0.86であり、これらの総和は実質的に1.5であった。位相差フィルム2a,2b,2cのそれぞれの、面内位相差Re1は275nmであった。
【0104】
(光学フィルム)
これらの材料を図1(c)に示すように粘着剤を用いて積層し、光学フィルム10を作製した。
【0105】
(液晶表示装置)
作成した光学フィルム10を用いて図5及び図6に示すような2つの液晶表示装置を作製した。偏光板3は偏光板1と同じものとした。液晶表示装置に含まれる液晶パネルとしては、シミュレーション1〜5で設定した条件(ラビング反平行処理、プレチルト角0°)を満たすものとした。
【0106】
作製した2つの液晶表示装置を黒表示状態にして、極角60°、方位角0〜360°で観察を行った結果、どの方位角から見ても、光漏れは少なく、又、色味の変化も少なかった。又、実施例1,2と比べると、光漏れ量及び色味変化はより少なかった。
【0107】
<比較例1>
実施例1の光学フィルム10において、位相差フィルム2bを省略したこと以外は実施例1と同じ条件とし、作製した2つの液晶表示装置を黒表示状態にして、極角60°、方位角0〜360°で観察を行った。この結果、実施例1,2と比べると、光漏れ量及び色味変化は多かった。
【0108】
<比較例2>
実施例3の光学フィルム10において、位相差フィルム2bを省略したこと以外は実施例3と同じ条件とし、作製した2つの液晶表示装置を黒表示状態にして、極角60°、方位角0〜360°で観察を行った。この結果、実施例1,2と比べると、光漏れ量及び色味変化は多かった。
【0109】
<比較例3>
実施例4の光学フィルム10において、位相差フィルム2bを省略したこと以外は実施例4と同じ条件とし、作製した2つの液晶表示装置を黒表示状態にして、極角60°、方位角0〜360°で観察を行った。この結果、実施例1,2と比べると、光漏れ量及び色味変化は多かった。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施形態を示す光学フィルムの構成例を示す図
【図2】本発明の実施形態を示す光学フィルムの構成例を示す図
【図3】図1(b)に示す光学フィルムをIPSモードの液晶表示装置に適用した場合の構成例を示す図
【図4】図1(b)に示す光学フィルムをIPSモードの液晶表示装置に適用した場合の構成例を示す図
【図5】図1(c)に示す光学フィルムをIPSモードの液晶表示装置に適用した場合の構成例を示す図
【図6】図1(c)に示す光学フィルムをIPSモードの液晶表示装置に適用した場合の構成例を示す図
【図7】比較用シミュレーション1の結果を示す図
【図8】比較用シミュレーション2の結果を示す図
【図9】比較用シミュレーション3の結果を示す図
【図10】シミュレーション1の結果を示す図
【図11】シミュレーション2の結果を示す図
【図12】シミュレーション3の結果を示す図
【図13】シミュレーション4の結果を示す図
【図14】比較用シミュレーション4の結果を示す図
【図15】比較用シミュレーション5の結果を示す図
【図16】シミュレーション5の結果を示す図
【符号の説明】
【0111】
1 偏光板
1a,1c 保護フィルム
1b 偏光子
2a,2d,2c,2d 位相差フィルム
3 偏光板
4 液晶パネル
10,20 光学フィルム




 

 


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