米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 測定; 光学 -> 富士フイルム株式会社

発明の名称 全反射減衰を利用した測定方法および測定装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−57546(P2007−57546A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2006−300636(P2006−300636)
出願日 平成18年11月6日(2006.11.6)
代理人 【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
発明者 大塚 尚 / 清水 仁
要約 課題
リファレンスユニットにおける測定結果を用いて、測定ユニットにおける測定結果を補正する際に、リファレンスユニットと測定ユニット間の感度差による影響を低減し、全反射減衰の状態の変化の測定精度を向上する。

解決手段
センシング物質30が固定されている、測定チップ6およびリファレンスチップ6’に、まず溶媒のみを供給し、光ビーム13を各チップの内底面に形成された金属膜12と、その下の誘電体ブロック10との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させ、界面において全反射した光ビーム13をフォトダイオードアレイ17で検出し、該検出結果に基づいて測定ユニット5とリファレンスユニット5’間の感度差を算出する。その後測定チップ6のみに被検体を添加し、同様に測定を行い、リファレンスユニット5’の測定結果を前述の感度差を用いて校正し該校正された測定結果により、測定ユニット5の測定結果を補正する。
特許請求の範囲
【請求項1】
第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置を用いて、
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出し、
前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項2】
第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜からなる第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜からなる第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置を用いて
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出し、
前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項3】
第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層および該クラッド層の上に形成された光導波層からなる第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層および該クラッド層の上に形成された光導波層からなる第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置用いて
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出し、
前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項4】
前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差の検出は、前記測定チップおよびリファレンスチップ上に、前記溶媒からなる偽試料液を保持したままの状態で、前記光ビームを前記各ユニットの前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させ、前記界面で全反射した光ビームの強度に基づいて、全反射減衰の状態の変化を検出し、該検出の結果を各ユニット間で比較することにより行われるものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項5】
前記感度差検出時に前記測定チップに前記偽試料液として前記溶媒を保持させ、
前記感度差検出後に、前記測定チップへ、前記被検体を付加することにより前記測定を行うことを特徴とする請求項4項記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項6】
前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差の検出は、まず、前記測定チップおよび前記リファレンスチップに、高濃度の溶媒を保持させ、その後同時に、前記測定チップおよび前記リファレンスチップに保持されている高濃度の溶媒の濃度を同程度に希釈し、その間、前記光ビームを前記各ユニットの前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させ、前記界面で全反射した光ビームの強度に基づいて、全反射減衰の状態の変化を検出し、該検出の結果を各ユニット間で比較することにより行なわれるものである事を特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項7】
第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出する感度差検出手段をさらに備え、
前記測定手段が、前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正するものであることを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
【請求項8】
第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜からなる第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜からなる第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出する感度差検出手段をさらに備え、
前記測定手段が、前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正するものであることを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
【請求項9】
第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層および該クラッド層の上に形成された光導波層からなる第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層および該クラッド層の上に形成された光導波層からなる第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出する感度差検出手段をさらに備え、
前記測定手段が、前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正するものであることを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
【請求項10】
前記感度差検出手段が、前記測定チップおよびリファレンスチップ上に、前記溶媒からなる偽試料液を保持したままの状態で、前記光ビームを前記各ユニットの前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させ、前記界面で全反射した光ビームの強度に基づいて、全反射減衰の状態の変化を検出し、該検出の結果を各ユニット間で比較することにより、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出するものであることを特徴とする請求項7から9いずれか1項記載の全反射減衰を利用した測定装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面プラズモンの発生を利用して物質の特性を分析する表面プラズモン測定等の全反射減衰を利用した測定方法および測定装置に関し、特に詳細には、センシング物質と試料液に含まれる被検体との結合作用の状態を測定する全反射減衰を利用した測定方法および測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属中においては、自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、表面プラズモンと呼ばれている。
【0003】
従来より、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置が種々提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号参照)。
【0004】
上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて液体試料などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0005】
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
【0006】
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
【0007】
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角θspより表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKsp、表面プラズモンの角周波数をω、cを真空中の光速、εmとεsをそれぞれ金属、被測定物質の誘電率とすると、以下の関係がある。
【数1】


【0008】
すなわち、上記反射光強度が低下する入射角である全反射減衰角θspを知ることにより、被測定物質の誘電率εs、つまりは屈折率に関連する特性を求めることができる。
【0009】
なおこの種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角θspを精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
【0010】
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
【0011】
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0012】
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
【0013】
なおこの漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
【0014】
また、上述した表面プラズモン測定装置や漏洩モード測定装置は、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモン測定装置の場合は金属膜であり、漏洩モード測定装置の場合はクラッド層および光導波層)上に上記被測定物質としてセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加し、所定時間が経過する毎に前述の全反射減衰角θspの角度を測定している。
【0015】
試料液中の被検体が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記全反射減衰角θspを測定し、該全反射減衰角θspの角度に変化が生じているか否か測定することにより、被検体とセンシング物質の結合状態を測定し、その結果に基づいて被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として測定チップに固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
【0016】
なお、被検体とセンシング物質の結合状態を測定するためには、全反射減衰角θspの角度そのものを必ずしも検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角θspの角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。前述したアレイ状の光検出手段と微分手段を全反射減衰を利用した測定装置に適用する場合であれば、微分値の変化量は、全反射減衰角θspの角度変化量を反映しているため、微分値の変化量に基づいて、センシング物質と被検体との結合状態を測定することができる。(本出願人による特願2000-398309号参照)
このような全反射減衰を利用した測定方法および装置においては、底面に予め形成された薄膜層上にセンシング物質が固定されたカップ状あるいはシャーレ状の測定チップに、溶媒と被検体からなる試料液を滴下供給して、上述した全反射減衰角θspの角度変化量の測定を行っている。
【0017】
上記測定チップに試料液を供給し、センシング物質と被検体とが結合すると、センシング物質の屈折率が変化し、全反射減衰角θspの角度が変化する。しかし、測定チップに試料液を供給した後の全反射減衰角θspの角度変化は、厳密にはセンシング物質と被検体の結合による屈折率の変化のみを反映したものではなく、センシング物質と試料液中の被検体の結合による屈折率の変化と、センシング物質と試料液中の溶媒との作用による屈折率変化の総和を反映したものである。
【0018】
このため、センシング物質に溶媒からなる偽試料液を供給して測定を行っても、図4に実線で示すように、全反射減衰角θspの角度はわずかに変化し、この全反射減衰角θspの角度変化は測定の際には誤差となる。この誤差を除去するために、出願人らは溶媒からなる偽試料液が供給された測定チップであるリファレンスチップを設け、測定チップにおける全反射減衰角θspの角度変化量からリファレンスチップにおける全反射減衰角θspの角度変化量を差し引いた、補正角度変化量を求め、その補正角度変化量に基づいて、センシング物質と被検体とに結合の有無を判定する判定方法を特願2001-049681において提案している。この判定方法を用いれば、センシング物質と被検体とが結合しない場合には、全反射減衰角θspの補正角度変化量はほぼ0となるため、容易に結合の有無を判定することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記リファレンスチップを用いた判定方法は、センシング物質と被検体とが結合しない場合であっても、全反射減衰角θspの補正角度変化量が完全に0とならないため、被検体の分子量が大きい場合には有効であっても、被検体の分子量が小さい場合には、センシング物質と被検体とが結合の有無の判定精度を向上することができないという問題がある。
【0020】
図4に、発明者らが測定した溶媒からなる偽試料液が供給された測定チップにおける全反射減衰角θspの角度変化量を実線で、同じく溶媒からなる偽試料液が供給されたリファレンスチップにおける全反射減衰角θspの角度変化量を点線で、測定チップにおける角度変化量からリファレンスチップにおける角度変化量を差し引いた補正角度変化量を一点鎖線で示す。どちらのチップにおいても、センシング物質と被検体の結合は生じていないので、補正角度変化量は0であることが望ましい。しかし一点鎖線で示す補正角度変化量は、1時間経過した時に、分子量換算で900の値を示している。このようにセンシング物質と被検体との結合が生じていない場合、すなわち本来ならば補正角度変化量が0となる場合に、測定される補正角度変化量の値が大きいため、結合の有無の判定精度が悪化している。
【0021】
上記のように、偽試料液が供給された測定チップにおける角度変化量と、同様に偽試料液が供給されたリファレンスチップにおける角度変化量との間に差が生じる原因のひとつは、リファレンスチップに配設された金属の薄膜層と、測定チップに配設された金属の薄膜層の厚さにバラツキがあることが挙げられる。また、他の原因としてはリファレンスチップに固定されたセンシング物質の層の厚さと、測定チップに固定されたセンシング物質の層の厚さにバラツキがあることが挙げられる。さらに、前述したように、光検出手段で検出した微分値の変化量に基づいて角度変化量を算出しているため、測定ユニットに設けられた光検出手段の検出感度とリファレンスユニットに設けられた光検出手段の検出感度にバラツキが生じている事などが挙げられる。
【0022】
本発明は上記の事情に鑑みて、測定ユニットとリファレンスユニット間の感度差の影響を低減し、全反射減衰の状態の変化の測定精度を向上させることのできる全反射減衰を利用した測定方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明による全反射減衰を利用した測定方法は、第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置を用いて、
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出し、
前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正することを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明による全反射減衰を利用した測定方法は、特に前述の表面プラズモン測定方法を対象とすることもでき、その場合は、
第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜からなる第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜からなる第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置を用いて
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出し、
前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正することを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明による全反射減衰を利用した測定方法は、特に前述の漏洩モード測定方法を対象とすることもでき、その場合は、
第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層および該クラッド層の上に形成された光導波層からなる第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層および該クラッド層の上に形成された光導波層からなる第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置用いて
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出し、
前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正することを特徴とするものである。
【0026】
上記各種の全反射減衰を利用した測定方法において、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差の検出は、前記測定チップおよびリファレンスチップ上に、前記溶媒からなる偽試料液を保持したままの状態で、前記光ビームを前記各ユニットの前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させ、前記界面で全反射した光ビームの強度に基づいて、全反射減衰の状態の変化を検出し、該検出の結果を各ユニット間で比較することにより行われるものであってもよい。
【0027】
前記感度差検出時に前記測定チップに前記偽試料液として前記溶媒を保持させる場合であれば、前記感度差検出後に、前記測定チップへ、前記被検体を付加することにより前記測定を行なってもよい。
【0028】
また、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差の検出は、まず、前記測定チップおよび前記リファレンスチップに、高濃度の溶媒を保持させ、その後同時に、前記測定チップおよび前記リファレンスチップに保持されている高濃度の溶媒の濃度を同程度に希釈し、その間、前記光ビームを前記各ユニットの前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させ、前記界面で全反射した光ビームの強度に基づいて、全反射減衰の状態の変化を検出し、該検出の結果を各ユニット間で比較することにより行なわれるものであってもよい。
【0029】
本発明による全反射減衰を利用した測定装置においては、
第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出する感度差検出手段をさらに備え、
前記測定手段が、前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正するものであることを特徴とするものである。
【0030】
また、本発明による全反射減衰を利用した測定装置は、特に前述の表面プラズモン測定装置として構成されたものを対象とすることもでき、その場合は、
第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜からなる第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜からなる第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出する感度差検出手段をさらに備え、
前記測定手段が、前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正するものであることを特徴とするものである。
【0031】
また、本発明による全反射減衰を利用した測定装置は、特に前述の漏洩モード測定装置として構成されたものを対象とすることもでき、その場合は、
第1の光ビームを発生させる第1の光源と、
前記第1の光ビームに対して透明な第1の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層および該クラッド層の上に形成された光導波層からなる第1の薄膜層、この薄膜層の表面上に被検体と溶媒からなる試料液を保持する第1の試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記第1の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第1の光ビームを前記第1の誘電体ブロックに対して、該第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第1の光学系と、
前記第1の誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射した第1の光ビームの強度を検出する第1の光検出手段とから構成される測定ユニットと、
第2の光ビームを発生させる第2の光源と、
前記第2の光ビームに対して透明な第2の誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層および該クラッド層の上に形成された光導波層からなる第2の薄膜層、この薄膜層の表面上に前記溶媒からなる偽試料液を保持する第2の試料液保持機構を備えてなるリファレンスチップと、
前記第2の薄膜層の表面上に配置されている、前記被検体と結合しうるセンシング物質と、
前記第2の光ビームを前記第2の誘電体ブロックに対して、該第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる第2の光学系と、
前記第2の誘電体ブロックと前記第2の薄膜層との界面で全反射した第2の光ビームの強度を検出する第2の光検出手段とから構成されるリファレンスユニットと、
前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正し、該補正された第1の光検出手段の検出結果に基づいて、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態の変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出する感度差検出手段をさらに備え、
前記測定手段が、前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正するものであることを特徴とするものである。
【0032】
上記各種の全反射減衰を利用した測定装置において、前記感度差検出手段は、前記測定チップおよびリファレンスチップ上に、前記溶媒からなる偽試料液を保持したままの状態で、前記光ビームを前記各ユニットの前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させ、前記界面で全反射した光ビームの強度に基づいて、全反射減衰の状態の変化を検出し、該検出の結果を各ユニット間で比較することにより、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出するものであってもよい。
【0033】
なお、上記「前記溶媒からなる偽試料液」としては、試料液に使用される溶媒が好ましいが、これに限定されるものではなく、センシング物質との作用特性や光学特性などが、試料液に使用される溶媒と略同一の液体であれば、上記偽試料液として使用することができる。
【0034】
また、上記「結合」には、タンパク質−タンパク質相互作用、DNA−タンパク質相互作用、糖−タンパク質相互作用、タンパク質−ペプチド相互作用、脂質−タンパク質相互作用や化学物質の化学物質の結合等が含まれている。
【0035】
なお、上記第1の光源および第2の光源は別個に設けられるものであってもよいし、単一の光源であってもよい。第1の光学系および第2の光学系は別個に設けられるものであってもよいし、単一の光学系であってもよい。また第1の光検出手段および第2の光検出手段は別個に設けられるものであってもよいし、単一の光検出手段であってもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明による全反射減衰を利用した測定方法および測定装置においては、
前記全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差を検出し、前記測定時に、前記感度差に基づいて前記第2の光検出手段の検出結果および前記第1の光検出手段の検出結果のどちらか一方の検出結果を校正し、その後前記第2の光検出手段の検出結果を用いて、前記第1の光検出手段の検出結果を補正するため、リファレンスチップに配設された金属の薄膜層と、測定チップに配設された金属の薄膜層の厚さのバラツキや、リファレンスチップに固定されたセンシング物質の層の厚さと、測定チップに固定されたセンシング物質の層の厚さとのバラツキ、あるいは測定ユニットに設けられた光検出手段の検出感度とリファレンスユニットに設けられた光検出手段の検出感度のバラツキ等に起因する測定ユニットとリファレンスユニット間の感度差の影響を低減し、全反射減衰の状態の変化の測定精度を向上させることができる。
【0037】
上記前記測定ユニットおよび前記リファレンスユニット間の感度差の検出を、前記測定チップおよびリファレンスチップ上に、前記溶媒からなる偽試料液を保持したままの状態で、前記光ビームを前記各ユニットの前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させ、前記界面で全反射した光ビームの強度に基づいて、全反射減衰の状態の変化を検出し、該検出の結果を各ユニット間で比較することにより行ったため、溶媒からなる偽試料液を保持したままの状態、すなわち一旦測定チップおよびリファレンスチップへ偽試料液を保持させた後は、それらの偽試料液を保持し続けることにより、測定ユニットとリファレンスユニットとの間の感度差を検出することができるため、容易に感度差を検出することができる。
【0038】
また、測定チップへ溶媒を保持したままの状態で測定ユニットとリファレンスユニットとの間の感度差を検出し、その後測定チップへ被検体を付与することにより測定を行うことにより、容易に測定を開始することができる。
【0039】
さらに、測定チップおよびリファレンスチップに高濃度の溶媒を保持させ、該高濃度の溶媒を希釈することを用いて、測定ユニットとリファレンスユニットとの間の感度差を検出する場合には、容易かつ短時間に感度差を検出することができる。また、感度差を検出後に測定チップへ被検体を付加することにより測定を行うことができるので、容易に測定を開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による表面プラズモン測定装置の側面形状を示すものである。この表面プラズモン測定装置においては、まず、センシング物質が固定されている、測定チップおよびリファレンスチップに、前記溶媒からなる偽試料液を供給し、表面プラズモン共鳴による全反射減衰角θspの角度変化量を測定することにより、測定ユニットとリファレンスユニット間の感度差を求める感度差測定を行い、その後測定チップのみに被検体を添加して、センシング物質と被検体の結合の有無を測定する実測定を行い、被検体が特定物質であるか否かを判定するものであり、判定時には、実測定により取得したデータを感度差測定により取得したデータにより校正した後に判定を行うものである。
【0041】
図1に示すように、この表面プラズモン測定装置は、測定ユニット5と、リファレンスユニット5’と、各ユニットの測定結果を受けるコンピュータシステム等からなり、測定手段としての信号処理部20と、この信号処理部20に接続された表示手段21とを備えている。
【0042】
測定ユニット5は、概略四角錐の一部が切り取られた形状とされた誘電体ブロック10と、この誘電体ブロック10の一面(図中の上面)に形成された、例えば金、銀、銅、アルミニウム等からなる金属膜12とからなる使い切りの測定チップ6を有している。
【0043】
誘電体ブロック10は例えば透明樹脂等からなり、金属膜12が形成された部分の周囲が嵩上げされた形とされ、この嵩上げされた部分10aは試料液11を貯える試料保持部として機能する。なお本例では、金属膜12の上にセンシング媒体30が固定されるが、このセンシング媒体30については後述する。
【0044】
測定チップ6は、例えばテーブル31に設けられたチップ保持孔31aに嵌合固定される。測定ユニット5は、上記測定チップ6に加えてさらに、1本の光ビーム13を発生させる半導体レーザ等からなるレーザ光源14と、上記光ビーム13を誘電体ブロック10に通し、該誘電体ブロック10と金属膜12との界面10bに対して、種々の入射角が得られるように入射させる光学系15と、上記界面10bで全反射した光ビーム13を平行光化するコリメーターレンズ16と、この平行光化された光ビーム13を検出する光検出手段であるフォトダイオードアレイ17と、このフォトダイオードアレイ17に接続された微分手段として差動アンプアレイ18と、測定手段としてのドライバ19とを備えている。
【0045】
リファレンスユニット5’は、測定ユニット5と同様に構成され、誘電体ブロック10と、金属膜12とからなる使い切りのリファレンスチップ6’を有している。なお、リファレンスチップ6’には、試料液11の溶媒からなる偽試料液11’が供給されている。図2は、この測定ユニット5およびリファレンスユニット5’の電気的構成を示すブロック図である。図示の通り上記ドライバ19は、差動アンプアレイ18の各差動アンプ18a、18b、18c……の出力をサンプルホールドするサンプルホールド回路22a、22b、22c……、これらのサンプルホールド回路22a、22b、22c……の各出力が入力されるマルチプレクサ23、このマルチプレクサ23の出力をデジタル化して信号処理部20に入力するA/D変換器24、マルチプレクサ23とサンプルホールド回路22a、22b、22c……とを駆動する駆動回路25、信号処理部20からの指示に基づいて駆動回路25の動作を制御するコントローラ26から構成されている。
【0046】
信号処理部20は、測定ユニット5とリファレンスユニット5’間の感度差を求める感度差測定を行い、ユニット間の感度差を記憶する感度差検出部4を有し、実測定を行い、被検体が特定物質であるか否かを判定する際には、実測定により取得した測定結果を感度差検出部4に記憶されてユニット間の感度差を用いて校正した後に判定を行うものである。
【0047】
ここで、まず実際の測定動作を説明する前に、測定原理の詳細を説明する。図1に示す通り、レーザ光源14から発散光状態で出射した光ビーム13は、光学系15の作用により、誘電体ブロック10と金属膜12との界面10b上で集束する。したがって光ビーム13は、界面10bに対して種々の入射角θで入射する成分を含むことになる。なおこの入射角θは、全反射角以上の角度とされる。そこで、光ビーム13は界面10bで全反射し、この反射した光ビーム13には、種々の反射角で反射する成分が含まれることになる。
【0048】
なお光ビーム13は、界面10bに対してp偏光で入射させる。そのようにするためには、予めレーザ光源14をその偏光方向が所定方向となるように配設すればよい。その他、波長板や偏光板で光ビーム13の偏光の向きを制御してもよい。
【0049】
界面10bで全反射した後、コリメーターレンズ16によって平行光化された光ビーム13は、フォトダイオードアレイ17により検出される。本例におけるフォトダイオードアレイ17は、複数のフォトダイオード17a、17b、17c……が1列に並設されてなり、各フォトダイオード17a、17b、17c……は図1の図示面内において、平行光化された光ビーム13の進行方向に対してフォトダイオード並設方向がほぼ直角となる向きに配設されている。したがって、上記界面10bにおいて種々の反射角で全反射した光ビーム13の各成分を、それぞれ異なるフォトダイオード17a、17b、17c……が受光することになる。
【0050】
上記フォトダイオード17a、17b、17c……の各出力は、差動アンプアレイ18の各差動アンプ18a、18b、18c……に入力される。この際、互いに隣接する2つのフォトダイオードの出力が、共通の差動アンプに入力される。したがって各差動アンプ18a、18b、18c……の出力は、複数のフォトダイオード17a、17b、17c……が出力する光検出信号を、それらの並設方向に関して微分したものと考えることができる。
【0051】
まず、各差動アンプ18a、18b、18c……の出力は、それぞれサンプルホールド回路22a、22b、22c……により所定のタイミングでサンプルホールドされ、マルチプレクサ23に入力される。マルチプレクサ23は、サンプルホールドされた各差動アンプ18a、18b、18c……の出力を、所定の順序に従って出力され、A/D変換器24に入力する。A/D変換器24はこれらの出力をデジタル化して信号処理部20に入力する。
【0052】
図3は、界面10bで全反射した光ビーム13の入射角θ毎の光強度と、差動アンプ18a、18b、18c……の出力との関係を説明するものである。ここで、光ビーム13の界面10bへの入射角θと上記光強度Iとの関係は、同図(1)のグラフに示すようなものであるとする。
【0053】
界面10bにある特定の入射角θspで入射した光は、金属膜12と試料11との界面に表面プラズモンを励起させるので、この光については反射光強度Iが鋭く低下する。つまりθspが全反射減衰角であり、この角度θspにおいて反射光強度Iは最小値を取る。この反射光強度Iの低下は、図1にDで示すように、反射光中の暗線として観察される。
【0054】
また図3の(2)は、フォトダイオード17a、17b、17c……の並設方向を示しており、先に説明した通り、これらのフォトダイオード17a、17b、17c……の並設方向位置は上記入射角θと一義的に対応している。
【0055】
そしてフォトダイオード17a、17b、17c……の並設方向位置、つまりは入射角θと、差動アンプ18a、18b、18c……の出力I’(反射光強度Iの微分値)との関係は、同図(3)に示すようなものとなる。
【0056】
測定に先立って、まず信号処理部20は微分値I’の初期値I’rの設定処理を行う。信号処理部20は、A/D変換器24から入力された微分値I’の値に基づいて、差動アンプ18a、18b、18c……の中から、反射光強度Iの変化が減少から増加へ転ずる点近傍、すなわち全反射減衰角θspに対応する微分値I’=0に最も近い微分値I’minが得られている差動アンプを選択する。図3の例では差動アンプ18eとなる。
【0057】
信号処理部20には、差動アンプ18eから出力された微分値I’minが入力され、不図示の記憶部に記憶される。以後所定時間間隔で、差動アンプ18eから出力された微分値I’minが測定され、微分値I’minから初期値I’rが減算された微分値の変化量ΔI’を算出する。最初の測定時には、差動アンプ18eが出力する微分値I’の大小にかかわらず、微分値の変化量ΔI’はほぼ0となる。以後所定時間が経過する毎に、最初に微分値を測定したときから測定時までの間の微分値の変化量ΔI’が算出される。
【0058】
微分値I’は、測定チップの金属膜12(図1参照)に接している物質の誘電率つまりは屈折率が変化して、図3(1)に示す曲線が左右方向に移動する形で変化すると、それに応じて上下する。したがって、この微分値I’の変化量ΔI’を時間の経過とともに測定し続けることにより、全反射減衰角θspの角度変化量を測定することができ、この角度変化量に基づいて、金属膜12に接しているセンシング物質30の屈折率変化を調べることができる。
【0059】
すなわち、金属膜12上に固定されている、センシング物質30が試料液中の特定物質(被検体)と結合するものであれば、センシング物質30と、被検体との結合状態に応じてセンシング媒体30の屈折率が変化するので、上記微分値の変化量ΔI’を測定し続けることにより、この結合状態の変化の様子を調べることができる。
【0060】
次に感度差測定および実測定の動作について説明する。まず感度差測定として、センシング物質が固定されている、測定チップ6およびリファレンスチップ6’に、それぞれ溶媒からなる偽試料液を供給し、各ユニットにおける表面プラズモン共鳴による全反射減衰角θspの角度変化量、すなわち上記微分値の変化量ΔI’を1時間の間所定時間間隔で測定する。感度差検出部4では、感度差測定による測定結果から測定ユニット5とリファレンスユニット5’との間の感度差を算出し、記憶する。例えば、感度差検出によるリファレンスユニット5’の測定結果が、図4の点線に示すようなもので、また感度差検出による測定ユニット5の測定結果が図4の実線で示すようなものであれば、測定ユニット5の感度は、リファレンスユニット5’の感度の1.6倍であるとみなし、その値を記憶する。なお、図4は微分値の変化量ΔI’から求めた全反射減衰角θspの角度変化量(被検体の分子量換算)を示す図である。
【0061】
次に、実測定として、被検体を少量の溶媒に溶かした試料液を測定チップ6に滴下供給する。この際、測定チップ6に供給した量と同量でかつ同温度の溶媒をリファレンスチップ6’にも滴下供給する。その後、再度各ユニットにおける被検体供給後の微分値の変化量ΔI’を所定時間間隔で測定する。
【0062】
信号処理部20では、まずリファレンスユニット5’において測定された微分値の変化量ΔI’、すなわち全反射減衰角θspの角度変化量を感度差検出部4に記憶された感度差1.6で乗算することにより、まずリファレンスチップ6’と測定チップ’5間の感度差の校正を行う。次に測定ユニット5において測定された角度変化量から校正したリファレンユニット5’の角度変化量を差し引き、補正された角度変化量を求める。
【0063】
例えば、実測定によるリファレンスユニット5’の角度変化量が、図5の点線に示すようなもので、また感度差検出による測定ユニット5の角度変化量が図5の実線で示すようなものであれば、校正されたリファレンユニット5’の角度変化量は、図5に2点鎖線で示すようなものとなり、補正された角度変化量は図5に一点鎖線で示すものとなる。信号処理部20では、この補正された角度変化量に基づいて、センシング物質と被検体の結合状態を判定する。なお、上記実測定において、測定チップ6に追加供給した試料液の温度が、予め測定チップ6に供給されている溶媒の温度と異なる場合には、温度変化が生じて、そのために微分値の変化量ΔI’に変化が生じる場合がある。本実施の形態においては、リファレンスチップ6’にも、測定チップ6に供給した試料液と同量でかつ同温度の溶媒をリファレンスチップ6’にも供給することにより、温度変化により微分値の変化量ΔI’に変化が生じても、補正の際に相殺されるので、測定精度に影響を与えることはない。また環境温度などの変化により微分値の変化量ΔI’に変化が生じても、やはり補正により相殺される。
【0064】
以上の説明から明かなように本実施形態では、全反射減衰の状態の変化の測定開始前に、測定ユニット5およびリファレンスユニット5’間の感度差を検出し、実測定に基づいて判定を行う際には、測定ユニット5において測定された角度変化量から、上記感度差に基づいて校正されたリファレンスユニット5’において測定された角度変化量を差し引いた補正角度変化量に基づいて、全反射減衰の状態の変化を測定しているため、測定ユニットとリファレンスユニット間の感度差の影響を低減し、センシング物質と被検体との結合状態の測定精度を向上させることができる。
【0065】
また、測定ユニット5およびリファレンスユニット5’間の感度差の検出を、センシング物質が固定されている、測定チップ6およびリファレンスチップ6’上に、前記溶媒からなる偽試料液を保持した状態で、全反射減衰の状態の変化を検出し、該検出の結果を各ユニット間で比較することにより行ったため、測定チップ6とリファレンスチップ6’の金属膜12の厚さのバラツキに起因する感度差や、測定チップ6とリファレンスチップ6’とに固定されたセンシング物質30の層の厚さのバラツキに起因する感度差、あるいは測定ユニット5に設けられたフォトダイオードアレイ17の検出感度とリファレンスユニット5’に設けられたフォトダイオードアレイ17の検出感度との感度差等による影響を低減することができ、全反射減衰の状態の変化の測定精度を向上させることでき、センシング物質と被検体との結合状態の測定を精度よく行うことができる。
【0066】
また、本実施の形態の変型例として、偽試料液そのものの屈折率を変化させて、測定ユニット5およびリファレンスユニット5’間の感度差の検出を行う方法も考えられる。例えば実測定において、溶媒として1%のDMSO(ジメチルスルフォキシド)が含まれるPBS(リン酸バッファ液)を使用する場合の感度差検出方法を簡単に説明する。まず、センシング物質14が固定されている、測定チップ6およびリファレンスチップ6’に所定量の2%DMSOが含まれるPBSを供給し、初回の測定を行い、次に最初に供給した液量と同量のPBSを測定チップ6およびリファレンスチップ6’に供給して、2回目の測定を行う。
【0067】
2回目の測定時には、各チップに入っている偽試料液は希釈されて1%のDMSOが含まれるPBSとなっているため、1回目の測定時と、2回目の測定時とでは、偽試料液の屈折率に変化が生じている。このため全反射減衰角θspにも変化が生じることとなる。1回目の測定と2回目の測定間の各ユニットにおける表面プラズモン共鳴による全反射減衰角θspの角度変化量、すなわち微分値の変化量ΔI’を測定することにより、測定ユニット5とリファレンスユニット5’との間の感度差を算出することができる。また、感度差検出が終了した時点では、1%DMSOが含まれるPBSが各チップに供給されているため、その後直ぐに実測定を行うことができる。
【0068】
このように、偽試料液の濃度を変化させて、感度差を検出する場合には、短時間で感度差測定を行うことができる。
【0069】
次に、図6を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なおこの図6において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
【0070】
この第2の実施形態の全反射減衰を利用した測定装置は、先に説明した漏洩モード測定装置であり、測定チップ9が配設された測定ユニット8およびリファレンスチップ9’が配設されたリファレンスユニット8’を用いるように構成されている。この測定チップ9およびリファレンスチップ9’の誘電体ブロック10の一面(図中の上面)にはクラッド層40が形成され、さらにその上には光導波層41が形成されている。
【0071】
誘電体ブロック10は、例えば合成樹脂やBK7等の光学ガラスを用いて形成されている。一方クラッド層40は、誘電体ブロック10よりも低屈折率の誘電体や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また光導波層41は、クラッド層40よりも高屈折率の誘電体、例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されている。クラッド層40の膜厚は、例えば金薄膜から形成する場合で36.5nm、光導波層41の膜厚は、例えばPMMAから形成する場合で700nm程度とされる。
【0072】
上記構成の漏洩モード測定装置において、レーザ光源14から出射した光ビーム13を誘電体ブロック10を通してクラッド層40に対して全反射角以上の入射角で入射させると、該光ビーム13が誘電体ブロック10とクラッド層40との界面10bで全反射するが、クラッド層40を透過して光導波層41に特定入射角で入射した特定波数の光は、該光導波層41を導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層41に取り込まれるので、上記界面10bで全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
【0073】
光導波層41における導波光の波数は、該光導波層41の上のセンシング物質30の屈折率に依存するので、差動アンプアレイ18の各差動アンプが出力する微分値I’に基づいてセンシング物質30の屈折率を測定することができる。
【0074】
本実施形態でも、信号処理部20において、感度差測定および実測定が行われ、第1実施形態における校正処理および補正処理と同様の処理がなされ、まず、リファレンスユニット8’により測定された測定結果を感度差に基づいて校正し、該校正された測定結果を用いて、測定ユニット8による測定結果の補正を行い、該補正された測定結果に基づいて全反射減衰の変化の状態を検出しているので、測定ユニットとリファレンスユニット間の感度差の影響を低減し、センシング物質と被検体との結合状態の測定精度を向上させることができる。
【0075】
なお、各実施の形態においては、測定ユニットに偽試料液を用いて感度差測定を行った後に、この偽試料液に被検体を追加供給したが、これに限られるものではなく、例えば感度差測定を終了後に測定チップに入っている偽試料液を一旦廃棄し、新たに被検体を含む試料液を供給して実測定を行ってもよい。なおこのような場合には、リファレンスユニットにおいても、一旦偽試料液を廃棄し、新たな偽試料液を供給することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施形態による表面プラズモン測定装置の側面図
【図2】上記表面プラズモン測定装置の電気的構成を示すブロック図
【図3】上記表面プラズモン測定装置における光ビーム入射角と検出光強度との関係、並びに光ビーム入射角と光強度検出信号の微分値との関係を示す概略図
【図4】経過時間と角度変化量の関係を示すグラフ
【図5】経過時間と角度変化量の関係を示すグラフ
【図6】本発明の第2の実施形態による漏洩モード測定装置の側面図
【符号の説明】
【0077】
4 感度差検出部
5,8 測定ユニット
5’,8’ リファレンスユニット
6,9 測定チップ
6’,9’ リファレンスチップ
10 誘電体ブロック
10a 誘電体ブロックの試料保持部
10b 誘電体ブロックと金属膜との界面
11 試料液
11’ 偽試料液
12 金属膜
13 光ビーム
14 レーザ光源
15 光学系
16 コリメーターレンズ
17 フォトダイオードアレイ
17a、17b、17c…… フォトダイオード
18 差動アンプアレイ
18a、18b、18c…… 差動アンプ
19 ドライバ
20 信号処理部
21 表示手段
22a、22b、22c……サンプルホールド回路
23 マルチプレクサ
24 A/D変換器
25 駆動回路
26 コントローラ
30 センシング媒体
31 テーブル
40 クラッド層
41 光導波層




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013