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発明の名称 表面フィルムの耐擦傷性能評価方法および表面フィルム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−57372(P2007−57372A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−242868(P2005−242868)
出願日 平成17年8月24日(2005.8.24)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 戸塚 浩一 / 佐野 大
要約 課題
表面フィルムの耐擦傷性能を正確かつ定量的に検査することができる表面フィルムの耐擦傷性能検査方法を提供する。

解決手段
ラビングテスタを用い、消しゴム擦り法およびスチールウール法に従って、反射防止フィルムを擦り、試料を作成する。蛍光灯12、13を点灯し、擦り部を含めるように、試料台5の上にセットされた試料6を撮影する(S11)。PC20は、輝度濃度変換ソフトウェアを実行し、撮影された画像の輝度を濃度に変換する(S12)。変換された濃度を基に、擦られたテカリ部分と擦られていない非テカリ部分との平均濃度差の定量値を算出する(S13)。こすり跡が残らないような、つまり実用上問題を起こさない範囲を予め算出しておき、算出された定量値がこの範囲内にあるか否かによって、反射防止フィルムの耐擦傷性能を評価する。
特許請求の範囲
【請求項1】
フラットパネルディスプレイの表面に貼り付けられる表面フィルムの耐擦傷性能を評価する表面フィルムの耐擦傷性能評価方法であって、
所定の条件にしたがって前記表面フィルムを擦る擦りステップと、
前記表面フィルムの前記擦られた部分からの第1の反射光と、前記擦られていない部分からの第2の反射光とを検出する反射光検出ステップと、
前記第1の反射光の光量に応じた第1の濃度と前記第2の反射光の光量に応じた第2の濃度を求める濃度算出ステップと、
前記第1の濃度と前記第2の濃度との差分に基づいて前記耐擦傷性能を評価する評価ステップとを含む表面フィルムの耐擦傷性能評価方法。
【請求項2】
請求項1記載の表面フィルムの耐擦傷性能評価方法であって、
前記擦りステップでは、前記表面フィルムを消しゴムで擦る表面フィルムの耐擦傷性能評価方法。
【請求項3】
請求項1記載の表面フィルムの耐擦傷性能評価方法であって、
前記擦りステップでは、前記表面フィルムをスチールウールで擦る表面フィルムの耐擦傷性能評価方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の表面フィルムの耐擦傷性能評価方法であって、
前記所定の条件として、前記表面フィルムの擦り回数および前記表面フィルムに加える荷重を特定する表面フィルムの耐擦傷性能評価方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の表面フィルムの耐擦傷性能評価方法であって、
前記表面フィルムが反射防止フィルムである表面フィルムの耐擦傷性能評価方法。
【請求項6】
フラットパネルディスプレイの表面に貼り付けられる表面フィルムであって、
請求項1〜4のいずれか記載の耐擦傷性能評価方法を実行した結果、前記第1の濃度と前記第2の濃度の差分が0.1以下であった表面フィルム。
【請求項7】
請求項6記載の表面フィルムであって、
前記表面フィルムが反射防止フィルムを含む表面フィルム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイの表面に貼り付けられる表面フィルムの耐擦傷性能を評価する表面フィルムの耐擦傷性能評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラットパネルディスプレイの表面に貼り付けられる表面フィルムの耐擦傷性能を検査する方法として、JIS K5400(5600)、JIS K7204にそれぞれ鉛筆引っ掻き試験方法、テーパー式摩耗試験方法が示されている。尚、表面フィルムの耐擦傷性能とは、擦り傷に対してどれだけ性能を維持できるかを示す指標である。
【0003】
また、消しゴムやスチールウールを用いた耐擦傷性試験に関し、摩耗性耐久試験として、塗膜やメガネレンズに適用する例が知られている。さらに、ブラウン管TVでは、ディファクトスタンダードとして、プラスチック消しゴムによる摩耗試験の実施等が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の方法では、薄型TV等のフラットパネルディスプレイの表面に貼り付ける表面フィルムに適用した例が報告されていなかった。
また、従来、フラットパネルディスプレイの表面に貼り付ける表面フィルムの耐擦傷性能の評価は、人の目(肉眼)による目視で行われており、定量性が無かった。さらに、フラットパネルディスプレイ用表面フィルムの耐擦傷性能に関し、特に規定が無かった。
【0005】
そこで、本発明は、表面フィルムの耐擦傷性能を定量的に評価可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表面フィルムの耐擦傷性能評価方法は、フラットパネルディスプレイの表面に貼り付けられる表面フィルムの耐擦傷性能を評価する表面フィルムの耐擦傷性能評価方法であって、所定の条件にしたがって前記表面フィルムを擦る擦りステップと、前記表面フィルムの前記擦られた部分からの第1の反射光と、前記擦られていない部分からの第2の反射光とを検出する反射光検出ステップと、前記第1の反射光の光量に応じた第1の濃度と前記第2の反射光の光量に応じた第2の濃度を求める濃度算出ステップと、前記第1の濃度と前記第2の濃度との差分に基づいて前記耐擦傷性能を評価する評価ステップとを含む。
【0007】
本発明の表面フィルムの耐擦傷性能評価方法は、前記擦りステップでは、前記表面フィルムを消しゴムで擦る。
【0008】
本発明の表面フィルムの耐擦傷性能評価方法は、前記擦りステップでは、前記表面フィルムをスチールウールで擦る。
【0009】
本発明の表面フィルムの耐擦傷性能評価方法は、前記所定の条件として、前記表面フィルムの擦り回数および前記表面フィルムに加える荷重を特定する。
【0010】
本発明の表面フィルムの耐擦傷性能評価方法は、前記表面フィルムが反射防止フィルムである。
【0011】
本発明の表面フィルムは、フラットパネルディスプレイの表面に貼り付けられる表面フィルムであって、前記耐擦傷性能評価方法を実行した結果、前記第1の濃度と前記第2の濃度の差分が0.1以下である。
【0012】
本発明の表面フィルムは、前記表面フィルムが反射防止フィルムを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表面フィルムの耐擦傷性能を定量的に評価可能な方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態である、フラットパネルディスプレイの表面に貼り付けられる表面フィルムの耐擦傷性能評価方法について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態を説明するための表面フィルムの耐擦傷性能評価方法の流れを示す図である。
この評価方法では、まず、表面フィルムに試験を行って試料を作成する(S1)。そして、作成した試料を基に、該表面フィルムの耐擦傷性能を定量的に評価するための評価値を算出する(S2)。最後に、算出された評価値を基に、該表面フィルムの耐擦傷性能を評価する(S3)。以下、これらの各ステップを具体的に説明する。
【0016】
(S1:試料の作成)
S1における試験方法として、本実施形態では、以下の(a)に示す消しゴム擦り法および(b)に示すスチールウール法を利用して試料を作成する。試験の対象となる表面フィルムは、例えば反射防止フィルムである。反射防止フィルムは、後述するように、透明支持体の上に、ハードコート層と、低屈折率層とがこの順に積層されたものである。
【0017】
(a)消しゴム擦り法
消しゴム擦り法では、ラビングテスタを用い、例えば以下の擦り条件で反射防止フィルムの表面を擦る。反射防止フィルムの表面とは、反射防止フィルムをフラットパネルディスプレイに貼り付けたときに露出する面のことであり、ここでは低屈折率層側の表面のことを指す。
環境条件:25℃,55%RH
反射防止フィルムを擦るための擦り部材:プラスチック消しゴム((株)トンボ鉛筆製 商品名MONO)
試料と接触させる擦り部材先端部の接触面積:1cm×1cm
擦り部材の試料上の移動距離(片道):3cm
擦り部材の擦り速度:32mm/秒
擦り部材の先端部にかける荷重:500g/cm2
擦り部材の擦り回数:1〜500往復(好ましくは200往復)
以上の条件で擦り部材によって擦り終えた反射防止フィルムの裏側に、黒色のPETを貼りつけて試料の作成を終了する。
【0018】
(b)スチールウール法
スチールウール法では、ラビングテスタを用い、例えば以下の擦り条件で反射防止フィルムの表面を擦る。
環境条件:25℃,55%RH
擦り部材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNo.0000)
試料と接触させる擦り部材先端部の接触面積:1cm×1cm
擦り部材の試料上の移動距離(片道):13cm
擦り部材の擦り速度:13cm/秒
擦り部材の先端部にかける荷重:500g/cm2(好ましくは200g/cm2
擦り部材の擦り回数:1〜50往復(好ましくは10往復)
以上の条件で擦り部材によって擦り終えた反射防止フィルムの裏面に、黒色のPETを貼りつけて試料の作成を終了する。
【0019】
このステップで得られた試料の反射防止フィルムの表面には、擦り部材によって擦られた擦り部と擦られていない非擦り部とが存在する。
【0020】
(S2:評価値算出)
図2は、表面フィルムの耐擦傷性能を定量的に評価するための評価値を算出する評価値算出システムの概略的構成を示す図である。
図2に示す評価値算出システムは、試料6を載置するための試料台5と、試料台5に反射防止フィルムを上にして載置された試料6からの反射光を検出する光検出装置11と、試料6に光を照明するための2本の蛍光灯12,13と、光検出装置11に接続されたコンピュータ20とから主に構成される。
【0021】
蛍光灯12,13は、試料台5に載置された試料6の擦り部と非擦り部とに同じ条件で光が入射されるように、試料台5を中心に左右対称に配置される。また、蛍光灯12,13の高さは、試料台5に載置された試料6の擦り部の見え方に応じて、例えば2cm〜30cmの範囲で調節可能である。擦り部はテカっているため、このテカリが良く見えるように蛍光灯12,13を設置することが望ましい。
【0022】
光検出装置11は、擦り部で反射した蛍光灯12,13からの光である第1の反射光と、非擦り部で反射した蛍光灯12,13からの光である第2の反射光とを検出する機能を有する。光検出装置11は、例えばデジタルカメラを用いることができる。
【0023】
コンピュータ20は、光検出装置11で検出された第1の反射光の光量に応じた濃度値と、第2の反射光の光量に応じた濃度値とを求め、これら濃度値に基づいて、反射防止フィルムの評価値を算出する。
【0024】
図3は、図2に示す評価値算出システムを用いて評価値を算出する際の流れを示す図である。ここでは、光検出装置11をデジタルカメラとして説明する。
試料台5に試料6を載置した状態で蛍光灯12,13を点灯し、デジタルカメラ11により、少なくとも試料6の擦り部と非擦り部とを含めた領域を撮影する(S11)。撮影して得られた画像データは、例えばIEEE1394を介して自動的にコンピュータ20に転送される。コンピュータ20は、画像データの輝度値を濃度値に変換するソフトウェアを実行し、撮影して得られた画像データの輝度値を濃度値に変換する(S12)。ここで変換された濃度値は、デジタルカメラ11の撮像素子に含まれる光電変換素子で検出された光の光量に対応する値となる。コンピュータ20は、変換された濃度値を基に、第1の反射光の光量に応じた濃度の平均濃度と、第2の反射光の光量に応じた濃度の平均濃度とを求め、これらの差分を評価値として算出する(S13)。
【0025】
尚、ここでは平均濃度同士の差分を評価値としているが、第1の反射光のうち、デジタルカメラ11の撮像素子の1つの光電変換素子によって検出された光に応じた濃度と、第2の反射光のうち、該撮像素子の1つの光電変換素子によって検出された光に応じた濃度との差分を上記評価値としても良い。平均濃度同士の差分を評価値とすることで、より正確な評価が可能となる。
【0026】
(S3:評価値に基づく評価)
表面フィルムの耐擦傷性能の評価は、ステップS13で算出された評価値を用いて行われる。即ち、この評価値が大きい場合は、擦り部と非擦り部とで表面フィルムの性能(反射防止フィルムの場合は反射防止性能)が大きく変化していることを意味するため、耐擦傷性能は悪いと評価することができる。一方、この評価値が小さい場合は、擦り部と非擦り部とで性能があまり変化していないことを意味するため、耐擦傷性能は良いと評価することができる。
【0027】
或いは、上記評価値としてある基準値を設定しておき、この基準値に到達するまでの消しゴム又はスチールウールの擦り回数等で、耐擦傷性能を評価することも可能である。
【0028】
尚、上記評価値は、擦り条件のうち、擦り回数と荷重とがその値に大きく影響する。例えば、擦り回数や荷重の数値が大きい程、評価値は大きくなるし、擦り回数や荷重の数値が小さい程、評価値は小さくなる。擦り回数が少なすぎたり、荷重の数値が小さすぎたりすると、どの表面フィルムでもほぼ同じ値が出てしまい、正確な評価が難しい。このため、あらゆる表面フィルムにおいて、評価値の差がはっきりと出るように、上記擦り条件(特に、擦り回数と荷重)を決めておく必要がある。
【0029】
フラットパネルディスプレイの表面フィルムである反射防止フィルムは、消しゴム擦り法(擦り条件は上述した条件とする。但し、こすり回数は200往復とする)で該反射防止フィルムを擦った場合の評価値が0以上0.5以下、より好ましくは0以上0.1以下であれば、実用上問題なく使用することが可能である。また、スチールウール法(擦り条件は上述した条件とする。但し、こすり回数は10往復とする)で該反射防止フィルムを擦った場合の評価値が0以上0.5以下、より好ましくは0以上0.1以下であれば、実用上問題なく使用することが可能である。
【0030】
以下、表面フィルムの一例である反射防止フィルムについて説明する。
一般に、反射防止フィルムは、透明支持体上に、少なくとも一層の機能層と低屈折率層とが積層された構造を有する。機能層としては、光学機能層および物理機能層のどちらでもよく、光学機能層としては、高屈折率層や光拡散層が挙げられる。また、物理機能層としては、ハードコート層や帯電防止層などが挙げられる。光学機能層と物理機能層を兼ねてもよく、例えば防眩性ハードコート層などが挙げられる。本実施形態の反射防止フィルムは、透明支持体上に、防眩性ハードコート層、さらにその上に低屈折率層が積層された構造を有する。
【0031】
(防眩性ハードコート層)
防眩性ハードコート層は、ハードコート性を付与するためのバインダー、防眩性を付与するためのマット粒子を含有し、好ましくは、高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のために、無機フィラーを含有する。
【0032】
(防眩性ハードコート層のバインダー)
防眩性ハードコート層のバインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。これらの防眩性ハードコート層のバインダーポリマーは反応性架橋基を有することが好ましい。
【0033】
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体(バインダー前駆体)が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ反応性架橋基を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
【0034】
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
【0035】
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、無機微粒子などのマット粒子を含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後、電離放射線または熱による重合反応により硬化して、防眩性ハードコート層を形成する。
【0036】
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
【0037】
最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており、本実施形態に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。また特開平6−41468号公報に記載されているように、光重合開始剤を2種併用することも好ましく用いられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
【0038】
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾービスーイソブチロニトリル、2−アゾービスープロピオニトリル、2−アゾ−ビスーシクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
【0039】
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子、好ましくは更に無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後、電離放射線または熱による重合反応により硬化して、低屈折率層を形成する。
【0040】
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本実施形態において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
【0041】
また高屈折率するために、前記エチレン性不飽和モノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
【0042】
防眩性ハードコート層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して20〜95質量%添加する。
【0043】
(マット粒子)
防眩性ハードコート層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒径が1〜10μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子が含有される。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、真球あるいは不定形のいずれも使用できる。
【0044】
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用してもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに反射防止フィルムを貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。ギラツキは、フィルム表面に存在する凹凸(防眩性に寄与)により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子より小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
【0045】
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
【0046】
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜2000mg/m2、より好ましくは100〜1400mg/m2となるように防眩性ハードコート層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
【0047】
(無機フィラー)
防眩性ハードコート層には、層の屈折率を高めるために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた防眩性ハードコート層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
防眩性ハードコート層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、防眩性ハードコート層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
【0048】
防眩性ハードコート層のマット粒子を除いた部分の屈折率は、1.50〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。
【0049】
防眩性ハードコート層の膜厚は1〜10μmが好ましく、1.2〜8μmがより好ましい。
【0050】
(低屈折率層)
次に低屈折率層について以下に説明する。
低屈折率層は、バインダーおよび無機微粒子を含有する塗布液を機能層上に塗布し、硬化することにより形成される。本実施形態の反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49であり、好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。
【0051】
(無機微粒子)
低屈折率層は、屈折率の上昇を低下するために無機微粒子として、中空構造を持つ無機微粒子を含有することが好ましい。
このような中空無機微粒子として、中空構造のシリカが好ましい。中空のシリカ微粒子は屈折率が1.17〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最もに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(III)から算出される空隙率xは、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
(数式III):x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は用いられない。
なお、これら中空シリカ粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなった。
また中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611号公報や特開2002−79616号公報に記載されている。
【0052】
中空シリカの配合量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。配合量が上記範囲であることにより、耐擦傷性に優れ、低屈折率層表面に微細な凹凸が減少し、黒の締まりなどの外観や積分球反射率が良化する。
中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が上記範囲であることにより屈折率が低下し、低屈折率層表面に微細な凹凸が減少し、黒の締まりなどの外観、積分球反射率が良化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
【0053】
本実施形態においては、中空シリカと併用あるいは、単独で空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上80nm以下、最も好ましくは40nm以上60nm以下である。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
【0054】
シリカ微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するシランカップリング剤による処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
シリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
【0055】
低屈折率層におけるバインダーは、前述の防眩性ハードコート層に用いるバインダーと同様のものが使用できる。
本実施形態においては、低屈折率層の下層である機能層において存在するオルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物が存在し、低屈折率層におけるバインダーが、該オルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物が有する一般式(1)におけるR1で表される基と架橋できる官能基を有することが好ましい。
【0056】
【化1】


【0057】
このような官能基としては、例えば、一般式(1)におけるR1で表される基が(メタ)アクリロイル基であれば(メタ)アクリロイル基が挙げられ、エポキシ基であればヒドロキシ基が挙げられる。
【0058】
更に低屈折率であるバインダーは、含フッ素ポリマーであってもよい。フッ素ポリマーとしては動摩擦係数0.03〜0.15、水に対する接触角90〜120°の熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーとしてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
【0059】
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM[大阪有機化学(株)製]やM−2020[ダイキン製]等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
【0060】
架橋反応性付与のための構成単位としてはグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、これらの構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
【0061】
また上記含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
【0062】
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用してもよい。
【0063】
本実施形態で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
【0064】
含フッ素共重合体の好ましい形態として下記一般式(2)のものが挙げられる。
【0065】
【化2】


【0066】
一般式(2)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**, *−(CH2) 2−NH−**, *−(CH2)4−O−**, *−(CH2)6−O−**, *−(CH2) 2−O−(CH2) 2−O−**, *−CONH−(CH2)3−O−**, *−CH2CH(OH)CH2−O−**, *−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
【0067】
一般式(2)中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
【0068】
一般式(2)中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
【0069】
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
【0070】
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。ただし、x+y+z=100である。
【0071】
本実施形態に用いられる含フッ素共重合体の特に好ましい形態として一般式(3)が挙げられる。
【0072】
【化3】


【0073】
一般式(3)においてX、x、yは一般式(1)と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式(5)におけるAの例として説明したものが当てはまる。
Z1およびZ2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100である。
【0074】
一般式(2)で表される含フッ素共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
【0075】
以下に本実施形態で有用な含フッ素共重合体の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0076】
【化4】


【0077】
【化5】


【0078】
【化6】


【0079】
【化7】


【0080】
【化8】


【0081】
上記含フッ素ポリマーの重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
【0082】
低屈折率層の反応性架橋基を有するバインダーとしては、反応性架橋基として(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアナート基のいずれかを有するバインダーであることが好ましく、反応性架橋基として(メタ)アクリロイル基を有するバインダーであることがより好ましい。
【0083】
本実施形態に用いられる共重合体の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより行なうことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
【0084】
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
【0085】
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
【0086】
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
【0087】
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
【0088】
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
【0089】
低屈折率層形成組成物は液の形態をとり、前記バインダー及び無機微粒子を必須構成成分とし、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製される。低屈折率層形成組成物を機能層上に塗布、乾燥し、電離放射線の照射または加熱により、架橋または重合を行い、低屈折率層を形成する。
【0090】
また低屈折率層の皮膜硬度の観点からは硬化剤等の添加剤を添加することは必ずしも有利ではないが、高屈折率層との界面密着性等の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤を少量添加することもできる。これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して0〜30質量%の範囲であることが好ましく、0〜20質量%の範囲であることがより好ましく、0〜10質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0091】
防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
【0092】
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X−22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば-CF2CF3、-CH2 (CF2)4H、-CH2 (CF2)8CF3、-CH2CH2 (CF2)4H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF3)2、CH2CF(CF3)2、CH(CH3)CF2CF3、CH(CH3)(CF2)5CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば、CH2OCH2CF2CF3、CH2CH2OCH2C4F8H、CH2CH2OCH2CH2C8F17、CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物との共重合体であっても共重合オリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0094】
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0095】
本実施形態の反射防止フィルムにおいて機能層(防眩性ハードコート層)および低屈折率層を形成するための塗布液に用いる溶媒について以下に説明する。
【0096】
塗布溶媒は、例えば、沸点が100℃以下の溶媒としては、ヘキサン(沸点68.7℃、以下「℃」を省略する)、ヘプタン(98.4)、シクロヘキサン(80.7)、ベンゼン(80.1)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8)、クロロホルム(61.2)、四塩化炭素(76.8)、1,2−ジクロロエタン(83.5)、トリクロロエチレン(87.2)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6)、ジイソプロピルエーテル(68.5)、ジプロピルエーテル(90.5)、テトラヒドロフラン(66)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2)、酢酸メチル(57.8)、酢酸エチル(77.1)、酢酸イソプロピル(89)などのエステル類、アセトン(56.1)、2−タノン(=メチルエチルケトン、79.6)などのケトン類、メタノール(64.5)、エタノール(78.3)、2−プロパノール(82.4)、1−プロパノール(97.2)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6)、プロピオニトリル(97.4)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2)、などがある。
【0097】
沸点が100℃を越える溶媒としては、例えば、オクタン(125.7)、トルエン(110.6)、キシレン(138)、テトラクロロエチレン(121.2)、クロロベンゼン(131.7)、ジオキサン(101.3)、ジブチルエーテル(142.4)、酢酸イソブチル(118)、シクロヘキサノン(155.7)、2−メチル−4−ペンタノン(=MIBK、115.9)、1−タノール(117.7)、N,N−メチルホルムアミド(153)、N,N−メチルアセトアミド(166)、ジメチルスルホキシド(189)、などがある。好ましくは、トルエン、シクロヘキサノン、2−チル−4−ペンタノン、である。これらのうちケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
ケトン系溶剤を用いる場合、単独および混合のいずれでもよく、混合のときはケトン系溶媒の含有量が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
【0098】
本実施形態の反射防止フィルムにおいて、機能層および低屈折率層成分を前述の組成の溶媒で希釈することにより、それらの層用塗布液が調製される。塗布液濃度は、塗布液の粘度、層素材の比重などを考慮して適宜調節されることが好ましいが、0.1〜80質量%が好ましく、より好ましくは1〜60質量%である。
また各々の機能層および低屈折率層用の溶媒は同一組成であってもよいし、異なっていてもよい。
【0099】
本実施形態において、無機微粒子、無機フィラーなどの凝集、沈降を抑制する目的で、各層を形成するための塗布液に分散安定化剤を併用することも好ましい。分散安定化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、ポリアミド、リン酸エステル、ポリエーテル、界面活性剤および、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を使用することができる。特に前述のシランカップリング剤が硬化後の皮膜が強いため好ましい。
【0100】
(透明支持体)
本実施形態の反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フイルム社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
トリアセチルセルロースは、単層または複数の層からなる。単層のトリアセチルセルロースは、特開平7−11055号公報等で開示されているドラム流延、あるいはバンド流延等により作成され、後者の複数の層からなるトリアセチルセルロースは、公開特許公報の特開昭61−94725号公報、特公昭62−43846号公報等で開示されている、いわゆる共流延法により作成される。すなわち、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金属ベルトまたは回転するドラムからなる支持体の上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する際、単層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープを共流延し、支持体上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶剤を除去することからなる方法である。
【0101】
上記のような、トリアセチルセルロースを溶解するための溶剤としては、ジクロロメタンが代表的である。しかし地球環境や作業環境の観点から、溶剤はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶剤中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。
ジクロロメタン等を実質的に含まない溶剤を用いてトリアセチルセルロースのドープを調製する場合には、後述するような特殊な溶解法が必須となる。
【0102】
第一の溶解法は、冷却溶解法と称され、以下に説明する。まず室温近辺の温度(−10〜40℃)で溶剤中にトリアセチルセルロースを撹拌しながら徐々に添加する。次に、混合物は−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、トリアセチルセルロースと溶剤の混合物は固化する。さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、溶剤中にトリアセチルセルロースが流動する溶液となる。昇温は、室温中に放置するだけでもよいし、温浴中で加温してもよい。
【0103】
第二の方法は、高温溶解法と称され、以下に説明する。まず室温近辺の温度(−10〜40℃)で溶剤中にトリアセチルセルロースを撹拌しながら徐々に添加される。トリアセチルセルロース溶液は、各種溶剤を含有する混合溶剤中にトリアセチルセルロースを添加し予め膨潤させることが好ましい。本法において、トリアセチルセルロースの溶解濃度は30質量%以下が好ましいが、フィルム製膜時の乾燥効率の点から、なるべく高濃度であることが好ましい。次に有機溶剤混合液は、0.2MPa〜30MPaの加圧下で70〜240℃に加熱される(好ましくは80〜220℃、更に好ましく100〜200℃、最も好ましくは100〜190℃)。次にこれらの加熱溶液はそのままでは塗布できないため、使用された溶剤の最も低い沸点以下に冷却する必要がある。その場合、−10〜50℃に冷却して常圧に戻すことが一般的である。冷却はトリアセチルセルロース溶液が内蔵されている高圧高温容器やラインを、室温に放置するだけでもよく、更に好ましくは冷却水などの冷媒を用いて該装置を冷却してもよい。ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアセテートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されている。
【0104】
本実施形態の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。また、本実施形態の反射防止フィルムと偏光板を組み合わせてもよい。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光膜を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本実施形態の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
【0105】
本実施形態の反射防止フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
【0106】
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(I)及び(II)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(I)が優れているが、反射防止膜面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(II)が優れる。
(I)透明支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(II)透明支持体上に反射防止層を形成する前または後に、アルカリ液を該反射防止フィルムの反射防止フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
【0107】
(塗布方式)
本実施形態の反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
【0108】
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。次に、機能層を形成するための塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。更に、構成を後述のように工夫したダイを使用して塗布を行うことが最も好ましい。
その後、光照射あるいは加熱して、機能層を形成するモノマーを重合して硬化する。これにより機能層が形成される。ここで必要であれば、機能層を複数層とすることができる。
次に、同様にして低屈折率層を形成するための塗布液を機能層上に塗布し、光照射あるいは加熱し低屈折率層が形成される。このようにして本実施形態の反射防止フィルムが得られる。
【実施例1】
【0109】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0110】
本実施例では、上述した光検出装置11として富士写真フィルム(株)製のデジタルカメラS3Proを用いた。また、このデジタルカメラに装着するレンズとして、ニコン(株)製、Ai AF Zoom Nikkor ED70〜180mm F4.5〜F5.6Dを用いた。上述した蛍光灯12,13として、LPL(株)製、サンライトワイドラインSW−270を用いた。コンピュータ20として、周知のCPU、ROM、RAM、ディスプレイ、ユーザインタフェースの他、輝度値を濃度値に変換するソフトウェア等が格納されたハードディスク等の記憶媒体を有するコンピュータを用いた。このコンピュータは、IEEE1394ケーブルを介してデジタルカメラと接続される。尚、試料台の位置合わせ、蛍光灯の高さ調節、デジタルカメラによる撮影等を、コンピュータからのリモート制御により簡単に行えるようにしてもよい。
【0111】
まず、本実施例において、評価値の算出対象となる反射防止フィルムを作成する。
【0112】
(防眩性ハードコート層用塗布液および低屈折率層用塗布液の調製)
────────────────────────────────────
防眩性ハードコート層用塗布液の組成
────────────────────────────────────
PET−30 50.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 1.5g
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.0g
FP−1 0.75g
ゾル液a−2 10.0g
トルエン 38.5g
────────────────────────────────────
【0113】
上記塗布液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性ハードコート層用塗布液を調製した。
【0114】
ここで、使用した化合物は以下の通りである。PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)、DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)、イルガキュア184:重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用)、架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm(屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用)、FP−1:フッ素系表面改質剤である。
【0115】
────────────────────────────────────
低屈折率層用塗布液の組成
────────────────────────────────────
含フッ素ポリマーB(6%) 13.0g
MEK−ST−L(30%) 1.0g
ゾル液a−1 0.5g
MEK 5.0g
シクロヘキサノン 0.5g
────────────────────────────────────
上記溶液を攪拌後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
【0116】
ここで、使用した化合物は以下の通りである。含フッ素ポリマーB:特開平11−189621号公報の実施例1に記載の含フッ素ポリマー80g、硬化剤としてサイメル303 20g(日本サイテックインダストリーズ(株))、硬化触媒としてキャタリスト4050 2.0g(日本サイテックインダストリーズ(株))をMEKに溶解して6%にしたもの(屈折率1.44、固形分濃度6%、JSR(株)製)、MEK−ST−L:コロイダルシリカ分散物(MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)である。
【0117】
(防眩性ハードコート層の塗設)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して直接、防眩性ハードコート層用塗布液を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、防眩性ハードコート層(厚さ6μm)を形成し、巻き取った。
【0118】
(低屈折率層の塗設)
該防眩性ハードコート層を塗設したトリアセチルセルロースフイルムを再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液を線数200本/インチ、深度30μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度20m/分の条件で塗布し、120℃で75秒乾燥の後、更に10分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量240mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
【0119】
こうして反射防止フィルムを作成した。
【0120】
(試料の作成)
上記実施形態で説明した方法により、上記作成した反射防止フィルムを擦り、その裏面に黒色のPETを貼り付けて試料を作成した。試料は、消しゴム擦り法で試験を行って作成した試料Aと、スチールウール法で試験を行って作成した試料Bとを作成した。消しゴム擦り法での擦り条件は、上記実施形態で説明した擦り条件例において、擦り部材の擦り回数を200往復にした条件とした。スチールウール法での擦り条件は、上記実施形態で説明した擦り条件例において、擦り部材の擦り回数を10往復にした条件とした。
【0121】
(反射防止フィルムの評価)
作成した試料A,Bのそれぞれについて、図3で説明した方法で評価値を算出した。この結果、試料A、試料Bともに、評価値は0.1以下となった。また、試料Aと試料Bをそれぞれ目視にて観察した結果、いずれも実用上問題ない程度の性能劣化であると評価できた。この結果、本実施例で用いた擦り条件において評価値が0.1以下であれば、耐擦傷性能が高い反射防止フィルムであると言えることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の実施形態を説明するための表面フィルムの耐擦傷性能評価方法の流れを示す図
【図2】表面フィルムの耐擦傷性能を定量的に評価するための評価値を算出する評価値算出システムの概略的構成を示す図
【図3】図2に評価値算出システムを用いて評価値を算出する際の流れを示す図
【符号の説明】
【0123】
5 試料台
6 試料
11 光検出装置
12,13 蛍光灯
20 コンピュータ




 

 


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