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発明の名称 液晶表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−52406(P2007−52406A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2006−196737(P2006−196737)
出願日 平成18年7月19日(2006.7.19)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 松原 良太
要約 課題
広視野角状態から一人用等の狭視角状態に対応できる簡易な構成の液晶表示装置を提供する。

解決手段
少なくとも液晶セルと該液晶セルを光学補償する光学異方性層とを有し、電圧印加時における前記液晶セルのRe(0)の値から、前記光学異方性層のRe(0)値を差し引いた値が正となる印加電圧領域である第1の諧調領域と、電圧印加時における前記液晶セルのRe(0)の値から、前記光学異方性層のRe(0)値を差し引いた値が負となる印加電圧領域である第2の諧調領域とを有する液晶表示装置である。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも、液晶セルと該液晶セルを光学補償する光学異方性層とを有し、
電圧印加時における前記液晶セルのRe(0)の値から、前記光学異方性層のRe(0)値を差し引いた値が正となる印加電圧領域である第1の諧調領域と、
電圧印加時における前記液晶セルのRe(0)の値から、前記光学異方性層のRe(0)値を差し引いた値が負となる印加電圧領域である第2の諧調領域とを有する液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶セルがベンド配向モードである請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶セルを挟持する一対の偏光膜を有し、前記光学異方性層が、前記一対の偏光膜の少なくともいずれか一方と前記液晶セルとの間に配置され、且つ前記光学異方性層を支持する支持体を有する請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶セルと前記支持体とが、下記の条件を満足する請求項3に記載の液晶表示装置:
2.0≦(Δn×d)/Rth≦4.0
式中、Δnは液晶セル中の液晶の屈折率異方性であり、dは液晶セルの厚み(nm)であり、Rthは波長550nmにおける支持体の厚み方向のレターデーション(nm)である。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野角が改善された液晶表示装置、好ましくはベンド配向モードの液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)は、CRT(cathode ray tube)と比較して、薄型、軽量、低消費電力との大きな利点を有する。液晶表示装置は、液晶セルおよび液晶セルの両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、棒状化合物、それを封入するための二枚の基板および棒状化合物に電圧を加えるための電極層からなる。封入した棒状化合物を配向させるため、二枚の基板には配向膜が設けられる。
液晶セルに表示される画像の着色を除去するため、液晶セルと偏光板との間に光学補償シート(位相差板)を設けることが多い。偏光板と光学補償シートとの組み合わせは、楕円偏光板として機能する。光学補償シートに、液晶セルの視野角を拡大する機能を付与する場合もある。
光学補償シートとしては、延伸した合成ポリマーフィルム(例、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム)が従来から使用されている。
【0003】
合成ポリマーフィルムに代えて、ディスコティック化合物から形成した光学異方性層および透明支持体を有する光学補償シートを使用することも提案されている。光学異方性層は、ディスコティック化合物を配向させ、その配向状態を固定することにより形成する。ディスコティック化合物は、一般に大きな複屈折率を有する。また、ディスコティック化合物には、多様な配向形態がある。従って、ディスコティック化合物を用いることで、従来の合成ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。ディスコティック化合物を用いた光学補償シートについては、種々提案されている(特許文献1〜4参照)。
【0004】
光学補償シートの透明支持体としては、光学等方性(低いレターデーション値)が要求される場合には、一般にセルロースアセテートフィルムが用いられている。逆に、光学異方性(高いレターデーション値)が要求される場合には、延伸した合成ポリマーフィルム(例、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム)が用いられている。光学補償シートのような光学材料の技術分野では、ポリマーフィルムに光学的異方性(高いレターデーション値)が要求される場合には合成ポリマーフィルムを使用し、光学的等方性(低いレターデーション値)が要求される場合にはセルロースアセテートフィルムを使用することが一般的な原則であった。特許文献5には、従来の一般的な原則を覆して、光学的異方性が要求される用途にも使用できる高いレターデーション値を有するセルロースアセテートフィルムが開示されている。
【0005】
特許文献6及び7に、棒状化合物を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置が開示されている。棒状化合物が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれている。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。ベンド配向モードは、従来の液晶モード(TNモード、STNモード)と比較すると、視野角が広く、応答速度が速いとの特徴がある。しかし、CRTと比較すると、さらに改良が必要である。ベンド配向モードの液晶表示装置をさらに改良するため、一般的な液晶モードと同様に光学補償シートを用いることが考えられる。特許文献8〜10には、ディスコティック化合物から形成した光学異方性層を有する光学補償シート、およびそれを用いたベンド配向モードの液晶表示装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平6−214116号公報
【特許文献2】米国特許第5583679号明細書
【特許文献3】米国特許第5646703号明細書
【特許文献4】西独国特許出願公開第3911620号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0911656号明細書
【特許文献6】米国特許第4583825号明細書
【特許文献7】米国特許第5410422号明細書
【特許文献8】特開平9−197397号公報(米国特許第5805253号明細書)
【特許文献9】国際公開第96/37804号パンフレット(欧州特許出願公開第0783128号明細書)
【特許文献10】特開平11−316378号公報(米国特許第6064457号明細書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ディスコティック化合物から形成した光学異方性層を有する光学補償シートを、ベンド配向モードの液晶表示装置に使用することで、非常に広い視野角が得られる。しかし、液晶表示素子が用いられる上述の機器(パソコン、ワープロなど)は、様々な用途や環境で使用されるようになってきている。例えば、これらの機器を使用して会議などでプレゼンテーション等を行う場合は、複数の人が同時に見ることになるため、表示素子の視角特性はできるだけ広視角特性である方がよい。一方、これらの機器を、航空機、電車などの公共交通機関等、公共の場所において情報入力及び表示機器として使用する場合には、情報の保全あるいはプライバシーの保全のため、使用者以外の人に表示画面が見られない方がよい。従って、この場合には、視角特性は、入力者だけに見える範囲で十分である。このようなニーズから、1台の機器において、表示素子の視角特性を制御し、広視野角状態から一人用の狭視角状態に対応できる表示装置が必要となっている。
本発明の目的は、広視野角状態から一人用等の狭視角状態に対応できる簡易な構成の液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が鋭意研究を進めたところ、OCBモードでは、液晶セルのReレターデーション値から光学異方性層のReレターデーションの絶対値を差し引きした値がプラスとなるレターデーションと液晶セルのReレターデーションから光学異方性層のReレターデーションの絶対値を差し引きした値がマイナスとなるレターデーションで階調表示することができ、2つの階調表示を行うことができるとの知見を得た。さらにこの知見に基づいて検討を進め、本発明を完成するに至った。
即ち、前記課題を解決するため、本発明の液晶表示装置は、少なくとも、液晶セルと該液晶セルを光学補償する光学異方性層とを有し、電圧印加時における前記液晶セルのRe(0)の値から、前記光学異方性層のRe(0)値を差し引いた値が正となる印加電圧領域である第1の諧調領域と、電圧印加時における前記液晶セルのRe(0)の値から、前記光学異方性層のRe(0)値を差し引いた値が負となる印加電圧領域である第2の諧調領域とを有することを特徴とする。
なお、Re(0)は、層面に対して法線方向から測定した波長550nmにおける面内レターデーションをいうものとする。
本発明の液晶表示装置は、OCBモード等のベンド配向モードであるのが好ましい。
【0009】
本発明者は、さらに検討を重ねた結果、ベンド配向モードの液晶表示装置では、液晶セルを光学補償する光学異方性層を支持している支持体の厚み方向のレターデーションであるRthが、液晶セルの光学特性であるΔndと、所定の関係を満足していると、広視野角・狭視野角のスイッチングに最適な設計になるとの知見を得た。
即ち、本発明の好ましい一態様は、前記液晶セルを挟持する一対の偏光膜を有し、前記光学異方性層が、前記一対の偏光膜の少なくともいずれか一方と前記液晶セルとの間に配置され、且つ前記光学異方性層を支持する支持体を有し、前記液晶セルと前記支持体とが、下記の条件を満足する前記液晶表示装置である。
2.0≦(Δn×d)/Rth≦4.0
式中、Δnは液晶セル中の液晶の屈折率異方性であり、dは液晶セルの厚み(nm)であり、Rthは波長550nmにおける支持体の厚み方向のレターデーション(nm)である。
【0010】
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はエリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)またはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(エリプソメーターまたはKOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値Re(40°)、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値Re(−40°)の計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にエリプソメーターまたはKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、エリプソメーターまたはKOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
【発明の効果】
【0011】
従来、ディスコティック化合物から形成した光学異方性層を有する光学補償シートを、ベンド配向モードの液晶表示装置に使用することで、広い視野角が得られる。しかし、液晶表示素子が用いられる上述の機器(パソコン、ワープロなど)は、様々な用途や環境で使用されるようになってきている。例えば、これらの機器を使用して会議などでプレゼンテーション等を行う場合は、複数の人が同時に見ることになるため、表示素子の視角特性はできるだけ広視角特性である方がよい。一方、これらの機器を、航空機、電車などの公共交通機関等、公共の場所において情報入力及び表示機器として使用する場合には、情報の保全あるいはプライバシーの保全のため、使用者以外の人に表示画面が見られない方がよい。従って、この場合には、視角特性は、入力者だけに見える範囲で十分である。このようなニーズから、1台の機器において、表示素子の視角特性を制御し、広視野角状態から一人用の狭視角状態に対応できる表示装置が必要となっている。
本発明によれば、液晶セルを適切に光学的に補償し、広視野角状態から一人用等の狭視角状態に対応できる表示装置を実現することができる。
【発明の実施の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[液晶表示装置]
図1は、ベンド配向モードの液晶セルを有する、本発明の液晶表示装置の一実施形態の概略断面図である。
図1に示すOCBモードの液晶表示装置は、電圧印加時、即ち黒表示時に、液晶が基板面に対してベンド配向する液晶層7とそれを挟持する基板6及び8からなる液晶セルを有する。基板6及び8は液晶面に配向処理が施してあり、ラビング方向を矢印RDで示す。裏面の場合は破線矢印で示してある。さらに、液晶セルを挟持して偏光膜1及び101が配置されている。偏光膜1及び101それぞれの透過軸2及び102を、互いに直交に、且つ液晶セルの液晶層7のラビング方向(不図示)と45度の角度に配置される。偏光膜1及び101と液晶セルとの間には、支持体13a及び113aと光学異方性層5及び9とからなる光学補償シートがそれぞれ配置されている。光学異方性層5及び9は、液晶性化合物の分子、好ましくはディスコティック液晶性化合物の分子の配向によって発現された光学異方性を有する。
【0013】
図1中の液晶セルは、上側基板6及び下側基板8と、これらに挟持される液晶分子7から形成される液晶層からなる。基板6及び8の液晶分子7に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子7の配向がプレチルト角をもった平行方向に制御されている。また、基板6及び8の内面には、液晶分子7からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。本発明では、液晶層の厚さd(ミクロン)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dについては特に制限されないが、輝度と視野角を両立させるために、100〜2000nmの範囲であることが好ましく、150〜1700nmの範囲であることがさらに好ましく、500〜1500nmの範囲であることが最も好ましい。用いる液晶材料については特に制限されないが、上下基板6及び8間に電界が印加される態様では、電界方向に平行に液晶分子7が応答するような、誘電率異方性が正の液晶材料を使用する。なお、一般的には、ベンド配向液晶セルは、セル中央部の液晶分子がねじれ配向していてもよい。
【0014】
応答時間を短くするためにセルギャップは小さくすることが好ましい。具体的には10μm以下が好ましく、6μm以下がさらに好ましく、4μm以下であることが最も好ましい。セルギャップを小さくするためには液晶化合物のΔnを大きくすることが好ましい。ただし、Δnを大きくしすぎると、Δnの波長分散が大きくなりすぎ、表示色に影響を与えるため適切な範囲内で大きくすることが好ましい。具体的には、Δnは、0.05〜0.5が好ましく、0.1〜0.3がさらに好ましい。また、駆動電圧の上限(ノーマリーホワイトモードでは黒表示電圧)は消費出力を抑えるために低くすることが好ましい。またドライバICのコストの観点で、汎用のドライバICで対応できる電圧範囲で駆動できることが好ましい。具体的にはソース配線に入力する信号レベルが15V以下で駆動できることが好ましく、10V以下で駆動できることがさらに好ましい。液晶分子の配向膜界面でのチルト角は、駆動電圧と輝度を両立させるために、0°〜20°の範囲であることが好ましく、3°〜15°であることがさらに好ましく、5°〜10°であることが最も好ましい。
【0015】
なお、OCBモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル材の添加は、動的応答特性の劣化させるため、用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。また、マルチドメイン構造とする場合には、各ドメイン間の境界領域の液晶分子の配向を調整するのに有利である。マルチドメイン構造とは、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割した構造をいう。例えば、OCBモードにおいて、マルチドメイン構造にすると、輝度や色調の視野角特性が改善されるので好ましい。具体的には、画素のそれぞれを液晶分子の初期配向状態が互いに異なる2以上(好ましくは4又は8)の領域で構成して平均化することで、視野角に依存した輝度や色調の偏りを低減することができる。また、それぞれの画素を、電圧印加状態において液晶分子の配向方向が連続的に変化する互いに異なる2以上の領域から構成しても同様の効果が得られる。
【0016】
図2に、OCBモードの液晶表示装置の光学補償の関係を示す概念図である。ベンド配向液晶セル(10)を、ディスコティック化合物から形成した光学異方性層(31A、31B)と光学異方性を有する透明支持体(33A、33B)とを有する光学補償シートが協調して、光学的に補償する。
具体的には、光学異方性層(31A、31B)のディスコティック化合物の分子を配向させるためのラビング方向(RD1、RD4)を、液晶セルのラビング方向(RD2、RD3)とは反平行の関係に設定すると、ベンド配向液晶セル(10)中、光学異方性層(31A、31B)界面近傍において配向している液晶分子に、光学異方性層(31A、31B)中において配向しているディスコティック分子が対応して、光学的に補償する。そして、ベンド配向液晶セル(10)中、中央部において実質的に垂直に配向している液晶分子には、透明支持体(33A、33B)の光学異方性が対応するように設計されている。このように、液晶セルの黒表示状態における液晶の配向に対応して、光学補償シートの光学異方性層と透明支持体との光学特性を調整することにより、液晶セルの光学異方性を高度に補償することができ、広視野角を実現できる。
なお、液晶セル(10)のラビング方向は、画面内の任意方向でよいが、画面内の横方向、縦方向、45°方向、135°方向であることが好ましい。
【0017】
再び図1において、支持体13aの遅相軸14a、支持体113aの遅相軸114aは、互いに実質的に平行もしくは直交しているのが好ましい。支持体13a及び113aの遅相軸14a及び114aが互いに直交していると、それぞれの複屈折を互いに打ち消すことにより、液晶表示装置に垂直入射した光の光学特性が低下するのを低減することができる。また、遅相軸14a及び114aが互いに平行する態様では、液晶層に残留位相差がある場合には保護膜の複屈折でこの位相差を補償することができる。
【0018】
偏光膜1及び101の透過軸2及び102、支持体13a及び113aの遅相軸方向14a及び114a、ならびに液晶分子7の配向方向については、各部材に用いられる材料、表示モード、部材の積層構造等に応じて最適な範囲に調整する。すなわち、偏光膜1の透過軸2及び偏光膜101の透過軸102が、互いに実質的に直交しているように配置する。但し、本発明の液晶表示装置は、この構成に限定されるものではなく、偏光膜の透過軸は、パネル(表示面)の長辺に対して任意の方向に設定できる。
【0019】
光学異方性層5及び9は、液晶性化合物、例えば、棒状化合物又は円盤状化合物を含有する組成物から形成された層である。光学異方性層において、液晶性化合物の分子は、所定の配向状態に固定されている。光学異方性層5及び9中の液晶性化合物の分子対称軸の、少なくとも支持体13a及び113a側の界面における配向平均方向5a及び9aと、支持体13a及び113aの面内の遅相軸14a及び114aは、略45度で交差しているのが好ましい。かかる関係で配置すると、光学異方性層5又は9が、法線方向からの入射光に対してレターデーションを生じさせて、黒表示時の光漏れをより抑制できる。液晶セル側の界面においても、光学異方性層5及び9の分子対称軸の配向平均方向は、支持体13a及び113aの面内の遅相軸14a及び114aは略45度であるのが好ましい。また、光学異方性層5の液晶性化合物の分子対称軸の偏光膜側(透明フイルム界面側)の配向平均方向5aは、より近くに位置する偏光膜1の透過軸2と略45度に配置するのが好ましい。同様に、光学異方性層9の液晶性化合物の分子対称軸の偏光膜側(透明フイルム界面側)の配向平均方向9aが、より近くに位置する偏光膜101の透過軸102と略45度に配置するのが好ましい。かかる関係で配置すると、光学異方性層5又は9が発生するレターデーションと液晶層で発生するレターデーションとの和に応じて光スイッチングをすることができ、且つ斜め方向からの入射光に対しては本発明の効果を充分に奏することができる。
【0020】
次に、図1の液晶表示装置の画像表示の原理について説明する。
図1の液晶表示装置は、印加電圧領域V1〜V2(但しV1<V2)において、二つの諧調領域を有することを特徴とする。具体的には、V1〜Vx(但し、V1<Vx<V2)の印加時に、液晶セルのRe(0)の値から、光学異方性層5及び9のRe(0)値を差し引いた値が正となる第1の諧調領域と、Vx〜V2の印加時に、液晶セルのRe(0)の値から、光学異方性層5及び9のRe(0)値を差し引いた値が負となる第2の諧調領域とを有する。図3に、光学異方性層5及び9のRe(0)と液晶セルのRe(0)との関係を示す。但し、図3は、実測値を反映したグラフではなく、説明のために模式的に示したものである。図3のグラフに示す様に、光学異方性層5及び9のレターデーションは、一定であるので、印加電圧の増減によって変化しない。一方、液晶セルのレターデーションは、印加電圧が増加するに従って、液晶分子のベンド配向が変化し、レターデーションが徐々に減少する。駆動電圧の最小電圧であるV1では、液晶セルのレターデーションが光学異方性層5及び9のレターデーションより大きいが、印加電圧Vxを越えると大小が逆転し、駆動電圧の最大電圧であるV2までその大小関係が維持される。
【0021】
図4に、液晶セルのRe(0)と光学異方性層のRe(0)との差と、印加電圧との関係を示す。但し、図3と同様、図4は、実測値を反映したグラフではなく、説明のために模式的に示したものである。図4のグラフに示す様に、液晶セルのRe(0)と光学異方性層5及び9のRe(0)との差は、印加電圧V1〜Vxでは正であるが、印加電圧Vx〜V2では負となる。印加電圧V1〜Vxの領域では、広視野角の表示が可能となり、印加電圧V1〜Vxの領域では、狭視野角の表示が可能となる。この様に、本発明では、このレターデーションの大小が逆転する印加電圧Vxを越えて液晶セルを駆動することにより、広視野角表示及び狭視野角表示の双方を可能とし、且つ広視野角と狭視野角表示との切り替えを、印加電圧の増減のみで行うことを可能としている。
なお、光学異方性層の面内レターデーションが負の場合は、光学異方性層のRe(0)には、その絶対値が用いられる。また、上記では、印加電圧が大きい領域では液晶セルのRe(0)が光学異方性層のRe(0)より小さくなる例を示したが、その大小関係は逆転していてもよく、即ち、印加電圧が高い領域で液晶セルのRe(0)から光学異方性層のRe(0)を引いた値が負となり、印加電圧が低い領域で正となる関係を満足している液晶表示装置も、勿論本発明の範囲に含まれる。
【0022】
さらに具体的に、図2を用いて、本発明の液晶表示装置の画像表示の原理について説明する。
液晶セル10の上下基板(不図示)のそれぞれの透明電極(不図示)に、最小駆動電圧であるV1を印加すると、液晶層中の液晶分子7が所定のベンド配向となり、液晶セルのレターデーションは、光学異方性層5及び9の面内のレターデーションでは相殺されないので、入射光は液晶セル6〜8を通過することによって偏光状態が変化する。偏光膜1と101の透過軸2、102は直交しているので、下側(例えば背面電極)から入射した光は、液晶セルを通過することで偏光軸が回転し、一部又は全部が偏光膜1を通過する。すなわち、白表示が得られる。印加電圧をVxまで増加させると、液晶層中の液晶分子7のベンド配向が変化し、液晶セルの面内レターデーションが減少して、光学異方性層5及び9の面内のレターデーションで相殺される。その結果、入射した光の偏光状態はほとんど変化せず、偏光状態を維持したまま液晶セル5〜8を通過し、偏光膜1によって遮断される。すなわち、黒表示を実現する。
1〜Vxの印加領域では、広視野角の表示となる。
【0023】
さらに、印加電圧を増加していくと、液晶セル中の液晶分子7のベント配向状態が変化し、液晶セルの面内レターデーションがさらに減少し、光学異方性層5及び9のレターデーションでは相殺されなくなる。その結果、印加電圧がV2に達すると、入射光は液晶セルを通過することで偏光軸が回転し、一部又は全部が偏光膜1を通過する。すなわち、白表示が再び得られる。但し、印加電圧V2において高い透過率が得られるのは、表示面の法線方向に対して時計回り及び反時計回りに20°程度の範囲である、即ち狭視野角範囲である。視野角がこの範囲を超えると、黒−白が反転して表示画像を識別できなくなる。従って、Vx〜V2の印加領域では、狭視野角の表示となる。
【0024】
さらに、OCBモード等のベント配向モードの液晶表示装置では、光学異方性層5及び9の支持体13a及び113aのRthが、液晶セルのΔn・dとの関係で以下の式(1)を満足していると、広視野角表示では広い視野角において高コントラストの画像が表示できるとともに、狭視野角表示においても高コントラストの画像が表示できる。
2.0≦(Δn×d)/Rth≦4.0 (1)
式中、Δnは液晶セル中の液晶の屈折率異方性であり、dは液晶セルの厚み(nm)であり、Rthは波長550nmにおける支持体の厚み方向のレターデーション(nm)である。(Δn×d)/Rthはより好ましくは、2.0〜3.0である。
【0025】
一般的に、2枚の偏光膜をクロスニコル配置にした場合、偏光膜の法線方向から見た透過率は非常に低いが、法線方向から2枚の偏光膜の透過軸の中線の方向へ視角を傾けると透過率が大きくなる。これは、SID98 DIGEST p.315に記載のあるとおり、視角を傾けることにより、入射側偏光膜と出射側偏光膜の透過軸のなす角度がクロスニコル配置(90°)からずれるためである。このことは、2枚の偏光膜をクロスニコルで配置した液晶表示装置を、黒表示時に斜め方向から観察すると、光漏れが生じることの原因となっている。この視角を傾けた場合の光漏れは、正のa−plateと正のc−plateとの組み合わせ、負のa−plateと負のc−plateとの組み合わせ、または二軸性フィルムを使用することにより大幅に低減できる。ここで、a−plateとc−plateの組み合わせの場合には、a−plateの光学軸を偏光膜の透過軸に平行に、二軸性フィルムの場合には遅相軸を偏光膜の透過軸に平行に配置する。従って、本発明の液晶表示装置に、上記組み合わせとしての光学特性を有するとともに、広視野角−狭視野角表示の切り替えが可能な上記特性を満足する光学補償シートを用いると、黒表示時の斜め方向の光漏れを軽減でき、高コントラストの画像表示が可能となるので好ましい。
【0026】
[黒表示の色味]
一般的に、光学補償シートの光学異方性層の波長分散とセルに用いられる液晶の波長分散が一致する場合、黒表示での正面の色味はニュートラルとなるので好ましい。但し、光学異方性層と液晶セルの波長分散が異なる場合には、R、G、Bの画素の透過率が異なり、ニュートラルからずれて着色が生じるが、以下の手段(1)または(2)により黒表示の色味をニュートラルにすることが可能である。従って、光学異方性層9及び5の波長分散が、液晶セルの波長分散と一致していない場合は、以下の(1)又は(2)の条件を満足する様に駆動すると、黒表示の色味がニュートラルになるので好ましい。
(1)R、G、B各画素の電圧を調整して、R、G、B各画素の透過率を最低にする。
(2)R、G、B各画素のセルギャップを調整して、R、G、B各画素の透過率を最低にする。
【0027】
黒表示の状態では、u0の値(液晶表示装置の正面方向から測定したuv色度の値)が0.17以上であることが好ましい。u0の値の調整は、後述する光学異方性層の波長分散値α1が1.0〜1.4である場合に特に有効である。
黒表示の状態では、v0の値が0.18以上であることも好ましい。v0の値の調整は、後述する光学異方性層の波長分散値α1が1.4〜2.0である場合に特に有効である。
【0028】
[波長分散値]
本発明の液晶表示装置では、光学補償シートの光学異方性層および透明支持体が、一定の波長分散値を有することが望ましい。
光学異方性層の下記式(II)で定義される波長分散値であるα1は、1.0〜2.0であることが好ましく、1.1〜1.9であることがさらに好ましく、1.2〜1.8であることが最も好ましい。
(II) α=Re(400nm)/Re(550nm)
式(II)において、αは波長分散値であり、Re(400nm)は、波長400nmの光で測定したReレターデーション値であり、そして、Re(550nm)は、波長550nmの光で測定したReレターデーション値である。
透明支持体の上記式(II)で定義される波長分散値であるα2は、下記式(III)を満足することが好ましく、下記式(III−2)を満足することがさらに好ましく、下記式(III−3)を満足することが最も好ましい。
(III) (1.4−0.5α1)<α2<(2.3−0.5α1)
(III−2) (1.5−0.5α1)<α2<(2.2−0.5α1)
(III−3) (1.6−0.5α1)<α2<(2.1−0.5α1)
【0029】
上記実施形態は、光学補償シートを上下それぞれ一枚ずつ有する液晶表示装置の実施形態について説明したが、光学補償シートは一枚であってもよく、また三枚以上配置されていてもよい。但し、液晶セルを挟持して上下に対照的に配置されているのが好ましい。また、光学補償シートが二枚以上配置されている場合は、光学異方性層のRe(0)は、全ての光学補償シートが有する光学異方性層のR0)の和をいうものとする。
【0030】
偏光膜1及び101と支持体13a及び113aとの間には、偏光膜用保護膜が配置されていてもよいし、保護膜がない場合は、支持体13a及び113aが偏光膜の保護膜としても機能していてもよい。偏光膜用保護膜を配置する場合は、光学補償シートによる光学補償の作用を損なわないように、Re及びRthの双方が小さいフィルムを用いるのが好ましい。なお、ある程度の大きさのRthを有する一軸又は二軸フィルムを保護膜として用いる場合は、保護膜と支持体全体のRthを、式(1)中のRthとする。さらに、光学補償シートを二枚以上配置した場合には、全ての光学補償シートが有する支持体のRthの合計を、前記式(1)中のRthとする。
【0031】
本発明の液晶表示装置は図1の構成に限定されず、従来液晶表示装置に用いられている種々の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルの基板に形成される電極層については特に限定されず、アクティブ駆動用の、アモルフャスシリコンTFT、高温ポリシリコンTFT、低温ポリシリコンTFTのいずれを用いることもできる。また、開口率向上、高精細化、ドライバIC、メモリ回路等をガラス基板上に形成してもよく、かかる場合は、低温ポリシリコンTFTを用いるのが好ましい。動画表示においてブラー(尾引き)を抑えるために、白表示時に黒表示を挿入する駆動(AM−LCD01の63頁に記載)を行うことが好ましい。また、バックライトを間欠表示させる表示方法(AM−LCD01の67頁に記載)も好ましい。ベンド配向液晶セルは、ノーマリーホワイトモード(NWモード)またはノーマリーブラックモード(NBモード)で用いることができる。上記では、OCBモードの液晶表示装置の実施形態について説明したが、本発明の液晶表示装置は、OCBモード等のベント配向モードに限定されるものではなく、TN、VA、IPS、HAN、ECBモード等であってもよい。明室および暗室のいずれの環境においても使用できるように、半透過型の表示(AM−LCD’01の55頁に記載)を行ってもよい。
【0032】
[光学補償シート]
本発明に用いる光学補償シートの一例は、液晶性化合物を含有する組成物から形成された光学異方性層と、該光学異方性層を支持する支持体との積層体である。以下、本実施形態の光学補償シートの作製に用いられる材料及び製造方法等について詳細に説明する。
[支持体]
光学補償シートの支持体は、透明であるのが好ましく、ポリマーフィルムからなるのが好ましい。複数のポリマーフィルムを積層して、所望の光学異方性を有する支持体を作製することもできる。ただし、上記式(1)を満足する支持体は、一枚のポリマーフィルムで実現することが可能である。従って、透明支持体は、一枚のポリマーフィルムからなることが特に好ましい。透明支持体の光学異方性は、上記式(1)を満足しているのが好ましい。一般的には、波長632.8nmの光で測定したReレターデーション値が10〜200nmの範囲であるのが好ましく、かつ波長632.8nmの光で測定したRthレターデーション値が50〜1000nmの範囲であるのが好ましいが、これに限定されるものではない。上記式(1)を満足する様に、液晶セルのΔn・dとの関係で決定されることが好ましい。
【0033】
透明支持体に用いられるポリマーフィルムの遅相軸角度の平均値は3°以下であることが好ましく、2°以下であることがさらに好ましく、1°以下であることが最も好ましい。遅相軸角度の平均値の方向を遅相軸の平均方向と定義する。また、遅相軸角度の標準偏差は1.5°以下であることが好ましく、0.8°以下であることがにさら好ましく、0.4°以下であることが最も好ましい。ポリマーフィルム面内における遅相軸の角度は、ポリマーフィルムの延伸方向を基準線(0°)とし、遅相軸と基準線のなす角度で定義する。ロール形態のフィルムを幅方向に延伸する時は幅方向を基準線とし、長手方向に延伸する時は長手方向を基準線とする。
ポリマーフィルムは、上記した様に透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であることが好ましい。また、ポリマーフィルムは、60×10-122/N以下の光弾性係数を有することが好ましい。
【0034】
光学補償シートを使用した透過型液晶表示装置において、通電後時間が経過すると画面周辺部に「額縁状の表示ムラ」が発生することがある。このムラは、画面周辺部の透過率の上昇によるものであり、特に黒表示時において顕著となる。透過型液晶表示装置では、バックライトから発熱しており、しかも液晶セル面内で温度分布が生じる。この温度分布により光学補償シートの光学特性(レターデーション値、遅相軸の角度)が変化することが「額縁状の表示ムラ」の発生原因である。光学補償シートの光学特性の変化は、温度上昇による光学補償シートの膨張または収縮が液晶セルまたは偏光板との粘着により抑制されるために、光学補償シートに弾性変形が生じることに起因する。
透過型液晶表示装置に生じる「額縁状の表示ムラ」を抑制するために、光学補償シートの透明支持体に熱伝導率が高いポリマーフィルムを使用することが好ましい。熱伝導率が高いポリマーの例には、セルロースアセテート(熱伝導率(以下同様):0.22W/(m・K))のようなセルロース系ポリマー、ポリカーボネート(0.19W/(m・K))のようなポリエステル系ポリマーおよびノルボルネン系ポリマー(0.20W/(m・K))のような環状オレフィンポリマーが含まれる。
市販のポリマー、例えば、市販のノルボルネン系ポリマー(アートン、JSR(株)製;ゼオノア、日本ゼオン(株)製、ゼオネックス;日本ゼオン(株)製)を用いてもよい。ポリカーボネート系コポリマーについては、特開平10−176046号および特開2001−253960号の各公報に記載がある。
【0035】
セルロース系ポリマーが好ましく、セルロースエステルがより好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
セルロースアセテート(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)が特に好ましい。酢化度が59.0〜61.5%であるセルローストリアセテートが最も好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
ポリマーの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、ポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMm/Mn(Mmは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMm/Mnの値は、1.00〜1.70であることが好ましく、1.30〜1.65であることがさらに好ましく、1.40〜1.60であることが最も好ましい。
【0036】
ポリマーフィルムのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することができる。
ポリマーフィルムとしてセルロースアセテートフィルムを用いる場合、芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。
芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
レターデーション上昇剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
レターデーション上昇剤については、特開2000−111914号、同2000−275434号、同2001−166144号の各公報および国際公開第00/02619号パンフレットに記載されている。
【0037】
ソルベントキャスト法によりポリマーフィルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマーを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。有機溶媒は、炭素原子数が2〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が2〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性ヒドロキシル基のような他の官能基を有していてもよい。
【0038】
エーテルの例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。ケトンの例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。エステルの例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0039】
一般的な方法でポリマー溶液を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。ポリマーの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。ポリマーの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0〜40℃)でポリマーと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、ポリマーと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常圧における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
【0040】
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0041】
ポリマー溶液(ドープ)の調製は、冷却溶解法に従い実施してもよい。まず室温近辺の温度(−10〜40℃)で有機溶媒中にポリマーを撹拌しながら徐々に添加される。複数の溶媒を用いる場合は、その添加順は特に限定されない。例えば、主溶媒中にポリマーを添加した後に、他の溶媒(例えばアルコールなどのゲル化溶媒など)を添加してもよいし、逆にゲル化溶媒を予めポリマーに湿らせた後の主溶媒を加えてもよく、不均一溶解の防止に有効である。ポリマーの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。
ポリマーの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0042】
次に、混合物は−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却される。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、ポリマーと有機溶媒の混合物は固化する。冷却速度は、特に限定されないがバッチ式での冷却の場合は、冷却に伴いポリマー溶液の粘度が上がり、冷却効率が劣るために所定の冷却温度に達するために効率よい溶解釜とすることが必要である。
冷却溶解法においては、ポリマー溶液を膨潤させたあと、所定の冷却温度にした冷却装置内を短時間で移送してもよい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にポリマーが流動する溶液となる。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
【0043】
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
【0044】
調製したポリマー溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりポリマーフィルムを製造する。またドープに、前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%、より好ましくは15〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許第2336310号、同第2367603号、同第492078号、同第2492977号、同第2492978号、同第2607704号、同第2739069号、同第2739070号、英国特許第640731号、同第736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が40℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
【0045】
複数のポリマー溶液を流延してもよい。
複数のポリマー溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からポリマーを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製することができる(特開昭61−158414号、特開平1−122419号、同11−198285号の各公報記載)。また、2つの流延口からポリマー溶液を流延することによってもフィルムを製造できる(特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、同61−947245号、同61−104813号、同61−158413号、特開平6−134933号の各公報記載)。さらに、高粘度ポリマー溶液の流れを低粘度のポリマー溶液で包み込み、その高・低粘度のポリマー溶液を同時に押出すポリマーフィルム流延方法(特開昭56−162617号公報記載)も採用できる。
二個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでより、フィルムを作製する方法(特公昭44−20235号公報記載)も実施できる。複数のポリマー溶液ポリマー溶液は、同一の溶液でもよい。複数のポリマー層に異なる機能を持たせるためには、その機能に応じたポリマー溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
【0046】
ポリマー溶液は、他の機能層(例、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層)の塗布液と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のポリマー溶液を押出すことが必要である。その場合、ポリマー溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のポリマー溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できる。さらに、濃厚なポリマー溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、さらに、フィルムの生産スピードを高めることができる。
【0047】
ポリマーフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、ポリマーの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
【0048】
ポリマーフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびトリベンジルアミン(TBA)である。
【0049】
作製したポリマーフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%であることが好ましい。延伸後のポリマーフィルムの厚さは、20〜200μmであることが好ましく、30〜100μmであることがさらに好ましい。延伸処理の条件を調整することにより、光学補償シートの遅相軸の角度の標準偏差を小さくすることができる。延伸処理は、テンターを用いて実施できる。ソルベントキャスト法により作製したフィルムに、テンターを用いて横延伸を実施する際に、延伸後のフィルムの状態を制御することにより、フィルム遅相軸角度の標準偏差を小さくすることができる。具体的には、テンターを用いてレターデーション値を調整する延伸処理を行い、そして延伸直後のポリマーフィルムを最大延伸倍率から最大延伸倍率の1/2の延伸倍率の間の延伸倍率で、フィルムのガラス転移温度近傍で保持することで、遅相軸角度の標準偏差を小さくすることができる。この保持の際のフィルムの温度をガラス転移温度よりも低い温度で行うと、標準偏差が大きくなってしまう。
また、ロール間にて縦延伸を行う際に、ロール間距離を広くすることによっても、遅相軸の標準偏差を小さくできる。
【0050】
ポリマーフィルムを、光学補償シートの透明支持体としての機能に加えて、偏光膜の透明保護膜としても機能させる場合、ポリマーフィルムを表面処理することが好ましい。
表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施する。酸処理またはアルカリ処理を実施することが好ましく、アルカリ処理を実施することがさらに好ましい。ポリマーがセルロースアセテートである場合、酸処理またはアルカリ処理は、セルロースアセテートに対するケン化処理として実施される。
【0051】
[光学異方性層]
光学異方性層は少なくとも液晶性化合物を含有する組成物から形成され、液晶分子の配向によって発現された光学異方性を示す。OCBモード等のベント配向モードの液晶セルの光学補償に用いられる場合は、前記液晶性化合物は、ディスコティック化合物であるのが好ましい。前記光学異方性層において、ディスコティック化合物の分子は、図2に示したように、その円盤面と透明支持体面とのなす角が、光学異方性層の深さ方向において変化した配向(ハイブリッド配向)であるのが好ましい。
光学異方性層は、上記の配向膜によってディスコティック化合物の分子を配向させ、その配向状態に固定することによって形成することが好ましい。ディスコティック化合物は、重合反応により固定することが好ましい。
【0052】
光学異方性層には、レターデーション値が0となる方向が存在しない。言い換えると、光学異方性層のレターデーションの最小値は、0を越える値である。光学異方性層のレターデーションの好ましい範囲は、補償する液晶セルのモードによって変動するが、一般的には、波長632.8nmの光で測定した光学異方性層のReレターデーション値は、10〜300nmであることが好ましく、50〜250nmであることがさらに好ましく、100〜200nmであることが最も好ましい。
光学異方性層は、下記式(IV)および(V)を満足するRe(632.8nm)、Re(40゜)およびRe(−40゜)の値を有することが好ましい。
(IV) 0.1<Re(40゜)/Re(632.8nm)<2.0
(V) 0.1<Re(−40゜)/Re(632.8nm)<1.0
式(IV)および(V)において、Re(632.8nm)は、波長632.8nmの光で測定した光学異方性層のReレターデーション値であり、Re(40゜)は、光学異方性層の遅相軸をあおり軸、あおり角度を40゜として波長632.8nmの光を入射して測定したReレターデーション値であり、Re(−40゜)は、光学異方性層の遅相軸をあおり軸、あおり角度を−40゜として波長632.8nmの光を入射して測定したReレターデーション値である。なお、あおり角度の正負はRe(40゜)>Re(−40゜)となるように決定する。
Re(450nm)、Re(550nm)が(IV)及び(V)を満たすことがさらに好ましく、波長が380nm〜780nmのReのすべてが(IV)及び(V)を満たすことがもっとも好ましい。
【0053】
ディスコティック化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al., Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。特に好ましいディスコティック化合物は、特開平8−50286号公報に記載がある。ディスコティック化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
【0054】
光学異方性層は、ディスコティック化合物および必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。光学異方性層の厚さは、0.5〜100μmであることが好ましく、0.5〜30μmであることがさらに好ましい。
【0055】
配向させたディスコティック化合物を、配向状態を維持して固定する。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
【0056】
ディスコティック化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20〜5000mJ/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
【0057】
光学異方性層を形成する際は、液晶性分子を配向させるために、配向膜を用いるのが好ましい。
[配向膜]
配向膜は、光学異方性層のディスコティック化合物の配向方向を規定する機能を有する。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。ポリビニルアルコールが、好ましいポリマーである。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。疎水性基は光学異方性層のディスコティック化合物と親和性があるため、疎水性基をポリビニルアルコールに導入することで、ディスコティック化合物を均一に配向させることができる。疎水性基は、ポリビニルアルコールの主鎖末端または側鎖に結合させる。疎水性基は、炭素原子数が6以上の脂肪族基(好ましくはアルキル基またはアルケニル基)または芳香族基が好ましい。ポリビニルアルコールの主鎖末端に疎水性基を結合させる場合は、疎水性基と主鎖末端との間に連結基を導入することが好ましい。連結基の例には、−S−、−C(CN)R1−、−NR2−、−CS−およびそれらの組み合わせが含まれる。上記R1およびR2は、それぞれ、水素原子または炭素原子数が1〜6のアルキル基(好ましくは、炭素原子数が1〜6のアルキル基)である。
【0058】
ポリビニルアルコールの側鎖に疎水性基を導入する場合は、ポリビニルアルコールに残存する(未ケン化の)酢酸ビニル単位に含まれるアセチル基(−CO−CH3)の一部を、炭素原子数が7以上のアシル基(−CO−R3)に置き換えればよい。R3は、炭素原子数が6以上の脂肪族基または芳香族基である。市販の変性ポリビニルアルコール(例、MP103、MP203、R1130、クラレ(株)製)を用いてもよい。
配向膜に用いる(変性)ポリビニルアルコールのケン化度は、80%以上であることが好ましい。(変性)ポリビニルアルコールの重合度は、200以上であることが好ましい。
ラビング処理は、配向膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。長さおよび太さが均一な繊維を均一に植毛した布を用いることが好ましい。
なお、光学異方性層のディスコティック化合物を配向膜を用いて配向後、配向膜を除去しても、ディスコティック化合物の配向状態を保つことができる。すなわち、配向膜は、光学補償シートの製造において必須であるが、製造された光学補償シートにおいては必須ではない。配向膜を透明支持体と光学異方性層との間に設ける場合は、さらに下塗り層(接着層)を透明支持体と配向膜との間に設けてもよい。
【0059】
本発明の光学補償シートをあらかじめ偏光膜と一体化させて、液晶表示装置に組み込んでもよい。光学異方性層の透明支持体を偏光膜の保護膜としても利用すると、部材数を減少させることができ、液晶表示装置の薄型化にも寄与する。
[偏光膜]
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。ポリマーフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行であることが好ましい。具体的には、遅相軸と透過軸との角度が3°以下になるように配置することが好ましく、2°以下になるように配置することがさらに好ましく、1°以下になるように配置することが最も好ましい。
【実施例】
【0060】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作などは本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
【0061】
【表1】


【0062】
【化1】


【0063】
(マット剤分散液の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を分散し、マット剤分散液を調製した。
【表2】


【0064】
(レターデーション上昇剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加温しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
【0065】
【表3】


【0066】
【化2】


【0067】
(セルロースアセテートフィルムの作製)
セルロースアセテート溶液94.75質量部、マット剤分散液1.30質量部、レターデーション上昇剤溶液3.95質量部をそれぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。レターデーション上昇剤のセルロースアセテートに対する質量比は4.8%であった。残留溶剤量が30質量%のフィルムをバンドから剥離した。140℃の温度で、フィルムをテンターを用いて28%の延伸倍率で横延伸し、延伸後に延伸倍率を25%に緩め140℃で20秒間保持した。この時最大拡幅点での残留溶剤量は14質量%であった。その後、クリップを外して130℃で45分間乾燥させセルロースアセテートフィルムを製造した。製造されたセルロースアセテートフィルムの残留溶剤量は0.2質量%であり、膜厚は88μmであった。
【0068】
(光学特性の測定)
作製したセルロースアセテートフィルムについて、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用い、波長632.8nmの光でReレターデーション値を測定した。また面内の遅相軸をあおり軸として40°および−40°あおってレターデーション値Re(40°)およびRe(−40°)を測定した。膜厚および遅相軸方向の屈折率nxをパラメータとし、これらの測定値Re(632.8nm)、Re(40°)、Re(−40°)にフィッティングするように進相軸方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを計算で求め、Rthレターデーション値を決定した。さらに、波長550nmの光で、Reレターデーション値を測定した。Reは38nmでRthは175nmであった。
【0069】
(セルロースアセテートフィルムのケン化処理)
作製したセルロースアセテートフィルムの一方の面に、1.5規定水酸化カリウムのイソプロピルアルコール溶液を25ml/m2塗布し、25℃で5秒間放置した後、流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルムの表面を乾燥した。このようにして、セルロースアセテートフィルムの一方の表面のみをケン化した。
【0070】
(配向膜の形成)
ケン化処理したセルロースアセテートフィルム(透明支持体)の一方の面に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、セルロースアセテートフィルム(透明支持体)の延伸方向(遅相軸とほぼ一致)と45゜の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
【0071】
【表4】


【0072】
【化3】


【0073】
(光学異方性層の形成)
ラビング処理を行なった配向膜上に、下記のディスコティック化合物(2)90質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)6質量部、2官能アクリレートモノマー(NKエステルA400、新中村化学(株)製)4質量部、フッ素系オリゴマー(FSN100、DuPont製)、0.3質量部、下記の光重合開始剤3質量部を、179.7質量部のメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3のワイヤーバーコーターで5.2ml/m2塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック化合物を配向させた。次に、90℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射しディスコティック化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シートを作製した。
【0074】
透明支持体をガラス板に変更した以外は、上記と同様に光学異方性層を形成した。エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用い、波長632.8nmの光で、光学異方性層のReレターデーション値を測定した。Reレターデーションの値は、60nmであった。また面内の遅相軸をあおり軸として40°および−40°あおってレターデーションRe(40)およびRe(−40)を測った。
さらに、波長632.8nmにおいてReレターデーション値を測定した。Re(40)/Reは2.3であり、Re(−40)/Reは0.2であった。
【0075】
(楕円偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
次に、作製した光学補償シートの透明支持体側を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片側に貼り付けた。透明支持体の遅相軸と偏光膜の透過軸とが平行になるように配置した。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80U、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側(光学補償シートを貼り付けなかった側)に貼り付けた。
このようにして、楕円偏光板を作製した。
【0076】
(ベンド配向液晶セルの作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。ITOは画面内の縦方向に8本ストライプ状に作製した。ラビング方向は、画面内の90°方向とした。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを4.6μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、Δnd=640nmのベンド配向液晶セルを作製した。したがって、Δndを支持体のRthで割ったΔnd/Rth=3.7となる。
【0077】
(液晶表示装置の作製)
作製したベンド配向セルを挟むように、作製した楕円偏光板を二枚貼り付けた。
楕円偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
作製した液晶表示装置をバックライト上に配置した。透過率が最も小さくなる黒電圧が2.48Vであることを確認した(したがって、2.5V以下ではプラスのレターデーション、2.48V以上ではマイナスのレターデーションとなっている)。白電圧は透過率が最も大きくなる、1.5Vと3.39Vとした。上記作製した液晶セルは、1.5V〜2.48VにおいてRe(0)が192〜120nmであり、光学異方性層のRe(0)120nmとの差は正であり、2.48V〜3.39VにおいてRe(0)が120〜85nmであり、光学異方性層のRe(0)との差は負であった。
【0078】
白透過率と黒透過率の間の透過率を8等分されるよう、各8本のストライプITO電極に液晶セルに、1.5V、1.57V、1.64V、1.72V、1.81V、1.92V、2.08V、2.48Vの電圧を液晶に印加し、斜め方向から階調特性を観察した。次に、3.39V、3.3V、3.21V、3.11V、3。00V、2.89V、2.75V、2.48Vの電圧を印加し斜め方向から階調特性を観察した。図5(a)に1.5V〜2.48Vの電圧を印加した際の諧調特性を、図5(b)に3.39V〜2.48Vの電圧を印加した際の諧調特性を示す。図5(a)に示す様に、1.5V〜2.48Vの印加電圧領域では、任意の斜め方向から観察しても、ストライプ間の階調差を明瞭に観察できた。3.39V〜2.58Vの印加電圧領域では、画面法線を基準として20°程度の範囲では諧調差を明瞭に認識できたが、これを超えると階調反転してしまい階調差がわかり難くなり、40°以上からは階調差を認識することができなくなった。よって、1.5〜2.48Vで階調を作るときと、2.48〜3.39Vで階調を作るときとを切り替えることにより、広視野角と狭視野角をスイッチングすることが可能であることが理解できる。なお、広視野角側の白輝度に比べ、狭視野角側の白輝度が小さくなったが、バックライトの輝度を大きくすることで良好な表示を得ることができた。
【0079】
[実施例2]
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
【0080】
【表5】


【0081】
【化4】


【0082】
(マット剤分散液の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を分散し、マット剤分散液を調製した。
【0083】
【表6】


【0084】
(レターデーション上昇剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加温しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
【0085】
【表7】


【0086】
【化5】


【0087】
(セルロースアセテートフィルムの作製)
セルロースアセテート溶液94.75質量部、マット剤分散液1.30質量部、レターデーション上昇剤溶液3.95質量部をそれぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。レターデーション上昇剤のセルロースアセテートに対する質量比は4.8%であった。残留溶剤量が30質量%のフィルムをバンドから剥離した。140℃の温度で、フィルムをテンターを用いて28%の延伸倍率で横延伸し、延伸後に延伸倍率を25%に緩め140℃で20秒間保持した。この時最大拡幅点での残留溶剤量は14質量%であった。その後、クリップを外して130℃で45分間乾燥させセルロースアセテートフィルムを製造した。製造されたセルロースアセテートフィルムの残留溶剤量は0.2質量%であり、膜厚は151μmであった。
【0088】
(光学特性の測定)
作製したセルロースアセテートフィルムについて、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用い、波長632.8nmの光でReレターデーション値を測定した。また面内の遅相軸をあおり軸として40°および−40°あおってレターデーション値Re(40°)およびRe(−40°)を測定した。膜厚および遅相軸方向の屈折率nxをパラメータとし、これらの測定値Re(632.8nm)、Re(40°)、Re(−40°)にフィッティングするように進相軸方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを計算で求め、Rthレターデーション値を決定した。さらに、波長632.8nmの光で、Reレターデーション値を測定した。Reは38nmでRthは300nmであった。
【0089】
その後、実施例1と同様にして鹸化処理を行い、実施例1と同様にして光学異方性層を形成し、光学補償シートを作製し、さらに楕円偏光板を作製した。
【0090】
(液晶表示装置の作製)
実施例1と同一の方法で作製したベンド配向セルを挟んで、上記で作製した楕円偏光板を二枚貼り付けた。なお、液晶セルのΔndと支持体のRthの比Δnd/Rthは2.1であった。
楕円偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。作製した液晶表示装置をバックライト上に配置した。透過率が最も小さくなる黒電圧が2.48Vであることを確認した(したがって、2.5V以下ではプラスのレターデーション、2.48V以上ではマイナスのレターデーションとなっている)。白電圧は透過率が最も大きくなる、1.5Vと5.25Vとした。上記作製した液晶セルは、1.5V〜2.48VにおいてRe(0)が192〜120nmであり、光学異方性層のRe(0)120nmとの差は正であり、2.48V〜5.25VにおいてRe(0)が120〜51nmであり、光学異方性層のRe(0)との差は負であった。
【0091】
白透過率と黒透過率の間の透過率を8等分されるよう、各8本のストライプITO電極に液晶セルに、1.5V、1.57V、1.64V、1.72V、1.81V、1.92V、2.08V、2.48Vの電圧を液晶に印加し、斜め方向から階調特性を観察した。次に、5.25V、4.76V、4.4V、4.04V、3.69V、3.39V、3.05V、2.48Vの電圧を印加し斜め方向から階調特性を観察した。図6(a)に1.5V〜2.48Vの電圧を印加した際の諧調特性を、図6(b)に5.25V〜2.48Vの電圧を印加した際の諧調特性を示す。図6(a)に示す様に、1.5V〜2.48Vの印加電圧領域では、任意の斜め方向から観察しても、ストライプ間の階調差を明瞭に観察できた。5.25V〜2.58Vの印加電圧領域では、画面法線を基準として20°程度の範囲では諧調差を明瞭に認識できたが、これを超えると階調反転してしまい階調差がわかり難くなり、40°以上からは階調差を認識することができなくなった。よって、1.5〜2.48Vで階調を作るときと、2.48〜5.25Vで階調を作るときとを切り替えることにより、広視野角と狭視野角をスイッチングすることが可能であることが理解できる。なお、実施例1に比べ、広視野角がわの黒浮きが大きくなったが、このレベルの黒浮きまでは斜めから見ても問題ない表示品質であった。
【0092】
[実施例3]
支持体の作製において、支持体のRthを代えた以外は実施例1と同様にして光学補償シート、さらに楕円偏光板を作製した。実施例1と同様に作製した液晶セルと、作製した楕円偏光板の二枚を用いて液晶表示装置を作製し、実施例1と同様に評価した。なお、液晶セルのΔndと支持体のRthとの比Δnd/Rthは4.0であった。
作製した液晶表示装置をバックライト上に配置した。透過率が最も小さくなる黒電圧が2.48Vであることを確認した(したがって、2.48V以下ではプラスのレターデーション、2.48V以上ではマイナスのレターデーションとなっている)。白電圧は透過率が最も大きくなる、1.5Vと3.0Vとした。上記作製した液晶セルは、1.5V〜2.48VにおいてRe(0)が192〜120nmであり、光学異方性層のRe(0)120nmとの差は正であり、2.48V〜3.0VにおいてRe(0)が120〜98nmであり、光学異方性層のRe(0)との差は負であった。
【0093】
白透過率と黒透過率の間の透過率を8等分されるよう、各8本のストライプITO電極に液晶セルに、1.5V、1.57V、1.64V、1.72V、1.81V、1.92V、2.08V、2.48Vの電圧を液晶に印加し、斜め方向から階調特性を観察した。次に、2.48、2.66、2.74、2.8、2.86、2.91、2.96、3の電圧を印加し斜め方向から階調特性を観察した。図7(a)に1.5V〜2.48Vの電圧を印加した際の諧調特性を、図7(b)に2.48V〜3Vの電圧を印加した際の諧調特性を示す。図7(a)に示す様に、1.5V〜2.48Vの印加電圧領域では、任意の斜め方向から観察しても、ストライプ間の階調差を明瞭に観察できた。2.48V〜3Vの印加電圧領域では、画面法線を基準として20°程度の範囲では諧調差を明瞭に認識できたが、これを超えると階調反転してしまい階調差がわかり難くなり、40°以上からは階調差を認識することができなくなった。よって、1.5V〜2.48Vで階調を作るときと、2.48V〜3Vで階調を作るときとを切り替えることにより、広視野角と狭視野角をスイッチングすることが可能であることが理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の液晶表示装置の一実施形態の概略断面図である。
【図2】OCBモードの液晶表示装置の光学補償の関係を示す概念図である。
【図3】光学異方性層のRe(0)と液晶セルのRe(0)との関係を模式的に示すグラフである。
【図4】液晶セルのRe(0)と光学異方性層のRe(0)との差と、印加電圧との関係を模式的に示すグラフである。
【図5】実施例1で作製した液晶表示装置について、種々の電圧を印加した際の諧調特性を示すグラフである。
【図6】実施例2で作製した液晶表示装置について、種々の電圧を印加した際の諧調特性を示すグラフである。
【図7】実施例3で作製した液晶表示装置について、種々の電圧を印加した際の諧調特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0095】
1、101 偏光膜
2、102 透過軸
13a、113a 支持体
14a、114a 面内遅相軸
5、9 光学異方性層
5a、9a 液晶性化合物の分子対称軸を基板面に正射影した平均方向
6、8 基板
7 液晶性分子
33A、33B 支持体
31A、31B 光学異方性層
10 液晶層




 

 


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