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発明の名称 光学フィルム、偏光板、及び液晶表示デバイス
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−52204(P2007−52204A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2005−236754(P2005−236754)
出願日 平成17年8月17日(2005.8.17)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 並河 均
要約 課題
製造が容易であり、表示欠陥のない大きい面積の光学フィルム(光学補償シート)を提供すること、特に複屈折ムラに起因する点状光抜けを防止することができる配向膜を備えた光学フィルムを提供することである。

解決手段
支持体、配向膜、光学異方性層の順に有してなる光学フィルムにおいて、配向膜に含まれる高分子のガラス転移点が45℃以上80℃以下であることを特徴とする光学フィルム。
特許請求の範囲
【請求項1】
支持体、配向膜、光学異方性層の順に有してなる光学フィルムにおいて、配向膜に含まれる高分子のガラス転移点が45℃以上80℃以下であることを特徴とする光学フィルム。
【請求項2】
配向膜に含まれる高分子のうち少なくとも1つが、下記一般式(A)よりなることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
一般式(A)
(CHCH)l−(CHCHOH)m−(CHCHOCOCH)n
ここで、l+m+n=100とする場合、lは0.1以上50以下であり、且つ、m+n=100とする場合、mは70以上100以下である。また、水酸基は修飾(置換)されていても良い。
【請求項3】
前記高分子の重合度が、50以上5000以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
ビニル部分、オキシラニル部分、またはアジリジニル部分を有する基が、エーテル結合、ウレタン結合、エステル結合、またはアセタール結合を介し、前記一般式(A)で表される高分子の水酸基に結合していることを特徴とする、請求項2または3に記載の光学フィルム。
【請求項5】
メタクリロイルオキシエチルイソチオシアネートで前記一般式(A)で表される高分子の水酸基を修飾したことを特徴とする、請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記一般式(A)で表される高分子において、修飾されている水酸基の割合が、該高分子の全水酸基に対して0.1mol%以上5mol%以下であることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記支持体の配向膜側の面が親水化されたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
【請求項8】
親水化の手段がアルカリ鹸化処理であることを特徴とする、請求項7に記載の光学フィルム。
【請求項9】
支持体がトリアシルセルロースを含んでなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記光学異方性層が液晶性化合物からなる、請求項1〜9のいずれかに記載の光学フィルム。
【請求項11】
前記液晶化合物が円盤状液晶化合物である、請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項12】
前記液晶化合物が棒状液晶化合物である、請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の光学フィルムを具備したことを特徴とする偏光板。
【請求項14】
請求項13に記載の偏光板を具備したことを特徴とする液晶表示デバイス。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は光学フィルム、偏光板および液晶表示デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示デバイスは、液晶セル、偏光板、および光学補償シート(位相差板)からなる。透過型液晶表示デバイスでは、2枚の偏光板を液晶セルの両側に取り付け、1枚または2枚の光学補償シートを液晶セルと偏光板との間に配置する。反射型液晶表示デバイスは、反射板、液晶セル、1枚の光学補償シート、そして1枚の偏光板からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子、それを封入するための2枚の基板、および棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなり、液晶セルは、棒状液晶分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferro-electric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、反射型については、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。偏光板は、一般に、偏光膜とその両側に設けられた2枚の透明保護膜とからなる。偏光膜は、一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素または2色性染料の水溶液を含浸させ、さらにこのフィルムを一軸延伸することより得られる。
【0003】
光学補償シートは画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示デバイスに用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折フィルムが、従来から使用されていた。延伸複屈折フィルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に液晶性分子(特にディスコティック液晶性分子)から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。光学異方性層は、液晶性分子を配向させ、その配向状態を固定化することにより形成する。一般に、重合性基を有する液晶性分子を用いて、重合反応により配向状態を固定する。液晶性分子は、大きな複屈折を有する。さらに、液晶性分子には、多様な配向形態がある。光学補償シートに液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることの出来なかった光学特性を実現することが可能となった。
【0004】
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような液晶セルの表示モードの違いに応じて設計する。光学補償シートは液晶性分子、特にディスコティック液晶性分子を用いると、液晶セルの種々の表示モードに対応する様々な光学特性を有する光学補償シートを作りだすことができる。ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートには、種々の表示モードに対応するものが提案されている。具体的には、TNモードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献1〜3参照)、ECBモードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献4参照)、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献5参照)、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献6、7参照)、STNモードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献8参照)、およびVAモードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献9参照)が提案されている。
【0005】
液晶性分子を用いた光学補償シートと偏光膜とを積層して楕円偏光板を形成すれば、光学補償シートを、偏光板の一方の透明保護膜としても機能させることができる。その様な楕円偏光板は、透明保護膜、偏光膜、透明支持体、そして液晶性分子から形成された光学異方性層が、この順で積層された層構成を有する。液晶表示デバイスには薄型で軽量である特性を求められるため、構成要素の1つを、兼用(偏光板の透明保護膜と光学補償シートを兼用)することによって削減できれば、装置をさらに薄く軽量にすることが可能となる。また、液晶表示デバイスの構成要素を1つ削減することによって、構成要素の貼り付け工程も1つ削減され、装置を組み立てる際に故障等が生じる可能性も低くなる。液晶性分子を用いた光学補償シートの透明支持体と偏光板の一方の保護膜を共通化した一体型楕円偏光板は、例えば、特許文献10〜12などに具体的に提案されている。
一方、従来光学補償シートの製造に使用されてきたゼラチン下引き層を有する透明支持体の厚みムラに起因する微細な表示ムラを解消する技術としてアルカリ鹸化方法が提案されている(特許文献13)。
【特許文献1】特開平6−214116号公報
【特許文献2】米国特許第5583679号明細書
【特許文献3】米国特許第5646703号明細書
【特許文献4】西独国特許出願公開第3911620号明細書
【特許文献5】特開平10−54982号公報
【特許文献6】米国特許第5805253号明細書
【特許文献7】国際公開第96/37804号パンフレット
【特許文献8】特開平9−26572号公報
【特許文献9】特許番号第2866372号公報
【特許文献10】特開平7−191217号公報
【特許文献11】特開平8−21996号公報
【特許文献12】特開平8−94838号公報
【特許文献13】特開2004−203965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の液晶表示デバイスはますます高精細化、高輝度化、大画面化が進んで来た。よって、従来の液晶表示デバイスでは解らなかった光学補償シートのスジ・ムラ、塵埃による点欠陥等が、光学補償シートの故障として認識されることがあることが判ってきた。
また、急速な薄型平面モニターの普及により光学補償シートに対する高い生産性、低いコストの要求が高まってきている。
【0007】
本発明の目的は、製造が容易であり、表示欠陥のない大きい面積の光学フィルム(光学補償シート)を提供すること、特に複屈折ムラに起因する点状光抜けを防止することができる配向膜を備えた光学フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来の液晶を配向するための配向膜は、ポリイミドやポリビニルアルコールが知られてるが、光学フィルムを作製するにはその表面をラビングし配向処理をする。その際発生する粉塵が配向膜上から取りきることが出来ず、光学フィルムを作製後複屈折ムラ故障として認識される。本発明者らはこの問題を解決するべく鋭意検討した結果、配向膜のガラス転移点を低下することで、配向膜のラビング時に発生する発塵が抑えられることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明の課題は、下記(1)〜(12)の光学フィルム、下記(13)の偏光板および下記(14)の液晶表示デバイスにより達成される。
(1)支持体、配向膜、光学異方性層の順に有してなる光学フィルムにおいて、配向膜に含まれる高分子のガラス転移点が45℃以上80℃以下であることを特徴とする光学フィルム。
(2)配向膜に含まれる高分子のうち少なくとも1つが、下記一般式(A)よりなることを特徴とする、上記(1)に記載の光学フィルム。
一般式(A)
(CHCH)l−(CHCHOH)m−(CHCHOCOCH)n
ここで、l+m+n=100とする場合、lは0.1以上50以下であり、且つ、m+n=100とする場合、mは70以上100以下である。また、水酸基は修飾(置換)されていても良い。
(3)前記高分子の重合度が、50以上5000以下であることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の光学フィルム。
(4)ビニル部分、オキシラニル部分、またはアジリジニル部分を有する基が、エーテル結合、ウレタン結合、エステル結合、またはアセタール結合を介し、前記一般式(A)で表される高分子の水酸基に結合していることを特徴とする、上記(2)または(3)に記載の光学フィルム。
(5)メタクリロイルオキシエチルイソチオシアネートで前記一般式(A)で表される高分子の水酸基を修飾したことを特徴とする、上記(4)に記載の光学フィルム。
(6)前記一般式(A)で表される高分子において、修飾されている水酸基の割合が、該高分子の全水酸基に対して0.1mol%以上5mol%以下であることを特徴とする、上記(2)〜(5)のいずれかに記載の光学フィルム。
(7)前記支持体の配向膜側の面が親水化されたことを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光学フィルム。
(8)親水化の手段がアルカリ鹸化処理であることを特徴とする、上記(7)に記載の光学フィルム。
(9)支持体がトリアシルセルロースを含んでなることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光学フィルム。
(10)前記光学異方性層が液晶性化合物からなる、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の光学フィルム。
(11)前記液晶化合物が円盤状液晶化合物である、上記(10)に記載の光学フィルム。
(12)前記液晶化合物が棒状液晶化合物である、上記(10)に記載の光学フィルム。
(13)上記(1)〜(12)のいずれかに記載の光学フィルムを具備したことを特徴とする偏光板。
(14)上記(13)に記載の偏光板を具備したことを特徴とする液晶表示デバイス。
【0010】
偏光膜およびその両面に配置された2枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の一方が、ポリマーフィルム上に、配向膜、および液晶性分子の配向を固定した光学異方性層がこの順に設けられている光学補償シートからなる場合、すなわち、透明保護膜が光学補償シートの透明支持体を兼ねる場合、光学補償シートとして、上記(1)〜(12)のいずれかの光学フィルムを、有利に用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光学フィルムは、良好な表示品位を示し、低コスト化が可能なものである。
また、本発明の偏光板および液晶表示デバイスも、表示品位が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の光学フィルム、該光学フィルムを有する偏光板及び該偏光板を配置した液晶表示デバイスについて説明する。
【0013】
本発明の光学フィルムは、支持体、配向膜、光学異方性層をこの順に有してなる。
<支持体>
本発明の支持体はポリマーフィルムから形成され、該ポリマーフィルムを構成するポリマーの例としては、セルロースエステル(例、セルロースのモノ、ジおよびトリアシレート体、ノルボルネン系ポリマーでは、アートン及びゼオネックス(いずれも商品名))が挙げられる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであってもよい。ポリマーフィルムは透明であることが好ましく、光透過率は80%以上、ヘイズが3%以下であることが好ましい。複屈折の発現しやすいポリマーの場合には、国際公開第00/26705号パンフレットに記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、支持体として用いることができる。本発明の光学フィルムの支持体は、セルローストリアシルセルロースにより構成されていることが好ましい。
上記ポリマーフィルムの厚さは、20乃至200μmであることが好ましく、30乃至150μmであることがさらに好ましく、30乃至80μmが最も好ましい。
【0014】
ポリマーフィルムは所望のレターデーション値を有することが好ましい。ポリマーフィルムの正面方向のレターデーション値Reおよび膜厚方向のレターデーション値Rthは、それぞれ後述の計算値nx,ny,nzを用い、下記式(I)および(II)で計算される。dは、単位をμmとするフィルムの厚みである。
(I) Re=|nx−ny|×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
ポリマーフィルムを光学補償シートの透明支持体として用いる際、そのレターデーション値は光学補償シートが用いられる液晶表示デバイス(以下、液晶表示装置とも称する)やその使用の方法に応じて好ましい範囲が異なり、通常、Reは0〜200nmとするのが好ましく、かつRthは40〜400nmの範囲に調節することが好ましい。
レターデーション値を上記の範囲とすることで、表示装置の表示画像の視野角の広がりを大きくすることができる。
特にTNモードに用いる光学補償シートの透明支持体としては、Reが4〜40nm、Rthは50〜200nmの範囲である事が好ましく、OCB、HAN、VAN、ホモジニアス配向モード等のECBモードに用いる光学補償シートの透明支持体としては、Reが10〜70nm、Rthは70〜400nmの範囲である事が好ましい。
【0015】
液晶表示デバイスに二枚の光学補償シートを用いる場合、ポリマーフィルムのRthは70乃至250nmの範囲にあることが好ましい。液晶表示デバイスに一枚の光学補償シートを使用する場合、ポリマーフィルムのRthは150乃至400nmの範囲にあることが好ましい。
尚、上記ポリマーフィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0乃至0.020の範囲にあることが好ましい。また、上記ポリマーフィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.001乃至0.04の範囲にあることが好ましい。
ポリマーフィルムのレターデーション値を調整するためには延伸のような外力を与える方法が一般的であり、また他の方法として、光学異方性を調節するための後述するようなレターデーション調整剤が、場合により添加される。
【0016】
本発明において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける正面方向のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)は、複屈折率計、例えばKOBRA21ADH(王子計測機器(株)製)、において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は、前記Re(λ)、面内の遅相軸(複屈折率計、例えばKOBRA21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したリターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したリターデーション値の計3つの方向で測定したリターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に複屈折率計、例えばKOBRA21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は「ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)」、各種光学フィルムのカタログ値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA21ADHなどの複屈折率計はnx,ny,nzを算出する。この計算されたnx(透明支持体を構成するフィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率),ny(フィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率),nz(フィルムの厚み方向の屈折率)よりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
尚、本明細書においては特に断りのない限り590nmで測定した値を示す。
【0017】
[セルロースアシレートフィルムとその原料]
本発明の光学フィルムの透明支持体としては、セルロースアシレートフィルムが好ましい。セルロースアシレートはセルロースからエステル化して作製される。
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタやケナフ、木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
【0018】
[セルロースアシレート置換度]
次に上述のセルロースを原料に製造されるセルロースアシレートについて記載する。上記セルロースアシレートは、セルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。上記セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
【0019】
上述のようにセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることがのぞましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることがのぞましく、2.85〜3.00であることがよりのぞましい。
【0020】
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばアルキルカルボニルエステル基、アルケニルカルボニルエステル基あるいは芳香族カルボニルエステル基、芳香族アルキルカルボニルエステル基などであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。
これらの好ましいアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、へプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などが好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がより好ましい。
【0021】
上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合において、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下でき、好ましい。この場合におけるより好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらにのぞましくは2.65〜3.00である。
【0022】
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
【0023】
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより行うことができる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。そのようなセルロースアシレートを得るには、含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%であることが知られている。本発明においてこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。本発明に用いるこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)7頁〜12頁に詳細に記載されている。
【0024】
上記セルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
【0025】
[レターデーション調整剤]
透明支持体であるポリマーフィルムは、溶液の紫外線吸収スペクトルの吸収極大を与える波長(λmax)が400nmより短波長にある紫外線を吸収する化合物を、レターデーション調整剤として含有されることが好ましい。このような化合物の例として、フェニルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリフェニルフォスフェート等の紫外線吸収剤を挙げることができる。また、少なくとも2つの芳香族環を有する芳香族化合物、トリフェニレン化合物、円盤状化合物(1,3,5−トリアジン骨格、ポルフィリン骨格を分子に含有の化合物等)等が好ましい。これらの化合物類は、可視光領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
【0026】
{少なくとも2つの芳香族環を有する芳香族化合物}
レターデーション調整剤としては、少なくとも2つの芳香族環を有する芳香族化合物(以下、「芳香族化合物A」とも言う)を少なくとも1種含有することが好ましい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環でもかまわない。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。
【0027】
芳香族化合物Aが有する芳香族環の数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12であることがより好ましい。3以上の芳香族環を有する場合、少なくとも二つの芳香族環の立体配座を立体障害しなければよい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。レターデーション上昇機能の観点では、(a)〜(c)のいずれでもよい。具体的には、特開2002−131537号公報段落番号[0016]〜[0023]に記載の内容のものが挙げられる。更に、上記(b)または(c)の場合は、二つの芳香族環の立体配座を立体障害しないことが好ましい。
【0028】
上記芳香族化合物Aとしては、特開2002−363343号公報段落番号[0011]〜[0031]に記載されると同一内容の直線的な分子構造を有する棒状化合物、特開2000−111914号公報段落番号[0011]〜[0085]に記載されると同一内容の立体障害しない立体配座となっている二つの芳香族環を含有する化合物、少なくとも1つの芳香族環を置換基として含有する1,3,5−トリアジン化合物或はポルフィリン骨格を有する化合物(特開2001−166144号公報記載の化合物)が挙げられる。
特に、少なくとも一つの芳香族環を置換基として含有する1,3,5−トリアジン化合物が好ましい(該トリアジン環がもう一つの芳香環となる)。具体的には、特開2001−166144号公報段落番号[0016]に記載の一般式(I)記載の1,3,5−トリアジン化合物が挙げられる。
上記芳香族化合物Aの分子量は、300〜800であることが好ましい。
【0029】
芳香族化合物Aの含有量は、所望のレターデーションに調整するためにレターデション調整剤の種類及び使用量を選択して用いる。フィルムを作製するときにフィルム形成用組成物中での溶解性、製膜時での不溶化や析出等の問題を生じさせないことから、例えばポリマーフィルムがセルロースアシレートフィルムの場合、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲で使用することが好ましく、0.05〜25質量部の範囲で使用することがより好ましい。更に好ましくは0.1〜20質量部である。
【0030】
[可塑剤]
透明支持体であるポリマーフィルムには、フィルムの機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、従来公知の可塑剤を添加することが好ましい。可塑剤としては、例えば、リン酸エステル類、カルボン酸エステル類{カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸、オキシカルボン酸(クエン酸、リンゴ酸等)、芳香族カルボン酸(フタル酸等)}等が挙げられ、発明協会公開技法公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.16に記載の化合物等が挙げられる。また、アルカンポリオールとカルボン酸とのエステル化化合物(特開平11−124445号公報、特開2001−247717号公報等)等も好ましい。
可塑剤の添加量は、例えばポリマーフィルムがセルロースアシレートフィルムの場合、セルロースアシレート100質量部に対して0.05乃至25質量部であることが好ましく、1乃至20質量部であることがさらに好ましい。
【0031】
[マット剤微粒子]
透明支持体であるポリマーフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットルであるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットルが好ましく、100〜200g/リットルがさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0032】
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とする。
【0033】
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0034】
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0035】
2次平均粒子径の小さな粒子を有するポリマーフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。以下、セルロースアシレートフィルムを例に説明する。例えば、溶媒と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶媒に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶媒などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1mあたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
【0036】
使用される溶媒は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶媒を用いることが好ましい。
【0037】
[他の添加剤]
透明支持体として用いられるポリマーフィルムには、更に、紫外線防止剤(例えば、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物等)、劣化防止剤{例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、光安定化剤(ヒンダードアミン等)等}、剥離剤、帯電防止剤等を添加してもよい。具体的には、上記の公技番号2001−1745号p.17−22に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
これら添加剤の添加量はポリマー100質量部に対して0.001乃至40質量部であることが好ましく、0.005乃至30質量部であることがさらに好ましい。
【0038】
[化合物添加の比率]
ポリマーフィルムにおける化合物添加の比率については、例えばセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40%であり、さらにのぞましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、レターデーション調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤などであり、分子量としては3000以下がのぞましく、2000以下がよりのぞましく、1000以下がさらにのぞましい。これら化合物の総量が5%以上であれば、セルロースアシレート単体の性質が出にくく、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しにくく好ましい。またこれら化合物の総量が45%以下であれば、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超えず、フィルム表面に析出したりフィルムが白濁(フィルムからの泣き出し)したりすることがない。
【0039】
[支持体の製造方法]
[支持体(ポリマーフィルム)の溶媒]
本発明で用いられる透明支持体は、溶液流延方法(ソルベントキャスト法)により製造することが好ましく、該溶液流延方法では、上記ポリマー等を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いて製造される。
用いる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。溶解度パラメーターは、例えばJ.Brandrup、E.H等の「PolymerHandbook(4th.edition)」、VII/671〜VII/714に記載の内容のものを表す。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3〜12のケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
具体的には、例えば前記の公技番号2001−1745号p.12−16に詳細に記載されている化合物が挙げられる。
【0040】
特に、本発明では、溶媒は2種類以上の有機溶媒を混合して用いることが好ましく、特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる3種類以上の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子数が3〜4のケトンおよび炭素原子数が3〜4のエステル或いはその混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数が5〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒として沸点が30〜170℃のアルコールまたは沸点が30〜170℃の炭化水素から選ばれることが好ましい。
とくに、酢酸エステルを20〜90質量%、ケトン類を5〜60質量%、アルコール類を5〜30質量%の混合比で用いることがセルロースアシレート等の上記ポリマーの溶解性の点から好ましい。
これらの混合溶媒中、アルコール類の配合割合は2vol%以上40vol%以下、より好ましくは3vol%以上30vol%以下、さらに好ましくは5vol%以上20vol%以下である。
アルコールは炭素原子数が1以上8以下のモノアルコールまたはジアルコールあるいは炭素原子数が2以上10以下のフルオロアルコールが好ましく、より好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールが挙げられる。これらは単独で添加しても、あるいは2種以上混合して添加しても良い。
特に、ハロゲン化炭化水素を含まない非塩素系溶媒などの非ハロゲン系有機溶媒系が好ましい態様として挙げられる。
技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、製造した透明支持体(セルロースアシレートフィルム等)から、メチレンクロリドような塩素化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。
【0041】
本発明に使用する非塩素系有機溶媒系は、例えば特開2002−146043号公報段落番号〔0021〕〜〔0025〕、特開2002−146045号公報段落番号〔0016〕〜〔0021〕等に記載の溶媒系の例が挙げられる。
溶媒には、炭素原子数が5以上10以下の芳香族あるいは脂肪族の炭化水素を0vol%以上10vol%以下添加しても良い。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンが含まれる。
本発明に用いるドープには、上記有機溶媒以外に、フルオロアルコールを全溶媒量の10質量%以下、より好ましくは5質量%以下含有させることもフィルムの透明性を向上させたり、溶解性を早めたりする上で好ましい。該フルオロアルコールとしては例えば、特開平8−143709号公報段落番号[0020]、同11−60807号公報段落番号[0037]等に記載の化合物が挙げられる。これらのフルオロアルコールは一種または二種以上使用してもよい。
以下、本発明において支持体として好適に用いられるセルロースアシレートフィルムを例に説明するが、セルロースアシレート以外のポリマーを用いてフィルムを作製する場合においても同様に適用することができる。
セルロースアシレート溶液を調製する場合には、容器内に窒素ガスなどの不活性ガスを充満させてもよい。セルロースアシレート溶液の製膜直前の粘度は、製膜の際、流延可能な範囲であればよく、通常10ps・s〜2000ps・sの範囲に調製されることが好ましく、特に30ps・s〜400ps・sが好ましい。
【0042】
上記ドープの調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解法でもよく、冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301、特開昭61−106628、特開昭58−127737、特開平9−95544、特開平10−95854、特開平10−45950、特開2000−53784、特開平11−322946、さらに特開平11−322947、特開平2−276830、特開2000−273239、特開平11−71463、特開平04−259511、特開2000−273184、特開平11−323017、特開平11−302388などに記載のセルロースアシレート溶液の調製法が挙げられる。以上記載したこれらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明の範囲であれば本発明においても適宜これらの技術を適用できる。さらにセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液の濃縮と濾過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745号p.25に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
【0043】
(微粒子の添加混合方法)
微粒子をセルロースアシレート溶液へ添加する場合は、前記したような粗大な粒子が存在しないように出来れば特にその方法に限定されず、前述のとおりいずれの方法でも所望のセルロースアシレート溶液を得ることができれば問題ない。
上記微粒子は上記のドープ調整とは別に分散液を調製した後にドープに混合分散する方法が好ましい。例えば以下に示すような方法が挙げられる。
(1)溶媒(ドープに用いる有機溶媒と同じもの)と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、ドープ液に加えて撹拌する。
(2)上記溶媒と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、別に溶媒に少量のセルロースアシレートを加え、撹拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて撹拌して得られる微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
(3)上記溶媒に少量のバインダーを加えて撹拌溶解し、これに微粒子を加えて分散機で分散して微粒子分散液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。バインダーとしては、セルロースアシレート等が挙げられ、好ましくはドープに供せられるセルロースアシレートを用いる。
【0044】
分散は、従来公知の湿式分散方法を用いることが出来る。
メディア湿式分散機としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、ダイノミル、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター、コロイドミル、ボールミル等の従来公知のものが挙げられる。特に本発明の酸化物微粒子を超微粒子に分散するには、サンドグラインダーミル、ダイノミル、及び高速インペラーミルが好ましい。
上記の範囲の粗大粒子を含まない超微粒子の大きさに分散するには平均粒径0.8mm未満のメディアを用いた湿式分散方法が好ましい。上記分散機と共に用いるメディアとしては、その平均粒径が0.8mm未満であり、平均粒径がこの範囲のメディアを用いることで上記の無機微粒子径が1〜100nmとなり、かつ粒子径の揃った超微粒子を得ることができる。メディアの平均粒径は、好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.05〜0.3mmである。
また、湿式分散に用いられるメディアとしては、ビーズが好ましい。具体的には、ジルコニアビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ、スチールビーズ等が挙げられ、分散中におけるビーズの破壊等を生じ難い等の耐久性と超微粒子化の上から0.05〜0.2mmのジルコニアビーズが特に好ましい。
【0045】
メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあり利用できる。高圧分散装置は、例えば管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.8MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.6MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/hr以上に達するものが好ましい。高圧分散装置にはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)あるいはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げられる。
【0046】
更には、分散物中の分散粒子がその平均粒径、および粒子径の単分散性が上記した範囲を満足する上で、分散物中の粗大凝集物を除去するためにビーズとの分離処理において精密濾過されるように濾材を配置することも好ましい。精密濾過するための濾材は濾過粒子サイズ25μm以下が好ましい。精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。分散物を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、且つ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
【0047】
上記した微粒子以外の添加剤は、例えば、セルロースアシレートと溶媒を混合する段階で含有させてもよいし、セルロースアシレートと溶媒で混合溶液を作製した後に、添加物を添加してもよい。更にはドープを流延する直前に添加混合してもよく、所謂直前添加方法でありその混合はスクリュー式混練をオンラインで設置して用いられる。これらの添加剤の混合は、添加物それ自身を添加してもよいが、予め溶媒やバインダー(好ましくはセルロースアシレート)を用いて溶解しておいたり、場合により分散して安定化した溶液として用いることも好ましい態様である。
【0048】
次に、透明支持体として用いられるポリマーフィルムとして好適なセルロースアシレートフィルムの製造方法について述べる。セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、セルロースアシレートフィルム製造に供するドラム方法若しくはバンド方法と称される、従来公知の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。
製膜の工程を説明すると、溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜に一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。調製されたドープは精密濾過により異物を除去することが重要である。具体的には、濾過のフィルタは、ドープ液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜100μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜25μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は15kgf/cm2 以下、より好ましくは10kgf/cm2 以下、更には2kgf/cm2 以下で濾過することが好ましい。
【0049】
また、精密濾過のために、順次フィルタの孔径を小さくして濾過を数回行うことも好ましい。
精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。分散物を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、且つ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが、例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
【0050】
調製したドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも称する)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。
【0051】
これらの各製造工程(流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される)については、前記の公技番号2001−1745号p.25−30に詳細に記載された内容が挙げられる。流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及びまたは逐次共流延しても良い。
特に、上記したような組成物からなるドープからフィルムに製膜する工程において、添加した化合物が凝集や偏在することなく行われるには、乾燥工程が重要である。
【0052】
[乾燥工程]
支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には支持体(ドラム或いはベルト)の表面側、つまり支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム或いはベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をベルトやドラムのドープ流延面の反対側の裏面から接触させて、伝熱によりドラム或いはベルトを加熱し表面温度をコントロールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の支持体の表面温度はドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温度に設定することが好ましい。
【0053】
製膜したポリマーフィルムの乾燥工程における乾燥温度は30〜250℃、特に40〜180℃が好ましい。さらに残留溶媒を除去するために、50〜160℃で乾燥され、その場合逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることが好ましく用いられている。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。最終仕上がりフィルムの残留溶媒量は2重量%以下、更に0.4重量%以下であることが、寸度安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。なお本発明においては、本発明の剥離剤で更に剥離時間を短縮でき、かつ剥離時の抵抗が低くなることで、面状(剥離時の横方向のムラ、ゲル状ブツの剥げ残りに起因するブツなど)の悪化がないポリマーフィルムを得ることができる。
支持体から剥離後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは巾方向に収縮しようとする。高温度で乾燥するほど収縮が大きくなる。この収縮は可能な限り抑制しながら乾燥することが、出来上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程或いは一部の工程を幅方向にクリップでウェブの巾両端を巾保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式)が好ましい。
【0054】
ポリマーフィルムを製造する速度はベルトの長さ、乾燥方法、ドープ溶媒組成等によっても変化するが、ウェブをベルトから剥離する時点での残留溶媒の量によって殆ど決まってしまう。つまり、ドープ膜の厚み方向でのベルト表面付近での溶媒濃度が高すぎる場合には、剥離した時、ベルトにドープが残ってしまい、次の流延に支障を来すため、剥離残りは絶対あってはならないし、更に剥離する力に耐えるだけのウェブ強度が必要であるからである。剥離時点での残留溶媒量は、ベルトやドラム上での乾燥方法によっても異なり、ドープ表面から風を当てて乾燥する方法よりは、ベルト或いはドラム裏面から伝熱する方法が効果的に残留溶媒量を低減することができる。
具体的には、透明支持体における残留溶媒量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。
流延工程では流延方向(縦方向)等の一方向のみの1軸延伸、或いは流延方向及び他の方向(横方向)の2軸延伸等が行われることが好ましい。
さらに上記ドープは、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延してもよい。
【0055】
[延伸処理]
上記透明支持体としてのセルロースアシレートフィルムの製造において、フィルム面に沿った少なくとも一方向に延伸することが好ましい。すなわち、フィルムを縦方向及び横方向のうちの少なくとも一方向に延伸するか、更にはこれらを組み合わせた多軸延伸することがより好ましい。フィルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、0.5〜300%が好ましく、更には1〜200%が好ましく、特に1〜150%が好ましい。具体的には、上記の公技番号2001−1745号p.29−30に詳細に記載されている内容が挙げられる。
【0056】
[巻き取り工程]
本発明におけるセルロースアシレートフィルムの製造方法では、乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、セルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜110μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
【0057】
[支持体の特性]
そして、本発明においては、表面を親水化処理(表面鹸化)する前のポリマーフィルムが、以下のような内容の特徴を有することが好ましい。
【0058】
[吸湿膨張係数]
透明支持体として、特にセルロースアシレートフィルムを用いる場合には、セルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましく、15×10-5/%RH以下とすることがさらに好ましく、10×10-5/%RH以下であることが最も好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。
この吸湿膨張係数を調節することで、光学補償シートの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
【0059】
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。すなわち、作製したセルロースアシレートフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げる。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0)を測定する。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定する。吸湿膨張係数は下式により算出する。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(R1−R0)
作製したセルロースアシレートフィルム等の透明支持体の吸湿による寸度変化を小さくするには、疎水基を有する化合物或は微粒子等を添加することが好ましい。疎水基を有する化合物としては、分子中に脂肪族基や芳香族基のような疎水基を有する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これらの化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01乃至10質量%の範囲にあることが好ましい。また、セルロースアシレートフィルム等の透明支持体中の自由体積を小さくすればよく、具体的には、後述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶媒量が少ない方が自由堆積が小さくなる。セルロースアシレートフィルム等の透明支持体に対する残留溶媒量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。
【0060】
[透湿度及び含水量]
上記光学補償シートに用いられるセルロースアシレートフィルム等の透明支持体の透湿度は、JIS規格JISZ0208、B条件(温度40℃、湿度90%RH)において、2〜150g/m2・24hである。10〜120g/m2・24hであることがより好ましく、10〜100g/m2・24hであることが特に好ましい。150g/m2・24hを越えると、透明支持体として用いるポリマーフィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなり、また光学補償シートの透明支持体として用いた場合、該光学補償シートのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.3nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい、この光学補償シートや、ポリマーフィルムを透明保護膜として用いた偏光板を、液晶表示デバイスに組み込んだ場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす場合があるので好ましくない。また、透湿度が2g/m2・24h未満であると、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、透明支持体により接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)p.285−294:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができる。
【0061】
セルロースアシレートフィルム等の透明支持体の含水量は、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、30℃85%RH下で0.3〜12g/m2であることが好ましい。0.5〜5g/m2であることがより好ましい。12g/m2より大きいとレターデーションの湿度変化による依存性も大きくなりすぎてしまい好ましくない。
【0062】
[機械的特性]
透明支持体として用いるポリマーフィルムの幅方向のカール値は−10/m〜+10/mであることが好ましい。上記ポリマーフィルムを光学補償シートに透明支持体として用いる場合には後述する表面処理、ラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の設置などを長尺で広幅の透明支持体に対し行う際に、透明支持体の幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償シートの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることが明らかとなった。また、カールを本発明の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
【0063】
また、引掻き強度は1g以上であることが好ましく、5g以上であることがより好ましく、10g以上であることが特に好ましい。
これらの範囲において、フィルム表面の耐傷性、ハンドリング性が問題なく保持される。
引掻き強度は円錐頂角が90度で先端の半径が0.25mのサファイヤ針を用いて支持体表面を引掻き、引掻き跡が目視にて確認できる荷重(g)をもって評価することができる。
【0064】
[光学異方性]
支持体であるポリマーフィルムは、前記の光学異方性を示すことが好ましく、その程度を表すReレターデーション値およびRthレターデーション値は、それぞれ、前記のとおりである。
【0065】
支持体であるポリマーフィルムの計算上の複屈折率(Δn:nx−ny)は、波長550nmに対して0.000025〜0.0088であることが好ましく、より好ましくは0.0003〜0.005である。また、厚み方向の計算上の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、波長550nmに対して0.0006〜0.02であることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.007である。
【0066】
[フィルムのガラス転移温度Tg]
本発明において透明支持体として好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃である。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、セルロースアシレートフィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
【0067】
[フィルムのヘイズ]
本発明において透明支持体として好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムのヘイズは3%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは0.01〜2.0%であり、さらにのぞましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることが特にのぞましい。特に光学用フィルムとして用いられるため、フィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、セルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
【0068】
<光学フィルムの表面処理としての、アルカリ鹸化方法>
支持体であるポリマーフィルムは、後述する配向膜との密着性の観点から、フィルム表面が親水化されていることが好ましい。親水化の手段としては、アルカリ鹸化処理が好ましい。
本発明において、支持体であるポリマーフィルムのアルカリ鹸化方法は、ポリマーフィルムにアルカリ溶液を塗布する工程、並びにアルカリ溶液をポリマーフィルムから洗い落とす工程を有することが好ましい。また、本発明では、これらの工程に加えてポリマーフィルムを予め室温以上に加熱する工程、及びポリマーフィルムの温度を室温以上に維持する工程を備えてなるのが好ましい。すなわち、
ポリマーフィルムを予め室温以上に加熱する工程、
ポリマーフィルムにアルカリ溶液を塗布する工程、
ポリマーフィルムの温度を室温以上に維持する工程、
並びに
アルカリ溶液をポリマーフィルムから洗い落とす工程
を有するのが好ましい。
【0069】
[アルカリ鹸化]
アルカリ鹸化としては、アルカリ溶液中に光学フィルムを浸漬する方法、又は光学フィルム表面にアルカリ溶液を吹き付けもしくは塗布する方法等のいずれの方法も用いることができる。本発明においては、光学フィルムの片面のみをムラなく均一に鹸化できる、塗布方式によるアルカリ鹸化を行うこと、すなわちポリマーフィルムにアルカリ溶液を塗布する工程によって鹸化することがより好ましい。一方浸漬方法による鹸化は、特に有機溶媒を含むアルカリ鹸化では、有機溶媒を含まないものと比較し、格段に処理速度を早くすることが可能となる。
【0070】
鹸化は、鹸化を行うフィルムの変形、アルカリ溶液の変質等が生じない温度、120℃を超えない範囲の処理温度で行うことが好ましく、より好ましくは温度25℃以上120℃以下、さらには温度25℃以上100℃以下で行うことが好ましい。
また、鹸化時間は、アルカリ溶液、鹸化の際の温度により適宜調整して決定するが、1秒から60秒の範囲で行われるのが好ましい。
【0071】
更に、本発明のアルカリ鹸化方法は、温度が室温(25℃)以上のポリマーフィルムにアルカリ溶液を塗布する工程を有することが好ましい。さらにまた、これらの工程に加えてポリマーフィルムの温度を少なくとも室温以上に維持する工程を有することが好ましい。鹸化の際の温度を前記の所望の温度とすることができ、好ましい。
【0072】
また、本発明においては、さらに、ポリマーフィルムを、所定の温度にするのに、アルカリ溶液を塗布する前にポリマーフィルムを予め所定の温度(室温以上の温度)に調整する工程を有することが好ましい。また、アルカリ溶液を予め所定の温度に調整しておく工程を組み合わせる事も好ましい。特に、塗布する前に予め所定の温度(室温以上の温度)に加熱する工程を有することが好ましい。
尚、「ポリマーフィルムを、所定の温度にする」「温度が室温以上のポリマーフィルム」「ポリマーフィルムの温度を室温以上に維持する」とは、ポリマーフィルム全体の温度を所定の温度とする必要はなく、鹸化により処理される表面、すなわち鹸化反応が起こるポリマーフィルム表面が所定の温度となっていればよい。
ここで、ポリマーフィルムを室温以上の温度に加熱する手段としては、熱風の衝突(吹き付け)による直接加熱、加熱ロールによる接触伝熱、マイクロ波による誘導加熱、あるいは赤外線ヒーターによる輻射熱加熱等が好ましく利用できる。特に加熱ロールによる接触伝熱は、熱伝達効率が高く小さな設置面積で行える点、搬送開始時のフィルム温度の立上りが速い点で好ましい。一般の2重ジャケットロールや電磁誘導ロール(トクデン社製)が利用できる。加熱後のフィルム表面温度は、25〜120℃であることが好ましく、25〜100℃がさらに好ましい。
また、ポリマーフィルムの温度を維持する手段は、フィルムの片面がアルカリ溶液により濡れている状態であることを考慮して選択する。塗布の反対面への熱風の衝突(吹き付け)、加熱ロールによる接触伝熱、マイクロ波による誘導加熱、赤外線ヒーターによる輻射熱加熱等が好ましく利用できる。赤外線ヒーターは、非接触、かつ空気の流れを伴わずに加熱できるため、アルカリ溶液塗布面への影響を最小にできるため好ましい。赤外線ヒーターは、電気式、ガス式、オイル式あるいはスチーム式の遠赤外セラミックヒーターが利用できる。市販の赤外線ヒーター(例えば(株)ノリタケカンパニーリミテド製)を用いてもよい。熱媒体が、オイルまたはスチームを用いるオイル式またはスチーム式の赤外ヒーターは、有機溶剤が共存する雰囲気における防爆の観点で好ましい。ポリマーフィルムの温度は、アルカリ溶液塗布前に加熱した温度と同じでも異なっていてもよい。また、鹸化反応中に温度を連続的、または段階的に変更してもよい。フイルム温度は、20℃〜120℃、好ましくは25℃〜100℃である。フィルム温度の検出には、一般に市販されている非接触式の赤外線温度計が利用でき、上記温度範囲に制御するために、加熱手段に対してフィードバック制御を行ってもよい。
アルカリ溶液を塗布してから洗い落とすまでに上記温度範囲に保持する時間は、後述する搬送速度にもよるが、1秒〜5分に保つことが好ましく、2〜100秒間保つことがより好ましく、3〜50秒間保つことが特に好ましい。
これらの手段は、フィルム表面上のアルカリ溶液を室温以上に調整することもでき好ましい。
【0073】
(アルカリ溶液)
本発明においてアルカリ鹸化に用いられるアルカリ溶液は、pH11以上のアルカリ溶液が好ましい。より好ましくはpH12〜14である。
【0074】
アルカリ溶液に用いられるアルカリ剤の例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機アルカリ剤、また、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルブチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独又は2種以上を組み合わせて使用することもでき、一部を例えばハロゲン化したような塩の形で添加してもよい。
これらのアルカリ剤の中でも、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、特に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの使用が、これらの量の調整により広い領域でのpH調整が可能となるため好ましい。
【0075】
アルカリ溶液におけるアルカリ剤の濃度は、使用するアルカリ剤の種類、反応温度及び反応時間に応じて決定されるが、アルカリ剤の含有量は、アルカリ溶液中0.1〜5mol/kgが好ましく、0.3〜3mol/kgがより好ましい。
【0076】
本発明のアルカリ溶液の溶媒は、水及び水溶性有機溶媒の混合溶液が好ましい。有機溶媒としては、水と混和可能な有機溶媒であればいずれも用いることができるが、沸点が120℃以下、更には60〜120℃、特には60〜100℃以下のものが好ましい。
【0077】
溶媒は、無機性/有機性値(I/O値)が0.5以上で、且つ溶解度パラメーターが16〜40[mJ/m31/2の範囲のものが好ましい。より好ましくは、I/O値が0.6〜10で、且つ溶解度パラメーターが18〜31[mJ/m31/2の範囲のものである。I/O値がその上限値以下で(無機性が強すぎず)、且つ溶解度パラメーターがその下限値以上であれば、アルカリ鹸化速度が低下したり、また鹸化度の全面均一性が不満足となったりするなどの不都合が生じないので好ましい。一方、I/O値がその下限値以上で(有機性側に偏りすぎず)、且つ溶解度パラメーターがその上限値以下であれば、鹸化速度が速く、ヘイズを生じ易くなるなどの不都合を生じることがないので、全面均一性の点で優れたものとなるので好ましい。
【0078】
好ましい特性値を有する有機溶媒は、例えば、有機合成化学協会編、「新版溶剤ポケットブック」{(株)オーム社、1994年刊}等に記載のものが挙げられる。また、有機溶媒の無機性/有機性値(I/O値)については、例えば、田中善生著「有機概念図」(三共出版社1983年刊)p.1−31に解説されている。
【0079】
具体的には、一価脂肪族アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等)、脂環式アルカノール(例えば、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、メトキシシクロヘキサノール、シクロヘキシルメタノール、シクロヘキシルエタノール、シクロヘキシルプロパノール等)、フェニルアルカノール(例えば、べンジルアルコール、フェニルエタノール、フェニルプロパノール、フェノキシエタノール、メトキシベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等)、複素環式アルカノール類(例えば、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等)、グリコール化合物のモノエーテル類(例えば、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、プロピルセルソルブ、メトキシメトキシエタノール、ブチルセルソルブ、ヘキシルセルソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、エトキシトリグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等)ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)及びエーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ピラン、ジオキサン、トリオキサン、ジメチルセルソルブ、ジエチルセルソルブ、ジプロピルセルソルブ、メチルエチルセルソルブ、ジメチルカルビトール、ジメチルカルビトール、メチルエチルカルビトール等)等が挙げられる。用いる有機溶媒は、単独もしくは2種以上を混合して用いてもよい。
【0080】
有機溶媒を単独又は2種以上を混合する場合の、少なくとも1種の有機溶媒は、水への溶解性が大きなものが好ましい。有機溶媒の水への溶解度は、50質量%以上が好ましく、水と自由に混合するものがより好ましい。これによりアルカリ剤、鹸化を実施することで副生する脂肪酸の塩、空気中の二酸化炭素を吸収して生じた炭酸の塩等に対する溶解性が充分なアルカリ溶液を調製できる。
【0081】
有機溶媒の溶媒中の使用割合は、溶媒の種類、水との混和性(溶解性)、反応温度及び反応時間に応じて決定する。
水と有機溶媒の混合比は、3/97〜85/15質量比が好ましい。より好ましくは5/95〜60/40質量比であり、更に好ましくは15/85〜40/60質量比である。この範囲において、アシレートフィルムの光学特性を損なうことなく容易にフィルム全面が均一に鹸化される。
【0082】
本発明において用いられるアルカリ溶液としては、そのアルカリ剤がアルカリ金属の水酸化物であり、アルカリ溶液の溶媒が、炭素原子数8以下のアルコール、炭素原子数が6以下のケトン、炭素原子数が6以下のエステル、炭素原子数が6以下の多価アルコールから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒および水を含むのが特に好ましい。金属の水酸化物はポリマーフィルムに対する反応性が高く、アルカリ剤の使用量を少なくすることが出来るため、好ましい。また上記有機溶媒と水の組み合わせは、金属の水酸化物の溶解性が高いため、好ましい。
【0083】
本発明において用いられるアルカリ溶液は、以下に記載の液体物性の範囲になるように調整されることが好ましい。アルカリ溶液は、その表面張力が45mN/m以下であり、且つ粘度が0.8〜20mPa・sであることが好ましい。より好ましくは、表面張力が20〜40mN/mであり、且つ粘度が1〜15mPa・sである。この範囲で、アルカリ溶液の塗布が搬送速度に応じて安定な塗布操作が容易に行える様になり、且つフィルム表面への液の濡れ性、フィルム表面に塗布した溶液の保持性、鹸化後のフィルム表面からのアルカリ液の除去性が充分なものとなる。
【0084】
本発明に用いるアルカリ溶液が含有する有機溶媒として、上記した好ましいI/O値を有する有機溶媒とは異なる有機溶媒(例えばフッ化アルコール等)を、後述の界面活性剤、相溶化剤の溶解助剤として併用してもよい。その含有量はアルカリ溶液に含有される液の総質量に対して0.1〜5%が好ましい。
【0085】
また、有機溶媒、とりわけ上記有機性と溶解性の各範囲の有機溶媒を、水、後述する界面活性剤、相溶化剤等と組み合わせて用いると、高い鹸化速度が維持されて、且つ全面に亘る鹸化度の均一性が向上する。すなわち、上記のアルカリ溶液が、沸点が60〜120℃以下の水溶性有機溶媒、並びに界面活性剤及び相溶化剤を含有するアルカリ溶液であるのが好ましい。
【0086】
(界面活性剤)
本発明に用いるアルカリ溶液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を添加することによって、表面張力を下げて塗布を容易にしたり、塗膜の均一性を上げてハジキ故障を防止したり、且つ有機溶媒が存在すると起こり易いヘイズを抑止したり、さらには鹸化反応が均一に進行するなどの利点がある。その効果は、後述する相溶化剤の共存によって特に顕著となる。用いられる界面活性剤には特に制限はなく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤等のいずれであってもよい。すなわち、アルカリ溶液が、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤および両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1つを含有するのが好ましい。特に、ノニオン界面活性剤が好ましい。
【0087】
具体的には、例えば、吉田時行著「界面活性剤ハンドブック(新版)」(工学図書、1987年刊行)、「界面活性剤の機能創製・素材開発・応用技術」第1編(技術教育出版、2000年刊行)等記載の公知の化合物が挙げられる。
【0088】
カチオン界面活性剤としては4級アンモニウム塩類が好ましい。両性界面活性剤としてはベタイン型化合物類が好ましい。以下、ノニオン界面活性剤について説明する。
【0089】
(ノニオン性界面活性剤)
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0090】
これらの具体例を示すと、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレンエチレンアビエチルエーテル、ポリオキシエチレンノニンエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノステアレート、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、ジスチレン化フェノールポリエチレンオキシド付加物、トリベンジルフェノールポリエチレンオキシド付加物、オクチルフェノールポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物、グリセロールモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤の質量平均分子量は、300〜50,000が好ましく、500〜5,000が特に好ましい。
【0091】
これらの中でも、各種のポリアルキレンレングリコール誘導体類、各種のポリエチレンオキサイド付加物類等のポリエチレンオキサイド誘導体類が好ましい。
本発明においては、特に、該界面活性剤が下記一般式(1)で表されるノニオン界面活性剤であるのが好ましい。
一般式(1) :R1−L1−Q1
式中、R1は炭素数8以上の(単独または修飾された)アルキル基を表し、L1はR1とQ1を連結する基を表し、直接結合または2価の連結基を表し、Qは、ポリオキシエチレンユニット(重合度5〜150)、ポリグリセリンユニット(重合度3〜30)、親水性糖鎖ユニットから選ばれるノニオン親水性基を表す。
このようなノニオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤の質量平均分子量は、300〜50,000が好ましく、500〜5,000が特に好ましい。
【0092】
また、本発明においては、前記ノニオン性界面活性剤として、下記一般式(2)で表される化合物を用いることも好ましい態様である。
一般式(2):
R11−O(CH2CHR12O)l−(CH2CHR13O)m−(CH2CHR14O)n−R15
一般式(2)中、R11〜R15は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カルボニル基、カルボキシレート基、スルホニル基、スルホネート基を表す。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基等が挙げられ、前記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、プロペニル基等が挙げられ、前記アルキニル基の具体例としては、アセチル基、プロピニル基等が挙げられ、前記アリール基の具体例としては、フェニル基、4−ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
l,m,nは0以上の整数を表す。但し、l,m,nの総てが0であることはない。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のホモポリマー、エチレングリコール、プロピレングリコールの共重合体等が挙げられる。前記共重合体の比率は、10/90〜90/10がアルカリ水溶液への溶解性の点から好ましい。また、共重合体の中でもグラフトポリマー、ブロックポリマーが、アルカリ鹸化溶液に対する溶解性とアルカリ鹸化処理の容易性の点から好ましい。
【0093】
アルカリ溶液には、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を共存させて用いることも本発明の効果が高められて好ましい。これらの界面活性剤のアルカリ溶液に対する添加量は、溶液全体中好ましくは、0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.01〜10質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%、最も好ましくは0.1〜5質量%の範囲が挙げられる。
【0094】
(相溶化剤)
本発明に用いられるアルカリ溶液には、相溶化剤を含有させることも好ましい。本発明において、「相溶化剤」とは、温度25℃において、相溶化剤100gに対して水の溶解度が50g以上となるような親水性化合物をいう。相溶化剤への水の溶解度は、相溶化剤100gに対して、水80g以上であるのが好ましく、100g以上であるのがより好ましい。また、相溶化剤が液状化合物である場合は、沸点が100℃以上であるのが好ましく、120℃以上であるのがより好ましい。
【0095】
相溶化剤は、アルカリ溶液を貯留する浴等で壁面に付着したアルカリ溶液の乾燥を防止し、固着を抑制し、アルカリ溶液を安定に保持させる作用を有する。また、光学フィルムの表面にアルカリ溶液を塗布して一定時間保持した後、鹸化を停止するまでの間に、塗布されたアルカリ溶液の薄膜が乾燥し、固形物の析出を生じ、水洗工程での固形物の洗い出しを困難にするなどの問題の発生を防止する作用を有する。さらには、溶媒となる水と有機溶媒との相分離を防止する。特に、界面活性剤と有機溶媒と上述した相溶化剤との共存によって、処理された光学フィルムは、ヘイズが少なく、且つ、長尺の連続鹸化を実施する場合であっても安定して全面均一な鹸化度となり、好ましい。
【0096】
相溶化剤は、上記の条件を満たす材料であれば、特に限定されないが、例えば、ポリオール化合物、糖類等のヒドロキシル基及び/又はアミド基を有する繰り返し単位を含む水溶性重合体が好適に挙げられる。
【0097】
ポリオール化合物は、低分子化合物、オリゴマー化合物及び高分子化合物のいずれも用いることができる。
【0098】
脂肪族ポリオール類としては、例えば、炭素数2〜8のアルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリンモノメチルエーテル、グリセリンモノエチルエーテル、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)、ヒドロキシル基を3個以上含有する炭素数3〜18のアルカン類(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、イノシトール等)が挙げられる。
【0099】
ポリアルキレンオキシポリオール類としては、上記のような同じアルキレンジオール同士が結合していてもよく、異なるアルキレンジオールが互いに結合していてもよいが、同じアルキレンジオール同士が結合したポリアルキレンポリオールがより好ましい。いずれの場合もの結合数は3〜100であるのが好ましく、3〜50であるのがより好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)が挙げられる。
【0100】
糖類としては、例えば、高分子学会高分子実験学編集委員会編「天然高分子」第二章{共立出版(株)、1984年刊}、小田良平等編「近代工業化学22、天然物工業化学II」{(株)朝倉書店、1967年刊}等に記載されている水溶性化合物が挙げられる。中でも、遊離のアルデヒド基及びケトン基を持たない、還元性を示さない糖類が好ましい。
【0101】
糖類は、一般に、グルコース、スクロース、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体及び糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類されるが、いずれも本発明に好適に用いられる。
例えば、サッカロース、トレハロース、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット、還元水あめが挙げられる。これらの糖類は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0102】
ヒドロキシル基及び/又はアミド基を有する繰り返し単位を有する水溶性重合体としては、例えば、天然ガム類(例えば、アラビアガム、グアーガム、トラガンドガム等)、ポリビニルピロリドン、ジヒドロキシプロピルアクリレート重合体、セルロース類又はキトサン類とエポキシ化合物(エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド)との付加反応体が挙げられる。
中でも、アルキレンポリオール、ポリアルキレンオキシポリオール、糖アルコール等のポリオール化合物が好ましい。
【0103】
相溶化剤の含有量は、アルカリ溶液全体中0.5〜25質量%であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。
【0104】
本発明に用いられるアルカリ溶液は、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、消泡剤、アルカリ溶液安定化剤、pH緩衝剤、防腐剤、防菌剤等の公知のものが挙げられる。
その他の添加剤の含有量は、アルカリ溶液全体中0.001〜30質量%であるのが好ましく、0.005〜25質量%であるのがより好ましい。
【0105】
[ポリマーフィルムにアルカリ溶液を塗布する工程における塗布方式]
上記のアルカリ溶液を用いたポリマーフィルムのアルカリ鹸化は、前記のとおり、フィルムの片面のみを処理できる塗布方式で実施することが好ましい。塗布方式としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、バーコーティング法、ロッドコーティング法(細い金属線を巻いたロッド)、ロールコーティング法(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、カーテンコーティング法、ダイコーティング法(エクストルージョンコーター(スロットコーター)、スライドコーター、スリットダイコーター)等の塗布法を挙げることができる。塗布方式に関しては、各種文献{例えば、“Modern Coating and Drying Technology”,E.Cohen and E.B.Gutoff編、VCH Publishers, Inc.刊(1992年)}に記載されている。アルカリ溶液の塗布量は、その後、水洗除去するため廃液処理を考慮して、極力抑制することが望ましく、1〜100cc/m2が好ましく、1〜50cc/m2がより好ましい。少ない塗布量域でも安定に操作できるロッドコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、ダイコーターなどの塗工手段を用いることが好ましい。特に、少ない塗布量域で塗布スジのムラを発生することなく高速で塗布でき、塗布装置部と塗布液が塗布される表面が非接触の方法であるダイコーターが好ましい。
【0106】
[洗浄]
鹸化反応後は、水洗、希釈(または中和)後水洗等によりフィルム表面からアルカリ溶液及び鹸化処理反応物とを洗浄し除去することが好ましい。具体的には、例えば国際公開第02/46809号パンフレット等に記載の内容が挙げられる。
【0107】
[水及び有機溶媒を含むアルカリ希釈液を用いてポリマーフィルム上に存在するアルカリ溶液の濃度を低下させるための洗浄(希釈洗浄工程)]
塗布されたアルカリ溶液を洗浄するためには、アルカリ希釈液を塗布する方法、アルカリ希釈液を吹き付ける方法が採用できる。これらの方法は、ポリマーフィルムを連続搬送しながら実施する上で好ましい方法である。アルカリ希釈液を吹き付ける方法は、後述する水の吹きつけ方法において、水の代わりにアルカリ希釈液を用いることによって実施することができる。アルカリ希釈液を塗布する方法は、後述する。アルカリ希釈液を塗布する方法は、必要最小限のアルカリ希釈液量を用いて実施できるためにより好ましい方法である。
本発明においては、水または水及び有機溶媒を含むアルカリ希釈液を用いてポリマーフィルム上に存在するアルカリ溶液を希釈する。本発明においてアルカリ溶液の希釈には、以下に述べるアルカリ濃度を低下させる目的の水または水及び有機溶媒を含むアルカリ希釈液を用いる。水または水及び有機溶媒を含むアルカリ希釈液の替わりに、pHを低下させる目的の酸溶液(後述)を用いることも可能である。
【0108】
(水及び有機溶媒を含むアルカリ希釈液)
アルカリ希釈液は、アルカリ濃度を低下させることが目的であるため、アルカリ溶液中のアルカリ剤を溶解する溶媒でなければならない。よって、水、または有機溶媒と水との混合液を用いる。この際、二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。前述したアルカリ溶液に用いた有機溶媒を優位に用いることができる。アルカリ希釈液には、水、及び炭素原子数が1〜4の1価もしくは多価アルコール、ケトン、カルボン酸から選ばれる1種、または2種以上の化合物からなる溶媒を用いることが好ましい。炭素原子数が5より大きい化合物は、水と相分離を起こす可能性があり、また後述する水洗工程で洗浄不良となり、作製したポリマーフィルムやそれを用いる光学フィルムで故障を起こす可能性があり、好ましくない。
以下、「水または水及び有機溶媒を含むアルカリ希釈液」を「アルカリ希釈液」とも言う。
【0109】
(水及び有機溶媒を含むアルカリ希釈液の塗布)
アルカリ希釈液の塗布は、既にアルカリ溶液が塗布されたポリマーフィルム上にアルカリ希釈液を再度適用できる連続塗布可能な方式であることが望ましい。塗布は、前記アルカリ溶液の塗布工程で説明と同様のロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、ロッドコーターが好ましく利用できる。ポリマーフィルム上に存在するアルカリ溶液とアルカリ希釈液とを速やかに混合してアルカリ濃度を低下させるためには、アルカリ希釈液が塗布される微小領域(塗布ビードと呼ぶこともある)において、流れが層流であるダイコーターよりも、流れが一様とならないロールコーターやロッドコーターが好ましい。これらコーターを用いることにより、アルカリ溶液を希釈しつつ、フィルム表面に存在する液量を減少させることができる。
【0110】
以下、コーターに対してフィルム搬送方向上流側を1次、下流側を2次という。
アルカリ希釈液の塗布に用いられるコーター1次側(すなわち、鹸化反応後のアルカリ溶液がコーターに進入してくる側)へのアルカリ希釈液の供給量は、アルカリ溶液の濃度及びアルカリ希釈液の塗布速度に応じて決定する。塗布ビードにおける流れが層流であるダイコーターの場合、供給量は、元のアルカリ濃度を1.5〜10倍に希釈する量が好ましく、2〜5倍に希釈する量がさらに好ましい。ロールコーターやロッドコーターの場合は、塗布ビード内の流動が一様でないため、アルカリ溶液とアルカリ希釈液との混合が発生し、この混合した液がコーター2次側に再塗布される。したがって、この場合はアルカリ希釈液の供給量によって希釈率を特定することができないため、アルカリ希釈液塗布後のアルカリ濃度を測定する必要がある。ロールコーターやロッドコーターにおいても、供給量は、元のアルカリ濃度を1.5〜10倍に希釈する量が好ましく、2〜5倍に希釈する量がさらに好ましい。
アルカリ希釈液は、表面張力が35℃で72mN/m以下であるのが好ましく、35〜72mN/mであることがより好ましい。表面張力がこの範囲であるとアルカリ溶液を塗布したポリマーフィルム表面上に濡れ広がりやすくなり、塗布ビードが安定化するからである。希釈液の表面張力が72mN/mより高い場合は、塗布ビードが不安定となり(場合によってはコーター1次側で液切れを起こし、)鹸化したフィルムやそれを用いる光学フィルムにおいて光学的な故障(ムラ等)を起こすことがある。また35mN/mより低い場合は、希釈液によりポリマーフィルムからそれが含む疎水的成分を抽出、表面に付着させ、鹸化したフィルムやそれを有する光学フィルムにおいて光学的な故障(ブツ等)を起こすことがある。
【0111】
(酸溶液)
アルカリによる鹸化反応を迅速に停止するため、酸溶液を用いることもできる。少ない量で中和するため、強酸を用いることが好ましい。さらに、水洗の容易さを考慮すると、アルカリと中和反応後に生成する塩が水に対する溶解度が高い酸を選定することが好ましい。塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、酢酸が特に好ましい。
【0112】
塗布されたアルカリ溶液を酸で中和するためには、酸溶液を塗布する方法、酸溶液を吹き付ける方法が採用できる。これらの方法は、ポリマーフィルムを連続搬送しながら実施する上で好ましい方法である。酸溶液を吹き付ける方法は、後述する水の吹きつけ方法において、水の代わりに酸溶液を用いることによって実施することができる。酸溶液を塗布する方法は、必要最小限の酸溶液を用いて実施できるためにより好ましい方法である。
【0113】
酸溶液の塗布は、既にアルカリ溶液が塗布されたポリマーフィルム上に酸溶液を再度適用できる連続塗布可能な方式であることが望ましい。アルカリ希釈液による希釈の前に行う場合も同様である。アルカリ希釈液による希釈の後に行う場合には、アルカリ溶液を塗布する工程、アルカリ希釈液による希釈洗浄工程の後に、ポリマーフィルム上に酸溶液を再度適用できる連続塗布可能な方式であることが望ましい。塗布は、前記塗布工程で説明と同様のロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、ロッドコーター(細い金属線を巻いたロッド)が好ましく利用できる。アルカリ溶液と酸溶液とを速やかに混合・中和してアルカリ濃度を低下させるためには、酸溶液が塗布される微小領域(塗布ビードと呼ぶこともある)において、流れが層流であるダイコーターよりも、流れが一様とならないロールコーターやロッドコーターが好ましい。
【0114】
酸溶液の塗布量は、アルカリの種類とアルカリ溶液の濃度に応じて決定する。塗布ビードにおける流れが層流であるダイコーターの場合、酸の塗布量は、元のアルカリ塗布量の0.1〜5倍であることが好ましく、0.5〜2倍であることがさらに好ましい。ロールコーターやロッドコーターの場合は、塗布ビード内の流動が一様でないため、アルカリ溶液と酸溶液との混合が発生し、混合した液がコーター2次側に再塗布される。したがって、この場合は酸溶液の塗布量によって中和率を特定することができないため、酸溶液塗布後のアルカリ濃度を測定する必要がある。ロールコーターやロッドコーターにおいては、酸溶液塗布後のpHが4〜9になる様に酸溶液の塗布量を決定することが好ましく、6〜8になるように決定することがさらに好ましい。
また、アルカリ希釈液、酸溶液は、上記にあるようにポリマーフィルム上に存在するアルカリ溶液と混合され、混合した液が、コーター2次側のフィルム表面上に再塗布される。すなわち、希釈(または中和)され、再塗布される液量の減少によって、希釈洗浄工程が好適に行われる。希釈後に再塗布されるアルカリ混和溶液の量は3mL/m以下であることが好ましい。更に好ましくは、1.5mL/m以下である。さらにまた、後述のように希釈洗浄工程を2以上のコーターで行う場合、1つめのコーター(希釈洗浄工程における最初のコーター)における再塗布の量であることが好ましい。
【0115】
また、希釈洗浄工程においてコーターを複数設置して実施することも可能である。例えば、アルカリ溶液を塗布されたポリマーフィルムに対し、第1のアルカリ希釈溶液塗布のためのロッドコーターでポリマーフィルム上に存在するアルカリ溶液を中和するための酸溶液を供給/中和しつつコーター2次側のポリマーフィルム上の液量を減少し、さらに連続して、第2の希釈のためのロッドコーターでポリマーフィルム表面の疎水的な汚染物を洗浄するため有機溶媒を含む希釈液を供給/希釈する、という態様が挙げられる。希釈洗浄工程における、ポリマーフィルムの搬送方向に対して連続して置かれるコーターの数は、1以上が好ましく、より好ましくは2〜10であり、更に好ましくは、2〜5である。
【0116】
ポリマーフィルムの温度を降下させて、鹸化反応を停止することもできる。反応を促進させるために室温以上に保たれた状態から、充分に温度低下させることによって実質的に鹸化反応を停止させる。ポリマーフィルムの温度を低下させる手段は、ポリマーフィルムの片面が濡れていることを考慮して決定する。塗布の反対面への冷風の衝突、あるいは、冷却ロールによる接触伝熱等が好ましく採用できる。冷却後のフィルム温度は、5℃〜60℃であることが好ましく、10℃〜50℃であることがさらに好ましく、15℃〜30℃であることが最も好ましい。フィルム温度は、非接触式の赤外線温度計で測定することが好ましい。冷却手段に対してフィードバック制御を行い、冷却温度を調節することもできる。
【0117】
[アルカリ溶液をポリマーフィルムから洗浄する工程(水洗浄工程)]
そして、本発明においては、上記の希釈洗浄工程の後、希釈(または中和)洗浄によっても落としきれなかったアルカリ溶液をポリマーフィルムから洗い落とす工程を行う。
水洗浄工程は、アルカリ溶液を除去するために実施する。アルカリ溶液が残っていると、鹸化反応が進行するばかりでなく、後に塗布する配向膜ならびに液晶性分子層の塗膜形成や液晶分子の配向に影響を及ぼす。洗浄は、洗浄水を塗布する方法、洗浄水を吹き付ける方法、あるいは、洗浄水の入った容器にポリマーフィルムごと浸漬する方法で実施できる。洗浄水を塗布する方法と吹き付ける方法が、ポリマーフィルムを連続搬送しながら実施するために好ましい。洗浄水を吹き付ける方法では、噴流によってポリマーフィルム上の洗浄水とアルカリ性塗布液との乱流混合が得られるために、特に好ましい。
【0118】
水の吹き付け方法は、塗布ヘッド(例、ファウンテンコーター、フロッグマウスコーター)を用いる方法、あるいは、空気の加湿や塗装、タンクの自動洗浄に利用されるスプレーノズルを用いる方法で実施できる。塗布方式に関しては、「コーティングのすべて」荒木正義編集、(株)加工技術研究会(1999年)に記載がある。円錐状あるいは扇状のスプレーノズルをポリマーフィルムの幅方向に配列して、全幅に水流が衝突するように配置することができる。市販のスプレーノズル(例えば、(株)いけうち製、スプレーイングシステムズ社製)を用いてもよい。
【0119】
水の吹き付け速度は、大きいほうが高い乱流混合が得られる。ただし、速度が大きいと、連続搬送するポリマーフィルムの搬送安定性を損なう場合もある。吹き付けの衝突速度は、50〜1000cm/秒が好ましく、100〜700cm/秒がさらに好ましく、100〜500cm/秒が最も好ましい。
【0120】
水洗に使用する水の量は、下記に定義される理論希釈率を上回る量である。
理論希釈倍率=水洗水の使用量[cc/m2 ]÷アルカリ溶液の塗布量[cc/m2
すなわち、水洗に使用される水の全てがアルカリ性塗布液の希釈混合に寄与したという仮定の理論希釈率を定義する。実際には、完全混合は起こらないので、理論希釈率を上回る水洗水量を使用することとなる。用いたアルカリ性塗布液のアルカリ濃度や副次添加物、溶媒の種類にもよるが、少なくとも100〜1000倍、好ましくは500〜1万倍、さらに好ましくは1000〜十万倍の理論希釈が得られる水洗水を使用する。
【0121】
水吹き付け量のバラツキは、走行するポリマーフィルムの幅方向および塗布時間に対して30%未満に制御することが好ましい。ただし、ポリマーフィルムの幅方向の両端では、アルカリ溶液の塗布量や中和に使用した酸溶液の塗布量が多いことがしばしば発生する。塗布量が多い部分の洗浄性を確保するために、幅方向両端の水吹き付け量を増やすこともできる。塗布ヘッドを用いる場合は、両端の流量が多くなるように水が吐出するスリットのクリアランスを広く設定する。また、局所的に両端に水膜を供給するために幅が狭いコーターを別途、設置してもよい。幅が狭いコーターは、複数設置することもできる。スプレーノズルを用いる場合も、両端に局所的に水吹き付けるためのノズルを設置する。
【0122】
水洗で一定量の水を用いる場合、一度に全量適用するよりも数回に分割して適用する回分式洗浄方法が好ましい。すなわち、水の量を幾つかに分けて、ポリマーフィルムの搬送方向にタンデムに設置した複数の水洗手段に供給する。一つの水洗手段と次の水洗手段との間には適当な時間(距離)を設けて、拡散によるアルカリ性塗布液の希釈を進行させる。さらに好ましくは、搬送されるポリマーフィルムに傾斜を設けるなどして、フィルム上の水がフィルム面に沿って流れる様にすれば、拡散に加えて、流動による混合希釈が得られる。最も好ましい方法としては、水洗手段と水洗手段の間にポリマーフィルム上の水膜を除去する水切り手段を設けることで、さらに水洗希釈効率を高められる。具体的な水切り手段としては、ブレードコーターに用いられるブレード、エアナイフコーターに用いられるエアナイフ、ロッドコーターに用いられるロッド、ロールコーターに用いられるロールが挙げられる。タンデムに配置された水洗手段の数は、多いほうが有利である。ただし、設置スペースならびに設備コストの観点から、通常は2〜10段、好ましくは2〜5段が使用される。
【0123】
水切り手段後の水膜厚みは、薄い方が好ましいが、用いる水切り手段の種類によって最低水膜厚みが制限される。ブレード、ロッド、ロールなど、物理的に固体をポリマーフィルムに接触させる方法においては、例え固体がゴムなどの硬度の低い弾性体であったとしても、フィルム表面にキズを付けたり、弾性体が磨り減ったりするので有限の水膜を潤滑流体として残す必要がある。通常は、数μm以上、好ましくは10μm以上の水膜を潤滑流体として残存させる。
【0124】
極限まで水膜厚みを減少させられる水切り手段としては、エアナイフが好ましい。充分な風量と風圧を設定することにより、水膜厚みをゼロに近づけることが出来る。ただし、エアの吹出し量が大きすぎると、ばたつきや寄りなど、ポリマーフィルムの搬送安定性に影響を及ぼすことがあるので、好ましい範囲が存在する。ポリマーフィルム上の元の水膜厚み、フィルムの搬送速度にもよるが、通常は10〜500m/秒、好ましくは20〜300m/秒、より好ましくは30〜200m/秒の風速を使用する。また、均一に水膜除去を行うためには、ポリマーフィルムの幅方向の風速分布を、通常は10%以内、好ましくは5%以内になる様、エアナイフの吹出し口やエアナイフへの給気方法を調整する。搬送するポリマーフィルム表面とエアナイフ吹出し口の間隙は、狭い方が水切り能が増すが、ポリマーフィルムと接触して傷付ける可能性が高くなるため、適当な範囲がある。通常は、10μm〜10cm、好ましくは100μm〜5cm、さらに好ましくは500μm〜1cmの間隙をもって、エアナイフを設置する。さらに、エアナイフと対向する様に、ポリマーフィルムの水洗面と反対側にバックアップロールを設置することで、間隙の設定が安定するとともに、フィルムのバタツキやシワ、変形などの影響を緩和することができるために好ましい。
【0125】
洗浄水には、純水を用いることが好ましい。本発明に用いられる純水とは、比電気抵抗が少なくとも0.1MΩ以上であり、特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属イオンは1ppm未満、クロル、硝酸などのアニオンは0.1ppm未満であることが好ましい。純水は、逆浸透膜、イオン交換樹脂、蒸留などの単体、あるいはそれらの組み合わせによって得ることができる。
【0126】
洗浄水の温度は、高い方が洗浄能力が上がる。しかし、搬送されるポリマーフィルム上に水を吹き付ける方法においては、空気と接触する水の面積が大きく、高温ほど蒸発が著しくなるため、周囲の湿度が増し、結露する危険性が高くなる。このため、洗浄水の温度は、通常は5℃〜90℃、好ましくは25℃〜80℃、さらに好ましくは25℃〜60℃の範囲で設定する。
【0127】
また、本発明においては、前述の希釈洗浄工程における説明と同様のロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、ロッドコーターを用いて洗浄液を塗布する方法も好ましく、この場合前述のエアナイフを用いて水切りを行なうことで好適に実施できる。
【0128】
洗浄工程の次に乾燥工程を実施することもできる。通常は、エアナイフなどの水切り手段で充分に水膜を除去できることが多く、乾燥工程は必要でないことあるが、ポリマーフィルムをロール状に巻き取る前に、好ましい含水率に調整するために加熱乾燥してもよい。逆に、設定された湿度を有する風で調湿することもできる。乾燥風の温度は30〜200℃が好ましく、40〜150℃がより好ましく、50〜120℃が特に好ましい。
【0129】
また、上述の各工程は、ポリマーフィルムを搬送しながら実施するのが好ましく、更には各工程をポリマーフィルムを搬送しながら連続的に実施するのが好ましい。
本発明の表面鹸化セルロースアシレートフィルムは、上述のようにアルカリ鹸化処理を行うことにより得られる。
【0130】
[鹸化後のフィルム表面物性]
(燐元素量の幅方向での変化量)
上記アルカリ鹸化方法による鹸化処理終了後のポリマーフィルム表面の幅方向での燐元素量をESCAで測定した場合の変化量は、0.005より小さいのが好ましい。より好ましくは、幅方向での変化量が0.004より小さい場合である。理由は未確定であるが、フィルム成分である燐を有する可塑剤が光学補償フィルムの光学特性を変化させる可能性がある。よって、燐の変化量が小さい場合、ムラが少なくなると推定している。
変化量の測定は、ポリマーフィルム鹸化方向に対する幅方向で9点サンプリングを行い、光電子分光スペクトロメーター{(株)島津製作所製、“ESCA750”型}を用いて、鹸化処理フィルム表面の炭素原子及び燐原子量を、各々C1s及びP2pの基準線に対するピーク値として測定し、その面積比をP量(P/C)として算出した。その最大値と最小値差を燐元素量の幅方向での変化量とした。
【0131】
<光学フィルム>
支持体であるポリマーフィルムをアルカリ鹸化した後、その上に配向膜を形成し、次いで配向膜の上に液晶性分子を塗布し、液晶性分子の配向を固定化して光学異方性層を形成することにより光学フィルム(光学補償シート)を製造できる。以下、光学フィルムならびにその構成層について説明する。
[配向膜]
配向膜は、アルカリ鹸化したポリマーフィルムを透明支持体として該透明支持体上に塗布して形成されるのが好ましい。配向膜の膜自身の強度、透明支持体或は上層となる光学異方性層との密着性の観点から硬化されたポリマー膜であることが好ましい。配向膜は、その上に設けられる液晶性化合物の配向方向を規定するために設けられる。配向規定の方法としては、従来公知のラビング、磁場或は電場の付与、光照射等が挙げられるが、本発明ではラビングで行なうことが好ましい。
【0132】
本発明に供される配向膜は、液晶セルの表示モードの種類に応じることが出来る。
液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に垂直に配向している表示モード(例、VA、OCB、HAN)では、光学異方性層の液晶性分子を実質的に水平に配向させる機能を有する。液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に水平に配向している表示モード(例、STN)では、光学異方性層の液晶性分子を実質的に垂直に配向させる機能を有する。液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に斜めに配向している表示モード(例、TN)では、光学異方性層の液晶性分子を実質的に斜めに配向させる機能を有する。
【0133】
本発明における配向膜に使用される具体的なポリマーの種類については、前述した様々な表示モードに対応するディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートについての文献に記載がある。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例として、例えば特開平8−338913号公報 段落番号[0022]記載の化合物が挙げられる。
本発明における高分子は、配向処理をラビングで行なうことが好ましく、ガラス転移点が低いポリマーを用いる。理由は、配向膜上をラビング布でこすると配向膜表面の高分子がラビング布の回転する方向に並ぶと推定しており、このときガラス転移点が低い高分子を用いることでラビング時の配向膜やラビング布の屑が出なくなる回転数で配向膜表面を配向することが出来る。またこの配向膜は、後述する光学異方性層の熟成時に高温状態に曝されるため、配向膜に含まれる高分子は適度に高いガラス転移点を有する必要がある。
よって、上記の観点から、配向膜に含まれる高分子のガラス転移点は、45℃以上80℃以下であり、好ましくは50℃以上80℃以下である。配向膜の含む高分子が複数でガラス転移点が異なる場合、便宜上、全ての高分子の重量比とガラス転移点の積の総和をガラス転移点とする。(例えば、高分子Aが90wt.%(ガラス転移点90℃)、高分子Bが10wt.%(ガラス転移点70℃)の場合、90℃×90wt.%+10%×70wt.℃=87℃、である。)
高分子のガラス転移点は、示差走査熱量分析をTAinstruments社製 DSC2910によって測定できる。
また、複数の高分子を配向膜に用いる場合、配向膜形成時に均一な膜を作る組み合わせ及び量比を選ぶことが好ましい。
配向膜に用いるのに好ましい高分子には、例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体が挙げられる。本発明に用いる高分子は、ポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体がより好ましい。
配向膜に用いられる高分子の重合度は、50以上5000以下であることが好ましい。更に好ましくは、100以上3500以下である。重合度は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)や、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定できる。
【0134】
ポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体は、下記一般式(A)で表されることが好ましい。
一般式(A)
(CHCH)l−(CHCHOH)m−(CHCHOCOCH)n
ここで、l+m+n=100とする場合、lは0.1以上50以下であり、且つ、m+n=100とする場合、mは70以上100以下である。また、水酸基は修飾(置換)されていても良い。
【0135】
ポリ(エチレン/ビニルアルコール)重合体のガラス転移点は、ポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体単独の場合は、共重合体に含まれるエチレン/ビニルアルコール比で決定される。本発明に用いるポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体の共重合体全体に対するエチレン単位のmol比は0.1%以上50%以下であることが好ましい。更に好ましくは、0.1%以上35%以下である。またポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体の鹸化度は、70乃至100%が好ましく、80乃至100%がさらに好ましく、85乃至100%が最も好ましい。
本発明では、ポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体にポリビニルアルコールを適宜混合して使用することもできる。
【0136】
前記配向膜に使用するポリマー(好ましくは、ポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体)の架橋剤の例には、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
【0137】
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1乃至20質量%が好ましく、0.5乃至15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。配向膜中に1.0質量%を超える量で架橋剤が残存していると、充分な耐久性が得られない。そのような配向膜を液晶表示デバイスに使用すると、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合にレチキュレーションが発生することがある。
【0138】
一方、一般式(A)で表される重合体の水酸基は修飾されていてもよく、ビニル部分、オキシラニル部分、またはアジリジニル部分を有する基(好ましくはビニル部分を有する基)が、エーテル結合、ウレタン結合、エステル結合、またはアセタール結合(好ましくはエーテル結合)を介し、該重合体の水酸基に結合していることが好ましい。
水酸基の具体的な修飾方法としてはメタクリロイルオキシエチルイソチオシアネート(昭和電工株式会社製、カレンズMOI)で重合体中の水酸基を置換することが好ましい。
これらの基で、一般式(A)で表される重合体の水酸基を修飾することにより、光学異方性層の有するアルケニル基と重合反応することで、光学異方性層と配向膜間の密着性が向上する。
【0139】
前記一般式(A)で表される高分子において、修飾されている水酸基の割合は、該高分子の全水酸基に対して0.1mol%以上5mol%以下であることが好ましく、0.5mol%以上5mol%以下であることがより好ましい。修飾されている水酸基の割合を0.1mol%以上5mol%以下とすることにより、光学異方性層の配向を悪化させずに光学異方性層と配向膜間の密着性が向上する。
修飾されている水酸基の割合は特開平9−152509 [0101]〜[0104]に記載の方法により測定できる。
【0140】
[配向膜に含有されるカルボン酸化合物]
本発明における配向膜形成用組成物は、特定のカルボン酸化合物を含有することが好ましい。本発明に好ましく用いられる特定のカルボン酸化合物は、公開特許公報特開2004−354962号[0064]から[0074]に記載の化合物が使用できる。
【0141】
本発明における特定のカルボン酸化合物は、配向膜形成用組成物中、0.01〜1.0質量%の割合で添加するのが好ましい。更には、0.02〜0.5質量%が好ましい。
この範囲において、膜の強度が十分に保持された白抜け等の光学的に欠陥の無い光学補償シートが得られる。更には、長尺フィルムを連続して製造しても、極めて安定な性能で製造することが出来る。
すなわち、上記配向膜形成用組成物は、水素結合性を有する水素原子含有の極性基を少なくとも1種含有するカルボン酸化合物を含有するのが好ましい。
【0142】
配向膜は、基本的に、配向膜形成用組成物である前記ポリマー、架橋剤及び特定のカルボン酸を含む塗布液を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋させ)、配向処理することにより形成することができる硬化膜である。すなわち、上記配向膜は、主成分としてポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体を含有した配向膜形成用組成物を塗布し、乾燥してなる硬化膜であるのが好ましい。架橋反応は、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。
【0143】
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコーティング法(エクストルージョンコーティング法、スライドコーティング法、スリットコーティング法)、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法、ダイコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1乃至10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。
【0144】
更に、配向膜形成用組成物を含有する塗布液を支持体に塗布、乾燥し、配向手段で配向させたのちに光学異方性層用塗布液が塗布されるときに、該配向膜の表面がpH2.0〜6.9の範囲に保持されることが好ましい。更にはpH2.5〜5.0がより好ましい。
【0145】
また、該光学異方性層用塗布液を塗布する際に、塗布の幅方向での配向膜表面のpHの変動幅△pHが±0.30の範囲で行われることが好ましい。より好ましくは、△pHが±0.15の範囲である。
この範囲において光学異方性層を塗設された光学補償シートは、光学的欠陥が著しく軽減され、好ましい。
【0146】
配向膜表面のpH値の測定方法は、配向膜を塗設した試料を(温度25℃/湿度65%RH)の環境下に1日静置した後、窒素雰囲気下で純水を10ml乗せて速やかにpHメーターでpH値を読み取る。
本発明の配向膜表面のpH値を特定とし、且つ塗布幅方向での△pHを制御するには、上記のロッドコーティング方式による塗布により達成される。更には、膜表面の乾燥温度、乾燥風を用いる場合のその風量、風向等を調節することも有効である。
【0147】
配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
【0148】
また、光照射で光配向する場合には、光照射装置としての光源は、超高圧水銀灯、キセノン灯、蛍光灯、レーザ等を用いることが出来、光二量化化合物を光配向をするには上記光源と偏光膜を組み合わせて(偏光膜を通して)紫外線を直線偏光とし、光配向膜に照射する。偏光膜としては、主に使用されているものとして延伸染色PVAがある。この直線偏光紫外線照射装置としては、例えば、特開平10−90684号公報に開示されているものを用いることが出来る。
配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。
【0149】
<光学異方性層>
次いで、形成された配向膜の上に液晶性分子を塗布し、液晶性分子の配向を固定化して光学異方性層を形成することにより、本発明の光学フィルムを製造できる。
液晶性分子としては、棒状液晶性分子またはディスコティック(円盤状)液晶性分子が好ましい。
【0150】
(棒状液晶性化合物)
本発明に使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
【0151】
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、及び特開2001−328973号などに記載の化合物が含まれる。
【0152】
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
【0153】
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
【0154】
(光学異方性層の他の組成物)
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー、ポリマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することが出来る。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
【0155】
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性若しくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、ディスコティック液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
【0156】
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。
ディスコティック液晶性分子とともに使用するポリマーは、ディスコティック液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
ディスコティック液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
【0157】
光学異方性層は、液晶性分子、あるいは下記の重合性開始剤や任意の添加剤(例、可塑剤、重合性モノマー、界面活性剤、セルロースエステル、1,3,5−トリアジン化合物、カイラル剤)を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成される。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド等)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルメトン、シクロヘキサノン等)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が挙げられる。このうち、アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、バーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。リバースグラビアコーティング法、或はダイコーティング法が好ましい。
【0158】
(液晶性分子の配向状態の固定)
液晶性分子は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性分子が固定されていることが最も好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
【0159】
光重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.5乃至5質量%であることがさらに好ましい。
【0160】
ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
【0161】
光学異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましく、0.7乃至5μmであることが最も好ましい。ただし、液晶セルのモードによっては、高い光学異方性を得るために、光学異方性層を厚く(3乃至10μm)する場合がある。
光学異方性層内での液晶性分子の配向状態は、前述したように、液晶セルの表示モードの種類に応じて決定される。液晶性分子の配向状態は、具体的には、液晶性分子の種類、配向膜の種類および光学異方性層内の添加剤(例、可塑剤、ポリマー、界面活性剤)の使用によって制御される。
【0162】
<偏光板>
本発明の光学フィルム(光学補償シート)は、偏光膜と該偏光膜の両面に積層された2枚の透明保護膜とから構成される偏光板の、透明保護膜の少なくとも1つとして用いることが好ましい。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、前記の透明支持体に記載のソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜200μmであることが好ましく、30〜100μmであることがさらに好ましい。特に好ましくは30〜80μmである。
【0163】
[光学フィルムの表面処理]
本発明においては、光学フィルムと偏光膜との接着性を改善するために、光学フィルムの偏光膜側の面を表面処理するのが好ましい。表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、オゾン処理、酸処理またはアルカリ処理を実施する。
コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等の処理方法は、例えば、前記の公技番号2001−1745号p30−31に記載の内容が挙げられる。本発明においては、アルカリ処理することが好ましく、前述のアルカリ鹸化処理方法が好ましく用いられる。
【0164】
[偏光膜]
本発明に用いられる偏光膜は、通常、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素または二色性色素からなる偏光膜が好ましい。
偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
現在、市販の偏光膜(偏光膜)は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
市販の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示デバイスの光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示デバイスで観察されなくなる。
【0165】
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例としては、前記の配向膜で記載のポリマーと同様のものが挙げられる。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載がある。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
【0166】
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。
架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。
架橋は一般に、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行なうことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なっても良い。
【0167】
バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1乃至20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
偏光膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。但し、残存する架橋剤の量は、偏光膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、偏光膜を液晶表示デバイスに組み込み、長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、偏光度の低下を生じない。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書の記載が挙げられる。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も架橋剤として用いることができる。
【0168】
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例としては、例えば、発明協会公開技法、公技番号2001−1745号、58頁(発行日2001年3月15日)に記載の化合物が挙げられる。
【0169】
液晶表示デバイスのコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30乃至50%の範囲にあることが好ましく、35乃至50%の範囲にあることがさらに好ましく、40乃至50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90乃至100%の範囲にあることが好ましく、95乃至100%の範囲にあることがさらに好ましく、99乃至100%の範囲にあることが最も好ましい。
【0170】
偏光膜と光学フィルム、あるいは、偏光膜と透明保護膜を接着剤を介して配置することも可能である。接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01乃至10μmの範囲にあることが好ましく、0.05乃至5μmの範囲にあることが特に好ましい。
【0171】
[偏光板の製造]
偏光膜は、歩留まりの観点から、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対して、10乃至80°傾斜して延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
【0172】
延伸法の場合、傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。液晶セルに対する偏光板の貼り合わせ角度により、延伸の際、通常の傾斜角度は45゜である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45゜でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
【0173】
延伸倍率は1.1乃至30.0倍が好ましく、1.5乃至10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、1.2乃至5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0乃至10.0倍が好ましい。延伸工程は、斜め延伸を含め数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。
延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフィルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
以上のように、偏光膜のMD方向に対して10乃至80°斜め延伸されたバインダーフィルムが製造される。
【0174】
ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1乃至90゜が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360゜以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。液晶表示デバイスに使用する場合は、後述する液晶デバイスモードに応じて、0〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。より好ましくは、40乃至50゜であり、45゜が特に好ましい。
【0175】
偏光膜の本発明の光学フィルムとは反対側の表面には、前記透明保護膜を配置する(本発明の光学フィルム/偏光膜/透明保護膜の配置とする)ことが好ましい。
透明保護膜は、その最表面が防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜を設けてなることも好ましい。反射防止膜は、従来公知のいずれのものも用いることが出来る。
【0176】
上記のようにして、本発明の偏光板が製造される。
本発明の光学フィルムを用いた偏光板は、液晶表示デバイス、特に透過型液晶表示デバイスに有利に用いられる。
以下、液晶表示デバイス、特に透過型液晶表示デバイス及びその製造について詳しく説明する。
【0177】
<液晶表示デバイス>
本発明の液晶表示デバイス、透過型液晶表示デバイスは、上述の本発明の偏光板を用いてなるものであり、具体的には、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなり、偏光板が偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる液晶表示デバイスであって、液晶セルと偏光板との間に配置される二枚の透明保護膜の少なくとも一方が本発明の光学フィルムである。
液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
本発明の光学フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
各液晶モードにおける光学異方性層の好ましい形態について、以下で説明する。
各液晶モードにおける光学異方性層の好ましい形態において、本発明の光学フィルムを用いた偏光板は、有利に光学的に補償することができる。
【0178】
(TNモード液晶表示デバイス)
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示デバイスに最も多く利用されており、多数の文献の記載が挙げられる。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
【0179】
(OCBモード液晶表示デバイス)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示デバイスは、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている装置が挙げられる。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
【0180】
(VAモード液晶表示デバイス)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が挙げられる。
【0181】
(IPSモード液晶表示デバイス)
IPSモードの液晶セルでは、棒状液晶性分子は液晶セル基板に対し平行に配向している。液晶セルの電界無印状態で黒表示であり、この基板面に平行な電界が印加され,液晶分子が平面的に応答することで白表示を行う。
【0182】
(その他液晶表示デバイス)
ECBモードおよびSTNモードの液晶表示デバイスに対しては、上記と同様の考え方で光学的に補償することが出来る。
【0183】
<反射防止機能付きの偏光板>
本発明の偏光板は、空気側の偏光膜の保護膜の表面上に、更に反射防止機能を有する反射防止層を設けることもできる。これにより、外光の写り込みが著しく軽減若しくは解消されて、鮮明な画像表示が可能となり好ましい。反射防止層は偏光膜の透明保護膜上に直接設ける、或は透明支持体上に反射防止層を設けてなる反射防止膜を偏光膜の透明保護膜と貼り合せる態様が挙げられる。偏光板の薄膜化から、前者の態様が好ましい。以下、説明を容易にするために、後者の態様で説明する。
【0184】
[反射防止膜]
反射防止膜は、一般に、防汚性を有してもよい低屈折率層、及び該低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(すなわち、高屈折率層、中屈折率層)とを透明支持体上に設けてなる。
【0185】
反射防止膜の形成方法としては、屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄層を積層させて多層膜とする方法;化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法により薄層を形成する方法;金属アルコキシド等の金属化合物のゾル/ゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄層を形成する方法などが挙げられる。さらに生産性が高い反射防止膜の形成方法として、無機粒子をマトリックスに分散させてなる薄層組成物を積層塗布して反射防止膜を形成する方法など各種の提案がなされている。またこの塗布により形成してなる反射防止膜に、最上層表面が微細な凹凸の形状を有して防眩性を付与した反射防止膜も挙げられる。
【0186】
(塗布型反射防止膜の構成)
例えば、透明支持体上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成からなる反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。
【0187】
また、反射防止膜には透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、反射防止層は、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい。例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。さらに、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
【0188】
反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また反射防止膜の表面の硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0189】
(高屈折率層及び中屈折率層)
本発明において反射防止膜の高い屈折率を有する層(高屈折率層及び中屈折率層)は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜からなることが好ましい。
【0190】
(無機化合物微粒子)
高屈折率に用いられる無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。
【0191】
これらの無機化合物としては、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられ、特に好ましくは、Co、Zr、AL(好ましくはCo)から選ばれる少なくとも1つの元素(以下このような元素を含有元素ということがある)を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子(以下、「特定の酸化物」と称することもある)が挙げられる。含有元素の総含有量は、Tiに対して0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜7質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%、最も好ましくは0.5〜3質量%である。
【0192】
上記の含有元素は、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部、又は表面に存在する。二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在することがより好ましく、内部と表面の両方に存在することが最も好ましい。これらの特定の金属元素は、酸化物として存在してもよい。
【0193】
また他の好ましい無機粒子としては、酸化物が屈折率1.95以上となる金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下、「Met」とも略称する)と、チタン元素との複合酸化物の粒子であり、且つ該複合酸化物はCoイオン、Zrイオン、及びAlイオンから選ばれる金属イオンの少なくとも1種がドープされてなる無機微粒子(「特定の複合酸化物」と称することもある)が挙げられる。ここで、その酸化物の屈折率が1.95以上となる金属元素としては、Ta、Zr、In、Nd、Sb,Sn、及びBiが好ましい。特には、Ta、Zr、Sn、Biが好ましい。複合酸化物にドープされる金属イオンの含有量は、複合酸化物を構成する全金属[Ti+Met]量に対して、25質量%を越えない範囲で含有することが屈折率維持の観点から好ましい。より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%、最も好ましくは0.3〜3質量%である。
【0194】
このような無機化合物の超微粒子を得るには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物又は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコア/シェル構造とすること(特開2001−166104号公報、米国特許2003/0202137A1号公報等)、特定の分散剤の併用(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許番号6210858B1号公報、特開2002−2776069号公報等)などを挙げることができる。
【0195】
(マトリックスバインダー)
高屈折率層のマトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。またラジカル重合性及び/又はカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上含有のポリビニル化合物含有組成物、加水分解性基を含有の有機金属化合物及びその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。さらに金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と、金属アルコキド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。これらについては、例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
【0196】
高屈折率層の屈折率は、一般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。また中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
【0197】
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層してなる。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1.30〜1.50の範囲であるのがよい。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等からなる薄膜層の手段を適用できる。
【0198】
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性又は重合性の官能基を含む化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報の段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報の段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報の段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報、特開2004−45462号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0199】
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基又は重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造をを有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン{例えば、「サイラプレーン」チッソ(株)製等}、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
【0200】
架橋又は重合性基を有する含フッ素及び/又はシロキサンのポリマーの架橋又は重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時又は塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
【0201】
またシランカップリング剤等の有機金属化合物と、特定のフッ素含有炭化水素基を有するシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾル/ゲル硬化膜も好ましい。例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物又はその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
【0202】
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物を含有することが好ましい。
【0203】
特に、上記低屈折率層はその屈折率上昇をより一層少なくするために、中空の無機微粒子を用いることが好ましい。中空の無機微粒子は、その屈折率が、通常1.17〜1.40、好ましくは1.17〜1.37、さらに好ましくは1.17〜1.35であるのがよい。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空の無機微粒子を形成している外殻のみの屈折率を表すものではない。中空の無機微粒子の屈折率は、粒子の強度及び該中空粒子を含む低屈折率層の耐擦傷性の観点から、1.17以上とすることが好ましい。
なお、これら中空の無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計[アタゴ(株)製]にて測定することができる。
【0204】
無機微粒子の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、又は不定形状であることが好ましい。
【0205】
また、中空の無機微粒子の空隙率は、該粒子内の空腔の半径をr、粒子外殻の半径をrとするとき、下記数式(5)に従って計算される。
数式(5):w=(r/r×100
【0206】
中空の無機微粒子の空隙率は、該粒子の強度及び反射防止膜表面の耐擦傷性の観点から、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
【0207】
低屈折率層中の中空の無機微粒子の平均粒径は、該低屈折率層の厚みの30〜100%、さらには35〜80%、特には40〜60%であることが好ましい。すなわち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、無機微粒子の粒径は30〜100nm、さらには35〜80nm、特には40〜60nmの範囲となるので好ましい。該平均粒径が前記の範囲であると、反射防止膜の強度が十分に発現される。
【0208】
低屈折率層に含まれる他の添加剤としては、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
【0209】
低屈折率層の上にさらに最外層が形成される場合には、低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されてもよいが、安価に製造できる点で、塗布法により形成されることが好ましい。低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
【0210】
{反射防止膜の他の層}
反射防止膜には、さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗層、保護層等を設けてもよい。
【0211】
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止膜に物理強度を付与するために、透明支持体(又は透明保護膜;以下同じ)の表面に設けられる。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
【0212】
ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
【0213】
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。ハードコート層にはまた、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能:後述)を付与した防眩層を兼ねることもできる。
【0214】
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
【0215】
ハードコート層の硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。またハードコート層の耐擦傷性は、JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後のハードコート層を塗設した試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
【0216】
(前方散乱層)
前方散乱層は、反射防止機能付き偏光板を液晶表示デバイスに適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設けられる。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。前方散乱層については、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
【0217】
反射防止層を構成する各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。
【0218】
(アンチグレア機能)
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜50%であることが好ましく、5〜30%であることがさらに好ましく、5〜20%であることが最も好ましい。
【0219】
反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
【実施例】
【0220】
以下に本発明を実施例及び比較例により例証するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0221】
[実施例1〜3、比較例1]
<支持体の作製>
【0222】
(セルロースアシレートフィルム(CAF−1)の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液(SA−1)(内層用ドープ及び外層用ドープ)を調製した。
外層用セルロースアシレート溶液のシリカ微粒子に関しては、下記シリカ微粒子を20質量部、メタノール80質量部を30分間良く攪拌し混合シリカ分子分散液としたものを使用した。
【0223】
(セルロースアシレート(SA−1)溶液組成)
セルロースアシレート溶液組成物(質量部) 内層用 外層用
アシル置換度2.87のセルロースアセテート 100 100
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8 7.8
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9 3.9
メチレンクロライド(第1溶媒) 293 314
メタノール(第2溶媒) 71 76
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5 1.6
シリカ微粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
0 0.8
下記レターデーション調整剤A 1.5 0
【0224】
レターデーション調整剤A
【0225】
【化1】


【0226】
得られた外層用ドープについて、シリカ微粒子分散物の粒度分布を測定したところ、粒径500nm以上の粒子は0%であった。ここで体積平均粒径は、『粒度分布測定装置 LA920(堀場製作所製)』で測定した。
【0227】
(セルロースアシレートフィルムの作製)
得られた内層用ドープ及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、−5℃に冷却したドラム上に流延した。
該ドラムの算術平均粗さ(Ra)は0.006μmで、最大高さ(Ry)は0.06μmであり、また十点平均粗さ(Rz)は0.009μmであった。算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)の各測定は、JIS B 0601の規定によった。
残留溶媒量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて保持しながら搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶媒量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶媒が0.3質量%のセルロースアシレートフィルム(CAF−1、外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を作製した。得られたCAF−1の幅は1475mmであり、厚さは80μmであった。
得られたフィルムCAF−1は長手方向に面内遅相軸を有し、Re(630)は8nm、|Rth(630)|は80nmであった。また、|Re(400)−Re(700)|は8nm、|Rth(400)−Rth(700)|は15nmであった。
【0228】
{光学特性の評価方法}
(レターデーション値)
KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)を用い、Reレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。
(遅相軸ズレ)
自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株))で軸ずれ角度を測定した。各々の測定は幅方向10点で行い、平均値を求めた。
(ヘイズ)
ヘイズはヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。フィルム1サンプルにつき、5点を測定し、その平均値を採用した。
【0229】
{力学的特性の評価方法}
(カール)
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985、Method−A)に従い測定した。ポリマーフィルムを、幅方向に35mm、長手方向に2mmの大きさに切り取った後、カール板に設置する。これを温度25℃、相対湿度65%の環境下に1時間調湿後カール値を読みとる。そして同様に、ポリマーフィルムを、幅方向に2mm、長手方向に35mmの大きさに切り取った後、カール板に設置する。これを温度25℃、相対湿度65%の環境下に1時間調湿後カール値を読みとる。幅方向、長手方向の二方向で測定し、両者のうちの大きい値をカール値とした。カール値は、曲率半径(m)の逆数で表す。
(引き裂き強度)
フィルムを65mm×長さ50mmに切断してサンプルを作製する。このサンプルを温度30℃、相対湿度85%の室内で2時間以上調湿し、ISO6383/2−1983の規格に従い、東洋精機製作所製軽荷重引裂強度試験器を用いて、引き裂きに要する荷重(g)を求めた。
【0230】
【表1】


【0231】
上記表1記載のように、セルロースアシレートフィルム(CAF−1)は、面状良好で、レターデーション値、遅相軸角度ズレおよびヘイズ値の各光学特性並びにカールおよび引裂き強度の各力学特性も良好であった。
【0232】
(鹸化処理フィルムCFS−1の作製)
セルロースアセテートフイルムCAF−1を60℃に加熱した誘電式加熱ロールを通過させ、40℃まで昇温した後に、40℃に保温した下記に示す組成のアルカリ溶液(S−1)をエクストルージョンロッドコーターを用いて塗布量17mL/m2で塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に10秒滞留させた後に、ロッドコーターを用いて純水を1.6mL/m2 塗布し、アルカリ溶液を洗い落とした。この時、フィルム温度は40〜45℃に維持した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを5回繰り返し、アルカリ溶液を洗い落とした後に70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理フィルムCFS−1を作製した。
【0233】
(アルカリ溶液(S−1)組成)
水酸化カリウム 8.6質量部
水 24.1質量部
イソプロパノール 56.3質量部
界面活性剤(K−1:C1633O(CH2CH2O)10H) 1.0質量部
プロピレングリコール 10.0質量部
【0234】
(アルカリ溶液(S−1)物性)
表面張力 20mN/m(40℃、以下同じ。)
粘度 5.2mPa・s
密度 0.90g/mL(40℃)
【0235】
{アルカリ鹸化処理後(親水化表面処理後)のフィルムの特性}
作製した各フィルムについて、以下の試験を行いアルカリ鹸化処理の効果を確認した。その結果を表2に示す。
【0236】
(水との接触角)
接触角計(協和界面科学(株)製、CA−X型接触角計)を用いて、乾燥状態(20℃/65%RH)で液体に純水を使用して直径1.0mmの液滴を針先に作り、これをフィルムの表面に接触させて液滴を作った。固体液体が接する点における液体表面に対する接線と固体表面がなす角で、液体を含む方の角度を接触角とした。
各フィルムについて、1平方メートルの面内において両端及び中央の9箇所の接触角を測定し、上限値と下限値を記載した。ただし、±1度の範囲は測定におけるばらつきの範囲であり、その中央値で示した。
【0237】
(表面の面状:異物、濁り)
鹸化処理フィルムから全幅で長手方向に1mの長さに切りだし、この試料にシャウカステン上で光を透過させながら目視及びルーペで異物及び濁りの有無を観察し、以下の基準を用いて評価した。
〇:異物、濁りの発生が全く認められない(10人で評価し、一人も認識できないレベル)
〇´:異物、濁りの発生が極弱く認められる(10人で評価し、一人が認識できるレベル)
△:異物、濁りが弱く発生する(10人で評価し、2〜5人が認識するレベル)
×:異物、濁りが強く発生する(10人で評価し、6人以上が認識するレベル)
【0238】
(燐元素量の幅方向での変化量:幅方向のP変化量)
ポリマーフィルム鹸化方向に対する幅方向で9点サンプリングを行い、光電子分光スペクトロメーター{(株)島津製作所製、“ESCA750”型}を用いて、鹸化処理フィルム表面の炭素原子及び燐原子量を、各々C1s及びP2pの基準線に対するピーク値として測定し、その面積比をP量(P/C)として算出した。その最大値と最小値との差を燐元素量の幅方向での変化量として表2に示した。
【0239】
【表2】


【0240】
表2に示すように、鹸化処理フィルム(CFS−1)は、1平方メートルの面内おいて水との接触角は均一であり、幅方向のP変化量は最大0.004であった。面状もフィルム全面において異物や濁りの発生は認められなかった。
以上のように、鹸化処理フィルムは、面内を均一に親水化されてなるものであることが明らかになった。
【0241】
<光学補償シートの作製>
上記鹸化処理フィルム(CFS−1)を透明支持体として用いて、光学補償シートを作製した。
【0242】
<配向膜のための高分子合成>
下記試料1から3のポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体は、「ラジカル重合ハンドブック」(蒲池幹治 遠藤剛 監修、1998年(株式会社)エヌ・ティー・エス)に記載の方法で作製し、重合度を定量した。また比較例1のポリビニルアルコールは、株式会社クラレ製PVA203(重合度300)を用いた。
次いで、メタクリロイルオキシエチルイソチオシアネート(昭和電工株式会社製、カレンズMOI)で修飾した高分子は、公開特許 特開平9−152509 [0101]から[0104]に記載の方法で作製し、同公報記載の方法により高分子の水酸基の修飾割合を定量した。
【0243】
<高分子のガラス転移点測定>
高分子から溶媒を取り除いたのち、「機器分析の基礎」(江藤守總著編、1998年 株式会社 裳華房)の方法を用いて、示差走査熱量分析をTAinstruments社製 DSC2910を用いて測定した。
【0244】
【表3】


【0245】
(配向膜の形成)
鹸化処理フィルム(CFS−1)の鹸化処理面上に、下記の組成の配向膜塗布液(O−1〜4)をエクストルージョンコーターを用い24mL/mの塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜が形成された透明支持体(CFO−01)を作製した。
【0246】
(配向膜塗布液(O−1)組成)
表3 試料1のポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体 4質量部
クエン酸及び1,2,3エチルエステル混合物 0.06質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 70質量部
n-プロピルアルコール 35質量部
【0247】
(配向膜塗布液(O−2〜4)組成)
配向膜塗布液(O−1)のポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体の代わりに、表3の試料2から4の高分子を添加し、塗布、乾燥して、配向膜が形成された透明支持体(CFO−02〜04)を作製した。
【0248】
(光学異方性層の形成)
次に、配向膜が形成された透明支持体について、以下のようにして光学異方性層を形成し、光学補償シートをそれぞれ得た。
すなわち、配向膜が形成された透明支持体の、配向膜に長手方向にラビング処理を外径150mm、回転数500rpm、搬送速度15m/分で実施した。下記ディスコティック液晶塗布液(DA−1)を#4のワイヤーバーコーターで配向膜上に塗布し、125℃の高温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶を配向させた後、高圧水銀灯を用いてUVを500mJ/cm照射し、室温まで放冷して、表4に記載の各光学補償シートを作製した。
【0249】
(ディスコティック液晶塗布液(DA−1)組成)
下記ディスコティック液晶DLC−A 9.1質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート
(V#360、商品名、大阪有機化学(株)) 0.9質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2、商品名、イーストマンケミカル製) 0.2質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、商品名、イ−ストマンケミカル製) 0.05質量部
下記フッ素化合物(F−1) 1.3質量部
イルガキュアー907(商品名、チバガイギー社製) 3.0質量部
カヤキュアーDETX(商品名、日本化薬(株)製) 0.1質量部
メチルエチルケトン 29.6質量部
【0250】
ディスコティック液晶DLC−A
【0251】
【化2】


【0252】
フッ素化合物(F−1)
【0253】
【化3】


【0254】
各シートの光学異方性層の厚さは、各々1.6μmであった。
また、得られた各光学補償シートについて、以下の性能評価試験を行った。その結果を表4に示す。
【0255】
{光学補償シートの性能評価試験}
(密着性)
表4記載の光学補償シートCFO−1から4を27cm×36cm角に裁断し、アクリル系接着剤を用いてガラス板に貼りつけ、90℃で20時間保存した。アクリル系接着剤は液晶表示デバイスの組み立てに、ガラス板は液晶セルに用いられるものと同じである。ガラス板から光学補償シートを垂直方向に剥がして、剥離残りが生じた部分を調べることで、密着性を評価した。
◎ :全く発生しない(10人が評価し、1人も認識できないレベル)
○ :わずかに発生する(10人が評価し、1〜3人が認識するレベル)
△ :弱く発生する(10人が評価し、3〜5人が認識するレベル)
× :強く発生する(10人が評価し、6人以上が認識するレベル)
【0256】
(複屈折ムラ故障)
各光学補償シート1475mm×1000mについて、特開2000−28546に記載の方法を用いて複屈折ムラ故障を検知し、長径が3μm以上のものを数えることにより複屈折ムラ故障について評価した。
○ :全く発生しない(1000m当り、0個。)
○´:僅かに発生する(1000m当り、1〜10個。)
△ :発生する(1000m当り、10〜50個。)
× :強く発生する(1000m当り、50個以上。)
【0257】
<偏光板の作製>
(偏光膜(HF−01)の作製)
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。
この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が240mmで厚みは左端が120μm、右端が135μmになるように製膜して、フィルムを得た。
このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドライ状態で45度方向に斜め延伸してそのままヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、ヨウ化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽で20度で10秒間水洗したのち80℃で5分間乾燥してヨウ素系偏光膜(HF−1)を得た。偏光膜は、幅1440mm、厚みは左右とも20μmであった。
【0258】
(偏光板の作製)
各光学補償シート(CFO−1から4)を、1.5mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(55℃)に2分間浸漬しセルロースフィルムを鹸化したのち、純水(25℃)で15秒水洗、0.05mol/L 硫酸(25℃)で20秒中和、更に純水(25℃)で15秒水洗し表面鹸化フィルムを作製した。その透明支持体側フィルム表面(透明支持体における配向膜を設けたのとは反対側の面)に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、この片面鹸化処理を行った側を偏光膜(HF−01)の片側に貼り付けた。
また、厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(TD−80UF:富士写真フイルム(株)製)に上記の水酸化ナトリウム水溶液へ浸漬する鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。
偏光膜の透過軸と光学補償シートの透明支持体(CAF−1)の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と上記セルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板(HB−1から4)を作製した。
【0259】
<液晶表示デバイスの作製>
TN型液晶セルを使用した液晶表示デバイス(RDT195S、三菱電機(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記に作製した各偏光板を、光学補償シートが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。各偏光板について液晶表示デバイス(CFL−1〜4)を各100台作製した。
得られた液晶表示デバイスについて以下の評価試験を行った。その結果を表4に示す。
【0260】
(点状の光漏れ評価)
このようにして作製した液晶表示デバイスについて、測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて黒表示(L1)し、そのときの複屈折ムラ起因で発生する点状の光漏れを目視で観察した。
○ :全く発生しない(100台を評価し、1台も認識できないレベル)
△ :少なく発生する(100台を評価し、1〜5台認識するレベル)
× :多く発生する(100台を評価し、6台以上認識するレベル)
【0261】
【表4】


【0262】
表4に示す結果から明らかなように、本発明の光学補償シートは複屈折ムラの見られない良好なものであった。
【0263】
また、表4に示す結果から明らかなように、本発明の配向膜を用いてなる光学補償シート(CFO−1〜3)を用いた本発明の液晶表示デバイス(CFL−1〜3)は、何れも点状の光漏れのない優れた描画画像が得られた。
以上の目視観察結果より、本発明の配向膜を用いて得られた光学補償シートを使用した偏光板は、良好な光学特性を有し、且つそれを付設した液晶表示デバイスは優れた描画性を有することがわかる。
【0264】
[実施例4]
次に、実施例1と比較例1の配向膜(CFO−01と04)について、ラビング回転数を400rpmにした他は同一作業を行った液晶表示デバイス(実施例11:CFL−11、及び比較例11:CFL−14)を作製し、それらについて目視観察を行った。
比較例11の液晶表示デバイスでは配向膜の配向処理が不十分の場合に発生しやすい欠陥(点状の光漏れ)が確認されたが、実施例11の液晶表示デバイスでは欠陥がない良好なものであった。本発明の配向膜は、ラビング処理が低回転数で行えるため、ラビング処理に伴う発塵による欠陥の少ない光学補償シート及び液晶表示デバイスを提供できることが分かる。
【0265】
次に、OCBモードの液晶表示デバイスを作成した実施例を示す。
[実施例5]
<支持体の作製>
(微粒子分散物(RL−1)の調整)
下記の組成からなる溶液を調製し、アトライターにて体積平均粒径80nmになるよう分散を行い、微粒子分散物を得た。得られた微粒子分散物の粒度分布を測定したところ、粒径500nm以上の粒子は0%であった。
ここで体積平均粒径は、『粒度分布測定装置 LA920(堀場製作所製)』で測定した。
【0266】
(微粒子分散物(RL−1)組成)
疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R812」(メチル基変性体、
一次粒径7nm:日本アエロジル(株)) 2.00質量部
酢化度60.7%(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート
2.00質量部
トリフェニルフォスフェート 0.16質量部
ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.08質量部
メチレンクロライド 78.70質量部
メタノール 14.20質量部
1−ブタノール 2.86質量部
【0267】
(セルロースアシレート溶液(SA−2)の調整)
下記のセルロースアシレート溶液(SA−2)組成に示す各成分をミキシングタンクに投入し、加熱撹拌して、セルロースアシレート溶液を調製した。
【0268】
(セルロースアシレート溶液(SA−2)組成)
酢化度60.7%(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート
100質量部
トリフェニルホスフェート 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 3.9質量部
上記微粒子分散物(RL−1)(固形分量として) 0.45質量部
メチレンクロライド 300質量部
メタノール 54質量部
1−ブタノール 11質量部
【0269】
別のミキシングタンクに、下記レターデーション調整剤溶液(RE−1)組成に示す各成分を投入し、加熱撹拌して、レターデーション調整剤溶液を調製した。
【0270】
(レターデーション調整剤溶液(RE−1)組成)
下記レターデーション調整剤(446) 16質量部
メチレンクロライド 82質量部
メタノール 15質量部
1−ブタノール 3質量部
【0271】
レターデーション調整剤(446)
【0272】
【化4】


【0273】
セルロースアシレート溶液(SA−2)474質量部に、レターデーション調整剤溶液(RE−1)22質量部を添加し、十分に撹拌した後に室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌して完全に溶解したドープを得た。
このドープを50℃にて、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)で濾過し、さらに絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製、FH025)にてフィルター濾過及び脱泡を行った。
次に、脱法後のドープを、バンド流延機を用いて流延した。なお、バンド流延機における金属支持体の算術平均粗さ(Ra)は、0.006μmである。バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、乾燥温度120℃、乾燥工程における熱風は遮風装置により乾燥熱風が直接当らないようにして行い、残留溶媒量が0.3質量%のセルロースアシレートフィルム(CAF−101)(厚さ90μm)を製造した。
作成したフィルム(CAF−101)について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、レターデーションを測定したところ、厚み方向のレターデーションRthは77nm、正面方向のレターデーションReは7nmであった。
【0274】
<アルカリ鹸化処理>
上記フィルム(CAF−101)の片面について以下のアルカリ鹸化処理を行った。
すなわち、フィルム(CAF−101)の上に、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度40℃に昇温した後に、実施例1のアルカリ溶液(S−1)をロッドコーターを用いて塗布量14mL/m2で塗布し、110℃に加熱(鹸化温度)した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に8秒(鹸化時間)滞留させた。続けて、同じくロッドコーターを用いてアルカリ希釈液{純水/アセトン=90/10(質量比)、35℃における表面張力47mN/m}を塗布して希釈洗浄する工程を行った。このときのコーター1次側へのアルカリ希釈液供給量は125mL/m、希釈洗浄後の再塗布量は2.8mL/mであり、フィルム温度は45℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、表面鹸化フィルム試料(CFS−101)を作製した。
フィルム(CFS−101)は、1平方メートルの面内において水との接触角は36〜38°、幅方向のP変化量(最大値と最小値との差)は0.002であり、面内のバラツキが見られない均一な処理であった。面状もフィルム全面において異物や濁りの発生は認められなかった。
【0275】
<光学補償シートの作製>
鹸化処理フィルム(CFS−101)を透明支持体として用いて、光学補償シートを作製した。
(配向膜の形成)
透明支持体(CFS−101)の鹸化処理面上に、実施例1の配向膜塗布液(O−1)をロッドコーターで32mL/m2の塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
【0276】
(光学異方性層の形成)
配向膜塗布液(O−1)により形成された配向膜に、透明支持体の遅相軸(波長631nmで測定)と45゜の方向に、ラビング処理を外径150mmのラビングロール、回転数500rpm、搬送速度15m/分で実施した。
下記ディスコティック液晶塗布液(DA−2、固形分濃度35.5%;MEK溶媒)を、5.2mL/mで塗布し、続いて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、円盤状化合物を配向させ、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シート(CFO−101)を作製した。
【0277】
(ディスコティック液晶塗布液(DA−2)組成)
下記ディスコティック液晶DLC−B 9.1質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)) 0.9質量部
セルロースアセテートブチレート 0.1質量部
(CAB531−1 イーストマンケミカル)
イルガキュアー907 0.3質量部
カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製) 0.1質量部
前記フッ素化合物(F−1) 0.04質量部
【0278】
ディスコティック液晶DLC−B
【0279】
【化5】


【0280】
波長631nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は38nmであった。また、円盤面と配向膜との間の角度(傾斜角)は平均で34゜であった。
また、作製した光学補償シート(CFO−101)は、透過光ムラはなく、密着性も良好であった。
【0281】
<楕円偏光板の作製>
(偏光膜の作製)
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。
この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が110mmで厚みは左端が120μm、右端が135μmになるように製膜した。
このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドライ状態で45度方向に斜め延伸してそのままヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、ヨウ化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽で20度で10秒間水洗したのち80℃で5分間乾燥してヨウ素系偏光膜(HF−02)を得た。偏光膜は、幅660mm、厚みは左右とも20μmであった。
【0282】
(偏光板の作製)
光学補償シート(CFO−101)を実施例1と同じ条件で鹸化処理を行った。ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、セルロースアセテート側を偏光膜の片側に貼り付けた。また、厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(TD−80UF:富士写真フイルム(株)製)に実施例1と同じ方法で鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。
偏光膜の透過軸とセルロースアシレートフィルム(CAF−101)の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と上記セルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板を作製した。
【0283】
<液晶表示デバイスの作製>
OCB型液晶セルを使用した液晶表示デバイス(VT23XD1、(株)ナナオ製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記に作製した偏光板を、光学補償シート(CFO−101)が液晶セル側となるように粘着剤を介して、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置して、液晶表示デバイス(CFL−101)を作製した。
【0284】
{液晶表示デバイスの評価}
(描画画像のムラ評価)
このようにして作製した液晶表示デバイス100台分について、測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)時の描画ムラを目視で観察したところ、本発明の液晶表示デバイス(CFL−101)は点状の光漏れが目視で確認できない良好な表示性能を示した。
【0285】
次に、IPSモードの液晶表示デバイスを作成した実施例を示す。
[実施例6]
<支持体の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。該溶液を保留粒子径4μm、濾水時間35秒の濾紙(No.63、アドバンテック製)を5kg/cm以下で用いてろ過した。
【0286】
(セルロースアシレート溶液SA−3組成)
酢化度60.9%のセルロースアセテート
(重合度300、Mn/Mw=1.5) 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
【0287】
別のミキシングタンクに、前記レターデーション調整剤Aを8質量部、下記レターデーション調整剤Bを10質量部、二酸化珪素微粒子(平均粒径:0.1μm)0.28質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション調整剤溶液(かつ微粒子分散液)RE−2を調製した。セルロースアシレート溶液(SA−3)474質量部に該レターデーション調整剤溶液(RE−2)40質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。
【0288】
レターデーション調整剤B
【0289】
【化6】


【0290】
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶媒量が15質量%のフィルムを、130℃の条件で、テンターを用いて20%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後クリップを外してセルロースアシレートフィルムを作製した。延伸終了時の残留溶媒量は5質量%であり、さらに乾燥して残留溶媒量を0.1質量%未満としてポリマーフィルム(CAF−102)を作製した。
【0291】
このようにして作製したポリマーフィルム(CAF−102)の厚さは80μmであった。作製したポリマーフィルム(CAF−102)について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定することによって、Reが70nm、Rthが175nmであり、これからNzが3.0であることが分かった。
【0292】
<アルカリ鹸化処理>
作製したポリマーフィルム(CAF−102)の表面の片面について以下のアルカリ鹸化処理を行った。
すなわち、フィルムの上に、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度40℃に昇温した後に、下記アルカリ溶液(S−2)をエクストルージョンコーターを用いて塗布量14mL/m2で塗布し、110℃に加熱(鹸化温度)した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に8秒(鹸化時間)滞留させた。続けて、ロッドコーターを用いてアルカリ希釈液{純水/アセトン=90/10(質量比)、35℃における表面張力47mN/m}を塗布して希釈洗浄する工程を行った。このときのコーター1次側へのアルカリ希釈液供給量は120mL/mであり、希釈洗浄後の再塗布量は2.8mL/mであり、フィルム温度は45℃であった。更に、ロッドコーターを用いてアルカリ希釈液(純水/メタノール=90/10(重量比))を塗布して希釈洗浄する工程を行なった。このときのコーター1次側へのアルカリ希釈液供給量は120mL/mであり、希釈洗浄後の再塗布量は1.4mL/m2であり、フィルム温度は45℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗(水洗水温度45℃)とエアナイフによる水切りを2回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理した透明支持体(CFS−102)を作製した。
【0293】
(アルカリ溶液(S−2)組成)
水酸化カリウム 8質量部
水 24質量部
イソプロパノール 56質量部
界面活性剤(K−2:C1021O(CH2CH2O)20H) 1質量部
プロピレングリコール 10質量部
【0294】
(アルカリ溶液(S−2)物性)
表面張力 20mN/m
粘度 5.2mPa・s
【0295】
フィルム(CFS−102)は、1平方メートルの面内において水との接触角は36〜38°、幅方向のP変化量(最大値と最小値との差)は0.002であり、面内のバラツキが見られない均一な処理であった。面状もフィルム全面において異物や濁りの発生は認められなかった。
【0296】
<位相差板の作製>
鹸化処理フィルム(CFS−101)を透明支持体として用いて、光学補償シートを作製した。
(垂直配向膜の作製)
このフィルム(CFS−102)の鹸化処理面上に実施例1の配向膜塗布液を、ワイヤーバーコーターで2.4ml/m2塗布し、120℃の温風で120秒乾燥した。
【0297】
(位相差層の作製)
次に、下記棒状液晶化合物3.8g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02g、下記空気界面側垂直配向剤0.002gを9.2gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を調製した。
この溶液を前記配向膜を形成したフィルムの配向膜側に、バーコーターで7.8mL/m塗布し、100℃の恒温槽中で2分間加熱して棒状液晶化合物を配向させ、次いで80℃で120W/cm高圧水銀灯により、20秒間UV照射し棒状液晶化合物を架橋して位相差層を作製し、光学フィルム(CFO−102)を作製した。
【0298】
【化7】


【0299】
【化8】


【0300】
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、製作した光学フィルム(CFO−102)のReの光入射角度依存性を測定し、予め測定した支持体の寄与分を差し引くことによって、第2位相差領域のみの光学特性を算出したところ、第2位相差領域はReが0nm、Rthが−225nmであって、棒状液晶が略垂直に配向していることを確認した。
また、作製した光学フィルム(CFO−102)は、塗布長1000mでの複屈折ムラは確認されなかった。
【0301】
<偏光板透明保護膜1の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
【0302】
(セルロースアセテート溶液A組成)
置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール 11質量部
【0303】
別のミキシングタンクに、下記の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液B−1を調製した。
【0304】
(添加剤溶液B−1組成)
メチレンクロライド 80質量部
メタノール 20質量部
下記光学的異方性低下剤 40質量部
【0305】
光学的異方性低下剤
【0306】
【化9】


【0307】
セルロースアセテート溶液Aを477質量部に、添加剤溶液B−1の40質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの偏光板保護膜1を作製した。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定し、光学特性を算出したところ、Reが1nm、Rthが6nmであることが確認できた。
【0308】
<偏光板Aの作製>
次に、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=45nm)に、実施例1の浸漬鹸化処理を行い、セルロースアセテートフィルム面をポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。
【0309】
次にポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製したフィルム(CFO−102)を、CAF−102側を表面鹸化フィルム試料(CFS−1)における配向膜側の表面鹸化処理と同様にして鹸化処理を行い、鹸化処理を行ったCAF−102側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸と第1位相差領域の遅相軸が平行になるように偏光膜のセルロースアセテートフィルムを貼合していない側に貼り付け偏光板Aを形成した。
【0310】
<偏光板Cの作製>
同様にして偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)に実施例1の浸漬鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして前記製作の偏光板保護膜1を偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Cを形成した。
【0311】
IPS型液晶セルを使用した液晶表示デバイス(LCD−AD172−CWA、(株)アイ・オー・データ機器製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、一方に、第1位相差領域の遅相軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、且つ第2位相差領域面側が液晶セル側になるように偏光板Aを貼り付けた。
続いて、このIPS型液晶セルのもう一方の側に偏光板Cを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板Aとはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示デバイスを作製した。このように作製した本発明のIPS型液晶表示デバイスは、100台分のデバイスにおいて黒表示画面上では点状光漏れの認められない良好な画像表示であった。
【0312】
次に、反射防止機能付きの偏光板の実施例を示す。
[実施例7]
<支持体の作製>
【0313】
(セルロースアシレート原液溶液の調製)
下記組成のセルロースアシレート原液溶液(元ドープ液)調製した。溶解はミキシングタンクに原料を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解した。
【0314】
(セルロースアシレート原液溶液(元ドープ液)組成)
セルロースアシレート原液溶液組成(質量部) 元ドープ液I 元ドープ液II
セルローストリアセテート 100 100
(酢化度60.7%(6−位置換度0.90)
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 7.8 2
ビフェニルジフェニルフォスフェート(可塑剤) 3.9 1
下記UV剤 U−1 1 1
下記UV剤 U−2 1 1
酢酸メチル 290 320
メタノール 25 30
アセトン 25 30
エタノール 25 30
1−ブタノール 12 12
【0315】
UV剤
【0316】
【化10】


【0317】
(レターデーション調整剤溶液(RE−3)の調製)
下記レターデーション調整剤11.6質量部、酢酸メチル77質量部、メタノール6.6質量部、アセトン6.6質量部、エタノール6.6質量部、1−ブタノール3.2質量部を別のミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション調整剤溶液(RE−3)を調製した。
【0318】
レターデーション調整剤
【0319】
【化11】


【0320】
(内層用及び外層用セルロースアシレートドープ溶液の調製)
下記組成物を、元ドープ液に対し、レターデーション調製剤溶液(RE−3)、更に下記微粒子分散物(RL−2)の順序で攪拌下にミキシングタンクに投入、攪拌、混合し、内層用、外層用セルロースアシレートドープ液を調製した。セルロースアシレート100質量部に対するレターデーション調整剤及び微粒子分散物の各添加量は、下記に示したとおりである。
得られたドープを50℃にて、絶対ろ過精度0.01mmのフィルター(東洋濾紙(株)製、#63)および絶対ろ過精度0.0025mmのフィルター(ポール社製、FH025)にてろ過した。
【0321】
(セルロースアシレートドープ組成)
各層用ドープ処方(質量部) 内層用ドープ液A 外層用ドープ液A
元ドープ液I 482 −
元ドープ液II − 473
レターデーション調整剤溶液(RE−3) 72 26
微粒子分散液(RL−2) 9 10.2
【0322】
(微粒子分散物(RL−2)組成)
疎水性シリカ 2.00質量部
商品名"AEROSIL R812"
メチル基変性体、一次粒径7nm:日本アエロジル(株)製
セルローストリアセテート 2.00質量部
酢化度60.7%(6位置換度0.90)
下記の分散剤(DP−1) 0.25質量部
酢酸メチル 78.70質量部
メタノール 14.20質量部
1−ブタノール 2.86質量部
【0323】
分散剤DP−1
1225(CHCHO)PO(OH)
【0324】
3層共流延ダイを用いて、ろ過したドープを内層用ドープが内側に外層用ドープが両外側になるように配置してバンド流延機を用いて重層流延した。バンド流延機は実施例1と同様のものを用いた。内層厚み48μm、両外層厚みが6μmとなるようにドープ吐出量を調整し、流延・乾燥の条件は実施例1と同様にし、テンターを用いての延伸倍率を16%で横延伸し、延伸後の幅のまま130℃で30秒間保持し、長さ3000m、幅1.2mの巻きロール形態のセルロースアシレートフィルム(CAF−103)を作製した。Reは14nm、Rthは80nmであった。
【0325】
(ポリマーフィルムの特性評価)
得られたセルロースアシレートフィルム(CAF−103)の各特性を評価し、結果を表5に示す。
【0326】
【表5】


【0327】
<アルカリ鹸化処理>
上記のフィルム(CAF−103)を温度70℃の誘電式加熱ロールを通過させフィルム表面温度を45℃に上昇させた後、フィルムの内面側表面上に、0.8mol/Kgの水酸化カリウム溶液(溶媒:イソプロピルアルコール/プロピレングリコール/水=75/13/12質量%)からなるアルカリ溶液(表面張力16mN/m、粘度4.2mPa)をエクストルージョンコーターを用いて16mL/mで塗布し、45℃で10秒間加熱した後、濡れたままの塗布面にロッドコーターを用いてIPA/アセトン溶液/水(1/1/18質量部)からなるアルカリ希釈液(35℃における表面張力40mN/m)を塗布して希釈洗浄する工程を行った。このときのコーター1次側へのアルカリ希釈液供給量は80mL/m、希釈洗浄後の再塗布量は1.4mL/mであった。その後すぐに25℃の洗浄水500cc/m2をノズルから吹き付け、エアナイフでフィルム表面の洗浄水を吹き飛ばす処理を三回連続して行い、100℃の温風で5秒間乾燥して、表面鹸化フィルム(CFS−103)を作製した。
得られたフィルム表面の水との接触角33度、幅方向のP変化量(最大値と最小値との差)は0.001で、表面の面状はムラの無い良好なものであった。
【0328】
<光学補償シートの作製>
鹸化処理フィルム(CFS−103)を透明支持体として用いて、光学補償シートを作製した。
(配向膜の形成)
透明支持体(CFS−103)の鹸化処理面上に、下記組成の配向膜塗布液(O−5)を、#14のワイヤーバーコーターで塗布し、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で160秒乾燥して、配向膜を設けた長尺ロール状の透明支持体を作製した。作製した配向膜は、作製した試料の断面をSEM観察したところ、3点平均で0.7μmの厚さであった。次に、上述の配向膜を設けた長尺ロール状の透明支持体の遅相軸方向となす角度が45゜となる方向にラビング処理を実施した。
【0329】
(配向膜塗布液(O−5)組成)
下記ポリ(エチレン/ビニルアルコール) 19質量部
下記カルボン酸化合物(A−2) 0.075質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド 1質量部
【0330】
ポリ(エチレン/ビニルアルコール)(平均重合度:3500〜4000、ガラス転移温度
76℃)
【0331】
【化12】


【0332】
カルボン酸化合物(A−2)
【0333】
【化13】


【0334】
(光学異方性層の形成)
SUS製のタンク中に、下記の処方のディスコティック液晶塗布液(DA−3)を調製した。
【0335】
(光学異方性層塗布液(DA−3)組成)
下記ディスコティック液晶性分子(DLC−C) 42質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 4質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製) 0.92質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製) 0.23質量部
下記含フッ素化合物(F−2) 4.2質量部
光重合開始剤 1.40質量部
(イルガキュア−907、チバガイギー社製)
増感剤 0.45質量部
(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製)
メチルエチルケトン 111質量部
【0336】
ディスコティック液晶性分子(DLC−C)
【0337】
【化14】


【0338】
含フッ素化合物(F−2)
【0339】
【化15】


【0340】
上記透明支持体上に形成された配向膜上に、上記塗布液を、#3のワイヤーバーで塗布した。これを130℃の熟成ゾーンで2分間加熱し、ディスコティック液晶性分子を配向させた。次に、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射しディスコティック液晶性分子を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を有する光学補償シート(CFO−103)を作製した。作製した光学異方性層は、作製した試料の断面をSEM観察したところ、3点平均で1.3μmの厚さであった。
得られたシートの性能を実施例2と同様にして調べた所、実施例2の光学補償シート(CFO−02)と同等の良好な性能が得られた。
【0341】
<偏光板の作製>
(偏光膜(HF−03)の作製)
PVAフィルムをヨウ素2.0g/L、ヨウ化カリウム4.0g/Lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/Lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、テンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、以降幅を一定に保ち、収縮させながら80℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱して巻き取った。延伸開始前のPVAフィルムの含水率は31%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。
左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。
得られた偏光膜の550nmにおける透過率43.7%、偏光度99.97%であった。
【0342】
(反射防止膜の作製)
フジタック(TD80U、富士写真フイルム(株)製)のロール形態での外側面に対し、表面鹸化フィルム(CFS−103)と同様にしてアルカリ鹸化処理を行い、片面が親水化されている支持体を得た。当該支持体の親水化処理された表面1m当りの水に対する接触角は33〜35°、幅方向のP変化量(最大値と最小値との差)は0.003であり、フィルムの面状は一様で曇りのないものであった。
次に、下記処方の低屈折率層塗布液を攪拌、調製し、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過した後、上記で作製した支持体の親水化されていない側の上にバーコーターで塗布し、80℃で5分乾燥後、120℃で10分間加熱してポリマーを架橋させ、厚さ0.1μmの低屈折率層を形成し、反射防止膜を作製した。
【0343】
(低屈折率層塗布液組成)
熱架橋性含フッ素ポリマー 210質量部
(JN−7228、固形分濃度6%、JSR(株)製)
シリカゾル(MEK−ST) 18質量部
(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製)
メチルエチルケトン 200質量部
【0344】
上記の通り作製した光学異方性層を有する光学補償シート(CFO−103)のセルロースアシレートフィルム(CAF−103)側(光学補償層の反対側)を該フィルム(CAF−103)の配向膜形成側と同様の親水化処理を行った。これと上記で作製した反射防止膜とを、それぞれの親水化したセルローストリアセテート側にポリビニルアルコール系粘着材を約30μmの厚みに塗布し、上記偏光膜(HF−03)の両側に貼り合わせさらに80℃で乾燥して偏光板を作製した。
【0345】
<液晶表示デバイスの作製>
OCB型液晶セルを使用した液晶表示デバイス(VT23XD1、(株)ナナオ製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記に作製した偏光板を、光学補償シート(CFO−103)が液晶セル側となるように粘着剤を介して、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように貼り合せ、ベンド配向モードの透過型液晶表示デバイスを作製した。
{液晶表示デバイスの評価}
この液晶表示デバイスの液晶セルに、白表示電圧2V、黒表示電圧6Vを印加し、複屈折ムラによる点状光漏れの評価を行った。
100台分のデバイスにおいて黒表示画面上では点状光漏れの認められない良好な画像表示であり、優れた表示品位の液晶表示デバイスであることが確認された。




 

 


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