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発明の名称 光学補償シート及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−52049(P2007−52049A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2005−235170(P2005−235170)
出願日 平成17年8月15日(2005.8.15)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 豊岡 健太郎
要約 課題
所望の光学特性を有する光学補償シートを、安定的に高い生産性で製造可能な方法を提供する。

解決手段
連続走行する長尺状フィルムの上に少なくとも1層の光学異方性層を形成する第1の工程と、該少なくとも1層の光学異方性層が形成された前記長尺状フィルムを巻き取る第2の工程とを含み、前記第1の工程の後、前記第2の工程の前に、前記少なくとも1層の光学異方性層を有する長尺フィルムのレターデーションを連続して測定することを特徴とする光学補償シートの製造方法である。
特許請求の範囲
【請求項1】
連続走行する長尺状フィルムの上に少なくとも1層の光学異方性層を形成する第1の工程と、該少なくとも1層の光学異方性層が形成された前記長尺状フィルムを巻き取る第2の工程とを含み、前記第1の工程の後、前記第2の工程の前に、前記少なくとも1層の光学異方性層を有する長尺フィルムのレターデーションを連続して測定することを特徴とする光学補償シートの製造方法。
【請求項2】
前記第1の工程の前に、前記長尺状フィルムのレターデーションを連続して測定する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学補償シートの製造方法。
【請求項3】
前記第1の工程において、液晶性化合物を含む光学異方性層を少なくとも1層形成することを特徴とする請求項1または2に記載の光学補償シートの製造方法。
【請求項4】
前記第1の工程において、塗布により光学異方性層の少なくとも1層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償シートの製造方法。
【請求項5】
レターデーションを、フィルム面に対して傾斜角度の異なる複数の方向から測定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償シートの製造方法。
【請求項6】
長尺状フィルムを連続走行させる工程を含む光学補償シートの製造方法であって、連続走行する長尺状フィルムに対して、フィルム面に対して傾斜角度の異なる複数の方向から長尺状フィルムのレターデーションを連続して測定する光学補償シートの製造方法。
【請求項7】
前記傾斜角度の異なる複数の方向が、フィルム面法線方向に対して0度、40度及び−40度の3方向であることを特徴とする請求項5又は6に記載の光学補償シートの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で製造され、レターデーション(Re)値の面内バラツキが標準偏差で3.0%以下であることを特徴とする光学補償シート。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は光学補償シートの製造方法に関し、特に、所望の光学特性の光学補償シートを安定的に製造可能な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学補償シートとして、液晶性分子の配向を利用して所望の光学特性を発現させた光学異方性層を有する光学補償シートが種々提案されている。液晶性分子は様々な配向形態を示すので、種々のモードの液晶セルの光学補償に適する所望の光学特性を得ることができる。かかる光学補償シートは、一般的に、ポリマーフィルム等からなる支持体上に光学異方性層を形成して作製される。工業的に製造する場合は、長尺状のフィルム等を走行させつつ、その上に、光学異方性層を連続的に形成し、その後、所望の大きさに切断されて使用に供せられる。上記した様に、液晶性分子は様々な配向形態がある一方で、添加剤の種類又は添加量等の材料の組成のふれや、温度パターンといった製造条件のふれで、配向形態が変化し、その結果、光学特性が所望の範囲からはずれてしまう場合がある。従って、連続的に、一定の光学特性を有する光学補償シートを工業的に製造することは困難である。
【0003】
生産性が改善された光学フィルム等の製造方法としては、例えば、熱可塑性樹脂 からなる延伸フィルムの製造方法において、ライン中の測定システムにより得られるレターデーションをもとに、生産中に延伸条件またはアニール条件の少なくとも一方を調整することを特徴とする長尺位相差フィルムの製造方法が提案されている(特許文献1参照)。また、走行している長尺基板フィルム上に液晶性高分子溶液を塗布してなる走行積層体の表面に光線を照射し該液晶性高分子溶液層表面からの反射光と該液晶性高分子溶液層と該基板フィルムの界面からの反射光との干渉スペクトルから該液晶性高分子溶液層の厚さを測定し、測定値を監視して該塗布工程を制御することを特徴とする光学素子の製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−272537号公報
【特許文献2】特開2004−286446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、所望の光学特性を有する光学補償シートを、安定的に高い生産性が製造可能な方法を提供することを課題とする。また、本発明は、製造条件や組成のふれなどの影響による光学特性のばらつきのない、均一な光学特性を有する光学補償シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 連続走行する長尺状フィルムの上に少なくとも1層の光学異方性層を形成する第1の工程と、該少なくとも1層の光学異方性層が形成された前記長尺状フィルムを巻き取る第2の工程とを含み、前記第1の工程の後、前記第2の工程の前に、前記少なくとも1層の光学異方性層を有する長尺フィルムのレターデーションを連続して測定することを特徴とする光学補償シートの製造方法。
[2] 前記第1の工程の前に、前記長尺状フィルムのレターデーションを連続して測定する工程を含むことを特徴とする[1]の光学補償シートの製造方法。
[3] 前記第1の工程において、液晶性化合物を含む光学異方性層を少なくとも1層形成することを特徴とする[1]または[2]の光学補償シートの製造方法。
[4] 前記第1の工程において、塗布により光学異方性層の少なくとも1層を形成することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの光学補償シートの製造方法。
[5] レターデーションを、フィルム面に対して傾斜角度の異なる複数の方向から測定することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの光学補償シートの製造方法。
[6] 長尺状フィルムを連続走行させる工程を含む光学補償シートの製造方法であって、連続走行する長尺状フィルムに対して、フィルム面に対して傾斜角度の異なる複数の方向から長尺状フィルムのレターデーションを連続して測定する光学補償シートの製造方法。
[7] 前記傾斜角度の異なる複数の方向が、フィルム面法線方向に対して0度、40度及び−40度の3方向であることを特徴とする[5]又は[6]の光学補償シートの製造方法。
[8] [1]〜[7]のいずれかの製造方法で製造され、レターデーション(Re)値の面内バラツキが標準偏差で3.0%以下であることを特徴とする光学補償シート。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法によれば、所望の光学特性を有する光学補償シートを、安定的に高い生産性が製造可能である。したがって、光学補償シートの工業的な生産を可能とする方法を提供することができる。また、本発明によれば、製造条件や組成のふれなどの影響による光学特性のばらつきのない、均一な光学特性を有する光学補償シートを提供することができる。
【発明の実施の形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の光学補償シートの製造方法は、連続走行する長尺状フィルムの上に少なくとも1層の光学異方性層を形成する第1の工程と、該少なくとも1層の光学異方性層が形成された前記長尺状フィルムを巻き取る第2の工程とを含み、前記第1の工程の後、前記第2の工程の前に、前記少なくとも1層の光学異方性層を有する長尺フィルムのレターデーションを連続して測定することを特徴とする。勿論、長尺状フィルムを送り出す工程から、上記巻き取り工程まで一貫して行なうことが好ましい。このように、一貫で製造することにより大量に製造することが可能となるだけでなく、各工程毎に非連続的に製造した場合に、作業工程の増加に伴うあるいは保存中等に発生する塵埃の付着やフィルムのしわを防止することができる。
【0008】
本発明の製造方法の好ましい一実施形態は、例えば下記の工程を含む。
1)長尺状フィルムの送出工程;
2)長尺状フィルムの表面に配向膜形成用樹脂を含む塗布液を連続的に塗布、乾燥する配向膜用樹脂層の形成工程;
3)形成された配向膜用樹脂層の表面に連続的にラビング処理を施し長尺状フィルム上に配向膜を形成するラビング工程;
4)液晶性化合物(例えばディスコティック液晶性化合物)を含む塗布液を、配向膜上に連続的に塗布する塗布工程;
5)該塗布層を乾燥して該塗布層中の溶媒を蒸発させる乾燥工程;
6)該塗布層を所望の液晶相(例えばディスコティックネマティック相)を呈する温度まで加熱して、液晶層を形成する液晶層形成工程;
7)該液晶層を固化する(即ち、液晶層形成後急冷して固化させるか、あるいは、架橋性官能基を有する液晶性化合物を使用した場合、液晶層を光照射(または加熱)により架橋させる)して光学異方性層を形成する工程;
8)該配向膜及び光学異方性層が形成された長尺状フィルムのレターデーションを連続的に測定する工程、及び
9)該配向膜及び液晶層が形成された長尺状フィルムを巻き取る巻取り工程。
【0009】
あらかじめ所望のレターデーション範囲を決めておき、8)の工程で測定したレターデーションが所望の範囲からはずれている場合は、例えば、3)ラビング工程のラビング条件、4)塗布工程の塗布量及び/又は塗布液中の組成、5)乾燥工程の温度や乾燥のための送風量、及び6)液晶層形成工程における温度から選ばれる少なくとも1つを変化させることによって、レターデーション値を所望の範囲とするのが好ましい。その結果、安定的に所望の光学特性を有する光学補償シートを作製することができる。
【0010】
光学異方性層を形成する前、例えば、1)と2)工程との間、又は3)と4)工程との間、に長尺状のフィルムのレターデーションを測定して、7)工程で測定したレターデーションからフィルムの寄与分を差し引くことにより、光学異方性層のレターデーションをより正確に知ることができ、それにより生産安定性をより向上させることができる。
【0011】
なお、3)〜7)の工程を複数回繰り返して、複数の光学異方性層を形成する場合、例えば、第1の光学異方性層を形成するための3)〜7)工程の実施の後8)の工程によりレターデーションを測定し、第2の光学異方性層を形成するための3)〜7)工程の実施の後、再び8)の工程によりレターデーションを測定するという様に、各光学異方性層を形成するごとにレターデーションを順次測定してもよいし;又は3)〜7)の工程を繰り返して、複数の光学異方性層を形成した後に、レターデーションを測定してもよい。
また、本発明では、長尺状のフィルムとして配向機能を有するフィルム、又は表面に配向膜がすでに形成されたフィルムを用いる場合等は、2)工程を省略してもよいし、2)工程及び3)工程を省略してもよい。
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の製造方法を説明する。図1に、本発明の光学補償シートの製造方法を実施可能な装置の一例の断面模式図を示す。
フィルムの長尺ロール(フィルムロール)5aから送出機1aにより送り出された長尺状の透明フィルム4aは、駆動ローラにより搬送され、表面除塵機2により除塵された後、塗布機3により配向膜形成用樹脂を含む塗布液が塗布され、乾燥ゾーン5で乾燥され、樹脂層がフィルム表面上に形成される(上記1)〜2)の工程)。ここで得られたフィルムは一旦巻き取っても良い。
【0013】
配向膜形成用樹脂層を有する透明フィルム4bは、ラビングローラ8、スプリングでローラステージに固定されたガイドローラ6及びラビングローラに備え付けられた除塵機7からなるラビング装置により、ラビング処理が施され、形成された配向膜の表面は、ラビング装置に隣接して設けられた表面除塵機9により除塵される(上記3)の工程)。ラビング装置は、上記以外の公知の装置を使用しても良い。配向膜が形成された透明フィルム4cは、駆動ローラにより搬送され、配向膜上に、液晶性化合物(例えばディスコティック液晶性化合物)を含む塗布液が塗布機10により塗布され(上記4)の工程)、次いで、溶剤を蒸発させた後(上記5)の工程)、加熱ゾーン11において、塗布層を所望の配向を呈する温度、例えば、ディスコティックネマティック相形成温度に加熱して(ここで塗布層の残留溶剤も蒸発する)、所望の液晶相からなる(例えば、ディスコティックネマティック相)液晶層を形成する(上記6)の工程)。
【0014】
上記液晶層は、次いで、紫外線(UV)ランプ12により紫外線が照射され、液晶層は架橋して、光学異方性層を形成する(上記7)の工程)。架橋させるためには、液晶性化合物(例えばディスコティック化合物)は、架橋性官能基を有しているのが好ましい。架橋性官能基を持たない液晶性化合物を用いた場合は、この紫外線照射工程は省略され、直ちに冷却することにより、配向を固定化して光学異方性層を形成する。この場合、液晶相が冷却中に破壊されないように、冷却は急速に行なう必要がある。配向膜及び液晶層が形成された透明フィルムは、レターデーション測定用の装置13によりレターデーションが測定され、該値が所望の範囲であるかどうか検査が行なわれる(上記8)工程)。次いで、液晶層表面に保護フィルム14がラミネート機15によりラミネートされ、巻き取り装置に巻き取られる(上記9)工程)。
【0015】
図1中には示さないが、装置13によって測定されたレターデーションを、画面上に表示し、監視者がレターデーション値が許容範囲内であるかを常時監視し、範囲外になった場合は、フィルムの搬送をストップさせて、光学異方性層形成の諸条件をマニュアルで調整してもよい。また、レターデーションが範囲外になった場合は、自動的にフィルムを送り出すモータ等を停止可能に構成してもよい。さらに、装置13を計算機(不図示)に接続して、装置13によって測定されたレターデーション値を入力し、且つ入力されたレターデーション値に基づいて、塗布機10による塗布量、加熱ゾーン11による加熱温度、ラビングローラ8によるラビング回転数等を制御可能に構成してもよい。
【0016】
上記した様に、光学異方性層の形成の前においてもレターデーションを測定する場合は、図1中の表面除塵機9と塗布機10との間や、表面除塵機9と塗布機3との間に、レターデーション測定用の装置を配置して、フィルムのみ又はフィルムと配向膜の積層体のレターデーションを測定してもよい。
【0017】
一旦巻き取られた配向膜形成用樹脂層を有する巻取フィルムを用いて、光学補償シートを作成して巻き取るまでの工程を連続的に、一貫生産で行なってもよい。かかる場合は、配向膜形成用樹脂層を有するフィルムロールから、フィルムが送出し機により送り出され、ラビング工程以下の工程が上記図1と同様に行なわれる。
【0018】
上記透明フィルムを送り出しする際、及び配向膜形成用樹脂層を有する透明フィルムを送出して透明フィルム接合する際に使用される、送出し機としては、一般にプラスチックフィルムの送出しに使用されているものを使用することができる。例えば、重ね合わせ方式を利用した送出し機(例、イーガン(EAGAN) 社製、ブラッククローソン社製のもの)、及び特公昭48−38461号公報に記載されている接ぎ合わせ装置及び接ぎ合わせ装置と共に使用される巻き戻し装置を挙げることができる。送出しスタンドとしては、ターレット式シャフトレス(Shftless Turret Unwinder) が一般に使用されている。また、巻き出しあるいは巻き取りロールスタンドの横位置案内システム(例、COATING AND LAMINATING MACHINES の446頁の図352A及び図352B)も利用される。フィルムが、搬送中に一方の側に寄ったり、蛇行するのを防ぐために、乾燥ゾーン通過後には、二軸ロール(Kamber roll )横方向案内装置(例、COATING AND LAMINATING MACHINES の448頁の図355A)、そしてロール搬送中は、箱形(Box roller)横方向案内装置(例、COATING AND LAMINATING MACHINES の448頁の図355B)が使用される。これらは、Fife社あるいは日本レギュレーター(株)から市販されている。搬送装置等の駆動装置としては、表面に多数の孔を有するサクションドラムが用いられる。巻き取り装置の巻き取りは、鋸刃切断と粘着剤による先端巻付け方式(イーガン(EAGAN) 社あるいはブラックローソン社の巻き取り装置のカタログ参照)を利用することができる。巻き取りスタンドとしては、上記送出しスタンドとして用いられるターレット式シャフトレス(Shaftless Turret Unwinder)が一般に使用されている。上記送出し機に使用されたロールスタンドの横位置案内システムも同様に使用することができる。
【0019】
透明フィルム上に配向膜形成用樹脂層を形成する工程(上記2)の工程)は、例えば、塗布液槽内の配向膜形成用樹脂を含む塗布液が、ポンプにより、フィルターを介して減圧室を有するエクストルージョンダイ内に送られ、搬送されてくる透明フィルム上にバックアップロールで支持されながら塗布して実施してもよい。その後、送風機等で送風して、乾燥を促進してもよい。配向膜形成用塗布液を塗布された透明フィルムは、初期乾燥を行なう搬送ゾーンを通って、乾燥ゾーンで乾燥され、次のラビング処理に連続的に移される。あるいは、一旦巻き取られる。エクストルージョンダイと透明フィルムとの距離は、一般に100〜300μmであり、減圧室は、一般に大気圧より200〜500Pa低く保たれており、塗布速度は、0.1〜2.0m/秒が好ましい。乾燥は70〜100℃で1〜10分行なうことが好ましい。塗布液の粘度は、1〜20mPas(25℃)が好ましく、塗布量は、10〜50g/m2が好ましい。上記では、塗布をエクストルージョンダイにより行なったが、後述する液晶層の形成に使用されるワイヤーバーを用いて同様に行なうことができる。
【0020】
ラビング工程(上記3)の工程)は、例えば、配向膜形成用樹脂層が形成された透明フィルムを、ローラステージにスプリングで取り付けられたバックアップローラにより上部から押えられながら、下側より押圧されたラビングローラ(例えば、外径150mmのもの)により樹脂層表面をラビングして実施してもよい。ラビングローラの外周表面には、ベルベット等のラビング用の布が巻付けられており、これにより樹脂層表面がラビングされる。ラビングローラは、1000rpm程度まで回転速度を制御することができ、また任意のラビング角度に調整できるように、フィルムの進行方向に対して水平面で回転自在とされている。
【0021】
例えば、ラビングローラをフィルムの進行方向に対してロールの中心を軸に回転させてラビング角度を調整し、この状態でフィルムを搬送装置によって一定張力、一定速度(一般に5m/分以上)で搬送しながら、ラビングローラをフィルムの搬送方向とは逆の方向に一定の回転速度で回転させる。これにより連続的にラビングを行なうことができる。このように連続的にラビングを行なうことにより、フィルムはエアフォイル効果により浮上して搬送されるので、フィルムが幅方向に動くことはなく、安定して、連続的にラビングを行なうことができる。バックアップローラは、フィルムとのテンションを検出する機構を備えていてもよく、かかる場合は、ラビング時のテンションの管理を行なうことができる。更に、バックアップローラは上下の調整が可能で、このローラを上下に移動させてラップ角を調整することができる。また、ラビングローラの表面を、例えば、ラビングローラ側面に設置された表面除塵機により除塵してもよく、かかる場合は、ラビング時に発生する塵埃がラビングローラの表面にはほとんど留まることがなく、ラビングローラ表面からフィルム表面への塵埃の移動もほとんどないので好ましい。更に、ラビングされたフィルム表面(配向膜面)を、除電器により除電してもよく、その後、表面除塵機により配向膜表面及びフィルム裏面の塵埃を除去してもよい。あるいは、表面除塵機の代わりに粘着ローラを用いて塵埃を除去することもできる。得られた配向膜を有するフィルムは、連続的に液晶性化合物を含む塗布液が塗布される。
【0022】
配向膜表面の除塵は、配向膜を有するフィルムの配向膜面に、溶剤吹き付け装置により溶剤を吹き付け、溶剤が蒸発する前にガイドローラにより押えられながら、かき落としローラにより溶剤と共に塵埃をかき落として実施してもよい。その後、乾燥機で乾燥してもよい。また、特開昭62−60750号公報に記載の除塵方法(例えば、第1図、第3図に示される方法)も利用することができる。
【0023】
配向膜上に液晶性化合物を含む塗布液を塗布するの塗布工程(上記4)の工程)は、例えば、ワイヤーバーなどを用いて実施することができる。ワイヤーバーは、両端をベアリングで支持され、またそのベアリングの間にある部分は、バックアップで支持されていてもよい。バーの端部はカップリングでモータに連結されていてもよい。液晶性化合物を含む塗布液を、供給口から送り、一次側液溜り及び連結管を経て二次側液溜りに充填してもよい。一次側液溜りと二次側液溜りの液面を、液面規制板等により規制し、オーバーフローした液を、オーバーフロー液溜りを介して排出液口から排出してもよい。排出された塗布液を、粘度調整室等で塗布液を加えたり、必要により溶剤を加える等により適当な粘度に調整し、ポンプで送液されながら、フィルタ等を通すことでろ過し、後再び供給口に送ってもよい。塗布は、搬送される配向膜を有するフィルムの配向膜面に、ワイヤーバーを接触あるいは塗布液を介して接触することにより行ってもよい。ワイヤーバーは、一般に直径5〜20mmのロッドに直径20〜150μmのワイヤを密に巻付けたもので、これをフィルムの搬送方向と同方向に、且つ搬送速度とほぼ同速度で回転させ、一次側液溜りから引き揚げられた塗布液をフィルムに接触させることにより塗布を行ってもよい。
【0024】
塗布液は、固形分濃度が15〜50重量%の範囲が好ましく(特に、15〜40重量%の範囲)、塗布液の粘度は、1〜20mPa・sの範囲が好ましい(特に、1〜15mPa・sの範囲)。塗布によるスジの発生を抑えるために、一次側液溜りでの塗布液の滞留時間を10秒以下にすることが好ましい。塗布液の滞留時間(T)は、下記式により定義される。
T=V1/Q
上記式に於て、V1は一次側液溜りの体積(cm3)を表わし、そしてQは、循環流量(cm3/秒)を表わす。また、塗布時に、塗布液がフィルムに接触しようとする力を利用して、ワイヤーバーを、塗布を行なわない時のバーの芯の位置より20μm以上浮上させることが好ましい。上記ワイヤーバーコーター以外に、エクストルージョンコーター、ロールコーター等も利用することができる。
【0025】
液晶性化合物を含有する塗布層を乾燥して該塗布層中の溶媒を蒸発させる乾燥工程(上記5)の工程)は、例えば、ワイヤーバー塗布機で塗布された液晶性化合物の塗布層を有する透明フィルムを、整流板に沿って乾燥ゾーンに搬送し、更に加熱ゾーンに搬送して、該加熱ゾーンで加熱することにより実施してもよい。また、整流板とフィルムの間隙は1〜10mmが一般的である。整流板の長さは、1〜10mが好ましい。塗布直後からの数秒〜数分は、塗膜中の溶媒含有量の減少が時間に比例する恒率乾燥期間(化学工学辞典、707〜712頁、丸善株式会社発行、昭和55年10月25日)であり、この期間に、不均一に風が当たったり、不均一に加熱された場合、上記塗布層の膜厚が不均一となり、最終的に得られる液晶層の配向にムラが生ずるとの問題がある。このため、塗布直後から加熱ゾーンに入るまでは、塗布層にできるだけ風を当てることは好ましくないが、乾燥ゾーンから塗布を行う塗布室までの間に風(ほぼフィルムの搬送速度と同じ風力、風向の風)を当ててもよい。風を送風するための送風口とそれを排気するための口をフィルムの搬送路に設けてもよく、また、乾燥ゾーンを金網や多孔板等で構成して、金網や多孔板の孔から排気してもよい。乾燥ゾーンの温度は、室温〜50℃が好ましい。乾燥ゾーンに導入される風は、0.01〜0.3m/秒が一般的である。
【0026】
次に、液晶性化合物を所望の配向状態として液晶層を形成する液晶層形成工程(上記6)の工程)について説明する。液晶性化合物を所望の配向状態とするために、必要であれば塗布層を加熱する。加熱乾燥を、塗布面側から行なうと、塗布層の表面がまず乾燥するため、表面の液晶分子が配向膜からの配向規制を受けることなく配列し、層全体として液晶分子の配向ムラが起こる。従って、例えば、加熱ゾーン等で加熱する際は、フィルムの両側に設けられた熱風吹き出し口から熱風を吹き出させ、フィルムの両側に熱風が当たるようにして、加熱乾燥するのが好ましい。加熱温度は、所望の配向形態や、液晶性化合物の種類によって異なるが、一般に70〜300℃の範囲である。
【0027】
上記のようにして得られた液晶層は、例えば、架橋性官能基を持たない液晶性化合物を使用した場合は、空冷あるいは冷却されたドラムに液晶層を有するフィルムを接触させることにより、急激に冷却する。これにより、乾燥に形成された液晶相を維持したまま固化することができる。
【0028】
上記のようにして得られた液晶層が、架橋性官能基を有する液晶性化合物を使用している場合は、直ちに光照射(好ましくは紫外線照射)により架橋させる工程(上記7)の工程)を行なう。例えば、加熱ゾーンにおける加熱処理で、所望の液晶相からなる液晶層が形成されたフィルムを、、上記加熱ゾーンと隣接して設けられた紫外線照射装置(主に冷却風を遮断する紫外線透過シートを有する)を通過させて、フィルムの液晶層に紫外線を照射してもよい。紫外線照射装置は、一般的には、内部に紫外線ランプを有し、ランプより放射される紫外線は通すが、共に放射される熱線や風は通さない透明体を有している。ランプ周辺は紫外線照射ランプ冷却用送風機により、冷却用の風が送られている。
液晶層中に含有される重合性基を有する液晶性化合物の分子は、紫外線照射により重合し、その配向状態を維持したまま固定される。その結果、光学異方性層が形成される。
【0029】
次に、配向膜及び光学異方性層が形成された長尺状フィルムのレターデーションを連続的に測定する工程(上記8)工程)について、詳細に説明する。
レターデーションを測定する装置は、例えば、フィルム表面に所定の波長の光を所定の角度で照射する投光ヘッドと、該投光ヘッドから照射され、フィルムを通過した光を検出するための受光ヘッドと、投光ヘッドから照射した光量と受光ヘッドで検出した光量とから、レターデーション値を算出する計算機とから構成してもよい。フィルム面に対して傾斜角度の異なる複数の方向から測定すると、より正確なレターデーション値が得られるので好ましく、特に、フィルム面法線方向に対して0度、40度及び−40度の3方向であるのがより好ましい。この様に傾斜角度の異なる複数の方向からレターデーションを測定するために、投光ヘッドと受光ヘッドとの対を複数配置してもよい。さらに、フィルムの幅方向1点についてのレターデーションのみならず、幅方向の複数の点についてレターデーションを測定すると、局所的に生じた欠陥等を検出しやすくなり、生産安定性をより向上させることができる。
【0030】
図2に、本発明に利用可能なレターデーション測定装置の概略模式図を示す。
図2に示す装置では、フィルム4の搬送方向xに対して、3対の投光ヘッドと受光ヘッド20aと20b、21aと21b及び22aと22bからなるユニットをフィルム幅方向に3ユニット並列に配置して構成されている。各ユニットは、フィルム法線方向におけるレターデーションを測定可能な投光ヘッド20aと受光ヘッド、法線方向に対して例えば+40°等傾斜した方向におけるレターデーションを測定可能な投光ヘッド21aと受光ヘッド21b、及び法線方向に対して例えば−40°等傾斜した方向におけるレターデーションを測定可能な投光ヘッド22aと受光ヘッド22bとが、フィルム搬送方向xに沿って配置されている。各ユニット中の投光ヘッドと受光ヘッドはそれぞれ制御装置24と接続され、制御装置24は、投光ヘッドから照射される光の波長、光量等制御し、且つ受光ヘッドから検出される光の光量等を信号化して、モニター付き計算機25に入力する。また制御装置24に、投光ヘッド及び受光ヘッドの電源のON−OFFや、その傾き及び位置をコントロールさせてもよいし、さらにフィルム4の搬送速度や搬送の開始及び停止をコントロールさせてもよい。計算機25は、入力された値をグラフや数値としてモニター上に表示したり、また測定されたレターデーション値を、あらかじめ定められた許容値と照合し、許容範囲を超えた場合は、制御装置24に信号を送り、フィルムの搬送を停止させるように構成してもよい。
【0031】
各ユニット中の、3対の投光ヘッド及び受光ヘッドも配置については特に制限されない。上記した様に、フィルム4の搬送方向xに沿って上流から下流へ、3対の投光ヘッド及び受光ヘッドを配置してもよい。また、上記では3対の投光ヘッド及び受光ヘッドからなるユニットを3つ用いた例を示したが、各ユニットにおける投光ヘッド及び受光ヘッドの数、及びユニットの数については特に制限はない。
【0032】
上記工程により製造された長尺状の光学補償シートは、巻き取られ、その状態で、例えば保管・搬送された後、適当な大きさに裁断されて、種々の用途に供される。
【0033】
本発明の製造方法によれば、レターデーション(Re)値が均一な光学補償シートを製造することができ、具体的には、100m2におけるReの面内バラツキが標準偏差で3.0%以下である光学補償シートを安定的に製造することができる。レターデーション値に基づく制御をより厳密に行えば、Reの面内バラツキが標準偏差で1.5%以下の光学補償シートの作製も可能である。また、上記した様に、フィルム面に対して傾斜角度の異なる複数の方向から測定すれば、フィル面に対して法線方向に光が入射した場合に生じるRe値が均一であるだけでなく、法線方向から傾斜した斜め方向から光が入射した場合に生じるRe値が均一な(Reの面内バラツキが標準偏差で3.0%以下、好ましくは1.5%以下)光学補償シートを製造することができる。
【0034】
本発明の製造方法により得られる光学補償シートは、フィルム、その上に設けられた配向膜及び配向膜上に形成された光学異方層とを有する。
以下、各材料について詳細に説明する。
上記フィルムの材料としては、透明である限りどのような材料でも使用することができる。光透過率が80%以上を有する材料が好ましく、特に正面から見た時に光学的等方性を有するものが好ましい。従って、透明樹脂フィルムは、小さい固有複屈折を有する材料から製造することが好ましい。このような材料としては、セルローストリアセテート{市販品の例、ゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)及びフジタック(富士写真フイルム(株)製)}を使用することができる。さらに、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルホンなどの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、さらには縦、横方向に延伸状検討を適宜設定することにより、得ることができる。
【0035】
配向膜は、一般に透明支持体上に設けられる。配向膜は、その上に設けられる液晶性化合物の配向方向を規定するように機能する。配向膜は、光学異方層に配向性を付与できるものであれば、どのような層でも良い。配向膜の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層を挙げることができる。
【0036】
配向膜用の有機化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコール及びアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有する変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。これらのポリマーの層を配向処理することにより得られる配向膜は、液晶性化合物(例えばディスコティック液晶性化合物)を斜めに配向させることができる。
【0037】
上記ポリマーの中で、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールとしては、例えば鹸化度70〜100%のものであり、一般に鹸化度80〜100%のものであり、より好ましくは鹸化度85乃至95%のものである。重合度としては、100〜3000の範囲が好ましい。変性ポリビニルアルコールとしては、共重合変性したもの(変性基として、例えば、COONa、Si(OX)3、N(CH33・Cl、C919COO、SO3、Na、C1225等が導入される)、連鎖移動により変性したもの(変性基として、例えば、COONa、SH、C1225等が導入されている)、ブロック重合による変性をしたもの(変性基として、例えば、COOH、CONH2 、COOR、C65 等が導入される)等のポリビニルアルコールの変性物を挙げることができる。重合度としては、100〜3000のも範囲が好ましい。これらの中で、鹸化度80〜100%の未変性乃至変性ポリビニルアルコールであり、より好ましくは鹸化度85乃至95%の未変性ないしアルキルチオ変性ポリビニルアルコールである。
【0038】
変性ポリビニルアルコールとして、特に、下記一般式(1):
【0039】
【化1】


【0040】
(但し、R1 は無置換のアルキル基又はアクリロイル基、メタクリロイル基あるいはエポキシ基で置換されたアルキル基を表わし、Wはハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表わし、Xは活性エステル、酸無水物及び酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、lは0または1を表わし、そしてnは0〜4の整数を表わす。)で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物が好ましい。上記反応物(特定の変性ポリビニルアルコール)は、さらに下記一般式(2):
【0041】
【化2】


【0042】
(但し、X1 は活性エステル、酸無水物及び酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、そしてmは2〜24の整数を表わす。)で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物が好ましい。
【0043】
前記一般式(1)および一般式(2)により表される化合物と反応させるために用いられるポリビニルアルコールとしては、上記変性されていないポリビニルアルコール及び上記共重合変性したもの、即ち連鎖移動により変性したもの、ブロック重合による変性をしたもの等のポリビニルアルコールの変性物、を挙げることができる。上記特定の変性ポリビニルアルコールの好ましい例としては、下記の化合物を挙げることができる。これらは、特願平7−20583号明細書に詳しく記載されている。
【0044】
【化3】


【0045】
上記一般式のx、y及びz(単位モル%)の例を下記に示す。
ポリマーA:x=87.8、y=0.2、z=12.0ポリマーB:x=88.0、y=0.003、z=12.0ポリマーC:x=87.86、y=0.14、z=12.0ポリマーD:x=87.94、y=0.06、z=12.0ポリマーE:x=86.9、y=1.1、z=12.0ポリマーF:x=98.5、y=0.5、z=1.0ポリマーG:x=97.8、y=0.2、z=2.0ポリマーH:x=96.5、y=2.5、z=1.0ポリマーI:x=94.9、y=4.1、z=1.0
【0046】
【化4】


【0047】
上記一般式のn、x、y及びz(単位モル%)の例を下記に示す。
ポリマーJ:n=3、x=87.8、y=0.2、z=12.0ポリマーK:n=5、x=87.85、y=0.15、z=12.0ポリマーL:n=6、x=87.7、y=0.3、z=12.0ポリマーM:n=8、x=87.7、y=0.3、z=12.0
【0048】
下記のポリマーを構成する各単位の数値は、モル%で示した。
【0049】
【化5】


【0050】
【化6】


【0051】
また、LCDの配向膜として広く用いられているポリイミド膜(好ましくはフッ素原子含有ポリイミド)も有機配向膜として好ましい。これはポリアミック酸(例えば、日立化成(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を支持体面に塗布し、100〜300℃で0.5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
【0052】
また前記ラビング処理に使用するラビング用布としては、ゴム、ナイロン、ポリエステル等から得られるシート、ナイロン繊維、レイヨン繊維、ポリエステル繊維等から得られるシート(ベルベットなど)、紙、ガーゼ、フェルトなどを挙げることができる。配向膜表面と布の相対速度は、50〜1000m/分が一般的で、特に100〜500m/分が好ましい。
【0053】
光学異方性層は、配向膜上に形成されるのが好ましい。前記光学異方性層は、液晶性化合物を配向後冷却固化させる、あるいは重合性の液晶性化合物の重合(硬化)により得られる層である。液晶性化合物としては特に限定されず、棒状液晶性化合物及びディスコティック液晶性化合物のいずれも用いることができる。
[棒状液晶性化合物]
本発明では、棒状液晶性化合物を用いて光学異方性層を形成することができる。棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。棒状液晶性化合物を重合によって配向を固定することがより好ましい。液晶性化合物には活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる部分構造を有するものが好適に用いられる。その部分構造の個数は好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性棒状液晶性化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物を用いることができる。
【0054】
[ディスコティック化合物]
本発明では、ディスコティック化合物を用いて光学異方性層を形成するのが好ましい。ディスコティック化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.、71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.、122巻、141頁(1985年)、Physics lett.、A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.、Commun.、1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.、116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記ディスコティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶とよばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。
また、本発明において、液晶性化合物は光学異方性層中においては液晶性を示す必要はなく、例えば、液晶性化合物が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子となって、もはや液晶性を示さなくてもよい。
【0055】
ディスコティック化合物の好ましい例を下記に示す。
【0056】
【化7】


【0057】
【化8】


【0058】
【化9】


【0059】
【化10】


【0060】
【化11】


【0061】
【化12】


【0062】
【化13】


【0063】
【化14】


【0064】
【化15】


【0065】
【化16】


【0066】
【化17】


【0067】
ディスコティック液晶性化合物を用いる場合は、ディスコネマティック相を利用して光学異方性層を形成してもよい。ディスコネマティック相を利用した光学異方性層は、前述したように一般にディスコティック化合物及び他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、ディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)ることにより光学異方性層を形成してもよい。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
【0068】
また、ディスコティック化合物は、その長軸(円盤面)を配向軸に平行にして配向していても、ねじれながら配向していてもよいが、円盤面と層平面とのなす角(傾斜角)が深さ方向に変化する、ハイブリッド配向が好ましい。ハイブリッド配向では、ディスコティック液晶性化合物の長軸(円盤面)と支持体の面との角度、すなわち傾斜角が、光学異方性層の深さ(すなわち、支持体に垂直な)方向でかつ支持体の面からの距離の増加と共に増加または減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。さらに、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加および減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。しかしながら、傾斜角は連続的に変化することが好ましい。
【0069】
配向膜側のディスコティック化合物分子の長軸(円盤面)の平均方向(各分子の長軸方向の平均)は、一般にディスコティック化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック化合物の分子の長軸(円盤面)方向は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコティック化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。更に、傾斜角の変化の程度も上記選択により調整することができる。
ディスコティック化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
【0070】
[光学異方性層中の他の添加物]
上記の液晶性化合物と共に、可塑剤、フッ素系化合物、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を改善することができる。これらの成分は、液晶性化合物と相溶性を有し、液晶性化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
【0071】
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
【0072】
フッ素系化合物としては、従来公知の化合物が挙げられるが、具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]に記載のフッ素系化合物等が挙げられる。
【0073】
上記ポリマーとしては、液晶性化合物と相溶性を有し、液晶性化合物の傾斜角を増加又は減少させられる限り、どのようなポリマーでも使用することができる。ポリマー例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。上記ポリマーは、液晶性化合物の配向を阻害しないように、該化合物に対して一般に0.1〜10重量%(好ましくは0.1〜8重量%、特に0.1〜5重量%)の量にて使用される。
【0074】
前記光学異方性層を形成するために用いられる塗布液は、液晶性化合物及び前述の他の化合物を溶剤に溶解することにより作製することができる。上記溶剤の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)及びピリジン等の極性溶剤;ベンゼン及びヘキサン等の無極性溶剤;クロロホルム及びジクロロメタン等のアルキルハライド類;酢酸メチル及び酢酸ブチル等のエステル類;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類;及びテトラヒドロフラン及び1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類を挙げることができる。アルキルハライド類及びケトン類が好ましい。溶剤は単独でも、組合わせて使用しても良い。
【0075】
上記溶液の塗布方法としては、前記のバーコーティング、カーテンコーティング、押出コーティング、ロールコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、印刷コーティング、スプレーコーティング及びスライドコーティングを挙げることができる。上記光学異方層は、前述したように、上記塗布溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでガラス転移温度以上に加熱し(その後所望により硬化させ)、冷却することにより得られる。
【0076】
本発明の製造方法により製造された光学補償シートは、種々のモードの液晶表示装置に用いることができる。また、直線偏光膜と一体化して、楕円偏光板として液晶表示装置に組み込んでもよい。
【実施例】
【0077】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる従って本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
(ポリマー基材の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成(質量部) 内層 外層
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100 100
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8 7.8
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9 3.9
メチレンクロライド(第1溶媒) 293 314
メタノール(第2溶媒) 71 76
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5 1.6
シリカ微粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
0 0.8
下記レターデーション上昇剤 1.7 0
────────────────────────────────────
【0078】
【化18】


【0079】
得られた内層用ドープおよび外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。作製したセルロースアセテートフィルム(CF−02)について、光学特性を測定した。
【0080】
得られたセルロースアセテートの幅は1340mmであり、厚さは、80μmであった。エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長500nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、6nmであった。また、波長500nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、90nmであった。
【0081】
(鹸化処理)
上記のロールフィルムを温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記の組成のアルカリ溶液をバーコータを用いて、14ml/m2塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒間滞留させた後、同じくバーコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。このときのフィルム温度は40℃であった。次いでファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返して後に、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
【0082】
<アルカリ溶液組成>
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
1633O(CH2CH2O)10H(界面活性剤) 1.0質量部
【0083】
その後さらに、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し巻き取ることで、配向層付のセルロースアセテートフィルムからなる長尺状フィルムを作製した。
<配向層塗布液組成>
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
【0084】
【化19】


【0085】
以下の光学異方性層を形成する光学補償シートの製造方法は、図1に示すように長尺状透明フィルムを送り出す工程から、得られた光学補償シートを巻き取り工程まで一貫して連続的に行なった。上記の配向層付のセルロースアセテートフィルムの長尺状フィルムを連続して30m/分で送り出した後、図2に示す構成のレターデーション測定装置により、フィルム法線方向、及び法線方向から±40度搬送方向に傾斜した角度からフィルムレターデーションを連続的に測定して検査を行なった。
【0086】
次いで、配向層表面にラビング処理を施した。ラビング処理はラビングローラの回転数を400rpmにて行ない、次いで配向膜表面の除塵を行なった。
【0087】
次いで、得られた配向膜を有するフィルムを、連続して30m/分で搬送しながら、配向膜上に、下記塗布液を、#4のワイヤーバーを1171回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、30m/分で搬送されている上記ロールフィルムの配向膜面に連続的に塗布した。乾燥ゾーンで、溶媒を乾燥させ、その後、135℃の加熱ゾーンで約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。
(光学異方性層の塗布液組成)
下記の組成物を、107質量部のメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。
下記のディスコティック液晶性化合物(1) 41.01質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 4.06質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製) 0.9質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製) 0.21質量部
フルオロ脂肪族基含有ポリマー
(メガファックF780 大日本インキ(株)製) 0.14質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 1.35質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.45質量部
【0088】
【化20】


【0089】
次に、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。
【0090】
次に、光学異方性層を形成した長尺状フィルムについて、図2と同様の構成のレターデーション測定装置により、フィルム法線方向及び法線方向から±40度搬送方向に傾斜した角度からフィルムレターデーションを連続的に測定して検査を行なった。測定結果は工程内にフィードバックされ、目標値にくるように塗布工程及び加熱工程条件の微調整を行なった。次いで、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。以上により光学補償シートを作製した。
得られた光学補償シートの1300mについて全幅でRe値を測定し、そのバラツキを標準偏差で求めた結果を表1に示す。また、検査規格に合格したものの得率を表1に示す。
【0091】
[実施例2]
長尺状フィルムの幅を1470mmにした以外は実施例1と同様にして光学補償シートを作製した。
【0092】
[比較例1]
長尺状フィルムを送り出す工程から、得られた光学補償シートを巻き取り工程までの間のレターデーション測定装置を取り除いた以外は実施例1と同様にして光学補償シートを作製した。
【0093】
【表1】


※Re(0)はフィルム法線方向から測定したレターデーション、Re(40)及びRe(−40)はそれぞれフィルム法線方向に対して40°、−40°の方向から測定したレターデーションを表す。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の製造方法を実施可能な装置の一例の概略断面図である。
【図2】本発明に利用可能なレターデーション測定装置の概略模式図である。
【符号の説明】
【0095】
1a 送出機
4a、4b、4c 長尺状フィルム
5a フィルムロール
6 ガイドローラ
7 除塵機
8 ラビングローラ
9 表面除塵機
10 塗布機
11 加熱ゾーン
12 紫外線(UV)ランプ
13 レターデーション測定装置
14 保護フィルム
15 ラミネート機
16 光学補償シートロール
20a、21a、22a 投光ヘッド
20b、21b、22b 受光ヘッド
24 制御装置
25 計算機




 

 


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