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発明の名称 表示素子及び露光素子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−47821(P2007−47821A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2006−287716(P2006−287716)
出願日 平成18年10月23日(2006.10.23)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 木村 宏一
要約 課題
導波路や導光板を用いた表示方式を用いることなく、低コストでコントラスト低下を防止しつつ、エネルギ効率を高め、高品位な画像表示が行える表示素子、並びに露光処理が行える露光素子を提供する。

解決手段
光源と、全反射光学部材と、入射光を選択的に結合させて取り出す光結合要素とを備えた表示素子であって、全反射光学部材は、該全反射光学部材内に光路を選択する光学要素が配置され、光路を選択する光学要素から出射される透過光の実質的全てが、光路を選択する光学要素より入射光光路前方の層の界面又は光路を選択する光学要素の入射光光路前方の界面における全反射臨界角より大きい角度成分を有し、その他の角度成分の入射光は透過されない性質を有し、光路を選択する光学要素が、誘電体多層膜を含む光干渉フィルタ、或いはコレステリック液晶または体積ホログラムのいずれかを含むブラッグ反射フィルタからなる。
特許請求の範囲
【請求項1】
平面形状の光変調素子を含む表示素子であって、
前記光変調素子に面状の入射光を導入する光源と、
前記導入された入射光の少なくとも一部が、前記光変調素子を構成する層の界面で全反射する一方、入射光導入側の反対側からは前記入射光が実質的に出射しない特性を有する全反射光学部材と、
前記全反射光学部材の全反射面側に配設すると共に前記全反射面から入射光を選択的に結合させて取り出す光結合要素とを備え、
前記全反射光学部材は、該全反射光学部材内に光路を選択する光学要素が配置され、前記全反射光学部材に導入された面状の入射光の少なくとも一部が前記光路を選択する光学要素に導入され、該光路を選択する光学要素から出射される透過光の実質的全てが、前記光路を選択する光学要素より入射光光路前方の層の界面又は前記光路を選択する光学要素の入射光光路前方の界面における全反射臨界角より大きい角度成分を有し、その他の角度成分の入射光は反射されて透過されない性質を有し、
前記光路を選択する光学要素が、誘電体多層膜を含む光干渉フィルタ、或いはコレステリック液晶または体積ホログラムのいずれかを含むブラッグ反射フィルタからなることを特徴とする表示素子。
【請求項2】
平面形状の光変調素子を含む表示素子であって、
前記光変調素子に面状の入射光を導入する光源と、
前記導入された入射光の少なくとも一部が、前記光変調素子を構成する層の界面で全反射する一方、入射光導入側の反対側からは前記入射光が実質的に出射しない特性を有する全反射光学部材と、
前記全反射光学部材の全反射面側に配設すると共に前記全反射面から入射光を選択的に結合させて取り出す光結合要素とを備え、
前記全反射光学部材は、該全反射光学部材の厚さ方向の入射光導入側から、光路を変化させる光学要素と、光路を選択する光学要素とがこの順で配置され、前記光路を変化させる光学要素へ面状に導入された入射光の少なくとも一部が前記光路を選択する光学要素に導入され、該光路を選択する光学要素から出射される透過光の実質的全てが、前記光路を選択する光学要素より入射光光路前方の層の界面又は前記光路を選択する光学要素の入射光光路前方の界面における全反射臨界角より大きい角度成分を有し、その他の角度成分の入射光は反射されて透過されない性質を有し、
前記光路を選択する光学要素が、誘電体多層膜を含む光干渉フィルタ、或いはコレステリック液晶または体積ホログラムのいずれかを含むブラッグ反射フィルタからなることを特徴とする表示素子。
【請求項3】
前記光結合要素が、前記全反射面の入射光全反射条件を変化させることで入射光を取り出すことを特徴とする請求項1又は請求項2項記載の表示素子。
【請求項4】
前記光結合要素が、電気機械動作により前記全反射光学部材の全反射面に近接可能に支持された可撓薄膜からなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項5】
前記電気機械動作が、静電気力を駆動源とした動作であることを特徴とする請求項3記載の表示素子。
【請求項6】
前記光結合要素が、電界の印加により光学特性を変化させる液晶を含む層からなることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項7】
前記光結合要素が、前記全反射光学部材上に1次元アレイ状に配列されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項8】
前記光結合要素が、前記全反射光学部材上に2次元アレイ状に配列されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項9】
前記光結合要素が、パッシブマトリクス駆動手段に接続されていることを特徴とする請求項8記載の表示素子。
【請求項10】
前記光結合要素が、取り出した光の光路を変化させる光路変更手段を有することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項11】
前記光路変更手段が、屈折により前記取り出した光の光路を変化させることを特徴とする請求項10記載の表示素子。
【請求項12】
前記光路変更手段が、レンズアレイ、プリズムアレイ、屈折率分布レンズ体のいずれかからなることを特徴とする請求項11記載の表示素子。
【請求項13】
前記光路変更手段が、回折により前記取り出した光の光路を変化させることを特徴とする請求項10記載の表示素子。
【請求項14】
前記光路変更手段が、体積ホログラム、位相変調型回折格子、振幅変調型回折格子のいずれかからなることを特徴とする請求項13記載の表示素子。
【請求項15】
前記光路変更手段が、光拡散又は光散乱により前記取り出した光の光路を変化させることを特徴とする請求項10記載の表示素子。
【請求項16】
前記光路変更手段が、多孔質体、異種屈折率分散体又は分布体、表面に凹凸を有する光拡散体又は光散乱体のいずれかであることを特徴とする請求項15記載の表示素子。
【請求項17】
前記光結合要素が、取り出した光の特定波長成分を吸収して出射する特定波長成分吸収手段を有することを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項18】
前記光結合要素が、取り出した光を受けて励起発光する蛍光体を有することを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項19】
前記光結合要素により取り出された出射光を受けて励起発光する蛍光体を有することを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項20】
前記光路を変化させる光学要素と前記光路を選択する光学要素とが、光学的に接触していることを特徴とする請求項2〜請求項19記載の表示素子。
【請求項21】
前記光路を変化させる光学要素と前記光路を選択する光学要素とが、屈折率が1より大きい媒質を介して光学的に接触していることを特徴とする請求項2〜請求項19記載の表示素子。
【請求項22】
全反射光学部材の一部を構成する透明媒質を備え、該透明媒質の光路前方に前記光路を変化させる光学要素を配置したことを特徴とする請求項2〜請求項21のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項23】
全反射光学部材の一部を構成する透明媒質を備え、該透明媒質の光路前方に前記光路を選択する光学要素を配置したことを特徴とする請求項2〜請求項21のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項24】
全反射光学部材の一部を構成する透明媒質を備え、該透明媒質の光路前方に前記光路を変化させる光学要素と前記光路を選択する光学要素をこの順で配置したことを特徴とする請求項2〜請求項21のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項25】
前記光路を変化させる光学要素が、該光路を変化させる光学要素の平均屈折率をnt、光路前方の全反射界面の前方側媒質の屈折率をnw、光路を変化させる光学要素の媒質内を進む光の角度をθtとしたときに、少なくとも、sinθt>nw/ntの条件を満たす角度θtの光を含んで前方に出力することを特徴とする請求項2〜請求項24のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項26】
前記光路を変化させる光学要素が、屈折により光路を変化させるものであることを特徴とする請求項2〜請求項25のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項27】
前記光路を変化させる光学要素が、レンズアレイ、プリズムアレイ、異なる屈折率が分布した異種屈折率分布体のいずれかであることを特徴とする請求項26記載の表示素子。
【請求項28】
前記光路を変化させる光学要素が、回折により光路を変化させるものであることを特徴とする請求項2〜請求項25のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項29】
前記光路を変化させる光学要素が、体積ホログラム、位相変調型回折格子、振幅変調型回折格子のいずれかであることを特徴とする請求項28記載の表示素子。
【請求項30】
前記光路を変化させる光学要素が、光拡散により光路を変化させるものであることを特徴とする請求項2〜請求項25のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項31】
前記光路を変化させる光学要素が、多孔質体、異種屈折率分布体又は分散体、表面に凹凸を有する拡散体又は散乱体のいずれかであることを特徴とする請求項30記載の表示素子。
【請求項32】
前記光路を変化させる光学要素が、光反射により光路を変化させるものであることを特徴とする請求項2〜請求項25のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項33】
前記光路を選択する光学要素が、該光路を選択する光学要素の平均屈折率をns、光路前方の全反射界面の前方側媒質の屈折率をnw、光路を選択する光学要素の媒質内を進む光の角度をθsとしたときに、sinθs>nw/nsの条件を満たす角度θsの光を実質的全て透過させることを特徴とする請求項1〜請求項32のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項34】
前記光路を選択する光学要素が、入射光の波長域に対して選択的に反射する機能を有し、前記光路を選択する光学要素への入射光の入射角が該光学要素の面に対して浅い角度となるに従って、選択的に反射される入射光の波長が短波長側にシフトすることを特徴とする請求項1〜請求項33のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項35】
前記光路を選択する光学要素への入射光の入射角が、入射光光路前方の全反射界面への入射角を全反射臨界角以下にするときに、前記光路を選択する光学要素が前記入射光の実質的全てを選択的に反射することを特徴とする請求項1〜請求項34のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項36】
前記全反射された入射光の実質的全てが前記全反射光学部材の入射光導入側に戻ることを特徴とする請求項1〜請求項35のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項37】
前記入射光が、任意の入射角を有する拡散光であることを特徴とする請求項1〜請求項36のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項38】
前記光結合要素又はその光路前方に蛍光体を有し、前記全反射光学部材の全反射面と前記光結合要素との間に、前記蛍光体の発光波長成分を反射すると共に前記入射光の波長成分を透過させる光学フィルタが介装されていることを特徴とする請求項1〜請求項37のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項39】
前記光結合要素又はその光路前方に蛍光体を有し、前記蛍光体の光路前方に前記蛍光体の発光波長成分を透過すると共に、前記入射光の波長成分を遮光させる光学フィルタが設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項37のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項40】
前記光結合要素又はその光路前方に蛍光体を有し、前記蛍光体の光路前方に前記蛍光体の発光波長域の光を吸収する光学フィルタが設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項37のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項41】
前記光学フィルタが、誘電体多層膜を含む光干渉フィルタであることを特徴とする請求項38記載の表示素子。
【請求項42】
前記光学フィルタが、コレステリック膜を含むブラッグ反射フィルタであることを特徴とする請求項38記載の表示素子。
【請求項43】
前記入射光の主な波長が、350nm〜400nmであることを特徴とする請求項1〜請求項42のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項44】
前記入射光の主な波長が、400nm〜500nmであることを特徴とする請求項1〜請求項42のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項45】
前記蛍光体が、可視光を発光することを特徴とする請求項38〜請求項44のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項46】
前記蛍光体が、赤色、緑色、青色に発光する発光体を形成したものであることを特徴とする請求項45記載の表示素子。
【請求項47】
前記平面光源が前記全反射光学部材の内部に備わる光源であって、前記入射光が前記光源から出射される光であることを特徴とする請求項1〜請求項46のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項48】
前記入射光が、前記全反射光学部材の外部から入射されることを特徴とする請求項1〜請求項46のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項49】
前記表示素子の入射光導入側に対峙して設けられ、前記表示素子に導入した後に該表示素子により反射された入射光を前記表示素子側へ再投入する反射体を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項48のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項50】
請求項1〜請求項49のいずれか1項記載の表示素子を用い、露光データに基づき光変調して露光対象に向けて選択的に光を出射することを特徴とする露光素子。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状の入射光を導入して、所望の画像を表示する平面形状の表示素子及び露光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
入射光の振幅(強度)、位相又は進行方向等を制御して、画像やパターン化されたデータ等を処理・表示するものに光変調素子がある。光変調素子は、光を透過させる物質の屈折率を物質に印加する外場によって変化させ、屈折、回折、吸収、散乱等の光学現象を介して、最終的にこの物質を透過又は反射する光の強度を制御する。この光変調素子には、例えば液晶の電気光学効果を利用した液晶光変調素子等があり、薄型の平面表示素子である液晶表示装置に好適に用いられている。また、自発光型の薄型平面表示素子としては、プラズマ表示装置、FED(フィールド・エミッション・ディスプレイ)等が知られている。液晶光変調素子は、薄型の平面表示素子である液晶表示装置に好適に用いられている。
【0003】
液晶表示装置の代表例としては、一対の導電性透明膜を形成した基板間に、基板と平行に且つ両基板間で90°ねじれた状態にするように配向したネマティック液晶を入れて封止し、これを直交した偏光板で挟んだ構造を有する。この液晶表示装置による表示は、導電性透明膜に電圧を印加することで液晶分子の長軸方向が基板に対して垂直に配向され、バックライトからの光の透過率が変化することを利用して行われる。良好な動画像対応性を持たせるためには、TFT(薄膜トランジスタ)を用いたアクティブマトリクス液晶パネルが使用される。
【0004】
プラズマ表示装置は、ネオン、ヘリウム、キセノン等の希ガスを封入した二枚のガラス板の間に、放電電極に相当する規則的に配列した直交方向の電極を多数配置し、それぞれの対向電極の交点部を単位画素とした構造を有する。
このプラズマ表示装置による表示は、画像情報に基づき、それぞれの交点部を特定する対向電極へ選択的に電圧を印加することにより、交点部を放電発光させ、発生した紫外線により蛍光体を励起発光させて行われる。
【0005】
FEDは、微小間隔を介して一対のパネルを対向配置し、これらパネルの周囲を封止する平板状の表示管としての構造を有する。表示面側のパネルの内面には、蛍光膜が設けられ、背面パネル上には個々の単位発光領域毎に電界放出陰極が配列される。代表的な電界放出陰極は、微小サイズのエミッタティプと称される錐状突起状の電界放出型マイクロカソードを有している。
このFEDによる表示は、エミッタティプを用いて電子を取り出し、これを蛍光体に加速照射することで、蛍光体を励起させて行われる。
【0006】
ところが、上述した従来の平面表示素子においては、まず、液晶表示装置ではバックライトからの光を偏光板、透明電極、カラーフィルターの多数層に透過させるため、光利用効率が低下する問題がある。さらに液晶特有の視野角依存による画質劣化、低速応答による動画画質の劣化、及びTFTによる大面積でのコストが問題である。また、プラズマ表示装置では画素毎に放電用の隔壁形成を行うため、高精細になると高効率で高輝度を得ることが困難であり、駆動電圧も高いことからコストが高くなる欠点がある。さらに、FEDでは、放電を高効率且つ安定化させるために、パネル内を超高真空にする必要があり、プラズマ表示装置と同様に製造コストが高くなり、また、電界放出した電子を加速して蛍光体へ照射するため、高電圧が必要となる不利もあった。
【0007】
このような諸問題を解消するものとして、近年、電気機械動作により可撓薄膜を変位させ、これにより光源からの光を光変調して画像表示を行う平面表示素子が開発されている。電気機械動作としては、電圧印加による圧電効果を利用したもの、電流印加による電磁気力を利用したもの等種々の方式があるが、特に静電気力を利用したものは、光変調のための可撓薄膜の変位量が1μm程度であれば、低電圧・低消費電力で数μs以下の高速駆動が可能である。また、変位の電圧依存性においてヒステリシス特性を有するため、2次元アレイ構成においてはパッシブマトリクス駆動が高コントラストで可能であり、TFT等のアクティブ素子が不要で大面積の平面表示素子を低コストで製造できる。この種の平面表示素
子としては、例えば、下記の非特許文献1,特許文献1、2に記載されている導光板方式によるものがある。
【0008】
図29は導光板方式の平面表示素子80の一部断面図である。この図に示すように、導光板(又は導波路)82の片面の一方の側端部にプリズム84を光学的に接続し、このプリズム84を通じて光源(白色光源、LED、レーザ光源等)86からの光を導入し、導光板82内で全反射により導光させている。また、導光板82の表面には複数の可撓薄膜88を離反・接触可能に設けており、これら可撓薄膜88と導光板82表面にそれぞれ電極層89を形成させている。電極層89に駆動電圧が印加された可撓薄膜88は、導光板82表面に接触し、導光板82表面の全反射条件が崩されて導光板82から光が取り出される。一方、駆動電圧の印加されていない可撓薄膜88は、導光板82表面から離反して光は出射されない。このようにして、各可撓薄膜88の電極層89に駆動電圧を選択的に印加することで導光板82表面に画像表示が行われる。
【0009】
また、この他の平面表示素子として、下記の非特許文献2に記載されたものがある。
この非特許文献2の平面表示素子の構成は、図30に示すように、前面ガラス91の上に平行な複数の導光路92を並設し、その一端側には、マイクロレンズ93を有した導光材94を介してLED(ライトエミッティグダイオード)アレイ95を接続してある。LEDアレイ95は、複数の発光部が一次元に並べられたもので、その発光部の一つ一つが各導光路92それぞれに対応している。導光路92の
上には、間隙を有して平行な複数の可撓薄膜(光スイッチ)96を、導光路92に直交する方向で並設してある。可撓薄膜96の上には一部分のみを可撓薄膜96に接触させた後面ガラス97を設けてあり、後面ガラス97はこの可撓薄膜96を変位可能に支持している。
【0010】
このように構成された平面表示素子90は、図31に示すように、所定の可撓薄膜96上の電極に電圧が印加されると、静電気応力によって可撓薄膜96が導光路92側に接近する方向に変位する。一方、LEDアレイ95は、画像信号に基づきこれと同期して発光する。すると、導光路92内を全反射しながら進んでいた光が可撓薄膜96内に導入され、可撓薄膜96内に設けられているミラー98に反射され、導光路92に略垂直な方向で再び入射されることになる。導光路92に略垂直な方向で入射された光は、全反射条件を満足する入射角度が保てず、導光路92を通過して前面ガラス91側から出射されることになる。
【0011】
この平面表示素子90によれば、静電気応力によって可撓薄膜96を変位させるため、可撓薄膜96の動作を高速追従させることができると共に、液晶表示装置のように光を多数層に透過せず、また、プラズマ表示装置のように放電部の隔壁形成や高圧駆動回路も不要になるため、高速で安価な平面表示素子の実現が可能になる。
【0012】
【非特許文献1】Large-Area Micromechanical Display IDRC 1997, p230〜p233
【特許文献1】米国特許第5,771,321号明細書
【特許文献2】特表2000−505911号公報
【非特許文献2】Waveguide Panel Display Using Electromechanical Spatial Modulators, 1998 SID International Symposium Digest of Technical Papers, p.1022-p.1025.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述の光導波路タイプの平面表示素子80,90にあっては、入射光の導入方法が、導光板の片面側端部に接続されたプリズムを通じて導入する、或いは導光板・導波路の端面側からの導入方式となっている。ところが、薄型平板状の導光板・導波路は、その端面の入射開口面積が狭く、入射光との結合効率が悪くなる傾向がある。また、導光板・導波路は、更なる薄型化・大面積化が望まれており、端面の入射開口面積はますます狭くなる傾向にあり、結合効率の悪化が懸念されている。さらに、入射光(光源)形状、導入位置に制限があり、光源の大きさ・数が限られ、高出力の光を導入することができない。また、入射光形状をビーム状・線状にする必要があり、光源の種類が限られ、上記形状にするための光学系が別途必要となる。その結果、製造プロセスが複雑化してコストが増大するといった問題を生じる。
【0014】
そして、画像表示時においては、平面表示素子80では、導光路の光路上流の素子がON状態になると、この素子の光路下流への導光が減衰し、所謂クロストークが発生して画像品質を低下させることになる。また、ON状態の素子が生じるリーク光によって、その素子周囲の画像のコントラストが低下するという問題もある。一方、平面表示素子90では、細い導光路に大出力の光を投入するため、光路に光結合損失が発生して光利用効率が低下する。さらに導波路の一部に僅かでも欠陥がある場合には、その位置からリーク光が生じてしまい、画質低下の生じやすい構成となっている。
【0015】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、導波路や導光板を用いた表示方式を用いることなく、任意のバックライト光源が使用でき、低コストでコントラスト低下を防止しつつ、エネルギ効率の高い光変調素子を備えた、高品位な画像表示が行える表示素子、並びに露光処理が行える露光素子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的達成のため、本発明に係る請求項1記載の表示素子は、平面形状の光変調素子を含む表示素子であって、前記光変調素子に面状の入射光を導入する光源と、前記導入された入射光の少なくとも一部が、前記光変調素子を構成する層の界面で全反射する一方、入射光導入側の反対側からは前記入射光が実質的に出射しない特性を有する全反射光学部材と、前記全反射光学部材の全反射面側に配設すると共に前記全反射面から入射光を選択的に結合させて取り出す光結合要素とを備え、前記全反射光学部材は、該全反射光学部材内に光路を選択する光学要素が配置され、前記全反射光学部材に導入された面状の入射光の少なくとも一部が前記光路を選択する光学要素に導入され、該光路を選択する光学要素から出射される透過光の実質的全てが、前記光路を選択する光学要素より入射光光路前方の層の界面又は前記光路を選択する光学要素の入射光光路前方の界面における全反射臨界角より大きい角度成分を有し、その他の角度成分の入射光は反射されて透過されない性質を有し、前記光路を選択する光学要素が、誘電体多層膜を含む光干渉フィルタ、或いはコレステリック液晶または体積ホログラムのいずれかを含むブラッグ反射フィルタであることを特徴とする。
【0017】
この表示素子では、導入された入射光が全反射光学部材に照射され、全反射光学部材内に導入されると、その導入された入射光の少なくとも一部が光変調素子の構成する層の界面で全反射する一方、入射光導入側の反対側からは入射光が実質的に出射されなくなる。この全反射光学部材の全反射面に入射光を結合させて取り出す光結合要素を選択的に近接配置することにより、近接配置された光結合要素に全反射光が取り出されて入射光光路前方に出射される。これにより、面状の入射光を高効率で光変調素子に導入でき、光結合要素の近接配置状態に応じた選択的な光変調が行える。
また、この表示素子では、光変調素子内に入射光の光路を選択する光学要素が配置され、この光路を選択する光学要素へ面状に入射光を導入する。導入された面状の入射光は、光路を選択する光学要素によって入射光の光路が特定の方向或いは任意の方向に変化させられ、その実質的全てが光変調素子の構成する層の界面で全反射により反射される。このため、入射光の形状、導入位置、並びに光源の種類に制限を受けることなく、面状の入射光を面状のまま直接的に高効率で導入でき、所望の界面で面状の全反射光を高効率で得ることができる。
また、この表示素子では、誘電体多層膜を含む光干渉フィルタを用いることにより、大面積かつ簡単な構成で任意の波長選択反射膜が形成でき、その反射波長の入射角依存性を利用して容易に光路を選択する光学要素を形成することができる。また、コレステリック液晶、体積ホログラムを含むブラッグ反射フィルタを用いることにより、低コストで光路を選択する光学要素を形成できる。
【0018】
請求項2記載の表示素子は、平面形状の光変調素子を含む表示素子であって、前記光変調素子に面状の入射光を導入する光源と、前記導入された入射光の少なくとも一部が、前記光変調素子を構成する層の界面で全反射する一方、入射光導入側の反対側からは前記入射光が実質的に出射しない特性を有する全反射光学部材と、前記全反射光学部材の全反射面側に配設すると共に前記全反射面から入射光を選択的に結合させて取り出す光結合要素とを備え、前記全反射光学部材は、該全反射光学部材の厚さ方向の入射光導入側から、光路を変化させる光学要素と、光路を選択する光学要素とがこの順で配置され、前記光路を変化させる光学要素へ面状に導入された入射光の少なくとも一部が前記光路を選択する光学要素に導入され、該光路を選択する光学要素から出射される透過光の実質的全てが、前記光路を選択する光学要素より入射光光路前方の層の界面又は前記光路を選択する光学要素の入射光光路前方の界面における全反射臨界角より大きい角度成分を有し、その他の角度成分の入射光は反射されて透過されない性質を有し、前記光路を選択する光学要素が、誘電体多層膜を含む光干渉フィルタ、或いはコレステリック液晶または体積ホログラムのいずれかを含むブラッグ反射フィルタであることを特徴とする。
【0019】
この表示素子では、導入された入射光が全反射光学部材に照射され、全反射光学部材内に導入されると、その導入された入射光の少なくとも一部が光変調素子の構成する層の界面で全反射する一方、入射光導入側の反対側からは入射光が実質的に出射されなくなる。この全反射光学部材の全反射面に入射光を結合させて取り出す光結合要素を選択的に近接配置することにより、近接配置された光結合要素に全反射光が取り出されて入射光光路前方に出射される。これにより、面状の入射光を高効率で光変調素子に導入でき、光結合要素の近接配置状態に応じた選択的な光変調が行える。
また、この表示素子では、光変調素子の厚さ方向の入射光導入側から、光路を変化させる光学要素と、光路を選択する光学要素とがこの順で配置され、光路を変化させる光学要素へ面状に入射光を導入する。導入された入射光は、光路を変化させる光学要素によって入射光の光路が特定の方向或いは任意の方向に変化させられ、さらに光路を選択する光学要素によって特定の方向の入射光のみを透過させる。これにより、光変調素子に導入された光の実質的全てが光変調素子の構成する層の界面で全反射により反射される。このため、入射光の形状、導入位置、並びに光源の種類に制限を受けることなく、面状の入射光を面状のまま直接的に高効率で導入でき、所望の界面で面状の全反射光を高効率で得ることができる。
また、この表示素子では、誘電体多層膜を含む光干渉フィルタを用いることにより、大面積かつ簡単な構成で任意の波長選択反射膜が形成でき、その反射波長の入射角依存性を利用して容易に光路を選択する光学要素を形成することができる。また、コレステリック液晶、体積ホログラムを含むブラッグ反射フィルタを用いることにより、低コストで光路を選択する光学要素を形成できる。
【0020】
請求項3記載の表示素子は、前記光結合要素が、前記全反射面の入射光全反射条件を変化させることで入射光を取り出すことを特徴とする。
【0021】
この表示素子では、光結合要素が全反射光学部材の全反射面に近接配置されることで、全反射面における全反射条件が変化して、全反射光学部材内に導入された入射光が光結合要素にカップリングされて取り出される。
【0022】
請求項4記載の表示素子は、前記光結合要素が、電気機械動作により前記全反射光学部材の全反射面に近接可能に支持された可撓薄膜からなることを特徴とする。
【0023】
この表示素子では、電圧印加による静電気力を利用する方式、電圧印加による圧電効果を利用する方式、電流印加による電磁気力を利用する方式等の種々の方式により、光結合要素を全反射光学部材の全反射面に近接させる構成とすることで、省電力で応答性に優れた光スイッチを実現できる。
【0024】
請求項5記載の表示素子は、前記電気機械動作が、静電気力を駆動源とした動作であることを特徴とする。
【0025】
この表示素子では、光結合要素を静電気力により駆動することにより、全反射光学部材の全反射面に対して可撓薄膜を数μm以下の距離に近接させる構成にすることで、低電圧・低消費電力で高速駆動が可能となる。
【0026】
請求項6記載の表示素子は、前記光結合要素が、電界の印加により光学特性を変化させる液晶を含む層からなることを特徴とする。
【0027】
この表示素子では、光結合要素を電界の印加により液晶の光学特性を変化させ、全反射条件を変化させることにより、安価な構成で光スイッチング動作を得ることができる。
【0028】
請求項7記載の表示素子は、前記光結合要素が、前記全反射光学部材上に1次元アレイ状に配列されていることを特徴とする。
【0029】
この表示素子では、光結合要素を全反射光学部材上に1次元アレイ状に配列して構成することにより、1次元の同時変調可能な光変調素子を形成できる。
【0030】
請求項8記載の表示素子は、前記光結合要素が、前記全反射光学部材上に2次元アレイ状に配列されていることを特徴とする。
【0031】
この表示素子では、光結合要素を全反射光学部材上に2次元アレイ状に配列して構成することにより、2次元の同時変調可能な光変調素子を形成でき、画像表示を行うことができる。
【0032】
請求項9記載の表示素子は、前記光結合要素が、パッシブマトリクス駆動手段に接続されていることを特徴とする。
【0033】
この表示素子では、特に光結合要素が静電気力を利用したものであって、例えば、全反射光学部材の全反射面側に設けた電極と、一部が支持された可撓薄膜上に設けた電極との間に電圧を印加すると、可撓薄膜が全反射光学部材の全反射面側に向かって変位するが、このときの可撓薄膜の形状と弾性定数等の機械的物性、可撓薄膜と全反射面との空隙距離等を適宜選択することで、印加電圧に対する変位特性にヒステリシスが生じる。このヒステリシス特性を利用して、例えば、複数のストライプ状の電極を全反射光学部材の全反射面側に配置して信号電極とし、これと直交する複数のストライプ状の電極を可撓薄膜上に並設して走査電極とし、これら信号電極と走査電極に適宜電位を印加することにより、TFT等のアクティブ素子を用いることなく、2次元配列された任意の画素の透過率を高コントラストで制御することが可能となる。即ち、所謂パッシブマトリクス駆動が可能となり、これにより、安価で大面積な光変調素子を実現できる。
【0034】
請求項10記載の表示素子は、前記光結合要素が、取り出した光の光路を変化させる光路変更手段を有することを特徴とする。
【0035】
この表示素子では、光結合要素が取り出した光の光路を変化させることにより、光学素子からの出射光を特定の方向に集光させたり、拡散させたりすることが可能となる。
【0036】
請求項11記載の表示素子は、前記光路変更手段が、屈折により前記取り出した光の光路を変化させることを特徴とする。
【0037】
この表示素子では、光結合要素から取り出した光の光路を屈折により変化させることで、光量を維持したまま光路を変更することができる。
【0038】
請求項12記載の表示素子は、前記光路変更手段が、レンズアレイ、プリズムアレイ、屈折率分布レンズ体のいずれかからなることを特徴とする。
【0039】
この表示素子では、量産に適したレンズアレイ、プリズムアレイ、屈折率分布レンズ体による光学要素を適宜選定することにより、コストダウンを図りつつ良好な性能を発揮することができる。
【0040】
請求項13記載の表示素子は、前記光路変更手段が、回折により前記取り出した光の光路を変化させることを特徴とする。
【0041】
この表示素子では、光結合要素から取り出した光の光路を回折により変化させることで、光の光路を高精度に設定できる。
【0042】
請求項14記載の表示素子は、前記光路変更手段が、体積ホログラム、位相変調型回折格子、振幅変調型回折格子のいずれかからなることを特徴とする。
【0043】
この表示素子では、例えばフォトポリマー法や射出成形法によって大量転写生産が可能となり、光学素子自体のコストダウンが図れる。
【0044】
請求項15記載の表示素子は、前記光路変更手段が、光拡散又は光散乱により前記取り出した光の光路を変化させることを特徴とする。
【0045】
この表示素子では、光拡散又は光散乱により光路を変化させることで、取り出した光を任意の方向に出射させることができる。
【0046】
請求項16記載の表示素子は、前記光路変更手段が、多孔質体、異種屈折率分散体又は分布体、表面に凹凸を有する光拡散体又は光散乱体のいずれかであることを特徴とする。
【0047】
この表示素子では、量産に適した多孔質体、異種屈折率分散体又は分布体、光拡散体又は光散乱体を適宜選定することにより、光学素子自体のコストダウンが図れる。
【0048】
請求項17記載の表示素子は、前記光結合要素が、取り出した光の特定波長成分を吸収して出射する特定波長成分吸収手段を有することを特徴とする。
【0049】
この表示素子では、取り出した光の波長成分のうち、特定波長成分を吸収して出射させることにより、同一種の入射光であっても複数色の出射光を選択的に得ることができる。
【0050】
請求項18記載の表示素子は、前記光結合要素が、取り出した光を受けて励起発光する蛍光体を有することを特徴とする。
【0051】
この表示素子では、取り出した光により励起発光する蛍光体を有することで、蛍光体の発色により複数色の出射光を選択的に得ることができる。
【0052】
請求項19記載の表示素子は、前記光結合要素により取り出された出射光を受けて励起発光する蛍光体を有することを特徴とする。
【0053】
この表示素子では、例えば光結合要素の光路前方に蛍光体を配置して、光結合要素から取り出された出射光を任意の波長に変換することができる。
【0054】
請求項20記載の表示素子は、前記光路を変化させる光学要素と前記光路を選択する光学要素とが、光学的に接触していることを特徴とする。
【0055】
この表示素子では、光路を変化させる光学要素と、光路を選択する光学要素とが光学的に接触していることにより、双方の光のカップリング性を良好にできると共に、光路を変化させる光学要素が方向性を有する場合に、入射光を光路を変化させる光学要素から入射角度成分を保持させたまま光路を選択する光学要素に導入することができる。
【0056】
請求項21記載の表示素子は、前記光路を変化させる光学要素と前記光路を選択する光学要素とが、屈折率が1より大きい媒質を介して光学的に接触していることを特徴とする。
【0057】
この表示素子では、光路を変化させる光学要素と、光路を選択する光学要素とが屈折率が1より大きい媒質を介して光学的に接触することにより、この媒質との界面で全反射を生じさせることなく、光路を変化させる光学要素から光路を選択する光学要素へ入射光を導入できる。
【0058】
請求項22記載の表示素子は、全反射光学部材の一部を構成する透明媒質を備え、該透明媒質の光路前方に前記光路を変化させる光学要素を配置したことを特徴とする。
【0059】
この表示素子では、入射光が透明媒質を透過した後に光路を変化させる光学要素に導入されて、特定の方向の入射光のみ透過される。
【0060】
請求項23記載の表示素子は、全反射光学部材の一部を構成する透明媒質を備え、該透明媒質の光路前方に前記光路を選択する光学要素を配置したことを特徴とする。
【0061】
この表示素子では、入射光が透明媒質を透過した後に光路を選択する光学要素に導入されて、特定の方向の入射光のみ透過される。
【0062】
請求項24記載の表示素子は、全反射光学部材の一部を構成する透明媒質を備え、該透明媒質の光路前方に前記光路を変化させる光学要素と前記光路を選択する光学要素をこの順で配置したことを特徴とする。
【0063】
この表示素子では、入射光が透明媒質を透過した後に光路を変化させる光学要素に導入され、入射光の光路が特定の方向或いは任意の方向に変化させられ、さらに、光路を選択する光学要素に導入され、特定の方向の入射光のみ透過される。
【0064】
請求項25記載の表示素子は、前記光路を変化させる光学要素が、該光路を変化させる光学要素の平均屈折率をnt、光路前方の全反射界面の前方側媒質の屈折率をnw、光路を変化させる光学要素の媒質内を進む光の角度をθtとしたときに、少なくとも、sinθt>nw/nt の条件を満たす角度θtの光を含んで前方に出力することを特徴とする。
【0065】
この光変調素子では、少なくとも、sinθt>nw/ntの条件を満たす角度θtの光が光路を変化させる光学要素を透過して、光路を変化させつつ前方に出力される。
【0066】
請求項26記載の表示素子は、前記光路を変化させる光学要素が、屈折により光路を変化させるものであることを特徴とする。
【0067】
この表示素子では、光路を変化させる光学要素が、入射光の光路を屈折により変化させることにより、入射光の強度を実質的に低下させることなく光変調素子へ導入できる。
【0068】
請求項27記載の表示素子は、前記光路を変化させる光学要素が、レンズアレイ、プリズムアレイ、異なる屈折率が分布した異種屈折率分布体のいずれかであることを特徴とする。
【0069】
この表示素子では、量産に適したレンズアレイ、プリズムアレイ、異種屈折率分布体による光学要素を適宜選定することにより、コストダウンを図りつつ良好な性能を発揮することができる。
【0070】
請求項28記載の表示素子は、前記光路を変化させる光学要素が、回折により光路を変化させるものであることを特徴とする。
【0071】
この表示素子では、光路を変化させる光学要素が、入射光の光路を例えば透過型回折格子による回折によって変化させることにより、高精度な入射角度で入射光を光変調素子へ導入できる。
【0072】
請求項29記載の表示素子は、前記光路を変化させる光学要素が、体積ホログラム、位相変調型回折格子、振幅変調型回折格子のいずれかであることを特徴とする。
【0073】
この表示素子では、例えばフォトポリマー法や射出成形法によって大量転写生産が可能となり、光変調素子自体のコストダウンが図れる。
【0074】
請求項30記載の表示素子は、前記光路を変化させる光学要素が、光拡散により光路を変化させるものであることを特徴とする。
【0075】
この表示素子では、光路を変化させる光学要素が、光拡散により光路を変化させることで、入射光を任意の方向から光変調素子へ入射させることができる。
【0076】
請求項31記載の表示素子は、前記光路を変化させる光学要素が、多孔質体、異種屈折率分布体又は分散体、表面に凹凸を有する拡散体又は散乱体のいずれかであることを特徴とする。
【0077】
この表示素子では、量産に適した多孔質体、異種屈折率分布体又は分散体、拡散体による光学要素を適宜選定することにより、コストダウンを図りつつ良好な性能を発揮することができる。
【0078】
請求項32記載の表示素子は、前記光路を変化させる光学要素が、光反射により光路を変化させるものであることを特徴とする。
【0079】
この表示素子では、光路を変化させる光学要素が、光反射によって光路を変化させることで、入射光を任意の方向から光変調素子へ入射させることができる。
【0080】
請求項33記載の表示素子は、前記光路を選択する光学要素が、該光路を選択する光学要素の平均屈折率をns、光路前方の全反射界面の前方側媒質の屈折率をnw、光路を選択する光学要素の媒質内を進む光の角度をθsとしたときに、sinθs>nw/nsの条件を満たす角度θsの光を実質的全て透過させることを特徴とする。
【0081】
この表示素子では、sinθs>nw/nsの条件を満たす角度θsの光が光路を選択する光学要素を実質的全て透過して、他の光は反射されることにより、特定の光成分のみ選択的に透過される。
【0082】
請求項34記載の表示素子は、前記光路を選択する光学要素が、入射光の波長域に対して選択的に反射する機能を有し、前記光路を選択する光学要素への入射光の入射角が該光学要素の面に対して浅い角度となるに従って、選択的に反射される入射光の波長が短波長側にシフトすることを特徴とする。
【0083】
この表示素子では、光路を選択する光学要素が、入射光の波長域に対して選択的に反射する機能を有し、この光学要素への入射光の入射角が該光学要素の面に対して浅い角度となるに従って、選択的に反射される入射光の波長が短波長側にシフトする。この性質を利用して、所定の入射角成分の入射光だけが透過するように光路を選択する光学要素を設計し、全反射の生じる入射角度成分の入射光だけを選択的に抽出することを可能にできる。
【0084】
請求項35記載の表示素子は、前記光路を選択する光学要素への入射光の入射角が、入射光光路前方の全反射界面への入射角を全反射臨界角以下にするときに、前記光路を選択する光学要素が前記入射光の実質的全てを選択的に反射することを特徴とする。
【0085】
この表示素子では、光路を選択する光学要素への入射光の入射角が、この入射角と各層の屈折条件により変化する入射光光路前方の全反射界面への入射角をこの全反射界面における全反射臨界角以下にするときに、光路を選択する光学要素が入射光の実質的全てを選択的に反射する。これにより、全反射界面において全反射されない角度成分の入射光が選択的に反射されて光路前方に透過されなくなる。
【0086】
請求項36記載の表示素子は、前記全反射された入射光の実質的全てが前記全反射光学部材の入射光導入側に戻ることを特徴とする。
【0087】
この表示素子では、全反射された入射光の実質的全てが光変調素子の入射光導入側に戻ることにより、全反射面を有する媒質内において、導光、蓄積、閉じ込め等が行われることが実質的にない。
【0088】
請求項37記載の表示素子は、前記入射光が、任意の入射角を有する拡散光であることを特徴とする。
【0089】
この表示素子では、入射光が任意の入射角を有する拡散光であることにより、種々の方向からの入射光を光変調素子に導入でき、入射光の均一性を向上できる。
【0090】
請求項38記載の表示素子は、前記光結合要素又はその光路前方に蛍光体を有し、前記全反射光学部材の全反射面と前記光結合要素との間に、前記蛍光体の発光波長成分を反射すると共に前記入射光の波長成分を透過させる光学フィルタが介装されていることを特徴とする。
【0091】
この表示素子では、入射光が光学フィルタを透過して蛍光体に照射することにより蛍光体が発光する。この蛍光体の発光した光のうち、光路後方に向けて発した光が光学フィルタによって光路前方に反射されて出射される。これにより、光利用効率が向上し、より高輝度の表示が可能となる。
【0092】
請求項39記載の表示素子は、前記光結合要素又はその光路前方に蛍光体を有し、前記蛍光体の光路前方に前記蛍光体の発光波長成分を透過すると共に、前記入射光の波長成分を遮光させる光学フィルタが設けられていることを特徴とする。
【0093】
この表示素子では、例えば入射光としてUV光を用いた場合に、その透過光(漏れ光)が表示側(観測者側)へ出射されることを防止できる。
【0094】
請求項40記載の表示素子は、前記光結合要素又はその光路前方に蛍光体を有し、前記蛍光体の光路前方に前記蛍光体の発光波長域の光を吸収する光学フィルタが設けられていることを特徴とする。
【0095】
この表示素子では、例えば蛍光体の発光波長が可視光域の場合、可視光を吸収するNDフィルタ(透過率20〜70%程度)を表示側(観測者側)に設けることにより、明るい場所であっても高いコントラストで表示が行える。
【0096】
請求項41記載の表示素子は、前記光学フィルタが、誘電体多層膜を含む光干渉フィルタであることを特徴とする。
【0097】
この表示素子では、誘電体多層膜を含む光干渉フィルタを用いることにより、大面積かつ簡単な構成で任意の波長選択反射膜が形成でき、その反射波長の入射角依存性を利用して容易に光学フィルタを形成することができる。
【0098】
請求項42記載の表示素子は、前記光学フィルタが、コレステリック膜を含むブラッグ反射フィルタであることを特徴とする。
【0099】
この表示素子では、コレステリック液晶を含むブラッグ反射フィルタを用いることにより、低コストで光学フィルタを形成できる。
【0100】
請求項43記載の表示素子は、前記入射光の主な波長が、350nm〜400nmであることを特徴とする。
【0101】
この表示素子では、入射光の主な波長を350nm〜400nmとすることにより、蛍光体の発光輝度を高めることができ、より高輝度の画像表示が可能となる。
【0102】
請求項44記載の表示素子は、前記入射光の主な波長が、400nm〜500nmであることを特徴とする。
【0103】
この表示素子では、入射光の主な波長を400nm〜500nmとすることにより、UV光に耐性のない有機材料等を用いて表示素子を構成することができる。
【0104】
請求項45記載の表示素子は、前記蛍光体が、可視光を発光することを特徴とする。
【0105】
この表示素子では、蛍光体が可視光を発光することにより、UV光の光源から可視光の表示を行うことができる。
【0106】
請求項46記載の表示素子は、前記蛍光体が、赤色、緑色、青色に発光する発光体を形成したものであることを特徴とする。
【0107】
この表示素子では、形成された赤色、緑色、青色の蛍光体が発光することにより、フルカラー画像を表示させることができる。
【0108】
請求項47記載の表示素子は、前記平面光源が前記全反射光学部材の内部に備わる光源であって、前記入射光が前記光源から出射される光であることを特徴とする。
【0109】
この表示素子では、光源を全反射光学部材の内部に備えることにより、光源から出射された光が光変調素子内部に直接的に導入され、入射光導入の際の損失が大幅に低減される。
【0110】
請求項48記載の表示素子は、前記入射光が、前記全反射光学部材の外部から入射されることを特徴とする。
【0111】
この表示素子では、全反射光学部材の外部から入射光を導入することにより、表示素子の設計自由度が向上し、大型の光源であっても利用することができ、高出力化が容易に行える。
【0112】
請求項49記載の表示素子は、前記表示素子の入射光導入側に対峙して設けられ、前記表示素子に導入した後に該表示素子により反射された入射光を表示素子側へ再投入する反射体を備えたことを特徴とする。
【0113】
この表示素子では、表示素子の入射光導入側に対峙して反射体を設けることにより、表示素子に一旦入射され該表示素子により反射された入射光が反射体に照射され、さらにこの反射体からの反射光が表示素子側へ再投入されるため、光のリサイクルが行われ、光利用効率が向上して高効率化が図られる。
【0114】
請求項50記載の露光素子は、請求項1〜請求項49のいずれか1項記載の表示素子を用い、露光データに基づき光変調して露光対象に向けて選択的に光を出射することを特徴とする。
【0115】
この露光素子では、請求項1〜請求項49のいずれか1項記載の表示素子を用い、予め設定された露光データに基づき光変調することで、露光対象に向けて選択的に光が出射され、露光対象に露光処理を施すことができる。
【発明の効果】
【0116】
本発明に係る表示素子によれば、光変調素子へ面状に導入した入射光の少なくとも一部が光変調素子の構成する層の界面で全反射する一方、入射光導入側の反対側からは入射光が実質的に出射しない特性を有する全反射光学部材と、この全反射光学部材の全反射面側に配設すると共に全反射面から入射光を選択的に結合させて取り出す光結合要素とを備えることにより、面状に導入された入射光が全反射光学部材に照射されたときに、入射光が全反射光学部材内に導入され、その導入された入射光の少なくとも一部が光変調素子の構成する層の界面で全反射する一方、入射光導入側の反対側からは入射光が実質的に出射されなくなる。この全反射光学部材の全反射面に入射光を結合させて取り出す光結合要素を選択的に近接配置することにより、近接配置された光結合要素に全反射光が取り出されて入射光光路前方に出射される。これにより、面状の入射光を面状のまま高効率で光変調素子に導入でき、光結合要素の近接配置状態に応じた選択的な光変調が行える。従って、導波路や導光板を用いた表示方式を用いることなく、エネルギ効率を高めた光変調が可能となる。
【0117】
本発明に係る表示素子は、上記光変調素子と平面光源とを備えることにより、平面光源から出射される入射光を光変調素子に導入することで、光変調素子の全反射光学部材に導入された光を光結合要素により光変調して光路前方へ選択的に出射することができる。これにより、高効率且つ高品位で所望の表示を行うことができる。
【0118】
本発明に係る露光素子は、上記表示素子を用い、予め設定された露光データに基づき光変調することで、露光対象に向けて選択的に光が出射され、露光対象に露光処理を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0119】
以下、本発明に係る表示素子及び露光素子の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1に本発明に係る光変調素子の搭載された表示素子の概念的な構成を示した。本実施形態の表示素子100は、平面形状の全反射光学部材2と、この全反射光学部材2へ面状の光を導入する平面光源4と、全反射光学部材2の入射光導入側とは反対側の面に近接可能に配置され可撓薄膜からなる光結合要素6を有してなる。全反射光学部材2と光結合要素6とは光変調素子を構成している。この全反射光学部材2は、面状の入射光を導入したときに、この導入した入射光が全反射光学部材2の光路前方の面(全反射面22)で全反射により反射されるように形成されている。そして、全反射光学部材2の光結合要素6が近接配置された領域では、全反射面22における入射光の全反射条件が崩れ、光結合要素6に入射光が結合して取り出されて光路前方に出射される。一方、全反射光学部材2の全反射面22で光結合要素6が近接していない領域では、入射光が全反射され、実質的にこの全反射光学部材2を透過して光路前方に出射することはない。
【0120】
上記光結合要素6は、全反射光学部材2の全反射面22に接触する位置に移動可能に設けられるが、全反射面22に完全に接触させなくても十分に近接させるだけでもよい。この場合の近接距離はλ/10(λは波長)程度以下とすることで、接触時と同様な近接場光結合を生じさせることができる。
従って、上記表示素子100によれば、平面光源4から面状の光を全反射光学部材2に導入し、光結合要素6を全反射光学部材2の全反射面22に選択的に近接させることで、この近接させた光結合要素6から光を光路前方に出射させ、所望の表示を行うことができる。
【0121】
以下に上記表示素子100の各構成要素について詳細に説明する。
まず、全反射光学部材2を説明する。
図2に全反射光学部材2の具体的な一構成例を示した。図2に示すように全反射光学部材2は、入射光の導入側から光路を変化させる光学要素10、光路を選択する光学要素12、透明媒質14の順で積層された多層構造体となっている。この全反射光学部材2の透明媒質14の光路前方には透明媒質16(本実施形態では空気)が存在し、透明媒質14の屈折率n1(第1の屈折率)と透明媒質16の屈折率n2(第2の屈折率)との関係は、透明媒質14と透明媒質16との界面となる全反射面22における全反射条件を満足するように設定されている。例えば透明媒質14がガラス基板の場合は屈折率n1=1.5で、透明媒質16が空気の場合は屈折率n2=1.0となる。なお、全反射光学部材2を構成する各層は、入射光の波長域に対して実質的に吸収されることがなく、入射光及び全反射面22で全反射された入射光の損失を抑止して高効率な光学部材を構成している。
【0122】
光路を変化させる光学要素10は、屈折、回折、光拡散、光反射等を利用して光路を変化させる光学要素であり、一例として次の種類の光学要素を使用できる。屈折を利用する場合は、レンズアレイ、プリズムアレイ、屈折率分散体等が用いられ、入射光の強度が実質的に低下しない。回折を利用する場合は、図3に示す透過型の回折格子が用いられ、体積ホログラム(図3(a)参照)、レリーフ型回折格子(図3(b)参照)や屈折率変調型回折格子(図3(c)参照)等の位相変調型回折格子、振幅変調型回折格子等が用いられ、高精度に入射光光路の角度を設定できる。各光学要素は、例えばフォトポリマー法や射出成形法によって大量転写生産が可能である。
【0123】
また、光拡散を利用する場合は、図4に示す光拡散板が用いられ、多孔質体(図4(a)参照)、異なる屈折率を有する物質20が分布・分散した異種屈折率分布体・分散体(図4(b)参照)、表面が凹凸に形成された光拡散体又は散乱体(図4(c)参照)等が用いられる。さらに、光反射を利用する場合は、任意の方向に反射する微小反射体の分散体等が用いられる。いずれの光学要素も量産に適しており、容易にコストダウンが可能である。
【0124】
光路を選択する光学要素12は、この光学要素12から出射される選択透過光の実質的全てが、入射光光路前方の層における全反射臨界角より大きい角度成分を有し、その他の角度成分の入射光は選択的に反射されて透過されないものである。即ち、透明媒質14と透明媒質16との界面で全反射を生じさせる条件である全反射臨界角θCより大きい角度成分の入射光だけが光路を選択する光学要素12を透過し、他の角度成分の入射光に対しては遮光される。なお、全反射臨界角θCは(1)式により求められる。
θC=sin-1(n2/n1) (1)
【0125】
具体的な光路を選択する光学要素12の一構成例としては、誘電体多層膜からなる光干渉フィルタが挙げられる。この光干渉フィルタの層構成を図5に示した。
光干渉フィルタは、高屈折率材料と低屈折率材料を順次積層して構成された誘電体多層膜であって、その光学特性としては、詳細は後述するが、入射光をその波長によって選択的に反射する機能を有し、入射角に応じて選択反射する波長が短波長側にシフトする特性を有する。いま、入射光の波長域をλiS〜λiL(λiS<λiL)としたとき、光学要素12から出射される選択透過光の出射角が全反射臨界角θC以下の角度成分の光に対しては、波長域λiS〜λiLの入射光の実質的全てを選択的に反射する。この構成によれば、大面積かつ簡単な構成で任意の波長選択が可能な反射膜が形成でき、その反射波長の入射角依存性を利用して容易に光路を選択する光学要素12を形成することができる。なお、上記光干渉フィルタは、誘電体多層膜の層構成に金属膜を追加した金属/誘電体多層膜としてもよい。なお、誘電体多層膜等からなる光干渉フィルタは、EB蒸着(電子ビーム共蒸着)、スパッタ等で透明支持基板上に複数の薄膜材料を成膜することで形成可能である。また、前記薄膜材料は、異なる屈折率を有する有機多層膜、又は無機物を含有する有機多層膜でもよく、この場合は塗布、ラミネート等により、より低コストで形成可能である。
【0126】
ここで、光路を変化させる光学要素10と光路を選択する光学要素12の光学的性質について詳述する。
まず、光路を変化させる光学要素10が、例えば屈折により光路を変化させる場合を考える。図6に示すように、光路を変化させる光学要素(平均屈折率nt)、光路を選択する光学要素(平均屈折率ns)、透明媒質u(平均屈折率nu)、透明媒質v(平均屈折率nv)、全反射面の前方側の透明媒質w(平均屈折率nw)がこの順で配置された光学素子の場合、透明媒質vと透明媒質wとの界面が全反射面とすると、各々の界面での入射角と各媒質の平均屈折率の関係は(2)式のように表せる。
【0127】
nv・sinθv=nw
nu・sinθu=nv・sinθv=nw
ns・sinθs=nu・sinθu=nw
nt・sinθt=ns・sinθs=nw (2)
ここで、θt、θs、θu、θvは、それぞれの媒質内での光路角度である。
【0128】
従って、光路を変化させる光学要素10の条件としては、
sinθt>nw/nt
の条件を満たす角度θtの光を少なくとも含んで光路前方に出力する必要がある。好ましくは、この条件を満たす角度θtの光をできる限り多く含んで光路前方に出力する。なお、透明媒質wが空気の場合はnw=1となり、上記条件は、
sinθt>1/nt
となる。
【0129】
一方、光路を選択する光学要素12の条件としては、
sinθs>nw/ns
の条件を満たす光のみを透過させるように設定される。なお、透明媒質wが空気の場合はnw=1となり、上記条件は、
sinθs>1/ns
となる。
【0130】
次に、平面光源4を説明する。
平面光源4は、全反射光学部材2に面状の入射光を照射する。この入射光としては、コリメート光又は拡散光のいずれでも使用でき、また、全反射光学部材2の外部から入射する他に、全反射光学部材2内部に光源を有して発光させるものであってもよい。コリメート光の場合は、特定の入射角度成分の入射光を全反射光学部材2に供給することで光利用効率を向上できる一方、拡散光の場合は、任意の低コストな平面光源が使用できる。また、内部に光源を有する場合は、光源からの光が全反射光学部材2内部に直接的に導入されるため光の導入効率が向上し、光学素子と光源が一体形成できるため小型薄型化が図られる。一方、外部に光源を有する場合は、表示素子100の設計自由度が向上し、大型で任意の外部平面光源も利用することができ、高出力化が容易に行える。
【0131】
上記入射光としては、UV光、青色光や緑色光等の可視光、赤外光等の特定バンドの波長域の光が使用できる。
また、光源の種類としては、例えば、不活性ガスや水銀蒸気を封入した電子管である蛍光灯、水銀灯、ネオン管灯、クルックス管等の一般的に用いられ且つそのまま利用できる放電ランプや、コリメート光が容易に得られるレーザ光源や、安価で波長域の定まったLEDや、面状光が得られる無機又は有機ELや、白色光を発して目的に応じてフィルタリングすることで任意の波長成分が取り出せる白熱ランプや、CRT等の陰極線表示管であって表示素子へ導入する面状光が直接的に得られる陰極線ランプや、同じく平面状の表示管であって面状光が直接的に得られるFED等が使用できる。
【0132】
上記平面光源は、直接面状光が得られるもの以外は、例えば、複数の点光源や線光源を集結させることで面状光を形成したり、1本又は複数本の光ビームを偏向走査させることで面状光を形成する。また、単に点光源や線光源からの光を、拡散・散乱、屈折、回折等を行うフィルタを通すことで面状光を形成して照射するものであってもよい。
複数の点光源や線光源を集結させる方式としては、例えばLEDを縦横にマトリクス配置し、光量が均一となるように発光させる構成や、例えば蛍光管を並列配置させて発光させる構成のもの等が挙げられる。また、偏向走査させる方式としては、例えば半導体レーザやガスレーザ等のレーザビームを、ポリゴンミラー等により偏向走査させることで面状光を得る構成や、平面表示素子全体を真空封止して陰極線を走査させて蛍光体を励起発光させる構成のもの等が挙げられる。なお、レーザビームは複数の照射スポットを形成するマルチビームを用いることで、より効率的に面状光を得ることができる。いずれにせよ、平面光源と同等の面状光を得ることができれば点光源や線光源等のいずれの光源を用いることできる。
【0133】
さらに、光源からの光を全反射光学部材2に照射する際、予め面状光を形成して照射する以外にも、点光源や線光源による光をそのまま全反射光学部材2に対して順次走査させながら導入してもよい。この場合には、例えば上記したレーザビームの走査等が好適に利用できる。
【0134】
次に、光路を選択する光学要素12の特性を、図7〜図9を用いて詳細に説明する。
図7は光学要素12への入射光の入射角を示しており、図8は入射光の波長に対する光学要素12の分光透過率を入射角毎に示したグラフで、図9は光学要素12内外の光路を示す図である。
【0135】
まず、図7に示すように、光学要素12へ入射光を各入射角θ0,θ1,θ2,θ3で入射させた場合を考えると、図8に示すように光学要素12の分光透過率が変化する。即ち、入射角が全反射臨界角θC以下のθ0(0度)の場合は、分光透過率が入射光の波長域λiS〜λiLに対して略0%となって遮光状態(透過せずに反射される状態)となる。一方、入射角が全反射臨界角度θCより大きい場合は、入射角がθ1,θ2,θ3と大きくなるに従って、分光透過率の透過特性が短波長側にシフトするため透過光量が増加する。即ち、光路を選択する光学要素12への入射光の入射角が該光学要素12の面に対して浅い角度となるに従って、選択的に反射される入射光の波長が短波長側にシフトする。これにより、入射光の入射角度成分がθ0の光は透過せず、入射角度成分が特定の角度より大きいθ1,θ2,θ3の光がこの順に多く透過するようになる。そこで、光学要素12を、その分光特性が、所定の界面における全反射臨界角θCより大きい入射光成分だけが透過するように設計することにより、全反射条件を満足しない入射光成分を遮光して、全反射する入射光成分だけを光学要素12から選択的に出射させることが可能となる。
【0136】
上記のように、全反射面22における全反射臨界角θCより大きい入射光成分だけが透過するように設計された光学要素12を用いて全反射光学部材2を構成した場合の入射光光路を、図9を用いて説明する。
図9(a)は、光路を選択する光学要素12に入射された光が光学要素12で反射する光路Aと、光路を選択する光学要素12に入射された光が、光学要素12を透過して光路前方の透明媒質14と透明媒質16との界面となる全反射面22で全反射する光路Bとを示している。
【0137】
光路Aは、入射光の入射角θiが全反射面22における全反射臨界角θC以下の場合で、光学要素12は、このような入射角成分の光を透過させずにその表面で選択的に反射させる。このため、全反射臨界角θC以下の入射角度成分の光は光学要素12により光路前方に対して遮光される。
光路Bは、入射光の入射角θiが全反射面22における全反射臨界角θCより大きい場合で、光学要素12は、このような入射角成分の光を透過させる。このため、全反射臨界角θCより大きい入射角度成分の光は光学要素12を透過して透明媒質14に導入され、全反射面22で全反射される。
なお、図9(a)は、入射光が入射される側の屈折率naと透明媒質14の屈折率nbが等しく、光学要素12に対する入射角θiと全反射面22における入射角θSとが等しい場合を示している。
【0138】
一方、図9(b)は、入射光が入射される側の屈折率naと透明媒質14の屈折率nbが異なり、光学要素12に対する入射角θiと全反射面22における入射角θSとが異なる場合を示している。この場合の光学要素12は、全反射面22における入射角θSが全反射臨界角θCより大きくなるように設計される。
【0139】
上記のように設計された光路を選択する光学要素12を用いて全反射光学部材2を構成することにより、図1に矢印で光路を示すように、全反射光学部材2に導入されたコリメート光又は拡散光からなる面状の入射光が光路を変化させる光学要素10に入射されると、光の照射位置から拡散等により光路が変化する。そして、光路の変化した光が光路を選択する光学要素12に到達すると、透明媒質14と透明媒質16との界面となる全反射面22における全反射臨界角θCより大きい角度成分の入射光だけが光学要素12を透過し、他の角度成分の入射光は光学要素12の表面で光入射側に選択的に反射される。
【0140】
従って、全反射光学部材2に入射される光のうち、全反射面22で全反射する光だけが光路前方に導入され、この導入された光が全反射面22で全反射する。即ち、光路を選択する光学要素12においては、光学要素12から出射される透過光の実質的全てが、光路を選択する光学要素12より入射光光路前方の全反射面における全反射臨界角より大きい角度成分を有し、その他の角度成分の入射光は選択的に反射されて透過されない。なお、全反射面を有する媒質内において、導光、蓄積、閉じ込め等が行われることは実質的にない。
【0141】
また、光路を選択する光学要素12の表面で入射光導入側に反射された光の一部は、光路を変化させる光学要素10の光入射側の界面(反射層)で反射され、再度、光路を選択する光学要素12に投入される。この再投入された光は入射角度が大きくなり、全反射臨界角θCより大きくなって、光学要素12を透過して透明媒質14に導入される。
【0142】
次に、光結合要素6を説明する。
光結合要素6は、全反射面における入射光の全反射条件を崩し、光結合要素6に光を結合させて取り出し、光路前方に出射させるものである。この光結合要素6には、取り出した光の光路を変更する光路変更手段、特定波長成分を吸収する特定波長成分吸収手段が適宜設けられる。具体的には、例えば次の(1)〜(4)に示す種類のものが利用できる。
(1)屈折により光路を変更するもの又はその機能を有するもの
全反射面22に近接配置させることで取り出した出力光を、屈折によりその光路を変更するものであって、例えば、図10(a)に示すレンズアレイ、図10(b)に示すプリズムアレイ、図10(c)に示す屈折率分布レンズ体等が挙げられる。これらのレンズアレイ、プリズムアレイによれば、全反射光学部材2の全反射面22から取り出した出力光を集光或いは拡散させて異なる方向に出射させることができ、出力光に出射方向性を持たせたり、出射方向性をなくすことを出力光の強度を低下させることなく簡単な構成で行える。
【0143】
(2)透過型回折格子又はその機能を有するもの
取り出した光を透過させると共に回折により出射方向を変更する透過型回折格子としては、前述と同様の図3(a)に示す体積ホログラム、図3(b)に示すレリーフ型回折格子、図3(c)に示す屈折率変調型回折格子、また、振幅変調型回折格子等が挙げられる。これらの透過型回折格子によれば、出力光の出射角度を正確に設定することができる。また、例えばフォトポリマー法や射出成形法によって大量生産が可能となり、表示素子自体のコストダウンが図られる。
(3)光拡散体又は光散乱体或いはその機能を有するもの
取り出した光を拡散又は散乱させる光拡散体又は光散乱体としては、図11(a)に示す量産に適した多孔質体、図11(b)に示す高屈折率微粒子等の異なる屈折率を有する物質20の分散体又は分布体、図11(c)に示す表面に凹凸が形成された光拡散体又は光散乱体等が挙げられる。これらの光拡散体又は光散乱体によれば、拡散又は散乱により出力光を任意の方向に散らすことができ、出力光の出射方向性をなくすことができる。
【0144】
(4)入射光を吸収するもの又はその機能を有するもの
入射光を吸収するものとしては、画像データの記録された透過性画像フィルム等が挙げられる。全反射光学部材2の全反射面22から取り出した出力光を透過性画像フィルムにより特定波長成分を吸収させて出射することで、濃淡表示と特定色の発色を得ることができる。即ち、透過性画像フィルムに記録された画像様に表示が行える。このため、同一種の入射光であっても複数色の出射光を選択的に得ることができる。
【0145】
ここで、上述した全反射光学部材2,平面光源4,光結合要素6により構成した表示素子100の光変調動作を説明する。
図1に示す全反射光学部材2に平面光源4からの光が導入されると、光路を変化させる光学要素10及び光路を選択する光学要素12を透過した光が全反射光学部材2の全反射面22で全反射されることになる。そして、この全反射面22に光結合要素6が近接した領域では、全反射面22における全反射条件が崩されて、光結合要素6に全反射面22から光が取り出される。取り出された光は全反射光学部材2とは反対側の表示側に出射され表示光となる。一方、光結合要素6が全反射面22から離間した領域では、全反射面22で全反射されて表示側に出射されることはない。
このように、本実施形態の表示素子100は、光結合要素の構成が単純であるため、空隙ギャップ、膜均一性が大幅に低減でき、大面積化への実用性に優れた構成となっている。
【0146】
上記構成の表示素子100によれば、導光板や光導波路を使用することなく、低コストの構成で面状の光源からの入射光を面状のまま直接的に高効率で全反射光学部材2に導入するため、例えば入射光を端面側から導入する場合と比較して入射光の導入口を格段に広く採ることが可能となり、入射光との結合効率が向上し、表示素子100自体の薄型化に影響されることなく、高効率で面状の全反射光を導入することができる。これにより、光結合要素6が全反射面に近接配置された領域から、全反射面22から取り出された入射光を表示面側に高効率で出射することができる。従って、表示素子100の光路前方側の面では、光結合要素6の設けられた領域だけが光り、表示素子100から画像様に光が出射される。即ち、必要箇所だけに画像表示を行うことができる。また、この構成によれば、導光板や光導波路を使用する場合に生じるクロストークによる局所的な光量低下が防止され、表示画面の全面に亘って均等な明るさの表示が可能となる。
【0147】
そして、表示素子100内の各界面で反射される入射光の一部は、界面における反射等により光路前方に再投入されるため、表示素子100の高出力化も容易に達成できる。さらに、全反射光学部材2単体では透過光が実質的に生じないため、導入した光量が減衰することがなく、光利用効率を向上できる。なお、全反射光学部材2が空気(不活性ガスであってもよい)と接触する気体接触界面を全反射面とすることにより、全反射を生じさせる屈折率の層を別途設けることなく単純構造にできる。
また、平面光源の配置位置が自在に選択でき、数多くの光源を実装することが可能となり、光の出射輝度を向上できる。さらに、平面光源の入射光角度分布制限がなく、既存のバックライト光源が使用可能となる。なお、図示は省略するが、表示素子100の入射光導入側に、この表示素子100により反射された入射光を表示素子100側に再投入するための反射体を設けてもよい。これにより、光のリサイクルが行われ、光利用効率が向上して高効率化が図られる。
【0148】
次に、上述した表示素子を2次元配列して構成した本発明の第2実施形態を図12,図13を用いて説明する。
図12は可撓薄膜により形成した表示素子を2次元配列した平面表示素子の平面図で、図13は、図12のC−C断面図で(a)は非駆動時、(b)は駆動時の状態を示す図である。
図12及び図13に示すように、本実施形態の平面表示素子200は、全反射光学部材2の全反射面22上に光結合要素6がm行n列(m、nは整数)の2次元状に配列されている。即ち、全反射面22上には入射光に対して透明な信号電極32が列方向にそれぞれn列平行配置され、この信号電極32に直交する行方向に、同じく入射光に対して透明な走査電極34が信号電極の両側方に形成された一対の柱材36a,36bを介してm行平行配置されている。なお、走査電極34の信号電極32側には、電気絶縁性を有する光拡散層38が形成され、走査電極34と光拡散層38により可撓薄膜を形成している。
【0149】
電気絶縁性を有する光拡散層は、例えばSiO2、SiNx等の無機絶縁膜や、ポリイミド等の有機絶縁膜が使用可能である。また、可撓薄膜と信号電極の間の空隙形成には、空隙部に予め犠牲層を形成し、その上に可撓薄膜を形成してから最後に犠牲層をエッチング除去して空隙を得ることができる。可撓薄膜に光拡散性を付与する手段としては、フォトリソ・エッチング等により表面に凹凸を形成する方法や、屈折率の異なる微粒子を上記絶縁膜に分散する方法等で得られる。
【0150】
上記構成の平面表示素子200の光変調動作を説明すると、まず、図13(a)に示すように、信号電極32と走査電極34との間の電圧が非駆動電圧Voffのとき、可撓薄膜40はニュートラル状態の平面状を呈し、全反射光学部材2に導入された光は表示側に出射されない。
【0151】
一方、図13(b)に示すように、信号電極32と走査電極34との間に駆動電圧Vonを印加すると、信号電極32と走査電極34との間に静電気力が発生して可撓薄膜40は信号電極32に吸着される。すると、全反射光学部材2に導入された光は、可撓薄膜40が信号電極32に吸着された領域で全反射条件が崩れ、信号電極32及び可撓薄膜40を通じて取り出される。この取り出された光が表示側に出射されることになる。
【0152】
このように、上記構成の平面表示素子200によれば、可撓薄膜40と信号電極32とを電気機械動作により離反又は接触させることで導光拡散作用が得られ、この導光拡散作用を利用して光変調が可能となる。即ち、可撓薄膜40と信号電極32との間に空隙が形成されているときは、全反射光学部材2内の全反射条件が満足されて信号電極32からの光を遮断する一方、可撓薄膜40を信号電極32に接触させたときは、全反射条件が崩されて信号電極32からの光が可撓薄膜40側へ導光される。この導光された光を可撓薄膜40内の光拡散層38で拡散することで、可撓薄膜40からの光の出射が可能になる。
【0153】
次に、本発明の表示素子により紫外線を光変調し、蛍光体を励起発光させて表示を行う本発明の第3実施形態を説明する。
図14は、前述の平面表示素子の表示側に蛍光体を配置した励起発光型平面表示素子の平面図で、図15は、図14のD−D断面図で(a)は非駆動時、(b)は駆動時の状態を示す図である。
図14及び図15に示すように、本実施形態の励起発光型平面表示素子300は、前述の平面表示素子200の平面光源4を面状のUV光を照射するUV光平面光源5とし、全反射光学部材2の可撓薄膜40形成側に、蛍光体を透明基板44に形成した前面板46を対向配置した構成としている。
【0154】
前面板46には、平面表示素子200の信号電極32に対向させて三原色(R,G,B)の帯状の蛍光体42a,42b,42cを設けてある。また、これら帯状の蛍光体42a,42b,42cの間には、コントラスト比を向上させるブラックマトリクス48を配置している。この場合のブラックマトリクス48は、カーボン分散樹脂、クロム等の金属で形成できる。
この前面板46は、蛍光体発光波長を透過するガラス等の材料が使用される。また、蛍光体の可撓薄膜40側には、励起用紫外線を透過させ、蛍光体発光波長を反射する波長選択反射膜50を設けてあり、UV光平面光源からの光を透過させると共に、蛍光体からの発光を表示側に向けて反射させている。これにより表示光量の増大が図られる。この波長選択反射膜50としては、例えば誘電体多層膜や、コレステリック液晶材料が使用できる。
【0155】
これら信号電極32、走査電極34は、導入される光に対して透明な導電性材料で構成され、励起用紫外線を透過させる材料又はその光学特性を有するものが好ましく、具体的にはITO等が使用可能である。さらに好ましくはアルミ又はその合金、クロム、モリブデン、タンタル等の金属薄膜を前記透明な導電材料の端に積層して電極の抵抗を低くし、印加電圧の遅延を低減することができる。
【0156】
次に、上記構成の励起発光型平面表示素子300の光変調動作を説明すると、まず、図15(a)に示すように、信号電極32と走査電極34との間の電圧が非駆動電圧Voffのとき、可撓薄膜40はニュートラル状態の平面状を呈し、全反射光学部材2に導入されたUV光は前面板46側に出射されない。
【0157】
一方、図15(b)に示すように、信号電極32と走査電極34との間に駆動電圧Vonを印加すると、可撓薄膜40は静電気力によって信号電極32に吸着される。すると、全反射光学部材2に導入されたUV光は全反射条件が崩れるために信号電極32及び可撓薄膜40を通じて取り出され、前面板46側に出射される。出射されたUV光は、前面板46の波長選択反射膜50を透過して蛍光体42a,42b,42cに選択的に照射され、蛍光体を励起発光させる。これにより生じた励起光(R,G,B色)は表示側に出射され、また、表示側後方に向いた励起光は波長選択反射膜50により表示側に反射されて出射される。
【0158】
このように、上記構成の励起発光型平面表示素子300によれば、可撓薄膜40と信号電極32とが電気機械動作により離反して、双方の間に空隙が形成されているときは、全反射光学部材2内の全反射条件が満足されて信号電極32からの光を遮断する。一方、可撓薄膜40が信号電極32に接触しているときは、全反射条件が崩されて信号電極32からの光が可撓薄膜40を通じて前面板46側に出射され蛍光体42a,42b,42cを選択的に励起発光させる。これにより、任意の位置の蛍光体を選択的に発光制御することができ、また、面状に導入されたUV光をそのまま蛍光体に照射して可視3原色を発光させるので、例えば液晶表示素子のように白色光源を色吸収型のカラーフィルタで3原色化する場合と比べて光利用効率を高めて、任意のパターンのカラー平面画像を表示できる。
【0159】
また、上記構成による2次元配列された光変調素子は、可撓薄膜の形状と弾性定数等の機械的物性、可撓薄膜と全反射面との空隙距離等を適宜選択することで、印加電圧に対する変位特性にヒステリシスを有する。
このヒステリシス特性を利用して、信号電極32と走査電極34に適宜電位を印加することにより、TFT等のアクティブ素子を用いることなく2次元配列された任意の画素の透過率を高コントラストで制御することが可能となる。即ち、所謂パッシブマトリクス駆動が可能である。パッシブマトリクス駆動とは、格子状に走査電極と信号電極とを配置して、これを時分割でON/OFF制御することで交点部分の画素を駆動する表示方式であって、代表的な例としてSTN(Super Twisted Nematic)がある。
【0160】
このように、光変調素子を一般的に用いられるパッシブマトリクス駆動手段に接続して各電極32,34へ電位を印加することで、安価で大面積な平面表示素子が実現できる。さらに、可撓薄膜と全反射面との空隙を1μm程度とすることで、低電圧で高速の光変調が可能となり、特に透過率を2値で変調し、1フィールド時間内に透過させる時間をデジタル的に制御することにより、動画表示に適した高品位の階調が安定して得られる。また、蛍光体発光による表示なので視野角依存が無く高画質表示が得られる。
【0161】
次に、本発明の表示素子により紫外線を光変調し、蛍光体を励起発光させて表示を行う本発明の第4実施形態を説明する。
図16は、前述の励起発光型平面表示素子の蛍光体を可撓薄膜上に形成した本実施形態の励起発光型平面表示素子の一部を示す断面図で、(a)は非駆動時、(b)は駆動時の状態を示す図である。
図16(a)に示すように、本実施形態の励起発光型平面表示素子400は、前面板を設けることなく、蛍光体52a,52b,52cを可撓薄膜40上に直接形成することで、構成及び成形工程の簡略化を図っており、一層の薄型化と低コスト化が達成される。なお、蛍光体52a,52b,52cのそれぞれの間にブラックマトリクスを設けることで、表示画像のコントラストを高めている。
【0162】
なお、上記第3実施形態、第4実施形態では、入射光としてUV光を用い、その透過光により励起発光するG(緑色)、R(赤色)の蛍光体を使用してフルカラー表示を行ったが、この他には、入射光として青色(主な波長域は400〜500nm)とし、この青色光で励起発光するG(緑色)、R(赤色)の蛍光体を使用してもよく、これらの組合せは上記例に限らない。入射光として青色のような可視光を使用することにより、UV光に耐性のない有機材料等を本発明の素子を構成する材料として使用可能にできる。
【0163】
また、可撓薄膜又はその光路前方に蛍光体を設け、この蛍光体のさらに光路前方に、蛍光体の発光波長成分を透過すると共に入射光の波長成分を遮光させる光学フィルタを設けてもよい。この構成によれば、例えば入射光としてUV光を用いた場合に、その透過光(漏れ光)が表示側(観測者側)へ出射されることを防止できる。
さらに、上記光学フィルタに代えて、蛍光体の発光波長成分を透過すると共に入射光の波長成分を遮光させる光学フィルタを設けてもよい。この構成によれば、例えば蛍光体の発光波長が可視光域の場合、可視光を吸収するNDフィルタ(透過率20〜70%程度)を表示側(観測者側)に設けることにより、明るい場所であっても高いコントラストで表示が行える。
【0164】
次に、上述した表示素子の光結合要素を液晶により形成し、電気光学的に光変調を行う本発明の第5実施形態を説明する。
図17に本実施形態の光結合要素の概念的な構成と、光変調作用を説明する図を示した。本実施形態の光結合要素7では、全反射光学部材2の全反射面に信号電極32を、この信号電極32に対峙して走査電極34をそれぞれ設けると共に、これら信号電極32と走査電極34との間に、信号電極32界面で全反射条件を満足する屈折率ncと全反射条件を崩す屈折率ndに変調可能な液晶層54を介装している。
【0165】
図17(a)は、各電極へ非駆動電圧Voffを印加した状態で、図17(b)は、各電極へ駆動電圧Vonを印加した状態を示している。非駆動電圧Voffを印加した状態では、信号電極32と液晶層54との界面では、全反射条件を満足するように液晶層54の屈折率が設定されるため、全反射光学部材2に導入された光は界面で全反射する。また、駆動電圧Vonを印加した状態では、液晶層54の屈折率がncからndに変化して、界面における全反射条件が崩れ、全反射光学部材2に導入された光が取り出され、表示側に出射される。
【0166】
このように、上記構成の光結合要素によれば、液晶層54の屈折率を変調させる駆動電圧制御によって光変調を行うことができ、従来の偏光板を使用する液晶変調素子と比べ、高効率な変調を行うことができる。
【0167】
また、本実施形態の変形例として、光結合要素を前述の液晶層に替えてPLDC(ポリマー分散型液晶)を用いて表示素子を構成することができる。
図18にPLDCを用いた光結合要素の概念的な構成と、光変調作用を説明する図を示した。本実施形態の光結合要素8では、全反射光学部材2の全反射面に信号電極32を、この信号電極32に対峙して走査電極34をそれぞれ設けると共に、これら信号電極32と走査電極34との間にPLDC層56を介装している。PLDC層56は、高分子ネットワークを有するポリマー層58内に液晶層が封入された微小なマイクロカプセル60を分散したものである。このPLDC層56は、電極間電圧が非駆動電圧Voffのときは、液晶が不規則に並んで光が拡散されるため、導入された光は表示側に出射する。また、電極間電圧が駆動電圧Vonのときは、液晶分子が整列するため、導入された光は液層層内を直進し、層前方の界面で全反射され、その結果、表示側には出射されない。これにより、光のオンオフ制御が行える。
【0168】
次に、以上説明した表示素子、平面表示素子、励起発光型平面表示素子に使用される全反射光学部材の他の実施形態を以下に説明する。
まず、光路を選択する光学要素として、前述の光干渉フィルタに代えてブラッグ反射フィルタを用いた本発明の第5実施形態を説明する。
図19に光路を選択する光学要素13を液晶膜により構成した例を示した。この場合の光路を選択する光学要素13は、ITO等からなる一対の透明電極26と、その内側に形成された配向層28と、配向層28に囲まれたコレステリック液晶層30とからなる。
【0169】
この構成のコレステリック液晶層30によるフィルタリング効果を以下に説明する。コレステリック液晶層30は、コレステリック液晶分子が層に対して平行に配向され、層の垂直方向に対して螺旋構造を呈している。
コレステリック液晶層30の常光屈折率をno、異常光屈折率をne、複屈折率をΔn、平均屈折率をnとすると、複屈折率Δnは(3)式で表せる。
【0170】
Δn=ne−no (3)
また、平均屈折率nは、近似的に(4)式により表せる。
n=(ne+no)/2 (4)
【0171】
さらに、コレステリック液晶層30の螺旋ピッチをP[nm]とした場合、コレステリック液晶層30はブラッグ反射の原理で選択的に反射する特性を示す。即ち、入射角θ[deg]でコレステリック液晶層30に入射した光が選択的に反射された場合の入射光の中心波長λ(θ)[nm]は(5)式で表せる。
λ(θ)=λ(0)・cos[sin-1(sinθ/n)] (5)
【0172】
ただし、入射光は空気(屈折率=1)から入射させるものとする。ここで、λ(0)[nm]は入射角がθ0、即ち、層に対して垂直入射したときの中心波長であり、(6)式で表せる。
λ(0)=n・P (6)
また、反射波長幅Δλ[nm]は(7)式で表せる。
Δλ=Δn・P (7)
【0173】
従って、コレステリック液晶層30の物性値である常光屈折率no、異常光屈折率ne、螺旋ピッチPを制御して層を形成することにより、入射角θに応じて変化する任意の反射中心波長λ(θ)と、所望の反射波長幅Δλを有した光学フィルタを形成できる。例えば、螺旋ピッチPの調整は、螺旋ピッチの異なる2種以上の材料を混合して調整する等の製法により可能である。
さらに、対象とする入射光の波長域が広い場合は、コレステリック液晶層の選択反射波長域も広げる必要がある。この場合は、螺旋ピッチが厚み方向で連続的に異なるように液晶を配向させることで反射波長域を広げることができる。また、異なる選択反射波長域のコレステリック液晶層を積層することによっても反射波長域を広げることができ、本発明の光路を選択する光学要素として使用可能である。
【0174】
なお、このコレステリック液晶層30は、次のようにして製造できる。
コレステリック液晶を成膜する支持体上にポリイミド配向膜を塗布、乾燥し、ラビングによる表面処理を行う。これにより、ポリイミド配向膜が形成される。この上に、低分子コレステリック液晶、又はネマチック液晶とねじれを発現させるカイラル剤の混合物、高分子モノマー、光重合開始剤を有機溶剤で混合させた調整液により塗布した後、適当な温度で配向させる。その後、必要な部分に紫外線を露光して光重合させ、現像により不要部分を除去する。最後に高温ベークを行って安定させる。
ねじれ方向及び反射入射角度を制御するためには、コレステリック液晶、カイラル剤、及び各々の濃度を適宜変更すればよい。
【0175】
また、高分子コレステリック液晶を用いて成膜することも可能である。この場合は、上記同様にポリイミド配向膜の上に高分子コレステリック液晶と光重合開始剤を有機溶媒で混合させた調整液により塗布した後、適当な温度で配向させ、必要な部分に紫外線を露光して光重合させる。反射入射角度は、配向温度を適宜選択することで制御でき、光重合により安定化する。
【0176】
ここで、この構成の光路を選択する光学要素13による分光透過率を図20に示した。このコレステリック液晶層は、左ねじれコレステリック液晶層と右ねじれ液晶層を重ねた例で、反射波長域では全偏光成分を反射する。入射角が全反射臨界角度θC以下のθ0(図7参照)の場合では分光透過率が入射光の波長域λiS〜λiLに対して略0%となって遮光状態となるが、入射角が全反射臨界角θCより大きい角度で、θ1,θ2,θ3と大きくなるに従って、分光透過率の透過特性が短波長側にシフトするため透過光量が増加する。これにより、入射光の入射角度成分がθ0の光は透過せず、入射角度成分が特定の角度より大きいθ1,θ2,θ3の光がこの順に多く透過するようになる。そこで、光学要素12の分光特性を所定の界面における全反射臨界角θCより大きい入射光成分だけが透過するように設計することにより、全反射条件を満足しない入射光成分を選択的に除去して、全反射する入射光成分だけを光学要素12から出射させることが可能となる。
【0177】
この構成によれば、前述の光干渉フィルタを用いた場合と同様な作用効果が得られると共に、より低コストで光路を選択する光学要素13を実現することができる。
【0178】
また、コレステリック液晶層30については、その螺旋構造が右ねじれの場合、右円偏光成分の光を反射し、螺旋に沿った左円偏光成分の光を透過させる。一方、螺旋構造が左ねじれの場合、左円偏光成分の光を反射し、右円偏光成分の光を透過させる。従って、全偏光成分の光を反射、即ち、透過させない場合は、左ねじれ(又は右ねじれ)コレステリック層と逆の右ねじれ(左ねじれ)コレステリック層を順次重ねる構造にすることにより、全偏光を反射させることができる。
【0179】
上記コレステリック液晶以外で、ブラッグ反射の機能を有する光学要素としては体積ホログラムが有効である。体積ホログラムはフィルム内に形成された格子状の屈折率分布によりブラッグ反射機能を有し、特定の波長を反射する。また、入射角が大きくなると反射波長は短波側にシフトし、光路選択膜として機能する。体積ホログラムは、ホログラム用写真感材、相分離型フォトポリマー、HPDLC(ホログラフィック高分子分散液晶)、フォトリソグラフィ材料等を感光材料とし、これに多光束干渉露光を行うことにより形成可能である。
【0180】
次に、前述の光干渉フィルタやブラッグ反射フィルタを用いることなく、さらに単純で安価な構成で全反射光学部材を形成した本発明の第6実施形態を説明する。
本実施形態においては、全反射光学部材がプリズムを用いて形成されている。この場合の全反射光学部材の構成例を図21に示した。本変形例の全反射光学部材3は、凹凸面を入射光導入側に有するマイクロプリズムアレイ64からなる。図21(a)にマイクロプリズムアレイ64を光の入射面側から見た平面図を、図21(b)に(a)のP−P断面における断面図を示した。
マイクロプリズムアレイ64は、平板状であって、その上面を平滑な全反射面66とする一方、下面を断面山型の凹凸からなるプリズム68を平行に複数配列した形状となっている。
【0181】
このマイクロプリズムアレイ64の材料としては、ガラス、樹脂等を用いることができ、特に量産性からは樹脂が好ましい。樹脂としては、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、スチレン系、塩化ビニル系等が光学的に好ましく、さらに、樹脂材料には、光硬化型、光溶解型、熱硬化型、熱可塑型等があり、適宜選択可能である。
【0182】
マイクロプリズムアレイ64の製法としては、金型によるキャスト法や加熱プレス成形、射出成形、印刷法又はフォトリソグラフィ法が生産性から好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂をマイクロプリズム形状の金型でプレスすることにより成形可能である。また、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を金型に充填し、その後、光又は熱によって樹脂を硬化させ、金型から取り外すことでも成形可能である。
【0183】
フォトリソグラフィ法としては、光溶解樹脂又は光硬化性樹脂に適宜パターニングされた遮光マスクを介して紫外線(又は可視光線)を露光し、それぞれ露光部の溶解現像又は未露光部の溶解現像を行うことにより形成される。樹脂材料と露光量分布により所望の形状のマイクロプリズムを得ることが可能である。また、樹脂材料によっては、現像後に高温ベーク処理を行い、熱軟化時の表面張力により所望の形状のマイクロプリズムアレイ64を得ることが可能である。
また、入射光は特定の入射角度範囲に収まった面状の光であり、図21(b)に示すように、入射角θiで全反射光学部材3に入射させている。
【0184】
本実施形態の全反射光学部材3によれば、マイクロプリズムアレイ64周囲の媒質16が空気(屈折率n2=1)で、マイクロプリズムアレイ64が透明樹脂(屈折率n3=1.5)からなる場合、全反射面52における全反射臨界角θCは、前述の(1)式と同様にして求められ、42[deg]となる。
そこで、本実施形態では、全反射面52に対する入射角θをθ≧θCとするために、プリズムの頂角αは90[deg]前後で、左右開き角は45[deg]前後に設定している。この場合、入射光がプリズム外部から入射されるとき、その入射光の入射角θiは45[deg]前後となる。この条件下では、光学的ケラレも実質的になく、高効率で入射光を全反射面52で全反射させることができる。なお、プリズムの頂角αはこれに限定されることはない。
このように、容易に且つ安価に量産可能なマイクロプリズムアレイ64を用いて、面状に照射される入射光を導入することにより、導入された入射光の実質的全てを全反射させることができる。
【0185】
なお、このマイクロプリズムアレイ64の光路前方にガラスや樹脂等の透明媒質を設けた構成としてもよい。この場合の全反射光学部材の断面構成を図22に示した。
この構成によれば、面状の入射光がマイクロプリズムアレイ64に照射され、マイクロプリズムアレイ64によりプリズムの頂角α等により設定される所定の入射角度成分の入射光が透明媒質70内に導入される。そして、導入された入射光は高効率で透明媒質70の全反射面72で全反射される。このため、前記同様に導入された入射光の実質的全てを透明媒質70の全反射面72で全反射させることができる。
【0186】
さらに、このマイクロプリズムアレイ64と透明媒質70とを接合した構造体の光路前方にマイクロプリズムアレイ64の光入射角に応じた角度に光路を変化させる光学要素を設けて全反射光学部材を構成することもできる。
この場合の全反射光学部材3の断面構成を図23に示した。全反射光学部材3は、入射光の導入側から、ガラス基板や透明樹脂等の透明媒質14、透過型回折格子等の光路を変化させる光学要素10、マイクロプリズムアレイ64,透明媒質70の順で積層される。そして、入射光は特定の入射角度範囲に収まった面状の光である。光路を変化させる光学要素10は、透過型回折格子とした場合、好ましくは体積ホログラムを使用できるが、レリーフ型回折格子や屈折率分布型回折格子若しくは振幅変調型回折格子であってもよい。
【0187】
この構成によれば、コリメート光である面状の入射光が全反射光学部材3に照射されると、入射光は透明媒質14を透過して、光路を変化させる光学要素10によりマイクロプリズムアレイ64の頂角α等により設定される所定の入射角度成分の光に光路が変換される。即ち、透明媒質70の全反射面72における全反射条件を満足する角度に光路が変換される。換言すると、光路を変化させる光学要素10は、入射光が透明媒質70の全反射面72で全反射する入射角度となるように設計されている。このように、導入される入射光を透明媒質70の全反射面72で全反射させることが可能となる。
【0188】
ここで、上記各実施形態に用いられる全反射光学部材2の他の構成例を図24を用いて簡単に説明する。
まず、図24(a)に示す全反射光学部材は、入射光の導入側から、光路を変化させる光学要素10、全反射面を有する透明媒質14がこの順で積層された構造体である。この全反射光学部材は、透明媒質14の光路前方の全反射面22で入射光が全反射されるように光路を変化させる光学要素10が設計されている。
この全反射光学部材によれば、入射光が照射されると、光路を変化させる光学要素10によって、透明媒質14の全反射面で全反射する入射角度成分に光路が変更される。この光路を変更された透過光が全反射面22で全反射される。
【0189】
次に、図24(b)に示す全反射光学部材は、入射光の導入側から、光路を変化させる光学要素10、透明媒質14、全反射面を有する光路を選択する光学要素12がこの順で積層された構造体である。この全反射光学部材は、光路を選択する光学要素12の光路前方の全反射面で入射光が全反射されるように光路を変化させる光学要素12が設計されている。
この全反射光学部材によれば、入射光が照射されると、光路を変化させる光学要素10によって入射光の光路が変更される。これにより、全反射面で全反射する入射角成分となった光は、光路を選択する光学要素12に導入されて全反射面で全反射される。一方、これ以外の入射角成分の光は、光路を選択する光学要素12に導入されずに選択的に反射され、入射光導入側に戻される。
【0190】
さらに、図24(c)に示す全反射光学部材は、図24(b)に示す全反射光学部材の光路前方に透明媒質14の屈折率より低い屈折率を有する透明媒質24を設けた構成としている。この場合は、光路を選択する光学要素12が透明媒質24の光路前方の全反射面で入射光を全反射するように設計されている。
この全反射光学部材によれば、光路を変化させる光学要素10と透明媒質14を通じて入射光が導入されると、光路を選択する光学要素12に導入された入射光が、透明媒質24の光路前方の全反射面で全反射される。一方、これ以外の入射角成分の光は、光路を選択する光学要素12に導入されずに選択的に反射され、入射光導入側に戻される。
【0191】
次に、図24(d)に示す全反射光学部材は、入射光の導入側から、光路を選択する光学要素12、全反射面を有する透明媒質14がこの順で積層された構造体である。この全反射光学部材は、透明媒質14の光路前方の全反射面で入射光が全反射されるように光路を選択する光学要素12が設計されている。
この全反射光学部材によれば、入射光が照射されると、光路を選択する光学要素12によって、透明媒質14の全反射面で全反射する入射角度成分の光だけがこの光学要素12が透過される。この透過光が全反射面で全反射される。一方、全反射条件を満足しない入射光成分は、光路を選択する光学要素12で選択的に反射され、実質的に全反射光学部材を透過することはない。
【0192】
次に、図24(e)に示す全反射光学部材は、入射光の導入側から光路を変化させる光学要素10、光学的接着層となる光学的接続媒質18、光路を選択する光学要素12、透明媒質14がこの順で積層された構造体である。この全反射光学部材によれば、入射光が照射されると、光路を変化させる光学要素10によって透明媒質14の全反射面で全反射する入射角度成分に光路が変化される。この光路が変化された光が全反射面で全反射する。一方、全反射条件を満足しない入射光成分は、光路を選択する光学要素12で選択的に反射され、実質的に全反射光学部材を透過することはない。
【0193】
次に、図24(f)に示す全反射光学部材は、入射光の導入側から透明媒質14、光路を変化させる光学要素10、光路を選択する光学要素12がこの順で積層された構造体である。この全反射光学部材によれば、入射光が照射されると、透明媒質14を通して光路を変化させる光学要素10に入射光が導入され、光路を変化させる光学要素10によって全反射面で全反射する入射角度成分に光路が変化される。一方、全反射条件を満足しない入射光成分は、光路を選択する光学要素12で選択的に反射され、実質的に全反射光学部材を透過することはない。
【0194】
上記各構成の全反射光学部材であっても、前述した各実施形態の全反射光学部材に適用でき、同様の作用効果を奏することができる。なお、全反射光学部材の層構成は、上述の主旨に添った機能を奏すれば、特に限定されるものではない。
【0195】
ここで、全反射光学部材の具体的な一構成例と、その構成例における光学部材の分光透過率をシミュレーションにより求めた結果を説明する。
図25に全反射光学部材の一構成例を示した。この場合の全反射光学部材は、入射光の導入側から、光路を変化させる光学要素としての光拡散フィルム(屈折率n=1.5)、光路を選択する光学要素としての誘電体多層膜、ガラス基板(屈折率n=1.5)の順に積層されている。なお、ガラス基板の光路前方には、空気(屈折率n=1.0)が存在する。
誘電体多層膜は、TiO2/SiO2/…/SiO2/TiO2なる29層構造の多層膜とし、各層の光学厚は1/4λ(ただし、波長λ=440[nm])に設定した。また、入射光は、図26に示す波長λ=350〜400[nm]のUV光源を用いた。そして、この場合の全反射臨界角θCは約40[deg]となる。
【0196】
上記条件の下で光学部材(誘電体多層膜)の分光透過率を求めたところ、図27、図28に示す結果を得た。図27は波長λに対する分光透過率Tの変化を入射角θ毎に示したグラフで、図28は入射角θに対する分光透過率Tを波長λ毎に示したグラフである。
図27(a)に示すように、入射角θが0[deg]の場合は、UV光源の波長域における分光透過率Tが略0[%]となっており、光学部材から透過されることはない。また、図27(b)に示す入射角θが全反射臨界角θCの直前となる40[deg]の場合も光学部材から透過されることはない。図27(c)に示す入射角θが70[deg]の場合は、P波に対しては略100[%]の分光透過率で、S波に対しては略0[%]となり、P波とS波の平均は約50[%]となっている。
【0197】
また、図28(a)に示すように、UV光源の波長域における短波長側の波長λ=350[deg]の場合は、P波に対しては入射角θが約50[deg]以上から分光透過率が向上しており、図28(b)に示す中心波長λ=375[nm]の場合は、入射角θが約46[deg]以上から分光透過率が向上し、さらに、図28(c)に示す長波長側の波長λ=400[nm]の場合は、入射角θが約42[deg]以上から分光透過率が向上している。
従って、P波を用いて光学部材で全反射させたり、光学部材の諸条件を変更してS波の分光特性をP波に近い特性に適宜設計することにより、UV光源の波長域の入射光を、その入射角θが全反射臨界角θC以下の角度では選択的に反射させ、且つ、全反射臨界角θCより大きい角度では透過させることができる。これにより、光学部材の誘電体多層膜を光路を選択する光学要素sとして実用上十分に機能させることができる。
【0198】
なお、前述では誘電体多層膜の例としてTiO2/SiO2からなる多層膜を挙げたが、対象とする光の波長に対して適宜その材料を選択することが好ましい。例えば、
可視光、赤外線に対しては、
・高い屈折率材料(屈折率が概ね1.8以上の材料)として、
TiO2,CeO2,Ta25,ZrO2,Sb23,HfO2,La23,NdO3,Y23,ZnO,Nb25
・比較的高い屈折率材料(屈折率が概ね1.6〜1.8の材料)として、
MgO,Al23,CeF3,LaF3,NdF3
・低い屈折率材料(屈折率が概ね1.5以下の材料)として、
SiO2,AlF3,MgF2,Na3AlF6,NaF,LiF,CaF2,BaF2
等が好ましい。
【0199】
紫外線に対しては、
・高い屈折率材料(屈折率が概ね1.8以上の材料)として、
ZrO2,HfO2,La23,NdO3,Y23
又は、
TiO2,Ta25,ZrO2
(但し、光の波長が概ね360nm〜400nm)
・比較的高い屈折率材料(屈折率が概ね1.6〜1.8の材料)として、
MgO,Al23,LaF3,NdF3
・低い屈折率材料(屈折率が概ね1.5以下の材料)として、
SiO2,AlF3,MgF2,Na3AlF6,NaF,LiF,CaF2
等が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】本発明に係る光変調素子の搭載された表示素子の概略的な構成を示す図である。
【図2】全反射光学部材の具体的な一構成例を示す図である。
【図3】透過型の回折格子を示す図であって、(a)は体積ホログラム、(b)はレリーフ型回折格子、(c)は屈折率変調型回折格子である。
【図4】光拡散板を示す図であって、(a)は多孔質体、(b)は異なる屈折率を有する物質が分布・分散した異種屈折率分布体・分散体、(c)は表面が凹凸に形成された光拡散体又は散乱体である。
【図5】光干渉フィルタの層構成を示す図である。
【図6】光路を変化させる光学要素、光路を選択する光学要素、透明媒質u、透明媒質v、全反射面の前方側の透明媒質wがこの順で配置された光学素子に対し、各界面における入射角と各媒質の平均屈折率の関係を示す図である。
【図7】光を選択する光学要素への入射光の入射角度を示す図である。
【図8】入射光の波長に対する、光路を選択する光学要素の分光透過率を入射角毎に示したグラフである。
【図9】光路を選択する光学要素内外の光路を示す図である。
【図10】屈折により光路を変更する光結合要素を示す図であって、(a)はレンズアレイ、(b)はプリズムアレイ、(c)は屈折率分布レンズ体である。
【図11】取り出した光を拡散又は散乱させる光結合要素を示す図であって、(a)は多孔質体、(b)は高屈折率微粒子等の異なる屈折率を有する物質の分散体又は分布体、(c)は表面に凹凸が形成された光拡散体又は光散乱体である。
【図12】可撓薄膜により形成した表示素子を2次元配列した平面表示素子の平面図である。
【図13】図12のC−C断面図で(a)は非駆動時、(b)は駆動時の状態を示す図である。
【図14】平面表示素子の表示側に蛍光体を配置した励起発光型平面表示素子の平面図である。
【図15】図14のD−D断面図で(a)は非駆動時、(b)は駆動時の状態を示す図である。
【図16】本発明の第4実施形態に係る励起発光型平面表示素子であって、蛍光体を可撓薄膜上に形成した励起発光型平面表示素子の一部を示す断面図である。
【図17】本発明の第5実施形態に係る光結合要素の概念的な構成と、光変調作用を説明する図である。
【図18】PLDCを用いた光結合要素の概念的な構成と、光変調作用を説明する図である。
【図19】光路を選択する光学要素を液晶膜により構成した例を示す図である。
【図20】光路を選択する光学要素による分光透過率を示す図である。
【図21】本発明の第6実施形態に係る全反射光学部材であって、プリズムを用いて形成した構成例を示す図である。
【図22】マイクロプリズムアレイと透明媒質とを接合した全反射光学部材の断面構成を示す図である。
【図23】マイクロプリズムアレイと透明媒質とを接合した構造体の光路前方に、マイクロプリズムアレイの光入射角に応じた角度に光路を変化させる光学要素を設けて構成した全反射光学部材の断面構成を示す図である。
【図24】全反射光学部材の他の構成例をそれぞれ示す図である。
【図25】全反射光学部材の具体的な一構成例を示す図である。
【図26】入射光の波長域を示すグラフである。
【図27】波長λに対する分光透過率Tの変化を入射角θ毎に示したグラフである。
【図28】入射角θに対する分光透過率Tを波長λ毎に示したグラフである。
【図29】従来の導光板方式の平面表示素子の一部断面図である。
【図30】従来の平面表示素子の構成を示す図である。
【図31】図30の平面表示素子の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0201】
2,3 全反射光学部材
4 平面光源
5 UV光平面光源
6,7,8 光結合要素
10 光路を変化させる光学要素
12,13 光路を選択する光学要素
14 透明媒質
16 透明媒質(空気等)
20 異なる屈折率を有する物質
22,52,66,72 全反射面
26 透明電極
28 配向層
30 コレステリック液晶層
32 信号電極
34 走査電極
38 光拡散層
40 可撓薄膜
42a,42b,42c 蛍光体
44 透明基板
45 前面板
48 ブラックマトリクス
50 波長選択反射膜
54 液晶層
56 PLDC層
60 マイクロカプセル
64 マイクロプリズムアレイ
68 プリズム
70 透明媒質
100 表示素子
200 平面表示素子
300,400 励起発光型平面表示素子
θ0,θ1,θ2,θ3 入射角
θC 全反射臨界角
λ 波長




 

 


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