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発明の名称 液晶表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−47696(P2007−47696A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−234684(P2005−234684)
出願日 平成17年8月12日(2005.8.12)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 平方 純一
要約 課題
簡易な構成で左右方向の視野角を狭め、上下方向の視野角は広く正面の輝度低下の少ない液晶表示装置を提供する。

解決手段
電極を一方に有する対向配置された一対の基板と該基板間に挟持された所定の液晶層とからなる液晶セルと、液晶セルの外側にそれぞれ配置された偏光板からなる。偏光板の液晶セルに近い面上に光学異方性層が設けられる。電極を一方に有する対向配置された一対の基板と該基板間に挟持された所定の液晶層とからなる液晶セルと、液晶セルの外側にそれぞれ配置された偏光板を有し、その外側に一枚の光学異方性層を有する偏光板を配置した。光学異方性層は、液晶セルに近い面上に設けられ、ハイブリッド配向した化合物からなり、配向制御方向が、偏光膜のいずれか一つの吸収軸と略平行である。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも、電極を一方に有する対向配置された一対の基板と該基板間に挟持され電圧無印加時に前記一対の基板の表面に対して略平行に配向したネマチック液晶材料を含む液晶層とからなる液晶セルと、該液晶セルの外側にそれぞれ配置された偏光板からなる液晶表示装置であって、
前記偏光板は、少なくとも、偏光膜と該偏光膜の少なくとも一方の面に設けられた保護膜からなり、かつ少なくとも一方の偏光板の液晶セルに近い面上に光学異方性層が設けられ(但し、該光学異方性層は前記保護膜を兼ねる構成であってもよい)、
前記光学異方性層は、ハイブリッド配向した化合物からなり、かつ前記ハイブリッド配向した化合物の配向制御方向が、前記偏光膜のいずれか一つの吸収軸と略平行であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記光学異方性層が、液晶セルの両側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
少なくとも、電極を一方に有する対向配置された一対の基板と該基板間に挟持され電圧無印加時に前記一対の基板の表面に対して略平行に配向したネマチック液晶材料を含む液晶層とからなる液晶セルと、該液晶セルの外側にそれぞれ配置された偏光板を有し、さらにその外側に少なくとも一枚の光学異方性層を有する偏光板を配置した液晶表示装置であって、
前記偏光板は、少なくとも、偏光膜と該偏光膜の少なくとも一方の面に設けられた保護膜からなり、かつ液晶セルに近い面上に前記光学異方性層が設けられ(但し、前記光学異方性層は、該保護膜を兼ねる構成であってもよい)、
前記光学異方性層は、ハイブリッド配向した化合物からなり、かつ前記ハイブリッド配向した化合物の配向制御方向が、前記偏光膜のいずれか一つの吸収軸と略平行であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
前記光学異方性層の少なくとも1枚が、配向状態が外場によって変化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物を含み、かつ、
前記光学異方性層の厚さをd[μm]、
該光学異方性層中のハイブリッド配向した化合物の平均傾斜角をβ[°]、
該光学異方性層の面内レターデーションをQ[nm]とするとき、以下の式
0.5≦d≦3.0
20≦β≦90
10≦Q≦500
を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPS(In-Plane Switching)型に代表される平行配向型液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、少なくとも、液晶セルと偏光板からなる。そして、偏光板は、少なくとも、保護膜と偏光膜からなる。一般的に、偏光板は、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面に保護膜を積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シート(光学補償フィルム又は光学補償膜とも呼ばれる)を配置することもある。一方、反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シート、偏光板の順に配置するのが一般的である。液晶セルは、液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶性分子の配向状態の違いで、ON・OFF表示を行う。そして、当該液晶セルは、透過および反射型いずれにも適用でき、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、強誘電性液晶のような表示モードが提案されている。
【0003】
ところで、光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとして、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されている。また、延伸複屈折フィルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に低分子もしくは高分子液晶性分子から形成された光学補償シートを設ける方法も提案されている。液晶性分子を用いることで、その多様な配向形態を利用し、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することができる。さらに、偏光板の保護膜に複屈折性を付加することで、保護膜と光学補償シートを兼ねる構成も提案されている。
【0004】
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定することができる。液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。液晶性分子を用いた光学補償シートでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。
【0005】
液晶表示装置は視野角を広げることが重要であったが、近年さまざまな用途に液晶表示装置が使用されるようになり、例えば携帯電話や携帯端末(ノートパソコン)用表示装置では覗き見防止のために狭視野角が要求される場合もある。すなわち上下方向の視野角を拡大し、左右方向は視野角を狭めることが要求される。そのため光学補償シートを配置し、そのレターデーションを可変にして視野角を制御する方法や(特許文献1参照)、バックライトの出射光を絞りこんで左右方向視野角を狭くする方法(特許文献2参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2005−37784号公報
【特許文献2】特開2001−305312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような視野角制御フィルムでは上下方向の視野角拡大が不十分であったり、正面の輝度が低下する等の問題があった。
【0007】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、左右方向の視野角を狭め、上下方向の視野角は広く、正面の輝度低下の少ない液晶表示装置、特に、IPSやECB型の平行配向型液晶表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記課題を解決するために下記手段を採用した。
[1] 少なくとも、電極を一方に有する対向配置された一対の基板と該基板間に挟持され電圧無印加時に前記一対の基板の表面に対して略平行に配向したネマチック液晶材料を含む液晶層とからなる液晶セルと、該液晶セルの外側にそれぞれ配置された偏光板からなる液晶表示装置であって、
前記偏光板は、少なくとも、偏光膜と該偏光膜の少なくとも一方の面に設けられた保護膜からなり、かつ少なくとも一方の偏光板の液晶セルに近い面上に光学異方性層が設けられ(但し、該光学異方性層は前記保護膜を兼ねる構成であってもよい)、
前記光学異方性層は、ハイブリッド配向した化合物からなり、かつ前記ハイブリッド配向した化合物の配向制御方向が、前記偏光膜のいずれか一つの吸収軸と略平行であることを特徴とする液晶表示装置。
[2] 前記光学異方性層が、液晶セルの両側に配置されていることを特徴とする[1]に記載の液晶表示装置。
[3] 少なくとも、電極を一方に有する対向配置された一対の基板と該基板間に挟持され電圧無印加時に前記一対の基板の表面に対して略平行に配向したネマチック液晶材料を含む液晶層とからなる液晶セルと、該液晶セルの外側にそれぞれ配置された偏光板を有し、さらにその外側に少なくとも一枚の光学異方性層を有する偏光板を配置した液晶表示装置であって、
前記偏光板は、少なくとも、偏光膜と該偏光膜の少なくとも一方の面に設けられた保護膜からなり、かつ液晶セルに近い面上に前記光学異方性層が設けられ(但し、前記光学異方性層は、該保護膜を兼ねる構成であってもよい)、
前記光学異方性層は、ハイブリッド配向した化合物からなり、かつ前記ハイブリッド配向した化合物の配向制御方向が、前記偏光膜のいずれか一つの吸収軸と略平行であることを特徴とする液晶表示装置。
[4] 前記光学異方性層の少なくとも1枚が、配向状態が外場によって変化することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[5] 前記光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物を含み、かつ、
前記光学異方性層の厚さをd[μm]、
該光学異方性層中のハイブリッド配向した化合物の平均傾斜角をβ[°]、
該光学異方性層の面内レターデーションをQ[nm]とするとき、以下の式
0.5≦d≦3.0
20≦β≦90
10≦Q≦500
を満たすことを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、従来の液晶表示装置と同じ構成で、液晶セルを光学的に補償する機能を併せ持つ液晶表示装置を提供することが可能になった。さらに、本発明の液晶表示装置では、左右方向の黒表示時の輝度が上昇し、視野角が狭まり覗き見防止が可能となった。また上下方向視野角は、従来のIPSモード特有の広視野角を維持できた。さらに正面の輝度が低下することはなく、明るいIPS型液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
本明細書で用いられる用語について説明する。
(レターデーション、Re、Rth)
本発明において、正面レターデーションであるRe(λ)は、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。厚さ方向のレターデーションであるRth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーションの計3つの方向で測定したレターデーションと平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は「ポリマーハンドブック」(JOHN WILEY&SONS、INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
【0012】
(分子配向軸)
試料70mm×100mmを、25℃、65%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株))にて、垂直入射における入射角を変化させた時の位相差より分子配向軸を算出した。
(軸ズレ)
また、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株))で軸ズレ角度を測定した。幅方向に全幅にわたって等間隔で20点測定し、絶対値の平均値を求めた。また、遅相軸角度(軸ズレ)のレンジとは、幅方向全域にわたって等間隔に20点測定し、軸ズレの絶対値の大きい方から4点の平均と小さい方から4点の平均の差をとったものである。
【0013】
(透過率)
試料20mm×70mmを、25℃、60%RHで透明度測定器(AKA光電管比色計、KOTAKI製作所)で可視光(615nm)の透過率を測定した。
(分光特性)
試料13mm×40mmを、25℃、60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めた。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表した。吸収端は、透過率0.4%の波長で表した。これより380nmおよび350nmの透過率を評価した。
【0014】
本明細書において、「45度」、「平行」あるいは「垂直」とは、厳密な角度±5度未満の範囲内であることを意味する。すなわち、略45度、略平行、略垂直の意である。厳密な角度との誤差は、4度未満であることが好ましく、3度未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
【0015】
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板、および液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打抜き」および「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。さらに、本発明において、偏光板には、光学補償シートを含むことがある。また、本発明では、光学異方性層が該保護膜を兼ねることもできる。
【0016】
本発明の第一の態様の液晶表示装置は、
少なくとも、電極を一方に有する対向配置された一対の基板と該基板間に挟持され電圧無印加時に前記一対の基板の表面に対して略平行に配向したネマチック液晶材料を含む液晶層とからなる液晶セルと、該液晶セルの外側にそれぞれ配置された偏光板からなる液晶表示装置であって、
前記偏光板は、少なくとも、偏光膜と該偏光膜の少なくとも一方の面に設けられた保護膜からなり、かつ少なくとも一方の偏光板の液晶セルに近い面上に光学異方性層が設けられ(但し、該光学異方性層は前記保護膜を兼ねる構成であってもよい)、
前記光学異方性層は、ハイブリッド配向した化合物からなり、かつ前記ハイブリッド配向した化合物の配向制御方向が、前記偏光膜のいずれか一つの吸収軸と略平行であることを特徴とする液晶表示装置(以下、「液晶表示装置I」ともいう)
であり、
本発明の第二の態様の液晶表示装置は、
少なくとも、電極を一方に有する対向配置された一対の基板と該基板間に挟持され電圧無印加時に前記一対の基板の表面に対して略平行に配向したネマチック液晶材料を含む液晶層とからなる液晶セルと、該液晶セルの外側にそれぞれ配置された偏光板を有し、さらにその外側に少なくとも一枚の光学異方性層を有する偏光板を配置した液晶表示装置であって、
前記偏光板は、少なくとも、偏光膜と該偏光膜の少なくとも一方の面に設けられた保護膜からなり、かつ液晶セルに近い面上に前記光学異方性層が設けられ(但し、前記光学異方性層は、該保護膜を兼ねる構成であってもよい)、
前記光学異方性層は、ハイブリッド配向した化合物からなり、かつ前記ハイブリッド配向した化合物の配向制御方向が、前記偏光膜のいずれか一つの吸収軸と略平行であることを特徴とする液晶表示装置(以下、「液晶表示装置II」ともいう)
である。
以下、液晶表示装置IとIIを併せて本発明の液晶表示装置ということもある。
【0017】
以下、本発明の液晶表示装置の一実施形態の構成部材について順次説明する。
図1は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。
【0018】
図1において、液晶表示装置は、液晶セル5〜9と、液晶セルの両側に配置された一対の偏光板1および14とを有する。偏光板1は偏光膜および当該偏光膜を挟持するか、または液晶セルに近い面にのみ設けられた透明保護膜によって構成されている。なお、図1中では、上側偏光板1の偏光膜と当該偏光膜の上側に設けられた保護膜、あるいは下側偏光板14の偏光膜と当該偏光膜の下側に設けられた保護膜を一体化したもの(1a、14a)として示し、詳細構造は省略している。さらに、液晶セルと一対の偏光板との間には、光学補償能を有する、上側保護膜3(光学異方性層としての機能を有する)と、下側保護膜12と、ディスコティック化合物からなる光学異方性層10とが配置されている。上側偏光板1の上側保護膜(不図示)と、上側保護膜3は対をなし、即ち、上側偏光板1は部材1a〜4が一体的に積層された構造体として液晶表示装置に組み込まれる。一方、下側偏光板14の液晶セル側保護膜12は、光学異方性層10の支持体を兼ねていて、即ち、下側偏光板は部材10〜15が一体的に積層された偏光板14として液晶表示装置に組み込まれる。なお、図1では、液晶セルの両側に光学異方性層を有する態様を示すが、液晶表示装置Iはこの態様に限定されるものではなく、少なくとも液晶セルの一方の側に設けられた光学異方性層が、前述の所定の光学異方性層であればよい。また、本発明の液晶表示装置では、液晶セルの一方の側に二層以上の光学異方性層を有することもできる。
【0019】
なお、本発明では、偏光板の少なくとも一方を、偏光板および光学異方性層の積層体(例えば、上側偏光板として、上偏光膜および保護膜の積層体)を用いればよく、図1のように双方の偏光板が前記構成の積層体である必要はない。また、図1の液晶表示装置では、光学異方性層と保護膜の一方とを2層一体的に積層した偏光板を用いた実施形態を示したが、これに限るものではない。したがって、例えば、本発明の液晶表示装置は、偏光板と少なくとも一層の光学異方性層とが一体的に積層された構造としてもよいし、あるいは上または下の光学異方性層の一層を支持体とした構成としてもよい。
【0020】
本発明の液晶表示装置では、光学異方性層の透明支持体を、偏光膜の一方の側の保護膜と兼ねることができる。従って、図1では、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(透明支持体を兼用)および光学異方性層の順序で積層した一体型偏光板を用いている。該偏光板は、偏光機能を有するのみならず、視野角の拡大、表示ムラの軽減に寄与する。さらに、該偏光板は光学補償能を有する光学異方性層を備えているので、簡易な構成で液晶表示装置を正確に光学補償することができる。液晶表示装置内では、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護膜、偏光膜、透明支持体および光学異方性層の順序で積層することが好ましい。
【0021】
偏光膜の吸収軸2および15、保護膜3および12の配向方向、ならびに液晶性分子7の配向方向については、各部材に用いられる材料、表示モード、部材の積層構造等に応じて最適な範囲に調整することができる。高コントラストを得るためには、偏光板1および14の吸収軸2および15が、互いに実質的に直交しているように配置する。但し、本発明の液晶表示装置は、この構成に限定されるものではない。
【0022】
光学補償シートがない従来の偏光板のクロスニコル状態では、図4の50に示すように4箇所で斜め方向から観察すると黒表示時に光漏れが発生し、視野角が4方向で狭くなる。
【0023】
一方、液晶表示装置Iは、少なくとも一方の偏光板の液晶セルに近い保護膜上に、ハイブリッド配向した化合物からなる光学異方性層を有し、このハイブリッド配向した化合物の配向制御方向が、液晶表示装置に含まれる偏光膜のいずれか一つの吸収軸と略平行となるように構成されている(図1に示す態様では、下側光学異方性層10の配向制御方向11が、下側偏光板偏光膜14aの吸収軸15と略平行の関係にある)。本発明の液晶表示装置に斜めから観察すると、上記光漏れが2方向しかなく、左右方向の視野角がせまく、上下方向の視野角が広い光学設計が可能となる。特にディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性層を有する場合、この効果が顕著である。ハイブリッド配向方向では斜め視角方向でレターデーションが減少するが、配向方向の横方向では、斜め視野角方向でレターデーションが増加し、透過率が上昇することで画像が白くなる。また、前記光学異方性層は液晶セルの片側のみに配置してもよいが、両側に配置することで、上下対称の視野角特性を得ることができる。また、前記光学異方性層は、偏光板の保護膜上に設けることもできるが、偏光膜上に直接設けることもできる。この場合、光学異方性層は、偏光板の保護膜としての役割も果たすことができる。
ここで、ハイブリット配向した前記光学異方性層は、その厚さd[μm]や、ハイブリッド配向した化合物の平均傾斜角β[°]、光学異方性層の面内レターデーションQ[nm]の大きさによって,斜め方向の漏れ光の大きさが変化する。
以下の式
0.5≦d≦3.0
20≦β≦90
10≦Q≦500
を満たすときに漏れ光が生じ、斜め方向の覗き見防止に有効になる。この範囲より小さい場合は、斜め方向で発生する光学異方性層のレターデーションが小さく、漏れ光が小さくなる。またこの範囲よりも大きくなると、透過率の大幅な低下や、着色現象が生じるおそれがある。
なお、本発明において、「配向制御方向」とは、例えば後述する配向膜のラビング方向であることができる。
【0024】
また、液晶表示装置IIは、一対の偏光板の外側に更に少なくとも一層の光学異方性層を有した偏光板を配置し、この光学異方性層は、ハイブリッド配向した化合物からなり、かつ、このハイブリッド配向した化合物の配向制御方向は、液晶表示装置に含まれる偏光膜のいずれか一つの吸収軸と略平行である。これにより、液晶表示装置Iと同様に、左右方向の視野角が狭く、上下方向の視野角が広い光学設計が可能となる。また、本発明では、光学異方性層を透明電極が配置された基板、例えばガラスやポリイミドフィルムに挟持し、電場などの外場により配向を変化させて、視野角特性を変化させることもできる。
【0025】
ここで平面内のレターデーション値とは前記のReと、厚さ方向のレターデーション値とは前記のRthと等価であり、前記一対の偏光膜間に配置された透明支持体、光学異方性層、液晶層の各値の合計値である。また値の大きさの正負は、液晶層の配向軸と平行な方向に遅相軸がある場合は正、垂直な場合は負とする。なお前記ディスコティック構造単位を有する化合物が基板面に対して円盤面が垂直に配向している場合は、円盤面と液晶層配向軸が平行な場合が正、垂直な場合が負となる。
【0026】
さらに、上記上側偏光板のうち前記液晶層に近い保護膜(上側保護膜)のReを、上記下側偏光板の液晶層に近い保護膜(下側保護膜)のRthよりも小さくすることが好ましい。上側保護膜と下側保護膜のRe、Rthを精密に設計することで黒表示時の斜め方向漏れ光をより完全に防止できる。上側保護膜Reは下側保護膜Rthよりも20nm以上小さいことがより好ましい。
【0027】
[IPSモード型液晶表示装置]
図2はIPSモード液晶セルを示す模式側断面図である。一対の偏光板1及び14と、IPSモードの液晶セルとを有する。一対の偏光板は保護膜と、偏光膜と、光学補償膜とを有するが、図2中では詳細な構造は省略する。IPSモードの液晶セルは、透明な一対の基板5及び8と、該一対の基板に挟持される棒状の液晶性分子7を含む液晶層とを有する。透明基板8の内側には線状の電極16が形成され、その上に配向制御膜(図示せず)が形成されている。複数の線状電極16は隔てて配置され、画素電極と対向電極とを構成し、基板間に平行な電界を発生可能に構成されている。基板5及び8間に挟持されている棒状の液晶性分子7は電界無印加時(OFF表示)には、線状電極16の長手方向に対して若干の角度を持つように配向する。なお、この場合の液晶の誘電異方性は正を想定している。電極16間に電界を印加すると(ON表示)、電界方向に液晶性分子7がその向きを変える。偏光板1及び14を、その透過軸の方向を所定の角度として配置することで、光透過率を変えることが可能となる。なお、基板8の表面に対する電界方向のなす角は、好ましくは20度以下で、より好ましくは10度以下で、すなわち、実質的に平行であることが望ましい。以下、本発明では20度以下のものを総称して平行電界と表現する。また、電極16を上下基板に分けて形成しても、一方の基板にのみ形成してもその効果は変わらない。
【0028】
図3に、IPSモードの液晶表示装置の他の実施形態の模式側断面図を示す。本態様は、より高速応答、高透過率化を可能とする態様である。なお、図2に示すものと同一の部材については詳細な説明は省略する。図2と異なり電極が絶縁層44を介して(層を異にして配置され)、線状電極38と下層電極46との2層構造となっている。下層電極46は、パターニングされていない電極でも、線状などの電極でもよい。上層の電極38は、線状であることが好ましいが、下層電極46からの電界が通過できる形状であれば、網目状、スパイラル状、点状などいずれでもよく、電位が中立なフローティング電極をさらに追加してもよい。また絶縁層44は、SiOや窒化膜などの無機材料でも、アクリルやエポキシ系等の有機材料のいずれでもよい。
【0029】
IPSモードの液晶材料LCとしては、誘電率異方性△εが正のネマチック液晶を用いる。液晶層の厚み(ギャップ)は、2.8μm超4.5μm未満とすることが好ましい。本発明では、液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、0.2〜1.2μmとすることができる。Δn・dの最適値は0.2〜0.5μmが最適値となる。こられの範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。なお、これらの最適値は透過モードの値であり、反射モードでは液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δndの値は上記の1/2程度の値になる。所定の配向膜と偏光板との組み合わせにより、液晶性分子がラビング方向から電界方向に45度回転したとき最大透過率が得られる。なお、液晶層の厚み(ギャップ)はポリマービーズで制御することができる。もちろんガラスビーズやファイバー、樹脂製の柱状スペーサでも同様のギャップを得ることができる。また液晶材料LCは、ネマチック液晶であれば、特に限定されない。誘電率異方性△εは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性△nは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、且つギャップばらつきを少なくすることができる。
【0030】
本発明の液晶表示装置の表示モードは特に限定されないが、ECBモード、IPSモードが好適に用いられる。本発明の液晶表示装置は、上記表示モードだけでなく、VAモード、OCBモード、TNモード、HANモード、STNモードに適用した態様も有効である。
【0031】
また、本発明の液晶表示装置は、図1に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置することができる。もちろん該光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに本発明の液晶表示装置は、透過と反射のモードの両立をはかるため、表示装置の1画素の中で反射部と透過部を設けた反透過型であってもよい。
さらにバックライトの発光効率を高めるために、プリズム状やレンズ状の集光型輝度向上シート(フィルム)を積層したり、偏光板の吸収による光ロスを改善する偏光反射型の輝度向上シート(フィルム)をバックライトと液晶セルの間に積層してもよい。また、バックライトの光源を均一化させるための拡散シート(フィルム)を積層してもよく、逆に光源に面内分布をもたせるための反射、拡散パターンを印刷などで形成したシート(フィルム)を積層してもよい。
【0032】
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
【0033】
本発明は、偏光板の保護膜の遅相軸と、偏光膜の吸収軸とを所定の関係とすることで、液晶表示装置の視野角の改善を図り、さらに、偏光板と液晶セルとの間に光学補償シートを配置することにより、より視野角を改善するものである。光学補償シートについては、特に制限されず、光学補償能を有する限り、如何なる構成であってもよい。例えば、複屈折性の高分子フィルムや、透明支持体と該透明支持体上に形成された液晶性分子からなる光学補償シートの積層体などが挙げられる。後者の態様においては、偏光板の液晶層に近い側の透明保護膜が、前記光学補償シートの支持体を兼ねていてもよい。
【0034】
次に、本発明の液晶表示装置に用いられる各部材について説明する。
本発明では、液晶セルの光学補償のために、配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層を用いる。本発明では、該光学異方性層を、支持体上に形成して、光学補償シートとして液晶表示装置中に組み込んでもよいし、該光学補償シートと直線偏光膜とを一体化した楕円偏光板として液晶表示装置中に組み込んでもよい。上記のように角度設定された光学補償シートおよび偏光板の作製方法は、特に限定されないが、光学補償シート又は偏光板作製時に、ロール搬送方向に対して配向制御方向や延伸方向などを調整する方法、及び光学補償シート及び偏光板をロール・トゥ・ロールにて作製後、打抜き時に設定角度で打抜く方法が挙げられる。
【0035】
[光学補償シート]
本発明に使用可能な光学補償シートの例は、光学的に透明な支持体と、該支持体上に、液晶性化合物から形成された光学異方性層とを有するものである。この光学補償シートを液晶表示装置に用いることで、他の諸特性を低下させることなく、液晶セルを光学的に補償することができる。
【0036】
以下、光学補償シートの構成材料について説明する。
《支持体》
前記光学補償シートは、支持体を有していてもよい。光学異方性層が付設される透明支持体の遅相軸の方向は、特に限定されないが、液晶性化合物の配向制御方向(例えばラビング方向)に対して−50°〜50°であることが好ましく、−45±5°、45°±5°、又は−5°〜5°であることが好ましい。該支持体は、ガラス又は透明なポリマーフィルムであることが好ましい。支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。ポリマーフィルムを構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースのモノ乃至トリアシレート体)、ノルボルネン系ポリマーおよびポリメチルメタクリレートが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン及びゼオネックスいずれも商品名))を用いてもよい。又、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーは、国際公開第00/26705号パンフレットに記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御したものを用いることが好ましい。
【0037】
中でもセルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。特に、炭素原子数が2〜4のセルロースアシレートが好ましく、セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。又、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.0〜1.65であることがさらに好ましい。
【0038】
ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0〜62.0%であることがさらに好ましい。なお、酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算によって求められる。
【0039】
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位及び6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるポリマーフィルムでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度または多い方が好ましい。2位、3位及び6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがさらに好ましく、32〜40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
これらの具体的なアシル基、及びセルロースアシレートの合成方法は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行)の9ページに詳細に記載されている。
【0040】
ポリマーフィルムレターデーション値は光学補償シートが用いられる液晶セルやその使用の方法に応じて好ましい範囲が異なるが、正面レターデーションReは0〜200nmであることが好ましく、厚さ方向のレターデーションRthは70〜400nm範囲であることが好ましい。液晶表示装置に二枚の光学的異方性層を使用する場合、ポリマーフィルムのRthは70〜250nmの範囲にあることが好ましい。液晶表示装置に一枚の光学的異方性層を使用する場合、基材のRthは150〜400nmの範囲にあることが好ましい。
なお、基材フィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00028〜0.020の範囲にあることが好ましい。また、セルロースアセテートフィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.001〜0.04の範囲にあることが好ましい。
【0041】
ポリマーフィルムのレターデーションを調整するためには延伸のような外力を与える方法が一般的であるが、光学異方性を調節するためのレターデーション上昇剤を用いることもできる。セルロースアシレートフィルムのレターデーションを調整するには、芳香族環を少なくとも二つ有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましい。また、二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。例えば、欧州特許出願公開第911656号明細書、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報等記載の化合物等が挙げられる。
【0042】
更には、本発明において、光学補償シートに用いるセルロースアセテートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下であることが好ましく、15×10-5/%RH以下であることが更に好ましく10×10-5/%RH以下であることがより一層好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。なお、吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、光学補償シートの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇(歪みによる光漏れ)を防止することができる。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したポリマーフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げる。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0)を測定する。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定する。以上の測定値に基づき、以下の式により吸湿膨張係数を算出することができる。測定値としては、同一試料につき10サンプル測定して得られた平均値を採用することができる。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(R1−R0
【0043】
ポリマーフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、疎水基を有する化合物もしくは微粒子等を添加することが好ましい。疎水基を有する化合物としては、分子中に脂肪族基や芳香族基のような疎水基を有する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これらの化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましい。又、ポリマーフィルム中の自由体積を小さくすればよく、具体的には、後述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少ない方が自由体積は小さくなる。セルロースアセテートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.00質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。
【0044】
ポリマーフィルムに添加する上記した添加剤又は種々の目的に応じて添加できる添加剤(例えば、紫外線防止剤、剥離剤、帯電防止剤、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、赤外吸収剤を等)は、固体でもよく油状物でもよい。また、フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。これらの詳細は、上記の公技番号2001−1745号の16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されないが、ポリマーフィルム全組成物中、0.001〜25質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
【0045】
《ポリマーフィルム(支持体)の製造方法》
ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
【0046】
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
【0047】
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び/又は逐次共流延してもよい。
上記のような二層以上の複数のセルロースアシレート溶液を共流延する方法としては、例えば、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させる方法(例えば、特開平11−198285号公報記載の方法)、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延する方法(特開平6−134933号公報記載の方法)、高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す方法(特開昭56−162617号公報記載の方法)等が挙げられる。本発明ではこれらに限定されるものではない。これらのソルベントキャスト方法の製造工程については、前記の公技番号2001−1745号の22頁〜30頁に詳細に記載され、溶解、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
本発明において、フィルム(支持体)の厚さは、15〜120μmであることが好ましく、更には30〜80μmが好ましい。
【0048】
《ポリマーフィルム(支持体)の表面処理》
ポリマーフィルムには、表面処理を施すことが好ましい。表面処理には、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理及び紫外線照射処理が含まれる。これらについては、詳細が前記の公技番号2001−1745号の30頁〜32頁に詳細に記載されている。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
【0049】
アルカリ鹸化処理は、鹸化液中に浸漬、鹸化液を塗布する等何れでもよいが、塗布方法が好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理液は、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましい。更に、アルカリ処理液として、フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒(例、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メタノール、エタノール等)、界面活性剤、湿潤剤(例えば、ジオール類、グリセリン等)を含有することで、鹸化液の透明支持体に対する濡れ性、鹸化液の経時安定性等が良好となる。具体的には、例えば、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレットに内容の記載が挙げられる。
【0050】
表面処理の代わりに、表面処理に加えて下塗り層(特開平7−333433号公報記載)、又は疎水性基と親水性基との両方を含有するゼラチン等の樹脂層を一層のみ塗布する単層法、第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着するゼラチン等の親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布するいわゆる重層法(例えば、特開平11−248940号公報記載)を用いることもできる。
【0051】
《配向膜》
本発明では、光学異方性層中の液晶性化合物は配向軸によって配向制御され、その状態に固定されている。前記液晶性化合物を配向制御する配向軸としては、光学異方性層と前記ポリマーフィルム(支持体)との間に形成された配向膜のラビング軸が挙げられる。但し、本発明において配向軸はラビング軸に限定されるものではなく、ラビング軸と同様に液晶性化合物を配向制御し得るものであれば、いかなるものであってもよい。
【0052】
配向膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。従って、配向膜は本発明の好ましい態様を実現する上では必須である。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光膜上に転写して、偏光板を作製することも可能である。
【0053】
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
【0054】
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
【0055】
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
【0056】
液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類および必要とする配向状態に応じて決定することができる。例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
【0057】
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
【0058】
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
【0059】
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
【0060】
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋させ)、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行って良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
【0061】
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行うことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行うことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
【0062】
配向膜は、透明支持体上又は上記下塗層上に設けることができる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋した後、表面をラビング処理することにより得ることができる。
【0063】
前記ラビング処理としては、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
【0064】
次に、配向膜を機能させて、配向膜の上に設けられる光学異方性層の液晶性分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
【0065】
《光学異方性層》
次に、液晶性化合物からなる光学異方性層の好ましい態様について詳細を記述する。
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶化合物の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7−2、P411〜414に記載されている。光学異方性層は、ラビング軸等の配向軸によって配向制御され、その配向状態に固定された液晶性化合物を含有する。
【0066】
光学異方性層に用いる液晶性分子の例には、棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子(ディスコティック構造単位を有する液晶性分子)が含まれる。棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。光学異方性層の作製に棒状液晶性化合物を用いた場合は、棒状液晶性分子は、その長軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が、配向軸に対して平行であることが好ましい。また、光学異方性層の作製に円盤状液晶性化合物を用いた場合は、円盤状液晶性分子は、その短軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が配向軸に対して平行であることが好ましい。また、本発明の液晶表示装置は、前述のように、液晶性分子の長軸(円盤状分子では円盤面)と層平面との角度(傾斜角)が深さ方向に変化するハイブリッド配向した化合物からなる光学異方性層を有する。
【0067】
《棒状液晶性分子》
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
【0068】
棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基或はカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報明細書中の段落番号[0064]〜[0086]記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
【0069】
《円盤状液晶性分子》
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett、A、78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.、1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
【0070】
円盤状液晶性分子としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。円盤状液晶性分子から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が円盤状液晶性分子である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。円盤状液晶性分子の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、円盤状液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
【0071】
円盤状液晶性分子を重合により固定するためには、円盤状液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことが出来る。例えば、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0151]〜[0168]記載の化合物等が挙げられる。
【0072】
ハイブリッド配向では、液晶性分子の長軸(円盤状分子では円盤面)と層平面との角度が光学異方性層の深さ方向でかつ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加または減少している。角度は、距離の増加と共に増加することが好ましい。さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
【0073】
偏光膜側の液晶性分子の長軸の平均方向は、一般に液晶性分子あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の液晶性分子の長軸(円盤状分子では円盤面)方向は、一般に液晶性分子あるいは液晶性分子と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。液晶性分子と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
【0074】
《光学異方性層中の他の添加物》
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することができる。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
【0075】
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
【0076】
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。
【0077】
円盤状液晶性分子とともに使用するポリマーは、円盤状液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。円盤状液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
【0078】
《光学異方性層の形成》
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
【0079】
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N、N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1、2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0080】
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0081】
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
【0082】
《液晶性分子の配向状態の固定》
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0083】
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
なお、保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
【0084】
ディスコティック化合物以外の光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムからなる光学補償シート、および透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償シートがあるが、本発明ではいずれも使用することができる。また、2層の光学補償膜の積層体とする場合をはじめ、積層構造の光学補償シートを用いることもできる。積層構造の光学補償シートについては、厚さを考慮すると、高分子の延伸フィルムの積層体からなる光学補償シートよりも、塗布型の積層体からなる光学補償シートが好ましい。
【0085】
光学補償シートとして用いられる高分子フィルムは、延伸された高分子フィルムであっても、また塗布型の高分子層と高分子フィルムとの併用でもよい。高分子フィルムの材料は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂、トリアセチルセルロース)が用いられる。
【0086】
液晶性化合物には多様な配向形態があるため、液晶性化合物からなる光学異方性層は、単層でまたは複数層の積層体により、所望の光学的性質を発現することができる。即ち、光学補償シートは、支持体と該支持体上に形成された1以上の光学異方性層とからなる態様であってもよい。かかる態様の光学補償シート全体のレターデーションは、光学異方性層の光学異方性によって調整することができる。液晶性化合物にはその形状から、棒状液晶化合物とディスコティック化合物に分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがあり、いずれも使用することができる。本発明に用いる液晶性化合物からなる光学異方性層は、液晶性化合物として、棒状液晶化合物またはディスコティック化合物(より好ましくはディスコティック化合物)を用いることが好ましく、重合性基を有するディスコティック化合物を用いることがより好ましい。
【0087】
《楕円偏光板》
本発明では、前記光学異方性層を直線偏光膜と一体化させた楕円偏光板を用いることができる。楕円偏光板は、液晶表示装置にそのまま組み込めるように、液晶セルを構成している一対の基板と略同一な形状に成型されていることが好ましい(例えば、液晶セルが矩形状ならば、楕円偏光板も同一な矩形状に成型されていることが好ましい)。本発明の液晶表示装置は、前述のように、所定の位置に配置された光学異方性層において、ハイブリッド配向した化合物の配向制御方向が、偏光膜のいずれか一つの吸収軸と略平行になるように構成されている。
【0088】
前記楕円偏光板は、前記光学補償シートと直線偏光膜(以下、単に「偏光膜」という場合は「直線偏光膜」をいうものとする)とを積層することによって作製することができる。光学異方性層は、直線偏光膜の保護膜を兼ねていてもよい。
【0089】
直線偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素または二色性色素からなる偏光膜が好ましい。直線偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。現在、市販の偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
【0090】
市販の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
【0091】
偏光膜に含まれるバインダーは架橋していてもよい。架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。架橋は一般に、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行うことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行っても良い。ポリマーの例としては、前記の配向膜で記載のポリマーと同様のものが挙げられる。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載がある。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。バインダーにおける架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましい。これにより、偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
【0092】
偏光膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。但し、残存する架橋剤の量は、偏光膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、偏光度の低下を生じない。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
【0093】
二色性色素としては、例えば、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例としては、例えば、前記の公技番号2001−1745号の58頁に記載の化合物が挙げられる。
【0094】
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、40〜50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがさらに好ましく、99〜100%の範囲にあることが最も好ましい。
【0095】
《楕円偏光板の製造》
前記楕円偏光板は、延伸法又はラビング法によって作製することができる。延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。延伸工程は、斜め延伸を含め数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフィルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
【0096】
ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1〜90゜が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360゜以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。
【0097】
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40〜50゜が好ましい。45゜が特に好ましい。
【0098】
直線偏光膜の光学異方性層と反対側の表面には、ポリマーフィルムを配置する(光学異方性層/偏光膜/ポリマーフィルムの配置とする)ことが好ましい。
ポリマーフィルムは、その最表面が防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜を設けてなることも好ましい。反射防止膜は、従来公知のいずれのものも用いることが出来る。
【実施例】
【0099】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下に記載の「%」は、特に断りのない限り「質量%」を示す。
[実施例1]
図1に示す構成の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板1、上側保護膜3、液晶セル(上側基板5、液晶層7、下側基板8)、下側光学異方性層10、下側偏光板12を積層し、さらに下側偏光板の下側には冷陰極蛍光灯を用いたバックライト(不図示)を配置した。
【0100】
以下に、用いた部材それぞれの作製方法を説明する。
(IPSモード液晶セルの作製)
図2に液晶表示装置の断面図を示す。透明な一対の基板の一方8、前記基板の内側にITOからなる(クロムやアルミニウムなどの金属でもよい)線状の電極が形成され、その上に配向制御膜(不図示)が形成されている。基板間に挟持されている棒状の液晶性分子7は、電界無印加時には線状電極の長手方向に対して若干の角度を持つように配向されている。なお、この場合の液晶の誘電異方性は正を想定している。電界を印加するとその電界方向に液晶性分子7は向きを変える。そして、偏光板1、14を所定角度に配置することで光透過率を変えることが可能となる。なお、基板8の表面に対する電界方向のなす角は平行電界とした。ここで、平行電界とは、前述のように、基板の表面に対する電界方向のなす角が20度以下、より好ましくは10度以下、さらに好ましくは平行であることをいう。また、電極を上下基板に分けて形成しても、一方の基板にのみ電極を形成してもその効果は変わらない。
【0101】
液晶材料は、誘電率異方性△εが正でその値が13.2であり、屈折率異方性△nが0.085(589nm、20度)のネマチック液晶を用いた(メルク社製、MLC9100−100)。液晶層の厚み(ギャップ)は、3.5μmとした。
【0102】
<セルロースアセテートフィルムの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液組成
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
【0103】
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド92質量部およびメタノール8質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、6.0質量部であった。
【0104】
【化1】


【0105】
得られたドープを、バンド延伸機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、70℃の温風で1分間乾燥し、バンドからフィルムを140℃の乾燥風で10分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(厚さ:80μm)を作製した。作製したセルロースアセテートフィルム(透明支持体、透明保護膜)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長546nmにおけるReおよびRthを測定した。Reは8nm、Rthは78nmであった。作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗し、その後乾燥させた。こうして、透明保護膜用セルロースアセテートフィルムを作製した。
【0106】
<光学異方性層用の配向膜の作製>
このセルロースアセテートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、形成した膜に、セルロースアセテートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)に平行な方向に配向するようにラビング処理を実施した(即ち、ラビング軸はセルロースアセテートフィルムの遅相軸と平行であった)。
配向膜塗布液組成
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
【0107】
【化2】


【0108】
<光学異方性層の作製>
配向膜上に、下記の円盤状(液晶性)化合物91.0g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)2.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.5g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3.0g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0g、フルオロ脂肪族基含有共重合体(メガファックF780 大日本インキ(株)製)の1.3gを、207gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3.6のワイヤーバーで6.2ml/m2塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シートを作製した。
【0109】
【化3】


【0110】
偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償シートのムラを観察したところ、正面、および法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
【0111】
<偏光板の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記光学補償シートを支持体面で偏光膜の片側に貼り付けた。また、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニル系接着剤を用いて偏光膜の反対側に貼り付けた。偏光膜の吸収軸と光学補償シートの支持体の遅相軸(流延方向と平行方向)とは平行になるように配置した。この偏光板を、上記IPSモード液晶セルの一方に、光学異方性層10の配向制御方向11が液晶セルのラビング方向9と直交になるように、且つディスコティック液晶塗布面側が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、IPSモード液晶セルのもう一方の上側に市販の偏光板(HLC2−5618、(株)サンリッツ製)1を、クロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置を作製した。この偏光板の保護膜のReは3nm、Rthが38nmであった。
【0112】
また上側偏光板、偏光膜吸収軸の軸角度を表示装置水平方向を基準にして、0度とし、上側保護膜の遅相軸を0度、液晶セル上側基板の配向制御方向(ラビング方向)を0度とし、同様に下側偏光板の軸角度を0度、下側光学異方性層の配向制御方向を90度、液晶セル下側基板の配向制御方向(ラビング方向)を90度、下側保護膜の遅相軸を90度、下側偏光膜吸収軸を90度とした。即ち、本液晶表示装置では、光学異方性層10の配向制御方向11が、偏光膜14aの吸収軸15と略平行である。
【0113】
<作製した液晶表示装置の光学測定>
このように作製した液晶表示装置に60Hzの矩形波電圧を印加した。白表示5V、黒表示2Vのノーマリーブラックモードとした。測定機は(EZ-Contrast160D、ELDIM社製)を用い、透過率の比(白表示/黒表示)であるコントラスト比を測定した。正面コントラスト比700対1を得た。また左右方向でコントラスト10以上の視野角はそれぞれ40°であった。一方上方向は80°、下方向は85°であった。
【0114】
[実施例2]
実施例1で作製した液晶表示装置において、上側保護膜と液晶セルとの間にハイブリッド配向したディスコティック化合物からなる、光学異方性層(上側光学異方性層)を配置し、この上側光学異方性層の配向制御方向を90度とした。他の構成は実施例1と同じにした。左右方向でコントラスト10以上の視野角はそれぞれ40°であった。上下方向のコントラスト10以上の視野角はそれぞれ85°であった。
【0115】
[比較例1]
実施例1で作製したIPSモード液晶セル1の両側に市販の偏光板(HLC2−5618、(株)サンリッツ製)を、クロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置を作製した。光学異方性層は用いなかった。上下左右ともコントラスト10以上の視野角はそれぞれ85°であった。
【0116】
実施例1、2と比較例1との対比から、ハイブリッド配向した光学異方性層の配向制御方向と、偏光膜の吸収軸が略平行となるように構成することにより、上下方向の視野角は維持しつつ、左右方向の視野角を狭めることができることがわかる。更に、実施例1及び2では、正面の輝度低下が少なく、左右方向の黒表示時の輝度が上昇したことも確認された。
【0117】
[実施例3]
IPSパネルが搭載されている市販の液晶TV、日立WOO−7000の表面に実施例1と同じ処方で作製した、光学異方性付の偏光板を配置した。市販TVの表側の偏光板吸収軸方向は90°、さらに追加した偏光板の吸収軸方向も90°、光学異方性層の配向制御方向も90°とした。左右方向でコントラスト10以上の視野角は、市販TVでは85°であったものが40°になった。一方、上下方向はそれぞれ85°で市販TVと同じであった。このように、本実施例では、偏光板の外側に更にハイブリッド配向した光学異方性層を有する偏光板を配置するとともに、該光学異方性層における配向制御方向と偏光膜の吸収軸とを略平行に配置することにより、上下方向の視野角は維持しつつ、左右方向の視野角のみを狭めることができた。更に、実施例3では、正面の輝度低下が少なく、左右方向の黒表示時の輝度が上昇したことも確認された。
【0118】
[実施例4]
実施例3において作成した光学異方性層付の偏光板の光学異方性層を液晶セルに置き換えた液晶表示装置を作製した。当該液晶セルとしては50×40ミリのITO付ベタ電極ガラス基板2枚用い、片側の基板に垂直配向膜を塗布し、もう一方の基板に水平配向膜を塗布、ラビンしてハイブリッド配向セルを作製した。液晶材料は、例えばメルク社製のZLI4792を用い、セルギャップを5μmにした。
電圧無印加状態では、左右方向でコントラスト10以上の視野角が40°、上下方向はそれぞれ85°であった。また周波数30Hzの交流矩形波、5Vを印加したところ、コントラスト10以上の視野角は、市販TVと同じ上下左右85°であった。電界無印加状態では、ハイブリッド配向セルの配向制御方向が、偏光膜の吸収軸と略平行の状態にあるため、電界印加時と比べて左右方向の視野角を狭めることができた。更に、実施例4では、正面の輝度低下が少なく、左右方向の黒表示時の輝度が上昇したことも確認された。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の液晶表示装置は、携帯電話や携帯端末(ノートパソコン)用表示装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
【図2】図1の断面図の概略図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の別の例を示す断面図の概略図である。
【図4】従来の偏光板の漏れ光を示す模式概略図である。
【符号の説明】
【0121】
1 上側偏光板
2 上側偏光板の吸収軸
3 上側保護膜
4 上側保護膜の遅相軸
5 液晶セル上側基板
6 上側基板液晶配向用ラビング方向
7 液晶性分子
8 液晶セル下側基板
9 下側基板液晶配向用ラビング方向
10 下側光学異方性層
11 下側光学異方性層の配向制御方向
12 下側保護膜
13 下側保護膜の遅相軸
14 下側偏光板
15 下側偏光板の吸収軸
16 線状電極
30、42 偏光板
32、40 透明基板
34 棒状液晶性分子
36 電界方向
38 線状電極
44 絶縁層
46 下層電極




 

 


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