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発明の名称 磁性体ナノ粒子を用いた目的成分の分離方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−40978(P2007−40978A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2006−149257(P2006−149257)
出願日 平成18年5月30日(2006.5.30)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 小島 政芳 / 平井 博幸 / 景山 茂樹 / 阿部 義彦
要約 課題
遠心分離による試料の分取工程を必要とせずに、生体試料中のリポ蛋白の特定分画に含まれる成分を自動分析装置で定量する方法を提供すること。

解決手段
(1)独立分散している粒子サイズ50nm以下の磁性体ナノ粒子であって表面にアニオン性官能基を有する磁性体ナノ粒子と生体試料とを接触させることによって磁性体ナノ粒子と該磁性体ナノ粒子と相互作用し得る生体分子との凝集体を形成させる工程、及び(2)該凝集体を外部磁場により捕集する工程を含む、生体試料中の目的成分を分離する方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
(1)独立分散している粒子サイズ50nm以下の磁性体ナノ粒子であって表面にアニオン性官能基を有する磁性体ナノ粒子と生体試料とを接触させることによって磁性体ナノ粒子と該磁性体ナノ粒子と相互作用し得る生体分子との凝集体を形成させる工程、及び(2)該凝集体を外部磁場により捕集する工程を含む、生体試料中の目的成分を分離する方法。
【請求項2】
磁性体ナノ粒子と相互作用し得る生体分子の大きさが磁性ナノ粒子の粒子サイズ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
磁性体ナノ粒子が、一般式R1−(OCH2CH2n−O−L−X(式中、R1は炭素数1〜24のアルキル基を示し、nは1以上20以下の整数を示し、Lは単結合、又は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Xはカルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基又はホウ酸基を示す)で表される化合物で表面修飾されている磁性体ナノ粒子である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
生体試料中のリポタンパクの特定分画以外のリポタンパク質と磁性体ナノ粒子との凝集体を形成し、該凝集体を外部磁場により捕集することによって、生体試料中のリポタンパク質の特定分画を分離する、請求項1から3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
特定分画が高密度リポタンパク(HDL)である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
特定分画に含まれるコレステロールを定量するために特定分画を分離する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
磁性ナノ粒子と生体試料を接触させる工程において、凝集促進剤を共存させる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
凝集促進剤として、ポリアニオンを用いる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ポリアニオンが、リンタングステン酸、硫酸デキストリン、硫酸シクロデキストリン、カリクサレン、又はヘパリンから選ばれるポリアニオンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
独立分散している粒子サイズ50nm以下の磁性体ナノ粒子がマグネタイトである、請求項1から9の何れかに記載の方法。
【請求項11】
(1)請求項1から10の何れかに記載の方法により生体試料中の目的成分を分離する工程、及び(2)分離した目的成分を定量する工程を含む臨床検査方法。
【請求項12】
目的成分の定量を乾式分析素子によって行う、請求項11に記載の臨床検査方法。
【請求項13】
(1)磁性体ナノ粒子と生体試料とを接触させて凝集体を形成させる容器、(2)容器内の凝集体を捕集するための磁場を発生するための磁場発生手段、(3)及び凝集体から分離された生体試料中の目的成分を検出するための乾式分析素子を少なくとも含む、自動臨床検査装置。
【請求項14】
独立分散している粒子サイズ50nm以下の磁性体ナノ粒子であって表面にアニオン性官能基を有する磁性体ナノ粒子を含む、請求項1から12の何れかに記載の方法を行うための検査キット。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライフサイエンス又は医療診断などの分野において、血清又は血漿などの生体試料から目的成分を分離する方法、例えば、血清又は血漿などの生体試料中のリポ蛋白の特定分画を分離する方法に関する。本発明の方法は、臨床検査での使用を目的とするHDL分画中のコレステロール等の定量のために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
血液中において、脂質はアポ蛋白と結合してリポ蛋白を形成し、代謝される。リポ蛋白は比重によって、カイロミクロン(CM)、超低比重リポ蛋白(VLDL)、中間型リポ蛋白(IDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、高比重リポ蛋白(HDL)等の分画に分類することができる。各種疾病はこれらのリポ蛋白の代謝に影響を与え、リポ蛋白分画は血中で増加又は減少することが知られている。特にHDLは、動脈壁を含めた各組織からコレステロールを受け取るため細胞内に蓄積したコレステロールの除去作用に関係し、冠動脈硬化症をはじめとする各種動脈硬化症の危険予防因子であり、その血中レベルは動脈硬化症の発生予知に有用な指針になることが知られている。そのため、HDL分画中のコレステロール測定は、虚血性心疾患などの予防や診断を目的として臨床検査で行われている。
【0003】
リポ蛋白の分画法としては、超遠心法,電気泳動法,ゲル濾過法等が知られているが、これらの方法は操作が非常に繁雑であるため、臨床検査では利用度は高くなく、臨床検査では沈殿法(分画法)を用いる場合が多い。例えば、HDLコレステロール(以下HDL-C)の測定方法として、一般に広く用いられている方法は、検体に分画剤を加えてHDL-C以外のリポ蛋白を凝集させ、これを遠心分離によって取り除き、分離されたHDLのみを含む上清中のコレステロールを測定する分画法である。HDL分画中のコレステロールを定量するためには、採取した上清のHDL分画に含まれるコレステロールを公知のコレステロール定量用試薬を用いて測定することができる。
【0004】
上記した沈殿法で用いる沈殿剤としては、ポリアニオン又はポリアニオンと二価のカチオンの組合せがよく用いられている。このようなポリアニオンの例としては、デキストラン硫酸やヘパリンなどの硫酸多糖類、リンタングステン酸およびその塩、ポリエチレングリコール等が知られており、二価のカチオンの例としては、Mg2+、Mn2+、Ca2+、Ni2+等が知られている。
【0005】
しかし、この沈殿法(分画法)は、分画剤を加えて分離する操作を含むために、比較的多量の検体を要すること、遠心機等の設備が必要であること、さらに人為的操作の誤差を含み易い、等の欠点があった。また、沈殿法(分画法)は、臨床検査でよく用いる自動分析装置への応用には問題がある。即ち、沈殿法では遠心分離による試料の分取工程が必要となるため、分析対象の分画を得るため一定の処理時間が必要となり、大量のサンプルの迅速な分析が困難である。
【0006】
近年、これらの煩雑な操作が不要で、自動分析装置にセット可能なダイレクト法が急速に普及してきた。凝集剤として硫酸化シクロデキストリンを用いて、HDL以外のリポ蛋白を十分反応させた後、ポリエチレングリコールで修飾した酵素を作用させることで特異的にHDL中のコレステロールを測定する方法などがある。しかし、共存するHDL以外のリポ蛋白からの反応を抑えるためシクロデキストリンを修飾したり、酵素や抗体などコストの高いものを用いる必要があった。
【0007】
さらに、沈殿法を乾式スライドの中に取り込んだアッセイ法が報告されているが、スライドの構成が複雑になるという問題を生じる(特開2005−49346号公報)。また、ドライケミストリーの分野においても、沈殿法が主流だったが、近年ダイレクト法を利用したドライ式の試験片の新しい手法が考案された。しかし、製造において非常に煩雑な工程を含んでおり、コストがかかる等の問題がある。
【0008】
特開平6−242110号公報には、生体試料中のリポ蛋白の特定分画に含まれる成分を直接定量するために、特定分画以外のリポ蛋白分画を凝集させ、定量すべき成分が検出できる試薬を該成分と反応させた後、当該反応を停止させると同時に又は後に、凝集させた分画を溶解させ、当該反応により生じた変化を測定することが記載されている。
【0009】
また、特許第2913608号公報には、試料中の第一のクラスのリポ蛋白質を該試料中の第二のクラスのリポ蛋白質から分離する方法であって、該第二のクラスのリポ蛋白質を選択的化学沈殿試薬を用いて沈殿させて、該試料を磁気的に反応性の粒子と接触させ、ここに該磁気的に反応性の粒子は該粒子が沈降する際に沈殿したリポタンパク質の沈降を引き起こすものであり、そして、該試料を、該磁気的に反応性の粒子が沈降するまで磁場内に置いて該沈殿させた第二のクラスのリポ蛋白質を沈降させ、該第一のクラスのリポ蛋白質を該試料の上清中に残すことを含む方法が記載されている。この方法では、リポ蛋白にデキストラン硫酸等の沈殿剤と磁性粒子を加えることにより、リポ蛋白の特定分画以外を沈殿させ、次に磁石を作用させると、磁性粒子は沈殿との混合物となり、一体となって沈殿と共に分離される。磁性粒子はリポタンパクとの反応性を有しない磁性体そのものである。最後に、上清に残った特定分画のコレステロールが定量される。
【0010】
一方、磁性粒子を用いた分離方法は、以前より用いられており、幾つかの製品が上市されている(ヤトロン社 オルソクリニカル社)。しかし、これらの方法は、100nm以上の磁性粒子を用いている為に、使用直前に攪拌等して、十分に均一化されていることを確認して使用する等の必要性があった。
【0011】
【特許文献1】特開2005−49346号公報
【特許文献2】特開平6−242110号公報
【特許文献3】特許第2913608号公報
【特許文献4】特開平8−131197号公報
【特許文献5】特開平11−56395号公報
【特許文献6】WO98/26090号公報
【特許文献7】特開平9−96637号公報
【特許文献8】特開2005−46145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とする。即ち、本発明は、遠心分離による試料の分取工程を必要とせずに、生体試料中のリポ蛋白の特定分画に含まれる成分を自動分析装置で定量する方法を提供することを解決すべき課題とする。特に、本発明は、HDL分画中のコレステロールの有用な定量方法を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、磁性ナノ粒子がリポ蛋白の特定分画以外のリポ蛋白分画を凝集させることが出来、容易に磁界により分離できることを見出し、更に上清に残る特定分画中に含まれる成分を検出することで、目的の成分を正確に定量できることを明らかにし、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明によれば、(1)独立分散している粒子サイズ50nm以下の磁性体ナノ粒子であって表面にアニオン性官能基を有する磁性体ナノ粒子と生体試料とを接触させることによって磁性体ナノ粒子と該磁性体ナノ粒子と相互作用し得る生体分子との凝集体を形成させる工程、及び(2)該凝集体を外部磁場により捕集する工程を含む、生体試料中の目的成分を分離する方法が提供される。
【0015】
好ましくは、磁性体ナノ粒子と相互作用し得る生体分子の大きさは磁性ナノ粒子の粒子サイズ以上である。
【0016】
好ましくは、磁性体ナノ粒子は、一般式R1−(OCH2CH2n−O−L−X(式中、R1は炭素数1〜24のアルキル基を示し、nは1以上20以下の整数を示し、Lは単結合、又は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Xはカルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基又はホウ酸基を示す)で表される化合物で表面修飾されている磁性体ナノ粒子である。
【0017】
好ましくは、生体試料中のリポタンパクの特定分画以外のリポタンパク質と磁性体ナノ粒子との凝集体を形成し、該凝集体を外部磁場により捕集することによって、生体試料中のリポタンパク質の特定分画を分離する。
【0018】
好ましくは、特定分画は高密度リポタンパク(HDL)である。
好ましくは、特定分画に含まれるコレステロールを定量するために特定分画を分離する。
【0019】
好ましくは、磁性ナノ粒子と生体試料を接触させる工程において、凝集促進剤を共存させる。
好ましくは、凝集促進剤として、ポリアニオンを用いる。
好ましくは、ポリアニオンは、リンタングステン酸、硫酸デキストリン、硫酸シクロデキストリン、カリクサレン、又はヘパリンから選ばれるポリアニオンである。
【0020】
好ましくは、独立分散している粒子サイズ50nm以下の磁性体ナノ粒子はマグネタイトである。
【0021】
本発明の別の側面によれば、(1)上記した本発明の方法により生体試料中の目的成分を分離する工程、及び(2)分離した目的成分を定量する工程を含む臨床検査方法が提供される。
【0022】
好ましくは、目的成分の定量を乾式分析素子によって行う。
【0023】
本発明のさらに別の側面によれば、(1)磁性体ナノ粒子と生体試料とを接触させて凝集体を形成させる容器、(2)容器内の凝集体を捕集するための磁場を発生するための磁場発生手段、(3)及び凝集体から分離された生体試料中の目的成分を検出するための乾式分析素子を少なくとも含む、自動臨床検査装置が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、独立分散している粒子サイズ50nm以下の磁性体ナノ粒子であって表面にアニオン性官能基を有する磁性体ナノ粒子を含む、上記した本発明の方法を行うための検査キットが提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の方法では、リポ蛋白の特定分画以外のリポ蛋白分画は凝集させた後に磁界で迅速に分離できるため、従来の検出法あるいは乾式スライドをそのまま使用して臨床検査での自動分析装置を用いた測定が可能となる。また、本発明の方法では、分離と検出を併せた測定時間の大幅な短縮が可能であり、臨床検査において極めて有用である。また、本発明では、磁性体が非常に小さいので、通常放置しても沈殿することなく存在している。そのため、使用前に攪拌して均一にするなどの作業が不要であるという利点がある。さらに、本発明ではHDL以外のリポ蛋白質と凝集物を生成すると、磁石で1分以内に沈降するため、自動化適性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明による生体試料中の目的成分を分離する方法は、以下の工程を含むことを特徴とするものである。
(1)独立分散している粒子サイズ50nm以下の磁性体ナノ粒子であって表面にアニオン性官能基を有する磁性体ナノ粒子と生体試料とを接触させることによって磁性体ナノ粒子と該磁性体ナノ粒子と相互作用し得る生体分子との凝集体を形成させる工程、及び
(2)該凝集体を外部磁場により捕集する工程。
【0026】
本発明の方法を利用することにより、例えば、血中のリポ蛋白の特定分画以外を、表面にカルボン酸などのアニオン性官能基を有する磁性ナノ粒子で捕捉・凝集させ、これら凝集体は磁石で分離することができる。次いで、上清に残った特定分画中のコレステロールを定量することができる。
【0027】
本発明の方法によれば、生体試料中のリポ蛋白の特定分画に含まれる成分を迅速に定量するために、この特定分画以外のリポ蛋白分画を凝集させ、上清中に残る定量すべき成分が検出できる試薬あるいはスライドと反応させた後、反応により生じた生成物を測定することにより、リポ蛋白の特定分画に含まれる成分を定量することができる。ここで、特定分画は高比重リポ蛋白(HDL)であることができる。また、定量すべき成分はコレステロールであることができる。
【0028】
本発明においては、目的成分以外の成分(例えば、リポ蛋白の特定分画以外の分画など)を凝集させるために、独立分散している粒子サイズ50nm以下の磁性体ナノ粒子であって表面にアニオン性官能基を有する磁性体ナノ粒子を使用する。「独立分散している」とは、溶液中で粒子が凝集体を形成することなく単独で分散している状態のことを意味する。また、磁性体ナノ粒子の粒子サイズは50nm以下であり、さらに好ましくは40nm以下であり、特に好ましくは30nm以下である。
【0029】
磁性体ナノ粒子としては、水性媒体に分散又は懸濁することができ、分散液又は懸濁液から磁場の適用により分離することができる粒子であれば任意の粒子を使用することができる。本発明で用いる磁性体ナノ粒子としては、例えば、鉄、コバルト又はニッケルの塩、酸化物、ホウ化物又は硫化物;高い磁化率を有する稀土類元素(例えば、ヘマタイト又はフェライト)などが挙げられる。磁性体ナノ粒子の具体例としては、例えば、マグネタイト(Fe34)、FePd、FePt、CoPtなどの強磁性規則合金を使用することもできる。本発明では好ましい磁性体ナノ粒子は、金属酸化物、特に、酸化鉄およびフェライト(Fe,M)34からなる群から選択されるものである。ここで酸化鉄には、とりわけマグネタイト、マグヘマイト、またはそれらの混合物が含まれる。前記式中Mは、該鉄イオンと共に用いて磁性金属酸化物を形成することのできる金属イオンであり、典型的には遷移金属の中から選択され、最も好ましくはZn2+、Co2+、Mn2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+などであり、M/Feのモル比は選択されるフェライトの化学量論的な組成に従って決定される。金属塩は固形でまたは溶液状で供給されるが、塩化物塩、臭化物塩、または硫酸塩であることが好ましい。このうち、安全性の観点から酸化鉄、フェライトが好ましい。特に好ましくは、マグネタイト(Fe34)である。
【0030】
本発明で用いる磁性体ナノ粒子は、表面にアニオン性官能基を有するものである。アニオン性官能基としては、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基又はホウ酸基などを挙げることができるが、特にカルボキシル基が好ましい。
【0031】
好ましくは、一般式R1−(OCH2CH2n−O−L−Xで表される化合物で表面修飾されている磁性体ナノ粒子を用いることができる。式中、R1は炭素数1〜24のアルキル基を示し、nは1以上20以下の整数を示し、Lは単結合、又は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Xはカルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基又はホウ酸基を示す。
【0032】
本発明においては、磁性体ナノ粒子と生体試料とを接触させるが、生体試料によっては凝集促進剤の存在下で磁性体ナノ粒子と生体試料とを接触させることもできる。ここで凝集促進剤とは、凝集を惹起させる物質であり、凝集させるようとする分画の種類に応じて、適当な物質を単独又は組合せて用いることができる。リポ蛋白の特定分画以外の分画に対する抗体であって、免疫凝集反応を生じさせる抗体を凝集促進剤として用いることもできる。凝集促進剤としては、本発明の目的が達成できるものであれば任意のものを使用することができ、凝集速度を制御するために、ポリカチオンあるいはポリアニオンを凝集促進剤として加えておくことが好ましい。例えばHDL分画以外のリポ蛋白の分画を凝集させる目的では、ポリエチレングリコール(PEG)のほか、ポリアニオンを用いることができる。ポリアニオンとしては、リンタングステン酸、硫酸デキストリン、硫酸シクロデキストリン、カリクサレン、又はヘパリンなどを用いることができ、これらは単独で、又はMg2+,Mn2+,Ca2+,Li+,Ni2+等のカチオンと組合せて用いることができる。本発明で凝集促進剤を用いる場合は、硫酸デキストリンが特に好ましい。
【0033】
本発明の好ましい態様によれば、生体試料中のリポタンパクの特定分画以外のリポタンパク質と磁性体ナノ粒子との凝集体を形成し、該凝集体を外部磁場により捕集することによって、生体試料中のリポタンパク質の特定分画を分離することができる。ここで言う特定分画は、好ましくは高密度リポタンパク(HDL)である。本発明では、特定分画に含まれるコレステロールを定量するために特定分画を分離することができる。
【0034】
本発明においてリポ蛋白の特定分画に含まれる成分を検出し、定量するために用いる試薬としては、臨床検査などの分野で公知の各種の試薬を用いることができる。例えば、HDL分画中のコレステロールを定量する場合のコレステロール定量反応には、反応の特異性が高い酵素法と呼ばれている酵素反応を用いることができる。このような酵素法としては、コレステロールエステラーゼ(CE)とコレステロールオキシダーゼ(CO)にパーオキシダーゼ(POD)と色原体を組合せて可視領域での吸光度を測定する方法と、CEとコレステロール脱水素酵素(CHD)に補酵素を組合せて紫外領域での吸光度を測定する方法とが挙げられる。即ち、HDL分画中のコレステロールを定量する場合には、CE、CO、PODを用いた試薬、又はCE、CHDを用いた試薬を用いることができる。また、HDL分画中のコレステロールの定量は、上記試薬を含む乾式分析素子を用いて行うこともできる。
【0035】
さらに本発明によれば、(1)磁性体ナノ粒子と生体試料とを接触させて凝集体を形成させる容器、(2)容器内の凝集体を捕集するための磁場を発生するための磁場発生手段、(3)及び凝集体から分離された生体試料中の目的成分を検出するための乾式分析素子を少なくとも含む、自動臨床検査装置が提供される。磁性体ナノ粒子と生体試料とを接触させて凝集体を形成させる容器の種類や形状は特に限定されず、少なくとも1個の開口部を有する通常の反応容器(チューブなどを含む)であればよい。磁場発生手段としては、磁石などを使用することができる。また、乾式分析素子は、目的成分を検出するための試薬を含むものを使用することができる。目的成分がコレステロールの場合には、CE、CO、及びPOD、又はCE及びCHDを試薬として含めることができる。乾式分析素子の構成は特に限定されないが、例えば、水不透過性平面支持体の片面上に、少なくとも1つの機能層と少なくとも1つの展開層がこの順に積層一体化されたものなどを使用することができる。上記した各種試薬は、機能層、そして所望により展開層にも含めることができる。
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
実施例1:磁性ナノ粒子分散液の調整
塩化鉄(III)6水和物10.8gおよび塩化鉄(II)4水和物6.4gをそれぞれ1N−塩酸水溶液80mlに溶解し混合した。この溶液を攪拌しながらこの中にアンモニア水(28重量%)96mlを2ml/分の速度で添加した。その後80℃で30分加熱した後室温に冷却した。得られた凝集物をデカンテーションにより水で精製した。結晶子サイズ約12nmのマグネタイト(Fe34)の生成をX線回折法により確認した。
【0037】
この凝集物に、ポリオキシエチレン(4,5)ラウリルエーテル酢酸2.3gを溶解した水溶液(NaOHでpHを6.8に調製したもの)100mlを加え分散し、磁性体ナノ粒子分散液を調整した。
【0038】
実施例2
Fe34含量10.2g/lの磁性ナノ粒子溶液190μlに、リンタングステン酸(0.2または0.8%)10μlを加え、更に標準血清(LDL-C 116mg/dl、HDL-C 86.1mg/dl)50μlを加えた。ボルテックスミキサーで攪拌し室温で30秒静置した後、磁石上に移し30秒静置した。上清を採取し協和メディックス製LDL-C・HDL-C検出キットで、各リポタンパク由来のコレステロール量を定量した。結果を以下の表1に示すが、LDLの分離除去とHDLの定量性を確認することができた。
【0039】
(1)0.20%リンタングステン酸添加
(2)0.80%リンタングステン酸添加
【0040】
【表1】


【0041】
実施例3
Fe34含量3.62g/lの磁性ナノ粒子溶液190μlに、0.5%リンタングステン酸を含む0.1M MES緩衝液(pH6.0)10μlを加え、これにコントロール血清(LDL-C 119mg/dl、HDL-C 26mg/dl)50μlを加えた。ボルテックスミキサーで攪拌し室温で30秒静置した後、磁石上に移し30秒静置した。上清を採取し、富士ドライケムHDL-C-Pスライド(富士写真フイルム株式会社)に点着してHDLコレステロールを定量した。また、HDL-C-Pスライド付属の分画試液(PR)を用い、遠心分離により分画した上清を採取・点着した定量データを併せて示す。
【0042】
磁性ナノ粒子処理HDL-C測定値: 28.06mg/dl
PR処理HDL-C測定値: 26.28 mg/dl
【0043】
上記の結果から分かるように、富士ドライケムHDL-C-Pスライドを用いたコレステロール定量で磁性ナノ粒子による分画とPRを用いた従来法は、ほぼ同様の結果を与えることがわかった。また、前処理時間は20分から1分に短縮された。
【0044】
実施例4(分画補助剤を用いない分画液の作製)
Fe3O4含量15g/Lで、大きさ12〜15nmの磁性ナノ粒子溶液120μLに、0.2M MES緩衝液(pH5.0)40μLを加えて、分画液を調整した。検体40μLを上記作製した分画液に加えて攪拌した。30秒放置した後、ネオジウム磁石の上に混合液が入った容器を置いた。60秒放置した後、上清を富士ドライケムHDL-Cスライド(富士写真フイルム株式会社)にて点着、測定を行った。比較として、検体をリンタングステン酸法にて測定した値を用いた。20個の検体(N=20)の多検体相関を図1に示す。
【0045】
実施例5(分画補助剤として硫酸デキストリンを用いた分画液の作製)
Fe3O4含量21g/Lで、大きさ12〜15nmの磁性ナノ粒子溶液100μLに、0.2M MES緩衝液(pH5.0)40μL、0.4%デキストラン硫酸ナトリウム(MW500,000)和光純薬社製 10μLを加えて、分画液を調整した。検体50μLを上記作製した分画液に加えて攪拌した。30秒放置した後、ネオジウム磁石の上に混合液が入った容器を置いた。60秒放置した後、上清を富士ドライケムHDL-Cスライド(富士写真フイルム株式会社)にて点着、測定を行った。比較として、検体をリンタングステン酸法にて測定した値を用いた。20個の検体(N=20)の多検体相関を図2に示す。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、分画補助剤を用いない分画液による測定の結果を示す。
【図2】図2は、分画補助剤として硫酸デキストリンを用いた分画液による測定の結果を示す。




 

 


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